説明

多重化システム及び冗長化システム

【課題】複数の処理装置でモードを切り替えながらシステムにおける処理を確実に実行し、運転の信頼性が高い多重化システム及び冗長化システムを提供する。
【解決手段】運転モードに切り替え可能な処理装置10a,10bと、処理装置を接続する伝送路11,12を備え、処理装置は、伝送路から受信する信号に基づいて処理装置の異常の判定に用いられる判定データ106を記憶する記憶手段と、伝送路のそれぞれに対応する伝送処理部101,102と、伝送処理部で受信した信号を判定データと比較して、他の処理装置の異常を検出する検出処理部103と、自らの処理装置が待機モードであるときに検出処理部によって他の処理装置の異常が検出されると、待機モードから運転モードに切り替える切替管理部104と、運転モードに切り替えられると、他の処理装置にモードの切り替えを要求する切替要求信号を送信する入出力管理部105とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の処理装置によって処理を実行する多重化システム及び冗長化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、2つの処理装置を用いて、一方の処理装置に異常が発生した場合に他方の処理装置を運転してシステムや装置の処理の実行に中断が生じないように構成することで、システムや装置の信頼性を向上させる手法が多用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えばビル施設内の設備等の異常を監視するシステムにおいても異常の発生を検出し合う2つの処理装置を備え、運転中の処理装置で異常が発生したとき、待機中の処理装置を実行させて監視する冗長化システムとすることで、システムにおける監視の信頼性を向上させることができる。
【0004】
図8に従来、監視に利用されている冗長化システムの一例を示す。図8に示す冗長化システムでは、第1処理装置20a又は第2処理装置20bの一方が運転モードであり、運転モードである処理装置20a,20bが、監視対象となる機器や装置(図示せず)の異常等の状態を監視するシステムである。また、冗長化システムでは、監視対象となる機器等の監視とともに、処理装置20a,20b間でも他方の処理装置を監視し、異常の検出を行っている。
【0005】
具体的には、図8に示す冗長化システムでは、各処理装置20a,20bの検出処理部202において、伝送処理部201及び伝送路204を介して他方の処理装置の状態を監視し、異常を検出している。例えば、検出処理部202によって運転モードの処理装置が故障やトラブル発生等によって運転不可能になったことを検出すると、切替管理部203によって他方の処理装置にモードの切り替えの指令信号を出力するとともに、自らの処理装置を待機モードから運転モードに切り替えて監視対象となる機器等を監視する。
【0006】
このように冗長化システムとして複数の処理装置20a,20bを有することで、運転モードの処理装置に異常が発生した場合には他方の処理装置に運転を切り替えることによって、対象機器の監視等を中断することなく確実に行うことができる。
【特許文献1】特開2005−50088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図8に示すシステムでは、処理装置20a,20b間が1本の伝送路204のみによって接続され、互いの処理装置を監視している。したがって、例えばこの伝送路204で監視のために用いる信号とモードの切り替えを操作する指令信号とが同時に送受信されて信号の伝送に遅延が生じた場合には、処理装置の異常の検出に漏れが生じてモードの切り替えが正確に行われなかったり、モードの切り替えに時間を要すことがあり、システムの本来の処理である対象機器の監視が正確に行われないことがある。また、このようなシステムでは処理装置20a,20bに異常が検出された場合にモードを切り替えているが、オペレータの操作によってモードを切り替えることはできない。
【0008】
すなわち、従来のシステムでは、システムにおける処理である監視の信頼性、安定性が低いという問題がある。また、従来のシステムでは、オペレータが簡単な操作で容易に切り替えを行うことができないという問題がある。
【0009】
上記課題に鑑み、本発明は、複数の処理装置でモードを切り替えながらシステムにおける処理を確実に実行し、運転の信頼性が高い多重化システム及び冗長化システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題に鑑み、本発明に係る第1の多重化システムは、運転モードに切り替え可能な複数の処理装置と、複数の処理装置を接続する複数の伝送路を備え、複数の処理装置のうちいずれかが運転モードであり処理を実行する冗長化システムであって、処理装置はそれぞれ、複数の伝送路から受信する信号に基づいて処理装置の異常の判定に用いられる判定データを記憶する記憶手段と、複数の伝送路のそれぞれに対応する複数の伝送処理部と、伝送処理部で受信した信号を判定データと比較して、他の処理装置の異常を検出する検出処理部と、自らの処理装置が待機モードであるときに検出処理部によって他の処理装置の異常が検出されると、自らの処理装置を待機モードから運転モードに切り替える切替管理部と、切替管理部によって運転モードに切り替えられると、伝送路を介して他の処理装置にモードの切り替えを要求する切替要求信号を送信する入出力管理部とを有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る第2の冗長化システムは、運転モードに切り替え可能な2つの処理装置と、2つの処理装置を接続する第1伝送路及び第2伝送路を備え、2つの処理装置のうち一方が運転モードであり処理を実行する冗長化システムであって、処理装置はそれぞれ、第1伝送路及び第2伝送路から受信する信号に基づいて処理装置の異常の判定に用いられる判定データを記憶する記憶手段と、第1伝送路を介して、他方の処理装置から送信された信号を受信する第1伝送処理部と、第2伝送路を介して、他方の処理装置から送信された信号を受信する第2伝送処理部と、第1伝送処理部及び第2伝送処理部で受信した信号を判定データと比較して、他方の処理装置の異常を検出する検出処理部と、自らの処理装置が待機モードであるときに検出処理部によって他方の処理装置の異常が検出されると、自らの処理装置を待機モードから運転モードに切り替える切替管理部と、切替管理部によって運転モードに切り替えられると、いずれかの伝送路を介して他方の処理装置にモードの切り替えを要求する切替要求信号を送信する入出力管理部とを有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る第3の多重化システムは、運転モードに切り替え可能な複数の処理装置と、処理装置のモードの切替操作と関連付けられる識別子を含む切替画面を表示し、切替画面から選択された識別子に関連付けられる切替操作の操作信号を出力する出力装置とを備え、複数の処理装置のうちいずれかが運転モードであり処理を実行する冗長化システムであって、処理装置はそれぞれ、出力装置から出力された操作信号を入力すると、操作信号にしたがって自らの処理装置のモードを切り替える切替管理部と、操作信号にしたがってモードが切り替えられると、他の処理装置にモードの切替を要求する切替要求信号を送信する入出力管理部とを有することを特徴とする。
【0013】
本発明の第4の冗長化システムは、運転モードに切り替え可能な2つの処理装置と、処理装置のモードの切替操作と関連付けられる識別子を含む切替画面を表示し、切替画面から選択された識別子に関連付けられる切替操作の操作信号を出力する出力装置とを備え、2つの処理装置の一方が運転モードであり処理を実行する冗長化システムであって、処理装置はそれぞれ、出力装置から出力された操作信号を入力すると、操作信号にしたがって自らの処理装置のモードを切り替える切替管理部と、操作信号にしたがってモードが切り替えられると、他方の処理装置にモードの切替を要求する切替要求信号を送信する入出力管理部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の処理装置でモードを切り替えながらシステムにおける処理を確実に実行し、運転の信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
〈第1実施形態〉
以下では、本発明の第1の実施形態をビル施設内の電気、空調、衛生設備等の設備が正常に起動しているかを監視する監視システム1aに関する冗長化システムとして説明する。監視システム1aは、図1に示すように、第1処理装置10a及び第2処理装置10bとが第1伝送路11及び第2伝送路12の2方向から接続されている。各処理装置10a,10bは、それぞれ運転モード及び待機モードに切り替え可能であって、運転モードである処理装置が監視のために実行されており、ビル施設内の設備を監視している。また、待機モードである処理装置は、監視のために実行されていないが、切替操作によって実行できるような待機(バックアップ)の状態にある。運転モード及び待機モードの他には、停止モードがある。停止モードは、処理装置10a,10bが故障中やメンテナンス中等であって、監視を実行できない状態をいう。
【0016】
第1伝送路11には、図1に示すように、入出力装置13が接続されている。入出力装置13は、いわゆるディスプレイ等の表示装置やキーボードやマウス等の入力装置等であって、入出力装置13のディスプレイには第1処理装置10aや第2処理装置10bの状態などが表示される。また、第2伝送路12では、中継装置14を介して第1処理装置10aと第2処理装置10bとが接続されている。
【0017】
各処理装置10a,10bは、ビル施設内の設備を監視するものであるが、ビル施設内の設備を監視するとともに、第1伝送路11及び第2伝送路12を介して接続される他方の処理装置の異常を監視している。具体的には、第1処理装置10aは、経路1乃至経路3によって第2処理装置10bを監視し、第2処理装置10bは、経路4乃至経路6によって第1処理装置10bを監視している。また、第1処理装置10aは、経路2によって入出力装置13を監視し、第2処理装置10bは、経路5によって入出力装置13を監視している。
【0018】
この処理装置10a,10b間の相互の異常の監視は、処理装置10a,10bが運転モードであっても待機モードであっても行われている。
【0019】
第1処理装置10aは、第1処理装置10bの状態を把握しながら処理装置のモードを切り替えるサーバであって、第1伝送処理部101、第2伝送処理部102、検出処理部103、切替管理部104、入出力管理部105及び判定データ106を記憶するデータベースを備えている。
【0020】
判定データ106は、前記第1伝送路及び前記第2伝送路から受信する信号に基づいて各処理装置10a,10bの異常を検出し、切り替えが必要であるかの判定に用いられるデータである。第1処理装置10aが運転モードであり、第2処理装置10bが待機モードである場合に用いられる判定データ106の一例を図2のパターンNo.1〜パターンNo.13に示す。
【0021】
例えば、図2に示す判定データ106を用いたとき、パターンNo.1は、経路1が異常であり、経路4が正常である場合の各処理装置で設定されるモードを表わすものである。この判定データ106に従うと、各経路でこのパターンNo.1の状態であるときには、他の経路でどのような状態であったとしても、第1処理装置10aを「運転モード」から「停止モード」とし、第2処理装置10bを「待機モード」から「運転モード」に変更する必要がある。
【0022】
また、パターンNo.8は、経路1乃至経路5が正常であり、経路6が異常である場合の各装置で設定されるモードを表わすものである。この判定データ106に従うと、各経路でこのパターン8の状態であるときには、第1処理装置10aを「運転モード」を継続し、第2処理装置10bで「待機モード」を継続する必要がある。
【0023】
なお、第1処理装置10aは、経路1乃至経路3の状態と、第2処理装置10bから送信される情報によって、経路4乃至経路6の状態を把握することができる。また、第2処理装置10bは、経路4乃至経路6の状態と、第1処理装置10aから送信される情報によって、経路1乃至経路3の状態を把握することができる。このように、各処理装置10a,10bは、監視する経路の状態の関するデータを接続される他の処理装置と送受信(交換)することで、全ての経路の状態を把握することができる。
【0024】
第1伝送処理部101は、第1伝送路11を介して、第2処理装置10bに信号の送信、第2処理装置10bから送信された信号の受信の処理を実行する。また、第2伝送処理部102は、第2伝送路12を介して、第2処理装置10bに信号の送信、第2処理装置10bから送信された信号の受信の処理を実行する。
【0025】
検出処理部103は、第1伝送処理部101及び第2伝送処理部102で受信した信号を判定データ106と比較して、異常を検出し、処理装置20a,20bのモードの切り替えが必要であるか否かを判定する。
【0026】
ここで、検出処理部103は、第1伝送処理部101及び第2伝送処理部102を介して経路1乃至経路3の全ての経路で第2処理装置10bに監視信号を送信し、送信した監視信号に対して応答信号を受信できた経路は正常であると判定し、応答信号を受信できない経路は異常であると判定する。監視信号の送信のタイミングは、例えば定期的等のタイミングであって、第1処理装置10aが正常である場合に、検出処理部103が送信する。
【0027】
また、検出処理部103は、第1伝送路11又は第2伝送路12を介して、把握した経路1乃至経路3の状態に関するデータ(信号)を第2処理装置10bに送信するともに、第2処理装置10bから経路4乃至経路6の状態に関するデータ(信号)を受信する。
【0028】
切替管理部104は、検出処理部103における判定の結果に従って、第1処理装置10aのモードを切り替える。検出処理部103における判定の結果に従って切替管理部104によってモードが切り替えられると、入出力管理部105は、第1伝送路11又は第2伝送路12を介して第2処理装置10bへモードの切り替えを要求する切替要求信号の送信を制御する。
【0029】
入出力管理部105は、第1伝送路11を優先して信号の送信を行う。すなわち、入出力管理部105は、第1伝送路11が正常である場合、第1伝送路11を介して切替要求信号を送信し、第1伝送路11が異常である場合、第2伝送路12を介して切替要求信号を送信する。なお、第1伝送路を介した質問に対して応答信号を受信できた場合には、第1伝送路11を正常とし、受信できない場合には、第1伝送路12を異常とする。
【0030】
例えば、第1処理装置10aを待機モードに切り替えた場合には、運転モードへの切り替えを要求する切り替え要求信号を送信し、運転モードに切り替えた場合には、待機モードへの切り替えを要求する切り替え要求信号を送信する。
【0031】
なお、処理装置10aで切替が必要であると判定したとき、判定の結果をオペレータに通知することで、処理装置にメンテナンスの必要がある場合には早期に通知し、メンテナンスを促がすことができる。
【0032】
また、切替管理部104は、第1伝送処理部101又は第2伝送処理部102を介して第2処理装置10bから送信された切替要求信号を入力すると、第1処理装置10aのモードを切り替える。第2処理装置10bから受信した切替要求信号に基づいてモードが切り替えられると、入出力管理部105は、第1伝送処理部又は第2伝送処理部を介して第2処理装置10bにモードを切り替えた旨を通知する通知信号を送信する。この場合にも、入出力管理部105は、第1伝送路11を優先して通知信号を送信する。例えば、切替要求信号を送信した処理装置は、所定時間が経過してもこの通知信号を受信できない場合、再度、切替要求信号を送信することで、処理装置のモードの切り替えを確実に行うことができる。
【0033】
第1処理装置10aは、上述した構成の他にビル施設内の設備等を監視する手段や、監視したビル施設内の設備等の状態を入出力装置13に出力し、ディスプレイに表示させる手段等を有しているが、ここでは図示を用いた説明を省略する。
【0034】
また、第2処理装置10bも第1処理装置10aと同様に第1伝送処理部101、第2伝送処理部102、検出処理部103、切替管理部104、入出力管理部105及び判定データ106を記憶するデータベース等を備え、同様の処理が行われるサーバであるため、説明を省略する。
【0035】
図3に示すフローチャートを用いて、処理装置10a,10bにおいて他方の処理装置との通信状態を監視し、モードを切り替える処理の一例を説明する。ここでは、第1処理装置10aが経路2および経路3の異常を検出し、「運転モード」から「待機モード」に切り替える場合の一例を説明する。
【0036】
検出処理部103は、第1伝送処理部101を介して経路1及び経路2を経由する監視信号を第2処理装置10bに送信するとともに、第2伝送処理部102を介して経路3を経由する監視信号を第2処理装置10bに送信する(S01)。
【0037】
監視信号を送信した検出処理部103は、送信した監視信号に対して各経路を経由して受信する応答信号の入力を待機する(S02)。検出処理部103は、応答信号の受信の際、処理装置10bから経路4乃至経路6の状態に関するデータの受信を待機する。
【0038】
その後、検出処理部103は、受信した応答信号及び経路4乃至経路6の状態に関するデータと判定データ106とを比較して、切り替えが必要であるか否かを判定する(S03)。ここで、経路2及び経路3の異常が検出された場合、経路4も経路5も正常であれば、パターンNo.6となり、運転モードから待機モードに変更される。また、経路2及び経路3の異常が検出された場合、経路4が正常であり、経路5及び経路6が異常であれば、パターンNo.9となり、運転モードが維持される。
【0039】
検出処理部103によって、切り替えの必要があると判定されると(S04でYES)、切替管理部104は、検出処理部103で特定されたモードに切り替える(S05)。その後、入出力管理部105は、第2処理装置10bを他のモードへの切り替えを要求する切替要求信号を送信する(S06)。パターンNo.6が採用された場合には、切替管理部104は、運転モードから待機モードに切り替え、入出力管理部105は、第2処理装置10bへ待機モードから運転モードへの切り替えを要求する切替要求信号を送信する。
【0040】
続いて、図4に示すフローチャートを用いて、監視システム1aにおいて、処理装置10a,10bが他方の処理装置から切替要求信号を受信した場合の処理の一例を説明する。
【0041】
第1伝送処理部101又は第2伝送処理部102で他方の処理装置から切替要求信号を受信すると(S11でYES)、切替管理部104は、切替要求信号で特定されたモードに切り替える(S12)。
【0042】
その後、入出力管理部105は、第1伝送処理部101又は第2伝送処理部102を介して処理装置のモードを切り替えた旨を通知する通知信号を他の処理装置に送信する(S13)。
【0043】
上述したように、本発明の第1の実施形態に係る監視システム1aでは、処理装置10a,10bが複数の伝送路を利用して、複数の経路の状態を検出してモードの切り替えが必要であるか否かを判定してモードを切り替えるとともに、モードを切り替えた場合には接続される他の処理装置に優先されるな伝送路を介して切替要求信号を送信する。また、他の処理装置から切替要求信号を受信した処理装置10a,10bは、切替要求信号で特定されるモードに切り替える。したがって、このように監視システム1aにおいて、複数の伝送路を利用し、処理装置20a,20bの異常の検出結果に応じて運転する処理装置を切り替えることで、監視対象である設備等の異常を正確に監視し、監視システムの安定性を向上することができる。
【0044】
なお、図1に示す監視システム1aは、2つの処理装置10a,10bが2本の伝送路11,12で接続される例であるが、複数の処理装置が複数の伝送路で接続されていれば、その数は問わず、多重化システムとすることができる。このような多重化システムの場合、判定データ16は、より複雑な構成になる。また、上述したように処理装置を2方向の経路を利用して相互に監視し合う監視システムは、監視システム以外にも、様々なシステムに適用することができる。
【0045】
〈第2実施形態〉
以下では、本発明の第2の実施形態をビル施設内の電気、空調、衛生設備等のビル内の設備が正常に起動しているかを監視する監視システム1bに関する冗長化システムとして説明する。また、以下の説明において、図1を用いて上述した構成と同一の構成には同一の番号を付し、類似の構成には類似の番号を付して説明を省略する。
【0046】
監視システム1bは、図5に示すように、第1処理装置10c及び第2処理装置10dとが伝送路11によって接続されるとともに、入出力装置13が接続されている。各処理装置10c,10dは、図1を用いて上述した処理装置10a,10bと同様であって、それぞれ運転モード、待機モード、停止モードに切り替え可能であって、運転モードである処理装置が監視のために実行されており、ビル施設内の設備を監視している。
【0047】
各処理装置10c,10dは、ビルの設備等を監視するものであるが、ビルの設備を監視するとともに、オペレータからの操作に従って、各処理装置のモードを変更することができる。
【0048】
第1処理装置10cは、オペレータからの操作に従って処理装置10c,10dのモードを切り替えるサーバであって、伝送処理部101、表示処理部107、切替管理部104、入出力管理部105及び画面データ108を記憶するデータベースを備えている。
【0049】
画面データ108は、伝送路11を介して受信する信号に基づいて入出力装置13のディスプレイに図6に示すような切替画面Pを表示させるデータである。
【0050】
切替画面Pは、種々の操作と関連付けられるボタンb1〜b9を含んでいる。入出力装置13のマウスを使用したオペレータの操作によって、切替画面Pからボタンb1〜b7が選択された後にボタンb8が選択されると、選択されたボタンb1〜b7と関連付けられる操作の操作信号が入出力装置13から第1処理装置10cに出力され、選択された操作が実行される。また、ボタンb1〜b7が選択された後にボタンb9が選択されると、ボタンb1〜b7の選択を取り消し、新たなボタンを選択することが可能になる。
【0051】
具体的には、ボタンb1は第1処理装置10cを運転モードにする場合に選択され、ボタンb2は第1処理装置10cを待機モードにする場合に選択され、ボタンb3は第1処理装置10cを停止する場合に選択される。また、ボタンb4は第2処理装置10dを運転モードにする場合に選択され、ボタンb5は第2処理装置10dを待機モードにする場合に選択され、ボタンb6は第2処理装置10dを停止する場合に選択される。
【0052】
さらに、ボタンb7は、第1処理装置10cと第2処理装置10dのモードを切り替える場合に選択される。すなわち、第1処理装置10cが運転モードであり、第2処理装置10dが待機モードである場合にボタンb7が選択され、ボタンb8が選択されると、第1処理装置10cが待機モードとなり、第2処理装置10dが運転モードとなる。
【0053】
伝送処理部101は、伝送路11を介して入出力装置13から操作リクエスト等の信号の受信、画面データ108や第1処理装置10aにおける状態等の送信の処理を実行する。また、伝送処理部101は、伝送路11を介して、第2処理装置10dに信号の送信、第2処理装置10dから送信された信号の受信の処理を実行する。
【0054】
表示処理部107は、オペレータの操作によって図6で上述したような切替画面Pの表示がリクエストされると、データベースから画面データ108を読み出し、伝送処理部101を介して入出力装置13に出力し、ディスプレイで表示させる。
【0055】
切替管理部104は、オペレータの操作によって切替画面Pに含まれるボタンの選択によって入出力装置13から送信されたモードの切り替えの操作信号を伝送処理部101で受信すると、受信した操作信号に従って、第1処理装置10cのモードを切り替える。また、切替管理部104は、伝送処理部101を介して第2処理装置10dから送信された切替要求信号を入力すると、第1処理装置10cのモードを切り替える。
【0056】
入出力管理部105は、伝送路11を介して第2処理装置10dへモードの切り替えを要求する切替要求信号の送信や、第1処理装置10cでモードを切り替えた切替通知信号の送信を制御する。
【0057】
第1処理装置10aは、上述した構成の他にビル施設内の設備等を監視する手段や、監視したビル施設内の設備等の状態を入出力装置13に出力し、ディスプレイに表示させる手段等を有しているが、ここでは図示を用いた説明を省略する。
【0058】
また、第2処理装置10bも第1処理装置10aと同様に伝送処理部101、表示処理部107、切替管理部104、入出力管理部105及び画面データ108を記憶するデータベース等を備える、同様の処理が行われるサーバであるため、説明を省略する。
【0059】
図7に示すフローチャートを用いて、処理装置10c,10dにおいて入出力装置13から入力されるリクエストに従ってモードを切り替える例を説明する。
【0060】
伝送処理部101が入出力装置13から切替画面Pの表示を要求するリクエストを受信すると(S21でYES)、表示処理部107は、データベースから画面データ108を読み出して入出力装置13に送信し、入出力装置13のディスプレイに図6で示したような切替画面Pを表示させる(S22)。
【0061】
入出力装置13から切替画面Pで選択されたボタンで特定される操作信号を伝送処理部101が受信すると(S23でYES)、受信した操作信号で特定されるモードに切り替える(S24)。
【0062】
その後、入出力管理部105は、伝送処理部101を介して他方の処理装置に切替通知を送信する(S25)。
【0063】
上述したように、本発明の第2の実施形態に係る監視システム1bでは、オペレータが必要に応じて切替画面を利用した操作によって各処理装置10c,10dのモードを切り替えることができる。したがって、オペレータの意思により切替画面を利用して自由にモードの切り替えが可能となり、システムの操作性及び安全性を向上させることができる。
【0064】
なお、図5に示す監視システム1bは、2つの処理装置10c,10dが伝送路11で接続される例であるが、複数の処理装置が接続されていれば、その数は問わず、多重化システムとすることもできる。また、もちろん第2の実施形態に係る監視システム1bは、上述した2つの伝送路11,12を備える第1の実施形態に係る監視システム1aと組み合わせて構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】第1の実施形態に係る監視システムの構成を説明する機能ブロック図である。
【図2】図1の監視システムで使用される判定データの一例である。
【図3】図1の監視システムにおいて他の処理装置の異常を検出してモードを切り替える処理の一例を説明するフローチャートである。
【図4】図1の監視システムにおいて他の処理装置からの切替要求信号にしたがってモードを切り替える処理の一例を説明するフローチャートである。
【図5】第2の実施形態に係る監視システムの構成を説明する機能ブロック図である。
【図6】図4の監視システムによって表示される切替画面の一例である。
【図7】図4の監視システムにおいてモードを切り替える処理の一例を説明するフローチャートである。
【図8】従来の監視システムの構成を説明する機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0066】
1a,1b…監視システム
10a〜10d…処理装置
101,102…伝送処理部
103…検出処理部
104…切替管理部
105…入出力管理部
106…判定データ
107…表示処理部
108…画面データ
11,12…伝送路
13…入出力装置(出力装置)
14…中継装置
P…切替画面
b1〜b9…ボタン(識別子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転モードに切り替え可能な複数の処理装置と、前記複数の処理装置を接続する複数の伝送路を備え、前記複数の処理装置のうちいずれかが運転モードであり処理を実行する多重化システムであって、
前記処理装置はそれぞれ、
前記複数の伝送路から受信する信号に基づいて処理装置の異常の判定に用いられる判定データを記憶する記憶手段と、
前記複数の伝送路のそれぞれに対応し、他の処理装置から送信された信号を受信する複数の伝送処理部と、
前記伝送処理部で受信した信号を前記判定データと比較して、他の処理装置の異常を検出する検出処理部と、
自らの処理装置が待機モードであるときに前記検出処理部によって前記他の処理装置の異常が検出されると、自らの処理装置を待機モードから運転モードに切り替える切替管理部と、
前記切替管理部によって運転モードに切り替えられると、前記伝送路を介して前記他の処理装置にモードの切り替えを要求する切替要求信号を送信する入出力管理部と、
を有することを特徴とする多重化システム。
【請求項2】
運転モードに切り替え可能な2つの処理装置と、前記2つの処理装置を接続する第1伝送路及び第2伝送路を備え、前記2つの処理装置のうち一方が運転モードであり処理を実行する冗長化システムであって、
前記処理装置はそれぞれ、
前記第1伝送路及び第2伝送路から受信する信号に基づいて処理装置の異常の判定に用いられる判定データを記憶する記憶手段と、
前記第1伝送路を介して、他方の処理装置から送信された信号を受信する第1伝送処理部と、
前記第2伝送路を介して、前記他方の処理装置から送信された信号を受信する第2伝送処理部と、
前記第1伝送処理部及び前記第2伝送処理部で受信した信号を前記判定データと比較して、前記他方の処理装置の異常を検出する検出処理部と、
自らの処理装置が待機モードであるときに前記検出処理部によって前記他方の処理装置の異常が検出されると、自らの処理装置を待機モードから運転モードに切り替える切替管理部と、
前記切替管理部によって運転モードに切り替えられると、前記いずれかの伝送路を介して前記他方の処理装置にモードの切り替えを要求する切替要求信号を送信する入出力管理部と、
を有することを特徴とする冗長化システム。
【請求項3】
前記検出処理部は、前記自らの処理装置が正常であるときに所定のタイミングで前記第1伝送路及び前記第2伝送路を介して前記他方の処理装置に監視信号を送信し、前記監視信号に対して前記他方の処理装置から応答信号を受信できない場合に異常であると検出することを特徴とする請求項2記載の冗長化システム。
【請求項4】
前記検出処理部は、前記自らの処理装置が正常であるときに前記第1伝送路及び前記第2伝送路を介して前記他方の処理装置から送信された監視信号を受信すると、前記伝送路を介して前記他方の処理装置に応答信号を送信することを特徴とする請求項2記載の冗長化システム。
【請求項5】
前記入出力管理部は、前記検出処理部における検出結果に基づいて信号を送信する伝送路を第1伝送路及び第2伝送路から選択することを特徴とする請求項2記載の冗長化システム。
【請求項6】
運転モードに切り替え可能な複数の処理装置と、前記処理装置のモードの切替操作と関連付けられる識別子を含む切替画面を表示し、前記切替画面から選択された識別子に関連付けられる切替操作の操作信号を出力する出力装置とを備え、前記複数の処理装置のうちいずれかが運転モードであり処理を実行する多重化システムであって、
前記処理装置はそれぞれ、
前記出力装置から出力された前記操作信号を入力すると、前記操作信号にしたがって自らの処理装置のモードを切り替える切替管理部と、
前記操作信号にしたがってモードが切り替えられると、他の処理装置にモードの切替を要求する切替要求信号を送信する入出力管理部と、
を有することを特徴とする多重化システム。
【請求項7】
運転モードに切り替え可能な2つの処理装置と、前記処理装置のモードの切替操作と関連付けられる識別子を含む切替画面を表示し、前記切替画面から選択された識別子に関連付けられる切替操作の操作信号を出力する出力装置とを備え、前記2つの処理装置の一方が運転モードであり処理を実行する冗長化システムであって、
前記処理装置はそれぞれ、
前記出力装置から出力された前記操作信号を入力すると、前記操作信号にしたがって自らの処理装置のモードを切り替える切替管理部と、
前記操作信号にしたがってモードが切り替えられると、前記他方の処理装置にモードの切替を要求する切替要求信号を送信する入出力管理部と、
を有することを特徴とする冗長化システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−234196(P2008−234196A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−71391(P2007−71391)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】