説明

多層プリント基板およびその製造方法

【課題】 層間接続信頼性が高い多層プリント基板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 スルーホールと、両面に形成された導体パターンと、前記スルーホールに前記導体パターンと一体に導体が充填形成された充填スルーホールとをそれぞれ有する樹脂フィルムが複数枚重ね合わされており、前記導体パターンと前記充填スルーホールとを一体形成する前記導体は、Ni−P合金でめっきを施して230℃〜250℃で30秒〜30分加熱することにより形成された下地金属層と該下地金属層上に形成された導体層とを有し、前記樹脂フィルムは、ガラス転移点および融点が150℃以上350℃以下である熱可塑性樹脂であり、複数の前記樹脂フィルムのうちの隣接する2つの樹脂フィルム間に、対向する2つの前記導体パターンと金属間結合した導電体が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層プリント基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多層プリント基板の製造方法として、例えば特許文献1、特許文献2等に開示された多層基板の製造方法がある。
【0003】
特許文献1には、層間接続をした複数の両面基板を製造し、この複数の両面基板を層間接続可能な処理をしたフィルム状絶縁体を介して積層することで、基板の両面に電極を有する多層基板を製造する方法が開示されている。
【0004】
特許文献2には、樹脂フィルムの片面にのみ導体パターンが形成された片面導体パターンフィルムを積層し、電極が露出するように樹脂フィルムを除去することで、両面に電極を有する多層基板を製造する方法が開示されている。また、特許文献2には、多層基板表面をなす片面導体パターンフィルムを除いて、片面導体パターンフィルムには、導体パターンを底面とする有底ビアホールが形成され、その有底ビアホール内に導電ペーストを充填することにより、この導電ペーストを介して隣接する片面導体パターンフィルム同士の導体パターンを導通させる技術が開示されている。これによると、多層基板の各導体パターン層間をビアホール内の導電ペーストにより導通させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−38464号公報
【特許文献2】特開2003−86948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1及び2に開示された従来技術では、いずれの従来技術でも、ビアホール内の導電ペーストのみを各導体パターン層間の層間接続に用いる構成であるため、電気的に全ての層間接続をとるのが難しく、層間接続信頼性が低い。
【0007】
導電ペーストのみを層間接続に用いる場合、熱融着プレスの温度、圧力の制御が難しく、電気的に全ての層間接続をとることは困難であった。特に熱可塑性樹脂を用いると、融着プレス時にフィルムが変形しやすく、多層基板としての厚さにバラツキが発生する不具合が顕著であった。
【0008】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みて為されたもので、その目的は、層間接続信頼性が高い多層プリント基板およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明に係る多層プリント基板は、スルーホールと、両面に形成された導体パターンと、前記スルーホールに前記導体パターンと一体に導体が充填形成された充填スルーホールとをそれぞれ有する樹脂フィルムが複数枚重ね合わされており、前記導体パターンと前記充填スルーホールとを一体形成する前記導体は、Ni−P合金でめっきを施して230℃〜250℃で30秒〜30分加熱することにより形成された下地金属層と該下地金属層上に形成された導体層とを有し、前記樹脂フィルムは、ガラス転移点および融点が150℃以上350℃以下である熱可塑性樹脂であり、 複数の前記樹脂フィルムのうちの隣接する2つの樹脂フィルム間に、対向する2つの前記導体パターンと金属間結合した導電体が設けられていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、充填スルーホールにより各樹脂フィルム両面の導体パターンが電気的に接続されると共に、複数の樹脂フィルムのうちの隣接する2つの樹脂フィルム間で対向する2つの導体パターンが導電体により電気的に接続される。このように、スルーホールに形成された充填スルーホールと、隣接する2つの樹脂フィルム間で対向する2つの導体パターンと金属間結合した導電体とを、層間接続に用いる構成であるため、層間接続信頼性が高い。また、樹脂フィルム両面の導体パターンと充填スルーホールは一体に形成されているので、層間接続信頼性が高い。また、層間接続をとる充填スルーホールと、導電体とが交互に積層するため、熱融着プレス時に、導電体への圧力が均一になりやすく、層間接続信頼性が高い。さらに、樹脂フィルムは熱融着プレスなどにより重ね合わされるが、この際に、各樹脂フィルムの充填スルーホールが厚さ方向の柱として支えになるため、熱融着プレス時の厚さばらつきを無くすことができる。
導体パターンと充填スルーホールとを、下地金属層と導体層を有する2層構造にすることで、導体層の樹脂フィルムとの密着性が良くなるので、層間接続信頼性がさらに向上する。
前記樹脂フィルムは、ガラス転移点および融点が150℃以上350℃以下である熱可塑性樹脂であるため、樹脂フィルムと、その両面およびスルーホールに形成される導体との間に接着層を用いる必要がなくなり、その分工程数を削減できる。
【0011】
請求項2に記載の発明に係る多層プリント基板は、スルーホールと、両面に形成された導体パターンと、前記スルーホールに前記導体パターンと一体に導体が充填形成された充填スルーホールとをそれぞれ有する複数の第1の樹脂フィルムと、ビアホールを有し、両面に導体パターンの無い第2の樹脂フィルムとが交互に重ね合わされており、前記導体パターンと前記充填スルーホールとを一体形成する前記導体は、Ni−P合金でめっきを施して230℃〜250℃で30秒〜30分加熱することにより形成された下地金属層と該下地金属層上に形成された導体層とを有し、前記第1の樹脂フィルムは、ガラス転移点および融点が150℃以上350℃以下である熱可塑性樹脂であり、前記ビアホール内に充填された導電ペースト或いは金属粉が、前記複数の第1の樹脂フィルムのうちの隣接する2つの前記第1の樹脂フィルム間で対向する2つの前記導体パターンと金属間結合していることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、充填スルーホールにより各第1の樹脂フィルム両面の導体パターンが電気的に接続されると共に、複数の第1の樹脂フィルムのうちの隣接する2つの第1の樹脂フィルム間で対向する2つの導体パターンが導電ペースト或いは金属粉により電気的に接続される。このように、スルーホールに形成された充填スルーホールと、隣接する2つの第1の樹脂フィルム間で対向する2つの導体パターンと金属間結合した導電ペースト或いは金属粉とを、層間接続に用いる構成であるため、層間接続信頼性が高い。また、第1の樹脂フィルム両面の導体パターンと充填スルーホールは一体に形成されているので、層間接続信頼性が高い。さらに、第1の樹脂フィルムは熱融着プレスなどにより重ね合わされるが、この際に、各代1の樹脂フィルムの充填スルーホールが厚さ方向の柱として支えになるため、熱融着プレス時の厚さばらつきを無くすことができる。
導体パターンと充填スルーホールとを、下地金属層と導体層を有する2層構造にすることで、導体層の樹脂フィルムとの密着性が良くなるので、層間接続信頼性がさらに向上する。
前記第1の樹脂フィルムは、ガラス転移点および融点が150℃以上350℃以下である熱可塑性樹脂であるため、第1の樹脂フィルムと、その両面およびスルーホールに形成される導体との間に接着層を用いる必要がなくなり、その分工程数を削減できる。
【0013】
請求項3に記載の発明に係る多層プリント基板は、前記下地金属層は、Pが2〜6%で厚さが0.05〜0.5ミクロンのNi−P合金で形成され、前記導体層は、Cuで形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明に係る多層プリント基板は、前記樹脂フィルムは、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリテトラフルオロエチレン、またはポリエーテルエーテルケトンとポリエーテルイミドとの化合物からなることを特徴とする。請求項5に記載の発明に係る多層プリント基板は、前記第1の樹脂フィルムは、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリテトラフルオロエチレン、またはポリエーテルエーテルケトンとポリエーテルイミドとの化合物からなることを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明に係る多層プリント基板は、前記樹脂フィルムは、液晶ポリマーフィルムであることを特徴とする。請求項7に記載の発明に係る多層プリント基板は、前記第1の樹脂フィルムは、液晶ポリマーフィルムであることを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の発明に係る多層プリント基板は、前記導電ペーストが少なくともSn,Cu,Agを含む金属粉からなることを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決するために、請求項9に記載の発明に係る多層プリント基板の製造方法は、スルーホールと、両面に形成された導体パターンと、前記スルーホールに前記導体パターンと一体に導体が充填形成された充填スルーホールとを有する樹脂フィルムを作製する工程と、導電ペースト或いは金属粉を、隣接する2つの前記樹脂フィルムの導体パターン間に介在させて、複数の前記樹脂フィルムを積み重ね、これらの積層体を熱融着プレスにより重ね合わせる工程と、を備え、前記樹脂フィルムを作製する工程において、樹脂フィルムの両面および前記スルーホール内壁に無電解めっきによってNi−P合金でめっきを施して230℃〜250℃で30秒〜30分加熱することにより下地金属層を形成し、該下地金属層上に電気めっきによって導体層を形成した後、該導体層に前記樹脂フィルムの両面の導体パターンを形成し、前記樹脂フィルムは、ガラス転移点および融点が150℃以上350℃以下である熱可塑性樹脂であることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、隣接する2つの樹脂フィルムの導体パターン間に介在させた導電ペースト或いは金属粉が熱融着プレスにより硬化して導電体となり、この導電体が、隣接する2つの樹脂フィルム間で対向する2つの導体パターンと金属間結合する。これにより、充填スルーホールにより各樹脂フィルム両面の導体パターンが電気的に接続されると共に、複数の樹脂フィルムのうちの隣接する2つの樹脂フィルム間で対向する2つの導体パターンが、導電体により電気的に接続される。このように、スルーホールに形成された充填スルーホールと、隣接する2つの樹脂フィルム間で対向する2つの導体パターンと金属間結合した導電体とを、層間接続に用いる構成であるため、層間接続信頼性が高い。また、樹脂フィルム両面の導体パターンと充填スルーホールは一体に形成されているので、層間接続信頼性が高い。また、層間接続をとる充填スルーホールと導電体とが交互に積層するため、熱融着プレス時に、導電ペーストへの圧力が均一になりやすく、層間接続信頼性が高い。さらに、複数の樹脂フィルムを熱融着プレスにより重ね合わせる際に、各樹脂フィルムの充填スルーホールが厚さ方向の柱として支えになるため、熱融着プレス時の厚さばらつきを無くすことができる。
この構成によれば、導体パターンと充填スルーホールとを、下地金属層と導体層を有する2層構造にすることで、導体層の密着性が良くなる。これにより、層間接続信頼性がさらに向上する。また、下地金属層は無電解めっきにより形成するので、導体パターンと充填スルーホールの導体厚を薄くすることができる。これにより、微細な導体パターンを形成することができる。これに対して、上記特許文献1,2に開示された従来技術では、銅箔をフィルムに融着プレスしてから導体パターンを形成するため、銅箔の厚さに制限があり、微細加工に向かない。さらに、導体パターンと充填スルーホールは同時に形成するため、接続信頼性が高く、かつ、導体パターンと充填スルーホールの導体厚が均一になる。
【0019】
上記課題を解決するために、請求項10に記載の発明に係る多層プリント基板の製造方法は、スルーホールと、両面に形成された導体パターンと、前記スルーホールに前記導体パターンの導体と一体に導体が充填形成された充填スルーホールとを有する第1の樹脂フィルムを作製する工程と、ビアホールを有し、両面に導体パターンの無い第2の樹脂フィルムを作製する工程と、前記ビアホールの開口端が前記導体パターンと接するように、前記第1の樹脂フィルムと前記第2の樹脂フィルムとを熱融着して単位ユニットを作製する工程と、前記ビアホール内に導電ペースト或いは金属粉を充填した後、複数の前記単位ユニットを積み重ね、これらの積層体を熱融着プレスにより重ね合わせる工程と、を備え、前記第1の樹脂フィルムを作製する工程において、樹脂フィルムの両面および前記スルーホール内壁に無電解めっきによってNi−P合金でめっきを施して230℃〜250℃で30秒〜30分加熱することにより下地金属層を形成し、該下地金属層上に電気めっきによって導体層を形成した後、該導体層に前記第1の樹脂フィルムの両面の導体パターンを形成し、前記第1の樹脂フィルムは、ガラス転移点および融点が150℃以上350℃以下である熱可塑性樹脂であることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、ビアホール内に充填した導電ペースト或いは金属粉が熱融着プレスにより硬化して導電体となり、この導電体が、隣接する2つの第1の樹脂フィルム間で対向する2つの導体パターンと金属間結合する。これにより、充填スルーホールにより各樹脂フィルム両面の導体パターンが電気的に接続されると共に、複数の第1の樹脂フィルムのうちの隣接する2つの第1の樹脂フィルム間で対向する2つの導体パターンが導電体により電気的に接続される。このように、スルーホールに形成された充填スルーホールと、隣接する2つの第1の樹脂フィルム間で対向する2つの導体パターンと金属間結合した導電体とを、層間接続に用いる構成であるため、層間接続信頼性が高い。また、第1の樹脂フィルム両面の導体パターンと充填スルーホールは一体に形成されているので、層間接続信頼性が高い。また、層間接続をとる充填スルーホールと導電体とが交互に積層するため、熱融着プレス時に、導電ペーストへの圧力が均一になりやすく、層間接続信頼性が高い。さらに、複数の第1の樹脂フィルムを熱融着プレスにより重ね合わせる際に、各第1の樹脂フィルムの充填スルーホールが厚さ方向の柱として支えになるため、熱融着プレス時の厚さばらつきを無くすことができる。
この構成によれば、導体パターンと充填スルーホールとを、下地金属層と導体層を有する2層構造にすることで、導体層の密着性が良くなる。これにより、層間接続信頼性がさらに向上する。また、下地金属層は無電解めっきにより形成するので、導体パターンと充填スルーホールの導体厚を薄くすることができる。これにより、微細な導体パターンを形成することができる。これに対して、上記特許文献1,2に開示された従来技術では、銅箔をフィルムに融着プレスしてから導体パターンを形成するため、銅箔の厚さに制限があり、微細加工に向かない。さらに、導体パターンと充填スルーホールは同時に形成するため、接続信頼性が高く、かつ、導体パターンと充填スルーホールの導体厚が均一になる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、層間接続信頼性が高い多層プリント基板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施形態に係る多層プリント基板の一部の概略構成を示す断面図。
【図2】図1の一部を拡大して示した部分断面図。
【図3】(A)乃至(D)は第1の樹脂フィルムの作製手順を示す工程図。
【図4】(A),(B)は第2の樹脂フィルムの作製手順を示す工程図。
【図5】(A),(B)は単位ユニットの作製手順を示す工程図。
【図6】熱融着プレスの実施前における各構成部材の配置順を示す説明図。
【図7】第2実施形態に係る多層プリント基板の一部の概略構成を示す断面図。
【図8】導電ペーストが導電パターン上に塗布された樹脂フィルムを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明を具体化した各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施形態の説明において同様の部位には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0024】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る多層プリント基板を図1乃至図6に基づいて説明する。
【0025】
図1は第1実施形態に係る多層プリント基板の一部の概略構成を示す断面図、図2は図1の一部を拡大して示した部分断面図である。図3乃至図6は多層プリント基板の製造方法を説明するための工程図である。
【0026】
図1に示す多層プリント基板10は、一例として6層の多層プリント基板に形成されている。この多層プリント基板10は、スルーホール11と、両面に形成された導体パターン12と、スルーホール11に導体パターン12と一体に充填形成された充填スルーホール14とを有する第1の樹脂フィルム15と、ビアホール21を有し、両面に導体パターンの無い第2の樹脂フィルム22とが交互に重ね合わされている。第1の樹脂フィルム15と第2の樹脂フィルム22は、両側に第1の樹脂フィルム15が位置するように、交互に重ね合わされている。
【0027】
また、多層プリント基板10では、複数の第1の樹脂フィルム15のうちの隣接する2つの第1の樹脂フィルム15間に、対向する2つの導体パターン12と金属間結合した導電体23が設けられている。この導電体23は、ビアホール21内に充填された導電ペースト23A(図5(B)参照)が硬化されたものである。これにより、隣接する2つの第1の樹脂フィルム15間で対向する導体パターン12が、導電体23を介して電気的に接続されると共に機械的に結合されている。
【0028】
さらに、多層プリント基板10は、その両側にある第1の樹脂フィルム15,15の一方の導体パターン12全体を覆うレジスト膜41と、その他方の導体パターン12全体を覆うレジスト膜42とを備えている。レジスト膜41,42には、導体パターン12の一部(電極となる箇所)を露出させるための貫通孔41a,42aがそれぞれ形成されている。
【0029】
第1の樹脂フィルム15、第2の樹脂フィルム22、およびレジスト膜41,42は、例えば同じフィルム基材で構成されている。フィルム基材は、一般的なガラス布基材エポキシ樹脂やBTレジンなどを用いてもよいが、融着プレスで複数枚接合させる観点からは、フィルム基材に熱可塑性樹脂を用いた方が好都合である。熱可塑性フィルムのなかでは、液晶ポリマーフィルム,PEEK(Polyetheretherketone),PES(Polyethersulfone),PPE(Polyphenyeneether),PTFE(Polytetrafluoroethylene)などがあげられる。また、熱可塑性ポリイミドを用いてもよい。
【0030】
各第1の樹脂フィルム15の導体パターン12と充填スルーホール14は、一つの導体13で一体に形成されている。この導体13は、図2に示すように、下地金属層13aと、下地金属層13a上に形成された導体層13bとを有する。導体パターン12は、各第1の樹脂フィルム15の両面にある導体13の導体層13bに形成されている。
【0031】
以上の構成を有する多層プリント基板10は、3つの第1の樹脂フィルム15と2つの第2の樹脂フィルム22を図1に示すように交互に重ね合わせ、さらに、両側にレジスト膜41,42を配置した状態で、熱融着プレスによって作製される。この熱融着プレスにより、第1の樹脂フィルム15、第2の樹脂フィルム22およびレジスト膜41,42の隣接するもの同士を融着させると共に、第2の樹脂フィルム22のビアホール21に充填した導電ペースト23Aを硬化させる。これにより、各導電ペースト23Aが硬化してできる導電体23が、対向する2つの導体パターン12と金属間結合する。これにより、隣接する2つの第1の樹脂フィルム15間で対向する導体パターン12が、導電体23を介して電気的に接続されると共に機械的に結合されている。
【0032】
この多層プリント基板10では、両面の導体パターン12と一体にスルーホール11に充填形成された充填スルーホール14と導電体23とを、層間接続に用いている。
【0033】
次に、上記構成を有する多層プリント基板10の製造方法を、図3乃至図6に基づいて説明する。
(1)まず、スルーホール11と、両面に形成された導体パターン12と、スルーホール11に導体パターン12と一体に導体13が充填形成された充填スルーホール14とを有する第1の樹脂フィルム15を作製する工程を実施する。
【0034】
この工程では、まず、図3(A)に示す第1の樹脂フィルム15に、スルーホール11を穴あけ加工により形成する(図3(B)参照)。
【0035】
次に、図3(C)に示すように、第1の樹脂フィルム15の両面およびスルーホール11に、下地金属層13aとこの下地金属層13a上に形成された導体層13bとを有する導体13(図2参照)を形成する(図3(C)参照)。下地金属層13aは無電解めっき処理により形成する。また、導体層13bは電気めっき処理により形成する。
【0036】
次に、導体13のうち、第1の樹脂フィルム15の両面にある導体13の導体層13b(図2参照)に、導電パターン12を形成する(図3(D)参照)。
(2)次に、ビアホール21を有し、両面に導体パターンの無い第2の樹脂フィルム22を作製する工程を実施する。
【0037】
この工程では、図4(A)に示す第1の樹脂フィルム22に、ビアホール21を穴あけ加工により形成する(図4(B)参照)。
(3)次に、図5(A)に示すように、ビアホール21の開口端が導体パターン12と接するように、第1の樹脂フィルム15と第2の樹脂フィルム22とを熱融着して単位ユニット30を作製する工程を実施する。
【0038】
または、先に第2の樹脂フィルム22を第一の樹脂フィルム15に熱融着してから、第2の樹脂フィルム22に穴あけ加工してビアホール21を形成してもよい。
(4)次に、ビアホール21内に導電ペースト23Aを充填する(図5(B)参照)。
(5)次に、複数の単位ユニット30を積み重ね、これらの積層体を熱融着プレスにより重ね合わせる工程を実施する。
【0039】
この工程では、レジスト膜42、第1の樹脂フィルム15、2つの単位ユニット30,およびレジスト膜41を、図6に示す順番に積み重ね、これらの積層体を熱融着プレスにより重ね合わせる。これにより、図1に示す多層プリント基板10が完成する。
【0040】
以上のように構成された第1実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
○第1の樹脂フィルム15は、スルーホール11と、両面に形成された導体パターン12と、スルーホール11に導体パターン12と一体に導体13が充填形成された充填スルーホール14とを有するので、充填スルーホール14により各第1の樹脂フィルム15両面の導体パターン12が電気的に接続される。また、複数の第1の樹脂フィルム15のうちの隣接する2つの第1の樹脂フィルム15間に、対向する2つの導体パターン12と金属間結合した導電体23が設けられているので、隣接する2つの第1の樹脂フィルム15間で対向する導体パターン12が、導電体23を介して電気的に接続されると共に機械的に結合されている。
【0041】
このように、スルーホール11に導体パターン12と一体に導体13が充填形成された充填スルーホール14と、隣接する2つの第1の樹脂フィルム15間で対向する2つの導体パターン12と金属間結合した導電体23とを、層間接続に用いる構成であるため、層間接続信頼性が高い。
【0042】
また、第1の樹脂フィルム15両面の導体パターン12と充填スルーホール14は一体に形成されているので、この点でも層間接続信頼性が高い。従って、層間接続信頼性が高い多層プリント基板10を得ることができる。
【0043】
○導体パターン12と充填スルーホール14とが形成される一つの導体13を、下地金属層13aと導体層13bを有する2層構造にすることで、導体層13bの樹脂フィルムとの密着性が良くなるので、層間接続信頼性がさらに向上する。下地金属層13aは、Ni−P合金でめっきを施して230℃〜250℃で30秒〜30分加熱することにより形成される。
【0044】
○下地金属層13aは無電解めっきにより形成するので、導体パターン12と充填スルーホール14の導体厚を薄くすることができる。これにより、微細な導体パターン12を形成することができる。
【0045】
○導体パターン12と充填スルーホール14は同時に形成するため、接続信頼性が高く、かつ、導体パターン12と充填スルーホール14の導体厚が均一になる。
【0046】
○第1の樹脂フィルム15は熱融着プレスなどにより重ね合わされるが、この際に、各代1の樹脂フィルム15の充填スルーホール14が厚さ方向の柱として支えになるため、熱融着プレス時の厚さばらつきを無くすことができる。
【0047】
○層間接続をとる充填スルーホール14と導電体23とが交互に積層するため、熱融着プレス時に、導電体23への圧力が均一になりやすく、層間接続信頼性が高い。
(実施例)
下記の表1に示す実施例1〜3は、上記第1実施形態に係る多層プリント基板10において、導電ペースト23Aとして、Agペーストを用いた実施例である。実施例4〜6は、上記第1実施形態に係る多層プリント基板10において、導電ペースト33Aとして、AgSnペーストを用いた実施例である。
【0048】
【表1】


<樹脂フィルム15の作製方法>
実施例1では、第1の樹脂フィルム15として、厚さ50μmの液晶ポリマーフィルム(株式会社クラレ製のVecstar(登録商標)CT−50N)を用いた。
【0049】
炭酸ガスレーザによりスルーホール11を形成した。
スルーホール11は、炭酸ガスレーザだけでなく、小径ではUV−YAGレーザを用いてもよく、エキシマレーザを用いても良い。また、機械ドリルでスルーホール11を加工してもよい。
フィルム粗面化・デスミア:
穴あけ加工した第1の樹脂フィルム15を強アルカリに浸して表面を溶解し粗面化した。
【0050】
10規定の水酸化カリウム溶液に80℃で15〜30分間浸して、表面に凹凸を形成した。同時に、スルーホール11形成時に発生した樹脂スミアを溶解除去し、スルーホール11内壁表面も粗面化した。
【0051】
無電解めっきにより、樹脂フィルム15表面に下地めっき(下地金属層13a)としてNi−Pをめっきした。
【0052】
コンディショナー処理、ニッケルリン合金の無電解めっき処理、熱処理、銅の電気めっき処理の各処理を順に施してスルーホールとフィルム両面を導電化したフィルムを製造した。
無電解めっき:
コンディショナー処理は、奥野製薬工業株式会社製のOPC−350コンディショナーにより、高分子フィルムの表面を洗浄した。ここで、パラジウムを含む触媒付与液として奥野製薬工業株式会社製のOPC−80キャタリスト、活性化剤としてOPC−500アクセラレーターを用いた。
【0053】
ニッケル合金の無電解めっき処理は、第1の樹脂フィルム15両面にニッケル(Ni)−リン(P)めっきを行った。リン濃度2〜6%のものとして、市販のニッケル−リンめっき液から選定した。奥野製薬工業株式会社の化学ニッケルEXCを用い、Niめっき厚を0.2ミクロン厚形成した。
【0054】
めっき液はこれに限定するものではなく、株式会社メルデックスのエンプレート(登録商標)NI−426、奥野製薬工業株式会社のトップニコロン(登録商標)LPH−LFを用いても良い。
【0055】
銅めっき前に密着性を向上させるため、熱処理を行っても良い。230〜250℃の温度にて、30秒〜30分の加熱を行った。本実施例では、240℃、3分の加熱を施した。
銅電気めっき:
さらに銅電気めっきを行い、導体13の導体層13bを1〜10ミクロン厚に形成した。銅(Cu)の電気めっき処理は、導体層13bの導体厚が5ミクロンになるように銅を形成した。銅電気めっき液は下記を用いた。尚、スルーホールフィリング用添加剤として、荏原ユージライト株式会社製のキューブライトTFIIを使用した。
【0056】
硫酸銅 120 g/L
硫酸 150 g/L
濃塩酸 0.125mL/L(塩素イオンとして)
導体パターン12の作製:
導体パターン12は、サブトラクティブ法で第1の樹脂フィルム15の両面(導体13の導体層13b)に回路を形成した。感光レジストを塗布し、紫外線にて露光し、現像を行った。次に、エッチング工程を行い、導体パターン12を形成した後、レジストを剥離した。なお、さらに微細な回路形成には、電気銅めっき厚(導体厚)を2〜3ミクロン厚にして、めっきレジストを形成してから導体パターン部に電気銅めっきを行うセミアディティブ法を用いても構わない。
【0057】
<多層プリント基板10の製造方法>
第1の樹脂フィルム15と第2の樹脂フィルム22を重ねてプレス温度150〜350℃の範囲、プレス圧力0.5〜10MPaの範囲で熱融着プレスを行った。
【0058】
実施例では、1MPa、220℃として第1の樹脂フィルム15と第2の樹脂フィルム22を融着した。
【0059】
次に、導電ペースト23Aを第2の樹脂フィルム22のビアホール21にスクリーン印刷にて塗布した。
【0060】
次に、第1の樹脂フィルム15と第2の樹脂フィルム22を融着した単位ユニット30を複数枚重ね合わせ、一括熱融着プレスを行った。
【0061】
プレス温度は150〜350℃の範囲、プレス圧力0.5〜10MPaの範囲で行った。このプレスにより、樹脂フィルム15,22同士を融着すると共に、樹脂フィルム22のビアホール21に充填した導電ペースト23Aを硬化させ、これによりできる導電体23と第1の樹脂フィルム15の導体パターン12とを金属間結合させた。
【0062】
実施例1〜3では、導電ペースト23AはAgペーストとして、藤倉化成株式会社製のドータイトXA−824を用いた。また、実施例4〜6では、導電ペースト23AはAgSnペーストを用いた。ペーストの詳細は、特許第3473601号公報の段落0075に記載のものを用いた。
【0063】
実施例2では、フィルム基材として、厚さ50μmの液晶ポリマーフィルム(ジャパンゴアテックス株式会社製BIAC(登録商標) BC)を用いた。
【0064】
実施例3では、フィルム基材として、厚さ50μmのPEEK/PEI(三菱樹脂株式会社製IBUKI(登録商標))を用いた。
【0065】
実施例4では、フィルム基材として、厚さ50μmの液晶ポリマーフィルム(株式会社クラレ製のVecstar(登録商標)CT−50N)を用いた。
【0066】
実施例5では、フィルム基材として、厚さ50μmの液晶ポリマーフィルム(ジャパンゴアテックス株式会社製BIAC(登録商標) BC)を用いた。
【0067】
実施例6では、フィルム基材として、厚さ50μmのPEEK/PEI(三菱樹脂株式会社製IBUKI(登録商標))を用いた。
【0068】
なお、実施例2〜6では、多層基板は実施例1と同様にして作製し、プレス圧力、温度は下記の表1による条件でおこなった。
(比較例)
比較例1〜6では、銅箔と樹脂フィルムを張り合わせた片面積層板(片面導体パターンフィルム)、および、両面積層板(両面導体パターンフィルム)を用い、層間接続には、ブラインドビアホールに導電ペーストを充填したものを熱融着プレスして多層プリント基板を作製した。導電ペーストは実施例と同じものを用いた。各比較例で用いたフィルム、プレス圧力、プレス温度は下記の表2による。フィルムは実施例と同じ型番で厚さのものを使用した。
【0069】
【表2】


プレスによる基板変形量の評価:
フィルム厚さを基準にして、融着プレス後の基板厚さの変化を求めた(表1、表2参照)。実施例、比較例では50ミクロン厚の樹脂フィルムを7枚積層したので、350ミクロン厚を基準とし、プレス後のフィルム厚さを測定し、厚さ変形量とした。
【0070】
接続信頼性の比較:
JIS C 5012の付図2.1のLに準じる導体パターンの6層基板を作製した。ただし、層間接続部の穴径100ミクロンとし、ランド径は0.5mm、配線幅は0.3mmとし、スルーホール11の間隔は7.62mmとした。実施例の多層プリント基板10の作製では、充填スルーホール14の中心位置に対し、導電ペースト23Aを充填するビアホール21の中心位置は150ミクロンオフセットした位置となるようにした。一方、比較例では、層間接続をとるための導電ペーストを充填するビアホールは同軸上となるように配置した。
【0071】
実施例では、JIS C 5012の9.1.3記載条件1に該当する温度サイクル試験を実施し、層間接続信頼性について調査した。初期抵抗に対し20%以上抵抗値が増加した時点で接続不良とみなした。
【0072】
表1に示す実施例1乃至6と表2に示す比較例1乃至6をみると、各実施例1乃至によれば、次のような効果が得られる。
融着プレス後のプレス厚さ変形量が小さい。
スルーホールの接続信頼性が高い。
【0073】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る多層プリント基板10Aを、図7および図8に基づいて説明する。
【0074】
この多層プリント基板10Aでは、対向する2つの導体パターン12,12と金属間結合する導電体23(図7参照)となる導電ペースト23Aを、図8に示すように、隣接する2つの樹脂フィルム15,15の間で対向する2つの導電パターン12,12のいずれか一方に塗布しておく。
【0075】
その後、レジスト膜42、導電ペースト23Aが導電パターン12上に塗布された樹脂フィルム15、導電ペースト23Aが導電パターン12上に塗布された樹脂フィルム15、導電パターン12が塗布されていない樹脂フィルム15、およびレジスト膜41を順に積み重ね、これらの積層体を熱融着プレスにより重ね合わせる。これにより、図7に示す多層プリント基板10Aが完成する。
【0076】
この多層プリント基板10Aでは、熱融着プレスにより、各導電ペースト23Aが硬化して導電体23となり、この導電体23が対向する2つの導電パターン12と金属間結合するので、各導電体23より、対向する2つの導電パターン12が電気的に接続されると共に、機械的に結合される。
【0077】
以上のように構成された第2実施形態によれば、上記第1実施形態の奏する上記作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
【0078】
○充填スルーホール14により各樹脂フィルム15両面の導体パターン12が電気的に接続されると共に、複数の樹脂フィルム15のうちの隣接する2つの樹脂フィルム15間で対向する2つの導体パターン12が導電体23により電気的に接続される。このように、スルーホール11に充填形成された充填スルーホール14と、隣接する2つの樹脂フィルム15間で対向する2つの導体パターン12と金属間結合した導電ペースト23Aとを、層間接続に用いる構成であるため、層間接続信頼性が高い。また、樹脂フィルム15両面の導体パターン12と充填スルーホール14は一体に形成されているので、層間接続信頼性が高い。
【0079】
○層間接続をとるための導体23となる導電ペースト23Aを、隣接する2つの樹脂フィルム15の間で対向する2つの導電パターン12のいずれか一方に塗布するので、上記第1実施形態における、導電ペースト23Aを収容するビアホール21を有する第2の樹脂フィルム22が不要になる。これにより、部品点数および工程が削減され、製造コストを低減できる。
なお、この発明は以下のように変更して具体化することもできる。
【0080】
・上記各実施形態において、樹脂フィルム15の積層数は「3」に限らず、本発明は、樹脂フィルム15を複数枚重ね合わせた多層プリント基板に広く適用可能である。
【0081】
・上記各実施形態において、複数の樹脂フィルム15のうちの隣接する2つの樹脂フィルム間にそれぞれ設けられ、対向する2つの導体パターン12を電気的に接続しかつ機械的に結合する第2の導体である導電ペーストに代えて、金属粉を用いてもよい。
【符号の説明】
【0082】
10,10A:多層プリント基板
11:スルーホール
12:導体パターン
13:導体
13a:下地金属層
13b:導体層
14:充填スルーホール
15:第1の樹脂フィルム(樹脂フィルム)
21:ビアホール
22:第2の樹脂フィルム
23:導電体
23A:導電ペースト
30:単位ユニット
41,42:レジスト膜
41a,42a:貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スルーホールと、両面に形成された導体パターンと、前記スルーホールに前記導体パターンと一体に導体が充填形成された充填スルーホールとをそれぞれ有する樹脂フィルムが複数枚重ね合わされており、
前記導体パターンと前記充填スルーホールとを一体形成する前記導体は、Ni−P合金でめっきを施して230℃〜250℃で30秒〜30分加熱することにより形成された下地金属層と該下地金属層上に形成された導体層とを有し、
前記樹脂フィルムは、ガラス転移点および融点が150℃以上350℃以下である熱可塑性樹脂であり、
複数の前記樹脂フィルムのうちの隣接する2つの樹脂フィルム間に、対向する2つの前記導体パターンと金属間結合した導電体が設けられていることを特徴とする多層プリント基板。
【請求項2】
スルーホールと、両面に形成された導体パターンと、前記スルーホールに前記導体パターンと一体に導体が充填形成された充填スルーホールとをそれぞれ有する複数の第1の樹脂フィルムと、ビアホールを有し、両面に導体パターンの無い第2の樹脂フィルムとが交互に重ね合わされており、
前記導体パターンと前記充填スルーホールとを一体形成する前記導体は、Ni−P合金でめっきを施して230℃〜250℃で30秒〜30分加熱することにより形成された下地金属層と該下地金属層上に形成された導体層とを有し、
前記第1の樹脂フィルムは、ガラス転移点および融点が150℃以上350℃以下である熱可塑性樹脂であり、
前記ビアホール内に充填された導電ペースト或いは金属粉が、前記複数の第1の樹脂フィルムのうちの隣接する2つの前記第1の樹脂フィルム間で対向する2つの前記導体パターンと金属間結合していることを特徴とする多層プリント基板。
【請求項3】
前記下地金属層は、Pが2〜6%で厚さが0.05〜0.5ミクロンのNi−P合金で形成され、前記導体層は、Cuで形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多層プリント基板。
【請求項4】
前記樹脂フィルムは、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリテトラフルオロエチレン、またはポリエーテルエーテルケトンとポリエーテルイミドとの化合物からなることを特徴とする請求項1または3に記載の多層プリント基板。
【請求項5】
前記第1の樹脂フィルムは、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリテトラフルオロエチレン、またはポリエーテルエーテルケトンとポリエーテルイミドとの化合物からなることを特徴とする請求項2または3に記載の多層プリント基板。
【請求項6】
前記樹脂フィルムは、液晶ポリマーフィルムであることを特徴とする請求項1または3に記載の多層プリント基板。
【請求項7】
前記第1の樹脂フィルムは、液晶ポリマーフィルムであることを特徴とする請求項2また3に記載の多層プリント基板。
【請求項8】
前記導電ペーストが少なくともSn,Cu,Agを含む金属粉からなることを特徴とする請求項2乃至7のいずれか一つに記載の多層プリント基板。
【請求項9】
スルーホールと、両面に形成された導体パターンと、前記スルーホールに前記導体パターンと一体に導体が充填形成された充填スルーホールとを有する樹脂フィルムを作製する工程と、
導電ペースト或いは金属粉を、隣接する2つの前記樹脂フィルムの導体パターン間に介在させて、複数の前記樹脂フィルムを積み重ね、これらの積層体を熱融着プレスにより重ね合わせる工程と、
を備え、
前記樹脂フィルムを作製する工程において、樹脂フィルムの両面および前記スルーホール内壁に無電解めっきによってNi−P合金でめっきを施して230℃〜250℃で30秒〜30分加熱することにより下地金属層を形成し、該下地金属層上に電気めっきによって導体層を形成した後、該導体層に前記樹脂フィルムの両面の導体パターンを形成し、
前記樹脂フィルムは、ガラス転移点および融点が150℃以上350℃以下である熱可塑性樹脂であることを特徴とする多層プリント基板の製造方法。
【請求項10】
スルーホールと、両面に形成された導体パターンと、前記スルーホールに前記導体パターンの導体と一体に導体が充填形成された充填スルーホールとを有する第1の樹脂フィルムを作製する工程と、
ビアホールを有し、両面に導体パターンの無い第2の樹脂フィルムを作製する工程と、 前記ビアホールの開口端が前記導体パターンと接するように、前記第1の樹脂フィルムと前記第2の樹脂フィルムとを熱融着して単位ユニットを作製する工程と、
前記ビアホール内に導電ペースト或いは金属粉を充填した後、複数の前記単位ユニットを積み重ね、これらの積層体を熱融着プレスにより重ね合わせる工程と、
を備え、
前記第1の樹脂フィルムを作製する工程において、樹脂フィルムの両面および前記スルーホール内壁に無電解めっきによってNi−P合金でめっきを施して230℃〜250℃で30秒〜30分加熱することにより下地金属層を形成し、該下地金属層上に電気めっきによって導体層を形成した後、該導体層に前記第1の樹脂フィルムの両面の導体パターンを形成し、
前記第1の樹脂フィルムは、ガラス転移点および融点が150℃以上350℃以下である熱可塑性樹脂であることを特徴とする多層プリント基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−102210(P2013−102210A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−12032(P2013−12032)
【出願日】平成25年1月25日(2013.1.25)
【分割の表示】特願2007−333268(P2007−333268)の分割
【原出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】