説明

多糖類複合材料

【課題】地球環境汚染の問題、有限資源の枯渇の問題等を解決すべく、生物分解性でありかつ十分な成形性と強度を有する、多糖類を用いた新規な複合材料を提供する。さらにその製造方法を提供する。またかかる材料を用いた成形体用組成物及びその成形体を提供する。
【解決手段】本発明の多糖類複合材料は、水酸基を有する多糖類(天然及び合成多糖類を含む)及びその誘導体から選択される多糖類を複数種類混合されてなることを特徴とする。さらに本発明の多糖類複合材料は、さらに1種又は2種以上の金属化合物を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物分解性でありかつ十分な成形性と強度を有する、多糖類を用いた新規な複合材料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年地球環境汚染の問題、有限資源の枯渇の問題等が地球規模で深刻な問題となり、これらの問題を解決すべく新規材料の開発が世界中で試みされている(非特許文献1参照)。
【0003】
この目的で、多糖類は微生物等の生物に分解可能な生物分解性であるため、環境保護に適した成形材料、成膜材料となることが期待され、多糖類を用いた新規材料の研究開発が多くなされている。例えば特許文献1には、グルコマンナンにシリカをハイブリッドした新規材料が開示されている。また特許文献2には、シリカゲルのマトリックス中に、セルロースエステルを分散させた有機・無機複合体組成物が開示されている。
【0004】
しかしながらこれらの材料による成形体はいまだ十分な生分解性を有するとともに必要な力学的、熱的性質(例えば強度、靱性、ガラス転移温度、融解温度、熱分解温度等)をも有するものではなく、さらなる研究開発が強く望まれている。
【非特許文献1】平成16年度版科学技術白書
【特許文献1】特開2003−147123号公報
【特許文献2】特開2000−95801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はかかる現状に鑑みなされたものであり、従来の材料では不十分であった優れた生分解性を維持しつつ、かつ必要な力学的、熱力学的性質(例えば強度、靱性等)を有する新規な多糖類複合体を提供することを目的とする。また本発明はかかる多糖類複合体の製造方法を提供することを目的とする。さらには本発明はかかる多糖類複合体を用いた、成形体用組成物、および成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するべく、本発明者は鋭意研究を行った結果、複数種類の多糖類のゾルを混合して混合ゾルとし、かかる混合ゾルから多糖類複合体を分離することができることを見出し、かかる知見に基づき本発明を完成した。
【0007】
本発明にかかる多糖類複合材料は、水酸基を有する多糖類及びその誘導体から選択される多糖類を複数種類混合されてなることを特徴とする。
【0008】
また本発明にかかる多糖類複合材料は、水酸基を有する多糖類及びその誘導体から選択される多糖類と、水酸基を有する高分子化合物とが混合されてなることを特徴とする。
【0009】
また本発明にかかる多糖類複合材料は、前記説明した本発明の多糖類複合材料に、さらに1種又は2種以上の金属化合物が含まれることを特徴とする。
【0010】
本発明にかかる多糖類複合材料は、特に前記多糖類が、コーンスターチ、小麦デンプン、カンショデンプン、米デンプン、プルラン、ペクチン、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、カラギーナン,アルギン酸、アガロース,グルコマンナン、ローカストビーンガム、グアールガム、タラガム、タマリンドガム、ジェランガム、カードラン,ザンタンガム、可溶性デンプン、カルボキシルデンプン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン、デキストリン、サイクロデキストリン、セルロース、ヘミセルロース、再生セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びそれらの誘導体であることを特徴とする。
【0011】
さらに本発明にかかる多糖類複合材料は、特に前記高分子化合物が、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール,ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸,スルホン化リグニン、及びそれらの誘導体であることを特徴とする。
【0012】
また本発明にかかる多糖類複合材料は、特に前記金属化合物が、金属塩、金属アルコキシド誘導体、金属アセチルアセトネート誘導体、又はそれらの加水分解物、部分加水分解物、部分縮合物である。さらに本発明にかかる多糖類複合材料は特に前記金属がケイ素である。
【0013】
また本発明は、前記記載の本発明にかかる多糖類複合体材料を含む、形成体組成物に関する。また、かかる形成体組成物を用いて成形した成形体に関する。本発明は特に前記形成体組成物を用いて成形したことを特徴とするフィルム又はシートに関する。
【0014】
また本発明にかかる前記多糖類複合材料の製造方法は、水酸基を有する多糖類及びその誘導体から選択される複数種類の多糖類の水溶液ゾルを混合して混合ゾルとし、前記混合ゾルから多糖類複合材料を分離することを特徴とする。
【0015】
また本発明にかかる前記多糖類複合材料の製造方法は、水酸基を有する多糖類及びその誘導体から選択される複数種類の多糖類の水溶液ゾルを混合して多糖類混合ゾルとし、前記多糖類混合ゾルと金属アルコキシドを酸触媒を用いて多糖類・金属混合ゾルとし、前記多糖類・金属混合ゾルから多糖類複合材料を分離することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の多糖類複合材料は上で説明した通りの構成を有するものであって、かかる材料自体、それによる成形用組成物、また成形体は、多糖類の本来有する優れた微生物生分解性を示す。またかかる構成からなる多糖類複合材料を用いた成形体、特にフィルム成形体は構成するそれぞれの多糖類自体からは全く予想を超えた優れた機械的、熱的性質を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(多糖類複合材料)
本発明の多糖類複合材料は、水酸基を有する多糖類及びその誘導体から選択される多糖類を複数種類混合されてなることを特徴とする。ここで水酸基を有する多糖類及びその誘導体には、種々の天然生物種由来の多糖類、又は合成物の多糖類、およびそれらの誘導体であって、分子中に水酸基を有する物を意味する。これらは、多糖類の有する化学的、物理的性質に基づいて、適宜選択することが可能である。かかる選択する際に、多糖類の化学的性質のうち、特に多糖を形成する単糖類の種類と多糖の分子量が重要である。また多糖類の物理的性質のうち、特に力学的性質としては破断強度、破断伸び、弾性率が重要であり、熱的性質としてはガラス転移温度、融解温度、熱分解温度が重要である。
【0018】
具体的な天然生物種由来の多糖類およびその誘導体には、コーンスターチ、小麦デンプン、カンショデンプン、米デンプン、プルラン、ペクチン、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、カラギーナン,アルギン酸、アガロース,グルコマンナン、ローカストビーンガム、グアールガム、タラガム、タマリンドガム、ジェランガム、カードラン,ザンタンガム、可溶性デンプン、カルボキシルデンプン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン、デキストリン、サイクロデキストリン、セルロース、ヘミセルロース、再生セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びそれらの誘導体が挙げられる。本発明において好ましい天然生物種由来の多糖類およびその誘導体にはセルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン,カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン、プルラン,ペクチン、アガロース,グルコマンナン、アセチル化グルコマンナンが挙げられる。また特に好ましい天然生物種由来の多糖類およびその誘導体はセルロース、酢酸セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン,カルボキシメチルデンプン、プルラン,アガロース,グルコマンナン、アセチル化グルコマンナンである。
【0019】
また具体的な合成物の多糖類およびその誘導体には、コーンスターチ、小麦デンプン、カンショデンプン、米デンプン、プルラン、ペクチン、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、カラギーナン,アルギン酸、アガロース,グルコマンナン、ローカストビーンガム、グアールガム、タラガム、タマリンドガム、ジェランガム、カードラン,ザンタンガム、可溶性デンプン、カルボキシルデンプン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン、デキストリン、サイクロデキストリン、セルロース、ヘミセルロース、再生セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、が挙げられる。本発明において好ましい合成物の多糖類およびその誘導体にはセルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン,カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン、プルラン,ペクチン、アガロース,グルコマンナン、アセチル化グルコマンナンが挙げられる。また特に好ましい合成物の多糖類およびその誘導体はセルロース、酢酸セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン,カルボキシメチルデンプン、プルラン,アガロース,グルコマンナン、アセチル化グルコマンナンである。
【0020】
本発明の複合材料は、これらの多糖類のうち異なる種類の多糖類を複数種類、適当量混合した物である。ここで本発明は、これらの複数種類の多糖類の量比については何ら限定されない。多糖類複合材料として望ましい化学的、物理的性質を満たすべく上で説明した多糖類の複数種類の量(重量基準、モル基準)を適宜選択することができる。具体的には2種類の多糖類を混合する場合、一方の多糖類を実質的に100%から実質的に0%まで適宜選択することができる。また3種類以上の多糖類を混合する場合においてもそれぞれの成分を構成する多糖類を実質的に0%から100%まで適宜変えることは容易である。
【0021】
かかる多糖類複合材料の構成する各多糖類の種類、その存在量については、通常公知の天然物や化学物質の混合物の分析方法により容易に実施することができる。また分析試料としては多糖類複合材料をそのまま使用することも可能であるし、適当な方法により各成分多糖類に分離して分析に付することも可能である。この場合通常公知の天然物や化学物質の混合物の分析方法には、元素分析、力学的測定、熱的測定や、赤外線吸収スペクトル、核磁気共鳴吸収スペクトル、光吸収スペクトル等の測定が挙げられる。また各成分多糖類の分離方法は、適当な溶媒(具体的な水が挙げられる)に溶解した後、各種の通常公知のクロマトグラフ分離分析方法が適用可能である。具体的には化学的吸着や物理的、分子サイズ等に基づく種々の原理を応用した方法が挙げられる。
【0022】
本発明にかかる多糖類複合材料はまた、上の多糖類にさらに水酸基を有する高分子化合物とが混合されてなることを特徴とする。ここで水酸基を有する高分子化合物とは上で説明した多糖類を除く水酸基を有する高分子化合物であることを意味する。天然物由来の高分子化合物であっても合成高分子化合物であってもよい。本発明において使用可能な水酸基を有する天然物由来の高分子化合物には、コーンスターチ、小麦デンプン、カンショデンプン、米デンプン、プルラン、ペクチン、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、カラギーナン,アルギン酸、アガロース,グルコマンナン、ローカストビーンガム、グアールガム、タラガム、タマリンドガム、ジェランガム、カードラン,ザンタンガム、可溶性デンプン、デキストリン、サイクロデキストリン、セルロース、ヘミセルロース、再生セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、が挙げられる。本発明において好ましい天然生物種由来の高分子化合物にはセルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン,カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン、プルラン,ペクチン、アガロース,グルコマンナン、アセチル化グルコマンナンが挙げられる。また特に好ましい天然生物種由来の高分子化合物は、セルロース、酢酸セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン,カルボキシメチルデンプン、プルラン,アガロース,グルコマンナン、アセチル化グルコマンナンである。
【0023】
ここで本発明において、水酸基を有する高分子化合物の混合量(比)については何ら限定されない。多糖類複合材料として望ましい化学的、物理的性質を満たすべく上で説明した多糖類に混合する水酸基を有する高分子化合物の(重量基準、モル基準)を適宜選択することができる。具体的には水酸基を有する高分子化合物を実質的に100%から実質的に0%まで適宜選択することができる。
【0024】
かかる多糖類複合材料の構成する水酸基を有する高分子化合物の種類、その存在量については、通常公知の天然物や化学物質の混合物の分析方法により容易に実施することができる。また分析試料としては多糖類複合材料をそのまま使用することも可能であるし、適当な方法により水酸基を有する高分子化合物を分離して分析に付することも可能である。この場合水酸基を有する高分子化合物の分析方法には、元素分析、力学的測定、熱的測定等の測定や、赤外線吸収スペクトル、核磁気共鳴吸収スペクトル、光吸収スペクトル等の測定が挙げられる。また各成分多糖類の分離方法は、適当な溶媒(具体的な水が挙げられる)に溶解した後、各種の通常公知のクロマトグラフ分離分析方法が適用可能である。具体的には化学的吸着や物理的、分子サイズ等に基づく種々の原理を応用した方法が挙げられる。
【0025】
本発明の多糖類複合材料は、各構成成分である多糖類自体の物性に比較して極めて特徴ある性質を有する。特に多糖類複合材料は極めて優れたフィルム成形能力を示す。またそのフィルムは優れた機械的強度、およびガスバリア性、さらには耐熱性を有する。
【0026】
本発明にかかる多糖類複合材料はまたさらに金属化合物が混合されてなることを特徴とする。ここで金属化合物は、多糖類と根号可能であれば特に制限はない。他糖類複合材料の必要な性質を満たすべく、種々の構造を有する金属化合物を適宜選択することができる。本発明において使用可能な金属化合物には、金属塩、金属アルコキシド誘導体、金属アセチルアセトネート誘導体、又はそれらの加水分解物、部分加水分解物、部分縮合物が挙げられる。本発明において好ましい金属化合物にはシリカ、チタニア,ジルコニア、アルミナ,三酸化タングステン、五酸化バナジウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸リチウムが挙げられる。また特に好ましい金属化合物はシリカ、チタニア,ジルコニア、アルミナである。
【0027】
ここで本発明において、金属化合物の混合量(比)については何ら限定されない。多糖類複合材料として望ましい化学的、物理的性質を満たすべく上で説明した多糖類に混合する金属化合物を適宜選択することができる。具体的には金属化合物を実質的に0%から実質的に20%まで適宜選択することができる。
【0028】
かかる多糖類複合材料の構成する金属化合物の種類、その存在量については、通常公知の金属化合物の分析方法により容易に実施することができる。また分析試料としては多糖類複合材料をそのまま使用することも可能であるし、適当な方法により金属化合物を分離して分析に付することも可能である。この場合金属化合物の分析方法には、原子吸光分析等の元素分析、適当な溶媒に溶解した後、各種の通常公知のクロマトグラフ分離分析方法が適用可能である。具体的にはイオンクロマトグラフ法が挙げられる。
【0029】
本発明の金属化合物が混合された多糖類複合材料は、各構成成分である多糖類自体の物性、さらには金属化合物が含まれない多糖類複合材料に比較して極めて特徴ある性質を有する。特に多糖類複合材料は極めて優れたフィルム成形能力を示す。またそのフィルムは優れた力機械的強度、およびガスバリア性、さらには耐熱性を有する。
【0030】
(形成体組成物)
本発明にかかる形成体組成物は、上で説明した本発明の多糖類複合材料を主成分とすることを特徴とする。本発明の多糖類複合材料に添加して形成体組成物とする添加剤は特に制限はない。形成体組成物として必要な性能を付加するための必要な通常公知の添加剤が好ましく使用できる。具体的には、酸化防止剤、可塑剤,着色剤、難燃材,熱安定剤が挙げられる。形成体組成物の形状についても特に制限はなく、使用する成形装置に適合させて種々の形状が可能である。具体的には、固体であれば、塊状、板状、粒状、粉状等が挙げられる。液状であれば、適当な溶媒に溶かせた溶液、分散液等が挙げられる。
【0031】
(成形体)
本発明にかかる成形体は、上で説明した本発明の形成体組成物を用いて成形したことを特徴とする。サイズ、形状等については特に制限はなく、望ましい用途の形状に適合させることが可能である。具体的には厚板状、薄板状、フィルム状、シート状、箱形状、管状、糸状、繊維状等が挙げられる。また成形条件についても特に制限はなく、通常公知の種々の成形装置が適用可能である。この際、本発明の多糖類複合材料の有する熱的性質を参考とすることができる。本発明の成形体組成物を用いてコーティング皮膜又はフィルムを製造する方法には、ワイヤーバー、スピンコート、ディップコート、溶液噴霧、ブレードコート、スライドコート等が適用される。さらにフィルム又はシートを製造する方法には、押出し加工、カレンダー加工、積層成形、インフレーション加工等が適用される。
【0032】
本発明の成形体は、優れた生分解性を有するとともに、強靱であり、かつ耐熱性に優れている。
【0033】
(製造方法)
本発明にかかる多糖類複合材料の製造方法は、水酸基を有する多糖類及びその誘導体から選択される複数種類の多糖類の水溶液ゾルを混合して混合ゾルとし、前記混合ゾルから多糖類複合材料を分離することを特徴とする。
【0034】
さらに、本発明にかかる多糖類複合材料の製造方法は、水酸基を有する多糖類及びその誘導体から選択される複数種類の多糖類の水溶液ゾルを混合して多糖類混合ゾルとし、前記多糖類混合ゾルと金属アルコキシドを酸またはアルカリ触媒を用いて多糖類・金属混合ゾルとし、前記多糖類・金属混合ゾルから多糖類複合材料を分離することを特徴とする。
【0035】
ここで金属アルコキシドとしては、シリコン、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、マグネシウム等の金属アルコキシドが好ましく使用される。また金属アルコキシドのアルコキシ基は1分子中に2個以上存在することが、無機成分の成長及び多糖類における水素結合をさせる点において必要であるが、この条件を満たしていればアルキル基等の炭化水素基、エポキシ基やアミド基等の反応性官能基が存在していても構わない。本発明で使用される金属アルコキシドの金属がケイ素の場合、次のような化合物が挙げられる。すなわち、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン類、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン等のクロロシラン類、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が一般に使用される。
【0036】
多糖類の水溶液ゾルの調製方法は特に制限はなく、多糖類の性質に適した温度、水量を選択することができる。また必要ならば攪拌することも好ましい。水溶性ゾル中の多糖類の濃度についても特に制限はなく、具体的には、2〜10wt%の範囲が好ましい。また水以外の溶媒も適宜混合して使用することも可能である。さらに他の従来公知の添加剤を添加することにより、溶液ゾルの性質に好ましい性質を加えることが可能である。
【0037】
複数種類の多糖類の水溶液ゾルの混合方法についても特に制限はない。適当な温度下で水溶液ゾルを混合することができる。必要な場合攪拌をすることも好ましい。
【0038】
また金属化合物を混合する方法についても特に制限はなく、複数の多糖類の水溶液ゾルのいずれか、若しくは両方にあらかじめ添加する方法、複数の多糖類の水溶液ゾルを混合した後に添加する方法のいずれも可能である。
【0039】
得られた多糖類複合体を分離する方法についても特に制限はなく、混合ゾルから種々の方法で水を除くことにより多糖類複合体材料を分離することができる。例えば、混合ゾルをそのままガラス等の表面にキャストすることでフィルム状の多糖類複合体材料を分離することができる。また混合ゾルをスプレードライ法により噴霧乾燥することにより粒状、若しくは粉状の多糖類複合体材料を分離することができる。また刷毛塗りにより塗膜状の多糖類複合体材料を分離することができる。
【0040】
得られた多糖類複合体材料は熱可塑性である場合、さらに種々の公知の装置をもちいて成形組成物にすることができる。
【0041】
以下本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。なお熱分析はSEIKO INSTURUMENTS製TG/DTA6200を用いて行った。さらに引っ張り強度測定はINTESCO製IM-20STを用いて行った。
【0042】
(実施例1) グルコマンナンとヒドロキシプロピルセルロースからなる多糖類複合体
グルコマンナン(清水化学株式会社製プロポールKW、以下「GM」とする。)1gを、25℃の水50mlに攪拌しつつ加えてグルコマンナンゾル(GMゾル)を得た。同様にヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達株式会社製、以下「HPC」とする。)1gを、25℃の水50mlに攪拌しつつ加えてヒドロキシプロピルセルロースゾル(HPCゾル)を得た。
【0043】
ここで同様に分子量の相違するHPCを使用した。それぞれの記号と分子量との関係は次の通りである。HPC(SSL)(分子量15、000〜30、000)、HPC(SL)(分子量30、000〜50、000)、HPC(L)(分子量55、000〜70、000)、HPC(M)(分子量110、000〜150、000)。
【0044】
得られたGMゾルとHPCゾルを攪拌しつつ混合した。脱泡した後、混合ゾル(以下「GM/HPCゾル」という。)を直径15cmのガラス製シャーレの上にキャストした。25℃で約10日間乾燥して、無色透明の、厚さ0.1mmのフィルムを得た。
【0045】
得られたフィルムは、引張り試験、動的粘弾性,熱分析用の試料とした。
【0046】
図1にはGMとともに、各分子量のHPCを10重量%含むGMからなる複合体(以下「GM:HPC」とする。)のTG分析結果を示した。図から明らかに、GMの熱分解開始温度は約300℃であった。HPCをブレンドすると分解開始温度は310℃と幾分高温度側へシフトした。また,2段目の重量減少は,ブレンドしたHPCの分子量の増加とともに低温度側へシフトしたことが分かる。
【0047】
また図2には各分子量のHPCを10重量%含むGM:HPCの動的粘弾性の結果を示した。図から明らかに、GMの貯蔵弾性率(E’)は室温で約10GPaときわめて高い値を示した。温度の上昇に伴いE'は緩やかに低下し,220℃で急激に低下する。これはGMのTgによるものと思われる。HPCをブレンドすると,E’の急激な低下の起こる温度は280℃付近までシフトする。tanδ曲線では,-80℃付近に小さなピークと280℃付近に大きなピークを生じた。低温側のピークはグルコース単位の局部的な運動によるもので,高温度側のピークはTgに基づくピークと考えられる。ピーク温度の分子量依存性は明確ではなかった。
【0048】
図3には、各分子量のHPCを10重量%含むGM:HPCの引張り試験測定の結果を示した。図から以下のことが分った。すなわち、HPCをブレンドすると,分子量の高いものほど破断応力と伸びが増大した。GMの破断応力は110MPa,破断伸びは8%であったが,HPC(M)を10%添加することにより,破断応力113MPa,伸び17%となった。
【0049】
さらに図4、5にはそれぞれGM:HPCの動的粘弾性と引張り応力に対するHPC(M)の存在量による影響を示した。図4からGMのE'は220℃で大きく低下するが,HPCを5〜80%ブレンドしたものでは280℃で低下して大幅な耐熱性の向上が認められた。またtanδ曲線では,HPCでは,-60℃,20℃、100℃付近にピークを生じる。また,GMでは-80と220℃にピークが観測される。HPCを加えると80%以上の添加でHPCの緩和ピークが観測されるようになる。GMのTgに由来するピーク(220℃)は,HPCを5〜80%ブレンドすることにより280℃へと大幅にシフトする。図5から、GMの引張り破断応力は110MPa,破断伸びは8%であり,HPCのそれらはそれぞれ13MPa,120%であるが,GMにHPCを5%ブレンドすると破断応力123MPa,伸び15%、10%ブレンドすると破断応力112MPa、伸び17%と向上することがわかる。貯蔵弾性率、Tgの増加のいずれについてももとのGM、HPC自体に比較して顕著に大きくなることが分かる。また引っ張り応力についても、GMに対してHPCが5〜10重量%含まれた場合GMの約2倍の性能が発揮されていることが分かる。
【0050】
(実施例2) グルコマンナンと、ヒドロキシプロピルセルロースと、シリカとからなる多糖類複合体
グルコマンナン(清水化学株式会社製、以下「GM」とする。)1gを、25℃の水50mlに攪拌しつつ加えてグルコマンナンゾル(GMゾル)を得た。同様にヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達株式会社製、以下「HPC」とする。)1gを、25℃の水50mlに攪拌しつつ加えてヒドロキシプロピルセルロースゾル(HPCゾル)を得た。
【0051】
得られたGMゾルとHPCゾルをポリマーブレンドの組成に応じて適量をとり攪拌しつつ混合して混合ゾル(以下「GM:HPC」又は「GM/HPC」ゾルという。)を得た。
【0052】
この混合ゾルに、25℃で、充填されるSiOの量(ポリマーブレンドに対して5〜15%)に応じて適量のテトラエトキシシランを攪拌しながら混合し、シリカ含有ポリマーブレンドゾル(以下「GM:HPC:SiO」、又は「GM/HPC/SiO」ゾルとする。)を得た。得られたゾルはガラス製シャーレの上にキャストした。25℃で約10日時間乾燥して、無色透明の、厚さ0.1mmのフィルムを得た。
【0053】
得られたフィルムは熱分析及び力学測定のための試料とした。図6にはHPC(M)と、シリカを種々の量で含むGM:HPC:SiOのTG分析結果を示した。図から明らかのように、GMでは約300℃で急激な重量減少が始まる。一方GM/HPCブレンド及びGM/HPC/SiOハイブリッドでは約310℃で急激な重量減少が始まることが分かる。
【0054】
また図7、8には、上と同じ試料の粘弾性測定結果と、引っ張り試験の測定結果を示した。図7から次のことが分かる。GMのE'は温度の上昇と共に緩やかに低下し、220℃で急激に低下する。しかしブレンド体あるいはブレンド体のSiOハイブリッドではE'の低下が290℃で起きることが分かる。また、ブレンド体のSiOハイブリッドでは、E’は300℃以上の温度で再び増大していることが分かる。これは熱劣化によるものと思われる。tanδ曲線では、ブレンド体あるいはブレンド体のSiOハイブリッドの高温度側のピークが280℃と300℃のダブルピークとなる。低温度側のピークはTgによるものであり、高温度側のピークは熱劣化によるものと思われる。GMにHPCをブレンドしたり、さらにSiOをハイブリッドさせることにより、それぞれの構成ポリマーの熱特性、力学特性を上回る特性をもつ材料を得ることができる。
また図8から次のことが分かる。特にGM:HPC:SiOの組成比が86.5:9.5:5.4の場合、もとのGM、HPC、GM:HPCに比較して予想を超えた破断応力と破断伸びの値を示すことが分かる。
【0055】
これらの結果は、HPCを含むと一般的に破断強度は低下し靱性が向上することを示す。またHPC(M)については破断強度の低下はなく、靱性、耐熱性が向上することが分かる。さらに、GM:HPC:SiOではSiOにより弾性率、破断強度、耐熱性が向上することが分かる。
【0056】
(実施例3) アガロースと、ヒドロキシプロピルセルロースとからなる多糖類複合体
アガロース(ACROS ORGANICS社製、以下「AG」とする。)1gを、90℃の水100mlに攪拌しつつ加えてアガロースゾル(AGゾル)を得た。同様にヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達株式会社製、以下「HPC(SL)」とする(分子量30、000〜50、000))1gを、70℃の水100mlに攪拌しつつ加えてヒドロキシプロピルセルロースゾル(HPCゾル)を得た。
【0057】
ポリマーブレンドの組成に応じて適量のAMゾルとHPCゾルを60℃で攪拌しつつ混合した。混合ゾル(以下「AG/HPCゾル」という。)は、直径15cmのガラス製シャーレの上でキャストした。25℃で5日間乾燥した後、テフロンシートとガラス板の間にはさみ減圧乾燥をし、無色透明の、厚さ0.05mmのフィルムを得た。
【0058】
得られたフィルムは熱分析及び力学測定のために使用した。
【0059】
図9には種々の量のHPC(SL)を含むAGなる複合体(以下「AG:HPC」とする。)の20℃での貯蔵弾性率(E')の測定結果を示した。図から明らかに、HPCを5及び10重量%含むブレンドでは、各構成成分AGやHPCの弾性率、それぞれ5.2x10Pa及び2.1x10Paよりも高い値をもつことが分かる。
【0060】
また図10種々の量のHPC(SL)を含むAGなる複合体(以下「AG:HPC」とする。)の150℃でのE'の測定結果を示した。図から明らかに、AGは150℃で6x10Paの弾性率をもつが、HPCを添加することによりその量に応じて柔軟性が付与され、弾性率は低下することが分かる。
【0061】
また図11には種々の量のHPC(SL)を含むAGなる複合体(以下「AG:HPC」とする。)の引っ張り破断強度の測定結果を示した。AGの破断強度は、130MPaであり、HPC(SL)のそれは25MPaである。しかし図から明らかなように、「AG:HPC」ブレンドではHPCのブレンド量が10〜40重量%でGMよりも高い値をもつことが分かる。
【0062】
(実施例4) アガロースと、ポリビニルアルコールとからなる多糖類複合体
アガロース(ACROS ORGANICS社製、以下「AG」とする。)1gを、90℃の水100mlに攪拌しつつ加えてアガロースゾル(AGゾル)を得た。同様にポリビニルアルコール(分子量10000、Scientific Polymer Products社製、以下「PVA」とする。)1gを、70℃の水100mlに攪拌しつつ加えてポリビニルアルコールゾル(PVAゾル)を得た。
【0063】
ポリマーブレンドの組成に応じて適量のAGゾルとPVAゾルを60℃で攪拌しつつ混合した。混合ゾル(以下「AG/PVAゾル」という。)は直径2cmガラス製シャーレの上でキャストした。25℃で5日間乾燥した後、テフロンシートとガラス板の間にはさみ減圧乾燥をし、無色透明の、厚さ0.05mmのフィルムを得た。
【0064】
得られたフィルムは熱分析及び力学測定のために使用した。
【0065】
図12には種々の量のPVAを含むAGとの複合体の20℃での貯蔵弾性率(E')の測定結果を示した。図から明らかなように、AGにPVAを含むポリマーブレンドの全ての組成において、各構成成分AGやPVAのE'の値それぞれ5.2x10及び6.0x10よりも高い値をもつ、極めて特異な挙動を示す。
【0066】
また図13には種々の量のPVAを含むAGとの複合体の150℃でのE’の測定結果を示した。図から明らかなように、AGは150℃で6x10PaのE’の値をもち、一方PVAは3x10Paの値をもつ。PVAのTg以上の温度では、AG:PVAのブレンドのE’は両者の中間の値をとり、PVAがAGに充填されることにより、柔軟性が付与され、E’はPVA充填量と共に低下することが分かる。
【0067】
また図14には種々の量のPVAを含むAGとの複合体の引っ張り破断強度の測定結果を示した。図から明らかなように、AGの破断強度は130Mpaであり、PVAのそれは85Mpaである。AG:PVAブレンドの破断強度は10〜80重量%という幅広いPVA含有率において両者の強度を上回るという特異な挙動を示した。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の多糖類複合体またその成形体は、使用の際には優れた力学的、熱力学的性質を発揮し、また使用後には土壌中で一定期間の後に速やかに生分解されることとなる。かかる優れた性質により、制御された分解が必要とされる、例えば、農薬・肥料等のコーティング剤、種子のコーティング剤、土壌改良剤のコーティング剤、塗料、微生物分解性プラスチック成形材料(バルク体の成形材料、シートの成形材料)等に利用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】図1は、GMとともに、各分子量のHPCを10重量%含むGMからなる複合体のTG分析結果を示す。
【図2】図2は、各分子量のHPCを10重量%含むGM:HPCの動的粘弾性の結果を示す。
【図3】図3は、各分子量のHPCを10重量%含むGM:HPCの応力−歪み特性の測定結果を示す。
【図4】図4は、GM:HPCの動的粘弾性に対するHPC(M)の存在量による影響を示す。
【図5】図5は、GM:HPCの応力−歪み特性に対するHPC(M)の存在量による影響を示す。
【図6】図6は、HPC(M)と、シリカを種々の量で含むGM:HPC:SiO2のTG分析結果を示す。
【図7】図7は、上と同じ試料の動的粘弾性測定結果を示す。
【図8】図8に、上と同じ試料の応力−歪み特性の測定結果を示す。
【図9】図9は、種々の量のHPC(SL)を含むAGなる複合体の20℃での貯蔵弾性率の測定結果を示す。
【図10】図10は、種々の量のHPC(SL)を含むAGなる複合体の150℃での貯蔵弾性率の測定結果を示す。
【図11】図11は、種々の量のHPC(SL)を含むAGなる複合体の引っ張り破断強度の測定結果を示す。
【図12】図12は、種々の量のPVAを含むAGとの複合体の20℃での貯蔵弾性率の測定結果を示す。
【図13】図13は、種々の量のPVAを含むAGとの複合体の150℃での貯蔵弾性率の測定結果を示す。
【図14】図14は、種々の量のPVAを含むAGとの複合体の引っ張り破断強度の測定結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基を有する多糖類及びその誘導体から選択される多糖類を複数種類混合されてなることを特徴とする、多糖類複合材料。
【請求項2】
水酸基を有する多糖類及びその誘導体から選択される多糖類と、水酸基を有する高分子化合物とが混合されてなることを特徴とする、多糖類複合材料。
【請求項3】
さらに1種又は2種以上の金属化合物を含むことを特徴とする、請求項1又は2のいずれかに記載の多糖類複合材料。
【請求項4】
前記多糖類が、コーンスターチ、小麦デンプン、カンショデンプン、米デンプン、プルラン、ペクチン、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、カラギーナン,アルギン酸、アガロース,グルコマンナン、ローカストビーンガム、グアールガム、タラガム、タマリンドガム、ジェランガム、カードラン,ザンタンガム、可溶性デンプン、カルボキシルデンプン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン、デキストリン、サイクロデキストリン、セルロース、ヘミセルロース、再生セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びそれらの誘導体であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の多糖類複合材料。
【請求項5】
前記高分子化合物が、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール,ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸,スルホン化リグニン、及びそれらの誘導体であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の多糖類複合材料。
【請求項6】
前記金属化合物が、金属塩、金属アルコキシド誘導体、金属アセチルアセトネート誘導体、又はそれらの加水分解物、部分加水分解物、部分縮合物である、請求項2〜5のいずれかに記載の多糖類複合材料。
【請求項7】
前記金属がケイ素である、請求項6に記載の多糖類複合材料。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の多糖類複合材料を含む、形成体組成物。
【請求項9】
請求項8に記載の形成体組成物を用いて成形したことを特徴とする、成形体。
【請求項10】
請求項8に記載の形成体組成物を用いて成形したことを特徴とする、フィルム又はシート。
【請求項11】
水酸基を有する多糖類及びその誘導体から選択される複数種類の多糖類の水溶液ゾルを混合して混合ゾルとし、前記混合ゾルから多糖類複合材料を分離することを特徴とする、多糖類複合材料の製造方法。
【請求項12】
水酸基を有する多糖類及びその誘導体から選択される複数種類の多糖類の水溶液ゾルを混合して多糖類混合ゾルとし、前記多糖類混合ゾルと金属アルコキシドを酸あるいはアルカリ触媒を用いて多糖類・金属混合ゾルとし、前記多糖類・金属混合ゾルから多糖類複合材料を分離することを特徴とする、多糖類複合材料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−189692(P2008−189692A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−129727(P2005−129727)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(899000057)学校法人日本大学 (650)
【Fターム(参考)】