多段フラッシュ造水装置
【課題】装置内負荷変動の有無に関わり無く、オリフィスの開口高さを最適に設定し、蒸発性能を向上させることのできる多段フラッシュ造水装置を提供する。
【解決手段】ハウジング11内に、前段蒸発室11Aおよび後段蒸発室11Bを分離する隔壁22が設けられている。隔壁22に海水流路オリフィス31が形成されている。オリフィス31を通過させられる海水の水位の高低の変化によってオリフィス31の開口高さを大小に制御する流路制御部材32は、オリフィス31の上縁部から吊下られている弾性体41よりなる。
【解決手段】ハウジング11内に、前段蒸発室11Aおよび後段蒸発室11Bを分離する隔壁22が設けられている。隔壁22に海水流路オリフィス31が形成されている。オリフィス31を通過させられる海水の水位の高低の変化によってオリフィス31の開口高さを大小に制御する流路制御部材32は、オリフィス31の上縁部から吊下られている弾性体41よりなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、海水を蒸発・凝縮させて真水を得るための多段フラッシュ造水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の造水装置の全体構造が、図9に示されている。この造水装置は、熱放出部101および熱回収部102よりなる。
【0003】
熱放出部101は、ハウジング111を有している。ハウジング111内は、複数の垂直隔壁112によって複数の蒸発室113に仕切られている。各蒸発室113内には蒸発器114が備えられている。各隔壁112にはオリフィス115が形成されている。熱回収部102は、熱放出部101と基本的構造は同一のものであって、ハウジング121、隔壁122、蒸発室123、蒸発器124およびオリフィス125を備えている。
【0004】
海水は、海水ポンプ131によって熱放出部101の最後段の蒸発器114へ送られ、熱放出部101の全段の蒸発器114を通過した後、熱放出部101の最前段の蒸発器114から熱放出部101の最後段の蒸発室113へ送られた後、循環ポンプ132によって熱回収部102の最後段の蒸発器124へ送られる。熱回収部102に送られた海水は、その全段の蒸発器124を通過した後、加熱器133へ送られる。加熱器133によって加熱された海水は、熱回収部102の最前段の蒸発室123へ送られる。この後、海水は、熱回収部102の全蒸発室123を各オリフィス125を通って順次通過し、さらに、熱放出部101の最前段の蒸発室113へ送られ、その全段の蒸発室113をオリフィス115を通って順次通過した後、最終的に、熱回収部102の最後段の蒸発室113から、循環ポンプ132によって、熱回収部102の最後段の蒸発器123に戻される。この間に、各蒸発器114、124と接触して凝縮させられた真水は、生産水ポンプ134によって、造水装置外に取出される。
【0005】
上記造水装置において、各蒸発室内の海水は、飽和蒸気圧以下にならないと蒸発しない。各段の蒸発室内の圧力は、前段の蒸発室から後段の蒸発室にかけて、順次低くなるように設定されている。隣り合う蒸発室同士で、圧力差が適切に設定されていると、前段の蒸発室内の海水が後段の蒸発室内に流入すると、そこで、飽和蒸気圧が低下し、海水は瞬時に蒸発する。
【0006】
蒸発性能を左右する大きな要因の1つは、各蒸発室内の海水の水位である。海水の水位は、各オリフィスの開口面積、とくに、その開口高さによって左右される。
【0007】
海水の水位が一定の場合、蒸気温度が大きい程、水面から発泡点までの距離が大きくなる。発泡開始点までの距離が大きいと、図10(a)に示すように、泡Aが水位の大きい位置まで蒸発し、蒸発性能は良好である。逆に、発泡開始点までの距離が小さいと、図10(b)に示すように、泡Aは液面近くでしか蒸発しないため、蒸発性能は、悪い。この関係は、図11に示すグラフから見ることができる。図11は、蒸気温度Tv毎に、過熱度ΔTsおよび水面から発泡開始点までの距離の関係を示すものである。過熱度ΔTsとは、海水入口温度−蒸気温度である。
【0008】
図10(b)に示す状態から、図10(c)に示すように、オリフィスOの開口高さを低くして、水位を下げると、蒸発量そのものは変わらなくても、海水量に対する蒸発量の観点からは、蒸発性能は良好となる。このことは、図12に示すグラフからもあきらかである。図12は、海水の水位と蒸発性能(NETD:非平衡温度差)の関係を示すものである。縦軸の蒸発性能の数値が小さい程、蒸発性能は良好である。概ね、蒸気温度の如何に関わり無く、海水の水位が浅い程、蒸発性能は良い。
【0009】
蒸気温度が大きく、図10(c)で示す状態において、さらに、水面が低下すると、図10(d)に示すように、蒸気の吹き抜け現象(同図中矢印)が発生する恐れがある。吹き抜け現象が発生すると、蒸発室間の圧力差が適切に保たれない。このような水面低下は、負荷変動、即ち、循環ポンプ出力、循環海水量、各蒸発室内の温度や圧力等の変動によってもたらされる。
【0010】
この負荷変動の影響についてプロセス計算を行ったので、つぎに説明する。ここでは、オリフィスは、方形状のものとし、各オリフィスの開口面積の調整は、オリフィスの開口幅は一定とし、その高さを変化させることによって行われるものとした。各段の蒸発室の海水の水位は、便宜上、300mmの一定に保持した状態で、吹き抜けを生じさせないオリフィス開口高さを計算した。
【0011】
図13は、上記プロセス計算の結果を示すもので、表1は負荷変動の無い場合を、表2は、負荷変動の有る場合をそれぞれ示している。
【0012】
表1および表2を比較すると、とくに、段♯19、♯20、♯21において、変動の無い場合よりも変動の有る場合、オリフィスの高さを低くしなければならないことが分かる。
【0013】
負荷変動が無い場合、段♯19、♯20、♯21で、必要なオリフィス開口高さは、0.244m、0.261m、0.279mである。段♯21で必要なオリフィス開口高さを0.279mに設定すると、水位300mmよりは小さいので、吹き抜けは発生しない。
【0014】
一方、負荷変動がある場合、例えば、段♯19、♯20および♯21間で3.5℃の温度差が生じ、段♯19、♯20、♯21の段で、0.228m、0.246m、0.266mとなった。仮に、負荷変動の有る場合、変動の無い場合の0.279mに設定すると、変動のあるばあいに必要な0.266mよりも大きいために、吹き抜けが生じる恐れがある。オリフィス開口高さを、負荷変動のない0.279mに設定した場合、負荷変動によって水位が21mm低下しただけで、吹き抜けが発生する恐れがある。
【0015】
上記課題を解決しようとする試みとして、以下の従来技術が知られている。
【0016】
第1は、ハウジングの底壁に窪みが設けられており、窪み内に没するようにオリフィスが形成されているものである(例えば、特許文献1参照。)。この従来例では、ハウジングの底壁を、通常は平坦である底壁を、複雑な形状に加工する必要があり、製造が面倒である。
【0017】
第2は、オリフィスにそって開閉板を昇降させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。この従来では、常時変動する海水の水面に合わせて開閉板を昇降させる必要があり、開閉板の昇降動作および制御機構が複雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開昭61−234901号公報
【特許文献2】実公昭63−27827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
この発明の目的は、装置内の負荷変動の有無に関わり無く、オリフィスの開口高さを最適に設定し、蒸発性能を向上させることのできる多段フラッシュ造水装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この発明による多段フラッシュ造水装置は、ハウジング内に、前段蒸発室および後段蒸発室を分離する隔壁が設けられており、隔壁に海水流路オリフィスが形成されており、オリフィスを通過させられる海水の水位の高低の変化によってオリフィスの開口高さを大小に制御する流路制御部材が備えられているものである。
【0021】
この発明による多段フラッシュ造水装置では、海水の水位が高い場合、オリフィスの開口高さが大きく設定され、オリフィスを通じて大量の海水が流され、これにより海水の水位が低下させられ、海水の水位が低い場合、オリフィスの開口高さが小さく設定され、蒸気の吹き抜けが防止される。したがって、装置内の負荷変動の有無に関わり無く、オリフィスの開口高さを最適に設定し、蒸発性能を向上させることができる。
【0022】
さらに、流路制御部材が、オリフィスの上縁部から吊下られている弾性体よりなると、水位の高さによって、弾性体のたわみ量が変化し、オリフィスの開口高さが自動的に調節される。
【0023】
また、流路制御部材が、オリフィスを通過させられる海水に浮かべられる浮体よりなり、浮体の上端は、オリフィスの上縁部に海水流れ方向と直交する軸線周りに揺動自在に連結されていると、水位の高さによって、浮体の揺動角度が変化し、オリフィスの開口高さが自動的に調節される。
【0024】
また、流路制御部材が、オリフィスを通過させられる海水に浮かべられる浮体よりなり、浮体をオリフィスにそって上下動させうる案内手段を備えていると、水位の高さによって、浮体の高さが変化し、オリフィスの開口高さが自動的に調節される。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、装置内の負荷変動の有無に関わり無く、オリフィスの開口高さを最適に設定し、蒸発性能を向上させることのできる多段フラッシュ造水装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明による造水装置の海水流路オリフィスおよびその周辺部を示す斜視図である。
【図2】同オリフィスに備えられた弾性体の動作説明図である。
【図3】たわみ量計算に用いた弾性体の説明図である。
【図4】同弾性体のモデルの説明図である。
【図5】同弾性体の具体例を示す説明図である。
【図6】流路制御部材の変形例を示す説明図である。
【図7】流路制御部材の他の変形例を示す説明図である。
【図8】図7に示す流路制御部材の具体例を示す説明図である。
【図9】従来技術による造水装置の全体構成図である。
【図10】同造水装置の発泡状態を示す説明図である。
【図11】水面から発泡点までの距離を示すグラフである。
【図12】蒸発性能を示すグラフである。
【図13】オリフィスの開口高さの計算結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、冒頭で説明した造水装置のハウジングの底部を示すものである。
【0028】
ハウジング11の水平状底壁21に直立するように垂直状隔壁22が設けられている。隔壁22によって、ハウジング11内が前段蒸発室11Aおよび後段蒸発室11Bに分離されている。隔壁22の下縁部には、これの一部を下向きコ字状に切欠くことによって、オリフィス31が形成されている。オリフィス31には流路制御部材32が備えられている。
【0029】
流路制御部材32は、弾性体41よりなる。弾性体41は、弾性を持つ材料、例えば、ゴムによって一定厚さの方形平板状に形成されたものである。オリフィス31の上縁部に弾性体41の一縁部が複数の固定部材42(図1ではボルト)によって固定されており、これにより、オリフィス31の上縁部から弾性体41がカーテン状に吊り下げられている。
【0030】
図2(a)に示すように、海水Bの水位が高いときには、海水Bに弾性体41が深く没するため、海水Bの流れによって受ける流体圧は大きくて、弾性体41のたわみは大きく、オリフィス31の開口高さは大きくなり、逆に、図2(b)に示すように、海水Bの水位が低いときには、海水Bに弾性体41が浅く没するため、海水Bの流れによって受ける流体圧は小さくて、弾性体41のたわみは小さく、オリフィス31の開口高さは小さくなる。これにより、オリフィス31の開口高さが大小に変化させられる。
【0031】
海水Bの水位が高くて、オリフィス31の開口高さが大きいと、オリフィス31を通過する海水Bの量は大きく、海水Bの水位は漸次低くなっていく。これにより、海水Bの水位が下がることにより、海水Bの蒸発が促進される。逆に、海水Bの水位が低くて、オリフィス31の開口高さが小さいと、オリフィス31を通過する海水Bの量は少なく、海水Bの水位は低くなっていく程度は小さい。海水Bの水位が下がっても、弾性体41の先端が少しでも海水Bに没していれば、吹き抜けを防止することができる。
【0032】
つぎに、弾性体41に生じるたわみによる、オリフィス31の開口高さの調整代S、すなわち、最大開口高さおよび最小開口高さの差について、ここでは、はり理論を用いて、検討する。
【0033】
図3に示すように、前段の蒸発室の圧力P1、後段の蒸発室の圧力P2とし、そこに、密度ρ、流速vの海水が流れているものとする。いま、弾性体41の全ての部分が流体力を垂直に受けているものと仮定する。
【0034】
図4に示すように、弾性体Gを、一端固定支持はりとモデル化する。つまり、長さl、弾性係数E、断面2次モーメントIである弾性体Gに、等分布荷重pが作用するものとする。等分布荷重pは、静水圧と流体圧であると仮定する。
【0035】
単位長さ当たりpは、
p=p1−p2+1/2・pv2
と表される。
【0036】
固定端Aにおける支持力RA 、支持モーメントMA とする。
【0037】
力のつり合い、モーメントのつり合いより、
RA =pl
が成り立つ。
【0038】
固定端Aからxの位置における曲げモーメントMは、
M=−MA+RA x−∫0xpξ・dξ=−p/2・(l−x)2
である。
【0039】
たわみの基礎式(s:たわみ、ds/dx:たわみ角)
d2s /dx2=−M/EI
に曲げモーメントMを代入し、固定端x=0でたわみおよびたわみ角が0なる境界条件で解くと、弾性体G先端、つまり、x=lにおけるたわみは、
ds /dxx=l=pl3 / 6EL
となる。
【0040】
たわみの長さがlである二等辺三角形と近似すると、二辺の挟み角θは、
θ=cos−1 ・pl3 /8EI
であり、
調整代Sは、
pl4/8EI・cosθ
となる。
【0041】
つぎに、図13に示す表1および表2の作成に用いた実験装置に基づいて、弾性体に関する、具体的数値を挙げて、調整代Sの大きさを計算する。
【0042】
図5に示すように、弾性体Gは、幅:b=0.15m、高さ:h=0.02、長さ:l=0.1m、弾性係数E=38Mpaのシリコンゴムである。実験装置は、流量0.06m3/s 、密度1000kg/m3 の海水が流され、その流路の幅は、0.15mとする。同表の段♯1と段♯2の圧力をそれぞれp1、p2とする。
【0043】
p1、p2 は、表1および表2にそれぞれ示されている温度105℃、102℃の飽和蒸気圧力であるから、
p1 =120800Pa
p2 =108777Pa
である。
【0044】
したがって、
P=p1 −p2 =12908Pa
となる。
【0045】
流路の断面積は、
(流路の幅)×(海水の水位)=0.15m×0.3m=0.045m2
である。
【0046】
海水がオリフィスを通過する流速vは、
流量/断面積=0.06m3/s /0.045m2=1.33m/s
である。
【0047】
断面2次モーメントI=bh3/12=0.15m×(0.02m)3 /12=1.0×10−7 m4
であるから、
調整代Sは、
pl4/8EI・cosθ=12908Pa×(0.1m)4 /8×38Mpa×(1.0×10−7 m4 )・cosθ
=0.036m
となる。
【0048】
表1および表2から、隣り合う段間のオリフィスの開口高さの差は、5〜15mm程度であるから、調整代Sは、0.036m、即ち、±18mmあれば、負荷変動の無い場合をゼロベースとすれば、負荷変動のある場合にも対応することができる。
【0049】
上記図1に示す弾性体41は、全体にわたって肉厚一定のものとして示されているが、これに代えて、肉厚を、高さ方向にわたって、連続的または段階的に変化させても良い。また、上記弾性体41は、自由状態で、垂直姿勢で吊下げられているが、垂直線に対して、所定の角度をもたせて吊り下げても良い。上記のいずれの場合においても、弾性体41の高さ方向にわたって、弾性係数・断面2次モーメントを適切に設定することによって、所望のたわみ量が得られる。
【0050】
つぎに、図6を参照しながら、流路制御部材32の変形例を説明する。
【0051】
流路制御部材32は、海水Bに浮かべられる浮体51よりなる。浮体51は、例えば、軽量コンクリート、合成樹脂によって、中空または中実の圧肉扁平箱形状に形成されたものである。浮体51は、その一辺で、ヒンジ52によって、オリフィス31の上縁部に取付られている。
【0052】
海水Bの水位の変化によって、浮体51は、垂直姿勢および水平姿勢間で揺動自在である。これにより、水位の高低変化によって、オリフィス31の開口高さが大小変化させられる。
【0053】
流路制御部材32の他の変形例が、図7に示されている。この変形例による流路制御部材32は、図6に示す流路制御部材32と同様に、浮体61よりなる。
【0054】
隔壁22のオリフィス31上方には垂直板状ガイド板62が浮体61の厚みよりも僅かに大きい間隔をおいて固定されている。隔壁22およびガイド板62の間に、浮体61が上下摺動自在に挟まれている。
【0055】
水位の高低変化にしたがって、浮体61は、上下動させられ、これにより、オリフィス31の開口高さが大小変化させられる。
【0056】
この浮体61を、ポリスチレンによって、図8に示す直方体状に形成したものとする。ポリスチレンは、密度ρ:1050kg/m3 である。直方体の高さH;0.8m、幅B:0.15m、厚さT:0.02mとする。浮体61の質量は、0.292kgとなる。この浮体61を垂直姿勢で海水に浮かべた場合、深さd:9.73cmだけ、常時水面から沈むことになる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
この発明による多段フラッシュ造水装置は、蒸発室内の海水の水位を自動的に適切に設定することによって海水を蒸発・凝縮させて真水を効率的に得ることを達成するのに適している。
【符号の説明】
【0058】
11 ハウジング
11A 前段蒸発室
11B 後段蒸発室
22 隔壁
31 オリフィス
32 流路制御部材
41 弾性体
【技術分野】
【0001】
この発明は、海水を蒸発・凝縮させて真水を得るための多段フラッシュ造水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の造水装置の全体構造が、図9に示されている。この造水装置は、熱放出部101および熱回収部102よりなる。
【0003】
熱放出部101は、ハウジング111を有している。ハウジング111内は、複数の垂直隔壁112によって複数の蒸発室113に仕切られている。各蒸発室113内には蒸発器114が備えられている。各隔壁112にはオリフィス115が形成されている。熱回収部102は、熱放出部101と基本的構造は同一のものであって、ハウジング121、隔壁122、蒸発室123、蒸発器124およびオリフィス125を備えている。
【0004】
海水は、海水ポンプ131によって熱放出部101の最後段の蒸発器114へ送られ、熱放出部101の全段の蒸発器114を通過した後、熱放出部101の最前段の蒸発器114から熱放出部101の最後段の蒸発室113へ送られた後、循環ポンプ132によって熱回収部102の最後段の蒸発器124へ送られる。熱回収部102に送られた海水は、その全段の蒸発器124を通過した後、加熱器133へ送られる。加熱器133によって加熱された海水は、熱回収部102の最前段の蒸発室123へ送られる。この後、海水は、熱回収部102の全蒸発室123を各オリフィス125を通って順次通過し、さらに、熱放出部101の最前段の蒸発室113へ送られ、その全段の蒸発室113をオリフィス115を通って順次通過した後、最終的に、熱回収部102の最後段の蒸発室113から、循環ポンプ132によって、熱回収部102の最後段の蒸発器123に戻される。この間に、各蒸発器114、124と接触して凝縮させられた真水は、生産水ポンプ134によって、造水装置外に取出される。
【0005】
上記造水装置において、各蒸発室内の海水は、飽和蒸気圧以下にならないと蒸発しない。各段の蒸発室内の圧力は、前段の蒸発室から後段の蒸発室にかけて、順次低くなるように設定されている。隣り合う蒸発室同士で、圧力差が適切に設定されていると、前段の蒸発室内の海水が後段の蒸発室内に流入すると、そこで、飽和蒸気圧が低下し、海水は瞬時に蒸発する。
【0006】
蒸発性能を左右する大きな要因の1つは、各蒸発室内の海水の水位である。海水の水位は、各オリフィスの開口面積、とくに、その開口高さによって左右される。
【0007】
海水の水位が一定の場合、蒸気温度が大きい程、水面から発泡点までの距離が大きくなる。発泡開始点までの距離が大きいと、図10(a)に示すように、泡Aが水位の大きい位置まで蒸発し、蒸発性能は良好である。逆に、発泡開始点までの距離が小さいと、図10(b)に示すように、泡Aは液面近くでしか蒸発しないため、蒸発性能は、悪い。この関係は、図11に示すグラフから見ることができる。図11は、蒸気温度Tv毎に、過熱度ΔTsおよび水面から発泡開始点までの距離の関係を示すものである。過熱度ΔTsとは、海水入口温度−蒸気温度である。
【0008】
図10(b)に示す状態から、図10(c)に示すように、オリフィスOの開口高さを低くして、水位を下げると、蒸発量そのものは変わらなくても、海水量に対する蒸発量の観点からは、蒸発性能は良好となる。このことは、図12に示すグラフからもあきらかである。図12は、海水の水位と蒸発性能(NETD:非平衡温度差)の関係を示すものである。縦軸の蒸発性能の数値が小さい程、蒸発性能は良好である。概ね、蒸気温度の如何に関わり無く、海水の水位が浅い程、蒸発性能は良い。
【0009】
蒸気温度が大きく、図10(c)で示す状態において、さらに、水面が低下すると、図10(d)に示すように、蒸気の吹き抜け現象(同図中矢印)が発生する恐れがある。吹き抜け現象が発生すると、蒸発室間の圧力差が適切に保たれない。このような水面低下は、負荷変動、即ち、循環ポンプ出力、循環海水量、各蒸発室内の温度や圧力等の変動によってもたらされる。
【0010】
この負荷変動の影響についてプロセス計算を行ったので、つぎに説明する。ここでは、オリフィスは、方形状のものとし、各オリフィスの開口面積の調整は、オリフィスの開口幅は一定とし、その高さを変化させることによって行われるものとした。各段の蒸発室の海水の水位は、便宜上、300mmの一定に保持した状態で、吹き抜けを生じさせないオリフィス開口高さを計算した。
【0011】
図13は、上記プロセス計算の結果を示すもので、表1は負荷変動の無い場合を、表2は、負荷変動の有る場合をそれぞれ示している。
【0012】
表1および表2を比較すると、とくに、段♯19、♯20、♯21において、変動の無い場合よりも変動の有る場合、オリフィスの高さを低くしなければならないことが分かる。
【0013】
負荷変動が無い場合、段♯19、♯20、♯21で、必要なオリフィス開口高さは、0.244m、0.261m、0.279mである。段♯21で必要なオリフィス開口高さを0.279mに設定すると、水位300mmよりは小さいので、吹き抜けは発生しない。
【0014】
一方、負荷変動がある場合、例えば、段♯19、♯20および♯21間で3.5℃の温度差が生じ、段♯19、♯20、♯21の段で、0.228m、0.246m、0.266mとなった。仮に、負荷変動の有る場合、変動の無い場合の0.279mに設定すると、変動のあるばあいに必要な0.266mよりも大きいために、吹き抜けが生じる恐れがある。オリフィス開口高さを、負荷変動のない0.279mに設定した場合、負荷変動によって水位が21mm低下しただけで、吹き抜けが発生する恐れがある。
【0015】
上記課題を解決しようとする試みとして、以下の従来技術が知られている。
【0016】
第1は、ハウジングの底壁に窪みが設けられており、窪み内に没するようにオリフィスが形成されているものである(例えば、特許文献1参照。)。この従来例では、ハウジングの底壁を、通常は平坦である底壁を、複雑な形状に加工する必要があり、製造が面倒である。
【0017】
第2は、オリフィスにそって開閉板を昇降させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。この従来では、常時変動する海水の水面に合わせて開閉板を昇降させる必要があり、開閉板の昇降動作および制御機構が複雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開昭61−234901号公報
【特許文献2】実公昭63−27827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
この発明の目的は、装置内の負荷変動の有無に関わり無く、オリフィスの開口高さを最適に設定し、蒸発性能を向上させることのできる多段フラッシュ造水装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この発明による多段フラッシュ造水装置は、ハウジング内に、前段蒸発室および後段蒸発室を分離する隔壁が設けられており、隔壁に海水流路オリフィスが形成されており、オリフィスを通過させられる海水の水位の高低の変化によってオリフィスの開口高さを大小に制御する流路制御部材が備えられているものである。
【0021】
この発明による多段フラッシュ造水装置では、海水の水位が高い場合、オリフィスの開口高さが大きく設定され、オリフィスを通じて大量の海水が流され、これにより海水の水位が低下させられ、海水の水位が低い場合、オリフィスの開口高さが小さく設定され、蒸気の吹き抜けが防止される。したがって、装置内の負荷変動の有無に関わり無く、オリフィスの開口高さを最適に設定し、蒸発性能を向上させることができる。
【0022】
さらに、流路制御部材が、オリフィスの上縁部から吊下られている弾性体よりなると、水位の高さによって、弾性体のたわみ量が変化し、オリフィスの開口高さが自動的に調節される。
【0023】
また、流路制御部材が、オリフィスを通過させられる海水に浮かべられる浮体よりなり、浮体の上端は、オリフィスの上縁部に海水流れ方向と直交する軸線周りに揺動自在に連結されていると、水位の高さによって、浮体の揺動角度が変化し、オリフィスの開口高さが自動的に調節される。
【0024】
また、流路制御部材が、オリフィスを通過させられる海水に浮かべられる浮体よりなり、浮体をオリフィスにそって上下動させうる案内手段を備えていると、水位の高さによって、浮体の高さが変化し、オリフィスの開口高さが自動的に調節される。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、装置内の負荷変動の有無に関わり無く、オリフィスの開口高さを最適に設定し、蒸発性能を向上させることのできる多段フラッシュ造水装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明による造水装置の海水流路オリフィスおよびその周辺部を示す斜視図である。
【図2】同オリフィスに備えられた弾性体の動作説明図である。
【図3】たわみ量計算に用いた弾性体の説明図である。
【図4】同弾性体のモデルの説明図である。
【図5】同弾性体の具体例を示す説明図である。
【図6】流路制御部材の変形例を示す説明図である。
【図7】流路制御部材の他の変形例を示す説明図である。
【図8】図7に示す流路制御部材の具体例を示す説明図である。
【図9】従来技術による造水装置の全体構成図である。
【図10】同造水装置の発泡状態を示す説明図である。
【図11】水面から発泡点までの距離を示すグラフである。
【図12】蒸発性能を示すグラフである。
【図13】オリフィスの開口高さの計算結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、冒頭で説明した造水装置のハウジングの底部を示すものである。
【0028】
ハウジング11の水平状底壁21に直立するように垂直状隔壁22が設けられている。隔壁22によって、ハウジング11内が前段蒸発室11Aおよび後段蒸発室11Bに分離されている。隔壁22の下縁部には、これの一部を下向きコ字状に切欠くことによって、オリフィス31が形成されている。オリフィス31には流路制御部材32が備えられている。
【0029】
流路制御部材32は、弾性体41よりなる。弾性体41は、弾性を持つ材料、例えば、ゴムによって一定厚さの方形平板状に形成されたものである。オリフィス31の上縁部に弾性体41の一縁部が複数の固定部材42(図1ではボルト)によって固定されており、これにより、オリフィス31の上縁部から弾性体41がカーテン状に吊り下げられている。
【0030】
図2(a)に示すように、海水Bの水位が高いときには、海水Bに弾性体41が深く没するため、海水Bの流れによって受ける流体圧は大きくて、弾性体41のたわみは大きく、オリフィス31の開口高さは大きくなり、逆に、図2(b)に示すように、海水Bの水位が低いときには、海水Bに弾性体41が浅く没するため、海水Bの流れによって受ける流体圧は小さくて、弾性体41のたわみは小さく、オリフィス31の開口高さは小さくなる。これにより、オリフィス31の開口高さが大小に変化させられる。
【0031】
海水Bの水位が高くて、オリフィス31の開口高さが大きいと、オリフィス31を通過する海水Bの量は大きく、海水Bの水位は漸次低くなっていく。これにより、海水Bの水位が下がることにより、海水Bの蒸発が促進される。逆に、海水Bの水位が低くて、オリフィス31の開口高さが小さいと、オリフィス31を通過する海水Bの量は少なく、海水Bの水位は低くなっていく程度は小さい。海水Bの水位が下がっても、弾性体41の先端が少しでも海水Bに没していれば、吹き抜けを防止することができる。
【0032】
つぎに、弾性体41に生じるたわみによる、オリフィス31の開口高さの調整代S、すなわち、最大開口高さおよび最小開口高さの差について、ここでは、はり理論を用いて、検討する。
【0033】
図3に示すように、前段の蒸発室の圧力P1、後段の蒸発室の圧力P2とし、そこに、密度ρ、流速vの海水が流れているものとする。いま、弾性体41の全ての部分が流体力を垂直に受けているものと仮定する。
【0034】
図4に示すように、弾性体Gを、一端固定支持はりとモデル化する。つまり、長さl、弾性係数E、断面2次モーメントIである弾性体Gに、等分布荷重pが作用するものとする。等分布荷重pは、静水圧と流体圧であると仮定する。
【0035】
単位長さ当たりpは、
p=p1−p2+1/2・pv2
と表される。
【0036】
固定端Aにおける支持力RA 、支持モーメントMA とする。
【0037】
力のつり合い、モーメントのつり合いより、
RA =pl
が成り立つ。
【0038】
固定端Aからxの位置における曲げモーメントMは、
M=−MA+RA x−∫0xpξ・dξ=−p/2・(l−x)2
である。
【0039】
たわみの基礎式(s:たわみ、ds/dx:たわみ角)
d2s /dx2=−M/EI
に曲げモーメントMを代入し、固定端x=0でたわみおよびたわみ角が0なる境界条件で解くと、弾性体G先端、つまり、x=lにおけるたわみは、
ds /dxx=l=pl3 / 6EL
となる。
【0040】
たわみの長さがlである二等辺三角形と近似すると、二辺の挟み角θは、
θ=cos−1 ・pl3 /8EI
であり、
調整代Sは、
pl4/8EI・cosθ
となる。
【0041】
つぎに、図13に示す表1および表2の作成に用いた実験装置に基づいて、弾性体に関する、具体的数値を挙げて、調整代Sの大きさを計算する。
【0042】
図5に示すように、弾性体Gは、幅:b=0.15m、高さ:h=0.02、長さ:l=0.1m、弾性係数E=38Mpaのシリコンゴムである。実験装置は、流量0.06m3/s 、密度1000kg/m3 の海水が流され、その流路の幅は、0.15mとする。同表の段♯1と段♯2の圧力をそれぞれp1、p2とする。
【0043】
p1、p2 は、表1および表2にそれぞれ示されている温度105℃、102℃の飽和蒸気圧力であるから、
p1 =120800Pa
p2 =108777Pa
である。
【0044】
したがって、
P=p1 −p2 =12908Pa
となる。
【0045】
流路の断面積は、
(流路の幅)×(海水の水位)=0.15m×0.3m=0.045m2
である。
【0046】
海水がオリフィスを通過する流速vは、
流量/断面積=0.06m3/s /0.045m2=1.33m/s
である。
【0047】
断面2次モーメントI=bh3/12=0.15m×(0.02m)3 /12=1.0×10−7 m4
であるから、
調整代Sは、
pl4/8EI・cosθ=12908Pa×(0.1m)4 /8×38Mpa×(1.0×10−7 m4 )・cosθ
=0.036m
となる。
【0048】
表1および表2から、隣り合う段間のオリフィスの開口高さの差は、5〜15mm程度であるから、調整代Sは、0.036m、即ち、±18mmあれば、負荷変動の無い場合をゼロベースとすれば、負荷変動のある場合にも対応することができる。
【0049】
上記図1に示す弾性体41は、全体にわたって肉厚一定のものとして示されているが、これに代えて、肉厚を、高さ方向にわたって、連続的または段階的に変化させても良い。また、上記弾性体41は、自由状態で、垂直姿勢で吊下げられているが、垂直線に対して、所定の角度をもたせて吊り下げても良い。上記のいずれの場合においても、弾性体41の高さ方向にわたって、弾性係数・断面2次モーメントを適切に設定することによって、所望のたわみ量が得られる。
【0050】
つぎに、図6を参照しながら、流路制御部材32の変形例を説明する。
【0051】
流路制御部材32は、海水Bに浮かべられる浮体51よりなる。浮体51は、例えば、軽量コンクリート、合成樹脂によって、中空または中実の圧肉扁平箱形状に形成されたものである。浮体51は、その一辺で、ヒンジ52によって、オリフィス31の上縁部に取付られている。
【0052】
海水Bの水位の変化によって、浮体51は、垂直姿勢および水平姿勢間で揺動自在である。これにより、水位の高低変化によって、オリフィス31の開口高さが大小変化させられる。
【0053】
流路制御部材32の他の変形例が、図7に示されている。この変形例による流路制御部材32は、図6に示す流路制御部材32と同様に、浮体61よりなる。
【0054】
隔壁22のオリフィス31上方には垂直板状ガイド板62が浮体61の厚みよりも僅かに大きい間隔をおいて固定されている。隔壁22およびガイド板62の間に、浮体61が上下摺動自在に挟まれている。
【0055】
水位の高低変化にしたがって、浮体61は、上下動させられ、これにより、オリフィス31の開口高さが大小変化させられる。
【0056】
この浮体61を、ポリスチレンによって、図8に示す直方体状に形成したものとする。ポリスチレンは、密度ρ:1050kg/m3 である。直方体の高さH;0.8m、幅B:0.15m、厚さT:0.02mとする。浮体61の質量は、0.292kgとなる。この浮体61を垂直姿勢で海水に浮かべた場合、深さd:9.73cmだけ、常時水面から沈むことになる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
この発明による多段フラッシュ造水装置は、蒸発室内の海水の水位を自動的に適切に設定することによって海水を蒸発・凝縮させて真水を効率的に得ることを達成するのに適している。
【符号の説明】
【0058】
11 ハウジング
11A 前段蒸発室
11B 後段蒸発室
22 隔壁
31 オリフィス
32 流路制御部材
41 弾性体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内に、前段蒸発室および後段蒸発室を分離する隔壁が設けられており、隔壁に海水流路オリフィスが形成されており、オリフィスを通過させられる海水の水位の高低の変化によってオリフィスの開口高さを大小に制御する流路制御部材が備えられている多段フラッシュ造水装置。
【請求項2】
流路制御部材が、オリフィスの上縁部から吊下られている弾性体よりなる請求項1に記載の多段フラッシュ造水装置。
【請求項3】
流路制御部材が、オリフィスを通過させられる海水に浮かべられる浮体よりなり、浮体の上端は、オリフィスの上縁部に海水流れ方向と直交する軸線周りに揺動自在に連結されている請求項1に記載の多段フラッシュ造水装置。
【請求項4】
流路制御部材が、オリフィスを通過させられる海水に浮かべられる浮体よりなり、浮体をオリフィスにそって上下動させうる案内手段を備えている請求項1に記載の多段フラッシュ造水装置。
【請求項1】
ハウジング内に、前段蒸発室および後段蒸発室を分離する隔壁が設けられており、隔壁に海水流路オリフィスが形成されており、オリフィスを通過させられる海水の水位の高低の変化によってオリフィスの開口高さを大小に制御する流路制御部材が備えられている多段フラッシュ造水装置。
【請求項2】
流路制御部材が、オリフィスの上縁部から吊下られている弾性体よりなる請求項1に記載の多段フラッシュ造水装置。
【請求項3】
流路制御部材が、オリフィスを通過させられる海水に浮かべられる浮体よりなり、浮体の上端は、オリフィスの上縁部に海水流れ方向と直交する軸線周りに揺動自在に連結されている請求項1に記載の多段フラッシュ造水装置。
【請求項4】
流路制御部材が、オリフィスを通過させられる海水に浮かべられる浮体よりなり、浮体をオリフィスにそって上下動させうる案内手段を備えている請求項1に記載の多段フラッシュ造水装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−161353(P2011−161353A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26137(P2010−26137)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000005119)日立造船株式会社 (764)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000005119)日立造船株式会社 (764)
【Fターム(参考)】
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