説明

多孔質貯蔵部および非ポリマー拡散層を備えた内部人工器官

冠状動脈用ステントのような内部人工器官は、薬剤の多孔質貯蔵部、例えばセラミックから形成された多孔質層と、前記貯蔵部からの薬剤の溶出を制御するための、セラミックまたは金属から形成された上層とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、多孔質貯蔵部および非ポリマー拡散層を備えた内部人工器官に関連する。
【背景技術】
【0002】
身体は、動脈、他の血管および他の体内管腔のような様々な通路を備える。これらの通路は、時には閉塞されるようになったり、あるいは弱くなったりする。例えば、通路は腫瘍によって閉塞されたり、プラークによって制限されたり、あるいは動脈瘤によって弱くなったりすることがある。これが生じた場合には、その通路は、医療用内部人工器官によって、再開放させたり、または補強したりすることができる。内部人工器官は、典型的には、体内の管腔内に配置される管状部材である。内部人工器官の例としては、ステント、被覆ステントおよびステントグラフトが挙げられる。
【0003】
内部人工器官は、該内部人工器官を所望の部位へ搬送する際に内部人工器官を圧縮または縮小した形で支持するカテーテルによって身体内部に搬送され得る。内部人工器官は、前記部位に到達すると、例えば、管腔の壁と接触し得るように、拡張される。ステント送達は、ヒース(Heath)の特許文献1においてさらに検討されている。前記特許文献の全容は、参照により、本願に援用される。
【0004】
拡張機構は、内部人工器官を半径方向に拡張させることを含み得る。例えば、拡張機構は、バルーン拡張可能な内部人工器官を搭載したバルーンを保持するカテーテルを備え得る。バルーンは、拡張された内部人工器官を変形させて、該内部人工器官を所定位置において管腔壁に接触させて固定するように、膨張させられる。その後、バルーンは収縮させられ、カテーテルは管腔から抜去され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,290,721号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
内部人工器官を含んでいる通路は、再び閉塞するようになり得る。そのような通路の再閉塞は再狭窄として知られている。特定の薬剤は、該薬剤を内部人工器官に含有させると、再狭窄の発症を抑制し得ることが認められている。内部人工器官に含有された治療薬または薬剤は、時として、内部人工器官が埋め込まれた時点で、所定の方法で、体液中に溶出することが望ましいことがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、本発明は、表面と、該表面上において第1セラミックから形成された第1多孔質層と、第1層上において第2セラミックまたは金属から形成された第2多孔質層と、を有する内部人工器官を特徴とする。
【0008】
別の態様において、本発明は、内部人工器官上に第1多孔質層を形成することと、該第1多孔質層に薬剤を導入することと、該薬剤を含有した第1層の上に、セラミックまたは金属の第2多孔質層を形成することとを含む、内部人工器官を形成する方法を特徴とする。
【0009】
別の態様において、本発明は、金属酸化物ゾルを提供し、約300℃以下の温度での加熱により処理することによって、内部人工器官上に第1多孔質セラミック層を形成することと、約300℃以上の温度で加熱することなく、第1層上に第2多孔質層を形成することとを含む、内部人工器官を形成する方法を特徴とする。
【0010】
別の態様において、本発明は、セラミックから形成された第1多孔質層を備えたステントを提供することと、第1多孔質層は薬剤を取り込んでおり、かつ該ステントは異なるセラミックの第2多孔質層をさらに備えることと、該ステントを体内に搬送することと、を含む方法を特徴とする。
【0011】
実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を有し得る。第1多孔質層は薬剤を含み得る。第2多孔質層は第1多孔質層とは異なる空隙率を有し得る。第2層は第1層よりも小さい空隙率を有し得る。第2層の細孔径(ポアサイズ)は、第1層の細孔径より小さくなり得る。第2層の厚さは約10〜約500nmである。第1層の厚さは約0.1〜約3μm(ミクロン)である。表面はステント本体の表面であり得る。第2層は金属から形成され得る。第1層および第2層は、ポリマーを実質的に含まない薬物送達システムを形成することができる。第2層は第2セラミックから形成され得る。第2セラミックはIROXであり得る。第2セラミックは滑らかな球状のモルフォロジー(morphology)を有し得る。第2セラミックは第1セラミックとは異なり得る。
【0012】
実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上も有し得る。第1多孔質層はゾル−ゲル法によって形成することができる。第1多孔質層はナノクラスター堆積過程によって形成することができる。第1多孔質層は金属ナノクラスターから形成され得る。薬剤は、溶媒中におけるコーティング、浸漬または噴霧によって、あるいはほぼ乾燥した薬剤粒子を第1多孔質層に適用することによって導入され得る。薬剤はパルスレーザー堆積(「PLD」)によって導入することができる。第2多孔質層はPLDによって形成することができる。第2層中の細孔はレーザー照射によって形成することができる。第2層は金属であり得る。第2層はセラミックであり得る。第2層はIROXであり得る。薬剤はゾル−ゲル法の間に導入することができる。第2多孔質層はナノクラスター堆積過程によって形成することができる。
【0013】
実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を有し得る。薬剤は熱処理前に金属酸化物ゾルに取り込むことができる。金属酸化物はTiOであり得る。
実施形態は、以下の利点の1つ以上を備え得る。ステントは、反内腔側表面のような選択した部分上の第1多孔質セラミックコーティング(例えば薬剤貯蔵部)中に高充填量の薬剤を有して形成され得、薬剤送達プロファイルは、ポリマーを使用することなく、セラミックまたは金属の上層(例えば第2層)を用いて、慎重に制御することができる。薬剤は、ステント上の第1多孔質コーティング内に大量に充填することができる。第1コーティングは、高い空隙率、大きな細孔開口、および大きなボイド空洞を有し得、大きなボイド空洞は、相当量の薬剤を収容することができ、かつ薬剤の第1コーティングの細孔またはボイド領域中への、浸漬または噴霧のような溶媒法により、または直接乾式充填により、比較的容易に充填され得る。薬剤は、上層が提供される前に、第1コーティングに送達され、よって、薬剤は、上層の細孔を通過する必要なしに、ボイド領域中に直接送達され得る。上層は、再狭窄の可能性を低減し、内皮化を高めるような治療上の利点を有し得るセラミック、例えば、IROX、から形成され得る。セラミックのモルフォロジーは、長期間にわたって所望の薬物放出プロファイルを提供するために、治療上の特性および上層の空隙率を調整するように制御され得る。上層は、ステントの第1多孔質コーティングに適合するセラミックまたは金属であり得る。例えば、上層は、第1セラミックと同一のセラミックから形成され得、これは接着および生体適合性を増強し、腐食による劣化の可能性を低減する。上層の空隙率は慎重に制御され得る。例えば、細孔径もまた、所望の薬剤溶出プロフィルが長期間にわたって生じるように、レーザー穿孔によって制御され得る。
【0014】
上層は、第1コーティングのボイド領域に予め提供される薬剤の分解の可能性を低減するPLDのような低温堆積過程によって形成することができる。第1コーティングは、大量の薬剤を収容するために高度に多孔性であり、同時に、比較的薄いものであり得る。同様に、上層は、ステント壁の全厚を実質的に増大しないように、比較的薄いものであり得る。ポリマー担体を回避することができ、これはポリマーの層間剥離の可能性を低減し、展開時に搬送装置からの展開を容易にする。
【0015】
さらなる態様、特徴、実施形態および利点は以下に続く。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】折り畳んだ状態のステントの搬送、同ステントの拡張、および同ステントの展開をそれぞれ示す長手方向断面図である。
【図1B】折り畳んだ状態のステントの搬送、同ステントの拡張、および同ステントの展開をそれぞれ示す長手方向断面図である。
【図1C】折り畳んだ状態のステントの搬送、同ステントの拡張、および同ステントの展開をそれぞれ示す長手方向断面図である。
【図2】ステントの斜視図である。
【図3】(A)〜(C)は、それぞれステント壁の断面図である。
【図4】薬剤溶出の断面概略図である。
【図5】ステントの製造を示す流れ図である。
【図6】PLDシステムの概略図である。
【図7A】FESEM画像であり、ステント壁面の拡大平面図である。
【図7B】FESEM画像であり、ステント壁面の拡大平面図である。
【図7C】FESEM画像であり、ステント壁面の拡大断面図である。
【図8A】セラミックのモルフォロジーの概略図である。
【図8B】セラミックのモルフォロジーの概略図である。
【図8C】セラミックのモルフォロジーの概略図である。
【図9】多孔質TiO表面のSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1A〜図1Cを参照すると、ステント20は、カテーテル14の先端付近に保持されたバルーン12上に配置されており、管腔16を通って(図1A)、バルーンおよびステントを保持する部分が閉塞部18の領域に到達するまで案内される。次に、ステント20は、バルーン12を膨張させることにより半径方向に拡張し、管壁に対して押し付けられ、その結果、閉塞18が圧縮され、閉塞18を取り囲む血管壁は半径方向の拡張を受ける(図1B)。次に、バルーンから圧力が解放され、カテーテルは血管から抜去される(図1C)。
【0018】
図2を参照すると、ステント20は、壁23に画定された複数の開窓部22を備える。ステント20は、外側の、すなわち反管腔側の(abluminal)、表面24と、内側の、管腔側の(adluminal)、表面26と、複数の切断面表面28とを含む、いくつかの表面領域を備える。ステントは、上記に示したようにバルーン拡張型ステントであってもよいし、または自己拡張型ステントであってもよい。ステントの例は、上述のヒースの特許文献1に記載されている。
【0019】
図3(A)の断面図を参照すると、ステント壁23は、例えば金属またはポリマーから形成されたステント本体25を備え、かつ反管腔側側面、管腔側側面および切断面側面上に第1多孔質セラミックから形成された第1層36を備える。例えば第2セラミックまたは金属から形成された第2層32は、第1層36を被覆している。図3(B)を参照すると、第1多孔質セラミック36は薬剤37が貯蔵される細孔またはボイド領域を有する。図3(C)参照すると、セラミックまたは金属層32も多孔質であるが、第1層の細孔よりも概して小さい細孔を有する。同様に図4を参照すると、小さな細孔33を備えたセラミックまたは金属層32は、第1多孔質セラミック36からの薬剤の拡散を調節して、所望の放出プロファイルを提供する。
【0020】
第1多孔質セラミック層は、第2セラミックまたは金属層が薬物放出プロファイルを調節するので、過量の薬剤を早期に放出することなく、大量の薬剤を収容することができる高い空隙率(例えば、材料中におけるボイド空間の体積分率)および大きなボイド領域を有して形成され得る。さらに、高い空隙率および大きなボイド領域は、相当量の薬剤を収容し、その結果、第1多孔質層は比較的薄く、よってステント壁の全厚を実質的に増大させない。実施形態において、第1多孔質層または薬剤貯蔵部は、ゾル−ゲル反応およびそれに続く、例えば焼結、熱処理または水蒸気処理のような処理過程によって、ステント本体の表面上に堆積される。他の実施形態において、第1層は物理蒸着法(「PVD」)工程によって堆積させることができる。特定の実施形態では、空隙率比(ボイド容積対金属容積の比)は、約1:2以上、例えば、約1:1以上、例えば、約3:2である。ステント表面積当たりの薬剤充填量は(約1mg/mmの薬剤密度、および約5μmの第1層厚さと仮定して)、約1.25μg/mm以上であり、例えば、約2.5μg/mm以上、例えば約4μg/mmであり得る。細孔またはボイド径(または幅)は、約0.1〜5ミクロン(「μm」)の範囲にあり、例えば約0.5〜3μm(ミクロン)の範囲にある。第1層の厚さは細孔の直径の大きさの約3倍以下であり、例えば約0.3〜15μm(ミクロン)、好ましくは約0.5〜5μm(ミクロン)である。セラミックまたは金属から形成された第2層は、第1層に適合し、制御された薬剤溶出および治療特性を有するように選択される。実施形態において、第2層は約1〜30nmの細孔の直径(または幅)、例えば約1〜20nm、および約10〜500nmの厚さを有する。実施形態において、空隙率(porosity ratio)は、約10%〜約80%であり、例えば約10%〜約40%であるように選択される。
【0021】
実施形態において、多孔質コーティング32および/または36は、酸化イリジウム(「IROX」)、酸化チタン(「TiO」)、酸化ケイ素(「シリカ」)、またはニオブ(「Nb」)、タンタル(「Ta」)、およびルテニウム(「Ru」)の酸化物、またはそれらの混合物のようなセラミックまたはセラミックスから形成され得る。特定のセラミックス、例えば酸化物は、平滑筋細胞増殖に対する過酸化水素および他の前駆体の触媒還元を通じて、再狭窄を低減することができる。酸化物はまた、ステントの内皮化を増強するように内皮増殖を促進することもできる。ステントが生物学的環境(例えば、インビボ)内に導入されると、ステントの、特に血管中への、埋め込みに対する人体の初期応答のうちの1つは、白血球(leukocytes)、すなわち循環血液系の構成要素の1つである白血球(white blood cells)の活性化である。この活性化は、活性酸素化合物産生物(reactive oxygen compound production)の増大をもたらす。この工程で放出される種のうちの1つは、多くの型の白血球のうちの1つを構成する好中性顆粒球によって放出される過酸化水素Hである。Hの存在は、平滑筋細胞増殖を増進し、内皮細胞機能を低下させて、より多くの炎症細胞の付着を高める表面結合タンパク質の発現を刺激する。IROXのようなセラミックはHを触媒還元することができる。セラミックのモルフォロジーは触媒効果を増強し、平滑筋細胞の増殖を低減することができる。特定の実施形態において、IROXは、内皮化を高めるような治療効果を有し得るコーティング32を形成するために選択され、一方、TiOは、大量の薬剤を収容するために望ましい多孔質構造を有し得るコーティング36を形成するために選択される。TiOは、ツィガノフ(Tsyganov)ら、Sur.Coat.Tech.200:1041−44、2005年に記載されているように、血液適合性であることが知られている。血液適合性物質は、血栓形成の軽度の誘発しか示さない。酸化チタンに基づいた表面はまた、チェン(Chen)ら、Surf.Coat.Tech.186:270−76,2004年において開示されているように、内皮細胞の付着を促進し得、これは次いで血管に搬送されたステントの血栓形成を低減し得る。IROXおよび他のセラミックスは、アルト(Alt)らの米国特許第5,980,566号および2003年8月29日出願の米国特許出願番号第10/651,562号(米国特許出願公開第2004−0039438号明細書)においてさらに検討されている。特定の実施形態では、第1内層はTiOであり、第2外層はIROXであり、それらは、例えば、下記に述べるような所望のモルフォロジーを有する。TiO構造は、直径で約0.1〜0.5μmの平均細孔径を有する。IROX層は、約10〜500nmの厚さと、約1〜20nmの細孔径と、約1:1の固体対空洞比を有する。
【0022】
図5を参照すると、ステントは、最初に、ステント上に第1多孔質セラミック層を提供すること(工程51)により形成される。次に、第1層のボイド中に薬剤が送達される(工程52)。最後に、第2層、すなわちセラミックまたは金属の上層が、パルスレーザー堆積(「PLD」)のような、薬剤または多孔質領域を損傷する可能性を低減する低温を用いた技術によって、第1多孔質層上に提供される(工程53)。
【0023】
特に図5の工程51を参照すると、第1多孔質セラミック層は、ゾル−ゲル法または可溶性酸化物法(soluble oxides process)を含む多くの技術を用いて堆積させることができる。ゾル−ゲル法は、セラミックおよびガラス材料を製造するための用途の広い溶液法(solution process)である。一般に、ゾル−ゲル法は、系の液体「ゾル」(ほとんどコロイド状)相から固体「ゲル」相へ転移を伴う。ゾルの調製に用いられる出発物質または前駆体は、通常、無機金属塩または金属アルコキシドのような金属有機化合物である。典型的なゾル−ゲル法では、前駆体は、一連の加水分解および/または重合反応に供されて、コロイド懸濁液、すなわちゾルを形成する。ゾルのさらなる処理により、様々な形のセラミック材料を製造することができる。例えば、基材片をゾルで、スピンコーティング、ロールコーティング、スピンコーティング、インクジェット印刷または噴霧することによって、基材片(例えば、金属管のようなステントまたはプレ−ステント)上に薄膜を生成することができる。選択的なコーティング、例えば反内腔側表面のみのコーティング、を得るためには、溶液内での浸漬被覆を用いる代わりに、ゾルをステントの所望の表面上に印刷することができる。ゾル中のコロイド粒子が新たな相に凝縮すると、固体巨大分子が溶媒中に浸っているウェットゲルが生じるであろう。さらなる乾燥および熱処理により、ゲルは稠密セラミック薄膜に転化される。一般に、ゾル−ゲル誘導セラミック多孔質層は、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、高分子電解質材料および油乳剤のような高温で除去される必要があるテンプレートとして、有機テンプレートまたは界面活性剤の使用によって生成される。
【0024】
実施形態では、検討したように、工程51で形成される多孔質層は、酸化チタン(「TiO」)、例えばTiOを含み得る。従って、該工程での前駆体はチタンに基づくことができ、例えばチタン(IV)ビス(アンモニウムラクタート)ジヒドロキシド(TALH)、あるいはチタン(IV)ブトキシド(Ti(OBu))またはチタンテトライソプロポキシド(TTIP)のようなチタンアルコキシドであり得る。特定の実施形態において、ゾル−ゲル反応内では、前駆体TTIPは、有機溶媒、すなわちエタノールおよび制御量のPEGと混合され、その前駆体溶液には水が滴下され、よって、ゾル−ゲル前駆体は水分子の存在によって加水分解してチタニアゾルを形成する。次に、前記ゾルは基材に塗布されて、膜またはコーティングを形成する。その後で、前記コーティングは乾燥させられ、高温(例えば400℃以上)でか焼することにより、有機テンプレート(PEG)が除去される。有機テンプレートの除去は、全体構造中、有機テンプレートが存在していたところに、細孔またはボイドを残し、所望の空隙率を可能にする。テンプレートの含有量を変更することにより、異なる細孔径を有するコーティングを生成することができ、よって所望の薬物放出プロファイルの生成を可能にし得る。例えば、より高分子量のPEGはより大きな細孔を残す。他の実施形態では、第1多孔質層は、酸化イリジウム(IROX)およびシリカ、またはTiOおよびIROXの組み合わせ、またはTiOおよび酸化ルテニウム(RuO)の組み合わせ、またはTiO、IROXおよびRuOの組み合わせのような他の酸化物であり得る。ゾル−ゲル法の例は、例えば、マノハラン(Manoharan)ら、SPIE3937の議事録:44−50、2000年、およびグォ(Guo)ら、Surface & Coating Technology 198:24−29、2005年に提供されている。
【0025】
特定の実施形態において、高温処理工程(例えば、約400°Cでの加熱により有機テンプレートを除去すること)が望ましくない場合(例えば、金属ステントが既に特定のポリマーおよび薬剤のような熱に弱い要素のコーティングを既に有する場合、またはステント基材がポリマーから製造されている場合)、セラミックス層を生成するために、比較的低温、例えば約60〜180℃での水蒸気処理が用いられる。水蒸気への曝露により、結晶化度および機械的性質を改善するために、イマイら、J.Am.Ceram.Soc.82:2301−2304、1999年に記載されているように、シリカゾルをTiOゾル中に導入して多孔質TiO−シリカ層を形成することができる。低温過程を用いたさらなる実施形態では、セラミックス層が低温処理によって結晶化または固化する前に、薬剤をゾル−ゲル溶液と混合するか、またはゾル堆積工程間に薬剤を塗布することにより、薬剤をセラミックス層に埋設することができる。選択的に、薬剤を取り込んだセラミックス層は、長期間にわたって薬物放出を調節するために、より小さな細孔を有するオーバーコーティングを有し得る。オーバーコーティングは、例えば検討したような低温ゾル−ゲル法、または下記でより詳細に検討するPLD過程、すなわちナノクラスター堆積過程によって形成され得る。
【0026】
図5の工程52を参照すると、生物活性物質、例えば、薬剤は、第1層または薬剤貯蔵部のボイド領域に充填される。実施形態において、薬剤はセラミックまたは金属の上層を形成する前に充填される。これは、薬剤が下に位置する第1層のボイド領域に到達するために、セラミックまたは金属の上層を介して拡散する必要がないので、充填を容易にする。さらに、第1層の高い空隙率および大きな空洞サイズは充填を容易にする。実施形態において、薬剤は、薬剤飽和溶媒中においてステントに浸漬被覆または噴霧し、低温下、例えば周囲条件下で乾燥させることにより、ボイド領域に充填される。その結果として、薬剤はボイド領域内に沈殿させられる。前記充填は、ステント基材を脱気条件下で冷却しながら、浸漬および乾燥を繰り返すことにより促進され得る。実施形態において、充填はまた、第1セラミック層をコロナ放電によって処理して、表面をより親油性にすることによっても促進することができ、これは第1層により親油性の薬剤を引きつける。さらに第1層がTiOから形成されている場合、層の親水性または疎水性は、それに応じて薬剤の充填を促進するように、選択することができる。TiOで被覆されたステント、およびTiOでステントを被覆する方法は、2006年6月29日出願の米国特許出願番号第60/818,101号に記載されている。上記特許文書に記載されているように、疎水性および/または親水性TiOの様々な組み合わせを有する被覆ステントは、ステントの選択領域上に様々な生物活性物質を配置することを可能にする。TiOコーティングの適用に続けて、医療装置、例えばステントは、TiOコーティングを担持する装置の所望領域が親水性または疎水性になるようにするのに十分な条件(例えばUV光照射)に晒され得る。
【0027】
実施形態において、薬剤は小粒子の乾燥粉体としてボイド領域に適用される。前記粒子は、ボイド中に、空気、不活性ガス(例えばアルゴンおよび窒素)または二酸化炭素ジェットのような高速ガスジェットによって深く吹き込まれ得る。ステントを浸漬被覆によって処理して、前記ボイドをさらに充填することができる。実施形態において、薬剤粒子はそれらの最大寸法で約1μm(ミクロン)以下であり、例えば500nm以下である。例えばパクリタキセルの、適当な小粒子は、ファーマゾル ゲーエムベーハー(Pharmasol GMBH)、ドイツ国、12307 ベルリン、ブロームスト 66アー(Pharmasol GMBH,Blohmst 66A,12307 Berlin,Germany)から入手可能である。実施形態において、薬剤はパルスレーザー堆積のような蒸着過程によって第1層に適用される。薬剤は、さらに下記で説明するように、PLD装置においてターゲット物質として薬剤を提供することにより、堆積させることができる。実施形態において、充填後、第1層のボイド領域のボイド容積の約25%以上、例えば約50〜90%が薬剤で占められている。層の密着性および均一性を高めるために、セラミックまたは金属の上層が第1層の表面上に直接堆積されるように、第1層の表面を、例えば該表面の上に水平に流れる気体流に曝露することによって清掃し、最外側領域上の薬剤を除去することができる。
【0028】
図5および工程53を参照すると、実施形態において、セラミックまたは金属の上層は、薬剤および/または第1コーティングを損傷する可能性を低減する、PLDのような低温を用いた技術によって第1多孔質コーティング上に提供される。図6を参照すると、PLDシステム60はチャンバー62を備え、チャンバー62の中には、ターゲットアセンブリ64と、金属チューブのようなステント本体またはプレステント構造のようなステント基材66とが提供されている。ターゲットアセンブリは、セラミック(例えばIROX)またはセラミックの前駆体(例えばイリジウム金属)または金属、例えばステンレス鋼のような第1ターゲット物質68と、薬剤のような第2ターゲット物質70とを含む。ターゲット物質上にはレーザーエネルギー(二重矢印)が選択的に導かれて、ターゲット物質がターゲットアセンブリからアブレートされる(ablated)か、または弾き飛ばされる(sputtered)ようにする。弾き飛ばされた物質はアブレーション過程において運動エネルギーが与えられ、その結果、該物質はチャンバー内に運ばれ(一重矢印)、ステント66上に堆積される。さらに、堆積した物質の温度は、例えば、赤外線源を用いた加熱(曲がりくねった矢印)によって、制御することができる。
【0029】
セラミックまたは金属の上層の細孔径は、反応性PLDが用いられる場合には、膜厚、レーザー出力、全バックグラウンド圧力および酸素分圧、または酸素対アルゴン比を変更することにより、制御することができる。上記で検討したように、薬剤をPLDによって多孔質層に適用することもできる。例えば、第2ターゲット物質70は薬剤から形成され得る。第2ターゲット物質に印加されるレーザーエネルギーは、薬剤を第1多孔質層(薬剤貯蔵部)上に気化させることができ、かつ/または薬剤をセラミックまたは金属と共に気化させて上層を形成するか、あるいはセラミックまたは金属の上層の上に薬剤の層をレーザー堆積することができる。
【0030】
セラミックの空隙率は、アブレートされて堆積されたクラスタのモルフォロジー、結晶化度、厚さ、および大きさの選択により、制御することができる。結晶化度が高いほど、より明確な粒子のモルフォロジーほど、コーティングが薄いほど、より大きな空隙率を提供する。より高い結晶化度およびより明確な粒子のモルフォロジーは、堆積したセラミックを加熱することにより生じ得る。コーティング厚は堆積時間を制御することにより制御される。レーザーエネルギーが高いほど、より大きなクラスタサイズを提供することができる。
【0031】
特定の実施形態において、レーザーエネルギーは、例えば、約248nmの波長で、紫外において作用するエキシマー・レーザーによって生成される。レーザーエネルギーは、約100〜700mJであり、フルエンスは、約10〜50mJ/cmの範囲にある。バックグラウンド圧力は、約1E−5ミルバール(500Pa)〜1ミリバール(100Pa)の範囲にある。バックグラウンドガスは酸素を含む。基材温度もまた制御される。基材の温度は、堆積中、25〜300℃である。基材温度は、例えばハロゲン源を使用した堆積の間に、基材上に赤外線ビームを当てることにより制御することができる。前記温度は、基材に隣接した前記ビーム内に熱センサーを取り付けることにより測定される。前記温度を変更して、セラミック材のモルフォロジーを制御することができる。セラミックまたは薬剤の選択的なアブレーションは、ターゲット物質をレーザーの経路内に代わる代わる持っていくことができる移動アセンブリに、ターゲット物質を取り付けることにより制御される。これに代わって、ビームスプリッターおよびシャッターを用いて、複数の材料を代わる代わる、または同時に、曝露させることができる。PLD堆積サービスは、ドイツ国アウクスブルク所在のアキシンテック(Axyntec)から利用可能である。適当なセラミックスとしては、イリジウム、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、ニオブ、タンタル、ルテニウム、白金およびアルミニウムのような金属の酸化物および窒化物が挙げられる。実施形態において、コーティングの厚さは、約50nm〜約2um、例えば100nm〜500nmの範囲にある。パルスレーザー堆積はまた、2007年5月23日出願の米国特許出願番号第11/752,736[代理人整理番号第10527−801001号]、およびゲレトフスツキー(Geretovszky)ら、Thin Solid Films、2004年、453−454、245に記載されている。他の実施形態では、例えば酸素雰囲気下のイリジウムターゲットまたはIROXターゲットのマグネトロンスパッタリングのような別の物理蒸着(「PVD」)過程が選択される。スパッタ堆積は、2007年5月23日出願の米国特許出願番号第11/752,772号[代理人整理番号第10527−805001号]に記載されている。セラミックまたは金属のオーバーコーティングの場合、空隙率は、例えばU.V.レーザーによって、前記層に開口をレーザーアブレーションすることによって制御することができる。
【0032】
図7Aおよび図7Bを参照すると、セラミックのモルフォロジーは、比較的粗い表面と比較的平滑な表面との間で変化し得、それらの表面は、それぞれ、薬剤貯蔵部層からの薬物放出を調節する制御された空隙率のような特定の機械的利点および治療上の利点を提供することができる。特に図7Aを参照すると、セラミックコーティングは明確な粒子と、高度な粗さとによって特徴付けられるモルフォロジーを有し得る。特に図7Bを参照すると、セラミックコーティングは、より高い被覆率、概してより低い粗さの球状表面(globular surface)によって特徴付けられるモルフォロジーを有し得る。明確な粒子の高度な粗さのモルフォロジーは、離間された粒子の間およびその周りの割れ目によって特徴付けられる高い表面積を提供する。前記割れ目内にはポリマーコーティングが堆積されて表面にかみ合って(interlock)、密着性を非常に増強する。明確な粒子のモルフォロジーはまた、より大きな運動の自由度を可能にし、ステントが使用時に曲げられる際に破損する可能性が少ない。よって、前記コーティングは、下層表面からのセラミックの層間剥離に耐性を有し、起こり得る上層コーティングの層間剥離を低減する。ステントの拡張または収縮の間に、またはステントが曲りくねって湾曲した体内管腔を通って搬送される際に、ステントが曲げられることによってもたらされる応力は、ステント軸線からの距離の関数として増大する。結果として、実施形態において、明確な粒子を有するモルフォロジーは、ステントの反管腔側領域の上、または拡張または収縮の間により大きな曲げを受ける開窓部に隣接した領域のような他の高応力地点において特に望ましい。より滑らかな球状の表面モルフォロジーは、その化学組成および/または形態学的特徴の選択によって内皮増殖を促進するように調整された表面を提供する。特定のセラミックス、例えば酸化物は、平滑筋細胞増殖に対する過酸化水素および他の前駆体の触媒還元を通じて、再狭窄を低減することができる。酸化物はまた、ステントの内皮化を増強するように内皮細胞増殖を促進することができる。上記で検討したように、ステントが生物学的環境(例えば、インビボ)内に導入されるときの、ステントの、特に血管中への、埋め込みに対する人体の初期応答のうちの1つは、白血球の活性化である。この活性化は、過酸化水素、すなわちHの放出をもたらす。Hの存在は、平滑筋細胞増殖を増進し、内皮細胞機能を低下させて、より多くの炎症細胞の付着を高める表面結合タンパク質の発現を刺激する。IROXのようなセラミックはHを触媒還元することができる。セラミックのより滑らかな球状の表面モルフォロジーは触媒効果を増強し、内皮細胞の増殖を高めることができる。
【0033】
特に図7C、すなわち、図7Bに示す表面モルフォロジーを備えたセラミック層の断面図を参照すると、セラミック中で相互に接続した細孔から形成されたチャネルが見える。実施形態において、前記チャネルは上記で検討したような堆積パラメータによって選択的に制御された径を有する。前記径が大きいほど、薬物放出速度は速い。特定の実施形態において、チャンネル径は長期間にわたる薬物放出を制御するために、約10nm以下となるように選択される。
【0034】
セラミックのモルフォロジーは、ステントの基材上のスパッタされたクラスタのエネルギーの制御により制御される。エネルギーが高いほど、温度が高いほど、明確な粒子の、より高度な粗さの表面を生じる。より高いエネルギーは、例えば、基材を加熱するか、または赤外線照射によりセラミックを加熱することによって、基材上におけるセラミックの温度を上昇させることにより提供される。実施形態において、明確な粒子のモルフォロジーは、約250℃以上の温度で形成される。球状のモルフォロジーは、低温、例えば外部要因のない周囲温度において形成される。加熱は、粒子を形成するより結晶性のセラミックの形成を高める。これらのパラメータの中間の値においては、中間のモルフォロジーが形成される。セラミックの組成も変更することができる。例えば、チャンバー内に酸素ガスを提供することにより、酸素含有量を増大させることができる。
【0035】
セラミックの表面のモルフォロジーは、その外観、その粗さ、および/または極大部(local maxima)のような特定の形態学的特徴のサイズおよび配列によって特徴付けられる。実施形態において、前記表面は、画定可能な(definable)サブミクロンサイズの粒子によって特徴付けられる。特に図7Aを参照すると、例えば、実施形態において、粒子は、約50〜500nm、例えば約100〜300nmの長さLと、約5nm〜50nm、例えば約10〜15nmの幅Wとを有する。粒子は、約5:1以上、例えば、10:1〜20:1のアスペクト比(長さ対幅)を有し得る。粒子は、1つ以上の層において重なり合っている。粒子間の距離間隔は約1〜50nmである。特定の実施形態では、粒子は米粒に類似している。
【0036】
特に図7Bを参照すると、実施形態において、表面は、一連の薄い球状特徴を有するより連続した表面によって特徴付けられる。球状特徴は、特徴間に狭い極小部を有して緊密に隣接している。実施形態において、表面はオレンジの皮に類似している。球状特徴の径は約100nm以下であり、球状機能の極小部の深さまたは極大部の高さは、例えば約50nm以下、例えば約20nm以下である。他の実施形態では、表面は、高アスペクト比の画定可能な粒子と、より連続的な球状表面との間の特性を有しており、かつ/またはこれらの特性の組み合わせを有する。例えば、前記モルフォロジーは実質的に球状の基層と、比較的低密度の明確な粒子とを含み得る。他の実施形態においては、表面は、低アスペクト比の薄い平坦な薄片を含むことができる。モルフォロジーのタイプは50,000倍(50KX)のFESEM画像において視認できる。
【0037】
図8A〜図8Cを参照すると、モルフォロジーはまた、局所的な形態学的極大部(local morphological maxima)の間隔、高さ、および幅のような形態学的特徴の大きさおよび配列によって特徴付けられる。特に図8Aを参照すると、基材42上のコーティング40は、極大部の中心間距離および/または高さおよび/または径および/または密度によって特徴付けられる。特定の実施形態では、平均高さ、距離および径は、約400nm以下の範囲にあり、例えば約20〜200nmである。具体的には、平均中心間距離は径の約0.5倍〜2倍である。
【0038】
図8Bを参照すると、特定の実施形態において、モルフォロジーのタイプは球状のモルフォロジーであり、極大部の幅は約100nm以下の範囲にあり、ピーク高さは約20nm以下である。特定の実施形態において、セラミックは、約5nm以下、例えば約1〜5nmのピーク高さを有し、かつ/または約15nm以下、例えば約10〜15nmのピーク距離を有する。図8Cを参照すると、実施形態において、モルフォロジーは粒子タイプのモルフォロジーとして定義される。極大部の幅は約400nm以下であり、例えば約100〜400nmであり、極大部の高さは約400nm以下であり、例えば約100〜400nmである。図8Bおよび図8Cに示すように、セラミックの選択したモルフォロジーは、ほぼ均一な、概して非晶質のIROXの薄層上に形成することができる。前記IROXの薄層は、イリジウム金属の層の上に形成されており、イリジウム金属の層は、チタンまたはステンレス鋼のような金属基材上に堆積されている。間隔、高さおよび幅パラメータはAFMデータから計算することができる。
【0039】
表面の粗さは、平均粗さSa、二乗平均粗さSq、および/または界面の展開面積比Sdrによって特徴付けられる。SaおよびSqのパラメータは、表面のテクスチャの全体的な測度に相当する。SaおよびSqは、様々なテクスチャ特徴の山(ピーク)、谷および間隔を識別することにおいて比較的鈍感である。異なる視覚的モルフォロジーを有する表面は同様のSaおよびSq値を有し得る。表面タイプについては、SaおよびSqパラメータは、テクスチャ特性においてかなりの偏差を示す。Sdrは、テクスチャによって与えられる付加的な表面積の、測定領域の大きさの理想平面と比較したときのパーセンテージとして示される。Sdrは、類似した振幅および平均粗さの表面をさらに識別する。典型的には、Saが変化しても変化しなくても、Sdrはテクスチャの空間的な複雑さ(spatial intricacy)につれて増大するであろう。
【0040】
実施形態において、セラミックは明確な粒子タイプのモルフォロジーを有する。そのSdrは約30以上、例えば約40〜60である。加えて、またはその代わりに、前記モルフォロジーは約15以上、例えば約20〜30のSqを有する。実施形態において、Sdrは約100以上であり、かつSqは約15以上である。他の実施形態では、セラミックは球状タイプの表面モルフォロジーを有し得る。そのSdrは約20以下であり、例えば約8〜15である。Sqは約15以下であり、例えば約8〜14未満である。さらに別の実施形態では、セラミックは、明確な粒子と球状表面との間のモルフォロジーを有し、上記の範囲の間のSdr値およびSq値、例えば、約1〜200のSdrおよび/または約1〜30のSqを有する。Sa、SqおよびSdrはAFMデータから計算することができる。
【0041】
セラミックコーティングのモルフォロジーは高い均一性を示し得る。均一性は、セラミックの予測可能な調整された治療効果および機械的性能を提供する。Sa、SqまたはSdrおよび/または平均ピーク間隔パラメータによって特徴付けられるようなモルフォロジーの均一性は、1μm四方内で約+/−20%以下であり、例えば+/−10%以下であり得る。所与のステント領域では、均一性は、約+/−10%以内であり、例えば約+/−1%である。例えば、実施形態において、セラミックは、反管腔側表面全体または管腔側表面全体のようなステントの全表面領域、または表面領域の中心25%もしくは50%のような表面領域の一部の上において高い均一性を示す。均一性は標準偏差として示される。ステントの領域における均一性は、5つの無作為に選択された1μm四方の領域の平均を測定し、標準偏差を計算することにより判定することができる。領域におけるモルフォロジータイプの均一性は、50,000倍(50kx)のFESEMデータの調査によって判定される。
【0042】
セラミックスはまた、表面組成、深さの関数としての組成、および結晶化度によっても特徴付けられる。具体的には、セラミック中の酸素または窒化物の量は、例えば生物学的過程におけるHの低減についての、所望の触媒効果に対して選択される。金属酸化物または窒化物セラミックスの組成は、酸化物または窒化物対母材金属の比として決定することができる。特定の実施形態では、前記比は約2対1以上であり、例えば約3対1以上であり、表面の高い酸素含有量を示す。他の実施形態では、前記比は約1対1以下であり、例えば約1対2以下であり、比較的低い酸素組成を示す。特定の実施形態では、内皮化を高めるために、低酸素含有量の球状のモルフォロジーが形成される。他の実施形態では、例えば、密着性および触媒還元を高めるために、高酸素含有量の明確な粒子のモルフォロジーが形成される。組成はX線光電子分光法(XPS)によって測定することができる。深さの検討は、FABスパッタリングの後、XPSによって行なわれる。セラミックの結晶性(crystalline nature)は、FESEM画像において観察されるような結晶形状、またはX線回折によって決定されるようなミラー指数によって特徴付けることができる。実施形態において、明確な粒子のモルフォロジーは<101>のミラー指数を有する。球状材料は、酸素含有量に応じて変化する、混ざり合った非晶質相と結晶質相とを有する。酸素含有量が高いほど、典型的には、より大きな結晶化度を示す。セラミックスおよびセラミックのモルフォロジーのさらなる議論および粗度パラメータの計算は、米国特許出願番号第11/752,772号、同第11/752,736号および付録に提供されている。
【0043】
特定の実施形態において、図3(A)および図4に戻って参照すると、第2層32は多孔質金属コーティングであり得る。例えば、例えば、英国のマンチス デポジション リミテッド(Mantis Deposition Ltd.)(http://www.mantisdeposition.com)から入手可能なナノクラスター堆積システムを用いることにより、銅、金、ルテニウム、およびステンレス鋼のようなイオン化された金属ナノ粒子は、マグネトロンスパッタリング、それに続く比較的高い圧力区域(例えば約10Pa〜数百Pa(0.1〜数ミリバール))での熱化および凝結によって生成され、印加電界によって基材、例えば薬剤含有セラミックス層に向かって加速され得る。生成されたほとんどのナノ粒子またはナノクラスターは荷電しており、従って、線形四重極またはマスフィルターによって質量選別され、基材上に選択的に堆積され得る。例えば、生成されたナノ粒子の典型的な径は約0.7〜20nmであり、ナノ粒子の粒度分布は、約+/−20%に選択的に狭まり、または+/−2%にさえ選択的に狭まり得る。印加電界によって部分的に制御されたナノ粒子の運動エネルギー(例えば約10eV〜10keV)は、基材に衝突すると粒子の融解を誘発し、基材および/または基材に取り込まれた薬剤に損傷をもたらし得る。実施形態において、第1集団の粒子は、粒子が薬剤含有セラミックス層に付着するためには十分に高いが、セラミック中に取り込まれた薬剤に熱損傷を実質的にもたらさない運動エネルギー、例えば200eV、によって堆積される。次に、第2集団の粒子は、より高い運動エネルギー、例えば2keV、によって、第1集団の上に堆積され得る。他の実施形態において、セラミックナノ粒子はまた、反応性スパッタリングによって生成され、ナノクラスター蒸着システムを用いて、薬剤含有セラミックス層上に堆積させることができる。1つの特定の実施形態において、ステントは、まず、上記で検討したシステムを用いて、選択された表面に対して、大きな(例えば>100nmの)ナノクラスター(セラミックまたは金属)を発射して、大きな細孔の層を形成することにより形成され得る。その大きな細孔の層は、次に薬剤で容易に充填され得る。薬剤を充填した後、フィルタの設定を所望の粒径に変更することにより、小さなナノクラスター(例えば<5nm)から形成された、従って小さな細孔およびチャネルを有する上層を前記大きな細孔の層の上に堆積させることができる。中型のナノクラスター(例えば約25〜50nm)粒子から形成された1つ以上の中間層を、薬剤含有層と小さな細孔の上層との間に提供してもよい。ナノ粒子堆積は、ヴェーバー(Weber)らの2006年11月9日出願の米国仮出願番号第60/857,849号[BSC整理番号第06−01579号]、2007年9月24日出願の米国特許出願番号第11/860,253号(米国特許出願公開第2008−0147177号明細書)[代理人整理番号10527−809001]、エイ.エイチ.キーン(A.H.Kean)、マンチス デポジション リミテッド(Mantis Deposition Ltd.)、NSTIナノテック2006、ボストン、2006年5月7日〜11日、およびワイ.キャン(Y. Qiang)、Surface and Coating Technology、100−101、27−32(1998年)によってさらに開示されている。実施形態において、例えば、レーザー衝撃または粒子衝突による局部加熱を用いて、堆積した粒子を融解または焼結して、例えば、第1層と第2層との間の接着を高めることができる。
【0044】
実施形態において、セラミックまたは金属は、ステントの反管腔側表面上のみに付着させられる。この構成は、例えば、開窓部を形成する前にステントを被覆することによって達成され得る。他の実施形態では、セラミックまたは金属は、ステントの反管腔側表面および切断面表面のみの上に付着させられる。この構成は、例えば、管腔表面を遮蔽するマンドレルを収容したステントをコーティングすることにより達成され得る。ステントの一部を遮蔽するためにマスクを用いることができる。実施形態において、ステント金属は、ステンレス鋼、クロム、ニッケル、コバルト、タンタル、ニチノールのような超弾性合金、コバルトクロム、MP35Nおよび他の金属、例えば、マグネシウムまたはその合金、鉄またはその合金、タングステンまたはその合金のような生分解性金属であり得る。他の実施形態において、ステントは、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)(PLGA)、ポリ乳酸(PLLA)、ポリウレタン,またはそれらのコポリマーもしくは混合物のような生分解性または非生物分解性のポリマーから形成され得る。非生物分解性薬剤貯蔵部、例えばTiO、および非生物分解性の薬剤溶出調整膜は、ステント本体の分解後に脈管組織内に埋設され続けることができる。適切なステント材料およびステントデザインは、上記のヒースの特許文献1に記載されている。実施形態において、セラミックまたは金属のモルフォロジーおよび組成は、特定のステント金属に対する密着性を高めるように選択される。例えば、実施形態において、セラミックは、中間金属層の存在なしで、ステント本体の金属表面、例えばステンレス鋼の上に直接堆積される。他の実施形態では、セラミックへの堆積の前に、そのセラミックに共通な金属の層をステント本体上に堆積させる。例えば、ステント本体上にイリジウムの層を堆積させ、続けてそのイリジウム層上にIROXの堆積を行ってもよい。他の適当なセラミックスとしては、イリジウム、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、ニオブ、タンタル、ルテニウム、白金およびアルミニウムのような金属の酸化物および窒化物が挙げられる。セラミックは、結晶性であってもよいし、部分的に結晶性であってもよいし、非晶質であってもよい。セラミックは、完全に無機物質から形成されてもよいし、または無機物質と有機物質(例えばポリマー)との混合物から形成されてもよい。他の実施形態では、本願に記載したモルフォロジーは、金属から形成され得る。上記で検討したように、異なるセラミック材を、ステントの異なる領域に提供することができる。例えば、異なる材料を異なるステントの表面上に提供し得る。より粗い明確な粒子の材料は、例えば密着性を高めるために、反管腔側表面上に提供し、一方、球状特徴を有する材料は、内皮化を高めるために、管腔側表面上に提供してもよい。実施形態において、薬剤は、ポリマーなしで、第1多孔質コーティングに直接提供される。他の実施形態では、薬剤は、ポリマーと共に、第1多孔質コーティングに適用される。適切なポリマーとしては、例えば、イソブチレン、イソプレンおよびブタジエンのようなビニルモノマーとのそれらのコポリマー、例えばスチレン−イソブチレン−スチレン(SIBS)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)コポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)コポリマーが挙げられる。他の適切なポリマーは、2007年5月23日出願の米国特許出願番号第11/752,736号[代理人整理番号第10527−801001号]で検討されている。前記ポリマーは、好ましくは、相当量の薬液を吸収することができる。本発明に従った医療装置におけるコーティングとして適用される場合、乾燥ポリマーは、典型的には、厚さ約1〜約50μm(ミクロン)のオーダーであり、好ましくは厚さ約1〜10μm(ミクロン)、より好ましくは厚さ約2〜5μm(ミクロン)である。例えば約0.2〜0.3μm(ミクロン)の極薄ポリマーコーティングおよび例えば10μm(ミクロン)を超える極厚コーティングも可能である。複数の層のポリマーコーティングを医療装置上に提供することができる。そのような複数の層は、同一のポリマー材料または異なるポリマー材料である。
【実施例】
【0045】
実施例1 ゾル−ゲル法:チタンテトライソプロポキシド(TTIP)(97%、オールドリッチ)、エタノール(99.5%、オールドリッチ)、水、HCl(37%)およびPEGを出発物質として用いた。TTIP(1.25ml)を、10mlのエタノールおよび0.3mlのHClから成る溶液に室温で添加した。1時間の撹拌後、一定量の水および制御量のPEG(HO(CHCHO)nH)(TTIPの1mol%)を前記溶液に滴下する。形成されたゾル試料を浸漬/噴霧被覆によってステント基材に塗布する。用いたPEGの平均分子量は2000である。被覆したステントを、まず60℃で乾燥させて、空気中において550°Cで1時間にわたってか焼した。
【0046】
実施例2 スピンコーティング:ブタノン中チタン(IV)トリフルオロアセタートの3回のコーティングを金属クーポン(例えばステンレス鋼)上にスピンコーティングすることによって、前記クーポンを被覆する(100g/L、1回のコーティング当たり0.3cm3、初めは500rpmで約3分間にわたってスピンさせ、次にスピンを約3分間にわたって3000ppmまで増大させる)。各コーティングは800℃以下の温度で、例えば2時間にわたってアニールされる。前記コーティングの深さは、必要に応じて、数百ナノメートルから数十μm(ミクロン)まで、必要に応じて制御することができる。上記のように調製されたコーティングは、クーポンの縁のまわりで剥離したコーティングのSEM分析に基づいて、約5〜10μm(ミクロン)の厚さを有すると推測される。
【0047】
図9、すなわち、TiO表面(ここでは可溶性酸化物)の電界放射型走査電子顕微鏡(「FESEM」)画像を参照すると、高度に多孔性の構造が、500nmを越える表面開口およびおよそ数μm(ミクロン)の深さを有して形成されている。
【0048】
「治療薬」、「医薬活性薬剤」、「医薬活性物質」、「医薬活性成分」、「生物活性物質」、「薬剤」という用語および他の関連用語は、本願では区別なく用いられることがあり、小有機分子、ペプチド、オリゴペプチド、タンパク質、核酸、オリゴヌクレオチド、遺伝子治療薬(genetic therapeutic agents)、非遺伝子治療薬(non−genetic therapeutic agents)、遺伝子治療薬を送達するためのベクター、細胞、および血管治療計画の候補として、例えば再狭窄を低減または抑制する薬剤として認められた治療薬を含むが、これらに限定されるものではない。小有機分子とは、50個以下の炭素原子と、合計で100個未満の非水素原子とを有する有機分子を意味する。
【0049】
具体例としての治療薬としては、例えば、抗血栓剤(例えばヘパリン);抗増殖/抗有糸分裂剤(例えばパクリタキセル、5−フルオロウラシル、シスプラチン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、平滑筋細胞増殖の阻害剤(例えばモノクローナル抗体)、およびチミジンキナーゼ阻害剤);抗酸化剤;抗炎症剤(例えばデキサメタゾン、プレドニゾロン、コルチコステロン);麻酔剤(例えばリドカイン、ブピバカインおよびロピバカイン);抗凝血剤;抗生物質(例えばエリスロマイシン、トリクロサン、セファロスポリンおよびアミノグリコシド);内皮細胞増殖および/または付着を刺激する薬剤が挙げられる。治療薬は、例えば非イオン性であってもよいし、または治療薬はアニオン性および/またはカチオン性であってもよい。治療薬は、単独で用いることもできるし、または組み合わせて用いることもできる。好ましい治療薬としては、再狭窄の阻害剤(例えばパクリタキセル)、免疫抑制剤(例えば、エベロリムス、タクロリムス)、抗増殖剤(例えばシスプラチン)、および抗生物質(例えばエリスロマイシン)が挙げられる。治療薬の付加的な例は、米国特許出願公開第2005/0216074号明細書に記載されている。薬剤溶出コーティング用ポリマーもまた、米国特許出願公開第2005/019265号明細書および同第2005/0251249号明細書に開示されている。機能分子、例えば、有機物、薬剤、ポリマー、タンパク質、DNAおよび類似した物質は、セラミックのグローブ(groves)、くぼみ、ボイド空間、および他の特徴に取り込まれ得る。
【0050】
本願に記載したいずれのステントも、例えば硫酸バリウム、白金または金のような放射線不透過性材料の添加、もしくは放射線不透過性材料による被覆によって、放射線不透過性に染色することもできるし、または放射線不透過性にすることもできる。ステントは、ステンレス鋼(例えば、316LのBioDur(登録商標)108(UNS S29108)、および304Lステンレス鋼、並びにUS−2003−0018380−A1、US−2002−0144757−A1およびUS−2003−0077200−A1に記載されているような、ステンレス鋼と、5〜60重量%の1つ以上の放射線不透過性元素(例えばPt、Ir、Au、W)とを含有する合金(PERSS(登録商標))、ニチノール(ニッケル‐チタン合金)、Elgiloyのようなコバルト合金、L605合金、MP35N、チタン、チタン合金(例えばTi−6Al−4V、Ti−50Ta、Ti−10Ir)、白金、白金合金、ニオブ、ニオブ合金(例えばNb−1Zr)Co−28Cr−6Mo、タンタルおよびタンタル合金のような金属材料を含む(例えば、そのような金属材料から製造される)ことができる。材料の他の例は、本発明の譲受人に譲渡された2003年9月26日出願の米国特許出願番号第10/672,891号(米国特許出願公開第2005−0070990号明細書)、および2005年1月3日出願の米国特許出願番号第11/035,316号(米国特許出願公開第2006−0153729号明細書)に記載されている。他の材料としては、例えば、シェトスキー、エル.マクドナルド(Schetsky,L.McDonald)、「Shape Memory Alloys」、Encyclopedia of Chemical Technology(第3版)、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley&Sons)、1982年、第20巻、726〜736頁、および本発明の譲受人に譲渡された2003年1月17日出願の米国特許出願番号第10/346,487号(米国特許出願公開第2004−014331号明細書)に記載されているような、超弾性または偽弾性金属合金のような弾性生体適合性金属が挙げられる。
【0051】
本願に記載したステントは、例えば冠血管系および末梢血管系などの血管管腔または非血管管腔用に構成することができる。例えば、それらは、食道または前立腺で使用するために構成することができる。他の管腔としては、胆管管腔、肝臓内腔、膵臓内腔、および尿道腔が挙げられる。
【0052】
前記ステントは、所望の形状および大きさのもの(例えば、冠状動脈用ステント、大動脈用ステント、末梢血管用ステント、胃腸用ステント、泌尿器用ステント、気管/気管支用ステント、および神経用ステント)であり得る。用途によって、前記ステントは、例えば約1mm〜約46mmの直径を有し得る。特定の実施形態において、冠状動脈用ステントは約2mm〜約6mmの拡張径を有し得る。一部の実施形態において、末梢用ステントは約4mm〜約24mmの拡張径を有し得る。特定の実施形態において、胃腸用および/または泌尿器用ステントは約6mm〜約30mmの拡張径を有し得る。一部の実施形態において、神経用ステントは約1mm〜約12mmの拡張径を有し得る。腹部大動脈瘤(AAA)用ステントおよび胸部大動脈瘤(TAA)用ステントは、約20mm〜約46mmの直径を有し得る。ステントは、バルーン拡張可能であってもよいし、自己拡張可能であってもよいし、またはそれら双方の組み合わせ(例えば米国特許第6,290,721号明細書)であってもよい。前記セラミックスは、カテーテル、ガイドワイヤーおよびフィルタのような、他の内部人工器官または医療装置と共に用いることができる。
【0053】
すべての刊行物、特許出願、および特許は、参照によって余すところなく本願に援用される。
さらなる実施形態は以下の特許請求の範囲内に存する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面と、
前記表面上において第1セラミックから形成された第1多孔質層と、
前記第1層上において第2セラミックまたは金属から形成された第2多孔質層と、を備える、内部人工器官。
【請求項2】
第1多孔質層は薬剤を含有する、請求項1に記載の内部人工器官。
【請求項3】
前記第2層は、前記第1層よりも低い空隙率を有する、請求項2に記載の内部人工器官。
【請求項4】
前記第2層の細孔径は、前記第1層の細孔径よりも小さい、請求項3に記載の内部人工器官。
【請求項5】
前記第2層の厚さは、約10〜約500nmである、請求項1に記載の内部人工器官。
【請求項6】
前記第1層の厚さは、約0.1〜約3μm(ミクロン)である、請求項1に記載の内部人工器官。
【請求項7】
前記表面は、ステント本体の表面である、請求項1に記載の内部人工器官。
【請求項8】
前記第2層は、金属から形成されている、請求項1に記載の内部人工器官。
【請求項9】
前記第1層および第2層は、ポリマーを実質的に含まない薬物送達システムを形成する、請求項1に記載の内部人工器官。
【請求項10】
前記第2層は、第2セラミックから形成されている、請求項1に記載の内部人工器官。
【請求項11】
第2セラミックは、IROXである、請求項10に記載の内部人工器官。
【請求項12】
前記セラミックは、滑らかな球状のモルフォロジーを有する、請求項10に記載の内部人工器官。
【請求項13】
第2セラミックは第1セラミックとは異なる、請求項12に記載の内部人工器官。
【請求項14】
内部人工器官を形成する方法であって、
前記内部人工器官上に第1多孔質層を形成することと、
前記第1多孔質層に薬剤を導入することと、
前記薬剤を含有した第1層の上に、セラミックまたは金属の第2多孔質層を形成することと、を含む、方法。
【請求項15】
第1多孔質層をゾル−ゲル法によって形成することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
第1多孔質層をナノクラスター堆積過程によって形成することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
溶媒中でコーティング、浸漬、噴霧することによって、またはほぼ乾燥した薬剤粒子を第1多孔質層に適用することによって、薬剤を導入することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記薬剤をPLDによって導入することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記第2多孔質層をPLDによって形成することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
レーザー照射によって前記第2層内に細孔を形成することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記第2層は金属である、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記第2層はセラミックである、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記第2層はIROXである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ゾル−ゲル法の間に薬剤を導入することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項25】
ナノクラスター堆積過程によって第2多孔質層を形成することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項26】
内部人工器官を形成する方法であって、
金属酸化物ゾルを提供し、約300℃以下の温度での加熱により処理することによって、前記内部人工器官上に第1多孔質セラミック層を形成することと、
約300℃以上の温度で加熱することなく、第1層の上に第2多孔質層を形成することと、を含む、方法。
【請求項27】
熱処理の前に、前記金属酸化物ゾルに薬剤を取り込むことを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記金属酸化物はTiOであることを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
セラミックから形成された第1多孔質層を備えたステントを提供する工程と、第1多孔質層は薬剤を取り込んでおり、前記ステントは、異なるセラミックから形成された第2多孔質層をさらに備えることと、前記ステントを体内に搬送することとを含む、方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−502579(P2011−502579A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532278(P2010−532278)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/081986
【国際公開番号】WO2009/059129
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】