説明

多結晶シリコンの分級装置及び選別装置

【課題】微細片の発生を防ぎつつ破砕片の分級を円滑に行う。
【解決手段】一定間隔で相互に平行に並べられた複数本の固定レール2と、これら固定レール2と直交する方向に配置され固定レール2との間で格子状の篩面4を形成する複数本の可動レール3とを備え、可動レール3は、その長さ方向の途中位置で隣接する可動レール3の間隔の範囲内で配列方向にずれて配置された第1レール部6と第2レール部7とを有し、固定レール2には、各可動レール3をその長さ方向に沿ってスライド自在に配置する溝部5が篩面4の上方に開放した状態に形成され、可動レール3に、可動レール3を固定レール2の溝部5内に配置した篩面形成位置から、溝部5の上方に突出した位置で固定レール2の相互間隔の範囲で長さ方向に移動した後、溝部5内に下降して篩面形成位置までスライドして復帰するウォーキングビーム機構が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体用シリコンの原料として用いられる塊状の多結晶シリコンの破砕片を分級するための分級装置及びその分級装置を用いた多結晶シリコンの選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体用単結晶シリコンを製造する際の原料として用いられる多結晶シリコンは、例えば、シーメンス法などの析出方法により概略円柱状のインゴットに形成された後、切断や破砕等の加工によって塊状のチャンクと呼ばれる破砕片に形成される。その後、この破砕片は、表面に付着した粉塵などの汚染物質を洗浄によって取り除いた後、その大きさごとに分級される。
【0003】
多結晶シリコンの破砕片を分級する場合、例えば、特許文献1に記載されている篩別装置が用いられる。同文献1における篩別装置は、モーターを介して振動により篩分けする振動篩別機である。
一方、特許文献2には回転シリンダーを有する分級機が開示されている。この分級機は、回転シリンダーの回転によりシリコン片を複数のサイズにふるい分けするようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2009−532319号公報
【特許文献2】特開2004−91321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、多結晶シリコンは脆性材料であるため、この多結晶シリコンの破砕片を分級する際に、特許文献1のような振動で分級する篩別装置にかけると、その振動によって破砕片がより細かく砕かれて微細片が発生し易くなる。微細片が発生すると、この微細片が篩別装置の篩の目に入り込んで目詰まりが生じ、分級が適切におこなわれなくなったり、粉塵が発生するなど、選別動作に悪影響を与えたりすることがある。
特許文献2についても同様であり、回転シリンダーを回転動作させる際に振動が生じて微細片が発生し、しかも、この回転シリンダーの回転時には破砕片どうしが擦れ合うため微細片が更に発生しやすくなる。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、微細片の発生を防ぎつつ破砕片の分級を円滑に行うことができる多結晶シリコンの分級装置及びその分級装置を用いた多結晶シリコンの選別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の多結晶シリコンの分級装置は、一定間隔で相互に平行に並べられた複数本の固定レールと、これら固定レールと直交する方向に配置され前記固定レールとの間で格子状の篩面を形成する複数本の可動レールとを備え、前記可動レールは、その長さ方向の途中位置で隣接する可動レールの間隔の範囲内で配列方向にずれて配置された第1レール部と第2レール部とを有し、前記固定レールには、各可動レールをその長さ方向に沿ってスライド自在に配置する溝部が前記篩面の上方に開放した状態に形成され、前記可動レールに、該可動レールを前記固定レールの溝部内に配置した篩面形成位置から、前記溝部の上方に突出した位置で前記固定レールの相互間隔の範囲で長さ方向に移動した後、前記溝部内に下降して前記篩面形成位置までスライドして復帰するウォーキングビーム機構が設けられていることを特徴とする。
【0008】
この分級装置では、多結晶シリコンの破砕片を可動レールと固定レールとで形成される篩面によって分級しながら、可動レールの上に載った大きい破砕片は、可動レールのウォーキングビーム運動によって搬送して篩面から排除する。この場合、可動レールは、途中で第1レール部から第2レール部にずれて不連続とされているので、篩面から落下すべき小さい破砕片が第1レール部の上に載ったまま搬送されたとしても、第1レール部と第2レール部との不連続部分では、ウォーキングビーム運動において可動レールが溝部に沿って篩面形成位置へ復帰する際に可動レールによる下方からの支持を失うために、その篩面から確実に分級することができる。
【0009】
そして、この分級動作は可動レールのウォーキングビーム運動によって行われ、従来技術のような振動や回転動作によるものではないので、微細片の発生を防止し、目詰まり等を生じることなく円滑に分級することができる。
なお、可動レールの第1レール部と第2レール部とは、これら一組により少なくとも一つの不連続部分を形成すればよく、さらにレール部を継ぎ足して複数個の不連続部分を形成するものでもよい。
【0010】
また、本発明の多結晶シリコンの分級装置において、前記第1レール部と第2レール部との間を連結する連結部が、隣接する両固定レールの間に配置されているとよい。
この分級装置は、可動レールが一体構造となるから、一つのウォーキングビーム機構によって駆動することができる。
【0011】
また、本発明の多結晶シリコンの分級装置において、前記固定レール及び可動レールは、少なくとも前記篩面を形成する上面部がシリコンによって形成され、前記上面部を除く下部は補強部材によって構成されていることが好ましい。このシリコンとしては、製品の純度を確保できるレベルの純度のシリコンであり、例えば共材である多結晶シリコンが用いられる。
破砕片が接触する篩面がシリコンによって形成されるので、搬送される破砕片に不純物が混入することはない。補強部材としては、例えばステンレス鋼などの汎用の構造材を用いてもよい。
【0012】
本発明の多結晶シリコンの選別装置は、多結晶シリコンの破砕片を載置して送る少なくとも一対の送りスクリューが水平方向に相互間隔をあけて配置されるとともに、前記送りスクリューの下方に、落下した前記破砕片を前記送りスクリューの送り方向と直交する方向に搬送するコンベアが設けられ、前記コンベアに、前記送りスクリューの送り方向の基端位置で落下する微細片を除去する微細片除去部と、前記微細片除去部よりも前記送り方向先端方向に配置された前記分級装置とが接続されていることを特徴とする。
微細片除去部によって微細片を除去した後の破砕片を分級装置によって分級するので、分級装置での目詰まりを確実に防止することができる。
【0013】
本発明の多結晶シリコンの選別装置において、前記分級装置は、前記送りスクリューの送り方向と前記固定レールとが平行に配置されているとよい。
送りスクリューでは、破砕片がその長辺を送りスクリューの送り方向に沿わせた状態でコンベアに落下し、次の分級装置では、送りスクリュー間の間隔により短辺方向の大きさはほぼ揃えられた状態となっているので、主として、その長辺方向の大きさについて分級することになり、長辺、短辺ともに大きさが揃った破砕片を得ることができる。
【0014】
本発明の多結晶シリコンの選別装置において、前記コンベアに、その幅方向に沿う凸条又は溝が相互間隔をおいて複数連続して形成されているとよい。
送りスクリューによって短辺が揃えられた状態で選別されるので、その長辺をコンベアの凸条又は溝に添わせて送ることにより、向きを変えることなく、次の分級装置に渡すことができ、分級装置での長辺方向の分級を確実に行わせることができ、破砕片の大きさをより揃えることができる。
【0015】
本発明の多結晶シリコンの選別装置において、前記送りスクリューは、その送り方向先端に向かうにしたがって漸次水平方向の相互間隔を広げるように並んで配置され、前記分級装置は、前記コンベアの幅方向に並んで複数接続されるとともに、前記固定レールの相互間隔が前記送りスクリューの送り方向先端方向の分級装置ほど小さく形成されているとよい。
この選別装置では、最初に送りスクリューによって破砕片を大まかに選別した後、複数の分級装置を用いて詳細な分級を行うことができ、種々の大きさのものが混在する破砕片を効率的に分級することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の多結晶シリコンの分級装置によれば、可動レールのウォーキングビーム運動によって分級しているので微細片の発生を防ぐことができ、その場合に、可動レールに第1レール部と第2レール部との不連続部分を形成して破砕片を確実に分級することができ、円滑かつ確実な分級を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の多結晶シリコンの分級装置の一実施形態を示した平面図である。
【図2】図1の分級装置の動作を説明するために示した(a)が要部の平面図、(b)が同図(a)のb−b線に沿う断面図である。
【図3】図2に示す状態から矢印で示すように可動レールを移動させた後の状態を示す(a)が要部の平面図、(b)が同図(a)のb−b線に沿う断面図である。
【図4】図3に示す状態から矢印で示すように可動レールを移動させて元の位置に復帰させた後の状態を示す(a)が要部の平面図、(b)が同図(a)のb−b線に沿う断面図である。
【図5】図1の分級装置を用いた多結晶シリコンの選別装置の実施形態を示す平面図である。
【図6】図5の選別装置の一部を鎖線で示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る多結晶シリコンの分級装置及び選別装置の実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、多結晶シリコンの分級装置の実施形態を示している。この多結晶シリコンの分級装置1には、複数本の固定レール2と可動レール3とが備えられている。固定レール2は、一定の相互間隔gで平行に並べられ、可動レール3は固定レール2と同じ相互間隔gで固定レール2と直交する方向に配置されており、これら固定レール2と可動レール3とが組み合わさることにより、格子状の篩面4が形成されている。この場合、図2等に示すように、固定レール2には、篩面4の上方に開放した状態に溝部5が形成され、この溝部5に可動レール3がその長さ方向に沿ってスライド自在に配置されている。
【0019】
また、可動レール3は、一直線上に配置した一対の第1レール部6と、これら第1レール部6の間に両第1レール部6によって形成される一直線から若干ずれて平行に配置される第2レール部7と、これらを連結する二か所の連結部8とによってクランク状にされている。両連結部8は、第1レール部6及び第2レール部7と直交する方向に設けられ、隣接する両固定レール2の間に配置されている。また、第1レール部6と第2レール部7とのずれ寸法は、可動レール3の相互間隔gの範囲内でこの相互間隔gよりも小さく設定されている。
【0020】
そして、可動レール3には、図示略のウォーキングビーム機構が設けられている。このウォーキングビーム機構は、可動レール3を固定レール2の溝部5内に配置して、その上面を面一にした篩面4を形成する位置(図2参照:この図2に示す位置を篩面形成位置と称す)から、この図2の実線矢印で示すように溝部5の上方に突出させ、その突出位置で破線矢印で示すように固定レール2の相互間隔gの範囲で長さ方向に移動した後(図3参照)、図3の実線矢印で示すように再び溝部5内に下降し、その溝部5内で破線矢印で示すように元の篩面形成位置までスライドして復帰する(図4参照)運動を行わせる機構とされている。
【0021】
また、固定レール2及び可動レール3は、少なくとも篩面4を形成する上面部11が多結晶シリコンによって形成され、この上面部11を除く下部が補強部材12によって構成されている。補強部材12としては例えばステンレス鋼(SUS)が用いられ、上面部11に一体に固着される。これら固定レール2及び可動レール3は、図示例では横断面矩形状に形成されているが、矩形状に限ることはなく、例えば、図示しないが、台形状、三角形状等の横断面形状であってもよく、その場合、上面の幅が下面より大きくなるように配置すると、篩面4の目が下方向に向けて漸次大きくなるため、詰まりにくくなる。
なお、図1において符号13は、可動レール3の第2レール部7がずれて配置されていることにより、固定レール2の端部間に可動レール3が配置されなくなる部分が生じることから、その部分の固定レール2の端部間を相互に接続状態とする接続部を示す。
【0022】
上述した分級装置1は、固定レール2及び可動レール3の相互間隔gを適宜に設定することにより篩面4の大きさを自由に設定できる。以下に説明する多結晶シリコンの選別装置では、篩面の大きさの異なる複数の分級装置が用いられている。
この多結晶シリコンの選別装置について図5及び図6を参照して説明する。この選別装置21では、分級装置として篩面の大きさの異なる二種類が使用され、その分級装置とは別に、各種大きさのものが混在した破砕片を大まかに選別するための一対の送りスクリュー22,23を備えている。以下では、二種類の分級装置を符号1A,1Bとして区別する。
【0023】
送りスクリュー22,23は、例えばシリコンや超硬合金(WC)により構成され、二つが並んで配置されるとともに、両送りスクリュー22,23においてリード方向が逆で、相互に逆方向に回転することにより、これら送りスクリュー22,23の間に載置した物を前方に送ることができるようになっている。そして、図5に示すように、両送りスクリュー22,23は、その送り方向先端に向かうにしたがって漸次水平方向の相互間隔を広げるように並んで配置されており、その間隔が狭い基端部上に供給部24から破砕片が供給されると、両送りスクリュー22,23によって先端方向に送られながら、これら送りスクリュー22,23の間からその間隔よりも小さい破砕片が順次落下していく構成である。両送りスクリュー22,23の相互間隔が送り方向先端に向かって漸次大きくなっているので、破砕片は、送りスクリュー22,23の基端部側で小さいものが落下し、先端部側で大きいものが落下する。
なお、両送りスクリュー22,23は、先端側が基端側よりも若干持ち上がって配置されており、破砕片が送りスクリュー22,23の間を移動する間に転がって、破砕片の寸法の最も小さい部分が送りスクリュー22,23間の間隔の開き方向に向くようにすることにより、破砕片の選別が確実になされるようにしている。また、図5では、両送りスクリュー22,23の相互間隔の広がり度合いは誇張して記載している。
【0024】
これら送りスクリュー22,23の下方に仕分けコンベア25が設けられており、この仕分けコンベア25は、送りスクリュー22,23から落下した破砕片を送りスクリュー22,23の送り方向と直交する方向に搬送しながら、コンベア25の上方に配置した複数の仕切り板26によって複数の破砕片群に分離するようになっている。図示例では、仕切り板26によって破砕片が送りスクリュー22,23の送り方向の基端部側から先端部側に向かって三つの群に分けられるようになっている。
また、コンベア25の上面には、搬送方向と略直交する幅方向に沿う溝27が所定間隔で形成されている。
【0025】
そして、この仕分けコンベア25の搬送方向前方に、前述した分級装置1A,1Bが設けられており、仕分けコンベア25から破砕片を受け取って分級するようになっている。この場合、仕分けコンベア25の終端位置には二つの分級装置1A,1Bが仕分けコンベア25の幅方向に並んで設けられている。これら二つの分級装置1A,1Bは、いずれも、送りスクリュー22,23の送り方向と平行に固定レール2が配置されるが、送りスクリュー22,23の基端部側に配置される分級装置1Aは、先端側に配置される分級装置1Bよりも各レール2,3の相互間隔が小さく形成されている。例えば、相互間隔の小さい側のレール2,3の間隔が40mm、相互間隔の大きい側のレール2,3の間隔が80mmとされ、以下では、レール間隔が小さい分級装置をSサイズ用分級装置1A、レール間隔が大きい分級装置をLサイズ用分級装置1Bと称する。
また、Sサイズ用分級装置1Aの後流位置には、もう一基のLサイズ用分級装置1Bが連絡コンベア28を介して直列に設けられている。このLサイズ用分級装置1Bも固定レール2の配置方向は他の分級装置と同じで、送りスクリュー22,23の送り方向と平行に配置される。また、連絡コンベア28にも、仕分けコンベア25と同様の幅方向に沿う溝27が所定間隔で形成される。
【0026】
そして、Sサイズ用分級装置1Aの下方には、Sサイズ用コンベア31が分級装置1Aの搬送方向と直交して配置され、各Lサイズ用分級装置1Bの下方には、Lサイズ用コンベア32がLサイズ用分級装置1Bの搬送方向と直交してそれぞれ配置される。Lサイズ用分級装置1Bにより落下しなかった大きな破砕片は、これらLサイズ用分級装置1Bに接続された大塊用コンベア33によって排出される。
また、この大塊用コンベア33は、送りスクリュー22,23の先端にも接続されており、送りスクリュー22,23で落下しなかった破砕片を受け取って搬送するようになっている。
【0027】
さらに、仕分けコンベア25には、分級装置1A,1Bと並んで、送りスクリュー22,23の最も基端部側から落下する破砕片を受ける微細片除去部となる微細片用コンベア34が接続されている。
仕分けコンベア25上の仕切り板26は、仕分けコンベア25の搬送方向前方に配置される微細片用コンベア34、二つの分級装置1A,1Bに向けられる破砕片が相互に混在しないように、これら微細片用コンベア34、二つの分級装置1A,1Bの間に設けられる。
なお、仕切り板26はシリコンによって形成され、各コンベアは強化繊維入りポリウレタン等によって形成される。また、仕分けコンベア25からの破砕片の供給速度は、ウォーキングビーム運動による分級装置1A,1Bでの搬送速度と同じか、又はその搬送速度以下の速度に合わせられ、分級装置1A,1Bの上で破砕片が滞留しないようにされる。
【0028】
次に、このように構成した多結晶シリコンの選別装置21により多結晶シリコンの破砕片を選別する方法について説明する。
本実施形態では、破砕片はその大きさの小さい順に微細片、Sサイズ破砕片、Lサイズ破砕片、大塊の4つに選別される。
【0029】
先ず、図5において、破砕片が供給部24より送りスクリュー22,23の上に供給されると、この破砕片は、送りスクリュー22,23により送られながら、この送りスクリュー22,23の相互間隔が広がるにしたがってその相互間隔よりも小さい破砕片が落下していく。送りスクリュー22,23は基端部から先端部にかけて漸次相互間隔が広がっているので、基端部側から先端部側に向かうにしたがって漸次大きい破砕片が落下する。この場合、破砕片は送りスクリュー22,23上で転動することにより長辺側が送り方向となるように向きを揃えられ、仕分けコンベア25上には、破砕片の長辺側がコンベア25の幅方向に沿う姿勢で落下する。
この送りスクリュー22,23の間より落下しなかった破砕片は大塊としてそのまま送りスクリュー22,23により送られて大塊用コンベア33によって搬送される。
【0030】
送りスクリュー22,23の間から落下した破砕片は、仕分けコンベア25によって搬送されながら仕切り板26によって分けられ、これら仕切り板26によって区画された状態で前方に送られる。この場合、仕分けコンベア25には幅方向に沿う溝27が形成されているので、破砕片の長辺側が溝27に沿って配置され、その長辺側をコンベア25の幅方向に向けた状態で搬送される。
【0031】
また、送りスクリュー22,23の最も基端側で落下した微細片は、仕切り板26によって案内されながら微細片コンベア34に送られ、この微細片コンベア34によって排出される。
【0032】
一方、仕分けコンベア25によって分級装置1A,1Bまで搬送された破砕片は、仕切り板26によってSサイズ破砕片が多い破砕片群とLサイズ破砕片が多い破砕片群とに分けられており、Sサイズ破砕片が多い破砕片群はSサイズ用分級装置1Aにより分級され、Lサイズ破砕片が多い破砕片群はLサイズ用分級装置1Bにより分級される。
【0033】
これら分級装置1A,1Bにおける分級動作について以下に説明する。いずれの分級装置もその動作は同じであるので、以下では、Sサイズ用分級装置1Aを例として説明する。
仕分けコンベア25により分級装置1Aの篩面4上に破砕片が送られると、この破砕片が固定レール1及び可動レール2の相互間隔gよりも小さい場合には篩面3から落下し、その下方のSサイズ用コンベア31によりSサイズ破砕片として搬送される。
【0034】
一方、破砕片が相互間隔gよりも大きい場合には、篩面4上に載置された状態となり、可動レール3のウォーキングビーム運動により徐々に前方に搬送され、Sサイズ破砕片よりも大きい破砕片として連絡コンベア28に受け渡される。
このウォーキングビーム運動は、図2に示すように可動レール3が固定レール2の溝部5に配置された状態(篩面形成位置)から、上昇し、その上昇位置で長さ方向に移動し、次いで、下降して固定レール2の溝部5に再び配置され、この溝部5内で引き戻されて元の位置に復帰するまでの一連の運動を繰り返すものであり、その場合の長さ方向の移動は固定レール2の相互間隔gの範囲内の寸法とされる。そして、その相互間隔gよりも大きい破砕片が篩面4上に載置された場合には、このウォーキングビーム運動により、隣接する固定レール2間を順次渡り歩くように前方に送られる。
【0035】
この場合、篩面4を振動させる等の手段を有していないので、Sサイズ破砕片であっても篩面4上に載置した状態となる場合があるが、可動レール3が第1レール部6と第2レール部7とをクランク状に連結した形状とされ、途中が屈曲した不連続状態とされているので、そのウォーキングビーム運動により前方に送られるうちに、その屈曲部分で篩面4から落下させられる。
【0036】
図2は、Sサイズ破砕片Cが落下することなく、可動レール部3の連結部8まで到達した状態を示している。この状態から、可動レール3が図2(b)の実線矢印で示すように上昇してSサイズ破砕片Cを持ち上げ、次いで破線矢印で示すように長さ方向に移動して、図3に示すようにSサイズ破砕片Cを載置した状態で連結部8が次の固定レール2に接近する。次いで、この図3(b)の実線矢印で示すように可動レール3が下降して再び固定レール2の溝部5に配置されると、Sサイズ破砕片Cは連結部8と固定レール2とにまたがって載置され、その後、破線矢印で示すように可動レール3が元の位置に復帰すべくスライドすると、Sサイズ破砕片Cは、一部が固定レール2上に載置されたまま、可動レール3による下方からの支持がなくなることから、重心の支えを失って図4(b)の矢印で示すように落下する。
【0037】
また、このウォーキングビーム運動の1回の送り動作では落下せず、固定レール2上に載置された状態となったとしても、例えば図3及び図4にC2で示すように次に送られてくる破砕片が先に送られた破砕片を押すことにより、固定レール2上の破砕片を確実に落下させることができる。
【0038】
このようにして、篩面4で落下すべきSサイズ破砕片が可動レール3の上に載ったまま搬送されたとしても、第1レール部6と第2レール部7との連結部8において確実に落下させることができ、所望のサイズの破砕片を分級することができる。
特に図5及び図6に示す選別装置21では、微細片、Sサイズ破砕片、Lサイズ破砕片、大塊の4つに確実に選別し、しかも、送りスクリュー22,23、仕分けコンベア25と仕切り板26によって先に分離され、微細片コンベア34によって排出されることにより、分級装置1A,1Bには微細片が混入しないようにしているので、その目詰まりも防止し、円滑に分級動作を行わせることができる。
【0039】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、分級装置の篩面は、水平方向に沿って配置してもよいが、搬送方向に若干下り勾配となるように配置してもよく、篩面上に載置された破砕片が勾配に沿って転がることにより、分級動作をより確実に行わせることができる。
また、実施形態では一対の送りスクリューを送り方向先端側に向けて漸次相互間隔が広がるように配置したが、相互間隔を一定にした一対の送りスクリューを、その間隔を変えて複数組用意し、間隔の大きい組から順に並べて、前段の間隔が大きい送りスクリューの間から落下した破砕片を次の段の送りスクリューで選別する構成としてもよい。
また、前記実施形態では、第1レール部6と第2レール部7とを連結部8によって連結状態としたが、好ましくない微粉等が予め排除されるので、必ずしも連結部8を設けなくともよい。その場合、分離状態の第1レール部6と第2レール部7とを同期して駆動すればよい。
【符号の説明】
【0040】
1 分級装置
2 固定レール
3 可動レール
4 篩面
5 溝部
6 第1レール部
7 第2レール部
8 連結部
11 上面部
12 補強部材
22,23 送りスクリュー
24 供給部
25 仕分けコンベア
26 仕切り板
27 溝
28 連絡コンベア
31 Sサイズ用コンベア
32 Lサイズ用コンベア
33 大塊用コンベア
34 微細片用コンベア(微細片除去部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定間隔で相互に平行に並べられた複数本の固定レールと、これら固定レールと直交する方向に配置され前記固定レールとの間で格子状の篩面を形成する複数本の可動レールとを備え、前記可動レールは、その長さ方向の途中位置で隣接する可動レールの間隔の範囲内で配列方向にずれて配置された第1レール部と第2レール部とを有し、前記固定レールには、各可動レールをその長さ方向に沿ってスライド自在に配置する溝部が前記篩面の上方に開放した状態に形成され、前記可動レールに、該可動レールを前記固定レールの溝部内に配置した篩面形成位置から、前記溝部の上方に突出した位置で前記固定レールの相互間隔の範囲で長さ方向に移動した後、前記溝部内に下降して前記篩面形成位置までスライドして復帰するウォーキングビーム機構が設けられていることを特徴とする多結晶シリコンの分級装置。
【請求項2】
前記第1レール部と第2レール部との間を連結する連結部が、隣接する両固定レールの間に配置されていることを特徴とする請求項1記載の多結晶シリコンの分級装置。
【請求項3】
前記固定レール及び可動レールは、少なくとも前記篩面を形成する上面部がシリコンによって形成され、前記上面部を除く下部は補強部材によって構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の多結晶シリコンの分級装置。
【請求項4】
多結晶シリコンの破砕片を載置して送る少なくとも一対の送りスクリューが水平方向に相互間隔をあけて配置されるとともに、前記送りスクリューの下方に、落下した前記破砕片を前記送りスクリューの送り方向と直交する方向に搬送するコンベアが設けられ、前記コンベアに、前記送りスクリューの送り方向の基端位置で落下する微細片を除去する微細片除去部と、前記微細片除去部よりも前記送り方向先端方向に配置された請求項1から3のいずれか一項に記載の分級装置とが接続されていることを特徴とする多結晶シリコンの選別装置。
【請求項5】
前記分級装置は、前記送りスクリューの送り方向と前記固定レールとが平行に配置されている請求項4記載の多結晶シリコンの選別装置。
【請求項6】
前記コンベアに、その幅方向に沿う凸条又は溝が相互間隔をおいて複数連続して形成されていることを特徴とする請求項4又は5記載の多結晶シリコンの選別装置。
【請求項7】
前記送りスクリューは、その送り方向先端に向かうにしたがって漸次水平方向の相互間隔を広げるように並んで配置され、前記分級装置は、前記コンベアの幅方向に並んで複数接続されるとともに、前記固定レールの相互間隔が前記送りスクリューの送り方向先端方向の分級装置ほど小さく形成されていることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の多結晶シリコンの選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−62206(P2012−62206A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205974(P2010−205974)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】