説明

多機能周辺装置

【課題】 ファクシミリ機能およびプリンタ機能を同時に実現可能な多機能周辺装置において、リソースとして共通に用いられるプリンタ部の確保等を適切に行って、効率よく印刷処理を進めることができるようにする。
【解決手段】 FAXタスクとプリンタタスクとをマルチタスク処理にて時分割で並列処理する際に、プリンタタスクはホスト装置からのプリント要求があるか否かを判断し(S41)、プリント要求があれば、フラグ記憶エリアに記憶されているフラグを参照することによって、プリンタ部が動作中であるか否かを確認し(S43)、プリンタ部が動作中でなければ、フラグをオンにしてリソースを確保してから(S44)、プリンタ部を使用して、ホスト装置から送られてきたプリントデータの印刷処理を行い、使用後は、フラグをオフにしてリソースを解放する(S47)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ機能とプリンタ等の画像形成機能とを備え、パーソナルコンピューター等のホスト装置に接続される多機能周辺装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピューターの周辺装置としての機能を複数備えた多機能周辺装置が開発されている。その多機能周辺装置の一例として、ファクシミリ装置にプリンタとしての機能を付加したプリンタ機能付きファクシミリ装置がある。このプリンタ機能付きファクシミリ装置は、ファクシミリ装置が本来ファクシミリデータの印刷のために備えているプリンタを使用して、パーソナルコンピューターやワードプロセッサ等の外部装置から出力されるプリントデータをも印刷できるように構成したものである。このプリンタ機能付きファクシミリ装置は、他のファクシミリ装置等から通信回線を介して送信されたファクシミリデータを受信すると、そのファクシミリデータを印刷し、一方、パーソナルコンピューター等の外部装置から出力されたプリントデータを入力すると、そのプリントデータを印刷する。
【0003】
かかるプリンタ機能付きファクシミリ装置(多機能周辺装置)では、ファクシミリ装置にプリンタ(印刷装置)を付加した構成であるので、ファクシミリ制御用のCPUとプリンタ制御用のCPUとの2個のCPUを備えていた。ファクシミリデータの受信とプリントデータの入力とは同時に行われることもあるが、それぞれの制御用に個々のCPUが設けられていたので、ファクシミリデータの受信印刷処理とプリントデータの入力印刷処理とは、問題なく並行して実行することができた。
【0004】
しかし、かかる構成では2個のCPUを使用しているので、製品のコストを抑えることがどうしても困難であった。そこで、ファクシミリ関連の制御とプリンタ関連の制御とを1/60秒間隔の時分割で切り換えて制御するマルチタスク処理を採用し、1個のCPUにより、両制御を同時に(並行して)実行可能とすることを試みた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ファクシミリ動作とプリント動作の並列処理を行うと言っても、受信したファクシミリデータのプリント中にホスト装置からのプリント要求があった場合には、該ホスト装置から出力されるデータとファクシミリデータとを同時にプリントさせることはできないため、例えば、ホスト装置からのプリント要求を拒否することなく、そのまま待機してプリント可能となった時にリソースを確保して、ホスト装置から送られてきたプリントデータの印刷処理を行うといった処理を適切に行う必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、1つのCPUにより時分割方式にて2組以上の制御プログラムを並行処理することにより、複数の機能を同時に実現可能な多機能周辺装置において、リソースとしてのプリンタ部が複数の機能に共通に用いられる場合であっても、各機能毎にリソースの確保等を適切に行って、効率よく印刷処理を進めることができるようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の多機能周辺装置は、前記課題を解決するために、1つのCPU,ROM及びRAMと、少なくともプリンタ機能を含む複数の機能に共通に用いるプリンタ部を備え、前記ROMに複数の機能に対応する複数組の制御プログラムを組み込み、時分割方式にて2組以上の制御プログラムを並行処理することにより、複数の機能を同時に実現可能な多機能周辺装置において、前記プリンタ部が動作中であるか否かを示すフラグを記憶するためのフラグ記憶エリアを前記RAMの一部に割り当てるとともに、各組の制御プログラムの実行に際して前記プリンタ部を使用する場合には、各組の制御プログラムが前記フラグ記憶エリアに記憶されているフラグを参照することによって、プリンタ部が動作中であるか否かを確認し、プリンタ部が動作中でなければ、前記フラグをオンにしてリソースを確保してから、前記プリンタ部を使用し、使用後は、前記フラグをオフにしてリソースを解放するように構成したことを特徴としている。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の多機能周辺装置において、前記プリンタ部を共通に用いる複数の機能としてプリンタ機能の他にファクシミリ機能を備え、前記ファクシミリ機能を実行する制御プログラムは、電話回線を介して受信したファクシミリデータを出力するために前記プリンタ部を使用し、前記プリンタ機能を実行する制御プログラムは、外部のホスト装置から受信した印字データを出力するために前記プリンタ部を使用することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の多機能周辺装置によれば、時分割方式にて2組以上の制御プログラムを並行処理することにより、複数の機能を同時に実現可能な多機能周辺装置において、リソースとしてのプリンタ部が複数の機能に共通に用いられる場合であっても、各機能毎にリソースの確保等を適切に行って、効率よく印刷処理を進めることができる。このため、各機能を実現する制御プログラムとは別に、リソースの管理のみを目的とした専用のプログラムが不要である。
【0010】
請求項2に記載の多機能周辺装置によれば、ファクシミリ機能を実行する制御プログラム、あるいは、プリンタ機能を実行する制御プログラムの他に、リソースの管理のみを目的とした専用のプログラムがなくとも、ファクシミリ機能あるいはプリンタ機能実現する各組の制御プログラムが、共通のリソースとしてのプリンタ部の確保等を適切に行って、ファクシミリデータあるいは外部のホスト装置から受信した印字データを効率よく出力することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施の形態を図1から図7に基づいて説明する。図1は本発明の第1の実施形態における多機能周辺装置とホスト装置の斜視図、図2は該多機能周辺装置の断面図、図3は機能ブロック図である。
【0013】
図1及び図3に示すように、本発明の多機能周辺装置1は、接続手段としてのI/Oポート(入出力ポート)3及びケーブル4を介してホスト装置としてのPC(パーソナルコンピュータ)2に接続されている。
【0014】
この多機能周辺装置1は、ファクシミリ機能を実現するためのファクシミリ部と、該ファクシミリ部あるいはPC2から送信されるデータをプリントするプリンタ機能を実現するためのプリンタ部の双方を備えており、後述するようなマルチタスク処理により、両機能を並列的に発揮できるように構成されている。
【0015】
まず、ファクシミリ部には、図3に示すように、回線制御を行うためのNCU(ネットワーク・コントローラ・ユニット)5を備えており、該NCU5を介して電話回線に接続される。また、制御手段としてのCPU10はバスラインを介して以下の装置各部と接続され、所定の通信制御手順に従って、装置各部を制御してファクシミリ動作、つまりデータ通信を実現するものである。
【0016】
ファクシミリ通信用のモデム11は、デジタル信号としての画像情報をアナログ信号に変調し、NCU5を介して電話回線に伝送し、または、電話回線を介してNCU5から送られた画像情報としてのアナログ信号をデジタル信号に復調すると共に伝送制御用の各種信号を送受信するものである。
【0017】
バッファメモリ12は、電話回線を介して送受信される符号化された画像データを一時的に格納するための送信バッファ領域12aや、受信バッファ領域12b等の複数の領域を有している。
【0018】
ROM13はファクシミリ部だけでなくプリンタ部の制御を後述するようなマルチタスク処理により行うための制御プログラムを格納している。EEPROM14は相手先のダイヤル番号及び相手先名称とワンタッチ番号とのデータ等の各種設定情報を記憶させる。このEEPROM14は、多機能周辺装置1の電源をOFFしたとしても内容が消去しないものである。RAM15は、動作実行時の各種データを一時的に記憶させるものである。
【0019】
スキャナ16は、図2に示すように、原稿32の画像を読み取るための手段であり、次のように構成されている。まず本体1aの上側に配置された原稿置きテーブル31上に複数枚重ねられた原稿32は、分離体33と第1搬送ローラ34とにより、一枚ずつ分離されて第2搬送ローラ対35の方向に送られる。この第2搬送ローラ対35から排紙ローラ36へ搬送する原稿32の表面(本実施形態では下面)は、その間に配置された読み取り部37にて、光源部38からの光を照射され、反射光はレンズ系や反射系を介してラインイメージセンサ等の読み取りヘッド39に入り、読み取りヘッド39にて原稿32の1ページごとの画像データが得られる。
【0020】
このようにして該スキャナ16にて読み取った画像データは、図3に示す符号化部17にて符号化し、送信バッファ領域12aを介して順次自動的に送信するか、または画像メモリ19に一旦格納した後、指定時刻に送信する。時刻指定送信は、被呼側のファクシミリ装置との間で時差があるときやグループ送信する場合に便利である。また、PC2から出力される画像データは、画像メモリ19に一旦格納した後、プリンタ部によって印刷することができる。
【0021】
一方、ファクシミリ部においてリアルタイムで記録を実行する通常の受信動作では、電話回線を介して他のファクシミリ装置との間で所定の通信制御手順を行ってから、送信画像情報を受信し、受信バッファ領域12bにて画像データとして一旦記憶する。この画像データを復号化部20にて復号化(伸長)し、それを画像メモリ19のビットイメージ記憶エリアに1ページ単位での格納のためにドットイメージに展開して書き込む。そして、所定の解像度によりビット展開し、これをプリンタ18に送って1ページ単位で画像化(印刷)が行われる。
【0022】
また、ファクシミリ部に設けた操作部21には、図1に示すように当該ファクシミリ部の動作状態や、相手先名称等の登録用文字を表示するための液晶表示部等の表示部43を備えると共に、オペレータが各種の操作を実行するためのテンキー44、ファンクションキー45、ワンタッチ登録キー46、短縮キー47等を備えている。
【0023】
以上のようにファクシミリ部においては、第1の送受信手段として、NCU5,モデム11,バッファメモリ12,スキャナ16,符号化部17,画像メモリ19,並びに復号化部20等を備え、制御手段としてのCPU10の制御によりファクシミリ機能を実現させている。
【0024】
また、データ出力手段としての外部のファクシミリ装置からのデータを、NCU5,モデム11,バッファメモリ12,並びに復号化部20等のデータ入力手段により入力し、制御手段としてのCPU10の制御により入力したデータを下記プリンタ部でプリントするようになっている。
【0025】
次に、画像形成手段としてのプリンタ部について説明する。プリンタ18は、画面メモリ19に格納された画像データ等を記録材としての記録紙にハードコピーとして記録するものであり、このデータには、前記ファクシミリ部により受信したデータの他に、データ出力手段としてのPC2の送信手段から送信され、データ入力手段としての画像メモリ19により格納されたデータも含まれる。
【0026】
つまり、CPU10及び画像メモリ19は第2の送受信手段として機能しており、接続手段としてのI/Oポート3とケーブル4を介して、プリンタ部とPC2とのデータの送受信が行われている。そして、PC2から出力される画像データは、画像メモリ19に一旦格納された後、プリンタ18にてプリントされ、これらのデータの入出力処理及び格納処理等は前記CPU10の制御により行われている。
【0027】
プリンタ18の具体的な構成は、図2に示されている。同図に示すように、ファクシミリ装置1の本体1aの後部には、給紙カセット22が設けられており、該給紙カセット22内の記録紙23は、給紙部の半月状の給紙ローラ24等にて、記録部における感光体ドラム25に向かって給紙される。次に、光走査ユニット26から照射するレーザ光の走査にて感光体ドラム25に潜像が形成され、トナーカートリッジ27及び現像装置28から供給されるトナーを用いて前記潜像が現像され、記録紙23に転写され、加熱ローラと加圧ローラとからなる定着装置29を通過することによりトナー像が定着され、排紙トレイ30に送り出される。このように本実施形態のプリンタ18は静電電子写真記録方式のプリンタである。
【0028】
なお、プリンタ18としてサーマルヘッドにて感熱紙に画像を印字するサーマルプリンタ方式等を採用することもできる。
【0029】
以上のような構成により、本実施形態においては、1つのCPUにてファクシミリ動作とプリント動作の並列処理が行われているが、受信したファクシミリデータをプリントしている時に、PC2からのプリント要求があった場合には、同時にプリントさせることはできない。また、PC2から出力されたデータをプリントしている時に、ファクシミリデータのプリント要求があった場合も同様である。
【0030】
従って、プリント動作中に発生したプリント要求については、これを受け付けることを拒否し、PC2あるいはファクシミリ部へBUSY信号等を出力する構成も考えられる。
【0031】
しかしながら、この構成では、例えばファクシミリデータについてのプリントが終了寸前であり、僅かな時間だけ待機すればプリントが可能な状況においても、再度PC2からプリント要求を送信しなければならず、非常に不便である。
【0032】
そこで、本実施形態においては、ファクシミリデータをプリント中にPC2からのプリント要求があった場合、もしくはPC2からのデータをプリント中にファクシミリデータのプリント要求があった場合には、プリント中のデータについてのプリントが終了するまでは当該プリント要求を有効なものとして取り扱い、BUSY信号等を出力することなくファクシミリデータのプリントの終了後にPCからのデータをプリントするように構成した。以下、本実施形態におけるプリント処理について図4のタイミングチャートと図5乃至図8のフローチャートとに基づいて説明する。
【0033】
本実施形態においては、図4に示すように、1/60秒間隔でFAXタスクとプリンタタスクが切り換えられ、FAX関連の動作とプリンタ関連の動作を時分割で並行処理することで、1つのCPUによりFAX関連の動作とプリンタ関連の動作とを同時に実行可能としている。
【0034】
FAXタスクは、図5に示すように大きく2つの処理に分けられている。まずキー処理(ステップS10)は、前記操作部21からキー入力があるか否かをチェックして、例えばファクシミリ送信キーか操作された場合には、これに応じてファクシミリデータの送信処理等を行う処理である。次に、受信処理は(ステップS20)、外部のファクシミリ装置から着信要求があった場合に、上述したようにバッファメモリ12に受信したデータを格納し、PC2へデータを送信するか、あるいはプリンタ部へプリント要求を出してファクシミリデータの印刷を行う処理である。従って、この受信処理においては、受信データをPC2に取り込むモードが選択されている場合にはPC2へのデータ送信を行うが、通常のファクシミリモードが選択されている場合にはプリンタ18により記録紙への印刷が行われる。
【0035】
以下の説明では、ファクシミリ受信したデータを記録紙に印刷(プリント)する通常のモードが選択されているものとする。
【0036】
図6は、FAXタスクにおけるファクシミリデータの受信処理(ステップS20)の詳細を示すフローチャートである。この処理では、他のファクシミリ装置から着信要求があると(ステップS21;YES)、まず、電話回線を閉結して、当該ファクシミリ装置から送信されたファクシミリデータを受信し、そのデータを受信バッファ12bに書き込むファクシミリ受信動作を開始する(ステップS22)。これと共に、受信バッファ12bに書き込まれたファクシミリデータを、直ちにプリンタ部によって記録紙に印刷することが可能か否か、即ち、プリンタ18を使用することができる(リソースを確保できる)か否かがチェックされる(ステップS23)。
【0037】
具体的には、RAM15の一部に割り当てられたフラグ記憶エリアに格納されているフラグの1つであって、プリンタ18が動作中であるか否かを示すフラグ(以下、プリンタ動作中フラグと称す)がオンされていて、リソースを確保することができなければ(ステップS23;NO)、プリンタ18はPC2から出力されるプリントデータや、後述するコピー処理によってスキャナ16で読み取られたスキャナデータ等の印刷中であるので、かかるプリンタ動作中フラグがオフされプリンタ18が解放されるまで、即ち、リソースを確保できるようになるまで待機する。
【0038】
そして、プリンタ動作中フラグのオフが確認され、リソースを確保できるようになると(ステップS23;YES)、直ちにプリンタ動作中フラグをオンして、ファクシミリデータの印刷処理のためにプリンタ18を専有する。即ち、リソースを確保する(ステップS24)。以降は、ステップS27の処理によってプリンタ動作中フラグがオフ(リソースが解放)されるまでの間、図7に示すPC2からのプリントデータの印刷処理や、図8に示すコピー処理でのプリンタ18の使用が禁止される。
【0039】
プリンタ動作中フラグをオンしてリソースを確保した後(ステップS24)、CPU10は、受信バッファ12bからファクシミリデータを読み出し、復号化部20によりビットイメージに展開してその展開されたデータを画像メモリ19に書き込む。そして、1頁分のファクシミリデータがビットイメージに展開されて画像メモリ19に書き込まれる毎に、そのデータがプリンタ18に出力されてファクシミリデータの印刷が行われる(ステップS25)。
【0040】
受信バッファ12bに記憶される全てのファクシミリデータを印刷するまで(ステップS26;NO)、ビットイメージへの展開並びに印刷処理(ステップS25)を繰り返し、受信バッファ12bに記憶される全てのファクシミリデータが印刷されると(ステップS26;YES)、プリンタ動作中フラグをオフしてリソースを解放し、それまで専有していたプリンタ18を他の処理が使用できるように解放して(ステップS27)、ファクシミリデータの受信処理を終了する。
【0041】
次に、プリンタタスクは、図5に示すようにプリント処理(ステップS40)のみを行い、このプリント処理は、I/Oポート3を介してPC2からプリント要求があった場合に、プリンタ18を用いて画像メモリ19に一旦格納したデータのプリント出力を行う処理である。
【0042】
次に、図7を用いてFAXタスク中において実行されるプリント処理(ステップS40)の詳細について説明する。この処理では、まずPC2側からプリント要求があったか否かを判断する(ステップS41)。プリント要求が無い場合には(ステップS41;NO)、そのまま終了するが、プリント要求があると判断される場合には(ステップS41;YES)、PC2から送信されてくるプリントデータを受信し、その受信データを画像メモリ19に書き込むプリントデータ受信処理を開始する(ステップS42)。次に、プリンタ動作中フラグを用いてリソースを確保できるか否か、即ち、現在プリンタ18が使用中であるか否かを判断する(ステップS43)。ここでプリンタ動作フラグがオフされていて、プリンタ18が使用されていない場合には(ステップS43;YES)、プリンタ動作中フラグをオンしてリソースの確保を行う(ステップS44)。即ち、プリンタ18をPC2側で用いるべく確保し、プリントデータの印刷処理のためにプリンタ18を専有する。以降は、ステップS47の処理によってプリンタ動作中フラグがオフ(リソースが解放)されるまでの間、図6に示すファクシミリデータの受信処理や、図8に示すコピー処理でのプリンタ18の使用が禁止される。
【0043】
一方、プリント要求があると判断した場合でも(ステップS41;YES)、既にプリント動作が行われている場合には、PC2側からのプリント要求を拒否することなく、リソースを確保できるまで、即ちプリント可能となるまで待機する(ステップS43;NO)。プリント可能な状態とは、例えば現在行われているファクシミリデータあるいはコピーの印刷処理が終了し、プリンタ動作中フラグがオフされた場合である。
【0044】
このように、プリンタ18でプリント動作が行われていない場合には直ちにリソースが確保され、プリンタタスク中のプリンタ処理においてプリント動作が行われるが、プリント動作中であっても、プリント要求を有効としてプリント可能となるまで待機し、プリント可能となった時点でリソースを確保するようにしたので、PC2側からの再度のプリント要求の送信は不要となる。
【0045】
次に、上述したリソース確保処理を行って、リソースを確保できた場合には(ステップS44)、プリント動作を開始する。即ち、画像メモリ19に書き込まれたプリントデータを読み出し、プリンタ18に出力して、その印刷(プリント)を行わせる。以後、プリントデータの全ての印刷処理が終了した否かを判断しつつ(ステップS46)、プリント動作を継続する。そして、プリントが全て終了した場合には(ステップS46;YES)、プリンタ動作中フラグをオフしてリソースを解放し(ステップS47)、それまで専有していたプリンタ18を他の処理が使用できるようにしてから、プリント処理を終了する。
【0046】
図8は、コピー処理の詳細を示すフローチャートである。このコピー処理は、FAXタスクのキー処理(ステップS10)において、コピー開始キーの操作が検出された場合に実行されるものであり、まず、コピー動作が可能であるか否か、即ち、スキャナ16で読み取ったスキャナデータをプリンタ18によって記録紙に印刷することが可能か否か(リソースを確保できるか否か)がチェックされる(ステップS51)。
【0047】
そして、プリンタ動作中フラグがオンされていれば、プリンタ18はPC2から出力されるプリントデータや、ファクシミリ受信したデータの印刷中であって、リソースを確保することができないので(ステップS51;NO)、コピーを拒否する旨の処理、例えば、表示部43に「現在プリンタ使用中のためコピー不可」等のメッセージを表示して(ステップS56)、コピー開始キーの操作を無効なものとして取扱い、直ちにコピー処理を終了する。
【0048】
また、プリンタ動作中フラグのオフが確認され、リソースを確保できるようになると(ステップS51;YES)、直ちにプリンタ動作中フラグをオンしてリソースを確保し、コピーの印刷処理のためにプリンタ18を専有する(ステップS52)。以降は、ステップS55の処理によってプリンタ動作中フラグがオフ(リソースが解放される)までの間、図6に示すファクシミリ受信処理や、図7に示すPC2からのプリントデータの印刷処理でのプリンタ18の使用が禁止される。
【0049】
プリンタ動作中フラグをオンしてリソースを確保した後(ステップS52)、CPU10は、スキャナ16を用いて原稿置きテーブル31にセットされている原稿を読み取り、その読み取り信号(スキャナデータ)をプリンタ18に出力して記録紙への印刷を行う(ステップS54)。
【0050】
原稿置きテーブル31にセットされた全ての原稿を印刷するまで(ステップS54;NO)、スキャナ16による読み取り並びに印刷処理(ステップS54)を繰り返し、全ての原稿のコピーが終了すると(ステップS54;YES)、プリンタ動作中フラグをオフしてリソースを解放し、それまで専有していたプリンタ18の他の処理が使用できるように解放して(ステップS55)、コピー処理を終了する。
【0051】
以上説明したように、本実施形態の多機能周辺装置1によれば、1個のCPU10により、1台のプリンタ18を共通に使用して、図6に示すファクシミリ受信データの印刷処理と、図7に示すホスト装置(PC2)からのプリントデータの印刷処理と、図8に示すコピーのための印刷処理とを不具合なく並行処理することができる。
【0052】
しかも、本実施形態によれば、ファクシミリデータのプリント中やコピー中にPC2からのプリント要求があった場合、またはPC2からのデータのプリント中やコピー中にファクシミリ部からのプリント要求があった場合に、リソースが確保可能となるまでプリント要求を有効なものとして待機するので、外部のファクシミリ装置からの送信要求を拒否したり、PC2からのプリント要求を拒否することなく、ファクシミリデータのプリントとPC2からのデータのプリントとの双方のプリントを行うことができる。
【0053】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図9に基づいて説明する。本実施形態は、プリンタタスクで実行されるプリント処理(ステップS40)において、プリント要求を有効にしつつ待機する期間を所定期間に限ったところが第1の実施形態と異なり、その他の処理は共通である。以下、本実施形態のプリント処理について図9のフローチャートを用いて説明する。なお、第1の実施形態の共通箇所には同一符号を付し、また、リソース確保処理以降の他の共通する処理の説明は省略する。
【0054】
まず第1の実施形態と同様にPC2側からプリント要求があるか否かを判断し(ステップS41)、プリント要求が無い場合には(ステップS41;NO)、そのまま終了する。しかし、プリント要求が有る場合には(ステップS41;YES)、プリントデータ受信処理を開始すると共に(ステップS42)、プリンタ動作中フラグを用いてリソースを確保できるか否か、即ち、現在プリンタ18が使用中であるか否かを判断する(ステップS43)。ここでプリンタ動作中フラグがオフとなっていて、リソースを確保できる場合には(ステップS43;YES)、直ちにプリンタ動作中フラグをオンしてリソースの確保を行うが(ステップS44)、既にプリント動作が行われていてリソースを確保できない場合には(ステップS43;NO)、PC2側からのプリント要求を拒否することなく、所定期間経過前までは(ステップS48;NO)、プリンタ動作中フラグがオフされてリソースを確保できるようになるまで待機する。しかし、リソースを確保することができないまま所定期間が経過した場合には(ステップS48;YES)、例えばPC2に対してBUSY信号等を出力し、プリント要求を拒否する旨のプリント要求無効処理を行う(ステップS49)。
【0055】
以上のように、本実施形態によれば、リソース確保のための待機期間を所定期間に限るため、例えばファクシミリデータが多量でプリントに非常に時間がかかる場合等には、PC2側をプリント制御から開放させることができ、プリンタ18に対するアクセスの自由度を高めることができる。
【0056】
なお、前記所定期間についてはユーザーによって適宜設定できるようにすることも可能であり、例えば、複数枚のファクシミリデータを受信して印刷処理するのに要する時間等とすれば良い。このように設定することにより、一乃至数枚のファクシミリデータの受信に対しては、比較的短時間で処理が終了するので、第1の実施形態と同様にプリント可能となるまで待機することになり、多量のファクシミリデータを受信する時には前記所定期間を超えるため、プリント要求が無効とされる。
【0057】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態の共通箇所の説明は省略する。
【0058】
前記の実施形態では、ファクシミリデータのプリントと、PCデータのプリントに限って、リソースを確保することができない場合に、プリント要求を拒否することなく、リソースを確保できるまで待機するようにしたものであるが、本発明はこれに限られるものではなく、スキャナ部で読み取ったデータをプリントするコピー処理にも適用可能である。即ち、前記実施形態では、コピー開始キーを操作した場合に、リソースを確保できなければ、直ちにこれを拒否するようにしたものであるが、他の印刷処理と同様にリソースを確保できるまで待機するようにしても良い。これによれば、ファクシミリデータあるいはPCからのプリントデータの印刷中であっても、その印刷終了後にスキャナ部で読み取ったデータをプリントさせることが可能であり、一度スキャナ部に原稿をセットすれば再度キー操作を行う必要はなくなる。
【0059】
なお、多機能周辺装置1として、コピー機能を有するファクシミリ部とプリンタ部を備えた装置について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、いわゆるコピー装置とプリンタ装置とが一体となった多機能周辺装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施形態における多機能周辺装置とホスト装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における多機能周辺装置の概略構成を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における多機能周辺装置のハードウェア面から見た機能ブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態におけるマルチタスクを示すタイミングチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態におけるメインタスクであるFAXタスクとサブタスクであるプリンタタスクの処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施形態におけるファクシミリデータ受信処理の詳細を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施形態におけるプリント処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施形態におけるコピー処理の詳細を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施形態におけるプリント処理の詳細を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
1…多機能周辺装置
2…PC
3…I/Oポート
4…ケーブル
5…NCU
10…CPU
11…モデム
12…バッファメモリ
12a…送信バッファメモリ
12b…受信バッファメモリ
13…ROM
14…EEPROM
15…RAM
16…スキャナ
17…符号化部
18…プリンタ
19…画像メモリ
20…復号化部
21…操作部
22…給紙カセット
23…記録紙
24…給紙ローラ
25…感光体ドラム
26…光走査ユニット
27…トナーカートリッジ
28…現像装置
29…定着装置
30…排紙トレイ
31…原稿置きテーブル
32…原稿
33…分離体
34…第1搬送ローラ
35…第2搬送ローラ
36…排紙ローラ
37…読み取り部
38…光源部
39…読み取りヘッド
43…表示部
44…キー
45…ファンクションキー
46…ワンタッチ登録キー
47…短縮キー



【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのCPU,ROM及びRAMと、少なくともプリンタ機能を含む複数の機能に共通に用いるプリンタ部を備え、前記ROMに複数の機能に対応する複数組の制御プログラムを組み込み、時分割方式にて2組以上の制御プログラムを並行処理することにより、複数の機能を同時に実現可能な多機能周辺装置において、
前記プリンタ部が動作中であるか否かを示すフラグを記憶するためのフラグ記憶エリアを前記RAMの一部に割り当てるとともに、各組の制御プログラムの実行に際して前記プリンタ部を使用する場合には、各組の制御プログラムが前記フラグ記憶エリアに記憶されているフラグを参照することによって、プリンタ部が動作中であるか否かを確認し、プリンタ部が動作中でなければ、前記フラグをオンにしてリソースを確保してから、前記プリンタ部を使用し、使用後は、前記フラグをオフにしてリソースを解放するように構成したことを特徴とする多機能周辺装置。
【請求項2】
前記プリンタ部を共通に用いる複数の機能としてプリンタ機能の他にファクシミリ機能を備え、前記ファクシミリ機能を実行する制御プログラムは、電話回線を介して受信したファクシミリデータを出力するために前記プリンタ部を使用し、前記プリンタ機能を実行する制御プログラムは、外部のホスト装置から受信した印字データを出力するために前記プリンタ部を使用することを特徴とする請求項1に記載の多機能周辺装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−14369(P2006−14369A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−251208(P2005−251208)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【分割の表示】特願平8−270433の分割
【原出願日】平成8年10月14日(1996.10.14)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】