説明

多機能機

【課題】 多機能機が記憶する証明書の数を低減し得る技術を提供する。
【解決手段】 多機能機10は、対象機能の実行に使用されるべき新たな証明書を決定すべき特定の場合に、対象機能の証明書使用目的と一致する証明書使用目的の証明書の証明書IDを証明書テーブル32から特定する。また、多機能機10は、対象機能のカテゴリと一致するカテゴリの証明書の証明書IDを機能情報テーブル30から特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、複数の機能を実行する多機能機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、複数の機能を実行する多機能機が開示されている。この多機能機は、複数の機能のそれぞれについて、当該機能の実行のための証明書を記憶する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−59141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多機能機のメモリの容量には限りがあるために、多機能機が記憶する証明書の数をできる限り減らすことが好ましい。本明細書では、多機能機が記憶する証明書の数を低減し得る技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書によって開示される技術は、多機能機として具現化される。この多機能機は、実行部と、記憶部と、特定部と、を備える。実行部は、2以上の第1種のグループに分けられる複数の機能のそれぞれについて、当該機能の実行のための証明書を使用して、当該機能を実行する。記憶部は、2以上の第1種のグループのそれぞれについて、当該第1種のグループを示す第1種のグループ情報と、当該第1種のグループに属する機能の実行に使用可能な証明書と、が関連付けられた第1の特定の情報を記憶する。特定部は、特定の機能の実行に新たに使用されるべき証明書が決定されるべき特定の場合に、特定の機能が属する特定の第1種のグループを示す特定の第1種のグループ情報に関連付けられている第1の証明書を、新たに使用されるべき証明書として特定する。
【0006】
上記の多機能機では、特定部は、記憶部内に既に記憶されている証明書のうちから、特定の機能の実行に新たに使用されるべき証明書として、第1の証明書を特定することができる。この結果、多機能機は、特定の機能の実行に使用されるべき証明書を新たに記憶部に記憶させることなく、第1の証明書を用いて特定の機能を実行し得る。従って、多機能機の記憶部が記憶する証明書の数を低減し得る。
【0007】
各機能の内容に基づいて、複数の機能が2以上のカテゴリグループに区分される場合に、2以上の第1種のグループは、2以上のカテゴリグループであってもよい。第1の特定の情報は、複数の機能のそれぞれについて、当該機能を示す機能情報と、当該機能が属するカテゴリグループを示すカテゴリ情報と、当該機能の実行に使用されることが現時点で決定されている証明書と、が関連付けられた情報であってもよい。特定部は、特定の場合に、特定の機能を示す特定の機能情報と異なる機能情報に関連付けられている第1の証明書であって、特定の機能情報に関連付けられている特定のカテゴリ情報に一致するカテゴリ情報に関連付けられている第1の証明書を、新たに使用されるべき証明書として特定してもよい。本発明者は、多機能機が、同じカテゴリグループに属する2以上の機能を、同じ証明書を使用して実行できる可能性が高いことを発見した。この構成によると、特定部は、特定の機能の実行に新たに使用されるべき証明書が決定されるべき場合に、特定の機能と同じカテゴリグループに属する他の機能の実行に使用されることが現時点で決定されている第1の証明書を特定することができる。この結果、同じカテゴリグループに属する2以上の機能が、同じ第1の証明書を共用し得る。記憶部が記憶する証明書の数を低減し得る。
【0008】
各機能の実行に使用可能な証明書内に記述された証明書使用目的に基づいて、複数の機能が2以上の使用目的グループに区分される場合に、2以上の第1種のグループは、2以上の使用目的グループであってもよい。第1の特定の情報は、複数の機能のそれぞれについて、当該機能を示す機能情報と、当該機能が属する使用目的グループを示す使用目的情報と、が関連付けられた第1情報と、複数個の証明書のそれぞれについて、当該証明書と、当該証明書内に記述された証明書使用目的を示す使用目的情報と、が関連付けられた第2情報と、を含んでもよい。特定部は、特定の場合に、特定の機能を示す特定の機能情報に関連付けられた特定の使用目的情報に関連付けられた第1の証明書を、新たに使用されるべき証明書として特定してもよい。本発明者は、多機能機が、同じ使用目的グループに属する2以上の機能を、同じ証明書を使用して実行できる可能性が高いことを発見した。この構成によると、特定部は、特定の機能が属する使用目的グループを示す使用目的情報が記述された第1の証明書を特定することができる。この結果、同じ使用目的グループに属する2以上の機能が、同じ第1の証明書を共用し得る。記憶部が記憶する証明書の数を低減し得る。
【0009】
上記の多機能機は、第1提示部と、決定部と、をさらに備えてもよい。第1提示部は、特定部によって1個以上の第1の証明書が特定される場合に、1個以上の第1の証明書に対応する1個以上の証明書情報をユーザに提示してもよい。決定部は、1個以上の証明書情報のうちの1個の証明書情報がユーザによって選択される場合に、1個の証明書情報に対応する1個の証明書を、新たに使用されるべき証明書として決定してもよい。この構成によると、多機能機は、ユーザの選択に従って、特定の機能の実行に使用されるべき証明書を決定することができる。
【0010】
特定部によって複数個の第1の証明書が特定される場合に、第1提示部は、複数個の第1の証明書が順位付けされた状態で、複数個の第1の証明書に対応する複数個の証明書情報をユーザに提示してもよい。第1提示部は、残りの有効期間が長い程、上位になるように、複数個の第1の証明書を順位付けしてもよい。この構成によると、ユーザは、特定の機能の実行に使用されるべき証明書を選択する際に、残りの有効期間の長い証明書を容易に選択することができる。
【0011】
特定部によって複数個の第1の証明書が特定される場合に、第1提示部は、複数個の第1の証明書が順位付けされた状態で、複数個の第1の証明書に対応する複数個の証明書情報をユーザに提示してもよい。第1提示部は、インストールされた日時が新しい程、上位になるように、複数個の第1の証明書を順位付けしてもよい。この構成によると、ユーザは、特定の機能の実行に使用されるべき証明書を選択する際に、インストールされた日時が新しい証明書を容易に選択することができる。
【0012】
上記の特定の場合は、特定の機能の実行のための特定の証明書を外部からインストールするための操作をユーザが実行する場合であってもよい。第1提示部は、特定の証明書のインストールが実行される前に、1個以上の証明書情報をユーザに提示してもよい。決定部は、ユーザによって1個の証明書情報が選択される場合に、特定の証明書のインストールを実行せずに、1個の証明書情報に対応する1個の証明書を、新たに使用されるべき証明書として決定してもよい。決定部は、ユーザによって1個以上の証明書情報のいずれも選択されない場合に、特定の証明書のインストールを実行し、特定の証明書を、新たに使用されるべき証明書として決定してもよい。この構成によると、決定部は、ユーザによって選択された1個の証明書を、特定の機能の実行に使用されるべき新たな証明書として決定する。この場合、多機能機は、特定の証明書をインストールせずに済む。記憶部が特定の証明書を記憶せずに済む。さらに、決定部は、ユーザによって証明書が選択されない場合に、インストールされた特定の証明書を、特定の機能の実行に使用されるべき新たな証明書として決定する。この場合、多機能機は、ユーザが所望する特定の証明書を用いて、特定の機能を実行することができる。
【0013】
上記の特定の場合は、実行部が特定の機能を実行すべきタイミングが、特定の機能の実行に使用されることが現時点で決定されている決定済み証明書の有効期間外である場合であってもよい。実行部は、決定済み証明書の代わりに、特定部によって特定される第1の証明書を使用して、特定の機能を実行してもよい。この構成によると、実行部が特定の機能を実行すべきタイミングが、決定済み証明書の有効期間外であった場合に、実行部は、他の証明書を用いて、特定の機能を実行することができる。
【0014】
上記の複数の機能は、さらに、2以上の第2種のグループに分けられてもよい。記憶部は、さらに、2以上の第2種のグループのそれぞれについて、当該第2種のグループを示す第2種のグループ情報と、当該第2種のグループに属する機能の実行に使用可能な証明書と、が関連付けられた第2の特定の情報を記憶してもよい。特定部は、さらに、特定の場合に、特定の機能が属する特定の第2種のグループを示す特定の第2種のグループ情報に関連付けられている第2の証明書を、新たに使用されるべき証明書として特定してもよい。
【0015】
上記の多機能機は、第2提示部をさらに備えていてもよい。第2提示部は、特定部によって特定される第1の証明書と、特定部によって特定される第2の証明書と、を含む複数個の証明書に対応する複数個の証明書情報をユーザに提示してもよい。第2提示部は、複数個の証明書が順位付けされた状態で、複数個の証明書情報をユーザに提示してもよい。提示部は、第1種のグループを優先することがユーザによって選択される場合に、第1の証明書が第2の証明書よりも上位になるように、複数個の証明書を順位付けしてもよい。提示部は、第2種のグループを優先することがユーザによって選択される場合に、第2の証明書が第1の証明書よりも上位になるように、複数個の証明書を順位付けしてもよい。この構成によると、ユーザは、所望のグループに属する証明書を容易に把握することができる。
【0016】
上記の多機能機を実現するための制御方法、及び、コンピュータプログラムも、新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】機能実行システムの構成の一例を示す。
【図2】機能情報テーブルの一例を示す。
【図3】証明書テーブルの一例を示す。
【図4】証明書得点テーブルの一例を示す。
【図5】最終得点テーブルの一例を示す。
【図6】メイン処理のフローチャートを示す。
【図7】図6の続きのフローチャートを示す。
【図8】証明書順位付け処理のフローチャートを示す。
【図9】証明書得点付け処理のフローチャートを示す。
【図10】証明書使用目的ベース得点付け処理のフローチャートを示す。
【図11】カテゴリベース得点付け処理のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施例)
(システムの構成)
図面を参照して実施例を説明する。図1は、本実施例の機能実行システム2の概略図を示す。機能実行システム2は、通信ケーブル4と、多機能機10と、PC100と、を備える。多機能機10とPC100は通信ケーブル4に接続されており、通信ケーブル4を介して相互に通信可能である。
【0019】
(多機能機10の構成)
多機能機10の構成について説明する。多機能機10は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、電子メール送受信機能等の多機能を備える。多機能機10は、操作部12と、表示部14と、ネットワークインターフェイス18と、印刷実行部20と、スキャン実行部22と、記憶部26と、制御部50と、を備える。操作部12は、複数のキーによって構成される。ユーザは、操作部12を操作することによって、様々な指示を多機能機10に入力することができる。表示部14は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。ネットワークインターフェイス18は、通信ケーブル4と接続されている。印刷実行部20は、インクジェットヘッド方式、レーザ方式等の印刷機構を備え、制御部50からの指示に従って印刷を行う。スキャン実行部22は、CIS、CCD等のスキャン機構を備え、スキャン対象物をスキャンすることによって画像データを生成する。
【0020】
記憶部26は、プログラム27と、機能情報テーブル30と、証明書テーブル32とを記憶する。プログラム27は、多機能機10の複数の機能を実現するための複数の機能プログラム28を含む。制御部50は、記憶部26に記憶されているプログラム27に従って処理を実行する。制御部50が、プログラム27に従って処理を実行することによって、各部52〜60の機能が実現される。また、記憶部26は、証明書得点テーブル36、最終得点テーブル38等を一時的に記憶するためのワーク領域34を有する。
【0021】
図2を参照して機能情報テーブル30について説明する。機能情報テーブル30は、複数の組合せ情報110〜122を含む。各組合せ情報110〜122は、機能ID124と、カテゴリID128と、証明書ID130と、証明書使用目的132と、が関連付けられた情報である。機能ID124は、多機能機10が実行可能な複数の機能を識別する識別情報である。
【0022】
図2に示される複数の機能のそれぞれは、制御部50が、上述した複数の機能プログラム28に従って処理を実行することによって実現される機能である。「製品設定用Webページ」は、例えばPC100からのアクセスに応じてPC100にWebページを提供する機能である。「IPP印刷」は、インターネットプリンティングプロトコル(Internet Printing Protocol:略称IPP)に従って受信したデータを印刷する機能である。「LDAP」は、LDAP(Lightweight Directory Access Protocol)に従って、ディレクトリサービスにアクセスし、メールアドレスやパスワード等を管理する機能である。「Eメール送信(SMTP)」は、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)に従って、電子メールを送信する機能である。「Eメール受信(POP3)」は、POP3(Post Office Protocol version 3)に従って、電子メールを受信する機能である。「Eメール受信(IMAP4)」は、IMAP4(Internet Message Access Protocol 4)に従って、電子メールを受信する機能である。「Eメール電子署名」は、電子メールに電子署名を添付する機能である。
【0023】
多機能機10が実行可能な複数の機能は、各機能の内容に基づいて、2以上のカテゴリグループに区分されている。カテゴリID128は、カテゴリグループを識別する識別情報である。カテゴリグループとしては、例えば、「Web関連機能(Ca1)」、「ディレクトリ関連機能(Ca2)」、「電子メール関連機能(Ca3)」等が挙げられる。証明書ID130は、機能の実行に使用される証明書として現時点で決定されている証明書を識別する識別情報である。例えば、機能「F1」には、証明書ID「Ce3」が関連付けられている。これは、現時点では、機能「F1」の実行に使用される証明書として、証明書ID「Ce3」に対応する証明書が決定されていることを意味する。なお、以下では、そのような証明書を「決定済み証明書」と呼ぶ場合がある。
【0024】
後で説明する各証明書(図3の証明書データ152参照)内には、証明書使用目的が記述されている。多機能機10が実行可能な複数の機能は、各機能の実行に使用可能な証明書内に記述された証明書使用目的に基づいて、2以上の使用目的グループに区分されている。証明書使用目的132は、使用目的グループを識別する識別情報である。使用目的グループとしては、例えば「サーバ認証(P1)」、「クライアント認証(P2)」「電子メール保護(P3)」、「タイムスタンプ(P4:図3参照)」等が挙げられる。以下では、カテゴリID128が示すカテゴリグループ、証明書使用目的132が示す使用目的グループのことを、それぞれ、「カテゴリ」、「証明書使用目的」と簡単に呼ぶ場合がある。
【0025】
多機能機10の出荷段階において、機能ID124の欄には、「F1」、「F2」等の機能IDが記入されている。さらに、多機能機10の出荷段階において、カテゴリID128の欄には、「Ca1」、「Ca2」等のカテゴリIDが記入され、証明書使用目的132の欄には、「P1、P2」、「P3」等の証明書使用目的が記入されている。ただし、多機能機10の出荷段階において、証明書ID130の欄には、情報が記入されていない。例えば、多機能機10のユーザは、多機能機10の操作部12を操作することによって、後述する所定の設定変更処理を多機能機10に実行させることができる(図6参照)。その設定変更処理によって、ユーザは、各機能の実行に使用されるべき証明書を選択することができる。この結果、証明書ID130の欄に証明書IDが記入される。
【0026】
続いて、図3を参照して、証明書テーブル32について説明する。証明書テーブル32は、複数の組合せ情報140〜148を含む。各組合せ情報140〜148は、証明書ID150と、証明書データ152と、証明書使用目的154と、有効期限156と、インストール日158と、が関連付けられた情報である。証明書ID150は、多機能機10が記憶する複数の証明書を識別する識別情報である。証明書データ152は、証明書内に記述された全てのデータ(即ち証明書自身)である。証明書データ152は、例えば、証明書を発行した認証局に関する情報、公開鍵情報、証明書使用目的等の各種情報を含む。証明書使用目的154は、証明書内に記述された証明書使用目的である。例えば、証明書ID「Ce1」に関連付けられている証明書使用目的「P4」は、証明書ID「Ce1」が示す証明書内に記述された証明書使用目的を示す。なお、本実施例では、各証明書内に記述されている証明書使用目的は、当該使用目的のために証明書を使用可能であることを意味する情報(推奨目的)であり、当該使用目的以外の使用目的のために証明書を使用不可能であることを意味する情報(限定目的)ではない。一方、証明書内に証明書使用目的が記述されない可能性がある。このような証明書に対応する組合せ情報142では、証明書使用目的154の欄に「−」が記入される。有効期限156は、証明書の有効期限の日付を示す情報である。インストール日158は、証明書が多機能機10にインストールされた日付を示す情報である。
【0027】
例えば、多機能機10のユーザは、PC100の操作部(図示省略)、又は、多機能機10の操作部12を操作することによって、証明書を多機能機10にインストールする。証明書のインストールが実行される場合、多機能機10は、証明書の証明書IDと、証明書データと、証明書使用目的と、有効期限と、インストールが行われた日付と、を含む1つの組合せ(例えば組合せ情報140)を証明書テーブル32内に書き込む。これにより、図3に示される証明書テーブル32が完成する。
【0028】
(多機能機10が実行する処理)
続いて、多機能機10の制御部50が実行する処理の内容について説明する。図6、図7は、制御部50が実行するメイン処理のフローチャートを示す。ユーザは、多機能機10の操作部12を操作することによって、所望の機能(以下では「対象機能」と呼ぶ)の実行に新たに使用されるべき証明書を決定するための指示を多機能機10に入力することができる。この場合、制御部50は、S2でYESと判断し、S4に進む。なお、対象機能の実行に使用される証明書が現時点で決定されている状態(対象機能に証明書ID130(図2参照)が関連付けられている状態)で、上記の指示が入力されてもよいし、対象機能の実行に使用される証明書が現時点で決定されていない状態(対象機能に証明書ID130が関連付けられていない状態)で、上記の指示が入力されてもよい。
【0029】
S4では、制御部50は、証明書順位付け処理を実行する。図8は、証明書順位付け処理のフローチャートを示す。制御部50は、ワーク領域34内に現在記憶されている最終得点テーブル38をクリアする(S70)。次いで、制御部50は、証明書得点付け処理を実行する(S71)。図9は、証明書順位付け処理のフローチャートを示す。制御部50は、証明書使用目的ベース得点付け処理を実行し(S100)、次いで、カテゴリベース得点付け処理を実行する(S102)。
【0030】
図10に示すように、証明書使用目的ベース得点付け処理(図9のS100)では、制御部50は、まず、ワーク領域34内に記憶されている一時リスト(図示省略)をクリアする(S120)。次いで、制御部50は、ワーク領域34内に記憶されている証明書得点テーブル36(図4参照)の証明書使用目的ベース得点182の欄を「0」にする(S122)。次いで、特定部54(図1参照)は、機能情報テーブル30(図2参照)から、上記の対象機能を示す機能ID124に関連付けられている証明書使用目的132を特定する(S124)。具体例として、対象機能として、図2の機能ID124「F4」に対応する機能(Eメール送信(SMTP))が選択されている場合について説明する。この場合、S124では、特定部54は、「F4」に関連付けられている「P1、P2」を特定する。
【0031】
次いで、特定部54は、証明書テーブル32(図3参照)から、S124で特定した証明書使用目的132と一致する証明書使用目的154に関連付けられている証明書ID150を特定する(S126)。上記の具体例に照らすと、S126では、特定部54は、図3の証明書テーブル32の中から、S124で特定された「P1、P2」に関連付けられている「Ce3」及び「Ce5」を特定する。
【0032】
次いで、特定部54は、S126で特定した証明書ID150を、上記の一時リストに追加する(S128)。上記の具体例に照らすと、S128では、特定部54は、一時リストに、S128で特定された「Ce3」及び「Ce5」を追加する。次いで、特定部54は、さらに、証明書テーブル32から、証明書使用目的154が指定されていない証明書ID「Ce2」(証明書使用目的「−」に関連付けられている証明書ID「Ce2」)を特定する(S130)。次いで、特定部54は、さらに、S130で特定した証明書ID150を、上記の一時リストに追加する(S132)。これにより、一時リストには、証明書ID「Ce3」、「Ce5」に加え、S130で特定された「Ce2」が新たに追加される。
【0033】
次いで、提示部56(図1参照)は、一時リスト中の複数の証明書IDを、有効期限が後である程(残り有効期間が長い程)、上位になるように並べる(S134)。上記の具体例に照らすと、S134の時点では、一時リストには証明書ID「Ce2」、「Ce3」、「Ce5」が含まれている。提示部56は、証明書テーブル32の中から、証明書ID150「Ce2」、「Ce3」、「Ce5」に関連付けられている有効期限156「2010/9/30」、「2012/11/20」、「2008/12/31」を特定する。提示部56は、特定した有効期限156に基づいて、有効期限が後である程、上位になるように、証明書ID「Ce2」、「Ce3」、「Ce5」を並べる。即ち、提示部56は、「Ce3」、「Ce2」、「Ce5」の順で並べる。S134を終えると、S136へ進む。
【0034】
S136では、提示部56は、一時リスト中の複数の証明書IDの中に、有効期限が一致する2以上の証明書IDが存在するか否かを判断する。S136でYESの場合、提示部56は、有効期限が一致する2以上の証明書IDを、インストール日が新しい程上位になるように並べる(S138)。
【0035】
S138を終えた場合、又は、S136でNOの場合、S140に進む。S140では、提示部56は、S134及びS138において順に並べられた一時リスト中の複数の証明書IDに対して、先頭から順にN、N−1、N−2・・・と得点付けを行う。なお、Nは、証明書テーブル32内に格納されている証明書IDの数である。上記の具体例に照らすと、一時リスト中には、3個の証明書IDが「Ce3」、「Ce2」、「Ce5」の順で並べられている。例えば、図3に示す証明書テーブル32に5個の証明書ID「Ce1」〜「Ce5」のみが格納されている場合には、提示部56は、「Ce3」に「5」、「Ce2」に「4」、「Ce5」に「3」、をそれぞれ得点付けする。次いで、提示部56は、S142で付けた得点を、証明書得点テーブル36(図4参照)の証明書使用目的ベース得点欄182に記入する(S142)。なお、証明書得点テーブル36の証明書ID180の欄には、上記の一時リストに含まれる各証明書IDが記入される。S142では、一時リストに入っていない証明書ID「Ce1」、「Ce4」については、証明書ID180の欄に証明書IDが記入されない。S142を終えると、制御部50は、証明書使用目的ベース得点付け処理を終了する。
【0036】
証明書使用目的ベース得点付け処理(図9のS100)を終了すると、制御部50は、カテゴリベース得点付け処理(図9のS102)を実行する。図11に示すように、カテゴリベース得点付け処理では、制御部50は、まず、ワーク領域34内に記憶されている一時リストをクリアする(S150)。次いで、制御部50は、証明書得点テーブル36(図4参照)のカテゴリベース得点184の欄を「0」にする(S152)。次いで、特定部54は、機能情報テーブル30(図2参照)から、上記の対象機能を示す機能ID124に関連付けられているカテゴリID128を特定する(S154)。上記の具体例に照らすと、特定部54は、機能ID「F4」に関連付けられているカテゴリID「Ca3」を特定する。
【0037】
次いで、特定部54は、機能情報テーブル30から、S154で特定したカテゴリID128と一致するカテゴリID128に関連付けられている全ての証明書ID130を特定する(S156)。上記の具体例に照らすと、S154で機能ID「F4」に関連付けられているカテゴリID「Ca3」が特定された場合に、S156では、特定部54は、カテゴリID「Ca3」に関連付けられている4個の証明書ID「Ce3」、「Ce5」、「Ce4」、「Ce2」を特定する。
【0038】
次いで、特定部54は、S156で特定した証明書ID130を、上記の一時リストに追加する(S158)。
次いで、提示部56(図1参照)は、一時リスト中の複数の証明書IDを、有効期限が後である程(残り有効期間が長い程)、上位になるように並べる(S160)。S160の処理は、図10のS134の処理と同様である。次いで、提示部56は、一時リスト中の複数の証明書IDの中に、有効期限が一致する2以上の証明書IDが存在するか否かを判断する(S162)。S162でYESの場合、提示部56は、有効期限が一致する2以上の証明書IDを、インストール日が新しい程、上位になるように並べる(S164)。S164の処理は、図10のS138の処理と同様である。上記の例に照らすと、一時リスト中に含まれる「Ce3」及び「Ce4」は、有効期限が一致する(図3参照)。「Ce4」は、「Ce3」と比べて、インストール日が新しい(図3参照)。従って、4個の証明書ID130「Ce2」〜「Ce5」は、「Ce4」、「Ce3」、「Ce2」、「Ce5」、の順で並べられる。
【0039】
S164を終えた場合、又は、S162でNOの場合、S166に進む。S166では、提示部56は、S160及びS164において順に並べられた一時リスト中の複数の証明書IDに対して、先頭から順にN、N−1、N−2・・・と得点付けを行う。S166の処理は、図10のS140の処理と同様である。上記の具体例に照らすと、提示部56は、一時リスト中に含まれる4個の証明書IDについて、「Ce4」に「5」、「Ce3」に「4」、「Ce2」に「3」、「Ce5」に「2」、をそれぞれ得点付けする。次いで、提示部56は、S166で付けた得点を、証明書得点テーブル36(図4参照)のカテゴリベース得点欄184に記入する(S168)。上記の例に照らすと、提示部56は、図4に示すように、証明書得点テーブル36の証明書ID180「Ce4」に対応するカテゴリベース得点欄184に「5」、証明書ID180「Ce3」に対応する欄184に「4」、証明書ID180「Ce2」に対応する欄184に「3」、証明書ID180「Ce5」に対応する欄184に「2」、をそれぞれ記入する。なお、S168においても、S142の処理と同様に、一時リストに入っていない証明書ID「Ce1」については、証明書ID180の欄に証明書IDが記入されない。S168を終えると、制御部50は、証明書使用目的ベース得点付け処理を終了する。カテゴリベース得点付け処理(図10)、及び、証明書使用目的ベース得点付け処理(図11)の結果、ワーク領域34内には図4に示す証明書得点テーブル36が生成される。
【0040】
カテゴリベース得点付け処理(図9のS102)を終了すると、制御部50は、図8のS72に進む。S72では、制御部50は、現時点で失効している証明書の証明書IDを、証明書得点テーブル36から除外する設定が行われているか否かを判断する。上記の設定は、ユーザによって予め行われている。なお、本実施例では、「証明書の失効」は、証明書の証明書IDの残り有効期間が存在しないこと(有効期限切れ)を意味する。なお、他の実施例では、「証明書の失効」は、当該証明書の有効期限の始期に現時点で到達していないこと、当該証明書が所定の失効リストに含まれていること等を意味してもよい。
【0041】
S72でYESの場合、制御部50は、現在時刻を取得する(S74)。次いで、制御部50は、証明書テーブル32から、有効期限切れの証明書IDを特定する(S76)。具体的に言うと、S76では、制御部50は、S74で取得した現在時刻と、証明書テーブル32内に記憶されている各有効期限156と、を比較し、現在時刻よりも前の有効期限156に関連付けられている証明書ID150を特定する。制御部50は、特定した証明書IDと、それに関連付けられている証明書使用目的ベース得点及びカテゴリベース得点を、証明書得点テーブル36から削除する(S78)。
【0042】
S78を終えた場合、又は、S72でNOの場合、S80に進む。S80では、制御部50は、対象機能の実行に使用されるべき証明書の候補リストの表示設定が、証明書使用目的を優先する設定となっているか否か判断する。この設定は、ユーザによって予め行われている。証明書使用目的を優先する設定となっている場合、制御部50は、S80でYESと判断する。一方、カテゴリを優先する設定となっている場合、制御部50は、S80でNOと判断する。
【0043】
S80でYESの場合、提示部56は、証明書得点テーブル36に含まれる各証明書IDについて、「(証明書使用目的ベース得点×3)+(カテゴリベース得点×1)」を計算する(S82)。ワーク領域34に図4の証明書得点テーブル36が格納されている場合を例にして、S82の処理の内容を説明する。例えば、図4では、証明書ID「Ce2」に関連付けられている証明書使用目的ベース得点とカテゴリベース得点は、それぞれ、「4」、「3」である。従って、提示部56は、図5に示すように、「(証明書使用目的ベース得点「4」×3)+(カテゴリベース得点「3」×1)」を計算する。計算結果は「15」となる。提示部56は、他の証明書ID「Ce1」等についても、上記の計算式に従って、最終得点を計算する。S82を終えると、S86に進む。
【0044】
S80でNOの場合、提示部56は、証明書得点テーブル36に含まれる各証明書IDについて、「(証明書使用目的ベース得点×1)+(カテゴリベース得点×3)」を計算する(S84)。例えば、証明書ID「Ce2」の場合には、提示部56は、図5に示すように、「(証明書使用目的ベース得点「4」×1)+(カテゴリベース得点「3」×3)」を計算する。計算結果は「13」となる。提示部56は、他の証明書ID「Ce1」等についても、上記の計算式に従って、最終得点を計算する。S84を終えると、S86に進む。
【0045】
S86では、提示部56は、最終得点テーブル38に、S82又はS84の計算結果を記入する。なお、最終得点テーブル38の証明書ID200の欄には、証明書得点テーブル36に含まれる各証明書IDが記入される。例えば、S82を経て実行されるS86では、提示部56は、最終得点テーブル38中の証明書使用目的優先得点202の欄に、上記のS82の計算結果を記入する。上記の具体例に照らすと、証明書ID200「Ce2」に関連付けて、「15」が記入される。S82を経て実行されるS86では、証明書使用目的優先得点202の欄にS82の計算結果が記入された最終得点テーブル38が完成する。
【0046】
一方、例えば、S84を経て実行されるS86では、提示部56は、最終得点テーブル38中のカテゴリ優先得点204の欄に、上記のS84の計算結果を記入する。上記の具体例に照らすと、証明書ID200「Ce2」に関連付けて、「13」が記入される。S84を経て実行されるS86では、カテゴリ優先得点204の欄にS84の計算結果が記入された最終得点テーブル38が完成する。
【0047】
次いで、提示部56は、最終得点テーブル38内に記入された得点順に、最終得点テーブル38の証明書ID200に記入された各証明書ID200を順位付けする(S88)。具体的には、例えば、S82を経て実行されるS88では、提示部56は、最終得点テーブル38中の証明書使用目的優先得点202が高いものが上位になるように、各証明書ID200を順位付けする。例えば、図5の例では、提示部56は、「Ce3」、「Ce2」、「Ce5」、「Ce4」の順に、順位付けする。
【0048】
また、例えば、S84を経て実行されるS88では、提示部56は、最終得点テーブル38中のカテゴリ優先得点204が高いものが上位になるように、各証明書ID200を順位付けする。例えば、図5の例では、提示部56は、「Ce3」、「Ce4」、「Ce2」、「Ce5」の順に、順位付けする。S88を終えると、図8の証明書順位付け処理が終了する。
【0049】
証明書順位付け処理(図6のS4)が終了すると、提示部56は、最終得点テーブル38内の各証明書ID200を、選択可能な証明書の候補のリスト(以下「候補リスト」と呼ぶ)として表示部14に表示させる(S6)。候補リスト内の各証明書ID200は、上記の図8のS88で順位付けした順で表示される。即ち、上位に順位付けされた証明書IDが、表示部14の上位に表示される。次いで、制御部50は、候補リストから、ユーザによって1個の証明書IDが選択されることを監視する(S8)。ユーザによって1個の証明書IDが選択された場合、制御部50は、S8でYESと判断する。なお、候補リスト内からいずれの証明書IDも選択されない場合には、制御部50は、S8でNOと判断し、S2に戻る。
【0050】
S8でYESの場合、決定部60(図1参照)は、機能情報テーブル30のうち、対象機能に対応する組合せ情報140等に含まれる証明書ID130の欄に、ユーザによって選択された証明書IDを書き込む(S10)。例えば、対象機能の機能IDが「F4」である場合には、決定部60は、現時点で「F4」に関連付けられている証明書ID「Ce3」を消去し、その消去された部分にユーザによって選択された証明書IDを書き込む。なお、対象機能に対応する組合せ情報140等に含まれる証明書ID130の欄に証明書IDが記入されていない場合には、決定部60は、ユーザによって選択された証明書IDを証明書ID130の欄に新たに記入する。S10を終えると、S2に戻る。
【0051】
ユーザは、多機能機10の操作部12を操作することによって、対象機能の実行に新たに使用されるべき証明書を外部からインストールする指示を多機能機10に入力することができる。以下では、この指示を「証明書インストール指示」と呼ぶ場合がある。上記の証明書インストール指示が行われると、制御部50は、図6のS20でYESと判断する。
【0052】
S20でYESの場合、制御部50は、証明書順位付け処理を実行する(S22)。証明書順位付け処理については、上述した通りである。S22を終えると、提示部56は、候補リストを表示部14に表示させる(S24)。次いで、制御部50は、候補リストから、ユーザによって1個の証明書IDが選択されることを監視する(S26)。S26でYESの場合、決定部60は、機能情報テーブル30のうち、対象機能に対応する組合せ情報140等に含まれる証明書ID130の欄に、ユーザによって選択された証明書IDを書き込む(S28)。S28の処理は、上記のS10の処理と同様である。S28を終えると、S2に戻る。
【0053】
なお、候補リスト内からいずれの証明書IDも選択されない場合には、制御部50は、S26でNOと判断し、S30に進む。S30では、制御部50は、ユーザによって証明書のインストールのための操作が実行されたか否かを監視する(S30)。インストールの対象の証明書がユーザによって指定され、その証明書のインストールを実行するための操作がユーザによって行なわれた場合に、制御部50は、S30でYESと判断する。S30でYESの場合、決定部60は、ユーザによって指定された証明書をインストールし(例えばインターネット上のサーバからインストールし)、インストールされた証明書を証明書テーブル32(図4参照)に新たに登録する(S32)。即ち、決定部60は、ユニークな証明書IDを新たに生成し、当該証明書IDを証明書ID150の欄に追加する。次いで、決定部60は、インストールされた証明書の全てのデータを、証明書データ152の欄に追加する。決定部60は、インストールされた証明書を読み込むことによって、当該証明書内に記述された証明書使用目的と有効期限とを特定する。決定部60は、特定した証明書使用目的を証明書使用目的154の欄に追加し、特定した有効期限を有効期限156の欄に追加する。さらに、決定部60は、現在日時をインストール日158の欄に追加する。
【0054】
次いで、決定部60は、機能情報テーブル30のうち、対象機能に対応する組合せ情報140等に含まれる証明書ID130の欄に、上記のインストールされた証明書を示す証明書IDを書き込む(S34)。S34を終えると、S2に戻る。
【0055】
ユーザは、多機能機10の操作部12、又は、PC100の操作部(図示省略)を操作することによって、多機能機10の複数の機能のうちの所望の機能を実行するための指示を多機能機10に入力することができる。以下では、この操作を、「機能実行指示」と呼ぶ場合がある。上記の機能実行指示が行われると、制御部50は、図7のS50の処理を実行する。S50では、制御部50は、上記の所望の機能の実行に使用されることが現時点で決定されている証明書(以下では「所望の機能に対応する決定済み証明書」と呼ぶ)の有効期限が切れているか否かを判断する。なお、有効期限が切れているのか否かを判断するための処理は、上記の図8のS74、S76で説明した手法と同じ手法を用いて実行される。証明書の有効期限が切れている場合、制御部50は、S50でYESと判断する。
【0056】
S50でYESの場合、S52に進む。S52では、制御部50は、証明書順位付け処理を実行する。証明書順位付け処理については、上述した通りである。S52を終えると、制御部50は、証明書順位付け処理において作成された最終得点テーブル38の中に、上記の所望の機能に対応する決定済み証明書の証明書ID200が存在する場合には、当該証明書ID200を最終得点テーブル38から削除する(S54)。次いで、実行部52(図1参照)は、最終得点テーブル38内で、最上位の証明書ID200が示す証明書を使用して、上記の所望の機能を実行する(S56)。S56では、実行部52は、複数の機能プログラム28のうち、上記の所望の機能に対応するプログラムに従って、上記の所望の機能を実行する。なお、S56では、決定部60は、機能情報テーブル30を更新する処理を実行しない。即ち、決定部60は、上記の所望の機能に対応する決定済み証明書として、最上位の証明書IDを書き込まない。S56を終えると、S2に戻る。
【0057】
なお、フローチャートでは図示省略しているが、S50でNOの場合には、実行部52は、上記の所望の機能に対応する決定済み証明書を使用して、上記の所望の機能を実行する。即ち、実行部52は、多機能機10が実行可能な複数の機能のそれぞれについて、当該機能に対応する決定済み証明書を使用して、当該機能を実行可能である。
【0058】
本実施例について説明した。本実施例では、図9のS156のように、多機能機10は、機能情報テーブル30から、S154で特定したカテゴリIDと一致するカテゴリIDの証明書ID130を特定する。この結果、同じカテゴリグループに属する2以上の機能が、同じ証明書を共用し得る。記憶部26が記憶する証明書の数を低減し得る。また、本実施例では、図8のS126のように、多機能機10は、証明書テーブル32から、S124で特定した証明書使用目的と一致する証明書使用目的の証明書ID150を特定する。この結果、同じ使用目的グループに属する2以上の機能が、同じ証明書を共用し得る。記憶部26が記憶する証明書の数を低減し得る。
【0059】
図6のS6、S8、S24、S26に示すように、多機能機10は、特定部54によって特定された証明書ID200のみからなる複数の証明書ID200を、証明書順位付け処理で付けられた順位で表示部14に表示し、ユーザによって選択される1個の第1の証明書を、対象機能の実行に使用されるべき証明書として決定する。多機能機10は、ユーザの選択に従って、特定の機能の実行に使用されるべき証明書を決定することができる。
【0060】
図10のS134、S138、図11のS160、S164に示すように、多機能機10は、有効期限が後である程、即ち、残りの有効期間が長い程、上位になるように、複数の証明書IDを順位付けする。また、インストールされた日時が新しい程、上位になるように、複数の証明書IDを順位付けする。ユーザは、対象機能の実行に使用されるべき証明書を選択する際に、残りの有効期間の長い証明書を容易に選択することができる。また、インストールされた日時が新しい証明書を容易に選択することもできる。
【0061】
図6のS24に示すように、多機能機10は、対象機能の実行のための証明書のインストールが実行される前に、候補リストを表示部14に表示させて、複数の証明書ID200をユーザに提示する。多機能機10は、ユーザによって選択された1個の証明書を、対象機能の実行に使用されるべき新たな証明書として決定する。この場合、多機能機10は、証明書をインストールせずに済む。記憶部26が新たに証明書を記憶せずに済む。さらに、多機能機10は、ユーザによって証明書が選択されない場合に、インストールされた証明書を、対象機能の実行に使用されるべき新たな証明書として決定する。この場合、多機能機10は、ユーザが所望する証明書を用いて、対象機能を実行することができる。
【0062】
図7に示すように、多機能機10が特定の機能を実行すべきタイミングが、特定の機能の実行に使用されるべきことが決定されている決定済み証明書の有効期間外である場合、多機能機10は、決定済み証明書の代わりに、最終得点テーブル38において得点が最上位の証明書を使用して、特定の機能を実行する。そのため、多機能機10が特定の機能を実行すべきタイミングが、決定済み証明書の有効期間外であった場合でも、他の証明書を用いて、特定の機能を実行することができる。
【0063】
本実施例の各要素と本発明の各要素との対応関係を記載しておく。カテゴリグループ及び使用目的グループのうちの一方が「第1種のグループ」の一例であり、他方が「第2種のグループ」の一例である。また、カテゴリID128及び証明書使用目的132、154の一方が「第1種のグループ情報」の一例であり、他方が「第2種のグループ情報」の一例である。図10のS126、S130で特定される証明書ID150が示す証明書と、図11のS156で特定される証明書ID130が示す証明書と、の一方が「第1の証明書」の一例であり、他方が「第2の証明書」の一例である。図6のS4、S6、及びS22、S24で実行される処理が、「第1提示部」と「第2提示部」が実行する処理の一例である。なお、証明書ID130、150が、「証明書情報」の一例である。上記の対象機能及び上記の所望の機能が、「特定の機能」の一例である。図6のS2でYESの場合、S20でYESの場合、図7のS50でYESの場合が、「特定の場合」の一例である。
【0064】
機能情報テーブル30内に、機能ID124と、カテゴリID128と、証明書ID130と、が関連付けられた組合せ情報110〜122を記憶することが、「2以上の第1種(又は第2種)のグループのそれぞれについて、当該第1種(又は第2種)のグループを示す第1種(又は第2種)のグループ情報と、当該第1種(又は第2種)のグループに属する機能の実行に使用可能な証明書と、が関連付けられた第1(又は第2)の特定の情報を記憶する」ことの一例である。
【0065】
また、機能情報テーブル30内に、機能ID124と、証明書使用目的132とが関連付けられた組合せ情報110〜122を記憶し、かつ、証明書テーブル32内に、証明書ID150と、証明書データ152と、証明書使用目的154と、が関連付けられた組合せ情報140〜148を記憶することも、「2以上の第1種(又は第2種)のグループのそれぞれについて、当該第1種(又は第2種)のグループを示す第1種(又は第2種)のグループ情報と、当該第1種(又は第2種)のグループに属する機能の実行に使用可能な証明書と、が関連付けられた第1(又は第2)の特定の情報を記憶する」ことの一例である。
【0066】
上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
(1)上記の実施例では、証明書順位付け処理を終えると、ユーザは、順位付けされた複数の証明書ID200を表示部14に表示してユーザに提示している。しかし、順位付けされた複数の証明書ID200のユーザへの提示方法は、印刷媒体への印刷、音声出力、ユーザのPC(100等)に送信する等、任意の方法を用いてもよい。
【0067】
(2)上記の実施例では、「証明書使用目的」と「カテゴリ」の2種類のグループが存在する。しかしながら、一方の種類のグループのみが存在する変形例を構成してもよい。
【0068】
(3)上記の実施例では、図7のS56を終えた後に、決定部60は、上記の所望の機能に対応する決定済み証明書として、最上位の証明書IDを書き込んでもよい。
【0069】
(4)上記の実施例では、図7のS56では、実行部52は、最上位の証明書ID200が示す証明書を使用して、上記の所望の機能を実行する。しかしながら、図6のS6、S24と同様に、候補リストに表示させ、ユーザが選択した証明書IDが示す証明書を、上記の所望の機能の実行に新たに使用されるべき証明書として決定してもよい(即ち上記の所望の機能に対応する証明書ID130の欄に書き込んでもよい)。
【0070】
(5)上記の実施例では、図6のS6、S24において候補リストを表示し、ユーザが選択した証明書を対象機能に新たに使用されるべき証明書として決定する。しかしながら、多機能機10は、S4、S22の証明書順位付け処理の結果、最上位の証明書を、ユーザの選択なしに、対象機能に新たに使用されるべき証明書として決定してもよい(即ち対象機能に対応する証明書ID130の欄に書き込んでもよい)。
【0071】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0072】
2:機能実行システム、4:通信ケーブル、6:PSTN、10:多機能機、12:操作部、14:表示部、16:PSTNインターフェイス、18:ネットワークインターフェイス、20:印刷実行部、22:スキャン実行部、26:記憶部、27:プログラム、28:複数の機能プログラム、30:機能情報テーブル、32:証明書テーブル、34:ワーク領域、36:証明書得点テーブル、38:最終得点テーブル、50:制御部、52:実行部、54:特定部、56:提示部、60:決定部、80:サーバ、90:ルータ、100:PC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多機能機であって、
2以上の第1種のグループに分けられる複数の機能のそれぞれについて、当該機能の実行のための証明書を使用して、当該機能を実行する実行部と、
前記2以上の第1種のグループのそれぞれについて、当該第1種のグループを示す第1種のグループ情報と、当該第1種のグループに属する機能の実行に使用可能な証明書と、が関連付けられた第1の特定の情報を記憶する記憶部と、
特定の機能の実行に新たに使用されるべき証明書が決定されるべき特定の場合に、前記特定の機能が属する特定の第1種のグループを示す特定の第1種のグループ情報に関連付けられている第1の証明書を、前記新たに使用されるべき証明書として特定する特定部と、を備える多機能機。
【請求項2】
各機能の内容に基づいて、前記複数の機能が2以上のカテゴリグループに区分される場合に、前記2以上の第1種のグループは、前記2以上のカテゴリグループであり、
前記第1の特定の情報は、前記複数の機能のそれぞれについて、当該機能を示す機能情報と、当該機能が属するカテゴリグループを示すカテゴリ情報と、当該機能の実行に使用されることが現時点で決定されている証明書と、が関連付けられた情報であり、
前記特定部は、前記特定の場合に、前記特定の機能を示す特定の機能情報と異なる機能情報に関連付けられている前記第1の証明書であって、前記特定の機能情報に関連付けられている特定のカテゴリ情報に一致するカテゴリ情報に関連付けられている前記第1の証明書を、前記新たに使用されるべき証明書として特定する、請求項1に記載の多機能機。
【請求項3】
各機能の実行に使用可能な証明書内に記述された証明書使用目的に基づいて、前記複数の機能が2以上の使用目的グループに区分される場合に、前記2以上の第1種のグループは、前記2以上の使用目的グループであり、
前記第1の特定の情報は、
前記複数の機能のそれぞれについて、当該機能を示す機能情報と、当該機能が属する使用目的グループを示す使用目的情報と、が関連付けられた第1情報と、
複数個の証明書のそれぞれについて、当該証明書と、当該証明書内に記述された証明書使用目的を示す使用目的情報と、が関連付けられた第2情報と、を含み、
前記特定部は、前記特定の場合に、前記特定の機能を示す特定の機能情報に関連付けられた特定の使用目的情報に関連付けられた前記第1の証明書を、前記新たに使用されるべき証明書として特定する、請求項1に記載の多機能機。
【請求項4】
前記特定部によって1個以上の前記第1の証明書が特定される場合に、前記1個以上の第1の証明書に対応する1個以上の証明書情報をユーザに提示する第1提示部と、
前記1個以上の証明書情報のうちの1個の証明書情報が前記ユーザによって選択される場合に、前記1個の証明書情報に対応する1個の証明書を、前記新たに使用されるべき証明書として決定する決定部と、
をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の多機能機。
【請求項5】
前記特定部によって複数個の前記第1の証明書が特定される場合に、前記第1提示部は、前記複数個の第1の証明書が順位付けされた状態で、前記複数個の第1の証明書に対応する複数個の証明書情報を前記ユーザに提示し、
前記第1提示部は、残りの有効期間が長い程、上位になるように、前記複数個の第1の証明書を順位付けする、請求項4に記載の多機能機。
【請求項6】
前記特定部によって複数個の第1の証明書が特定される場合に、前記第1提示部は、前記複数個の第1の証明書が順位付けされた状態で、前記複数個の第1の証明書に対応する複数個の証明書情報を前記ユーザに提示し、
前記第1提示部は、インストールされた日時が新しい程、上位になるように、前記複数個の第1の証明書を順位付けする、請求項4又は5に記載の多機能機。
【請求項7】
前記特定の場合は、前記特定の機能の実行のための特定の証明書を外部からインストールするための操作をユーザが実行する場合であり、
前記第1提示部は、前記特定の証明書のインストールが実行される前に、前記1個以上の証明書情報を前記ユーザに提示し、
前記決定部は、
前記ユーザによって前記1個の証明書情報が選択される場合に、前記特定の証明書のインストールを実行せずに、前記1個の証明書情報に対応する前記1個の証明書を、前記新たに使用されるべき証明書として決定し、
前記ユーザによって前記1個以上の証明書情報のいずれも選択されない場合に、前記特定の証明書のインストールを実行し、前記特定の証明書を、前記新たに使用されるべき証明書として決定する、請求項4から6のいずれか一項に記載の多機能機。
【請求項8】
前記特定の場合は、前記実行部が前記特定の機能を実行すべきタイミングが、前記特定の機能の実行に使用されることが現時点で決定されている決定済み証明書の有効期間外である場合であり、
前記実行部は、前記決定済み証明書の代わりに、前記特定部によって特定される前記第1の証明書を使用して、前記特定の機能を実行する、請求項1から6のいずれか一項に記載の多機能機。
【請求項9】
前記複数の機能は、さらに、2以上の第2種のグループに分けられ、
前記記憶部は、さらに、前記2以上の第2種のグループのそれぞれについて、当該第2種のグループを示す第2種のグループ情報と、当該第2種のグループに属する機能の実行に使用可能な証明書と、が関連付けられた第2の特定の情報を記憶し、
前記特定部は、さらに、前記特定の場合に、前記特定の機能が属する特定の第2種のグループを示す特定の第2種のグループ情報に関連付けられている第2の証明書を、前記新たに使用されるべき証明書として特定する、請求項1から8のいずれか一項に記載の多機能機。
【請求項10】
前記特定部によって特定される前記第1の証明書と、前記特定部によって特定される前記第2の証明書と、を含む複数個の証明書に対応する複数個の証明書情報をユーザに提示する第2提示部をさらに備え、
前記第2提示部は、
前記複数個の証明書が順位付けされた状態で、前記複数個の証明書情報を前記ユーザに提示し、
前記第1種のグループを優先することが前記ユーザによって選択される場合に、前記第1の証明書が前記第2の証明書よりも上位になるように、前記複数個の証明書を順位付けし、
前記第2種のグループを優先することが前記ユーザによって選択される場合に、前記第2の証明書が前記第1の証明書よりも上位になるように、前記複数個の証明書を順位付けする、請求項9に記載の多機能機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−139130(P2011−139130A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295953(P2009−295953)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】