説明

多層光学体

【課題】本発明は、多層光反射光学体、特に、一定範囲の波長にわたって光を反射する多層光学体(例えば、ミラー、色鏡面フィルム、IR反射フィルムおよびUV反射フィルム)を提供する。
【解決手段】本発明は、各光学層が配向されているとともにテレフタレートコモノマー単位およびエチレングリコールコモノマー単位を有するポリエステルを含む複数の第1の光学層と、各光学層がポリメチルメタクリレートのコポリマーを含み、前記コポリマーは前記コポリマーのガラス転移温度を前記第1の光学層の前記ポリエステルのガラス転移温度より低く低下させるコモノマー単位を含む、前記複数の第1の光学層と繰り返し順で配置された複数の第2の光学層とを含む光学体であって、少なくとも一つの波長領域にわたって光の少なくとも一部を反射させるように構成され配列されている光学体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は多層光反射光学体に関する。さらに、本発明は、一定範囲の波長にわたって光を反射する多層光学体(例えば、ミラー、色鏡面フィルム、IR反射フィルムおよびUV反射フィルム)に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
高分子フィルムは多様な用途で用いられている。高分子フィルムの一つの特定の用途は、特定の波長範囲にわたって光を反射する鏡である。こうした反射フィルムは、例えば、液晶ディスプレイのバックライト後方に配置して液晶ディスプレイに向けて光を反射し、液晶ディスプレイの輝度を強化することが可能である。色シフトフィルムは、看板、包装材料などにおいて用いることが可能である。IRミラーフィルムは、例えば、窓を通して建物または車両に入る太陽熱負荷を減少させるために用いることが可能である。紫外線(UV)フィルムは、UV光から他のフィルムまたは物体を保護して、有害な作用(例えば、高分子フィルムの光劣化)を防ぐために用いることが可能である。
【0003】
多層光学ミラーを製造するために、同時押出キャスティングプロセスが用いられてきた。しかし、一般に、キャストフィルムには多くの実用的な欠点がある。例えば、キャストフィルムは、一般に、高屈折率材料と低屈折率材料との間で小さい屈折率差しかなく、一般にz方向で一致する屈折率をもたず、よって所定数の層に関する光学的性能を制限する。こうしたキャストフィルムの限定的な光学的能力のゆえに、カラーミラーフィルムの色を強化するために、染料および顔料も一般に用いられる。さらに、一部のキャストフィルム、特に非結晶性材料から製造されたフィルムは、限られた熱安定性、寸法安定性、環境安定性および/または耐溶剤性しかもたない可能性がある。
【0004】
高屈折率材料と低屈折率材料との間の大きな屈折率差および材料の少なくとも一つが複屈折性である時にz方向、すなわち、平面外方向での屈折率を一致させる能力のおかげで、より良好な光学的性能を有するフィルムを提供するために同時押出配向プロセスが用いられてきた。以前に形成されたフィルムの一つの例は、ポリエチレンナフタレート(PEN)から形成された高屈折率層およびポリメチルメタクリレート(PMMA)の低屈折率層を有する。PENを配向させるとPEN層の屈折率を高め、従って、PEN/PMMAフィルムの光学的能力を高める。しかし、PENは、紫外線から保護することが難しい比較的高価な材料であり、より低屈折率のPEN代替品であるポリエチレンテレフタレート(PET)は、PMMAと合わせて容易に適切に配向させることができない。これらの材料のガラス転移温度の差(PENでは約84℃、PMMAでは約106℃)のためである。
【発明の概要】
【0005】
発明の概要
態様において、本発明は、(a)各光学層が配向されているとともにテレフタレートコモノマー単位およびエチレングリコールコモノマー単位を有するガラス転移温度約90℃以下のポリエステルを含む複数の第1の光学層と、(b)各光学層がポリマー組成物を含み前記複数の第1の光学層と繰り返し順で配置された複数の第2の光学層とを含む光学体であって、少なくとも一つの波長領域にわたって光の少なくとも一部を反射させるように構成され配列されている光学体を提供する。
【0006】
もう一つの態様において、本発明は、各光学層が配向されているとともに
(i)テレフタレートコモノマー単位およびエチレングリコールコモノマー単位を有するポリエステル部分および
(ii)少なくとも約130℃のガラス転移温度を有するポリマーに対応する第2の部分を含む第1のポリマー組成物を含む複数の第1の光学層と、
各光学層が第2のポリマー組成物を含み前記複数の第1の光学層と繰り返し順で配置された複数の第2の光学層とを含む光学体を提供する。
【0007】
なおもう一つの態様において、本発明は、
(i)各光学層が配向されているとともにテレフタレートコモノマー単位およびエチレングリコールコモノマー単位を有するポリエステルを含む複数の第1の光学層と、
(ii)各光学層が約90℃以下のガラス転移温度を有するとともにポリアクリレートおよび脂肪族ポリオレフィンからなる群から選択されたポリマーを含むポリマー組成物を含み前記複数の第1の光学層と繰り返し順で配置された複数の第2の光学層とを含む光学体を提供する。
【0008】
なおもう一つの態様において、本発明は、(a)各光学層が配向されている複数の第1の光学層と、(b)各光学層がポリメチルメタクリレートとポリ弗化ビニリデンのブレンドを含み前記複数の第1の光学層と繰り返し順で配置された複数の第2の光学層とを含む光学体であって、少なくとも一つの波長領域にわたって光の少なくとも一部を反射させるように構成され配列されている光学体を提供する。
【0009】
上述した光学体の製造方法およびこうした光学体を用いる物品も提供する。
【0010】
本発明の上述した概要は、本発明の開示された各実施形態またはあらゆる実施を説明するように意図されていない。以下に続く図面および詳細な説明は、これらの実施形態をより詳しく例示する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による多層光学体の第1の実施形態の概略断面図である。
【図2】本発明による多層光学体の第2の実施形態の概略断面図である。
【図3】ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートに関する透過スペクトルのグラフである。
【図4】実施例1の光学フィルムに関する透過スペクトルである。
【図5】実施例2の光学フィルムに関する透過スペクトルである。
【図6】実施例3の光学フィルムに関する透過スペクトルである。
【図7】実施例4の光学フィルムに関する透過スペクトルである。
【図8】実施例5の光学フィルムに関する透過スペクトルである。
【図9】実施例6の光学フィルムに関する透過スペクトルである。
【図10】実施例14の光学フィルムに関する透過スペクトルである。
【図11】実施例15の光学フィルムに関する透過スペクトルである。
【図12】実施例16の光学フィルムに関する透過スペクトルである。
【図13】実施例17の光学フィルムに関する透過スペクトルである。
【図14】実施例18の光学フィルムに関する透過スペクトルである。
【図15】実施例19の光学フィルムに関する透過スペクトルである。
【図16】実施例20の光学フィルムに関する透過スペクトルである。
【図17】実施例21の光学フィルムに関する透過スペクトルである。
【図18】実施例22の光学フィルムに関する透過スペクトルである。
【図19】第2の光学層としてPMMA/PVDFを有する光学フィルムとPMMAを有する光学フィルムとの間の反射率の比較のグラフである。
【図20】同じクロスウェブ位置における第2の光学層としてPMMA/PVDFを有する光学フィルムとPMMAを有する光学フィルムに関する反射率のグラフである。
【図21】帯域幅が似ている、第2の光学層としてPMMA/PVDFを有する光学フィルムとPMMAを有する光学フィルムに関する反射率のグラフである。
【図22】第2の光学層としてPMMA/PVDFを有する光学フィルムとPMMAを有する光学フィルムに関する波長の関数としてのaの比較である。
【図23】第2の光学層としてPMMA/PVDFを有する光学フィルムとPMMAを有する光学フィルムに関する波長の関数としてのbの比較である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明は、一般に、光反射多層光学体(多層光学フィルムなど)および該光学体の製造、ならびに偏光子およびミラーとしての、そしてデバイス中での多層光学体の用途に関する。これらの多層光学体は、多層光学フィルム、これらの多層光学フィルムの製造方法および使用方法、ならびに多層光学フィルムを組み込んだ物品を含む。本多層光学体は、ある波長範囲(例えば、可視、IRまたはUVスペクトルのすべてまたは一部)にわたって光を反射させる。本多層光学体は、一般に、加工上の利点、経済的利点、光学的利点、機械的利点およびその他の利点を提供できる材料の選択に少なくともある程度起因して、過去の光学体とは異なる同時押出配向多層構造体である。本発明はそれほど限定されない一方で、本発明の種々の態様の理解は以下に示す実施例の詳述を通して得られるであろう。
【0013】
「複屈折」という用語は、直交x、yおよびz方向の屈折率がすべて同じであるとは限らないことを意味する。本明細書において記載されたポリマー層の場合、x軸およびy軸が層の平面内であり、z軸が層の平面に対して直角であり、そして一般に層の厚さまたは高さに対応するように軸は選択される。配向ポリマーの場合、x軸は、最大屈折率を有する平面内方向であるように一般に選択され、その方向は光学体が配向される(例えば、延伸される)方向の一つに一般に対応する。
【0014】
「平面内複屈折」という用語は、平面内屈折率(nおよびn)の間の差の絶対値である。
【0015】
「ポリマー」という用語は、特に指示しないかぎり、ポリマーおよびコポリマー(すなわち、二種以上のモノマーから形成された、ターポリマーを含むポリマー)、ならびに例えば、同時押出またはエステル交換を含む反応によって混和性ブレンド中で形成されうるポリマーまたはコポリマーを包含することが理解されるであろう。特に指示しないかぎり、ブロックコポリマー、ランダムコポリマー、グラフトコポリマーおよび交互コポリマーを包含する。
【0016】
特に指示しないかぎり、すべての複屈折値および屈折率値を632.8nm光に関して報告する。
【0017】
多層光学フィルム
図1および図2は、例えば、ミラー、偏光子、IRフィルム、UVフィルムまたは色シフトフィルムとして使用できる多層光学体10(例えば、多層光学フィルム)を図解している。光学体10は、一層以上の第1の光学層12、一層以上の第2の光学層14および一層以上の非光学層18を含む。非光学層18は、外皮層として多層光学体の表面上に配置することが可能であるか(図1)、あるいは光学層間に配置することが可能である(図2)。第1の光学層と第2の光学層および任意に存在するなら非光学層は同時押出し、そして例えば、延伸によって配向させる。配向は、一般に、第1の光学層または第2の光学層あるいは両方の複屈折により多層光学体の光学的能力(例えば、反射率)を大幅に強化する。
【0018】
こうした多層光学体には、例えば、(i)ラップトップおよびパームトップコンピュータディスプレイ、携帯電話機、ページャーおよび時計ディスプレイにおいて用いられる反射偏光子、(ii)強化照明用途、医療用途および園芸用途において用いられるミラーフィルム、(iii)装飾用途およびセキュリティ用途向けの色シフトフィルム、(iv)自動車分野、園芸分野、光電子濾過分野および建築分野などの分野において熱管理フィルムとして用いられるIR反射フィルム、および(v)例えば、UV線から他のフィルムまたは物体を保護するために用いられるUV反射フィルムなどの用途に適合する多層光学フィルムが挙げられる。
【0019】
光学層12、14は、任意にスタックの外皮層内に含まれるか、あるいは外皮層として含まれる一層以上の非光学層18と合わせて層のスタック16を形成するために一般に交互配置される。一般に、光学層12、14は、図1に示されているように交互対として配列されて、光学的特性が異なる層間の一連の境界面を形成する。光学層12、14は一般に厚さが1μm以下であり、そして400nm以下の厚さを有することが可能である。光学層は同じ厚さを有することが可能である。あるいは、多層光学体は、反射波長範囲を広げるために厚さが異なる層を含むことが可能である。
【0020】
図1は6層の光学層12、14しか示していないが、多層光学体10は、多数の光学層を有することが可能である。適する多層光学体の例には、約2から5000層の光学層を有する多層光学体が挙げられる。多層光学体は一般には約25から2000層の光学層、そして代表的には、約50から1500層の光学層または約75から1000層の光学層を有する。単一スタック16のみを図1に示しているが、多層光学体10は多スタックから製造することが可能であり、それらのスタックは光学体10を形成するために後で組み合わされる。
【0021】
第1の光学層12および第2の光学層14に似ている別の光学層組も多層光学体10中で用いることが可能である。第1の光学層および第2の光学層の組のために本明細書において開示された設計原理は、別のいかなる光学層組にも適用することが可能である。さらに、光学層の異なる繰り返しパターン(例えば、「ABCBA....」、ここでA、BおよびCは組成が異なる光学層である)を用いることが可能である。幾つかのこうしたパターンは米国特許第5,360,569号に記載されており、この特許は本明細書に引用して援用する。
【0022】
多層光学体の透過特性および反射特性は、第1の光学層と第2の光学層との間の屈折率差および第1の光学層と第2の光学層の厚さによって引き起こされる光のコーヒーレント干渉に基づいている。平面内屈折率が第1の光学層と第2の光学層との間で異なる時、隣接する第1の光学層と第2の光学層との間の境界面は反射面を形成する。境界面の反射能力は、第1の光学層と第2の光学層の平面内屈折率間の差の二乗(例えば、(n10−n20、ここでn10は、第1の光学層の平面内屈折率であり、n20は、第2の光学層の平面内屈折率である)に応じて決まる。
【0023】
ミラー用途において、多層光学体は、一般に、第1の光学層と第2の光学層を含み、ここで両方の平面内屈折率は層間で実質的に異なる(すなわち、n1x≠n2xおよびn1y≠n2y、ここでn1xおよびn1yは、第1の光学層の平面内屈折率であり、n2xおよびn2yは、第2の光学層の平面内屈折率である)(例えば、少なくとも0.04だけ異なる。そして多くの場合少なくとも0.1だけ異なる)。偏光子用途において、多層光学体は、一般に、第1の光学層と第2の光学層を含み、ここで平面内屈折率の一方は層間で実質的に異なり、他方の平面内屈折率は実質的に似ている(例えば、

)。好ましくは、実質的に似ている平面内屈折率は約0.04以下だけ異なる。偏光子用途において、第1の光学層の平面内複屈折は、一般には少なくとも約0.05、好ましくは少なくとも約0.15、より好ましくは少なくとも約0.2である。
【0024】
第1の光学層12は、第1の光学層の平面内屈折率(または複数の屈折率)を増加させるために一軸配向または好ましくは二軸配向されている複屈折ポリマー(好ましくは正の複屈折を有するポリマー)を用いて製造され、よって第1の光学層と第2の光学層の屈折率間の差を増加させる。幾つかの実施形態において、第2の光学層14は、複屈折性(好ましくは負に複屈折性)であるとともに一軸配向または二軸配向されているポリマー層である。他の実施形態において、第2の光学層14は、一般には第1の光学層12の平面内屈折率の一方または両方とは異なる等方屈折率(例えば、すべての方向で実質的に同じ屈折率)を有するポリマー層である。等方屈折率を有する第2の光学層14を有する光学体10を用いて本発明を例示するが、本明細書において記載された原理および実施例は、複屈折性である第2の光学層14を有する多層光学体に適用することが可能である。
【0025】
第1の光学層12は、例えば、所望の方向または二つ以上の方向に第1の光学層12を延伸することにより複屈折性にすることが可能である。例えば、第1の光学層12は、異なる二つの方向に延伸することにより二軸配向させることが可能である。二方向に第1の光学層12を延伸すると、選択された二つの直交軸において正味対称延伸または非対称延伸を生じさせることが可能である。二方向での対称延伸は、実質的に似ている(例えば、0.4以下だけ異なる)平面内屈折率をもたらす。二方向での延伸の代案として、第1の光学層12は、例えば、一方向に層を延伸することにより一軸配向させることが可能である。第2の直交方向を元の長さより小さいある値に狭めさせることが可能である(例えば、長さの減少、幅の減少または厚さの減少)。延伸の方向は、一般に、平面内軸(例えば、x軸またはy軸)のいずれかに対応するが、他の方向を選択することが可能である。
【0026】
一般に、第1の光学層と第2の光学層との間の特定の境界面に関する最高反射率は、光学層12、14の対の総光学的厚さの2倍に対応する波長で起きる。光学的厚さは、光学層の対の下方面および上方面から反射された光線間の経路の長さの差を表す。光学フィルムの平面に90℃で入射する光の場合(直角入射光)、二つの層の光学的厚さはn+nであり、ここでn、nは、二つの層の平面内屈折率であり、d、dは、対応する層の厚さである。式λ/2=n+nは、直角入射光に関して光学層を同調させるために用いることが可能である。他の角度において、光路長(optical distance)は、層を通して移動した距離(それは層の厚さより大きい)および層の三つの光学軸の少なくとも二つに関する屈折率に応じて決まる。光学層12、14は、それぞれ四分の一波長厚さであることが可能であるか、あるいは光学層12、14は、光学的厚さの合計が波長の半分(または波長の倍数)である限り異なる光学的厚さを有することが可能である。3層以上の光学層を有する多層光学体は、一定範囲の波長にわたって反射を提供するために光学的厚さが異なる光学層を含むことが可能である。例えば、多層光学体は、特定の波長を有する直角入射光の最適反射を達成するために個々に変調されている層対または層組を含むことが可能であるか、あるいはより大きな帯域幅にわたって光を反射するために層対の厚さの傾斜を含んでよい。
【0027】
これらの多層光学体は、少なくとも一つの帯域幅にわたって光の一方の偏光または両方の偏光を反射するように設計することが可能である。光学体内の光学スタックの層厚さおよび屈折率は、他の波長にわたって透明でありつつ(特定の入射角で)光の特定の波長の少なくとも一方の偏光を(特定の入射角で)反射するように制御することが可能である。種々の光学体軸に沿ってこれらの層厚さおよび屈折率を注意深く操作することを通して、本発明の多層光学体は、一つ以上のスペクトル領域にわたってミラーまたは偏光子として挙動するようにさせてよい。
【0028】
例えば、光学体は、可視ミラーを形成するために、実質的にすべての可視光領域(約400から750nm)にわたって光を反射するように設計することが可能である。可視ミラーは、光の可視波長のみを反射しIRを透過するコールドミラーであってよく、あるいは可視波長とIR波長の両方を反射する広帯域ミラーであってよい。種々のミラーは、例えば、米国特許第5,882,774号およびWO第97/01774号に記載されており、コールドミラーは、例えば、米国特許第5,339,198号および第5,552,927号に記載されている。すべての特許は本明細書に引用して援用する。コールドミラーの場合、代表的な光学層厚さは100から200nmの範囲内である。可視/IRミラーの場合、代表的な光学層厚さは100から600nmの範囲内である(1/4波長設計の場合)。
【0029】
もう一つの実施形態は、赤外線(IR)の少なくとも一部を反射する光学体である。約750から1200nmの領域の光を反射するために、層は、約185から300nmの範囲の光学的厚さ(反射することが望まれる光の1/4波長)を有する。例えば、本発明の光学体は、他のスペクトル部分にわたって透明でありつつIRのスペクトルの領域の少なくとも一部の光の両偏光を反射するように変調することが可能である。この型の光学体は、例えば、建物または自動車の窓から、例えば、太陽エネルギーを反射させるためにIRフィルムとして用いることが可能である。好ましくは、これらの用途のためのIRフィルムは可視光の大部分を透過し、そしてより好ましくは、色の出現を避けるために可視範囲にわたって実質的に均一な透過スペクトルを有する。IRフィルムの詳しい説明およびフィルム構成の例は、WO第97/01778号、WO第99/36808号および米国特許第5,360,659号に提示されている。すべての特許は本明細書に引用して援用する。
【0030】
なおもう一つの実施形態は、可視範囲の一部のみにわたって光を反射する多層光学体である。これらの光学体は、視角が変化するにつれて反射の波長領域も変化するので色シフトフィルムとして用いることが可能である。色シフトフィルムの詳しい説明、作動原理およびフィルム構成の例は、WO第99/36257号およびWO第99/36258号に提示されている。両方の特許は本明細書に引用して援用する。これらの光学体は、少なくとも一つの反射帯域幅の一方側または両側でシャープなバンドエッジを示すように調整することが可能であり、よってWO第99/36809号に記載されたように、必要ならば、鋭角で高い色の飽和度を与える。この特許は本明細書に引用して援用する。
【0031】
第1の光学層
第1の光学層12は、一般に、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、それらのコポリマーまたはブレンドの配向可能フィルムである。適するコポリマーの例は、例えば、WO第99/36262号、同時係属米国特許出願第09/399,531号に記載されている。両方の特許は本明細書に引用して援用する。第1の光学層のために適する他の材料には、例えば、ポリカーボネート、ポリアリーレート、ナフタレート含有ポリマーおよびテレフタレート含有ポリマー、例えば、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリプロピレンナフタレート(PPN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)およびポリプロピレンテレフタレート(PPT)を含む他のポリエステル、および上のどれかの互いのブレンドまたはコポリマー、あるいは上のどれかの非ポリエステルポリマーとのブレンドまたはコポリマーが挙げられる。
【0032】
第1の光学層のために用いられる材料の好ましい特性には、1)複屈折(好ましくは正の複屈折)、2)熱安定性、3)第2の光学層の材料と両立する加工温度、4)UV安定性またはUV保護性、5)高い透明度(例えば、高透過および低吸収)、6)歪み誘導複屈折を提供するために第2の光学層の材料と両立するガラス転移温度、7)第2の光学層の材料と整合する粘度を可能にする粘度の範囲、8)第2の光学層との良好な層間密着性、9)低い分散、10)第2の光学層との良好なz軸屈折率整合、および11)絞り性(例えば、延伸可能)が挙げられる。その他のファクターには、コストおよび商業的入手可能性が挙げられる。
【0033】
PEN、PET、ならびにPENとPETのコポリマーおよびブレンド、ならびに上述した他のポリマーは、例えば、所望の方向または二つ以上の方向に第1の光学層12を延伸することにより複屈折性にすることが可能である。配向は、一般に、ポリマーのガラス転移温度より高い温度で実行する。但し、結晶性が低い一部のコポリマーは、例えば、同時係属米国特許出願第09/399,531号に記載されたようにガラス転移温度以下で配向させることが可能である。この特許は本明細書に引用して援用する。
【0034】
ポリエチレンナフタレート(PEN)は、配向させると比較的大きな複屈折を有することが可能である。例えば、PENを一軸配向させると、1.64から1.88に配向方向におけるPENの屈折率を高めることが可能である。PENを二軸配向させると、1.64から1.75に配向方向におけるPENの屈折率を高めることが可能である一方で、z軸屈折率は1.49に低下し、よって平面内屈折率とz軸屈折率との間で0.24から0.26の複屈折を生じさせる。
【0035】
ポリエチレンテレフタレート(PET)を一軸配向させると、1.57から1.69に配向方向におけるPETの屈折率を高めることが可能である。PETを二軸配向させると、1.57から1.65に配向方向におけるPENの屈折率を高めることが可能である一方で、z軸屈折率は1.50に低下し、よって平面内屈折率とz軸屈折率との間で0.13から0.15の複屈折を生じさせる。
【0036】
これらのポリマーについて得られた複屈折の量および屈折率の変化の量は、例えば、延伸比、配向温度、およびポリマーが一軸配向されているか、二軸配向されているか含む種々のファクターに応じて決まる。一般に、延伸比が大きければ大きいほど、屈折率の変化は大きい。しかし、達成可能な延伸比は配向温度によって限定されうる。
【0037】
一般に、比較的結晶質の材料の場合、配向温度はガラス転移温度より高い。一般に、配向温度がガラス転移温度に近ければ近いほど、ポリマーは延伸された時に過度の歪硬化を示し、そして割れうるかあるいは微小空隙を形成しうるので達成可能な延伸比は低くなる。しかし、一般に、配向温度がガラス転移温度に近ければ近いほど、所定の延伸比について屈折率の変化が大きい。従って、ポリマーのガラス転移温度より実質的に(例えば、20℃または30℃)高い温度でポリマーを延伸すると、一般に、所定の延伸比について屈折率の大幅により小さい変化しか生じない。従って、所望の屈折率変化を達成するために延伸比と配向温度との間でバランスが必要である。
【0038】
材料の選択は多層光学体の光学的特性および物理的特性に影響を及ぼしうる。PETおよびPENのようなポリエステルは、カルボキシレートサブ単位およびグリコールサブ単位を含み、そして例えば、(a)カルボキシレートモノマーとグリコールモノマーとの反応または(b)エステル交換によって生成させることが可能である。各カルボキシレートモノマーは二個以上のカルボン酸またはエステル官能基をもち、各グリコールモノマーは二個以上のヒドロキシ官能基を有する。ポリエステルは、単一種のカルボキシレートモノマーまたは異なる二種以上のカルボキシレートモノマーを用いて生成させることが可能である。同じことはグリコールモノマーに当てはまる。グリコールモノマーとカルボン酸のエステルとの反応から誘導されるポリカーボネートも「ポリエステル」という用語内に含まれる。
【0039】
ポリマー層またはポリマーフィルムの特性は、モノマーの特定の選択によって異なる。PENは、2,6−ナフタレンジカルボン酸またはそのエステルから形成されたカルボキシレートサブ単位を含み、PETは、テレフタル酸またはそのエステルから形成されたカルボキシレートサブ単位を含む。PENおよびPETのコポリエステルのカルボキシレートサブ単位を形成するために適するカルボキシレートコモノマーには、例えば、2,6−ナフタレンジカルボン酸およびその異性体、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビ−シクロオクタンジカルボン酸、1,6−シクロヘキサンジカルボン酸およびその異性体、t−ブチルイソフタル酸、トリメリット酸、ナトリウムスルホン化イソフタル酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸およびその異性体、メチルエステルまたはエチルエステルなどの、これらの酸のより低級なアルキルエステルが挙げられる。
【0040】
PENとPETの両方は、エチレングリコールを用いて形成されたグリコールサブ単位を含む。PENおよびPETのコポリエステルのグリコールサブ単位を形成するために適するグリコールコモノマーには、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールおよびその異性体、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリシロロデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびその異性体、ノルボルネンジオール、ビシクロ−オクタンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、1,4−ベンゼンジメタノールおよびその異性体、ビスフェノールA、1,8−ジヒドロキシビフェニルおよびその異性体、ならびに1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)ベンゼンが挙げられる。
【0041】
多層光学体は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を用いて形成することも可能である。PETはPENより低い屈折率を有するが、PETは遙かにより安価である(現在PENのコストの約1/8)。PETのより低い屈折率にもかかわらず、光学的能力の比率(第1の光学層と第2の光学層の平面内屈折率間の差の2乗)およびコストは、現在、PEN、およびポリカーボネートなどの他の材料よりPETを有利にしている。
【0042】
さらに、PETフィルムおよびPET含有フィルムは、UV保護光学体に色を導入せずに、PENよりも紫外線(UV)劣化から容易に保護することが可能である。図3は、PEN、PETおよびポリカーボネートの透過スペクトルを示している。PENは380nmの光を吸収し、吸収テールは約410nmの可視のスペクトル領域に広がる。PENを用いて製造される光学体のためのUV保護コーティングまたはUV保護添加剤は、一般に、(青光の吸収に起因して)光学体に黄色がかった色を与えうる可視範囲に広がるであろう。
【0043】
他方、PETは320nmの光を吸収し、テールは370nmに広がる。従って、UV保護コーティングまたはUV保護添加剤は可視範囲に広がる必要はないであろう。IR線を反射し可視光を透過するように設計された多層光学体(例えば、建物窓および自動車窓用の太陽反射フィルム)、あるいは可視範囲の特定の帯域幅のみを反射し他のすべての光を透過するように設計された光学体を作製する時、この能力は特に重要である。
【0044】
さらに、PETのより低い屈折率およびより低い分散は、少なくとも幾つかの点で有利でありうる。例えば、IRフィルムの透明度または透明性は、特に建築用途および自動車用途のために不可欠でありうる。PENを基準としてPETのより低い屈折率差のゆえに、PETベース多層光学体は、光学スペクトルが視角のより弱い関数であるので、より小さい真珠光およびスペクトル不均一性を有することが可能である。PETのより低い屈折率およびより低い分散が、より高い波長で、より高い次元の高調波の位置決定ポジショニングを可能にするので、より広いIR帯域幅を達成することも可能である。
【0045】
もう一つの利点は、外皮層が第1の光学層と同じ材料から製造されている時、PETがそのより低い屈折率のゆえに、一般に、空気(または他の材料)/PET境界面間のより低い屈折率ミスマッチに起因して、より低い表面反射を有することである。これは、安全破砕窓を作るためにポリ(ビニルブチレート)(PVB)を用いる自動車用途において特に有用である。PVBの屈折率はPENよりPETに近く、よってグレアを低下させる。
【0046】
適するPET含有多層光学体は種々の構成で形成することが可能である。特に有用なPETベース材料には、約90℃以下、あるいは約80℃または70℃以下のガラス転移温度を有するPET、あるいはPETコポリマーまたはブレンドが挙げられる。一般に、これらのPETベース材料の中で最も有用なものは、ナフタレンジカルボキシレート(NDC)モノマーがないか、あるいは実質的にない。こうした構造において、第2の光学層のための材料も、一般に、約90℃以下のガラス転移温度を有する材料を含む。ポリアクリレートおよび脂肪族ポリオレフィンは、これらのポリマーと他の材料とのブレンドおよびコポリマーを含め、適する第2の光学層用材料の中のものである。あるいは、第1の光学層は、これもNDCモノマーを実質的に含まないとともに少なくとも約100℃または少なくとも120℃のガラス転移温度を有するPETのコポリマーまたはブレンドを用いて形成することが可能である。こうした構造において、第2の光学層用の材料も、一般に、少なくとも約100℃のガラス転移温度を有する材料を含む。
【0047】
別法として、より高いガラス転移温度を有する第2のポリマーとPETを組み合わせることによりPETのガラス転移温度を高めることが可能である。PETと第2のポリマーの混合は、ポリマーブレンドを形成する混和性ブレンディングまたはコポリマーを形成する反応性ブレンディング(例えば、エステル交換による)を含むことが可能である。例えば、PETは、130℃以上のガラス転移温度を有する第2のポリマーと、または160℃以上のガラス転移温度を有する第2のポリマーと、あるいは200℃以上のガラス転移温度を有する第2のポリマーとさえブレンドすることが可能である。適する第2のポリマーの例には、例えば、PEN(T=130℃)、ポリカーボネート(T=157℃)、ポリアリーレート(T=193℃)またはポリエーテルイミド(T=218℃)が挙げられる。
【0048】
あるいは、PETのモノマー材料、例えば、テレフタル酸およびエチレングリコールは、PEN、ポリカーボネートおよびポリアリーレートなどの、より高いガラス転移温度を有する第2のポリマーに対応するモノマー材料と共重合してコポリマーを形成することが可能である。例えば、PETは、130℃以上のガラス転移温度を有する第2のポリマーに、または160℃以上のガラス転移温度を有する第2のポリマーに、あるいは200℃以上のガラス転移温度を有する第2のポリマーにさえ対応するモノマー材料と共重合させることが可能である。
【0049】
(i)例えば、イソフタル酸、フタル酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビ−シクロオクタンジカルボン酸、1,6−シクロヘキサンジカルボン酸およびその異性体、t−ブチルイソフタル酸、トリメリット酸、ナトリウムスルホン化イソフタル酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸およびその異性体、メチルエステルまたはエチルエステルなどの、これらの酸のより低級なアルキルエステルなどのカルボキシレートモノマー材料、(ii)例えば、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールおよびその異性体、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリシクロデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびその異性体、ノルボルナンジオール、ビシクロ−オクタンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、1,4−ベンゼンジメタノールおよびその異性体、ビスフェノールA、1,8−ジヒドロキシビフェニルおよびその異性体、ならびに1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)ベンゼンなどのグリコールモノマー材料を組み込んでいるコポリマーを含むPETの他のコポリマーも用いることが可能である。
【0050】
PETおよびPENのコポリマーなどの、これらの材料の少なくとも一部はPETより低い加工温度を有し、そしてPETの加工温度で劣化するEVAなどの第2の光学層材料と合わせて、より効果的に用いることが可能である。
【0051】
第2の光学層
第2の光学層14は、フィルム10の所望の動作に少なくともある程度依存する種々の光学的特性および物理的特性を伴って調製することが可能である。第2の光学層の好ましい特性には、例えば、1)等方性または負の複屈折、2)熱安定性、3)第1の光学層の材料と両立する加工温度、4)UV安定性またはUV保護性、5)高い透明度(例えば、高透過および低吸収)、6)歪み誘導複屈折を提供するために第1の光学層の材料と両立するガラス転移温度、7)第1の光学層の材料と整合する粘度を可能にする粘度の範囲、8)第1の光学層との良好な層間密着性、9)低い分散、10)第1の光学層との良好なz軸屈折率一致、および11)絞り性(例えば、延伸可能)が挙げられる。その他のファクターには、コストおよび商業的入手可能性が挙げられる。
【0052】
幾つかの実施形態において、第2の光学層14は、第1の光学層12を配向させるために用いられる条件下で延伸させた時、認め得るほどには光学的に配向しないポリマー材料から製造される。こうした層は、反射光学体の形成において特に有用である。第2の光学層14が比較的等方性(例えば、0.05以下の平面内複屈折)のままでありつつ第1の光学層12を配向させるために後で延伸できる層のスタック16の形成を例えば同時押出によって、こうした層が可能にするからである。他の実施形態において、第2の光学層14は配向可能であり、そして好ましくは、平面内屈折率が配向につれて低下するように負に複屈折性である(第1の光学層は正に複屈折性)。
【0053】
第1の光学層および第2の光学層のための材料の選択に当たって種々の考慮事項がある。これらの考慮事項の重要性は、一般に、所望の光学的特性および光学体に関する用途に応じて決まる。一つの考慮事項は、第2の光学層のガラス転移温度である。一般に、第1の光学層および第2の光学層の材料は、第2の光学層のガラス転移温度が第1の光学層のガラス転移温度より実質的に高くないように選択される。より好ましくは、第2の光学層のガラス転移温度は、第1の光学層のガラス転移温度以下である。第2の光学層のガラス転移温度が高すぎる場合、第1の光学層のガラス転移温度付近の適する配向温度での第1の光学層の配向は、第2の光学層中で過度の歪硬化を引き起こしうる。これは、例えば、割れまたは微小空隙を持ち込むことによって第2の光学層の光学的品質を低下させうる。光学層のガラス転移温度は、個々の成分のガラス転移温度(複数を含む)でなく光学層を形成するために用いられる組成物のガラス転移温度と定義する。
【0054】
もう一つの考慮事項は、第1の光学層と第2の光学層との間のz軸屈折率の差である。二層のz軸屈折率が等しい時、p−偏光の反射は光の入射角に依存しない。この特徴は、視角の範囲にわたって反射率均一性が必要とされる時に有用でありうる。こうした実施形態において、第1の光学層と第2の光学層との間のz軸屈折率の差は、好ましくは約0.04以下であり、そして材料の選択によって約0.02以下または0.01以下にすることが可能である。
【0055】
もう一つの考慮事項は、第2の光学層中で用いるために選択されたポリマー(複数を含む)の分解温度である。PENおよびPETに関する代表的な同時押出加工温度は約250℃より高い。第2の光学層の成分の劣化は、例えば、変色および広範なゲル形成などの光学体欠陥を生じさせうる。分解が許容できない特性を生じさせないなら加工温度で分解する材料をそれでも用いることが可能である。
【0056】
第2の光学層14は、種々の高分子組成物を用いて製造することができる。特定の光学体構成に関して適するポリマーの説明を以下で提示する。
【0057】
多層光学体は、第1の光学層としてPENおよび第2の光学層としてポリメチルメタクリレート(PMMA)を用いて製造されてきた。PMMAは多層フィルム用の低屈折率材料としてそれ自体を有用にする透明度および粘度などの多くの特性を有することが判明している一方で、PMMAの幾つかの特性はその有用性を限定してきた。特に、相対的に高い屈折率(n=1.49)およびガラス転移温度(T=106℃)は、第1の光学層中で使用できる材料の選択を限定してきた。例えば、MMAをPENと合わせて使用できる一方で、そのガラス転移温度によって、PETと合わせて加工する多くの用途でMMAは不適切となり、その屈折率は、多くの用途のために必要とされるPETとの屈折率差を設けるのに十分低くない。PENの代わりにPETを使用することは、PENがUV劣化を受けやすく、結果としてPENを用いる時に追加のUV保護を設けることが必要なことから望ましい可能性がある。
【0058】
本発明の一つの態様は、低屈折率材料として第2の光学層中でポリメチルメタクリレート/ポリ弗化ビニリデンブレンド(PMMA/PVDF)用いる。PMMA/PVDFブレンドは、ポリエステル高屈折率材料、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN)ならびにそれらのブレンドおよびコポリマーなどの芳香族ポリエステルと合わせて特に有用である。
【0059】
多層光学フィルム中で用いられるポリマーは、散乱または吸収によって光が失われないようにクリアであるのがよい。多くの用途は、光と光学フィルムとの間の多数回相互作用を伴い、それらの相互作用は散乱および吸収の悪い影響を拡大する。PMMAなどの光学ポリマーは、可視のスペクトル領域での透過率は92%であって殆どの目的で十分にクリアと考えられる。PVDFは96%の透過率を有する。PMMA/PVDF混和性ブレンドは、PMMAより高い透過率(透明度)を有する。
【0060】
PMMA/PVDF混和性ブレンドは、PVDFの低屈折率(n=1.42)のゆえにPMMA(n=1.49)より低い屈折率を有する。より大きな屈折率差は、多層フィルムにおいて、より大きい光学的能力をもたらす。PMMA/PVDF(60/40)(重量)混和性ブレンドに関する屈折率は、約1.458である。PMMAを基準としてPMMA/PVDFブレンドによって提供される、より大きな屈折率差は、より高い反射率に加えて、色漏れの大幅な減少ももたらす。
【0061】
PENまたはPETのいずれかを用いる多層フィルムは、これらのポリエステルの高い融点のゆえに高い同時押出温度(約250℃以上)を必要とする。熱的に安定ではない第2の光学層は、劣化に付随した粘度損失のゆえに多層フィルムにおいて流れ不安定を引き起こしうる。劣化生成物も、光学フィルムにおいて点欠陥または変色の原因になりうる。PMMA/PVDF混和性ブレンドは、PMMAより熱的に安定である。
【0062】
第2の光学層中でPMMAの代わりにPMMA/PVDF混和性ブレンドを使用すると、ブレンドのより低いガラス転移温度(T)のゆえに第1の光学層について、より多様な材料が可能となる。例えば、PMMA/PVDFブレンドは、多層光学体の第1の光学層中でPETまたはPETのコポリマーの使用を可能にする。PETは、より容易なUV保護を含め、多層光学体中のPENを基準として幾つかの利点を有し、PETは、より安価な原料である。キャスト多層光学体を高屈折率材料のT付近で延伸する時、T付近での配向は、高度の応力複屈折、従って延伸方向にPEN(またはPET)に関して高い屈折率をもたらす。PEN:PMMA多層フィルムは、PMMAのT(T=106℃)がPENのT(T=123℃)より低いのでPENのT付近で配向可能である。PET:PMMAは、PET(T=84℃)を基準としてPMMAの高いTのゆえにPETのT付近で配向可能ではない。PMMAへの25(重量)%PVDF程度の少ないブレンドは、PMMAのTを低下させ(PMMA/PVDF(75/25)(T=72))、よって第1の光学層中でPETの使用を可能にする。
【0063】
従って、PVDFとPMMAとのブレンディングによって、特性が改善された低屈折率材料(第2の光学層用)が達成される。こうしたブレンドは、透明度、粘度、熱安定性および層間密着性などの特性において適する性能を少なくとも維持しつつ、PMMAと比較して、より低い屈折率およびより低いガラス転移温度を有する。特に、ブレンドは、高屈折率材料(第1の光学層用)としてPENまたはPETあるいはそれらのブレンドまたはコポリマーと合わせて同時押出された時に、優れた透明度(例えば、透過率>90)、低屈折率(n1.49)、高屈折率材料の粘度に似た粘度、250℃より高い温度における熱安定性、高屈折率材料のガラス転移温度より低いガラス転移温度(T)および高屈折率材料との良好な層間密着性などの特性を示す。
【0064】
結果として、PMMA/PVDFブレンドは、PENなどの従来の高屈折率材料と合わせて用いることが可能であり、そして改善された光学的特性または物理的特性を達成する。例えば、より低い屈折率のゆえに、PMMA/PVDFブレンドを使用すると、第2の光学層中でPMMAで製造された対応する製品と同じ光学的効果を達成するために、より少数の層しか必要としない可能性があるか、あるいは同数の層を用いる時に強化された効果を提供することが可能である。PMMA/PVDFブレンドは、多層光学体における実用的な用途に関して適することが以前に見出されなかったPETおよびPETのコポリマーなどの高屈折率材料と合わせて用いることも可能である。さらに、改善された光学的特性または物理的特性は、所望の性能を達成しつつ多層フィルムを形成する際に加工条件に対して、より厳しくない制御を可能にする上で有利である。これは、より実際的且つ費用効果に優れた多層光学体製造を可能にする。
【0065】
特に、PMMA単独に対して低屈折率材料としてPMMA/PVDFブレンドを使用することで見られる幾つかの利点として、(1)より高い反射率−より大きな屈折率差は、所定の層数においてより大きな反射率をもたらす。(2)再びより大きな屈折率差のゆえに(層不均一性などの加工の難しさから生じることが多い)スペクトルの不均一性または真珠光の減少。よって光学的利益および加工上の利益をもたらす。(3)多反射を必要とする用途における高まった効率、(4)クロスウェブ厚さ均一性要件および光学パケットオーバーラップが無いことなどの、より広い加工許容範囲、(5)所定の反射率に関して、より薄いフィルム要件、(6)高屈折率材料に関して、より多い選択肢、(7)より低いTのゆえに熱成形およびエンボスなどにおける改善された性能、および(8)PENのレベルが低い高屈折率材料を使用できるので、より容易なUV保護、が挙げられる。
【0066】
低屈折率材料を提供するためにブレンド中で用いられる特定のPMMAおよびPVDCは、材料が互いに十分に混和性であるとともに、生成ブレンドが多層フィルムを形成するために高屈折率材料と合わせて同時押出できるかぎり限定されない。例えば、アイシーアイアメリカズ(ICI Americas,Inc.)(デラウェア州ウィルミントン)によって商品名Perspex(商標)CP80およびCP82で販売されているPMMAおよびソルウェー(Solway)によって商品名Solef(商標)1008/0001で販売されているPVDFは、PETおよびPEN高屈折率材料と合わせて有用である。
【0067】
ブレンド中で用いられるPVDFの量は、一般には約40重量%以下である(すなわち、60/40PMMA/PVDFブレンド)。より高いPVDFレベルでは、PMMAとPVDCの混和性は悪化する傾向があり、よって透明度の損失を引き起こす。一般に、屈折率およびガラス転移温度の低下の利益を高めるために可能な限り高い量でブレンド中のPVDFを用いることが望ましい。しかし、特定の用途向けに特定の光学的特性または物理的特性を提供するために組成を微調整することが必要な時、より少量を用いることが可能である。例えば、75/25ブレンドは、PEN、PETおよびそれらの混合物またはコポリマーなどの高屈折率材料と合わせて用いるために非常に望ましい物理的特性および光学的特性を提供する。
【0068】
上で示したように、ポリメチルメタクリレート(PMMA)は、光学体を形成するために有用な材料である。しかし、PMMAのガラス転移温度は約106℃であり、それはPETのガラス転移温度(Tは約84℃)より大幅に高い。PETの第1の光学層およびPMMAの第2の光学層を有する光学体は、PMMAのガラス転移温度より高い温度で配向され、PETの配向に関して予想された屈折率変化を大幅に減少させるであろう。
【0069】
上述したように、ポリ弗化ビニリデン(PVDF)とPMMAのブレンディングは、ブレンドしたポリマーのガラス転移温度を低下させる。好ましくは、ブレンドは、約20から40重量%のPVDFおよび60から80重量%のPMMAを含む。約20重量%より少ないPVDFでは、ガラス転移温度はPETのガラス転移温度より高い。但し、これらのブレンドは、それでも幾つかの用途のために許容できる。約40重量%より多いと、PVDFは結晶化する。第2の光学層にPVDFを添加すると、例えば耐溶剤性などの他の特性も強化することが可能である。
【0070】
もう一つの選択肢として、PMMAのガラス転移温度より低くコポリマーのガラス転移温度を低下させるコモノマーを用いて、PMMAのコポリマーを製造することが可能である。適するコモノマーには、例えば、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メタクリル酸またはそれらの組み合わせを含む他のアクリレートモノマーおよびメタクリレートモノマーが挙げられる。他のアクリレートモノマーは、所望のガラス転移温度、熱安定性、絞り性および屈折率の特性が達成されるかぎり用いることが可能である。モノマーの比は、所望のガラス転移温度、熱安定性、絞り性および屈折率の特性を達成するように選択される。コモノマーは、例えば、改善された層間密着性、第1の光学層と第2の光学層との間の屈折率差の増加または減少、PMMAの溶融流動学的挙動の修正、あるいはPMMAの配向挙動の修正を含む他の利点を提供することも可能である。
【0071】
なおもう一つの選択肢として、第2の光学層は、PMMAと第2の光学層のガラス転移温度を低下させる可塑剤を用いて形成することが可能である。適する可塑剤には、例えば、燐酸誘導体(例えば、トリフェニルホスフェート)、フタル酸誘導体(例えば、ブチルベンジルフタレートおよびジイソデシルフタレート)、テレフタル酸誘導体(例えば、ジ−2−エチルヘキシルテレフタレート)、アジピン酸誘導体(例えば、ポリエステルアジペート)、安息香酸誘導体(例えば、グリセリルトリベンゾエート)、セバシン酸誘導体(例えば、ジメチルセバケートおよびジ−n−ブチルセバケート)および酢酸誘導体(例えば、グリセリルトリアセテート)が挙げられる。例えば、層間密着性、第1の光学層と第2の光学層との間の屈折率の差の増加または減少、PMMAの溶融流動学的挙動の修正、あるいはPMMAの配向挙動の修正を含む光学体の他の特性を改善する可塑剤も選択することが可能である。
【0072】
PMMAの代わりに他のポリマーを用いることが可能である。例えば、ポリエチルメタクリレート(PEMA)を含む、例えば、ガラス転移温度がPMMAより低い他のアクリレートポリマーを用いることが可能である。
【0073】
あるいは、脂肪族ポリオレフィンを用いることが可能である。適するポリオレフィンの例には、ポリ(エチレン−co−オクテン)(PE−PO)、ポリ(プロピレン−co−エチレン)(PP−PE)、アタクチックポリプロピレンとアイソタクチックポリプロピレンのコポリマー(aPP−iPP)、無水マレイン酸官能化線状低密度ポリエチレン(LLDPE−g−MA)およびポリ(エチレン−co−酢酸ビニル)(EVA)が挙げられる。有用な他のポリオレフィンには、デュポン・ヌムール(E.I.duPont de Nemours & Co.,Inc.)(デラウェア州ウィルミントン)製の「Bynel」ポリオレフィン、ダウケミカルカンパニー(Dow Chemical Co.)(ミシガン州ミッドランド)製の「Promacor」ポリオレフィンおよび三井石油(Mitsui Petrochemical Industries,Ltd.)(日本の東京)製の「Admer」ポリオレフィンなどの酸変性ポリオレフィンが挙げられる。ポリオレフィンの一つの別の利点は、PENおよびPETで用いられる加工温度で実質的に劣化しないことである。さらに、ゴム弾性ポリオレフィンを使用すると、例えば、耐引裂性、耐破壊性および靱性を含む多層光学体の機械的特性を強化することが可能である。
【0074】
非光学層
再び図1および2を参照すると、例えば、加工中および/またはその後の物理的損傷から光学層12、14を保護するために図1に示されたようにスタック16の少なくとも一つの表面上に非光学層18の一層以上を外皮層または複数の外皮層として形成することが可能である。加えて、あるいは別法として、より大きな機械的強度をスタックに与えるため、あるいは加工中にスタックを保護するために、図2に示したように非光学層18の一層以上を層のスタック16内に形成することが可能である。
【0075】
非光学層18は、理想的には、少なくとも対象波長領域(例えば、可視、IRまたはUV波長領域)の端から端まで、多層光学フィルム10の光学的特性の決定に大幅には関わらない。非光学層18は、複屈折性または配向性であってよく、そうでなくてもよい。一般に、非光学層18を外皮層として用いる時、少なくとも多少の表面反射がある。光の高透過率が必要とされる少なくとも一部の用途において、非光学層は、好ましくは、表面反射(例えば、真珠光)の量を減少させるために比較的低い屈折率(例えば、1.6以下、または好ましくは1.5以下)を有する。光の反射が必要とされる他の用途において、非光学層は、好ましくは、多層光学体の反射を高めるために比較的高い屈折率(例えば、少なくとも1.6、より好ましくは少なくとも1.7)を有する。
【0076】
非光学層18がスタック16内に存在する時、一般に、非光学層18に隣接した光学層12、14と組み合わせた非光学層18による光の少なくとも多少の偏光または反射がある。しかし、少なくとも場合によって、非光学層18は、スタック16内の非光学層18によって反射された光が可視光を反射する光学体に関する対象領域外の波長、例えば、赤外線領域内の波長を有することを決定する厚さを有するように選択することが可能である。非光学層18の厚さは、個々の光学層12、14の一つの厚さの少なくとも2倍、通常少なくとも4倍、多くの場合、少なくとも10倍であることが可能である。非光学層18の厚さは、特定の厚さを有する光学体10を製造するために変えることが可能である。一般に、光学層12、14によって透過、偏光および/または反射されるべき光の少なくとも一部が非光学層を通しても移動するように、非光学層18の一層以上を配置する(すなわち、光学層12、14を通して移動する光の通路、あるいは光学層12、14によって反射される光の通路に非光学層を配置する)。
【0077】
非光学層18は、第1の光学層および第2の光学層中で用いられる一切のポリマーの含むポリマーから形成される。幾つかの実施形態において、非光学層18のために選択される材料は、第2の光学層14のために選択される材料と似ているか、あるいは同じである。例えば、多層光学体の耐引裂性、耐破壊性、靱性、耐候性および耐溶剤性などの特性を付与または改善する材料を非光学層のために選択してよい。
【0078】
他の層およびコーティング
特に多層光学体の表面に沿って物理的特性または化学的特性を変えるか、あるいは改善するために、種々の機能層または機能コーティングを本発明の多層光学体に加えることが可能である。こうした層またはコーティングは、例えば、スリップ剤、低密着性裏側材料、導電性層、帯電防止コーティングまたはフィルム、バリア層、難燃剤、UV安定剤、耐摩耗性材料、光学コーティング、および/またはWO第97/01440号に記載されたようなフィルムまたはデバイスの機械的一体性または強度を改善するように設計された基板を含んでよい。この特許は本明細書に引用して援用する。例えば、WO第95/17691号、WO第99/36813号およびWO第99/36814号に記載されたように、二色性偏光フィルムを多層光学フィルム上に被覆するか、あるいは多層光学フィルムと合わせて同時押出することも可能である。これらの特許のすべては本明細書に引用して援用する。
【0079】
製造
多層光学体を形成する一つの方法の簡単な説明を示す。プロセス条件および考慮事項のより完全な説明は、PCT公開WO第99/36248号、WO第99/06203号およびWO第99/36812号において見られる。これらの特許のすべては本明細書に引用して援用する。
【0080】
多層光学体の製造における初期工程は、第1の光学層と第2の光学層および非光学層の形成に当たって用いようとするポリマーの製造である(ポリマーが市販されていないならば)。一般に、これらのポリマーは押出によって成形される。但し、他のポリマー成形方法を用いてよい。押出条件は、連続で安定したやり方でポリマー樹脂原料ストリームを適切にフィードし、溶融し、ポンプで送るように選択される。最終溶融ストリーム温度は、範囲の低端で凍結、結晶化または過度に高い圧力降下を減少させるとともに範囲の高端で劣化を減少させる範囲内で選択される。チルロールでのフィルムキャスティングを含む、二種以上のポリマーの全体的な溶融ストリーム加工を同時押出と呼ぶことが多い。
【0081】
好ましくは、第1の光学層、第2の光学層および非光学層のポリマーは、それらのポリマーを同時押出できるために類似の流動学的特性(例えば、溶融粘度)を有するように選択される。一般に、第2の光学層および非光学層は、第1の光学層のガラス転移温度より低いか、あるいは第1の光学層より約30℃以下だけ高いガラス転移温度Tを有する。好ましくは、第2の光学層および非光学層のガラス転移温度は、第1の光学層のガラス転移温度より低い。
【0082】
押出後に、ポリマー流れの連続で均一な速度を調節するために用いられるギヤポンプに各溶融ストリームを移送する。均一溶融ストリーム温度でギヤポンプから多層フィードブロックにポリマー溶融ストリームを搬送するためにスタチック混合装置を用いることが可能である。全体的な溶融ストリームは、一般に、溶融ストリームの均一流れを強化するとともに溶融加工中に劣化を減少させるために可能なかぎり均一に加熱する。
【0083】
多層フィードブロックは、二つ以上のポリマー溶融ストリームの各々を多くの層に分割し、これらの層を交互配置し、そして多くの層を組み合わせて、単一多層ストリームにする。主フローチャンネルからのストリームの一部を、フィードブロックマニホールドの層スロットに導く副チャンネルチューブに逐次抜き取ることにより、所定のどの溶融ストリームからも層が作られる。機械、個々の副チャンネルチューブおよび層スロットの形状および物理的寸法において行われる選択によって、層流れを制御することが可能である。
【0084】
二つ以上の溶融ストリームの副チャンネルチューブおよび層スロットは、交互配置層を形成するために交互配置されることが多い。フィードブロックの下流側マニホールドは、一般に、横断的に組み合わされた多層スタックの層を圧縮し、均一に広げるように造形されている。保護境界層(PBL)として知られている厚い非光学層は、光学多層スタックの溶融ストリームを用いて、あるいは別のストリームによってマニホールド壁付近にフィードすることが可能である。上述したように、これらの非光学層は、壁応力の影響および生成流れの起きうる不安定性から、より薄い光学層を保護するために用いることが可能である。
【0085】
フィードブロックマニホールドから出る多層スタックは、ダイなどの最終造形装置に入る。あるいは、スタッキングによって再結合できる二つ以上の多層ストリームを形成するために、ストリームをスタック中の層に好ましくは直角に分流することができる。層に直角以外の他の角度でストリームを分流することも可能である。ストリームを分流し積み重ねる流れチャネリング系をマルチプライヤーと呼ぶ。分流ストリームの幅(すなわち、個々の層の厚さの合計)は等しいか、あるいは等しくないことが可能である。より広いストリーム幅対、より狭いストリーム幅の比としてマルチプライヤー比を定義する。等しくないストリーム幅(すなわち、マルチプライヤー比が1より大きい)は、層厚さの傾斜を設けるに当たって有用でありうる。等しくないストリーム幅の場合、マルチプライヤーは、スタッキング後の一致する層幅を確実にするために厚さ方向および流れ方向に、より狭いストリームを広げてよいし、および/または、より広いストリームを横断的に圧縮してよい。
【0086】
分流多層化(multiplication)前に、追加の非光学層を多層スタックに加えることが可能である。これらの非光学層は、マルチプライヤー内でPBLとして機能してよい。分流多層化およびスタッキング後に、これらの層は光学層間の内部境界層を形成するものがある一方で、外皮層を形成するものもある。
【0087】
分流多層化後に、ウェブを最終造形装置に向けて送る。その後、時にはキャスティングホイールまたはキャスティングドラムとも呼ばれるチルロール上にウェブをキャストする。このキャスティングは、詳細がポリマーフィルム製造の技術上周知されている静電ピニングによって支援されることが多い。ウェブを横切って均一厚さにウェブをキャストすることが可能であるか、あるいはダイリップ制御を用いてウェブ厚さの意図的分布化(profiling)を誘導することができる。
【0088】
その後、多層ウェブは、最終多層光学フィルムを作製するために一軸または二軸で延伸する。一軸延伸は、テンターまたは長さオリエンター内で実施する。二軸延伸は、一般に両方のタイプの装置を含む。代表的なテンターはウェブ経路に対して横方向(TD)で延伸する。但し、特定のテンターは、ウェブ経路すなわち機械方向(MD)にフィルムを寸法的に延伸または緩和(収縮)させるメカニズムを備えている。長さオリエンターは機械方向に延伸する。
【0089】
例えば、両方の平面内方向に複屈折材料を配向させるために、二工程延伸プロセスが用いられる。延伸プロセスは、二つの平面内方向に延伸することを可能にする上述した単一工程プロセスのいかなる組み合わせてあることも可能である。さらに、機械方向に沿った延伸を可能にするテンター、例えば、二方向に逐次または同時に延伸できる二軸テンターを用いることが可能である。後者の場合、単一の二軸延伸プロセスを用いることが可能である。
【0090】
以下の実施例は、本発明の多層光学フィルムの製造および用途を実証している。これらの実施例は単に説明であり、本発明の範囲を限定するとして解釈されるべきでないことは理解されるべきである。
【0091】
実施例
これらの実施例のためのポリマーの作製に当たって用いられるモノマー、触媒および安定剤は、以下の供給業者から市販されている。ジメチルナフタレンジカルボキシレートはアモコ(Amoco)(アラバマ州ディケーター)製、ジメチルテレフタレートはヘキストセラニーズ(Hoechst Celanese)(テキサス州ダラス)製、エチレングリコールはユニオンカーバイド(Union Carbide)(ウェストバージニア州のチャールストン)製、1,6−ヘキサンジオールはバスフ(BASF)(ノースカロライナ州シャーロット)製、三酢酸アンチモンはエルフアトケム(Elf Atochem)(ペンシルバニア州フィラデルフィア)製、酢酸マンガンおよびトリエチルホスホノアセテートはアルブライト&ウィルソン(Albright & Wilson)(バージニア州グレンアレン)製。
【0092】
以下の実施例で用いられたポリエチレンテレフタレートは、原材料である5,000kgのジメチルテレフタレート、3,502kgのエチレングリコール、1.2kgの酢酸マンガンおよび1.6kgの三酢酸アンチモンを投入してバッチ反応器内で合成することができる。エステル交換反応副生物のメタノールを除去しつつ1520トルの圧力下で、この混合物を254℃に加熱する。1,649kgのメタノールが除去された後に、2.45kgのトリエチルホスホノアセテートを反応器に投入し、その後、280℃に加熱しつつ圧力を徐々に1トルに低下させる。60/40フェノール/ジクロロベンゼン中で測定して固有粘度0.60のポリマーが生成するまで縮合反応生成物であるエチレングリコールを連続的に除去する。
【0093】
実施例1
PET:MMA−EA層を有する色シフト光学フィルム
ポリエチレンテレフタレート(PET)から作製された第1の光学層および75重量%のメチルメタクリレート(MMA)モノマーと25重量%のエチルアクリレート(EA)モノマーを用いるコポリマーから作製された第2の光学層を用いて光学フィルムを作製した。コポリマーは、アイシーアイアメリカズ(ICI Americas,Inc.)(デラウェア州ウィルミントン)から商品名「Perspex(商標)CP63」で入手できる。
【0094】
その後、多層溶融マニホールドを通して上述したポリマーを同時押出して、224層が交互配置されている第1の光学層および第2の光学層を有する合計厚さ約580μmの多層フィルムを作製した。この特定の多層反射フィルムは、第1の光学層と同じポリエチレンテレフタレートから製造された厚さ約145μmの外部保護層も各側に含んでいた。光学フィルムを最初に予熱し、その後、約85℃で3.7:1の比に機械方向に延伸し、その後、約95℃で3.9:1の比に横方向に延伸して、厚さ約48μmの光学フィルムを作製した。
【0095】
外部保護PET層の屈折率測定値(nMD=1.6433、nTD=1.6757、n=1.4868)によって決定されるようなプロセスによって第1のPET光学層を配向させた。第2の光学層は本質的に等方性であり、約1.49の屈折率を有していた。
【0096】
光学フィルムは、直角入射光に関して図4に示された透過スペクトルを有していた。光学フィルムは、直角入射に関して視角が増加するにつれて赤色に変化する青色の外観を有していた。
【0097】
実施例2
PET:MMA−EA層を有する色シフト光学フィルム
延伸プロセス中に光学フィルムを最初に94℃に1分にわたり予熱し、その後、延伸速度20%/sで94℃において比3.4:3.4で二軸延伸したことを除いて、この光学フィルムを実施例1の光学フィルムと同じやり方で作製した。
【0098】
外部保護PET層の屈折率測定値(nMD=1.6173、nTD=1.6197、n=1.5108)によって決定されるようなプロセスによって第1のPET光学層を配向させた。第2の光学層は本質的に等方性であり、約1.49の屈折率を有していた。
【0099】
光学フィルムは、直角入射光に関して図5に示された透過スペクトルを有していた。光学フィルムは、直角入射に関して視角が増加するにつれて赤色に変化する青色の外観を有していた。
【0100】
実施例3
PET:MMA−EA層を有する色シフト光学フィルム
延伸プロセス中に光学フィルムを最初に84℃に1分にわたり予熱し、その後、延伸速度20%/sで84℃において比2.4:2.4で二軸延伸したことを除いて、この光学フィルムを実施例1の光学フィルムと同じやり方で作製した。
【0101】
外部保護PET層の屈折率測定値(nMD=1.6121、nTD=1.6107、n=1.5200)によって決定されるようなプロセスによって第1のPET光学層を配向させた。第2の光学層は本質的に等方性であり、約1.49の屈折率を有していた。
【0102】
光学フィルムは、直角入射光に関して図6に示された透過スペクトルを有していた。光学フィルムは、直角入射に関して視角が増加するにつれて黄色に変化する赤色の外観を有していた。
【0103】
実施例4
PET:MMA−EA層を有するIRフィルム
キャストフィルムの全厚さが625μmであり、延伸プロセス中に光学フィルムを最初に予熱し、その後、約100℃において比3.6:3.8で二軸延伸したことを除いて、この光学フィルムを実施例1の光学フィルムと同じやり方で作製した。最終フィルム厚さは約51μmであった。
【0104】
外部保護PET層の屈折率測定値(nMD=1.6426、nTD=1.6761、n=1.4896)によって決定されるようなプロセスによって第1のPET光学層を配向させた。第2の光学層は本質的に等方性であり、約1.49の屈折率を有していた。
【0105】
光学フィルムは、直角入射光に関して図7に示された透過スペクトルを有していた。
【0106】
実施例5
PET:MMA−EA層を有するIRフィルム
キャストフィルムの全厚さが625μmであり、延伸プロセス中に光学フィルムを最初に予熱し、その後、約100℃において比3.6:1に機械方向に延伸し、その後、約100℃において比3.8:1に横方向に延伸したことを除いて、この光学フィルムを実施例1の光学フィルムと同じやり方で作製した。最終フィルム厚さは約48.8μmであった。
【0107】
外部保護PET層の屈折率測定値(nMD=1.6387、nTD=1.6755、n=1.4945)によって決定されるようなプロセスによって第1のPET光学層を配向させた。第2の光学層は本質的に等方性であり、約1.49の屈折率を有していた。
【0108】
光学フィルムは、直角入射光に関して図8に示された透過スペクトルを有していた。
【0109】
実施例6
PET:MMA−EA層を有するIRフィルム
150層だけの交互層を用い、延伸プロセス中に光学フィルムを最初に94℃に1分にわたり予熱し、その後、延伸速度20%/sで約94℃において延伸比3.6:3.2で延伸したことを除いて、この光学フィルムを実施例1の光学フィルムと同じやり方で作製した。最終フィルム厚さは約29.5μmであった。
【0110】
外部保護PET層の屈折率測定値(nMD=1.6499、nTD=1.6070、n=1.4969)によって決定されるようなプロセスによって第1のPET光学層を配向させた。第2の光学層は本質的に等方性であり、約1.49の屈折率を有していた。
【0111】
光学フィルムは、直角入射光に関して図9に示された透過スペクトルを有していた。
【0112】
実施例7
PET:MMA−nBMA層を有する色シフトフィルムおよびIRフィルム
PETから作製された第1の光学層およびPMMAコポリマーから作製された第2の光学層を用いて光学フィルムを形成することが可能である。PMMAコポリマーは、MMAコモノマー単位とn−ブチルメタクリレート(nBMA)コモノマー単位を用いて形成される。nBMAコモノマー単位は、PMMAコポリマーのTをPMMAのTより低く低下させる。
【0113】
実施例8
PET:MMA−nBMA−EA層を有する色シフトフィルムおよびIRフィルム
PETから作製された第1の光学層およびPMMAコポリマーから作製された第2の光学層を用いて光学フィルムを形成することが可能である。PMMAコポリマーは、MMAコモノマー単位、n−ブチルメタクリレート(nBMA)コモノマー単位およびエチルアクリレート(EA)コモノマー単位を用いて形成される。nBMAコモノマー単位およびEAコモノマー単位は、PMMAコポリマーのTをPMMAのTgより低く低下させる。EAコモノマー単位はフィルムの熱安定性を高めることも可能である。
【0114】
実施例9
PET:PEMA層を有する色シフトフィルムおよびIRフィルム
PETから作製された第1の光学層およびポリエチルメタクリレート(PEMA)から作製された第2の光学層を用いて光学フィルムを形成することが可能である。PEMAは、PMMA(106℃)より低いガラス転移温度(67℃)を有する。
【0115】
実施例10
PET:EMA−BA層を有する色シフトフィルムおよびIRフィルム
PETから作製された第1の光学層およびPEMAコポリマーから作製された第2の光学層を用いて光学フィルムを形成することが可能である。PEMAコポリマーは、エチルメタクリレート(EMA)コモノマー単位およびブチルアクリレート(BA)コモノマー単位を用いて形成される。ブチルアクリレートコモノマー単位はエチルメタクリレートより高い許容可能臭気域値を有し、従って、より許容可能なポリマー層を製造するために用いることが可能である。
【0116】
実施例11
PET:MMA−EA−MA層を有する色シフトフィルムおよびIRフィルム
PETから作製された第1の光学層およびPMMAコポリマーから作製された第2の光学層を用いて光学フィルムを形成することが可能である。PMMAコポリマーは、MMAコモノマー単位、エチルアクリレート(EMA)コモノマー単位およびメタクリル酸(MA)コモノマー単位を用いて形成される。EAコモノマー単位は、PMMAコポリマーのTをPMMAのTより低く低下させる。EAコモノマー単位はフィルムの熱安定性を高めることも可能である。MAコモノマー単位は、第1のPET光学層との層間密着性を高めるために用いられる。
【0117】
実施例12
PET:PMMA/PVDF(75/25)層を有する色シフトフィルム
PETから作製された第1の光学層およびPMMAとポリ(弗化ビニリデン)(PVDF)(例えば、ソルベーポリマーズ(Solvay Polymers Inc.)(テキサス州ヒューストン)製のSolef(商標)1008)の75/25重量比でのブレンドから作製された第2の光学層を用いて光学フィルムを形成することが可能である。PMMA/PVDFブレンドは、PMMAより低いT(72℃)および屈折率(1.47)を有する。第1の光学層と第2の光学層との間の屈折率差は約0.18である。PVDFは、改善された耐溶剤性および耐候性を含む他の利点も提供する。
【0118】
実施例13
PET:PMMA/PVDF(60/40)層を有する色シフトフィルムおよびIRフィルム
PETから作製された第1の光学層およびPMMAとポリ(弗化ビニリデン)(PVDF)(例えば、ソルベーポリマーズ(Solvay Polymers Inc.)(テキサス州ヒューストン)製のSolef(商標)1008)の60/40重量比でのブレンドから作製された第2の光学層を用いて光学フィルムを形成することが可能である。PMMA/PVDFブレンドは、PMMAより低いT(66℃)および屈折率(1.458)を有する。第1の光学層と第2の光学層との間の屈折率差は約0.19である。PVDFは、改善された耐溶剤性および耐候性を含む他の利点も提供する。
【0119】
実施例14
PET:PMMA/PVDF(75/25)層を有するIRフィルム
ポリエチレンテレフタレート(PET)から作製された第1の光学層および75重量%のPMMA(アイシーアイアメリカズ(ICI Americas,Inc.)(デラウェア州ウィルミントン)製のPerspex(商標)CP82)と25重量%のポリ(弗化ビニリデン)(PVDF)(例えば、ソルベーポリマーズ(Solvay Polymers Inc.)(テキサス州ヒューストン)製のSolef(商標)1008)を用いるブレンドから作製された第2の光学層を用いて光学フィルムを作製した。
【0120】
その後、多層溶融マニホールドを通して上述したポリマーを同時押出して、196層が交互配置されている第1の光学層および第2の光学層を有する多層フィルムを作製した。この特定の多層反射フィルムは、第1の光学層と同じポリエチレンテレフタレートから製造された外部保護層も含んでいた。光学フィルムを最初に予熱し、その後、約100℃で機械方向および横方向の各々において3.6から3.8の間の比に延伸して、厚さ約40.4μmの光学フィルムを作製した。
【0121】
光学フィルムは、直角入射光に関して図10に示された透過スペクトルを有していた。
【0122】
実施例15
PET:PE−PO層を有する色シフト光学フィルム
ポリエチレンテレフタレート(PET)(市販されている?)から作製された第1の光学層およびポリオレフィンコポリマーであるポリ(エチレン−co−オクテン)(PE−PO)から作製された第2の光学層を用いて光学フィルムを作製した。コポリマーは、ダウデュポンエラストマーズ(Dow−DuPont Elastomers)から商品名「Engage 8200」で入手できる。
【0123】
その後、多層溶融マニホールドを通して上述したポリマーを同時押出して、224層が交互配置されている第1の光学層および第2の光学層を有する多層フィルムを作製した。キャストフィルムは、約533μmの全厚さを有していた。この特定の多層反射フィルムは、第1の光学層と同じポリエチレンテレフタレートから製造された外部保護層も含んでいた。光学フィルムを最初に予熱し、その後、約100℃で3.8:1の比に機械方向に延伸し、その後、約100℃で3.6:1の比に横方向に延伸して、約38.6μmの光学フィルムを作製した。
【0124】
外部保護PET層の屈折率測定値(nMD=1.6766、nTD=1.6400、n=1.4906)によって決定されるようなプロセスによって第1のPET光学層を配向させた。第2の光学層は本質的に等方性であり、約1.49の屈折率を有していた。
【0125】
光学フィルムは、直角入射光に関して図11に示された透過スペクトルを有していた。光学フィルムは、直角入射に関して視角が増加するにつれて赤色に変化する青色の外観を有していた。
【0126】
実施例16
PET:PE−PO層を有するIRフィルム
ポリエチレンテレフタレート(PET)から作製された第1の光学層およびポリオレフィンコポリマーであるポリ(エチレン−co−オクテン)(PE−PO)から作製された第2の光学層を用いて光学フィルムを作製した。コポリマーは、ダウデュポンエラストマーズ(Dow−DuPont Elastomers)から商品名「Engage 8200」で入手できる。
【0127】
その後、多層溶融マニホールドを通して上述したポリマーを同時押出して、224層が交互配置されている第1の光学層および第2の光学層を有する多層フィルムを作製した。キャストフィルムは、約533μmの全厚さを有していた。この特定の多層反射フィルムは、第1の光学層と同じポリエチレンテレフタレートから製造された外部保護層も含んでいた。光学フィルムを最初に予熱し、その後、約100℃で3.6:1の比に機械方向に延伸し、その後、約100℃で3.8:1の比に横方向に延伸して、約57.1μmの光学フィルムを作製した。
【0128】
外部保護PET層の屈折率測定値(nMD=1.6400、nTD=1.6766、n=1.4906)によって決定されるようなプロセスによって第1のPET光学層を配向させた。第2の光学層は本質的に等方性であり、約1.49の屈折率を有していた。
【0129】
光学フィルムは、直角入射光に関して図12に示された透過スペクトルを有していた。光学フィルムはクリアな外観を有し、より高い視角で若干の黄色が観察された。
【0130】
実施例17
PET:PP−PE層を有する色シフト光学フィルム
ポリエチレンテレフタレート(PET)から作製された第1の光学層およびポリオレフィンコポリマーであるポリ(プロピレン−co−エチレン)(PP−PE)から作製された第2の光学層を用いて光学フィルムを作製した。コポリマーは、テキサス州ダラスのフィナオイルアンドケミカル(Fina Oil and Chemical Co.)から商品名「Z9470」で入手できる。
【0131】
その後、多層溶融マニホールドを通して上述したポリマーを同時押出して、224層が交互配置されている第1の光学層および第2の光学層を有する多層フィルムを作製した。キャストフィルムは、約719μmの全厚さを有していた。この特定の多層反射フィルムは、第1の光学層と同じポリエチレンテレフタレートから製造された外部保護層も含んでいた。94℃に設定された高温空気が投入されたオーブン内で光学フィルムを加熱し、その後、94℃の延伸温度および20%/sの延伸速度で延伸比4.4:4.4に配向させた。
【0132】
外部保護PET層の屈折率測定値(nMD=1.6208、nTD=1.6164、n=1.5132)によって決定されるようなプロセスによって第1のPET光学層を配向させた。第2の光学層は本質的に等方性であり、約1.49の屈折率を有していた。
【0133】
光学フィルムは、直角入射光に関して図13に示された透過スペクトルを有していた。光学フィルムは、直角入射に関して視角が増加するにつれて赤色に変化する青色の外観を有していた。
【0134】
実施例18
PET:PP−PE層を有するIRフィルム
ポリエチレンテレフタレート(PET)から作製された第1の光学層およびポリオレフィンコポリマーであるポリ(プロピレン−co−エチレン)(PP−PE)から作製された第2の光学層を用いて光学フィルムを作製した。コポリマーは、テキサス州ダラスのフィナオイルアンドケミカル(Fina Oil and Chemical Co.)から商品名「Z9470」で入手できる。
【0135】
その後、多層溶融マニホールドを通して上述したポリマーを同時押出して、224層が交互配置されている第1の光学層および第2の光学層を有する多層フィルムを作製した。キャストフィルムは、約719μmの全厚さを有していた。この特定の多層反射フィルムは、第1の光学層と同じポリエチレンテレフタレートから製造された外部保護層も含んでいた。光学フィルムを最初に予熱し、その後、約100℃で3.6:1の比に機械方向に延伸し、その後、約100℃で3.8:1の比に横方向に延伸して、約42.4μmの光学フィルムを作製した。
【0136】
外部保護PET層の屈折率測定値(nMD=1.6376、nTD=1.6852、n=1.4860)によって決定されるようなプロセスによって第1のPET光学層を配向させた。第2の光学層は本質的に等方性であり、約1.49の屈折率を有していた。
【0137】
光学フィルムは、直角入射光に関して図14に示された透過スペクトルを有していた。光学フィルムは直角入射で若干黄色の外観を有していたが、視角が増加するにつれてクリアになった。
【0138】
実施例19
PET:aPP−iPP層を有する色シフト光学フィルム
ポリエチレンテレフタレート(PET)から作製された第1の光学層およびアタクチックポリプロピレン(aPP)とアイソタクチックポリプロピレン(iPP)のポリオレフィンコポリマーから作製された第2の光学層を用いて光学フィルムを作製した。コポリマーは、ユタ州ソルトレークシティのハンツマンケミカル(Huntsman Chemical Corp.)から商品名「Rexflex W111」で入手できる。
【0139】
その後、多層溶融マニホールドを通して上述したポリマーを同時押出して、224層が交互配置されている第1の光学層および第2の光学層を有する多層フィルムを作製した。キャストフィルムは、約683μmの全厚さを有していた。この特定の多層反射フィルムは、第1の光学層と同じポリエチレンテレフタレートから製造された外部保護層も含んでいた。94℃に設定された高温空気が投入されたオーブン内でキャストフィルムを加熱し、その後、94℃の延伸温度および20%/sの延伸速度で延伸比3.5:3.5に配向させて、約34μmの光学フィルムを作製した。
【0140】
外部保護PET層の屈折率測定値(nMD=1.6201、nTD=1.6206、n=1.5064)によって決定されるようなプロセスによって第1のPET光学層を配向させた。第2の光学層は本質的に等方性であり、約1.49の屈折率を有していた。
【0141】
光学フィルムは、直角入射光に関して図15に示された透過スペクトルを有していた。光学フィルムは、直角入射に関して視角が増加するにつれて赤色に変化する青色の外観を有していた。
【0142】
実施例20
PET:aPP−iPP層を有するIRフィルム
ポリエチレンテレフタレート(PET)から作製された第1の光学層およびアタクチックポリプロピレン(aPP)とアイソタクチックポリプロピレン(iPP)のポリオレフィンコポリマーから作製された第2の光学層を用いて光学フィルムを作製した。コポリマーは、ユタ州ソルトレークシティのハンツマンケミカル(Huntsman Chemical Corp.)から商品名「Rexflex W111」で入手できる。
【0143】
その後、多層溶融マニホールドを通して上述したポリマーを同時押出して、224層が交互配置されている第1の光学層および第2の光学層を有する多層フィルムを作製した。キャストフィルムは、約683μmの全厚さを有していた。この特定の多層反射フィルムは、第1の光学層と同じポリエチレンテレフタレートから製造された外部保護層も含んでいた。94℃に設定された高温空気が投入されたオーブン内でキャストフィルムを加熱し、その後、94℃の延伸温度および20%/sの延伸速度で延伸比2.8:2.8に配向させて、光学フィルムを作製した。
【0144】
外部保護PET層の屈折率測定値(nMD=1.6214、nTD=1.6199、n=1.5059)によって決定されるようなプロセスによって第1のPET光学層を配向させた。第2の光学層は本質的に等方性であり、約1.49の屈折率を有していた。
【0145】
光学フィルムは、直角入射光に関して図16に示された透過スペクトルを有していた。光学フィルムは直角入射で若干赤色を有していたが、視角が増加するにつれてクリアになった。
【0146】
実施例21
PET:LLDPE−g−MA層を有する色シフト光学フィルム
ポリエチレンテレフタレート(PET)から作製された第1の光学層および官能化ポリオレフィンである線状低密度ポリエチレン−g−無水マレイン酸(LLDPE−g−MA)から作製された第2の光学層を用いて光学フィルムを作製した。コポリマーは、デュポン・ヌムール(E.I.duPont de Nemours & Co.,Inc.)(デラウェア州ウィルミントン)から商品名「Bynel 4105」で入手できる。
【0147】
その後、多層溶融マニホールドを通して上述したポリマーを同時押出して、224層が交互配置されている第1の光学層および第2の光学層を有する多層フィルムを作製した。この特定の多層反射フィルムは、第1の光学層と同じポリエチレンテレフタレートから製造された外部保護層も含んでいた。94℃に設定された高温空気が投入されたオーブン内でキャストフィルムを加熱し、その後、94℃の延伸温度および20%/sの延伸速度で延伸比3.5:3.7に配向させて、約33.8μmの光学フィルムを作製した。
【0148】
外部保護PET層の屈折率測定値(nMD=1.6175、nTD=1.6286、n=1.5075)によって決定されるようなプロセスによって第1のPET光学層を配向させた。第2の光学層は本質的に等方性であり、約1.49の屈折率を有していた。
【0149】
光学フィルムは、直角入射光に関して図17に示された透過スペクトルを有していた。
【0150】
実施例22
PET:LLDPE−g−MA層を有するIRフィルム
ポリエチレンテレフタレート(PET)から作製された第1の光学層および官能化ポリオレフィンである線状低密度ポリエチレン−g−無水マレイン酸(LLDPE−g−MA)から作製された第2の光学層を用いて光学フィルムを作製した。コポリマーは、デュポン・ヌムール(E.I.duPont de Nemours & Co.,Inc.)(デラウェア州ウィルミントン)から商品名「Bynel 4105」で入手できる。
【0151】
その後、多層溶融マニホールドを通して上述したポリマーを同時押出して、224層が交互配置されている第1の光学層および第2の光学層を有する多層フィルムを作製した。この特定の多層反射フィルムは、第1の光学層と同じポリエチレンテレフタレートから製造された外部保護層も含んでいた。光学フィルムを最初に予熱し、その後、約100℃で3.6:1の比に機械方向に延伸し、その後、約100℃で3.8:1の比に横方向に延伸して、約40.9μmの光学フィルムを作製した。
【0152】
外部保護PET層の屈折率測定値(nMD=1.6378、nTD=1.6847、n=1.4869)によって決定されるようなプロセスによって第1のPET光学層を配向させた。第2の光学層は本質的に等方性であり、約1.49の屈折率を有していた。
【0153】
光学フィルムは、直角入射光に関して図18に示された透過スペクトルを有していた。光学フィルムは直角入射でクリアであったが、視角が増加するにつれて若干青色になった。
【0154】
実施例23
PET:EVA層を有する色シフトフィルムおよびIRフィルム
PETから作製された第1の光学層およびポリ(エチレン−co−酢酸ビニル)(EVA)から作製された第2の光学層を用いて、配向された光学フィルムを形成することが可能である。
【0155】
実施例24
PET:EVA/PE−PP層を有する色シフトフィルムおよびIRフィルム
PETから作製された第1の光学層およびポリ(エチレン−co−酢酸ビニル)とポリ(エチレン−co−プロピレン)の混和性ブレンドから作製された第2の光学層を用いて、配向された光学フィルムを形成することが可能である。
【0156】
実施例25
PET−PC:PMMA層を有する色シフトフィルムおよびIRフィルム
PETとポリカーボネート(PC)の共重合または反応性ブレンディングから作製された第1の光学層およびポリメチルメタクリレート(PMMA)から作製された第2の光学層を用いて、配向された光学フィルムを形成することが可能である。
【0157】
実施例26
PET−PAr:PMMA層を有する色シフトフィルムおよびIRフィルム
PETとポリアリーレート(PAr)の共重合または反応性ブレンディングから作製された第1の光学層およびポリメチルメタクリレート(PMMA)から作製された第2の光学層を用いて、配向された光学フィルムを形成することが可能である。
【0158】
実施例27
PET−PEI:PMMA層を有する色シフトフィルムおよびIRフィルム
PETとポリエーテルイミド(PEI)の混和性ブレンディングから作製された第1の光学層およびポリメチルメタクリレート(PMMA)から作製された第2の光学層を用いて、配向された光学フィルムを形成することが可能である。ポリエーテルイミドは218℃のガラス転移温度を有する。
【0159】
実施例28
PET−PEN(90/10):EVA層を有する色シフトフィルムおよびIRフィルム
90重量%のPETと10重量%のPENの共重合または反応性ブレンディングから作製された第1の光学層およびポリ(エチレン−co−酢酸ビニル)(EVA)から作製された第2の光学層を用いて、配向された光学フィルムを形成することが可能である。
【0160】
実施例29
PET−PEN(30/70):EVA層を有する色シフトフィルムおよびIRフィルム
30重量%のPETと70重量%のPENの共重合または反応性ブレンディングから作製された第1の光学層およびポリ(エチレン−co−酢酸ビニル)(EVA)から作製された第2の光学層を用いて、配向された光学フィルムを形成することが可能である。
【0161】
実施例30
PEN−PMMA/PVDF(60/40)層を有する多層光学フィルム
交互配置されたPEN(テネシー州キングスポートのイーストマンケミカルプロダクツ(Eastman Chemical Products,Inc.)製で固有粘度0.48)と混和性PMMA/PVDF(重量で60/40)ブレンドの約450層を含む多層キャストフィルムを同時押出した。PMMAは、アイシーアイアメリカズ(ICI Americas,Inc.)(デラウェア州ウィルミントン)製のPerspex(商標)CP80であり、PVDFは、ソルベーポリマーズ(Solvay Polymers Inc.)(テキサス州ヒューストン)製のSolef(商標)1008であった。その後、押し出したキャストフィルムを連続的に二軸延伸した。逐次二軸配向プロセスは、長さオリエンター内での機械方向(MD)への第1の配向工程、その後のテンター内での横方向(TD)配向を含んでいた。最終光学フィルムは、約58.4μmの総厚さを有していた。
【0162】
比較のために、PEN:PMMA多層ミラーフィルムを同じ装置を用い似た条件下で加工した。
【0163】
二つのフィルムは、低屈折率材料であるPMMA(n=1.49)およびPMMA/PVDF(60/40)(n=1.458)の屈折率において異なっていた。上述したように、高屈折率材料は、両方のフィルムに関して同じPEN(n=1.75)である。
【0164】
図19は、大部分の幅にわたってPEN:PMMA(Δn=0.26)を基準にしてPEN:PMMA/PVDF(60/40)(Δn=0.29)の、より高い平均反射率を明確に示している。図1の反射率は、測定透過スペクトルからの明所視平均である(CIE光源、2度観察者)。
【0165】
図20は、波長の関数としてPEN:PMMAフィルムおよびPEN:PMMA/PVDF(60/40)フィルムの反射率を示している。図20の反射率は測定透過率から計算されている(%反射率=100−%透過率)。PEN:PMMAフィルムは、好ましくないスペクトル不均一性(真珠光)につながる「スパイク」の度合が著しくて、比較的不均一なスペクトルを示した。スペクトル不均一性(真珠光)は、層厚さの変動および光学パケットオーバーラップが無いことを含む加工の難しさに付随している。PEN:PMMA/PVDF(60/40)多層ミラーフィルムのより高い屈折率差は、スペクトル不均一性(真珠光)の大幅な低下をもたらす。PEN:PMMAフィルムを基準としたPEN:PMMA/PVDF(60/40)フィルムのスペクトル不均一性(真珠光)の実証された低下は、光学的利益と加工上の利益の両方を表している。
【0166】
図21は、類似の帯域幅のフィルムについてPEN:PMMAを基準としたPEN:PMMA/PVDF(60/40)によるスペクトル不均一性(真珠光)の同じ低下を示している。
【0167】
図22および23は、PEN:PMMAフィルムおよびPEN:PMMA/PVDF(60/40)フィルムについてのクロスウェブ距離の関数としての色素指数パラメータの比較を示している。色素指数パラメータを測定透過スペクトル(CIE光源、2度観察者)から明所視的に平均した。理想的には、色素指数パラメータは0である。図は、PEN:PMMA/PVDF(60/40)フィルムが大部分のフィルム幅にわたってPEN:PMMAフィルムを基準として、より良好な色性能を示すことを表している。
【0168】
PEN:PMMAフィルムのクロスウェブ厚さ均一性は、PEN:PMMA/PVDF(60/40)フィルムより大幅に良好であった。PEN:PMMAフィルムで良好なクロスウェブ厚さ均一性を達成するために費やした時間をPEN:PMMA/PVDF(60/40)フィルムで同じものを達成するために費やさなかったことを指摘する。PEN:PMMAフィルムのより良好なクロスウェブ厚さ均一性にもかかわらず、図19から23は、PEN:PMMA/PVDF(60/40)フィルムの優れた光学的性能を示している。この結果は、多層光学フィルムの加工に付随したクロスウェブ厚さ均一性制約の緩和を示している。これは、PEN:PMMA/PVDF(60/40)フィルムなどの大きな屈折率差材料の組み合わせがどのようにより強いプロセスをもたらすかのもう一つの例である。さらに、より良好なクロスウェブ厚さ均一性がPEN:PMMAフィルムを基準として遙かにより良好な光学的性能をもたらすPEN:PMMA/PVDF(60/40)フィルムにおいて達成可能であることが予想される。
【0169】
実施例31
coPEN(70/30):PMMA/PVDF(60/40)層を有する多層光学フィルム
70重量%のナフタレンモノマーおよび30重量%のテレフタレートモノマーを用いて形成されたカルボキシレートサブ単位を有するPENのコポリマーを用いたことを除いて、実施例30の多層光学フィルムに似た多層光学フィルムを形成した。この多層光学フィルムの第1の光学層は、PEN:PMMA配合と同じ屈折率差(Δn=0.29)、従って、似た光学的性能および加工性能の可能性を有する。より低いPEN含有率は、可視のスペクトル領域からより遠くにUV吸収帯域端を有するフィルムをもたらし、フィルムのより容易なUV保護を可能にする。PEN(124℃)を基準として、より低いcoPENのガラス転移温度(110℃)も熱成形およびエンボスなどにおいて利点をもちうる。
【0170】
本発明は、上述した特定の実施例に限定されると考えるべきではなく、むしろ添付した請求の範囲に公正に記載された本発明のすべての態様を包含すると理解されるべきである。本発明に適用可能であってよい種々の修正、同等プロセスおよび多くの体系は、本明細書を精査すると、本発明の対象である当業者にとって容易に明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各光学層が配向されているとともにテレフタレートコモノマー単位およびエチレングリコールコモノマー単位を有するポリエステルを含む複数の第1の光学層と、
各光学層がポリメチルメタクリレートのコポリマーを含み、前記コポリマーは前記コポリマーのガラス転移温度を前記第1の光学層の前記ポリエステルのガラス転移温度より低く低下させるコモノマー単位を含む、前記複数の第1の光学層と繰り返し順で配置された複数の第2の光学層と
を含む光学体であって、
少なくとも一つの波長領域にわたって光の少なくとも一部を反射させるように構成され配列されている光学体。
【請求項2】
各光学層が配向されているとともに、
(i)テレフタレートコモノマー単位およびエチレングリコールコモノマー単位を有するポリエステル部分および
(ii)少なくとも約130℃のガラス転移温度を有するポリマーに対応する第2の部分を含む第1のポリマー組成物を含む複数の第1の光学層と、
各光学層が第2のポリマー組成物を含み前記複数の第1の光学層と繰り返し順で配置された複数の第2の光学層と
を含む光学体。
【請求項3】
各光学層が配向されているとともにテレフタレートコモノマー単位およびエチレングリコールコモノマー単位を有するポリエステルを含む複数の第1の光学層と、
各光学層がポリメチルメタクリレートとポリ弗化ビニリデンとのブレンドを含み、前記ポリ弗化ビニリデンをポリメチルメタクリレートにブレンドすることによって、前記ブレンドのガラス転移温度を前記第1の光学層の前記ポリエステルのガラス転移温度より低く低下させる、前記複数の第1の光学層と繰り返し順で配置された複数の第2の光学層と
を含む光学体であって、
少なくとも一つの波長領域にわたって光の少なくとも一部を反射させるように構成され配列されている光学体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−212148(P2012−212148A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−122064(P2012−122064)
【出願日】平成24年5月29日(2012.5.29)
【分割の表示】特願2011−199320(P2011−199320)の分割
【原出願日】平成11年12月29日(1999.12.29)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】