説明

多成分系金属性燃料触媒および軽度の触媒化ディーゼル微粒子フィルターを利用する減少した排出物燃焼

【課題】DPF支持体上の過剰の触媒装入の悪影響を排除した、微粒子の減少したレベルとコスト、耐久性、二次排出物および維持の間隔との間に新しいバランスを達成する、ディーゼルエンジン用の排出物コントロールのためのシステムの提供。
【解決手段】燃料中2−15ppmの全金属濃度で白金およびセリウムおよび/または鉄を含む燃料親和性触媒をディーゼル燃料に添加し、そしてその上に貴金属触媒を含む基体を有するディーゼル微粒子フィルターを通して燃焼により生成される排気を通過させることからなり、触媒は基体1立方フィート(約0.028m)あたり15gより少ない量で基体上に存在する、排気の全窒素酸化物の%としてNOの排出物もコントロールしつつディーゼルエンジンからの微粒子排出物を減少させる方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NOの生成の増加を避けつつ不完全燃焼により発生するタイプの汚染物例えば微粒子、未燃焼炭化水素および一酸化炭素の排出を減少させる新しい方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンは、Ottoタイプのエンジンよりも多数の重要な利点を有する。それらのなかで、燃料の経済性、修理の容易さおよび長寿命がある。しかし、排出物の見地からは、それらのスパーク点火の相当物よりも厳しい問題をもたらす。排出の問題は、微粒子物質(PM)、窒素酸化物(NO)、未燃焼炭化水素(HC)および一酸化炭素(CO)に関係する。NOは、とりわけ一酸化窒素(NO)および二酸化窒素(NO)を含む窒素酸化物の種々の化学種を記述するのに使用される用語である。NOは、それが太陽光線および炭化水素の存在下、一連の反応を経て光化学スモッグの形成として知られているプロセスを生じさせそして酸性雨の顕著な原因であると考えられているので、懸念されている。一方、NOは、オキシダントとしての可能性が高く、そして強い肺の刺激物である。微粒子(PM)は、また、呼吸器の問題に関係がある。エンジンの操業の改変が、ディーゼルエンジンにおける微粒子および未燃焼炭化水素を減少することを目的にしているため、NO排出物が増加しがちである。
【0003】
後処理装置、例えばディーゼル微粒子フィルター(DPF)およびディーゼル酸化触媒(DOC)が、ディーゼルエンジンからの微粒子およびガス状炭化水素の排出を減少させるのに提案されてきている。これらの装置は、旧型のエンジンで使用されることに主として関しており、新型のエンジンでは能率の改善を必要とする。すべての場合に、それらは、主として有効であるために使用が必要な貴金属のコストにより、高価である。DPFのコストの削減および/またはそれらの能率の改善が望まれている。
【0004】
NOは、強力なオキシダントであるが、ディーゼル微粒子を燃焼するのに有用な役割をはたすことが、当業者により認められてきている。特許文献1は、触媒化されていないDPFの上流で、重度の触媒化DOCの使用により、この反応を実施する。重度の触媒化DOCは、排気に存在するNOをNOに転換し、それは、炭素の微粒子を酸化してフィルターを再生するのを助ける。その文献の実施例2における第一の要素として、1立方フィートあたり約80gのPtを含む従来のセラミックモノリス支持触媒が使用された。白金の典型的な量は、DOCの1立方フィート(約0.028m)あたり30−90gであると報告されている。最近では、これらの装置の製造者は、低温度の再生により助けられるために、重度の触媒化DPFを利用するシステムを導入している。全貴金属装入は、現在、1立方フィートあたり90−120gであると報告されている。このアプローチの結果は、システムを逃れる多量の過剰なNOである。NOは、強力な肺刺激物であり、そして濃度は、MSHAにより排気ガスにおいて制限されており、そしてCARBにより排気窒素酸化物の20%に規制されることが提案されている。しかし、このタイプのシステムでは、白金の高いコストおよびNO排出の関連する問題にもかかわらず、満足する再生を達成するために多い白金の量を備えたDOC、またはNOをNOに酸化するのに十分な特定されていない濃度の固定した白金添加物を備えたDPF単独を使用する。それは、Cooperシステムに関連する白金の高いコストまたはNO排出物の有害な作用に対応していない。
【0005】
他の工業的にテストされたシステムは、新しいワイヤメッシュフィルターの上流でDOCを用いるが、触媒化されていないワイヤメッシュフィルターを再生するために、排気中に高いNOを形成する重度の触媒化DOCを要する。例えば、特許文献3参照。
【0006】
特許文献4は、DOCまたはDPFによる白金FBCおよび/または触媒を有するかまたは有しないDPFによるPt/Ceを記述しているが、白金の量の最低またはNOの減少を記述していない。
必要としているのは、NOの発生および漏れを最小にしつつ良好なPMの減少をもたらすシステムである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
NOの漏れを最小にしつつ接触排気処理によって良好なPMの減少をもたらすシステムを提供するのが本発明の目的である。
DPFにおける煤煙の酸化の助けとしてNOの明らかな利益を維持しつつ白金触媒への要求を低下させることによってシステムのコストを低下できるシステムを提供するのが本発明の他の目的である。
【0008】
貴金属の使用を最小にししかも排気から排出されるNOの量を減少しつつ、良好なPM減少の能率をもたらす有効なディーゼル微粒子減少システムを提供するのが本発明の他の目的である。
耐久性がありしかも頻繁なクリーニングの必要なしに低い排気温度で煤煙を酸化できる排出物コントロールシステムを提供するのが本発明の他の目的である。
【0009】
DPF支持体上の過剰の触媒装入の悪影響を認識し、その認識に基づいて、減少したPMのレベルとコスト、耐久性、二次排出物およびメインテナンスの間隔との間に新しいバランスを達成する、ディーゼルエンジン用の排出物コントロールのためのシステムに関する当業者の要請を満たすのが、本発明の他の特定な目的である。
これらの目的および他の目的は、改良されたディーゼル排気処理システムを提供する本発明により達成される。
【0010】
【特許文献1】米国特許4902487
【特許文献2】米国特許6767526
【特許文献3】ヨーロッパ特許1350933
【特許文献4】米国特許6023928
【課題を解決するための手段】
【0011】
主要な側面において、本発明は、排気の全窒素酸化物の%としてNOの排出物もコントロールしつつディーゼルエンジンからの微粒子排出物を減少させる方法であって、燃料中2−15ppmの全金属濃度で白金およびセリウムおよび/または鉄を含む燃料親和性触媒をディーゼル燃料に添加し、そしてその上に貴金属触媒を含む基体を有するディーゼル微粒子フィルターを通して燃焼により生成される排気を通過させることからなり、触媒は基体1立方フィート(約0.028m)あたり15gより少ない量で基体上に存在する。
【0012】
他の側面では、本発明は、強力なディーゼル微粒子コントロールシステムを提供し、それは、15ppmより少なくそして好ましくは4−8ppmの全触媒レベルで、セリウムおよび/または鉄と組み合わされた白金を含む低使用割合のFBCと関連して使用される軽度の触媒化ワイヤメッシュフィルターの使用を含む。このシステムは、下流のフィルターで集められた煤煙を酸化するために、上流のNOの形成に依存する重度に触媒化された装置を伴うNO排出物の実質的な増加なしに、特にULSD(<15ppmS)と使用されるとき、60−75%という高いレベルの微粒子の減少を示した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
前記のように、本発明は、ディーゼル操業のための改良されたシステムを提供し、そして好ましくはFBC、並びに例えば従来の構造またはワイヤメッシュ構造の軽度の触媒化ディーゼル微粒子フィルターDPFを含む排出物後処理装置を用いる。用語FBCは、燃料親和性触媒をいい、それは典型的にディーゼルエンジンにおける燃料の燃焼中活性形で燃焼室に放出される金属成分を有する燃料可溶性または懸濁性の組成物である。用語DPFおよびFBCは、以下において詳しく説明されそしてまた上記の引用により立証されるように当業者に周知である。
【0014】
本発明は、DPF単独またはそれとDOCとである触媒基体を含む排出物後処理装置の処理を用い、触媒基体は、貴金属例えば白金族金属の触媒を少量有する。触媒の量は、煤煙オキシダントとしての使用のためにNOからNOへの転換を目的として当業者により必要とされてきたのより少なく、好ましくは1立方フィート(約0.028m)あたり15gより少ない例えば1−15g、望ましくは10gより少ないそして最も好ましくは3−5gの白金族金属の量の金属装入を有する。これらの低い触媒量は、NOの過剰な排出が環境上の問題になってきているあまりに多い量のNOを生ずることなく、煤煙を燃焼するのを助ける。DPFを触媒化するための好適な貴金属のなかに、上記の特許文献1に同定されているものがあり、特に白金族金属を含むものがある。
【0015】
本発明の1つの態様では、軽度の触媒化DPFは、0.015−0.5ppmのPtおよび0.5−8ppmのCeおよび/または鉄とともに使用される、1立方フィート(約0.028m)あたり15gより少ない、例えば1−15g、望ましくは10gより少ないそして好ましくは3−5gの白金族金属の装入を含む。より多いそしてより低いレベルの添加剤は、処理または操業のサイクルの一部で使用できる。FBC組成物のさらなる記述は、以下に示される。
【0016】
本発明の改良されたシステムは、顕著に、白金族金属の使用を最小にしつつ、好ましい態様(例えば超少量の硫黄ディーゼル燃料を使用したとき)において例えば50−90%PMを減少させ、そしてベースラインよりもNOを増加させず、そして例えば全窒素酸化物種の35%より少なく、例えば好ましくは25%より少なく低いNO排出物を維持する能力を立証している。
【0017】
本発明で使用して好適なディーゼル燃料のなかで、典型的に化石燃料、例えば蒸留燃料を含む典型的な任意の石油由来燃料を含むものである。ディーゼル燃料は、上記の先願の特許出願に開示された処方物の任意のものであり、これらの特許出願は、それらの全体を本明細書に参考として引用される。燃料は、ディーゼル燃料、例えばNo.2ディーゼル燃料、No.1ディーゼル燃料、ジェット燃料例えばJet Aまたは同等物(No.1ディーゼル燃料と同様な沸点および粘度を有する)、超低硫黄ディーゼル燃料(ULSD)を含む蒸留燃料、並びにバイオ燃料(生物学的由来燃料)例えば「モノアルキルエステルに基づく酸素化燃料」すなわち脂肪酸エステル、好ましくはトリグリセリドメチルエステル例えば大豆油、キャノラ油および/または牛脂から由来する脂肪酸のメチルエステルを含むものからなる群から選ばれる燃料の1つまたはブレンドである。
【0018】
Jet AおよびディーゼルNo.1は、本発明の使用では同等と思われるが、異なるAmerican Society For Testing and Materials(ASTM)基準によりカバーされる。ディーゼル燃料は、ASTM D975「Standard Specification for Diesel Fuel Oils」によりカバーされる。Jet Aは、ASTM D1655「Standard Specification for Aviation Trubine Fuels」の指定を有する。用語超低硫黄ディーゼル燃料(ULSD)は、0.0015重量%(15ppm)以下の硫黄レベルを有するNo.1またはNo.2ディーゼル燃料を意味し、そしていくつかの行政体は、低い芳香族炭化水素含量、例えば10容量%より少ない量を要求する。
【0019】
本発明の方法は、好ましくは燃料可溶性の白金そしてセリウムまたは鉄のいずれかまたはセリウムおよび鉄の両者を含む、燃料可溶性の複数の金属の触媒すなわちFBCを使用する。セリウムおよび/または鉄は、典型的に、0.5−20ppmの濃度で使用され、そして白金は、0.0005−2ppmであり、セリウムおよび/または鉄の好ましいレベルは、5−10ppm例えば7.5ppmであり、そして白金は、0.0005−0.5ppm例えば0.15ppmのレベルで使用される。いくつかの態様では、処理処方は、最初においてまたは規定された間隔でまたは必要に応じ高い触媒濃度を利用することを必要とするが、過去において必要としたような全処理中ではない。セリウムおよび/または鉄は、セリウムおよび/または鉄が2−10ppm例えば3−8ppmであるレベルで好ましく、そして白金は、典型的な操業では、0.05−0.5ppm例えば0.1−0.5ppm例えば0.15ppmのレベルで使用されるのが好ましい。これらのレベルで行われた以下のテストは、軽度の触媒化DPFを利用して排出物の点で驚くべき結果を示す。
【0020】
セリウムおよび/または鉄FBCは、燃料の1−15ppmのセリウムおよび/または鉄(w/v)例えば4−15ppmの濃度が好ましい。FBCに関するセリウムおよび/または鉄対白金の好ましい比は、100:1−3:1例えばより典型的に75:1−10:1である。7.5ppmのセリウムおよび/または鉄を含む0.15ppmの白金を使用する処方が、その例である。
【0021】
低レベル(約3−15ppm全部)好ましくは12ppmより少ないそして一層好ましくは8ppmより少ない触媒の利点は、金属酸化物の排出物から生ずる超微細粒子の減少である。ヨーロッパVERTプログラムの下で公表されたデータは、20ppmまたは100ppmのセリウムという高いFBC使用割合で、超微細粒子の数は、ベースラインよりも劇的に増加する。しかし、0.5/7.5または0.25/4ppmで使用される2種の金属からなるものでは、超微細粒子の数に顕著な増加はない。FBCの低いレベルで、別々の超微細酸化物の粒子のピークはなく、金属酸化物は全粒子サイズ分布にわたって煤煙中に含まれることが分かった。本発明により規定される低使用割合の利点は、エンジン排出物全体に占める金属灰の減少である。1998US排出物基準を満たすエンジンでは、微粒子の排出物は、100000μg/馬力・時(0.1g/馬力・時)に制限される。燃料中30ppmで使用されるセリウムFBCは、1馬力・時あたり6000μgのエンジンへの金属の金属触媒入力量、すなわち未処理エンジン排出物の6%にほぼ相当する。そのため、2種金属または3種金属のFBCとして8ppmより少ないそして好ましくは4ppmより少ない本発明で使用される触媒の低レベルは、例えば、エンジンへの触媒量のわずか800−1600μg/馬力・時またはベースライン煤煙排出物の0.8−1.6%を占めるに過ぎない。これは、減少した金属灰排出物の利点を有しそして全微粒子塊排出物へのFBCの寄与、または下流の排出物コントロール装置への金属灰の量を減少させる。
【0022】
燃料は、洗浄剤(例えば50−300ppm)、潤滑添加剤(例えば25−約500ppm)、他の添加剤そして好適な燃料可溶性触媒金属組成物例えば0.1−2ppmの燃料可溶性白金族金属組成物例えば白金CODまたは白金アセチルアセトネートおよび/または2−20ppmの燃料可溶性セリウムまたは鉄組成物例えば可溶性の化合物または懸濁物としてのセリウム、セリウムオクトネート、フェロセン、鉄オレエート、鉄オクトエートなどを含むことができる。燃料は、特にディーゼルに関する高いレベルのコントロールに基づいて使用されるが、燃料は、規定されるように、他の処理装置を特に必要とすることなく燃焼される。
【0023】
特定のセリウム化合物のなかで、以下のものがある。セリウムIIIアセチルアセトネート、セリウムIIIナフトネート、およびセリウムオクトネート、セリウムオレエートおよび他の石けん例えばステアレート、ネオデカノエート、および他のC−C24アルカン酸など。セリウム化合物の多くは、式Ce(OOCR)(式中、Rは炭化水素好ましくはC−C22でありそして脂肪族、脂環族、アリールおよびアルキルアリールである)の3価の化合物である。好ましくは、セリウムは、セリウムヒドロキシオレエートプロピオネート複合体(セリウム40重量%)またはセリウムオクトネート(セリウム12重量%)として供給される。好ましいレベルは、この範囲のなかで下方の値である。
【0024】
特定の鉄化合物のなかで以下のものがある。フェロセン、鉄(III)および鉄(II)アセチルアセトネート、鉄石けん例えばオクトネートおよびステアレート(通常、Fe(III)化合物として市販されている)、鉄ナフトネート、鉄タレートおよび他のC−C24アルカン酸、鉄ペンタカルボニルFe(CO)など。
任意の白金族金属組成物、例えば1,5−シクロオクタジエン白金ジフェニル(白金COD)(米国特許4891050、5034020および5266083に記述されている)は、白金源として使用できる。他の好適な白金族金属触媒組成物は、市販または容易に合成される白金族金属アセチルアセトネートを含み、例えば置換(例えばアルキル、アリール、アルキルアリール置換)および未置換アセチルアセトネート、白金族金属ジベンジリデンアセトネートおよびテトラアミン白金金属複合体の脂肪酸石けん例えばテトラアミン白金オレエートを含む。
【0025】
本発明は、DPF単独を使用できるか、またはそれは、DOC、微粒子反応器、部分フィルターまたはNO吸収器とともに使用でき、そして本発明のエンジンを出る排出物の減少から利益を得ることができる。NOおよび微粒子の排出物を減少するための触媒を有するDPF装置を備えたFBCの利点およびエンジンから出る結果については、以下の実施例を参照。どんな理論にも制約されることを望まないが、後処理装置およびエンジンを出る排出物に関する予想されなかった良好な結果は、白金が、過剰量のNOを生成するがなおかつ低レベルのセリウムおよび/または鉄の存在下微粒子中の炭素の酸化を促進するには十分ないくらかのNOまたは他の化学種を生成するに足る量で存在しないからである。NOは、強力な肺の刺激物であり、そしてDOC、DPFまたはこれらの組み合わせのような重度の触媒化後処理装置の従来の使用により、多量に発生する。低量であるが十分な量で存在する低白金濃度およびセリウムおよび/または鉄による制限されたNOの生成の結果の合計は、微粒子(および不完全酸化による他の種)の予想された減少よりも大きく生成し、そして同時に発生かつ放出されるNOの量をコントロールすることになる。従来技術と異なり、本発明は、高いNOの生成割合を必要とすることないことを見いだし、事実、ヒトに刺激しない排出物を提供する方法を見いだした。
【0026】
好ましいCWMFは、貴金属の少量のコーティングによる触媒を有するアルミナ洗浄被覆を有するステンレス鋼ワイヤメッシュフィルターである。本発明では、この触媒装入は、1立方フィート(約0.028m)あたり15g以下、例えば1−15gそして典型的に7−14gであり、それは減少した被覆、硫酸塩への硫黄の低下した転換およびNO排出物の減少の利点を有する。FBCと使用されて、CWMFは、上流のNO発生の必要なしに、低温度の煤煙酸化および45−75%の良好なPMの減少を示す。
【0027】
典型的なCWMFの濾過ユニットは、ヨーロッパ特許出願1350933A1に記載されたようなワイヤメッシュのマットから形成されるワイヤメッシュの複数の輪を用いる。そのヨーロッパ特許出願は、NOを発生するための上流の酸化触媒と関連して触媒化ワイヤメッシュフィルターの使用を記述している。それは、また、ワイヤの直径、マットの形成、圧縮密度およびフィルターの性能を調節する他の特徴の使用を教示している。
【0028】
本発明では、0.35mmのワイヤ直径が、濾過、耐久性および背圧の良好なバランスを得るために好ましい。
それぞれのワイヤメッシュの輪は、中空の中心のコアを有し、そして複数の輪は、2枚のエンドプレートの間でともに圧縮されてフィルターモジュールコアを形成する。典型的に、外径274mmおよび中空の中心コア90mmの6つのフィルター輪が、6−9Lのエンジンに使用される。追加の輪は、より大きなエンジンに使用される。フィルターモジュールは、フィルターモジュールのフロントプレート上の分配円錐によりワイヤ周縁の外側を回るようにされたガス流を有するステンレス鋼缶の内側に置かれる。モジュールは、ガスがフィルターモジュールとステンレス鋼缶との間で流れの軸にそって長さ方向に移動するように、缶中で支持される。モジュールの直径は、空間がモジュールと缶との間に存在するように、缶より短い。フィルターモジュールの出口プレートは、ガスが逃れないように、鋼缶に対して密に適合される。汚れた排気ガスは、強制的にフィルターモジュールの深さ方向を通って移動させられそして中空の中心コアから出る。エンドプレートの外縁の2つの10mmの安全口は、少ない部分のガスを未処理のまま逃すようにし、そしてフィルターが閉鎖するかまたは煤煙により塞がれるようになるとき、エンジンの悲劇的な失敗を防ぐのに働く。たとえ、2つの口でも、本発明で使用されたとき、全体の減少は、微粒子について45−75%のままである。
【0029】
好ましい態様は、長さ232.5mmおよび直径274mmの6つのセクションのワイヤメッシュアセンブリからなる。それは、エンドプレートの周縁の周りに等しく配置された8つのボルトおよびナットを使用して2枚のエンドプレートの間で圧縮される。フィルターモジュールは、フロントプレートに分配円錐を有して、ガス流をフィルターモジュールの外縁に導く。モジュールは、ガスをフィルターの輪の深さ方向を通りしかも外縁の周りに流すように缶の内側にモジュールを吊すスペーサーバーおよび8個のボルトにより、ステンレス鋼缶内に置かれる。わずかに大きな直径のエンドプレートは、ガスがワイヤメッシュを通ることなく逃れるのを防ぐ。
【0030】
好ましいワイヤの直径は、0.35mmであるが、0.2−0.5mmも使用できる。ワイヤメッシュマットは、直径90mmの中空中心コアの周りに巻かれる。ワイヤメッシュは、アルミナ洗浄被覆により被覆され、そして1立方フィート(約0.028m)あたり14gの白金により触媒化されるが、7−10gまたはそれ以下でもFBC処理燃料により有効に使用できる。
【0031】
FBCは、セリウム、鉄またはセリウムおよび鉄の組み合わせと関連して白金を含む燃料添加物を含む。別の態様では、セリウムFBCは、2−15ppmの使用量でCWMFで使用されるが、白金FBCを配合した2種金属および3種金属の組成物も好ましい。
以下の実施例は、本発明をさらに説明するために提供され、本発明を制限するものではない。それ以外に指示されていない限り、すべての部および%は重量による。
【実施例1】
【0032】
テストは、20分のホット・トランジエント・テスト・サイクル3回で1990DTA−466国際7.6Lエンジンで行われた。NO、NOおよびNOの平均排出物および微粒子は、g/馬力・時で測定され、そして以下の表で示される。
【0033】
市販のNo.2D(>300ppmの硫黄)およびULSD(<15ppmの硫黄)のベースライン排出物は、全窒素種の17および18%であり、全NO種の%として同様な量のNO排出物を示した。微粒子は、ULSDについて0.244g/馬力・時であり、わずかに少なかった。
【0034】
ULSD燃料中の1立方フィート(約0.028m)あたり75gの量のPGMによる重度に触媒化されたディーゼル酸化触媒(HCDOC)並びに0.5/7.5ppmの2種金属白金/セリウムFBCとともに使用される1立方フィート(約0.028m)あたり14gの量の白金族金属(PGM)により軽度に触媒化されたワイヤメッシュフィルター(LCWMF)の排気中の設置は、微粒子を59%減少させたが、NO排出物を全窒素酸化物種の58%に増加させた。セリウム添加剤は、セリウムヒドロキシオレエートであり、白金添加剤は、白金CODであった。
【0035】
DOCを取りだしたとき、微粒子の減少は、僅かに低下して57%になったが、NOは全窒素酸化物種の25%に過ぎなかった。処理燃料に対するさらに25時間の操業の後では、微粒子およびNOの両者は、意外なことに、さらに減少した。
【0036】
テスト中に観察された1つの思いがけない明確な結果は、任意の後処理装置の設置なしに、FBCがベースラインNo.2DまたはULSDの何れかに添加されたとき、微粒子の排出物およびNOの%の両者を低下させることであった。No.2Dでは、微粒子は、処理された燃料(0.15/7.5ppmでのPt/Ce)で0.253から0.215へ15%減少し、そしてNOは17%から13%に減少した。ULSDでは、微粒子は、燃料へのFBC(0.5/7.5ppmでのPt/Ce)の添加により0.244から0.207へ減少し、一方NOは、18%から12%と15%減少した。従って、微粒子および他の排出物を減少させるのに、FBC単独またはそれと触媒化後処理装置との使用は、有益である。NOの発生による微粒子の減少に重要な助けとして従来技術でいわれてきた重度に触媒化されたDOCは、微粒子の減少についてFBCそのものより有効でないことが示され、NOの排出に悪影響を与える。これは従来の技術では開示されていなかったことである。
【0037】
(1990国際7.6LDTA−466エンジンからの排出物の比較)
(3回のホットスタートテストの平均)
汚染物量(g/馬力・時)
燃料および後処理 NO NO NO NO% 微粒子
No.2D 6.1 5.0 1.1 17 0.253
No.2D+FBC(Pt/Ce@ 6.0 5.3 0.7 13 0.215
0.15/7.5ppm)
ULSD 5.6 4.6 1.0 18 0.244
ULSD+FBC 5.7 5.0 0.7 12 0.207
ULSD+FBC+HCDOC+ 5.5 2.3 2.2 58 0.104
LCWMF
ULSD+FBC+LCWMF 5.5 4.1 1.4 25 0.108
ULSD+FBC+CWMF 5.5 4.4 1.1 21 0.094
【0038】
(25時間)
汚染物量(g/馬力・時)
燃料および後処理 HC CO
No.2D 0.3 1.4
No.2D+FBC(Pt/Ce@ 0.3 1.3
0.15/7.5ppm)
ULSD 0.3 1.1
ULSD+FBC 0.2 1.0
ULSD+FBC+HCDOC+ 0.0 0.0
LCWMF
ULSD+FBC+LCWMF 0.0 0.2
ULSD+FBC+CWMF 0.0 0.2
【0039】
(25時間)
註:DOC=1立方フィート(約0.028m)あたり75gのPGM装入
CWMF=1立方フィート(約0.028m)あたり14gのPGM装入
FBC=0.5ppmPt/7.5ppmCe、他に述べられていない限り。
【実施例2】
【0040】
好ましいシステムは、1立方フィート(約0.028m)あたり14gの白金金属の装入を有するヨーロッパ特許1350933のタイプのワイヤメッシュDPFを含む。この装置は、その構造および金属量について、現在、未知のタイプである。1990(Certified1991Emissions)Cummins8.3Lのエンジンからのデータは、エンジンの動力計での反復ホット・スタート・テスト・サイクルで得られた。No.2DおよびULSDに関するベースライン微粒子排出物は、0.202g/馬力・時および0.201g/馬力・時で同じであった。全窒素酸化物の%としての全NO排出物は、またベースライン燃料について15%および14%であって同様であった。
【0041】
1立方フィート(約0.028m)あたり14gの貴金属により触媒化された6つのセクションのワイヤメッシュフィルターによる0.15/7.5でのFBC処理No.2Dの使用は、NO排出物が20%であって、PMを0.059g/馬力・時と71%減少させた。
【0042】
0.5Pt/7.5Ceを使用するFBC処理ULSDによる同じCWMFのテストは、全NO排出物の33%のNOでPM減少を77%に増加させた。従って、大きいPMの減少は、1立方フィート(約0.028m)あたり25−90gの貴金属の量を使用する一層重度に触媒化された装置では典型的に生ずるNOの大量の排出物なしに達成された。
【0043】
(FBC/CWMF−1991Cummins 8.4L)
(3回の組成物テストの平均)
燃料/装置 HC CO NO NO NO% PM
ベースラインNo.2D 0.39 1.3 5.0 0.7 15 0.202
ベースラインULSD 0.38 1.2 4.7 0.7 14 0.201
No.2D+0.15/ 0.06 0.6 4.9 1.0 20 0.059
7.5+CWMF
PM減少% 71%
ULSD+0.5/ 0.04 0.3 4.5 1.5 33 0.047
7.5+CWMF
PM減少% 77%
【実施例3】
【0044】
この実施例は、単一のコールド・テスト・サイクルおよび3回のホット・テスト・サイクルで1995DT466Navistarエンジンについて生じたエンジン動力計のデータを示す。
【0045】
No.2D燃料のベースラインは、全NOの23%のNOで、106g/馬力・時のPM排出物を生じた。0.15/7.5のPt/CeのFBCによるULSDの使用は、PM排出物を31%減少させ、NOを全NO排出物の19%に低下させた。
【0046】
1立方フィート(約0.028m)あたり14gで触媒化されそしてFBC処理ULSDにより操業されたCWMFの設置は、PMを0.035g/馬力・時に減少させそして67%の全減少を示した。NO排出物は、全NOの35%であった。HC、COおよびNOにおける良好な減少は、またULSD/FBC/CWMFの組み合わせについて得られた。
【0047】
(1995NavistarDT466 7.6Lエンジンからの排出物)
(混成の結果の平均、g/馬力・時)
燃料/装置 HC CO NO NO NO% PM
ベースラインNo.2D 0.3 1.3 4.8 1.1 23 0.106
USLD+FBC 0.2 1.0 4.3 0.8 19 0.073
(0.15/7.5)
USLD+FBC+ 0.1 0.3 4.3 1.5 35 0.035
CWMF(0.15/7.5)
【実施例4】
【0048】
本発明は、低いレベルのFBCを有する触媒化ワイヤメッシュフィルターの使用に関しているが、フィルター基体上の少ない貴金属の装入およびPMの大きな減少および少ないNOの発生が、他のタイプのフィルターに及ぼしうることが認識されるだろう。ULSD中の0.5ppm/7.5ppmの白金/セリウムのFBCを使用した1立方フィート(約0.028m)あたり3gの白金を有する軽度に触媒化された菫青石(Cordierite)セラミックフィルターのテストでは、微粒子は、0.082g/馬力・時から0.007g/馬力・時に低下した。それは、微粒子が90%減少したことを示す。NOの排出物は、全窒素酸化物の排出物の16%であり、それに対してFBC/DPFはベースライン燃料で11−13%であった。
【0049】
(1998DDCシリーズ60;12.7Lエンジン−ベースラインおよびFBC/DPF)
(FTPトランジエント・テスト;g/馬力・時)
構成 HC CO NO
No.2Dベースライン混成 0.114 1.232 4.0
No.2Dホット(3) 0.091 1.065 3.9
ULSDホット(3) 0.053 0.842 3.8
ULSD+FBC+DPF混成 0.004 0.201 1.7
【0050】
(25時間)
構成 NO NO% PM
No.2Dベースライン混成 ND ND 0.082
No.2Dホット(3) 0.5 11 0.075
ULSDホット(3) 0.5 13 0.067
ULSD+FBC+DPF 0.6 16 0.007
混成(25時間)
【0051】
上記の記述は、当業者が本発明を実施できることを目的としている。当業者が記述を読んで明らかになる改変および変化のすべてを詳述することを目的としていない。しかし、このような改変および変化のすべてが、上述の記述から分かりそしてさもなければ請求の範囲により規定されている本発明の請求の範囲内に含まれることを目的としている。請求の範囲は、文脈が特に反対のことを指示していない限り、本発明において目的としている目標に合致するのに有効な任意の配置または順序で指示された要素および段階をカバーすることを意味する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料中2−15ppmの全金属濃度で白金並びにセリウムおよび/または鉄を含む燃料親和性触媒をディーゼル燃料に添加し、そして燃焼により生成される排気を、その上に貴金属触媒を有する基体をもつディーゼル微粒子フィルターに通過させることからなり、該触媒は基体の1立方フィート(約0.028m)あたり15gより少ない量で基体上に存在することを特徴とする排気の全窒素酸化物の%としてNOの排出物もコントロールしつつディーゼルエンジンからの微粒子排出物を減少させる方法。
【請求項2】
ディーゼル微粒子フィルターが、1立方フィート(約0.028m)あたり約10gより少ない触媒金属の装入を有する請求項1のディーゼル排出物コントロールシステム。
【請求項3】
燃料が、燃料中に約0.05−約0.5ppmの白金をもたらす燃料可溶性白金化合物を含む請求項1のディーゼル排出物コントロールシステム。
【請求項4】
ディーゼル微粒子フィルターが、1立方フィート(約0.028m)あたり約3−5gの触媒金属の装入を有する請求項1のディーゼル排出物コントロールシステム。
【請求項5】
NOの排出物を排気の窒素酸化物種の37%より低くコントロールしつつ、そして燃料中で15ppmより少ない全金属濃度で白金および/またはセリウムおよび/または鉄を含むFBCとともに使用されたとき、ディーゼルエンジンの排気中に設置された基体の1立方フィート(約0.028m)あたり15gより少ないように貴金属触媒例えば白金族金属の装入を最小にしつつ、微粒子排出物を30%より多く減少させることを特徴とするシステム。
【請求項6】
白金、セリウムまたは鉄を含有するFBCを含むディーゼル燃料供給手段、および軽度に触媒化された排気処理装置を含むことを特徴とする改良されたディーゼル排出物コントロールシステム。
【請求項7】
後処理装置が、白金により軽度に触媒化されそして1立方フィート(約0.028m)あたり約10gより少ない金属装入を有する請求項1のディーゼル排出物コントロールシステム。
【請求項8】
FBCが、白金、鉄、セリウム、または白金および鉄の組み合わせ、または白金およびセリウムの組み合わせおよび/またはセリウムおよび鉄の組み合わせを含む請求項1のディーゼル排出物コントロールシステム。
【請求項9】
FBCが、燃料中に約0.01−約1.0ppmの白金をもたらす燃料可溶性白金化合物を含む請求項1のディーゼル排出物コントロールシステム。
【請求項10】
後処理装置が、DPFおよび/またはDOCを含み、そして1立方フィート(約0.028m)あたり約3−5gの金属装入を有する請求項1のディーゼル排出物コントロールシステム。
【請求項11】
後処理装置が、触媒化ワイヤメッシュフィルターを含み、そして1立方フィート(約0.028m)あたり7−14gの貴金属装入を有する請求項1のディーゼル排出物コントロールシステム。
【請求項12】
ディーゼルエンジンの排気システムに軽度の触媒化ワイヤメッシュフィルターを用意し、そして15ppmより少なくそして好ましくは4−8ppmの全燃料親和性触媒レベルで、セリウムおよび/または鉄と組み合わされた白金を含む低使用割合の燃料親和性触媒を含むディーゼル燃料を備えたディーゼルエンジンを操業することからなることを特徴とする強力なディーゼル微粒子コントロールシステム。
【請求項13】
NO排出物の実質的な増加なしに少なくとも60%の微粒子減少をもたらす請求項12のディーゼル微粒子コントロールシステム。

【公表番号】特表2008−526508(P2008−526508A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552246(P2007−552246)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/001812
【国際公開番号】WO2006/078761
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(501056142)クリーン ディーゼル テクノロジーズ インコーポレーテッド (7)
【Fターム(参考)】