説明

多色発光表示装置

【課題】より多くの光を表示装置の外部へ出射し、駆動時の消費電力を低くする多色発光表示装置を提供することにある。
【解決手段】基板と、該基板上に設けられる下部反射電極と、該下部反射電極上に設けられ層の数がnである電極層と、該下部反射電極と該電極層との間、及び該電極層と該電極層との間に設けられすくなくとも発光層を含む有機化合物層と、から構成され、該有機化合物層のうち少なくとも該下部反射電極上に設けられる有機化合物層に含まれる発光層が少なくとも燐光発光材料を有することを特徴とする、多色発光表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機化合物からなる有機発光素子を利用した多色発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、有機EL素子(有機発光素子、有機エレクトロルミネッセンス素子)について盛んに研究開発がなされている。最近では、表示装置の共通の区域から各色を発光できるように、有機EL素子を縦方向に複数積層して配列されている高解像度多色発光表示装置の研究開発が進められている。
【0003】
特許文献1では、縦方向に有機EL素子を複数積層して、各有機EL素子から各々の光を発光させるために、それぞれの有機EL素子に個別のバイアス電圧を入力できるように構成されている、多色発光表示装置が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特表平10−503878号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、有機EL素子を縦方向に複数積層させて構成する場合、素子から発せられる発光は、有機EL素子の積層位置によっては、表示装置の外部へと出射するまでに他の有機EL素子を通過する必要がある。ここで素子から発せられる発光が、他の有機EL素子を通過する場合、通過する有機EL素子を構成する有機化合物や電極等の特性により、発光の一部が吸収され損失するという現象が起こる。
【0006】
このため、有機EL素子を縦方向に複数積層させて構成されてなる多色発光表示装置は、光の取り出し部分から離れていると離れている分だけ光の取り出し部分への光の取り出し効率が低くなると共に、駆動時の消費電力が高くなるという課題があった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、より多くの光を表示装置の外部へ出射し、駆動時の消費電力を低くする多色発光表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の多色発光表示装置は、基板と、
該基板上に設けられる下部反射電極と、
該下部反射電極上に設けられ層の数がnである電極層と、
該下部反射電極と該電極層との間、及び該電極層と該電極層との間に設けられ少なくとも発光層を含む有機化合物層と、から構成され、
該有機化合物層のうち少なくとも光取り出し部から最も離れた位置に設けられる有機化合物層に含まれる発光層が燐光発光材料を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、より多くの光を表示装置の外部へ出射し、駆動時の消費電力を低くする多色発光表示装置を提供することができる。即ち、本発明の多色発光表示装置は、縦方向に電極層間に設けられる有機化合物層の中で、最も発光の取り出し効率が低い有機化合物層に含まれる発光層の構成材料に、比較的高い発光効率を示す燐光発光材料が含まれている。このため、駆動時の消費電力が低い多色発光表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の多色発光表示装置は、基板と、下部反射電極と、電極層と、有機化合物層と、から構成される。本発明の多色発光表示装置において、下部反射電極は、基板上に設けられる部材である。本発明の多色発光表示装置において、電極層は、下部反射電極上に設けられる薄膜状の導電性部材であり、層の数はn層である。本発明の多色発光表示装置において、有機化合物層は、少なくとも発光層を含むものであって、下部反射電極と電極層との間、及び電極層と電極層との間に設けられる部材であり、少なくとも発光層を含むものである。
【0011】
ここで、表示装置に印加する電圧等を考慮すると、本発明の多色発光表示装置において、電極層の数であるnは、好ましくは、2〜5の自然数である。但し、各電極間で個別に電圧を印加する駆動方式の場合は、表示装置への印加電圧の制約がなくなるため、電極層の数の制限はない。
【0012】
例えば、nの値が3である場合は、本発明の多色発光表示装置は、基板と、下部反射電極と、第1有機化合物層と、第1電極層と、第2有機化合物層と、第2電極層と、第3有機化合物層と、第3電極層と、から構成される。ここで下部反射電極は、基板上に設けられる部材である。第1有機化合物層は、下部反射電極上に設けられる部材であり、所定の色を発する第1発光層を含むものである。第1電極層は、第1有機化合物層上に設けられる部材である。第2有機化合物層とは、第1電極層上に設けられる部材であり、所定の色を発する第2発光層を含むものである。第2電極層とは、第2有機化合物層上に設けられる部材である。第3有機化合物層とは、第2電極層上に設けられる部材であり、所定の色を発する第3発光層を含むものである。第3電極層とは、第3有機化合物層上に設けられる部材である。
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の多色発光表示装置について詳細に説明する。図1は、本発明の多色発光表示装置における一実施形態を示す概略断面図である。尚、図1の多色発光表示装置1は、有機化合物層が3層積層されている多色発光表示装置であるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】
図1の多色発光表示装置1は、基板2上に、下部電極10、第1有機化合物層110、第1電極層11、第2有機化合物層120、第2電極層12、第3有機化合物層130及び第3電極層13がこの順に設けられている。尚、以下の説明において、下部電極10、第1有機化合物層110、第1電極層11、第2有機化合物層120、第2電極層12、第3有機化合物層130及び第3電極層13がこの順に設けられている領域を画素という場合がある。
【0015】
図1の多色発光表示装置1において、基板2は、基材3と、TFT駆動回路4と、平坦化膜5と、コンタクトホール6と、からなる部材である。ここでTFT駆動回路4は、基材3上に所望のパターンで設けられている。平坦化膜5は、TFT駆動回路4を設けることにより生じた凹凸部分を埋めて基板2を平坦化するための薄膜である。コンタクトホール6は、TFT駆動回路4と下部電極10とを電気接続するものである。
【0016】
図1の多色発光表示装置1において、下部電極10は、下部反射電極10aと、透明導電膜10bと、をこの順で積層されてなる積層体である。
【0017】
図1の多色発光表示装置1において、第1有機化合物層110は、第1ホール注入・輸送層111、第1発光層112、第1電子輸送層113及び第1電子注入層114をこの順で積層してなる積層体である。ただし、第1有機化合物層110は、発光層(第1発光層112)を有していればその層構成は図1の態様に限定されるものではない。
【0018】
図1の多色発光表示装置1において、第2有機化合物層120は、第2ホール注入・輸送層121、第2発光層122、第2電子輸送層123及び第2電子注入層124をこの順で積層してなる積層体である。ただし、第2有機化合物層120は、発光層(第2発光層122)を有していればその層構成は図1の態様に限定されるものではない。
【0019】
図1の多色発光表示装置1において、第3有機化合物層130は、第3ホール注入・輸送層131、第3発光層132、第3電子輸送層133及び第3電子注入層134をこの順で積層してなる積層体である。ただし、第3有機化合物層130は、発光層(第3発光層132)を有していればその層構成は図1の態様に限定されるものではない。
【0020】
また図1の多色発光表示装置1において、各画素は、画素分離膜14によって分割されている。
【0021】
図1の多色発光表示装置1は、アクティブマトリックス駆動の表示装置である。ただし、本発明の多色発光表示装置においてその駆動方式は、特に制限はなく、TFT駆動回路が不要なパッシブマトリックス方式であってもよい。
【0022】
図1の多色発光表示装置は、下部電極10を陽極として、第3電極層13を陰極として電流を通電する。すると、陽極から注入されるホールと陰極から注入される電子とが、各有機化合物層に含まれる発光層(112,122,132)において再結合し、各発光層に含まれる発光材料に応じた発色の光を放出する。
【0023】
尚、図1の多色発光表示装置1は、下部反射電極10aが陽極に相当する場合があるが、これに限定されない。例えば、透明導電膜10bを、コンタクトホール6を介してTFT駆動回路4と電気接続し、下部反射電極10aを、光を反射する機能のみを有する層とすることも可能である。
【0024】
各発光層(112,122,132)のから生じた発光を装置外部へ取り出す光取り出し部は、基板2側でもよいし、第3電極層13側でもよい。ところで、アクティブマトリックス駆動の表示装置を考える場合、開口率の確保という観点から、第3電極層13側から光を取り出す、いわゆるトップエミッション構成の表示装置が有利である。
【0025】
ここで図1の多色発光表示装置1はトップエミッション構成である。ただし第3電極層13を反射電極とし、下部電極10を透明電極として基板2側から光を取り出す、ボトムエミッション構成としても本発明を実施することは可能である。
【0026】
図1の多色発光表示装置1において、下部反射電極10a以外の電極層(透明導電膜10b、第1電極層11、第2電極層12、第3電極層13)は、好ましくは、透明である。下部反射電極10a以外の電極層が透明であれば、各有機化合物層に含まれる発光層(112,122,132)から発せられる光を、多色発光表示装置の外部へ効率よく放出することができる。
【0027】
また、有機化合物層と有機化合物層との間にある電極層(以下、中間電極層という場合がある。)、例えば、図1に示される第1電極層11及び第2電極層12は、1層で構成されてもよいし、複数の層で構成されていてもよい。中間電極層が1層で構成される場合、その中間電極層は上下に隣接する有機化合物層の共通電極となる。一方、中間電極層が複数の層で構成される場合は、例えば、導電性膜/絶縁性膜/導電性膜といったように多層構成とし、各有機化合物層を個別に駆動できるようにしてもよい。このとき、各発光層(例えば、図1に示される112,122,132)にそれぞれ異なる発光色を示す発光材料を使用すると、それら発光の加法混色により、様々な色を表現することができる。特に、有機化合物層を3層設けて各有機化合物層に含まれる合計3層の発光層に、それぞれ赤色、緑色及び青色を発する発光材料を含ませることで、フルカラー表示が可能となる。 尚、本発明の多色発光表示装置において、発光色の数は、特に制限はない。有機化合物層がn層設けられている多色発光表示装置の場合では、各有機化合物層に含まれる発光層にそれぞれ異なる発光色を示す発光材料を含ませてもよいし、同じ発色を示す発光材料を複数の発光層に含ませてもよい。
【0028】
本発明の多色発光表示装置は、複数存在する有機化合物層のうち少なくとも光取り出し部から最も離れた有機化合物層に含まれる発光層が燐光発光材料を有することを特徴とする。トップエミッション型である図1に示される多色発光表示装置1においては、光取り出し部から最も離れた有機化合物層とは、第3電極層13から最も離れた位置にある第1有機化合物層110である。
【0029】
ところで光取り出し部から最も離れた有機化合物層では、当該有機化合物層に含まれる発光層から光取り出し部までの距離が、他の有機化合物層と比べて最も長い。このため光取り出し部から最も離れた有機化合物層において、この有機化合物層に含まれる発光層から発せられる光は、装置内部における吸収損失が最も大きくなる。このため、光取り出し効率はこの有機化合物層で最も低くなる。
【0030】
一方、燐光発光材料は、広く一般に用いられる蛍光材料に比べて最大で4倍程度の発光効率が期待できる高効率な発光材料である。このため、吸収損失が最も大きく光の取り出し効率が最も低い有機化合物層に含まれる発光層が燐光発光材料を有することにより、汎用的に用いられる蛍光材料と比べて、より多くの光を表示装置の外部へと放出させることが可能となる。このため表示装置の駆動消費電力を低減することができる。
【0031】
尚、このような表示装置内部における吸収損失は、光取り出し部より最も離れた位置にある有機化合物層に含まれる発光層からの発光が最も顕著である。しかしその他の有機化合物層に含まれる発光層からの発光も、少なからず装置内で吸収されてしまう。
【0032】
このため本発明の多色発光型表示装置において、好ましくは、光取り出し部より最も離れた位置にある有機化合物層以外の有機化合物層のうちのいずれかに含まれる発光層にも燐光発光材料を有する。こうすることで表示装置の駆動消費電力がより一層低減できる。
【0033】
特に好ましくは、多色発光表示装置を構成する全ての有機化合物層に含まれる発光層がそれぞれ燐光発光材料を有する。こうすることで駆動消費電力を最も効果的に引き下げることが可能となる。
【0034】
次に、本発明の多色発光表示装置のように、発光層から発する光が装置内部で吸収され損失する仕組みについて以下に説明する。図2は、積層型の多色発光表示装置の構成部材である中間電極層であるITO透明導電膜(膜厚100nm)の吸収スペクトルを示す図である。尚、図2の吸収スペクトルは、下記表1に示す光学定数を用いて計算した理論値を示すものである。
【0035】
【表1】

【0036】
図2より、ITO透明導電膜を通過する光の吸収量は、波長により異なり、波長が短い光ほど吸収されやすい。例えば、通過する光の波長が450nmである場合、通過する光のうち約10%がITO透明導電膜内に吸収され、吸収損失が発生する。
【0037】
次に、各有機化合物層から発せられた光の損失量を見積もる。具体例として、図1の多色発光表示装置について光の損失量を見積もる。尚、見積もる際には、各層の膜厚が表2に示されるものとする。
【0038】
【表2】

【0039】
また、図1の多色発光表示装置において、第1有機化合物層110に含まれる第1発光層112は赤色を発するものとする。一方、第2有機化合物層120に含まれる第2発光層122は緑色を発し、第3有機化合物層に含まれる第3発光層132は青色を、それぞれ発するものとする。また、図1の多色発光表示装置において、第1電極層11、第2電極層12及び第3電極層13は、ITOで構成されている。他方、表2に示されていないが、下部反射電極10aは、膜厚100nmの銀合金(AgPdCu)からなる薄膜であり、透明導電膜10bは、膜厚100nmのITOからなる薄膜である。ここで各層の吸収スペクトルを計算するに当たり下記表3に示される光学定数を使用する。
【0040】
【表3】

【0041】
図3は、第1発光層112、第2発光層122及び第3発光層132からそれぞれ生じた光が、表示装置の外部へ放出するまでに生じた吸収損失を波長ごとに計算した結果を示すグラフである。
【0042】
図3より、表示装置の内部では、どの発光層から生じた光であっても一定の吸収損失が認められ、その吸収損失の量は、発光層によって異なる。特に、表示装置の光取り出し部(第3電極層13)から最も離れた、第1発光層112からの発光の吸収損失が最も大きい。これは、第1発光層112で生じた光は、その他の発光層に比べて、表示装置の光取り出し部へ到達するまでに、より多くの層を通過する必要があるためである。従って、積層型の多色発光表示装置において、駆動時の消費電力を低減させるためには、表示装置内部で光の吸収損失が生じたとしても、より多くの光を表示装置の外部へ放出させることが重要である。例えば、図1の多色発光表示装置では、特に、表示装置の光取り出し部より最も離れた位置にあり、光の取り出し効率が最も低い第1発光層112からの光をより多く放出させることが、表示装置の駆動消費電力の低減に最も効果的である。
【0043】
ところで、本発明の多色発光表示装置において、異なる複数の発色を示す発光材料を使用する場合、発光色の順序については特に制限はない。ただし表示装置内での吸収損失を考慮し、合わせて表示装置内部での積層位置及び発光波長の関係を考慮すると、図3より、赤色の発光波長領域では、発光層の位置にあまり依存することなく吸収損失が少ないことがわかる。このため、光取り出し部より最も離れた位置にある有機化合物層に含まれる発光層を赤色発光層とすると、吸収損失の影響が軽減できるため、好ましい。一方、図3によれば、表示装置の内部では発光層の位置にあまり依存することなく短波長側の吸収損失がより顕著であることが示されている。このため、本発明の多色発光表示装置において、各発光層から複数種の色が放出される場合、光取り出し部から最も離れた位置に設けられる有機化合物層には赤色発光層を含ませるのが好ましい。一方、光取り出し部に近い位置に設けられる有機化合物層には青色発光層を含ませるのが好ましい。表示装置内部での吸収損失の影響を最も軽減できるためである。
【0044】
他方、本発明の多色発光表示装置において、異なる複数の発色を示す発光材料を適用させる場合、光学干渉を利用して良好な発光特性を示す表示装置得るためには、発光層の発光部より反射電極までの光学距離を最適に設定する必要がある。このため、下部反射電極10aに近い発光層には、より波長が短い発色を示す発光材料を使用することが好ましい。特に、青色発色を示す発光材料を、下部反射電極10aの直上にある発光層に使用すると、表示装置の青色発光に関する発光特性(発光色、強度)を最適化できるため、特に好ましい。
【0045】
以下、図1の多色発光表示装置の構成部材についてさらに具体的に説明する。
【0046】
基板2に含まれる基材として、様々な基材が適用可能であり、金属、セラミックス、ガラス、石英等を使用することができる。また、プラスチックシート等のフレキシブルシート上にTFTを形成して、フレキシブル表示装置とすることも可能である。
【0047】
下部反射電極10aの構成材料として、透明導電膜10bとの界面における反射率が少なくとも50%以上、好ましくは、80%以上になる材料であることが望ましい。上記のように材料を選択することで、下部反射電極10aと、下部反射電極10a上に設けられる透明導電膜10bとの界面を、多色発光表示装置における共振器構造を形成する一つの反射面とすることができる。また下部電極10は、コンタクトホール6によりTFT駆動回路4と電気接続されている。
【0048】
下部反射電極10aの構成材料は、主に金属材料である。ただし金属材料の中でも、透明導電膜10bとの界面における反射率が少なくとも50%以上は必要である。好ましくは、この反射率が80%以上である。下部反射電極10aの構成材料となる金属材料は、特に限定されるものではないが、例えば、銀、アルミニウム、クロム等の金属材料が挙げられる。これらの金属材料を複数組み合わせた合金(銀合金、アルミニウム合金等)も使用することができる。
【0049】
また、下部電極10は、単一の層で構成されてもよいし、複数の層が積層されてなる積層体(例えば、下部反射電極10aと、透明導電膜10bと、からなる2層型の積層電極層)であってもよい。尚、下部反射電極10aより第1ホール注入・輸送層111へ直接ホールを注入することが可能であれば、透明導電膜10bを設けなくてもよい。
【0050】
透明導電膜11bの構成材料は、透明性と導電性とを有する酸化物である。具体的には、酸化インジウムと酸化錫とを組み合わせたもの(ITO)や酸化インジウムと酸化亜鉛とを組み合わせたもの(IZO)等が挙げられる。尚、ここでいう「透明」とは、可視光に対して80%〜100%の透過率を有していることを意味する。より具体的には、複素屈折率のκが0.05以下、好ましくは、0.01以下であることを意味する。ここで複素屈折率を示すκは、吸収の程度を示しており、このκが小さければ光の多重反射による減衰を抑えることができる。本発明の多色発光表示装置において、透明導電膜10bの膜厚は、膜自体の屈折率や表示装置の発光色に依存するが、通常、10nm〜200nm、好ましくは、10nm〜100nmと設定する。この範囲にすれば、消費電力の観点から、低電圧で装置を駆動することができる。
【0051】
有機化合物層に含まれるホール注入・輸送層(111,121,131)、発光層(112,122,132)、電子輸送層(113,123,133)及び電子注入層(114,124,134)の構成材料である有機化合物は、特に限定されるものではない。それぞれ低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよい。また低分子化合物と高分子化合物とを混合して使用してもよい。また、必要に応じてこれまで知られている材料を使用することができる。
【0052】
以下にこれらの化合物例を挙げる。
【0053】
ホール輸送性材料は、陽極(下部電極10)からのホールの注入を容易にし、また注入されたホールを発光層に輸送するに優れたモビリティを有することが好ましい。また、必要に応じて陽極とホール輸送層の間にホール注入層を狭持しても良い。ホール注入輸送性能を有する低分子及び高分子系材料としては、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体等が挙げられる。さらに、オキサゾール誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、及びポリ(ビニルカルバゾール)、ポリ(シリレン)、ポリ(チオフェン)、その他導電性高分子が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。以下に、具体例の一部を示す。
【0054】
【化1】

【0055】
【化2】

【0056】
発光材料は、光の取り出し部分から最も遠い発光層(第1発光層112)では、燐光発光材料を採用しなければならない。一方、それ以外の発光層(第2発光層122、第3発光層132)では、燐光発光材料であってもよいし蛍光発光材料であってもよい。以下に具体例を示す。
【0057】
【化3】

【0058】
電子輸送材料としては、陰極から注入された電子を発光層に輸送する電子注入輸送機能を有するものであれば任意に選ぶことができ、ホール輸送材料のキャリア移動度とのバランス等を考慮して選択される。電子注入輸送性能を有する材料としては、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ピラジン誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、ペリレン誘導体、キノリン誘導体等が挙げられる。さらに、キノキサリン誘導体、フルオレノン誘導体、アントロン誘導体、フェナントロリン誘導体、有機金属錯体等が挙げられるが、もちろんこれらに限定されるものではない。以下に、具体例を示す。
【0059】
【化4】

【0060】
また、電子注入材料としては、上述した電子輸送性材料に、アルカリ金属やアルカリ土類金属、もしくはアルカリ金属やアルカリ土類金属の化合物を0.1%〜数十%含有させた材料が挙げられる。アルカリ金属やアルカリ土類金属、もしくはアルカリ金属やアルカリ土類金属の化合物を含有させることにより、電子注入性を付与することができる。尚、本発明の多色発光表示装置において、電子注入層は必要不可欠な層ではない。ただしこの後に透明な電極層(11,12,13)を成膜・形成する際に有機化合物層が受けるダメージと、良好な電子注入性を確保することと、を考慮すると、10nm〜100nm程度の膜厚で電子注入層を設ける方が好ましい。
【0061】
有機化合物層(110,120,130)は、一般的には、真空蒸着法、イオン化蒸着法、スパッタリング、プラズマ等による乾式法で成膜することができる。また適当な溶媒に溶解させて公知の塗布法(例えば、スピンコーティング、ディッピング、キャスト法、LB法、インクジェット法等)により薄膜を形成する湿式法も採用することができる。
【0062】
特に塗布法で成膜する場合は、適当な結着樹脂と組み合わせて膜を形成することもできる。上記結着樹脂としては、広範囲な結着性樹脂より選択でき、例えば、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂等が挙げられる。さらに、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂等が挙げられる。さらに、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、尿素樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これら結着性樹脂は、ホモポリマーの状態で使用してもよいし共重合体ポリマーの状態で使用してもよい。またこれら結着性樹脂は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。さらに必要に応じて、公知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を併用してもよい。
【0063】
第1電極層11、第2電極層12及び第3電極層13の構成材料として、上述したITO、IZO等の透明性と導電性とを有する酸化物を使用することができる。第1電極層11、第2電極層12及び第3電極層13の構成材料は、電子輸送層(113,123,133)及び電子注入層(114,124,134)の構成材料を考慮して、電子注入性が良好な組み合わせを適宜選択することが望ましい。また第1電極層11、第2電極層12及び第3電極層13は、スパッタリングにより形成することができる。
【0064】
尚、各電極層(11,12,13)は一層で構成されてもよいし、複数の層からなる積層で構成されていてもよい。また、第1電極層11、第2電極層12及び第3電極層13の一部又は全部を半透明金属膜にしたり、半透明金属と透明導電膜との積層膜にしたりすることも可能である。この場合、半透明金属膜により一部の発光が反射され、これら反射光による光学干渉効果を利用し、発光色の調整や、発光取り出し強度を強めることが可能になる。
【0065】
画素分離膜14は、画素と画素との間を絶縁する目的で設けられ、その構成材料として絶縁性の樹脂材料を使用することができる。特に、構成材料として、ポリイミドを使用すると、含有水分の低減が可能であるため、水分による有機化合物層の劣化を軽減できるので好ましい。また画素分離膜14の構成材料として、黒色の絶縁性材料(例えば、ブラックマトリックス)を使用すると、画素分離膜14における外光反射が低減できるので、表示装置の屋外視認性の観点で好ましい。
【0066】
また、図示していないが、多色発光表示装置の構成部材である有機化合物層が酸素や水分と接触することを防止する目的で、必要に応じて、第3電極層13の上方に保護層を設けてもよい。保護層の構成部材として、窒化シリコン、窒化酸化シリコン等の金属窒化物膜や、酸化タンタル等の金属酸化物膜、ダイヤモンド薄膜、フッ素樹脂等が挙げられる。また、ポリパラキシレン、ポリエチレン、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂等の高分子膜、光硬化性樹脂等も保護層の構成材料として使用することができる。
【0067】
さらに、上記保護層に加えて、気体不透過性フィルム、金属等により装置をカバーし、適当な封止樹脂により装置自体をパッケージングすることもできる。一方、防湿性を高めるために、保護層内に吸湿材を含有させてもよい。
【0068】
尚、透明基板上に透明電極を形成し、その上に有機化合物層、反射電極を積層したボトムエミッション構成においても本発明を実施することは可能であり、特に限定されるものではない。ただし、ボトムエミッション構成の場合、光取り出し部である透明基板から最も離れた有機化合物層(反射電極に隣接する有機化合物層)に含まれる発光層が、燐光発光材料を有する必要がある。
【実施例】
【0069】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明していくが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0070】
[実施例1]
図1に示される3層積層型の多色発光表示装置を以下に示す方法で作製した。
【0071】
ガラス基板(基材3)上に、低温ポリシリコンからなるTFT駆動回路4を形成した後、その上にアクリル樹脂からなる平坦化膜5を形成することでTFT駆動回路付基板(基板2)を作製した。
【0072】
次に、このTFT駆動回路付基板上に、スパッタリング法により、銀合金(AgPdCu)を成膜し下部反射電極10を形成した。このとき下部反射電極10の膜厚を約100nmとした。次に、ウエットエッチング法により、下部反射電極10のパターニングを行った。次に、下部反射電極10a上に、スパッタリング法により、ITOを成膜し透明導電膜10bを形成した。このとき透明導電膜10bの膜厚を100nmとした。次に、ウエットエッチング法により透明導電膜10bのパターニングを行った。尚、下部反射電極10a及び透明導電膜10bは陽極(下部電極10)として機能する。
【0073】
次に、基板2上に、スリットコーター法により、アクリル樹脂(商品名:JSR社製オプトマー)を成膜し、ウエットエッチング法でパターニングを行うことにより、先程形成した陽極を画素単位で分離する画素分離膜14を形成した。このとき画素分離膜14の膜厚は2μmであり、この画素分離膜14によって分割される画素のサイズは3インチであった。次に、画素分離膜14まで形成されている基板をイソプロピルアルコール(IPA)で超音波洗浄し、次いで、煮沸洗浄後乾燥した。さらに、UV/オゾン洗浄を行った。
【0074】
次に、透明導電膜10b上に、真空蒸着法により、以下に示す層を順次形成し第1有機化合物層110を形成した。
【0075】
具体的には、まず下記に示される化合物[I]を成膜し、第1ホール注入・輸送層111を形成した。このとき第1ホール注入・輸送層111の膜厚は146nmとし、真空を1×10-4Paとし、蒸着レートを0.3nm/secとした。尚、第1ホール注入・輸送層111の膜厚は各画素において一律同じになるように設定した。
【0076】
【化5】

【0077】
次に、下記に示されるCBPと、燐光発光材料である下記に示されるIr(piq)3とを、重量比が88:12となるように共蒸着して、第1発光層112を形成した。このとき第1発光層112の膜厚を25nmとした。尚、第1発光層112は赤色発色を示し、その膜厚は各画素において一律同じになるように設定した。
【0078】
【化6】

【0079】
次に、バソフェナントロリン(Bphen)を成膜し第1電子輸送層113を形成した。このとき第1電子輸送層113の膜厚を20nmとし、蒸着時の真空度を1×10-4Paとし、成膜速度を0.3nm/secとした。
【0080】
次に、BphenとCs2CO3とを、重量比が90:10となるように共蒸着して、第1電子注入層114を形成した。このとき第1電子注入層114の膜厚を24nmとし、蒸着時の真空度を3×10-4Paとし、成膜速度を0.2nm/secとした。
【0081】
次に、第1電子注入層114まで形成した基板を、真空を破ることなしにスパッタ装置に移動させた後、第1電子注入層114上に、スパッタ法により、ITOを成膜し第2電極層11を形成した。このとき第1電極層11の膜厚を49nmとした。
【0082】
次に、第1電極層11まで形成した基板を、再び真空を破ることなしに蒸着装置に移動させた後、第1電極層11上に、真空蒸着法により、第2有機化合物層120を形成した。
【0083】
具体的には、まず第1ホール注入・輸送層111の構成材料である化合物[I]を第1ホール注入・輸送層111と同一の条件にて成膜し、第2ホール注入・輸送層121を形成した。このとき第2ホール注入・輸送層121の膜厚を105nmとした。
【0084】
次に、ホストであるAlq3と、ドーパントであり蛍光発光材料であるクマリン6とを、重量比が99:1となるように共蒸着して、第2発光層122を形成した。このとき第2発光層122の膜厚を37nmとした。尚、第2発光層122は緑色発色を示す。
【0085】
次に、第1電子輸送層113の構成材料であるBphenを第1電子輸送層113と同一の条件にて成膜し、第2電子輸送層123を形成した。このとき第2電子輸送層123の膜厚を20nmとした。
【0086】
次に、第1電子注入層114の構成材料であるBphenとCs2CO3とからなる混合材料を、第1電子注入層114と同一の条件にて成膜し、第2電子注入層124を形成した。このとき第2電子注入層124の膜厚を20nmとした。
【0087】
次に、第2電子注入層124まで形成した基板を、真空を破ること無しにスパッタ装置に移動させた後、第2電子注入層124上に、スパッタ法により、ITOを成膜し第2電極層12を形成した。このとき第2電極層12の膜厚を45nmとした。
【0088】
次に、第2電極層12まで形成した基板を、再び真空を破ることなしに蒸着装置に移動させた後、第2電極層12上に、真空蒸着法により、第3有機化合物層130を形成した。
【0089】
具体的には、まず第1ホール注入・輸送層111の構成材料である化合物[I]を第1ホール注入・輸送層111と同一の条件にて成膜し、第3ホール注入・輸送層131を形成した。このとき第3ホール注入・輸送層131の膜厚を55nmとした。
【0090】
次に、ホストである下記に示される化合物[II]と、ドーパントであり蛍光発光材料である下記に示される化合物[III]とを、重量比が80:20となるように共蒸着して、第3発光層132を形成した。このとき第3発光層132の膜厚を35nmとし、蒸着時の真空度を1×10-4Paとし、成膜速度を0.1nm/secとした。尚、第3発光層132は青色発色を示す。
【0091】
【化7】

【0092】
次に、第1電子輸送層113の構成材料であるBphenを第1電子輸送層113と同一の条件にて成膜し、第3電子輸送層133を形成した。このとき第3電子輸送層133の膜厚を20nmとした。
【0093】
次に、第1電子注入層114の構成材料であるBphenとCs2CO3とからなる混合材料を、第1電子注入層114と同一の条件にて成膜し、第3電子注入層134を形成した。このとき第2電子注入層124の膜厚を25nmとした。
【0094】
次に、第3電子注入層134まで形成した基板を、真空を破ること無しにスパッタ装置に移動させた後、第3電子注入層134上に、スパッタ法により、ITOを成膜し第3電極層13を形成した。このとき第3電極層13の膜厚を56nmとした。以上に示す方法により多色発光表示装置を得た。
【0095】
得られた多色発光表示装置について各有機化合物層の評価を行った。評価方法を以下に示す。
(1)色度座標
分光放射計により評価した。
(2)発光効率
輝度計及び電流計により評価した。
【0096】
上記評価方法により行った評価の結果を下記表4に示す。尚、表4に示されている消費電力とは、各色における発光効率及び色度座標の評価結果から、輝度100cd/m2の白色(色温度6500k)を表示させた場合に必要となる電力を見積もった結果を示すものである。
【0097】
【表4】

【0098】
表4に示されるように、本実施例の多色発光表示装置は、良好な発光特性を示した。
【0099】
[比較例1]
実施例1において、第1発光層112の構成材料をCBP及び化合物[III]とした(重量混合比は、[CBP]:[化合物[III]]=88:12である。)。また、第3発光層132の構成材料を化合物[II]及びIr(piq)3とした(重量混合比は、[化合物[II]]:[Ir(piq)3]=80:20である。)。これらを除いては、実施例1と同様の方法により多色発光表示装置を作製した。
【0100】
得られた多色発光表示装置について実施例1と同様に評価した。結果を表5に示す。
【0101】
【表5】

【0102】
[比較例2]
実施例1において、第1発光層112の構成材料を、ホストであるAlq3及び発光性化合物であるDCM[4−(dicyanomethylene)−2−methyl−6(p−dimethylaminostyryl)−4H−pyran]とした。また第1発光層112の構成材料の重量混合比を、[Alq3]:[DCM]=99:1とした。これらを除いては、実施例1と同様の方法により多色発光表示装置を作製した。
【0103】
得られた多色発光表示装置について実施例1と同様に評価した。結果を表6に示す。
【0104】
【表6】

【0105】
表4及び表5より、実施例1の多色発光表示装置と比較例1の多色発光表示装置とを比較すると、実施例1の多色発光表示装置の方が駆動時の消費電力を小さくすることがわかった。即ち、装置の発光取り出し部(第3電極13側)から最も離れている第1発光層112に燐光発光材料を含ませることで、第1発光層に蛍光材料を含ませた場合と比べて駆動時の消費電力を0.72倍に引き下げることが可能となった。これにより、多色発光表示装置の駆動消費電力を低減させるには、燐光発光材料を、装置の発光取り出し部から最も離れている有機化合物層に含まれる発光層の構成材料にすることが有効であることが確認できた。
【0106】
[実施例2]
実施例1において、第3発光層132の構成材料を変更した。具体的には、第3発光層のホストとしてCDBP[4,40−Bis(9−carbazolyl)−2,20−dimethyl−biphenyl]を使用した。また、ドーパントとして青色燐光発光性化合物Firpic[Iridium(III)bis[(4,6−di−fluoropheny)−pyridinato−N,C20]picolinate]を使用した。またCDBPとFirpicとの重量混合比を[CDBP]:[Firpic]=97:3とした。これらを除いては、実施例1と同様の方法により多色発光表示装置を作製した。
【0107】
得られた多色発光表示装置について実施例1と同様に評価した。結果を表7に示す。
【0108】
【表7】

【0109】
表7に示すように、実施例2の多色発光表示装置は、第3発光層132に青色の燐光発光材料が含まれているため、実施例1の表示装置に比べて、駆動消費電力が0.75倍に引き下げられた。このように、多色発光表示装置の内部における吸収損失が最も大きい青色発光を発光効率が高い燐光発光材料により発光させることで、多色発光表示装置の駆動消費電力を大幅に低減できることが確認された。
【0110】
[実施例3]
実施例2において、第2発光層122の構成材料を、ホストであるCBP、及び緑色の燐光発光性化合物であるIr(ppy)3[fac tris−2−phenylpyridine iridium] とした。またCBPとIr(ppy)3との重量混合比を[CBP]:[Ir(ppy)3]=93:7とした。共蒸着(重量比93:7)した。これらを除いては、実施例2と同様の方法により多色発光表示装置を作製した。
【0111】
得られた多色発光表示装置について実施例1と同様に評価した。結果を表8に示す。
【0112】
【表8】

【0113】
本実施例の多色発光表示装置のように、多色発光表示装置を構成する全ての有機化合物層に含まれる各発光層にそれぞれ燐光材料が含まれているため、多色発光表示装置を駆動した時の消費電力を最も低減できることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の多色発光表示装置における一実施形態を示す概略断面図である。
【図2】積層型の多色発光表示装置の構成部材である中間電極層であるITO透明導電膜(膜厚100nm)の吸収スペクトルを示す図である。
【図3】第1発光層112、第2発光層122及び第3発光層132からそれぞれ生じた光が、表示装置の外部へ放出するまでに生じた吸収損失を波長ごとに計算した結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0115】
1 多色発光表示装置
2 基板
3 TFT駆動回路
4 平坦化膜
5 コンタクトホール
10 下部電極(陽極)
10a 下部反射電極
10b 透明導電膜
11 第1電極層
110 第1有機化合物層
111 第1ホール注入・輸送層
112 第1発光層
113 第1電子輸送層
114 第1電子注入層
12 第2電極層
120 第2有機化合物層
121 第2ホール注入・輸送層
122 第2発光層
123 第2電子輸送層
124 第2電子注入層
13 第3電極層
130 第3有機化合物層
131 第3ホール注入・輸送層
132 第3発光層
133 第3電子輸送層
134 第3電子注入層
14 画素分離膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
該基板上に設けられる下部反射電極と、
該下部反射電極上に設けられ層の数がnである電極層と、
該下部反射電極と該電極層との間、及び該電極層と該電極層との間に設けられ少なくとも発光層を含む有機化合物層と、から構成され、
該有機化合物層のうち少なくとも光取り出し部から最も離れた位置に設けられる有機化合物層に含まれる発光層が燐光発光材料を有することを特徴とする、多色発光表示装置。
【請求項2】
前記有機化合物層のうち全ての有機化合物層に含まれる発光層が燐光発光材料を有することを特徴とする、請求項1に記載の多色発光表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−33985(P2010−33985A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197224(P2008−197224)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】