説明

多核細胞分類および微小核点数化

細胞含有試料における細胞について核を計数するための方法およびシステムが開示される。該方法は:細胞含有試料の原画像を受信する工程;原画像を1つ以上の核クラスターを含むセグメント画像に変換する工程を含む。該方法は:1つ以上の核クラスターごとに、核クラスターの凸包を得る工程;核クラスターを核クラスターの凸包と比較することにより核クラスター上のどんな欠刻でも位置を突き止める工程;欠刻の集計に基づいて第一の核計数を計算する工程;核クラスターを複数の細胞のうちの細胞に割り当てる工程をさらに含む。該方法は:細胞ごとに、それを構成する核クラスターの第一の核計数を総計することにより第二の核計数を計算すること;複数の細胞のうちの少なくとも1つの第二の核計数に基づく結果を提示することをさらに含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載される技術は、一般にコンピュータ実装画像処理に関する。当該技術は、より具体的には、多核細胞分類および微小核点数化のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環境毒素および薬物は、生細胞に染色体異常誘発効果をおよぼす、すなわち、細胞染色体に顕微鏡的に見える損傷または変化を与え細胞周期が遅延することが多い。細胞染色体に対する損傷には、染色体における切断および再編成、ならびに染色体数の変化が挙げられる。毒素または薬物の染色体異常誘発効果により、毒素または薬物に曝露される生細胞では微小核が形成され多核が存在することがある。したがって、微小核の形成および多核細胞の存在は、ある種の環境毒素に対する遺伝毒性の指標としておよび新薬の開発サイクル中の薬物候補の評価のために使用することが可能である。
【0003】
薬物または環境毒素の染色体異常誘発効果の評価は、通常ある種の微小核アッセイにより実現される。微小核アッセイは、培養細胞が微小核の形成を誘導するように処理され、次に微小核誘導の程度について解析され点数化される一連の遺伝毒性学アッセイの1つである。微小核アッセイ中は、切断されたまたは脱離した染色体は紡錘体から分離され、細胞が有糸分裂を受けた後、その断片は細胞質中に捕捉されて微小核を形成する。次に、微小核アッセイにおける微小核形成の頻度を測定し、これを使用して遺伝毒性を決定することが可能である。さらに、単核細胞に対する多核細胞の比は、細胞毒性の初期指標となる細胞周期遅延の情報を提供する。
【0004】
例となる微小核アッセイは、培養ヒトおよび/または哺乳動物細胞において微小核誘導を測定するための細胞質分裂遮断微小核(CBMN)アッセイである。CBMNアッセイ中、細胞培養物は試験物質に曝露され;試験物質への曝露後、細胞質分裂を遮断するためのサイトカラシンBが添加され;次に細胞培養物は染色体損傷を与えて二核または多核間期細胞において微小核を形成させるのに十分な期間培養され、その後細胞は回収され微小核検出および点数化が可能になるよう染色される。
【0005】
微小核アッセイは、多ウェルプレートにおいて実施することが可能である。そのようなアッセイ中、様々なフルオロフォアまたは蛍光染色がプレート上のウェルにおいて培養細胞に適用される。通常、培養細胞の細胞核と細胞質には異なる染色剤が適用される。核染色および細胞質染色は、励起と発光フィルターの異なる組合せを使用して選択的に励起され、染色された細胞核と細胞質の別々の蛍光画像が得られる。微小核アッセイにおける細胞、核および微小核の同定および計数は、技術者により手動で、または蛍光画像に基づく画像処理システムもしくはソフトウェアモジュールにより行うことが可能である。細胞境界の正確な検出ならびに核および微小核のそのそれぞれの細胞への正確な割り当ては、アッセイにおいて起こった微小核誘導を点数化するのに極めて重要である。
【0006】
図1A〜1Cは、細胞質マーカーおよび核マーカーを用いて染色された細胞試料の蛍光画像の例である。2チャネル蛍光画像化システムでは、細胞に付着された細胞質マーカーおよび核マーカーは、2つの異なる周波数の光により選択的に励起され、その蛍光発光は、細胞質画像(図1Aに示されている)および核画像(図1Bに示されている)に別々に捕捉される。完全な細胞画像は2つの画像を1つに重ね合わせることにより得られる(図1Cに示されている)。この例では、細胞質画像は細胞の境界を示し(すなわち、図1Aでは赤線で示されている)、細胞あたりの核の数を計算するために処理することが可能である。
【0007】
微小核点数化のための最近の技法は、細胞境界を検出し核および微小核をそのそれぞれの細胞に割り当てるために細胞質と核の両方の画像を必要とする。基本的に、主に細胞は核よりも著しく大きく、したがって細胞境界検出のための正確な要件を満たすのはそれだけ容易であるという理由で、核および微小核は細胞境界が存在する場所の計算に基づいてそのそれぞれの細胞に割り当てられる。したがって、細胞質と核物質両方の対照を改良する単一染色がなければ、別々の染色を使用して、核の位置を強調するために使用される染色からの細胞質の画像化を促進しなければならない。そのような技法は、試料を二度染色し画像化しなければならないために、時間がかかり、数人の訓練された人材を必要とすることが多く、彼らの決定は主観的になることがある。特に、個別の細胞質画像化の必要性は、試料調製および画像処理にかなりの量の時間と経費を導入する。
【0008】
さらに、細胞境界検出の正確さは細胞試料の培養密度状態により顕著な影響を受ける。高培養密度であれば細胞境界分割は非常に困難になり、これらの技法の正確さは減少する。図2は、高培養密度状態の細胞試料の例となる蛍光画像を示している。細胞の間隔がより密になっているために、細胞への核の適切な割り当てには細胞境界検出のより高度な正確さが必要になる。同時に、細胞質画像に基づく細胞境界検出はそのような高培養密度に比例して一層困難になる。
【0009】
したがって、微小核形成および多核細胞の存在の同定および定量化のための高速、正確、客観的、自動化、費用効果的方法および/またはシステムの必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本技術は、記載される細胞含有試料における複数の細胞の核を計数するためのコンピュータ実装法を含む。該方法は、細胞含有試料の原画像を受信する工程;原画像を対照的背景上で1つ以上の核クラスターを含むセグメント画像に変換する工程;1つ以上の核クラスターごとに核クラスターの凸包を得る工程;核クラスターと核クラスターの凸包を比較する工程によりどんな欠刻も核クラスター上に位置を突き止める工程;欠刻の集計に基づいて第一の核計数を計算する工程;および核クラスターを複数の細胞のうちの細胞に割り当てる工程;複数の細胞の細胞ごとに、それを構成する核クラスターの第一の核計数を総計する工程により第二の核計数を計算する工程;および複数の細胞のうちの少なくとも1つの第二の核計数に基づく結果を使用者に提示する工程を含む。
【0011】
該方法は、1つ以上の欠刻のそれぞれのサイズを増強させ、核クラスターをその欠刻で2つ以上の核に分割する工程を含む、1つ以上の欠刻を有する核クラスターをそれを構成する核に分割するためのステップを含む工程が可能である。
【0012】
該方法は、原画像における微小核についての推定サイズ、最小強度、および主要核からの距離範囲を指定する1つ以上の微小核パラメータを受信する工程;原画像を1つ以上の微小核パラメータに基づいて1つ以上の非付着微小核を含む第二の画像に変換する工程;原画像を、1つ以上の核クラスターを含む第三のセグメント画像に、1つ以上の微小核パラメータに基づいて、第三のセグメント画像が1つ以上の核クラスターにおいて付着微小核を含むのに十分な解像度を有するように、変換する工程;第三のセグメント画像における1つ以上の核クラスターにおいてどんな付着微小核でも検出する工程;非付着および付着微小核のそれぞれを、複数の細胞のうちの細胞に割り当てる工程;ならびに細胞に割り当てられる非付着および付着微小核を集計する工程により複数の細胞ごとに微小核計数を計算する工程を含む、細胞含有試料において細胞の微小核を計数するためのステップをさらに含む工程が可能である。
【0013】
細胞含有試料において細胞核を計数するための方法が開示される。該方法は、核染色を細胞含有試料に適用する工程;染色を適用後、細胞含有試料の画像を記録する工程;画像において核の1つ以上のクラスターの凸包を得る工程;凸包が得られる1つ以上のクラスターごとに、クラスターにおける核の数を確認する工程;およびクラスターを細胞に割り当てる工程を含む。該方法は、試料において細胞中に存在する核の数を提示する工程をさらに含む。
【0014】
細胞含有試料において細胞核を計数するための方法が開示される。該方法は、核染色を細胞含有試料に適用する工程;蛍光画像化装置の単一チャネルを使用して細胞含有試料の画像を得る工程;および細胞含有試料における細胞の細胞質をマークする第二の染色を適用することなく、細胞含有試料の画像を解析して画像における細胞核の数の計数を得る工程を含む。
【0015】
該方法は、核、微小核の数、および微小核を含有する細胞の割合、微小核形成の頻度、ならびに単核細胞に対する多核細胞の比を報告する工程が可能である。
【0016】
本明細書に記載される方法のうちの任意の方法を実装するシステムも開示される。
【0017】
本明細書に記載される方法のうちの任意の方法の特定のステップまたはすべてのステップを実施するための命令がコード化されたコンピュータ可読媒体も開示される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1A〜1Cは、2つの染色を使用して得られた細胞含有試料の例となる蛍光画像を示す図である。
【図2】図2は、高培養密度を有する細胞含有試料の例となる蛍光画像を示す図である。
【図3】図3は、試料が多核細胞を含有している、核マーカーで染色された細胞含有試料の例となる蛍光画像を示す図である。
【図4】図4は、試料が微小核細胞を含有している、核マーカーで染色された細胞含有試料の例となる蛍光画像を示す図である。
【図5】図5A〜5Eは、細胞含有試料の核画像に基づいて細胞含有試料の中の細胞について核を同定し、グループ化し、計数するための例となるプロセスを示す図である。
【図6】図6A〜6Dは、核クラスター上の欠刻を増強することにより核クラスターをそれを構成する核に分割するための例となるプロセスを示す図である。
【図7】図7は、細胞含有試料の細胞中の付着および非付着微小核を示す例となる細胞マップを示す図である。
【図8】図8は、凸包法を使用して細胞含有試料中の細胞の核を計数するための例となるプロセスの流れ図である。
【図9】図9は、細胞含有試料中の細胞について微小核を計数するための例となるプロセスの流れ図である。
【図10】図10は、細胞含有試料の核画像に基づく核計数のための凸包法を利用するための例となるプロセスの流れ図である。
【図11】図11は、本明細書に記載される方法を実施するのに適した例となる蛍光画像化システムの模式図である。
【図12】図12は、本明細書の他の場所に記載されている方法を使用する核および微小核計数のための核および微小核パラメータを入力するためのソフトウェアプログラムの例となるユーザーインターフェイスを示す図である。
【図13】図13は、本明細書の他の場所に記載されている方法を使用する核および微小核計数のために構成されるソフトウェアプログラムからの例となる出力画像を示す図である。
【図14】図14は、本明細書の他の場所に記載されている方法を使用する核および微小核計数のための例となる画像を示す図である。
【図15】図15は、本明細書の他の場所に記載されている方法を使用する核および微小核計数のための例となる画像を示す図である。
【図16】図16は、本明細書の他の場所に記載されている方法を使用する核および微小核計数のために構成されるソフトウェアプログラムからの別の例となる出力を示す図である。
【図17】図17は、本明細書の他の場所に記載されている方法を実装し実施するために使用することができるコンピュータシステムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
概要
本明細書に開示される方法を実装する方法、システム、およびコンピュータ可読媒体は、微小核誘導のための細胞の集団および/または多核細胞の存在を定量的に解析するのに必要な時間を減少させる。ある種の実施形態では、細胞核の画像のみが必要である。そのような実施形態では、細胞質染色、画像化、および細胞質の画像の処理は、核および微小核を細胞に割り当てるのに必要ではない。
【0020】
本明細書に記載される方法は自動化することが可能であり、画像解釈および核計数における主観性を減少させるのにも寄与することが可能である。該方法は、複数の試料が同時に画像化される場合などの、プレート中の複数の曝露されたウェルを同時に評価するのに適応可能である。たとえば、細胞の集団に対する単一化合物の効果を手動で評価するのは、現在当業者に公知の方法を使用して1〜2週間かかることがあるが、本明細書に記載される方法であれば数時間で96ウェルプレート全体についての結果を出すことが可能である。したがって、本明細書に記載される方法は、試験される化合物あたりの処理量および費用の著しい改良を提供して、遺伝毒性および細胞毒性試験を創薬過程のもっと早期の段階で実行可能にすることができ、それによって見込みがない薬物候補をもっと迅速に取り除くことにより時間と費用が節約される。
【0021】
本開示は、染色細胞の蛍光画像などの、細胞の画像において細胞、細胞あたりの核、および細胞あたりの微小核の数を同定し計数するための画像処理法を記載する。該方法は、細胞含有試料が核マーカーのみで染色されている適用に特に適している。そのような実施形態では、細胞質マーカーは核および微小核の同定および計数に必要ではなく、そのために細胞質染色および細胞質画像処理に伴う相当量の時間および費用が節約される。本開示に記載される方法を使用すれば、蛍光画像における核および微小核の細胞への割り当ては細胞質マーカーを使用せずに実現することが可能である。それにより、細胞境界情報は、細胞質画像なしで核画像のみから推定することができる。したがって、そのような方法では、細胞境界同定の正確さは、細胞培養密度状態により悪影響を受けることがない。
【0022】
画像中の細胞は、各細胞内の細胞核の数に基づいて、単核、二核、または多核として分類することが可能である。さらに、蛍光画像における細胞中の微小核の発生頻度を、各細胞内の微小核の数に基づいて決定することが可能である。微小核に対する単核の比などの他の測定値も得ることが可能である。同じ方法を拡張して、たとえば、計数目的で、核画像における核クラスターを個々の核に分割することが可能である。
細胞中の主要核の同定および計数
図3は、核マーカーを用いて染色された細胞試料の例となる画像を示している。図3では、核クラスターの像が暗/対照的背景の上に見える。各核クラスターは、単一核、一対の接触核または2つを超える接触核を含有することができる。たとえば、図3では、3つの楕円によりマークされる3つの核クラスターはそれぞれが一対の接触核を含有していて、四角によりマークされる核クラスターは3つの接触核を含有しており、三角によりマークされる核クラスターは1つの核を含有している。これらの核クラスターはそれぞれがおそらく単一の細胞に属しており、他のすぐ近くの核クラスターから比較的大きく離れているせいで他の核クラスターとは細胞を共有していない。これとは対照的に、図3中3つの円によりマークされる三対の核クラスターでは、三対のそれぞれにおける各核クラスターは単一核のみを含有しており、三対の核クラスターのそれぞれの対は、互いに近接近しているせいでおそらく単一の共通の細胞を共有している。
【0023】
図4は、核マーカーを用いて染色された細胞試料の別の例となる画像である。図4では、核クラスターの像が暗/対照的背景の上に見える。各核クラスターは、図3において示されるクラスターと同様に、単一核、一対の接触核、または2つを超える接触核を含有することができる。しかし、正常な大きさの核(または本明細書に記載される主要核)を含有する核クラスターに加えて、この画像ではいくつかの微小核が暗/対照的背景の上に見える。微小核のいくつかは本明細書では「付着」微小核、すなわち、主要核に接触している微小核と呼ばれる。他の微小核は本明細書では「非付着」微小核、すなわち、どの主要核からも分離している微小核と呼ばれる。たとえば、図4では、2つの楕円に囲まれた2つの微小核は付着微小核であり、2つの四角に囲まれた3つの微小核は非付着微小核である。2つの付着微小核のそれぞれは、おそらく微小核が付着している核クラスターを含有するそれぞれの細胞に所属している。この例では、1つの付着微小核は画像の左下隅の三核細胞に所属しており、もう1つの付着微小核は画像の中央下の二核細胞に所属している。さらに、3つの非付着微小核のそれぞれは、おそらくその微小核がもっとも近接近している核クラスターに所属している。具体的には、1つの非付着微小核は、画像の左上隅の三核細胞に所属しており、他の2つの非付着微小核は画像の右上隅の三核細胞に所属している。「付着微小核」が真の「微小核」であるのか、または単に「ブレブ」であるのかに関して科学界には考えられる意見の不一致があるが、本開示においては「付着微小核」は微小核と見なされそう呼ばれる。使用者は、細胞中の微小核と主要核との間の最短距離を指定する適切な微小核パラメータを設定することにより、その解析においてこれらの「付着微小核」を検討の対象から除外することが可能である。
【0024】
人が画像中の細胞の数を手動で決定し、核クラスターおよび微小核を同定し、各核クラスターおよび微小核をそれに適した細胞に割り当て、そのような核画像に基づいて各細胞中の核および微小核の数を計数するのは比較的直観的ではあるが、手動による同定および計数は、特に何百ものまたは何千もの細胞が存在する場合には主観的で、退屈で、時間がかかることがある。したがって、薬物候補の効果を試験する時に典型的に行われるように、多数の細胞を含む試料または多数の細胞試料を手動で処理し、各試料中の微小核誘導を測定するのは非実用的である。
【0025】
本開示は、細胞核の画像から核クラスターを自動的に分割し、核クラスター周囲の欠刻の数および/または他の形状/サイズの要素に基づいて核クラスターが単一核、一対の接触核、または2つを超える接触核を含有するかどうかを決定する、コンピュータ実装法などの画像処理法を記載する。さらに、該方法は各核クラスターを細胞に割り当てる。いくつかの例では、細胞は、それぞれが単一核、一対の接触核、または2つもしくはそれ以上の接触核を含有する単一の核クラスターを含有していることもあり、他の例では、細胞は、それぞれが単一核を含有する一対の間隔が狭い核クラスターを含有していることもある。いくつかのまれな場合では、細胞は、それぞれが1つ以上の核を含有していることがある複数の核クラスターを含有していることもある。各細胞内の核の集計は、核クラスターの割り当てに基づいて得ることが可能である。
【0026】
各核クラスター内の核の数は、核クラスターの周囲のいくつかの欠刻に基づいて決定される。核クラスター周囲の欠刻は、セグメント画像において核クラスターの凸包を計算し、そのそれぞれの凸包から核クラスターを減算することにより同定される。各核クラスター周辺の欠刻を増強させて、核クラスターをそれを構成する核に図表的に分割することを促進することが可能である。各クラスター中の分割された核を示す細胞マップを使用者に提示することが可能である。分割結果を使用して核クラスター内の核計数を検証することも可能である。
【0027】
同一方法は、核画像から付着および非付着微小核を分割し、微小核のそれぞれを細胞に割り当てることに適用することが可能である。各微小核の細胞割り当ては微小核とそのもっとも近い核クラスター間の距離に基づいている。割り当てが終了すると、各細胞内の微小核の集計が得られる。
【0028】
主要核の数および微小核の数が細胞ごとに計数されると、細胞は、主要核の数に従って単核、二核、または多核として分類することが可能である。微小核形成の頻度(すなわち、細胞あたりの微小核)は、微小核の数および細胞の数に基づいて決定することができる。単核と微小核の比は、細胞含有試料中の単核細胞の数および微小核の数に基づいて得ることができる。
【0029】
図5A〜5Eは、細胞試料の核画像に基づく主要核分割、計数およびグループ化のプロセスの概観を示す。
【0030】
図5Aは、核マーカーを用いて染色された細胞試料の蛍光画像(またはグレースケール強度画像)である。染色された細胞試料が、適切な励起周波数の光に曝露されると、核マーカーは蛍光を発し核マーカーからの光放射は核画像に記録される。したがって、画像中の比較的高強度の領域は、細胞試料における細胞内の核の部位を示す。
【0031】
細胞試料中の核部位から放射される光に加えて、核画像は試料中の他の不純物もしくは細胞断片から、または周囲環境から放射されるまたは反射される迷走シグナルも含有することがある。これらの背景シグナルは、ノイズと呼ばれることもあるが、蛍光核原画像から核像を同定し分離することに難問をもたらす。さらに、核自体からの放射は不均等なことがあり、核部位でも同様に不均等な強度を生じる。正確な計数のためには、前処理ステップを使用して、蛍光原画像から対照的背景上に主要核クラスターのみを含有する分割バイナリー画像を得ることが可能である。バイナリー画像は画素ごとに2つの可能な値のみを有するデジタル画像である。典型的には、バイナリー画像に使用される2つの色は黒と白であるが、どんな2色でも使用することが可能である。画像中のオブジェクト(複数可)のために使用される色は前景色であり、画像の残りは背景色である。
【0032】
分割法は、コンピュータ画像処理の分野に他の適用を見出している。分割における主要な作業は、画像中において対象のオブジェクトを背景と区別することである。本方法は核原画像を、平滑で輪郭のはっきりした境界を有する核クラスターを含有するバイナリー画像に分割する。分割化は局所的背景強度を上回る使用者指定のまたは装置指定の最小強度に基づくことが可能である。グレースケール画像は、この最小強度値に基づいて背景と前景領域に分離される。さらに、閾値強度を下回るすべての画素をゼロに設定することにより背景強度における変動をならして、閾値を上回る輝度を有する画素を未変化にまたは均一な前景値に設定したままにしておくことも可能である。
【0033】
いくつかの実装では、核または核クラスターの最大および最小幅などの他の入力を使用して、不純物、細胞断片、および人為産物からのシグナルをフィルター除去することが可能である。いくつかの実装では、セグメント画像における核クラスターの縁は、主要核の最大、最小および/または平均サイズに基づいてならされる。
【0034】
いくつかの実装では、主要核クラスターの前処理または分割は、核クラスターが画像において背景から明確に分離されている限りバイナリー画像をもたらす必要はない。
【0035】
細胞試料の核原画像の最初の処理および分割後、1つ以上の核クラスターを含むセグメント画像が得られる。図5Bは、図5Aにおける核原画像に基づく例となる分割バイナリー画像を示している。セグメント画像は、対照的背景上に分離された主要核クラスターを含有している。核クラスターの画素はすべて均一な強度を有する。主要核クラスターは、単一核、一対の接触核、または2つを超える接触核を含有していることがある。
【0036】
各主要核クラスターに含有される核の数は、各核クラスターの境界に沿った欠刻の数に基づいて確認することが可能である。核クラスターごとに欠刻の数を得るためには、画像における核クラスターごとに先ず凸包が計算される。数学では、実ベクトル空間Vにおける点の集合Xに対する凸包は、Xを含有する最小凸集合である。細胞核は大部分が卵型であるために、2つ以上の核が接触して核クラスターを形成すると、クラスターの境界、または周囲に沿って欠刻が形成される。核クラスターを含有するセグメント画像では、各クラスターは点の非空有限集合であり、集合中の各点は核クラスターの境界内部の画像上の画素である。点の有限集合の凸包をコンピュータ処理するための方法は、計算幾何学の分野では公知である。凸包計算を実施するための適用可能なアルゴリズムの詳細は文献で入手可能であり、本明細書に記載されるように、細胞核などの画像にそのようなアルゴリズムを適応させ実装するのは当業者の能力の範囲内である。適切なアルゴリズムは数値的方法の他にも解析的方法にも基づいている。凸包計算に関する参考例は、the GNU Octave Manual Version 3、by John W. Eaton、David Bateman、and Soren Haubergであり、この文献の内容は参照により本明細書に組み込まれている。
【0037】
直接計算によりまたは外部ソフトウェアモジュールを通じてのどちらかで各核クラスターの凸包が得られると、各核クラスター周囲の欠刻は、核クラスターとそのそれぞれの凸包を比較することにより得られる。いくつかの実装では、それぞれの凸包を含有するフィルター画像から核クラスターのセグメント画像を減算することにより、欠刻のみを含有する結果の画像が得られる。いくつかの実装では、核クラスターとそのそれぞれの凸包間の違いに関する情報は視覚的に描写することが可能である。いくつかの実装では、情報は画像中の画素ごとにデータとして記憶される。図5Cは、主要核クラスターを含有するセグメント画像とそのそれぞれの凸包を含有するフィルター画像を比較することから得られた欠刻を示す例となる画像である。図5Cでは、2つ以上の接触核を含有する核クラスター周囲に欠刻が見られる。単核を含有する核クラスター周囲には欠刻は見られない。いくつかの実装では、減算から生じた迷走画素をフィルター除去するためのステップを実施することができる。
【0038】
核クラスターの境界に沿った欠刻の数とそこに含有される核の数との間の相関関係は、統計的もしくは数学的モデル、またはヒューリスチィック規則に基づいて見つけることが可能である。たとえば、欠刻をまったく含有しない核クラスターはおそらく単核を含有しており;単一欠刻または一対の相対する欠刻を含有する核クラスターはおそらく2つの核を含有しており;3つの欠刻を含有する核クラスターはおそらく3つの核を含有している;等々である。各核クラスターに沿った欠刻の数を集計することにより、核クラスター中に含有される核の数を示す第一の核計数が得られる。各核クラスター内の核の数を決定する時には、細胞試料における核の最大および最小のサイズ/幅、核クラスターの総面積、核クラスターの形状係数(たとえば、核クラスターがどれくらい丸いか、または長いか)等々、などの他の要因も考慮することが可能である。いくつかの実装では、ポリ核(すなわち、二核または多核)核クラスターごとの核分割結果も、核クラスター内の核の数を決定する際に使用することが可能である。
【0039】
いくつかの例では、細胞試料は、一対の間隔は狭いが非接触の核を有する細胞を含有する。この対における核はそれぞれ、画像分割中は別々の核クラスターとして表される。単核を有する核クラスターが単核細胞における唯一の核であるのかまたは二核細胞における一対の核のうちの1つなのかを決定するために、核クラスターと隣接する核クラスターとの間の距離がコンピュータ処理され、細胞内の核間の使用者指定のまたは事前に決められた閾値最小距離と比較される。いくつかの実装では、2つ以上の接触核を含有する核クラスターは、細胞内の唯一の核クラスターであると見なされ、図5Dに示されるなどのグループ化解析から除外される。そのような実装では、残りの単核核クラスター間における各対の隣接核クラスター間の距離が決定され最小閾値距離と比較される。一対の隣接単核核クラスター間の距離が最小閾値距離よりも小さい場合には、その対の隣接単核核クラスターはグループ化され、共通の細胞に関連付けられる。ある実装では、近接核を1つの細胞にまとめるかどうかを決定する時には、隣接核間の形態およびテクスチャの類似性のような他の要因が考慮される。
【0040】
いくつかの実装では、細胞質画像も利用できる場合には、隣接単核核クラスターのグループ化は、2つの隣接単核クラスター間の細胞質画像の強度レベルを照合することにより随意に検証することができる。この検証作業における一般仮定は、2つの隣接単核核クラスターが同じ細胞に所属するのであれば、2つの核クラスター間の細胞質画像の強度は、どんな強度ギャップもなく比較的均一になると考えられることである。しかし、2つの単核核クラスターが異なる細胞に所属するのであれば、2つの異なる細胞間の細胞質の不在のせいで2つの核クラスター間の細胞質画像には強度ギャップが存在すると考えられる。この検証ステップは、細胞への核割当ての正確さを改良すると考えられる。このステップは確かに細胞質画像の処理を必要とするが、細胞割り当て検証には細胞質画像の分割は必要ではない。細胞質画像の分割と比べると、細胞質画像における強度ギャップについての照合が必要とする計算時間および処理時間ははるかに少ない。
【0041】
いくつかの実装では、各細胞は、核クラスターが2つ以上の核を含有しているかどうかとは無関係に2つ以上の核クラスターを含有しうると仮定される。たとえば、二核核クラスターは単核核クラスターと同じ細胞に割り当てられ、三核細胞を生じうる。そのような実装では、核クラスターの細胞への割り当ては、核クラスターとその隣接核クラスターとの間の距離に基づいている。たとえば、各核クラスター内の画素を照合して、ある画素が別の核クラスターにおける画素から事前に決定されたまたは使用者指定の最小距離内にあるかどうかを確認することができ、そのような画素が存在すれば、2つの核クラスターは同じ細胞に割り当てられる。いくつかの実装では、平均、最大、最小細胞サイズならびに/または核形態および強度テクスチャの類似性などの他の要因を使用して、細胞への所与の核クラスターの割り当てが不適切である可能性があるかどうかを決定することが可能である。いくつかの実装では、核クラスター間の細胞質強度に基づく同じ検証ステップを、2つの単核核クラスターのグループ化に関して記載された通りに実施することが可能である。
【0042】
核クラスターの細胞へのグループ化の後、画像中に存在する細胞ごとに第二の核計数が得られる。たとえば、2つ以上の接触核を含有する各核クラスターが別々の細胞に割り当てられる場合には、その細胞内の核の総計数は核クラスター内の核計数と同じである。2つの単核核クラスターが同じ細胞に割り当てられる場合には、細胞内の核の総計数は、2つである両核クラスターについての核計数の総計である。複数の核クラスターが単一の細胞に割り当てられる場合には、細胞内の核の総計数は、その細胞に割り当てられた成分核クラスターすべてについての核計数の総計である。
【0043】
細胞ごとの総核計数が得られると、いくつかの結果が得られ使用者に提示することができる。たとえば、細胞ごとの核計数を提示することができる。代わりに、原画像における細胞を、それぞれの細胞内に含有される核の数に基づいて、単核、二核、または多核、等々として分類することが可能である。いくつかの実装では、各分類における細胞の集計を使用者に提示することができる。いくつかの実装では、その細胞が属する特定の分類の一般的特徴によりマークされる1つ以上の核クラスターを示す細胞マップを使用者に提示することができる。たとえば、単核細胞、二核細胞、および多核細胞に割り当てられる核クラスターはすべて、細胞マップにおける異なる特徴的色によりそれぞれマークされる。いくつかの実装では、細胞試料内の多核細胞の割合も得られ、細胞毒性の指標として使用することが可能である。いくつかの実装では、その細胞割り当てに従って核クラスターの分水界変換を使用することにより細胞境界が得られる。
増強されたV欠刻に基づく核分割
図6A〜6Dは、核クラスター内の主要核を計数するための方法、すなわち、二核または多核核クラスターを核クラスター周囲の欠刻に基づいてそれを構成する核へ分割することの別の面を示している。
【0044】
核クラスターの画像をそれを構成する核に分離する様々な方法が生物医学画像処理の分野で考えられてきた。一般に使用されるアルゴリズムは、分水界アルゴリズムである。分水界アルゴリズムは、蛍光核画像から得られるセグメント画像に適用することが可能である。用語「分水界」は、グレーレベル画像を、明領域が「高」と見なされ暗領域が「低」と見なされる地形面に例える図画アナロジーに由来する。このアルゴリズムでは、地形面上の各地域的最小値に穴が開けられていると仮定され、表面がこれらの穴から「出水している」ならば、水は画像の集水流域(すなわち、そのもっとも急な斜面経路が所与の最小値に到達する表面上の点の集合)を次第に溢れさせることになる。この洪水手順の最後には、各最小値は「分水界線」により完全に取り囲まれている。
【0045】
分割バイナリー画像において核クラスター内の成分核間に境界線を得るためには、核クラスターは、核クラスターの輪郭が分水界線に一致し核が分水界線に取り囲まれた集水流域に一致するように、局所的最小値が成分核の中心に位置する形態を有している必要がある。そのような結果を得るためには、分水界変換が適用される前に、セグメント画像上で距離変換を実施することが可能である。デジタル画像についての距離変換は、距離が画素とその最寄りの非背景画素間である、画像の画素ごとの距離値を含有する。図6Cは、2つの接触核(図6Cの左上隅に示されている)を含む例となるバイナリー核クラスターに適用された例となる距離変換と分水界変換を示している。バイナリー画像の距離変換により図6Cの画像Aが生じる。この画像は、画像全体にまたがる集水流域が1つしかないためにあまり有用ではない。画像の補数の距離変換により図6Cの画像Bが生じる。画像Bのほうが密であるが、その集水流域は核の中心にない。画像Bをネゲートすると図6Cの画像Cが生じ、これは核ごとに1つの集水流域を示しており、画像Cは分水界変換の準備ができている。分水界変換を画像Cに適用すると、図6Cの画像Dで示されるように、2つの核間の境界が得られる。
【0046】
分水界変換は核クラスターをそれを構成する核に分割する際に使用されてきたが、分水界変換は、それが接触領域において狭い「ネック」を示す接触オブジェクトに頼るという事実から生じるいくつかの限界を有する。オブジェクトセグメンテーションのための分水界変換プロセスは誤りがちであることで有名である。オブジェクトセグメンテーションを導く「マーカー」の適切な集団を作製するためのアルゴリズムの設計にはかなりの尽力が払われてきた。本方法では、核クラスターの境界沿いの狭いネックのためのこれらのマーカーは、核クラスターをそのそれぞれの凸包と比較することにより得られてきた。分水界法の有効性を改良するために、欠刻のサイズが増強される。たとえば、その増強は、V欠刻の先端を伸長することにより、または単に欠刻のサイズを拡大することにより実施することができる。欠刻を増強すれば、核クラスターをそれを構成する核に分割する際の分水界法の正確さが改良される。
【0047】
図6Aに示されるように、先ず、核クラスターをそのそれぞれの凸包から減算することにより、二核核クラスターおよび多核核クラスターについて欠刻が得られる。図6Bでは、欠刻はそのサイズを拡大することにより増強されている。増強された欠刻は核クラスターにさらに狭い「ネック」を生じる。さらに、欠刻の数も、分割されることになる各核クラスターに含有される核の数に関する情報を提供する。図6Cでは、通常の標準距離変換および分水界変換を、増強された欠刻を用いて核クラスター上で実施することができ、二核核クラスターおよび多核核クラスターごとに核境界が得られる。図6Dでは、分割から生じた核を細胞マップに提示することができる。提示される細胞マップは、その細胞の分類、すなわち、単核、二核または多核に従って各核を同定することができる。この例では、多核細胞は緑色としてマークされ、1つのそのような多核細胞の核は細胞マップの左縁に示されており;二核細胞は橙色としてマークされ、そのような二核細胞の接触核の対が細胞マップの様々な位置に示されており;単核細胞は灰色としてマークされ、そのような単核細胞の核は細胞マップの様々な位置に示されている。たとえば、図6Dの細胞マップ上に掛かる楕円によりマークされる核クラスターについては、核分割プロセスから得られる核境界が細胞マップに表示されている。
細胞中の微小核の同定および計数
細胞における主要核の適切な同定、グループ化および計数に加えて、微小核の適切な同定、細胞割り当ておよび計数も、微小核誘導の正確な測定を得るのに必要である。
【0048】
核画像では、微小核をその細胞の主要核から分離するもしくは主要核に付着させないようにすることが可能であり、または微小核をその細胞の主要核に付着させることが可能である。核原画像から微小核構造体を分割するためには、局所的背景を上回る最小強度、微小核と主要核両方の最大および最小サイズなどのパラメータを分割のために使用することを除いて、主要核クラスターを分割するのに使用されたのと同じ方法を利用することができる。微小核パラメータは、本明細書の方法を実装するソフトウェアまたはシステムにおいて、使用者指定される、または事前に決定されることが可能である。
【0049】
分離されたまたは非付着の微小核を含むセグメント画像は、局所的背景を上回る強度ならびに微小核に指定された最大および最小サイズに基づいて得られる。
【0050】
付着した微小核の同定は、非付着微小核の同定よりも込み入っている。先ず、主要核クラスターの境界がならされるこの時点では、平滑フィルターが微小核のサイズに基づいていて、したがって、主要核に付着しているどんな微小核も主要核クラスター中で完全なままに保つのに十分な解像度を与えることを除いて、主要核クラスターは以前の通りに同定される。主要核クラスターおよび付着微小核を含むセグメント画像から主要核クラスターのみを含むセグメント画像を減算することにより、付着微小核のみを含む結果の画像が作成される。この減算から生じる人為産物およびノイズは、付着微小核周囲の欠刻を同定することによりフィルター除去することができる。
【0051】
非付着微小核と付着微小核が両方ともセグメント画像において同定される場合、それぞれが少なくとも1つの主要核クラスターを含有する細胞に割り当てられる。細胞における微小核と主要核との間の最大および最小距離は、使用者により指定されるまたはソフトウェアもしくはシステムにより事前に決定されることが可能である。これらの距離を使用すれば、核画像中のこの許容可能な距離範囲の外側に位置する人為産物および死滅DNA断片を、これら人為産物および死滅DNA断片が微小核と誤って同定されないように、フィルター除去することができる。微小核の細胞への割り当ては、微小核と隣接主要核間の距離に基づいている。付着微小核は、その微小核が付着している主要核クラスターを含有する細胞に割り当てられる。非付着微小核は、その微小核にもっとも近接近している主要核を含有する細胞に割り当てられる。付着微小核(または主要核に付着している核物質)が実際、細胞試料における微小核誘導を測定するための微小核であるかどうかに関してはある種の論争が存在する。使用者は、微小核と主要核との間のノンゼロ最小距離を指定して、付着微小核を、微小核点数化の際に同定され考慮されることから取り除くことができる。
【0052】
各同定された微小核がそれぞれの細胞に割り当てられると、各細胞における微小核の計数が得られる。試料における微小核の総数および細胞の総数に基づいて、微小核形成の頻度を計算することが可能である。微小核の画像は、細胞試料中の主要核と共に細胞マップに提示することができる。図7は、主要核および微小核を示す例となる細胞マップである。核は、そのそれぞれの細胞の分類を示す異なる色でマークされており、たとえば、灰色は単核細胞を表し、橙色は二核細胞を表し、緑色は多核細胞を表す。細胞マップにおける微小核は紫色にマークされている。微小核は主要核に付着しているまたは非付着であることもあり、各微小核はその細胞において唯一の微小核であるまたは少数の微小核の1つであることもあり、各微小核は、単一主要核、一対の主要核、または複数の主要核と細胞を共有していることもある。これら上記の状況の例は図7において、円でマークされた細胞で見ることができる。
【0053】
図8は、本明細書に開示される方法を使用して細胞含有試料において細胞の核を計数するための例となるプロセス800の流れ図である。例となるプロセス800は、細胞含有試料の原画像を受信するためのステップ802、原画像を1つ以上の核クラスターを含有するセグメント画像に変換するためのステップ804を含み;次に核クラスターごとに例となるプロセス800はさらに:核クラスターの凸包を得るためのステップ806、核クラスターをその凸包と比較することにより核クラスター上のどんな欠刻でも得るためのステップ808、欠刻の集計に基づいて第一の核計数を計算するためのステップ810、および複数の細胞のうちの細胞に核クラスターを割り当てるためのステップ812を含み;次に細胞ごとに例となるプロセス800はさらにその第二の核計数に基づいて各細胞を単核、二核または多核に分類するためのステップ814を含み;次に例となるプロセス800は第二の核計数または少なくとも1つの細胞の分類に基づく結果を提示するためのステップ818を含む。例となるプロセス800は、本核計数法の1つの可能な実装を記載している。例となるプロセス800におけるすべてのステップが特定の実装において必要とされるわけではない。
【0054】
いくつかの実装では、細胞含有試料の原画像を受信するためのステップ802は、使用者が本明細書に記載される核計数法を実装するソフトウェアモジュールに原画像の出所位置を入力することにより呼び出すことが可能である。いくつかの実装では、ステップ802は、画像システムが細胞含有試料の画像を取り込んだ後、画像システムに直接連結されているソフトウェアモジュールにより自動的に実施される。いくつかの実装では、原画像は、核マーカーを用いて染色された細胞の蛍光画像である。いくつかの実装では、細胞は、細胞質マーカーによっても細胞膜マーカーによっても染色されていない。いくつかの実装では、原画像は画像システムの単一チャネルを使用して作成される単色像である。いくつかの実装では、原画像は画像における核画素が強度値を記録する強度画像である。
【0055】
いくつかの実装では、原画像を1つ以上の核クラスターを含有するセグメント画像に変換するためのステップ804はソフトウェアモジュールにより実施される。いくつかの実装では、変換は使用者により入力されたまたはソフトウェアモジュールにおいて事前に決定された1つ以上の核パラメータに基づいている。1つ以上の核パラメータは、核(または微小核と区別され時には「主要」核と呼ばれることもある)の最大および最小幅ならびに局所的背景を上回る最小強度を含むことが可能である。これらの核パラメータを使用すれば、背景ノイズ、不純物および非核オブジェクトのせいである原画像中に記録される迷走シグナルをフィルター除去することができる。たとえば、以下の手順:最小強度を下回り局所的背景を上回る強度値を有する画素はゼロに設定されて、原画像における背景ノイズを取り除き;最小強度を上回り位置背景を上回る強度を有する画素はノンゼロ前景強度値に設定されて核クラスター内の非均一性を取り除き;核の最大および最小幅を使用して、原画像においてそのサイズのせいで核または核クラスターである可能性がないオブジェクトをフィルター除去し;核の最大および最小幅も使用されて、原画像において同定された核クラスターの縁を、それが卵形のオブジェクト(すなわち、細胞核)のクラスターとして見えるようにならす、のうちの1つ以上を実施して、原画像を核クラスターを含むセグメント画像に変換することができる。いくつかの実装では、上記の変換後に得られるセグメント画像は、核クラスターが前景強度を有し画像の残りが背景強度(たとえば、ゼロ)を有するバイナリー画像である。
【0056】
いくつかの実装では、一連のステップ(たとえば、ステップ806、808、810および812)は、セグメント画像において各核クラスターごとに実施される。いくつかの実装では、核クラスターの凸包を得るためのステップ806は、外部の数学または幾何学ソフトウェアモジュールにより実施される。核クラスター内のすべての画素(点)が外部のソフトウェアモジュールに提供され、外部のソフトウェアモジュールは、核クラスターにおいて画素を含む(画素/点の)最小凸集合である核クラスターの凸包を戻す。
【0057】
細胞核は一般に卵形であるために、接触核は、2つ以上の接触核を含む核クラスター周囲に自然に欠刻を生じる。核クラスター上のこれらの欠刻は、核クラスターとそのそれぞれの凸包を比較することにより検出することが可能である。いくつかの実装では、核クラスターとその凸包を比較することにより核クラスター上のどんな欠刻でも位置を突き止めるためのステップ808は、核クラスターの凸包を含むフィルター画像を得て、セグメント画像における核クラスターをフィルター画像におけるそのそれぞれの凸包から減算することをさらに含む。いくつかの実装では、核クラスターごとの凸包は、凸包およびその関連する核クラスターの減算または比較がクラスター−クラスターを基に実施することができるように、個々に記憶されそのそれぞれの核クラスターと関連付けられる。いくつかの実装では、核クラスターすべての凸包はフィルター画像に記憶され、凸包およびその関連する核クラスターの減算または比較は、画像全体について実施される。
【0058】
複数の細胞のうちの細胞に核クラスターを割り当てるためのステップ812はさらに、ポリ核細胞における核間の最大距離を指定する核パラメータを受信し、核クラスター間の距離が指定された最大距離よりも小さいときのみ核クラスターを同じ細胞に割り当てることを含むことが可能である。いくつかの実装では、多核クラスターは細胞内の唯一の核クラスターであると推定され、距離に基づく細胞割り当ては単核核クラスターについてのみ実施される。いくつかの実装では、多核核クラスターは別の核クラスターと細胞を共有することができ、距離に基づく細胞割り当ては核クラスターすべてについて実施される。そのような実装では、細胞の閾値サイズを使用して、あまりにも多くの核クラスターが誤って同じ細胞に割り当てられることを防ぎうる。
【0059】
いくつかの実装では、距離に基づく細胞割り当ては、単核核クラスターについて実施され、2つの単核核クラスターが十分に間隔が狭ければ、共通の細胞に割り当てることが可能である。いくつかの実装では、多核細胞における核はすべて通常類似の形態および染色強度を示すので、核クラスターの類似性を計算して、細胞割り当ての正確さ改良することが可能である。そのような実装では、細胞割り当ては、細胞含有試料における細胞の染色された細胞質を含む第二の原画像を使用することによりさらに検証することが可能である。第二の原画像を受信し2つの間隔の狭い単核クラスターの細胞割り当てを検証するためのステップを実施することができる。検証は、第二の原画像において2つの間隔の狭い単核核クラスターの位置間の強度ギャップを検出することにより実施される。検証は、2つの間隔の狭い単核核クラスターが同じ細胞に所属しているのであれば、細胞中の細胞質の強度は比較的均一であり、強度ギャップは検出されないという仮定に基づいている。一方、2つの間隔の狭い単核核クラスターが2つの異なる細胞に所属しているのであれば、2つの異なる細胞それぞれにおいて細胞質間に強度ギャップが存在すると考えられる。細胞質画像における強度ギャップの検出は、細胞質画像を分割することとほぼ同じくらい計算集約的ではないために、このステップは、処理時間を著しく増加させることなく細胞割り当ての正確さを改良するために実施することが可能である。
【0060】
細胞は2つ以上の核クラスターを含むことができるために、核クラスター上で検出される欠刻の数に基づいて細胞に割り当てられる核クラスターごとに第一の核計数を先ず計算することにより(ステップ810)、および細胞に割り当てられた全核クラスターの第一の核計数を総計することにより(ステップ814)、各細胞における核の総数を計算することが可能である。いくつかの実装では、各多核核クラスターが細胞における唯一の核クラスターであると推定される場合には、細胞の核計数は多核核クラスターの核計数と同じである。そのような実装では、単核核クラスターのみを別の単核核クラスターと同じ細胞に割り当てることが可能であり、そのような細胞における核の総数は2である。
【0061】
各分類における細胞の計数が望まれるときは、随意に、細胞の第二の核計数(または核の総数)に基づいて各細胞を単核、二核、または多核に分類するためのステップ814を実施することが可能である。
【0062】
いくつかの実装では、画像において多核核クラスターそれぞれで核を分割するための随意のステップを実施することが可能である。分割は、核クラスター上で検出される欠刻を増強することにより実施することができる。欠刻の全サイズを拡大することにより、または欠刻の先端を伸長して核クラスターを欠刻でさらに「つまむ」ことにより、欠刻を増強することが可能である。欠刻を増強後、欠刻が増強されたセグメント画像における核クラスターに基づいて、距離変換を得ることができ、距離変換に分水界変換を適用することにより、核クラスターにおける2つ以上の核間の境界が得られる。
【0063】
図9は、細胞含有試料における細胞の微小核を計数するための例となるプロセス900の流れ図である。例となるプロセス900は、以下のステップ:細胞含有試料の原画像を受信するためのステップ902、1つ以上の核パラメータおよび1つ以上の微小核パラメータを受信するためのステップ904、原画像を1つ以上の核パラメータに基づいて1つ以上の核クラスターを含む第一のセグメント画像に変換するためのステップ906、原画像を1つ以上の微小核パラメータに基づいて1つ以上の非付着微小核を含む第二のセグメント画像に変換するためのステップ908、原画像を微小核パラメータに基づいて1つ以上の核クラスターを含む第三のセグメント画像に変換するためのステップ910、第三のセグメント画像と第一のセグメント画像を比較することにより第三のセグメント画像においてどんな付着微小核でも検出するためのステップ912、付着および非付着微小核のそれぞれを細胞に割り当てるためのステップ914、細胞に割り当てられた付着および非付着微小核の数を集計することにより細胞ごとに微小核計数を計算するためのステップ916、ならびに少なくとも1つの細胞の微小核計数に基づく結果を提示するためのステップ918のうちの1つ以上を含むことが可能である。
【0064】
いくつかの実装では、細胞含有試料において微小核を計数するための例となるプロセス900は、同じ細胞含有試料において核を計数するためのプロセス800と同時に実施することが可能である。細胞含有試料の原画像を受信し、1つ以上の核パラメータおよび1つ以上の微小核パラメータを受信するためのステップは、同じユーザーインターフェイスにおいて同時に実施することが可能である。1つ以上の微小核パラメータは、細胞含有試料における微小核の最大および最小幅、原画像における微小核について局所的背景を上回る最小強度、ならびに細胞における微小核と主要核との間の最小および最大距離を含むことができる。
【0065】
例となるプロセス900では、原画像を核パラメータに基づいて1つ以上の核クラスターを含む第一のセグメント画像に変換するためのステップ906は、図8においてステップ804に関して記載されるのと同じように実施することができる。第一のセグメント画像では、核クラスターの境界が主要核のサイズに従ってならされているために、核クラスターにはどんな付着微小核も含まれておらず、付着微小核からのシグナルは平滑作業中に取り除かれる。原画像を非付着微小核を含む第二のセグメント画像に変換するためのステップ908は、使用されるパラメータが微小核パラメータであることを除いてステップ906に類似している。主要核クラスターは、細胞含有試料において予想することができる微小核の最大サイズに基づいて第二のセグメント画像から取り除くことが可能である。原画像を微小核パラメータに基づいて1つ以上の核クラスターを含む第三のセグメント画像に変換するためのステップ910は、平滑作業が微小核のサイズに基づいて実施されて、核クラスターにおいて付着微小核を完全なままにしておくのに十分な解像度を与えることを除いて、ステップ906に類似している。第三のセグメント画像における1つ以上の核クラスターは、1つ以上の付着微小核が第三のセグメント画像の1つ以上の核クラスターの縁周囲に見出せることを除いて、第一のセグメント画像における核クラスターと基本的に同じ核クラスターである。
【0066】
第三のセグメント画像においてどんな付着微小核でも検出するためのステップ912は、第三のセグメント画像と第一のセグメント画像を比較することにより実施することが可能である。いくつかの実装では、第三のセグメント画像から第一のセグメント画像を減算することにより、付着微小核のみを含む画像が得られる。いくつかの実装では、第一のセグメント画像に関して図8のステップ806および808において記載されるのと同じように、第三のセグメント画像において欠刻を核クラスター上に位置を突き止めることが可能である。欠刻は核クラスターにおける付着微小核周囲に位置を突き止めることができる。これらの欠刻を使用して、画像減算から生じる人為産物を退けることができる。すなわち、関連する欠刻を有する減算からの結果の画像の部分のみが付着微小核として同定され、結果の画像の他の部分は人為産物として取り除かれる。
【0067】
各付着および非付着微小核を細胞に割り当てるためのステップ914は、各付着微小核をその微小核が付着している核を含有する細胞に割り当て、各非付着微小核をその非付着微小核にもっとも近接近している核を含有する細胞に割り当てる2段階で実施される。いくつかの実装では、各非付着微小核と隣接する核間の距離は細胞割り当てのために決定され、距離が、1つ以上の微小核パラメータで使用者により指定される許容可能な距離範囲内であれば、非付着微小核は隣接する核を含有する細胞に割り当てられる。いくつかの実装では、使用者により指定される細胞における微小核と主要核との間の最小距離を使用して、最初に微小核として同定された付着微小核(または「ブレッド」)を取り除く。いくつかの実装では、使用者により指定される細胞における微小核と主要核との間の最大距離を使用して、微小核として誤って同定された浮遊DNA断片を取り除く。
【0068】
細胞割り当てステップ914後、ステップ916を実施して、細胞に割り当てられた付着および非付着微小核を集計することにより細胞ごとに微小核計数を計算することが可能である。少なくとも1つの細胞の微小核計数に基づく結果を提示するためのステップ918は、少なくとも1つの微小核を含む細胞の計数を提示し、細胞含有試料における単核細胞の数と微小核細胞の数の間の比を提示し、および/または細胞含有試料における微小核の数と細胞の数の間の比を提示することをさらに含むことが可能である。いくつかの実装では、細胞をさらに単核、二核、多核、プローブA陽性、プローブB陽性、プローブAB陽性、等々に分類される場合には、これらの分類それぞれ内の微小核細胞の計数を提示することができる。
【0069】
いくつかの実装では、使用者が微小核と主要核との間のノンゼロ最小距離を指定していた場合には、付着微小核分割、計数および割り当てに固有の処理ステップは随意に飛ばすことが可能である。代わりに、ノンゼロ最小距離だけがその結果の提示に影響を与えるだけであり、簡単な結果比較のためにはトグルでオンオフを切り替えることが可能である。
【0070】
図10は、実験室環境において細胞含有試料で核を計数するための開示された方法を利用するための例となるプロセス1000を示す。たとえば、プロセス1000は、核染色を細胞含有試料に適用するためのステップ1002、染色ステップ1002後に細胞含有試料の画像を記録するためのステップ1104を含むことが可能であり;次に画像中の核クラスターごとにプロセス1000は、核クラスターの凸包を得るためのステップ1006、核クラスターにおいて核の数を確認するためのステップ1008、および核クラスターを細胞へ割り当てるためのステップ1010をさらに含み;随意に、プロセス1000は細胞含有試料における細胞に存在する核の数を提示するためのステップ1012を含むことが可能であり;随意に、プロセス1000は、細胞における微小核の数を確認するためのステップ1014、および細胞におけるいくつかの微小核を提示するためのステップ1018も含むことが可能であり、随意に、プロセス1000は、核クラスターをそれを構成する核に分割し、分割から生じる核を提示することをさらに含むことが可能である。
【0071】
いくつかの実装では、画像は蛍光画像装置により記録される。いくつかの実装では、細胞含有試料は多ウェルプレートのウェルに置かれる。いくつかの実装では、細胞含有試料は、染色体異常誘発効果を有する化学物質により処理される。いくつかの実装では、蛍光画像装置の単一チャネルを使用して画像が得られる。いくつかの実装では、細胞含有試料は細胞質マーカーを用いて染色されない。
核計数法を実装するシステム
細胞試料の核画像において主要核および微小核を同定し、グループ化し、計数するための本明細書に開示される方法は、画像処理システムにおいてソフトウェアコンポーネントまたはモジュールとして実装することが可能である。ソフトウェアシステムは細胞画像ハードウェアシステムと連動して使用することが可能である。
【0072】
図11は、例となる蛍光画像システムの模式図である。システムは、光源1102、励起フィルター1104、ダイクロイックミラー1106、対物レンズ1108、エミッションフィルター1110、接眼レンズ1112、検出器1114、およびプラットホーム1116を含む。画像化される細胞試料1118は、プラットホーム上の多ウェルプレートのウェルに置くことができる。操作中、光源1102からの興奮性光は、所望の周波数成分が励起フィルター1104を通過するように励起フィルター1104を照射する。適切な励起フィルターは、試料に付着している蛍光マーカーに基づいて選択することができる。励起フィルターを通過する興奮性光は、ダイクロイックミラー1106により屈折されて、対物レンズ1108により試料1118に焦点を合わされる。プラットホーム1116上に置かれた試料1118が興奮性光に曝露されると、試料中の蛍光マーカーは、励起のために使用されるのと同じ対物レンズ1118により検出器1114に焦点を合わされている放射光を発生させる。対物レンズ1108と検出器1114間のエミッションフィルター1110は、試料中の蛍光マーカーにより放射される蛍光からどんな励起光もフィルター除去する。検出器1114は、コンピュータに連結されている電荷結合素子(CCD)カメラであることが可能である。光を受信しデジタル画像を作成することができる他の装置も使用に適している。コンピュータは、捕獲されたときに励起下にある試料の画像を記録するおよび/または処理することができる。試料中の異なるオブジェクト(たとえば、核物質、細胞質、細胞膜、タンパク質、等々)に付着する異なる蛍光マーカーを試料に適用することが可能であり、これらのマーカーそれぞれの画像は、興奮性フィルターとエミッションフィルターの異なる組合せ(各組合せは蛍光チャネルである)下で得られ、ソフトウェアシステムにより処理されることが可能である。
【0073】
ソフトウェアシステムは画像システムと連結させる、または独立型システムとして機能することができる。ソフトウェアシステムは、核構造体を正常、ミクロ、有糸分裂、アポトーシス、ネクローシス、プローブA/BおよびAB陽性、等に分類するなどの他の能力を含むことが可能である。個々の細胞/オブジェクトについてまたは画像全体について測定を行うことが可能である。有糸分裂細胞は、核画像の強度に基づいて決定することができる。他の随意の細胞マーカーを使用して、アポトーシス細胞およびネクローシス細胞を同定することができる。有糸分裂、アポトーシスおよびネクローシス細胞は、核分割および微小核統計から排除することが可能である。多ウェルプレート(たとえば、96ウェルプレート)から得られる画像については自動的に処理を実施することができる。いくつかの実装では、分割結果は、使用者の内覧および操作に利用することができる。
【0074】
図12は、核画像分割ならびに主要核および微小核についての細胞割り当てそれぞれに必要なパラメータを入力するための例となるユーザーインターフェイスを示す。使用者は処理される核原画像をこのユーザーインターフェイスから選択することができる。このユーザーインターフェイスでは、使用者は、アポトーシス、ネクローシス、プローブAおよびプローブB細胞の同定のために他の供給源画像を随意に指定することもできる。
【0075】
主要核分割および細胞割り当てでは、使用者により入力されるパラメータは、近似の最小幅、近似の最大幅、局所的背景を上回る強度、有糸分裂細胞平均強度およびグループ化距離を含むことが可能である。近似の最大幅および近似の最小幅は、画像において見つかると予想される主要核の最大および最小幅を定義する。局所的背景を上回る強度は、隣接する背景レベルと比べた主要核の局所的コントラスト強度閾値を指定する。このパラメータは、局所的コントラストに適合することにより画像全体の不均等な画像背景を補正するための前処理において使用される。これによりさらに頑強な分割が可能になる。グループ化距離は、ポリ核細胞における核の最大距離でもある。グループ化距離は、細胞の一部と見なされることになる核構造体間の最大エッジ間距離を指定する。指定された値よりも互いに近いどんな核構造体もグループ化され1つの細胞の一部と見なされる。
【0076】
微小核分割および細胞割り当てでは、使用者により入力されるパラメータは、近似の最小幅、近似の最大幅、局所的背景を上回る強度、主要核からの最小距離、および主要核からの最大距離を含むことが可能である。近似の最大幅および近似の最小幅は、画像において見つかると予想される微小核の最大および最小幅を定義する。局所的背景を上回る強度は、隣接する背景レベルと比べた微小核の局所的コントラスト強度閾値を指定する。主要核からの最小距離は、微小核を細胞核または複数の細胞核から位置を突き止めることができる最小距離である。この距離よりもその主要核に近いどんな微小核構造体も解析から排除される。この設定は、本物の微小核とブレブを区別するのに寄与することが可能である。主要核からの最大距離は、微小核を細胞核または複数の細胞核から位置を突き止めることができる最大距離である。この距離よりもその主要核から遠くに離れているどんな核構造体も解析から排除される。この設定は、微小核の誤った陽性同定を減らすのに寄与する。たとえば、この設定がなければ、死滅細胞由来のDNA断片または汚れが微小核として誤って同定されるおそれがある。
【0077】
図13は、本出願において開示される方法を実装するソフトウェアコンポーネントの例となる出力図である。この例では、核はそのそれぞれの細胞の分類に一致する色によりマークされている。たとえば、単核(灰色)、二核(橙色)、多核(緑色)、微小核(紫色)、有糸分裂(赤色)等々である。各分類の核は、出力画像において選択的にマスクするまたは覆うことが可能である。核分割結果はこの画像に示すことが可能である。しかし、核分割結果が必要ではない場合は、核は提示されている成分核間の内部境界なしで完全なクラスターとして提示することができる。
【0078】
図14および15は、2つの試料核画像についての例となる結果である。図の上半分は2つの細胞試料の核画像を示し、図の下半分は、単、二、多、微小およびアポトーシス分類に分類される細胞内に核を含むそのそれぞれの細胞マップを示す。
【0079】
図16は、様々な薬物を用いて処理された細胞試料の微小核細胞(上)および単核細胞(下)の画分のグラフを示す。薬物濃度が増加するに従って(横軸の左から右へ)、微小核を表示する細胞の割合は50%超まで増加し、単核細胞の数は、化合物B、C、F、G薬物では90%から20%に減少し、対照化合物A、DおよびEは最小変化を示す。
例となるデータ記憶媒体およびコンピュータシステム
図17は、汎用コンピュータシステム1700の模式図である。システム1700は、本明細書に記載される方法に関連して記載される操作を実行するために使用することが可能である。システム1700は、プロセッサー1702、メモリー1704、記憶デバイス1706および入力/出力デバイス1708を含むことが可能である。コンポーネント1702、1704、1706および1708はそれぞれ、システムバス1710を使用して相互に接続される。プロセッサー1702は、システム1700内で実行のための命令を処理することができる。そのような実行される命令は、たとえば、システム200の1つ以上のコンポーネントを実装することが可能である。一実装では、プロセッサー1702はシングルスレッドプロセッサーである。別の実装では、プロセッサー1702はマルチスレッドプロセッサーである。プロセッサー1702はメモリー1704においてまたは記憶デバイス1706において記憶された命令を処理して、入力/出力デバイス1708上でユーザーインターフェイスの情報を表示することができる。
【0080】
メモリー1704は、システム1700内に情報を記憶する揮発性または不揮発性メモリーなどのコンピュータ可読媒体である。メモリー1704は、たとえば、画像、核クラスター、核および微小核パラメータ、等々を表すデータ構造を記憶することができるであろう。記憶デバイス1706はシステム1700に固定記憶域を提供することができる。記憶デバイス1706は、フロッピー(登録商標)ディスクデバイス、ハードディスクデバイス、光ディスクデバイス、もしくはテープデバイス、または他の適切な固定記憶手段でもよい。入力/出力デバイス1708はシステム1700に入力/出力操作を提供する。一実装では、入力/出力デバイス1708は、キーボードおよび/またはポインティングデバイスを含む。別の実装では、入力/出力デバイス1708はグラフィカルユーザーインターフェイスを表示するための表示ユニットを含む。
【0081】
本明細書に記載される主題および機能操作の実施形態は、デジタル電子回路において、または本明細書に開示される構造体およびその構造等価物を含むコンピュータソフトウェア、ファームウェアもしくはハードウェアにおいて、またはこれらのうちの1つもしくは複数の組合せにおいて実装することが可能である。本明細書に記載される主題の実施形態は、1つ以上のコンピュータプログラム製品、すなわち、データ処理装置による実行のための、またはデータ処理装置の操作を制御するためのコンピュータ可読媒体にコード化されたコンピュータプログラム命令の1つもしくは複数のモジュールとして実装することができる。
【0082】
用語「データ処理装置」は、例としてプログラマブルプロセッサー、コンピュータ、またはマルチプルプロセッサーもしくはコンピュータを含むデータを処理するためのあらゆる装置、デバイスおよび機械を包含する。装置は、ハードウェアに加えて、問題のコンピュータプログラムのための実行環境を作り出すコード、たとえば、プロセッサーファームウェア、プロトコールスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、またはそれらのうちの1つもしくは複数の組合せを構成するコードを含むことができる。
【0083】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプトまたはコードとしても知られる)は、コンパイラ型もしくはインタープリタ型言語を含むプログラミング言語、または宣言型もしくは手続き型言語のうちのどの形態でも書くことができ、コンピュータプログラムは、スタンドアロンプログラムとして、またはコンピュータ環境において使用するのに適したモジュール、コンポーネント、サブルーチンもしくは他のユニットとしてを含む、どんな形態でも配置することができる。例となる言語には、FORTRAN、C、C++、Java(登録商標)およびPerlが挙げられるが、これらに限定されない。コンピュータプログラムは、ファイルシステムにおけるファイルと必ずしも一致しない。プログラムは、他のプログラムもしくはデータを保持するファイルの一部(たとえば、マークアップ言語ドキュメントに記憶された1つもしくは複数のスクリプト)で、問題のプログラムのために設けられた単一ファイルで、または複数の調整ファイル(たとえば、1つもしくは複数のモジュール、サブプログラム、もしくはコードの一部を記憶するファイル)で記憶することができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータで、または1つのサイトに置かれているもしくは複数のサイトにわたり割り振られて通信ネットワークにより相互に接続されている複数のコンピュータで実行されるように配置することができる。
【0084】
本明細書に記載されるプロセスおよび論理の流れは、1つ以上のコンピュータプログラムを実行して、入力データで作動して出力を作成することにより機能を果たす1つ以上のプログラマブルプロセッサーにより実施することが可能である。コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサーは入力データで作動し出力を作成することを含む。コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサーは、例として、汎用と専用マイクロプロセッサーの両方、および任意の種類のデジタルコンピュータのどれか1つ以上のプロセッサーを含む。一般に、プロセッサーは読み取り専用メモリーもしくはランダムアクセスメモリーまたは両方から命令またはデータを受信することになる。コンピュータの不可決な要素は、命令を実施するためのプロセッサーならびに命令およびデータを記憶するための1つ以上のメモリーデバイスである。一般に、コンピュータは、データを記憶するための1つもしくは複数の大容量記憶デバイス、たとえば、磁気ディスク、光磁気ディスクもしくは光ディスクも含む、または1つもしくは複数の大容量記憶デバイスからデータを受信するまたは1つもしくは複数の大容量記憶デバイスにデータを転送する、または両方を行うよう作動可能に連結されることになる。しかし、コンピュータはそのようなデバイスを有する必要はない。
【0085】
コンピュータプログラム命令およびデータを記憶するのに適したコンピュータ可読媒体には、例として、半導体記憶デバイス、たとえば、EPROM、EEPROMおよびフラッシュメモリデバイス;磁気ディスク、たとえば、内臓ハードディスクまたはリムーバブルディスク;光磁気ディスク;ならびにCD ROMおよびDVD ROMディスクを含む、あらゆる形態の不揮発性メモリー、媒体およびメモリーデバイスが挙げられる。プロセッサーおよびメモリーは、専用論理回路により補完されるまたは専用論理回路に組み込まれることが可能である。
【0086】
使用者との相互作用を提供するため、本明細書に記載される主題の実施形態は、使用者に情報を提示するための表示デバイス、たとえば、CRT(陰極線管)モニターまたはLCD(液晶ディスプレー)、またはOLED(有機発光ダイオード、もしくは有機ELディスプレー)パネル、ならびに使用者がコンピュータに入力することができるよう用いるキーボードおよびポインティングデバイス、たとえば、マウス、トラックパッド、ライトペンまたはトラックボールを有するコンピュータにおいて実装することが可能である。他の種類のデバイスを使用して、使用者との相互作用も同様に提供することができ、たとえば、使用者に与えられるフィードバックは、どんな形態の感覚フィードバックでも、たとえば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバックでも可能であり、使用者からの入力は、音響入力、音声入力または触覚入力を含むどんな形態でも受信することが可能である。
【0087】
本明細書に記載される主題の実施形態は、たとえば、データサーバーとしてバックエンドコンポーネントを含む、またはミドルウェアコンポーネント、たとえば、アプリケーションサーバーを含む、またはフロントエンドコンポーネント、たとえば、使用者が本明細書に記載される主題の実装と相互作用することができるよう用いるグラフィックユーザーインターフェイスもしくはウェブブラウザを有するクライアントコンピュータ、または1つもしくは複数のそのようなバックエンド、ミドルウェア、もしくはフロントエンドコンポーネントのどんな組合せでも含む計算システムにおいて実装することが可能である。システムのコンポーネントは、どんな形態または媒体のデジタルデータ通信、たとえば、通信ネットワークによっても相互に接続することが可能である。通信ネットワークの例には、ローカルエリアネットワーク(LAN)および広域ネットワーク(WAN)、たとえば、インターネットが挙げられる。
【0088】
計算システムはクライアントおよびサーバーを含むことが可能である。クライアントとサーバーは一般に互いに離れており、典型的には通信ネットワークを通じて互いに作用する。クライアントとサーバーの関係は、それぞれのコンピュータで動作し互いにクライアントサーバー関係を有するコンピュータプログラムのおかげで生じる。
【0089】
本明細書は多くの特定の実装詳細を含有するが、これらは、いかなる発明の範囲または特許請求の範囲を制限するものとしてではなく、むしろ特定の発明の特定の実施形態に特有である可能性がある特徴の記述として解釈されるべきである。別個の実施形態という文脈において本明細書に記載されているある種の特徴も、1つの実施形態において組み合わせて実装することが可能である。反対に、1つの実施形態という文脈において記載されている様々な特徴も、複数の実施形態において別個にまたは任意の適切なサブコンビネーションにおいて実装することが可能である。さらに、特徴はある種の組合せにおいて作用するとして本明細書に記載されており、そのようなものとして最初に主張さえされているとしても、主張される組合せ由来の1つ以上の特徴はいくつかの場合にはその組合せから削除することが可能であり、主張される組合せはサブコンビネーションまたはサブコンビネーションの変化に向けられることもある。
【0090】
同様に、操作は特定の順に図に描かれているが、これは、そのような操作が示される特定の順にもしくは順番に実施されること、または例示される操作はすべて望ましい結果を得るために実施されることを要求していると理解されるべきではない。ある種の状況では、マルチタスクおよび並列処理が有利なこともある。さらに、本明細書に記載される実施形態において様々なシステムコンポーネントの分離は、すべての実施形態においてそのような分離を要求していると理解されるべきではなく、記載されるプログラムコンポーネントおよびシステムは一般に1つのソフトウェア製品において1つに統合する、または複数のソフトウェア製品にパッケージすることが可能であると理解されるべきである。
【0091】
本明細書に記載される主題の特定の実施形態が説明されてきた。他の実施形態は以下の特許請求の範囲の範囲内である。たとえば、特許請求の範囲に列挙されるアクションは異なる順に実施され、それでも望ましい結果を得ることが可能である。一例として、添付図に描かれているプロセスは、望ましい結果を得るためには、示される特定の順、または順番を必ずしも必要としない。ある種の実装では、マルチタスクおよび並列処理が有利なこともある。
【0092】
本明細書の記載および特許請求の範囲全体において、用語「含む(comprise)」および「含んでいる(comprising)」および「含む(comprises)」などのその変形は、他の添加物、成分、完全体またはステップを排除することを目的としていない。
【0093】
別途に定義されなければ、本明細書に使用される専門用語および科学用語はすべて、本技術が属する分野の当業者に一般に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書に記載される方法および材料に類似するまたは等価な方法および材料を本技術の実行または試験において使用することは可能であるが、適切な方法および材料は下に記載されている。本明細書において言及される出版物、特許出願、特許および他の参考文献はすべて、参照によりその全体を組み込まれている。争いが発生した場合、定義を含む本明細書が支配することになる。さらに、本明細書に記載される材料、方法および例は、説明的なものにすぎず、限定的であることを目的としない。本明細書に記載される技術の他の特徴および利点は、詳細な説明からおよび特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図1A】

【図1B】

【図1C】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞含有試料における複数の細胞の核を計数するためのコンピュータ実装法であって、
前記細胞含有試料の原画像を受信する工程;
前記原画像を、対照的背景上に1つ以上の核クラスターを含むセグメント画像に変換する工程;
前記1つ以上の核クラスターごとに:
前記核クラスターの凸包を得る工程;
前記核クラスターを前記核クラスターの前記凸包と比較する工程により前記核クラスター上のどんな欠刻でも位置を突き止める工程;
前記欠刻の集計に基づいて前記核クラスターについて第一の核計数を計算する工程;および
前記核クラスターを前記複数の細胞のうちの1つの細胞に割り当てる工程;
前記複数の細胞の細胞ごとに、それを構成する核クラスターの前記第一の核計数を総計する工程により第二の核計数を計算する工程;ならびに
前記複数の細胞のうちの少なくとも1つについての前記第二の核計数に基づいて結果を生み出す工程、
を含む方法。
【請求項2】
前記結果を生み出す工程が、
前記複数の細胞それぞれをその第二の核計数に基づいて、単核、二核または多核に分類する工程、および
少なくとも1つの分類の細胞の集計を提示する工程、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記細胞含有試料の前記原画像が、前記細胞含有試料における前記細胞の染色された核の蛍光画像である、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記原画像が、単一蛍光画像チャネルから得られる単色画像である、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記原画像における核の推定サイズおよび最小強度を指定する1つ以上の核パラメータを受信する工程をさらに含み;
前記原画像を前記1つ以上の核クラスターを含むセグメント画像に変換する工程が、前記1つ以上の核パラメータに基づいて前記原画像から核クラスターを分離する工程をさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記セグメント画像がバイナリー画像である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記核クラスター上のどんな欠刻でも位置を突き止める工程が:
前記核クラスターの前記凸包を含むフィルター画像を得る工程;および
前記セグメント画像における前記核クラスターを前記フィルター画像におけるそのそれぞれの凸包から減算する工程をさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
単一細胞に所属する2つの核間の最大距離を指定するパラメータを受信する工程をさらに含み;
前記核クラスターを細胞に割り当てる工程が:
前記核クラスターの前記第一の核計数と第二の核クラスターの前記第一の核計数とが両方とも1に等しい場合には、
前記核クラスターと前記第二の核クラスターとの間の分離距離を決定し;
前記分離距離が前記最大距離よりも少ない場合に前記核クラスターおよび前記第二の核クラスターを共通の細胞に割り当てる工程をさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記細胞含有試料における前記細胞の染色された細胞質を含む第二の原画像を受信する工程;
前記第二の原画像における前記核クラスターの位置と前記第二の核クラスターの位置との間の強度ギャップを検出する工程により、前記核クラスターおよび前記第二の核クラスターの細胞割り当てを検証する工程、
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
1つ以上の欠刻を有する核クラスターごとに:
前記セグメント画像における前記1つ以上の欠刻それぞれのサイズを増強し;
前記核クラスターを前記欠刻において2つ以上の核に分割する工程、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記結果を生み出す工程が:
前記複数の細胞のそれぞれを、その第二の核計数に従って分類に割り当てる工程;
前記分類のうちの1つ以上からの細胞を含む細胞マップを提示する工程であって、各分類からの細胞が共通の特徴によって同定され、前記細胞のうちの少なくとも1つが前記分割から生じた核を含む、工程、
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記核クラスターを2つ以上の核に分割する工程が:
欠刻が増強されている前記セグメント画像における前記核クラスターに基づいて距離変換を得て、
前記距離変換に分水界変換を適用する工程により前記核クラスターにおける2つ以上の核間の境界を得る工程、
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記原画像における微小核についての推定サイズ、最小強度、および主要核からの距離範囲を指定する1つ以上の微小核パラメータを受信する工程;
前記原画像を、前記1つ以上の微小核パラメータに基づいて1つ以上の非付着微小核を含む第二のセグメント画像に変換する工程;
前記原画像を、1つ以上の核クラスターを含む第三のセグメント画像に、前記1つ以上の微小核パラメータに基づいて、前記第三のセグメント画像が前記1つ以上の核クラスターにおいて付着微小核を含むのに十分な解像度を有するように、変換する工程;
前記第三のセグメント画像における前記1つ以上の核クラスターにおいてどんな付着微小核でも検出する工程;
前記非付着および前記付着微小核のそれぞれを、前記複数の細胞のうちの1つの細胞に割り当てる工程;ならびに
前記細胞に割り当てられる前記非付着および前記付着微小核を集計する工程により前記複数の細胞ごとに微小核計数を計算する工程、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
どんな付着微小核も検出する工程が:
前記第三のセグメント画像における各核クラスターを、前記第一のセグメント画像におけるその対応する核クラスターから減算する工程;および
前記減算から生じた画像から付着微小核を同定する工程、
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記結果を生み出す工程が:
前記複数の細胞のうちの少なくとも1つの前記第二の核計数および前記微小核計数に基づく結果を提示する工程、
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記非付着および付着微小核のそれぞれを前記複数の細胞のうちの1つの細胞に割り当てる工程が:
各付着微小核を、前記微小核が付着している核を含有する細胞に割り当てる工程;
非付着微小核ごとに:
前記非付着微小核と隣接する核クラスターとの間の距離を計算する工程;および
前記距離が前記1つ以上の微小核パラメータにより指定される距離範囲内であれば、前記非付着微小核を、前記核クラスターを含有する細胞に割り当てる工程、
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つのプロセッサーにより実行されると:
細胞含有試料の原画像を受信する工程;
前記原画像を、対照的背景上で1つ以上の核クラスターを含むセグメント画像に変換する工程;
前記1つ以上の核クラスターごとに:
前記核クラスターの凸包を得る工程;
前記核クラスターを前記核クラスターの前記凸包と比較する工程により前記核クラスター上のどんな欠刻でも位置を突き止める工程;
前記欠刻の集計に基づいて第一の核計数を計算する工程;および
前記核クラスターを前記複数の細胞のうちの1つの細胞に割り当てる工程;
前記複数の細胞の細胞ごとに、それを構成する核クラスターの前記第一の核計数を総計する工程により第二の核計数を計算する工程;ならびに
前記複数の細胞のうちの少なくとも1つについての前記第二の核計数に基づいて結果を生み出す工程、
を含む操作を前記プロセッサーに実施させる、命令がその上に記憶されているコンピュータ可読媒体。
【請求項18】
1つ以上のプロセッサーと;
前記1つ以上のプロセッサーに連結されたメモリーであって、
前記1つ以上のプロセッサーにより実行されると、
細胞含有試料の原画像を受信する工程;
前記原画像を、対照的背景上で1つ以上の核クラスターを含むセグメント画像に変換する工程;
前記1つ以上の核クラスターごとに:
前記核クラスターの凸包を得る工程;
前記核クラスターを前記核クラスターの前記凸包と比較する工程により前記核クラスター上のどんな欠刻でも位置を突き止める工程;
前記欠刻の集計に基づいて第一の核計数を計算する工程;および
前記核クラスターを前記複数の細胞のうちの1つの細胞に割り当てる工程;
前記複数の細胞の細胞ごとに、それを構成する核クラスターの前記第一の核計数を総計する工程により第二の核計数を計算する工程;ならびに
前記複数の細胞のうちの少なくとも1つについての前記第二の核計数に基づく結果を使用者に提示する工程、
を含む操作を前記1つ以上のプロセッサーに実施させる、命令を記憶するために作動可能なメモリーと、
を含むシステム。
【請求項19】
細胞含有試料における細胞核を計数する方法であって:
核染色を前記細胞含有試料に適用する工程;
前記染色を適用後、前記細胞含有試料の画像を記録する工程;
前記画像において核の1つ以上のクラスターの凸包を得る工程;
凸包が得られる前記1つ以上のクラスターごとに:
前記クラスターにおける核を数を確認する工程;および
前記クラスターを細胞に割り当てる工程;および
前記試料における細胞に存在する核の数を提供する工程、
を含む方法。
【請求項20】
前記画像が蛍光画像装置により記録される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記細胞含有試料が、多ウェルプレートのウェルに置かれている、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
細胞含有試料における細胞核を計数する方法であって、
核染色を前記細胞含有試料に適用する工程;
蛍光画像装置の単一チャネルを使用して前記細胞含有試料の画像を得る工程;および
前記細胞含有試料における細胞の細胞質をマークする第二の染色を適用することなく、
前記細胞含有試料の前記画像を解析して前記画像における細胞核の数の計数を得る工程、を含む方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2012−511906(P2012−511906A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540903(P2011−540903)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/067560
【国際公開番号】WO2010/068799
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(511227336)モレキュラー デバイシーズ, エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】