説明

多色赤外画像化法、およびそれに用いるための赤外画像化部材

【課題】新規で多色の直接赤外線画像化方法を提供すること。
【解決手段】二つの異なった色を形成することが可能な、少なくとも二つの異なった画像形成構成を有する赤外線画像部材において、多色画像が形成される多色赤外線画像化方法およびそこで使用するための画像部材。熱を使用して、熱源に対する赤外線画像部材の第一の移動速度で、第一の色で画像を形成し、熱を使用して、熱源に対する赤外線画像部材の第二の移動速度で、第二の色で画像を形成し、前記第一移動速度および前記第二移動速度は、互いに異なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、先行する仮特許出願第60/668,702号および第60/668,800号の利益を請求し、両方とも、2005年4月6日に出願され、それらの内容は、参照により全体が本明細書に援用される。
【0002】
本出願は、次の同一出願人による、米国特許出願および特許に関連しており、それらの出願および特許の全ての開示は、参照により全体が本明細書に援用される。
【0003】
米国特許第6,801,233B2号;
米国特許第6,906,735B2号;
米国特許第6,951,952B2号;
米国特許第7,008,759B2号;
米国特許出願第10/806,749、該出願は、2004年3月23日に出願され、米国特許第6,801,233号の分割である;
米国特許出願公開第US2004/0176248A1号(代理人整理番号C−8544AFP);
米国特許出願公開第US2004/0204317A1号(代理人整理番号C−8586AFP);
米国特許出願公開第US2004/0171817A1号(代理人整理番号C−8589AFP);および
米国特許出願弟(本出願と同日に出願された;xx/XXX,XXX(代理人整理番号A−8598AFPUS)号。 本発明は、一般的に直接赤外線画像化方法、より詳しくは、多色直接赤外線画像化方法およびそこで使用するための部材であって、異なった画像形成構成を備える、直接赤外線画像部材は、熱源によって、異なった速度で画像化され、多色の画像を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
直接赤外線画像化とは、通常はじめは無色である少なくとも一つの画像形成層を持つ基材が、熱印刷ヘッドとの接触によって加熱され、画像を形成する技術である。直接赤外線画像化において、インク、トナー、または熱転写リボンは必要ない。むしろ、画像を形成するのに必要な化学的性質が、画像部材自体に存在する。直接赤外線画像化は一般的に、白黒画像を作成するために使用され、多くの場合、例えば、ラベルや店のレシートの印刷に採用される。多色直接熱印刷を達成するために多くの試みが、従来の技術において記載されている。さまざまな直接熱カラー画像化方法の考察が、特許文献1に提供されている。
【0005】
本発明の方法において、一つ以上の画像形成層を有する直接赤外線画像部材は、熱印刷ヘッドによって、処理され、カラー画像を提供する。画像部材は、熱印刷ヘッドの一つ以上のパスで処理され、少なくとも一つのパスは、少なくとももう一つのパスとは異なった速度である。任意に、画像部材は、少なくとももう一つのパスとは、異なった程度に、少なくとも一つのパスで予熱される。
【0006】
特許文献1において、一つまたはそれ以上の熱印刷ヘッドが、画像部材上に、単一のパスで二つの色を形成することができる、直接赤外線画像化システムを記載し、特許請求している。当該プリンターは、同一の表面から少なくとも部分的に独立した、画像部材の二つまたはそれ以上の画像形成層を処理することによって、これらの複数の色を形成することができ、それぞれの色を単独で、またはその他の色と選択可能な割合で形成することができる。好適な実施例において、プリンターは、基材の同一の表面によって支えられてよい、三つの画像形成層で、三つの色を形成することができる。
【0007】
可変印刷速度を備えた熱印刷装置は、例えば、特許文献2および特許文献3に記載されるように、当技術分野では周知である。これらは、直接熱または熱転写プリンターであることができる。一般的にプリンターの速度は、印刷される画像の性質による。したがって、(店のレシートのような)低品質の直接熱画像は、3インチ/秒またはそれ以上の速度で印刷されてよい。写真のような品質の熱転写印刷は、典型的に1インチ/秒未満の速度で行われる。
【0008】
熱で活性化される印刷ヘッドの余熱が、例えば、特許文献4において記載され、該特許は、記録媒体に記録を行うための記録装置であって、複数の記録要素と、実際の記録レベル未満のレベルを有するエネルギーを選択的に提供する制御ユニットとを含む記録装置を記載ししている。また熱転写画像化方法において、熱転写インク層を予熱することも周知である。例えば、特許文献5は、受け入れ材へのインク転写を開始するため、熱転写インク層に加えられるエネルギーを有する前に、熱転写インク層が予熱される、熱転写記録方法を開示している。
【0009】
赤外線画像化技術の状況が前進するごとに、新たな性能要件を満たすことのできる、赤外線画像化の材料および赤外線画像化方法を提供するための、取り組みが継続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6,801,233号明細書
【特許文献2】米国特許第5,319,392号明細書
【特許文献3】米国特許第6,078,343号明細書
【特許文献4】米国特許第5,191,357号明細書
【特許文献5】米国特許第5,529,408号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、新規で多色の直接赤外線画像化方法を提供することが、本発明の目的である。
【0012】
少なくとも二つ、好適には三つの異なった画像形成構成が、加熱によって処理され、多色の画像を形成する、多色直接赤外線画像化方法を提供することが、もう一つの目的である。
【0013】
少なくとも二つ、好適には三つの異なった画像形成層を有する赤外線画像部材で実施される、多色直接赤外線画像化方法を提供することが、本発明のさらなる目的である。好適には、これらの画像形成層は、基材の同一の表面によって担持される。
【0014】
さらにもう一つの目的は、赤外線画像部材の特定の層に、熱が加えられる際、画像部材の少なくとも二つ、好適には三つの異なった画像形成層が、直接または間接的に加熱される、このような多色直接赤外線画像化方法を提供することである。好適な実施例において、少なくとも一つの熱印刷ヘッドを使用して、画像部材の表面に最も近い層に熱が加えられる。
【0015】
以下、加熱される特定の画像形成層を記述する際、または特定の画像形成層に加えられる熱を記述する際、このような加熱が直接的加熱(例えば、熱い物体との接触、または層自体における光の吸収および熱への変換)、または間接的加熱(周辺領域または赤外線画像部材の層が直接加熱され、考えられる特定の層が、直接加熱された領域からの熱の拡散によって加熱される)であってよいということは、周知である。
【0016】
赤外線画像部材に関して相対運動する熱源の一つ以上のパスで、画像形成構成に熱が加えられる、多色直接赤外線画像化方法を提供することが、さらなる目的である。
【0017】
もう一つの目的は、加熱時に第一の色を形成する第一の画像形成構成、および加熱時に第二の色を形成する第二の画像形成構成を少なくとも備える赤外線画像部材で画像が形成され、前記第一および第二の色は互いに異なる、多色直接赤外線画像化方法を提供することである。好適な方法において、熱源に対し、熱を使用して、赤外線画像部材の第一の移動速度で、第一の色で画像を形成し、熱源に対し、熱を使用して、赤外線画像部材の第二の移動速度で、第二の色で画像を形成し、第一の移動速度および第二の移動速度は、実質的に異なった移動速度である。
【0018】
ここで使用される「実質的に異なった移動速度」という限定は、一つの移動速度が、もう一つと少なくとも約20%異なっている場合に満たされる。
【0019】
本発明のもう一つの好適な実施例において、当該方法は、三つの異なった画像形成構成を含んだ赤外線画像部材で行われる。当該方法のこの実施例によると、熱源に対し、熱を使用して、赤外線画像部材の第一の移動速度で、第一の色で画像を形成し、熱源に対し、熱を使用して、赤外線画像部材の第二の移動速度で、第二の色で画像を形成し、熱源に対し、熱を使用して、赤外線画像部材の第三の移動速度で、第三の色で画層を形成する。一つの好適な実施例において、第一、第二、および第三の移動速度は、すべて実質的に異なった移動速度である。もう一つの好適な実施例において、第一の移動速度で第一のパスにおいて、二つの色で画像が形成され、第二の移動速度で、少なくとも第三の色で画像が形成され、第一および第二の移動速度は、実質的に異なった移動速度である。
【0020】
また好適な方法における使用のための赤外線画像部材を提供する。
(項目1)
多色赤外線画像化方法であって、
(a)少なくとも、加熱時に第一の色を形成する第一の画像形成構成と、加熱時に第二の色を形成する第二の画像形成構成とを備え、上記第一および第二の色は互いに異なる、赤外線画像部材を提供することと、
(b)熱を使用することにより、上記熱の源に対する上記赤外線画像部材の第一の移動速度で、上記第一の色で画像を形成することと、
(c)熱を使用することにより、上記熱の上記源に対する上記赤外線画像部材の第二の移動速度で、上記第二の色で画像を形成することとを備え、
上記第一の移動速度、および上記第二の移動速度は、実質的に異なった移動速度であり、
それにより多色画像が上記赤外線画像部材において形成される、多色赤外線画像化方法。
(項目2)
上記第一の移動速度は、0.5インチ/秒よりも大きく、上記第二の移動速度は、0.5インチ/秒未満である、項目1に記載の赤外線画像化方法。
(項目3)
上記第一の移動速度は、0.7インチ/秒よりも大きく、上記第二の移動速度は、0.3インチ/秒未満である、項目1に記載の赤外線画像化方法。
(項目4)
上記第一の画像形成構成は、第一の画像形成層を備え、上記第二の画像形成構成は、第二の画像形成層を備える、項目1に記載の赤外線画像化方法。
(項目5)
少なくとも上記画像形成層の一つが、画像が上記第一の色で形成される際、第一のベースライン温度であり、画像が上記第二の色で形成される際、第二のベースライン温度であって、上記第一および第二のベースライン温度は、少なくとも約5℃異なる、項目4に記載の赤外線画像化方法。
(項目6)
上記熱の上記源は、熱印刷ヘッドを備える、項目1に記載の赤外線画像化方法。
(項目7)
上記熱印刷ヘッドのヒートシンクは、ステップ(b)および(c)の間、ほぼ一定温度に維持される、項目6に記載の赤外線画像化方法。
(項目8)
上記ほぼ一定温度は、周囲温度を少なくとも約5℃超える、項目7に記載の赤外線画像化方法。
(項目9)
上記ほぼ一定温度は、周囲温度を少なくとも約20℃超える、項目7に記載の赤外線画像化方法。
(項目10)
上記熱印刷ヘッドのヒートシンクは、ステップ(b)の間、第一の温度に、ステップ(c)の間、第二の温度に維持され、上記第一および上記第二の温度は少なくとも約5℃異なる、項目6に記載の赤外線画像化方法。
(項目11)
上記熱の上記源はレーザーを備える、項目1に記載の赤外線画像化方法。
(項目12)
上記熱の上記源は、一つ以上の加熱手段を備える、項目1に記載の赤外線画像化方法。
(項目13)
上記熱の上記源は、上記赤外線画像部材に画像を形成するために変調可能である第一の加熱手段と、均一な予熱を提供可能な第二の加熱手段を備える、項目12に記載の赤外線画像化方法。
(項目14)
上記第一の加熱手段、および上記第二の加熱手段は、ある瞬間、上記赤外線画像部材の同一の表面にある、異なった点において接触する、項目13に記載の赤外線画像化方法。
(項目15)
上記第二の加熱手段は、ステップ(b)および(c)の間、ほぼ一定温度に維持される、項目14に記載の赤外線画像化方法。
(項目16)
上記ほぼ一定温度は、周囲温度を少なくとも約5℃超える、項目15に記載の赤外線画像化方法。
(項目17)
上記ほぼ一定温度は、周囲温度常温を少なくとも約20℃超える、項目15に記載の赤外線画像化方法。
(項目18)
上記第二の加熱手段は、ステップ(b)の間、第一の温度に、ステップ(c)の間、第二の温度に維持され、上記第一および上記第二の温度は、少なくとも約5℃異なる、項目14に記載の赤外線画像化方法。
(項目19)
上記第一の画像形成構成は、上記第二の画像形成構成より少なくとも約5℃高い、活性化温度を有する、項目1に記載の赤外線画像化方法。
(項目20)
上記第一の移動速度は、上記第二の移動速度より大きい、項目19に記載の赤外線画像化方法。
(項目21)
多色赤外線画像化方法であって、
(a)少なくとも、加熱時に第一の色を形成する第一の画像形成構成と、加熱時に第二の色を形成する第二の画像形成構成と、加熱時に第三の色を形成する第三の画像形成構成とを備え、上記第一、第二、および第三の色は互いに異なる、赤外線画像部材を提供することと、
(b)熱を使用することにより、上記熱の源に対する上記赤外線画像部材の第一の移動速度で、上記第一の色で画像を形成することと、
(c)熱を使用することにより、上記熱の上記源に対する上記赤外線画像部材の第二の移動速度で、上記第二の色で画像を形成することと、
(d)熱を使用することにより、上記熱の上記源に対する上記赤外線画像部材の第三の移動速度で、上記第三の色で画像を形成することとを備え、
上記第一、第二、および第三の移動速度のうち少なくとも二つは、実質的に異なった移動速度であり、
それにより、多色画像が上記赤外線画像部材において形成される、多色赤外線画像化方法。
(項目22)
上記第一、第二、および第三の移動速度のうち二つは同一である、項目21に記載の赤外線画像化方法。
(項目23)
上記熱の上記源に対し、画像が、上記赤外線画像部材の一つのパスにおいて、上記色のうちの少なくとも二色で形成され、また上記熱の上記源に対し、画像が、上記赤外線画像部材のもう一つのパスにおいて、上記色の少なくとも三つ目で形成される、項目22に記載の赤外線画像化方法。
(項目24)
上記第一、第二、および第三の移動速度のそれぞれは、実質的に異なった移動速度である、項目21に記載の赤外線画像化方法。
(項目25)
上記第一の画像形成構成は、第一の画像形成層を備え、上記第二の画像形成構成は、第二の画像形成層を備え、上記第三の画像形成構成は、第三の画像形成層を備える、項目21に記載の赤外線画像化方法。
(項目26)
上記画像形成層の少なくとも一つは、上記第一、第二、および第三の色のうちの少なくとも一つで画像を形成する際は、第一のベースライン温度であり、上記第一、第二、および第三の色のうちの少なくとももう一つで画像を形成する際は、第二のベースライン温度であり、上記第一、および上記第二のベースライン温度は、少なくとも約5℃異なる、項目25に記載の赤外線画像化方法。
(項目27)
上記熱の上記源は、熱印刷ヘッドを備える、項目21に記載の赤外線画像化方法。
(項目28)
上記熱印刷ヘッドの一つの印刷パスにおいて、上記画像形成層のうちの少なくとも二つで、画像が形成され、上記熱印刷ヘッドのもう一つの印刷パスにおいて、上記画像形成層の少なくとも三つ目で、画像が形成され、上記印刷パスにおける上記熱印刷ヘッドに対する上記赤外線画像部材の移動速度は、実質的に異なった移動速度である、項目27に記載の赤外線画像化方法。
(項目29)
上記熱印刷ヘッドのヒートシンクは、一つの印刷パス間では、第一の温度に、他の印刷パス間では、第二の温度に維持され、上記第一の温度は、上記第二の温度と少なくとも約5℃異なる、項目28に記載の赤外線画像化方法。
(項目30)
上記熱印刷ヘッドのヒートシンクは、一つの印刷パス間では、第一の温度に、他の印刷パス間では、第二の温度に維持され、上記第一の温度は、上記第二の温度と約5℃未満の差がある、項目28に記載の赤外線画像化方法。
(項目31)
上記熱印刷ヘッドの第一の印刷パスにおいて、上記画像形成層の一つに画像が形成され、上記熱印刷ヘッドの第二の印刷パスにおいて、上記画像形成層のもう一つに画像が形成され、上記熱印刷ヘッドの第三の印刷パスにおいて、上記画像形成層の三つ目に画像が形成され、上記第一、第二、および第三の印刷パスの少なくとも二つにおける上記熱印刷ヘッドに対する上記赤外線画像部材の移動速度は、実質的に異なった移動速度である、項目27に記載の赤外線画像化方法。
(項目32)
上記熱印刷ヘッドのヒートシンクは、上記パスの一つ目の間、第一の温度に、上記パスの二つ目の間、第二の温度に、上記パスの三つ目の間、第三の温度に維持され、上記第一、第二、および第三の温度の少なくとも一つは、上記第一、第二、および第三の温度のうちの少なくとももう一つと、少なくとも約5℃異なる、項目31に記載の赤外線画像化方法。
(項目33)
上記パスの一つ目の間、第一の温度に、上記パスの二つ目の間、第二の温度に、上記パスの三つ目の間、第三の温度に維持され、上記第一、第二、および第三の温度のどれも、上記第一、第二、および第三の温度のいずれかと約5℃より大きくは異ならない、項目31に記載の赤外線画像化方法。
(項目34)
上記熱の上記源は、一つ以上の加熱手段を備える、項目21に記載の赤外線画像化方法。
(項目35)
上記赤外線画像部材に画像を形成するために変調可能である第一の加熱手段と、均一な予熱を提供可能な第二の加熱手段を備える、項目34に記載の赤外線画像化方法。
(項目36)
上記第一の加熱手段、および上記第二の加熱手段は、ある瞬間、上記赤外線画像部材の同一の表面にある、異なった点において接触する、項目35に記載の赤外線画像化方法。
(項目37)
上記第一、および第二の加熱手段の一つのパスにおいて、上記画像形成層の少なくとも二つで画像が形成され、また上記第一、および第二の加熱手段のもう一つのパスにおいて、上記画像形成層の少なくとも三つ目で画像が形成され、上記パスにおける上記第一、および第二の加熱手段に対する上記赤外線画像部材の移動速度は、実質的に異なった移動速度である、項目35に記載の赤外線画像化方法。
(項目38)
上記第二の加熱手段は、一つのパス間で第一の温度に、他のパス間で第二の温度に維持され、上記第一の温度は、上記第二の温度と少なくとも約5℃異なる、項目37に記載の赤外線画像化方法。
(項目39)
上記第二の加熱手段は、一つのパス間で第一の温度に、他のパス間で第二の温度に維持され、上記第一の温度は、上記第二の温度と約5℃未満の差がある、項目37に記載の赤外線画像化方法。
(項目40)
上記第一、および第二の加熱手段の第一のパスにおいて、上記画像形成層の一つで、画像が形成され、上記第一、および第二の加熱手段の第二のパスにおいて、上記画像形成層のもう一つで、画像が形成され、上記第一、および第二の加熱手段の第三のパスにおいて、上記画像形成層の三つ目で、画像が形成され、上記第一、第二、および第三の印刷パスの少なくとも二つにおける、上記第一、および第二の加熱手段に対する上記赤外線画像部材の移動速度は、実質的に異なった移動速度である、項目27に記載の赤外線画像化方法。
(項目41)
上記第二の加熱手段は、上記パスの一つ目の間、第一の温度に、上記パスの二つ目の間、第二の温度に、上記パスの三つ目の間、第三の温度に維持され、上記第一、第二、および第三の温度の少なくとも二つは、少なくとも約5℃互いに異なる、項目40に記載の赤外線画像化方法。
(項目42)
上記第二の加熱手段は、上記パスの一つ目の間、第一の温度に、上記パスの二つ目の間、第二の温度に、上記パスの三つ目の間、第三の温度に維持され、上記第一、第二、および第三の温度のどれも、上記第一、第二、および第三の温度のいずれとも約5℃より大きくは異ならない、項目40に記載の赤外線画像化方法。
(項目43)
上記第一の画像形成構成は、上記第二の画像形成構成より高い活性化温度を有し、上記第二の画像形成構成は、上記第三の画像形成構成より高い活性化温度を有する、項目21に記載の赤外線画像化方法。

(項目44)
上記第一の移動速度は、上記第二の移動速度よりも大きく、上記第二の移動速度は、上記第三の移動速度よりも大きい、項目43に記載の赤外線画像化方法。
(項目45)
赤外線画像部材であって、
(a)第一および第二の対向面を備える基材と、
(b)上記第一および第二の面の一つに担持される、第一の酸素障壁層と、
(c)少なくとも約70℃の活性化温度を有し、上記酸素障壁層を覆う第一の色形成層と、
(d)上記第一の色形成層を覆う第一のスペーサー層と、
(e)上記第一のスペーサー層を覆い、上記第一の色形成層の活性化温度より少なくとも約30℃高い活性化温度を有する第二の色形成層と、
(f)上記第二の色形成層を覆う第二のスペーサー層と、
(g)上記第二のスペーサー層を覆う第三の色形成層であって、上記第三の色形成層は、上記第二の色形成層の活性化温度を少なくとも約30℃超える活性化温度を有する、第三の色形成層と、
(h)上記第三の色形成層を覆う第二の酸素障壁層と、
(i)上記第二の酸素障壁層を覆う保護膜層と、を備える赤外線画像部材。
(項目46)
上記第一のスペーサー層または層に内在する蛍光増白剤をさらに備える、項目45に記載の赤外線画像部材。
(項目47)
上記第三の画像形成層を覆う紫外線吸収物質をさらに備える、項目45に記載の赤外線画像部材。
(項目48)
上記第三の画像形成層は、少なくとも200℃の活性化温度を有する、項目45に記載の赤外線画像部材。
(項目49)
上記第一のスペーサー層または層は、上記第二のスペーサー層または層の少なくとも三倍の厚さを有する、項目45に記載の赤外線画像部材。
(項目50)
上記第一の画像形成層は、130℃未満で融解する結晶性物質を備え、上記第二の画像形成層は、130℃から170℃で融解する結晶性物質を備え、上記第三の画像形成層は、170℃より上で融解する結晶性物質を備える、項目45に記載の赤外線画像部材。
(項目51)
第四の画像形成層は、上記基材の表面によって担持され、上記は、上記第一、第二、および第三の画像形成層を担持しない、、項目45に記載の赤外線画像部材。
(項目52)
上記第一および第二の酸素障壁層は存在しない、項目51に記載の赤外線画像部材。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の方法に利用されることができる、部分的に概略した多色赤外線画像部材の側断面図、
【図2】図2は、多色赤外線画像部材の別個の色を処理するために、必要な加熱の相対時間および温度を示す、図式の説明図、
【図3】図3は、多色赤外線画像部材に接触する、熱印刷ヘッドの概略側断面図、
【図4】図4は、多色赤外線画像部材の個別の画像形成層に画像情報を提供するために必要な熱における、ベースライン温度効果の概算の図式の説明図、
【図5】図5は、多色赤外線画像部材と接触した熱印刷ヘッドと併せた、予熱要素の概略側断面図、
【図6】図6は、本発明の方法に利用されることができる、もう一つの多色赤外線画像部材の概略側断面図、
【図7】図7は、本発明に使用されることができるが、一定の速度で印刷される、赤外線画像部材に利用可能な色域を示す表、
【図8】図8は、本発明の好適な実施例に利用可能な色域を示す表、
【図9】図9は、本発明のもう一つの好適な実施例に利用可能な色域を示す表、
【図10】図10は、本発明のもう一つの好適な実施例にさらに利用可能な色域を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明、さらにその他の目的および利点、ならびにそのさらなる特徴をより理解するために、さまざまな好適な実施例の以下の詳細な説明に添付図面と併せて参照がなされる。
【0023】
本発明の特定の好適な実施例は、本赤外線画像化方法での使用のための赤外線画像部材を説明する、図面に関して説明される。図1を参照すると、透明な、吸収性のある、または反射する基材12、それぞれシアン、マゼンタ、および黄色であってよい、三つの画像形成層14、16、および18、スペーサー層20および22、そして任意の保護膜層24を含む、赤外線画像部材10が見られる。
【0024】
それぞれの画像形成層は、例えば最初の無色から有色へ、色を変化することができ、ここでは活性化温度と呼ばれる特定の温度まで加熱される。画像形成層の色のいずれの順番も選択可能である。一つの好適な色順は、上述したとおりである。もう一つの好適な順は、三つの画像形成層14、16、および18が、それぞれ黄色、マゼンタ、およびシアンである順である。
【0025】
両方の層を備える材料が、実質的に同一の熱拡散率を有する場合、スペーサー層20は、スペーサー層22より薄いことが好ましい。スペーサー層の機能は、画像部材10内での熱拡散の制御である。好適には、スペーサー層22は、スペーサー層20より少なくとも4倍厚い。
【0026】
基材12に配置されたすべての層は、色形成以前は、実質的に透明である。基材12が反射する(例えば、白)場合、画像部材10で形成されたカラー画像は、基材12によって提供される反射背景に対して、保護膜24を通じて見える。基材に配置された層の透明性は、画像形成層のそれぞれに印刷された色の組み合わせが見えることを確実とする。
【0027】
赤外線画像部材が少なくとも三つの画像形成層を含む本発明の好適な実施例において、すべての画像形成層は、基材の同一の側に配置されてよく、または二つあるいはそれ以上の画像形成層は、基材の一つの側には配置され、一つあるいはそれ以上の画像形成層が基材の反対側に配置されてよい。
【0028】
本発明の方法の好適な実施例において、画像形成層は、二つの調節可能なパラメータ、つまり温度と時間の変化によって、少なくとも部分的に独立して処理される。これらのパラメータは、本発明に従って調節されることができ、熱印刷ヘッドの温度と赤外線画像部材に熱が加えられる間の時間の期間を選択することによって、任意の特定の事例において望ましい結果を得る。したがって、多色画像部材のそれぞれの色は、単独または他の色との選択可能な割合で印刷することができる。詳細は記載されるように、これらの実施例において、温度−時間領域は、最終画像で得るために望ましい異なった色に対応する領域に分割される。
【0029】
印刷時間、利用可能な印刷電力、およびその他の要因に応じて、画像形成層の処理における、さまざまな程度の独立性が達成されることができる。「独立して」という用語は、一つの色形成層の印刷により、その他の色形成層において、非常に小さいが、一般的に見える光学密度にならない(密度<0.05)ことが典型的に結果として生じる事例を言及するために使用される。同様に、「実質的に独立した」カラー印刷という用語は、別の画像形成層または層の不意または意図的でない着色が、結果として、多色写真における画像間の着色の典型的なレベルである可視的な密度(密度<0.2)となる事例に言及するために使用される。画像形成層を処理する「部分的に独立した」という用語は、処理されている層における最大密度の印刷が、結果的に、0.2より高いが、約1.0よりは高くない密度でもう一つの画像形成層または層の着色となる事例を言及するために使用される。「少なくとも部分的に独立して」というフレーズは、上述したすべての程度の独立性を含む。
【0030】
赤外線画像部材の画像形成層は、色の変化を受け、画像部材で望ましい画像を提供する。色の変化は、無色から有色、有色から無色、またはある色から他の色であってよい。特許請求の範囲を含む、本出願を通じて使用される「画像形成層」という用語は、すべてのこのような実施例を含む。色の変化が無色から有色への場合、その色の異なったレベルの光学密度(例えば、異なった「グレーレベル」)を有する画像は、実質的に無色である最小密度Dminから、色の最大量が形成される最大密度Dmaxへ、画像のそれぞれのピクセルの色の量を変化させることによって、得られてよい。色の変化が有色から無色の場合、異なったグレーレベルは、DmaxからDminへ、所定のピクセルの色の量を低減することによって得られ、理想的にはDminは、実質的に無色である。。
【0031】
本発明の好適な実施例によると、画像形成層14、16、および18のそれぞれは、熱印刷ヘッドが、部材の最上層、すなわち、図1に図示される部材の随意の保護膜層24に接触しながら、熱印刷ヘッドで熱を加えられることによって独立して処理される。第三の画像形成層14(基材12から数えて。例えば、赤外線画像部材の表面に最も近い画像形成層)の活性化温度(Ta)は、第二の画像形成層16の活性化温度(Ta)より大きく、第二の画像形成層16の活性化温度(Ta)は、今度は第一の画像形成層の活性化温度(Ta)18より大きい。熱印刷ヘッドからより遠い距離での、画像形成層の加熱の遅れは、スペーサー層を通じてそれらの層に拡散するための加熱に必要な時間で提供される。これらの活性化温度が、より低い画像形成層(熱印刷ヘッドからさらに遠い)に対し、実質的に活性化温度より高くても、このような加熱の遅れによって、熱印刷ヘッドにより近い画像形成層が、それより下の画像形成層または層を活性化することなく、それらの活性化温度より上まで加熱することを可能とする。したがって最上の画像形成層14を処理する際、熱印刷ヘッドは、短時間ではあるが、比較的高い温度まで加熱され、不十分な加熱が画像部材の他の画像形成層に移動され、画像形成層16および18のどちらかに画像情報を提供する。
【0032】
より低い画像形成層、例えば基材12(この場合、画像形成層16および18)に近いものの加熱は、より高い画像形成層を十分な時間の期間、それらの活性化温度より下のままにするような温度で、熱印刷ヘッドを維持することによって達成され、それらを通じて熱を拡散し、より低い画像形成層に届くことができる。このようにして、より低い画像形成層が画像化されている場合、画像情報はより高い画像形成層に提供されない。本発明の方法による、画像形成層の加熱は、以下に詳細に記載されるような、単一の熱印刷ヘッドの二つのパス、または一つ以上の熱印刷ヘッドのそれぞれの単一のパスによって達成されてよい。
【0033】
画像部材10の加熱は、熱印刷ヘッドを用いて行われるのが好ましいが、赤外線画像部材の制御された加熱を提供する任意の方法が本発明の実施において使用されてよい。例えば、変調された光源(レーザーのような)が使用されてよい。この場合、当技術分野では周知のように、レーザーによって放出される波長の光のための吸収体を赤外線画像部材の中、または画像部材の表面に接触させて提供しなければならない。
【0034】
熱印刷ヘッド(または他の接触加熱要素)が使用され、赤外線画像部材10を加熱する場合、熱印刷ヘッド(典型的には保護膜層24)に接触する層から、赤外線画像部材の堆積中に熱は拡散する。光源を使用して加熱する場合、光がこれらの層で加熱するために変換されるように、光のための吸収体を含んだ層は加熱され、これらの層から赤外線画像部材全体に熱は拡散する。吸収層からの光源を分離する赤外線画像部材の層が、吸収される波長の光に対して透明である場合、光吸収層が画像部材の表面にある必要はない。以下の考察において、直接加熱される層は、保護膜層24であり、熱はこの層から赤外線画像部材に拡散されることを前提とするが、赤外線画像部材10の層が加熱される場合、類似した論拠も適用される。
【0035】
図2は、画像形成層14、16、および18を処理するのに必要な、熱印刷ヘッドの加熱温度および時間を示す図式の説明図であり、これらの層は、すべてはじめは周囲温度であることを前提としている。図2のグラフの軸は、熱印刷ヘッドに接触する画像部材10の表面での加熱時間の対数および絶対温度の逆数を示す。領域26(比較的高い印刷ヘッドの温度、および比較的短い加熱時間)は、画像形成層14の画像化を提供し、領域28(中間印刷ヘッドの温度、および中間加熱時間)は、画像形成層16の画像化を提供し、領域30(比較的低い印刷ヘッドの温度、および比較的長い加熱時間)は、画像形成層18の画像化を提供する。画像形成層18の画像化に必要な時間は、実質的に画像形成層14を画像化するために必要な時間より長い。
【0036】
画像形成層のために選択される活性化温度は、一般的に約90℃から約300℃の範囲内である。第一の画像形成層18の活性化温度(Ta)は、出荷および保管の間、画像部材の熱安定性にできるだけ一貫して低いことが好ましく、好適には約100℃またはそれ以上である。第三の画像形成層14の活性化温度(Ta)は、本発明の方法によって活性化することなく、この層を通じて加熱することによって、第二および第三の画像形成層16および18の活性化に対し、一貫して低いことが好ましく、好適には約200℃またはそれ以上である。第二の画像形成層の活性化温度(Ta)は、TaからTaの間であって、好適には約140℃から約180℃の間である。
【0037】
安定性がより重要でない適用において、第一の画像形成層の活性化温度Taは、約70℃と同等に低く、第二の画像形成層の活性化温度Taは、好適にはTaを少なくとも約30℃超え、第三の画像形成層の活性化温度Taは、好適にはTaを少なくとも約30℃超える。
【0038】
本発明の方法で使用される熱印刷ヘッドは、典型的に印刷される画像の全体幅にわたって伸びる抵抗の実質的な直線配列を含む。いくつかの実施例において、熱印刷ヘッドの幅は、画像のそれよりも短い。このような場合、熱印刷ヘッドは、画像の全体幅を処理するために、赤外線画像部材に対して変位されてよく、または他の一つ以上の熱印刷ヘッドが使用されてもよい。これらの抵抗に電流を供給することによって、熱のパルスが提供される一方で、画像部材は典型的に、印刷ヘッドの抵抗のラインに垂直方向に運ばれている間に画像化される。熱印刷ヘッドによって赤外線画像部材10に熱が加えられる間の時間は、典型的に画像のラインごとに約0.001から約100ミリ秒の範囲である。上限は、合理的長さの時間で画像を印刷するための必要性によって設定されるが、下限は、電子回路の制約によって定義されてよい。画像をなすドットの間隔は一般的に、運動方向へ平行および横断の両方の方向に、1インチごとに100〜600ラインの範囲であり、これらの方向のそれぞれに同一である必要はない。
【0039】
画像部材10を使用して画像を形成する際、熱印刷ヘッドは、画像の表面上の単一のパスで、赤外線画像部材に接触し、その単一のパス内で三つすべての色を印刷してよい。しかし印刷が熱印刷ヘッドの一つ以上のパスで行われるのが好ましい場合もある。このような場合、画像形成層の二つは、一つのパスで印刷され、三つ目は第二のパスで印刷されてよい。別の方法として、三つの画像形成層は、三つの別個のパスで印刷されてよい。一つ以上のパスでの印刷への明らかな影響は、画像の取得に必要な時間の長さが、単一のパスで画像が印刷される場合より、長くてよいことである。熱印刷ヘッドの一つ以上のパスで、図1に示されるような画像部材を印刷するためにかかる時間を最小限にすることが、本発明の目的である。
【0040】
画像形成層14に必要な加熱時間は、画像形成層16に必要な加熱時間より少なく、画像形成層16に必要な加熱時間は、今度は、画像形成層18に必要な加熱時間より少なことが、図2より明らかである。したがって、画像部材が、熱印刷ヘッドの一つ以上のパスで印刷される際、画像形成層14が印刷されるパスは、理想的には、画像形成層18が印刷されるものより速いほうがよい。画像部材が三つのパスで印刷される場合、印刷速度の順番は層14>層16>層18であるべきである。
【0041】
一つ以上の印刷パスが、印刷されてよい理由は、一つのパスで、もう一つのパスとは異なった温度まで赤外線画像部材を予熱することが望ましいからである。このような選択可能な予熱によって、印刷方法における優れた柔軟性と、個々の画像形成層に対するより制御された処理を可能とする。
【0042】
図3は、典型的な熱印刷ヘッドと、赤外線画像部材の間の接触領域の形成を概略で示している。熱印刷ヘッド32は、グレーズ(glaze)要素35に位置する基材34を備える。随意に、グレーズ要素35も「グレーズの段差」36を備える。抵抗38は、ある場合、このグレーズの段差36の表面に位置し、あるいは平坦なグレーズ要素35の表面に位置する。保護膜層は、抵抗38、グレーズ要素35、および任意のグレーズの段差36上に置かれてよい。典型的に同一の材料からできているグレーズ要素35および任意のグレーズの段差36の組み合わせは、以下「印刷ヘッドのグレーズ」と称する。基材34との熱的接触は、ヒートシンク40であり、ヒートシンク40は、典型的に同一のやり方で(例えば、ファンの使用によって)冷却される、赤外線画像部材10は、実際の加熱抵抗の長さより実質的に大きな長さの印刷ヘッドのグレーズ(典型的には保護膜層を通じて)との熱的接触であってよい。したがって、典型的な抵抗は、赤外線画像化媒体10の運搬方向に、約120ミクロン伸びているが、印刷ヘッドのグレーズとの赤外線画像部材の熱的接触の領域は、200ミクロンまたはそれ以上であってよい。
【0043】
画像形成中に、熱の相当量は、抵抗38から印刷ヘッドのグレーズへ移動され、印刷ヘッドのグレーズの温度は上がる。印刷速度と、赤外線画像部材と印刷ヘッドのグレーズとの間の正確な接触領域とに依存して、抵抗38との接触の瞬間における、赤外線画像部材10の温度は、周囲温度であってはならない。さらに、画像形成層のそれぞれの中の温度が同一ではないような、赤外線画像部材10内の温度の勾配があってよい。
【0044】
赤外線画像部材が、抵抗38(または赤外線画像化部材で画像を形成するのに適合した、その他の変調された熱源)によって加熱され始める画像形成層の温度は、以後、その層の「ベースライン温度」と称する。赤外線画像部材で画像を形成するために、赤外線画像部材の変調された加熱が始まる時に、画像形成層内に、温度の勾配が存在する場合、ここで使用される用語としての層のベースライン温度は、勾配内の温度の範囲を含む。したがって、「ベースライン温度」という用語は、層の異なった領域に存在してよい温度の変化を含むということが理解されるべきである。
【0045】
周囲温度より大きくなる、画像形成層のベースライン温度を生じる任意の加熱を、ここでは「予熱」と称する。予熱は、上述した印刷ヘッドのグレーズとの赤外線画像部材の熱的接触によって、または以下に詳細が示されるその他の予熱手段との接触によって、影響を受けてよい。
【0046】
図2を参照した、上記のそれぞれの画像形成層を印刷するための時間と温度領域の解析は、画像システムの三つすべての画像形成層に対する、ベースライン温度が同一、つまり周囲温度であることを前提とした。しかし、活性化温度まで特定の画像形成層を加熱するのに必要なエネルギーは、活性化温度とベースライン温度間の差異による。図4は、三つの層のベースライン温度は、それぞれ49℃であり、層14、16、および18の活性化温度は、それぞれ210℃、161℃、および105℃である、以下の例1に記載される方法による、画像形成層のそれぞれの最大密度を印刷するのに必要な相対エネルギーを示す。また、図4には、簡略化されたモデルによる、三つの画像形成層のDmaxに到達するのに必要なエネルギーが、それらの層のベースライン温度における変化とともに、どのように変化するかを表すラインを示す。図4に示される表の構成における前提は、特定の層でのDmaxに到達するのに必要なエネルギー量は、ベースライン温度における変化とともに直線的に変化するというものである。これは、その層の完全密度を形成するのに必要な、付加的なエネルギーがない、温度であるため、それぞれのラインは、特定の画像形成層に対する活性化温度で、ベースライン温度軸を妨害する。図4から分かるように、画像形成層のベースライン温度が上昇すれば、それを活性化するために、熱印刷ヘッドによって供給されなければならない熱量の相対変化は、より低い活性化温度の画像形成層に対し大きくなる。
【0047】
例えば、図4を参照すると、画像形成層14および18に対する、20℃のベースライン温度で、その層のDmaxに到達するために画像形成層14へ供給されなければならないエネルギーより約1.7倍以上のエネルギーが、層18の最大密度(Dmax)に到達するために供給される必要がある。しかし、約68℃のこれらの層に対するベースライン温度で、層14に対し同一の結果を成し遂げるために供給される必要があるのと同エネルギー量が層18のDmaxに到達するために、が供給される必要がある。この温度より上で、層14に対し同一の結果を成し遂げるために供給されなければならないエネルギーより少ないエネルギーが、層18のDmaxに到達するため供給される必要があり、層18のDmaxにも到達することなく、層14のDmaxに到達することは不可能となる。したがって本発明の実施は、画像形成層のベースライン温度の制御を伴う。
【0048】
特定の画像形成層に対する所定のベースライン温度が、結果として、画像部材内の異なった温度勾配となってよい、さまざまな異なった方法によって得られてよいことは、当業者には明らかであろう。さらにこれらの勾配は、時間によって変化する。また、温度勾配が、画像形成層自体に存在することも可能である。これらの理由により、図4を参照した上記の解析は、本発明の理解を助長するものとして提示される簡略化と見なされ、いずれにおいても本発明を限定するものではない。
【0049】
上述したように、本発明の方法によって、赤外線画像部材で画像を形成するための律速な層は、画像形成層、図1に説明される画像部材の画像形成層18に、最も深く埋め込まれる。画像形成層16に画像情報を提供しない、比較的低い温度で、大量の熱が部材に移動されなければならないため、周囲温度のベースライン温度で、画像形成層16で画像を形成することなく、画像形成層18で画像を形成することは、熱拡散のために比較的長い時間を要する。図4を参照すると、画像形成層18に画像情報を提供するために供給されなければならないエネルギーが、ベースライン温度の変化によって、もっとも著しく影響を受けることが分かる。したがって、本発明の好適な実施例によると、画像形成層18が、第一印刷パスにおいて、第一ベースライン温度Tである一方で、熱印刷ヘッドによって、画像形成層14および16に熱が加えられ(同時である必要はない)、また画像形成層18が、第一ベースライン温度Tより大きく、画像形成層18の活性化温度より下の第二のベースライン温度Tである一方、第二印刷パスにおいて、画像形成層18に熱が実質的に加えられる。第一ベースライン温度Tは、ほぼ周囲温度、例えば約10℃から約30℃であることが好ましい。第二のベースライン温度は、実質的に周囲温度より上であることが好ましい。第二のベースライン温度の上限は、熱印刷ヘッドの作用温度範囲と、画像形成層18の活性化温度によって定義される。温度Tの好適な範囲は、約30℃から約80℃であり、特に好適なTの温度値は、約40℃から約70℃の間である。
【0050】
画像が形成される際の、赤外線画像部材内のいずれの画像形成層のベースライン温度も、当業者には明らかであるさまざまな技術によって調節されてよい。例えば、図3に示されるように、赤外線画像部材のベースライン温度は、加熱要素による加熱の前に、印刷ヘッドのグレーズとの熱的接触によって影響をうけてよい。印刷ヘッドのグレーズの温度は、さまざまな周知の方法で調節されてよい。図3に上述されるように、印刷ヘッドのグレーズは典型的に、加熱または冷却されてよい、ヒートシンク40との間接的な熱的接触にある。別個の抵抗加熱、加熱液体の使用、放射(例えば、可視光線、紫外線、赤外線、またはマイクロ波放射を使用)、摩擦、熱風、熱印刷ヘッド加熱要素38自体の使用によって、あるいは当業者に既知である、都合のよいいずれの方法によって、加熱が成し遂げられてよい。ヒートシンクは、ファン、冷風、冷却液体、電子冷却等の使用を含む、さまざまな周知の方法によって冷却されてよい。ヒートシンクの温度の閉ループ制御は、例えば、当技術分野で周知のような、一定の値を維持するために、サーミスタを使用して、加熱および冷却を行うことによって、温度を測定することでなされてよい。
【0051】
その他の技術を使用して、画像形成の間、赤外線画像部材の画像形成層のベースライン温度を調節してもよい。図5は、この結果を成し遂げるための、このような方法の例を示す。図5を参照すると、印刷ヘッドの抵抗との接触の前に、赤外線画像部材10と接触および加熱するよう配置される予熱要素70が見られる。矢印72は、赤外線画像部材の運動方向を表す。その層が、上に定義されるベースライン温度Tである場合に、画像形成層18における画像の形成は行われる。したがって、予熱要素70は、画像形成層18が画像形成を受ける印刷パスの間、適所に配置される。適所に配置された予熱要素70なしで、画像形成層18がベースライン温度Tである間、画像形成層14および16は画像化される。一つ以上の印刷ヘッドが使用される場合、予熱要素がないもう一つの印刷ヘッドを、画像形成層14および16で画像を形成するために使用することができる一方、一つの印刷ヘッドには、予熱要素70が装備されてよく、画像形成層18で画像を形成するために使用されてよい。これらの熱印刷ヘッドは、どちらの順でも印刷することができるが、予熱なしの熱印刷ヘッドが、まず赤外線画像部材に接触することが好ましい。単一の印刷ヘッドが採用される場合、画像形成層14および16が画像化される印刷パスにおいて、赤外線画像部材10に接触するために、予熱要素70を動かすことができる。別の方法として、画像部材は、矢印72によって示される反対方向に変位されることができ、予熱要素70が印刷が行われた後でのみ、赤外線画像部材と接触するようになる。
【0052】
本発明の方法により、いかなる熱提供部材を使用して、赤外線画像部材を予熱してよい。予熱要素は、熱印刷ヘッドのヒートシンクと熱的に接触する熱的伝導シムであってよく、赤外線画像部材との付加的な接触領域を提供する。いくつかの場合、このシムも熱印刷ヘッドの加熱要素に電流を供給する集積回路のカバーとして機能してよく、また熱印刷ヘッドのヒートシンクの一部であってよい。別の方法として、予熱要素は別個の抵抗加熱器、加熱液体の導管、放射源(例えば、赤外線放射)、摩擦接触、または当業者には既知の、その他の加熱手段を含んでよい。
【0053】
図5は、熱印刷ヘッドによって処理される画像部材の同一表面の予熱を示すが、熱印刷ヘッドによって処理されるものの反対の表面から、画像部材が予熱されることが可能であることは当然であろう。画像部材の両方の表面の予熱もまた可能である。
【0054】
上で考察したように、本発明の好適な実施例によると、画像形成層への第一および第二の加熱は、画像を形成するために使用される熱源に対し、画像部材の異なった速度で行われる。このような一つのステップにおいて、画像を形成するために、少なくとも第二の画像形成層へ熱が加えられる際、少なくとも第一の画像形成層は、第一ベースライン温度である。第二のベースライン温度である場合は、第一の画像形成層に熱が加えられ、画像を形成する。第一の画像形成層のベースライン温度を調節するために予熱は用いられる。
【0055】
赤外線画像部材内の特定の画像形成層の予熱の量は、印刷速度によってそれ自体が影響を受けてよい。上で考察されるように、予熱は、図3の印刷ヘッドのグレーズによって、または図5の要素70のような個別の予熱手段によって、影響を受けてよい。どちらかの場合、画像部材の画像形成層のベースライン温度が、画像部材の予熱要素との接触によって著しく変化するか否かは、部材が予熱要素にどれくらいの間接触するかにより、これは、走行方向および走行速度において、二つの間の接触の長さによる。いくつかの場合、予熱要素(例えば、図5の要素70)から図3の印刷ライン38には距離があってよく、距離を縦走する間、予熱要素によって画像部材へ移動される熱は、赤外線画像部材全体に拡散されてよい。このような拡散の量は、画像部材の走行速度による。
【0056】
さらに特定の画像形成層の予熱の程度が、予熱要素からの特定の層までの距離によるように、温度の勾配は、予熱要素との接触によって、画像部材内で確立されると思われる。これは、予熱要素が、画像部材の表面に物理的に接触させる熱い物体である場合、特に当てはまる。
【0057】
熱印刷ヘッドの二つのパスが、図1に示されるような画像部材で画像を形成するために使用され、それぞれのパスに対し異なるよう、画像部材の表面と予熱要素との物理的接触を用いて、特定の画像形成層のベースライン温度を調節する場合、予熱要素の必要な制御の程度は、二つのパスが同一の速度かどうかによる。二つの印刷パスが同一の速度である場合、予熱要素の温度、または画像部材と予熱要素の接触の長さは、二つの印刷パスの間で調節されなければならない。実際には、この結果をなすには困難があるかもしれない。しかし二つの印刷パスが、同一の速度で行われない場合、予熱要素の温度、またはそれと画像部材との接触の長さを調節する必要があるかもしれない。これは、第二印刷パスが、特定の画像形成層を相当に予熱するための時間を与えない、高い速度であることが可能な一方で、画像化媒体が、予熱される特定の画像形成層を実質的に含む深さまで、予熱要素の温度を釣り合わせるのに十分な時間があるよう、第一印刷パスが、低い速度であることができるためである。
【0058】
熱印刷ヘッドの一つ以上のパスとともに、少なくとも二つの画像形成層を有する赤外線画像部材で画像が形成され、印刷ヘッドのパスにおける一つまたはそれ以上の他の画像形成層に熱が加えられる際、少なくとも画像形成層の一つが、第一ベースライン温度(T)であり、それに熱が加えられる際、その画像形成層のベースライン温度が第二の異なった温度(T)である、直接赤外線画像化方法は、その内容が、参照することにより本書に組み込まれる、同時係属中の本発明の譲受人に譲渡された、同日付出願の米国特許番号xx/XXX,XXX(代理人整理番号A−8598AFP US)に開示される。
【0059】
本発明の一つの好適な実施例において、画像形成層18が、実質的に周囲温度に等しいベースライン温度Tである間、画像形成層14および16は、一つの印刷パスで画像化され、実質的に周囲温度より上の、ベースライン温度Tである間、画像形成層18は、第二の印刷パスで画像化される。
【0060】
特に好適な実施例において、予熱要素は周囲温度より上で、赤外線画像化媒体は、少なくとも約200ミクロンの走行方向の長さにおいて、予熱要素と接触する。画像形成層14および16は、第一パスで画像化され、画像形成層18は、第二パスで画像化され、第一パスは、約0.7インチ/秒、またはそれより上の速度で行われるのが好ましく、とくに約1インチ/秒、またはそれより上の速度で行われるのが特に好ましく、画像形成層18が画像化される第二印刷パスは、約0.5インチ/秒、またはそれより下の速度で行われるのが好ましく、約0.3インチ/秒、またはそれより下の速度で行われるのが特に好ましい。
【0061】
本発明の方法の特に好適なもう一つの実施例において、予熱要素は周囲温度より上であり、赤外線画像部材は、少なくとも約200ミクロンの走行方向の長さにおいて、予熱要素と接触し、三つの印刷パスが採用される。画像形成層14が画像化される印刷パスは、約0.7インチ/秒、またはそれより上の速度で行われ、約1インチ/秒、またはそれより上の速度で行われるのが特に好ましく、画像形成層16が画像化される印刷パスは、約0.7インチ/秒、またはそれより上の速度で行われ、約1インチ/秒、またはそれより上の速度で行われるのが特に好ましく、画像形成層18が画像化される印刷パスは、約0.5インチ/秒、またはそれより下の速度で行われ、約0.3インチ/秒、またはそれより下の速度で行われるのが特に好ましい。
【0062】
本発明は、三つの異なった画像形成層を有する、赤外線画像部材を参照して、記載されているが、同一の原理が、二つの画像形成層のみを備える、またはこのような層を三つ有する画像部材に適用されることができる。さらにそれぞれの色を形成するために必要なコンポーネントが、同一の層に配置されてよいが、何らかの方法、例えば、マイクロカプセルによって、互いに分離される。本発明の実施において必要なすべては、第一の色の形成に必要な赤外線画像部材(典型的には、上述したような表面層)の特定の層の加熱時間が、第二の色の形成に必要なその層の加熱時間より短く、第一の色に対する活性化温度が、第二の色に対する活性化温度より高いことである。
【0063】
透明な基材の片側にある二つの画像形成層と、基材の反対側にある第三の画像形成層を有する、赤外線画像部材を図6に説明する(正確な縮尺ではない)。図6を参照すると、基材52、第一の画像形成層58、スペーサー層56、第二の画像形成層54、第三の画像形成層60、任意の不透明な(例えば、白)層62、任意の保護膜層64、および任意のバックコート層66を含む、画像部材50が見られる。本発明のこの好適な実施例において、基材52は透明である。保護膜層、画像形成層、スペーサー層、およびバックコート層は、このような層に適した、以下に記載の材料のいずれかを含んでよい。不透明な層62は、高分子接着剤の二酸化チタンのような色素を備えてもよく、また当業者には周知の、反射するホワイトコーティングを提供する材料のいずれを備えてよい。
【0064】
本発明の方法を使用して、画像形成層54での画像形成は、上述した画像部材50の第一の移動速度で、第一パスで成し遂げられてよく、画像形成層58での画像形成は、上述した画像部材の第二の異なった移動速度で、第二の印刷パスによって成し遂げられてよい。
【0065】
第三の画像形成層60での画像形成は、米国特許番号6,801,233 B2に記載されるように、熱印刷ヘッドとともに、画像部材50の反対側で印刷することによって、成し遂げられる。このステップは、第一、第二、あるいは第三の異なった速度のいずれかである、画像化媒体の移動速度で行われてよい。
【0066】
本発明の実施において、印刷ヘッド自体、および画像内の先行する(および隣接する)ピクセルの印刷に起因する、赤外線画像部材の余熱を補うために、熱印刷ヘッドによって供給される印刷パルスは、調節されるべきである。このような熱履歴の補正は、米国特許番号6,819,347 B2に記載されるように行われてよい。
【0067】
黄色の画像は、その他の二つの減法混色の原色の画像と同じくらい、多くのグレーレベルで形成される必要はない。本発明の一つの実施例において、黄色を形成するのに使用されるグレーレベルの部材は、その他の色に対して使用されるグレーレベルの部材より、故意に少なく作られる。極端には、黄色の画像形成層に対する二値画像を使用することも可能である(例えば、それぞれのピクセルに与えられたDminおよびDmax値のみを有するもの)。黄色のサブ画像のグレーレベルのこのように小さな部材でも、人間の目は、全体的な三色画像の品質における損失を簡単に認識することはできない。当業者には周知であるように、空間分解能をトレードオフする間、明らかな数のグレーレベルを増やすためにディザリングを用いることができる。
【0068】
ここで上述されるように、本発明の方法はそれぞれの色、例えばシアン、マゼンタ、または黄色の独立した形成を提供することができる。したがって、この実施例において、温度と時間の一つの組み合わせは、その他の色の顕著な量を生成することはないが、一つの色のいかなる密度の選択も可能とする。温度と時間のもう一つの組み合わせは、三つの色などのもう一つの選択を可能とする。温度−時間の組み合わせの並置は、いずれの相当量の三つの減法混色の原色のいかなる組み合わせの選択も可能とする。
【0069】
本発明のその他の実施例において、完全に独立しているものより、むしろ画像形成層の熱処理は、実質的に独立、または部分的にのみ独立したものであってよい。材料の特性、印刷速度、エネルギー消費、材料費、およびその他のシステム要件を含むさまざまな検討は、処理の独立性の不足、例えば、もう一つの色による意図した色の汚濁であるといった、カラー「クロストーク」の因果関係を増長するシステムを決定付けるかもしれない。本発明によって処理する独立した、または実質的に独立した色が、写真品質の画像化に重要である一方、この要件は、例えば、ラベルやクーポンのような一定の画像を形成する上ではそれほど重要ではないかもしれないし、これらの場合、改良された印刷速度や低コストなどの経済上の考慮のために断念されるかもしれない。
【0070】
本発明の実施例において、多色赤外線画像部材の別の画像形成層の処理が完全でないが、実質的にまたは部分的に独立しているのみの場合、また意図的に第一の色が第二の色の一定の量が生成する場合、画像部材の色域は減少する。上述したように、画像部材の色域は、画像化の状況に影響されるので、色域、速度、コストなどに関して、意図する適用に向けて、全体的なシステムを最適化するために、これらの状況は選択されてよい。
【0071】
多くの画像形成技術が、タイミング層、融解転移、および化学物質基準と併せて、埋め込まれた層(詳細が上述される)での熱の拡散、化学的拡散または分解を含んだ本発明に従って、利用されてよい。多くのこのような画像形成技術が、米国特許番号6,801,233 B2に詳細に記載されている。すべてのこのような画像形成技術は、本発明の方法において利用される画像部材で利用されてよい。
【0072】
ここで注目すべきは、本発明の方法において利用される画像部材の画像形成層は、それ自体が二つまたはそれ以上の別個の層または相を備えてよいことである。例えば、画像形成材料が開発者材料と併せて使用されるロイコ染料である場合、そのロイコ染料と開発者材料は、別個の層に置かれてよい。
【0073】
本発明によって使用される画像部材の画像形成層は、一つ以上の色の変化を任意に受けてよい。例えば、画像部材10(図1)の画像形成層14は、加熱の量の関数として、無色から黄色、赤となってよい。同様に、画像形成層は有色体で開始され、加熱によって脱色されてもよい。このような色の変化は、米国特許番号3,895,173に記載される画像化メカニズムを活用することによって得ることができるということは、当業者は認識するであろう。
【0074】
色を変化させるために熱的に誘導されてよい、材料の任意の組み合わせが、画像形成層において使用されてよい。材料は熱の影響の下、融解のような、物理的なメカニズムによってともにもたらされる結果か、反応率の熱加速を通じた結果のどちらかとして、化学的に反応してよい。反応は、化学的に可逆性または不可逆性であってよい。
【0075】
赤外線画像部材に対する基材、例えば基材12は、高分子材料または表面加工紙のような、赤外線画像部材での使用に適した材料であり、透明、または反射するものであってよい。また基材も、接着促進層、帯電防止層、またはガスバリヤ層のような層を支えてよい。画像形成層18を覆うものと反対の基材12の面は、ロゴのような印を支えてよく、または感圧接着剤のような接着剤組成を備えてよい。このような接着剤は、張りなおし可能なライナー層によって保護されてよい。基材12は、約2マイクロメータの厚さから、約500マイクロメータまたはそれ以上の厚さのカード用紙までの範囲における適用による、実際の厚さであってよい。
【0076】
好適な実施例において、少なくとも一つ、好適にはすべての画像形成層は、画像提供材料として、結晶形の化合物を含むが、結晶形は、化合物の非晶形は本来、結晶形から異なった色を有する、非晶形の液体に変換されることが可能である。少なくとも一つの画像形成層が、このような化合物を含む、カラー赤外線画像化方法および赤外線画像部材は、本発明の譲受人に譲渡された、2004年2月27日出願の米国特許出願番号10/789,648(米国特許公報番号US2004/0176248 A1)に記載および特許請求されている。
【0077】
例えば画像部材10の画像形成層14、16、および18といった、本発明の方法において使用される画像部材の画像形成層は、上述の画像形成材料のいずれか、またはその他の熱的に活性する接着剤を備えてよく、典型的には、約0.5から約4マイクロメータの厚さ、好適には、約2マイクロメータである。上述されるような、画像形成層が一つ以上の層を備える場合、構成層のそれぞれは、典型的に約0.1から約3マイクロメータの厚さである。画像形成層は、固体材料、封入液体、非晶質または固体材料の分散、あるいは高分子接着剤の活性剤溶液、もしくは上記の組み合わせを備えてよい。
【0078】
保護膜層24のような画像部材の外面から、画像形成層14のような第一の画像形成層と、層20のようなスペーサー層との間のインターフェースへの距離は、約2から5マイクロメータの間であることが好ましく、画像部材の外面から、画像形成層16のような第二の画像形成層と、スペーサー層22のようなスペーサー層の間のインターフェースまでの距離は、約7から約12マイクロメータの間であることが好ましく、画像部材の外面と、画像形成層18のような第三の画像形成層と、基材12のような基材との間のインターフェース間の距離は、少なくとも約28マイクロメータであることが好ましい。
【0079】
スペーサー層20および22のようなスペーサー層は、熱的絶縁層として機能し、いずれの適した材料を備えてよい。典型的に適した材料には、ポリ(ビニルアルコール)のような水溶性高分子、またはアクリレートあるいはポリウレタンのような水性ラテックス材料を含む。さらに、スペーサー層20および22は、例えば、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、シリカ、または硫酸バリウムのような無機充てん剤;酸化亜鉛、二酸化チタン、またはベンゾトリアゾールのような有機材料といった、紫外線吸収体;有機結晶化合物のような相を変化する材料などを備えてよい。いくつかの実施例において、スペーサー層は、例えば、ポリ(エチルメタクリレート)のような溶剤可溶高分子であってよい。上で触れたように、スペーサー層20および22のような、画像部材の二つのスペーサー層が、実質的に同一の熱的拡散率である材料を備える場合、好適にはスペーサー層20のような熱印刷ヘッドによって接触する画像部材の表面に近いスペーサー層は、スペーサー層22のような接触表面から遠い、スペーサー層より薄い。好適な実施例において、より薄いスペーサー層は、約3.5マイクロメータの厚さであり、より厚いスペーサー層は、約20マイクロメータの厚さである。
【0080】
スペーサー層は、水または有機溶剤から覆われてよく、あるいはラミネートフィルムとして適用されてよい。それらは、不透明または透明であってよい。層20および22のようなスペーサー層の一つが、不透明である場合、基材12のような基材は、透明であることが好ましい。好適な実施例において、基材は不透明であり、両方のスペーサー層は透明である。
【0081】
また本発明の方法において利用される赤外線画像部材は、保護膜層を備えてよい。保護膜層は、一つ以上の層を備えてよい。保護膜の機能は、熱印刷ヘッドと接触する耐熱性の表面の提供、画像を保護するためのガスバリヤ特性と紫外線吸収の提供、画像の表面に対して適した表面(例えば、マットまたはつや)の提供を含む。好適には、保護膜層は、2マイクロメータの厚さ以上ではない。
【0082】
別の方法として、保護膜24を覆うよりもむしろ、画像形成層14は、厚さ約4.5マイクロメータ未満のポリ(エチレンテレフタレート)のような薄い基材を覆うことができる。この構造は、画像部材の残存層に積層されてよい。被膜および積層のいかなる組み合わせも、画像部材10の構造を構築するために使用されてよい。
【0083】
本発明による、特に好適な赤外線画像部材は、以下のように構成される。
【0084】
厚さ約75ミクロンの白ポリ(エチレンテレフタレート)ベース、バージニア州ホープウェルの帝人デュポンフィルム社より入手可能なMelinex 339で基材を充てんする。
【0085】
基材に置かれた第一の層は、十分に加水分解されたポリ(ビニルアルコール)、例えば、テキサス州ダラスのセラニーズ社より入手可能なCelvol 325(96.7重量%)、グリオキサル(架橋剤、3重量%)、およびZonyl FSN(デラウエア州ウィルミントンのデュポン社より入手可能なコーティング助剤、0.3重量%)からなる、任意の酸素障壁層である。存在する場合、この層は約1.0g/mの被覆率を有する。
【0086】
基材または任意の酸素障壁層のどちらかにに直接置かれるのは、前述の米国特許番号7,008,759に開示されるタイプの融点が210℃であるシアンカラーフォーマー(重量1)、ジフェニルスルホン(融点が125℃である熱溶媒、平均粒子サイズが1ミクロン未満である、結晶の水分散液として塗布、重量3.4)、Lowinox WSP(インディアナ州ウェストラフィエットのグレートレイクスケミカル社より入手可能なフェノール系酸化防止剤、平均粒子サイズが1ミクロン未満の結晶の水分散液として塗布、重量0.75)、Chinox 1790(台湾のキテック・ケミカル社より入手可能な第二のフェノール系酸化防止剤、平均粒子サイズが1ミクロン未満の結晶の水分散液として塗布、重量1)、ポリ(ビニルアルコール)(テキサス州ダラスのセラニーズ社より入手可能な結合剤Celvol 205、重量2.7)、グリオキサル(重量0.084)、およびZonyl FSN(重量0.048)からなるシアン画像形成層である。この層は、約2.5g/mの被覆率を有する。
【0087】
シアン色形成層に置かれるのは、蛍光増白剤を含んだバリヤ層である。この層は、十分に加水分解されたポリ(ビニルアルコール)、例えば、テキサス州ダラスのセラニーズ社より入手可能な、前述のCelvol 325(重量3.75)、グリオキサル(重量0.08)、Leucophor BCF P115(ノースカロライナ州シャーロットのクラリアント社より入手可能な蛍光増白剤、重量0.5)、ホウ酸(重量0.38)、およびZonyl FSN(重量0.05)からなる。この層は、約1.5g/mの被覆率を有する。
【0088】
バリヤ層に置かれるのは、Glascol C−44(ニューヨーク州タリタウンのチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社より入手可能なラテックス、重量18)、Joncryl 1601(ウィスコンシン州スターテバントのジョンソンポリマー社より入手可能なラテックス、重量12)、およびZonyl FSN(重量0.02)からなる、熱的絶縁中間層である。この層は、約13g/mの被覆率を有する。
【0089】
熱的絶縁中間層に置かれるのは、十分に加水分解されたポリ(ビニルアルコール)、例えば、テキサス州ダラスのセラニーズ社より入手可能な、前述のCelvol 325(重量2.47)、グリオキサル(重量0.07)、ホウ酸(重量0.25)、およびZonyl FSN(重量0.06)からなるバリヤ層である。この層は、約1.0g/mの被覆率を有する。
【0090】
バリヤ層に置かれるのは、2004年2月27日出願の米国特許出願番号10/788,963、米国特許公報番号US2004/0191668 A1に開示されるタイプの融点が155℃である、マゼンタカラーフォーマー(重量1.19)、フェノール系酸化防止剤(インディアナ州ウェストラフィエットのグレートレイクスケミカル社より入手可能な、融点が161〜164℃であるアノックス29、平均粒子サイズが1ミクロン未満の結晶の水分散液として塗布、重量3.58)、Lowinox CA22(インディアナ州ウェストラフィエットのグレートレイクスケミカル社より入手可能な、第二のフェノール系酸化防止剤、平均粒子サイズが1ミクロンの結晶の水分散液として塗布、重量0.72)、ポリ(ビニルアルコール)(テキサス州ダラスのセラニーズ社より入手可能な結合剤Celvol 205、重量2)、Carboset 325のカリウム塩(オハイオ州のクリーブランドのノベオン社より入手可能なアクリル共重合体、重量1)、グリオキサル(重量0.06)、Zonyl FSN(重量0.06)からなる、マゼンタ色形成層である。この層は、約2.7g/mの被覆率を有する。
【0091】
マゼンタ色形成層に置かれるのは、十分に加水分解されたポリ(ビニルアルコール)、例えば、テキサス州ダラスのセラニーズ社より入手可能な、前述のCelvol 325(重量2.47)、グリオキサル(重量0.07)、ホウ酸(重量0.25)、およびZonyl FSN(重量0.06)からなる、バリヤ層である。この層は、約1.0g/mの被覆率を有する。
【0092】
バリヤ層に置かれるのは、Glascol C−44(重量1)、Joncryl 1601(ジョンソンポリマーより入手可能なラテックス、重量0.67)、およびZonyl FSN(重量0.004)からなる、第二の熱的絶縁中間層である。この層は、約2.5g/mの被覆率を有する。
【0093】
第二中間層に置かれるのは、2004年2月27日出願の米国特許出願番号10/789,566、米国特許公報番号US2004/0204317 A1に記載のDye XI(融点202〜203℃)(重量4.57)、ポリ(ビニルアルコール)(テキサス州ダラスのセラニーズ社より入手可能な結合剤Celvol 540、重量1.98)、コロイドシリカ(日本の東京の日産化学工業社より入手可能なSnowtex 0−40、重量0.1)、グリオキサル(重量0.06)、およびZonyl FSN(重量0.017)からなる、黄色色形成層である。この層は、約1.6g/mの被覆率を有する。
【0094】
黄色色形成層に置かれるのは、十分に加水分解されたポリ(ビニルアルコール)、例えば、テキサス州ダラスのセラニーズ社より入手可能な前述のCelvol 325(重量1)、グリオキサル(重量0.03)、ホウ酸(重量0.1)、およびZonyl FSN(重量0.037)からなる、バリヤ層である。この層は、約0.5g/mの被覆率を有する。
【0095】
バリヤ層に置かれるのは、ナノ粒子段階の二酸化チタン(ニュージャージー州の南プレーンフィールドのコボ・プロダクツ社より入手可能なMS−7、重量1)、ポリ(ビニルアルコール)(デラウエア州ウィルミントンのデュポン社より入手可能な結合剤Elvanol 40−16、重量0.4)、Curesan 199(ウィスコンシン州アップルトンのBASF社より入手可能な架橋剤、重量0.16)、およびZonyl FSN(重量0.027)からなる、紫外線阻害層である。この層は、約1.56g/mの被覆率を有する。
【0096】
紫外線阻害層に置かれるのは、ラテックス(マサチューセッツ州ウィルミントンのネオレジンズ社より入手可能なXK−101、重量1)、スチレン/マレイン酸共重合体(ペンシルバニア州ウィルミントンのサートマー社より入手可能なSMA 17352H、重量0.17)、架橋剤(ペンシルベニア州ピッツバーグのベイヤーマテリアルズサイエンス社より入手可能なBayhydur VPLS 2336、重量1)、ステアリン酸亜鉛(ケンタッキー州エリザベスタウンのサイテックプロダクツ社より入手可能なHidorin F−115P、重量0.66)およびZonyl FSN(重量0.04)からなる、保護膜である。この層は、約0.75g/mの被覆率を有する。
【0097】
上記の好適な赤外線画像部材を使用した、黄色の画像を印刷するための最適な条件は、以下のとおりである。熱印刷ヘッドパラメータ:
1インチごとのピクセル: 300
抵抗サイズ: 2*(31.5*120)ミクロン
抵抗: 3000オーム
グレーズの厚さ: 110ミクロン
圧力: 3ポンド/直線インチ
ドットパターン: 傾斜グリッド
黄色色形成層は、以下の表に示されるように印刷される。ラインサイクルタイムは、75%のデューティサイクルの個々のパルスに分割される。赤外線画像部材は、約0.3mmの距離をヒートシンク温度で、熱印刷ヘッドのグレーズとの接触によって予熱される。
【0098】
【表1】

上記の好適な赤外線画像部材を使用した、マゼンタの印刷に適した条件は以下のとおりである。熱印刷ヘッドパラメータ:
1インチごとのピクセル: 300
抵抗サイズ: 2*(31.5*120)ミクロン
抵抗: 3000オーム
グレーズの厚さ: 200ミクロン
圧力: 3ポンド/直線インチ
ドットパターン: 傾斜グリッド
マゼンタの色形成層は、以下の表に示されるように印刷される。ラインサイクルタイムは、7.14%のデューティサイクルの個々のパルスに分割される。赤外線画像部材は、約0.3mmの距離をヒートシンク温度で、熱印刷ヘッドのグレーズとの接触によって予熱される。
【0099】
【表2】

上記の好適な赤外線画像部材を使用した、シアンの印刷に適した条件は以下のとおりである。熱印刷ヘッドパラメータ:
1インチごとのピクセル: 300
抵抗サイズ: 2*(31.5*180)ミクロン
抵抗: 3000オーム
グレーズの厚さ: 200ミクロン
圧力: 3ポンド/直線インチ
ドットパターン: 傾斜グリッド
シアンの色形成層は、以下の表に示されるように印刷される。ラインサイクルタイムは、約4.5%のデューティサイクルの個々のパルスに分割される。赤外線画像部材は、約0.3mmの距離をヒートシンク温度で、熱印刷ヘッドのグレーズとの接触によって予熱される。
【0100】
【表3】

(例)
本発明の赤外線画像化方法を例を通じて、特定の好適な実施例に対し、さらに記載するが、これは説明のためのみであって、本発明は、ここに引用される量、手順、およびプロセスのパラメータなどについて限定されるものではないことを理解されたい。とくに明記されない限り、すべての部分とパーセンテージは重量によるものである。
以下の例のすべてに使用される赤外線画像部材は、以下のように準備された。
【0101】
以下の材料は、赤外線画像部材の準備に使用された。
テキサス州ダラスのセラニーズ社より入手可能なポリ(ビニルアルコール)の段階のCelvol 205
テキサス州ダラスのセラニーズ社より入手可能なポリ(ビニルアルコール)の段階のCelvol 325
テキサス州ダラスのセラニーズ社より入手可能なポリ(ビニルアルコール)の段階のCelvol 540
マサチューセッツ州クウィルミントンのネオレジンズ社より入手可能なネオクリルA−639
ニューヨーク州タリタウンのチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社より入手可能なポリアクリルアミドである、Glascol TA
デラウエア州ウィルミントンのデュポン社より入手可能な界面活性剤Zonyl FSNニュージャージー州フローハムパークのBASF社より入手可能な界面活性剤Pluronic 25R4
ペンシルバニア州アレンタウンのエアプロダクツアンドケミカルズ社より入手可能な界面活性剤Surfynol CT−111
ペンシルバニア州アレンタウンのエアプロダクツアンドケミカルズ社より入手可能な界面活性剤Surfynol CT−131
ペンシルバニア州フィラデルフィアのROHMアンドHAAS社より入手可能な界面活性剤Tamol 731
ミシガン州ミッドランドのダウ・ケミカル社より入手可能な界面活性剤トリトンX−100
ケンタッキー州エリザベスタウンのサイテックプロダクツ社より入手可能なステアリン酸亜鉛段階のHidorin F−115Pイリノイ州シカゴのONDEONalco 社より入手可能なシリカ分散Nalco 30V−25
ウィスコンシン州ニューベルリンのテクラ社より入手可能な、厚さほぼ8ミリの白色硬質ポリ(塩化ビニル)フィルムベースRPVC0.008
黄色カラーフォーマー:2004年2月27日出願の米国特許出願番号10/789,566、米国特許公報番号US2004/0204317 A1に記載のDye IV(融点105〜107℃)
マゼンタカラーフォーマー:2004年2月27日出願の米国特許出願番号10/788,963、米国特許公報番号US2004/0191668 A1に開示されるタイプの融点が155℃のカラーフォーマー、インディアナ州ウェストラフィエットのグレートレイクスケミカル社より入手可能な、融点が161〜164℃の熱溶媒アノックス29をマゼンタカラーフォーマーとともに使用した。
【0102】
シアンカラーフォーマー:前述の米国特許出願番号10/788,963に開示されるタイプの、融点が210℃のカラーフォーマー
画像部材は、RPVC0.008である、基材に加えられた連続的な塗布によって準備された。
【0103】
黄色画像形成層は以下のように適用された。
【0104】
黄色カラーフォーマー(10g)を、Celvol 205(17.6%の水溶液6.3gを水に加えたもの)、メチルアセテート(4g)、および水(43.7g)からなる混合物で、ガラス玉が装備された磨砕機を使用して、室温で24時間撹拌して分散した。結果として、分散で得られた固体内容物の合計は、18%であった。
【0105】
上記の分散は、水と以下の表に挙げられる材料と組み合わせて、記載された割合で黄色染料形成層に対するコーティング液体を作成した。したがって準備された塗料は、乾燥時の厚さが1.9ミクロンとなるようRPVC0.008に塗布された。
【0106】
【表4】

次に適用された中間層は、以下のとおりである。
水を以下の表に挙げられる材料と組み合わせ、乾燥時の厚さが18ミクロンとなるよう黄色画像形成層に塗布された、コーティング液体を提供した。
【0107】
【表5】

マゼンタ画像形成層は、以下のように適用された。
マゼンタカラーフォーマー(587.50g)を、Surfynol CT−111(83%の水溶液26.88gを水に加えたもの)、Surfynol CT−131(52%の水溶液20.43gを水に加えたもの)、メチルアセテート(375g)、および水(1490.19g)からなる混合物で、ガラス玉が装備された磨砕機を使用して、室温で21.5時間撹拌して、分散した。結果として、分散で得られた固体内容物の合計は、14.03%であった。
【0108】
融点が165℃である熱溶媒(510g)を、Tamol 731(6.86%の水溶液437.32gを水に加えたもの、硫酸でpH6.7〜6.8に調節された)、Celvol 205(17.6%の水溶液340.91gを水に加えたもの)、および水(711.77g)からなる混合物で、ガラス玉が装備された磨砕機を使用して、室温で18.5時間撹拌し分散した。結果として、分散で得られた固体内容物の合計は、23.29%であった。
【0109】
上記の分散は、水と以下の表に挙げられる材料と組み合わされ、記載された割合でマゼンタ染料形成層に対するコーティング液体を作成した。したがって準備された塗料は、乾燥時の厚さが1.9ミクロンとなるよう、準備された中間層に塗布された。
【0110】
【表6】

第二の中間層は、以下のように適用された。
水を以下の表に挙げられる材料と組み合わせ、乾燥時の厚さが3.5ミクロンとなるよう、マゼンタ画像形成層に塗布された、コーティング液体を提供した。
【0111】
【表7】

シアン画像形成層は、以下のように適用された。
シアンカラーフォーマー(705.0g、融点207〜210℃)を、Surfynol CT−131(52%の水溶液14.42gを水に加えたもの)、Pluronic 25R4(100%活性のもの18.75g)、トリトンX−100(100%活性のもの18.75g)、メチルアセテート(437.5g)、および水(1312.5g)からなる混合物で、ガラス玉が装備された磨砕機を使用して、室温で18.5時間撹拌し、分散した。結果として、分散で得られた固体内容物の合計は、26.98%であった。
【0112】
上記の分散は、水と以下の表に挙げられた材料と組み合わされ、記載された割合でシアン染料形成層に対するコーティング液体を作成した。したがって、準備された塗料は、乾燥時の厚さが2.0ミクロンとなるよう、上記のように準備された第二の中間層に塗布された。
【0113】
【表8】

保護膜は、以下のように適用された。
水を以下の表に挙げられる材料と組み合わせ、乾燥時の厚さが0.76ミクロンとなるよう、シアン画像形成層に塗布された、コーティング液体を提供した。
【0114】
【表9】

以下の例I、II、IIIでは、次のような印刷パラメータが使用された。
印刷ヘッド:東芝ホクト電子社より入手可能なToshiba F3788B
印刷ヘッド幅: 115mm、108.4印刷幅
1インチごとのピクセル: 300
抵抗サイズ: 2*(31.5*120)ミクロン
抵抗: 1835オーム
グレーズの厚さ: 65ミクロン
圧力: 1.5〜2ポンド/直線インチ
ドットパターン: 長方形グリッド
(例1)
本比較例は、三つの印刷パスにおける、上述のように準備された前記赤外線画像部材の印刷について説明するものであり、それぞれのパスは同じ速度であって、予熱が同量である。
【0115】
三つすべての色は、下表に示された通り、前記走行方向およびラインサイクルタイムにおける解像度で印刷された。前記ラインサイクルタイムは、95%のデューティサイクルの個々のパルスに分割された。それぞれの色は、下表に示される電圧およびパルス数値を使用して、別個のパスにおいて印刷された。前記赤外線画像部材は、約0.3mmの距離を前記ヒートシンク温度で、物質との接触によって予熱された。前記画像部材の10のエリアは、(指示範囲におけるパルスの最小値を使用した)Dminから、(指示範囲におけるパルスの最大値を使用した)Dmaxまでの範囲で、それぞれの色において印刷された。
【0116】
【表10】

それぞれの色付けされたパッチは、スイスのGretag社製Gretag SPM50密度計を使用して計測された。前記密度計の条件は、照明=D50、観測角度=2度、密度標準=DIN、白のベースに対してキャリブレーション、フィルタなし、である。それぞれのパッチに関連付けられたCIELab色は図7に示されており、a*およびb*値のみが示されている。また、図7に示されているように、純色の前記a*およびb*値は、ほぼ2.0の反射光学密度でのフォーマーである。
【0117】
本例の前記方法を使用して、三つすべての減法混色の原色が前記赤外線画像部材上に印刷されてもよいということは、図7から読み取ることができる。必要な時間は全体で、それぞれの色において、600ドット/インチ解像度でラインあたり8ミリ秒であった。このように、1インチを印刷するのには少なくとも3(色)×0.008(秒/ライン)×600(ライン/インチ)=14.4秒が必要となる。
【0118】
(例2)
本例は、本発明の方法を説明するもので、上述のように準備された前記赤外線画像部材は三つの印刷パスにおいて撮像されており、それぞれのパスは異なる速度であって、予熱要素の温度は同じである。
【0119】
三つすべての色は、下表に示された通り、別個のパスにおいて印刷された。前記ラインサイクルタイムは、95%のデューティサイクルの個々のパルスに分割された。前記赤外線画像部材は約0.3mmの距離を前記ヒートシンク温度で、物質との接触によって予熱された。前記画像部材の10のエリアは、(指示範囲におけるパルスの最小値を使用した)Dminから、(指示範囲におけるパルスの最大値を使用した)Dmaxまでの範囲で、それぞれの色において印刷された。
【0120】
【表11】

それぞれの色付けされたパッチは、例1に記載の通り、計測された。それぞれのパッチに関連付けられたCIELab色は図8に示されており、a*およびb*値のみが示されている。また、図8に示されているように、純色の前記a*およびb*値は、ほぼ2.0の反射光学密度でのフォーマーである。
【0121】
本例の前記方法を使用して、三つすべての減法混色の原色が前記赤外線画像部材上に印刷されてもよいということは、図8から読み取ることができる。必要な時間は全体で、シアンには300ドット/インチ解像度でラインあたり3ミリ秒、マゼンタには300ドット/インチ解像度でラインあたり3.5ミリ秒、黄色には300ドット/インチ解像度でラインあたり11ミリ秒であった。このように、1インチを印刷するのには少なくとも[0.003(秒/ライン)+0.0035(秒/ライン)+0.011(秒/ライン)]×300(ライン/インチ)=5.25秒が必要となる。
【0122】
(前記黄色画像が形成された)最遅のパスが上記例1における対応する黄色の印刷パスよりも遅かったとはいえ、本発明の方法にしたがうと、前記画像部材において画像を形成するのに必要とされる時間は著しく削減されたということを読み取ることができる。また、図7および図8を比較すると、前記マゼンタ画像の質は、例1の前記方法(図7)によるよりも本発明の前記方法(図8)による方が著しく高品質であったということが明らかとなる。特に、前記マゼンタ画像と黄色との混成が、より少なくなる。このことは、マゼンタが相対的に速く印刷されるとき、前記熱印刷ヘッドのグレーズによって前記黄色画像形成層の予熱が低減されることに起因する。
【0123】
(例3)
本例は、本発明の方法を説明するもので、上述のように準備された前記赤外線画像部材は三つの印刷パスにおいて撮像されており、それぞれのパスは異なる速度であって、一つは、予熱の量が他の二つと異なっている。
【0124】
三つすべての色は、下表に示された通り、別個のパスにおいて印刷された。前記ラインサイクルタイムは、95%のデューティサイクルの個々のパルスに分割された。前記赤外線画像部材は、約0.3mmの距離を前記ヒートシンク温度で、物質との接触によって予熱された。前記画像部材の10のエリアは、(指示範囲におけるパルスの最小値を使用した)Dminから、(指示範囲におけるパルスの最大値を使用した)Dmaxまでの範囲で、それぞれの色において印刷された。
【0125】
【表12】

それぞれの色付けされたパッチは、例1に記載の通り、計測された。それぞれのパッチに関連付けられたCIELab色は図9に示されており、a*およびb*値のみが示されている。また、図9に示されているように、純色の前記a*およびb*値は、ほぼ2.0の反射光学密度でのフォーマーである。
【0126】
本例の前記方法を使用して、三つすべての減法混色の原色が前記赤外線画像部材上に印刷されてもよいということは、図9から読み取ることができる。使用可能な色域は、例1および2の前記方法のものよりも大きい。必要な時間は全体で、シアンには600ドット/インチ解像度でラインあたり8ミリ秒、マゼンタには300ドット/インチ解像度でラインあたり5.5ミリ秒、黄色には600ドット/インチ解像度でラインあたり11ミリ秒であった。1インチを印刷するのには少なくとも[0.008(秒/ライン+0.0055/2(秒/ライン)+0.011(秒/ライン))×600(ライン/インチ)=13.05秒が必要となる。本印刷時間は実質的に例1の印刷時間よりも短くはないが、前記使用可能な色域は、より大きい。
【0127】
例4において、以下の印刷パラメータが使用された。
【0128】
印刷ヘッド:KYT106−12PAN13(京セラ株式会社、京都市伏見区竹田鳥羽殿町6、日本)
印刷ヘッド幅:3.41インチ(106mm印刷ライン幅)
1インチごとのピクセル:300
抵抗サイズ:70×80ミクロン
抵抗:3059オーム
グレーズの厚さ:55ミクロン
圧力:1.5〜2ポンド/直線インチ
ドットパターン:長方形グリッド
(例4)
本例は、本発明の方法を説明するもので、上述のように準備された前記赤外線画像部材は二つの印刷パスにおいて撮像されており、それぞれのパスは異なる速度である。両印刷パスで、前記色形成層は、ほぼ60℃のヒートシンク温度で処理された。
【0129】
三つすべての色は、400dpiで前記走行方向に印刷された。34Vの電圧が前記熱印刷ヘッドに適用された。シアンおよびマゼンタは、4.2ミリ秒のラインタイムで、一つのパスで印刷された。このラインサイクルタイムは、下表に示された通り、シアンの画像形成層とマゼンタの画像形成層のどちらが処理されているかに応じて、異なるデューティサイクルの250の個々のパルスに分割された。前記黄色層は、16.7ミリ秒のラインタイムで印刷された。前記赤外線画像部材は、約0.3mmの距離を58℃の前記ヒートシンク温度で、物質との接触によって予熱された。前記画像部材の10のエリアは、(指示範囲におけるパルスの最小値を使用した)Dminから、(指示範囲におけるパルスの最大値を使用した)Dmaxまでの範囲で、それぞれの色において印刷された。
【0130】
【表13】

それぞれの色付けされたパッチは、例1に記載の通り、計測された。それぞれのパッチに関連付けられたCIELab色は図9に示されており、a*およびb*値のみが示されている。また、図9に示されているように、純色の前記a*およびb*値は、ほぼ2.0の反射光学密度でのフォーマーである。
【0131】
本例の前記方法を使用して、三つすべての減法混色の原色が前記赤外線画像部材上に印刷されてもよいということは、図9から読み取ることができる。必要な時間は全体で、シアンおよびマゼンタには400ドット/インチ解像度でラインあたり4.2ミリ秒、黄色には400ドット/インチ解像度でラインあたり16.7ミリ秒であった。このように、1インチを印刷するのには少なくとも[4.2(秒/ライン)+16.7(秒/ライン)]×400(ライン/インチ)=8.08秒が必要となる。これは、例1の14.4秒よりも実質的に短い時間である。
【0132】
本発明は、さまざまな好適な実施例に対する詳細について説明してきたが、そのことに限定することを意図したものではなく、さらに正確に言えば、当技術分野に精通する者は、本発明の精神および付記された請求項の範囲内での変形および修正が可能であるということを認識するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載の多色熱画像化方法。

【図2】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−234811(P2010−234811A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117846(P2010−117846)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【分割の表示】特願2008−505624(P2008−505624)の分割
【原出願日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(507188957)ズィンク イメージング エルエルシー (17)
【Fターム(参考)】