多素子型サーモパイルモジュール
【課題】多素子型サーモパイルモジュールと高密度ポリエチレンカバーの組合せに於いて、サーモパイルセンサと高密度ポリエチレンとの温度差が発生する事で検出温度影響を及ぼしていた。又、露出面が高密度ポリエチレンカバーの表面である事、且つ、サーモパイルセンサは配線基板へ実装される為、温度差が大きくなり検出温度影響を及ぼしていた。
【解決手段】サーモパイルセンサパッケージ内蔵のサーミスタと高密度ポリエチレンカバーにサーモパイルセンサパッケージ内蔵のサーミスタと同様のB定数・抵抗値を有するサーミスタを具備・測温する事で、検出温度に対し補正演算を行う事を特徴としている。又、サーモパイルセンサ、高密度ポリエチレンとの温度差を抑制する為、浮かせ構造、ヒートシンク、電気的、機械的に接続させるスペーサを具備させた事を特徴としている。又、各パーツが方向性を持つ事により、方向間違いなく組立てられる事を特徴としている。
【解決手段】サーモパイルセンサパッケージ内蔵のサーミスタと高密度ポリエチレンカバーにサーモパイルセンサパッケージ内蔵のサーミスタと同様のB定数・抵抗値を有するサーミスタを具備・測温する事で、検出温度に対し補正演算を行う事を特徴としている。又、サーモパイルセンサ、高密度ポリエチレンとの温度差を抑制する為、浮かせ構造、ヒートシンク、電気的、機械的に接続させるスペーサを具備させた事を特徴としている。又、各パーツが方向性を持つ事により、方向間違いなく組立てられる事を特徴としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線を有する対象物の温度検出を行う多素子型サーモパイルモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、多素子サーモパイルセンサ、オペアンプ、マルチプレクサ、メモリ、抵抗、コンデンサ、配線基板、高密度ポリエチレンからなる光学系、又は、カバー、マイコン等で構成される多素子型サーモパイルモジュールは、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタにて自己温度を算出し、サーモパイル素子にて検出した電圧をオペアンプにて増幅した信号と、内蔵サーミスタにて算出した自己温度との情報により、マイコンにて対象物温度を算出しているが、外気に露出される高密度ポリエチレンからなる光学系、又は、意匠カバーの厚さが厚く、且つ、サーモパイルセンサ窓部との距離がある場合、透過特性の低下、サーモパイルセンサとの温度差が発生してしまう。
【0003】
これにより、本来意匠面を考慮、且つ、赤外線を透過する高密度ポリエチレンを使用しているにも関わらず、サーモパイルセンサは赤外線を透過する筈の高密度ポリエチレンの温度を検出してしまい、本来測温したい対象物の温度へ影響を及ぼしていた。
【特許文献1】特願2004−242559号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多素子型サーモパイルモジュールと高密度ポリエチレンからなる光学系、及び、意匠カバーの組合せは、一般的に良く用いられる手法の一つであるが、高密度ポリエチレンは外部にさらされる事が多い事から剛性を求められる為、厚さを厚く設けられ、又、意匠部分となる事から形状的にも様々な要望がある。これにより、透過特性の低下、サーモパイルセンサ窓部との距離が長くなってしまい、サーモパイルセンサと高密度ポリエチレンとの温度差が発生し、検出温度へ影響を及ぼしていた。この両者の温度差を無くす為には、高密度ポリエチレンを薄く、サーモパイルセンサとの距離を短くして行く方向となるが、前記にも記載の様に、剛性の低下、形状面に於ける制約が課題となる。
【0005】
又、外部への露出面が高密度ポリエチレンからなる光学系、及び、意匠カバーの表面である事、且つ、サーモパイルセンサ部は配線基板へ実装される事から、熱容量的に大きくなる方向であり、より温度差が大きくなる方向である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記多素子型サーモパイルモジュールにサーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタと高密度ポリエチレンからなる光学系、及び、カバーにサーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタと同様のB定数・抵抗値を有するサーミスタを具備させて、両者の温度を測温する事を特徴としている。
【0007】
又、サーモパイルセンサ部と高密度ポリエチレンの両者の温度を測温する事により、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタの温度情報により算出した多素子型サーモパイルモジュールの検出温度に対し、補正演算を行う事を特徴としている。
【0008】
又、本来は、サーモパイルセンサ部温度、高密度ポリエチレンの温度の一致が望ましい事から、両者の温度差を出来る限り均一化する為に、高密度ポリエチレンとサーモパイルセンサ間にヒートシンクを具備させる事により、温度一体化の構造とした事を特徴としている。
【0009】
又、外部に露出される高密度ポリエチレンに対し、サーモパイルセンサ部は外部に露出されず、且つ、サーモパイルセンサ部は配線基板に実装され熱容量的に増加傾向となる事から、サーモパイルセンサ部をベース基板より浮かせた構造である事を特徴としている。
【0010】
又、サーモパイルセンサ部をベース基板から浮かせた構造となる為、高さ、軸中心、θ軸の回転が問題となる事からサーモパイルセンサ部を小型の配線基板に実装し、サーモパイルセンサ位置決め、且つ、電気的、機械的に接続されたスペーサを具備させた事を特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、多素子サーモパイルセンサ、オペアンプ、マルチプレクサ、メモリ、抵抗、コンデンサ、配線基板、高密度ポリエチレンからなる光学系、又は、カバー、マイコン等で構成される多素子型サーモパイルモジュールに於いて、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタ、高密度ポリエチレンに具備させたサーモパイルセンサ部内蔵サーミスタと同様のB定数・抵抗値を有するサーミスタにて両者の温度を測温する事により、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタにて演算された検出温度に対し、両者の温度差の影響を補正し、温度差影響を軽減する事が出来る。
【0012】
又、高密度ポリエチレンとサーモパイルセンサ部の温度差を軽減、均一化させる為に、両者間にヒートシンクを具備させる事で一体化を行い温度差を軽減させる事が出来る。
又、ヒートシンクにて一体化された高密度ポリエチレンとサーモパイルセンサ部はベース基板より浮かせる事により、ベース基板の熱容量影響を受ける事なく、より高密度ポリエチレンとサーモパイルセンサ部の温度を均一化する事が出来る。
【0013】
又、浮かせ構造となったヒートシンクにて一体化された高密度ポリエチレンとサーモパイルセンサ部を小型配線基板に実装し、電機的、且つ、機械的な接続を兼ねるスペーサを具備させる事で、高さ、軸中心、θ軸の回転を抑制する事が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、意匠面剛性からくる高密度ポリエチレンの厚さを厚くする事による透過特性の低下、サーモパイルセンサ部との設置距離に於ける高密度ポリエチレン自身の温度差による影響をサーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタ、高密度ポリエチレンに具備させたサーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタと同様のB定数・抵抗値を有するサーミスタにて両者の温度を測温し、補正演算する事により、検出対象物の温度を正確に測温出来る多素子型サーモパイルモジュールを実現した。
【0015】
又、高密度ポリエチレンからなる光学系、又は、意匠カバーとサーモパイルセンサ部を熱的に接続するヒートシンクを具備させる事で、両者の温度差を抑制する事が出来た。
又、外部へ露出する事が多い高密度ポリエチレンからなる光学系、又は、意匠カバーと熱的接続を行ったヒートシンクを装着したサーモパイルセンサ部をベース基板より浮かせ、サーモパイルセンサ部を外部面に近づけた構造とする事で、ベース基板の熱容量影響を受けなくする事が出来、より意匠カバー、サーモパイルセンサ部の温度差を抑制する事が出来た。
【0016】
又、高密度ポリエチレンからなる光学系、又は、意匠カバーと熱的接続を行ったヒートシンクを装着したサーモパイルセンサ部を小型配線基板に実装し、ベース基板から浮かせ、且つ、電気的、機械的に接続させるスペーサを具備させるた2重基板構造とする事により、サーモパイルセンサ部設置高さ、軸中心、θ軸の回転を抑制する事が出来た。
【実施例1】
【0017】
図1に本発明の多素子サーモパイルセンサ、オペアンプ、マルチプレクサ、メモリ、抵抗、コンデンサ、配線基板、高密度ポリエチレンからなる光学系、又は、カバー、マイコン等で構成される多素子型サーモパイルモジュールの構成図を示す。以下、この図1をもとに本発明の実施例を具体的に述べる。図1中の配線基板上の配線パターン、並びに、実装電子部品は、図が煩雑となる為割愛した。
【0018】
本発明の多素子型サーモパイルモジュールが従来の多素子型サーモパイルモジュールと異なる点は、従来の多素子型サーモパイルモジュールは、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵の内蔵サーミスタのみを使用し、高密度ポリエチレンからなる光学系、及び、意匠カバーを介して透過する赤外線をサーモパイルセンサ部にて受光し発生した起電力量と、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタにて測温した自己温度から、検出対象物温度を測温していた点である。図2に従来の多素子型サーモパイルモジュール、図3に本発明の多素子型サーモパイルモジュールの回路ブロック図を示す。従来の多素子型サーモパイルモジュールは、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタのみを使用し、高密度ポリエチレンからなる光学系、及び、意匠カバーを介して透過する赤外線をサーモパイルセンサ部にて受光し発生した起電力量と、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタにて測温した自己温度から、検出対象物温度を測温している事から、意匠面となる高密度ポリエチレンからなる光学系、及び、意匠カバーとサーモパイルセンサ自己温度に温度差が生じた場合、高密度ポリエチレンの先の検出対象物を測温する際に、高密度ポリエチレン自身の温度を測温してしまい、検出対象物+高密度ポリエチレンの合算温度を検出対象物温度として測温していた。
【0019】
これに対し、本発明の多素子型サーモパイルモジュールは、図1の様に、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタの他に、高密度ポリエチレンにサーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタと同様のB定数・抵抗値を有するサーミスタを具備させる事で、両者の温度を測温する事により、意匠面となる高密度ポリエチレンとサーモパイルセンサ自己温度に温度差が生じた場合、その温度差をベースとなるサーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタにて測温した自己温度とサーモパイルセンサが検出出力した起電力量より算出した対象物温度に本多素子型サーモパイルモジュールに搭載のマイコンにて補正演算する事で、高密度ポリエチレンとサーモパイルセンサ自己温度を補正し、検出対象物を測温する物である。
【0020】
この温度差補正の考え方としては、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタにて測温した自己温度とサーモパイルセンサが検出出力した起電力量より算出した対象物温度を基準とし、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタにて測温した自己温度との温度差分のエネルギー量より、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタにて測温した自己温度と高密度ポリエチレンに具備させたサーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタと同様のB定数・抵抗値を有するサーミスタにて測温した高密度ポリエチレン自体の温度との差のエネルギー量を減算し、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタにて測温した自己温度より、検出対象物温度を補正演算するものである。但し、この基準となる検出対象物温度は、高密度ポリエチレンを透過してサーモパイルセンサに到達した赤外線量にて算出されている為、吸収・反射された赤外線量について、高密度ポリエチレンの透過特性等から考慮が必要である。
【0021】
この様に構成された本発明の多素子型サーモパイルモジュールと、従来の多素子型サーモパイルモジュールに於いて、意匠面となる高密度ポリエチレンとサーモパイルセンサ部に温度差が生じる条件にて比較検証を行った。
検証条件として、環境温度50℃に多素子型サーモパイルモジュールを設置し、意匠面となる高密度ポリエチレンとサーモパイルセンサ部を充分に温度安定させ、その後、環境温度25℃へ約5℃/min.の温度勾配にて冷却を行う。この際、多素子型サーモパイルモジュールが測温する検出対象物温度は、環境温度と同様の温度勾配にて変化させ測定を行った。
その結果を図4に本発明の多素子型サーモパイルモジュール、図5に従来の多素子型サーモパイルモジュールを示す。
【0022】
この結果を見ると、本発明の多素子型サーモパイルモジュールは、従来の多素子型サーモパイルモジュールに比べ、測温性能が向上している事を確認した。
今回は、8マトリックスアレイ型サーモパイルセンサにて試験を実施したが、2素子以上の複数の素子を有するマトリックス型、千鳥型、インライン型、リニアアレイ型等のサーモパイルセンサに於いても同様の性能を持たせる事が可能である。
【実施例2】
【0023】
図6に前記実施例1の多素子型サーモパイルモジュールに、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタと同様のB定数・抵抗値を有するサーミスタを具備させた高密度ポリエチレンからなる光学系、及び、意匠カバーとサーモパイルセンサ部を熱的に均一化させる為のヒートシンクを具備させた場合の構造図を示す。
【0024】
図1実施例1の多素子型サーモパイルモジュールに対し、熱均一化を行う為のヒートシンクを具備させる事により、外部に露出する事の多い高密度ポリエチレンカバーとサーモパイルセンサ部との温度差を少なくするものである。このヒートシンク有無に於ける熱均一化の効果について検証を行った。
検証条件として、前記実施例1と同様の温度条件にて試験し、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタ、高密度ポリエチレンに具備させたサーミスタにてそれぞれの温度変化をモニターした。
【0025】
その結果を、図7にヒートシンク具備、図8にヒートシンクなしを示す。
この結果を見ると、ヒートシンクを具備した構造の方が、外部に露出する事となる高密度ポリエチレンとサーモパイルセンサ部との温度差が小さくなっている事を確認した。
【実施例3】
【0026】
図9に前記実施例2の多素子型サーモパイルモジュールにて、ヒートシンクにて熱均一化された外部に露出する事の多い高密度ポリエチレンカバーとサーモパイルセンサ部をベース配線基板より離し浮せた場合の構造図を示す。
【0027】
図5の実施例2の多素子型サーモパイルモジュールに対し、高密度ポリエチレンカバーとサーモパイルセンサ部をベース配線基板より離し浮かせる事により、配線基板自身の熱容量影響を受けなくし、且つ、外部露出面にサーモパイルセンサ部を近づける事により高密度ポリエチレンとサーモパイルセンサ部の温度差を抑制するものである。この浮かせ構造による高密度ポリエチレンカバーとサーモパイルセンサ部の熱均一化の効果について検証を行った。
【0028】
検証条件として、前記実施例2と同様の条件にて試験を行った。その結果を、図10に示す。
この結果を見ると、浮かせ構造とする事で、より外部に露出する事となる高密度ポリエチレンとサーモパイルセンサ部との温度差が小さくなっている事を確認した。
【実施例4】
【0029】
図11に前記実施例3の多素子型サーモパイルモジュールにて、浮かせ構造とする事により、外部に露出する事となる高密度ポリエチレンとサーモパイルセンサ部との実装位置が、不安定となる事が懸念される。これの対策として高密度ポリエチレンカバーとサーモパイルセンサ部を小型配線基板に実装し、電気的、機械的に接続させるスペーサを設ける事で、サーモパイルセンサ部設置高さ、軸中心、θ軸の回転を抑制した構造図を示す。
【0030】
この2重基板構造を採用する事による、測温性能について検証を行った。
検証条件として、前記実施例1と同様の条件にて試験を実施。その結果を、図12に示す。
この結果を見ると、前記実施例1の多素子型サーモパイルモジュールに対し、同等以上の測温性能である事を確認した。又、構造寸法面に於いても設計通りの安定した寸法で組み上げられている事を確認した。
【実施例5】
【0031】
図13に前記実施例1〜4の多素子型サーモパイルモジュールにて、高密度ポリエチレン温度測温用のサーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタと同様のB定数・抵抗値を有するサーミスタの変わりとして、高密度ポリエチレンの一部を黒化マスキングを行う事で赤外線の透過を遮断し、多素子中の1素子にて、そのマスキング部分の表面温度を検出し測温した温度情報とサーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタにて測温した自己温度の両者の温度を測温した場合の構造図を示す。又、図14に高密度ポリエチレンに黒化マスキングを行った際の断面図を示す。
【0032】
この高密度ポリエチレン温度測温用のサーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタと同様のB定数・抵抗値を有するサーミスタの変わりとして、高密度ポリエチレンの一部を黒化マスキングを行い、多素子中の1素子にて、そのマスキング部分の表面温度を検出、測温する事により、意匠面となる高密度ポリエチレンとサーモパイルセンサ自己温度に温度差が生じた場合、その温度差をベースとなるサーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタにて測温した自己温度とサーモパイルセンサが検出し出力し起電力量より算出した対象物温度に本多素子型サーモパイルモジュールに搭載のマイコンにて補正演算する事で、高密度ポリエチレンとサーモパイルセンサ自己温度を補正し、検出対象物を測温する物である。
【0033】
この温度差補正の考え方としては、前記実施例1と考え方は同じであるが、実施例1は高密度ポリエチレンへサーミスタを具備させる事で直接測温していたが、本発明の多素子型サーモパイルモジュールは、高密度ポリエチレン自身の温度をサーモパイルセンサにて非接触で測温する事である。
この様に構成された本発明の多素子型サーモパイルモジュールについて実施例4と同条件にて検証を行った。その結果を図15に示す。
この結果を見ると、本発明の多素子型サーモパイルモジュールは、実施例4と同等である事を確認した。
【実施例6】
【0034】
図16に前記実施例1〜5の多素子型サーモパイルモジュールにて、サーモパイルセンサに方向性がある意匠カバーを持たせた場合の方向性決め、ローテーション間違い防止の為、意匠カバー、ヒートシンク、サーモパイル缶、小型配線基板、スペーサに方向性・位置決めの機構を持たせた構造図を示す。
この様に各パーツに方向性・位置決め機構を持たせる事により、間違い無くサーモパイルモジュールを組み上げる事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の多素子型サーモパイルモジュールの構成図である。
【図2】本発明の多素子型サーモパイルモジュールの回路ブロック図である。
【図3】従来の多素子型サーモパイルモジュールの回路ブロック図である。
【図4】本発明の多素子型サーモパイルモジュールの温度特性データである。
【図5】従来の多素子型サーモパイルモジュールの温度特性データである。
【図6】ヒートシンクを具備させた本発明の多素子型サーモパイルモジュールに構成図である。
【図7】ヒートシンクを具備させた本発明の多素子型サーモパイルモジュールのサーモパイルセンサ内に内蔵のサーミスタと、高密度ポリエチレンに具備させたサーミスタの温度追従特性データである。
【図8】ヒートシンクなしの本発明の多素子型サーモパイルモジュールのサーモパイルセンサ内に内蔵のサーミスタと、高密度ポリエチレンに具備させたサーミスタの温度追従特性データである。
【図9】配線基板よりサーモパイルセンサを浮かせた本発明の多素子型サーモパイルモジュールの構成図である。
【図10】配線基板よりサーモパイルセンサを浮かせ、且つ、ヒートシンクを具備させた本発明の多素子型サーモパイルモジュールのサーモパイルセンサ内に内蔵のサーミスタと、高密度ポリエチレンに具備させたサーミスタの温度追従特性データである。
【図11】小型配線基板、スペーサ、ヒートシンクを具備し、且つ、配線基板よりサーモパイルセンサを浮かせた本発明の多素子型サーモパイルモジュールの構成図である。
【図12】小型配線基板、スペーサ、ヒートシンクを具備し、且つ、配線基板よりサーモパイルセンサを浮かせた本発明の多素子型サーモパイルモジュールの温度特性データである。
【図13】黒化マスキングを施した高密度ポリエチレンからなるカバー、小型配線基板、スペーサ、ヒートシンクを具備し、配線基板よりサーモパイルセンサを浮かせた本発明の多素子型サーモパイルモジュールの構成図である。
【図14】黒化マスキングを施した高密度ポリエチレンからなるカバーの断面図である。
【図15】黒化マスキングを施した高密度ポリエチレンからなるカバー、小型配線基板、スペーサ、ヒートシンクを具備し、配線基板よりサーモパイルセンサを浮かせた本発明の多素子型サーモパイルモジュールの温度特性データである。
【図16】高密度ポリエチレンからなるカバー、小型配線基板、スペーサ、ヒートシンク全てに方向性を持たせた本発明の多素子型サーモパイルモジュールの構成図である。
【符号の説明】
【0036】
1 サーモパイルセンサ
2 配線基板
3 高密度ポリエチレンからなる光学系、及び、カバー
4 高密度ポリエチレン測温用サーミスタ
5 ヒートシンク
6 小型配線基板
7 スペーサ
8 黒化マスキングされた高密度ポリエチレンからなる光学系、及び、カバー
9 方向性を持った高密度ポリエチレンからなる光学系、及び、カバー
10 方向性を持ったヒートシンク
11 方向性を持ったサーモパイルセンサ
12 方向性を持った小型配線基板
13 方向性を持ったスペーサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線を有する対象物の温度検出を行う多素子型サーモパイルモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、多素子サーモパイルセンサ、オペアンプ、マルチプレクサ、メモリ、抵抗、コンデンサ、配線基板、高密度ポリエチレンからなる光学系、又は、カバー、マイコン等で構成される多素子型サーモパイルモジュールは、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタにて自己温度を算出し、サーモパイル素子にて検出した電圧をオペアンプにて増幅した信号と、内蔵サーミスタにて算出した自己温度との情報により、マイコンにて対象物温度を算出しているが、外気に露出される高密度ポリエチレンからなる光学系、又は、意匠カバーの厚さが厚く、且つ、サーモパイルセンサ窓部との距離がある場合、透過特性の低下、サーモパイルセンサとの温度差が発生してしまう。
【0003】
これにより、本来意匠面を考慮、且つ、赤外線を透過する高密度ポリエチレンを使用しているにも関わらず、サーモパイルセンサは赤外線を透過する筈の高密度ポリエチレンの温度を検出してしまい、本来測温したい対象物の温度へ影響を及ぼしていた。
【特許文献1】特願2004−242559号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多素子型サーモパイルモジュールと高密度ポリエチレンからなる光学系、及び、意匠カバーの組合せは、一般的に良く用いられる手法の一つであるが、高密度ポリエチレンは外部にさらされる事が多い事から剛性を求められる為、厚さを厚く設けられ、又、意匠部分となる事から形状的にも様々な要望がある。これにより、透過特性の低下、サーモパイルセンサ窓部との距離が長くなってしまい、サーモパイルセンサと高密度ポリエチレンとの温度差が発生し、検出温度へ影響を及ぼしていた。この両者の温度差を無くす為には、高密度ポリエチレンを薄く、サーモパイルセンサとの距離を短くして行く方向となるが、前記にも記載の様に、剛性の低下、形状面に於ける制約が課題となる。
【0005】
又、外部への露出面が高密度ポリエチレンからなる光学系、及び、意匠カバーの表面である事、且つ、サーモパイルセンサ部は配線基板へ実装される事から、熱容量的に大きくなる方向であり、より温度差が大きくなる方向である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記多素子型サーモパイルモジュールにサーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタと高密度ポリエチレンからなる光学系、及び、カバーにサーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタと同様のB定数・抵抗値を有するサーミスタを具備させて、両者の温度を測温する事を特徴としている。
【0007】
又、サーモパイルセンサ部と高密度ポリエチレンの両者の温度を測温する事により、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタの温度情報により算出した多素子型サーモパイルモジュールの検出温度に対し、補正演算を行う事を特徴としている。
【0008】
又、本来は、サーモパイルセンサ部温度、高密度ポリエチレンの温度の一致が望ましい事から、両者の温度差を出来る限り均一化する為に、高密度ポリエチレンとサーモパイルセンサ間にヒートシンクを具備させる事により、温度一体化の構造とした事を特徴としている。
【0009】
又、外部に露出される高密度ポリエチレンに対し、サーモパイルセンサ部は外部に露出されず、且つ、サーモパイルセンサ部は配線基板に実装され熱容量的に増加傾向となる事から、サーモパイルセンサ部をベース基板より浮かせた構造である事を特徴としている。
【0010】
又、サーモパイルセンサ部をベース基板から浮かせた構造となる為、高さ、軸中心、θ軸の回転が問題となる事からサーモパイルセンサ部を小型の配線基板に実装し、サーモパイルセンサ位置決め、且つ、電気的、機械的に接続されたスペーサを具備させた事を特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、多素子サーモパイルセンサ、オペアンプ、マルチプレクサ、メモリ、抵抗、コンデンサ、配線基板、高密度ポリエチレンからなる光学系、又は、カバー、マイコン等で構成される多素子型サーモパイルモジュールに於いて、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタ、高密度ポリエチレンに具備させたサーモパイルセンサ部内蔵サーミスタと同様のB定数・抵抗値を有するサーミスタにて両者の温度を測温する事により、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタにて演算された検出温度に対し、両者の温度差の影響を補正し、温度差影響を軽減する事が出来る。
【0012】
又、高密度ポリエチレンとサーモパイルセンサ部の温度差を軽減、均一化させる為に、両者間にヒートシンクを具備させる事で一体化を行い温度差を軽減させる事が出来る。
又、ヒートシンクにて一体化された高密度ポリエチレンとサーモパイルセンサ部はベース基板より浮かせる事により、ベース基板の熱容量影響を受ける事なく、より高密度ポリエチレンとサーモパイルセンサ部の温度を均一化する事が出来る。
【0013】
又、浮かせ構造となったヒートシンクにて一体化された高密度ポリエチレンとサーモパイルセンサ部を小型配線基板に実装し、電機的、且つ、機械的な接続を兼ねるスペーサを具備させる事で、高さ、軸中心、θ軸の回転を抑制する事が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、意匠面剛性からくる高密度ポリエチレンの厚さを厚くする事による透過特性の低下、サーモパイルセンサ部との設置距離に於ける高密度ポリエチレン自身の温度差による影響をサーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタ、高密度ポリエチレンに具備させたサーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタと同様のB定数・抵抗値を有するサーミスタにて両者の温度を測温し、補正演算する事により、検出対象物の温度を正確に測温出来る多素子型サーモパイルモジュールを実現した。
【0015】
又、高密度ポリエチレンからなる光学系、又は、意匠カバーとサーモパイルセンサ部を熱的に接続するヒートシンクを具備させる事で、両者の温度差を抑制する事が出来た。
又、外部へ露出する事が多い高密度ポリエチレンからなる光学系、又は、意匠カバーと熱的接続を行ったヒートシンクを装着したサーモパイルセンサ部をベース基板より浮かせ、サーモパイルセンサ部を外部面に近づけた構造とする事で、ベース基板の熱容量影響を受けなくする事が出来、より意匠カバー、サーモパイルセンサ部の温度差を抑制する事が出来た。
【0016】
又、高密度ポリエチレンからなる光学系、又は、意匠カバーと熱的接続を行ったヒートシンクを装着したサーモパイルセンサ部を小型配線基板に実装し、ベース基板から浮かせ、且つ、電気的、機械的に接続させるスペーサを具備させるた2重基板構造とする事により、サーモパイルセンサ部設置高さ、軸中心、θ軸の回転を抑制する事が出来た。
【実施例1】
【0017】
図1に本発明の多素子サーモパイルセンサ、オペアンプ、マルチプレクサ、メモリ、抵抗、コンデンサ、配線基板、高密度ポリエチレンからなる光学系、又は、カバー、マイコン等で構成される多素子型サーモパイルモジュールの構成図を示す。以下、この図1をもとに本発明の実施例を具体的に述べる。図1中の配線基板上の配線パターン、並びに、実装電子部品は、図が煩雑となる為割愛した。
【0018】
本発明の多素子型サーモパイルモジュールが従来の多素子型サーモパイルモジュールと異なる点は、従来の多素子型サーモパイルモジュールは、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵の内蔵サーミスタのみを使用し、高密度ポリエチレンからなる光学系、及び、意匠カバーを介して透過する赤外線をサーモパイルセンサ部にて受光し発生した起電力量と、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタにて測温した自己温度から、検出対象物温度を測温していた点である。図2に従来の多素子型サーモパイルモジュール、図3に本発明の多素子型サーモパイルモジュールの回路ブロック図を示す。従来の多素子型サーモパイルモジュールは、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタのみを使用し、高密度ポリエチレンからなる光学系、及び、意匠カバーを介して透過する赤外線をサーモパイルセンサ部にて受光し発生した起電力量と、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタにて測温した自己温度から、検出対象物温度を測温している事から、意匠面となる高密度ポリエチレンからなる光学系、及び、意匠カバーとサーモパイルセンサ自己温度に温度差が生じた場合、高密度ポリエチレンの先の検出対象物を測温する際に、高密度ポリエチレン自身の温度を測温してしまい、検出対象物+高密度ポリエチレンの合算温度を検出対象物温度として測温していた。
【0019】
これに対し、本発明の多素子型サーモパイルモジュールは、図1の様に、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタの他に、高密度ポリエチレンにサーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタと同様のB定数・抵抗値を有するサーミスタを具備させる事で、両者の温度を測温する事により、意匠面となる高密度ポリエチレンとサーモパイルセンサ自己温度に温度差が生じた場合、その温度差をベースとなるサーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタにて測温した自己温度とサーモパイルセンサが検出出力した起電力量より算出した対象物温度に本多素子型サーモパイルモジュールに搭載のマイコンにて補正演算する事で、高密度ポリエチレンとサーモパイルセンサ自己温度を補正し、検出対象物を測温する物である。
【0020】
この温度差補正の考え方としては、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタにて測温した自己温度とサーモパイルセンサが検出出力した起電力量より算出した対象物温度を基準とし、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタにて測温した自己温度との温度差分のエネルギー量より、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタにて測温した自己温度と高密度ポリエチレンに具備させたサーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタと同様のB定数・抵抗値を有するサーミスタにて測温した高密度ポリエチレン自体の温度との差のエネルギー量を減算し、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタにて測温した自己温度より、検出対象物温度を補正演算するものである。但し、この基準となる検出対象物温度は、高密度ポリエチレンを透過してサーモパイルセンサに到達した赤外線量にて算出されている為、吸収・反射された赤外線量について、高密度ポリエチレンの透過特性等から考慮が必要である。
【0021】
この様に構成された本発明の多素子型サーモパイルモジュールと、従来の多素子型サーモパイルモジュールに於いて、意匠面となる高密度ポリエチレンとサーモパイルセンサ部に温度差が生じる条件にて比較検証を行った。
検証条件として、環境温度50℃に多素子型サーモパイルモジュールを設置し、意匠面となる高密度ポリエチレンとサーモパイルセンサ部を充分に温度安定させ、その後、環境温度25℃へ約5℃/min.の温度勾配にて冷却を行う。この際、多素子型サーモパイルモジュールが測温する検出対象物温度は、環境温度と同様の温度勾配にて変化させ測定を行った。
その結果を図4に本発明の多素子型サーモパイルモジュール、図5に従来の多素子型サーモパイルモジュールを示す。
【0022】
この結果を見ると、本発明の多素子型サーモパイルモジュールは、従来の多素子型サーモパイルモジュールに比べ、測温性能が向上している事を確認した。
今回は、8マトリックスアレイ型サーモパイルセンサにて試験を実施したが、2素子以上の複数の素子を有するマトリックス型、千鳥型、インライン型、リニアアレイ型等のサーモパイルセンサに於いても同様の性能を持たせる事が可能である。
【実施例2】
【0023】
図6に前記実施例1の多素子型サーモパイルモジュールに、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタと同様のB定数・抵抗値を有するサーミスタを具備させた高密度ポリエチレンからなる光学系、及び、意匠カバーとサーモパイルセンサ部を熱的に均一化させる為のヒートシンクを具備させた場合の構造図を示す。
【0024】
図1実施例1の多素子型サーモパイルモジュールに対し、熱均一化を行う為のヒートシンクを具備させる事により、外部に露出する事の多い高密度ポリエチレンカバーとサーモパイルセンサ部との温度差を少なくするものである。このヒートシンク有無に於ける熱均一化の効果について検証を行った。
検証条件として、前記実施例1と同様の温度条件にて試験し、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタ、高密度ポリエチレンに具備させたサーミスタにてそれぞれの温度変化をモニターした。
【0025】
その結果を、図7にヒートシンク具備、図8にヒートシンクなしを示す。
この結果を見ると、ヒートシンクを具備した構造の方が、外部に露出する事となる高密度ポリエチレンとサーモパイルセンサ部との温度差が小さくなっている事を確認した。
【実施例3】
【0026】
図9に前記実施例2の多素子型サーモパイルモジュールにて、ヒートシンクにて熱均一化された外部に露出する事の多い高密度ポリエチレンカバーとサーモパイルセンサ部をベース配線基板より離し浮せた場合の構造図を示す。
【0027】
図5の実施例2の多素子型サーモパイルモジュールに対し、高密度ポリエチレンカバーとサーモパイルセンサ部をベース配線基板より離し浮かせる事により、配線基板自身の熱容量影響を受けなくし、且つ、外部露出面にサーモパイルセンサ部を近づける事により高密度ポリエチレンとサーモパイルセンサ部の温度差を抑制するものである。この浮かせ構造による高密度ポリエチレンカバーとサーモパイルセンサ部の熱均一化の効果について検証を行った。
【0028】
検証条件として、前記実施例2と同様の条件にて試験を行った。その結果を、図10に示す。
この結果を見ると、浮かせ構造とする事で、より外部に露出する事となる高密度ポリエチレンとサーモパイルセンサ部との温度差が小さくなっている事を確認した。
【実施例4】
【0029】
図11に前記実施例3の多素子型サーモパイルモジュールにて、浮かせ構造とする事により、外部に露出する事となる高密度ポリエチレンとサーモパイルセンサ部との実装位置が、不安定となる事が懸念される。これの対策として高密度ポリエチレンカバーとサーモパイルセンサ部を小型配線基板に実装し、電気的、機械的に接続させるスペーサを設ける事で、サーモパイルセンサ部設置高さ、軸中心、θ軸の回転を抑制した構造図を示す。
【0030】
この2重基板構造を採用する事による、測温性能について検証を行った。
検証条件として、前記実施例1と同様の条件にて試験を実施。その結果を、図12に示す。
この結果を見ると、前記実施例1の多素子型サーモパイルモジュールに対し、同等以上の測温性能である事を確認した。又、構造寸法面に於いても設計通りの安定した寸法で組み上げられている事を確認した。
【実施例5】
【0031】
図13に前記実施例1〜4の多素子型サーモパイルモジュールにて、高密度ポリエチレン温度測温用のサーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタと同様のB定数・抵抗値を有するサーミスタの変わりとして、高密度ポリエチレンの一部を黒化マスキングを行う事で赤外線の透過を遮断し、多素子中の1素子にて、そのマスキング部分の表面温度を検出し測温した温度情報とサーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタにて測温した自己温度の両者の温度を測温した場合の構造図を示す。又、図14に高密度ポリエチレンに黒化マスキングを行った際の断面図を示す。
【0032】
この高密度ポリエチレン温度測温用のサーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタと同様のB定数・抵抗値を有するサーミスタの変わりとして、高密度ポリエチレンの一部を黒化マスキングを行い、多素子中の1素子にて、そのマスキング部分の表面温度を検出、測温する事により、意匠面となる高密度ポリエチレンとサーモパイルセンサ自己温度に温度差が生じた場合、その温度差をベースとなるサーモパイルセンサパッケージ内に内蔵のサーミスタにて測温した自己温度とサーモパイルセンサが検出し出力し起電力量より算出した対象物温度に本多素子型サーモパイルモジュールに搭載のマイコンにて補正演算する事で、高密度ポリエチレンとサーモパイルセンサ自己温度を補正し、検出対象物を測温する物である。
【0033】
この温度差補正の考え方としては、前記実施例1と考え方は同じであるが、実施例1は高密度ポリエチレンへサーミスタを具備させる事で直接測温していたが、本発明の多素子型サーモパイルモジュールは、高密度ポリエチレン自身の温度をサーモパイルセンサにて非接触で測温する事である。
この様に構成された本発明の多素子型サーモパイルモジュールについて実施例4と同条件にて検証を行った。その結果を図15に示す。
この結果を見ると、本発明の多素子型サーモパイルモジュールは、実施例4と同等である事を確認した。
【実施例6】
【0034】
図16に前記実施例1〜5の多素子型サーモパイルモジュールにて、サーモパイルセンサに方向性がある意匠カバーを持たせた場合の方向性決め、ローテーション間違い防止の為、意匠カバー、ヒートシンク、サーモパイル缶、小型配線基板、スペーサに方向性・位置決めの機構を持たせた構造図を示す。
この様に各パーツに方向性・位置決め機構を持たせる事により、間違い無くサーモパイルモジュールを組み上げる事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の多素子型サーモパイルモジュールの構成図である。
【図2】本発明の多素子型サーモパイルモジュールの回路ブロック図である。
【図3】従来の多素子型サーモパイルモジュールの回路ブロック図である。
【図4】本発明の多素子型サーモパイルモジュールの温度特性データである。
【図5】従来の多素子型サーモパイルモジュールの温度特性データである。
【図6】ヒートシンクを具備させた本発明の多素子型サーモパイルモジュールに構成図である。
【図7】ヒートシンクを具備させた本発明の多素子型サーモパイルモジュールのサーモパイルセンサ内に内蔵のサーミスタと、高密度ポリエチレンに具備させたサーミスタの温度追従特性データである。
【図8】ヒートシンクなしの本発明の多素子型サーモパイルモジュールのサーモパイルセンサ内に内蔵のサーミスタと、高密度ポリエチレンに具備させたサーミスタの温度追従特性データである。
【図9】配線基板よりサーモパイルセンサを浮かせた本発明の多素子型サーモパイルモジュールの構成図である。
【図10】配線基板よりサーモパイルセンサを浮かせ、且つ、ヒートシンクを具備させた本発明の多素子型サーモパイルモジュールのサーモパイルセンサ内に内蔵のサーミスタと、高密度ポリエチレンに具備させたサーミスタの温度追従特性データである。
【図11】小型配線基板、スペーサ、ヒートシンクを具備し、且つ、配線基板よりサーモパイルセンサを浮かせた本発明の多素子型サーモパイルモジュールの構成図である。
【図12】小型配線基板、スペーサ、ヒートシンクを具備し、且つ、配線基板よりサーモパイルセンサを浮かせた本発明の多素子型サーモパイルモジュールの温度特性データである。
【図13】黒化マスキングを施した高密度ポリエチレンからなるカバー、小型配線基板、スペーサ、ヒートシンクを具備し、配線基板よりサーモパイルセンサを浮かせた本発明の多素子型サーモパイルモジュールの構成図である。
【図14】黒化マスキングを施した高密度ポリエチレンからなるカバーの断面図である。
【図15】黒化マスキングを施した高密度ポリエチレンからなるカバー、小型配線基板、スペーサ、ヒートシンクを具備し、配線基板よりサーモパイルセンサを浮かせた本発明の多素子型サーモパイルモジュールの温度特性データである。
【図16】高密度ポリエチレンからなるカバー、小型配線基板、スペーサ、ヒートシンク全てに方向性を持たせた本発明の多素子型サーモパイルモジュールの構成図である。
【符号の説明】
【0036】
1 サーモパイルセンサ
2 配線基板
3 高密度ポリエチレンからなる光学系、及び、カバー
4 高密度ポリエチレン測温用サーミスタ
5 ヒートシンク
6 小型配線基板
7 スペーサ
8 黒化マスキングされた高密度ポリエチレンからなる光学系、及び、カバー
9 方向性を持った高密度ポリエチレンからなる光学系、及び、カバー
10 方向性を持ったヒートシンク
11 方向性を持ったサーモパイルセンサ
12 方向性を持った小型配線基板
13 方向性を持ったスペーサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多素子型サーモパイルモジュールに於いて、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵の自己温度検出用サーミスタの他に、サーモパイルセンサパッケージ外部の温度情報を採取する為のもう一つのサーミスタを具備させた事を特徴とした多素子型サーモパイルモジュール。
【請求項2】
上記請求項1の多素子型サーモパイルモジュールに於いて、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵の自己温度検出用サーミスタと、サーモパイルセンサパッケージ外部の温度情報を採取する為の外部サーミスタからの温度情報をもとに、サーモパイルモジュールの検出温度に補正演算を行う事を特徴とした多素子型サーモパイルモジュール。
【請求項3】
上記請求項2の多素子型サーモパイルモジュールに於いて、サーモパイル部、高密度ポリエチレンからなる光学レンズ、及び、意匠カバーとの温度差を抑えるべく、温度を均一化させる為のヒートシンクを具備させた事を特徴とした多素子型サーモパイルモジュール。
【請求項4】
上記請求項3の多素子型サーモパイルモジュールに於いて、ベースとなる配線基板から高密度ポリエチレンからなる光学レンズ、及び、意匠カバーを具備したサーモパイル部を浮かせる事で、配線基板の熱容量を受けない浮かせ構造とした事を特徴とした多素子型サーモパイルモジュール。
【請求項5】
上記請求項4の多素子型サーモパイルモジュールに於いて、浮かせ構造とする事により、サーモパイル部の傾き、θ軸ずれを抑制する為に、ベース配線基板と浮かせ用配線基板に電気的接続、且つ、機械的な接続を兼ねたスペーサを具備させ2重基板構想にした事を特徴とした多素子型サーモパイルモジュール。
【請求項6】
上記請求項1〜5の多素子型サーモパイルモジュールに於いて、意匠カバーとなる高密度ポリエチレンの一部に黒化マスキングを行い、多素子中の1素子にて、そのマスキング部分の表面温度と検出し測温した温度情報と、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵の自己温度検出用サーミスタとの温度情報からサーモパイルモジュールの検出温度に補正演算を行う事を特徴とした多素子型サーモパイルモジュール。
【請求項7】
上記請求項1〜6の多素子型サーモパイルモジュールに於いて、サーモパイルセンサに方向性のある意匠カバーを持たせた場合、その方向性を決め、且つ、ローテーション間違いを無くす為に、意匠カバー、ヒートシンク、サーモパイル缶、小型配線基板、スペーサに方向性、位置決めの機構を持たせた事を特徴とした多素子型サーモパイルモジュール。
【請求項1】
多素子型サーモパイルモジュールに於いて、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵の自己温度検出用サーミスタの他に、サーモパイルセンサパッケージ外部の温度情報を採取する為のもう一つのサーミスタを具備させた事を特徴とした多素子型サーモパイルモジュール。
【請求項2】
上記請求項1の多素子型サーモパイルモジュールに於いて、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵の自己温度検出用サーミスタと、サーモパイルセンサパッケージ外部の温度情報を採取する為の外部サーミスタからの温度情報をもとに、サーモパイルモジュールの検出温度に補正演算を行う事を特徴とした多素子型サーモパイルモジュール。
【請求項3】
上記請求項2の多素子型サーモパイルモジュールに於いて、サーモパイル部、高密度ポリエチレンからなる光学レンズ、及び、意匠カバーとの温度差を抑えるべく、温度を均一化させる為のヒートシンクを具備させた事を特徴とした多素子型サーモパイルモジュール。
【請求項4】
上記請求項3の多素子型サーモパイルモジュールに於いて、ベースとなる配線基板から高密度ポリエチレンからなる光学レンズ、及び、意匠カバーを具備したサーモパイル部を浮かせる事で、配線基板の熱容量を受けない浮かせ構造とした事を特徴とした多素子型サーモパイルモジュール。
【請求項5】
上記請求項4の多素子型サーモパイルモジュールに於いて、浮かせ構造とする事により、サーモパイル部の傾き、θ軸ずれを抑制する為に、ベース配線基板と浮かせ用配線基板に電気的接続、且つ、機械的な接続を兼ねたスペーサを具備させ2重基板構想にした事を特徴とした多素子型サーモパイルモジュール。
【請求項6】
上記請求項1〜5の多素子型サーモパイルモジュールに於いて、意匠カバーとなる高密度ポリエチレンの一部に黒化マスキングを行い、多素子中の1素子にて、そのマスキング部分の表面温度と検出し測温した温度情報と、サーモパイルセンサパッケージ内に内蔵の自己温度検出用サーミスタとの温度情報からサーモパイルモジュールの検出温度に補正演算を行う事を特徴とした多素子型サーモパイルモジュール。
【請求項7】
上記請求項1〜6の多素子型サーモパイルモジュールに於いて、サーモパイルセンサに方向性のある意匠カバーを持たせた場合、その方向性を決め、且つ、ローテーション間違いを無くす為に、意匠カバー、ヒートシンク、サーモパイル缶、小型配線基板、スペーサに方向性、位置決めの機構を持たせた事を特徴とした多素子型サーモパイルモジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−139660(P2007−139660A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−336148(P2005−336148)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(000229081)日本セラミック株式会社 (129)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(000229081)日本セラミック株式会社 (129)
【Fターム(参考)】
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