多孔質チタン酸アルミニウム及びその焼結体並びにその製造方法
【課題】チタン酸アルミニウム自体が多孔質である新規な多孔質チタン酸アルミニウム及びその焼結体並びにその製造方法を得る。
【解決手段】 不規則方向に複数の突起が延びるアメーバ状の形状を有する粒子が融合した形状を有する多孔質体の粒子であることを特徴とする多孔質チタン酸アルミニウムであって、例えば、水銀ポロシメータによる細孔分布における細孔直径0.0036μm〜10μmの範囲の細孔容積が0.05ml/g以上であることを特徴としている。
【解決手段】 不規則方向に複数の突起が延びるアメーバ状の形状を有する粒子が融合した形状を有する多孔質体の粒子であることを特徴とする多孔質チタン酸アルミニウムであって、例えば、水銀ポロシメータによる細孔分布における細孔直径0.0036μm〜10μmの範囲の細孔容積が0.05ml/g以上であることを特徴としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質チタン酸アルミニウム及びその焼結体並びにその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
チタン酸アルミニウムは、低熱膨張性で耐熱衝撃性に優れ、かつ融点が高いため、自動車の排ガス処理用触媒担体や、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)等に用いる多孔質材料として期待され、種々の開発が行われている。
【0003】
チタン酸アルミニウムの製造においては、SiO2成分を含有させることにより、チタン酸アルミニウムの高温安定性が向上することが知られている(特許文献1など)。また、上述するように、DPFなどに用いる場合や、多孔質のチタン酸アルミニウム焼結体とする必要がある。多孔質のチタン酸アルミニウム焼結体を製造する方法として、チタン酸アルミニウム粉末にプラスチック粉末やグラファイトなどの燃焼性粉末を混合し、この混合粉末を焼成する方法が提案されている(特許文献2)。燃焼性粉末の粒径及び添加量を制御することにより、焼結体中の気孔とマイクロクラックを最適に制御することができる旨記載されている。
【0004】
また、チタン酸アルミニウムを製造する際に、原料中にアルミニウム成分及び/またはケイ素成分を含有する無機マイクロバルーンを含ませることにより、気孔率の高い多孔質体を製造する方法が提案されている(特許文献3)。
【0005】
しかしながら、従来技術においては、チタン酸アルミニウム粒子自体を多孔質にすることについては検討されていない。また、多孔質のチタン酸アルミニウム粉末を用いて多孔質焼結体を製造することについても検討されていない。
【特許文献1】特開昭57−3767号公報
【特許文献2】特開平7−138083号公報
【特許文献3】特開2007−84380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、チタン酸アルミニウム粒子自体が多孔質である新規な多孔質チタン酸アルミニウム及びその焼結体並びにその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の多孔質チタン酸アルミニウムは、不規則方向に複数の突起が延びるアメーバ状の形状を有する粒子が融合した形状を有する多孔質体の粒子であることを特徴としている。
【0008】
本発明の多孔質チタン酸アルミニウムは、不規則方向に複数の突起が延びるアメーバ状の形状を有する複数の粒子が融合した形状を有している。アメーバ状の粒子が融合することにより、多数の孔が形成されており、多孔質体粒子となっている。このような多孔質体粒子であるチタン酸アルミニウムを用いて、焼結体を形成することにより、より多孔質なチタン酸アルミニウム焼結体を形成することができる。
【0009】
このような焼結体を、例えばDPFとして用いることにより、微粒子を効率良く補集することができる。
【0010】
本発明の多孔質チタン酸アルミニウムは、水銀ポロシメータによる細孔分布における細孔直径0.0036μm〜10μmの範囲の細孔容積が0.05ml/g以上であることが好ましい。細孔容積が0.05ml/g以上の多孔質チタン酸アルミニウムとすることにより、より多孔質な焼結体を形成することができ、例えばDPFとして用いた場合に、微粒子の補集効率をより高めることができる。
【0011】
細孔容積の上限値は、特に限定されるものではないが、例えば、上限値として、0.2ml/gを挙げることができる。
【0012】
本発明の多孔質チタン酸アルミニウムは、水銀ポロシメータによる細孔分布における細孔直径0.0036μm〜10μmの範囲内の比表面積が0.3m2/g以上であることが好ましい。比表面積が0.3m2/g以上であることにより、焼結体とした場合に、より多孔質な焼結体とすることができる。従って、例えば、DPFとしてこの焼結体を用いた場合に、より良好な微粒子補集効率を得ることができる。
【0013】
比表面積の上限値は特に限定されるものではないが、例えば、比表面積の上限値として、0.6ml/gを挙げることができる。
【0014】
本発明の多孔質チタン酸アルミニウムの焼結体は、上記本発明の多孔質チタン酸アルミニウムを用いて成形した成形体を焼成して得られることを特徴としている。
【0015】
本発明の焼結体は、本発明の多孔質チタン酸アルミニウムを用いているので、チタン酸アルミニウム粒子自体が多孔質であり、より微細な孔を多数有する焼結体とすることができる。このため、例えば、DPFなどに用いた場合に、より良好な微粒子補集効率を得ることができる。
【0016】
本発明の製造方法は、上記本発明の多孔質チタン酸アルミニウムを製造することができる方法であり、チタン源及びアルミニウム源を含む原料をメカノケミカルに粉砕しながら混合する工程と、粉砕混合物を焼成する工程とを備えることを特徴としている。
【0017】
本発明の製造方法によれば、チタン源及びアルミニウム源を含む原料をメカノケミカルに粉砕しながら混合した粉砕混合物を用いている。このような粉砕混合物を焼成することにより、不規則方向に複数の突起が延びるアメーバ状の形状を有する粒子が融合した形状を有する多孔質体粒子である多孔質チタン酸アルミニウムを製造することができる。
【0018】
粉砕混合物を焼成する温度としては、1300〜1600℃の範囲内の温度であることが好ましい。このような温度範囲内で焼成することにより、本発明の多孔質チタン酸アルミニウムをより効率的に製造することができる。
【0019】
焼成時間は、特に限定されるものではないが、0.5時間〜20時間の範囲内で行うことが好ましい。
【0020】
本発明の製造方法において、メカノケミカルな粉砕としては、物理的な衝撃を与えながら粉砕する方法が挙げられる。具体的には、振動ミルによる粉砕が挙げられる。振動ミルによる粉砕処理を行うことにより、混合粉体の摩砕による剪断応力により、原子配列の乱れと原子間距離の減少が同時に起こり、異種粒子の接点部分の原子移動が起こる結果、準安定相が得られると考えられる。これにより、反応活性の高い粉砕混合物が得られ、この反応活性の高い粉砕混合物を焼成することにより、上記本発明の多孔質チタン酸アルミニウムを製造することができる。
【0021】
本発明におけるメカノケミカルな粉砕は、一般に、水や溶剤を用いない乾式処理として行われる。
【0022】
メカノケミカルな粉砕による混合処理の時間は特に限定されるものではないが、一般には0.1時間〜6時間の範囲内であることが好ましい。
【0023】
本発明において用いる原料には、チタン源及びアルミニウム源が含まれる。チタン源としては、酸化チタンを含有する化合物を用いることができ、具体的には、酸化チタン、ルチル鉱石、水酸化チタンウェットケーキ、含水チタニアなどが挙げられる。
【0024】
アルミニウム源としては、加熱により酸化アルミニウムを生じる化合物を用いることができ、具体的には、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどが挙げられる。これらの中でも、特に酸化アルミニウムが好ましく用いられる。
【0025】
チタン源とアルミニウム源の混合割合としては、Ti:Al=1:2(モル比)の割合を基本とするが、それぞれ±10%程度であれば変化させても支障はない。
【0026】
また、本発明の製造方法においては、原料中に亜鉛化合物がさらに含まれていることがさらに好ましい。
【0027】
亜鉛化合物を原料中に含ませることにより、より多孔質なチタン酸アルミニウムを製造することができる。亜鉛化合物としては、酸化亜鉛、硫酸亜鉛などが挙げられる。これらの中でも、特に酸化亜鉛が好ましく用いられる。
【0028】
亜鉛化合物の含有割合は、チタン源及びアルミニウム源の合計に対して酸化亜鉛換算で0.5〜2.0重量%の範囲内であることが好ましい。このような範囲内とすることにより、より多孔質なチタン酸アルミニウムを得ることができるという亜鉛化合物添加による効果をより効果的に得ることができる。
【0029】
また、本発明の製造方法においては、原料中にケイ素源がさらに含まれていても良い。
【0030】
ケイ素源が含有させることにより、チタン酸アルミニウムの分解を抑制することができ、高温安定性に優れた多孔質チタン酸アルミニウムを製造することができる。
【0031】
ケイ素源としては、酸化ケイ素、ケイ素などが挙げられる。これらの中でも、特に酸化ケイ素が好ましく用いられる。ケイ素源の原料中における含有量は、チタン源及びアルミニウム源の合計に対して酸化ケイ素換算で0.5〜10重量%の範囲内であることが好ましい。このような範囲内とすることにより、多孔質チタン酸アルミニウムをより安定して製造することができる。
【0032】
本発明におけるチタン酸アルミニウム焼結体は、本発明の多孔質チタン酸アルミニウムに、例えば、造孔剤、バインダー、分散剤、及び水を添加した混合組成物を作製し、これを、例えば押出成形機を用いてハニカム構造体となるように成形し、セルの開口が市松模様となるように片側の目封止を行った後、乾燥して得られた成形体を焼成して製造することができる。焼成温度としては、例えば、1400〜1600℃が挙げられる。
【0033】
造孔剤としては、黒鉛、グラファイト、木粉、ポリエチレンが挙げられる。また、バインダーとしては、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコールが挙げられる。分散剤としては、脂肪酸石鹸、エチレングリコールが挙げられる。造孔剤、バインダー、分散剤、及び水の量は適宜調整することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の多孔質チタン酸アルミニウムは、チタン酸アルミニウム粒子自体が多孔質であるチタン酸アルミニウムである。このため、本発明の多孔質チタン酸アルミニウムを用いることにより、従来のチタン酸アルミニウムを用いる場合よりも、より多孔質な焼結体を得ることができる。
【0035】
本発明の多孔質チタン酸アルミニウム焼結体は、従来のチタン酸アルミニウムを用いた焼結体よりも、より多孔質であるため、例えば、DPFなどに用いた場合に、より良好な微粒子補集効率を得ることができる。
【0036】
本発明の製造方法によれば、上記本発明の多孔質チタン酸アルミニウムを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明を具体的な実施例により詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0038】
〔多孔質チタン酸アルミニウムの製造〕
(実施例1)
酸化チタン302.26g、酸化アルミニウム423.42g、酸化ケイ素29.59g、及び酸化亜鉛6.63gを振動ミルにて粉砕しながら0.5時間混合した。
【0039】
以上のようにして得られた粉砕混合物50gをルツボに充填し、電気炉にて1450℃で4時間焼成した。
【0040】
得られた生成物のX線回折チャートを図1に示す。図1に示すように、得られた生成物は、Al2TiO5であった。
【0041】
また、得られた生成物について、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。図2は、SEM写真である。
【0042】
図2に示すように、得られたチタン酸アルミニウム粒子は、不規則方向に複数の突起が延びるアメーバ状の形状を有する複数の粒子が融合した形状を有している。アメーバ状の複数の粒子が融合することにより、多数の孔が形成されており、多孔質体となっている。
【0043】
得られた多孔質チタン酸アルミニウムについて、水銀圧入式細孔径分布測定(水銀ポロシメーター測定)により、細孔分布を測定した。細孔直径0.0036μm〜10μmの範囲の細孔容積は、0.0937ml/gであり、比表面積は0.447m2/gであった。
【0044】
(実施例2)
実施例1と同様にして粉砕混合物を調製し、得られた粉砕混合物50gを、ルツボに充填し、電気炉にて1250℃で4時間焼成した。
【0045】
図3は、得られた生成物のX線回折チャートである。図3に示すように、得られた生成物は、Al2TiO5とTiO2の混合物であった。
【0046】
図4は、得られたチタン酸アルミニウムのSEM写真である。図4から、実施例1と同様に、アメーバ状の複数の粒子が融合した形状を有する多孔質体粒子であることがわかる。
【0047】
実施例1と同様にして、得られた多孔質チタン酸アルミニウムの細孔分布を測定した。細孔容積は0.1032ml/gであり、比表面積は0.481m2/gであった。
【0048】
(実施例3)
実施例1と同様にして粉砕混合物を調製し、得られた粉砕混合物50gを、ルツボに充填し、電気炉にて1300℃で4時間焼成した。
【0049】
図5は、得られた生成物のX線回折チャートである。図5に示すように、得られた生成物は、Al2TiO5であった。
【0050】
図6は、得られたチタン酸アルミニウムのSEM写真である。図6から、実施例1と同様に、アメーバ状の複数の粒子が融合した形状を有する多孔質体粒子であることがわかる。
【0051】
実施例1と同様にして、得られた多孔質チタン酸アルミニウムの細孔分布を測定した。細孔容積は0.0988ml/gであり、比表面積は0.465m2/gであった。
【0052】
(実施例4)
実施例1と同様にして粉砕混合物を調製し、得られた粉砕混合物50gを、ルツボに充填し、電気炉にて1400℃で4時間焼成した。
【0053】
図7は、得られた生成物のX線回折チャートである。図7に示すように、得られた生成物は、Al2TiO5であった。
【0054】
図8は、得られたチタン酸アルミニウムのSEM写真である。図8から、実施例1と同様に、アメーバ状の複数の粒子が融合した形状を有する多孔質体粒子であることがわかる。
【0055】
実施例1と同様にして、得られた多孔質チタン酸アルミニウムの細孔分布を測定した。細孔容積は0.0972ml/gであり、比表面積は0.459m2/gであった。
【0056】
(実施例5)
実施例1と同様にして粉砕混合物を調製し、得られた粉砕混合物50gを、ルツボに充填し、電気炉にて1600℃で4時間焼成した。
【0057】
図9は、得られた生成物のX線回折チャートである。図9に示すように、得られた生成物は、Al2TiO5であった。
【0058】
図10は、得られたチタン酸アルミニウムのSEM写真である。図10から、実施例1と同様に、アメーバ状の複数の粒子が融合した形状を有する多孔質体粒子であることがわかる。
【0059】
実施例1と同様にして、得られた多孔質チタン酸アルミニウムの細孔分布を測定した。細孔容積は0.0790ml/gであり、比表面積は0.405m2/gであった。
【0060】
(実施例6)
酸化亜鉛添加量を3.63gとする以外は、実施例1と同様にして粉砕混合物を調製し、得られた粉砕混合物50gをルツボに充填し、電気炉にて1450℃で4時間焼成した。
【0061】
図11は、得られた生成物のX線回折チャートである。図11に示すように、得られた生成物は、Al2TiO5であった。
【0062】
図12は、得られたチタン酸アルミニウムのSEM写真である。図12から、実施例1と同様に、アメーバ状の複数の粒子が融合した形状を有する多孔質体粒子であることがわかる。
【0063】
実施例1と同様にして、得られた多孔質チタン酸アルミニウムの細孔分布を測定した。細孔容積は0.0884ml/gであり、比表面積は0.436m2/gであった。
【0064】
(実施例7)
酸化亜鉛添加量を11.6gとする以外は、実施例1と同様にして粉砕混合物を調製し、得られた粉砕混合物50gをルツボに充填し、電気炉にて1450℃で4時間焼成した。
【0065】
図13は、得られた生成物のX線回折チャートである。図13に示すように、得られた生成物は、Al2TiO5であった。
【0066】
図14は、得られたチタン酸アルミニウムのSEM写真である。図14から、実施例1と同様に、アメーバ状の複数の粒子が融合した形状を有する多孔質体粒子であることがわかる。
【0067】
実施例1と同様にして、得られた多孔質チタン酸アルミニウムの細孔分布を測定した。細孔容積は0.0912ml/gであり、比表面積は0.439m2/gであった。
【0068】
(実施例8)
酸化亜鉛添加量を14.5gとする以外は、実施例1と同様にして粉砕混合物を調製し、得られた粉砕混合物50gをルツボに充填し、電気炉にて1450℃で4時間焼成した。
【0069】
図15は、得られた生成物のX線回折チャートである。図15に示すように、得られた生成物は、Al2TiO5であった。
【0070】
図16は、得られたチタン酸アルミニウムのSEM写真である。図16から、実施例1と同様に、アメーバ状の複数の粒子が融合した形状を有する多孔質体粒子であることがわかる。
【0071】
実施例1と同様にして、得られた多孔質チタン酸アルミニウムの細孔分布を測定した。細孔容積は0.0927ml/gであり、比表面積は0.440m2/gであった。
【0072】
(実施例9)
酸化亜鉛添加量を16.0gとする以外は、実施例1と同様にして粉砕混合物を調製し、得られた粉砕混合物50gをルツボに充填し、電気炉にて1450℃で4時間焼成した。
【0073】
図17は、得られた生成物のX線回折チャートである。図17に示すように、得られた生成物は、Al2TiO5とZnAl2O4の混合物であった。
【0074】
図18は、得られたチタン酸アルミニウムのSEM写真である。図18から、実施例1と同様に、アメーバ状の複数の粒子が融合した形状を有する多孔質体であることがわかる。
【0075】
実施例1と同様にして、得られた多孔質チタン酸アルミニウムの細孔分布を測定した。細孔容積は0.0826ml/gであり、比表面積は0.412m2/gであった。
【0076】
(実施例10)
酸化亜鉛を添加しない以外は実施例1と同様にして粉砕混合物を調製し、得られた粉砕混合物50gをルツボに充填し、電気炉にて1400℃で4時間焼成した。
【0077】
図19は、得られた生成物のX線回折チャートである。図19に示すように、得られた生成物は、Al2TiO5であった。
【0078】
図20は、得られたチタン酸アルミニウムのSEM写真である。図20から、実施例1と同様に、アメーバ状の複数の粒子が融合した形状を有する多孔質体であることがわかる。
【0079】
実施例1と同様にして、得られた多孔質チタン酸アルミニウムの細孔分布を測定した。細孔容積は0.0654ml/gであり、比表面積は0.378m2/gであった。
【0080】
(実施例11)
酸化亜鉛を添加しない以外は実施例1と同様にして粉砕混合物を調製し、得られた粉砕混合物50gをルツボに充填し、電気炉にて1450℃で4時間焼成した。
【0081】
図21は、得られた生成物のX線回折チャートである。図21に示すように、得られた生成物は、Al2TiO5であった。
【0082】
図22は、得られたチタン酸アルミニウムのSEM写真である。図22から、実施例1と同様に、アメーバ状の複数の粒子が融合した形状を有する多孔質体であることがわかる。
【0083】
実施例1と同様にして、得られた多孔質チタン酸アルミニウムの細孔分布を測定した。細孔容積は0.0602ml/gであり、比表面積は0.346m2/gであった。
【0084】
(比較例1)
酸化チタン302.26g、酸化アルミニウム423.42g、酸化ケイ素29.59g、及び水323.69gをボールミルにて粉砕しながら、3時間混合した。以上のようにして得られた粉砕混合物を110℃にて乾燥を行い、乾燥物50gをルツボに充填し、電気炉にて1400℃にて4時間焼成した。
【0085】
図23は、得られた生成物のX線回折チャートである。図23に示すように、得られた生成物は、Al2TiO5とTiO2の混合物であった。
【0086】
図24は、得られたチタン酸アルミニウムのSEM写真である。図24に示すように、得られたチタン酸アルミニウムは、多孔質ではない不定形の粒子であった。
【0087】
実施例1と同様にして、得られた多孔質チタン酸アルミニウムの細孔分布を測定した。細孔容積は0.0122ml/gであり、比表面積は0.257m2/gであった。
【0088】
(比較例2)
比較例1と同様にして粉砕混合物を調製し、これを比較例1と同様にして乾燥し、得られた乾燥物50gをルツボに充填し、電気炉にて1450℃で4時間焼成した。
【0089】
図25は、得られた生成物のX線回折チャートである。図25に示すように、得られた生成物は、Al2TiO5であった。
【0090】
図26は、得られたチタン酸アルミニウムのSEM写真である。図26に示すように、得られたチタン酸アルミニウムは、多孔質ではない不定形の粒子であった。
【0091】
実施例1と同様にして、得られた多孔質チタン酸アルミニウムの細孔分布を測定した。細孔容積は0.0094ml/gであり、比表面積は0.248m2/gであった。
【0092】
実施例1〜11及び比較例1〜2における製造条件及び測定結果を表1に示す。なお、表1における酸化亜鉛量は、原料中の酸化亜鉛含有量を示しており、混合形式は、粉砕を乾式で行ったか湿式で行ったかを示している。
【0093】
【表1】
【0094】
表1に示すように、本発明の製造方法に従い製造した実施例1〜11のチタン酸アルミニウムは、多孔質粒子である。これに対し、比較例1及び比較例2のチタン酸アルミニウムは、多孔質ではない粒子である。
【0095】
また、本発明に従う実施例1〜11のチタン酸アルミニウムにおいては、水銀ポロシメータによる細孔分布における細孔直径0.0036μm〜10μmの範囲の細孔容積が、0.05ml/g以上となっており、0.05〜0.11ml/gの範囲となっている。特に、原料中に酸化亜鉛を含有させた実施例1〜9においては、高い細孔容積が得られており、0.07〜0.11ml/gの範囲となっている。
【0096】
また、本発明に従う実施例1〜11の水銀ポロシメータによる細孔分布における細孔直径0.0036μm〜10μmの範囲の比表面積は、0.3m2/g以上となっており、0.3〜0.5m2/gの範囲となっている。特に、原料中に酸化亜鉛を含有させた実施例1〜9においては、0.4〜0.5m2/gの範囲となっている。
【0097】
また、実施例1及び3〜5と、実施例2とを比較すると、実施例2においては、Al2TiO5とTiO2の混合物となっており、原料である酸化チタンが僅かながらに未反応の状態で残っているものと思われる。これに対し、焼成温度を1300℃以上とした実施例1及び3〜5においては、TiO2が認められておらず、原料である酸化チタンが全て反応したものと思われる。従って、焼成温度としては、1300℃以上が好ましいことがわかる。
【0098】
また、実施例8と実施例9を比較すると、酸化亜鉛添加量が2.2重量%である実施例9においては、Al2TiO5以外に、ZnAl2O4がX線回折で検出されている。従って、亜鉛添加量としては、2.0重量%以下であることが好ましいことがわかる。
【0099】
〔チタン酸アルミニウム焼結体の製造〕
(実施例12)
実施例1で得られた多孔質チタン酸アルミニウムの粉砕処理を行い、45μm以下の粒径に調製した。この多孔質チタン酸アルミニウム粒子100重量部に対して、黒鉛20重量部、メチルセルロース10重量部、脂肪酸石鹸0.5重量部を配合し、さらに水を適当量添加して混練し、押出成形可能な坏土を得た。
【0100】
得られた坏土を押出成形機にてハニカム構造体となるように押し出して成形した。得られた成形体をセルの開口部が市松模様となるように片側の目封止を行った。次に、マイクロ乾燥機及び熱風乾燥機で乾燥した後、得られた成形体を1500℃で焼成し、チタン酸アルミニウム焼結体を得た。
【0101】
(実施例13)
実施例5で得られた多孔質チタン酸アルミニウムの粉砕処理を行い、45μm以下の粒径に調製した。この多孔質チタン酸アルミニウム粒子100重量部に対して、黒鉛20重量部、メチルセルロース10重量部、脂肪酸石鹸0.5重量部を配合し、さらに水を適当量添加して混練し、押出成形可能な坏土を得た。
【0102】
得られた坏土を押出成形機にてハニカム構造体となるように押し出して成形した。得られた成形体をセルの開口部が市松模様となるように片側の目封止を行った。次に、マイクロ乾燥機及び熱風乾燥機で乾燥した後、得られた成形体を1500℃で焼成し、チタン酸アルミニウム焼結体を得た。
【0103】
(実施例14)
実施例11で得られた多孔質チタン酸アルミニウムの粉砕処理を行い、45μm以下の粒径に調製した。この多孔質チタン酸アルミニウム粒子100重量部に対して、黒鉛20重量部、メチルセルロース10重量部、脂肪酸石鹸0.5重量部を配合し、さらに水を適当量添加して混練し、押出成形可能な坏土を得た。
【0104】
得られた坏土を押出成形機にてハニカム構造体となるように押し出して成形した。得られた成形体をセルの開口部が市松模様となるように片側の目封止を行った。次に、マイクロ乾燥機及び熱風乾燥機で乾燥した後、得られた成形体を1500℃で焼成し、チタン酸アルミニウム焼結体を得た。
【0105】
(比較例3)
比較例2で得られたチタン酸アルミニウムの粉砕処理を行い、45μm以下の粒径に調製した。この多孔質チタン酸アルミニウム粒子100重量部に対して、黒鉛20重量部、メチルセルロース10重量部、脂肪酸石鹸0.5重量部を配合し、さらに水を適当量添加して混練し、押出成形可能な坏土を得た。
【0106】
得られた坏土を押出成形機にてハニカム構造体となるように押し出して成形した。得られた成形体をセルの開口部が市松模様となるように片側の目封止を行った。次に、マイクロ乾燥機及び熱風乾燥機で乾燥した後、得られた成形体を1500℃で焼成し、チタン酸アルミニウム焼結体を得た。
【0107】
<粒子個数濃度低減率の測定>
実施例12〜14及び比較例3で得られたハニカム構造のチタン酸アルミニウム焼結体について、粒子個数濃度低減率を測定した。得られたチタン酸アルミニウム焼結体にディーゼルからの排ガスを流入させ、その前後における粒子径別の濃度を電子式低圧インパクターにて測定し、粒子個数濃度低減率を測定した。結果を図27に示す。
【0108】
図27に示すように、本発明に従う実施例の多孔質チタン酸アルミニウムを用いて製造した実施例12〜14のチタン酸アルミニウム焼結体においては、粒径が小さい微粒子、特に100nm以下の粒径の微粒子の補集能力に優れていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】実施例1のX線回折パターンを示す図。
【図2】実施例1の多孔質チタン酸アルミニウムを示すSEM写真。
【図3】実施例2のX線回折パターンを示す図。
【図4】実施例2の多孔質チタン酸アルミニウムを示すSEM写真。
【図5】実施例3のX線回折パターンを示す図。
【図6】実施例3の多孔質チタン酸アルミニウムを示すSEM写真。
【図7】実施例4のX線回折パターンを示す図。
【図8】実施例4の多孔質チタン酸アルミニウムを示すSEM写真。
【図9】実施例5のX線回折パターンを示す図。
【図10】実施例5の多孔質チタン酸アルミニウムを示すSEM写真。
【図11】実施例6のX線回折パターンを示す図。
【図12】実施例6の多孔質チタン酸アルミニウムを示すSEM写真。
【図13】実施例7のX線回折パターンを示す図。
【図14】実施例7の多孔質チタン酸アルミニウムを示すSEM写真。
【図15】実施例8のX線回折パターンを示す図。
【図16】実施例8の多孔質チタン酸アルミニウムを示すSEM写真。
【図17】実施例9のX線回折パターンを示す図。
【図18】実施例9の多孔質チタン酸アルミニウムを示すSEM写真。
【図19】実施例10のX線回折パターンを示す図。
【図20】実施例10の多孔質チタン酸アルミニウムを示すSEM写真。
【図21】実施例11のX線回折パターンを示す図。
【図22】実施例11の多孔質チタン酸アルミニウムを示すSEM写真。
【図23】比較例1のX線回折パターンを示す図。
【図24】比較例1の多孔質チタン酸アルミニウムを示すSEM写真。
【図25】比較例2のX線回折パターンを示す図。
【図26】比較例2の多孔質チタン酸アルミニウムを示すSEM写真。
【図27】実施例12〜14及び比較例3におけるチタン酸アルミニウム焼結体の粒子個数濃度低減率を示す図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質チタン酸アルミニウム及びその焼結体並びにその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
チタン酸アルミニウムは、低熱膨張性で耐熱衝撃性に優れ、かつ融点が高いため、自動車の排ガス処理用触媒担体や、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)等に用いる多孔質材料として期待され、種々の開発が行われている。
【0003】
チタン酸アルミニウムの製造においては、SiO2成分を含有させることにより、チタン酸アルミニウムの高温安定性が向上することが知られている(特許文献1など)。また、上述するように、DPFなどに用いる場合や、多孔質のチタン酸アルミニウム焼結体とする必要がある。多孔質のチタン酸アルミニウム焼結体を製造する方法として、チタン酸アルミニウム粉末にプラスチック粉末やグラファイトなどの燃焼性粉末を混合し、この混合粉末を焼成する方法が提案されている(特許文献2)。燃焼性粉末の粒径及び添加量を制御することにより、焼結体中の気孔とマイクロクラックを最適に制御することができる旨記載されている。
【0004】
また、チタン酸アルミニウムを製造する際に、原料中にアルミニウム成分及び/またはケイ素成分を含有する無機マイクロバルーンを含ませることにより、気孔率の高い多孔質体を製造する方法が提案されている(特許文献3)。
【0005】
しかしながら、従来技術においては、チタン酸アルミニウム粒子自体を多孔質にすることについては検討されていない。また、多孔質のチタン酸アルミニウム粉末を用いて多孔質焼結体を製造することについても検討されていない。
【特許文献1】特開昭57−3767号公報
【特許文献2】特開平7−138083号公報
【特許文献3】特開2007−84380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、チタン酸アルミニウム粒子自体が多孔質である新規な多孔質チタン酸アルミニウム及びその焼結体並びにその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の多孔質チタン酸アルミニウムは、不規則方向に複数の突起が延びるアメーバ状の形状を有する粒子が融合した形状を有する多孔質体の粒子であることを特徴としている。
【0008】
本発明の多孔質チタン酸アルミニウムは、不規則方向に複数の突起が延びるアメーバ状の形状を有する複数の粒子が融合した形状を有している。アメーバ状の粒子が融合することにより、多数の孔が形成されており、多孔質体粒子となっている。このような多孔質体粒子であるチタン酸アルミニウムを用いて、焼結体を形成することにより、より多孔質なチタン酸アルミニウム焼結体を形成することができる。
【0009】
このような焼結体を、例えばDPFとして用いることにより、微粒子を効率良く補集することができる。
【0010】
本発明の多孔質チタン酸アルミニウムは、水銀ポロシメータによる細孔分布における細孔直径0.0036μm〜10μmの範囲の細孔容積が0.05ml/g以上であることが好ましい。細孔容積が0.05ml/g以上の多孔質チタン酸アルミニウムとすることにより、より多孔質な焼結体を形成することができ、例えばDPFとして用いた場合に、微粒子の補集効率をより高めることができる。
【0011】
細孔容積の上限値は、特に限定されるものではないが、例えば、上限値として、0.2ml/gを挙げることができる。
【0012】
本発明の多孔質チタン酸アルミニウムは、水銀ポロシメータによる細孔分布における細孔直径0.0036μm〜10μmの範囲内の比表面積が0.3m2/g以上であることが好ましい。比表面積が0.3m2/g以上であることにより、焼結体とした場合に、より多孔質な焼結体とすることができる。従って、例えば、DPFとしてこの焼結体を用いた場合に、より良好な微粒子補集効率を得ることができる。
【0013】
比表面積の上限値は特に限定されるものではないが、例えば、比表面積の上限値として、0.6ml/gを挙げることができる。
【0014】
本発明の多孔質チタン酸アルミニウムの焼結体は、上記本発明の多孔質チタン酸アルミニウムを用いて成形した成形体を焼成して得られることを特徴としている。
【0015】
本発明の焼結体は、本発明の多孔質チタン酸アルミニウムを用いているので、チタン酸アルミニウム粒子自体が多孔質であり、より微細な孔を多数有する焼結体とすることができる。このため、例えば、DPFなどに用いた場合に、より良好な微粒子補集効率を得ることができる。
【0016】
本発明の製造方法は、上記本発明の多孔質チタン酸アルミニウムを製造することができる方法であり、チタン源及びアルミニウム源を含む原料をメカノケミカルに粉砕しながら混合する工程と、粉砕混合物を焼成する工程とを備えることを特徴としている。
【0017】
本発明の製造方法によれば、チタン源及びアルミニウム源を含む原料をメカノケミカルに粉砕しながら混合した粉砕混合物を用いている。このような粉砕混合物を焼成することにより、不規則方向に複数の突起が延びるアメーバ状の形状を有する粒子が融合した形状を有する多孔質体粒子である多孔質チタン酸アルミニウムを製造することができる。
【0018】
粉砕混合物を焼成する温度としては、1300〜1600℃の範囲内の温度であることが好ましい。このような温度範囲内で焼成することにより、本発明の多孔質チタン酸アルミニウムをより効率的に製造することができる。
【0019】
焼成時間は、特に限定されるものではないが、0.5時間〜20時間の範囲内で行うことが好ましい。
【0020】
本発明の製造方法において、メカノケミカルな粉砕としては、物理的な衝撃を与えながら粉砕する方法が挙げられる。具体的には、振動ミルによる粉砕が挙げられる。振動ミルによる粉砕処理を行うことにより、混合粉体の摩砕による剪断応力により、原子配列の乱れと原子間距離の減少が同時に起こり、異種粒子の接点部分の原子移動が起こる結果、準安定相が得られると考えられる。これにより、反応活性の高い粉砕混合物が得られ、この反応活性の高い粉砕混合物を焼成することにより、上記本発明の多孔質チタン酸アルミニウムを製造することができる。
【0021】
本発明におけるメカノケミカルな粉砕は、一般に、水や溶剤を用いない乾式処理として行われる。
【0022】
メカノケミカルな粉砕による混合処理の時間は特に限定されるものではないが、一般には0.1時間〜6時間の範囲内であることが好ましい。
【0023】
本発明において用いる原料には、チタン源及びアルミニウム源が含まれる。チタン源としては、酸化チタンを含有する化合物を用いることができ、具体的には、酸化チタン、ルチル鉱石、水酸化チタンウェットケーキ、含水チタニアなどが挙げられる。
【0024】
アルミニウム源としては、加熱により酸化アルミニウムを生じる化合物を用いることができ、具体的には、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどが挙げられる。これらの中でも、特に酸化アルミニウムが好ましく用いられる。
【0025】
チタン源とアルミニウム源の混合割合としては、Ti:Al=1:2(モル比)の割合を基本とするが、それぞれ±10%程度であれば変化させても支障はない。
【0026】
また、本発明の製造方法においては、原料中に亜鉛化合物がさらに含まれていることがさらに好ましい。
【0027】
亜鉛化合物を原料中に含ませることにより、より多孔質なチタン酸アルミニウムを製造することができる。亜鉛化合物としては、酸化亜鉛、硫酸亜鉛などが挙げられる。これらの中でも、特に酸化亜鉛が好ましく用いられる。
【0028】
亜鉛化合物の含有割合は、チタン源及びアルミニウム源の合計に対して酸化亜鉛換算で0.5〜2.0重量%の範囲内であることが好ましい。このような範囲内とすることにより、より多孔質なチタン酸アルミニウムを得ることができるという亜鉛化合物添加による効果をより効果的に得ることができる。
【0029】
また、本発明の製造方法においては、原料中にケイ素源がさらに含まれていても良い。
【0030】
ケイ素源が含有させることにより、チタン酸アルミニウムの分解を抑制することができ、高温安定性に優れた多孔質チタン酸アルミニウムを製造することができる。
【0031】
ケイ素源としては、酸化ケイ素、ケイ素などが挙げられる。これらの中でも、特に酸化ケイ素が好ましく用いられる。ケイ素源の原料中における含有量は、チタン源及びアルミニウム源の合計に対して酸化ケイ素換算で0.5〜10重量%の範囲内であることが好ましい。このような範囲内とすることにより、多孔質チタン酸アルミニウムをより安定して製造することができる。
【0032】
本発明におけるチタン酸アルミニウム焼結体は、本発明の多孔質チタン酸アルミニウムに、例えば、造孔剤、バインダー、分散剤、及び水を添加した混合組成物を作製し、これを、例えば押出成形機を用いてハニカム構造体となるように成形し、セルの開口が市松模様となるように片側の目封止を行った後、乾燥して得られた成形体を焼成して製造することができる。焼成温度としては、例えば、1400〜1600℃が挙げられる。
【0033】
造孔剤としては、黒鉛、グラファイト、木粉、ポリエチレンが挙げられる。また、バインダーとしては、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコールが挙げられる。分散剤としては、脂肪酸石鹸、エチレングリコールが挙げられる。造孔剤、バインダー、分散剤、及び水の量は適宜調整することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明の多孔質チタン酸アルミニウムは、チタン酸アルミニウム粒子自体が多孔質であるチタン酸アルミニウムである。このため、本発明の多孔質チタン酸アルミニウムを用いることにより、従来のチタン酸アルミニウムを用いる場合よりも、より多孔質な焼結体を得ることができる。
【0035】
本発明の多孔質チタン酸アルミニウム焼結体は、従来のチタン酸アルミニウムを用いた焼結体よりも、より多孔質であるため、例えば、DPFなどに用いた場合に、より良好な微粒子補集効率を得ることができる。
【0036】
本発明の製造方法によれば、上記本発明の多孔質チタン酸アルミニウムを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明を具体的な実施例により詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0038】
〔多孔質チタン酸アルミニウムの製造〕
(実施例1)
酸化チタン302.26g、酸化アルミニウム423.42g、酸化ケイ素29.59g、及び酸化亜鉛6.63gを振動ミルにて粉砕しながら0.5時間混合した。
【0039】
以上のようにして得られた粉砕混合物50gをルツボに充填し、電気炉にて1450℃で4時間焼成した。
【0040】
得られた生成物のX線回折チャートを図1に示す。図1に示すように、得られた生成物は、Al2TiO5であった。
【0041】
また、得られた生成物について、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。図2は、SEM写真である。
【0042】
図2に示すように、得られたチタン酸アルミニウム粒子は、不規則方向に複数の突起が延びるアメーバ状の形状を有する複数の粒子が融合した形状を有している。アメーバ状の複数の粒子が融合することにより、多数の孔が形成されており、多孔質体となっている。
【0043】
得られた多孔質チタン酸アルミニウムについて、水銀圧入式細孔径分布測定(水銀ポロシメーター測定)により、細孔分布を測定した。細孔直径0.0036μm〜10μmの範囲の細孔容積は、0.0937ml/gであり、比表面積は0.447m2/gであった。
【0044】
(実施例2)
実施例1と同様にして粉砕混合物を調製し、得られた粉砕混合物50gを、ルツボに充填し、電気炉にて1250℃で4時間焼成した。
【0045】
図3は、得られた生成物のX線回折チャートである。図3に示すように、得られた生成物は、Al2TiO5とTiO2の混合物であった。
【0046】
図4は、得られたチタン酸アルミニウムのSEM写真である。図4から、実施例1と同様に、アメーバ状の複数の粒子が融合した形状を有する多孔質体粒子であることがわかる。
【0047】
実施例1と同様にして、得られた多孔質チタン酸アルミニウムの細孔分布を測定した。細孔容積は0.1032ml/gであり、比表面積は0.481m2/gであった。
【0048】
(実施例3)
実施例1と同様にして粉砕混合物を調製し、得られた粉砕混合物50gを、ルツボに充填し、電気炉にて1300℃で4時間焼成した。
【0049】
図5は、得られた生成物のX線回折チャートである。図5に示すように、得られた生成物は、Al2TiO5であった。
【0050】
図6は、得られたチタン酸アルミニウムのSEM写真である。図6から、実施例1と同様に、アメーバ状の複数の粒子が融合した形状を有する多孔質体粒子であることがわかる。
【0051】
実施例1と同様にして、得られた多孔質チタン酸アルミニウムの細孔分布を測定した。細孔容積は0.0988ml/gであり、比表面積は0.465m2/gであった。
【0052】
(実施例4)
実施例1と同様にして粉砕混合物を調製し、得られた粉砕混合物50gを、ルツボに充填し、電気炉にて1400℃で4時間焼成した。
【0053】
図7は、得られた生成物のX線回折チャートである。図7に示すように、得られた生成物は、Al2TiO5であった。
【0054】
図8は、得られたチタン酸アルミニウムのSEM写真である。図8から、実施例1と同様に、アメーバ状の複数の粒子が融合した形状を有する多孔質体粒子であることがわかる。
【0055】
実施例1と同様にして、得られた多孔質チタン酸アルミニウムの細孔分布を測定した。細孔容積は0.0972ml/gであり、比表面積は0.459m2/gであった。
【0056】
(実施例5)
実施例1と同様にして粉砕混合物を調製し、得られた粉砕混合物50gを、ルツボに充填し、電気炉にて1600℃で4時間焼成した。
【0057】
図9は、得られた生成物のX線回折チャートである。図9に示すように、得られた生成物は、Al2TiO5であった。
【0058】
図10は、得られたチタン酸アルミニウムのSEM写真である。図10から、実施例1と同様に、アメーバ状の複数の粒子が融合した形状を有する多孔質体粒子であることがわかる。
【0059】
実施例1と同様にして、得られた多孔質チタン酸アルミニウムの細孔分布を測定した。細孔容積は0.0790ml/gであり、比表面積は0.405m2/gであった。
【0060】
(実施例6)
酸化亜鉛添加量を3.63gとする以外は、実施例1と同様にして粉砕混合物を調製し、得られた粉砕混合物50gをルツボに充填し、電気炉にて1450℃で4時間焼成した。
【0061】
図11は、得られた生成物のX線回折チャートである。図11に示すように、得られた生成物は、Al2TiO5であった。
【0062】
図12は、得られたチタン酸アルミニウムのSEM写真である。図12から、実施例1と同様に、アメーバ状の複数の粒子が融合した形状を有する多孔質体粒子であることがわかる。
【0063】
実施例1と同様にして、得られた多孔質チタン酸アルミニウムの細孔分布を測定した。細孔容積は0.0884ml/gであり、比表面積は0.436m2/gであった。
【0064】
(実施例7)
酸化亜鉛添加量を11.6gとする以外は、実施例1と同様にして粉砕混合物を調製し、得られた粉砕混合物50gをルツボに充填し、電気炉にて1450℃で4時間焼成した。
【0065】
図13は、得られた生成物のX線回折チャートである。図13に示すように、得られた生成物は、Al2TiO5であった。
【0066】
図14は、得られたチタン酸アルミニウムのSEM写真である。図14から、実施例1と同様に、アメーバ状の複数の粒子が融合した形状を有する多孔質体粒子であることがわかる。
【0067】
実施例1と同様にして、得られた多孔質チタン酸アルミニウムの細孔分布を測定した。細孔容積は0.0912ml/gであり、比表面積は0.439m2/gであった。
【0068】
(実施例8)
酸化亜鉛添加量を14.5gとする以外は、実施例1と同様にして粉砕混合物を調製し、得られた粉砕混合物50gをルツボに充填し、電気炉にて1450℃で4時間焼成した。
【0069】
図15は、得られた生成物のX線回折チャートである。図15に示すように、得られた生成物は、Al2TiO5であった。
【0070】
図16は、得られたチタン酸アルミニウムのSEM写真である。図16から、実施例1と同様に、アメーバ状の複数の粒子が融合した形状を有する多孔質体粒子であることがわかる。
【0071】
実施例1と同様にして、得られた多孔質チタン酸アルミニウムの細孔分布を測定した。細孔容積は0.0927ml/gであり、比表面積は0.440m2/gであった。
【0072】
(実施例9)
酸化亜鉛添加量を16.0gとする以外は、実施例1と同様にして粉砕混合物を調製し、得られた粉砕混合物50gをルツボに充填し、電気炉にて1450℃で4時間焼成した。
【0073】
図17は、得られた生成物のX線回折チャートである。図17に示すように、得られた生成物は、Al2TiO5とZnAl2O4の混合物であった。
【0074】
図18は、得られたチタン酸アルミニウムのSEM写真である。図18から、実施例1と同様に、アメーバ状の複数の粒子が融合した形状を有する多孔質体であることがわかる。
【0075】
実施例1と同様にして、得られた多孔質チタン酸アルミニウムの細孔分布を測定した。細孔容積は0.0826ml/gであり、比表面積は0.412m2/gであった。
【0076】
(実施例10)
酸化亜鉛を添加しない以外は実施例1と同様にして粉砕混合物を調製し、得られた粉砕混合物50gをルツボに充填し、電気炉にて1400℃で4時間焼成した。
【0077】
図19は、得られた生成物のX線回折チャートである。図19に示すように、得られた生成物は、Al2TiO5であった。
【0078】
図20は、得られたチタン酸アルミニウムのSEM写真である。図20から、実施例1と同様に、アメーバ状の複数の粒子が融合した形状を有する多孔質体であることがわかる。
【0079】
実施例1と同様にして、得られた多孔質チタン酸アルミニウムの細孔分布を測定した。細孔容積は0.0654ml/gであり、比表面積は0.378m2/gであった。
【0080】
(実施例11)
酸化亜鉛を添加しない以外は実施例1と同様にして粉砕混合物を調製し、得られた粉砕混合物50gをルツボに充填し、電気炉にて1450℃で4時間焼成した。
【0081】
図21は、得られた生成物のX線回折チャートである。図21に示すように、得られた生成物は、Al2TiO5であった。
【0082】
図22は、得られたチタン酸アルミニウムのSEM写真である。図22から、実施例1と同様に、アメーバ状の複数の粒子が融合した形状を有する多孔質体であることがわかる。
【0083】
実施例1と同様にして、得られた多孔質チタン酸アルミニウムの細孔分布を測定した。細孔容積は0.0602ml/gであり、比表面積は0.346m2/gであった。
【0084】
(比較例1)
酸化チタン302.26g、酸化アルミニウム423.42g、酸化ケイ素29.59g、及び水323.69gをボールミルにて粉砕しながら、3時間混合した。以上のようにして得られた粉砕混合物を110℃にて乾燥を行い、乾燥物50gをルツボに充填し、電気炉にて1400℃にて4時間焼成した。
【0085】
図23は、得られた生成物のX線回折チャートである。図23に示すように、得られた生成物は、Al2TiO5とTiO2の混合物であった。
【0086】
図24は、得られたチタン酸アルミニウムのSEM写真である。図24に示すように、得られたチタン酸アルミニウムは、多孔質ではない不定形の粒子であった。
【0087】
実施例1と同様にして、得られた多孔質チタン酸アルミニウムの細孔分布を測定した。細孔容積は0.0122ml/gであり、比表面積は0.257m2/gであった。
【0088】
(比較例2)
比較例1と同様にして粉砕混合物を調製し、これを比較例1と同様にして乾燥し、得られた乾燥物50gをルツボに充填し、電気炉にて1450℃で4時間焼成した。
【0089】
図25は、得られた生成物のX線回折チャートである。図25に示すように、得られた生成物は、Al2TiO5であった。
【0090】
図26は、得られたチタン酸アルミニウムのSEM写真である。図26に示すように、得られたチタン酸アルミニウムは、多孔質ではない不定形の粒子であった。
【0091】
実施例1と同様にして、得られた多孔質チタン酸アルミニウムの細孔分布を測定した。細孔容積は0.0094ml/gであり、比表面積は0.248m2/gであった。
【0092】
実施例1〜11及び比較例1〜2における製造条件及び測定結果を表1に示す。なお、表1における酸化亜鉛量は、原料中の酸化亜鉛含有量を示しており、混合形式は、粉砕を乾式で行ったか湿式で行ったかを示している。
【0093】
【表1】
【0094】
表1に示すように、本発明の製造方法に従い製造した実施例1〜11のチタン酸アルミニウムは、多孔質粒子である。これに対し、比較例1及び比較例2のチタン酸アルミニウムは、多孔質ではない粒子である。
【0095】
また、本発明に従う実施例1〜11のチタン酸アルミニウムにおいては、水銀ポロシメータによる細孔分布における細孔直径0.0036μm〜10μmの範囲の細孔容積が、0.05ml/g以上となっており、0.05〜0.11ml/gの範囲となっている。特に、原料中に酸化亜鉛を含有させた実施例1〜9においては、高い細孔容積が得られており、0.07〜0.11ml/gの範囲となっている。
【0096】
また、本発明に従う実施例1〜11の水銀ポロシメータによる細孔分布における細孔直径0.0036μm〜10μmの範囲の比表面積は、0.3m2/g以上となっており、0.3〜0.5m2/gの範囲となっている。特に、原料中に酸化亜鉛を含有させた実施例1〜9においては、0.4〜0.5m2/gの範囲となっている。
【0097】
また、実施例1及び3〜5と、実施例2とを比較すると、実施例2においては、Al2TiO5とTiO2の混合物となっており、原料である酸化チタンが僅かながらに未反応の状態で残っているものと思われる。これに対し、焼成温度を1300℃以上とした実施例1及び3〜5においては、TiO2が認められておらず、原料である酸化チタンが全て反応したものと思われる。従って、焼成温度としては、1300℃以上が好ましいことがわかる。
【0098】
また、実施例8と実施例9を比較すると、酸化亜鉛添加量が2.2重量%である実施例9においては、Al2TiO5以外に、ZnAl2O4がX線回折で検出されている。従って、亜鉛添加量としては、2.0重量%以下であることが好ましいことがわかる。
【0099】
〔チタン酸アルミニウム焼結体の製造〕
(実施例12)
実施例1で得られた多孔質チタン酸アルミニウムの粉砕処理を行い、45μm以下の粒径に調製した。この多孔質チタン酸アルミニウム粒子100重量部に対して、黒鉛20重量部、メチルセルロース10重量部、脂肪酸石鹸0.5重量部を配合し、さらに水を適当量添加して混練し、押出成形可能な坏土を得た。
【0100】
得られた坏土を押出成形機にてハニカム構造体となるように押し出して成形した。得られた成形体をセルの開口部が市松模様となるように片側の目封止を行った。次に、マイクロ乾燥機及び熱風乾燥機で乾燥した後、得られた成形体を1500℃で焼成し、チタン酸アルミニウム焼結体を得た。
【0101】
(実施例13)
実施例5で得られた多孔質チタン酸アルミニウムの粉砕処理を行い、45μm以下の粒径に調製した。この多孔質チタン酸アルミニウム粒子100重量部に対して、黒鉛20重量部、メチルセルロース10重量部、脂肪酸石鹸0.5重量部を配合し、さらに水を適当量添加して混練し、押出成形可能な坏土を得た。
【0102】
得られた坏土を押出成形機にてハニカム構造体となるように押し出して成形した。得られた成形体をセルの開口部が市松模様となるように片側の目封止を行った。次に、マイクロ乾燥機及び熱風乾燥機で乾燥した後、得られた成形体を1500℃で焼成し、チタン酸アルミニウム焼結体を得た。
【0103】
(実施例14)
実施例11で得られた多孔質チタン酸アルミニウムの粉砕処理を行い、45μm以下の粒径に調製した。この多孔質チタン酸アルミニウム粒子100重量部に対して、黒鉛20重量部、メチルセルロース10重量部、脂肪酸石鹸0.5重量部を配合し、さらに水を適当量添加して混練し、押出成形可能な坏土を得た。
【0104】
得られた坏土を押出成形機にてハニカム構造体となるように押し出して成形した。得られた成形体をセルの開口部が市松模様となるように片側の目封止を行った。次に、マイクロ乾燥機及び熱風乾燥機で乾燥した後、得られた成形体を1500℃で焼成し、チタン酸アルミニウム焼結体を得た。
【0105】
(比較例3)
比較例2で得られたチタン酸アルミニウムの粉砕処理を行い、45μm以下の粒径に調製した。この多孔質チタン酸アルミニウム粒子100重量部に対して、黒鉛20重量部、メチルセルロース10重量部、脂肪酸石鹸0.5重量部を配合し、さらに水を適当量添加して混練し、押出成形可能な坏土を得た。
【0106】
得られた坏土を押出成形機にてハニカム構造体となるように押し出して成形した。得られた成形体をセルの開口部が市松模様となるように片側の目封止を行った。次に、マイクロ乾燥機及び熱風乾燥機で乾燥した後、得られた成形体を1500℃で焼成し、チタン酸アルミニウム焼結体を得た。
【0107】
<粒子個数濃度低減率の測定>
実施例12〜14及び比較例3で得られたハニカム構造のチタン酸アルミニウム焼結体について、粒子個数濃度低減率を測定した。得られたチタン酸アルミニウム焼結体にディーゼルからの排ガスを流入させ、その前後における粒子径別の濃度を電子式低圧インパクターにて測定し、粒子個数濃度低減率を測定した。結果を図27に示す。
【0108】
図27に示すように、本発明に従う実施例の多孔質チタン酸アルミニウムを用いて製造した実施例12〜14のチタン酸アルミニウム焼結体においては、粒径が小さい微粒子、特に100nm以下の粒径の微粒子の補集能力に優れていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】実施例1のX線回折パターンを示す図。
【図2】実施例1の多孔質チタン酸アルミニウムを示すSEM写真。
【図3】実施例2のX線回折パターンを示す図。
【図4】実施例2の多孔質チタン酸アルミニウムを示すSEM写真。
【図5】実施例3のX線回折パターンを示す図。
【図6】実施例3の多孔質チタン酸アルミニウムを示すSEM写真。
【図7】実施例4のX線回折パターンを示す図。
【図8】実施例4の多孔質チタン酸アルミニウムを示すSEM写真。
【図9】実施例5のX線回折パターンを示す図。
【図10】実施例5の多孔質チタン酸アルミニウムを示すSEM写真。
【図11】実施例6のX線回折パターンを示す図。
【図12】実施例6の多孔質チタン酸アルミニウムを示すSEM写真。
【図13】実施例7のX線回折パターンを示す図。
【図14】実施例7の多孔質チタン酸アルミニウムを示すSEM写真。
【図15】実施例8のX線回折パターンを示す図。
【図16】実施例8の多孔質チタン酸アルミニウムを示すSEM写真。
【図17】実施例9のX線回折パターンを示す図。
【図18】実施例9の多孔質チタン酸アルミニウムを示すSEM写真。
【図19】実施例10のX線回折パターンを示す図。
【図20】実施例10の多孔質チタン酸アルミニウムを示すSEM写真。
【図21】実施例11のX線回折パターンを示す図。
【図22】実施例11の多孔質チタン酸アルミニウムを示すSEM写真。
【図23】比較例1のX線回折パターンを示す図。
【図24】比較例1の多孔質チタン酸アルミニウムを示すSEM写真。
【図25】比較例2のX線回折パターンを示す図。
【図26】比較例2の多孔質チタン酸アルミニウムを示すSEM写真。
【図27】実施例12〜14及び比較例3におけるチタン酸アルミニウム焼結体の粒子個数濃度低減率を示す図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不規則方向に複数の突起が延びるアメーバ状の形状を有する粒子が融合した形状を有する多孔質体の粒子であることを特徴とする多孔質チタン酸アルミニウム。
【請求項2】
水銀ポロシメータによる細孔分布における細孔直径0.0036μm〜10μmの範囲の細孔容積が0.05ml/g以上であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質チタン酸アルミニウム。
【請求項3】
水銀ポロシメータによる細孔分布における細孔直径0.0036μm〜10μmの範囲内の比表面積が0.3m2/g以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の多孔質チタン酸アルミニウム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の多孔質チタン酸アルミニウムを用いて成形した成形体を焼成して得られることを特徴とする多孔質チタン酸アルミニウムの焼結体。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の多孔質チタン酸アルミニウムを製造する方法であって、
チタン源及びアルミニウム源を含む原料をメカノケミカルに粉砕しながら混合する工程と、
粉砕混合物を焼成する工程とを備えることを特徴とする多孔質チタン酸アルミニウムの製造方法。
【請求項6】
1300〜1600℃の範囲内の温度で焼成することを特徴とする請求項5に記載の多孔質チタン酸アルミニウムの製造方法。
【請求項7】
原料中に亜鉛化合物がさらに含まれていることを特徴とする請求項5または6に記載の多孔質チタン酸アルミニウムの製造方法。
【請求項8】
亜鉛化合物の含有量が、チタン源及びアルミニウム源の合計に対して酸化亜鉛換算で0.5〜2.0重量%の範囲内であることを特徴とする請求項7に記載の多孔質チタン酸アルミニウムの製造方法。
【請求項9】
原料中にケイ素源がさらに含まれていることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の多孔質チタン酸アルミニウムの製造方法。
【請求項10】
メカノケミカルな粉砕が、振動ミルによる粉砕であることを特徴とする請求項5〜9のいずれか1項に記載の多孔質チタン酸アルミニウムの製造方法。
【請求項1】
不規則方向に複数の突起が延びるアメーバ状の形状を有する粒子が融合した形状を有する多孔質体の粒子であることを特徴とする多孔質チタン酸アルミニウム。
【請求項2】
水銀ポロシメータによる細孔分布における細孔直径0.0036μm〜10μmの範囲の細孔容積が0.05ml/g以上であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質チタン酸アルミニウム。
【請求項3】
水銀ポロシメータによる細孔分布における細孔直径0.0036μm〜10μmの範囲内の比表面積が0.3m2/g以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の多孔質チタン酸アルミニウム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の多孔質チタン酸アルミニウムを用いて成形した成形体を焼成して得られることを特徴とする多孔質チタン酸アルミニウムの焼結体。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の多孔質チタン酸アルミニウムを製造する方法であって、
チタン源及びアルミニウム源を含む原料をメカノケミカルに粉砕しながら混合する工程と、
粉砕混合物を焼成する工程とを備えることを特徴とする多孔質チタン酸アルミニウムの製造方法。
【請求項6】
1300〜1600℃の範囲内の温度で焼成することを特徴とする請求項5に記載の多孔質チタン酸アルミニウムの製造方法。
【請求項7】
原料中に亜鉛化合物がさらに含まれていることを特徴とする請求項5または6に記載の多孔質チタン酸アルミニウムの製造方法。
【請求項8】
亜鉛化合物の含有量が、チタン源及びアルミニウム源の合計に対して酸化亜鉛換算で0.5〜2.0重量%の範囲内であることを特徴とする請求項7に記載の多孔質チタン酸アルミニウムの製造方法。
【請求項9】
原料中にケイ素源がさらに含まれていることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の多孔質チタン酸アルミニウムの製造方法。
【請求項10】
メカノケミカルな粉砕が、振動ミルによる粉砕であることを特徴とする請求項5〜9のいずれか1項に記載の多孔質チタン酸アルミニウムの製造方法。
【図1】
【図3】
【図5】
【図7】
【図9】
【図11】
【図13】
【図15】
【図17】
【図19】
【図21】
【図23】
【図25】
【図27】
【図2】
【図4】
【図6】
【図8】
【図10】
【図12】
【図14】
【図16】
【図18】
【図20】
【図22】
【図24】
【図26】
【図3】
【図5】
【図7】
【図9】
【図11】
【図13】
【図15】
【図17】
【図19】
【図21】
【図23】
【図25】
【図27】
【図2】
【図4】
【図6】
【図8】
【図10】
【図12】
【図14】
【図16】
【図18】
【図20】
【図22】
【図24】
【図26】
【公開番号】特開2009−263182(P2009−263182A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−117077(P2008−117077)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(000206901)大塚化学株式会社 (55)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(000206901)大塚化学株式会社 (55)
【Fターム(参考)】
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