説明

多官能性アミン捕捉剤

【課題】アミン含有材料を捕捉するために用いることが可能である、アシルスルホンアミドアミン反応性基を有する多官能性化合物の提供。
【解決手段】分子内に,−SO2−N(COR1)(COR2)相当の官能基を有する化合物の提供。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
基材の表面上に固定されたアミン含有検体、アミノ酸、DNA断片、RNA断片、蛋白質断片、小器官および免疫生体内物質などのアミン含有材料は多くの用途で用いることが可能である。基材へのアミン含有材料の共有結合は、例えば、アミンを基材の表面上の反応性基と反応させることにより実行することが可能である。このアミン反応性官能基は、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルなどの活性化アシル誘導体またはアズラクトンなどの活性環式アシル化合物であることが可能である。安定なアミン結合は、N−ヒドロキシスクシンイミドの放出またはアズラクトンの開環のいずれかによるアミンと活性アシル基の反応から形成される。
【0002】
アミン捕捉官能基が二価連結基の一端上にあり、異なる基材定着官能基が他端上にある上述したタイプの多様なアミン反応性化合物が便利に合成することが可能であるけれども、こうした多くの変性は選択的に置換された必要な化合物を達成するために困難な分離を必要とする。例えば、分子の一端のみの上にある基材固有の単一反応性官能基を有するより長い二価連結基またはオリゴマー二価連結基あるいは特に分岐連結基または多官能性連結基は調製するのが難しいであろう。代替アプローチは、官能基の一部または全部をアミン捕捉基に転化することを含む。こうした分子は、効率的な結合のため、ならびに特に生体系における固定化アミン含有材料の活性の制御のために有益でありうる。
【0003】
更に、一部の表面はアミン化合物を定着させるための相補的官能基を殆どまたは全くもたない場合がある。こうした不活性表面は、アミノアルキルシランまたはポリエチレンイミンなどの表面アミノ化剤による処理によって便利に官能化されることが多い。過剰の二官能性アミン捕捉化合物または多官能性アミン捕捉化合物の溶液にこれらのアミノ化表面を後でさらすと、基材の表面をアミン反応性官能基のグラフトを有する表面に転化するであろう。
【0004】
従って、二官能性アミン反応性末端官能基および多官能性アミン反応性末端官能基を有するアミン官能性表面との反応のための化合物が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は多官能性化合物に末端アシルスルホンアミド基を提供する。これらの化合物はアミン官能性表面を処理するために用いることが可能である。こうした化合物は、例えばゲルおよびヒドロゲルを提供するためにアミン含有材料のための架橋剤として用いることも可能である。
【0006】
本化合物は、式(A−)y−Q
(式中、各Aは独立して式
【化1】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、Y1、Y2、Y3、y、QおよびZは以下で定義される。但し、Q、Y1、Y2およびY3にはジスルフィド基がないことを条件とする)
を有する官能基からなる群から選択される)
の化合物である。
【0007】
定義
「含む(comprise)」という用語およびその変形は、これらの用語が説明および特許請求の範囲で現れる限定的な意味をもたない。
【0008】
本明細書で用いられる「不定冠詞(a、an)」、「定冠詞(the)」、「少なくとも一つ(at least one)」および「一つ以上の(one or more)」は互換可能に用いられる。
【0009】
本明細書においてまた、終点による数値範囲の列挙は当該範囲内に包含されるすべての数値を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0010】
本明細書で用いられる「アルキル」という用語はアルカンの一価基を意味し、直鎖、分岐、環式またはそれらの組み合わせである基を含む。アルキル基は、典型的には1〜30個の炭素原子を有する。幾つかの実施形態において、アルキル基は1〜20個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子または1〜4個の炭素原子を含む。アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルおよびエチルヘキシルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0011】
本明細書で用いられる「アルキレン」という用語はアルカンの二価基を意味する。アルキレンは、直鎖、分岐、環式またはそれらの組み合わせであることが可能である。アルキレンは、典型的には1〜200個の炭素原子を有する。幾つかの実施形態において、アルキレンは、1〜100、1〜80、1〜50、1〜30、1〜20、1〜10、1〜6または1〜4個の炭素原子を含む。アルキレンのラジカル中心は同じ炭素原子上にあることが可能である(すなわちアルキリデン)か、または異なる炭素原子上にあることが可能である。
【0012】
本明細書で用いられる「アラルキル」という用語は化合物Ar−R(Arは芳香族炭素環式基であり、Rはアルキル基である)の一価基を意味する。
【0013】
本明細書で用いられる「アラルキレン」という用語は式−R−Ar−(Arはアリーレン基であり、Rはアルキレン基である)の二価基を意味する。
【0014】
本明細書で用いられる「アリール」という用語は一価芳香族炭素環式基を意味する。アリールは1個の芳香族環を有することが可能であるか、あるいは芳香族環に接続されているかまたは芳香族環に縮合されている5個以下の炭素環構造を含むことが可能である。その他の環構造は、芳香族、非芳香族またはそれらの組み合わせであることが可能である。アリール基の例には、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、アントリル、ナフチル、アセナフチル、アントラキノニル、フェナントリル、アントラセニル、ピレニル、ペリレニルおよびフルオレニルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0015】
本明細書で用いられる「アリーレン」という用語は、接続されているか、縮合されているか、またはそれらの組み合わせである1〜5個の環を有する炭素環式芳香族化合物の二価基を意味する。幾つかの実施形態において、アリーレン基は、5個以下の環、4個以下の環、3個以下の環、2個以下の環または1個の芳香族環を有する。例えば、アリーレン基はフェニレンであることが可能である。
【0016】
上のアリールおよびアリーレンは、より低級のアルキル、ハロおよびアルコキシなどの置換基を任意に含むことが可能である。
【0017】
本明細書で用いられる「カルボニル」という用語は式−(CO)−の二価基を意味する。
【0018】
本明細書で用いられる「カルボニルイミノ」という用語は式−(CO)NRa−(Raは水素、アルキルまたはアリールである)の二価基を意味する。
【0019】
本明細書で用いられる「カルボニルオキシ」という用語は式−(CO)O−の二価基を意味する。
【0020】
本明細書で用いられる「クロロアルキル」という用語は少なくとも1個の水素原子を塩素原子により置換させているアルキルを意味する。
【0021】
本明細書で用いられる「ジスルフィド」という用語は式−S−S−の二価基を意味する。
【0022】
本明細書で用いられる「フルオロアルキル」という用語は少なくとも1個の水素原子を弗素原子により置換させているアルキルを意味する。幾つかのフルオロアルキル基はパーフルオロアルキル基である。
【0023】
本明細書で用いられる「ヘテロアルキレン」という用語は、1個以上の炭素原子を硫黄、酸素またはNRd(Rdは水素またはアルキルである)により置換させている二価アルキレンを意味する。ヘテロアルキレンは、直鎖、分岐、環式またはそれらの組み合わせであることが可能であり、400個以下の炭素原子および30個以下のヘテロ原子を含むことが可能である。幾つかの実施形態において、ヘテロアルキレンは、300個以下の炭素原子、200個以下の炭素原子、100個以下の炭素原子、50個以下の炭素原子、30個以下の炭素原子、20個以下の炭素原子または10個以下の炭素原子を含む。
【0024】
本明細書で用いられる「ヘテロアリーレン」という用語は、1個以上の炭素原子を硫黄、酸素またはNRf(Rfは水素またはアルキルである)により置換させている二価アリーレンを意味する。
【0025】
本明細書で用いられる「オキシ」という用語は式−O−の二価基を意味する。
【0026】
本明細書で用いられる「パーフルオロアルキル」という用語は、水素原子のすべてが弗素原子により置換されているアルキル基を意味する。
【0027】
本明細書で用いられる「チオ」という用語は式−S−の基を意味する。
【0028】
本明細書で用いられる「室温」という用語は、約20℃〜約25℃または約22℃〜約25℃の温度を意味する。
【0029】
本明細書で用いられる時、式中の2個の基を接続する曲線は、2個の基と共に環式構造の一部を形成することを示す。
【0030】
本明細書で提示された化合物のいずれに関しても、その実施形態のいずれかにおける以下の変数(例えば、R1、R2、Y1、Y2、Z、Aなど)のそれぞれ1個は、当業者によって理解されるように、それらの実施形態のいずれかにおける他の変数のどの1つ以上とも組み合わせることが可能である。変数の得られた組み合わせの各々は本発明の実施形態である。
【0031】
基(または置換基あるいは変数)が本明細書で記載された化合物またはポリマー中に一度以上存在する時、各基(または置換基あるいは変数)は、明示的に記載されたかどうかを問わず独立して選択される。例えば、式(A)y−Qに関して、各A基は独立して選択される。更に、1個を上回るA基が存在し、各A基が1個以上のL基を含む時、以下で定義されるように、各L基も独立して選択される。
【0032】
上の発明の開示は、本発明の開示された各実施形態またはあらゆる実施を記載することを意図していない。それに続く説明は例示的な実施形態をより詳しく例示している。本願全体を通して幾つかの場所で、例のリストを通して手引きを提供している。それらの例は種々の組み合わせで用いることが可能である。各場合に、挙げたリストは代表的な群としてのみ働き、排他的なリストとして解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、式(A−)y−Q
(式中、各Aは独立して式
【化2】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、Y1、Y2、Y3、y、QおよびZは以下で定義される。但し、Q、Y1、Y2およびY3にはジスルフィド基がないことを条件とする。)
を有する官能基からなる群から選択される)
の化合物を提供する。こうしたA基は、好ましくは末端基である。
【0034】
本明細書において、式(A−)y−Qの化合物中のQは単結合またはy−価の原子または基である。特定の実施形態において、QはC、N、S、OまたはPから選択された原子である。特定の実施形態において、Qは20個以下の炭素原子および6個以下のヘテロ原子を含むy−価の基および/または官能基(カルボニル基)である。特定の実施形態において、Qは環系を含む。例示的なQ基には、カルボニル、アルキレン、アルカントリル(すなわちアルカンの三価基)、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキレン−オキシ−アルキレン(例えば、−CHCH2OCH2CH−)、アルキレン−カルボニル−アルキレンおよびそれらの組み合わせ(例えば、ヘテロ原子なし、またはヘテロ原子ありのアルキレンとアリーレンの両方を含む基および/または官能基)が挙げられる。例示的なQ環構造には、
【化3】

が挙げられる。
【0035】
本明細書において、yは2〜10の整数である。特定の実施形態において、yは2〜6の整数である。幾つかの実施形態において、yは2〜4の整数である。幾つかの実施形態において、yは2〜3の整数である。幾つかの実施形態において、yは2であり、A基は末端である。
【0036】
A基は同じかまたは異なってもよい。しかし、合成の便宜上、A基は同じであることが多い。
【0037】
本明細書における式Iにおいて、R1およびR2が結合されているジカルボキシイミド基と共にR1およびR2は、任意の芳香族基、任意の飽和または不飽和環式基あるいは任意の飽和または不飽和二環式基に縮合することができる4員から8員のヘテロ環式基またはヘテロ二環式基を形成する。
【0038】
本明細書における式IIにおいて、R3はアルキル、アリール、アラルキルまたは−NRab(ここで、RaおよびRbはそれぞれアルキル基であるか、またはRaおよびRbが結合されている窒素原子と共に4員から8員のヘテロ環式基を形成する)である。
【0039】
式IIの特性の実施形態において、R3はアルキル基、アリール基またはアラルキル基である。適するアルキル基は、典型的には30個以下の炭素原子、20個以下の炭素原子、10個以下の炭素原子、6個以下の炭素原子または4個以下の炭素原子を含む。幾つかの実施形態において、アルキル基はメチル、エチルまたはプロピルである。適するアリール基は、典型的には6〜18個の炭素原子、6〜12個の炭素原子または6個の炭素原子を含む。幾つかの化合物において、アリール基はフェニルである。アリール基の例は4−メチルフェニルを含む。適するアラルキル基は、典型的には6〜30個の炭素原子を有するアリール基および30個以下の炭素原子を有するアルキル基を含む。
【0040】
式IIの他の実施形態において、R3は基−NRab(ここで、RaおよびRbは10個以下の炭素原子、6個以下の炭素原子または4個以下の炭素原子を有するアルキル基である)である。あるいは、RaおよびRbは、RaおよびRbが結合されている窒素原子と共に、4員から8員の環構造を形成する。例えば、RaおよびRbは組合わさって、窒素ヘテロ原子を有する5員または6員のヘテロ環式基を形成することが可能である。
【0041】
本明細書における式IIにおいて、R4およびR5が結合されているジカルボキシイミド基と共にR4およびR5は、任意の芳香族基、任意の飽和または不飽和環式基あるいは任意の飽和または不飽和二環式基に縮合することができる4員から8員のヘテロ環式基またはヘテロ二環式基を形成する。
【0042】
本明細書における式IIIにおいて、R6はアルキル、フルオロアルキル、クロロアルキル、アリール、−NRcd(ここで、RcおよびRdはそれぞれアルキル基であるか、またはRcおよびRdが結合されている窒素原子と共に4員から8員の環式基を形成する)であるか、あるいはR6は、Reと、R6およびReが結合されている基と共に、任意の芳香族基、任意の飽和または不飽和環式基あるいは任意の飽和または不飽和二環式基に縮合することができる4員から8員のヘテロ環式基またはヘテロ二環式基を形成する。
【0043】
式IIIの幾つかの実施形態において、R6はC1~30アルキル、C1~10アルキルまたはC1~6アルキルであることが可能である。式IIIの他の実施形態において、R6はC1~30フルオロアルキル、C1~10フルオロアルキルまたはC1~4パーフルオロアルキル基であることが可能である。式IIIのなお他の実施形態において、R6はC6~12アリールであることが可能である。例えば、R6はフェニル基であることが可能である。
【0044】
本明細書において、Zはアルキル、アリールまたは−(CO)Reである。式IIIの幾つかの実施形態において、Zはアルキルまたはアリールであることが可能である。例えば、ZはC1~6アルキルであることが可能である。他の例において、ZはC6~12アリールであることが可能である。式Iの他の実施形態において、Zは−(CO)Re基であることが可能である。式中、Reは、R6と、R6およびReが結合されている基と共に、窒素ヘテロ原子および硫黄ヘテロ原子を有する4員から8員のヘテロ環式基またはヘテロ二環式基を形成し、ここで、前記ヘテロ環式基およびヘテロ二環式基は、任意の芳香族基、任意の飽和または不飽和環式基あるいは任意の飽和または不飽和二環式基に縮合することができる。
【0045】
本明細書において、Y1、Y2およびY3はそれぞれ独立して、単結合あるいはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(Rfは水素またはアルキルである)およびそれらの組み合わせからなる群から選択された二価基である。特定の実施形態において、Y1、Y2およびY3はそれぞれ独立して、式−Y1a−Ar1−および−Ar1−Y1a−(ここで、Ar1はアリーレンであり、Y1aは、単結合、アルキレン、ヘテロアルキレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(Rfは水素またはアルキルである)およびそれらの組み合わせからなる群から選択される)を有する基からなる群から選択される。
【0046】
特定の実施形態において、Y1、Y2およびY3はそれぞれ独立して、式−Y1a−Ar1−および−Ar1−Y1a−を有する基からなる群から選択される。こうした式において、Ar1はアリーレン(好ましくはフェニレン)であり、Y1aは、単結合、アルキレン、ヘテロアルキレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(Rfは水素またはアルキルである)およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0047】
特定の実施形態において、Y1、Y2およびY3はそれぞれ独立してカルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(Rfは水素またはアルキルである)およびそれらの組み合わせからなる群から選択された基でアリーレン基に連結された第1のアルキレン基を含む。これらの実施形態の幾つかにおいて、第1のアルキレン基は、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(Rfは水素またはアルキルである)およびそれらの組み合わせからなる群から選択された基で第2のアルキレン基または第1のヘテロアルキレン基に更に連結される。これらの実施形態の幾つかにおいて、追加のアルキレン基またはヘテロアルキレン基は、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(Rfは水素またはアルキルである)およびそれらの組み合わせからなる群から選択された基で第2のアルキレン基または第1のヘテロアルキレン基に連結することが可能である。
【0048】
特定の実施形態において、Y1、Y2およびY3はそれぞれ独立してカルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(Rfは水素またはアルキルである)およびそれらの組み合わせからなる群から選択された基でアリーレン基に連結された第1のヘテロアルキレン基を含む。これらの実施形態の幾つかにおいて、第1のヘテロアルキレン基は、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(Rfは水素またはアルキルである)およびそれらの組み合わせからなる群から選択された基で第2のヘテロアルキレン基または第1のアルキレン基に更に連結される。これらの実施形態の幾つかにおいて、追加のアルキレン基またはヘテロアルキレン基は、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(Rfは水素またはアルキルである)およびそれらの組み合わせからなる群から選択された基で第2のヘテロアルキレン基または第1のアルキレン基に連結することが可能である。
【0049】
特定の実施形態において、Y1、Y2およびY3はそれぞれ独立してカルボニル、カルボニルイミノ、カルボニルオキシ、オキシ、チオ、−NRf−(Rfは水素またはアルキルである)およびそれらの組み合わせからなる群から選択された基で第2のアリーレン基または第1のヘテロアルキレン基に連結された第1のアルキレン基を含む。これらの実施形態の幾つかにおいて、これらの実施形態の幾つかにおいて、追加のアルキレン基またはヘテロアルキレン基は、カルボニル、カルボニルイミノ、カルボニルオキシ、オキシ、チオ、−NRf−(Rfは水素またはアルキルである)およびそれらの組み合わせからなる群から選択された基で第2のアルキレン基または第1のヘテロアルキレン基に接続することが可能である。
【0050】
特定の実施形態において、Y1、Y2およびY3はそれぞれ独立して、カルボニル、カルボニルイミノ、カルボニルオキシ、オキシ、チオ、−NRf−(Rfは水素またはアルキルである)およびそれらの組み合わせからなる群から選択された基で第2のヘテロアルキレン基または第1のアルキレン基に接続された第1のヘテロアルキレン基を含む。これらの実施形態の幾つかにおいて、追加のアルキレン基またはヘテロアルキレン基は、第2のヘテロアルキレン基または第1のアルキレン基に接続することが可能である。
【0051】
特定の実施形態において、Y1、Y2およびY3はそれぞれ独立して、例えば1〜30個の炭素原子およびN、O、Sおよびそれらの組み合わせからなる群から選択された30個以下のヘテロ原子を有するヘテロアルキレンであり、ここで、ヘテロアルキレン基は、直鎖、分岐、環式またはそれらの組み合わせである。
【0052】
特定の実施形態において、Y1、Y2およびY3はそれぞれ独立して、1〜30個の炭素原子を有するアルキレンであり、ここで、アルキレン基は、直鎖、分岐、環式またはそれらの組み合わせである。これらの実施形態の幾つかにおいて、アルキレン基は、1〜20個の炭素原子を有する直鎖または分岐であることが可能である。これらの実施形態の幾つかにおいて、アルキレンは式(CH2n(nは1〜20の整数である)である。
【0053】
特定の実施形態において、Y1、Y2およびY3はそれぞれ独立して、1個以上のアルキレン基および1個以上のヘテロアルキレン基に加えて、(18個以下の炭素原子、12個以下の炭素原子または6個以下の炭素原子を好ましくは含む)アリーレン基を含む。
【0054】
例示的な化合物
式Iの例示的な構造には、
【化4】

が挙げられるが、それらに限定されない。
式中、Rはアルキル基であり、Y1は式Iについて前で定義されたのと同じである。これらの例示的な実施形態の幾つかにおいて、Y1は−Y1a−Ar1−または−Ar1−Y1a−(Ar1はアリーレン(好ましくはフェニレン)であり、Y1aは、単結合、アルキレン、ヘテロアルキレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(Rfは水素またはアルキルである)およびそれらの組み合わせからなる群から選択される)であることが可能である。式Iの官能基は、ハロ、アルキル、アルコキシまたはそれらの組み合わせで置換されてないことが可能であるか、または置換されていることが可能である。
【0055】
式Iの例示的な構造には、
【化5】

も挙げられるが、それらに限定されない。
式中、R1およびR2は式Iについて前に定義されたのと同じであり、各nは独立して1〜100の整数であり、mは1〜200の整数であり、kは2〜4の整数である。Dは、酸素、硫黄またはNHであり、Ar1はアリーレン基であり、各Lは独立して酸素またはNRf(Rfは水素またはアルキルである)であり、qは0または1の整数である。こうした実施形態において、好ましくは、nは80以下、60以下、40以下、20以下または10以下である。好ましくは、mは150以下、100以下、80以下、60以下、40以下、20以下または10以下である。好ましくは、kは2に等しい。好ましくは、Dは酸素である。好ましくは、Ar1はフェニレンである。
【0056】
式IIの例示的な構造には、
【化6】

が挙げられるが、それらに限定されない。
式中、R3およびY2は式IIについて前に定義されたのと同じである。式IIの官能基は、ハロ、アルキル、アルコキシまたはそれらの組み合わせで置換されてないことが可能であるか、または置換されていることが可能である。
【0057】
式IIの例示的な構造には、
【化7】

も挙げられるが、それらに限定されない。
式中、R3、R4およびR5は式IIについて前に定義されたのと同じである。vは1〜200の整数であり、xは1〜4の整数であり、Dは、酸素、硫黄またはNHである。こうした実施形態において、好ましくは、vは150以下、100以下、80以下、60以下、40以下、20以下、10以下、5以下、4以下、3以下、2以下であるか、または1に等しい。より好ましくは、vは1または2である。好ましくは、xは3以下、2以下であるか、または1に等しい。より好ましくは、xは1または2であり、Dは酸素または硫黄である。
【0058】
式IIIの例示的な構造は式
【化8】

に示したように芳香族基に縮合されたヘテロ環式基を含む。
式中、Y3は式IIIについて前に定義されたのと同じである。
【0059】
特定の実施形態において、本発明の多官能性化合物は式
【化9】

から独立して選択された2個以上の側基を含む。
式中、WはCk2kDまたはDCk2kであり、Dは酸素、硫黄またはNH(好ましくは酸素)であり、nは1〜100(好ましくは80以下、60以下、40以下、20以下、10以下)の整数であり、mは1〜200(好ましくは150以下、100以下、80以下、60以下、40以下、20以下、10以下)の整数であり、pは1〜10(好ましくは8以下、6以下、4以下または2以下)の整数であり、qは0または1の整数であり、tは0〜12(好ましくは10以下、8以下、6以下、4以下、2以下または0に等しい)の整数であり、kは2〜4(好ましくは3以下、2以下または2に等しい)の整数であり、各Lは独立して酸素またはNRf(Rfは水素またはアルキルである)である。但し、少なくとも1個のLが各−Lq−C(O)−Lq−部分中に存在し、ヘテロ原子−ヘテロ原子結合が存在しないことを条件とする。
【0060】
特定の実施形態において、本発明の多官能性化合物は式
【化10】

から独立して選択された2個以上の側基を含む。
式中、nは1〜100(好ましくは80以下、60以下、40以下、20以下、10以下)の整数であり、mは1〜200(好ましくは150以下、100以下、80以下、60以下、40以下、20以下、10以下)の整数であり、pは1〜10(好ましくは8以下、6以下、4以下、2以下)の整数であり、tは0〜12(好ましくは10以下、8以下、6以下、4以下、2以下または0に等しい)の整数であり、kは2〜4(好ましくは3以下、2以下または2に等しい)の整数であり、各Lは独立して酸素またはNRf(Rfは水素またはアルキルである)であり、qは0または1である。
【0061】
好ましい多官能性化合物は式
【化11】

の二官能性化合物または三官能性化合物である。
式中、m’は1〜200(好ましくは150以下、100以下、80以下、60以下、40以下、20以下、10以下)の整数である。
【0062】
調製の方法
2003年11月14日出願の出願人の同時係属特許出願第10/714,053号明細書ならびに第10/713,174号明細書および、2004年11月12日出願の特許出願第第10/987,075号明細書および第10/987,522号明細書の官能的に置換されたアミン捕捉剤は、本発明の多官能性化合物を製造するために用いることが可能である。これは、y相補性官能基を保持するコアQ基にこうした化合物を結合して、本発明の多官能性アミン捕捉剤をもたらすことにより行うことが可能である。例えば、ClC(O)C64SO2N(C(O)CH22(調製実施例2)は、ポリエチレングリコールなどのジオールまたはトリメチロールプロパンエトキシレートなどのトリオールと反応させることが可能である。(EtO)3SiC1022C(O)−サッカリンなどのシランもテトラエトキシシランと前反応して、多アミン捕捉アシルサッカリン基を含むゾル−ゲル縮合物を生成させることが可能である。あるいは、アミン捕捉基は、2003年11月14日出願の出願人の同時係属特許出願第10/714,053号明細書および第10/713,174号明細書ならびに2004年11月12日出願の特許出願第第10/987,075号明細書および第10/987,522号明細書で例示された反応によって多官能性Q基の末端で形成することが可能である。例えば、Q基含有多官能性酸塩化物はナトリウムサッカリンと反応することが可能であるか、またはQ基含有多スルホンアミドは塩化スクシノイルと反応することが可能である。
【0063】
用途
本発明の多官能性化合物は、例えばアミノ含有材料を固定するために用いることが可能である(例えば、多官能性化合物は1個の官能基で基材に結合することが可能であり、少なくとも1個の残りの官能基はアミン含有材料と反応することが可能である)。幾つかの実施形態において、アミノ含有材料はアミノ含有検体である。他の実施形態において、アミノ含有材料は、例えば、アミノ酸、ペプチド、DNA、RNA、蛋白質、酵素、小器官、免疫生体内物質またはそれらの断片などの生物分子である。固定されたアミノ含有材料は、生物分離のため、または種々の生物分子の存在の検出のために用いることも可能である。更に、固定されたアミノ含有材料は、他の材料を調製するためのバイオリアクタまたはバイオ触媒中で用いることが可能である。基材に結合された多官能性化合物は、アミン含有検体を検出するために用いることが可能である。
【0064】
生物的なアミン含有材料は、基材に結合された多官能性化合物への結合後にしばしば活性なままで残ることが可能である。例えば、固定された抗体は抗原に結合することが可能であるか、または固定された抗原は抗体に結合することが可能である。アミノ含有材料は細菌に結合することが可能である。より特定の例において、固定されたアミン含有材料は黄色ブドウ細菌に結合することが可能である(例えば、固定されたアミン含有材料は細菌に本質的に結合できる蛋白質を有する生物分子であることが可能である)。
【0065】
本発明の多官能性化合物は、金属、ガラス、ポリマー、セラミックなどを含む様々な基材上に結合することが可能である。この用途のための基材は典型的にはアミン基を有し、アミン基は、ポリアクリレートを強制的な条件下でアルキレンジアミンと反応させるか、またはガラス表面をアミノアルキルシリル化剤と反応させるなどの湿潤化学技術において、あるいはアンモニアプラズマなどの蒸気技術によって形成することが可能である。
【0066】
本発明の化合物は、アミン含有ポリマーの沈殿またはゲル化を引き起こすために架橋剤としても特に有用である。こうした系は接着剤であることが可能であり、米国特許第5,583,114号明細書の天然ポリアミンおよび米国特許第5,874,500号明細書の合成ポリアミンのために記載されたように生体内の組織を結合または密封するために有用である。これらの前に知られていた系は、アミン捕捉基としてN−ヒドロキシスクシンイミドのジエステルを用いていた。本発明の多官能性化合物は、典型的にはアシルN−ヒドロキシスクシンイミドより高い加水分解安定性を有し、結果として水性系のゲル化剤および束縛剤としてより有用である。
【実施例】
【0067】
これらの実施例は単に例示目的のみのためであり、添付したクレームの範囲を限定する積もりはない。実施例および明細書の残りにおけるすべての部、百分率、比などは特に指示がない限り重量による。用いられる溶媒および他の試薬は、特に注記がない限りウィスコンシン州ミルウォーキーのシグマ・アルドリッチ・ケミカル・カンパニー(Sigma−Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI))から購入した。
【0068】
【表1】

【0069】
調製実施例1
【化12】

ガラス反応容器内で、DMF(154ミリリットル)、4−カルボキシベンゼンスルホンアミド(30.0グラム)、無水コハク酸(16.41グラム)およびトリエチルアミン(33.19グラム)の混合物を攪拌し、窒素雰囲気下で4時間にわたり50℃に加熱した。混合物を放置して室温に冷却し、無水酢酸(18.27ミリリットル)を添加し、混合物を室温で追加の3時間にわたり攪拌した。混合物を1N水性HCl400ミリリットルに注ぎ込んだ。この混合物を濾過し、脱イオン水で洗浄し、真空炉内で乾燥させて所望の製品をもたらした。収量:36.94グラム。
【0070】
調製実施例2
【化13】

調製実施例1のカルボキシ含有製品(20.0グラム)と乾燥アセトにニトリル(85グラム)の攪拌された混合物を含むガラス反応容器内に塩化チオニル(10.0グラム)およびDMF(1滴)を添加した。得られた混合物を攪拌し、還流下で1時間にわたり加熱し、室温に冷却し、氷浴内で更に冷却した。それは、固体沈殿物の形成をもたらした。固形物を濾過によって集め、冷アセトニトリルおよび冷トルエンで逐次洗浄し、真空炉内で50℃で一晩乾燥させて、所望の製品をもたらした。収量:17.7グラム。
【0071】
調製実施例3
【化14】

ガラス反応容器内で、ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(26.9グラム)、4−カルボキシベンゼンスルホンアミド(30.0グラム)、TEA(49.8グラム)およびDMF(82グラム)の混合物を攪拌し、窒素雰囲気下で2時間にわたり50℃に加熱し、その後、90℃で一晩加熱した。混合物を放置して室温に冷却し、無水酢酸(18.3グラム)をフラスコに添加した。混合物を室温で一晩攪拌し、1N水性HClに注ぎ込み、得られた固形物を濾過によって単離し、真空炉を用いて乾燥させた。得られた固形物を氷酢酸から再結晶化して、所望の製品をもたらした。収量:12.6グラム。
【0072】
調製実施例4
【化15】

還流コンデンサおよび窒素入口が装着されたガラス反応容器内で調製実施例3のカルボン酸製品(5.0グラム)、塩化チオニル(2.2グラム)、DMF(1滴)およびACN(28.9ミリリットル)を窒素雰囲気下で攪拌し、加熱して1時間にわたり還流させた。混合物を放置して室温に冷却し、ロータリーエバポレータを用いて揮発性成分を除去した。得られた固形物をフリットガラス漏斗に洗い入れ、乾燥ジエチルエーテルで洗浄し、その後、窒素ガスの流れ下で室温で乾燥させて、所望の製品をもたらした。収量:4.7グラム。
【0073】
実施例1
【化16】

の調製
窒素雰囲気下で乾燥Naサッカリン(10.25グラム、0.5モル)および200ミリリットルのアセトンの攪拌されたスラリーに塩化セバコイル(6.0グラム、0.025モル)を添加した。得られた混合物を室温で20時間にわたり攪拌した。IR分光分析は基−C(O)Clに関するピークが存在しないことを示した。混合物を濾過し、アセトンで洗浄して、11.8グラムの白色固形物をもたらした。アセトンを洗浄溶液から除去して、3.7グラムの淡褐色固体をもたらし、それを濾液と組み合わせ、水で洗浄し、乾燥させて、所望の製品(構造をNMRによって確認した)をもたらした。製品はACN、アセトンおよび2−ブタノンに若干可溶性であった。収量:9.1グラム。
【0074】
実施例2
【化17】

の調製
100ミリリットルのCH2Cl2中のPEG600二酸(30グラム、0.05モル、m’は約14である)の混合物に10ミリリットルのSOCl2を添加し、直ぐにHClが発生した。20時間後、溶媒を真空下で除去して、33.6グラムの淡黄色油をもたらした。この内、6.4グラム(0.01モル)を乾燥Naサッカリン(4.1グラム、0.02モル)に添加した。得られたスラリーを24時間にわたり攪拌し、濾過し、真空下で乾燥させて、淡褐色シロップとして所望の製品をもたらした。収量:9.3グラム。
【0075】
実施例3
【化18】

の調製
ガラス反応容器内で、調製実施例2のクロロカルボニル製品のサンプル(1.0グラム)をNMP(3.6グラム)に溶解させ、氷浴内で冷却した。THF(3.54グラム)中のPEG3400(3.54グラム、m’は約77である)の溶液をフラスコにゆっくり添加した。混合物が室温に暖まるように混合物を一晩攪拌した。混合物を濃縮し、IPAで再結晶化した。得られた白色固形物を濾過し、冷IPAでリンスして、所望の製品をもたらした。収量:4.17グラム。水(0.17グラム)中の50%溶液であり、平均Mw:約2000であるポリエチレンイミンのこの製品(0.50グラム)の50重量%水溶液への添加によってヒドロゲルを形成させた。
【0076】
実施例4
【化19】

の調製
ガラス反応容器内で、調製実施例4のクロロカルボニル製品のサンプル(1.99グラム)をTHF(10グラム)に溶解させた。PEG3000(8.20グラム、m’は約77である)、ピリジン(0.48グラム)およびTHF(3.54グラム)の溶液をゆっくり添加し、得られた混合物を一晩攪拌した。混合物を濃縮し、IPAで再結晶化した。得られた白色固形物を濾過し、冷IPAでリンスして、所望の製品をもたらした。収量:9.0グラム。
【0077】
実施例5
【化20】

の調製
ガラス反応容器内で、調製実施例2のクロロカルボニル製品のサンプル(2.00グラム)をTHF(8グラム)に溶解させた。TPEG990(2.07グラム、m’は約22である)、TEA(0.70グラム)およびTHF(8.0グラム)の溶液をゆっくり添加し、得られた混合物を一晩攪拌した。IR分光分析は、基−C(O)Clに関するピークが存在しないことを示した。混合物を濃縮し、EtOAcに溶かし、濾過して、固形物24.5%で無色透明溶液をもたらした。
【0078】
本発明の種々の修正および変更は本発明の範囲および精神を逸脱せずに当業者に対して明らかになるであろう。本明細書で記載された例示的な実施形態および実施例によって本発明が不当に限定されることを意図しておらず、こうした実施例および実施形態が次の通り本明細書に記載された特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図された本発明の範囲による例としてのみ提示されていることは理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(A−)y−Q
(式中、各Aは独立して以下の式
【化1】

(式中、
1およびR2が結合されているジカルボキシイミド基と共に、R1およびR2は、任意の芳香族基、任意の飽和または不飽和環式基あるいは任意の飽和または不飽和二環式基に縮合することができる4員から8員のヘテロ環式基またはヘテロ二環式基を形成し、
3はアルキル、アリール、アラルキルまたは−NRab(ここで、RaおよびRbはそれぞれアルキル基であるか、またはRaおよびRbが結合されている窒素原子と共に、4員から8員のヘテロ環式基を形成する)であり、
4およびR5が結合されているジカルボキシイミド基と共に、R4およびR5は、任意の芳香族基、任意の飽和または不飽和環式基あるいは任意の飽和または不飽和二環式基に縮合することができる4員から8員のヘテロ環式基またはヘテロ二環式基を形成し、
6はアルキル、フルオロアルキル、シクロアルキル、アリール、−NRcd(ここで、RcおよびRdはそれぞれアルキル基であるか、またはRcおよびRdが結合されている窒素原子と共にRcおよびRdは4員から8員の環式基を形成する)であるか、あるいはR6は、Reと、R6およびReが結合されている基と共に、任意の芳香族基、任意の飽和または不飽和環式基あるいは任意の飽和または不飽和二環式基に縮合することができる4員から8員のヘテロ環式基またはヘテロ二環式基を形成し、
Zはアルキル、アリールまたは−(CO)Re(ここで、Reは、R6と、R6およびReが結合されている基と共に、窒素ヘテロ原子および硫黄ヘテロ原子を有する4員から8員のヘテロ環式基またはヘテロ二環式基を形成し、ここで、前記ヘテロ環式基およびヘテロ二環式基は、任意の芳香族基、任意の飽和または不飽和環式基あるいは任意の飽和または不飽和二環式基に縮合することができる)であり、
1、Y2およびY3はそれぞれ独立して、単結合あるいはアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(Rfは水素またはアルキルである)およびそれらの組み合わせからなる群から選択された二価基である)
を有する官能基からなる群から選択され、
Qは単結合またはy−価の原子または基であり、
yは2〜10の整数であるが、
但し、Q、Y1、Y2およびY3にはそれぞれジスルフィド基がないことを条件とする)
の化合物。
【請求項2】
1、Y2およびY3はそれぞれ独立して、式
−Y1a−Ar1−および−Ar1−Y1a
(式中、
Ar1はアリーレンであり、
1aは、単結合、アルキレン、ヘテロアルキレン、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(Rfは水素またはアルキルである)およびそれらの組み合わせからなる群から選択される)を有する基からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1、Y2およびY3はそれぞれ独立して、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(Rfは水素またはアルキルである)およびそれらの組み合わせからなる群から選択された基でアリーレン基に連結された第1のアルキレン基を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
1、Y2およびY3はそれぞれ独立して、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、オキシ、チオ、−NRf−(Rfは水素またはアルキルである)およびそれらの組み合わせからなる群から選択された基でアリーレン基に連結された第1のヘテロアルキレン基を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
1、Y2およびY3はそれぞれ独立して、カルボニル、カルボニルイミノ、カルボニルオキシ、オキシ、チオ、−NRf−(Rfは水素またはアルキルである)およびそれらの組み合わせからなる群から選択された基で第2のアルキレン基または第1のヘテロアルキレン基に接続された第1のアルキレン基を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
1、Y2およびY3はそれぞれ独立してヘテロアルキレン基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
1、Y2およびY3はそれぞれ独立して、カルボニル、カルボニルイミノ、カルボニルオキシ、オキシ、チオ、−NRf−(Rfは水素またはアルキルである)およびそれらの組み合わせからなる群から選択された基で第2のヘテロアルキレン基または第1のアルキレン基に接続された第1のヘテロアルキレン基を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
1、Y2およびY3はそれぞれ独立して、1〜30個の炭素原子ならびにN、O、Sおよびそれらの組み合わせからなる群から選択された30個以下のヘテロ原子を有するヘテロアルキレン基であり、前記ヘテロアルキレン基は直鎖、分岐、環式またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
1、Y2およびY3はそれぞれ独立して、1〜30個の炭素原子を有するアルキレン基であり、前記アルキレン基は直鎖、分岐、環式またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
1、Y2およびY3はそれぞれ独立して、1個以上のアルキレン基および1個以上のヘテロアルキレン基に加えてアリーレン基を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
各Aは独立して以下の式
【化2】

(式中、各Rは独立してアルキル基である)
を有する官能基からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
各Aは独立して以下の式
【化3】

(式中、
各nは独立して1〜100の整数であり、
mは1〜200の整数であり、
kは2〜4の整数であり、
qは0または1の整数であり、
Dは酸素、硫黄またはNHであり、
Ar1はアリーレン基であり、
各Lは独立して酸素またはNRf(Rfは水素またはアルキルである)である)
を有する官能基からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
各Aは独立して以下の式
【化4】

(式中、
vは1〜200の整数であり、
xは1〜4の整数であり、
Dは酸素、硫黄またはNHである)
を有する官能基からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
各Aは独立して以下の式
【化5】

(式中、
WはCk2kDまたはDCk2kであり、
Dは酸素、硫黄またはNHであり、
nは1〜100の整数であり、
mは1〜200の整数であり、
pは1〜10の整数であり、
qは0または1の整数であり、
tは0〜12の整数であり、
kは2〜4の整数であり、
各Lは独立して酸素またはNRf(Rfは水素またはアルキルである)であるが、
但し、少なくとも1個のLが各−Lq−C(O)−Lq−部分中に存在し、ヘテロ原子−ヘテロ原子結合が存在しないことを条件とする)
を有する官能基からなる群から独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
各Aは独立して以下の式
【化6】

(式中、
nは1〜100の整数であり、
mは1〜200の整数であり、
pは1〜10の整数であり、
qは0または1の整数であり、
tは0〜12の整数であり、
kは2〜4の整数であり、
各Lは独立して酸素またはNRf(Rfは水素またはアルキルである)である。)
を有する官能基からなる群から独立して選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
Zはアルキル基またはアリール基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
Zは、−(CO)Re基およびR6が結合されている基と、R6共に、窒素ヘテロ原子および硫黄ヘテロ原子を有する4員から8員のヘテロ環式基またはヘテロ二環式基を形成する−(CO)Re基であり、前記ヘテロ環式基またはヘテロ二環式基は、任意の芳香族基、任意の飽和または不飽和環式基あるいは任意の飽和または不飽和二環式基に縮合することができる、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
各Aは式
【化7】

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
3はアルキル、アリールまたはアラルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
6はC1~30アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
QはC、N、S、OまたはPから選択された原子であるか、あるいは20個以下の炭素原子および6個以下のヘテロ原子を含むy−価の基および/または官能基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
yは2または3である、請求項1に記載の化合物。

【公開番号】特開2012−162534(P2012−162534A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−56818(P2012−56818)
【出願日】平成24年3月14日(2012.3.14)
【分割の表示】特願2006−547465(P2006−547465)の分割
【原出願日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】