説明

多方向スイッチ

【課題】キートップ及び磁石の可動範囲が十分に確保されながら、磁気センサ素子の摺動による損傷が防止され、かつ、部品の実装効率が向上されて、小型化、薄型化が可能となされた多方向スイッチを提供する。
【解決手段】配線付き基材3aに設置された磁気センサ素子9と配線付き基材3a上を移動可能に支持されキートップ18に取付けられた磁石17とを備えた多方向スイッチにおいて、磁気センサ素子9を、配線付き基材3a内に内包されていることとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気センサ素子と磁石とを備えた多方向スイッチに関し、特に、小型化、薄品化、実装効率の向上を図った多方向スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、種々の電子機器における操作方法や入力方法は、電子機器が対応するアプリケーションの多様化に伴って多様化している。そのため、電子機器における操作デバイス、または、入力デバイスとして、傾倒や水平移動などが可能となされキートップ(操作子)の位置の座標を検出し、これを座標入力信号として利用する多方向スイッチ(例えば、十字スイッチ)が提案されている。
【0003】
そして、このような多方向スイッチとしては、磁石と磁気センサ素子とを備えた磁気検出方式のものが提案されている。このような多方向スイッチは、磁石の傾倒や水平移動などによる磁束密度の変化を磁気センサ素子によって検出し、この検出結果から磁石の位置の座標を検出し、これを座標入力信号として利用するものである。
【0004】
多方向スイッチとしては、他にも、光学式、感圧式、可変抵抗式などのものが提案されているが、磁気検出方式のものは、小型化が容易であり、かつ、無接点で汚れにも強く長寿命であるという特徴を有しているため、特に、携帯型の小型電子機器等において多く用いられている。
【0005】
図3は、従来の磁気検出方式の多方向スイッチの構成を示す平面図であり、図4は、従来の磁気検出方式の多方向スイッチの構成を示す断面図である。
【0006】
従来の多方向スイッチは、図3及び図4に示すように、プリント基板101上に実装されたホール素子などの磁気センサ素子102と、キートップ103と、このキートップ103に取付けられた磁石104とを有して構成されている。キートップ103は、プリント基板101上に配置されたベースシート105によって移動可能に支持されており、プリント基板101を収納している電子機器の筐体106に設けられた透孔107を介して、筐体106の外方側に露出している。ベースシート105は、シリコーンゴム等の弾性材料によって形成されている。キートップ103に取付けられた磁石104は、磁気センサ素子102に対向している。
【0007】
図5は、従来の磁気検出方式の多方向スイッチの操作中の状態を示す断面図である。
【0008】
この多方向スイッチにおいては、図5に示すように、キートップ103がプリント基板101に沿う面内で移動操作されると、ベースシート105が弾性変形され、また、磁石104がキートップ103とともに移動される。磁石104が移動することにより、磁気センサ素子102における磁束密度が変化し、磁気センサ素子102の出力が変化する。磁気センサ素子102の出力変化は、プリント基板101上に形成された配線を通して、このプリント基板101上に接続されている図示しないコントロールICに入力される。コントロールICは、磁気センサ素子102の出力を処理することにより、キートップ103に対する操作を電気信号に変換する。
【0009】
このような多方向スイッチにおいては、特許文献1及び特許文献2に記載されているように、多方向スイッチを構成する他の部品と磁気センサ素子102との接触干渉を避けるために、磁気センサ素子102は、プリント基板101の表面、または、裏面に実装されている。
【0010】
【特許文献1】特開2005−347042公報
【特許文献2】特開2000−235822公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、前述のような磁気検出方式の多方向スイッチにおいては、キートップ103を移動操作したときに、ベースシート105が磁気センサ素子102に摺動することによって、磁気センサ素子102が損傷を被る虞れがある。このような磁気センサ素子102の損傷を防止するためには、キートップ103及びベースシート105の可動範囲を確保して部品同士の干渉を防止する必要があり、磁気センサ素子102をプリント基板101の表面に実装する場合においては、多方向スイッチを薄型化することは困難である。
【0012】
多方向スイッチを薄型化するには、磁気センサ素子102と磁石104とを同一平面上に配置する構成が考えられるが、このような構成では、部品同士の干渉を防ぎながらキートップ103及びベースシート105可動範囲を確保することが困難であり、多方向スイッチの面積を大きくしなければならない。
【0013】
磁気センサ素子102をプリント基板101の裏面に実装する場合においては、磁石104の可動範囲内においてはプリント基板101の表面に他の部品を実装することができず、また、プリント基板101の裏面に磁気センサ素子102の実装スペースを確保する必要があるため、全体として部品の実装効率が悪くなるという問題がある。
【0014】
そこで、本発明は、前述の実情に鑑みて提案されるものであり、その目的は、キートップ及び磁石の可動範囲が十分に確保されながら、磁気センサ素子の摺動による損傷が防止され、かつ、部品の実装効率が向上されて、小型化、薄型化が可能となされた多方向スイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、以下の構成のいずれか一を有することにより、キートップ及び磁石の可動範囲が十分に確保されつつ、磁気センサ素子の摺動による損傷が防止され、かつ、部品の実装効率が向上し、小型化、薄型化が可能である多方向スイッチを提供することができるものである。
【0016】
〔構成1〕
本発明に係る多方向スイッチは、配線付き基材に設置された磁気センサ素子と配線付き基材上を移動可能に支持されキートップに取付けられた磁石とを備えた多方向スイッチであって、磁気センサ素子は、配線付き基材内に内包されていることを特徴とするものである。
【0017】
〔構成2〕
本発明に係る多方向スイッチは、構成1を有する多方向スイッチにおいて、配線付き基材は、絶縁基材とこの絶縁基材の一方の面に形成された導電層とこの導電層から絶縁基材の他方の面に至る貫通電極とを有し、磁気センサ素子は、貫通電極を介して導電層に接続されるとともに、少なくとも一部が絶縁基材内に埋め込まれていることを特徴とするものである。
【0018】
〔構成3〕
本発明に係る多方向スイッチは、構成1、または、構成2を有する多方向スイッチにおいて、磁気センサ素子の絶縁基材の他方の面側には、放熱板が配置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
構成1を有する本発明に係る多方向スイッチにおいては、磁気センサ素子が配線付き基材内に内包されているので、キートップ及び磁石の可動範囲を十分に確保しても、磁気センサ素子の摺動による損傷が防止され、かつ、部品の実装効率が向上され、小型化、薄型化が可能となる。
【0020】
構成2を有する本発明に係る多方向スイッチにおいては、配線付き基材は、絶縁基材とこの絶縁基材の一方の面に形成された導電層とこの導電層から絶縁基材の他方の面に至る貫通電極とを有し、磁気センサ素子は、貫通電極を介して導電層に接続されるとともに、少なくとも一部が絶縁基材内に埋め込まれているので、キートップ及び磁石の可動範囲を十分に確保しても、磁気センサ素子の摺動による損傷が防止され、かつ、部品の実装効率が向上され、小型化、薄型化が可能となる。
【0021】
構成3を有する本発明に係る多方向スイッチにおいては、磁気センサ素子の絶縁基材の他方の面側に、放熱板が配置されているので、磁気センサ素子が発する熱を効率良く外方に放出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0023】
本発明に係る多方向スイッチは、いわゆる「ウエハレベルCSP(WL−CSP)技術」により、再配線層の一部が形成された磁気センサ素子上に、予め個別に作成された配線付き基材を積層して一括で多層化することにより、素子部及び回路部が形成されてなるものである。
【0024】
「WL−CSP技術」は、高信頼性を維持しつつ、かつ、低コストで、薄型化、小型化及び軽量化を可能とする電子素子の実装技術であり、製造工程中にシリコンウエハをチップ切断することなく、ウエハのままで、絶縁樹脂層、再配線層、ポスト構造、封止樹脂層、はんだバンブ等を形成し、一括してパッケージングまでを行い、最終工程においてウエハのダイシングを行うものである。この「WL−CSP技術」においては、切断した半導体チップの大きさがそのままパッケージの大きさとなり、実装基板に対して最小の投影面積を有する半導体パッケージを得ることができる。
【0025】
図1は、本発明に係る多方向スイッチの製造工程(前半の工程)を示す断面図である。
【0026】
図2は、本発明に係る多方向スイッチの製造工程(後半の工程)を示す断面図である。
【0027】
本発明に係る多方向スイッチにおいては、図2中の(i)に示すように、再配線層9aを有するICチップとして構成された磁気センサ素子9の層間導通用パッドと、配線付き基材3aの導電層2とは、導電性ペーストからなる貫通電極8によって接続されており、この磁気センサ素子9は、配線付き基材3aの接着材に埋め込まれ、この状態で封止されている。以下、図1及び図2を用いて、本発明に係る多方向スイッチの製造工程を説明する。
【0028】
〔1〕
まず、図1中の(a)に示すように、絶縁基材1の片面に導電層2が設けてある片面銅張板(以下、CCL(Copper Clad Laminate)という。)3を用意し、導電層2上に、フォトリソグラフィによりエッチングレジストを形成する。
【0029】
このCCL3としては、例えば、絶縁基材1となる25μm厚のポリイミド樹脂フィルムに導電層2となる12μm厚の銅箔が張り合わされているものを使用することができる。なお、このCCL3としては、銅箔にポイリミドワニスを塗布してワニスを硬化させた、いわゆるキャスティング法により作成されたCCLを使用することもできるし、他にも、ポリイミドフィルム上にシード層をスパッタし、めっきにより銅を成長させたCCLや、圧延や電解銅箔とポリイミドフィルムとを接着剤によって貼りあわせたものなども使用することができる。また、絶縁基材1は、必ずしもポリイミド樹脂フィルムである必要はなく、液晶ポリマなどのプラスチックフィルムとしてもよい。
【0030】
そして、図1中の(b)に示すように、導電層2に対して、塩化第二鉄を主成分とするエッチャントを用いた化学エッチングを行い、磁気センサ素子コントロールICを接続する回路パターンを形成し、配線付き基材3aとする。なお、銅のエッチャントは、塩化第二鉄を主成分とするものに限られず、塩化第二銅を主成分とするエッチャントを用いてもよい。
【0031】
〔2〕
次に、図1中の(c)に示すように、〔1〕の工程で回路パターンを作成した配線付き基材3aの、導電層2が形成された面の反対側の面に、接着材4及び樹脂フィルム5を加熱圧着により貼りあわせる。
【0032】
接着材4としては、25μm厚のエポキシ系熱硬化性フィルム接着材を使用し、樹脂フィルム5としては、25μm厚のポリイミドフィルムを使用することができる。加熱圧着としては、真空ラミネータを用い、減圧下の雰囲気中にて、接着材の硬化温度以下の温度で、0.3MPaの圧力でプレスして貼りあわせることが好ましい。
【0033】
なお、接着材4としては、エポキシ系の熱硬化性フィルム接着材に限定されることはなく、アクリル系などの接着材も使用できるし、熱可塑性ポリイミドなどに代表される、熱可塑性接着材であうてもよい。また、接着材4は、必ずしもフィルム状である必要はなく、ワニス状の樹脂を塗布してもよい。また、樹脂フィルム5としては、ポリイミドフィルムの他に、PET(ポリエチレンテレフタレート:poly ethylene terephthalate)やPEN(ポリエチレンナフタレート:poly ethylene naphthalate)などのプラスチックフィルムを使用することも可能であり、紫外線(UV)照射によって接着や剥離が可能なフィルムを使用することもできる。
【0034】
〔3〕
次に、図1中の(d)に示すように、前述の絶縁基材1、接着材4及び樹脂フィルム5に、YAGレーザを用いて、直径100μmのビアホール6を成形するとともに、導電層2には、直径30μm程度の小孔7を開ロする。そして、CF及びO混合ガスによるプラズマデスミア処理を施した後に、図1中の(e)に示すように、スクリーン印刷法により、ビアホール6及び小孔7に導電性ペーストを充填して貫通電極8とし、樹脂フィルム5を剥離する。このとき、印刷充填した導電性ペーストからなる貫通電極8の先端は、剥離した樹脂フィルム5の厚さ分だけ、接着材4の表面より突出し、突起を形成している。
【0035】
なお、ビアホール6及び小孔7の形成のために使用するレーザは、YAGレーザの他に、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザなどを使用することもできる。また、ドリル加工や化学的なエッチングによって、ビアホール6及び小孔7を形成してもよい。プラズマデスミア処理は、使用するガスの種類が、CF及びOの混合ガスに限定されることはなく、Arなど、その他の不活性ガスを使用することもできる。また、ドライ処理ではなく、薬液を用いたウェットデスミア処理でもよい。貫通電極8をなす導電性ペーストは、本実施の形態では、ニッケル、銀、銅から選択される少なくとも1種類の低電気抵抗の金属粒子と、錫、ビスマス、インジウム、鉛から選択される少なくとも1種類の低融点金属粒子とを含み、エポキシ樹脂を主成分とするパインダ成分を混合したペーストを用いた。
【0036】
〔4〕
図1中の(f)に示すように、〔3〕の工程を経た配線付き基材3aに対し、ICチップとして形成された磁気センサ素子9を、半導体チップ用マウンタによって位置合わせし、接着材4及び貫通電極(導電性ペースト)8の硬化温度以下で加熱して、仮留めを行う。この磁気センサ素子9は、「WLPプロセス」で加工されたものであり、プロービング検査等により動作確保のされたものである。
【0037】
〔5〕
次に、図2中の(g)に示すように、〔4〕の工程を経た回路付基材3aの導電層2が形成された側(回路面)に、前述の〔1〕乃至〔3〕の工程と同様に作成した絶縁基材及び接着材からなる基材10を、図示しないパターンを用いて位置合わせする。また、導電層2が形成された側の反対の面には、40μm厚の樹脂フィルム11の片面に25μm厚の接着材12が張り合わされたスペーサ13を配置し、さらに、磁気センサ素子9の下層には、放熱板となる100μm厚の銅箔14を配置して積層させる。
【0038】
スペーサ13において、積層したときに磁気センサ素子9と重なる部位は、予め、磁気センサ素子9の面積よりもやや大きな開口15が形成してある。なお、スペーサ13の材料は、樹脂フィルムにおいては〔1〕の工程で作成した回路付基材3aの絶縁基材1と同じ樹脂を使用することが望ましいが、他の樹脂や金属などを使用してもよい。接着材12は、〔2〕の工程で作成した回路付基材3aの接着材4と同じ材料を使用することが望ましいが、他の材料を使用することも可能である。なお、磁気センサ素子9のチップサイズに対して基板上の配線をそれほど広げない場合には、このスペーサ13は不要である。
【0039】
銅箔14は、銅箔に限定されることはなく、他の金属板や樹脂板に代えてもよいが、磁気センサ素子9(ICチップ)の主構成物であるシリコンと膨張係数が近く、放熱特性に優れる物質であることが望ましく、例えば、モリブデンや、インバー合金を銅によって両側から挟み込んだ金属板などを使用することもできる。
【0040】
〔6〕
そして、図2中の(h)に示すように、〔5〕の工程で作成した積層体を、真空キュアプレス機を用いて、1kPa以下の減圧雰囲気中で加熱圧着し、一括で多層化する。このとき、基材10及び回路付基材3aの接着材4の硬化(絶縁基材同士の接着及び絶縁基材と磁気センサ素子9との接着)と同時に、貫通電極8をなす導電性ペーストの硬化及び合金化が行われる。なお、ここで「硬化」とは、熱硬化(架橋反応)のみならず、加熱により軟化した材料が冷えて硬化する場合も含んでいる。
【0041】
基材10及び回路付基材3aの接着材4は、加熱圧着時にフローして、磁気センサ素子9と絶縁基材、銅箔14、または、スペーサ13との間に生じた隙間を充填する。これにより、磁気センサ素子9は、配線基板3a内に固着・封入される。また、磁気センサ素子9に接触する接着材の適度な弾性により、磁気センサ素子9に対して周囲の材料から及ぼされる熱応力などを緩和する作用が生じる。
【0042】
ここで、再配線層の一部となる配線付き基材3aとして、予め回路形成がなされた片面CCLを用い、また、層間接続に印刷充填した導電性ペーストによる貫通電極8を使用することにより、全ての工程においてめっき工程を排除することができ、従来のピルドアップ方式に比べて、生産時間を大幅に短縮することができる。さらに、各層を構成する基材は、予め作成されているため、各工程で発生する不良品をその都度排除することができ、歩留まりの累積を避けることが可能となる。層間接続用の導電性ペーストには、例えば、特開2000−49460公報に記載されているように、層間接着材の硬化温度程度の低温で合金化する組成のものを適用することで、導電性ペースト内の金属粒子同士、また、銅の接続パッドと導電性ペースト内の金属粒子とが拡散接合し、バルクの金属やめっきによる層間接続と同等の接続信頼性を確保することができる。
【0043】
〔7〕
以上の工程により、図2中の(i)に示すように、多方向スイッチの素子部(磁気センサ素子9)及び回路部(コントロールIC)を構成する多層板が得られる。この多層板上に、べースシート16、磁石17、キートップ18等必要な部品を積層して配置することにより、多方向スイッチが構成される。
【0044】
すなわち、キートップ18は、多層板上に配置されたベースシート16によって移動可能に支持され、多層板を収納している電子機器の筐体19に設けられた透孔20を介して、筐体19の外方側に露出する。ベースシート16は、シリコーンゴム等の弾性材料によって形成されている。磁石17は、キートップ18に取付けられ、磁気センサ素子9に対向する。
【0045】
この多方向スイッチにおいては、キートップ18が多層板に沿う面内で移動操作されると、ベースシート16が弾性変形され、また、磁石17がキートップ18とともに移動される。磁石17が移動することにより、磁気センサ素子9における磁束密度が変化し、磁気センサ素子9の出力が変化する。磁気センサ素子9の出力変化は、多層板に形成された回路パターン(導電層2)を通して、この回路パターンに接続されている図示しないコントロールICに入力される。コントロールICは、磁気センサ素子9の出力を処理することにより、キートップ18に対する操作を電気信号に変換する。なお、コントロールICは、多方向スイッチと離れた箇所において半田バンプを通して回路パターンに接続されており、磁気センサ素子9の出力を処理する。
【0046】
多方向スイッチを形成しない領域には、半田バンプを通して、他の電子部品を実装することができ、多方向スイッチ機能を有しながら、高密度実装を実現した多層配線板を構成することができる。
【0047】
〔他の実施の形態〕
本発明に係る多方向スイッチにおいては、磁気センサ素子9のみならず、コントロールICをも絶縁基材に埋め込むようにしてもよい。この場合には、多層板上にコントロールICを実装する必要がなくなり、多層板ヘの実装効率を高めることが可能となる。
【0048】
また、磁気センサ素子9は、コントロールICが形成された半導体基板上に形成することも可能である。この場合には、磁気センサ素子9とコントロールICとが1チップ化され、このチップを絶縁基材に埋め込むことにより、磁気センサ素子とコントロールICとが多層板内に配置されることになり、実装効率を高めるとともに、製造作業の簡略化を図ることが可能となる。半導体基板上に形成する磁気センサ素子は、素子自体の厚さがμmオーダー以下である薄膜素子、例えばMR素子が好ましい。この場合には、多層板内に埋め込む部品の厚さを抑えることが可能となる。
【0049】
さらに、多層板への実装面は、一方の面に限定されるものではなく、例えば、多層板を両面板として構成すれば、両面実装が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る多方向スイッチの製造工程(前半の工程)を示す断面図である。
【図2】本発明に係る多方向スイッチの製造工程(後半の工程)を示す断面図である。
【図3】従来の磁気検出方式の多方向スイッチの構成を示す平面図である。
【図4】従来の磁気検出方式の多方向スイッチの構成を示す断面図である。
【図5】従来の磁気検出方式の多方向スイッチの操作中の状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 絶縁基材
2 導電層
3 配線付き基材
4 接着材
8 貫通電極
9 磁気センサ素子
10 基材
13 スペーサ
14 銅箔
16 べースシート
17 磁石
18 キートップ
19 筐体
20 透孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線付き基材に設置された磁気センサ素子と、前記配線付き基材上を移動可能に支持されキートップに取付けられた磁石とを備えた多方向スイッチであって、
前記磁気センサ素子は、前記配線付き基材内に内包されている
ことを特徴とする多方向スイッチ。
【請求項2】
前記配線付き基材は、絶縁基材と、この絶縁基材の一方の面に形成された導電層と、この導電層から前記絶縁基材の他方の面に至る貫通電極とを有し、
前記磁気センサ素子は、前記貫通電極を介して前記導電層に接続されるとともに、少なくとも一部が前記絶縁基材内に埋め込まれている
ことを特徴とする請求項1記載の多方向スイッチ。
【請求項3】
前記磁気センサ素子の前記絶縁基材の他方の面側には、放熱板が配置されている
ことを特徴とする請求項1、または、請求項2記載の多方向スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−10208(P2008−10208A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−177161(P2006−177161)
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】