説明

多孔質膜状支持体に支持された薄膜状の二本鎖DNAからなる吸着体

【課題】薄膜状の二本鎖DNAからなる吸着体、および該吸着体を用いた人体に有害な物質の除去方法を提供することを目的とする。
【解決手段】たとえば、二本鎖DNAを溶剤に溶解させる工程と、該二本鎖DNAが溶解した溶剤に多孔質膜状支持体を浸漬する工程と、浸漬した多孔質膜状支持体から溶剤を揮発させる工程とを備える製造方法によって得られる、多孔質膜状支持体に支持された薄膜状の二本鎖DNAからなる吸着体、該吸着体が備え付けられたことを特徴とするフィルターおよび該フィルターを備えることを特徴とする浄水器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質膜状支持体に支持された薄膜状の二本鎖DNAからなる吸着体、該吸着体の製造方法および該吸着体を用いた有害物質の除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
DNA(一般的には、アデニン、チミン、グアニン、シトシンといういずれかの塩基と、デオキシリボースと、リン酸とからなるヌクレオチドが鎖状に多数結合した高分子をさす)は、自身と相補的なDNAと塩基の水素結合などにより結合し、二本鎖DNAを構成する。二本鎖DNAは二重らせん構造をとり、デオキシリボースとリン酸がらせん骨格をなし、塩基はらせん軸とほぼ垂直に、らせんの中央部に向かって突き出しあい、塩基同士は水素結合により結合している。
【0003】
二本鎖DNAの塩基対と塩基対の間には、二本鎖DNAがB型構造である場合には幅約1.1nm、高さ0.34nmの隙間があり、平面構造の物質はこの隙間に入り込むこと(インターカレーション)ができることが知られている。
【0004】
平面構造の物質の中にはダイオキシンなどの人体に有害な物質もあることから、この二本鎖DNAのインターカレーションの性質を利用して、平面構造の有害物質を除去することが提案されている(例えば特許文献1〜3)。
【0005】
実際に、有害物質は透過するが二本鎖DNAは透過しない隔膜により形成された容器などに二本鎖DNAを含有した溶液を封入した吸着体(特許文献1)や、DNAおよび該DNAを保持するフィルター繊維体からなる有害物質除去フィルター(特許文献2)が実施化されている。
【0006】
前記の有害物質除去フィルターにおいて、DNAがフィルター繊維体の内部に含まれるガラスビーズに固定化されて保持される形態や、多孔質体の形態でフィルター繊維体に固定化されて保持される形態とすることが提案されている(特許文献2)。
【0007】
その他DNAを粒状にした形態も提案されているが、粒状のDNAは粉末としての扱いしかできないため、薄くしたり、小型化するのに限界があるという欠点があった。
DNAのほかの形態として、薄膜状の形態が考えられ、実際、特許文献3ではDNA複合体を板状、布状の形態にすることが、特許文献1ではポリスルホンを膜状に成形し、そこに二本鎖DNAを固定化することが提案されている。
【0008】
しかしながら、いずれの文献においても実際にDNA複合体を板状にしたり、膜状に成形したポリスルホンに固定したという記載はない。
また、実際に二本鎖DNA単体を薄膜状にしようとすると、得られる製品は二本鎖DNAが吸湿性が高いために耐久性がなかったり、強度が弱く伸びもなく、ひび割れの多い場合もあり、到底実用に耐えるものではなかった。
【特許文献1】WO2004/062767号公報(再公表特許)
【特許文献2】WO2004/091753号公報(再公表特許)
【特許文献3】特開2006−700号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、薄膜状の二本鎖DNAからなる吸着体を提供することを目的とする。
また本発明は、前記の吸着体を用いて人体に有害な物質を除去する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、薄膜状の二本鎖DNAからなる吸着体を得るべく、鋭意検討した結果、多孔質膜状支持体に二本鎖DNAを支持させることにより、薄膜状の二本鎖DNAからなる吸着体を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、本発明の要旨は、以下のとおりである。
多孔質膜状支持体に支持された薄膜状の二本鎖DNAからなる吸着体。
前記多孔質膜状支持体に支持された薄膜状の二本鎖DNAの厚みは、0.001〜1.0mmであることが好ましい。
【0012】
前記多孔質膜状支持体は、ポーラスPTFE、濾紙、ポーラスPEシート、メッシュ状の樹脂もしくは金属織物体、中空糸体、多孔質セラミック体または多孔質のフィルター類のいずれかであってもよい。これらのうち、前記多孔質膜状支持体がポーラスPTFEまたはメッシュ状の樹脂もしくは金属織物体であることが好ましい。
【0013】
さらに、本発明は、多孔質膜状支持体に支持された薄膜状の二本鎖DNAからなる吸着体の製造方法も提供し、その態様は以下のとおりである。
二本鎖DNAを溶剤に溶解させる工程と、該二本鎖DNAが溶解した溶剤に多孔質膜状支持体を浸漬する工程と、浸漬した多孔質膜状支持体から溶剤を揮発させる工程とを備えることを特徴とする多孔質膜状支持体に支持された薄膜状の二本鎖DNAからなる吸着体の製造方法。
【0014】
前記製造方法において、多孔質膜状支持体は、ポーラスPTFE、濾紙、ポーラスPEシート、メッシュ状の樹脂もしくは金属織物体、中空糸体、多孔質セラミック体または多孔質のフィルター類のいずれかであってもよい。
【0015】
本発明に係る吸着体および本発明にかかる製造方法により製造された吸着体は、有害物質の除去に好適に用いることができる。
本発明にかかる吸着体および本発明にかかる製造方法により製造された吸着体を有害物質の除去に使用する態様は、以下のとおりである。
(1)本発明に係る吸着体または本発明にかかる製造方法により製造された吸着体が備え付けられたことを特徴とするフィルター。
(2)前記フィルターを備えることを特徴とする浄水器。
(3)前記フィルターを備えることを特徴とする空気清浄機。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、実用に耐える薄膜状の二本鎖DNAを提供することができ、より具体的には、多孔質膜状支持体に支持された薄膜状の二本鎖DNAからなる吸着体、該吸着体の製造方法、該吸着体を用いる有害物質除去方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明について、さらに詳細に説明する。
<多孔質膜状支持体に支持された薄膜状の二本鎖DNAからなる吸着体>
二本鎖DNA
本発明にかかる吸着体は二本鎖DNAを使用するが、二本鎖DNAはあらゆる生物中に存在するので、本発明に使用される二本鎖DNAはあらゆる生物資源から調達可能である。環境への負荷やコストなどを考えると、例えば廃棄される食品などから抽出、精製した
二本鎖DNAが好ましい。抽出、精製工程は、公知の方法により実施することができる。
【0018】
本発明にかかる吸着体に使用される二本鎖DNAは、後述する二本鎖DNAが溶解した溶剤の粘性などの観点から、通常重量平均分子量20万〜40万(このときの塩基対数は180
〜600対)、好ましくは25万〜30万(このときの塩基対数は2重らせん率を考慮すると、理論上220〜320対)である。なお、本明細書において重量平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリヒドロキシメタアクリレート系換算値をさす。
【0019】
また、本発明にかかる吸着体における薄膜状の二本鎖DNAの厚みは用途に応じて調整することが可能であるが、有害物質の除去能や耐久性などを考慮すると、好ましくは0.001〜1.0mm、より好ましくは0.005〜0.5mm、さらに好ましくは0.01〜0.05mmである。薄膜状の二本鎖DNAの厚みを調整する方法は、後述する。
【0020】
本発明によれば、多孔質膜状支持体の上に、前記のような薄い二本鎖DNA膜を形成させることができ、得られる吸着体は、従来の有害物質は透過するが二本鎖DNAは透過しない隔膜により形成された容器などに二本鎖DNAを含有した溶液を封入した吸着体や、DNAおよび該DNAを保持するフィルター繊維体からなる有害物質除去フィルターなどよりも、有害物質の除去能や利用形態の自在性などの点で優れている。
【0021】
多孔質膜状支持体
本発明にかかる吸着体に使用される多孔質膜状支持体は、多孔質で、膜状の形状を有し、後述の本発明に係る製造方法における二本鎖DNAが溶解した溶剤に浸漬可能なものであれば、特に限定されない。本発明者らは実用に耐える薄膜状の二本鎖DNAを形成するため、支持体についてさまざまな検討を加えた。
【0022】
多孔質でない膜状支持体についての検討では、多孔質でない膜状支持体は、その膜上に薄膜状の二本鎖DNAを形成させても、使用条件によっては薄膜状二本鎖DNAが離型してしまうので、実用化に耐えないという結果となった。
【0023】
次に本発明者らは多孔質膜状支持体について検討した。その結果、多孔質膜状支持体は二本鎖DNAが支持体の内部まで浸透し、アンカー効果により二本鎖DNA薄膜の離型を防ぐことができるので、多孔質膜状支持体を用いれば耐久性、強度、伸びに優れ、しかも二本鎖DNAの本来の性質を有したままの薄膜状の二本鎖DNAを形成できることを見出した。
【0024】
本発明に使用される多孔質膜状支持体としては、例えば、ポーラスPTFE(PTFEを多孔質にし、焼結したもの、以下同じ)、濾紙、ポーラスPEシート、メッシュ状の樹脂もしくは金属織物体、中空糸体、多孔質セラミック体および多孔質のフィルター類などが挙げられ、平面状であっても筒状体であってもよい。これらのうち、耐水、耐久性に優れ、人体に無害であるという理由から、ポーラスPTFEおよびメッシュ状の樹脂もしくは金属織物体が好ましい。以上の例示に挙げた多孔質膜状支持体は公知の手法に従って調製することができる。また、たとえばユーミンタイ社製「e-PTFE」等の商品として入手することもできる。
【0025】
本発明に使用される多孔質膜状支持体の厚みは、通常10〜300μm、好ましくは20〜100
μmである。上記のような厚みの多孔質膜状支持体はコンパクトであり、また低価格で入
手することができる。
【0026】
以上のような構成を有する本発明の吸着体においては、二本鎖DNAが多孔質膜状支持体の内部まで浸透して、アンカー効果により二本鎖DNA薄膜の離型を防ぐことができる
ので、薄膜状の二本鎖DNAは耐久性、強度および伸びに優れる。図1に多孔質膜状支持体の表面及び気孔部にDNAが吸着、浸透している状態を概念図として示した。
【0027】
また、本発明の吸着体は延伸することが可能であり、延伸することにより薄膜状二本鎖DNAが有害物質と接触する面積を大きくすることができる。
<多孔質膜状支持体に支持された薄膜状の二本鎖DNAからなる吸着体の製造方法>
本発明にかかる製造方法は、二本鎖DNAを溶剤に溶解させる工程と、該二本鎖DNAが溶解した溶剤に多孔質膜状支持体を浸漬する工程と、浸漬した多孔質膜状支持体から溶剤を揮発させる工程とを備えることを特徴としている。
【0028】
溶剤に溶解させる工程
本発明にかかる製造方法に用いる溶剤は、二本鎖DNAを溶解させることができる溶剤であれば特に限定されないが、例えば、エタノールやメタノール等のアルコール類、クロロホルムなどを使用することができる。また、複数種類の溶剤を混合して混合溶剤としてもよい。
【0029】
本発明にかかる製造方法に用いる溶剤としては、二本鎖DNAの溶解性や揮発工程における揮発性などの理由から、クロロホルムとエタノールの重量比(クロロホルム/エタノール)が4以下のエタノール−クロロホルム混合溶剤が好ましいが、さらにはエタノール
のみの方が、人体に無害であるので好ましい。
【0030】
また、溶剤に二本鎖DNAを溶解させる場合には、二本鎖DNAが溶解した溶剤中における二本鎖DNAの濃度が通常1〜100mg/ml、好ましくは5〜50mg/ml、より好ましくは10
〜30mg/mlとなるように溶剤または二本鎖DNAの量を調節することが好ましい。
【0031】
浸漬工程
浸漬工程は、例えば二本鎖DNAが溶解した溶剤中に多孔質膜状支持体を浸漬することにより、実施することができる。なお、二本鎖DNAが溶解した溶剤中に複数の多孔質膜状支持体、あるいは複数種類の多孔質膜状支持体を一度に浸漬してもよいのはもちろんである。
【0032】
多孔質膜状支持体は、前述のとおり多孔質で、膜状の形状を有し、二本鎖DNAが溶解した溶剤に浸漬可能なものであれば特に限定されず、前述で例示した種々の支持体などを使用することができるが、ポーラスPTFEおよびメッシュ状の樹脂もしくは金属織物体が好ましい。
【0033】
溶剤中のDNA濃度により、薄膜状の二本鎖DNAの厚みを調節することができる。具体的には、溶剤中のDNA濃度と得られるDNA薄膜の厚みが概ね正の相関関係を示すので、溶剤にDNAを一定量溶解することにより厚みを0.001〜1.0mmに、DNA濃度を微調整することにより厚みを0.005〜0.5mmに、さらに微調整することにより厚みを0.01〜0.05mmにすることができる。
【0034】
揮発工程
揮発工程は、公知の乾燥方法により実施することができる。
<本発明にかかる吸着体または本発明にかかる製造方法により得られた吸着体を用いた有害物質の除去方法>
前述のように、本発明の多孔質膜状支持体に支持された薄膜状の二本鎖DNAからなる吸着体は、二本鎖DNA薄膜の離型が防がれ、耐久性、強度および伸びに優れる。
【0035】
本発明の吸着体(本発明の製造方法により得られた吸着体を含む。以下同じ。)は、液
体中の有害物質も、気体中の有害物質も除去することができる。従って本発明の吸着体は、有害物質の除去方法に好適に用いることができる。
【0036】
有害物質の除去方法に適用する際の、本発明の吸着体の形態は特に限定されないが、例えばフィルターに備え付けられた形態とすることができる。
本発明の吸着体を備え付けるフィルターは、特に限定されない。
【0037】
本発明にかかる吸着体に使用する多孔質膜状支持体は、浄水器の構造を考慮すると、ポーラスPTFE膜またはメッシュ状の樹脂もしくは金属織物体であることが好ましい。
本発明の吸着体は、例えばリング状のフィルター支持体に支持させることにより、フィルターに備え付けることができる。
【0038】
フィルターは装着、取り外しが容易であるので、種々の有害物質除去装置に適用することができる。
例えば、前記本発明の吸着体が備え付けられたフィルターは、浄水器に適用することができる。従来蛇口直結型、据置型、ビルトイン型、ポット型など種々の浄水器があるが、いずれもフィルターを使用しており、フィルターの目の細かさにより、そのフィルターをろ過された後の水の水質が決定される。そして当然目の細かいフィルターほど高価である。
【0039】
ろ過の重要物質としては、カルキ、カビ臭物質、トリハロメタン、農薬、固形鉛、および、ダイオキシン、環境ホルモン、重金属類などが挙げられる。これらのうち、カルキ、カビ臭物質、トリハロメタン、農薬及び固形鉛は活性炭と中空糸膜によって除去されている。しかし、ダイオキシン、環境ホルモン及び重金属類などは、小分子であるため、一部のピッチ系繊維活性炭を除いては除去できていない状況である。すなわち、現在は、一部の高級フィルターを有する浄水器を除いては、浄水器によってダイオキシン、環境ホルモン、重金属類などを除去できていない状況である。
【0040】
この点、本発明の吸着体は、その吸着体の二本鎖DNAのインターカレーションの性質等により、ダイオキシン、環境ホルモンや、重金属類を捕捉し、除去することが可能である。このような、二本鎖DNAにインターカレートする物質としては様々なものが知られており、本発明においても特に限定されることなく、除去の対象とすることができる。
【0041】
本発明にかかる吸着体により好適に除去できるダイオキシン、環境ホルモンとしては、ジベンゾ−p−ダイオキシン(DD)、ジベンゾフラン(DF)、ビフェニル(BP)、ポリ塩化ジベンゾ−p−ダイオキシン(PCDD)、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)およびコプラナーポリ塩化ビフェニル(コプラナーPCB)などが挙げられる。
【0042】
本発明にかかる吸着体により好適に除去できる重金属類としては、水銀、カドミウム、溶解性鉛、銅および鉄などが挙げられる。
従って本発明の吸着体は、ダイオキシン、環境ホルモン、重金属類などを除去することができない現在の浄水器に好適である。
【0043】
すなわち従来のカルキ、カビ臭物質、トリハロメタン、農薬及び固形鉛などを除去することができる浄水器のフィルターに、本発明にかかる吸着体を備え付ければ、ろ過の重要物質すべてを除去し、人体にとって安全な水を供給することができる浄水器を得ることができる。しかも、本発明にかかる吸着体において、二本鎖DNAは例えば廃棄された食品を原料として製造することができ、多孔質膜状支持体は市販の安価なものを利用できるので、本発明にかかる吸着体が備え付けられたフィルターも、安価に製造することができる。
【0044】
従って、本発明によれば、ろ過の重要物質すべてを除去し、人体にとって安全な水を供給することができる浄水器を、従来よりも安価に提供することができる。
なお、浄水器のフィルターに本発明の吸着体を備え付ける方法は、特に限定されるものではなく、公知の手法を適宜応用することができるが、例えば前記のようにリング状のフィルター支持体に本発明の吸着体を支持させる方法が挙げられる。より具体的に説明すると、前述のように従来の浄水器のフィルターには活性炭と中空糸膜を備えているものがあるが、この活性炭と中空糸膜の層の間に、リング状のフィルター支持体に支持された本発明の吸着体を設置する方法である。
【0045】
また他の方法としては、中空糸膜を構成する中空糸束の隙間に本発明の吸着体がはまり込んだ態様とし、本発明の吸着体が水と接触するようにする方法が挙げられる。また他に中空糸膜を構成する中空糸束の隙間に本発明の吸着体がはまり込んだ態様とする具体的な方法のひとつとして、中空糸膜を本発明の製造方法に使用する多孔質膜状支持体として使用し、中空糸膜にDNAを支持させる方法が挙げられる。
【0046】
他にも本発明にかかる吸着体が備え付けられたフィルターは、空気清浄機などの幅広い用途に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は、多孔質膜状支持体(e−PTFE等)の表面及び気孔部にDNAが吸着、浸透している状態を示す概念図(断面図)である。
【符号の説明】
【0048】
10 表面及び気孔部にDNAが吸着、含浸された多孔質膜状支持体
12 多孔質膜状支持体の表面に吸着したDNA
14 多孔質膜状支持体の気孔部分に含浸されたDNA
16 多孔質膜状支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質膜状支持体に支持された薄膜状の二本鎖DNAからなる吸着体。
【請求項2】
前記多孔質膜状支持体に支持された薄膜状の二本鎖DNAの厚みが0.001〜1.0mmであることを特徴とする請求項1に記載の吸着体。
【請求項3】
前記多孔質膜状支持体が、ポーラスPTFE、濾紙、ポーラスPEシート、メッシュ状の樹脂もしくは金属織物体、中空糸体、多孔質セラミック体または多孔質のフィルター類のいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の吸着体。
【請求項4】
前記多孔質膜状支持体が、ポーラスPTFEまたはメッシュ状の樹脂もしくは金属織物体であることを特徴とする請求項1〜3に記載の吸着体。
【請求項5】
二本鎖DNAを溶剤に溶解させる工程と、
該二本鎖DNAが溶解した溶剤に多孔質膜状支持体を浸漬する工程と、
浸漬した多孔質膜状支持体から溶剤を揮発させる工程と
を備えることを特徴とする多孔質膜状支持体に支持された薄膜状の二本鎖DNAからなる吸着体の製造方法。
【請求項6】
前記多孔質膜状支持体が、ポーラスPTFE、濾紙、ポーラスPEシート、メッシュ状の樹脂もしくは金属織物体、中空糸体、多孔質セラミック体または多孔質のフィルター類のいずれかであることを特徴とする請求項5に記載の多孔質膜状支持体に支持された薄膜状の二本鎖DNAからなる吸着体の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載の吸着体または請求項5もしくは6に記載の製造方法により得られた吸着体を用いることを特徴とする有害物質の除去方法。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれかに記載の吸着体または請求項5もしくは6に記載の製造方法により得られた吸着体が備え付けられたことを特徴とするフィルター。
【請求項9】
請求項8に記載のフィルターを備えることを特徴とする浄水器。
【請求項10】
請求項8に記載のフィルターを備えることを特徴とする空気清浄機。

【図1】
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【公開番号】特開2009−39689(P2009−39689A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−209941(P2007−209941)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000229564)日本バルカー工業株式会社 (145)
【Fターム(参考)】