説明

多重分離フィルター及び多重分離フィルターの製造方法、並びに、これを利用して製造される抗酸化水

【課題】水中の水素イオン濃度が安定的に維持されて、時間が経ってもアルカリ性を示し、抗酸化性が維持される抗酸化水を製造するための多重分離フィルター、及びその製造方法、並びに、これを利用して製造される抗酸化水を提供すること。
【解決手段】精密ろ過膜、活性炭基材フィルター及びセラミックスフィルターが積層された構造を有し、活性炭基材フィルターは、活性炭とゼオライト、金、銀及びこれらの混合物の中から選ばれる1種以上を活性炭と混合し、60,000〜70,000℃に加熱して生成されたプラズマガスを、真空下、−200〜−273℃に急冷して製造されるものであり、セラミックスフィルターは、マグネシウムを60,000〜70,000℃に加熱して生成されたプラズマガスを、真空下、−200〜−273℃に急冷して製造されることを特徴とする多重分離フィルター。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精密ろ過膜、活性炭基材フィルター及びセラミックスフィルターを含む多重分離フィルター及びその製造方法、並びに、これを利用して製造される抗酸化水に関する。
【背景技術】
【0002】
所得水準及び生活水準が高くなるに従って、より清潔に浄水された一般生活用水に対する需要が増加しており、また、飲用水においてもイオン水、アルカリ還元水、軟水など、機能性を有する高品質の用水を使用しようとする欲求が大きくなっている。これに応じて、軟水器、イオン水器、アルカリ還元水生成装置及びビデなどのように、通常のフィルター構造に機能性が付与された装置の開発が盛んになされている。
一般に電気分解が十分に施されたアルカリ還元水は、胃腸内異常発酵、慢性下痢、消化不良、胃酸過多又は便秘の予防・防止に効果があることが認められている。そして、アルカリ還元水などの電解アルカリ水を作り出す多くのイオン水器は浄水器としてよりも医療用物質生成器として認められており、抗酸化水として健康補助剤の一つの分野を成している。
これに関して、一般的な抗酸化水製造装置は、その多くが直流電気を利用して水を電気分解して、アルカリ性の抗酸化水を製造するシステムである。しかし、そのような電気分解が可能な装置は非常に高価であるため、様々な鉱物素材のセラミックスを利用する方法も多数提案されている。
セラミックスなど鉱物素材を利用したアルカリ抗酸化水製造装置に関して、様々な成分を含むフィルターを順次積層した構造の多層フィルターが開示されており(特許文献1)、これによると、積層した構造のアルカリ抗酸化水生成フィルターは、触媒層、陰イオン発生ビーズ層を含む第1水素還元フィルター層と、pH調節ビーズ層、還元触媒層及び陰イオン発生アルカリビーズ層を含む第2水素フィルター層とからなる。
従来の方法により製造され一般に市販されている抗酸化水は、水を電気分解して得る場合、特に電解還元水又は水素豊富水という。しかし、電解還元水においては、電解還元水中に含まれる水素分子が経時的に空気中に分散して、水素の含有量が徐々に低下してしまうため、時間の経過とともに抗酸化作用が発揮されなくなるという問題点がある。また、電解還元水の生成装置は、装置そのものが高価であり、また、メンテナンスコストも安価ではない。
そこで、より簡便で経済的な方法により開発された製品として、水素発生ミネラルスティックを水筒に装着した製品がある。このような製品は、必要時に還元水を製造することができ、価格的にも安価である。しかしこの場合であっても、経時的に還元水中の水素含有量が急激に低下するという問題は解消されてはいない。また、水素発生ミネラルスティックは、浄水機能がないため、上記製品は浄水された水にだけにしか用いることができないという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2007−0007979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記の問題点を解決して、特に水中の水素イオン濃度が安定的に維持されて、時間が経ってもアルカリ性を示し、抗酸化性が維持される抗酸化水を製造するた
めの多重分離フィルター、及び、その製造方法を提供することである。また、本発明の他の目的は、上記多重分離フィルターにより製造される抗酸化水を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、少なくとも3つの膜又はフィルターが積層された水処理用の多重分離フィルターに関し、さらに詳しくは、当該水処理用の多重分離フィルターは、精密ろ過膜、活性炭基材フィルター及びセラミックスフィルターを含む。
【0006】
本発明の1つの態様によれば、精密ろ過膜、活性炭基材フィルター及びセラミックスフィルターが順次積層された多重分離フィルターであって、上記活性炭基材フィルターは、活性炭60重量部にゼオライト粉末を20〜40重量部混合し、60,000〜70,000℃のプラズマガスで処理し、真空下、−200〜−273℃に急冷して製造されるものであり、上記セラミックスフィルターは、マグネシウムを60,000〜70,000℃に加熱して生成されたプラズマガスを、真空下、−200〜−273℃に急冷して製造されるものである多重分離フィルターが提供される。
【0007】
本発明の他の態様によれば、精密ろ過膜、活性炭基材フィルター及びセラミックスフィルターが順次積層された多重分離フィルターであって、上記活性炭基材フィルターは、活性炭60重量部に金及び銀の中から選ばれる1種以上の粉末を20〜40重量部混合し、60,000〜70,000℃のプラズマガスで処理し、真空下、−200〜−273℃に急冷して製造されるものであり、上記セラミックスフィルターは、マグネシウムを60,000〜70,000℃に加熱して生成されたプラズマガスを、真空下、−200〜−273℃に急冷して製造されるものである多重分離フィルターが提供される。
【0008】
本発明の他の態様によれば、上記多重分離フィルターにおいて、精密ろ過膜が、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン、ポリ塩化ビニル、テフロン(登録商標)、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン、ベークライト、ヨウ素樹脂、ポリシロキサン、又はこれらの混合物からハイドロサーマリインデュースドフェイズセパレーション(Hydrothermally induced phase separation:HTIPS)法により製造される高分子膜であることを特徴とする多重分離フィルターが提供される。
【0009】
本発明の他の態様によれば、上記多重分離フィルターにおいて、精密ろ過膜に、直径0.025〜10μmの孔が均一に分布していることを特徴とする多重分離フィルターが提供される。
【0010】
本発明の他の態様によれば、上記多重分離フィルターにおいて、精密ろ過膜の多孔度が、60%〜70%であることを特徴とする多重分離フィルターが提供される。
【0011】
本発明の他の態様によれば、精密ろ過膜、活性炭基材フィルター及びセラミックスフィルターが順次積層された多重分離フィルターであって、上記活性炭基材フィルターが、活性炭60重量部にゼオライト、金、銀及びこれらの混合物の粉末を20〜40重量部混合し、60,000〜70,000℃のプラズマガスで処理し、続いて、真空下、−200〜−273℃に急冷して製造されるものであり、上記セラミックスフィルターが、マグネシウムを60,000〜70,000℃に加熱して生成されたプラズマガスを、真空下、−200〜−273℃に急冷して製造されるものである多重分離フィルターを用いて製造される抗酸化水であって、酸化還元電位が−729〜−94mVの抗酸化水を提供する。
【0012】
本発明の他の態様によれば、精密ろ過膜、活性炭基材フィルター及びセラミックスフィルターが順次積層された多重分離フィルターであって、上記活性炭基材フィルターが、活
性炭60重量部にゼオライト、金、銀及びこれらの混合物の粉末を20〜40重量部混合して、60,000〜70,000℃のプラズマガスで処理し、続いて、真空下、−200〜−273℃に急冷して製造されるもので、上記セラミックスフィルターが、マグネシウムを60,000〜70,000℃に加熱して生成されたプラズマガスを、真空下、−200〜−273℃に急冷して製造されるものであり、精密ろ過膜が、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン、ポリ塩化ビニル、テフロン(登録商標)、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン、ベークライト、ヨウ素樹脂、ポリシロキサン、又はこれらの混合物をハイドロサーマリインデュースドフェイズセパレーション(Hydrothermally induced phase
separation:HTIPS)法により製造する高分子膜の多重分離フィルターを用いて製造される抗酸化水であって、酸化還元電位が−729〜−94mVの抗酸化水を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の多重分離フィルターにより製造される抗酸化水は、還元性を持ち、水のクラスターを小さくして健康な人の細胞内の水のようなクラスターを持ち、人体内の活性酸素をなくし得る強い抗酸化力を有する飲用水として利用することができる。本発明の多重分離フィルターにより製造される飲用水は、還元力が優れた抗酸化水として、体内において活性酸素を消去する働きを有する。
また、本発明の多重分離フィルターにより製造される抗酸化水は、飲用水として使用した場合、水のクラスターが小さいため、細胞内への吸収力に優れており、血液と体液をきれいにして、体内免疫力を増強する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の多重分離フィルターを装着した抗酸化水製造装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
精密ろ過膜
本発明に係る多重分離フィルターは精密ろ過膜を含む。
【0016】
水処理分野において、膜分離工程に用いられる分離膜は、精密ろ過膜(Microfilteration (MF))、限外ろ過膜(Ultra filteration (UF))、ナノろ過膜(Nanofilteration (NF))、逆浸透膜(Reverse osmosis (RO))に分類することができる。精密ろ過工程とは、
溶液に溶けないコロイドサイズ以上の粒子を分離する工程を指すものであり、その時に用いる分離膜を精密ろ過膜という。
【0017】
精密ろ過膜が効果的に機能するためには、孔の直径が均一であることが重要であり、さらに、多孔性が高く、実質的な分離がなされる最小孔が存在する活性層の厚さが薄くなければならない。具体的には、本発明に用いられる精密ろ過膜は、0.1〜1μmの厚さを有する薄膜である。
【0018】
また、本発明に用いられる精密ろ過膜は、孔の直径によって他の膜又はフィルターとは区別され、直径が0.01〜20μm、好ましくは0.025〜10μm、より好ましくは0.025〜1μm、さらにより好ましくは0.025〜0.3μmの孔を有する分離膜をいう。精密ろ過膜は、溶液に溶解している溶質が大きい場合にも、膜の透過を妨げないように、多孔度を制御しなければならないことから、60%〜70%の多孔度を持つことが好ましい。
【0019】
また、本発明に用いられる精密ろ過膜は、50〜200kPa程度の圧力のもとで用いることができるものであることが好ましい。
【0020】
本発明に用いられる精密ろ過膜は、飲食用水製造用に用いられるものであることが好ましく、数回再生使用が可能なものであっても、使い捨てのものであってもよい。また、医薬や製薬の滅菌用に用いられるものであってもよい。
バクテリアの中で大きさが小さいものが0.3μm程度であるので、医療的な目的で大部分のバクテリアが本発明に用いられる精密ろ過膜により除去される。また、コロイド状態の微細粒子及びその他の懸濁物質も同様に、精密ろ過膜のふるい分けメカニズムによって除去される。
【0021】
今まで様々な種類の精密ろ過膜が開発され製品化されている。精密ろ過膜の開発初期段階では、硝酸塩を主材料として用いたことが多かったが、製造工程上の安全のため、最近はポリアミド、ポリスルホン、ポリビニリデンフルオライド、ポリプロピレン、セルロースアセテート、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン及びポリエーテルスルホンなどの様々な材料を用いた精密ろ過膜が商用化されている。
【0022】
本発明に用いられる精密ろ過膜は、例えば、ポリビニリデンフルオライド(Polyvinylidene fluoride : PVDF)のような高分子物質を主材料として、ハイドロサーマリインデュースドフェイズセパレーション(Hydrothermally induced phase separation:HTIPS)法によって膜形状に製造する。すなわち、高分子の融点を上回る温度において、高分子を極微細化する希釈剤を用いて溶融混合し、均一な単一相の溶融液を作り、これを適当な膜の形態に成形後、付加したハイドロサーマル(Hydrothermal)を急速冷却して相分離を生じ、希釈剤を適当な抽出剤で抽出すると、この部分が高分子マトリックス内において孔を形成し、その結果、高分子マトリックスに全体に多孔性が与えられる。この時、冷却速度を調節することにより相分離の大きさを調節することが可能となり、孔の大きさの調節も可能となる。
【0023】
HTIPS法により製造される高分子マトリックス、高分子膜の微細構造は、用いられる高分子と希釈剤の種類及び相分離の条件によって変わり、希釈剤の種類及び相分離の条件を適宜選択することで、孔のサイズ分布が均一な状態で、孔のサイズ及び形状を必要に応じて変化させて、多目的に利用することができる。
【0024】
本発明では、PVDFの他にも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン、ポリ塩化ビニル、テフロン(登録商標)、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン、ベークライト、ヨウ素樹脂、ポリシロキサン、又はこれらの混合物などのを用いることができる。また、結晶性高分子及び高強度エンジニアリングプラスチックなども用いることができる。
【0025】
活性炭基材フィルター
本発明に係る多重分離フィルターは、活性炭基材フィルターを含む。
【0026】
本発明に用いられる活性炭基材フィルターは、10〜100mmの厚さを有することが好ましく、50〜70mmの厚さを有するものであることがより好ましい。
【0027】
また、本発明に用いられる活性炭基材フィルターは、50〜200kPa程度の圧力のもとで100〜10,000LMHの水透過度を示すものであることが好ましく、500〜2,000LMHの水透過度を示すものであることがより好ましい。
【0028】
また、活性炭基材フィルターは、活性炭を主材料として、これにゼオライト、マグネシウム、金、銀又はこれらの混合物が混合されたものである。
【0029】
活性炭は、無数の微細孔(Micro Pore、Meso pore又はMacro pore)からなる炭素の集
合体により形成され、空気、ガス、液体の浄化用吸着剤として広く知られている。
【0030】
本発明において、活性炭は、粒状、円状、塊状又は粉末にしたものが有用であり、好ましくは分子レベルの内部孔を有し、かつ、網状組織を有するものであれば形態に関わりなく使用できる。また、1グラム当りの内部表面積が500〜1,500m2又はそれ以上
のものが好ましい。
【0031】
本発明においては、様々な方法によって活性化した炭化物を使用することができ、800〜900℃程度の高温下、水蒸気、二酸化炭素などで固定炭素を酸化処理するGAS法、炭化物を薬品で処理し、硫酸、リン酸、塩化亜鉛などを用いて微細孔を拡張させる薬品処理法により製造された炭化物を用いることが好ましい。炭化物の活性化方法は、気体活性化法と化学活性化法のいずれでもよい。活性炭以外の固体排出物が発生しないという理由から、水蒸気、二酸化炭素、酸素、空気などの酸化性気体で炭化物の一部を900℃前後の高温で酸化させて、その部位に微細な孔を生成させる気体活性化法が好ましい。一方、活性化剤が活性炭と混ざり合ってしまうため、洗浄工程が追加で必要ではあるが、塩化亜鉛、リン酸、水酸化カリウムや水酸化ナトリウムのようなアルカリ水酸化物などの活性化剤で炭化物又は非炭化物原料を化学反応により活性化させる化学活性化法を利用してもよい。
【0032】
本発明に用いられる活性炭は、粉末活性炭又は粒状活性炭を用いることが好ましい。粉末活性炭としては、乾燥したおがくずを酸化させないように、300〜500℃の熱を加えて、炭化させて焼灰状態にした上、焼灰を800〜1,000℃に維持した活性炉で活性化したものが好ましい。また、粒状活性炭としては、ヤシ皮を不完全燃焼させて得たヤシ殻チャコールを、800〜1,000℃のキルンで活性化し、8〜30メッシュ以下に粉砕したものが好ましい。
【0033】
本発明に用いられるゼオライトとは、活性炭基材フィルターに混合される成分である、結晶性アルミノシリケートの総称を指す。ゼオライトは、骨格を成すアルミノシリケート中のアルミニウムがある各位に負電荷を帯びているので、電荷相殺により陽イオンが細孔内に存在し、細孔内の残りの空間は通常水分子で満たされている。ゼオライトが有する3次元的な細孔構造は、ゼオライトの形状とサイズによって異なるが、本発明に用いられるゼオライトにおいては、細孔の直径が分子レベルであるものが好ましい。本発明においてゼオライトは、細孔サイズ及び形状により、細孔内に受け入れる分子に対する大きさ選択性又は形状選択性を制御することができ、したがって、分子篩(Molecular sieve)のよ
うな働きをする。
【0034】
また、廃水又は水の中に存在する重金属イオンをはじめとする有害な両イオン性化合物及び陰イオン性化合物を、同時かつ効果的に除去するイオン交換剤は、これまで知られていない。したがって、通常、水の中に存在する有害な陽イオン性化合物と陰イオン性化合物を同時に除去するために、各々のイオン性化合物の除去に活性を示すイオン交換剤を単に物理的に混合して用いることが一般であった。しかしながら、本発明に用いられる活性炭基材フィルターは、ゼオライト、マグネシウム、金、銀などを後述のように混合処理することによって、バクテリア、細菌など微生物のような汚染物質を除去するだけでなく、有害な陽イオン性化合物と陰イオン性化合物とを同時に除去することができる。
【0035】
本発明において使用される「ゼオライト」という用語は、類似分子篩を含む広義のゼオライトを意味する。すなわち、本発明に適した分子篩としてのゼオライトは下記に限られるものではなく、天然及び合成ゼオライト、ゼオライト骨格のシリコン元素全部又は一部をリン等の他の元素に置換した類似分子篩(例えば、AlPO4、SAPO、MeAPO又はMeAPSO)、ゼオライト骨格のアルミニウム元素をボロン、ガリウム又はチタン等の他の元素に一部或
いは全部置換した分子篩、又はこれらを組み合わせた分子篩、多孔性金属或いはシリコン酸化物(例えば、シリカライト、MCM系多孔性シリカ、多孔性二酸化チタン、二酸化ニオビウムなど)及びこれらの複合酸化物の分子篩、その他様々な元素を単独或いは複合的に用いて製造した多孔性分子篩を利用することができる。
【0036】
本発明においてゼオライトは、以下に限られるものではないが、方沸石(水化ナトリウムアルミニウム珪酸塩)、ポルサイト(水化セシウムナトリウムアルミニウム珪酸塩)、及びワイラカイト(水化カルシウムナトリウムアルミニウム珪酸塩)、ベルベルガイト(水化カリウムバリウムストロンチウムナトリウムアルミニウム珪酸塩)、ビキタアイト(水化リチウムアルミニウム珪酸塩);ボグサイト(水化カルシウムナトリウムアルミニウム珪酸塩)、 ブリュースターライト(水化ストロンチウムバリウムナトリウムカルシウ
ムアルミニウム珪酸塩)、カバザイト(水化カルシウムアルミニウム珪酸塩)及びウィルヘンダーソナイト(水化カリウムカルシウムアルミニウム珪酸塩)、コウレサイト(水化カルシウムアルミニウム珪酸塩)、タキアルダイト(水化カルシウムナトリウムカリウムアルミニウム珪酸塩)、エディントナイト(水化バリウムカルシウムアルミニウム珪酸塩)、エピスチルバイト(水化カルシウムアルミニウム珪酸塩)、エリオナイト(水化ナトリウムカリウムカルシウムアルミニウム珪酸塩)、 ホージャサイト(水化ナトリウムカ
ルシウムマグネシウムアルミニウム珪酸塩)、 フェリエライト(水化ナトリウムカリウ
ムマグネシウムカルシウムアルミニウム珪酸塩);アミサイト(水化カリウムナトリウムアルミニウム珪酸塩)、ガロナイト(水化カルシウムアルミニウム珪酸塩)、ジスモンディン(水化バリウムカルシウムアルミニウム珪酸塩)、及びコビンサイト(水化ナトリウムカリウムカルシウムアルミニウム珪酸塩)、グメリナイト(水化ナトリウムカルシウムアルミニウム珪酸塩)、ゴナルダイト(水化ナトリウムカルシウムアルミニウム珪酸塩)、グースクリカイト(水化カルシウムアルミニウム珪酸塩)、ハーモトーム(水化バリウムカリウムアルミニウム珪酸塩)、フィリップサイト(水化カリウムナトリウムカルシウムアルミニウム珪酸塩)、ウェルサイト(水化バリウムカルシウムカリウムアルミニウム珪酸塩)、クリノプチロライト(水化ナトリウムカリウムカルシウムアルミニウム珪酸塩)及びヒューランダイト(水化ナトリウムカルシウムアルミニウム珪酸塩)、 ローモン
タイト(水化カルシウムアルミニウム珪酸塩)、レビン(水化カルシウムナトリウムカリウムアルミニウム珪酸塩)、 マッツァイト(水化カリウムナトリウムマグネシウムカル
シウムアルミニウム珪酸塩)、 メルリノイト(水化カリウムナトリウムカルシウムバリ
ウムアルミニウム珪酸塩)、モンテソマイト(水化カリウムナトリウムアルミニウム珪酸塩)、モルデナイト(水化ナトリウムカリウムカルシウムアルミニウム珪酸塩)、メソルライト(水化ナトリウムカルシウムアルミニウム珪酸塩)、ナトロライト(水化ナトリウムアルミニウム珪酸塩)、及びスコレサイト(水化カルシウムアルミニウム珪酸塩)、オプレタイト(水化カルシウムカリウムマグネシウムアルミニウム珪酸塩)、パラナトロライト(水化ナトリウムアルミニウム珪酸塩)、 ポーリンガイト(水化カリウムカルシウ
ムナトリウムバリウムアルミニウム珪酸塩)、ペルリアライト(水化カリウムナトリウムカルシウムストロンチウムアルミニウム珪酸塩)、バレライト(水化ナトリウムカリウムカルシウムアルミニウム珪酸塩)、スチールバイト(水化ナトリウムカルシウムアルミニウム珪酸塩)、及びステラライト(水化カルシウムアルミニウム珪酸塩)、トムソナイト(水化ナトリウムカルシウムアルミニウム珪酸塩)、 チェルニカイト(水化カルシウム
アルミニウム珪酸塩)、ユガワラライト(水化カルシウムアルミニウム珪酸塩)又はこれらの混合物を用いることができる。
【0037】
また、本発明においては、マグネシウム、金、銀等の金属を活性炭基材フィルターに混合することができる。このうち、本発明においては、金又は銀が特に好ましく用いられる。本発明において、金又は銀は粉末状であり、粒径が2〜20nmであることが好ましい。マグネシウムを用いる場合、珪酸塩、硫酸塩又は炭酸塩の形態のものが利用できる。また、自然状態では単一元素としては存しないが、純粋マグネシウムを利用してもよい。本
発明において、マグネシウムは粉末状であり、粒径が0.01〜0.09μmであることが好ましい。
【0038】
以下、活性炭にゼオライト、マグネシウム、金、銀を混合する方法を説明する。
【0039】
本発明に用いられる活性炭基材フィルターは、活性炭60重量部に対して、ゼオライト、マグネシウム、金及び銀の中から選ばれる1種以上の粉末を20〜40重量部混合して製造される。このように混合した材料は、RF電源増幅器を用いるプラズマトーチ装置を利用して、生成した60,000〜70,000℃のプラズマガスで処理し、真空下、−200〜−273℃で急冷する段階を含んで製造される。上記方法により得られた、ゼオライト、マグネシウム、金及び銀の中から選ばれる1種以上の粉末が混合された活性炭は、常磁性を有することが確認された。
【0040】
本発明における、活性炭にゼオライトが混合された活性炭基材フィルターは、例えば下記のような組成を有する。
【表1】

【0041】
セラミックスフィルター
本発明に係る多重分離フィルターは、セラミックスフィルターを含む。
【0042】
本発明に用いられるセラミックスフィルターは、10〜100mmの厚さを有することが好ましく、50〜70mmの厚さを有するものであることがより好ましい。
【0043】
また、本発明に用いられるセラミックスフィルターは、50〜200kPa程度の圧力のもとで100〜10,000LMHの水透過度を示すものであることが好ましく、500〜2,000LMHの水透過度を示すものであることがより好ましい。
【0044】
本発明においてセラミックスとは、高純度の天然無機化合物や人工的に合成した無機化合物を原料として、高度な機能を持たせた製品のことを指す。
【0045】
マグネシウムは、K電子殻に2個、L電子殻に8個、M電子殻に2個の電子を保持しており、これらの電子のうち最外殻電子2個は不安定な状態にあり、これらの電子が放出されやすいので還元力を有する。マグネシウムが水と反応する場合、マグネシウム1分子と水2分子が反応する。この時マグネシウムは、遊離しないで水酸化マグネシウムを形成し、この過程においてマグネシウムから放出された電子の一部は、水素気体形成に用いられ、残りの電子は水の中に残ることになる。水酸化マグネシウムはイオン化され、水酸化基
(OH-)が形成される。すなわち、マグネシウムは酸化され、その代わりに、水が還元
されて還元水となる。
【0046】
マグネシウムは、自然状態では単一元素として存在せず、珪酸や硫酸や炭酸などと結合した塩の形態で多く存在する。本発明に用いられるセラミックスフィルターは、塩の形態のマグネシウムを含み、好ましくは純粋なマグネシウムを含む。本発明に用いられるセラミックスフィルターは、好ましくは主成分をマグネシウムとして、不可避的不純物としてAl、Si、Mnなどの金属を含む。
【0047】
本発明に用いられるセラミックスフィルターは、マグネシウムを主原料とし、例えば下記のような組成を有する。
【表2】

【0048】
本発明に用いられるセラミックスフィルターは、マグネシウムを、RF電源増幅器を備えた一般的なプラズマトーチ装置を利用して、60,000〜70,000℃に加熱して生成されたプラズマガスを、真空下、−200〜−273℃に急冷する段階を含んで製造される。このように製造されたセラミックスフィルターは、常磁性を有することが確認された。
【0049】
多重分離フィルター
本発明に係る多重分離フィルターは、精密ろ過膜、活性炭基材フィルター及びセラミックスフィルターをカートリッジフィルターハウジングの内部に順次積層して製造される。
【0050】
本発明の1つの態様によると、多重分離フィルターは、精密ろ過膜と活性炭基材フィルターをカートリッジフィルターハウジングの内部に順次積層して製造される。
【0051】
また、本発明の他の態様によると、多重分離フィルターは、精密ろ過膜とセラミックスフィルターをカートリッジフィルターハウジングの内部に順次積層して製造される。
【0052】
抗酸化水の製造方法
本発明の多重分離フィルターを用いることにより、例えば地下水が、ミネラルが豊富な岩盤層を通じて天然のアルカリ水になるという自然の原理と同様の原理に基づき、原水中の汚染源と有害成分を除去することができる。さらに、セラミックスフィルター層を通すことにより抗酸化水を製造することができる。
【0053】
以下、本発明に係る多重分離フィルターを利用して抗酸化水を製造する方法を詳しく説明する。
【0054】
まず、原水を精密ろ過膜、活性炭基材フィルター及びセラミックスフィルターの中から選ばれた1枚の膜或いはフィルターを通すことにより不純物を除去し、酸化還元電位を−94mV〜−729mVに下げる。次に、精密ろ過膜、活性炭基材フィルター、セラミックスフィルターがカートリッジフィルターハウジングの内部に順次積層された多重分離フィルターを通すことによって、水素濃度を増加させ、同時に、水分子のクラスターを微細に分解して抗酸化水を製造する。
【0055】
具体的には、本発明に用いられるセラミックスフィルターは、表面に微細な穴が分布する多孔質構造であることから、水が通過すると迅速にセラミックスフィルターの内部に吸収される。このセラミックスフィルターは磁性を帯びており、N極とS極の間にほぼ20mVの電位差が生じ、このようなフィルターに水が吸収及び通過する間、微細電流が流れることになり、これによってN極から水素ガスが放出され、水に還元力が付与されることとなる。
【0056】
本発明に係る多重分離フィルターは、家庭用浄水器、工場用浄水器など、設備や装置の規模、目的、種類にかかわらず、適切な形態のカートリッジフィルターハウジングに装着できるならば、様々な形態の水浄化装置に利用し得る。1つの態様として図1に抗酸化水製造装置を示す。図1中、201〜203と示されるフィルター層が本発明に係る多重分離フィルターに該当する。
このような水浄化装置でろ過された抗酸化水は、負(−)の酸化還元電位値を有しており、還元力に優れる。好ましくは−729〜−94mV範囲の酸化還元電位値を有し、さらに好ましくは−729〜−150mV範囲の値を有する。
【実施例】
【0057】
精密ろ過膜の作製
反応タンクを200℃に維持し、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)を希釈剤であるダイズ油と共に360分間攪拌して、均一に溶融混合した後、メルトスピニング及び常温冷却を経て凝固させ、n−ヘキサノールで抽出し、常温乾燥させ、120℃で膜形状にアニールさせ、膜厚0.1μmで直径0.025μmの孔を有する精密ろ過膜1を作製した。
【0058】
活性炭基材フィルターの作製
活性炭60重量部に対しゼオライトを30重量部混合し、混合物をプラズマトーチ装置を用いて60,000〜70,000℃のプラズマガスで加熱処理し、真空下、−273℃に急冷して、膜厚60mmで圧力100kPaにおける水透過度が600LMHの活性炭基材フィルター1を作製した。一方、ゼオライトの代りに銀粉末を30重量部混合し、活性炭基材フィルター1と同じ方法により、膜厚60mmで圧力100kPaにおける水透過度が600LMHの活性炭基材フィルター2を作製した。
【0059】
セラミックスフィルターの作製
マグネシウムを主原料とし、上記表2のような組成を有する、膜厚60mmで圧力100kPaにおける水透過度が600LMHのセラミックスフィルター1を作製した。
【0060】
[実施例1]
精密ろ過膜1と、活性炭基材フィルター1と、セラミックスフィルター1とを順次積層して、多重分離フィルター3を作製した。
【0061】
[実施例2]
精密ろ過膜1と、活性炭基材フィルター2と、セラミックスフィルター1とを順次積層
して、多重分離フィルター4を作製した。
【0062】
[参考例1]
精密ろ過膜1と、活性炭基材フィルター1とを順次積層して、多重分離フィルター1を作製した。
【0063】
[参考例2]
精密ろ過膜1と、活性炭基材フィルター2とを順次積層して、多重分離フィルター2を作製した。
【0064】
[実施例3]
実施例1〜2及び参考例1〜2において作製した多重分離フィルター1〜4を、各々図1に示された抗酸化水生成装置に装着して、該抗酸化水生成装置に圧力100kPaで水道水を流して抗酸化水を製造した。
水道水を比較例として、上記多重分離フィルター1〜4を用いて製造された抗酸化水の常温における物性を下記の表3にまとめた。
【0065】
【表3】

【符号の説明】
【0066】
100:抗酸化水生成装置
101:原水流入口
102:抗酸化水排出口
103:上部キャップ
104:下部キャップ
110:ハウジング
201:精密ろ過膜
202:活性炭基材フィルター
203:セラミックスフィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
精密ろ過膜、活性炭基材フィルター及びセラミックスフィルターが順次積層された多重分離フィルターであって、
上記活性炭基材フィルターは、活性炭60重量部にゼオライト粉末を20〜40重量部混合し、60,000〜70,000℃のプラズマガスで処理し、真空下、−200〜−273℃に急冷して製造されるものであり、
上記セラミックスフィルターは、マグネシウムを60,000〜70,000℃に加熱して生成されたプラズマガスを、真空下、−200〜−273℃に急冷して製造されることを特徴とする多重分離フィルター。
【請求項2】
精密ろ過膜、活性炭基材フィルター及びセラミックスフィルターが順次積層された多重分離フィルターであって、
上記活性炭基材フィルターは、活性炭60重量部に金及び銀の中から選ばれる1種以上の粉末を20〜40重量部混合し、60,000〜70,000℃のプラズマガスで処理し、真空下、−200〜−273℃に急冷して製造されるものであり、
上記セラミックスフィルターは、マグネシウムを60,000〜70,000℃に加熱して生成されたプラズマガスを、真空下、−200〜−273℃に急冷して製造されることを特徴とする多重分離フィルター。
【請求項3】
上記精密ろ過膜が、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン、ポリ塩化ビニル、テフロン(登録商標)、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン、ベークライト、ヨウ素樹脂、ポリシロキサン又はこれらの混合物から、ハイドロサーマリインデュースドフェイズセパレーション(Hydrothermally induced phase separation:HTIPS)法によって製造される高分子膜であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の多重分離フィルター。
【請求項4】
上記精密ろ過膜に、直径0.025〜10μmの孔が均一に分布していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多重分離フィルター。
【請求項5】
上記精密ろ過膜の多孔度が、60%〜70%であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の多重分離フィルター。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のフィルターを用いて製造される抗酸化水であって、酸化還元電位が−729〜−94mVであることを特徴とする抗酸化水。

【図1】
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【公開番号】特開2013−34984(P2013−34984A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−6390(P2012−6390)
【出願日】平成24年1月16日(2012.1.16)
【出願人】(512012713)
【出願人】(512012724)株式会社LS NOVA (1)
【Fターム(参考)】