説明

多結晶シリコンの清浄化方法

本発明は、プロセス中の清浄化溶液の改善された流れを用いた多結晶シリコンの清浄化方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロセス中の清浄化溶液の改善された流れを用いた多結晶シリコンの清浄化方法に関する。
【0002】
太陽電池又は電子素子、例えば記憶素子又はマイクロプロセッサの製造のためには、高純度半導体材料が必要となる。この狙いを定めて導入されるドープ物質は、この種の材料が有利な場合に有する唯一の汚染物質である。したがって、有害な汚染物質の濃度を可能なかぎり低く維持するように努力されている。既に高純度に製造された半導体材料が目的生成物への更なる加工の過程において新たに汚染されることがしばしば観察される。したがって、常にまた手間のかかる清浄化工程が、当初の純度を取り戻すために必要である。
【0003】
特に、金属原子による汚染は危機的であるようであり、というのは金属原子は、半導体材料の電気的特性を損なうように変更することができるからである。破砕すべき半導体材料が、これまで主として慣用であるとおりに、機械的工具、例えば鋼性クラッシャーで破砕される場合には、この破断片は溶融前に表面清浄化されなくてはならない。
【0004】
汚染物質の除去には、例えば、機械的に加工された多結晶シリコンの表面は、硝酸及びフッ化水素酸からなる混合物でエッチングされる。このプロセスでは、予備清浄化において金属粒子が前記酸混合物により強力に攻撃される。HF/HNO3主清浄化において十分に溶解される金属カーバイド残留物がとりのこされる。
【0005】
多結晶シリコン破片はこの際、通常は、フラスコ又はシャーレ中での清浄化の際に相次いで異なる清浄化溶液中に浸漬される。
【0006】
EP 0905796は、HF/HCl/H22からなる混合物を用いた予備清浄化、HF/HNO3を用いた主清浄化及びHCl/H22によるシリコン表面の引き続く親水化からなる清浄化プロセスを記載する。清浄化プロセスの際には、貫流−又はダンプ浴(Dumpbecken)中で洗浄が行われる。このシリコン破片はこの場合に、上昇運動及び降下運動を基礎とした清浄化機械において清浄化される。更に、多結晶シリコン破片で負荷されたシャーレは、この引き上げ/引き下げ運動の際に完全に液体から運び出されることもでき、これにより清浄化溶液は完全にシリコン破片から流れ去ることができる。進行するプロセスにおいてシリコン破片塊に灰色の外観を有する汚点(Fleck)が見出されることが欠点であることが分かった。この灰色の汚点は、個々の多結晶シリコン破片塊間の又は多結晶シリコン破片塊とプロセスシャーレ壁との間の接触部位に常に生じることが検査により分かった。この原因は、個々の多結晶シリコン破片塊の間でのよどみ水領域(Totwassergebiet)中の少なすぎる流である。記載の方法の更なる欠点は、破片塊での不所望な残留酸濃度である。1秒間未満に浴中で完全な液体交換まで貫流量が大規模に高められるにもかかわらず、イオンクロマトグラフィ及びIC測定を用いるとこの清浄化された多結晶破片には常に最小量の酸痕跡量がpptwの範囲内で検出されることができた。
【0007】
技術水準からは、多結晶シリコンロッド(FZロッド)及び薄層ロッド(Duennstaeb)を回転槽装置中でエッチングすることも公知である。多結晶破片を用いたこの種の装置での試験は、1/2回転より大きい1分間あたりの回転数では積層汚点は生じないが、しかしながら鋭角の多結晶シリコン破片は回転槽の少ない回転数で既に回転槽材料の可視可能な摩耗を生じることが示される。この摩耗は、半導体材料としての多結晶シリコン破片の後の適用にとって許容できるものでない。
【0008】
US 2006/0042539は、容器中の棚が処理期間の間に側方方向に制御された並進運動する装置を記載する。しかしながらこの並進運動は、EP 0905 796に記載された引き上げ/引き下げ運動と同じ結果物を生じる。接触部位でのよどみ水領域の問題は、この種の装置を用いても解決されることができない。
【0009】
DE 69905538は、小さい部分の清浄化のための遠心分離装置を記載する。この場合に、この部分の転位が遠心分離力と重力との間での恒常的な交換により達成される。高い回転数では遠心分離力が、そして低い回転数では重力が作用する。これらの交換により、この部分は常に転位する。ここでの欠点も、容器を用いた相対的な運動により摩耗が生じることであり、摩耗は半導体に適した多結晶シリコン破片には許容できるものでない。
【0010】
技術水準から公知の全ての解決策は、有効な結果を生じない。エッチング装置が多結晶シリコン破片の転位と関連している場合には、常にこの容器の許容できない摩耗を覚悟しなくてはならない。半導体ウェファの清浄化及びエッチングから公知である適用は、多結晶シリコン破片及びウェファの様々な幾何学のために転用できない。
【0011】
したがって、よどみ水領域を生じず、これにより多結晶シリコン破片の汚点形成を妨げる多結晶シリコン破片の改善された清浄化方法を提供するという課題が存在する。同時に、この洗浄能力は、酸残留物がもはや多結晶シリコン破片に検出できないように高いことが望ましい。
【0012】
意外なことに、2より多い異なる方向で多結晶シリコン破片の表面にあたる、1秒間あたり100mmより大きい多結晶シリコン表面に対する流速を用いた多結晶シリコンのエッチングでは、この除去は同じ酸濃度で上昇されることができ、かつ、同時に、よどみ水領域の発生及びこれに関連した汚点のための原因は取り除かれることができることが見出された。
【0013】
本発明の主題は、方法工程の少なくとも1における清浄化液体の流が、100mm/secより速い流速を有し、この流が2より多くの異なる方向で多結晶シリコン破片の表面にあたることを特徴とする、多結晶シリコン破片の清浄化方法である。
【0014】
本発明による方法を用いて、清浄化浴中での多結晶シリコン破片の滞留時間の間の物質交換が改善されることができ、この結果、ばら材中のよどみ水領域が生じず、これにより多結晶シリコン破片ではもはや汚点が生じない。このエッチング除去は、同じ酸濃度で顕著に高められることができた。
【0015】
多結晶シリコン破片の表面で2より多くの異なる方向からぶつかる、清浄化プロセスの間の100mm/秒より速い流を生じるためには、様々な配置が可能である。
【0016】
本発明による方法の一実施態様においては、個々の破片塊の接触部位の間での流の状態の改善が、交互に活動するノズルによる、エッチング浴中への、指向されていない、拡散性の清浄化液体の噴射により、達成される(図1)。エッチング浴(1)には、この場合に、清浄化液体の流入のための複数のノズル(2)が存在し、これは底部及び側壁に取り付けられている。このばら材は、エッチング浴中で、開口部(4)を側部及び底部に有するシャーレ(3)中に停滞している。有利にはこの場合、ノズル数は1〜1000個である。特に有利には10〜100ノズルである。このノズルからは、100mm/秒よりも高い速度でエッチング混合物の流出が行われる。有利には、100〜200mm/秒、特に有利には150mm/秒の流速である。
【0017】
このノズルは、時間をずらして交換サイクルにおいて0.1〜60秒間の時間的な遅れでもって、0.1〜60秒間の期間にわたり開口されることができる。有利には、1〜4秒間の時間的な遅れ及び0.2〜1秒間の調節可能な開口時間である。このノズルは0.01〜5mmの開口部を有する。有利には、0.5〜2mmの開口部が使用される。特に有利には、1mmの出口直径を有する50個のノズルである。この個々の破片塊の交互の流れにより、多結晶破片塊の間の接触部位でのよどみ水領域の発生が妨げられる。ばら材中の全ての部位で、同程度の流速が支配的である。
【0018】
本発明の方法の更なる一実施態様において、個々の破片塊の接触部位の間での流の状態の改善が、エッチング浴中での1又は複数の移動するノズル環により発生する(図2)。この場合に、移動する、回転するノズル環(5)は、プロセスシャーレ(3)の周囲に配置される。ノズルからの流出速度の変動により、この場合に、エッチング浴中では100mm/秒より速い流れが様々な方向から破片塊に対して得られる。ノズル環は、有利には、0.01〜5mmの開口部を有する5〜500個のノズルを含む。
【0019】
このノズルは、上記した実施態様のとおり、更にまた付加的な遅れ及び調節可能な開口時間でもって稼働されることもできる。有利にはこの場合に同様に、第1の実施態様において記載した時間である。有利には、0.01〜5mmの開口部を有する10〜100個のノズルである。有利には、0.5〜2mmの開口部が使用される。特に有利には、1mmの出口直径を有する50個のノズルである。
【0020】
本発明の方法の更なる一実施態様において、個々の破片塊の接触部位の間での流の状態の改善が、いわゆる"回転する酸の原則"により発生する(図3)。
【0021】
エッチング浴(1)の底部にはこの場合には0.01〜5mmの開口部を有する複数のノズル(6)が、酸混合物が回転運動するように配置されている。このノズルからは、エッチング混合物の流出が、100mm/秒より高い速度でもって行われる。有利には、0.5〜4mm、特に有利には1mmの開口部及び100mm/秒の流出速度を有するノズルである。回転する酸(7)中では、プロセスシャーレ(3)は、静止するか又は更なる引き上げ/引き下げ運動を用いて移動することができる。有利には、更なる引き上げ/引き下げ運動であり、この運動の際にはプロセスシャーレはそれぞれの引き上げ/引き下げ運動の際に完全に液体中に出入りする。
【0022】
本発明の方法の更なる一実施態様において、個々の破片塊の接触部位の間の流の状態の改善は、水平レベルで回転する回転プレートの適用により発生し、このプレート上にプロセスシャーレが存在する(図4)。
【0023】
回転プレート(8)上のプロセスシャーレ(3)の回転運動はこの場合に有利には1分間あたり1〜500回転数である。これによりエッチング浴(1)中には様々な方向からの多結晶シリコン破片の十分な流れが生じる。特に有利には1分間あたり20〜100回の回転数であり、特にとりわけ有利には1分間あたり50回の回転数である。水平方向の回転運動の適した回転数の調節により、様々な方向からの流れが個々のシリコン破片塊の表面に100mm/秒より高い速度で発生する。
【0024】
本発明の方法の更なる一実施態様において、個々の破片塊の接触部位の間の流の状態の改善が、シャーレ底部を通じた、更なる、指向していない空気の噴射によっても達成される(図5)。このような処置により、臨界的な接触部位で100mm/秒より高い流速の向上が達成される。
【0025】
有利には、エッチング浴(1)の底部には5〜100個のノズル(9)が取り付けられ、ここから空気が多結晶シリコン破片(9)を有するプロセスシャーレ(3)の方向に下方からエッチング浴中に噴射される。このノズル出口の開口部の大きさは有利には0.01〜5mmである。この噴射される空気の圧力は有利には0.1〜200barである。特に有利には、0.1〜1mmのノズル開口部の開口を有する20〜100個のノズルである。
【0026】
このノズルは、上記した実施態様のとおり、更にまた時間的な遅れ及び調節可能な開口時間でもって稼働されることができる。有利にはこの時間的な遅れ及び開口時間は既に記載した実施態様と同様である。清浄化溶液中に噴入される空気により生じる更なる渦動により、この酸は妨げ無しに、多結晶破片塊の間の全ての接触部位に対して通り抜けて流れることができる。
【0027】
本発明の方法の更なる一実施態様において、個々の破片塊の接触部位の間での流の状態の改善が、垂直軸上に移動するプロセスシャーレにより発生する(図6)。
【0028】
使用されるプロセスシャーレ(3)はこのために側方の孔部(10)が備えられていて、エッチング浴を通じた鉛直の円軌道を移動する。有利にはこの場合、円運動は、1分間あたり1〜200回転数の振動数でもって、特に有利には1分間あたり5〜50回転数でもって、とりわけ有利には1分間あたり10回転数でもって行われる。
【0029】
この円運動は、清浄化液体内で実施されるか又は部分的に清浄化液体外で実施されることができる。液体中に出入りする浸漬が行われる円運動が実施される場合には、プロセスシャーレはこの場合に完全に又は部分的に液体から運び出されることができる。
【0030】
有利には液体中に出入りする浸漬を有する円運動であり、この場合にはプロセスシャーレの絶え間のない充填及び排出が行われる。
【0031】
本発明の方法の更なる一実施態様において、個々の破片塊の接触部位の間の流の状態の改善は、超音波をかけることにより生じる。意外なことに、10kHz〜5GHzの作業周波数範囲を用いた超音波をかけることにより意外なことにHF/HNO3エッチャント中でのシリコンに対する攻撃が顕著に高められることが示されることができた。有利には500kHz〜2GHzの作業周波数である。特に有利には1GHzの作業周波数である。この超音波はばら材中でエッチング過程及び金属粒子の溶解に対して好ましい作用を有する。金属表面値は顕著に減少されることができ、これにより100mm/秒より大きい流速の場合と同様の作用が得られることができた。
【0032】
意外なことに、超音波技術を用いて、酸浴中でもまた同様に洗浄浴中でも多結晶破片の引裂物から酸残留物がより良好に洗浄されることができる。
【0033】
全ての記載した本発明による配置により、2より多い様々な方向からの清浄化液体は、100mm/秒より高い速度で多結晶シリコンばら材を貫流することが達成できた。ばら材中の接触部位はこの場合に同程度に貫流され、清浄化された多結晶シリコンでは破片塊での汚点が生じず、さしたる酸残留物も検出できない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、個々の破片塊の接触部位の間での流の状態の改善が、交互に活動するノズルによる、エッチング浴中への、指向されていない、拡散性の清浄化液体の噴射により達成される一実施態様を示す図である。
【図2】図2は、個々の破片塊の接触部位の間での流の状態の改善が、エッチング浴中での1又は複数の移動するノズル環により発生する一実施態様を示す図である。
【図3】図3は、個々の破片塊の接触部位の間での流の状態の改善が、いわゆる"回転する酸の原則"により発生する一実施態様を示す図である。
【図4】図4は、個々の破片塊の接触部位の間の流の状態の改善は、水平レベルで回転する回転プレートの適用により発生し、このプレート上にプロセスシャーレが存在する一実施態様を示す図である。
【図5】図5は、個々の破片塊の接触部位の間の流の状態の改善が、シャーレ底部を通じた、更なる、指向していない空気の噴射によっても達成される一実施態様を示す図である。
【図6】図6は、個々の破片塊の接触部位の間での流の状態の改善が、垂直軸上に移動するプロセスシャーレにより発生する一実施態様を示す図である。
【0035】
以下の実施例に基づき、本発明はより詳細に説明される。
【0036】
CE測定/イオンクロマトグラフィ測定の実施:
多結晶破片5kgを閉鎖したプラスチック容器中に100mlの超純水と一緒に充填した。この閉鎖した容器を1週間そのままにした。引き続きイオンクロマトグラフィ測定又はキャピラリー電気泳動を用いてフッ化物含有量、ニトラート含有量、ニトリット含有量及び塩化物含有量を測定した。
【0037】
清浄化した多結晶破片に対する金属分析の実施:
テフロン漏斗中で塊状の多結晶シリコン100gを、1:4のHF/HNO340mlで吹き付けた。このエッチング酸を、テフロンビーカー中に捕集した。引き続き酸を蒸発させ、この残留物を5mlの水中に収容した。この水溶液の金属含有量をICP−AES(誘導結合イオンプラズマ/原子放出分光器、Spectro社)で測定する。測定値から多結晶シリコン表面の金属含有量を算出した。この記載はpptwで行った。
【0038】
比較例1:(引き上げ/引き下げ装置でのエッチング除去及び汚点への流の影響)
多結晶破片の清浄化のためのEP 0905 796に記載の引き上げ/引き下げ方法をもとにして、エッチング除去及び汚点に対するエッチング浴中の流の影響を検査した。多結晶シリコン破片に対する流をこの方法の際に、多結晶破片で充填されているプロセスシャーレの上下運動により生じさせる。酸の循環は、下方から上方への垂直方向において生じる。
【0039】
以下の第1表からは、上下運動及び循環から生じる多結晶物質表面に対する流と、エッチング除去との関連を取り出すことができる。
【0040】
使用した清浄化溶液:5質量%のHF、55質量%のHNO3及び8質量%のH2SiF6;エッチング浴中の温度20℃。
第1表:
【表1】

【0041】
使用した清浄化溶液:5質量%のHF、55質量%のHNO3及び8質量%のH2SiF6;エッチング浴中の温度20℃。
【0042】
この表は、引き上げ/引き下げ装置を用いて50mm/秒を超える流では多結晶シリコン表面に対してエッチング除去はもはや目立って高められないことを示す。引き上げ/引き下げ装置を用いては製造装置のために大工業的に、支持しうる経済的費用を用いて最大で100mm/秒までの流速が可能である。しかしながら100mm/秒までの流速では灰色の汚点が、少なすぎる物質交換によりよどみ水領域中に得られる。この清浄化された多結晶破片塊は、イオンクロマトグラフィ又はCE測定から以下の分析値を含む:フッ化物2pptw、ニトラート5pptw、ニトリット0.1pptw、及び塩化物3pptw。
【0043】
例1:(交互のノズルによる流)
多結晶シリコンロッドを破砕工具及びふるい装置からなる装置を用いて破砕し、分類した。多結晶破片5kgをプロセスシャーレ中でEP 0 905 796と同様の以下の3工程清浄化プロセスを用いて処理した。予備清浄化のために多結晶シリコン破片を20分間、HF/HCl/H22からなる混合物中で25℃の温度で清浄化した。引き続く主清浄化のさいに、多結晶シリコン破片を5分間8℃でHF/HNO3の混合物中でエッチングした。この後で、5分間超純水中で18メガオームで22℃の温度で洗浄した。引き続き5分間HCl/H22からなる混合物中で22℃の温度で親水化し、60分間クラス100の超純粋空気(Reinstluft)で80℃で乾燥させた。
【0044】
この予備清浄化において、洗浄浴及び親水化において、正味重量5kgを有するこのカゴは、1分間あたり5回のストロークの引き上げ頻度でもって、多結晶破片と共に上下運動する。
【0045】
この主清浄化はエッチング浴中で500lの酸を用いて行われ、この中には50個のノズルが存在する。ノズルからは、150mm/秒の速度でもってHF/HNO3エッチング混合物の流出が行われた。このノズルを2秒間の時間的な遅れでもって0.5秒間の時間の間、時間をずらして交換サイクルにおいて開口した。このノズルは1mmの開口部を有した。この個々の破片塊の相互の流れにより、多結晶破片塊の間の接触部位でのよどみ水領域の発生が妨げられる。ばら材中の全ての部位で、同程度の流速が支配する。親水化及び乾燥後に多結晶破片は汚点無しにその光沢のある平面で得られた。
【0046】
例2:(回転する酸中のエッチング)
例1と類似に実施した。
【0047】
これとは異なり、主清浄化の際にプロセスシャーレを酸浴中の500リットルのHF/HNO3エッチング混合物中で1分間あたり5回のストロークの頻度を有する上下運動でもって運動させた。この浴の底部には、1mmの流出開口部を有する4個のノズルが取り付けられている。ここからは酸が150mm/秒の速度で流出した。上下運動のさいにはシャーレは常に完全に酸から外に出、再度中に入る。酸は8℃の温度を有した。回転する酸によりばら材中で同程度の貫流が全ての部位で達成された。これにより、多結晶破片塊の間での接触部位でのよどみ水領域は妨げられることができた。
【0048】
親水化及び乾燥後に多結晶破片は汚点無しにその光沢のある平面で得られた。
【0049】
例3:(水平回転プレート)
例1と類似に実施した。
【0050】
これとは異なり、主清浄化のさいにプロセスシャーレは酸浴中の500リットルのHF/HNO3エッチング混合物中で回転プレート上で水平方向に回転した。回転運動は1分間あたり50回転であった。記載した回転数を用いた水平方向の回転運動により、様々な方向からの流れが個々の破片塊の表面に対して150mm/秒で生じる。これにより、多結晶破片塊の間での接触部位でのよどみ水領域は妨げられることができた。
【0051】
親水化及び乾燥後に多結晶破片は汚点無しにその光沢のある平面で得られた。
【0052】
例4:(空気の拡散性噴入)
例1と類似に実施した。
【0053】
これとは異なり、主清浄化の際にプロセスシャーレを酸浴中の500リットルのHF/HNO3エッチング混合物中で1分間あたり5回のストロークの頻度を有する上下運動でもって運動させた。この浴の底部には更に、0.1mmの開口部を有する50個のノズルが取り付けられている。このノズルを介してシャーレ底部を通じて更に空気が吹き込まれる。これにより流速の向上が接触部位で達成できた。流速は150mm/秒であった。ノズルを2秒間の時間的な遅れでもって0.5秒間にわたり開口した。この噴入された空気により生じる更なる渦動により、酸は妨げられることなく、多結晶破片塊の間の全ての接触部位で通り抜けて流動することができる。親水化及び乾燥後に多結晶破片は汚点無しにその光沢のある平面で得られた。
【0054】
例5:(プロセスシャーレの垂直運動)
例1と類似に実施した。
【0055】
これとは異なり、主清浄化のさいにプロセスシャーレは500リットルのHF/HNO3エッチング混合物中で酸浴を通じた鉛直な円運動でもって移動した。この円運動の頻度は1分間あたり10回転であった。これにより、酸は多結晶表面の全ての方向から150mm/秒の速度でもって流れた。この浴温度は8℃であり、常に循環した。エッチング浴中の時間は5分間であった。円運動では、シャーレはそれぞれのサイクルで完全に液体中に浸漬され、完全にここから取り出される。円運動により、ばら材の同程度の貫流が達成され、これは多結晶物質破片の接触部位でのよどみ水領域の発生を妨げる。
【0056】
親水化及び乾燥後に多結晶破片は汚点無しにその光沢のある平面で得られた。
【0057】
例6:(超音波による流れ)
多結晶シリコンロッドを破砕工具及びふるい装置からなる装置を用いて破砕し、分類した。多結晶破片5kgをプロセスシャーレ中でEP 0 905 796と同様の以下の3工程清浄化プロセスを用いて処理した。予備清浄化のために多結晶シリコン破片を20分間、HF/HCl/H22からなる混合物中で25℃の温度で清浄化した。引き続く主清浄化のさいに、多結晶シリコン破片を5分間8℃でHF/HNO3の混合物中でエッチングした。この後で、5分間超純水中で18メガオームで22℃の温度で洗浄した。
【0058】
引き続き5分間HCl/H22からなる混合物中で22℃の温度で親水化し、60分間クラス100の超純粋空気(Reinstluft)で80℃で乾燥させた。
【0059】
予備清浄化において、HF/HNO3主清浄化において、洗浄浴及び親水化において、5kgの多結晶破片で充填されたカゴは、1分間あたり5ストロークの引き上げ頻度でもって上下運動した。更に、全ての清浄化工程及び洗浄工程において、超音波付与器は作業頻度1GHzでもって組み込まれた。
【0060】
プロセス終了後には、超音波浴なしのプロセスに比較して粒子のより少ない多結晶破片が多結晶表面上のより少ない金属レベルでもって得られた。この清浄化された多結晶シリコン破片は汚点なしにその光沢のある表面にあった。
【0061】
例7:(超音波ありの洗浄浴)
超音波浴中で多結晶破片を数分間プラスチックたらい中に18MOhmの水と共に導入した。3GHZの作業周波数範囲を有する超音波をかけることにより、HF/HNO3でのエッチング後に5μ未満の引裂を有する粗多結晶表面中に存在する酸残留物が除去されることができた。比較として、多結晶破片にある酸残留物を18MOhmの水を用いて通常の貫流浴中で完全に除去することを試みた。この両方の試みからの残留酸含有量をイオンクロマトグラフィ法又はCE法を用いて測定した。
【0062】
【表2】

【0063】
例8:(3GHZの超音波ありの洗浄浴)
多結晶シリコンロッドを破砕工具及びふるい装置からなる装置を用いて破砕し、分類した。多結晶破片5kgをプロセスシャーレ中で以下の清浄化プロセスを用いて処理した。
【0064】
予備清浄化のために多結晶シリコン破片を20分間、HF 5質量%、HCl 8質量%、及びH22 3質量%からなる混合物中で25℃の温度で清浄化した。この多結晶シリコン表面の除去はこの場合に0.02μであった。
【0065】
引き続き5分間にわたり、3m3/時間でもって、プラスチック外装を有する超音波浴中で3GHZで22℃で洗浄した。引き続く主清浄化のさいに、多結晶シリコン破片を5分間8℃で、HF3質量%、HNO365質量%を有するHF/HNO3の混合物中でエッチングした。エッチング除去はこの場合に約12μmであった。
【0066】
引き続き5分間にわたり、2m3/時間でもって、プラスチック外装を有する超音波浴中で3GHZで22℃で洗浄した。多結晶シリコン破片を引き続き更なる工程において、HCl8質量%及びH222質量%を有するHCl/H22からなる混合物中で5分間22℃で親水化した。
【0067】
引き続き5分間1m3/時間でもって3GHZで22℃で、及び、80℃で更なる5分間4m3/時間でもって、プラスチック外装を有する超音波浴中で洗浄した。この後で、60分間クラス100の超純粋空気を用いて80℃で乾燥した。
【0068】
イオンクロマトグラフィ測定又はCE測定により、検出限度未満の酸残留物を清浄化された多結晶破片が含有することが示される。
【0069】
以下の金属表面値がこの場合に得られた:
【表3】

【0070】
比較例2:(3GHZの超音波ありの洗浄浴)
例8と同様に実施したが、洗浄工程のさいに超音波による援助を断念した。
【0071】
イオンクロマトグラフィ測定又はCE測定は、この清浄化された多結晶破片がまだなお酸残留物を含有することを示す。
【0072】
以下の金属表面値がこの場合に得られた:
【表4】

【符号の説明】
【0073】
1 エッチング浴、 2,6,9 ノズル、 3 シャーレ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法工程の少なくとも1における清浄化液体の流れが100mm/secより速い流速を有し、この流が2より多くの異なる方向で多結晶シリコン破片の表面にあたることを特徴とする、多結晶シリコン破片の清浄化方法。
【請求項2】
清浄化液体が、ノズルを用いた、指向していない、拡散性の清浄化液体の噴射により多結晶シリコン破片の表面にあたることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
清浄化液体が、1又は複数の移動するノズル環を介してエッチング浴中で多結晶シリコン破片の表面にあたることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項4】
清浄化液体がノズルの配置によりエッチング浴中で回転運動することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項5】
多結晶シリコン破片が装置中で清浄化液体内で水平又は垂直方向に回転することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項6】
清浄化液体が、ノズルを用いた、更なる、指向していない空気の噴射により流動することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項7】
流速及び流方向が、超音波の使用により発生することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項8】
シリコン破片が更にエッチング浴中で上下運動することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
シリコン破片が、この引き上げ/引き下げ運動の際に、清浄化溶液から全部又は部分的に取り出されることを特徴とする、請求項7記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−536570(P2010−536570A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522294(P2010−522294)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【国際出願番号】PCT/EP2008/060425
【国際公開番号】WO2009/027200
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】