説明

多相ジェットの特性を変更する装置及び方法

本発明は、多相ジェットと1つ以上の作動ジェットとの間の流体相互作用によって方向及び/又は広がりが可変な多相ジェットを注入するための装置及び方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、前記ジェットを中断させずに多相ジェットの特性を変更する装置及び方法と、その応用とに関する。本発明はより詳細には多相ジェットの方向及び/又は広がりを変更する装置及び方法に関し、また前記装置は、多相ジェットが液体粒子の分散体を含んでいる場合に、この液体粒子の粒径を変更することを可能にするものである。
【0002】
発明の背景
多くの工業的な用途及び方法は、噴射液体又は粉砕された若しくは粉末状の固体を、前記液体及び/又は固体の分散体を含有するガス状ジェット(以下、多相ジェットとして知られる)の形態で用いている。
【0003】
これは、例えば、微細に分散した液体又は固体燃料を使用する燃焼方法又は技術の、或いは液体窒素の噴射ジェットを用いて食料品を冷却する冷凍方法の例である。何れの例においても、多相ジェットの特性はその方法の性能(一方の例では炎の長さ及び伝熱、並びに他方では冷却の速度及び均一性を含む)を決定付ける。
【0004】
多相ジェットの方向及び/又は広がり、特にこの方法が行われる密閉空間内での多相ジェットの方向及び/又は広がりを、この方法を中断する必要なしに変更できることが、しばしば有利であろう。例えば、ディーゼル重油などの液体燃料の霧化によって又は微粉炭の注入によって得られるジェットを傾けることができ、動作中に、装入物への伝熱を高める要望がある場合に火炎を装入物へと一時的に向けることができるか、又は、得られたジェットの方向を変更してホットスポットを避けるようにできることが有利であろう。
【0005】
多相ジェットの方向を変更するための幾つかの解決策が提案されている。
【0006】
従来、方向が可変な2相ジェットは、その方向が変更される噴射デバイスを使用して、或いはその方向が変更される少なくとも1つのインジェクタノズルを有する噴射デバイスを使用して作り出されている。しかし、2相ジェットの方向を変更するための機械的なシステムは、特に好ましくない環境、例えば燃焼炉及び極低温設備における信頼性及び耐久性に関する問題を受ける。
【0007】
2相ジェットの方向を変更するための、いわゆる非機械的システムも提案されている。
【0008】
欧州特許公開第0545357号は、霧化ガスの環状ジェットを使用して、液体又は粉末状の霧化可能材料を霧化することによって得られる2相ジェットの方向を向けることができるアトマイザを記載している。欧州特許公開第0545357号によれば、流体制御ガスを噴霧領域の上流において環状ジェット中に注入し、流体制御ガスの注入に反対の送出断面の一部に霧化ガスを通過させるようにし、こうして環状ジェットの軸に対してその軸が傾いた非対称2相ジェットを生じる。この技術はインジェクタの軸に関しての2相ジェットの傾きを0乃至20°変更することを可能にする。しかし、この技術は偏向して得られたジェットにおける霧化可能材料の不均一な噴射という大きな欠点を有しており、流体制御ガスが注入される個所と同じ側では噴射は特に不完全である。
【0009】
また、国際公開第9744618号は、バーナーブロックを具備したバーナーを開示しており、前記バーナーブロックは複数の主酸化剤管に囲まれた中央燃料管を備えており、前記複数の主酸化剤管自体は複数の副酸化剤管に囲まれており、前記燃料は前記酸化剤の一部中で霧化された液体燃料、或いは前記酸化剤の一部によって運ばれる粉砕固体燃料でありうる。主酸化剤の量を副酸化剤よりも多く又は少なくすることにより、火炎の位置及び形状を変更することができる。火炎の最大偏向は、中央位置から末端位置まで約15°(即ち、合計で、大きくとも30°)に制限されている。加えて、燃料管、複数の主酸化剤管及び複数の副酸化剤管が炉の燃焼室に通じるバーナーブロック中に作られるため、このバーナーのデザインは比較的やっかいである。バーナーブロックは、一般に耐火材料製であり、これは、特に小型のシステムの場合、製造するのが多少難しい。
【0010】
発明の目的
本発明の目的は、前記ジェットを中断する必要なしに多相ジェットの方向及び/又は広がりの幅広い変更を可能にする、堅牢であり且つ最適化された装置を提供することにある。
【0011】
発明の説明
この文脈において、「多相ジェット」が意味するのは、気体中に分散した状態にある液体、気体中に分散した状態にある固体、或いは気体中に分散した状態にある液体及び固体であって、空間内を或る主方向に進行するものである。「2相ジェット」が意味するものは、気体中に分散した状態にある液体又は気体中に分散した状態にある固体であって、空間内を或る主方向に進行するものである。
【0012】
ジェットの「広がり」は、管から広がり出るジェットについて、管を離れるところでのジェット又は火炎の対称軸から、該ジェットの表面での母線までを測定した角度を意味している。実際には、この角度は多くの場合、管の長手方向の対称軸と、ジェットの表面での母線との間の角度に対応する。
【0013】
ジェットの方向又は向きは、流体の流路断面に垂直であり且つ流れの方向、即ち上流から下流に向かう方向に向いているベクトルとして定義される。
【0014】
本発明は、より詳細には、方向が可変であり及び/又は広がりが可変である多相ジェットを注入する装置に関する。本発明によれば、前記装置は運動量が制御及び調節された多相ジェットを注入するための主開口部を有する噴射デバイス(アトマイザとしても知られる)を具備している。主開口部は断面積Spを有しており、主平面に位置している。主開口部から出る多相ジェットの方向は主方向として知られる。
【0015】
また、前記装置はノズル(マウスピースとしても知られる)を具備しており、噴射デバイスの主開口部はこの中に通じている。このノズルは多相ジェット用の出口開口部を有しており、この出口開口部は、出口平面中に主開口部と(主方向において)反対側に位置しており、その結果、主開口部から出る多相ジェット(「主ジェット」としても知られる)は、該出口開口部を通ってノズルを離れる前に前記ノズルを通過する。
【0016】
また、前記装置は運動量が制御及び調節されたガス状作動ジェットを前記ノズルに注入するための副開口部を有する少なくとも1つの流路を具備している。この少なくとも1つの流路は、対応する副開口部から出る作動ジェットがノズル内部の多相ジェットと衝突するように位置決めされている。
【0017】
副開口部を離れる作動ジェットの方向は副方向として知られる。この副方向は、主方向に垂直な平面と角度θを成し、この角度θは90°未満且つ0°以上であり、好ましくは0°≦θ≦80°であり、より好ましくは0°≦θ≦30°であり、作動ジェットの効果はθが実質的に0°に等しい場合、即ち作動ジェットの副方向が噴射デバイスの主開口部を離れる多相ジェットの主方向に対して垂直な平面にある場合に最も強い。θが0°に等しくない場合、対応する作動ジェットの方向は、主開口部から出口開口部への方向に延びる主方向の成分を有している。
【0018】
以下により詳細に説明するように、前記装置は、出口開口部を離れる多相ジェットの方向及び/又は広がりを変更することを、噴射デバイスから出る該多相ジェットと1つ以上の作動ジェットとの相互作用によって、より詳細にはこれらの衝突によって、多相ジェットを中断する必要なしに及びピボットなどの機械的なアクチュエータに頼る必要なしに可能にする。
【0019】
「Proceedings of FEDSM'02 Joint US ASME-European Fluid Engineering Division Summer Meeting of July 14-18, 2002」及びV. Faivre and Th. Poinsotらによる文献「Experimental and numerical investigations of jet active control for combustion applications」,Journal of Turbulence, Volume 5, No.1, March 2004, page 24は、ガス状単相ジェットの周りの4つの副ジェットの特殊な構成を使用し、これら副ジェットと主ジェットとの相互作用によって火炎を安定化させることを開示している。出口でのより広い広がり角が認められる。
【0020】
副開口部の中心又は慣性中心は、噴射ノズルの主開口部が位置する主平面から距離L1離れ且つ前記ノズルの出口開口部が位置する出口平面から距離L2離れて位置している。L1及びL2は好ましくは副開口部の断面積Ssの平方根の十倍以下である。副開口部の中心点又は慣性中心は、副開口部と該副開口部から出る作動ジェット(対応する作動ジェット)の軸とが交差する部分に対応するか、或いはこの出口開口部と対応する流路(即ち、この副開口部を有する流路)の副開口部における軸とが交差する部分に対応する。副開口部が円形である場合、その中心点は円の中心である。距離L1及びL2は主方向と平行に測定される。
【0021】
ノズルは好ましくは金属製である。
【0022】
ノズルは噴射デバイスの一体部品として製造/機械加工されてもよい。このノズルを製造するより実際的な方法は、それを別個に製造/機械加工し、次に上で説明したようにそれを噴射デバイスに据え付けることにある。このノズルはより詳細には主開口部を具備した噴射ノズルの末端に据え付けられたインサート又はエンドピースの形態を有していてもよい。
【0023】
典型的には、副開口部でのノズルの内部断面は主方向に垂直であり、噴射デバイスの主開口部の断面積Sp以上である。
【0024】
噴射デバイスはガスアシスト式の噴射デバイスであってもよい。このような場合、噴射デバイスは典型的には噴射される液体又は粉末を供給するための中央管と、この中央管を取り囲む、霧化ガスを供給するための環状管とを具備している。この噴射デバイスの出口開口部では、環状管から出る霧化ガスのジェットによる、中央管から出る液体又は粉末の飛沫同伴によって、多相ジェットが作り出される。
【0025】
噴射デバイスは機械式噴射デバイスであってもよい。その場合、この噴射デバイスは典型的には液体を供給するための中央管を具備しており、この管内において流体の圧力が運動エネルギーに変換される。噴射断面を離れる高速の液体ジェットは2相ジェットを生じるのに十分な量の周りのガスを同伴するであろう。機械式噴射デバイスの主断面の寸法は典型的には同程度の流量の流体を霧化するためのアシスト式噴射デバイスのものよりも一桁小さい。
【0026】
噴射デバイスはエマルジョン噴射デバイスでもよい。その場合、この噴射デバイスは典型的には、気体中に分散した状態にある液体又は気体中に分散した状態にある粉砕固体を主平面に注入するための中央管開口部を具備している。液体流とガス流とを互いに適切に接触させることによって、多相ジェットを噴射デバイス内部に生じさせ。エマルジョン噴射デバイスの主断面の寸法は典型的には同程度の流量の液体を霧化するためのアシスト式噴霧デバイスのものと同程度の大きさである。
【0027】
噴射デバイスはアシスト式噴射デバイス及びエマルジョン噴射デバイスのコンセプトを組み合わせたハイブリッド式でもよい。
【0028】
有利には、主開口部の断面積の平方根と副開口部の断面積の平方根との比は0.25以上で10.0以下(0.25≦√Sp/√Ss≦10.0)であり、好ましくは1以上で10以下である。
【0029】
噴射デバイスがガスアシスト式、エマルジョン式又はハイブリッド式の噴射デバイスである場合、主開口部の断面積の平方根と副断面積の平方根との比は1以上で10以下であり、好ましくは3以上で7以下である。噴射デバイスが機械式噴射デバイスである場合、この同じ比は好ましくは0.25以上で4以下である。
【0030】
より詳細には方向が可変な多相ジェットの注入を可能にする本発明に係る装置の1つの態様によれば、この装置は、少なくとも1つの流路であって、対応する副開口部から出る作動ジェットの副方向が主開口部から出る主ジェットの主方向に交差する又はほぼ交差するような流路を具備している。このような場合、この作動ジェットと主開口部から出る主ジェットとの間の衝突は、(ノズルの)出口開口部の出口において(噴射デバイスの)主開口部の出口における多相ジェットの主方向に対して偏向された多相ジェットを生み出し、出口開口部から出る多相ジェットはより詳細には作動ジェットの副開口部から離れる方向に偏向される。出口開口部から主方向の左に出る作動ジェットは、出口開口部の出口において主方向に対して右に偏向された多相ジェットをもたらすであろう。
【0031】
こうして、副方向が主方向に交差又はほぼ交差するただ1つの作動ジェットは、多相ジェットの方向を一方向に変更することができる(一方向効果)。
【0032】
多方向効果(多相ジェットの方向が幾つかの方向に偏向される)は、副方向が主方向に交差又はほぼ交差する幾つかの作動ジェットを用いることによって得ることができる。
【0033】
1つの態様によれば、前記装置は、少なくとも2つの流路であって、対応する副開口部から出る作動ジェットの副方向が主開口部から出る主ジェットの主方向に交差又はほぼ交差するような流路を具備しており、前記複数の副開口部は好ましくは主方向に垂直な1つの同じ平面に、すなわち換言すると噴射デバイスの主開口部が位置する主平面から1つの同じ距離L1に位置している。
【0034】
これら2つの対応する副開口部が主ジェットの軸の両側に位置している場合、出口開口部の出口において多相ジェットを主方向に対して2つの反対の方向に偏向することができる。例えば、主方向の右に位置する副開口部から出る作動ジェットを使用して左に偏向させることができるし、主方向の左に位置する副開口部から出る作動ジェットを使用して右に偏向させることができる。
【0035】
他方で、2つの副開口部のうちの一方の方向と主方向とによって規定される平面が、前記2つの副開口部のうちの他方と主方向とによって規定される平面と一致しない場合、多相ジェットをこれら二つの平面内で偏向させることができるし、更に2つの作動ジェットが同時に注入されれば、これら2つの平面の間のどこかの平面内で偏向させることができる。好ましくは、2つの副開口部のうちの一方と主方向とによって規定される平面は、前記2つの副開口部のうちの他方と主方向とによって規定される平面に対して垂直であろう。
【0036】
出口開口部を離れる多相ジェットの方向の主方向に対しての非常に幅広い変更は、主方向の周りの4つの副開口部を使用することによって達成することができる。このような場合、前記装置はとりわけ、4つの流路であって、対応する副開口部から出る作動ジェットの副方向が主方向に交差又はほぼ交差し、これらの対応する副開口部のうちの2つが主方向と第1の平面を規定し且つこの主方向の両側に位置し、他の2つの副開口部が主方向と第2の平面を規定し且つ同様に主方向の両側に位置し、第1の平面は好ましくは第2の平面に垂直であり、4つの対応する副開口部は好ましくは主方向に垂直な同一平面内に(噴射デバイスの主開口部がある主平面から1つの同じ距離L1に)位置するように位置決めされた流路を具備していてもよい。
【0037】
広がりが可変な多相ジェットの注入を可能にする本発明に係る装置の1つの態様によれば、前記装置は、少なくとも1つの流路であって、対応する副開口部から出る作動ジェットの副方向が主開口部から出る主ジェットの主方向と実質的に共平面ではないような流路を具備する。このような場合、ノズル内部での作動ジェットと多相ジェットとの間での相互作用又は衝突は、作動ジェットがない場合に得られるであろう多相ジェットの広がりよりもジェットの広がりが大きい、出口開口部から出る多相ジェットをもたらす。
【0038】
最終的な多相ジェットの広がりを拡張させるこの効果は、副方向が主方向と共平面ではなく、主方向の周りに1つの同じ回転方向に向いている幾つかの作動ジェットを使用する場合に強められる。
【0039】
従って、本発明に係る装置は、少なくとも2つの流路であって、対応する副開口部から出る作動ジェットの副方向が主開口部から出る主ジェットの主方向と実質的に共平面ではないように、及び対応する副開口部から出る副ジェットが主方向の周りに1つの同じ回転方向を向くように向いた流路を具備し得る。これらの対応する副開口部は有利には主方向に垂直な1つの同じ平面内にある(噴射デバイスの主開口部がある主平面から離れた1つの同じ距離L1にある)。それらは主方向の両側に位置していてもよい。それらは、主方向と2つの対応する副開口部のうちの一方とによって規定される平面が、主方向と2つの対応する副開口部の他方とによって規定される平面に垂直となるように、同等に位置していてもよい。
【0040】
多相ジェットの広がりを変更するのに特に効果のある装置は、該装置が主方向の周りの3つ又は4つの副開口部を具備している場合に得られる。このような装置はとりわけ、3つ又は4つの流路であって、対応する3つ又は4つの副開口部が主方向に垂直な1つの同じ平面内にあるように、及び対応する副開口部から出る作動ジェットの副方向が主方向と実質的に共平面ではないように位置しており、対応する副開口部から出る3つ又は4つの作動ジェットが主方向の周りに1つの同じ回転方向に向いた流路を具備し得る。
【0041】
また、本発明は、多相ジェットの方向及び/又は広がりを変更するための本発明に係る装置の使用にも関する。
【0042】
従って、本発明はより詳細には多相ジェットの方向及び/又は広がりを上で説明した態様のうちの1つに係る装置を用いて変更する方法であって、
・多相ジェットが噴射デバイスの主開口部を通してノズルに注入され、前記多相ジェットは主方向に且つ調節された運動量で注入され、
・少なくとも1つの作動ジェットが流路の副開口部を通してノズルに注入され、各々の作動ジェットは調節された運動量で且つ副方向に、副ジェットがノズルの内部で多相ジェットと衝突するように注入される
方法に関する。
【0043】
各々の作動ジェットの副方向は主方向に垂直な平面と角度θを成し、この角度θは90°未満で0°以上であり、好ましくは0°≦θ≦80°であり、より好ましくは0°≦θ≦30°であり、作動ジェットが有する多相ジェットに関する効果は、角度θが実質的に0°に等しい(作動ジェットが主方向に対して実質的に垂直である)場合に最も顕著になる。
【0044】
本発明の方法によれば、ノズルの出口開口部を離れる多相ジェットの方向及び/又は広がりは少なくとも1つの作動ジェットの調節された運動量を変えることによって変更される。
【0045】
上で述べたように、本発明に係る方法は、少なくとも1つの作動ジェットを主開口部から出る多相ジェットの主方向に交差する又はほぼ交差する副方向でノズルに注入することによって、多相ジェットの方向を変更させる。ノズルの出口開口部を離れる多相ジェットの広がりは、その副方向が主方向に交差する又はほぼ交差する少なくとも1つの作動ジェットの調節された運動量を変えることによって変更される。
【0046】
多相ジェットの主方向に対する副方向での偏向は、(主開口部から出る多相ジェットの運動量に関して)作動ジェットの運動量とともに増加する。作動ジェットがない(作動ジェットの運動量=0)場合、ノズルの出口開口部から出る多相ジェットの方向は、主方向(噴射デバイスの主開口部から出る多相ジェットの方向)と実質的に同一である。
【0047】
多相ジェットの方向を変更するための本発明に係る方法の様々な態様(多くの作動ジェット、対応する副開口部の位置など)を対応する装置に関連付けて既に上で説明してきた。
【0048】
概して述べると、多相ジェットの偏向を支配する物理的パラメータは、作動ジェットの運動量とアトマイザによって生じた2相ジェット運動量との比であろう。このパラメータは、実際には、出口開口部から出る多相ジェットの方向を、霧化ガス及び作動ジェットの運動量、より詳細には流量を調節するフィッティング制御によって、制御又は調節するのに用いてもよい。
【0049】
上で述べたように、本発明に係る方法は、その副方向が主開口部から出る主ジェットの主方向と実質的に共平面ではないノズルに少なくとも1つの作動ジェットを注入することによって、多相ジェットの広がりを変更することを可能にする。この場合、副方向が主方向と実質的に共平面ではない少なくとも1つの作動ジェットの調節された運動量を変えることによって、ノズルの出口開口部を離れる多相ジェットの広がりを変更することができる。
【0050】
出口開口部から出る多相ジェットの広がりは、作動ジェットの運動量とともに増加する。
【0051】
既に上で述べたように、最終的な多相ジェットの広がりのより顕著な増加は、その副方向が主開口部から出る主ジェットの主方向と実質的に共平面ではないノズルに幾つかの作動ジェットを注入し、主方向の周りで1つの同じ回転方向にこれらの作動ジェットを向けた場合に得ることができる。
【0052】
多相ジェットの広がりを変更するための本発明に係る方法の様々な態様(作動ジェットの数、対応する副開口部の位置など)を対応する装置に関連付けて既に上で説明してきた。
【0053】
多相ジェットの偏向を制御する物理的パラメータは、一般に作動ジェットの運動量とアトマイザによって生じた2相ジェットの運動量との比であろう。このパラメータは、実際には、霧化ガス及び作動ジェットの運動量、より詳細には一般に流量を調節する制御設備を使用して、出口開口部から出る多相ジェットの広がりを制御又は調節するのに使用され得る。
【0054】
実際には、作動ジェットの運動量は通常、前記作動ジェットの流量を調節することによって変更される。
【0055】
出口開口部から出る多相ジェットの方向及び/又は広がりを変更する際にこのジェットの化学組成、より詳細にはガス含有物が変化しないことが望ましい場合、前記装置に、調整された全体的なガス供給と、前記全体的なガス供給の一部分を1つ以上の作動ジェットを注入するための流路に向けて取り出すためのガス取り出し口とを提供することが考えられる。この場合、作動ジェットの運動量は、対応する流路へと分流される前記全体的な供給の前記一部分を変えることによって変更される。前記装置及び前記方法のこのような態様は、多相ジェットが燃料及び酸化剤からなる混合物を含有している場合に特に有利となり得る。
【0056】
多相ジェットは2相ジェットでもよく、より詳細には液体/気体2相ジェットでもよいし、固体/気体2相ジェットでもよい。
【0057】
本発明の有用な応用によれば、多相ジェットは液体窒素の分散体を含有している。
【0058】
本発明の他の有用な応用によれば、多相ジェットは液体燃料及び/又は固体燃料の分散体を含んでいる。このような場合、多相ジェットがガス状の酸化剤中の分散体である場合がしばしば有利である。多相ジェットがガス状の酸化剤を含有している場合、この酸化剤は空気であり得る。
【0059】
しかし、多相ジェットの気相が酸化剤である場合、この酸化剤は、或る場合には、酸素含有量が少なくとも40体積%でもよいし、好ましくは少なくとも50体積%でもよいし、より好ましくは更に90体積%でもよい。
【0060】
本発明に係る方法は、分散体が占める体積と粒子の速度とを変更することを可能にする。液体分散体の場合、本発明は更に液体粒子の粒径分布を変更することも可能にする。
【0061】
本発明はとりわけ、制御パラメータ:ノズルに注入される多相ジェットの運動量と注入される作動ジェットの運動量との比により、多相ジェットの方向を直線的に変更させることを可能にする。
【0062】
注入装置も該装置のノズルも機械的に何ら動かすことなく、多相ジェットの方向又は広がりを変更する選択肢はかなり有利である。というのは、工業的環境においては、しばしば好ましくない条件、例えば非常に低い若しくは非常に高い温度及び/又は非常に高いレベルのダスト若しくは腐食性物質のせいで、このような機構を長い間に亘って保全するのが困難であるからである。
【0063】
第3部

図1乃至7と関連して、非限定的な例として示した以下の例示的態様の補助により、本発明はより良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1a、b及びcは本発明に係る装置の2つの態様を概略的に図示したものであり、図1aは前記装置の長手方向の断面を図示しており、図1bは多相ジェットの方向を変更するためのノズルの断面を図示したものであり、図1cは多相ジェットの広がりを変更するためのノズルの断面を図示したものである。
【図2】図2は、本発明に係る装置によって偏向された2相ジェットの図を示している。
【図3】図3は、作動ジェットの流量と霧化ガスのジェットの流量との比の、装置を離れる多相ジェットの偏向への影響を示している。
【図4】図4は、作動ジェットの流量と霧化ガスのジェットの流量との比の、装置を離れる多相ジェットの偏向への影響を示している。
【図5】図5は、作動ジェットの流量と霧化ガスのジェットの流量との比が有する、装置を離れる多相ジェットの拡大の度合いへの影響を示している。
【図6】図6は、作動ジェットの流量と霧化ガスのジェットの流量との比が有する、装置を離れる多相ジェットの拡大の度合いへの影響を示している。
【図7】図7は、作動ジェットの流量と霧化ガスのジェットの流量との比の、多相ジェット中の液体粒子の平均粒径への影響を示している。
【0065】
本発明は、ガス状ジェット(作動ジェットとして知られる)を、噴射デバイス(液体/気体多相ジェットの場合にはしばしばアトマイザとして知られる)によって作り出される多相ジェットの方向(方向)及び/又は広がりを制御するために使用する。
【0066】
図1は、ガスアシスト式のアトマイザ11とノズル15とを具備した、本発明に係る装置を示している。
【0067】
アトマイザ11は、噴射される液体を供給するための中央管12と、この中央管12を囲む、霧化ガスを供給するための環状管13とを具備している。中央管12及び環状管13はアトマイザ11の主開口部14に通じている。これにより、液体ジェットは主開口部14の中央に注入され、この主開口部において環状のガス状霧化ジェットに囲まれる。高速の環状ジェットの運動エネルギーは液体ジェットを霧化し、主開口部14の下流において主方向X−Xに液体/気体2相ジェットをもたらし、アトマイザのちょうど出口に液体/気体の分散体が現れる。
【0068】
2相ジェット中の液滴の典型的な大きさは、数10ミクロン程度である。
【0069】
本発明によれば、前記装置はガス状作動ジェットの注入のための流路16を具備している。前記流路16に対応した副開口部17は、アトマイザ11の主開口部13の下流でノズル15内に位置している。これら副開口部17は2相ジェットの主軸X−Xに垂直な平面(それぞれ図1b及び1cの平面)に位置している。
【0070】
4つの作動ジェットの配置について説明する、流路及び対応する副開口部の2つの異なる配置がある。
【0071】
図1bは作動ジェットの放射レイアウトを示している。即ち、この図において、流路16及び副開口部17は、副開口部17から出る作動ジェットが2相ジェットの主方向X−Xに交差する副方向(矢印で示している)をもつように位置している。本発明のこの態様は、ノズル15の出口開口部18を離れる多相ジェットの方向を変更することを可能にする。
【0072】
図1cは副開口部17から出る作動ジェットの接線方向レイアウトを示している。この図において、流路16及び副開口部17は、副開口部17から出る作動ジェットの副方向(直線の矢印で示している)が主方向X−Xと共平面ではないが、全てが主方向の周りの1つの同一の回転方向(2つの曲線の矢印で示している)を向くように位置している。1つ以上の作動ジェットがノズル内部で多相ジェットに衝突したとき、このことは出口開口部18から出る2相ジェットの広がりの拡張をもたらす。
【0073】
以下の寸法が、図1に示されている:
−同軸アトマイザの寸法:
1:液体を供給するための中央管の径
gi:環状の霧化ガス管の内径
ge:環状の霧化ガス管の外径
−制御システムの寸法:
0:装置の出口開口部の径
H:主方向X−Xに対して直角で測定した、出口開口部と主開口部との間の距離
1:流路の第1の固有寸法
2:流路の第2の固有寸法
d=√(d12+d22
1:副開口部の中心点と主平面との間の距離
2:副開口部の軸の中心点と出口平面との間の距離。
【0074】
典型的には、主軸X−Xに平行に測定された、副開口部17の中心点と、主開口部13の平面及び出口開口部18の平面のそれぞれとの間の距離L1及びL2は、副開口部17の断面積の平方根の1乃至10倍である。副開口部17の断面積の平方根は、この副開口部における作動ジェットの断面積に対応する。副開口部17の断面積の平方根/この副開口部17の出口における作動ジェットの断面積の平方根は、以下、作動ジェットの固有寸法dとして知られる。
【0075】
作動ジェットの固有寸法は、対応する流路16における所定の流体流量に対する、作動ジェットの運動量を決定する。
【0076】
多相ジェットの方向の大きな偏向を達成するためには(図1bを参照のこと)、実際には流路の固有寸法は一般に製造上の制約を受けるという事実を踏まえつつ、ノズル15に注入される作動ジェットの運動量と主開口部13を離れる多相ジェットの運動量との間の比を最大にすることが望ましいであろう。
【0077】
多相ジェットに作用する副ジェットの数は典型的には4つに限定されるであろう。副ジェットの数をより多くしても、装置及び方法の性能をそれほど改善させるわけではなく、組み立ての困難及びより高い製造コストをもたらす可能性があるためである。更に、アクチュエータは、主開口部13及び出口開口部18の近くの領域に位置しているので、これは、空間的な理由で、それらの数を制限する。
【0078】
以下の例は、多相ジェットの方向又は広がりを変更するための本発明に係る装置及び方法の使用に関するものである。
【0079】
多相ジェットの方向を変更するための装置(例1乃至3)は、本質的には図1a及び1bに図示されたものと同様であるが、主方向に交差する副方向を有するただ1つの作動ジェットがノズルに注入される。
【0080】
多相ジェットの広がりを変更するための装置(例4乃至6)は、本質的には図1a及び1cに図示されたものと同様であるが、4つの作動ジェットが注入される。
【0081】
図3乃至6において、zは装置の出口開口部の下流の距離(主方向で測定)であり、ここで偏角アルファ(α)及び拡張(L−L0)/L0がそれぞれ測定される。したがって、z=0での測定は出口開口部のまさに出口での測定であり、L0は多相ジェットのz=0、即ち出口開口部での幅である。
【0082】
制御パラメータ
本発明に係る装置及び方法のための操作パラメータは、例においては(一定の作動ジェット固有寸法の場合)、それぞれ、作動ジェットとして流路を通るガスと環状霧化ジェットを通るガスとの流量の比である。
【0083】
本文において説明した全ての結果について、アクチュエータと霧化ジェットとを通るガスの総流量は一定のままであった。
【0084】
多相ジェットの偏向
例1乃至3:多相ジェットの偏向
例1:
多相ジェットの偏向は、ノズルの出口開口部18を離れる多相ジェットの方向と、アトマイザの主開口部を離れる多相ジェットの主方向X−Xとの間の角度として定義される。
【0085】
この角度は、オンブロスコピーを使用して、制御チャンバの出口における多相ジェットの包絡線から測定することができる(図2参照)。
【0086】
図2は、多相ジェットの方向を変更するために、前記装置によって作動ガスの作用を受けた空気アシスト式のアトマイザから生じた水の2相ジェット又は「スプレー」の平均の処理画像を示している。この例の注入条件は:水流量が約6g/s、環状霧化ジェットのガス流量が約1.3g/s、アクチュエータのガス流量が0.7g/sである。2相ジェットが偏向される観察角は約30°である。
【0087】
例2:
図3は、多相ジェットの方向を変更するための装置(図1a及びb)における多相ジェットの偏向に関する制御パラメータの影響を示しており、ここではD0=7.5mm、d1=3.0mmである。
【0088】
最初に、この図において、液体ジェットの偏向角はインジェクタからの距離が増加するにつれて減少していることに気づくであろう。この結果は、重力の影響を受ける液滴の弾道学的特性によって説明することができる(ここでは、前記インジェクタは下向き垂直位置に位置決めされている)。
【0089】
特に、2相ジェットの偏向角は、制御パラメータとともに実質的に直線的に増加することに気づくであろう。この現象は、高いダイナミックレンジ(制御レベル及びジェットが偏向され得る角度における大きな振幅)を示し、したがって制御パラメータは、それぞれのガス状ジェットの運動量又は流量を調節する制御設備を使用して、多相ジェットの方向に対して良好な制御を与える。
【0090】
加えて、この第1の配置の場合に得られる最大値は、周知の非機械的システム、例えば欧州特許公開第0545357号のシステムを用いて得られる値よりも大きい。
【0091】
例3:
図4は、多相ジェットの方向を変更するための装置(図1a及びb)における2相ジェットの偏向に関する制御パラメータの影響を示しており、ここではD0=5.5mmであることを除いて、寸法及び動作条件は図3と同じである。したがってこの場合、作動ジェットの副開口部は主開口部からそれほど離れていない(Hの値が低い)。
【0092】
この図は、制御レベルによるジェットの偏向角における、閾値効果とその後の非常に大きな増加を示している。更に、偏向の最大振幅は、前の場合よりも遥かに大きい。
【0093】
このように、ジェットの偏向の幅及び制御システムのダイナミックレンジ(制御パラメータと得られるジェットの偏向との比)を、距離Hの適切な選択によって調節することができる。
【0094】
例えば50°又は60°程度の非常に大きな振幅を得るために、作動ジェットの固有寸法の0.5乃至1.50倍の範囲の距離Hが使用されるであろう。それに反して、閾値効果なしの実質的な偏向(30°)のみ(制御パラメータと得られるジェットの偏向との間の実質的に直線的な関係)が望まれる場合には、0乃至0.2×dの距離が選択されるであろう。
【0095】
例4及び5:2相ジェットの広がり
出口開口部から出る多相ジェットの広がりは、2相ジェットの包絡線に基づいて定義され、この包絡線は上で述べたように決定される。実際、ジェットの拡張レベルは、インジェクタの下流の所定距離における2相ジェットの幅の相対変化として決定される。
【0096】
例4:
図5は、H=80mm及びd1=3mmで接線方向に配置された4つの作動ジェットの制御パラメータに依存する、「スプレー」の拡張レベルにおける変化を示している。同様に非常に高いダイナミックレンジを示す、制御パラメータ=5までの連続的で直線的な展開が見られる。
【0097】
例5:
図6に示すように、接線方向に位置するアクチュエータについては、流路の径d1と、したがって同じd2、更に流路の寸法dは、制御の効果をさほど変化させない。この図では、SW2、SW3及びSW5は異なり、SW2ではd1=2mm、SW3ではd1=3mm、SW5ではd1=5mmである。
【0098】
例6:2相ジェットにおける粒径分布
既に見てきたように、作動ジェットは2相ジェットの方向又はその広がりを変更することを可能にするが、粒径分布を変更することも可能にする、即ち液滴の粒径分布を変更することを可能にする。この例8では、マルバーン光学技術(粒子による光の散乱)を用いて平均粒径(ザウター平均径)を測定する。
【0099】
図7は、接線方向に設置された4つの作動ジェットについての平均ザウター径(D32)の変化を示している。より大きい寸法d1で(したがって、一定のd2で、寸法dで)、平均ザウター径に連続的な増加があることがわかる。これに反して、d1がより小さい場合(したがって、一定のd2と、dの場合)、粒径の増加は急速に制限される。流路の寸法、したがって副開口部の寸法、および結果として対応する副開口部の出口における作動ジェットの断面積の選択は、例えば、粒径の著しい変更を伴って又は伴わずにスプレーをより幅広く拡げることを可能にするであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
方向が可変であり及び/又は広がりが可変な多相ジェットを注入するための装置であって、前記装置は、
・運動量が調節された多相ジェットを主方向に注入するための主開口部を有する噴射デバイスであって、前記主開口部は主平面に位置し断面積Spを有する噴射デバイスと、
・ノズルであって、前記噴射デバイスの前記主開口部がそこに通じており、出口平面で前記注入開口部と反対側に位置する、前記多相ジェットのための出口開口部を有するノズルと、
・少なくとも1つの流路であって、副方向において運動量が調節されたガスの作動ジェットを前記ノズルに注入するための副開口部を有し、前記作動ジェットが前記ノズルの内部で前記多相ジェットに衝突するようにし、前記副開口部は断面積Ssを有し、前記副方向は前記主方向に垂直な平面と角度θを成し、前記θは90°未満で0°以上であり、好ましくは0°≦θ≦80°であり、より好ましくは0°≦θ≦30°である流路と
を具備した装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記少なくとも1つの流路の前記副開口部は、前記主平面から離れた距離L1且つ前記出口平面から離れた距離L2に位置する中心点を有し、L1、L2≦10×√Ssである装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置であって、前記ノズルは金属製である装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の装置であって、0.25≦√Sp/√Ss≦10.0である装置。
【請求項5】
方向が可変な多相ジェットを注入するための請求項1乃至4の何れか1項に記載の装置であって、少なくとも1つの流路であって、対応する副開口部から出る前記作動ジェットの前記副方向が、前記主開口部から出る前記多相ジェットの前記主方向に交差する又はほぼ交差するような流路を具備した装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、少なくとも2つの流路であって、対応する副開口部から出る前記作動ジェットの前記副方向が前記主開口部から出る前記多相ジェットの前記主方向に交差又はほぼ交差するように向いている流路を具備した装置。
【請求項7】
広がりが可変な多相ジェットを注入するための請求項1乃至6の何れか1項に記載の装置であって、少なくとも1つの流路であって、対応する副開口部から出る前記作動ジェットの前記副方向が前記主開口部から出る前記主ジェットの前記主方向と実質的に共平面ではないような流路を具備した装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であって、少なくとも2つの流路であって、対応する副開口部から出る前記作動ジェットの前記副方向が、前記主開口部から出る前記多相ジェットの前記主方向と実質的に共平面ではなく、且つ対応する副開口部から出る前記副ジェットが前記主方向の周りで1つの同じ回転方向に向くように、向いている流路を具備した装置。
【請求項9】
多相ジェットの方向及び/又は広がりを、請求項1乃至8の何れか1項に記載の装置を用いて変更する方法であって、
・前記多相ジェットが前記噴射デバイスにより前記噴射デバイスの前記主開口部を通して前記ノズルに注入され、前記多相ジェットは主方向に且つ調節された運動量で注入され、
・少なくとも1つの作動ジェットが流路の前記副開口部を通して前記ノズルに注入され、各々の作動ジェットは調節された運動量で且つ副方向に、前記副ジェットがノズルの内部で前記多相ジェットと衝突するように注入され、前記副方向は前記主方向に垂直な平面と角度θを成し、この角度θは90°未満で0°以上であり、好ましくは0°≦θ≦80°であり、より好ましくは0°≦θ≦30°であり、
前記ノズルの前記出口開口部を離れる前記多相ジェットの前記方向及び/又は前記広がりは、少なくとも1つの作動ジェットの前記調節された運動量を変えることによって変更される方法。
【請求項10】
多相ジェットの方向を変更するための請求項9に記載の方法であって、前記ノズルに注入される少なくとも1つの作動ジェットの前記副方向は前記主開口部から出る前記多相ジェットの前記主方向に交差又はほぼ交差し、前記ノズルの前記出口開口部を離れる前記多相ジェットの前記広がりは、その副方向が前記主方向に交差又はほぼ交差する前記少なくとも1つの作動ジェットの前記調節された運動量を変えることによって変更される方法。
【請求項11】
多相ジェットの広がりを変更するための請求項9又は10に記載の方法であって、前記ノズルに注入される少なくとも1つの作動ジェットの前記副方向は、前記主開口部から出る前記多相ジェットの前記主方向と実質的に共平面ではなく、前記ノズルの前記出口開口部を離れる前記多相ジェットの広がりは、副方向が前記主方向と実質的に共平面ではない前記少なくとも1つの作動ジェットの前記調節された運動量を変えることによって変更される方法。
【請求項12】
請求項9乃至11の何れか1項に記載の方法であって、前記多相ジェットは液体/気体2相ジェット又は固体/気体2相ジェットである方法。
【請求項13】
請求項9乃至12の何れか1項に記載の方法であって、前記多相ジェットは液体窒素の分散体を含んでいる方法。
【請求項14】
請求項9乃至12の何れか1項に記載の方法であって、前記多相ジェットは液体燃料及び/又は固体燃料の分散体を含んでいる方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、前記多相ジェットはガス状酸化剤中の分散体である方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記ガス状酸化剤は酸素含有量が少なくとも40体積%であり、好ましくは少なくとも50体積%であり、より好ましくは90体積%である方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−509183(P2011−509183A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541831(P2010−541831)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【国際出願番号】PCT/FR2009/050033
【国際公開番号】WO2009/092949
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(591036572)レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード (438)
【出願人】(505220022)アンスティテュ・ナスィヨナル・ポリテクニーク・ドゥ・トゥールーズ (2)
【出願人】(500174661)サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・レシェルシュ・サイエンティフィーク−セ・エン・エール・エス− (54)
【Fターム(参考)】