説明

多結晶シリコン製造装置、及びこれを用いた多結晶シリコンの製造方法

【課題】 連続的に、かつ安定的に多結晶シリコンを製造することができ、生産性を高め、製造原価を下げることができる流動層反応器を提供する。
【解決手段】 内部にシリコン粒子を含む反応管と、前記反応管内のシリコン粒子に流動ガスを供給する流動ガス供給部と、前記反応管で発生されたガスを排出するガス排出部と、前記ガス排出部あるいは前記流動ガス供給部内に装着された圧力センサーと、前記圧力センサーで測定された圧力が基準圧力値以上の場合、前記反応管の内部に形成された多結晶シリコンを外部に排出させる粒子排出口と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多結晶シリコン製造装置、及びこれを用いた多結晶シリコンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、高純度多結晶シリコンは、半導体素子や太陽電池などに用いられることのできる半導体性質を有する素材や高い純度が要求される化学原料または産業用素材として広く使われており、精密機能素子または小型高集積精密システム用の部品や素材としても活用されている。
【0003】
このような多結晶シリコンを製造するために、非常に高い純度で精製されたシリコン含有反応ガスの熱分解及び/または水素還元反応でシリコン表面にシリコン元素を継続的に析出させるシリコン析出方法が利用されてきた。
【0004】
上記のように、多様な用途で用いられる多結晶シリコンの商業的な大量生産のために、縦型反応器または流動層反応器が用いられたが、縦型反応器はシリコン析出によって増加する棒の直径に限界があり、製品を連続的に生産できない基本的な限界を有しているため、同一の反応条件で反応収率の高い流動層反応器が広く用いられてきた。
【0005】
しかし、前記流動層反応器の優れた特性である連続的な運転のためには、流動層に投入されたシリコン種粒子が析出反応を通して製品化することができる大きさに成長した後、該当製品を好適な時期に排出すればこそ流動層反応器の連続的な運転が可能である。すなわち、流動層反応器の運転中にシリコン排出に好適な時期を設定することと違って経験則によってシリコンを排出して実質的には連続工程による生産性を高めることができるにもかかわらず、その方法が用意できていなかった。
【0006】
したがって、現状では、生産性を高め、製造原価を低め、安定的に多結晶シリコン粒子を連続的に製造することができる方法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、連続的に、かつ安定的に多結晶シリコンを製造することができる流動層反応器を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、生産性を高め、製造原価を下げることができる流動層反応器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による多結晶シリコン製造装置は、内部にシリコン粒子を含む反応管と、前記反応管内のシリコン粒子に流動ガスを供給する流動ガス供給部と、前記反応管で発生されたガスを排出するガス排出部と、前記ガス排出部あるいは前記流動ガス供給部内に装着された圧力センサーと、前記圧力センサーで測定された圧力が基準圧力値以上の場合、前記反応管の内部に形成された多結晶シリコンを外部に排出させるようにする粒子排出口と、を含む。
【0010】
圧力センサーは、前記ガス排出部及び前記流動ガス供給部内にそれぞれ装着され、前記流動ガス供給部内で測定された第1圧力と前記ガス排出部で測定された第2圧力との圧力差が基準圧力値以上の場合、前記反応管の内部に形成された多結晶シリコンを外部に排出させることができる。
【0011】
多結晶シリコン製造装置は、第1圧力の値と第2圧力の値とを比べて圧力差が基準圧力値以上のとき、前記粒子排出口を動作させて前記多結晶シリコンを外部に排出させるようにする制御部をさらに含むことができる。
【0012】
反応管の材質は、石英、シリカ、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、イットリア、炭化ケイ素、黒鉛、シリコン、ガラス質炭素を構成するグループから選択されることができる。
【0013】
反応管の材質が炭素を含む材質の場合、前記反応管の内壁面は、シリコン、シリカ、石英、窒化ケイ素のうち少なくとも1つによってライニングされることができる。
【0014】
多結晶シリコン製造装置は、流動ガス供給部が組み立てられる底面部をさらに含み、前記底面部は、順次に積層された基底プレートと、第1プレートと、第2プレートと、第3プレートとを含むことができる。
【0015】
第2プレートと前記第3プレートとのそれぞれは、複数の単位プレートを含むことができる。第2プレートの周りを囲む絶縁リングが設けられることができる。第2プレートの端と前記基底プレートの一面とが離隔されることができる。
【0016】
基底プレートと前記第2プレートとの端の間に、前記第1プレートの一部分が位置することができる。
【0017】
本発明による多結晶シリコン製造方法は、反応管の内部に反応ガスと流動ガスとを供給してシリコン析出反応を起こすステップと、前記反応管の内部の第1領域の第1圧力を測定するステップと、前記第1領域と異なる前記反応管の内部の第2領域の第2圧力を測定するステップと、前記第1圧力と前記第2圧力との圧力差が基準値以上の場合、前記反応管の内部に生成された多結晶シリコンを外部に排出するステップと、を含む。
【0018】
第1領域は、前記反応管内に前記流動ガスあるいは反応ガスが注入される領域であることができる。
【0019】
第2領域は、前記シリコン析出反応の際に発生したガスが外部に排出される領域であることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明による流動層反応器は、制御部によってシリコン粒子を排出する時期を自動で制御することができ、多結晶シリコンを製造するに自動化が可能である。
【0021】
また、自動制御による多結晶シリコンの大量生産化が可能であり、製造原価を下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態による概略的な多結晶シリコン製造装置を示した図である。
【図2】本発明の実施形態による多結晶シリコン製造装置のプレートの一例を示した図である。
【図3】本発明の実施形態による多結晶シリコン製造装置のプレートの他の例を示した図である。
【図4】本発明の実施形態による多結晶シリコン装置において内部圧力によるシリコン排出方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、添付した図面を参照し、詳細に説明する。ただし、添付の図面は、本発明の内容をより容易に開示するために説明されるだけであり、本発明の範囲が添付の図面の範囲に限定されないことは、この技術分野における通常の知識を有した者であれば容易に分かる。
【0024】
図1は、本発明の実施形態による多結晶シリコン製造装置を示す。示されたように、本発明の実施形態による多結晶シリコン製造装置500は、ヘッド100と、第1ボディ部200と、第2ボディ部300と、底面部400とを含む。
【0025】
ヘッド100は、第1ボディ部200と連結され、第1ボディ部200の第1反応管250の直径より大きい直径を有する。多結晶シリコン製造装置500内のガス及び微細粒子が第1反応管250からヘッド100を通る際に直径増加によってガス及び微細粒子の流速が減少する。
【0026】
これによって、排出されるガスあるいは微細粒子の後処理負担が減ることができる。ヘッド100の内壁は、高温で変形しにくい無機材料からなることができる。例えば、ヘッド100の内壁は、石英、シリカ、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、炭化ケイ素、黒鉛、シリコン、ガラス質炭素のうち、少なくとも1つからなることができる。
【0027】
また、ヘッド100の外壁に対する冷却が可能な場合、ヘッド100の内壁に有機高分子を用いたコーティングまたはライニングのうち、少なくとも1つが行われることができる。
【0028】
ヘッド100の内壁が、炭化ケイ素、黒鉛、ガラス質炭素のような炭素含有材料からなった場合、多結晶シリコンが炭素不純物によって汚染される恐れがあるため、多結晶シリコンが接触できるヘッド100の内壁は、シリコン、シリカ、石英、窒化ケイ素などのような材料でコーティングまたはライニングされることができる。
【0029】
例えば、ヘッド100は、複数の部分ヘッド100a、100bを含み、第1部分ヘッド100aの内面にライニング膜150が位置することができる。
【0030】
第1ボディ部200は、ヘッド100の下に位置してヘッド100と連結され、多結晶シリコン析出反応が起きる空間を提供する。
【0031】
第2ボディ部300は、第1ボディ部200の下に位置して第1ボディ部200と連結され、第1ボディ部200とともに多結晶シリコン析出反応または加熱反応のうち、少なくとも1つが起きる空間を提供する。
【0032】
このような、第1ボディ部200と第2ボディ部300とは、独立的に別々になって互いに結合されて反応空間を提供するが、第1ボディ部200と第2ボディ部300とが、1つのボディからなる一体型で作われることができる。
【0033】
底面部400は、第2ボディ部300の下に位置して第2ボディ部300と連結され、多結晶シリコン析出のための各種ノズル600、650、ヒーター700、電極800などが組み立てられる。
【0034】
一方、ヘッド100と、第1ボディ部200と、第2ボディ部300とは、炭素鋼、ステンレス鋼、その他合金鋼などの機械強度に優れ、加工の容易な金属材料からなることができる。このような材質からなる第1ボディ部200及び第2ボディ部300の保護膜は、金属、有機高分子、セラミックス、または石英などからなることができる。
【0035】
ヘッド100と第1ボディ部200と第2ボディ部300との組み立ての際、反応器の内部を外部空間から遮断するためにガスキット(gasket)またはシーリング材(sealing material)が利用されることができる。第1ボディ部200と第2ボディ部300とは、円筒状パイプ、フランジ、チューブ及びフィッティング(fitting)、板(Plate)、円錐、楕円または二重壁の間に冷却媒体が流れるジャケット(jacket)などのように、多様な形態を有することができる。
【0036】
また、ヘッド100と、第1ボディ部200と、第2ボディ部300とが金属材質からなった場合、その内部表面に保護膜がコーティングされるか、保護管または保護壁が追加で設けられることができる。保護膜、保護管または保護壁は、金属材質からなることができるが、反応器内部の汚染を防ぐために有機高分子、セラミックス、石英などのような非金属材料がコーティングまたはライニングされることができる。
【0037】
第1ボディ部200と第2ボディ部300とは、熱膨脹防止、作業者保護、その他事故防止などの目的で、水、オイル、ガス、空気などのような冷却流体によって一定温度範囲以下に維持されることができる。冷却が必要な第1ボディ部200と第2ボディ部300との要素の内部あるいは外壁に、冷却流体の循環が可能となるように製作されることができる。
【0038】
一方、第1ボディ部200と第2ボディ部300との外部表面に、作業者保護及び過多な熱損失防止のために断熱材が設けられることができる。
次に、本発明の実施形態による流動層反応器の組み立て過程について詳細に説明する。
【0039】
第1反応管250は、第1ボディ部200に挿入される。第2ボディ部300の中に第2反応管350が挿入され、第2ボディ部300の下端を密閉するための底面部400に各種ノズル600、650と電極800とヒーター700とが組み立てられる。第2反応管350が挿入された第2ボディ部300に底面部400が連結される。以後、第1ボディ部200と第2ボディ部300とが互いに連結され、ヘッド100が第1ボディ部200に連結される。
【0040】
底面部400に組み立てられる各種ガス供給部は、流動ガス供給部600と反応ガス供給部650とを含むことができる。
【0041】
第1反応管250と第2反応管350とは、チューブ形状や、チューブ、円錐及び楕円部分を含む形状を有することができる。第1反応管250と第2反応管350との端の部分は、フランジ形に加工されることができる。第1反応管250と第2反応管350とは、複数の部分からなることができ、このような部分の一部が、第1ボディ部200及び第2ボディ部300の内壁面にライナー(liner)のような形態で設けられることもできる。
【0042】
第1反応管250と第2反応管350との材質は、高温で変形しにくい無機材料からなることができ、石英、シリカ、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、イットリア、炭化ケイ素、黒鉛、シリコン、ガラス質炭素、またはこのような材料が混合した複合体などのような無機材料からなることができる。
【0043】
第1反応管250と第2反応管350とが炭化ケイ素、黒鉛、ガラス質炭素などの炭素含有材質からなった場合、炭素含有材質は多結晶シリコンを汚染させる恐れがあるため、多結晶シリコンが接触できる反応管の内壁面は、シリコン、シリカ、石英、窒化ケイ素などでコーティングまたはライニングされることができる。
【0044】
流動ガス供給部600は、反応管内のシリコン粒子を流動させる流動ガスを供給する。反応管内に位置するシリコン粒子の一部または全部は、流動ガスによって流動する。このとき、流動ガスは、水素、窒素、アルゴン、ヘリウム、塩化水素(HCl)、四塩化シラン(SiCl)のうち少なくとも1つを含むことができる。流動ガス供給部600は、反応管として用いられることができる無機材質成分からなったチューブ、ライナーまたは成型品であることができる。
【0045】
反応ガス供給部650は、シリコン粒子層にシリコン元素を含む反応ガスを供給する。反応ガスは、多結晶シリコンの析出に用いられる原料ガスとしてシリコン元素成分を含む。反応ガスは、モノシラン(SiH)、ジシラン(disilane:Si)、高次シラン(Si2n+2、nは3以上の自然数)、二塩化シラン(DCS:SiHCl)、三塩化シラン(TCS:SiHCl)、四塩化シラン(STC:SiCl)、ジブロモシラン(SiHBr)、トリブロモシラン(SiHBr)、silicontetrabromide(SiBr)、diiodosilane(SiH)、triiodosilane(SiHI)、silicontetraiodide(SiI)のうち少なくとも1つを含むことができる。このとき、反応ガスは、水素、窒素、アルゴン、ヘリウム、または塩化水素のうち少なくとも1つをさらに含むことができる。反応ガスの供給によって、0.1〜2mm程度の多結晶シリコン種粒子の表面に多結晶シリコンが析出され、多結晶シリコン種粒子の大きさが増加する。
【0046】
多結晶シリコン種粒子の大きさが一定程度増加すると、流動層反応器の外部に放出される。ヒーター700は、多結晶シリコン製造装置500の内部に、多結晶シリコン粒子の表面でシリコン析出反応が起きるための熱を供給する。
【0047】
実施形態において、シリコン析出反応のために反応管250の内部において熱が供給できるが、反応管250の外部から反応管250の内部に供給された熱によってシリコン析出反応が起きることもできる。ヒーター700は、抵抗体を含み、電気の供給を受けることによって熱を供給することができる。ヒーター700は、グラパイト(graphite)、炭化ケイ素のようなセラミックス、または金属材質のうち少なくとも1つを含むことができる。
【0048】
ガス排出部17は、ヘッド100に設置され、シリコン析出反応時に発生された流動ガス、未反応の反応ガス、反応生成物ガスを含む排出ガスを外部に排出させ、連続的に運転させることができる。排出ガスとともに運ばれてくるシリコン微粒子または高分子量の反応副産物は、別途の排出ガス処理部(図示せず)で分離することができる。
【0049】
各ガス供給部600、650、すなわち、各種ノズル、電極800及びヒーター700などは、底面部400を構成するプレート410乃至440とともに組み立てられる。示されたように、本発明の実施形態による底面部400は、基底プレート410と、第1乃至第3プレート420、430、440とを含む。
【0050】
基底プレート410は、第2ボディ部300と連結され、流動ガス供給部及び反応ガス供給部と組み立てられる。基底プレート410は、炭素鋼、ステンレス鋼、その他合金鋼などの機械強度に優れ、加工の容易な金属材料からなることができる。
【0051】
第1プレート420は、基底プレート410上に位置し、基底プレート410を絶縁させる。これによって、第1プレート420は、クオーツ(quartz)のように高温で耐えることができ、絶縁性を持ちながらも析出される多結晶シリコンを汚染させない物質からなることができる。第1プレート420は、クオーツの以外に窒化ケイ素、アルミナ、イットリアなどの高温での耐熱性を有するセラミックス物質からなることができ、場合によってはこのようなセラミックス物質で第1プレート420の表面がコーティングまたはライニングされることができる。
【0052】
第2プレート430は、第1プレート420上に位置し、ヒーター700と接触してヒーター700に電気を供給する。これによって、第2プレート430は、グラパイト、シリコンカーバイドがコーティングされたグラパイト、シリコンカーバイド、窒化ケイ素がコーティングされたグラパイトのような導電性物質からなることができる。基底プレート410と第2プレート430との間には絶縁特性を有している第1プレート420が位置するため、基底プレート410と第2プレート430とは互いに絶縁される。第2プレート430がヒーター700と接触するため、第2プレート430で熱が発生することがあるが、第2プレート430で電流の流れる断面積がヒーター700に比べて非常に大きいため、第2プレート430で発生する熱はヒーター700で発生する熱に比べて非常に小さい。また、第2プレート430で発生する接触抵抗による熱発生を減らすために軟性に優れたグラパイトシート(sheet)が第2プレート430とヒーター700との間に挿入されることもできる。
【0053】
基底プレート410と第2プレート430とが導電性を有する場合、基底プレート410と第2プレート430との接触によって基底プレート410に流れる漏洩電流が発生することができる。これによって、示されたように、基底プレート410と第2プレート430との端は、所定距離ほど離隔されている。
【0054】
すなわち、第1プレート420には第2プレート430が装着されることができる溝が形成されることができる。例えば、第1プレート420には第2プレート430の長さと同一であるか大きい溝が形成され、第2プレート430が第1プレート420の溝の中に装着されることができる。これによって、基底プレート410と第2プレート430との端の間に第1プレート420の一部分が位置することができるため、基底プレート410と第2プレート430との間の絶縁が維持されることができる。
【0055】
示されたように、第1プレート420によって基底プレート410と第2プレート430とが絶縁されることができ、第2プレート430の周りを囲む絶縁リング900が設けられることによって基底プレート410と第2プレート430とが絶縁されることもできる。このとき、絶縁リング900は、クオーツ、セラミックスからなることができる。
【0056】
第3プレート440は、第2プレート430上に位置し、第1反応管250及び第2反応管350の内部で析出された多結晶シリコンが第2プレート430によって汚染されることを防止する。これによって、第3プレート440は、高温で変形しにくい無機材料からなることができ、石英、シリカ、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、炭化ケイ素、黒鉛、シリコン、ガラス質炭素、またはこのような材料が混合した複合体などのような無機材料からなることができる。第3プレート440が炭化ケイ素、黒鉛、ガラス質炭素などの炭素含有材質からなった場合、炭素含有材質は多結晶シリコンを汚染させる恐れがあるため、第3プレート440の表面は、シリコン、シリカ、石英、窒化ケイ素などでコーティングまたはライニングされることができる。
【0057】
また、底面部400の第2プレート430と第3プレート440とは1つのボディではなく複数個 の断片を含むため、多結晶シリコン製造装置の組み立て、設置及びメンテナンスが容易になる。すなわち、多結晶シリコンの大量生産のための装置の大きさが増加するため、第2プレート430と第3プレート440とが1つのボディからなった場合、装置の組み立て、設置及びメンテナンスが困難になる恐れがある。
【0058】
例えば、図2に示されたように、第3プレート440は、同心円方向と直径方向に切られた断片で構成されることができる。また、図3に示されたように、第3プレート440は、大きさの異なるリング形態の断片で構成されることができる。
【0059】
図4は、本発明の実施形態による多結晶シリコン装置において内部圧力によるシリコン排出方法を説明するための図である。図4のように、多結晶シリコン製造装置500は、シリコン析出反応後に生成された多結晶シリコン粒子を排出するための粒子排出口16が反応管の下部に配置される。なお、多結晶シリコン装置の構造において、既に図1で説明した部分は省略する。
【0060】
粒子排出口16は、反応ガス供給部650とともに組み立てるか、反応ガス供給部650とは独立的に設けられることができる。このような粒子排出口は、反応空間からシリコン粒子が連続的に、周期的にまたは間欠的に必要な時点で排出されるようにすることができる。
【0061】
このとき、シリコン粒子は、粒子排出口16を通して排出される間に冷却されることが望ましい。したがって、水素、窒素、アルゴン、ヘリウムなどのようなガスを粒子排出口16を通して流れるようにするか、粒子排出口16の壁面に水、オイル、ガスなどの冷媒を循環させて熱い粒子を冷却させることもできる。
【0062】
一方、粒子排出口16を通りながら反応器を抜け出る過程においてシリコン粒子が不純物によって汚染されることを防止する必要がある。したがって、粒子排出口16を構成しながら高温のシリコン製品粒子と接触するようになる要素を、反応管に用いられることができる無機材質からなるチューブ、ライナーまたは成型品で構成することが望ましい。
【0063】
多結晶シリコン装置の内部圧力は、多結晶シリコン粒子の成長によって内部領域において圧力差が発生する。したがって、実施形態においては、このような内部領域の位置による圧力差を利用し、自動制御してシリコン粒子を製造する。
【0064】
例えば、多結晶シリコン製造装置は、反応管250、350の内部領域のうち第1領域と第2領域との圧力を測定し、これに基づいて2つの圧力差によって自動あるいは手動制御される。
【0065】
反応管の内部領域のうち第1領域は、反応管の下部から外部に連結されるノズル、例えば、反応ガス供給部650及び流動ガス供給部600のうち、いずれか1つによってガスが供給される領域であることができる。
【0066】
第1圧力センサーP2は、前記反応ガス供給部650及び流動ガス供給部600のうち、少なくとも1つに設け、対応圧力を測定することができる。例えば、複数個の流動ガス供給部のうち、いずれか1つに第1圧力センサーP2が装着されて対応圧力を測定し、他の流動ガス供給部を通しては流動ガスを供給することもできる。
【0067】
このようにして、反応管の内部圧力は、第1圧力センサーによって測定されることができる。このように、従来反応器の設置構造によって容易に第1圧力センサーが装着されることができる。
【0068】
反応管の内部領域のうち第2領域は、ガス排出部17に第2圧力センサーP1を設けて測定することができる。
【0069】
本実施形態においては、第1圧力センサーP2を反応ガス供給部650及び流動ガス供給部600 のうち、いずれか1つに装着するものについて説明しているが、シリコン粒子流動層の下部圧力、すなわち、内部領域の第1領域の圧力が測定できる所であれば、いずれの所にも第1圧力センサーP2を設けることができる。第1領域は、シリコン粒子流動層の内部領域のうち最大圧力が測定できる領域であることができる。
【0070】
同様に、第2圧力センサーP1もシリコン粒子流動層の上部圧力、すなわち、内部領域の圧力が測定できる所であれば、いずれの所にも設けられることができる。第2領域は、シリコン粒子流動層の内部領域のうち最小圧力が測定できる領域であることができる。
【0071】
制御部1000は、内部領域に直・間接的に露出する流動ガス供給部600、反応ガス供給部650またはガス排出口17を通して内部領域と連結されて設けられる。
【0072】
制御部1000は、連結に必要な連結管またはフィッティング(fitting)類と、手動式、半自動式または自動式のバルブ類と、デジタルまたはアナログ方式の圧力計または差圧計と、圧力指示器または記録器と、信号切換器または演算機能を備えた制御器などとのような要素のうち、1つ以上を選択して構成することができる。
【0073】
また、制御部1000は、機械的にまたは信号回路的に相互連結して構成することができ、中央制御システム、分散制御システム、局部的制御システムのような制御手段と部分的または複合的に連結して構成することができる。
【0074】
このような多結晶シリコン装置は、反応ガス供給部650を通して反応管の内部に反応ガスが供給されると、反応ガスに含まれていたシリコン元素が、反応空間に投入されたシリコン種粒子の表面に析出されて多結晶シリコンが製造される。
【0075】
シリコン粒子の製造ステップでは、第1反応管250及び第2反応管350領域においてもシリコン粒子の層が形成され、最小限に、第1反応管領域に位置するシリコン粒子は、流動状態を維持しながら2つの領域のシリコン粒子が相互に混合されなければならない。
【0076】
シリコン粒子の流動とは、ガス流れ、ガス気泡、バブルの移動及び/または周辺粒子の動きによってシリコン粒子の空間的な位置が時間によって変化できることをいう。
【0077】
ここで、2つの反応管領域の間でシリコン粒子がスムーズに相互に交換されることができるように、最小限に、第1反応管領域の上部は、粒子が流動するように流動ガスを供給する。
【0078】
このように、多結晶シリコン粒子の製造によって、反応空間に多結晶シリコン粒子が積もると、反応管内の圧力が高くなる。したがって、第1圧力センサーP2で測定される第1領域の内部圧力と第2圧力センサーP1で測定される第2領域の内部圧力との圧力差が大きくなる。このとき、制御部1000は、内部圧力の圧力差が増加して予め入力された所定の第1基準値に到逹したか否かを判断する。
【0079】
第1基準値は、シリコン製造装置の内部環境や構造などによって変更されることができ、あるいは第1圧力センサーと第2圧力センサーとが測定する領域によって異なるように設定されることができる。
【0080】
これは、シリコン製造装置の構造や内部環境によってシリコン析出反応後の内部圧力が異なる可能性があるためである。また、シリコン製造装置の内部環境や構造が全て固定されたとしても、圧力センサーの測定位置によってシリコン析出反応後に内部で測定された圧力が異なる可能性があるためである。以後、制御部1000によって内部圧力の圧力差が所定の第1基準値に到逹したと判断されると、多結晶シリコンの粒子排出口を開けてシリコン粒子を部分的に排出させる。多結晶シリコンの粒子排出口は、自動または手動で動作されることができる。
【0081】
多結晶シリコン粒子が排出されることによって、シリコンの流動層の高さは再び低くなり、したがって、内部圧力の圧力差は徐々に減少する。これによって、制御部1000は、内部圧力の圧力差が所定の第2基準値に到逹したと判断されると、多結晶シリコンの粒子排出口の出口を閉じてこれ以上の多結晶シリコン粒子の排出を防止する。また、粒子排出口は、自動または手動で動作されることもできる。
【0082】
この動作により、多結晶シリコン粒子の製造によって一つ一つを目で確認しながら多結晶シリコン粒子を排出したことを、制御部1000によってこれを自動で排出させることができる。
【0083】
一方、実施形態においては、第1圧力センサーと第2圧力センサーとを利用して内部圧力の圧力差を測定し、これを基準圧力値と比べて多結晶シリコンの粒子排出口を開閉するか否かを決定する方法で動作させたが、ガス排出部あるいは流動ガス供給部内に圧力センサーを装着し、前記ガス排出部あるいは前記流動ガス供給部内で圧力センサーによって測定された圧力のみに基づいて基準圧力値と比べ、このとき、測定された圧力が基準圧力値以上の場合、反応管の内部に形成された多結晶シリコンを粒子排出口を通して外部に排出させるようにする。
【0084】
このとき、基準圧力値は、運転圧力によって変更されることができる。ここで、運転圧力は、シリコン装置が安定的に運転できるように既設定された圧力であることができる。
【0085】
例えば、運転圧力が2.0bar(ゲージ圧)の場合、基準圧力値は3.5bar(ゲージ圧)であることができ、運転圧力が4bar(ゲージ圧)の場合、基準圧力値は5.5bar(ゲージ圧)であることができる。すなわち、粒子排出口は、運転圧力に対する基準圧力値が0.5bar以上の場合、オープンになるように動作されることができる。
【0086】
実施形態においては、運転圧力に対する基準圧力値が最小0.5bar以上の場合を示したが、さらに低くなることができる。
【0087】
究極的に、基準圧力値は、特定値に限定されず、シリコン製造装置の内部環境あるいは構造などの条件によって変更され、これによって、運転圧力に対する基準圧力値も変更されることができる。一方、本発明の実施形態において、反応空間の内部圧力差あるいは流動ガス供給圧力の基準値は、内部で成長されたシリコン粒子のサイズによって決定されるため、シリコン粒子のサイズを制御して、多結晶シリコン粒子の生産、排出時期を調節することができる。また、シリコン粒子のサイズは、種粒子の数、反応ガスの濃度、反応温度、反応圧力及び流動ガスの流量のうち、いずれか1つの要因によって変更されることができる。本実施形態において、シリコン粒子のサイズに影響を与える要因について記載したが、上述した要因の以外に多結晶シリコン装置の内部環境やその他条件によって変更されることができる。
【0088】
本発明の権利は、上述した実施形態に限定されず、請求範囲に記載したものにより定義され、本発明の分野における通常の知識を有した者が請求範囲に記載した権利範囲内で多様な変形と改作ができるということは自明である。
【符号の説明】
【0089】
100 ヘッド
200 第1ボディ部
250 第1反応管
300 第2ボディ部
270 支持リング
350 第2反応管
400 底面部
410 基底プレート
420 第1プレート
430 第2プレート
440 第3プレート
500 流動層反応器
600 流動ガス供給部
650 反応ガス供給部
700 ヒーター
800 電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にシリコン粒子を含む反応管と、
前記反応管内のシリコン粒子に流動ガスを供給する流動ガス供給部と、
前記反応管で発生されたガスを排出するガス排出部と、
前記ガス排出部あるいは前記流動ガス供給部内に装着された圧力センサーと、
前記圧力センサーで測定された圧力が基準圧力値以上の場合、前記反応管の内部に形成された多結晶シリコンを外部に排出させるようにする粒子排出口と、を含む多結晶シリコン製造装置。
【請求項2】
前記圧力センサーは、前記ガス排出部及び前記流動ガス供給部内にそれぞれ装着され、
前記流動ガス供給部内で測定された第1圧力と前記ガス排出部で測定された第2圧力との圧力差が基準圧力値以上の場合、前記反応管の内部に形成された多結晶シリコンを外部に排出させる、請求項1に記載の多結晶シリコン製造装置。
【請求項3】
前記第1圧力の値と第2圧力の値とを比べて圧力差が基準圧力値以上のとき、前記粒子排出口を動作させて前記多結晶シリコンを外部に排出させるようにする制御部をさらに含む、請求項2に記載の多結晶シリコン製造装置。
【請求項4】
前記反応管の材質は、石英、シリカ、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、イットリア、炭化ケイ素、黒鉛、シリコン、ガラス質炭素を構成するグループから選択される、請求項1に記載の多結晶シリコン製造装置。
【請求項5】
前記反応管の材質が炭素を含む材質の場合、前記反応管の内壁面は、シリコン、シリカ、石英、窒化ケイ素のうち少なくとも1つによってライニングされる、請求項4に記載の多結晶シリコン製造装置。
【請求項6】
前記流動ガス供給部が組み立てられる底面部をさらに含み、
前記底面部は、順次に積層された基底プレートと、第1プレートと、第2プレートと、第3プレートとを含む、請求項1に記載の多結晶シリコン製造装置。
【請求項7】
前記第2プレートと前記第3プレートとのそれぞれは、複数の単位プレートを含む、請求項6に記載の多結晶シリコン製造装置。
【請求項8】
前記第2プレートの周りを囲む絶縁リングが設けられる、請求項6または7に記載の多結晶シリコン製造装置。
【請求項9】
前記第2プレートの端と前記基底プレートの一面とが離隔される、請求項6に記載の多結晶シリコン製造装置。
【請求項10】
前記基底プレートと前記第2プレートとの端の間に、前記第1プレートの一部分が位置する、請求項6に記載の多結晶シリコン製造装置。
【請求項11】
反応管の内部に反応ガスと流動ガスとを供給してシリコン析出反応を起こすステップと、
前記反応管の内部の第1領域の第1圧力を測定するステップと、
前記第1領域と異なる前記反応管の内部の第2領域の第2圧力を測定するステップと、
前記第1圧力と前記第2圧力との圧力差が基準圧力値以上の場合、前記反応管の内部に生成された多結晶シリコンを外部に排出するステップと、を含む多結晶シリコン製造方法。
【請求項12】
前記第1領域は、前記反応管内に前記流動ガスあるいは反応ガスが注入される領域である、請求項11に記載の多結晶シリコン製造方法。
【請求項13】
前記第2領域は、前記シリコン析出反応の際に発生したガスが外部に排出される領域である、請求項11に記載の多結晶シリコン製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−224533(P2012−224533A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217187(P2011−217187)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(511237715)シリコンバリュー有限会社 (5)
【Fターム(参考)】