説明

多視点立体画像撮影装置

【課題】 光学ズームを使う際のレンズのズーム位置に合わせて変化するケラレの領域を自動的に検出し、トリミングを行なう画像撮影装置を提供する。
【解決手段】 ミラーやプリズムを備えたアダプタを用いて、少なくとも1つ以上の異なる視点の画像を1枚の立体画像として撮影する画像撮影装置において、前記立体画像撮影時に、光学ズームが使用されたか否かを検出し、その検出結果を示す光学ズーム情報を出力する光学ズーム検出手段と、入力画像に対して、ケラレやオーバーラップの領域を無効領域として検出し、前記無効領域を含まないようにトリミングを行なうことを示す無効領域情報を出力する無効領域情報作成手段と、前記無効領域情報を用いて入力画像に対してトリミングを行なうトリミング手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多視点立体画像を撮影するための画像撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3次元画像を表示する様々な方法が提案されてきた。その中でも一般的に用いられているのは両眼視差を利用する「2眼式」と呼ばれるものである。すなわち、両眼視差を持った左眼用画像と右眼用画像を用意し、それぞれ独立に左右の眼に投影することにより立体視を行うことができる。
【0003】
2眼式の代表的な方式としてフィールドシーケンシャル方式やパララックスバリア方式が提案されている。
【0004】
図12は、フィールドシーケンシャル方式を説明するための概念図である。このフィールドシーケンシャル方式は、図12のように、左眼画像と右眼画像が垂直方向1画素おきに交互にならんだ形に配置され、左眼画像の表示と右眼画像の表示が交互に切り替えて表示されるものである。左眼画像および右眼画像は通常の2次元表示時に比べて垂直解像度が1/2になっている。観察者は、ディスプレイの切り替え周期に同期して開閉するシャッタ式のメガネを着用する。ここで使用するシャッタは、左眼画像が表示されている時は左眼側が開いて右眼側が閉じ、右眼画像が表示されている時は左眼側が閉じて右眼側が開く。こうすることで、左眼画像は左眼だけで、右眼画像は右眼だけで観察されることになり、立体視を行うことができる。
【0005】
図13は、パララックスバリア方式を説明するための概念図である。図13(A)は、視差が生じる原理を示す図である。一方、図13(B)は、パララックスバリア方式で表示される画面を示す図である。図13(A)では、図13(B)に示すような左眼画像と右眼画像が水平方向1画素おきに交互にならんだ形に配置された画像を、画像表示パネル200に表示し、同一視点の画素の間隔よりも狭い間隔でスリットを持つパララックスバリア201を画像表示パネル200の前面に置くことにより、左眼画像は左眼202だけで、右眼画像は右眼203だけで観察することになり、立体視を行うことができる。
【0006】
以上のような立体視を行うために、表示する左眼画像や右眼画像といった複数の異なる視点の画像をデジタルカメラなどでそれぞれ撮影するが、各画像を撮影するために、ミラーやプリズムを使ったステレオアダプタを用いて1台のカメラを用いる場合、撮影画像内に、アダプタの枠が写ってしまう(以下、ケラレと称す)、または、隣り合う異なる視点の画像が互いに混ざりあってしまう領域(以下、オーバーラップと称す)が発生してしまうという問題があった。
【0007】
このような問題を解決するために、特許文献1では、電子ファインダに撮影する各視点の画像を表示し、元の画像に対して所定の大きさの枠を設定し、枠内の画像をトリミングして撮影画像とすることにより、ケラレやオーバーラップの領域を削除するという方法が述べられている。
【特許文献1】特開2002−218501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1では、トリミングを行なう際の枠の大きさを一定にしてトリミングを行なうため、異なる種類のアダプタを用いた場合に、画像内に発生するケラレやオーバーラップの領域が異なって、ケラレやオーバーラップの領域が枠をはみ出してしまい、その結果、うまくトリミングができずに、トリミング後の画像にそれらの領域が含まれるという問題や、逆にトリミングする必要のない領域が切り取られてしまうという問題があった。
【0009】
図9は、従来のミラー式アダプタとそれを装着した電子カメラの構成例を示す図であり、電子カメラを上から見た構成となっている。
【0010】
この電子カメラは、カメラ本体100のレンズ鏡筒にミラー式ステレオアダプタ108を着脱することができる構成になっている。アダプタ108には、左右にミラー101,105がそれぞれ配置されており、更にこれらのミラーで反射した光をカメラの撮像面に導くためにミラー102,106が配置されている。アダプタ108のミラー101に入射した光はミラー102及びレンズ103を介して撮像素子104の領域Lに結像され、ミラー105に入射した光はミラー106及びレンズ103を介して撮像素子104の領域Rに結像されるようになっている。撮像素子104で得られる画像を107とする。
【0011】
また、このカメラ本体100は光学ズームを行なうことができ、例えば光学ズームをワイド端にした場合、図10のように、アダプタ108の枠の部分がケラレとして画像107に写りこむ場合がある。
【0012】
図10は、ケラレが発生する場合の画像の一例を示す図である。画像107は、左眼用の画像109と、右眼用の画像110、図10の斜線部に相当するケラレ111の3種類の領域から構成されている。ここで、撮像素子104の領域Lは、左の太枠で囲んだ画像109とケラレ111の一部を含む領域、領域Rは右の太枠で囲んだ画像110とケラレ111の一部を含む領域にそれぞれ相当する。
【0013】
逆に、光学ズームをテレ端にした場合、図11のように、撮像素子104に結像される画像107に、左眼用の画像と右眼用の画像がオーバーラップする領域が写りこむ場合がある。
【0014】
図11は、オーバーラップが発生する場合の画像の一例を示す図である。この場合、画像107は、左眼用の画像だけで構成される領域112と、右眼用の画像だけで構成される領域113、オーバーラップ領域114の3種類の領域から構成されている。ここでオーバーラップ領域とは、画像107の左右の中心付近で、レンズ103から撮像素子104に入射される左右の眼用の画像が混ざりあって結像された領域を意味する。
【0015】
これらケラレやオーバーラップの領域は、光学ズームのズーム位置により、その面積が変化する。
【0016】
以上のように、光学ズームを使う際のレンズのズーム位置に合わせてその大きさが変化するケラレやオーバーラップの領域が画像に発生してしまうため、トリミングを行なう際の枠の大きさが一定でトリミングを行なった場合、トリミング後の画像にそれらの領域が含まれるという問題や、逆にトリミングする必要のない領域が切り取られてしまうという問題があった。
【0017】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたものであって、光学ズームを使う際のレンズのズーム位置に合わせて変化するケラレの領域を自動的に検出し、トリミングを行なう画像撮影装置を提供することを目的とする。
【0018】
また、本発明によれば、光学ズームを使う際のレンズのズーム位置に合わせて変化するオーバーラップの領域を自動的に検出し、トリミングを行なう画像撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するために、本発明に係る画像撮影装置は、以下の特徴点を備えている。
【0020】
本発明は、ミラーやプリズムを備えたアダプタを用いて、少なくとも1つ以上の異なる視点の画像を1枚の立体画像として撮影する画像撮影装置において、前記立体画像撮影時に、光学ズームが使用されたか否かを検出し、その検出結果を示す光学ズーム情報を出力する光学ズーム検出手段と、入力画像に対して指定した無効領域を含まないようにトリミングを行なうことを示す無効領域情報を出力する無効領域情報作成手段と、前記無効領域情報を用いて入力画像に対してトリミングを行なうトリミング手段を備えることを特徴とするものである。
【0021】
ここで、前記無効領域情報作成手段は、前記光学ズーム情報が光学ズームの使用を検出したことを示した場合に、初期化を行い、新たに前記無効領域情報を作成することを特徴とする。
【0022】
また、前記無効領域情報作成手段は、異なる時刻に撮影した複数の入力画像を用いて動きの有無を検出し、動きの無い領域を無効領域とした無効領域情報を出力することを特徴とする。
【0023】
また、前記無効領域情報作成手段の別の構成では、少なくとも1つ以上の入力画像と、前記無効領域情報を用いて、入力画像の無効領域に含まれる画素の色が所定の色で無い場合、その画素が無効領域でなくなるように前記無効領域情報を変更する色補正手段を備えることを特徴とする。
【0024】
また、前記無効領域情報作成手段の別の構成では、アダプタから入射される複数の異なる視点の画像の境界において、隣り合う視点の画像毎に色の平均を求め、一方の視点の画像の色の平均と、他方の視点の画像の画素の色毎に差の値を求め、前記差の値が所定の値以下である場合、その画素は、隣り合う視点の画像が互いにオーバーラップするオーバーラップ領域であると判定して、前記オーバーラップ領域を無効領域とした無効領域情報と出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明の撮影装置によれば、撮影画像に対して、ケラレやオーバーラップの領域を自動的に抽出し、抽出した領域に対してトリミングするため、ケラレやオーバーラップの領域を含まない画像を撮影することができる。
【0026】
また、異なる種類のアダプタや光学ズームを使用することにより、ケラレやオーバーラップの領域が変化しても、それらの領域にあわせて適応的にトリミング位置を変更するため、アダプタの変更や光学ズームの使用に依存することなく、ケラレやオーバーラップの領域を含まない画像を撮影することができる。
【0027】
また、ケラレやオーバーラップの領域が検出された際、その旨を通知し、ズームの調整などを促す旨のメッセージなどによりユーザーに通知することにより、立体画像撮影の失敗を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
<第1の実施形態>
【0029】
以下、本発明に係る実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【0030】
図1は、本発明の第1の実施形態の画像抽出トリミング手段1の構成を示すブロック図である。
【0031】
画像抽出トリミング手段1は、カメラの撮像部からの入力画像Iと、ズーム情報もしくはユーザー入力情報を含む外部情報Aを入力とし、トリミングされた出力画像Oを出力する手段であって、無効領域情報作成手段2と、光学ズーム検出手段3と、トリミング手段4から構成されている。
【0032】
ここで、ズーム情報とは、光学ズームが使用されたことを示す情報、ユーザー入力情報とは、無効領域情報作成手段2の再初期化や、無効領域情報の作成終了を指示する情報である。無効領域情報作成手段2は、入力画像I内におけるケラレの領域のような無効な領域の位置を検出し、検出した位置情報を無効領域情報として作成し、作成した無効領域情報、及び、前記無効領域情報作成手段2の動作状態に関する情報である無効領域判定情報Bをそれぞれ出力する手段である。
【0033】
光学ズーム検出手段3は、前記外部情報Aを入力とし、光学ズームが行なわれた際やユーザーの指示に合わせ、制御手段9を通じて無効領域情報作成手段2の初期化や、無効領域情報の作成処理の終了といった制御を行う手段である。
【0034】
トリミング手段4は、無効領域情報作成手段2からの無効領域情報を用いて入力画像Iのトリミングを行い、出力画像Oとして出力する手段である。無効領域判定情報Bについては後述する。
【0035】
また、無効領域情報作成手段2は、入力画像Iを入力とし、無効領域判定情報Bを出力する手段であって、現在の時刻の入力画像と、メモリ7に保存された前の時刻の入力画像との差分をとり、その差分情報を出力する差分手段5と、前記差分情報を用いて、画素毎に、ケラレの領域であるか否かを判定し、ケラレの領域である場合は、無効領域として無効領域情報を作成し、その結果をメモリ8に出力する判定手段6と、差分手段5や、判定手段6、メモリ7、8の初期化を行なう制御手段9から構成されている。
【0036】
本実施形態で述べる撮影装置は、前記画像抽出トリミング手段1を内部に備える電子撮影装置であり、例えば、図9で述べたようなアダプタを装着して撮影する、従来の、光学ズーム機能をもつデジタルカメラや、CCDカメラなどの画像入力部の直後に、前記画像抽出トリミング手段1を備えたものである。本発明のポイントは、撮像素子から入力された画像に対してトリミングを行なう画像抽出トリミング手段1にあり、また、画像抽出トリミング手段1以外の部分に関しては、一般的なデジタルカメラやCCDカメラと同じである。
【0037】
例えば、本発明の撮影装置の全体の構成の一例について、図を用いて簡単に説明する。図14は、本発明の撮影装置の全体の構成について説明するブロック図である。
【0038】
撮影装置19は、画像を撮影し、入力画像Iを出力するCCDなどで構成された撮像手段20と、撮像手段20に対してズームや焦点合わせなどを制御し、ズームが行なわれた際にズーム情報を出力する撮像制御手段21と、ユーザーが外部から入力する情報をユーザー入力として出力するユーザーインタフェース手段22と、ズーム情報とユーザー入力を入力とし、それらを外部情報Aとして出力するトリミング制御手段23と、入力画像Iと外部情報Aを入力とし、ケラレなどの画像の無効領域を抽出し、無効領域に対してトリミングを行い、トリミングした画像として出力画像Oを、また、無効領域の現在の抽出状態を示す無効領域判定情報Bをそれぞれ出力する画像抽出トリミング手段1と、無効領域判定情報Bを入力と出力画像Oを入力とし、無効領域判定情報Bに合わせ、ユーザーに対するメッセージを表示する表示手段24と、出力画像Oを入力とし、カードなどのメディアに圧縮記録する記録手段25と、図示しない全体の手段を制御する制御手段を備えた撮影装置である。
【0039】
また、撮影装置がCCDカメラである場合、表示手段24や記録手段25が無く、代わりに画像Oを出力画像信号として出力する画像信号出力手段を備えており、この画像信号出力手段において、無効領域判定情報Bに合わせたユーザーに対するメッセージを出力画像信号上に追加した画像を、新たな出力画像信号として出力する。
【0040】
次に、画像抽出トリミング手段1の動作についてフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0041】
図2は、本実施形態における画像抽出トリミング手段1の動作を示すフローチャートである。
【0042】
以下のフローチャートでは、画像抽出トリミング制御手段1と画像抽出トリミング手段1の全ての手段は全て接続されており、判定ステップにおける全ての判定結果や情報は、画像抽出トリミング手段1の全ての手段に対して伝達可能であるものとする。
【0043】
ステップS1において、撮影装置の電源がONにされ、ステップS2へ進む。
【0044】
ステップS2において、無効領域情報作成手段2の初期設定が行なわれる。制御手段9は、判定手段6を制御して、判定手段6の出力する無効領域判定情報BがINITになるように設定する。これは、無効領域情報作成手段2が初期化された状態であることを示す。また、制御手段9は、メモリ7上に入力画像サイズ分の領域を無効領域情報のための領域として確保し、確保した値を全て0クリアする。さらに、制御手段9は、メモリ8上に、入力画像サイズ分の領域を無効領域情報として確保し、確保した値をすべて0で初期化する。さらに、制御手段9は、累積カウント数Dを0に初期化した後、判定ステップS3へ進む。
【0045】
判定ステップS3において、画像抽出トリミング手段1は、画像が入力されたか否かを判定し、入力された場合(ステップS3;YES)は、判定ステップS4へ、そうでない場合は、判定ステップS3に戻る(ステップS3;NO)。
【0046】
判定ステップS4において、画像抽出トリミング手段1は、無効領域判定情報BがINITであるか否かを判定し、INITである場合(ステップS;YES)はステップS5へ、そうでない場合は判定ステップS7へそれぞれ進む(ステップS;NO)。
【0047】
ステップS5において、無効領域情報作成手段2は、現在入力されている入力画像を差分手段5を通じてメモリ7に保存し、ステップS6に進む。
【0048】
ステップS6において、画像抽出トリミング手段1は、無効領域判定情報BをCONTINUEに設定する。これは、無効領域情報作成手段2が判定を行なう状態であることを示す。ステップS3に戻る。
【0049】
判定ステップS7において、画像抽出トリミング手段1は、無効領域判定情報BがFINISHであるか否かを判定し、FINISHである場合(ステップS7;YES)はステップS8へ、そうでない場合はステップS14へそれぞれ進む(ステップS7;NO)。
【0050】
ステップS8において、トリミング手段4は、無効領域情報作成手段2からの無効領域情報を用いて入力画像Iに対してトリミングを行い、出力画像Oとして出力し、ステップS9へ進む。
【0051】
このときのトリミング手段4におけるトリミングの方法として、出力画像Oが、無効領域を含まないような最大の大きさの矩形画像となるようにしてトリミングを行なう。
【0052】
また、別のトリミングの方法として、出力画像O、無効領域でない領域をすべて含むような最大の大きさの矩形画像となるようにしてトリミングを行なうようにしてもよい。さらにこのとき、無効領域の部分は所定の画像、例えば、黒色の画像などで埋めて出力画像Oを作成してもよい。
【0053】
ステップS9において、画像抽出トリミング手段1は、光学ズーム検出手段3に外部情報Aが入力されたか否かを判定し、入力された場合(ステップS9;YES)は判定ステップS10へ進み、そうでない場合はステップS3へ戻る(ステップS9;NO)。
【0054】
判定ステップS10において、光学ズーム検出手段3は、外部情報Aが光学ズームの使用を示すズーム情報であるか否かを判定し、外部情報Aが光学ズームの使用を示すズーム情報である場合(ステップS10;YES)は、ステップS2へ戻り、そうでない場合はステップS11へ進む(ステップS10;NO)。
【0055】
判定ステップS11において、光学ズーム検出手段3は、外部情報Aが無効領域情報作成手段の再初期化を指示するユーザー入力情報であるか否かを判定し、外部情報Aが無効領域情報作成手段の再初期化を指示するユーザー入力情報である場合(ステップS11;YES)はステップS2へ戻り、そうでない場合は判定ステップS12へ進む(ステップS11;NO)。
【0056】
判定ステップS12において、光学ズーム検出手段3は、外部情報Aが無効領域情報の作成終了を指示するユーザー入力情報であるか否かを判定し、外部情報Aが無効領域情報の作成終了を指示するユーザー入力情報である場合(ステップS12;YES)はステップS13へ進み、そうでない場合はステップS3へ戻る(ステップS12;NO)。
【0057】
ステップS13において、画像抽出トリミング手段1は、無効領域判定情報BをFINISHに設定する。これは、無効領域情報作成手段2が判定を終えた状態であることを示す。無効領域判定情報Bの設定後、ステップS3へ戻る。
【0058】
ステップS14において、無効領域情報作成手段2は、ケラレの抽出を行い、無効領域情報を作成する。このときの無効領域情報作成手段2の動作については、図3のフローチャートを用いてさらに詳細に説明する。
【0059】
図3は、本実施形態の無効領域情報作成手段2の動作を示すフローチャートである。
【0060】
ステップS15において、差分手段5は、入力画像Iとメモリ7に保存されている前の入力画像とで差分を取り、結果を判定手段6に伝送し、ステップS16へ進む。
【0061】
ステップS16において、判定手段6は、各画素の差分の結果が、所定の閾値T1以下なら0、そうでなければ1を、メモリ8に保存されている無効領域情報の対応する画素の位置のデータにそれぞれORするようにして、判定手段6は無効領域情報を更新する。このようにして、差分値が閾値T1以下の領域は、現在の入力画像と前の時刻の入力画像の間で動きが無い領域を表す0の値となり、逆に動きのある領域は1の値となる。
【0062】
このとき、無効領域情報の所定の領域の値が0から1に変化しなかった部分が無かった場合、判定手段6は、累積カウント数Dを1インクリメントする。上記所定の領域とは、例えば、図10のケラレ111のような、元の画像領域の上下端からそれぞれ所定画素以内にある領域や、左右端からそれぞれ所定画素以内にある領域、また、各視点の画像の境界の中心から所定画素以内にある領域などを示す。
【0063】
ここで、無効領域情報の所定の領域の値が0から1に変化しないことは、動きのある領域が新たに発生しなかったことを示す。よって、累積カウント数Dの数値が増加するに従い、動きの無い領域であるケラレの領域が全て検出された可能性も増加する。
【0064】
判定ステップS17において、判定手段6は、無効領域情報の値が全て1であるか否かを判定し、全て1であれば(ステップS17;YES)、ステップS18へ、そうでなければ、判定ステップS19へ進む(ステップS17;NO)。
【0065】
ステップS18において、無効領域情報の値が全て1であり、これは全ての領域に動きが発生していることを意味しているため、アダプタ枠は写っておらず、ケラレがないと、判定手段6は判定し、無効領域判定情報BをFINISHに設定し、ステップS14は終了する。
【0066】
判定ステップS19において、判定手段6は、累積カウント数Dが閾値T2以下であるか否かを判定し、閾値T2以下である場合(ステップS19;YES)は、ステップS20へ、そうでない場合は、ステップS22へ進む(ステップS19;NO)。
【0067】
ステップS20において、累積カウント数Dが閾値T2以下であるため、まだ検出しきれていないケラレ領域が存在する可能性があるため、アダプタの枠はあり、つまりケラレが発生し、かつ検出を終えていないと、判定手段6は判定して、無効領域判定情報BをCONTINUEに設定し、ステップS21に進む。
【0068】
ステップS21において、画像抽出トリミング手段1は、メモリ7に保存されている前の時刻の画像を現在の入力画像に置き換え、ステップS14は終了する。
【0069】
ステップS22において、累積カウント数Dが閾値T2を越えているため、ケラレの検出を何度も行なったが、これ以上の新たなケラレ領域は発生せず、アダプタの枠はあり、つまりケラレが発生し、かつ検出を終えたと判定手段6は判定して、無効領域判定情報BをFINISHに設定し、ステップS14は終了する。
【0070】
ステップS14終了後は、図2の通りステップS9へ進む。
【0071】
以上のようにすることにより、本発明の撮影装置によれば、時刻の異なる入力画像間の差分を用いて動き検出を行なうことにより、画像領域内のケラレの領域を自動的に抽出し、抽出した領域に対してトリミングするため、ケラレの領域を含まない画像を撮影することができる。
【0072】
また、無効領域判定情報BがINITであれば検出開始、CONTINUEであれば検出中、FINISHであれば検出終了の旨を通知するメッセージを表示手段に出力してもよく、また、ブザーや警告ランプなどによりユーザーに通知しても構わない。
【0073】
また、本実施形態は、説明の簡略化のために2視点の場合について述べたが、これらの実施形態はすべて3視点以上の場合であってもケラレの領域の位置が変化するだけであって、同じ構成で対応可能である。
【0074】
また、本実施形態では、ケラレの領域を無効領域とし、無効領域情報を用いてトリミングを行なうようにしたが、ケラレの領域が検出された時点で、入力画像にケラレの領域が存在するので、ケラレの領域がなくなるようにズームを調整するようユーザーに通知する旨のメッセージを表示してもよい。このときのズームの調整を促すメッセージとして、例えば、ズームをテレ端にすることを促す旨のメッセージなどが挙げられる。
【0075】
また、トリミングに用いる無効領域情報は、光学ズームが使用されるたびに初期化し、作成しなおすことにより、光学ズームの倍率の変化が原因で発生するケラレの領域の変化に合わせて、適応的にトリミング位置を変更するため、ケラレの領域を含まない画像を撮影することができる。
【0076】
また、無効領域情報作成手段2は、光学ズームが使用されるたびに初期化し、無効領域情報を作成することにより、光学ズームの倍率の変化が原因で発生するケラレの領域の変化に合わせて、適応的にトリミング位置を変更するため、ケラレの領域を含まない画像を撮影することができる。
【0077】
また、無効領域情報作成手段2は、ユーザーからの外部入力により初期化と無効領域情報の作成開始を行なえるため、異なる種類のアダプタに変更したり、アダプタを付け直したりすることなどにより、ケラレの領域の変化した場合にも対応することができる。
<第2の実施形態>
【0078】
以下、本発明の第2の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【0079】
図4は、本発明の第2の実施形態に係る画像抽出トリミング手段10の構成を示すブロック図である。
【0080】
画像抽出トリミング手段10は、光学ズーム検出手段3と、トリミング手段4と、無効領域情報作成手段11とから構成されており、無効領域情報作成手段11は、上記第1の実施形態で説明した無効領域情報作成手段2に、色補正手段12を追加した構成である。よって、図4の光学ズーム検出手段3と、トリミング手段4、差分手段5、判定手段6、メモリ7、メモリ8、判定制御手段9は、第1の実施形態で説明したものと同じ動作をするものであるため、同じ番号を用いており、それらの手段の説明は省略する。
【0081】
また、色補正手段12は、入力画像Iと、第1の実施形態で説明した無効領域情報作成手段2で作成したものと同様に作成した無効領域情報をそれぞれ入力とし、入力画像Iが所定の色と異なる場合に無効領域情報を1に変化させる、つまり、入力画像の色が想定するアダプタ枠の色と一致しない場合は、誤検出であると判定し、その領域がアダプタ枠ではない領域であるということを示す値に、無効領域情報の値を補正する手段であり、以下、色補正手段12の動作について図5に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0082】
図5は、第2の実施形態に係る色補正手段12の動作を示すフローチャートである。
【0083】
ステップS30は、色補正手段12の全ての動作を含んだステップである。
【0084】
図2の画像抽出トリミング手段1の動作を示すフローチャート上のステップS7とS8の間にこのステップ30を新たに追加したものが、画像抽出トリミング手段10の動作を示すフローチャートとなる。
【0085】
次にステップS30の内容について説明する。
【0086】
ステップS31において、色補正手段12は、所定の色、例えば黒色などを、ケラレの領域であるアダプタ枠の色の値であるアダプタ色想定値とする。
【0087】
判定ステップS32において、色補正手段12は、無効領域情報の値が1であるか否かの判定を行い、1であれば(ステップS32;YES)、ステップS33へ進み、そうでなければ、判定ステップS36に進む(ステップS32;NO)。
【0088】
ステップS33において、色補正手段12は、入力画像Iの色の値からアダプタ色想定値を引いた値の絶対値Eの計算を行い、判定ステップS34へ進む。
【0089】
判定ステップS34において、色補正手段12は、絶対値Eが閾値T3以下であるか否かを判定し、T3以下であれば(ステップS34;YES)、ステップS35へ、そうでなければ、判定ステップS36に進む(ステップS34;NO)。
【0090】
ステップS35において、色補正手段12は、現在の位置の無効領域情報の値を0にして、判定ステップS36に進む。
【0091】
判定ステップS36において、色補正手段12は、色による無効領域情報に対する補正の処理を全ての画素に対して行なったかを判定し、行なった場合は、ステップS30を終了し(ステップS36;YES)、そうでなければステップS32に戻る(ステップS36;NO)。
【0092】
以上のようにすることにより、本発明の撮影装置によれば、時刻の異なる入力画像間の差分を用いて動き検出を行なうことにより、画像領域内のケラレの領域を自動的に抽出する際に、ケラレの領域でない領域がケラレの領域として誤って検出された場合であっても、抽出領域にさらに色補正を行った後、トリミングを行なうため、ケラレの領域を含まない画像を撮影することができ、かつ、その際の切り取られるケラレの領域の誤検出を防ぐことができる。
【0093】
また、本実施形態は、説明の簡略化のために2視点の場合について述べたが、上記実施形態は、すべて3視点以上の場合であってもケラレの領域の位置が変化するだけであって、アダプタ枠の色は変化しないため、同じ構成で対応可能である。
<第3の実施形態>
【0094】
以下、本発明に係る第3の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。図6は、第3の実施形態に係る画像抽出トリミング手段13の構成を示すブロック図である。
【0095】
画像抽出トリミング手段13は、光学ズーム検出手段3と、トリミング手段4と、無効領域情報作成手段14とから構成されており、上記第1の実施形態で説明した無効領域情報作成手段2と無効領域情報作成手段14を入れ替えた構成となっている。よって、図4の光学ズーム検出手段3と、トリミング手段4は、第1の実施形態で説明したものと同じ動作をするものであるため、同じ番号を用いており、それらの手段の説明は省略し、無効領域情報作成手段14の動作についてのみ説明を行なう。
【0096】
無効領域情報作成手段14は、入力画像Iを入力とし、無効領域判定情報Fを出力する手段であって、入力画像の左半分における色成分の平均値MLと、右半分における色成分の平均値MRをそれぞれ求める色抽出手段15と、入力画像の左半分の各画素に対してMRとの差分を求め、前記差分が閾値以下である画素をオーバーラップ領域とし、また、入力画像の右半分の各画素に対してMLとの差分を求め、前記差分が閾値以下である画素をオーバーラップ領域として、このオーバーラップ領域を無効領域として無効領域情報Fを作成し、その結果をメモリ17に出力する判定手段16と、色抽出手段15や、判定手段16、メモリ17の初期化を行なう制御手段18から構成されている。
【0097】
以下、画像抽出トリミング手段13の動作についてフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0098】
図7は、本実施形態に係る画像抽出トリミング手段13の動作を示すフローチャートである。
【0099】
ステップS40において、電源がオンされ、ステップ41に進む。
【0100】
ステップS41において、無効領域情報作成手段14の初期設定が行なわれる。制御手段18は、判定手段16を制御して、判定手段16の出力する無効領域判定情報Fの値がINITになるように設定する。これは、無効領域情報作成手段14が既に初期化され、オーバーラップ領域の抽出を開始する準備ができた状態であることを示す。また、制御手段18は、メモリ17上に入力画像サイズ分の領域を無効領域情報のための領域として確保し、確保した値を全て1にする。さらに、制御手段18は、累積カウント数Gを0に初期化した後、判定ステップS42へ進む。
【0101】
ステップS42において、画像抽出トリミング手段13は、画像が入力されたか否かを判定し、入力された場合(ステップS42;YES)は判定ステップS43へ、そうでない場合は判定ステップS42に戻る(ステップS42;NO)。
【0102】
判定ステップS43において、画像抽出トリミング手段13は、無効領域判定情報FがFINISHであるか否かを判定し、FINISHである場合(ステップS43;YES)は、判定ステップS44へ、そうでない場合はステップS50へそれぞれ進む(ステップS43;NO)。
【0103】
ステップS44において、トリミング手段4は、無効領域情報作成手段14からの無効領域情報を用いて入力画像Iに対してトリミングを行い、出力画像Oとして出力し、判定ステップS45へ進む。
【0104】
判定ステップS45において、画像抽出トリミング手段13は、光学ズーム検出手段3に外部情報Aが入力されたか否かを判定し、入力された場合(ステップS45;YES)は、判定ステップS46へ進み、そうでない場合はステップS42へ戻る(ステップS45;NO)。
【0105】
判定ステップS46において、光学ズーム検出手段3は、外部情報Aが光学ズームの使用を示すズーム情報であるか否かを判定し、外部情報Aが光学ズームの使用を示すズーム情報である場合(ステップS46;YES)は、ステップS41へ戻り、そうでない場合はステップS47へ進む(ステップS46;NO)。
【0106】
判定ステップS47において、光学ズーム検出手段3は、外部情報Aが無効領域情報作成手段の再初期化を指示するユーザー入力情報であるか否かを判定し、外部情報Aが無効領域情報作成手段の再初期化を指示するユーザー入力情報である場合はステップS41へ戻り(ステップS47;YES)、そうでない場合はステップS48へ進む(ステップS47;NO)。
【0107】
判定ステップS48において、光学ズーム検出手段3は、外部情報Aが無効領域情報の作成終了を指示するユーザー入力情報であるか否かを判定し、外部情報Aが無効領域情報の作成終了を指示するユーザー入力情報である場合はステップS49へ進み(ステップS48;YES)、そうでない場合はステップS42へ戻る(ステップS48;NO)。
【0108】
ステップS49において、画像抽出トリミング手段13は、無効領域判定情報FをFINISHに設定する。これは、無効領域情報作成手段14が判定を終えた状態であることを示す。無効領域判定情報Fの設定後、ステップS42へ戻る。
【0109】
判定ステップS50において、画像抽出トリミング手段13は、無効領域判定情報Fの値がINITであるかを判定し、INITである場合はステップS51へ進み(ステップS50;YES)、そうでない場合はステップS52へ進む(ステップS50;NO)。
【0110】
ステップS51において、画像抽出トリミング手段13は、アダプタの外側の左右の入射部に、それぞれの視点ごとに色が異なるフィルタをつける、例えば赤と青のセロファンを張るといったことを促すメッセージを表示する旨の情報を図示しない本実施形態の撮影装置の表示手段や、画像信号出力手段に伝送し、ユーザーに対して、このメッセージを表示する。その後、無効領域判定情報Fの値をCONTINUEに変更し、ステップS52に進む。またこのときのFの値は、画像抽出トリミング手段13がオーバーラップ領域を抽出中であるということを示す。
【0111】
ステップS52において、無効領域情報作成手段14は、左右の画像のそれぞれがオーバーラップしている領域の抽出を行い、そのオーバーラップ領域を無効領域として無効領域情報を作成し、作成が終了した場合は、無効領域判定情報Fの値をFINISHに変更する。このときのステップS52における無効領域情報作成手段14の動作については、別のフローチャートを用いてさらに詳細に説明する。
【0112】
図8は、本発明に係る第3の実施形態の無効領域情報作成手段14の動作を示すフローチャートである。
【0113】
ステップS53において、色抽出手段15は、入力画像Iの左半分と右半分のそれぞれの領域を左領域と右領域とし、左領域全体の画素に対する色成分の平均値MLと、右領域全体の画素に対する色成分の平均値MRを求め、判定手段16にそれぞれを伝送し、ステップS54に進む。
【0114】
ステップS54において、判定手段16は、左領域の各画素と、この左領域に隣接する領域である右領域全体の画素の平均値MRと差分の絶対値を取り、その値が閾値T4以下であるか否かを判定し、閾値T4以下である場合はステップS55に進み(ステップS54;YES)、そうでない場合はステップS56に進む(ステップ54;NO)。
【0115】
ステップS55において、判定手段16は、左領域の画素の値と、右領域全体の画素に対する色成分の平均値MRの差がないことは、左領域にあるこの画素の位置に、右領域の画像が結像していることを意味し、よってこの画素は、オーバーラップ領域の画素であると判定し、メモリ17上の無効領域情報の対応する位置の画素のデータに0をANDするようにして、判定手段16は無効領域情報を更新する。
【0116】
このようにして、差分値が閾値T4以下の領域は、オーバーラップ領域を表す0の値となり、逆にT4より大きい領域は、オーバーラップ領域でない領域を表す1の値となる。次にステップS56に進む。
【0117】
ステップS56において、判定手段16は、右領域の各画素と、この右領域に隣接する領域である左領域全体の画素の平均値MLと差分の絶対値を取り、その値が閾値T5以下であるか否かを判定し、閾値T5以下である場合はステップS57に進み(ステップS56;YES)、そうでない場合はステップS58に進む(ステップS56;NO)。
【0118】
ステップS57において、判定手段16は、右領域の画素の値と、左領域全体の画素に対する色成分の平均値MLの差が無いことは、右領域にあるこの画素の位置に、左領域の画像が結像していることを意味し、よってこの画素はオーバーラップ領域の画素であると判定し、メモリ17上の無効領域情報の対応する位置の画素のデータに0をANDするようにして、判定手段16は無効領域情報を更新する。
【0119】
このようにして、差分値が閾値T5以下の領域は、オーバーラップ領域を表す0の値となり、逆に差があり、オーバーラップ領域でないと判定された領域は1の値となる。次に、ステップS58に進む。
【0120】
ステップS58において、判定手段16は、累積カウント数Gを1インクリメントし、ステップS59に進む。ここで累積カウント数Gとは、オーバーラップ領域の抽出ができた否かに関わらず、抽出処理を行なった回数を示す。
【0121】
ステップS59において、判定手段16は、累積カウント数Gが閾値T6以上であるかを判定し、T6以上である場合はステップS60へ進み(ステップS59;YES)、そうでない場合はステップS52を終了する(ステップS59;NO)。
【0122】
ステップS60(ステップS;YES)において、累積カウント数Gが閾値T6以上であるため、オーバーラップ領域の抽出を既に何度も繰り返して行なっており、これ以上、その抽出をする必要が無いと、判定手段16は判断し、無効領域判定情報Fの値をFINISHに変更する。このときのFの値がFINISHであることは、画像抽出トリミング手段13においてオーバーラップ領域の抽出が終了したことを意味する。その後、ステップS52を終了する。
【0123】
以上のようにすることにより、本発明の撮影装置によれば、入力画像間の色の違いを用いて、異なる視点の画像間でオーバーラップしている領域の検出を行なうことにより、画像領域内のオーバーラップの領域を自動的に抽出し、抽出した領域に対してトリミングするため、オーバーラップの領域を含まない画像を撮影することができる。
【0124】
また、無効領域判定情報FがINITであれば、検出開始、CONTINUEであれば検出中、FINISHであれば検出終了の旨を通知するメッセージを表示手段に出力してもよく、また、ブザーや警告ランプなどによりユーザーに通知しても構わない。
【0125】
また、上記のステップS58で述べた累積カウント数Gは、抽出ができた回数をカウントしてもよく、さらに、左右それぞれで2種類の累積カウント数を個別にカウントしても構わない。
【0126】
例えば、ステップS54やS56のあとに、それぞれに相当する累積カウント数をカウントする処理を行い、各累積カウント数に閾値を設定し、各累積カウント数が各閾値以下であれば、無効領域判定情報FをFINISHにするようにしても構わない。
【0127】
また、本実施形態では、説明の簡略化のために2視点の場合について述べたが、これらの実施形態はすべて3視点以上の場合であっても容易に適用可能である。例えば、異なる視点の入射部に異なる色のフィルタをつけ、隣接する2つの領域で、オーバーラップする領域を抽出すればよい。
【0128】
また、本実施形態では、オーバーラップする領域を無効領域とし、無効領域情報を用いてトリミングを行なうようにしたが、オーバーラップの領域が検出された時点で、オーバーラップの領域が存在するので、オーバーラップの領域がなくなるようにズームを調整するようユーザーに通知する旨のメッセージを表示してもよい。このときのズームの調整を促すメッセージとして、例えば、ズームをワイド端にすることを促す旨のメッセージなどが挙げられる。
【0129】
また、光学ズームが使用されて、その倍率が変更されるたびに、トリミングに用いる無効領域情報を初期化し、作成しなおすことにより、光学ズームの倍率の変化が原因で発生するオーバーラップの領域の変化に合わせて、適応的にトリミング位置を変更するため、光学ズームの倍率に依存せずに、オーバーラップの領域を含まない画像を撮影することができる。
【0130】
また、無効領域情報作成手段2は、ユーザーからの外部入力により初期化と無効領域情報の作成開始を行なえるため、異なる種類のアダプタに変更したり、アダプタを付け直したりすることなどにより、オーバーラップの領域の変化した場合にも対応することができる。
【0131】
また、上記第1から第3の実施形態における撮影装置は、無効領域を自動的にトリミングするとしたが、トリミングを行なわずに、入力画像内の無効領域の色を特定の色で表示手段に表示するだけでもよい。このとき、トリミングを行なうか否かをユーザーが外部からボタン操作などで決定しても構わない。
【0132】
また、上記第1から第3の実施形態における画像抽出トリミング手段は、トリミングされた出力画像Oを出力することを述べたが、トリミングされた出力画像Oの代わりに、作成した無効領域情報と、入力画像Iを出力画像Oとして出力してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像抽出トリミング手段の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る画像抽出トリミング手段の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る無効領域情報作成手段2の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る画像抽出トリミング手段10の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る色補正手段12の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る画像抽出トリミング手段13の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る画像抽出トリミング手段13の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る無効領域情報作成手段14の動作を示すフローチャートである。
【図9】従来のミラー式アダプタとそれを装着した電子カメラの構成例を示す図である。
【図10】ケラレが発生する場合の画像の一例を示す図である。
【図11】オーバーラップが発生する場合の画像の一例を示す図である。
【図12】フィールドシーケンシャル方式を説明するための概念図である。
【図13】パララックスバリア方式を説明するための概念図である。
【図14】本発明の第1の実施形態に係る撮影装置の全体の構成について説明するブロック図である。
【符号の説明】
【0134】
1、10、13 画像抽出トリミング手段
2、11、14 無効領域情報作成手段
3 光学ズーム検出手段
4 トリミング手段
5 差分手段
6、16 判定手段
7、8、17 メモリ
9、18 制御手段
12 色補正手段
15 色抽出手段
20 撮像手段
21 撮像制御手段
22 ユーザーインタフェース手段
23 トリミング制御手段
24 表示手段
25 記録手段
100 カメラ本体
101、102、105、106 ミラー
103 レンズ
104 撮像素子
107 画像
108 ミラー式ステレオアダプタ
109、112 左眼用の画像
110、113 右眼用の画像
111 ケラレ
114 オーバーラップ領域
200 画像表示パネル
201 パララックスバリア
202 左眼
203 右眼


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラーやプリズムを備えたアダプタを用いて、少なくとも1つ以上の異なる視点の画像を1枚の立体画像として撮影する画像撮影装置において、
前記立体画像撮影時に、光学ズームが使用されたか否かを検出し、その検出結果を示す光学ズーム情報を出力する光学ズーム検出手段と、
入力画像に対して指定した無効領域を含まないようにトリミングを行なうことを示す無効領域情報を出力する無効領域情報作成手段と、
前記無効領域情報を用いて入力画像に対してトリミングを行なうトリミング手段と、
を備えることを特徴とする画像撮影装置。
【請求項2】
前記無効領域情報作成手段は、前記光学ズーム情報が光学ズームの使用を検出したことを示した場合に、初期化を行い、新たに前記無効領域情報を作成することを特徴とする請求項1に記載の画像撮影装置。
【請求項3】
前記無効領域情報作成手段は、異なる時刻に撮影した複数の入力画像を用いて動きの有無を検出し、動きの無い領域を無効領域とした無効領域情報を出力することを特徴とする請求項1に記載の画像撮影装置。
【請求項4】
前記無効領域情報作成手段は、少なくとも1つ以上の入力画像と、前記無効領域情報を用いて、入力画像の無効領域に含まれる画素の色が所定の色で無い場合、その画素が無効領域でなくなるように前記無効領域情報を変更する色補正手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像撮影装置。
【請求項5】
前記無効領域情報作成手段は、アダプタから入射される複数の異なる視点の画像の境界において、隣り合う視点の画像毎に色の平均を求め、一方の視点の画像の色の平均と、他方の視点の画像の画素の色毎に差の値を求め、前記差の値が所定の値以下である場合、その画素は、隣り合う視点の画像が互いにオーバーラップするオーバーラップ領域であると判定して、前記オーバーラップ領域を無効領域とした無効領域情報と出力することを特徴とする請求項1に記載の画像撮影装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−13609(P2006−13609A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−183792(P2004−183792)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】