説明

多層支持構造体

多層支持構造体が、人間工学的で適合可能な座席支持体を提供する。多層支持構造体は、複数の協働層を含み、全体的な快適性及び支持を最大にする一方で、人が椅子に座ったときに加えられる荷重のような荷重の局部的な変動に対する適合度を向上させる。協働層の各々は、適合可能な快適性及び支持をもたらすために、ピクセル、バネ、支持レール、及び他の要素を含む。多層支持構造体は、位置合わせされた材料を用いて、可撓性でありながら耐久性のある支持構造体をも提供する。従って、この多層支持構造体は、広範囲の体形及び身体サイズに対して最大の快適性を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷重支持構造体に関する。具体的には、本発明は、多層シート構造体(layred seating structure)に関する。
本出願は、引用により本明細書に組み入れられる、2008年7月25日に出願されたMULTI−LAYERED SUPPORT STRUCTUREという名称の米国仮特許出願番号第61/135,997号、及び、2009年5月5日に出願されたMULTI−LAYERED SUPPORT STRUCTUREという名称の米国仮特許出願番号第61/175,670号の両方に基づく優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
大部分の人は、毎日かなりの時間を座ることに費やしている。支持が不十分であると、生産性の低下、身体疲労、又は慢性的な背中の痛み等の健康状態の悪化さえもたらすことがある。椅子、ベンチ、マットレス、ソファー及び他の荷重支持構造体の研究及び開発に多大な資源が投じられている。
【0003】
これまで、例えば、椅子は、クッションから個々の荷重支持要素のより複雑な組み合わせに至る設計を含んでいる。これらの過去の設計は、ユーザの一般的な体形にぴったりフィットする快適性をもたらすことを含む、シート構造体により与えられる一般的な快適性のレベルを改善してきた。しかしながら、改善されたシート構造体でさえも、依然として幾らかの不快感が生じることがある。例えば、シート構造体は、多種多様な一般的な体形に適合するように調整されるが、突き出た財布、尻骨、又は体形の他の局部的な凹凸部に適合することに抵抗することがある。このため、財布又は他の体形凹凸部が、シート構造体により、座っている人の臀部内に押し込まれると、不快感が生じることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、快適なシート構造体を提供することに幾らかの進歩がなされたものの、広範囲の体形及びサイズにフィットし、かつ、適合するように調整される改善されたシート構造体に対する必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
多層支持構造体が、グローバル層と、ローカル層と、上部マット層とを含むことができる。グローバル層は、荷重が加えられたときにシート構造体の制御された撓みをもたらす。グローバル層は、ローカル層も支持する複数の支持レールを含む。グローバル層は、荷重が加えられたときにグローバル層を撓みやすくするために、位置合わせされた材料を含むことができる複数の位置合わせ領域を含むこともできる。
【0006】
ローカル層は、荷重が多層支持構造体に加えられたときに、さらに、かつ、独立して撓むのを容易にする。ローカル層は、複数の支持レールにより支持された複数のバネ要素を含む。複数のバネ要素の各々は、上部及び撓み可能部材を含む。複数のバネ要素の各々は、バネ形式、多層支持構造体内のバネ要素の相対的位置、バネ材料、バネ寸法、多層支持構造体の他の要素への接続形式、及び他の要因を含む様々な要因に基いて、荷重を受けて独立して撓むことができる。
【0007】
上部マット層は、荷重が加えられる層とすることができる。上部マット層は、複数のバネ要素の上に配置された複数のピクセル及びブルノーズ延長フィンガを含む。複数のピクセル及びブルノーズ延長フィンガは、複数のバネ要素の上部と接触する。複数のバネ要素と同様に、複数のピクセル及び複数のブルノーズ延長フィンガはまた、隣接したピクセルの応答とは実質的に独立して、加えられた荷重に応答することができる。
【0008】
従って、多層支持構造体は、協働的であるが独立した複数の層を含み、各々の層が協働的であるが独立した要素を含み、加えられた荷重に対して最大の全体的な支持及び快適性を与える一方、局部的な荷重のばらつきに適合し、これを支持する。さらに、多層支持構造体により与えられる荷重支持の独立性は、特定の領域が、隣接した領域により与えられる荷重の支持に実質的に影響を与えることなく、いずれの荷重のばらつきにも適合することを可能にする。
【0009】
他のシステム、方法、特徴及び利点は、以下の図面及び詳細な説明を吟味することにより、当業者には明らかであろう。そうした付加的なシステム、方法、特徴及び利点の全ては、本説明に含まれ、本発明の範囲内に含まれ、以下の特許請求の範囲により保護されることが意図される。
【0010】
本システムは、以下の図面及び説明を参照することにより、より良く理解することができる。図面内の構成要素は、必ずしも縮尺通りに描かれていず、代わりに、本発明の原理を示す際に強調されている。さらに、図面において、同じ参照番号が、異なる図面全体を通して対応する部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】層状支持構造体の一部を示す。
【図2】図1に示す支持構造体のより広範な図を示す。
【図3】グローバル層の平面図を示す。
【図4】2つのストラップ間に接続されたノードを含む支持レールの一部を示す。
【図5】ローカル層の平面図を示す。
【図6】バネ取付部材の一部を示す。
【図7】例示的なローカル層の平面図を示す。
【図8】上部マット層の平面図を示す。
【図9】上部マット層内のピクセルの裏側を示す。
【図10】層状支持構造体を製造するプロセスである。
【図11】組立体装置により延伸されたグローバル層を示す。
【図12】位置合わせ前のグローバル層を示す。
【図13】位置合わせ前のグローバル層の一部の拡大図を示す。
【図14】位置合わせ前のグローバル層を形成するグローバル層のキャビティ金型及びホットドロップ・チャネルの平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
層状支持構造体は、一般に、椅子、ベッド、ベンチ、又は他の荷重支持構造体等の荷重支持構造体内に又は荷重支持構造体として実装される、複数の協働層の組立体を指す。協働層は、与えられる支持及び快適性を最大にするために、複数の独立要素を含む複数の要素を含む。複数の要素により示される独立性の程度は、各要素の個々の特性、複数の要素を相互連結するのに用いられる連結形式、又は層状支持構造体の他の構造上又は設計上の特徴によって決まる、或いはこれらに合わせることができる。以下に説明する複数の要素は、特定の個人又は用途に対する荷重支持ニーズに適合するよう、個々に設計され、位置決めされ、又は他の方法で構成することができる。種々の複数の要素に関して以下に説明する寸法は、単なる例示にすぎず、特定の所望の実施及び以下に述べる要因に応じて、広く変わり得る。
【0013】
図1は、層状支持構造体100の一部を示す。層状支持構造体100は、グローバル層102と、ローカル層104と、上部マット層106とを含む。
【0014】
グローバル層102は、複数の支持レール108と、フレーム取付具110とを含む。各々の支持レール108は、1つ又はそれ以上のストラップ112と、ストラップ112間に接続された複数のノード114とを含むことができる。各々のストラップは、ストラップ112の長さに沿って定められた位置合わせ領域116及び非位置合わせ領域118を含むことができる。ノード114は、隣接するストラップ112の非位置合わせ領域118間で隣接するストラップに接続することができる。
【0015】
ローカル層104は、複数の支持レール108の上(例えば、該複数の支持レール108により支持された又はその上に載っている)複数のバネ要素120を含む。複数のバネ要素120の各々は、上部と、撓み可能部材122と、1つ又はそれ以上のノード取付部材124とを含む。図1において、撓み可能部材122は、2つの螺旋状アーム126を含む。バネ要素120は、代替的に、引用により本明細書に組み入れられる、2006年5月12日に出願された米国特許出願第11/433,891号に開示されるもののような様々なバネ形式を含むことができる。
【0016】
上部マット層106は、複数のピクセル及びブルノーズ延長フィンガ128を含む。複数のピクセルの各々は、上面と下面とを含む。各ピクセルの下面は、バネ要素120の少なくとも1つの上部と接触するステムを含むことができる。ブルノーズ延長フィンガ128の各々もまた、上面130と下面とを含むことができる。各ブルノーズ延長フィンガ128の下面は、各々がバネ要素120の少なくとも1つの上部と接触する1つ又はそれ以上のステムを含むことができる。
【0017】
グローバル層102は、Arnitel EM400又は460、ポリプロピレン(PP)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)又は他の軟らかい可撓性材料を含む熱可塑性エラストマー(TPE)のような可撓性材料から射出成形することができる。
【0018】
グローバル層102は、フレーム取付具110を介してフレーム132に接続される。フレーム取付具110は、支持レール108のストラップ112の端部に接続し、ストラップ112に対して実質的に垂直に配向することができる。図1は、個別のセグメント134を含むフレーム取付具110を示す。フレーム取付具110は、各セグメント134間の間隙136により定めることができる。個別のセグメント134の各々は、2つ又はそれ以上の隣接したストラップ112の端部に接続することができる。フレーム取付具110は、図3に示すフレーム取付具のように、グローバル層102の側部全体に沿って延びる単一のセグメントを含むことができる。
【0019】
図1において、各支持レール108は、実質的に平行に延びる2つの円筒形ストラップ112を含む。しかしながら、支持レール108は、代替的な構成を含むことができる。例えば、支持レール108は、単一のストラップ又は複数のストラップを含むことができる。グローバル層102の支持レール108は、種々の要因(グローバル層102内の支持レール108の位置等)に合わせるように調整された異なる数のストラップ112を含むことができる。支持レール108は、代替的な幾何学形状を含むこともできる。例えば、支持レール108のストラップ112は、複数の端部を有する4つの側部を含むことができる。こうしたストラップの例が、米国特許出願第11/433,891号に開示されている。
【0020】
ストラップ112は、該ストラップ112に沿って定められた、複数の位置合わせ領域116と、複数の非位置合わせ領域118とを含むことができる。ストラップ112は、位置合わせ領域116と非位置合わせ領域118とを交互に含むことができる。位置合わせ領域と非位置合わせ領域の各々は、断面積により定めることができる。ストラップに沿って定められた各位置合わせ領域の断面積は、変化することができ、ストラップに沿った位置合わせ領域の位置に合わせて調整することができる。断面積は、金型のゲート位置に対する位置合わせ領域の位置に比例してもよい。例えば、ゲート位置は、ストラップの中間に対応し、位置合わせ領域は中間から離れるほど大きい断面積を有する。図1に示すように、非位置合わせ領域の断面積が、隣接した位置合わせ領域のものより大きいことがある。支持レールのストラップに沿って定められた位置合わせ領域は、圧縮及び/又は張力位置合わせ方法を含む様々な方法を用いて位置合わせすることができる。
【0021】
隣接したストラップ112の非位置合わせ領域118及び位置合わせ領域116は、互いに実質的に整列することができる。図1に示すように、ノード114は、隣接したストラップ112の隣接した非位置合わせ領域118の間を接続することができる。各ノード114は、ローカル層のバネ要素120に接続するためのバネ接続部を含むことができる。バネ接続部は、図4に示すような、対応するバネ要素120を受けるための、ノード114内に規定された開口部とすることができる。
【0022】
グローバル層102は、予荷重を加えても又は加えなくてもよい。例えば、グローバル層102は、グローバル層102をフレームに固定する前に、グローバル層102をフレームに固定するのに必要とする長さより短い長さを有するように、射出成形プロセスなどにより形成することができる。グローバル層102をフレームに固定する前に、グローバル層102を延伸又は圧縮し、元の長さより長くすることができる。グローバル層102は、延伸された後で元の状態に戻るので、グローバル層102がフレームの幅に適合する長さに落ち着くと、これを支持構造体フレームに固定することができる。
【0023】
別の代替案として、グローバル層102が元の状態に戻ってから、グローバル層102の落ち着いた長さがフレームの幅に一致するまで、繰り返し再延伸することができる。グローバル層102は、その長さ又はその幅等に沿って複数の方向に予荷重を加えることができる。さらに、グローバル層102の異なる領域に異なる予荷重を加えることもできる。領域によって異なる予荷重を加えることは、異なる領域における延伸量又は圧縮量を変えることにより、及び/又は、異なる領域の断面積を変えることなどにより、様々な方法で行なうことができる。
【0024】
ローカル層104の複数のバネ要素120は、支持構造体100におけるバネ要素の相対的位置、特定用途の必要性を含む様々な要因に従って、又は複数の他の考慮事項に従って、様々な寸法を含むことができる。例えば、皿状の外観を支持構造体100に与えることなど、三次元のカウンターを支持構造体100に与えるように、バネ要素120の高さを変えることができる。本例では、ローカル層104の中央部に配置されるバネ要素120の高さは、ローカル層104の外側部分に配置されるバネ要素120の高さより低く、ローカル層104の中央部と外側部分との間の高さが漸増するように又は他のタイプの増加となるようにすることができる。
【0025】
ローカル層104は、種々の他のバネ形式を含むことができる。他のバネ形式の例、並びに、これらのバネ要素を支持構造体に実装する方法は、引用により本明細書に組み入れられる、2006年5月12日に出願された米国特許出願第11/433,891号に記載される。ローカル層104に用いられるバネ形式は、代替的な配向を含むことができる。例えば、バネ形式は、本出願に説明される配向に対して上下反対に配向することができる。本例において、本出願において上部として説明されるバネ部分は、グローバル層102に向かって配向され、かつ、これに接続される。さらに、本例において、撓み可能部材122は、上部マット層106に接続することができる。撓み可能部材122は、複数のバネ取付部材124を介して、上部マット層106に接続することができる。しかしながら、本出願において説明される例は、ローカル層104を形成するのに用いることができる、バネ形式の網羅的リスト又はバネ形式の可能な配向を構成するものではない。バネ要素120は、線形のバネ定数、非線形に減少するバネ定数、非線形に増大するバネ定数、又は一定のバネ定数を含む、様々なバネ定数を示すことができる。
【0026】
ローカル層104は、グローバル層102に接続される。特に、バネ取付部材124は、隣接したストラップ112の非位置合わせ領域118間に配置されるノード114上に接続する。この接続は、一体成形、スナップ嵌め接続、又は他の接続方法とすることができる。複数のバネ要素120は、Ultraform N2640 Z6 UNC Acetal又はUniform N2640 Z4 UNC Acetal等のPOMから、Arnitel EM460、EM550又はEL630、TPU、PP等のTPEから、或いは他の可撓性材料から射出成形することができる。複数のバネ要素120は、個々に又は複数のバネ要素の1つのシートとして射出成形することができる。
【0027】
ローカル層104は複数の実質的に独立した撓み可能要素、すなわち、複数のバネ要素を含むため、ローカル層104の隣接部分は、荷重に対して実質的に独立した応答を示すことができる。このように、支持構造体100は、加えられた荷重の「マクロ」特性の下で撓み、かつ、これに順応するだけでなく、加えられた荷重の「ミクロ」特性に対して個々の適合可能な撓みも与える。
【0028】
ローカル層104は、支持構造体の任意の特定ゾーン、領域又は部分において異なる局所的応答を示すように調整して加えられた荷重の特定部分に対して特定の支持を行なわせることもできる。局所的応答ゾーンは、例えば、剛性又は他のあらゆる荷重支持特性が異なり得る。支持構造体の特定部分は、異なる撓み特性を有するように調整することができる。例えば、局所的応答ゾーンを形成する1つ又はそれ以上のピクセルは、身体の任意の特定部分に対して選択された剛性に特別に設計することができる。支持構造体のこれらの異なる領域は、様々な方法で調整することができる。各ピクセルの下面とローカル層104との間の間隔(荷重が加えられていないときに測定した間隔を指す)の変化により、ある荷重を受けたときに呈する撓み量を変えることができる。支持構造体100の局所的撓み特性は、支持構造体内の総体的位置に応じて、異なる材料、バネ形式、厚さ、断面積、幾何学形状、又は複数のバネ要素120についての他のバネ特性を用いることを含む、他の方法を用いても調整することもできる。
【0029】
上部マット層106は、ローカル層104に接続される。各ピクセルの下面は、対応するバネ要素120の上部に固定される。各ブルノーズ延長フィンガ128の下面も、1つ又はそれ以上の対応するバネ要素120の上部に固定することができる。これらの接続は、一体成形、スナップ嵌め接続、又は他の接続方法とすることができる。ピクセル及び/又はブルノーズ延長フィンガ128の下面は、バネ要素120の上部に接続することができるか、又は、バネ要素120に載っている又はこれに接続する1つ又はそれ以上のステム又は他の延長部を含むことができる。各バネ要素120の上部は、対応するピクセル又はブルノーズ延長フィンガ128のステムを受けるための開口部を定めることができる。代替的に、各バネ要素120の上部は、対応するピクセル又はブルノーズ延長フィンガ128内に定められた開口部に接続するためのステム又は支柱を含むことができる。
【0030】
荷重により上部マット層106を押し下げると、複数のピクセルが複数のバネ要素120の上部に押し下げられる。これに応答して、複数のバネ要素120が下方に撓み、荷重に対応する。荷重により個々のバネ要素120が呈する撓み量は、そのバネ要素120と関連したバネの撓みレベルに影響されることがある。複数のバネ要素120が下方に撓むと、複数のピクセル及び/又は複数のブルノーズ延長フィンガ128の下面は、グローバル層104に向かって移動する。しかしながら、グローバル層102が荷重を受けて撓むと、ローカル層104が荷重を受けて下方に撓むため、バネ要素120は、地面に対してさらに撓むことができる。従って、バネ要素120は、荷重を受けると、バネの撓みレベルに応じて個々に撓み、グローバル層102が荷重を受けて下方に屈曲すると、全体としてローカル層104の一部として、さらに撓むことができる。
【0031】
バネの撓みレベルは、支持構造体100製造及び設計前に決定することができる。例えば、約25mmのバネ撓みレベルを呈するように、支持構造体100を調整することができる。換言すれば、支持構造体100は、複数のバネ要素120が約25mmまで撓むことができるように設計することができる。従って、ローカル層104が16mmの高さ(すなわち、グローバル層102の上部とバネ要素の上部との間の距離)のバネ要素を含む場合、複数のピクセルの下面は、9mmのステムを含むことができる。別の例として、ローカル層104が25mmの高さのバネ要素を含む場合、複数のピクセルの下面はステムを省略して、複数のバネ要素の上部に接続することができる。上述のように、各バネ要素120の高さは、支持構造体100内のその相対的位置を含む複数の要因に従って変わり得る。
【0032】
図8に示し、以下に説明されるように、上部マット層106の複数のピクセルは、複数のピクセル・コネクタと相互接続することができる。以下に述べられるように、上部マット層106は、平面の又は非平面コネクタ、凹状コネクタ、ブリッジ型コネクタ、又は複数のピクセルを相互接続する他の要素等の様々なピクセル・コネクタを含むことができる。複数のピクセル・コネクタは、複数のピクセルに対して種々の位置に配置することができる。例えば、複数のピクセル・コネクタは、複数のピクセルに対して、コーナー部、側部、又は他の位置に配置することができる。複数のピクセル・コネクタは、隣接したピクセル間に増大した程度の独立性、並びに、上部マット層106に対する向上した可撓性を与える。例えば、複数のピクセル・コネクタは、柔軟な下方への撓みを可能にし、並びに、個々のピクセルがかなりの量の独立性をもって横方向に移動又は回転することを可能にする。
【0033】
上部マット層106は、TPE、PP、TPU、又は他の可撓性材料のような可撓性材料から射出成形することができる。特に、上部マット層106は、個々に製造されたピクセル又はブルノーズ延長フィンガ128から形成することができ、又は、複数のピクセルの1つのシートとして射出成形することができる。
【0034】
荷重を受けると、荷重は、上部マット層106と接触して、該上部マット層106を押し下げることができる。或いは、支持構造体100は、上部マット層106の上に固定されるカバー層を含むこともできる。このカバー層は、クッション、布、革、又は他のカバー材料を含むことができる。カバー層は、向上した快適性、及び/又は、美観を支持構造体100に与えることができる。
【0035】
図2は、図1に示す支持構造体100のより広範な図を示す。上部マット層106は、ローカル層104上に支持され、該ローカル層104は、グローバル層102上に支持される。グローバル層102は、フレーム132に固定される。図2は、矩形の多層支持構造体100を示すが、支持構造体100は、円形状を含む代替的な形状を含むこともできる。
【0036】
上部マット層106は、ブルノーズ延長フィンガ領域202に接続されたピクセル領域200を含む。ピクセル領域200は、複数の相互接続されたピクセル204を含む。ブルノーズ延長フィンガ領域202は、複数の相互接続されたブルノーズ延長フィンガ128を含む。
【0037】
上部マット層106はまた、隣接したピクセル204とブルノーズ延長フィンガ128との間の接続を容易にする複数のピクセル・コネクタも含む。ピクセル・コネクタは、以下により詳細に説明され、1つのピクセル・コネクタの拡大図が、図8に示される。
【0038】
ピクセル204は、上部マット層106の可撓性を向上させる。ピクセル204は、ローカル層104に接続するためのステムを含むことができる。ブルノーズ延長フィンガ128は、上部マット層106をシート構造体に接続するのを容易にすることができる。例えば、ブルノーズ延長フィンガ128は、シート構造体の中に滑らせて挿入することができる。例えば、シート構造体は、各々のブルノーズ延長フィンガが滑って入るトラックを含むことができる。
【0039】
図2は、複数のバネ要素120のバネ取付部材124を示す。バネ取付部材124は、グローバル層102に向かって下方に延びるステム206を含む。各々のステム206は、グローバル層102の対応するノード114内に定められた開口部内に挿入し、固定することができる。バネ要素120のステム206が、以下により詳細に説明され、図6に拡大図で示される。ローカル層104内でステム206のそれぞれの高さを変えて、支持構造体100にカウンターを与えることができる。
【0040】
図3は、グローバル層300の上面図を示す。図1に関連して上述したように、グローバル層300は、複数の支持レール302と、1つ又はそれ以上のフレーム取付具304とを含む。支持レール302の両端部は、2つの実質的に平行なフレーム取付具304の間に接続される。図3において、フレーム取付具304の各々は、該フレーム取付具304の長さに沿って延びる単体のセグメントを含む。図1に示すように、フレーム取付具は、個別のセグメントを含んでもよい。
【0041】
グローバル層300は、射出成形技術を用いて形成することができる。特に、グローバル層300は、キャビティ金型が支持レールの中央に対応するキャビティ金型の位置において又はその近くでゲート制御される、センターゲート射出成形技術を用いて形成することができる。射出成形プロセスは、成形装置内に成形圧力損失をもたらすことがあり、この場合、この圧力損失は、ゲートに近い領域より、ゲートから遠い領域において、より大きくなる場合がある。センターゲート技術は、支持レール302に沿った対称的な圧力損失を容易にすることができる。圧力損失は位置合わせに影響を与えることがあるため、支持レール内の対称的な圧力損失により、支持レール302内の対称的な位置合わせが容易になり得る。
【0042】
各支持レール302は、2つのストラップ306と、隣接したストラップ間に接続された複数のノード308とを含むことができる。各ストラップ306は、該ストラップ306の長さに沿って定められた、位置合わせ領域310と非位置合わせ領域312とを含む。位置合わせ領域310は、非位置合わせ領域312の断面積より小さい断面積で定めることができる。ストラップ306に沿って定められた各位置合わせ領域310の断面積は、ストラップ306上の位置合わせ領域310の相対的位置に合わせて調整することができる。位置合わせ領域310がストラップ306の中央から離れるにつれて、ストラップ306に沿った位置合わせ領域310の断面積は徐々に増加し得る。位置合わせ領域310の断面積は、ゲートの位置からの各位置合わせ領域310の相対的位置に合わせて調整することができる。位置合わせ領域がゲートの位置から離れるにつれて、各位置合わせ領域310の断面積は、約0.1%から約1%毎に、例えば約0.5%ずつ増加し得る。例えば、位置合わせ領域の断面積は、ゲートの位置に近い方の直前のストラップの位置合わせ領域の断面積より、約0.1%乃至約1%大きくすることができる。
【0043】
ノード308は、隣接した非位置合わせ領域312の間に接続される。ノード308は、グローバル層300をローカル層に接続するためのバネ接続部を含むことができる。バネ接続部は、ステム又は他の突出部をバネ要素から受けるために、ノード308内に定められた開口部とすることができる。ノード308は、スナップ嵌め接続、圧入によりバネ要素に接続してもよいし、又は、互いに一体成形してもよい。
【0044】
フレーム取付具304は、グローバル層300をフレームに接続するのを容易にする。フレーム取付具304は、内縁部314と外縁部316とを含むことができる。支持レール302の一部である各ストラップ306は、フレーム取付具304の内縁部314に接続する2つの端部を含むことができる。隣接したストラップ306の端部と、フレーム取付具304の内縁部314との間の接続は、フレーム取付具304の内縁部314に沿って隣接したストラップ306の間に開口部318を定めることができる。
【0045】
図4は、2つのストラップ306の間に接続されたノード308を含む支持レール302の一部を示す。特定的には、ノード308は、2つのストラップ306の隣接した非位置合わせ領域312の間に接続される。各ストラップ306は、対応する非位置合わせ領域312の両側上に接続された位置合わせ領域310を含む。非位置合わせ領域312の断面積は、位置合わせ領域310の断面積より大きくすることができる。
【0046】
ノード308は、グローバル層300をローカル層に接続するためのバネ接続部400を含むことができる。図4において、バネ接続部400は、ローカル層のステム又は他の突出部を受けるための、ノード308内に定められた開口部である。バネ接続部は、代替的に、ローカル層内に定められた開口部と嵌合するための、ノード308の上に直角に延びているステム又は突出部とすることができる。
【0047】
図5は、ローカル層500の平面図を示す。ローカル層500は、複数の相互接続されたバネ要素502を含む。ローカル層500は、単一片の材料から形成することができる。バネ要素502の各々は、上部504と、少なくとも1つの撓み可能部材506と、バネ取付部材508とを含む。上部504は、上部マット層の対応するピクセルの下面から延びるステム又は他の突出部を受けるための開口部を定めることができる。
【0048】
撓み可能部材506は、上部504に接続され、該上部から遠ざかるように螺旋状になった2つの螺旋状アームを含む。螺旋状アームの断面積は、各アームの長さに沿って、テーパ状になることもあり、又は別の方法で変化することもある。例えば、螺旋状アームの断面積は、螺旋状アームの長さに沿って、アームが上部504に接続する位置から始まって徐々に増減し、螺旋状アームがバネ取付部材508に接続する位置で最小となることができる。各螺旋状アームの断面積は、ローカル層500内のバネ要素502の相対的位置、バネ要素500の所望のバネ定数、又は他の要因に合わせて調整することができる。
【0049】
螺旋状アームは、バネ取付部材508を含むこと又はこれに接続することができる。図5において、2つの隣接したバネ要素502の螺旋状アームは、同じバネ取付部材508に接続する。
【0050】
バネ要素502は、対角線の列状に配置され、ローカル層500の片側から他方の側に延びる。バネ要素502は、同じ対角線の列における隣接したバネ要素と相互接続することもあるが、隣接した対角線の列におけるバネ要素と直接接続しないこともある。この構成において、対角線の列におけるバネ要素502は、隣接した対角線の列におけるバネ要素502の応答とは実質的に独立して、荷重に対して撓む又は応答することができる。
【0051】
図6は、バネ取付部材508の一部を示す。特定的には、図6は、グローバル層内に定められる開口部に嵌合することができるステムの一部を示す。ステムは、第2の円筒形部分602に向けて下方にテーパ状になる第1の円筒形部分600を含み、該第1の円筒形部分600は、第2の円筒形部分602より大きい断面積を有する。第2の円筒形部分602は、テーパ状端部604を含むことができる。第2の円筒形部分602の一部は、該第2の円筒形部分602の面内に隆起部606を定めるように陥凹させることができる。隆起部606は、ステムとグローバル層内に定められた開口部との間のスナップ嵌め接続を容易にすることができる。
【0052】
図7は、例示的なローカル層700の平面図を示す。ローカル層700は、各々が上部704と、撓み可能部材706と、バネ取付部材708とを含む複数のバネ要素702を含む。撓み可能部材706は、少なくとも1つの螺旋状アーム710を含むことができる。例えば、図7は、ローカル層700の縁部付近のバネ要素712の幾つかが、単一の螺旋状アーム710を有する撓み可能部材を含むことを示す。
【0053】
図8は、ピクセル領域802とブルノーズ領域804とを含む上部マット層800の平面図を示す。ピクセル領域802は、コーナー部でピクセル・コネクタ808と相互接続された複数の六角形ピクセル806を含む。複数のピクセルの各々は、上面と下面とを含む。複数のピクセル806は、六角形として示されるが、矩形、八角形、三角形、又は他の形状のような他の形状を取ることもできる。下面は、ローカル層に接続するための、該下面から延びるステムを含む。
【0054】
複数のピクセル・コネクタ808の各々は、3つの隣接したピクセル806と相互接続する。複数のピクセル・コネクタ808は、代替的に、それぞれの側部において複数のピクセル806と相互接続することができる。複数のピクセル806は、平坦なもの、非線形のもの、及び/又は、一定の形状のものとすることができる。
【0055】
複数のピクセル806は、各ピクセル内に開口部を定めることができる。開口部は、荷重に適合する際に可撓性を上部マット層800に付加することができる。上部マット層800は、各ピクセル806内に、ゼロ又はそれ以上の開口部を含む任意の数の開口部を定めることができる。さらに、上部マット層800内の各ピクセル806は、例えば、ピクセル領域802内のピクセルのそれぞれの位置に応じて、異なる数の開口部又は異なるサイズの開口部を定めることができる。
【0056】
図9は、ピクセル900の下面902が上向きに示される、上部マット層800内のピクセル900の裏側を示す。特定的には、図9は、ピクセルの下面902と、該下面902から延びるステム904とを示す。ステム904は、ピクセル900をローカル層のバネ要素に接続することができる。ステム904とバネ要素との間の接続は、一体成形、スナップ嵌め接続、又は別の接続技術とすることができる。
【0057】
ステムは、2つの端部906及び908、すなわちピクセル902の下面に接続された第1の端部906と、バネ要素に接続するための第2の端部908とを含むことができる。ステム904は、該ステム904から横方向に延びる1つ又はそれ以上の肩部910を含むことができ、肩部910の高さは、ステム904の高さより低い。ステム904の第2の端部908は、テーパ状とすることができる。第2の、すなわちテーパ状端部908は、ステム904を越えて延びるリップ部912を含むことができる。上部マット層とローカル層との間の接続を容易にするために、バネ要素の上部内に定められた開口部にステムを挿入することができる。ステム904が、バネ要素の上部の開口部の中に一定の距離だけ入ると、リップ部912は、ステム904を開口部内に保持するための留め金となり、ステム904が外れないように抵抗する。リップ部912は、上部の下面、上部開口部の内縁部内に定められた隆起部又は別の表面上に引っ掛けることができる。
【0058】
ステム904が、リップ部が上部に引っ掛かり、ピクセル900を対応するバネ要素の上部に固定するのに十分なだけ上部開口部を通過すると、肩部910は、上部の上面と嵌合するか又は他の方法で接触することができる。代替案として、ステム904は肩部910を省くことができ、ステム904が上部開口部と嵌合すると、下面902が上部の上面と接触することができる。
【0059】
図9は、隣接したピクセルを接続するピクセル・コネクタ914を示す。図8及び図9において、ピクセル・コネクタ914は、3つの隣接した六角形のピクセルのコーナー部の間を接続する。ピクセル・コネクタ914は、荷重が加えられた際に各ピクセルが独立して動くための遊びをもたらすために、ピクセルの1つのコーナー部に接続されたアーチ状アーム916を含む。アーチ状アーム916は、コーナー部から延び、ピクセル間の接合部918で交わることができる。接合部918は、相互接続されたピクセルにより定められた平面より下方となるようにしてもよい。S字形状、又は他の波状形状といった他の形状も、ピクセル・コネクタ914の一部として実装することができる。ピクセル・コネクタ914は、撓んだ際に、隣接したピクセル間の接触を減少させる又は防止するのを助けることができる。代替的に、上部マット層600は、複数のピクセルの独立性を向上させるために、ピクセル・コネクタを省くことができる。図8及び図9は、複数のピクセルのコーナー部において接続されたピクセル・コネクタ914を示すが、代替的に、複数のピクセルを、それぞれの側部において接続することもできる。ピクセル・コネクタ914は、例えば、隣接したピクセルの側部の間に接続されたU字形状の屈曲部を含むことができる。
【0060】
図10は、層状支持構造体を製造するためのプロセス1000である。プロセス1000は、自動化することができ、又は手動で実行することもできる。組み立て装置を用いて、プロセス1000を実行することができる。プロセス1000により、グローバル層と、ローカル層と、上部マット層とが得られる(1002)。得られたグローバル層、ローカル層、及び上部マット層の各々は、それぞれ上述された層に対応することができる。
【0061】
射出成形技術を用いて、グローバル層、ローカル層、及び上部マット層の1つ又はそれ以上を形成することができる。グローバル層は、センターゲート射出成形技術を用いて形成することができる。射出成形プロセスにおいてキャビティ金型に用いられるゲートは、各支持レールのほぼ中間に対応するキャビティ型の部分上に配置することができる。キャビティ金型は、各支持レール、又は支持レールの各ストラップに対応するゲート、又は他の構成に従ったゲートを含むことができる。
【0062】
上述のように、層状支持構造体内のグローバル層は、ストラップに沿って定められた、位置合わせ領域及び非位置合わせ領域を有するストラップを含む。位置合わせする前に、グローバル層は、ストラップに沿って定められた位置合わせ前領域を含むことができる。位置合わせ前領域は、これらの領域を位置合わせした後又は配向した後に、位置合わせ領域となることができる。本プロセスにおいて得られたグローバル層を、予め位置合わせすることができる。
【0063】
代替案として、プロセス1000は、グローバル層を位置合わせすること又は配向することができる(1004)。プロセス1000により、グローバル層を延伸して、位置合わせ前領域を配向することができる。圧縮を含む他の位置合わせ技術を用いることもできる。組み立て装置により、グローバル層の両側を把持するか又は別の方法で保持し、支持レールの方向に沿って該グローバル層を延伸させることができる。グローバル層は、約10インチから12インチまでの間延伸させることができる。この延伸により、各々の位置合わせ前領域は、元の長さの約4倍乃至約8倍延伸することもできる。
【0064】
図11は、組み立て装置1102により延伸されたグローバル層1100を示す。延伸されたグローバル層1100の位置合わせ領域1104は、各ストラップ1106のより細い部分に対応する。グローバル層の非延伸領域又は非位置合わせ領域1108は、ノード1110が隣接したストラップ1106の間に接続される位置に対応する。グローバル層1100は、グローバル層1100の隣接したノードと隣接したストラップとの間に定められた開口部1112を含む。各開口部1112の断面積は、グローバル層1100が延伸されるに伴って増加する。
【0065】
プロセス1000のブロック1004に従ってグローバル層が延伸される間、ノード・ロケータを開口部1112に挿入することができる(1006)。ノード・ロケータは、組み立て装置の一部であっても、又はこれとは別個のものであってもよい。ノード・ロケータは、開口部1112に嵌合するブロックとすることができる。
【0066】
プロセス1000により、ローカル層をグローバル層に接続することができる(1008)。上述のように、ローカル層は、図5及び図6に示されるバネ取付部材508のような、グローバル層に対するローカル層の接続を容易にするバネ取付部材を有するバネ要素を含むことができる。プロセス1000により、スナップ嵌め又は他の形式の接続が達成されるまで、グローバル層のノード内に定められた対応する開口部の中にバネ取付部材を案内することができる。
【0067】
プロセス1000により、上部マット層がローカル層に接続される(1010)。上述のように、上部マット層は、ピクセルから下向きに延びる1つ又はそれ以上のステムを有するピクセルを含むことができる。ステムは、上部マット層をローカル層に接続するのを容易にすることができる。プロセス1000により、スナップ嵌め又は他の形式の接続が達成されるまで、各バネ要素の上部の対応する開口部の中にステムを案内することができる。
【0068】
プロセス1000により、組み立て装置に対して、又は、層状支持構造体の目的とする用途(例えば、椅子)の配向に対して上下反対の配向で、層状支持構造体を組み立てることができる。例えば、図11は、その裏側が上を向いた状態で、すなわち、図11に見ることができるグローバル層の側が、椅子の用途において、一般的に下に向いた側である、組み立て装置の平面図である。
【0069】
この例において、ノード・ロケータ(1006による)は、上下反対に配向されたグローバル層の上から、開口部1112の中に下方に挿入することができる。さらにこの例によると、プロセス1000により、組み立て装置に対して上下反対に配向されたローカル層を動かし、スナップ嵌め又は他の形式の接続が達成されるまで、グローバル層のノードにより定められた対応する開口部の中にバネ取付部材を上向きに案内することによって、ローカル層をグローバル層に接続し(1008により)、各バネ要素の上部が組み立て装置に対して下向きに配向されるようにすることができる。同様に、プロセス1000により、組み立て装置に対して上下反対に配向された上部マット層を動かし、スナップ嵌め又は他の形式の接続が達成されるまで、各バネ要素の上部の対応する開口部の中にピクセルのステムを上向きに案内することによって、上部マット層をローカル層に接続し(1010による)、上部マット層の上部を組み立て装置に対して下向きに配向するようにすることができる。
【0070】
プロセス1000により、ノード・ロケータを、組み立てられた層状支持構造体から後退させる(1012)。プロセス1000により、組み立てられた層状支持構造体を、椅子のフレームのようなフレームに固定することができ、又は、組み立てられた層状支持構造体をフレーム取り付けのための別プロセスに提供することができる。
【0071】
図12は、位置合わせ前のグローバル層1200を示す。位置合わせ前のグローバル層1200は、射出成形法を用いて提供することができる。成形プロセスのためのゲート位置1202は、各々の位置合わせ前の支持レール1204の中央又は中央付近に配置することができる。ゲート位置1202は、ノード1206又は各々の位置合わせ前の支持レール1204の他の部分に配置することができる。図12において、ゲート位置は、各々の位置合わせ前の支持レール1204の中央付近に配置されたノード1206にある。
【0072】
図13は、図12に示される位置合わせ前のグローバル層1200の一部の拡大図を示す。特定的には、図13は、ノード1206上のゲート位置1202を示す。ノード1206に接続された非位置合わせ領域1302におけるホットドロップ凹部1300は、成形プロセスによる産物であり得る。例えば、ホットドロップ陥凹部1300は、ホットドロップ先端部に隙間を与えるための、キャビティ金型内の陥凹部に対応することができる。
【0073】
図14は、射出成形プロセスを介して、図12に示される位置合わせ前のグローバル層1200のような予め位置合わせしたグローバル層を形成するための、グローバル層のキャビティ金型1400及びホットドロップ・チャネル1402の平面図を示す。キャビティ金型に対するホットドロップ1402の位置は、金型のゲート位置におおよそ対応する。
【0074】
本発明の種々の実施形態が説明されたが、さらに多くの実施形態及び実装形態が、本発明の範囲内で可能であることが、当業者には明らかであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲及びその等価物以外に制限されるものではない。
【符号の説明】
【0075】
100:層状支持構造体
102、300、1100、1200:グローバル層
104、500、700:ローカル層
106、800:上部マット層
108、302、1204:支持レール
110、304:フレーム取付具
112、306、1106:ストラップ
114、308、1206:ノード
116、310:位置合わせ領域
118、312、1108、1302:非位置合わせ領域
120、502、702:バネ要素
122、506、706:撓み可能部材
124、508、706:バネ取付部材
126、710:螺旋状アーム
128:ブルノーズ延長フィンガ
132:フレーム
134:セグメント
136:間隙
200、802:ピクセル領域
202:ブルノーズ延長フィンガ領域
204、900:ピクセル
206、904:ステム
314:内縁部
316:外縁部
318、1112:開口部
400:バネ接続部
504、704:上部
600:第1の円筒形部分
602:第2の円筒形部分
606:隆起部
804:ブルノーズ領域
806:六角形ピクセル
808、914:ピクセル・コネクタ
906、908:端部
910:肩部
912:リップ部
916:アーチ状アーム
918:接合部
1102:組み立て装置
1202:ゲート位置
1300:ホットドロップ凹部
1400:グローバル層のキャビティ金型
1402:ホットドロップ・チャネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
層状支持構造体であって、
支持レールを含む第1の層を備え、前記支持レールが、
第1のストラップに沿って定められた複数の位置合わせ領域及び非位置合わせ領域を含む第1のストラップと、
前記第1のストラップと実質的に平行であり、かつ、第2のストラップに沿って定められた複数の位置合わせ領域及び非位置合わせ領域を含む第2のストラップと、
前記第1のストラップと前記第2のストラップとの間に接続された複数のノードと、
を含む層状支持構造体。
【請求項2】
前記第1の層は、
前記支持レールの第1の端部に接続され、該支持レールに対して実質的に垂直に配向された第1のフレーム取付具と、
前記支持レールの第2の端部に接続され、該支持レールに対して実質的に垂直に配向された第2のフレーム取付具と、
をさらに含む請求項1の層状支持構造体。
【請求項3】
前記第1のストラップの各位置合わせ領域の断面積は、該第1のストラップ内の各位置合わせ領域のそれぞれの位置に基づいて調整される請求項1の層状支持構造体。
【請求項4】
前記第1のストラップは、ゲート位置をさらに含み、該第1のストラップの前記複数の位置合わせ領域の各々は、前記ゲート位置に対してより近くに配置された該第1のストラップのいずれの位置合わせ領域の断面積よりも大きい断面積を含む請求項1の層状支持構造体。
【請求項5】
各位置合わせ領域の断面積は、前記第1のストラップに沿って前記ゲート位置により近い方の隣接した位置合わせ領域の断面積より、約0.1%乃至約1%大きい請求項4の層状支持構造体。
【請求項6】
前記第1の層の上に配置され、前記複数のノードにより支持される複数のバネ要素を含む第2の層と、
前記第2の層の上に配置され、該第2の層によって支持される複数の相互接続されたピクセルを含む第3の層と、
をさらに含む請求項1の層状支持構造体。
【請求項7】
各バネ要素は、
上部と、
前記上部に接続された撓み可能部材と、
前記撓み可能部材に接続され、前記バネを前記第1の層の少なくとも1つのノードに接続するためのバネ取付部材と、
を含む請求項6の層状支持構造体。
【請求項8】
前記撓み可能部材は、前記上部から離れるように延びる2つの螺旋状アームを含む請求項7の層状支持構造体。
【請求項9】
前記バネ取付部材は、該バネ取付部材を前記第1の層の前記ノードの少なくとも1つに接続するためのステムを含む請求項7の層状支持構造体。
【請求項10】
各ノードは、バネ取付部材の前記ステムを受けるための開口部を規定し、
該ステムは、該ステムが前記開口部に挿入されるときに、スナップ嵌め接続を容易にする隆起部を含む請求項9の層状支持構造体。
【請求項11】
前記第3の層は、該第3の層の側部に配置された複数のブルノーズ延長フィンガをさらに含み、各々のブルノーズ延長フィンガは、他のブルノーズ延長フィンガに対して実質的に平行な配向を含む請求項6の層状構造体。
【請求項12】
各ピクセルは、上面及び下面を含み、前記下面は、前記第2の層に面するように配向され、各ピクセルは、該下面から延びるステムを含む請求項6の層状支持構造体。
【請求項13】
各バネ要素は、前記第2の層と前記第3の層との間の接続を容易にするため、前記ピクセルから延びるステムの1つを受ける開口部を規定する上部を含む請求項12の層状支持構造体。
【請求項14】
前記ステムは、
前記ピクセルの前記下面に接続された第1の端部と、
テーパ状セグメントを含む第2の端部と、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に延びる円筒形ストラップと、
前記ステムが前記開口部に挿入されたときにスナップ嵌め接続を容易にするように、前記円筒形ストラップを超えて延びる、前記テーパ状セグメントに接続されたリップ部と、
を含む請求項13の層状支持構造体。
【請求項15】
前記第2の層は、単一片エラストマー材料からなる請求項6の層状支持構造体。
【請求項16】
前記第3の層は、単一片エラストマー材料からなる請求項6の層状支持構造体。
【請求項17】
前記第1の層は、単一片エラストマー材料からなる請求項1の層状支持構造体。
【請求項18】
層状支持構造体であって、
第1の層を備え、この第1の層は、
第1のフレーム取付具と、
第2のフレーム取付具と、
前記第1のフレーム取付具と第2のフレーム取付具との間に延びる複数の支持レールと、を含み、
各々の支持レールは、前記第1のフレーム取付具と第2のフレーム取付具との間に延びる第1の長さを有する第1のストラップを含み、
前記第1のストラップは、
第1のストラップに沿って定められた複数の位置合わせ領域と、
第1のストラップに沿って定められ、隣接した前記位置合わせ領域の間にある複数の非位置合わせ領域と、を含み、
各々の支持レールは、前記第1のフレーム取付具と前記第2のフレーム取付具との間に延び、前記第1のストラップと実質的な平行な第2の長さを有する第2のストラップをさらに含み、
前記第2のストラップは、
第2のストラップに沿って定められた複数の位置合わせ領域と、
第2のストラップに沿って定められ、隣接した前記位置合わせ領域の間にある複数の非位置合わせ領域と、を含み、
第2のストラップに沿った各々の非位置合わせ領域の位置は、前記第1のストラップにおける非位置合わせ領域の位置に対応し、
各々の支持レールは、前記第1のストラップと前記第2のストラップとの間に接続された複数のノードを含むことを特徴とする層状支持構造体。
【請求項19】
前記第1のストラップの前記複数の位置合わせ領域の各々は、前記第1のストラップに沿って前記位置合わせ領域の位置に合うように調整された断面積を含む請求項18の層状支持構造体。
【請求項20】
前記第1のストラップは、
前記第1のフレーム取付具に接続された第1の端部と、
前記第2のフレーム取付具に接続された第2の端部と、
前記第1の端部と前記第2の端部との間のほぼ中間に配置されたゲート位置と、
を含み、
前記複数の位置合わせ領域の各々の断面積は、前記第1のストラップに沿って前記ゲート位置に対する前記位置合わせ領域の位置に合うように調整される請求項19の層状支持構造体。
【請求項21】
前記複数の位置合わせ領域の各々の断面積は、前記ゲート位置に対してより近くに配置された該位置合わせ領域の各々の断面積よりも小さいか又はこれと等しい請求項20の層状支持構造体。
【請求項22】
前記複数の位置合わせ領域の各々の断面積は、前記第1のストラップに沿って前記ゲート位置により近い方の隣接した位置合わせ領域の断面積より、約0.1%乃至約1%大きい請求項20の層状支持構造体。
【請求項23】
前記複数のノードによって支持される複数のバネ要素を含み、前記第1の層の上に配置された第2の層と、
前記複数のバネ要素により支持される複数の相互接続されたピクセルを含み、前記第2の層によって支持される上部マット層と、
をさらに含む請求項19の層状支持構造体。
【請求項24】
前記複数のバネ要素の各々は、
上部と、
前記上部に接続され、前記複数のノードの1つ又はそれ以上により支持される撓み可能部材と、
を含む請求項23の層状支持構造体。
【請求項25】
前記撓み可能部材は、
前記上部に接続された第1の端部,及び,バネ取付部材に接続された第2の端部,を含む第1の螺旋状アームと、
前記上部に接続された第3の端部,及び,前記バネ取付部材に接続された第4の端部,を含む第2の螺旋状アームと、
を含む請求項24の層状支持構造体。
【請求項26】
前記バネ取付部材は、前記第1の層に向かって延びる突出部を含み、
前記第1のノードは、スナップ嵌め接続により前記突出部を受けるための開口部を規定する請求項25の層状支持構造体。
【請求項27】
層状支持構造体であって、
複数の二重ストラップ支持レールを含む第1の層を形成する第1の単一片エラストマー材料を含み、
各々の二重ストラップ支持レールは、
第1のストラップと、
前記第1のストラップと実質的に平行に配向された第2のストラップと、
前記第1のストラップと前記第2のストラップとの間に接続された複数のノードと、
を含む層状支持構造体。
【請求項28】
前記第1のストラップは、
前記ストラップに沿って定められた複数の位置合わせ領域と、
前記ストラップに沿って定められた複数の非位置合わせ領域と、
を含み、各々の位置合わせ領域は、隣接した非位置合わせ領域の間に配置される請求項27の層状支持構造体。
【請求項29】
前記複数の非位置合わせ領域の各々は、前記位置合わせ領域の各々よりも大きい断面積を含む請求項28の層状支持構造体。
【請求項30】
前記第1のストラップは、ゲート位置を含み、
各々の位置合わせ領域は、前記第1のストラップの前記ゲート位置からより遠くに配置された他のいずれの位置合わせ領域の断面積よりも大きいか又はこれと等しい断面積を含む請求項28の層状支持構造体。
【請求項31】
前記第1の層の上に配置され、前記複数のノード上に支持される複数のバネ要素を含む第2の層を形成する第2の単一片エラストマー材料と、
前記第2の層の上に配置され、各々のピクセルが前記複数のバネ要素のうちの少なくとも1つの上に支持された複数の相互接続されたピクセルを含む第3の層を形成する第3の単一片エラストマー材料と、
をさらに含む請求項27の層状支持構造体。
【請求項32】
層状支持構造体を製造する方法であって、
支持レールを含む第1の層を準備するステップを含み、前記支持レールが、
第1のストラップに沿って定められた複数の位置合わせ前領域及び非位置合わせ領域を含む第1のストラップと、
前記第1のストラップと実質的に平行であり、第2のストラップに沿って定められた複数の位置合わせ前領域及び非位置合わせ領域を含む第2のストラップと、
前記第1のストラップと前記第2のストラップとの間に接続された複数のノードと、
隣接したノードの内縁部、前記第1のストラップの内縁部、及び前記第2のストラップの内縁部の間にある、支持レールに沿って定められた複数の開口部と、
を含み、
隣接したノードの前記内縁部は実質的に互いに向かい合い、前記第1及び第2のストラップの前記内縁部は実質的に互いに向かい合う、方法。
【請求項33】
前記第1の層は、射出成形技術を用いて準備される請求項32の方法。
【請求項34】
前記第1の層は、センターゲート射出成形技術を用いて準備される請求項32の方法。
【請求項35】
前記第1及び第2のストラップの複数の位置合わせ前領域の各々を位置合わせして、前記第1及び第2のストラップに沿って定められた複数の位置合わせ領域を形成するステップをさらに含む請求項32の方法。
【請求項36】
前記位置合わせ前領域の各々を位置合わせするステップは、
前記第1の層を、前記第1及び第2のストラップの方向と実質的に平行な方向に延伸させるステップと、
ノード・ロケータを前記複数の開口部の各々に挿入するステップと、
を含む請求項35の方法。
【請求項37】
前記第1の層は約10乃至12インチ延伸される請求項36の方法。
【請求項38】
前記延伸させるステップは、前記複数の位置合わせ前領域の各々を、位置合わせ前の長さの約4乃至8倍延伸させる請求項36の方法。
【請求項39】
前記複数のノードによって支持される複数のバネ要素を含む第2の層を準備するステップと、
前記第2の層によって支持される複数の相互接続されたピクセルを含む第3の層を準備するステップと、
をさらに含む請求項32の方法。
【請求項40】
前記第2及び第3の層は、射出成形技術を用いて準備される請求項39の方法。
【請求項41】
前記第2の層を前記第1の層に接続し、接続後に該第2の層が該第1の層の下に配置されるようにするステップと、
前記第3の層を前記第2の層に接続し、接続後に該第3の層が該第2の層の下に配置されるようにするステップと、
をさらに含むことを特徴とする、請求項39の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2011−528941(P2011−528941A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520131(P2011−520131)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/051221
【国際公開番号】WO2010/011633
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(591046191)ハーマン、ミラー、インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】HERMAN MILLER INCORPORATED
【Fターム(参考)】