説明

多官能(メタ)アクリル酸エステルの製造方法

【課題】 後処理工程において発生する、有機層と水層の分離が不十分となる乳化による弊害を抑制することができる多官能(メタ)アクリル酸エステルの製造方法を提供する。
【解決手段】 多官能(メタ)アクリル酸エステルの製造方法は、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とを、酸触媒の存在下に有機溶媒中でエステル化反応させて得られる反応生成物を、中和処理した後、けん化処理するものである。多価アルコールとしては、水酸基数が3〜6のアルコール又はそのアルキレンオキシド付加物であることが好ましい。けん化処理は、エステル化反応で生成した副生物である乳化性化合物を分解するために行われる。このけん化処理は、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液を用い、20〜70℃の処理温度で行うことが望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば塗料、接着剤、印刷インク等の分野において用いられる2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル酸エステル〔本明細書では、多官能(メタ)アクリル酸エステルという〕の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、塗料、接着剤、印刷インク等の分野においては、環境保全、省資源、省エネルギー等の観点から、紫外線硬化型又は電子線硬化型のものが増加しつつあり、多官能性(メタ)アクリル酸エステルは紫外線硬化型樹脂又は電子線硬化型樹脂の反応性希釈剤として広く使用されている。特に、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール及びこれらの誘導体を(メタ)アクリロイル化して得られる多官能(メタ)アクリル酸エステルは、速硬化性、高硬度等の効果があり、その使用量は増大しつつある。
【0003】
従来より、多官能(メタ)アクリル酸エステルは、多価アルコールと、(メタ)アクリル酸とを、硫酸やメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等の酸触媒の存在下に、エステル化反応させて製造される。こうして得られる反応生成物中には、触媒、未反応物、さらには副反応物が残存するため、反応液に各種の後処理を施すことにより、精製が行われている。例えば、反応液中の未反応(メタ)アクリル酸や酸触媒を除去する目的で中和処理が行われ、1〜25%濃度の水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)水溶液や炭酸ナトリウム(炭酸ソーダ)水溶液が使用されている。又、反応液を水により洗浄する水洗も行われる。
【0004】
具体的には、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを触媒の存在下に付加重合させてヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートオリゴマーを製造するに当たり、反応液をケイ酸マグネシウム等の吸着剤と接触させたり、アルカリ水溶液で洗浄したりする方法が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。さらに、多価アルコールと(メタ)アクリル酸を酸触媒の存在下に有機溶媒中でエステル化反応させて得られた反応生成物を中和処理した後、さらにアミン類で処理する多官能性(メタ)アクリレートの製造方法が開示されている(例えば、特許文献2を参照)。
【特許文献1】特開昭61−134350号公報(第1頁及び第5頁)
【特許文献2】特開平6−219991号公報(第2頁及び第3頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、多官能(メタ)アクリル酸エステルの製造においては、(メタ)アクリロイル基密度をより高めるために、エステル化反応は、通常、単官能(メタ)アクリル酸エステルの製造に比べ長時間行われ、或いはより高い反応温度で行われる。そのような条件下にエステル化反応が行われると、(メタ)アクリル酸エステル特有の副反応が生じて副反応物が生成する。
【0006】
一方、エステル化反応後の後処理においては、反応液の中和工程や水による洗浄工程において、有機層と水層の分離が不十分となる乳化の現象が発生することがある。このような乳化の現象が発生した場合、有機層と水層が分離するまでに長時間を要するため、生産性が低下したり、さらに有機層と水層の分離が不十分なまま分離した場合には、最終製品に不純分が混入し純度低下の問題を生じていた。このような乳化の原因は、前記した副反応物によるものではないかと疑われていた。そのような副反応物(以下、乳化性化合物ともいう)を除去するために、特許文献1に記載の吸着剤による方法では物理的な吸着によるものであることから、反応生成物中より乳化性化合物を十分に除去することができなかった。
【0007】
また、特許文献2に記載の方法においては、アミン類による処理工程で酸触媒の誘導体、例えばスルホン酸エステルを分解するものである(特許文献2の段落0021)。従って、乳化の原因となる副反応物の分解に着目したものではなく、乳化性化合物を十分に分解して除去することができなかった。そのため、乳化性化合物が除去されていない多官能(メタ)アクリル酸エステルを、例えばインク等の耐乳化性を要する用途に供した場合には、インクのにじみや製造設備の汚染等の様々な弊害を生じるという問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来技術の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、後処理工程において発生する、有機層と水層の分離が不十分となる乳化による弊害を抑制することができる多官能(メタ)アクリル酸エステルの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、従来技術の問題点を解決すべく鋭意検討を行った結果、通常の製造方法により得られる多官能性(メタ)アクリル酸エステルの精製において、触媒や未反応原料を除去する中和処理工程に加えて、さらにアルカリによりけん化処理すれば、乳化性化合物を除去することができ、乳化を防止することができることを見い出した。そして、けん化処理工程における処理剤の量や処理温度等の条件を適正化することにより乳化性化合物を低減又は除去できるという事実を見い出し、本発明を完成するに到った。
【0010】
すなわち、請求項1に記載の発明の多官能(メタ)アクリル酸エステルの製造方法は、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とを、酸触媒の存在下に有機溶媒中でエステル化反応させて得られる反応生成物を、中和処理した後、けん化処理することを特徴とするものである。なお、本発明では、アクリルとメタクリルの双方を(メタ)アクリルと略記する。
【0011】
請求項2に記載の発明の多官能(メタ)アクリル酸エステルの製造方法は、請求項1に係る発明において、前記多価アルコールは、水酸基数が3〜6のアルコール又はそのアルキレンオキシド付加物であることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3に記載の発明の多官能(メタ)アクリル酸エステルの製造方法は、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記けん化処理は、アルカリ水溶液を用いて行うものであることを特徴とするものである。
【0013】
請求項4に記載の発明の多官能(メタ)アクリル酸エステルの製造方法は、請求項1から請求項3のいずれか一項に係る発明において、前記けん化処理は、20〜70℃の処理温度で行うものであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1に記載の発明の多官能(メタ)アクリル酸エステルの製造方法は、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とを、酸触媒の存在下に有機溶媒中でエステル化反応させて得られる反応生成物を、中和処理した後、けん化処理するものである。このように、中和処理に加えてけん化処理を行うようにしたことから、副反応物である乳化性化合物を中和処理後にけん化処理で分解することができ、多官能(メタ)アクリル酸エステル中の乳化性化合物を低減することができ、後処理工程において発生する、有機層と水層の分離が不十分となる乳化の弊害を抑制することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明の多官能(メタ)アクリル酸エステルの製造方法では、多価アルコールとして、水酸基数が3〜6のアルコール又はそのアルキレンオキシド付加物を用いることから、請求項1に係る発明の効果に加えて、(メタ)アクリロイル基密度の高い多官能(メタ)アクリル酸エステルを得ることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明の多官能(メタ)アクリル酸エステルの製造方法においては、けん化処理がアルカリ水溶液を用いて行うものであることから、請求項1又は請求項2に係る発明の効果に加えて、けん化処理による乳化性化合物の分解を効果的に行うことができるとともに、中和処理と同じ処理剤を使用することができて効率が良い。
【0017】
請求項4に記載の発明の多官能(メタ)アクリル酸エステルの製造方法においては、けん化処理を20〜70℃の処理温度で行うものであることから、請求項1から請求項3のいずれかに係る発明の効果に加えて、乳化性化合物のけん化処理を常温又は少しの加熱で容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態における多官能(メタ)アクリル酸エステルの製造方法は、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とを、酸触媒の存在下に有機溶媒中でエステル化反応させて得られる反応生成物を、中和処理した後、けん化処理を行うものである。すなわち、エステル化反応工程終了後に実施される中和処理工程の後に、さらにけん化処理工程を設ける点に特徴を有している。
【0019】
このような多官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリル酸エステル、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリル酸エステル、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリル酸エステル及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
【0020】
次に、多官能(メタ)アクリル酸エステルの各製造工程について、以下に順に説明する。
(エステル化反応工程)
本エステル化反応工程におけるエステル化反応は、多官能(メタ)アクリル酸エステルの製造における常法に従って行われる。すなわち、エステル化反応は、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とを、酸触媒の存在下に有機溶媒中で脱水縮合反応させることにより行われる。
【0021】
上記多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール及びネオペンチルグリコール等の二価アルコール、水添ポリブタジエンのジオール等の分岐状又は直鎖状長鎖アルキルジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール及びポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール、ビスフェノールA及びビスフェノールF等のビスフェノール、並びにビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びジペンタエリスリトール等のポリオール、並びにこれらポリオールのアルキレンオキサイド付加物、トリス−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート等が用いられる。なお、上記アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。アルキレンオキサイドの付加数としては1〜20が好ましい。
【0022】
上記の多価アルコールのうち、水酸基数が3〜6のアルコール又はそのアルキレンオキシド付加物が好ましい。このような多価アルコールを用いることにより、(メタ)アクリロイル基密度の高い多官能(メタ)アクリル酸エステルを得ることができる。
【0023】
(メタ)アクリル酸はアクリル酸又はメタクリル酸であり、目的とするエステルが多官能アクリル酸エステルであるか、又は多官能メタクリル酸エステルであるかによって選択される。(メタ)アクリル酸の使用量は、得られる多官能(メタ)アクリル酸エステルが目的とする水酸基価を有するように、多価アルコールの全水酸基1モルに対して調整される。
【0024】
酸性触媒としては、硫酸、パラトルエンスルホン酸及びメタンスルホン酸等が挙げられる。また、反応温度は、使用する原料及び目的に応じて適宜設定すればよいが、反応時間の短縮と重合防止の観点から65〜140℃が好ましく、75〜120℃がより好ましい。この反応温度が65℃未満の場合にはエステル化反応が遅くなったり、収率が低下したりし、一方反応温度が140℃を越える場合には(メタ)アクリル酸又は生成した多官能(メタ)アクリル酸エステルの熱重合が起きるおそれがある。
【0025】
エステル化反応に際しては、エステル化反応で生成する水と共沸混合物を形成する有機溶媒を使用し、水を共沸させながら脱水を促進することが好ましい。好ましい有機溶媒としては、例えばトルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン等が挙げられる。有機溶媒の使用量は、前記多価アルコールと(メタ)アクリル酸の合計量に対して質量で0.1〜10倍量が好ましく、2〜5倍量がより好ましい。この有機溶媒は、反応後又は後処理後に減圧操作により留去してもよいが、臭気の問題がない有機溶媒を使用した場合には、組成物の粘度調整のために留去することなくそのまま使用してもよい。
【0026】
エステル化反応は、常圧又は減圧した状態で行うことが好ましい。また、(メタ)アクリル酸又は生成した多官能(メタ)アクリル酸エステルの熱重合を防止する目的で、エステル化反応を酸素の存在下で行うことが好ましい。同様の目的で、反応液に重合禁止剤を添加することが好ましい。そのような重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、3−ヒドロキシルチオフェノール、α−ニトロソ−β−ナフトール、p−ベンゾキノン、銅塩等が挙げられる。重合禁止剤の添加量は、原料の(メタ)アクリル酸に対して0.001〜5.0質量%が好ましく、0.01〜1.0質量%がより好ましい。この添加量が0.001質量%未満の場合には重合禁止効果が不十分となる傾向を示し、5.0質量%を越える場合には重合禁止効果は向上せず、無駄になりやすい。エステル化の進行度は、(メタ)アクリル酸や多価アルコールの残量をモニターする方法があり、好ましくはエステル化反応により生成する水の量、すなわち脱水量をモニターすることによって行われる。
(中和処理工程)
本発明では、上記エステル化反応工程でのエステル化反応後における反応液中の未反応(メタ)アクリル酸及び酸触媒等の酸分を除去する目的で、中和処理を行う。
【0027】
中和処理は常法に従って行えばよく、例えば反応液にアルカリ成分として水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液を添加し、攪拌、混合する方法等が挙げられる。この場合、アルカリ成分の量は通常、反応液の酸分に対してモル比で1倍以上、好ましくは1.1〜1.6倍である。この添加量が、反応液の酸分に対してモル比で1倍未満では、酸分の中和が不十分となるので好ましくない。また、アルカリ水溶液の濃度は、1〜25質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜25質量%である。この濃度が1質量%未満では中和処理後の排水量が増大するため好ましくなく、25質量%を越えると多官能(メタ)アクリル酸エステルが重合するおそれがある。さらに、撹拌、混合する時間は、5分から60分程度が好ましい。
(けん化処理工程)
けん化処理は、上記中和処理後又は後記水洗処理後に得られる有機層を、けん化処理剤としてのアルカリで処理し、乳化性化合物のけん化反応を行い、乳化性化合物を分解するものである。具体的には、上記中和処理後又は後記水洗処理後に得られる有機層にけん化処理剤を添加し、攪拌、混合する方法等が挙げられる。係るけん化処理工程は、前記中和処理工程とは別個の工程とすることにより、けん化反応を効果的に行うことができる。
【0028】
けん化処理剤のアルカリとしては、アルカリ水溶液が好ましい。アルカリ水溶液におけるアルカリ成分としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属塩及び水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属等が挙げられる。これらの中でも、アルカリ金属水酸化物が、けん化処理の効果が高い点から好適に用いられる。アルカリ水溶液の濃度としては、1〜25質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜25質量%である。アルカリの使用量は、中和処理時のアルカリの使用量に対して0.2〜4倍であることが好ましく、処理槽の大きさや排水量を考慮して0.5〜2倍がより好ましい。また、けん化処理は撹拌下に行うことが好ましく、その際の撹拌時間は10分から3時間程度であることが好ましい。この場合、けん化処理剤として中和処理剤と同じ処理剤を使用することにより、両処理を効率良く行うことができる。けん化処理の処理温度は20〜70℃であることが、乳化性化合物のけん化処理を常温又は少しの加熱で容易に行うことができる点から好ましい。
【0029】
けん化処理工程は、上記した好ましい条件の範囲内において処理すれば完了するが、必要に応じて、けん化工程の進行度を管理することができる。けん化処理の進行度を管理する方法として、水層のアルカリ価、有機層の伝導率(電気伝導率)及び界面張力を測定する方法が挙げられる。水層のアルカリ価は、エステルの種類、副反応の増減、用いるアルカリ水溶液の濃度等によって異なるため、製造銘柄や処方ごとにアルカリ価の推移を調べる必要がある。一般に、アルカリ価による管理方法としては、けん化処理中のアルカリ価の変動が小さくなった時点をけん化処理工程の終了の目安にすることができる。
【0030】
有機層の伝導率は、有機層中に含まれるイオン成分が多いとき高くなり、主にそれは乳化性化合物がアルカリ金属塩として存在している場合である。けん化反応が進行するに伴い、その成分は分解されて有機層からアルカリ水溶液層に移行していく。このため、アルカリ価と同様に銘柄や処方によって異なるものの、けん化処理工程終了の見極めは、伝導率の変動が小さくなった時点を監視すれば良い。
【0031】
有機層の界面張力も、アルカリ価や伝導率と同様に考えることができる。乳化性化合物が有機層に存在すると界面張力は小さい値となるが、乳化性化合物が分解除去されるに伴って界面張力が上昇する。けん化処理工程の終了の見極めは、界面張力の変動が小さくなった時点を監視すれば良い。
(水洗工程)
本発明では、前記した反応液又は処理液等を、水洗処理することが好ましい。水洗処理は、前記エステル化反応で得られた反応液、前記中和後の有機層及び前記けん化処理後の有機層に対して行うことができる。どの時点で水洗処理を行うかは、使用する成分及び目的に応じて適宜選択すれば良い。
【0032】
水洗処理は、常法に従って行えば良い。具体的には、前記エステル化反応で得られた反応液、前記中和後の有機層及び前記けん化処理後の有機層に対して水を添加し、攪拌、混合する方法等が挙げられる。
(脱溶剤工程)
上記けん化処理又は水洗処理後、生成した多官能(メタ)アクリル酸エステル類を含有する有機層(上層)を分離し、次いでこの有機層から有機溶媒を公知の方法で除去することにより、多官能(メタ)アクリル酸エステルを得ることができる。
【0033】
この脱溶剤処理工程では、多官能(メタ)アクリル酸エステルの熱重合を抑えるために、酸素を供給したり、重合禁止剤を添加したりすることが好ましい。脱溶剤温度としては、80℃以下が好ましく、又減圧下に行うことが好ましい。なお、必要に応じて、この(メタ)アクリル酸エステルを精留により精製することができる。
(印刷インク用途への応用例)
多官能(メタ)アクリル酸エステルは、特に印刷インクとして好適に用いられるが、インク特性の良い多官能(メタ)アクリル酸エステルを得るためには、けん化処理工程及びその後の処理を次のようにして行うことが好ましい。すなわち、けん化処理工程では、けん化反応を促進するために処理温度を30〜60℃、アルカリ水溶液の濃度を好ましくは1〜25質量%、より好ましくは10〜25質量%の条件にてけん化処理を行う。
【0034】
より分散性に優れる製品とするためには、けん化処理後の有機層に対して、硫酸アンモニウム水溶液、塩化アンモニウム水溶液、塩酸水溶液等の酸性水で洗浄する方法が好ましい。これにより、副反応及び中和処理で生成したカルボン酸ナトリウム(−COONa)を含む化合物からナトリウムを脱離する。この処理により、アルカリ金属塩の形態を有する乳化性化合物が酸構造を有する化合物となり、これを脱溶剤処理する。このような処理を行うことにより、インク顔料の分散性に優れたインクとすることができる。
(作用)
さて、本実施形態の作用について説明すると、多官能(メタ)アクリル酸エステルの製造工程において、エステル化反応で生成される反応生成物が中和処理工程で中和処理され、その後さらにけん化処理工程でけん化処理される。
【0035】
乳化を引き起こす副生物としては種々の化合物が考えられるが、その1つとして、多官能(メタ)アクリル酸エステル中における複数の(メタ)アクリロイルオキシ基のいずれか1個が下記化学式(1)で表わされる基で置換された化合物であるものと推測される。
【0036】
【化1】

〔化学式(1)において、Rは水素原子又はメチル基を表す。〕
このため、けん化処理では、係る乳化性化合物(カルボキシル基を有するエステル)のエステル結合をアルカリによって加水分解させ、対応する(メタ)アクリル酸〔実質上(メタ)アクリルアルカリ金属塩〕と多価アルコール誘導体とに分解し、それらの分解生成物を水に溶解させて除去できるため、乳化の発生を抑制できると推測している。
【0037】
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
・ 本実施形態の多官能(メタ)アクリル酸エステルの製造方法は、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とを、酸触媒の存在下に有機溶媒中でエステル化反応させて得られる反応生成物を、中和処理した後、けん化処理するものである。このように、中和処理工程での中和処理後にさらにけん化処理工程でけん化処理を行うようにしたことから、副反応物である乳化性化合物をけん化処理で分解することができる。従って、多官能(メタ)アクリル酸エステル中の乳化性化合物を低減することができ、後処理工程において発生する、有機層と水層の分離が不十分となる乳化の弊害を抑制することができる。
【0038】
・ 前記多価アルコールとして、水酸基数が3〜6のアルコール又はそのアルキレンオキシド付加物を用いることにより、(メタ)アクリロイル基密度の高い多官能(メタ)アクリル酸エステルを得ることができる。
【0039】
・ また、けん化処理をアルカリ水溶液で行うことにより、けん化反応による乳化性化合物の分解を効果的に行うことができるとともに、中和処理と同じ処理剤を共通して使用することができて効率が良い。
【0040】
・ さらに、けん化処理を20〜70℃の処理温度で行うことにより、乳化性化合物のけん化処理を常温又は少しの加熱で容易に行うことができる。
・ 従って、上記のようにして得られる多官能(メタ)アクリル酸エステルを塗料、接着剤、印刷インク等の分野に好適に用いることができる。特に、耐乳化性を要する印刷インクに供した場合には、インクのにじみや製造設備の汚染等の弊害を抑制することができる。
【実施例】
【0041】
以下に、実施例及び比較例を挙げ、前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1、ジペンタエリスリトールを原料とする多官能アクリル酸エステルの製造〕
(エステル化反応工程)
撹拌機及び温度計を備えた2L反応器に、ジペンタエリスリトール315g(1.24モル)、アクリル酸643g(8.9モル)、トルエン526g、塩化第二銅1.5g及び78%硫酸15gを仕込み、53kPaの圧力下、100℃に設定したオイルバスで反応器を加熱してエステル化反応を開始した。そして、トルエンとともに共沸する縮合水をディーンスターク装置で除去してエステル化反応を進め、8時間後にエステル化反応を停止した。このときの反応液質量は1380gであり、この酸価は1.75meq/gであった。
【0042】
反応液を冷却した後、トルエン740gを加えて希釈した。このようにして得られた反応液を中和処理用の槽に移し、純水350gを加えて5分間撹拌した後30分間静置し、上層(有機層)と下層(水層)を分離した。上層の酸価を測定したところ、0.82meq/gであった。
(中和処理工程)
上記の上層700gの酸分を中和するために20%水酸化ナトリウム水溶液115g(上層中の酸分に対して等量)を加え、5分間撹拌した後30分間静置した。そして、上層を分離したところ、650gであった。本上層液を用いて、以下に示す実施例1〜5のけん化処理を行った。
(けん化処理工程)
得られた中和処理後の上層液に、20%水酸化ナトリウム水溶液を中和処理時の添加量の2倍量(230g)を添加し、液温を30℃に維持しながら1時間撹拌してけん化処理を行った。そして、30分間静置した後、下層を除去した。
(水洗処理工程)
けん化処理工程で得られた上層液に純水70gを加えて5分間撹拌後1時間静置して水洗処理を行い、その後上層を分離した。
(脱溶剤処理工程)
水洗処理工程で得られた上層液にハイドロキノンモノメチルエーテル(以下MQという)400ppm(上層の固形分に対する割合)を添加し、減圧下に脱溶剤処理を行った。この際、オイルバス温度を80℃に設定し、液温が該温度を越えないようにした。また、酸素を含む窒素ガスを必要に応じて吹き込み、重合防止措置をとった。このようにして得られた多官能(メタ)アクリル酸エステルについて下記に示す耐乳化性試験を行い、乳化性化合物をけん化処理して除去するけん化処理工程の効果を判断した。その結果を表1に示した。
(耐乳化性試験方法)
試験管中でキシレン6.6gに多官能(メタ)アクリル酸エステル3.3gを溶解した液に、水9.9gを加える。その試験管を30秒間に10往復する速度で撹拌した後、静置する。耐乳化性の判定は、分離時間及び上層(軽液)と下層(重液)の透明度から下記に示す基準で判断した。
【0043】
◎:5分以内に分離し、上層及び下層の透明性が高い。
○:15分以内に分離し、上層及び下層の透明性がやや低下するが、良好である。
△:分離はするものの、両層の透明性が良くない。
【0044】
×:分離はするものの、両層の透明性が悪い。
〔実施例2及び3〕
実施例2においては、実施例1で得られた中和処理後の上層液を20%水酸化ナトリウム水溶液115g(中和処理にて使用した20%水酸化ナトリウム水溶液と同量)でけん化処理を行った以外は、実施例1と同様に処理し、多官能(メタ)アクリル酸エステルを得た。実施例3においては、けん化処理の撹拌時間を3時間にした以外は、実施例2と同様に実施し、多官能(メタ)アクリル酸エステルを得た。これらについて前記耐乳化性試験を実施し、その結果を表1に示した。
〔比較例1〕
実施例1において、中和処理工程後に、けん化処理は行わず、上層を純水70gで撹拌、洗浄した。静置後、得られた上層にMQを添加し、重合防止措置をとりながら実施例1と同様に脱溶剤処理し、多官能(メタ)アクリル酸エステルを得た。それについて、前記耐乳化性試験を行い、その結果を表1に示した。
〔実施例4及び5〕
実施例1で得られた中和処理後の上層液を、実施例4では液温45℃及び実施例5では液温60℃に制御しながら20%水酸化ナトリウム水溶液60g(中和処理にて使用した20%水酸化ナトリウム水溶液の半量)でけん化処理した以外は、実施例1と同様に実施し、多官能(メタ)アクリル酸エステルを得た。これらについて前記耐乳化性試験を実施し、その結果を表1に示した。
【0045】
【表1】

表1に示すように、実施例1〜3においては、耐乳化性試験についていずれも上層及び下層が5分以内又は15分以内に分離し、各層の透明性も良好であった。実施例4及び5では、けん化処理剤として20%水酸化ナトリウム水溶液を中和処理時の0.5倍量に減少させたが、処理温度を45℃又は60℃に上げたため、耐乳化性試験についていずれも上層及び下層が5分以内又は15分以内に分離し、各層の透明性も良好であった。これに対して、けん化処理工程を行わなかった比較例1においては、上層及び下層の分離はするものの、両層の透明性が悪いものであった。
〔実施例6、ジトリメチロールプロパンを原料とする多官能アクリル酸エステルの製造〕
(エステル化反応工程)
攪拌機及び温度計を備えた20L反応器に、ジトリメチロールプロパン4kg、アクリル酸5.26kg、次亜燐酸ソーダ29g、MQ14.5g、トルエン5kg及び78%硫酸61gを添加し、外温を103℃、圧力を50kPaに設定してエステル化反応を開始した。トルエンととともに共沸する縮合水をディーンスターク装置で除去してエステル化反応を進め、12時間後にエステル化反応を停止した。反応液を冷却した後、反応液にトルエン7.4kgを加えて希釈した。
(中和処理工程)
トルエン希釈液の酸価1.06meq/gに対して、等モル量に相当する20%水酸化ナトリウム水溶液2.86kgを添加して5分間攪拌し、30分間静置して中和処理を行った後、下層を除去した。
(けん化処理工程)
中和処理工程後の上層に、20%水酸化ナトリウム水溶液5.73kg(中和工程で使用した量の2倍)を添加して、常温(20℃)で1時間攪拌し、2時間静置してけん化処理を行った。その後、下層を除去した。
(水洗処理工程)
けん化処理工程後の上層に、4%硫酸アンモニウム水2.6kgを添加して5分間攪拌し、3時間静置した後、下層を除去した。
(脱溶剤処理工程)
水洗処理工程後の上層に、MQ1.3gを添加した後、外温を80℃に設定し、5%酸素を含有する窒素ガスを吹き込みながら、減圧下で溶剤を留去した。得られた生成物は5.9kgであった。この生成物について、実施例1と同様に耐乳化性試験を行った。その結果を表2に示す。
〔実施例7、トリメチロールプロパンを原料とする多官能アクリル酸エステルの製造〕
(エステル化反応工程)
トリメチロールプロパン4kg、アクリル酸7.2kg、塩化銅13.8g、MQ2.9g、パラトルエンスルホン酸0.25kg、トルエン3.8kgを使用した。そして、外温115℃、圧力95kPaでエステル化反応を開始し、エステル化反応の進行とともに圧力を下げ、12時間後にエステル化反応を停止した。それ以外は実施例6と同様に実施した。停止直前の圧力は54kPaであった。
(予備水洗処理工程)
反応液にトルエン7.7kgを添加して希釈し、これに純水2.15kgを添加して5分間攪拌し、1時間静置した後、下層を除去した。
(中和処理工程)
予備水洗処理後の上層(酸価:0.487meg/g、質量:21.5kg)に、20%水酸化ナトリウム水溶液2.08kg(上層中の酸分と等モル量)を添加し、5分間攪拌し、1時間静置して中和処理を行った後、下層を除去した。
(けん化処理工程)
中和処理工程後の上層に、20%苛性ソーダ水溶液1.28kg(中和処理工程で使用した量の0.6倍量)を添加し、液温40℃で40分間攪拌し、1時間静置してけん化処理を行った。その後、下層を除去した。
(水洗処理工程)
けん化処理工程後の上層に、純水2.15kgを添加して5分間攪拌し、3時間静置した後、下層を除去した。
(脱溶剤処理工程)
水洗処理工程後の上層に、MQ0.7gを添加する以外は、実施例6と同様の方法で脱溶剤処理を行った。得られた生成物は7.1kgであった。その生成物について、実施例1と同様に耐乳化性試験を行った。その結果を表2に示す。
〔実施例8、ペンタエリスリトールを原料とする多官能アクリル酸エステルの製造〕
(エステル化反応工程)
実施例6において、ペンタエリスリトール2.7kg、アクリル酸6.86kg、塩化銅14g、パラトルエンスルホン酸0.28kg及びトルエン4.1kgを使用した。そして、外温100℃、圧力60kPaでエステル化反応を開始し、エステル化反応の進行とともに圧力を下げ、12時間後にエステル化反応を停止した。それ以外は、実施例6と同様にしてエステル化反応を行った。停止直前の圧力は53kPaであった。
(予備水洗処理工程)
トルエン6.3kg、純水1.9kgを使用する以外は、実施例7と同様の方法で反応液を予備水洗処理し、下層を除去した。
(中和処理工程)
予備水洗処理後の上層(酸価:1.28meq/g、質量:18.4kg)に、20%水酸化ナトリウム水溶液4.8kg(上層中の酸分と等モル量)を添加する以外は、実施例7と同様の方法で中和し、下層を除去した。
(けん化処理工程)
中和処理工程後の上層に、20%水酸化ナトリウム水溶液2.88kg(中和処理工程で使用した量の0.6倍)を添加する以外は、実施例7と同様の方法でけん化処理した後、下層を除去した。
(水洗処理工程)
純水2.6kgを使用し、2時間静置した以外は、実施例7と同様の方法で水洗処理し、下層を除去した。
(脱溶剤処理工程)
水洗処理工程後の上層に、MQ1.3gを添加する以外は、実施例6と同様の方法で脱溶剤処理を行った。得られた生成物は5.4kgであった。その生成物について、実施例1と同様にして耐乳化性試験を行った。その結果を表2に示す。
〔実施例9、アルカリ水溶液として濃度10%の水酸化カリウム水溶液を用いた実施例〕
実施例1で得られた中和処理後の上層液700gに、10%水酸化カリウム水溶液643gを添加し、常温で2時間攪拌してけん化処理を行った。けん化処理後の上層について、実施例1と同様にして水洗処理及び脱溶剤処理を行い、210gの生成物を得た。得られた生成物について、実施例1と同様にして耐乳化性試験を行った。その結果を表2に示す。
【0046】
【表2】

表2に示すように、実施例6ではけん化処理剤として20%水酸化ナトリウムを中和処理時の2倍量用いたことから、耐乳化性試験の結果について、いずれも上層及び下層が5分以内に分離し、各層の透明性が高かった。実施例7及び8ではけん化処理剤として20%水酸化ナトリウムを中和処理時の0.6倍量という少量用いたが、処理温度を40℃に上げたことから、耐乳化性試験の結果について、いずれも上層及び下層が5分以内又は15分以内に分離し、各層の透明性が良好であった。実施例9においては、けん化処理剤として10%水酸化カリウム水溶液を中和処理時の2倍量用いたことから、耐乳化性試験の結果について、上層及び下層が15分以内に分離し、各層の透明性が良好であった。
【0047】
なお、前記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記けん化処理を複数回行い、乳化性化合物をより低減させるように構成することもできる。その場合、けん化処理剤としてアルカリ水溶液の濃度を変えたり、処理温度を変えたりすることが好ましい。
【0048】
・ けん化処理剤としてのアルカリとして、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属塩や水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属の水溶液を用いることもできる。
・ けん化処理を20℃未満の処理温度で、処理時間を長くして行うこともできる。
【0049】
・ 中和処理工程で、酸化カルシウム等の吸着剤を使用したり、粉末の中和剤を使用したりすることもできる。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
【0050】
・ 前記反応生成物を水洗処理した後、中和処理することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の多官能(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。このように構成した場合、請求項1から請求項4のいずれかに係る発明の効果に加えて、反応生成物中の水溶性成分を水洗処理して除去することができ、中和処理の効率を向上させることができる。
【0051】
・ 前記けん化処理後に、水洗処理及び脱溶剤処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の多官能(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。このように構成した場合、請求項1から請求項4のいずれかに係る発明の効果に加えて、乳化性化合物を水洗処理及び脱溶剤処理で除去することができ、多官能(メタ)アクリル酸エステル中の乳化性化合物を一層減少させることができる。
【0052】
・ 前記けん化処理後に、酸性水又はアンモニウム塩水を用いた水洗処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の多官能(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。このように構成した場合、請求項1から請求項4のいずれかに係る発明の効果に加えて、副反応及び中和処理で生成したカルボン酸アルカリを酸構造に変化させることができ、多官能(メタ)アクリル酸エステルをインク顔料を分散させるインクとして好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多価アルコールと(メタ)アクリル酸とを、酸触媒の存在下に有機溶媒中でエステル化反応させて得られる反応生成物を、中和処理した後、けん化処理することを特徴とする多官能(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
【請求項2】
前記多価アルコールは、水酸基数が3〜6のアルコール又はそのアルキレンオキシド付加物であることを特徴とする請求項1に記載の多官能(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
【請求項3】
前記けん化処理は、アルカリ水溶液を用いて行うものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の多官能(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
【請求項4】
前記けん化処理は、20〜70℃の処理温度で行うものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の多官能(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。

【公開番号】特開2007−1958(P2007−1958A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−187350(P2005−187350)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(000003034)東亞合成株式会社 (548)
【Fターム(参考)】