説明

多連スロットル装置

【課題】本発明は、直列エンジンの中央(気筒列中央、自動二輪車の車幅方向中心)に、装置の重心位置ができる限り寄せられるようにした多連スロットル装置を提供する。
【解決手段】本発明の多連スロットル装置は、スロットルシャフト29,29aを駆動する駆動源部31を、少なくとも1つのスロットルボディの吸気通路21の並列方向端部から、隣り合うスロットルボディの幅内の領域αに張り出して配置した。同構成によると、駆動源部31は、エンジン13の中央の近くまで配置される。最重量物である駆動源部31が、エンジン31の中央の近くに配置されることにより、多連スロットル装置17の重心位置は、エンジン13の中央まで寄せられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の気筒を有する直列エンジンに装着される多連スロットル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車(車両)は、高出力化を図るため、複数の気筒を直列に配置したエンジンを搭載することが行われている。多くの直列エンジンは、燃料タンクの下側の空間(エンジンルーム)にコンパクトに収まるよう、気筒の並ぶ方向を車両幅方向に配置している。
【0003】
こうした自動二輪車の直列エンジンでは、応答性の向上などから、同エンジンの気筒に多連スロットル装置を装着することが行われている。多連スロットル装置は、エンジンの気筒毎にそれぞれスロットルバルブを配置し、これらスロットルバルブを同調させながら開閉させる装置である。
【0004】
多連スロットル装置には、1番気筒と2番気筒、3番気筒と4番気筒といった具合に直列エンジン(4気筒エンジンの場合)の気筒グループ毎に組み付くスロットルボディを用い、このスロットルボディに気筒と対応して並行に並んだ吸気通路を形成し、各吸気通路にスロットルバルブを配置し、同スロットルバルブをスロットルシャフトで一体的に支持し、同スロットルシャフトを駆動源部となるモータ部で駆動する構造がある。
【0005】
こうした多連スロットル装置に組み付くモータ部は、スロットルボディに据え付けられるが、同モータ部は、一つの場合もあれば、スロットルボディ毎にそれぞれ配置される複数の場合もある。
【0006】
ところで、このモータ部(駆動源)は、多連スロットル装置の中で最重量物の部品である(多数の積層板や巻線を有した構造であるため)。このため、多連スロットル装置の重心位置は、そのモータ部の位置により大きく変わる。特に自動二輪車は、車幅方向中心に重量が集中するほど、運動性能が高まる傾向にあるので、多連スロットル装置の重心位置は、自動二輪車(直列エンジン搭載)の運動性能を左右する一つの要因となっている。このため、モータ部の位置は重要視される。
【0007】
通常、モータ部は、スロットルシャフトを駆動するために、スロットルボディの端部に据付けられるが、単にスロットルボディの外側の端部に配置すると、多連スロットル装置の重心位置が、エンジンの気筒列の中央から外側へ遠ざかる。
【0008】
そこで、直列エンジンに組み付く多連スロットル装置の多くは、特許文献1に開示されているようにモータ部を、スロットルボディの吸気通路の並列方向端部から、当該モータ部が据え付けられているスロットルボディ自身の幅内の領域へ張り出して配置する構造が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】再公表特許 W02004/025103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、同構造は、確かに多連スロットル装置の重心位置が、エンジンの気筒列中央(自動二輪車の中心に相当)に近付くものの、構造上、エンジンの気筒列の中央(自動二輪車の中心に相当)の近くに重心位置を寄せるには限界がある。このため、多連スロットル装置の重心位置は、エンジンの気筒列中央(エンジンの幅方向中央)、すなわち自動二輪車の車幅方向中心に配置させにくく、自動二輪車の運動性能を向上に寄与することが難しい。
【0011】
そこで、本発明の目的は、直列エンジン(複数の気筒が直列に並んだエンジン)の中央(気筒列中央、自動二輪車の車幅方向中心)に、重心位置をできる限り寄せられるようにした多連スロットル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、スロットルシャフトを駆動する駆動源部を、少なくとも1つのスロットルボディの吸気通路の並列方向端部から、隣り合うスロットルボディの幅内の領域に張り出して配置する構成とした。
同構成によると、隣り合うスロットルボディの幅内の領域に駆動源部を張り出すことで、駆動源部は、エンジンの中央近くに配置される。この最重量物である駆動源部が、エンジンの中央の近くに配置されることにより、多連スロットル装置の重心位置は、直列エンジンの中央(気筒列中央、自動二輪車の車幅方向の中心)の近くまで寄せられる。
【0013】
請求項2の発明は、さらに重心位置が寄せにくい、気筒グループ毎のスロットルボディにそれぞれ駆動源部が配置される多連スロットル装置において、装着される直列エンジンの中央に、同多連スロットル装置の重心位置ができる限り寄せられるよう、スロットボディにそれぞれ駆動源部を有する多連スロットル装置では、それぞれスロットルボディの駆動源部は、スロットルボディの吸気通路の並列方向端部から、隣り合うスロットルボディの幅内の領域に各々張り出して配置される構成とした。
【0014】
請求項3の発明は、さらに簡単な構造で、隣り合うスロットルボディの幅内の領域に駆動源部が張り出せるよう、駆動源部は、スロットルボディの吸気通路の並列方向端部から、スロットルバルブへ駆動力を伝達する伝達部を介して、外側へL形に張り出させる配置を採用した。
【0015】
請求項4の発明は、さらに簡単なスロットルボディの据付作業で、隣り合うスロットルボディの幅内に駆動源部が張り出せるよう、駆動源部は、隣り合う他のスロットルボディの向きと、180度反転した状態で配置されることとした。
【0016】
請求項5の発明は、さらに同一のスロットルボディおよび駆動源部の構造で、多連スロットル装置が組み上がるよう、複数の駆動源部は、隣り合うスロットルボディ同士の略中心から対称の位置に配置され、隣り合うスロットルボディの幅内の領域に互い違いに張り出して配置されることとした。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、隣り合うスロットルボディの幅内の領域に駆動源部を張り出すことにより、最重量物の駆動源部を、エンジンの中央や中央近くに配置させることができる。
それ故、多連スロットル装置の重心位置は、直列エンジンの中央(気筒列中央、自動二輪車の車幅方向の中心)の近くまで寄せることができ、自動二輪車の運動性能の向上に多大に寄与できる。
【0018】
請求項2の発明によれば、さらに重心位置の寄せにくい、気筒グループ毎のスロットルボディにそれぞれ駆動源部が配置される多連スロットル装置においては、隣り合うスロットボディの幅内の領域にそれぞれ駆動源部を張り出す配置により、各スロットルボディの駆動源部を、いずれも直列エンジンの中央や中央近くまで寄せることができる。これにより、複数の駆動源部を用いた多連スロットル装置の重心位置は、できる限り直列エンジンの中央に寄せることができ、同様に自動二輪車の運動性能の向上に寄与できる。
【0019】
請求項3の発明によれば、さらにモータ部をL形に張り出すという簡単な構造で、駆動源部を、隣り合うスロットルボディの幅内の領域に張り出せることができる。
請求項4の発明によれば、さらにL形の張り出し構造を用い、簡単なスロットルボディの据付作業で、隣り合うスロットルボディの幅内に駆動源部を張り出すことができる。
請求項5の発明によれば、さらに同一のスロットルボディおよび駆動源部を用いた構造で、多連スロットル装置を組み上げることができる。このため、個別にスロットルボディや駆動源部などを製作せずにすみ、コスト的な負担が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る多連スロットル装置を搭載した自動二輪車を示す側面図。
【図2】図1中の矢視Aから見た外観の多連スロットル装置の斜視図。
【図3】同多連スロットル装置の構造を、同スロットル装置のレイアウトの仕方と共に示す斜視図。
【図4】同多連スロットル装置の重心位置が直列エンジンの中央に寄ったことを説明する、図2中の矢視Bから見た側面図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る多連スロットル装置の要部を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を図1ないし図4に示す第1の実施形態にもとづいて説明する。
図1は本発明の多連スロットル装置が搭載された自動二輪車(車両)を概略的に示し、図2は図1中の矢視A方向から見た多連スロットル装置の外観を示し、図3は同多連スロットル装置の構造を示し、図4は図2中の矢視Bから見た多連スロットル装置を示している。ちなみに、図1中の矢印Fは自動二輪車のフロント方向を示し、矢印Rは自動二輪車のリア方向を示している。
【0022】
自動二輪車の各部を説明すると、同自動二輪車の車体は、前後方向に延びるメインフレーム部材、例えばメインチューブ部材1(一部しか図示しない)をもつ。同メインチューブ部材1のフロント側の端部には、フロントフォーク3を介して前輪5が懸架され、同じくリア側の端部には、スイングアーム部材7を介して後輪9が懸架される。
【0023】
メインチューブ部材1には、フロント側から順に燃料タンク11、シート12が据え付けられている。ちなみにメインチューブ部材1を挟んだ車体片側(右側)には、ブレーキペダルやスロットルグリップなど加減速系統(図示しない)が設けられ、反対側(左側)には、クラッチレバーやシフトペダルなど変速系統(図示しない)が設けられる。
【0024】
メインチューブ部材1からは、燃料タンク11下の空間を囲うようにダウンチューブ部材1aが延びていて、燃料タンク11下の空間にエンジンルームを形成している。このエンジンルームに、ピストン13aを往復動可能に収めたレシプロ式のエンジン13が、変速機14と共に据え付けられている。
【0025】
図2に示されるようにエンジン13は、複数の気筒13bを有するエンジン、例えば4つの気筒13bを所定の間隔で直列に並べた直列4気筒エンジン(以下、直列エンジン13という)である。この直列エンジン13が、横置き、すなわち気筒13bの並ぶ方向(気筒列)を車体(車両)幅方向に向けた姿勢で据え付けてある。
【0026】
この直列エンジン13の吸気側の、気筒13bと同じ配列(直列)で並行に配置されている吸気ポート部13dに、多連スロットル装置、ここでは四連スロットル装置17が装着されている。四連スロットル装置17には、例えば二組の電子制御式(スロットル・バイ・ワイヤ式)スロットルボディ17a、17b(以下、第1スロットルボディ17a、第2スロットルボディ17bという)を、所定の気筒グループ毎、例えば直列エンジン17の1番気筒、2番気筒をグループAとし、3番気筒、4番気筒をグループBとして(エンジン中央から分けた気筒グループ)、組み付ける構造が用いられている。
【0027】
なお、エンジン13には、シリンダヘッド13cに装着したインジェクタから直接、気筒13bへ燃料を噴射する構造が採用されているため、ここではインジェクタ構造は図示していない。ちなみに、吸気路噴射式のインジェクタ構造であれば、エンジン13と四連スロットル装置17との間に既知のインジェクタが装着される。
【0028】
ここで、図2および図3を参照して、これら第1スロットルボディ17a、第2スロットルボディ17bを説明すると、第1スロットルボディ17a、第2スロットルボディ17bはいずれも例えば吸気ポート部13d(気筒)と対応して並列に並んだ2個(複数)の短筒形の胴部21と、これら胴部21間を連結する連結部23との組み合わせから構成される。各胴部21の内腔は吸気通路をなす。各胴部21の一端部に形成される導出部25aが、気筒グループA,Bの吸気ポート部13dに接続される。また各胴部21の他端部に形成される導入部25bが、例えばエアクリーナ(図示しない)に接続される。
【0029】
各胴部21内(吸気通路)には、例えば盤状の弁体で形成されたスロットルバルブ27が収められている。また第1スロットルボディ17a、第2スロットルボディ17bには、スロットルバルブ23の並ぶ方向に沿って、スロットルシャフト29[図3(a)に略全体を図示]が回転自在に挿通されている。スロットルシャフト29の各部、ここでは両端部が軸受部(図示しない)で回転自在に支持されている。スロットルシャフト29の各部には、それぞれスロットルバルブ27が支持され、スロットルシャフト29の回動変位により、各スロットルバルブ27が一体的に回動されるようにしている。
【0030】
第1スロットルボディ17a、第2スロットルボディ17bには、それぞれスロットルシャフト29を駆動する駆動源部、例えばモータ部31が、同モータ部31からスロットシャフト29へ駆動力を伝える伝達部、例えばギヤ式の伝達部33と共に設けられている。これにより、二組の第1スロットルボディ17a、第2スロットルボディ17bは、気筒グループA,B毎、独立してスロットルバルブ27の開度の制御が行える構造にしてある。ちなみに、各スロットルボディには、スロットルシャフト29の回動変位からスロットルバルブ27の開度量を検出するスロットルポジションセンサ34も設けられている。
【0031】
上記モータ部31は、複数のスロットルバルブ27を高い応答性で駆動させるため、多数の巻線や積層板やロータなど重量部品を組み合わせた高重量物となる。つまり、モータ部31は、四連スロットル装置17(第1スロットルボディ17a、第2スロットルボディ17b)のうちで、最重量物となる。このため、四連スロットル装置17の重心位置は、モータ部31の位置に左右される。
【0032】
そこで、四連スロットル装置17には、四連スロットル装置17の重心位置を、直列エンジン13の中央(ここでは2番気筒と3番気筒との間)の近くに、できるだけ寄せられる工夫が施されている。
これには、図4に示されるように各モータ部31を、各スロットルボディの、並列に並んだ胴部21(吸気通路)の並列方向の端部(吸気通路の並列方向端部)、ここでは気筒グループA,B間に配置される第1スロットルボディ17a、第2スロットルボディ17bの隣り合う各端部から、隣り合う他方のスロットルボディの幅内の領域αに各々張り出して配置する構造が用いられている。
【0033】
具体的には、図2および図3に示されるように各モータ部31は、第1スロットルボディ17a、第2スロットルボディ17bの胴部21が並ぶ並列方向端部である、気筒グループA,B間に配置される各端部から、伝達部33を介し、外側へL形に張り出させて設けている。
ここでは、隣り合って配置されるスロットルボディの各端部(吸気通路の並列方向端部)に、スロットルシャフト29とつなげて、ギヤ式の伝達部33、例えば伝達ギヤで構成されるギヤ列33bを収めた扁平のギヤケース33aを、胴部20aの径方向一方側から張り出すように設け、入力側となるギヤケース33aの張り出した端部に、モータ部31、ここではモータ31aを内蔵した円筒形のモータケース31bを、スロットルボディから外側へ張り出させて設置し、スロットルボディ端からモータ部31をL形に張り出させている。
【0034】
このモータ部31の据え付けにより、各モータ部31は、隣り合って配置される第1スロットルボディ17a、第2スロットルボディ17bの端部から、隣り合う他方のスロットボディの幅内の領域αに各々張り出し、隣り合う他方のスロットボディの幅内の領域αに配置させている。むろん、モータ部31は、隣り合う他方のスロットボディと干渉しないよう、隣り合うスロットルボディ端をなす胴部20aを避ける位置に配置させてある。
【0035】
特に第1スロットルボディ17a、第2スロットルボディ17bは、L形のモータ部31の張り出しにより、いずれも隣り合う他方のスロットボディの向きと、180度反転した状態で配置され、180度反転する据付作業で、モータ部31がエンジン13の中央に配置される構造にしている。つまり、四連スロットル装置17は、図2、図3(a)〜(c)に示されるように第1スロットルボディ17a、第2スロットルボディ17bの一方は、当初の向きで据付け、他方は180度反転して据付けるだけで、第1スロットルボディ17a、第2スロットルボディ17bのモータ部31が、隣り合う他方のスロットルボディの幅内の領域αに各々張り出す配置で組み上がるようにしてある。
【0036】
しかも、各モータ部31,31は、図2〜図4に示されるように隣り合う第1スロットルボディ17a、第2スロットルボディ17b同士の略中心から対称の位置、ここでは点対称の位置に配置され、第1スロットルボディ17a、第2スロットルボディ17b共、モータ部31を含んだ同一なスロットル装置構造ままで、隣り合う他方のスロットルボディの幅内の領域αに互い違いに張り出せるようにしている。
【0037】
すなわち、このように構成された四連スロットル装置17は、図2〜図4に示されるように直列エンジン13の気筒グループA,Bに四連スロットル装置17を装着すると、隣り合う第1スロットルボディ17a、第2スロットルボディ17bのうち、一方のスロットルボディの端部(吸気通路の並列方向端部)に配置されたモータ部31は、他方のスロットルボディの幅内の領域αへ張り出して配置される(図3)。また隣り合う第1スロットルボディ17a、第2スロットルボディ17bのうちの他方のスロットルボディの並列方向端部に配置されたモータ部31は、180度反転したスロットルボディにより(図3)、一方のスロットルボディの幅内の領域αへ張り出して配置される。つまり、スロットルボディに設けたモータ部31は、いずれも隣り合うスロットルボディの幅内の領域αに、胴部20aを避けながら各々互い違いに張り出して配置される。
【0038】
これにより、図2および図3に示されるように第1スロットルボディ17a、第2スロットルボディ17bのモータ部31(最重量物)は、今まで近付けなかった地点、すなわち直列エンジン13の中央(気筒グループA,B間)まで寄せられる。これで、各モータ部31は、直列エンジン13の中央に集中配置される。このため、図4(図2中の矢視Bから見た図)に示されるように二組のスロットルボディ17a、17bの重心位置Gは、いずれも直列エンジン31の中央(気筒列中央、自動二輪車の車幅方向の中心)のかなり近くまで寄る。
【0039】
したがって、自動二輪車の車幅方向の中心の近くに、四連スロットル装置17の重心位置を、できる限り寄せることができる。それ故、四連スロットル装置17の重量は、自動二輪車の車幅方向の中心に集中するようになるから、自動二輪車は良好な重量バランスが確保され、自動二輪車の運動性能を向上させることができる。
【0040】
特に、モータ部31は、スロットルボディの端部から、伝達部33を介して外側へL形に張り出すだけの構造で、簡単に、隣り合う他方のスロットルボディの幅内の領域αに張り出させる配置が実現できる。しかも、二組のスロットルボディ17a,17bのモータ部31は、L形の張り出し構造を用い、隣り合うスロットルボディの向きと180度反転して状態で二組のスロットルボディを配置するという簡単な据付作業だけで、隣り合うスロットボディの幅内の領域αに互い違いに配置させることができる(図3)。
【0041】
そのうえ、二組のスロットルボディ17a,17bのモータ部31は、スロットルボディ同士の略中心から対称の位置に配置して、隣り合うスロットボディの幅内の領域αに互い違いに張り出せてあるので、個別にスロットル装置を製作せずに、同一構造のスロットルボディおよびモータ部を二組(共通)用いて、多連スロットル装置17を組み上げることができ、コストの負担も抑えられる(コストの低減)。
【0042】
図5は、本発明の第2の実施形態を示す。
本実施形態は、第1の実施形態のようにそれぞれスロットボディにモータ部31を付けた四連スロットル装置17に本発明を適用したのではなく、一つのモータ部31で全気筒のスロットルバルブ27を駆動する四連スロットル装置117(多連スロットル装置)に本発明を適用したものである。
【0043】
ここで、四連スロットル装置117は、第1の実施形態とは異なり、円形の孔で形成された複数の通路25(吸気通路)を有する二組のブロック形のスロットルボディ117a,117bを並列に並べ、これら各スロットルボディのスロットルバルブ27を両スロットルボディに跨るように支持させた長尺のスロットルシャフト29aに支持させ、片側のスロットルボディ、ここではスロットル装置17bのスロットルボディだけにモータ部31を設置して、一つのモータ部31でスロットルシャフト29aを駆動する構造となっている。
【0044】
このモータ部無のスロットルボディ117aと、モータ部31付のスロットルボディ117bとを組み合わせた四連スロットル装置117の場合、スロットルボディ117bに付くモータ部31を、スロットルボディの胴部21の並列方向端部(吸気通路の並列方向端部)から、隣り合うスロットルボディ117aのスロットルボディの幅内の領域αに張り出せている。ここでは、第1の実施形態と同様にL形に張り出せている。
なお、図5において、第1の実施形態と同じ部分には同一符号を付してその説明を省略した。
【0045】
こうしたモータ部31が片側のスロットルボディにだけに配置される四連スロットル装置117でも、モータ部31の張り出し構造により、モータ部31(最重量物)は、今まで近付けなかった地点、すなわち直列エンジン13の中央(気筒グループA,B間)に寄せられる。
【0046】
したがって、図5に示されるようにスロットルボディ117bの重心位置Gは、直列エンジン31の中央(気筒列中央、自動二輪車の車幅方向の中心)のかなり近くに配置でき、第1の実施形態と同様、自動二輪車の車幅方向の中心の近くに、四連スロットル装置117の重心位置を、できる限り寄せることができ、第1の実施形態と同様の効果を奏する。もちろん、他のスロットルボディ構造でも同様であることはいうまでもない。
【0047】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々可変して実施しても構わない。例えば上述した実施形態では、直列4気筒のエンジンに装着される四連スロットル装置に本発明を適用したが、これに限らず、他の複数気筒の直列エンジンに装着される多連スロットル装置に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0048】
13 エンジン
13b 気筒
17,117 四連スロットル装置(多連スロットル装置)
17a,117a 第1スロットルボディ
17b,117b 第2スロットルボディ
21、25 胴部、通路(吸気通路)
23 連結部
27 スロットルバルブ
29,29a スロットルシャフト
31 モータ部(駆動源部)
33 伝達部
A,B 気筒グループ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に並んだ複数の気筒を有するエンジンに装着され、所定の気筒グループ毎に前記気筒と対応して並列に並んだ吸気通路を有する複数のスロットルボディと、
前記吸気通路に配置された複数のスロットルバルブと、
前記スロットルバルブを一体的に回動させるべく前記スロットルボディに支持されたスロットルシャフトと、
前記スロットルボディに設けられ、前記スロットルシャフトを駆動する駆動源部と、
を有する多連スロットル装置であって、
前記駆動源部は、少なくとも1つの前記スロットルボディの吸気通路の並列方向端部から、隣り合うスロットルボディの幅内の領域に張り出して配置される
ことを特徴とする多連スロットル装置。
【請求項2】
前記駆動源部は、前記スロットルボディ毎にそれぞれ設けられ、
前記複数の駆動源部が、前記スロットルボディの吸気通路の並列方向端部から、隣り合うスロットルボディの幅内の領域に各々張り出して配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の多連スロットル装置。
【請求項3】
前記駆動源部は、前記スロットルボディの吸気通路の並列方向端部から、前記スロットルバルブへ駆動力を伝達する伝達部を介して、外側へL形に張り出るように配置される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多連スロットル装置。
【請求項4】
前記駆動源部は、隣り合う他のスロットルボディの向きと、180度反転した状態で配置される
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の多連スロットル装置。
【請求項5】
前記複数の駆動源部は、隣り合う前記スロットルボディ同士の略中心から対称の位置に配置され、隣り合うスロットボディの幅内の領域に互い違いに張り出して配置される
ことを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか一つに記載の多連スロットル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−113259(P2013−113259A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262026(P2011−262026)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000177612)株式会社ミクニ (332)
【Fターム(参考)】