多角形テーブル及び同多角形テーブルの天板製造方法
【課題】天板が無垢材であっても、経年的な天板構成板に発生する反りによって、天板構成板同士の継ぎ目に隙間が生じたり、継ぎ目先端部分が開いてしまったりすることのない多角形テーブルを提供する。
【解決手段】平面視等脚台形形状とした無垢材からなる天板構成板4が平面方向に複数個環状に接続され、中央に多角形の空間11が形成された天板3を備える多角形テーブル1であって、天板3は、天板構成板4の互いに非平行な対辺を構成する接続辺43が、その略中央を凹ませた緩やかな弧状に形成されており、天板構成板4の隣接する接続辺43,43同士の略中央位置を連結軸体(ボルト5)で連結した構成とする。
【解決手段】平面視等脚台形形状とした無垢材からなる天板構成板4が平面方向に複数個環状に接続され、中央に多角形の空間11が形成された天板3を備える多角形テーブル1であって、天板3は、天板構成板4の互いに非平行な対辺を構成する接続辺43が、その略中央を凹ませた緩やかな弧状に形成されており、天板構成板4の隣接する接続辺43,43同士の略中央位置を連結軸体(ボルト5)で連結した構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面視等脚台形形状とした天板構成板が平面方向に複数個環状に接続され、中央に多角形の空間が形成された多角形テーブル及び同多角形テーブルの天板製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、八角形などの多角形で、中央に加熱装置などを収容可能な空間部が形成された天板を有し、全体の風合いが民芸調となっている木製テーブルがある。かかる木製テーブルの天板は、通常、平面視等脚台形形状とした天板構成板を平面方向に複数個環状に接続して構成するのであるが、その構造としては、天板構成板同士を跨ぐように、所謂「契り」と呼ばれる接続用木片を天板表面側から埋設して天板構成板同士を連結することが多い(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
天板の表面に現れる連結用木片は、それ自体が民芸調の風合いを出すための模様ともなるため、この種のテーブル用天板には欠かせないが、頑丈な天板であればあるほど、連結用木片のみでは連結強度が弱くなってしまう。したがって、連結用木片は補助的な連結手段として、主たる連結手段として、例えばボルトなど連結軸体で強固に連結する方法が採用されることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−014454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ボルトで連結したとしても、例えば天板が無垢材の場合、経年的に天板構成板に反りが生じたりして、天板構成板同士の継ぎ目に隙間が生じたり、継ぎ目先端部分が開いてしまったりすることがあった。これでは、耐久財としての価値が損なわれてしまう。
【0006】
また、多角形テーブルの製造量を一定に保持できるように、十分量の無垢材を確保することができない場合は集成材を用いることがあるが、集成材も同じような構造とすると、費用対効果の面から望ましくない。
【0007】
本発明は、上述したような課題を解決することのできる多角形テーブル及び同多角形テーブルの天板製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明では、平面視等脚台形形状とした無垢材からなる天板構成板が平面方向に複数個環状に接続され、中央に多角形の空間が形成された天板を備える多角形テーブルであって、前記天板は、前記天板構成板の互いに非平行な対辺を構成する接続辺が、その略中央を凹ませた緩やかな弧状に形成されており、前記天板構成板の隣接する前記接続辺同士の略中央位置を連結軸体で連結して構成していることとした。
【0009】
(2)本発明は、上記(1)の多角形テーブルにおいて、前記天板構成板の裏面に、当該天板構成板と略相似形の凹部を形成し、当該凹部における前記天板構成板の前記接続辺に対応した側壁面に当接するように、前記連結軸体の座金を兼ねる天板反り防止板を配設したことを特徴とする。
【0010】
(3)本発明は、上記(2)の多角形テーブルにおいて、前記天板反り防止板を断面視略L字状に形成したことを特徴とする。
【0011】
(4)本発明は、上記(1)〜(3)のいずれかの多角形テーブルにおいて、前記天板の表面側で、かつ前記連結軸体を挟む位置に、前記天板構成板同士の連結を補助するひょうたん形状の連結用木片を当該天板構成板同士を跨ぐように埋設したことを特徴とする。
【0012】
(5)本発明では、上記において、平面視等脚台形形状とした天板構成板が平面方向に複数個環状に接続され、中央に多角形の空間が形成された多角形テーブルの天板製造方法であって、前記天板構成板が無垢材の場合、前記天板構成板の互いに非平行な対辺を構成する接続辺を、その略中央を凹ませた緩やかな弧状に形成するとともに、天板構成板の裏面に、当該天板構成板と略相似形の凹部を形成し、当該凹部における前記天板構成板の前記接続辺に対応した側壁面に当接するように、連結軸体の座金を兼ねる天板反り防止板を配設して、前記天板構成板の隣接する前記接続辺同士の略中央位置を連結軸体で連結する一方、前記天板構成板が多層構造からなる集成材の場合、互いに隣り合う天板構成板の互いに非平行な対辺を構成する接続辺同士を、所定の間隔をあけて複数の連結軸体で連結することとした。
【0013】
(6)本発明は、上記(5)の多角形テーブルの天板製造方法において、前記天板の表面側で、かつ前記連結軸体を挟む位置に、前記天板構成板同士の連結を補助するひょうたん形状の連結用木片を当該天板構成板同士を跨ぐように埋設することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、無垢材からなる天板構成板を平面方向に複数個環状に接続して構成した天板における、天板構成板同士の継ぎ目部分に間隙が生じたり、継ぎ目の先端部分が開いてしまったりすることを防止でき、長期に亘って商品価値を維持することが可能となる。また、天板に無垢材を用いる場合と集成材を用いる場合とで製造方法を変えることにより、原材料の量の多寡に関わらず、費用対効果に見合った商品の安定供給が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の1実施形態に係るテーブルの斜視図である。
【図2】同テーブルの平面図である。
【図3】同テーブルの底面図である。
【図4】天板構成板の連結構造を示す模式的説明図である。
【図5】カバー板の説明図である。
【図6】図2のA−A断面図である。
【図7】他の実施形態に係るテーブルに用いられる天板反り防止板の説明図である。
【図8】天板構成板の連結構造の変形例を示す断面視のよる説明図である。
【図9】集成材を用いたテーブルの天板構成板の連結構造を示す説明図である。
【図10】図9のB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る多角形テーブルの一実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1に示すように、本実施形態に係る多角形テーブル1(以下、単に「テーブル」とする場合がある)は、八角形の天板3を有するものとしている。
【0017】
このテーブル1は、基台となる脚体2上に平面視八角形の天板3を載置しており、天板3の中央には、例えば、加熱装置(図示せず)などを収容可能とした空間11が形成されている。なお、本実施形態における脚体2は八角形状とした胴部に8つの脚を八方に取付けた構成としているが、その形状は適宜変更して構わない。
【0018】
また、本実施形態に係るテーブル1は、桜材を用いた木製品であり、表面にセピア系のウレタン塗装あるいはポリウレタン塗装を施して、格調高い民芸品のような風合いを醸し出している。
【0019】
本実施形態に係るテーブル1の意匠的な特徴をなす八角形の天板3は、図1〜図3に示すように、平面視等脚台形形状とした天板構成板4を平面方向に8個環状に接続して構成されている。
【0020】
天板構成板4は、桜材からなる1枚の無垢材で形成されており、互いに平行な短辺41及び長辺42と、互いに同長さであって非平行な1組の接続辺43,43を有し、短辺41が内側に、長辺42が外側になるようにして、8枚の天板構成板4を、その接続辺43,43同士を連結していくことで、八角形の空間11が中央に形成された八角形の外形を有する天板3が形成されている。
【0021】
すなわち、天板構成板4の互いに非平行な対辺をなす接続辺43,43は、上述したように、隣接する天板構成板4同士との接続部をなすものであり、かかる接続辺43同士を互いに突き合わせた状態とし、これら接続辺43,43同士の略中央位置を連結軸体であるボルト5で連結して天板3を構成するのである。
【0022】
上述したように、天板3を構成する天板構成板4は、桜材からなる1枚の無垢材で形成されているため、経年的に反りが生じるおそれがある。
【0023】
そこで、本実施形態では、図4に示すように、隣接する天板構成板4同士との接続部となる接続辺43を、その略中央を凹ませた緩やかな弧状に形成し、隣接する天板構成板4同士において、かかる弧状に形成された対向する接続辺43,43の略中央をボルト5とナット51で強固に連結している。
【0024】
さらに、接続辺43をなす天板構成板4の端面にほぞ穴46を形成し、このほぞ穴46に継手片13を嵌装させた仕口構造を備えている。
【0025】
かかる構成により、隣接する天板構成板4同士は、接続辺43の両端部間がより強固に密着することになり、天板構成板4に反りが生じたりした場合でも、接続辺43同士による継ぎ目に間隙が生じたり、特に接続辺43,43の両端部間が開いてしまったりすることがなく、長期に亘って高品質を維持することができる。
【0026】
なお、図4においては、理解を容易にするために、継手片13を省略するとともに、接続辺43の湾曲度合いを大きく表しているが、実際の湾曲度合いは、最深部で1mm程度の凹みとなるような弧状となっている。
【0027】
ここで、本実施形態に係る天板構成板4同士の連結構造について、より具体的に説明する。図2及び図6に示すように、隣接する天板構成板4同士は、弧状に形成した接続辺43,43同士を突き合わせるとともに、両者間に継手片13を介在させた仕口構造と、上述したボルト5と、さらに、図3に示すように、天板構成板4の表面側に設けた所謂「契り」と呼ばれる連結用木片14とを用いた強固な連結構造としている。
【0028】
図2及び図6に示すように、天板構成板4,4間にボルト5を嵌装するために、天板構成板4の各裏面に所定深さの凹部44を設けている。この凹部44は、天板構成板4の外形と略相似形であり、この凹部44において、接続辺43,43に対応した側壁面45,45にボルト挿通孔15がそれぞれ穿設されている。そして、このボルト挿通孔15と対応するボルト孔61を設けた天板反り防止板6を、側壁面45に当接するように配設してボルト5の座金と兼用させている。
【0029】
なお、凹部44は、天板3の軽量化にも寄与するものであるが、図5に示すカバー板12により閉塞して内部の金属製のボルト5や天板反り防止板6などを隠し、見栄えが損なわれることを防止している。図6に示すように、凹部44の上部内周面に係合段差部44aを形成し、この係合段差部44aと、カバー板12の一側面に形成した嵌合部12aとを係合させることにより、カバー板12によって凹部44を閉蓋可能としている。
【0030】
天板反り防止板6として、本実施形態では、図6に示すように、断面視略L字状の金属製アングル材を用いており、比較的に厚みを薄くしても十分な強度を有し、天板3(天板構成板4)の反りを効果的に防止することができる。すなわち、天板反り防止板6は、接続辺43の延在方向に直交する方向へも面当たりすることになるため、より確実に反りの発生を防止することができる。しかし、天板反り防止板6は必ずしもL字状である必要はなく、図7に示すように、平板状のものを用いることもできる。その場合、L字状のものに比べて比較的にその厚みを増すとよい。
【0031】
天板構成板4,4を実際に連結する手順は以下のとおりである。先ず、天板構成板4の左右の接続辺43,43のうちの一方のほぞ穴46に継手片13を嵌着するとともに、天板反り防止板6を配設した状態でボルト挿通孔15にボルト5を嵌装しておく。
【0032】
次いで、連結する相手となる天板構成板4のボルト挿通孔15に、既に他方の天板構成板4のボルト挿通孔15に嵌装されているボルト5の一端を挿通し、他端を凹部44に露出させるとともに、継手片13を介して天板構成板4,4同士を当接させる。
【0033】
こうして、凹部44内において、ボルト5の両端にそれぞれナット51を螺合して締め付けて行き、接続辺43の弧状部分の最深部分までが強く密着するまで緊締する。
【0034】
また、各天板構成板4の表面側に、予め形成してあった契り嵌合孔に連結用木片14を嵌合し、天板構成板4,4同士の接合を強化するとともに、民芸調としたテーブル1の表面の模様となるようにする。契り嵌合孔は、各天板構成板4の内側(八角形の空間11側)と外側とに1つずつ形成されている。
【0035】
すなわち、天板3の表面側で、かつボルト5を挟む位置に、天板構成板4,4同士の連結を補助することのできるひょうたん形状の連結用木片14を、天板構成板4,4同士を跨ぐように埋設するのである。かかる作業を繰り返して、天板構成板4が環状に連結された八角形の天板3が形成される。
【0036】
このように、本実施形態に係る連結用木片14は、ひょうたん形としているため、連結機能を損なうことなく、外観的に意匠的な美しさと柔らかさを醸し出している。
【0037】
ところで、上述してきた例では、天板構成板4,4同士の連結に仕口構造として継手片13を用いた構造としたが、図8に示すように、継手片13を廃止しても構わない。
【0038】
上述してきた例は、テーブル1、特に天板3を無垢材で製造する場合であるが、集成材を用いて天板3製造することもできる。ここで、集成材は、例えば三層構造として、表面、もしくは表面と裏面とを桜材を使用し、少なくとも中央部分は他の材料からなる芯材を用いるものである。
【0039】
集成材を用いれば、桜材から天板3(天板構成板4)として使用するための所定厚みの無垢材が採れない場合であっても、天板3の製造に支障を来たすことがなく、テーブル1を安定的に生産することが可能となる。また、無垢材に比べて反りが少ないため、天板構成板4,4同士の連結構造は簡易な構造とすることができる。
【0040】
図9及び図10に、集成材を用いた場合の天板構成板4,4同士の連結構造を示す。なお、図9は天板構成板4の裏面側を表し、図10では天板構成板4の裏面側が上側に位置している。また、図9及び図10と以下の説明では、これまでと同じ構成要素については同一の符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0041】
この例の場合は、互いに隣り合う天板構成板4,4の互いに非平行な対辺を構成し、接続辺43となる天板構成板4の端面を弧状に形成する必要はない。また、天板反り防止板6も省略している。その代わり、図示するように、接続辺43,43同士については、所定の間隔をあけて2本のボルト5,5で連結している。ここでは、ボルト5,5は天板3の表面側に配設した連結用木片14の位置近くに配置している。
【0042】
図9に示すように、天板構成板4の左右にそれぞれ前後1組、合計4つの円孔7,7,7,7が形成されている。円孔7はボルト5で天板構成板4,4同士を連結するために工具などを挿入するためのもので、無垢材を用いた天板3における凹部44のように広い面積は必要なく、ボルト5の締結操作を外部から行えるだけの最小限度の広さがあればよい。
【0043】
この円孔7の中には、ボルト挿通孔15に対応する孔を有し、ボルト5の座金ともなる木製あるいは金属製からなる半月状駒71を設けている。
【0044】
また、8つの天板構成板4の中で、少なくとも1つには、図示するように、その一側1組の円孔7にボルト収容部72を連続して形成している。すなわち、天板構成板4は環状に連結されるものであるが、最後の天板構成板4を連結する場合にボルト5が接続辺43から突出して邪魔にならないように全長分を予め収容しておくのである。
【0045】
そして、円孔7は、図10に示すように、蓋体73で閉塞され、やはり内部のボルト5などが露呈しないようにしている。
【0046】
かかる構成の集成材からなる天板3の製造方法としては、先ず、ボルト収容部72が設けられている天板構成板4の2組のボルト挿通孔15にそれぞれボルト5を嵌装しておく。このとき、前述したように、ボルト収容部72の中にはボルト5を収容しておく。そして、このボルト収容部72の反対側の接続辺43から突出しているボルト5,5を、連結相手となる天板構成板4のボルト挿通孔15,15に挿通した状態で天板構成板4,4同士を当接させる。
【0047】
こうして、円孔7内において、ボルト5にナット51を螺合して締め付けて行き、接続辺43の弧状部分の最深部分までが強く密着するまで緊締する。
【0048】
そして、かかる作業を繰り返し、円孔7を蓋体73で閉塞するとともに、各天板構成板4の表面側には、予め形成してあった契り嵌合孔に連結用木片14を嵌合する(図10)。
【0049】
なお、図9において、符号8で示したものは、天板3に設けた凸条枠であり、この凸条枠8の内側部分が脚体2の上端に載置される。
【0050】
以上、説明してきたように、本実施形態では、多角形テーブル1の天板製造方法については、無垢材と集成材との場合とで異ならせている。
【0051】
すなわち、天板構成板4が無垢材の場合、天板構成板4の互いに非平行な対辺を構成する接続辺43,43を、その略中央を凹ませた緩やかな弧状に形成するとともに、天板構成板4の裏面に、当該天板構成板4と略相似形の凹部44を形成し、当該凹部44における天板構成板4の接続辺43に対応した側壁面45に当接するように、ボルトの座金を兼ねる天板反り防止板6を配設して、天板構成板4の隣接する接続辺43,43同士の略中央位置をボルト5で連結する一方、天板構成板4が多層構造からなる集成材の場合、互いに隣り合う天板構成板4,4の互いに非平行な対辺を構成する接続辺43,43同士を、所定の間隔をあけて複数のボルト5,5で連結するようにしている。
【0052】
かかる製造方法を採用することにより、桜などの原材料の量が十分な場合は無垢材で、また、不足すると思われる場合は集成材で天板3を製造することで、商品の安定供給が可能となる。そして、無垢材、集成材のいずれかからなる天板3が用いられたテーブル1の選択は需要者の好みに委ねられる。すなわち、対費用効果を損なうことなく、需要者の好みに対応することも可能となる。
【0053】
上述してきた実施形態より、以下の効果を奏するテーブル1及び多角形テーブル1の天板製造方法が実現される。
【0054】
平面視等脚台形形状とした無垢材からなる天板構成板4が平面方向に複数個(例えば8個)環状に接続され、中央に多角形(例えば、八角形)の空間11が形成された天板3を備え、天板3は、天板構成板4の互いに非平行な対辺を構成する接続辺43が、その略中央を凹ませた緩やかな弧状に形成されており、天板構成板4の隣接する接続辺43,43同士の略中央位置をボルト5(連結軸体)で連結して構成した多角形(例えば、八角形)テーブル1。かかる構成により、反りの生じやすい無垢材からなる天板構成板4を平面方向に複数個環状に接続して構成した天板3であっても、天板構成板4,4同士の継ぎ目部分に間隙が生じたり、継ぎ目の先端部分が開いてしまったりすることを防止でき、長期に亘ってテーブルとしての商品価値を維持することができる。
【0055】
上記構成において、天板構成板4の裏面に、当該天板構成板4と略相似形の凹部44を形成し、当該凹部44における天板構成板4の接続辺43に対応した側壁面45に当接するように、ボルト5(連結軸体)の座金を兼ねる天板反り防止板6を配設した多角形テーブル1。かかる構成により、天板3の軽量化を図りつつ、天板3の反りをより確実に防止することができる。
【0056】
上記構成において、天板反り防止板6を断面視略L字状に形成した多角形テーブル1。かかる構成により、反りの防止をより確実に実現できる。
【0057】
上記構成において、天板3の表面側で、かつボルト5(連結軸体)を挟む位置に、天板構成板4,4同士の連結を補助するひょうたん形状の連結用木片14を当該天板構成板4,4同士を跨ぐように埋設した多角形テーブル1。かかる構成により、天板3の反りをより確実に防止することができるとともに、外観的には意匠的な美しさと柔らかさを醸し出すことができる。
【0058】
平面視等脚台形形状とした天板構成板4が平面方向に複数個(例えば8個)環状に接続され、中央に多角形(例えば、八角形)の空間11が形成された多角形(例えば、八角形)テーブル1の天板製造方法であって、天板構成板4が無垢材の場合、天板構成板4の互いに非平行な対辺を構成する接続辺43を、その略中央を凹ませた緩やかな弧状に形成するとともに、天板構成板4の裏面に、当該天板構成板4と略相似形の凹部44を形成し、当該凹部44における天板構成板4の接続辺43に対応した側壁面45に当接するように、ボルト5(連結軸体)の座金を兼ねる天板反り防止板6を配設して、天板構成板4の隣接する接続辺43,43同士の略中央位置をボルト5(連結軸体)で連結する一方、天板構成板4が多層構造からなる集成材の場合、互いに隣り合う天板構成板4,4の互いに非平行な対辺を構成する接続辺43,43同士を、所定の間隔をあけて複数(例えば2本)のボルト5,5(連結軸体)で連結した天板製造方法。かかる方法によれば、原材料の量の多寡に応じて無垢材、集成材の使用を使い分かることができ、需要者の好みに対応しつつ、費用対効果に見合った商品の安定供給が可能となる。
【0059】
上記テーブル1の天板製造方法において、天板3の表面側で、かつ前記ボルト5(連結軸体)を挟む位置に、天板構成板4,4同士の連結を補助するひょうたん形状の連結用木片14を当該天板構成板4,4同士を跨ぐように埋設するようにした天板製造方法。かかる方法によれば、天板3の反りをより確実に防止することができるとともに、外観的には意匠的な美しさと柔らかさを醸し出すことができる。
【0060】
なお、本発明は図示の実施の形態に限定されるものではなく、技術思想の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、必ずしも天板3は八角形である必要はないし、脚体2の形状も適宜変更可能である。また、天板3の中央に形成された空間11についても、その用途は加熱装置などの収容に用いられるだけでなく、各種用途に用いることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 多角形テーブル
3 天板
4 天板構成板
5 ボルト(連結軸体)
6 天板反り防止板
11 空間
14 連結用木片
43 接続辺
44 凹部
45 側壁面
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面視等脚台形形状とした天板構成板が平面方向に複数個環状に接続され、中央に多角形の空間が形成された多角形テーブル及び同多角形テーブルの天板製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、八角形などの多角形で、中央に加熱装置などを収容可能な空間部が形成された天板を有し、全体の風合いが民芸調となっている木製テーブルがある。かかる木製テーブルの天板は、通常、平面視等脚台形形状とした天板構成板を平面方向に複数個環状に接続して構成するのであるが、その構造としては、天板構成板同士を跨ぐように、所謂「契り」と呼ばれる接続用木片を天板表面側から埋設して天板構成板同士を連結することが多い(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
天板の表面に現れる連結用木片は、それ自体が民芸調の風合いを出すための模様ともなるため、この種のテーブル用天板には欠かせないが、頑丈な天板であればあるほど、連結用木片のみでは連結強度が弱くなってしまう。したがって、連結用木片は補助的な連結手段として、主たる連結手段として、例えばボルトなど連結軸体で強固に連結する方法が採用されることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−014454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ボルトで連結したとしても、例えば天板が無垢材の場合、経年的に天板構成板に反りが生じたりして、天板構成板同士の継ぎ目に隙間が生じたり、継ぎ目先端部分が開いてしまったりすることがあった。これでは、耐久財としての価値が損なわれてしまう。
【0006】
また、多角形テーブルの製造量を一定に保持できるように、十分量の無垢材を確保することができない場合は集成材を用いることがあるが、集成材も同じような構造とすると、費用対効果の面から望ましくない。
【0007】
本発明は、上述したような課題を解決することのできる多角形テーブル及び同多角形テーブルの天板製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明では、平面視等脚台形形状とした無垢材からなる天板構成板が平面方向に複数個環状に接続され、中央に多角形の空間が形成された天板を備える多角形テーブルであって、前記天板は、前記天板構成板の互いに非平行な対辺を構成する接続辺が、その略中央を凹ませた緩やかな弧状に形成されており、前記天板構成板の隣接する前記接続辺同士の略中央位置を連結軸体で連結して構成していることとした。
【0009】
(2)本発明は、上記(1)の多角形テーブルにおいて、前記天板構成板の裏面に、当該天板構成板と略相似形の凹部を形成し、当該凹部における前記天板構成板の前記接続辺に対応した側壁面に当接するように、前記連結軸体の座金を兼ねる天板反り防止板を配設したことを特徴とする。
【0010】
(3)本発明は、上記(2)の多角形テーブルにおいて、前記天板反り防止板を断面視略L字状に形成したことを特徴とする。
【0011】
(4)本発明は、上記(1)〜(3)のいずれかの多角形テーブルにおいて、前記天板の表面側で、かつ前記連結軸体を挟む位置に、前記天板構成板同士の連結を補助するひょうたん形状の連結用木片を当該天板構成板同士を跨ぐように埋設したことを特徴とする。
【0012】
(5)本発明では、上記において、平面視等脚台形形状とした天板構成板が平面方向に複数個環状に接続され、中央に多角形の空間が形成された多角形テーブルの天板製造方法であって、前記天板構成板が無垢材の場合、前記天板構成板の互いに非平行な対辺を構成する接続辺を、その略中央を凹ませた緩やかな弧状に形成するとともに、天板構成板の裏面に、当該天板構成板と略相似形の凹部を形成し、当該凹部における前記天板構成板の前記接続辺に対応した側壁面に当接するように、連結軸体の座金を兼ねる天板反り防止板を配設して、前記天板構成板の隣接する前記接続辺同士の略中央位置を連結軸体で連結する一方、前記天板構成板が多層構造からなる集成材の場合、互いに隣り合う天板構成板の互いに非平行な対辺を構成する接続辺同士を、所定の間隔をあけて複数の連結軸体で連結することとした。
【0013】
(6)本発明は、上記(5)の多角形テーブルの天板製造方法において、前記天板の表面側で、かつ前記連結軸体を挟む位置に、前記天板構成板同士の連結を補助するひょうたん形状の連結用木片を当該天板構成板同士を跨ぐように埋設することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、無垢材からなる天板構成板を平面方向に複数個環状に接続して構成した天板における、天板構成板同士の継ぎ目部分に間隙が生じたり、継ぎ目の先端部分が開いてしまったりすることを防止でき、長期に亘って商品価値を維持することが可能となる。また、天板に無垢材を用いる場合と集成材を用いる場合とで製造方法を変えることにより、原材料の量の多寡に関わらず、費用対効果に見合った商品の安定供給が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の1実施形態に係るテーブルの斜視図である。
【図2】同テーブルの平面図である。
【図3】同テーブルの底面図である。
【図4】天板構成板の連結構造を示す模式的説明図である。
【図5】カバー板の説明図である。
【図6】図2のA−A断面図である。
【図7】他の実施形態に係るテーブルに用いられる天板反り防止板の説明図である。
【図8】天板構成板の連結構造の変形例を示す断面視のよる説明図である。
【図9】集成材を用いたテーブルの天板構成板の連結構造を示す説明図である。
【図10】図9のB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る多角形テーブルの一実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1に示すように、本実施形態に係る多角形テーブル1(以下、単に「テーブル」とする場合がある)は、八角形の天板3を有するものとしている。
【0017】
このテーブル1は、基台となる脚体2上に平面視八角形の天板3を載置しており、天板3の中央には、例えば、加熱装置(図示せず)などを収容可能とした空間11が形成されている。なお、本実施形態における脚体2は八角形状とした胴部に8つの脚を八方に取付けた構成としているが、その形状は適宜変更して構わない。
【0018】
また、本実施形態に係るテーブル1は、桜材を用いた木製品であり、表面にセピア系のウレタン塗装あるいはポリウレタン塗装を施して、格調高い民芸品のような風合いを醸し出している。
【0019】
本実施形態に係るテーブル1の意匠的な特徴をなす八角形の天板3は、図1〜図3に示すように、平面視等脚台形形状とした天板構成板4を平面方向に8個環状に接続して構成されている。
【0020】
天板構成板4は、桜材からなる1枚の無垢材で形成されており、互いに平行な短辺41及び長辺42と、互いに同長さであって非平行な1組の接続辺43,43を有し、短辺41が内側に、長辺42が外側になるようにして、8枚の天板構成板4を、その接続辺43,43同士を連結していくことで、八角形の空間11が中央に形成された八角形の外形を有する天板3が形成されている。
【0021】
すなわち、天板構成板4の互いに非平行な対辺をなす接続辺43,43は、上述したように、隣接する天板構成板4同士との接続部をなすものであり、かかる接続辺43同士を互いに突き合わせた状態とし、これら接続辺43,43同士の略中央位置を連結軸体であるボルト5で連結して天板3を構成するのである。
【0022】
上述したように、天板3を構成する天板構成板4は、桜材からなる1枚の無垢材で形成されているため、経年的に反りが生じるおそれがある。
【0023】
そこで、本実施形態では、図4に示すように、隣接する天板構成板4同士との接続部となる接続辺43を、その略中央を凹ませた緩やかな弧状に形成し、隣接する天板構成板4同士において、かかる弧状に形成された対向する接続辺43,43の略中央をボルト5とナット51で強固に連結している。
【0024】
さらに、接続辺43をなす天板構成板4の端面にほぞ穴46を形成し、このほぞ穴46に継手片13を嵌装させた仕口構造を備えている。
【0025】
かかる構成により、隣接する天板構成板4同士は、接続辺43の両端部間がより強固に密着することになり、天板構成板4に反りが生じたりした場合でも、接続辺43同士による継ぎ目に間隙が生じたり、特に接続辺43,43の両端部間が開いてしまったりすることがなく、長期に亘って高品質を維持することができる。
【0026】
なお、図4においては、理解を容易にするために、継手片13を省略するとともに、接続辺43の湾曲度合いを大きく表しているが、実際の湾曲度合いは、最深部で1mm程度の凹みとなるような弧状となっている。
【0027】
ここで、本実施形態に係る天板構成板4同士の連結構造について、より具体的に説明する。図2及び図6に示すように、隣接する天板構成板4同士は、弧状に形成した接続辺43,43同士を突き合わせるとともに、両者間に継手片13を介在させた仕口構造と、上述したボルト5と、さらに、図3に示すように、天板構成板4の表面側に設けた所謂「契り」と呼ばれる連結用木片14とを用いた強固な連結構造としている。
【0028】
図2及び図6に示すように、天板構成板4,4間にボルト5を嵌装するために、天板構成板4の各裏面に所定深さの凹部44を設けている。この凹部44は、天板構成板4の外形と略相似形であり、この凹部44において、接続辺43,43に対応した側壁面45,45にボルト挿通孔15がそれぞれ穿設されている。そして、このボルト挿通孔15と対応するボルト孔61を設けた天板反り防止板6を、側壁面45に当接するように配設してボルト5の座金と兼用させている。
【0029】
なお、凹部44は、天板3の軽量化にも寄与するものであるが、図5に示すカバー板12により閉塞して内部の金属製のボルト5や天板反り防止板6などを隠し、見栄えが損なわれることを防止している。図6に示すように、凹部44の上部内周面に係合段差部44aを形成し、この係合段差部44aと、カバー板12の一側面に形成した嵌合部12aとを係合させることにより、カバー板12によって凹部44を閉蓋可能としている。
【0030】
天板反り防止板6として、本実施形態では、図6に示すように、断面視略L字状の金属製アングル材を用いており、比較的に厚みを薄くしても十分な強度を有し、天板3(天板構成板4)の反りを効果的に防止することができる。すなわち、天板反り防止板6は、接続辺43の延在方向に直交する方向へも面当たりすることになるため、より確実に反りの発生を防止することができる。しかし、天板反り防止板6は必ずしもL字状である必要はなく、図7に示すように、平板状のものを用いることもできる。その場合、L字状のものに比べて比較的にその厚みを増すとよい。
【0031】
天板構成板4,4を実際に連結する手順は以下のとおりである。先ず、天板構成板4の左右の接続辺43,43のうちの一方のほぞ穴46に継手片13を嵌着するとともに、天板反り防止板6を配設した状態でボルト挿通孔15にボルト5を嵌装しておく。
【0032】
次いで、連結する相手となる天板構成板4のボルト挿通孔15に、既に他方の天板構成板4のボルト挿通孔15に嵌装されているボルト5の一端を挿通し、他端を凹部44に露出させるとともに、継手片13を介して天板構成板4,4同士を当接させる。
【0033】
こうして、凹部44内において、ボルト5の両端にそれぞれナット51を螺合して締め付けて行き、接続辺43の弧状部分の最深部分までが強く密着するまで緊締する。
【0034】
また、各天板構成板4の表面側に、予め形成してあった契り嵌合孔に連結用木片14を嵌合し、天板構成板4,4同士の接合を強化するとともに、民芸調としたテーブル1の表面の模様となるようにする。契り嵌合孔は、各天板構成板4の内側(八角形の空間11側)と外側とに1つずつ形成されている。
【0035】
すなわち、天板3の表面側で、かつボルト5を挟む位置に、天板構成板4,4同士の連結を補助することのできるひょうたん形状の連結用木片14を、天板構成板4,4同士を跨ぐように埋設するのである。かかる作業を繰り返して、天板構成板4が環状に連結された八角形の天板3が形成される。
【0036】
このように、本実施形態に係る連結用木片14は、ひょうたん形としているため、連結機能を損なうことなく、外観的に意匠的な美しさと柔らかさを醸し出している。
【0037】
ところで、上述してきた例では、天板構成板4,4同士の連結に仕口構造として継手片13を用いた構造としたが、図8に示すように、継手片13を廃止しても構わない。
【0038】
上述してきた例は、テーブル1、特に天板3を無垢材で製造する場合であるが、集成材を用いて天板3製造することもできる。ここで、集成材は、例えば三層構造として、表面、もしくは表面と裏面とを桜材を使用し、少なくとも中央部分は他の材料からなる芯材を用いるものである。
【0039】
集成材を用いれば、桜材から天板3(天板構成板4)として使用するための所定厚みの無垢材が採れない場合であっても、天板3の製造に支障を来たすことがなく、テーブル1を安定的に生産することが可能となる。また、無垢材に比べて反りが少ないため、天板構成板4,4同士の連結構造は簡易な構造とすることができる。
【0040】
図9及び図10に、集成材を用いた場合の天板構成板4,4同士の連結構造を示す。なお、図9は天板構成板4の裏面側を表し、図10では天板構成板4の裏面側が上側に位置している。また、図9及び図10と以下の説明では、これまでと同じ構成要素については同一の符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0041】
この例の場合は、互いに隣り合う天板構成板4,4の互いに非平行な対辺を構成し、接続辺43となる天板構成板4の端面を弧状に形成する必要はない。また、天板反り防止板6も省略している。その代わり、図示するように、接続辺43,43同士については、所定の間隔をあけて2本のボルト5,5で連結している。ここでは、ボルト5,5は天板3の表面側に配設した連結用木片14の位置近くに配置している。
【0042】
図9に示すように、天板構成板4の左右にそれぞれ前後1組、合計4つの円孔7,7,7,7が形成されている。円孔7はボルト5で天板構成板4,4同士を連結するために工具などを挿入するためのもので、無垢材を用いた天板3における凹部44のように広い面積は必要なく、ボルト5の締結操作を外部から行えるだけの最小限度の広さがあればよい。
【0043】
この円孔7の中には、ボルト挿通孔15に対応する孔を有し、ボルト5の座金ともなる木製あるいは金属製からなる半月状駒71を設けている。
【0044】
また、8つの天板構成板4の中で、少なくとも1つには、図示するように、その一側1組の円孔7にボルト収容部72を連続して形成している。すなわち、天板構成板4は環状に連結されるものであるが、最後の天板構成板4を連結する場合にボルト5が接続辺43から突出して邪魔にならないように全長分を予め収容しておくのである。
【0045】
そして、円孔7は、図10に示すように、蓋体73で閉塞され、やはり内部のボルト5などが露呈しないようにしている。
【0046】
かかる構成の集成材からなる天板3の製造方法としては、先ず、ボルト収容部72が設けられている天板構成板4の2組のボルト挿通孔15にそれぞれボルト5を嵌装しておく。このとき、前述したように、ボルト収容部72の中にはボルト5を収容しておく。そして、このボルト収容部72の反対側の接続辺43から突出しているボルト5,5を、連結相手となる天板構成板4のボルト挿通孔15,15に挿通した状態で天板構成板4,4同士を当接させる。
【0047】
こうして、円孔7内において、ボルト5にナット51を螺合して締め付けて行き、接続辺43の弧状部分の最深部分までが強く密着するまで緊締する。
【0048】
そして、かかる作業を繰り返し、円孔7を蓋体73で閉塞するとともに、各天板構成板4の表面側には、予め形成してあった契り嵌合孔に連結用木片14を嵌合する(図10)。
【0049】
なお、図9において、符号8で示したものは、天板3に設けた凸条枠であり、この凸条枠8の内側部分が脚体2の上端に載置される。
【0050】
以上、説明してきたように、本実施形態では、多角形テーブル1の天板製造方法については、無垢材と集成材との場合とで異ならせている。
【0051】
すなわち、天板構成板4が無垢材の場合、天板構成板4の互いに非平行な対辺を構成する接続辺43,43を、その略中央を凹ませた緩やかな弧状に形成するとともに、天板構成板4の裏面に、当該天板構成板4と略相似形の凹部44を形成し、当該凹部44における天板構成板4の接続辺43に対応した側壁面45に当接するように、ボルトの座金を兼ねる天板反り防止板6を配設して、天板構成板4の隣接する接続辺43,43同士の略中央位置をボルト5で連結する一方、天板構成板4が多層構造からなる集成材の場合、互いに隣り合う天板構成板4,4の互いに非平行な対辺を構成する接続辺43,43同士を、所定の間隔をあけて複数のボルト5,5で連結するようにしている。
【0052】
かかる製造方法を採用することにより、桜などの原材料の量が十分な場合は無垢材で、また、不足すると思われる場合は集成材で天板3を製造することで、商品の安定供給が可能となる。そして、無垢材、集成材のいずれかからなる天板3が用いられたテーブル1の選択は需要者の好みに委ねられる。すなわち、対費用効果を損なうことなく、需要者の好みに対応することも可能となる。
【0053】
上述してきた実施形態より、以下の効果を奏するテーブル1及び多角形テーブル1の天板製造方法が実現される。
【0054】
平面視等脚台形形状とした無垢材からなる天板構成板4が平面方向に複数個(例えば8個)環状に接続され、中央に多角形(例えば、八角形)の空間11が形成された天板3を備え、天板3は、天板構成板4の互いに非平行な対辺を構成する接続辺43が、その略中央を凹ませた緩やかな弧状に形成されており、天板構成板4の隣接する接続辺43,43同士の略中央位置をボルト5(連結軸体)で連結して構成した多角形(例えば、八角形)テーブル1。かかる構成により、反りの生じやすい無垢材からなる天板構成板4を平面方向に複数個環状に接続して構成した天板3であっても、天板構成板4,4同士の継ぎ目部分に間隙が生じたり、継ぎ目の先端部分が開いてしまったりすることを防止でき、長期に亘ってテーブルとしての商品価値を維持することができる。
【0055】
上記構成において、天板構成板4の裏面に、当該天板構成板4と略相似形の凹部44を形成し、当該凹部44における天板構成板4の接続辺43に対応した側壁面45に当接するように、ボルト5(連結軸体)の座金を兼ねる天板反り防止板6を配設した多角形テーブル1。かかる構成により、天板3の軽量化を図りつつ、天板3の反りをより確実に防止することができる。
【0056】
上記構成において、天板反り防止板6を断面視略L字状に形成した多角形テーブル1。かかる構成により、反りの防止をより確実に実現できる。
【0057】
上記構成において、天板3の表面側で、かつボルト5(連結軸体)を挟む位置に、天板構成板4,4同士の連結を補助するひょうたん形状の連結用木片14を当該天板構成板4,4同士を跨ぐように埋設した多角形テーブル1。かかる構成により、天板3の反りをより確実に防止することができるとともに、外観的には意匠的な美しさと柔らかさを醸し出すことができる。
【0058】
平面視等脚台形形状とした天板構成板4が平面方向に複数個(例えば8個)環状に接続され、中央に多角形(例えば、八角形)の空間11が形成された多角形(例えば、八角形)テーブル1の天板製造方法であって、天板構成板4が無垢材の場合、天板構成板4の互いに非平行な対辺を構成する接続辺43を、その略中央を凹ませた緩やかな弧状に形成するとともに、天板構成板4の裏面に、当該天板構成板4と略相似形の凹部44を形成し、当該凹部44における天板構成板4の接続辺43に対応した側壁面45に当接するように、ボルト5(連結軸体)の座金を兼ねる天板反り防止板6を配設して、天板構成板4の隣接する接続辺43,43同士の略中央位置をボルト5(連結軸体)で連結する一方、天板構成板4が多層構造からなる集成材の場合、互いに隣り合う天板構成板4,4の互いに非平行な対辺を構成する接続辺43,43同士を、所定の間隔をあけて複数(例えば2本)のボルト5,5(連結軸体)で連結した天板製造方法。かかる方法によれば、原材料の量の多寡に応じて無垢材、集成材の使用を使い分かることができ、需要者の好みに対応しつつ、費用対効果に見合った商品の安定供給が可能となる。
【0059】
上記テーブル1の天板製造方法において、天板3の表面側で、かつ前記ボルト5(連結軸体)を挟む位置に、天板構成板4,4同士の連結を補助するひょうたん形状の連結用木片14を当該天板構成板4,4同士を跨ぐように埋設するようにした天板製造方法。かかる方法によれば、天板3の反りをより確実に防止することができるとともに、外観的には意匠的な美しさと柔らかさを醸し出すことができる。
【0060】
なお、本発明は図示の実施の形態に限定されるものではなく、技術思想の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、必ずしも天板3は八角形である必要はないし、脚体2の形状も適宜変更可能である。また、天板3の中央に形成された空間11についても、その用途は加熱装置などの収容に用いられるだけでなく、各種用途に用いることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 多角形テーブル
3 天板
4 天板構成板
5 ボルト(連結軸体)
6 天板反り防止板
11 空間
14 連結用木片
43 接続辺
44 凹部
45 側壁面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視等脚台形形状とした無垢材からなる天板構成板が平面方向に複数個環状に接続され、中央に多角形の空間が形成された天板を備える多角形テーブルであって、
前記天板は、
前記天板構成板の互いに非平行な対辺を構成する接続辺が、その略中央を凹ませた緩やかな弧状に形成されており、前記天板構成板の隣接する前記接続辺同士の略中央位置を連結軸体で連結して構成している
ことを特徴とする多角形テーブル。
【請求項2】
前記天板構成板の裏面に、当該天板構成板と略相似形の凹部を形成し、当該凹部における前記天板構成板の前記接続辺に対応した側壁面に当接するように、前記連結軸体の座金を兼ねる天板反り防止板を配設した
ことを特徴とする請求項1に記載の多角形テーブル。
【請求項3】
前記天板反り防止板を断面視略L字状に形成したことを特徴とする請求項2に記載の多角形テーブル。
【請求項4】
前記天板の表面側で、かつ前記連結軸体を挟む位置に、前記天板構成板同士の連結を補助するひょうたん形状の連結用木片を当該天板構成板同士を跨ぐように埋設した
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多角形テーブル。
【請求項5】
平面視等脚台形形状とした天板構成板が平面方向に複数個環状に接続され、中央に多角形の空間が形成された多角形テーブルの天板製造方法であって、
前記天板構成板が無垢材の場合、
前記天板構成板の互いに非平行な対辺を構成する接続辺を、その略中央を凹ませた緩やかな弧状に形成するとともに、天板構成板の裏面に、当該天板構成板と略相似形の凹部を形成し、当該凹部における前記天板構成板の前記接続辺に対応した側壁面に当接するように、連結軸体の座金を兼ねる天板反り防止板を配設して、前記天板構成板の隣接する前記接続辺同士の略中央位置を連結軸体で連結する一方、
前記天板構成板が多層構造からなる集成材の場合、
互いに隣り合う天板構成板の互いに非平行な対辺を構成する接続辺同士を、所定の間隔をあけて複数の連結軸体で連結する、
ことを特徴とする多角形テーブルの天板製造方法。
【請求項6】
前記天板の表面側で、かつ前記連結軸体を挟む位置に、前記天板構成板同士の連結を補助するひょうたん形状の連結用木片を当該天板構成板同士を跨ぐように埋設する
ことを特徴とする請求項5記載の多角形テーブルの天板製造方法。
【請求項1】
平面視等脚台形形状とした無垢材からなる天板構成板が平面方向に複数個環状に接続され、中央に多角形の空間が形成された天板を備える多角形テーブルであって、
前記天板は、
前記天板構成板の互いに非平行な対辺を構成する接続辺が、その略中央を凹ませた緩やかな弧状に形成されており、前記天板構成板の隣接する前記接続辺同士の略中央位置を連結軸体で連結して構成している
ことを特徴とする多角形テーブル。
【請求項2】
前記天板構成板の裏面に、当該天板構成板と略相似形の凹部を形成し、当該凹部における前記天板構成板の前記接続辺に対応した側壁面に当接するように、前記連結軸体の座金を兼ねる天板反り防止板を配設した
ことを特徴とする請求項1に記載の多角形テーブル。
【請求項3】
前記天板反り防止板を断面視略L字状に形成したことを特徴とする請求項2に記載の多角形テーブル。
【請求項4】
前記天板の表面側で、かつ前記連結軸体を挟む位置に、前記天板構成板同士の連結を補助するひょうたん形状の連結用木片を当該天板構成板同士を跨ぐように埋設した
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多角形テーブル。
【請求項5】
平面視等脚台形形状とした天板構成板が平面方向に複数個環状に接続され、中央に多角形の空間が形成された多角形テーブルの天板製造方法であって、
前記天板構成板が無垢材の場合、
前記天板構成板の互いに非平行な対辺を構成する接続辺を、その略中央を凹ませた緩やかな弧状に形成するとともに、天板構成板の裏面に、当該天板構成板と略相似形の凹部を形成し、当該凹部における前記天板構成板の前記接続辺に対応した側壁面に当接するように、連結軸体の座金を兼ねる天板反り防止板を配設して、前記天板構成板の隣接する前記接続辺同士の略中央位置を連結軸体で連結する一方、
前記天板構成板が多層構造からなる集成材の場合、
互いに隣り合う天板構成板の互いに非平行な対辺を構成する接続辺同士を、所定の間隔をあけて複数の連結軸体で連結する、
ことを特徴とする多角形テーブルの天板製造方法。
【請求項6】
前記天板の表面側で、かつ前記連結軸体を挟む位置に、前記天板構成板同士の連結を補助するひょうたん形状の連結用木片を当該天板構成板同士を跨ぐように埋設する
ことを特徴とする請求項5記載の多角形テーブルの天板製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−45135(P2012−45135A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189157(P2010−189157)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(500345504)株式会社星野民藝 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(500345504)株式会社星野民藝 (2)
【Fターム(参考)】
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