説明

多穴型容器およびその製造方法

【課題】ガラスからなる底板と、所定の配列で設けられた多数個の貫通孔を有するガラスからなる本体ブロックを融着によって接合一体化してなる、有機溶剤を安全に使用でき、さらにX線等の電磁波を用いた解析に用いることが可能である多穴型容器およびその製造方法を提供する。
【解決手段】リドロー加工によって厚さを0.2mm以下としたガラスからなる底板と、所定の配列で設けられた多数個の貫通孔を有するガラスからなる本体ブロックとを研磨した後にこの研磨面で重ね合わせ、これら底板および本体ブロックを一対の押圧部材で押圧し、その後冷却して底板と本体ブロックを接合する工程を有し、前記押圧部材のうち本体ブロックと直接接触する方の押圧部材の表面に、貫通孔と底板で区画形成された空間を外界と連通させて前記空間内のガスを外気圧に維持するガス圧調整手段を設けることを特徴とする製造工程からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚さを0.2mm以下としたガラスからなる底板と、所定の配列で設けられた多数個の貫通孔を有する厚さ5〜50mmのガラスからなる本体ブロックを接合一体化してなる多穴型容器およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多穴型容器は、近年の研究手法のハイスループット化によりその需要は高まっている。また、その用途もX線を用いた結晶構造の解析、ELISA法による解析など多岐に渡るため、それぞれの用途に適合した多穴型容器の提供が求められている。例えば、創薬研究や製剤研究において、合成物の構造を解析するためにX線を用いる方法が利用されている。こうした研究分野においては、合成反応に有機溶剤が汎用されるため、合成物を解析するためには、まず有機溶剤の使用に耐えうる容器で該反応を行い、その後に合成物をX線回折用の容器に移して分析する必要があった。このため作業が繁雑となり、合成物の汚染や破損の原因になっていた。この様な作業を効率化し合成物の汚染等の危険性を排除するため、有機溶剤が使用可能で且つ同一容器でX線等の電磁波を透過させることによりX線回折もできるような多穴型容器の製造が求められていた。この要求を満たす手段の一つとしては、容器をプラスチックやガラスのような透光材料によって作製することが有用である。
【0003】
しかしながら、容器がプラスチック製の場合には、有機溶剤で容器が溶出したり、耐熱性に劣るという問題がある。また、底板をガラス製とした多穴型容器としては、例えば特許文献1等がある。
【0004】
しかしながら、特許文献1の多穴型容器は、底板のみがガラス製で、本体ブロックはプラスチック製であるため反応系に有機溶剤を使用した場合、本体ブロックが有機溶剤で溶出されるおそれがあり、加えて、多数個の貫通孔を有する本体ブロックと底板の結合に接着剤を使用しているため、かかる接着剤の成分が反応系に溶出するおそれもあり、反応に影響を与えかねないという懸念がある。
【0005】
【特許文献1】特開2002−125656号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、厚さを0.2mm以下としたガラスからなる底板と、所定の配列で設けられた多数個の貫通孔を有する厚さ5〜50mmのガラスからなる本体ブロックを、接着剤を用いることなく融着によって接合一体化してなる多穴型容器およびその製造方法を提供する。本発明の多穴型容器は、特に有機溶剤を使用する場合や、X線等の電磁波を透過させて容器内の合成物等の構造解析を行うのに適している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の要旨構成は以下の通りである。
【0008】
(1)厚さを0.2mm以下としたガラス材料からなる底板と、所定の配列で設けられた多数個の貫通孔を有する厚さ5〜50mmのガラス材料からなる本体ブロックとを、少なくとも本体ブロックの片面をRmaxが20μm未満となるように研磨した後に重ね合わせ、これら底板および本体ブロックを、一対の押圧部材で、ガラスの粘度logη=10.8〜15.0となる温度、押圧力5g/cm2以上および押圧時間1〜10時間の条件で押圧し、その後冷却して底板と本体ブロックを接合する工程を有し、底板と本体ブロックを重ね合わせた際に貫通孔と底板で区画形成された空間を前記押圧時に外界と連通させて、前記空間内のガス圧を外気圧に維持するガス圧調整手段を設けることを特徴とする多穴型容器の製造方法(第1発明)。
【0009】
(2)前記底板は、所定厚さに研磨したガラス材料からなり、底板と本体ブロックとを、Rmaxが20μm未満となるようにそれぞれの片面を研磨した後に重ね合わせる前記(1)に記載の多穴型容器の製造方法(第2発明)。
【0010】
(3)前記底板は、所定厚さにリドロー加工したガラス材料からなり、底板と本体ブロックとを、Rmaxが20μm未満となるように本体ブロックの片面のみを研磨した後に重ね合わせる前記(1)に記載の多穴型容器の製造方法(第3発明)。
【0011】
(4)前記ガス圧調整手段は、押圧部材表面の幅全体にわたって設けられ、押圧時に本体ブロックの貫通孔位置を横切って延びる溝である前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の多穴型容器の製造方法。
【0012】
(5)前記ガス圧調整手段は、押圧部材と衝合する本体ブロック表面の幅全体にわたって貫通孔位置を横切って延びる溝である前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の多穴型容器の製造方法。
【0013】
(6)前記重ね合わせに先立ち、前記底板および前記本体ブロックの接合面に水酸基が存在するような表面処理を施すことを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の多穴型容器の製造方法。
【0014】
(7)前記表面処理は、前記底板および前記本体ブロックの接合面に酸処理を施した後にアルカリ処理を施す二段処理であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の多穴型容器の製造方法。
【0015】
(8)前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の方法によって製造される多穴型容器。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、厚さを0.2mm以下としたガラスからなる底板と、所定の配列で設けられた多数個の貫通孔を有する厚さ5〜50mmのガラスからなる本体ブロックを、接着剤を用いることなく融着によって接合一体化することにより、有機溶剤を用いた反応系に対しても反応に影響を及ぼさない状態で使用でき、さらにX線等の電磁波を透過させて容器内の合成物等の構造解析を行うことができる多穴型容器およびその製造方法の提供が可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明者らは、有機溶剤を用いた反応系に対しても反応に影響を及ぼさない状態で使用でき、さらにX線等の電磁波を透過させて容器内の合成物等の構造解析を行うことができる多穴型容器の製造方法についての検討を行ったところ、容器全体をガラス製とし、かつ底板の厚さを0.2mm以下にして、X線等の電磁波が十分に透過できる厚さの透明ガラスとし、底板と多数個の貫通孔を有する本体ブロックを接着剤を用いることなく接合すればよいとの知見を得た。しかしながら、厚さが薄い底板を本体ブロックに一対の押圧部材を用いてプレスで熱融着させて接合一体化した場合、融着後の冷却において貫通孔と底板で区画形成された空間内に閉じこめられたガスが収縮することによって前記空間内のガス圧が低下するが、底板が0.2mm以下と薄い場合にはこの圧力に耐えられずに、底板が容器外方から見て凹レンズ状にくぼむことが判明した(図2参照)。そこで押圧部材の本体ブロックと接する表面上に、押圧部材の幅全体にわたって接触時の本体ブロックの貫通孔位置を横切って延びる溝を設けることによって前記空間内のガス圧を調整するとこの問題が解決できることを見出し(図3、図4参照)、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の多穴型容器の製造法は、厚さを0.2mm以下としたガラスからなる底板と、所定の配列で設けられた多数個の貫通孔を有する厚さ5〜50mmのガラスからなる本体ブロックを、接着剤を用いることなく融着によって接合一体化してなることを特徴とする。
【0018】
次に、本発明に従う多穴型容器の製造方法について説明する。
【0019】
第1発明に従う多穴型容器の製造方法は、厚さを0.2mm以下としたガラス材料からなる底板と所定の配列で設けられた多数個の貫通孔を有する厚さ5〜50mmのガラス材料からなる本体ブロックとを、少なくとも本体ブロックの片面をRmaxが20μm未満となるように研磨した後に重ね合わせ、これら底板および本体ブロックを、一対の押圧部材で、ガラスの粘度logη=10.8〜15.0となる温度、押圧力5g/cm2以上および押圧時間1〜10時間の条件で押圧し、その後冷却して底板と本体ブロックを接合一体化させる(図3)。ここで底板の厚さが0.2mmを超えるとX線の透過性が低くなるため、X線透過法を用いた解析に使用するためには適さない。本体ブロックの厚さは、特に限定されず用途によって適宜選択できるが、穴に収容できる試料の容量および取り扱いの点から5〜50mmが好ましい。これら部材の表面をRmaxが20μm未満となるように研磨するのは、融着面の接着を確実にするためである。融着の条件としては、ガラスの粘度logηが15.0を超えると融着が完全でなくなり、10.8未満であるとガラスが変形してしまう。ここで、ガラスの種類による温度と粘度の関係については、例えばソーダライムガラスではガラスの粘度logη=10.8〜15.0となる温度は523〜610℃、D263では562〜624℃である。ソーダライムガラスの場合は470℃程度でも融着できるが、非常に長時間の押圧時間が必要である。押圧時間は、1時間未満であると融着が完全でなくなり、10時間を超えて押圧しても融着の程度は変化しない。押圧力は5g/cm2未満であると融着が不完全となる。尚、押圧力の上限は、ガラスが変形・破損する可能性が高くなるため、100g/cm2以下とすることが好ましい。
【0020】
第2発明に従う多穴型容器の製造方法は、研磨によって厚さを0.2mm以下としたガラス材料からなる底板と所定の配列で設けられた多数個の貫通孔を有する厚さ5〜50mmのガラス材料からなる本体ブロックを用いる。これらのそれぞれの片面をRmaxが20μm未満となるように研磨した後にそれらの研磨面を重ね合わせ、これら底板および本体ブロックを、一対の押圧部材で、ガラスの粘度logη=10.8〜15.0となる温度、押圧力5g/cm2以上および押圧時間1〜10時間の条件で押圧し、その後冷却して底板と本体ブロックを接合一体化させる(図3)。ここで底板の厚さが0.2mmを超えるとX線の透過性が低くなるため、X線透過法を用いた解析に使用するためには適さない。本体ブロックの厚さは、特に限定されず用途によって適宜選択できるが、穴に収容できる試料の容量および取り扱いの点から5〜50mmが好ましい。これら部材の表面をRmaxが20μm未満となるように研磨するのは、融着面の接着を確実にするためである。融着の条件としては、ガラスの粘度logηが15.0を超えると融着が完全でなくなり、10.8未満であるとガラスが変形してしまう。押圧時間は、1時間未満であると融着が完全でなくなり、10時間を超えて押圧しても融着の程度は変化しない。押圧力は5g/cm2未満であると融着が不完全となる。尚、押圧力の上限は、ガラスが変形・破損する可能性が高くなるため、100g/cm2以下とすることが好ましい。
【0021】
第3発明に従う多穴型容器の製造方法は、リドロー加工によって厚さを0.2mm以下としたガラス材料からなる底板および多数の貫通孔を有する厚さ5〜50mmのガラス材料からなる本体ブロックを用いる。ここで底板は、X線の透過性を考慮すれば、厚さを0.05〜0.1mmにすることが好適である。Rmaxが20μm未満となるように本体ブロックの片面のみを研磨した後にこの研磨面で重ね合わせ、これら底板および本体ブロックを、一対の押圧部材で、ガラスの粘度logη=10.8〜15.0となる温度、押圧力5g/cm2以上および押圧時間1〜10時間の条件で押圧し、その後冷却して底板と本体ブロックを接合一体化させる(図3)。本体ブロックの厚さは、特に限定されず用途によって適宜選択できるが、穴に収容できる試料の容量および取り扱いの点から5〜50mmが好ましい。本体ブロックの表面をRmaxが20μm未満となるように研磨するのは、融着面の接着を確実にするためである。尚、本方法では底板をリドロー加工により薄肉化しているため、底板は平滑な表面を有するので研磨しない方が接着強度が高くなる点で好ましい。融着の条件としては、ガラスの粘度logηが15.0を超えると融着が完全でなくなり、10.8未満であるとガラスが変形してしまう。押圧時間は、1時間未満であると融着が完全でなくなり、10時間超でも融着の程度は変化しない。押圧力は、5g/cm2未満であると融着が不完全となる。尚、押圧力の上限は、ガラスが変形・破損する可能性が高くなるため、100g/cm2以下とすることが好ましい。
【0022】
ガラスからなる底板とガラスからなる本体ブロックを上記条件で融着して形成した多穴型容器は、融着後の冷却において貫通孔と底板で区画形成された空間内に閉じこめられたガスが収縮することによって前記空間内のガス圧が低下するが、底板が0.2mm以下と薄い場合にはこの圧力に耐えられずに、底板が容器外方から見て凹レンズ状にくぼむ傾向があった(図2参照)。これを避けるために、前記押圧部材のうち本体ブロックを外界と連通させて前記空間内のガス圧を外気圧に維持するガス圧調整手段を設けたところ(図3および図4参照)、このくぼみは解消された。尚、このガス圧調整手段は、底板と本体ブロックを重ね合わせた際に貫通孔と底板で区画形成された空間を前記押圧時に外界と連通させて、前記空間内のガス圧を外気圧に維持できる方法であれば特に限定されず、押圧部材と衝合する本体ブロック表面に、この幅全体にわたって貫通孔位置を横切って延びる溝を設けることによっても解決できる(図5参照)。
【0023】
前記融着に先立ち、前記底板および前記本体ブロックの接合面に水酸基が存在するような表面処理を施すことが好ましい。これによって、前記底板および前記本体ブロックを押圧し加熱した際に、本体ブロック表面に存在する水酸基と底板表面に存在する水酸基の間で脱水縮合が起こり新たな一次結合を生ずるため、接合がより強固になると考えられるからである。
【0024】
前記表面処理には、ガラス表面に水酸基を露出させることができる処理であれば特に限定されないが、酸処理を施した後にアルカリ処理を施す二段処理を含むことが好ましい。ここで、前記酸処理としては硝酸、硫酸およびアスコルビン酸を含むフッ素系容液によって超音波処理すること、前記アルカリ処理としては水酸化カリウム水溶液によって超音波処理することが好適である。
【0025】
ガラスのX線吸収特性は組成に依存する。鉛などの重金属を多量に含んでいるとX線吸収率が高くなるため、そのような成分を多量に含むガラスは避けるべきである。そのため、本発明の多穴型容器に用いるガラスとしては、特に限定されないが、前記理由、汎用性およびコストを勘案すれば、市販されているソーダライムガラス、珪酸塩ガラスおよびホウ珪酸ガラスが好ましい。
【0026】
本体ブロックの多穴部の個数および大きさは特に限定されず、使用者の必要性もしくはマイクロプレートの規格等に合わせて任意に選択できる。
【0027】
本多穴型容器は、有機溶剤を含む合成反応もしくは処理、およびX線を含む電磁波を用いた解析を行うことが可能であることによって特徴付けられる。電磁波には、X線、γ線等の放射線、および紫外線、可視光等の光などが含まれる。特に、底板が0.1mm以下である場合にはX線の透過性が50%に達するため、結晶構造の定性的な解析のみならず該構造の定量的な解析もできる。さらに、多穴部で細胞を培養し、これに所定の処理を施すことによって細胞内に蛍光ラベルを導入し、これを共焦点蛍光顕微鏡等で観察する場合にも使用できる。また、水系の媒体を用いた反応および解析、もしくは電磁波の透過性を必要としない解析等にも同様に使用できる。
【0028】
本多穴型容器はガラスのみによって構成されるため、有機溶剤、酸、アルカリへの耐性が比較的強くこれらによる洗浄が可能であり、オートクレーブ処理や乾熱滅菌といった処理にも耐えることができ、また部材同士を融着によって接合一体化しており強度が高いため、繰り返し使用できる。さらに、広範囲の温度域で使用することも可能である。
【実施例】
【0029】
厚さ1.2cm、縦8.55cm、横12.78cmであり、直径11mmである貫通孔を縦方向に6個および横方向に4個、合計24個の有するソーダライムガラス製である本体ブロック、並びにリドロー加工することにより薄肉化し、厚さ0.1mm、幅19mmとした底板を作製した。
【0030】
次に、該本体ブロックの片面をRmaxが20μm未満となるように研磨した。その後、本体ブロックおよび底板に表面処理を施すため、次のような条件で6段階の超音波洗浄を行った:第1段階:純水中;第2段階:硝酸中;第3段階:純水中;第4段階:水酸化カリウム水溶液中;第5段階:純水中;第6段階:純水中。
【0031】
更に、これら底板および本体ブロックを本体ブロックの研磨面が接するように重ね合わせ、更にアルミナ製の押圧部材にて挟んで押圧力を16.5g/cm2とした状態で、1.5時間かけて室温から600℃に昇温させ、この後600℃にて5時間維持し、この後6時間かけて430℃まで冷却し、さらに室温にて放冷することで底板と本体ブロックを接合一体化させて多穴型容器を完成させた。尚、前記押圧部材のうち本体ブロックと直接接触する方の押圧部材の表面には、前記ガス圧調整手段を設けてから本実施例に使用した。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明によれば、厚さを0.2mm以下としたガラスからなる底板と、所定の配列で設けられた多数個の貫通孔を有する厚さ5〜50mmのガラスからなる本体ブロックを、接着剤を用いることなく融着によって接合一体化してなる多穴型容器の製造が可能になった。本発明の多穴型容器は、特に有機溶剤を使用する場合や、X線等の電磁波を透過させて容器内の合成物等の構造解析を行うのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本体ブロックおよび底板を融着する際の各部材の側面図である。
【図2】本体ブロックおよび底板を融着後、冷却させた際に生じる底板のくぼみについて示した側面図である。
【図3】本体ブロックおよび底板を融着する際の各部材の側面図である。
【図4】本体ブロックおよび溝付き押圧部材の各底面図である。
【図5】溝付き本体ブロックの底面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さを0.2mm以下としたガラス材料からなる底板と、所定の配列で設けられた多数個の貫通孔を有する厚さ5〜50mmのガラス材料からなる本体ブロックとを、少なくとも本体ブロックの片面をRmaxが20μm未満となるように研磨した後に重ね合わせ、これら底板および本体ブロックを、一対の押圧部材で、ガラスの粘度logη=10.8〜15.0となる温度、押圧力5g/cm2以上および押圧時間1〜10時間の条件で押圧し、その後冷却して底板と本体ブロックを接合する工程を有し、底板と本体ブロックを重ね合わせた際に貫通孔と底板で区画形成された空間を前記押圧時に外界と連通させて、前記空間内のガス圧を外気圧に維持するガス圧調整手段を設けることを特徴とする多穴型容器の製造方法。
【請求項2】
前記底板は、所定厚さに研磨したガラス材料からなり、底板と本体ブロックとを、Rmaxが20μm未満となるようにそれぞれの片面を研磨した後に重ね合わせる請求項1に記載の多穴型容器の製造方法。
【請求項3】
前記底板は、所定厚さにリドロー加工したガラス材料からなり、底板と本体ブロックとを、Rmaxが20μm未満となるように本体ブロックの片面のみを研磨した後に重ね合わせる請求項1に記載の多穴型容器の製造方法。
【請求項4】
前記ガス圧調整手段は、押圧部材表面の幅全体にわたって設けられ、押圧時に本体ブロックの貫通孔位置を横切って延びる溝である請求項1〜3のいずれか1項に記載の多穴型容器の製造方法。
【請求項5】
前記ガス圧調整手段は、押圧部材と衝合する本体ブロック表面の幅全体にわたって貫通孔位置を横切って延びる溝である請求項1〜3のいずれか1項に記載の多穴型容器の製造方法。
【請求項6】
前記重ね合わせに先立ち、前記底板および前記本体ブロックの接合面に水酸基が存在するような表面処理を施すことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の多穴型容器の製造方法。
【請求項7】
前記表面処理は、前記底板および前記本体ブロックの接合面に酸処理を施した後にアルカリ処理を施す二段処理であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の多穴型容器の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法によって製造される多穴型容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−137855(P2008−137855A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−326240(P2006−326240)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【Fターム(参考)】