多重化信号調整器
【課題】信号調整回路がアンチエイリアシングフィルタおよびA/D変換器を時分割多重する。
【解決手段】複数の第1層のマルチプレクサは各々複数のセンサからの複数のACまたはベースバンド入力信号の間を複数のアンチエイリアシングフィルタのうちの1つに時分割多重する。第2層のマルチプレクサはその入力を第1層のマルチプレクサの出力から選択する。第2層のマルチプレクサの出力が高速A/D変換器に供給される。したがって、A/D変換器は第2層のマルチプレクサによって時分割多重される。このように、複数のセンサは単一のA/D変換器を共有することができる。マルチプレクサおよびアンチエイリアシングフィルタに整定時間を与えた後、入力信号の複数のサンプルが、例えば1周期の間に、取り込まれる。
【解決手段】複数の第1層のマルチプレクサは各々複数のセンサからの複数のACまたはベースバンド入力信号の間を複数のアンチエイリアシングフィルタのうちの1つに時分割多重する。第2層のマルチプレクサはその入力を第1層のマルチプレクサの出力から選択する。第2層のマルチプレクサの出力が高速A/D変換器に供給される。したがって、A/D変換器は第2層のマルチプレクサによって時分割多重される。このように、複数のセンサは単一のA/D変換器を共有することができる。マルチプレクサおよびアンチエイリアシングフィルタに整定時間を与えた後、入力信号の複数のサンプルが、例えば1周期の間に、取り込まれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にACセンサ信号を含む多数のタイプの入力を等価な工学単位に変換する方法と整合する信号調整トポロジーに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明はLVDTまたはレゾルバに限定されないが、これらのセンサを例として使用して本発明の動作およびいくつかの利点が説明される。LVDTおよびレゾルバは各々位置および/または角度を一緒に示す1対のACセンサ信号を生成する。これらのACセンサ信号は等価な工学単位に変換されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
既知の信号調整方法はACセンサ信号の各々に対して個別のアンチエイリアシングフィルタおよび復調器を含む。これにより、回路のコスト、大きさ、および電力消費が増加する。さらに、所与のセンサの1対のACセンサ信号向け回路間のどんな固有の変化または変動も角度計算に誤差を導入する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、アンチエイリアシングフィルタおよびA/D変換器が時分割多重される信号調整回路を提供する。これにより、回路の大きさ、コスト、および電力消費が低減される。
【0005】
複数の第1層のマルチプレクサが、各々アンチエイリアシングフィルタを複数のセンサからの複数の入力信号間で時分割多重する。第2層のマルチプレクサは、その入力を第1層のマルチプレクサの出力から選択する。第2層のマルチプレクサの出力はサンプル/ホールド回路に供給され、高速A/D変換器によってデジタル化される。したがって、A/D変換器およびサンプル/ホールド回路は第2層のマルチプレクサによって時分割多重されている。このようにして、複数のセンサは単一のA/D変換器を共有することができる。単一のA/D変換器が扱えるセンサの数は、A/D変換器の速度、所要の更新速度、フィルタ整定時間、およびマルチプレクサ整定時間に依存する。
【0006】
マルチプレクサおよびアンチエイリアシングフィルタに整定時間を与えた後、入力信号の複数のサンプルが取り込まれる(例えば、1周期の間に)。AC信号では、正弦ベクトルおよび余弦ベクトルが各入力信号のサンプルに乗ぜられる。次に、積のベクトルは各々平均され、2つの平均の2乗平均平方根が入力信号のベクトルの大きさを与える。入力信号の機械的角度が多象限レゾルバには必要である。それは、sinβおよびcosβ(βはレゾルバ角度を表す)のベクトル平均の正弦成分の符号に基づいて決定することができる。
【0007】
本発明が添付図面と共に以降の詳細な説明を参照することによって一層良く理解されたとき、本発明の他の利点は容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の信号調整回路の概略図である。
【図2】サンプルAC入力信号の1周期に対する第2層のマルチプレクサのタイミングを示すグラフである。
【図3】サンプル変換のグラフである。
【図4】AC信号調整器の動作の流れ図である。
【図4a】デジタルフィルタが付加されている場合の図4のそれと同様の流れ図である。
【図4b】一実施例の2極デジタルフィルタを示す図である。
【図4c】フィルタリングがある場合の時間領域応答をグラフで示す図である。
【図4d】デジタルフィルタをもつ場合およびそれをもたない場合の両方のAC調整器に対する周波数応答比較を示す図である。
【図4e】sin乗数テーブルおよびcos乗数テーブルを示す図である。
【図4f】周波数シフトフィルタの周波数応答を示す図である。
【図4g】8つまたは16のデータサンプルで平均することによって生成された周波数応答を示す図である。
【図5】レゾルバ用のEUC変換のロジック回路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
複数のセンサ12、14、16からの複数の入力信号のための信号調整器10が図1に示される。センサは、LVDT12、レゾルバ14、および近接センサなど図示の他のセンサ16などのAC入力信号を生成するセンサを含むことができる。熱電対(TC)や抵抗温度デバイス(RTD)などのベースバンド(DC)信号生成センサも多重化システムで使用することができる。
【0010】
複数の第1層のマルチプレクサ20a〜20eは各々複数の入力信号をグループ化し、共有アンチエイリアシングフィルタ22a〜22eに入力する。所与の第1層のマルチプレクサ20a〜20eに対する複数の入力信号は、単一のアンチエイリアシングフィルタ22a〜22eが使用できるように十分に類似していることが好ましい。単一センサ、例えば5線LVDT12(E1およびE2)やレゾルバ14(Asinβ巻線およびAcosβ巻線)からの多数のAC入力信号の場合、同じセンサからの信号は共通の第1層のマルチプレクサ20およびアンチエイリアシングフィルタ22を通って供給される。これが行われると、第1層のマルチプレクサ20およびアンチエイリアシングフィルタ22によって引き起こされる利得変動または周波数応答変動は信号上に全く同様に生じ、したがって影響がキャンセルされることになる。これにより、測定(すなわちE1およびE2)の非同期に起因するタイミングスキュー(Timing skew)がもたらされることになる。しかし、提案されているシステムおよび大部分の他のシステムでは、時間間隔が十分に短く、その結果、導入される誤差は小さく、無視することができる。
【0011】
単一の第1層のマルチプレクサ20a〜20eを共有することができるセンサの数は、センサへのスループット要件およびそれぞれの変換時間に依存する。例えば、LVDT12では、所望の更新速度が10ミリ秒であり、E1またはE2に対して変換が1ミリ秒を要する場合、5つのLVDT12をグループ化して共通のアンチエイリアシングフィルタ22a〜22eに入力することができる。しかし、利得入力および試験入力が図示のように使用される場合、4つのLVDT12をグループ化することができる。
【0012】
第2層のマルチプレクサ26は、その入力を第1層のマルチプレクサ20の出力から選択する。第2層のマルチプレクサ26の出力はサンプル/ホールド回路28に供給される。サンプル/ホールド回路28の出力は高速A/D変換器30によってデジタル化される。例えば、A/D変換器30は、2μ秒(500kHz)で14ビットデジタル化出力を供給することができる。第1層のマルチプレクサ20a〜20eのドエル時間中に第2層のマルチプレクサ26が扱うことができる、第1層のマルチプレクサ20a〜20e(および/または任意選択で単一のセンサおよびアンチエイリアシングフィルタからの直接入力)の数は、第2層のマルチプレクサ26の整定時間およびA/D変換器30の更新速度に依存する。例えば、第1層のマルチプレクサ20ドエル時間が1ミリ秒であり、第2層のマルチプレクサ26の整定時間が2μ秒であり、変換速度が500kHzである場合、250の変換を行うことができる。しかし、これは、A/D変換器30出力の後のデジタルフィルタリングが一般に入力データの8〜36サンプルを必要とするので必ずしも1ミリ秒毎に250の信号を変換することができることを意味しない。これにより、1ミリ秒当たり変換される信号は減少して、6〜32信号になる。
【0013】
A/D変換器30の出力は、図示の実施例ではDSP32であるコントローラに供給される。コントローラは、ゲートアレイ、汎用プロセッサなどとすることができる。DSP32のソフトウェアはデジタルフィルタリングならびにEUC変換を行う。このデジタル処理の詳細のいくつかがより詳細に以下で説明される。
【0014】
ACセンサ(LVDT12、レゾルバ14、および他のセンサ16)およびサンプル/ホールド回路28はすべて同じ正弦波発生器40(または他のクロック)によって同期して作動されることが好ましい。より具体的には、サンプリング周波数はACセンサの周波数の整数倍であることが好ましい。後で説明されるように、必須ではないが、AC入力信号の周波数の12倍である周波数でAC入力信号の各々をサンプリングするように選択するといくつかの計算が単純化され、その結果有利になる。
【0015】
図2は、3つの異なる第1層のマルチプレクサ20による3つのセンサのサンプリングのタイミングを示す1周期のサンプルAC入力信号のグラフを示す。各第1層のマルチプレクサ20は、サンプリングされる入力信号の1つ、例えばLVDT A、LVDT D、および熱電対A(TC A)を選択する。図示の場合には、サンプリングされている最初の2つの信号は、通常、LVDT12またはレゾルバ14によって与えられるような3kHzの正弦波である。サンプル/ホールド回路28および第2層のマルチプレクサ26は、36kHzの速度で各AC入力信号(すなわち、各第1層のマルチプレクサ20)をサンプリングし、それによってセンサ当たりの周期当たり12のサンプルを生成する。第2層のマルチプレクサ26は、36kHzのサンプリングの間の時間間隔(27.778μ秒)で、多数の正弦波源の間で(この場合、多数の第1層のマルチプレクサ20a〜20eとそれに関連するアンチエイリアシングフィルタ22a〜22eとの間で)サンプル/ホールド回路28およびA/D変換器30を時分割する。
【0016】
A/D変換器30が500kHzの速度で変換することができ、かつ第2層のマルチプレクサの整定時間が2μ秒であると仮定すると、6つの入力信号を27.7μ秒で並行してサンプリングすることができる。第1層のマルチプレクサのドエル時間は、信号タイプアンチエイリアシングフィルタ整定時間および必要とされるデジタルフィルタリングに依存する。例えば、AC信号では、フィルタ整定時間は約0.165ミリ秒であり、信号の少なくとも12のサンプルが入力波の完全な1周期間に必要とされる。これにより、最小ドエル時間が0.5ミリ秒になる。推奨されるデジタルローパスフィルタを付加すると、このサンプルの数が一般に30まで増加し、ドエル時間が1ミリ秒になる。前述の数を使用して、6つの同時に存在する波を、デジタルフィルタリングなしまたはありでそれぞれ0.5ミリ秒毎または1.0ミリ秒毎に変換することができる。AC信号に必要な平均更新速度が10ミリ秒であると仮定すると、120または60(それぞれデジタルフィルタリングのなしまたはありで)のAC信号を1つのA/D変換器30によってこの平均速度で変換することができる。図2に示された本実施例では、第2層のマルチプレクサ26が順次切り替わり、各第1層のマルチプレクサ20a、b、dがデジタルフィルタリング要件に応じて0.5または1ミリ秒でサンプリングされるように各サンプル期間(27.778μ秒)内に第1層のマルチプレクサ20a、第1層のマルチプレクサ20b、および第1層のマルチプレクサ20dの出力が通される。
【0017】
前述のように、各第1層のマルチプレクサ20およびその関連するアンチエイリアシングフィルタ22の整定時間は、使用可能なサンプルが得られる前に対処されなければならない。この遅延により、使用されるサンプルが取り込まれる前に定常状態条件が達成されるようにできる。遅延はマルチプレクサ遅延およびアンチエイリアシングフィルタ22整定時間定数によって決定される。必要とされるフィルタリングの量は、信号調整器通過帯域内の信号周波数をエイリアスすることができる任意の潜在的な入力周波数の予測される大きさに依存する。次に、AC入力信号の使用可能なサンプル(本実施例では、12から30)が処理されて、AC入力信号の大きさ(および4象限レゾルバ14では位相)が決定される。
【0018】
DSP32によって実行されるAC信号の信号処理アルゴリズムはAC入力信号の周波数を中心とした帯域通過フィルタを生成することが今後の説明で明らかになる。入力信号の周波数およびサンプリング速度に応じて、エイリアス信号が生成され、帯域通過フィルタの通過帯域内に存在することがある。アンチエイリアシングフィルタ22a〜22eは、このエイリアス化信号を生成することがある入力信号の大きさを除去する(または実質的に低減する)ように選択される。11×励起周波数の信号は、正確に3kHzでエイリアス化された信号を生成することになるので一般に最悪の場合である。より高い周波数信号も(例えば13×)うなり音を生成することがある。しかし、アンチエイリアシングフィルタは多極ローパスフィルタの使用によって特徴的に実行されるので、エイリアス化信号を生成することがある最低周波数を適切に減衰させるように設計される場合、フィルタは望ましくないエイリアス化信号を生成することがある他のより高い周波数信号も処理することになる。特定のアンチエイリアシングフィルタの要件は、特定の用途における潜在的なエイリアス化信号の大きさおよび信号調整器に許容された誤差に基づくことになる。
【0019】
前述のようにアンチエイリアシングフィルタ22a〜22eは信号調整器10のスループットを低減する整定時間を与えるが、それは定常状態が達成されるまでA/D変換器30が有効データを生成しないからである。この影響は、スループット損失がかなり大きくなる場合に、当該のアンチエイリアシングフィルタ22a〜22eが整定している間に既に整定している別のアンチエイリアシングフィルタ22a〜22eを第2層のマルチプレクサ26がサンプリングするように第1層のマルチプレクサ20のタイミングを調節することによって軽減することができる。
【0020】
安定化されたサンプルが収集された後、デジタル処理が実行される。2つの場合が考えられる。第1の場合はデジタルローパスフィルタリングが必要ない場合である。この場合、デジタル化AC入力信号(例えば、12の整定後サンプル)はDSP32によって正弦波同期して復調される。これは、完全な1周期の間に、サンプリングされた入力ベクトルに正弦ベクトルおよび余弦ベクトルの値を(30度刻みで)乗ずることによって行われる。正弦/余弦同期復調により、さらに奇数高調波でさえも処理されたデジタル信号において除去されるようになる。正弦(および余弦)同期復調器の出力が加算されてピーク正弦波入力の6倍である出力が生成される。(これは、同期復調処理が入力ピークの大きさの1/2である出力を生成し、12のサンプルが取り込まれるからである。)正弦および余弦同期復調処理の両方が行われ、サンプラーおよびサンプル化信号のタイミングスキューによる位相シフト誤差が変換誤差を引き起こさないことに留意されたい。結果として得られる正弦成分および余弦成分がDSP32によってベクトル加算され、入力波の大きさを生成する。しかし、この計算の更新速度は入力A/D速度のわずか1/12であり、それによってDSP32の負担が軽減される。
【0021】
例示的な計算が1の大きさをもつ入力46について図3に示される。入力46のサンプル(整定時間の後)はsinテーブル値を乗じてinput×sin積48がもたらされ、cosテーブル値を乗じてinput×cos積50がもたらされる。6で除算された平均sin52および平均cos54がベクトル加算され、入力46の大きさ56(1)をもたらす。
【0022】
周期当たり12のサンプルを選択すると正弦乗算および余弦乗算が簡単化される。すべての乗算は、SQRT3/2に等しいsin60(120、240、300)またはcos30(150、210、330)を除いて、2進シフトによって行われるかまたは零とすることができる。これは、シフト演算および加算演算で正確に近似することができ、それによってALUが所望の数学的演算を行う必要がなくなる。あるいは、数学的演算はALU内で、そうでなければコントローラで行うことができる。
【0023】
図4は、LVDT12からの一般的なAC入力信号、例えばE1の信号処理を示す。第1のサンプルがステップ60で入力される。ステップ62から70で作動される整定時間カウンタは、第1層のマルチプレクサ20ならびにアンチエイリアシングフィルタ22が定常状態に達するのに十分な時間を与える。次に、ステップ72およびステップ74で、30度刻み毎の値を含む記憶された正弦テーブルおよび余弦テーブルがそれぞれサンプルに乗ぜられる。LVDT12については入力励起の零交差をもつこのテーブルのスキューは重要ではなく、レゾルバ14についてはこの正弦余弦シーケンスの開始が励起零交差と粗く位置合わせされるべきである。12の積が蓄積されたとき(ステップ76)それらは加算され、6で除算され、ステップ78において入力ベクトルE1の分解された正弦成分および余弦成分が得られる。次に、E1の大きさは計算された分解ベクトル成分から図示のように計算することができる。追加データがステップ80で入力される。
【0024】
このアルゴリズムの背後にある数学をより良く理解するために、以下の一般的な式が与えられる。
【0025】
Asin(f(t))sin(ωt)=A(1/2cos(f(t)−ωt)−1/2cos(f(t)+ωt)) (1)
Asin(f(t))cos(ωt)=A(1/2sin(f(t)−ωt)+1/2sin(f(t)+ωt)) (2)
ここで、f(t)=LVDTまたはレゾルバの入力電圧である。
【0026】
このように、乗算は和周波数出力および差周波数出力をもたらす。
【0027】
2π*f(t)およびωtが、2つの間の位相シフト(α)を除いて等しい単純な場合を評価すると、前述の式は入力の大きさAに加えて和周波数成分の時間不変分解出力をもたらす。
【0028】
Asin(f(t)+α)sin(ωt)=A(1/2cos(α)−1/2cos(f(t)+ωt)+α) (1)
Asin(f(t)+α)cos(ωt)=A(1/2sin(α)+1/2sin(f(t)+ωt)+α) (2)
正弦積および余弦積は、LVDT12励起とE1出力またはE2出力との電気的位相関係αの関数である。和周波数は、図3に示されるように非デジタルフィルタ化の場合では入力信号の正確な1周期にわたってサンプル化出力を平均することによって除去される。この式に1/2の倍率があることに留意されたい。したがって、平均は12の代わりに6で除算することによって計算される。最終的に、E1のベクトルの大きさは、正弦ベクトル成分および余弦ベクトル成分の二乗の和の平方根によって決定することができる。E2変換も同様に行われる。
【0029】
5線LVDTのEUC変換の特性方程式は以下のとおりである。
【0030】
位置=(LVDT利得)*{(E1−E2)/(E1+E2)}+LVDTバイアス
ここで、LVDT利得およびLVDTバイアスの項は製造業者によって与えられるLVDT特性であり、E1およびE2は図4によって決定される。
【0031】
前述の式で分かるように、インターフェイス利得誤差およびLVDT励起の大きさ変動はキャンセルされることになる。(この事実により、前述のように不完全な整定に起因するアンチエイリアシングフィルタ利得のわずかな誤差もキャンセルすることができる。)
4象限レゾルバ14も変換することができる。単一の象限変換はこのロジックの一部であり、詳細には論じられない。AsinβまたはAcosβ(ここでβはレゾルバ角度である)の大きさを決定するアルゴリズムは、1つの例外を除いて、LVDT12のE1およびE2を計算するために使用されたロジックと事実上同一である。比Asinβ/Acosβを角度βに変換するために使用されるarctan関数はそれ自体移動の360度にわたって繰り返すので、Asinβ出力またはAcosβ出力は適切に符号が付けられなければならない。この符号決定ロジックは以下のとおりである。
【0032】
Sin成分*Asinβ=Sum(sin積の1から12)/6
Cos成分*Asinβ=Sum(cos積の1から12)/6
Sin成分*sinβ>0の場合、Asinβの符号=+、さもなければAsinβの符号=−、
大きさSinβ=SQRT((Sin成分Asinβ)2+(Cos成分Asinβ)2)
Cosω変換も同様に行われる。
【0033】
このロジックは、何らかのラフな時間同期が正弦余弦テーブルの始点で行われることおよび励起零交差を必要とする。位相シフトは不完全な時間同期で行われるので、正弦成分の感度は漸減し始めるが、零交差点は依然として保持される。
【0034】
EUC計算ならびにオクタントロジックが図5で詳述される。それは所望の0から360度のEUCを生成する。変換はsinβとcosβの大きさに応じてarctanおよびarccot関数の間で交互になることに留意されたい。これは、方程式出力に角度誤差を導入することがあるarctan/arccot曲線の高い傾斜領域を避けるために行われる。回転が完了すると考えられるある角度で、不連続が存在するはずである。その不連続は図示のロジックでは0/360度に設定される。EUC方程式は再び変換における利得誤差のキャンセルを示す。
【0035】
次に、デジタルフィルタリングを使用するE1またはE2のAC変換(またはレゾルバではAsinβおよびAcosβ)の場合を考える。流れ図および時間領域応答がデジタルフィルタリングのないAC変換と比較するために最初に提示される。次に、2つの場合の比較が周波数領域でなされ、デジタルフィルタの付加によって与えられる雑音排除性の改善が示される。図4aはデジタルフィルタを挿入するのに必要な追加のロジックを示す。ロジックを図4と比較すると、ローパスフィルタ82と名付けられた2つの新しいブロックが示されている。フィルタ整定時間カウンタがTsettleフィルタ値と等しい場合、ステップ88でアベレイジャ時間カウンタがリセットされ、sinおよびcosのLPF出力の現在値がそれらのアキュムレータに加えられる。フィルタ整定時間カウンタがTsettleフィルタ値よりも少ない場合、ステップ90でアベレイジャ時間カウンタは増加させられ、sinおよびcosのLPF出力の現在値がそれらのアキュムレータに加えられる。これによりローパスフィルタ22(図1)の整定時間が補償される。
【0036】
例示のために効果を示すのに使用されたローパスフィルタ22(図1)は、図4bに示されるように2つの単純な遅延をカスケード接続することによって生成された単純な2極LPフィルタである。結果として生じた時間領域応答が図4cに示される。しかし、図4cを図3(デジタルフィルタリングのない時間領域応答)と比較すると、整定時間を長くする犠牲により和周波数成分の大きさを著しく低減させたことが示される。図示されたフィルタは2極1500Hzローパス(LP)フィルタであり、約0.5ミリ秒の整定時間を必要とする。これにより全変換時間が約1ミリ秒になるが、それに対してデジタルフィルタのないAC調整器では0.5ミリ秒である。
【0037】
図4dに、デジタルフィルタをもつ場合およびデジタルフィルタリングをもたない場合のAC調整器の周波数応答比較を示す。フィルタをもつ信号調整器の通過帯域特性はフィルタなしの場合よりも著しく狭い。これにより、電磁干渉(EMI)または雷のためにアビオニクス環境において存在することがあるような、注目する周波数領域の外側の雑音の除去が改善されることになる。さらに、デジタルフィルタをもつ場合またはもたない場合のAC調整器の通過帯域特性がDCで0利得になることを図4dから理解されたい。この事実によりAC信号調整器のDCオフセット誤差が除去される。これは0較正試験信号の必要をなくす利点を有する。
【0038】
しかし、試験信号はAC調整器のアンチエイリアシングフィルタの適切な性能を確認するために必要である。アンチエイリアシングフィルタが7kHzで3極LPフィルタであると仮定する。このフィルタの減衰特性を適切に試験するために、フィルタの試験信号がLVDT励起周波数の4倍、すなわち12kHzに設定されると仮定する。規定されたアンチエイリアシングフィルタはこの試験信号を約5分の1に減衰すべきである。しかし、AC調整器のデジタル処理が変化しないようにすべき場合、インターフェイスがこの周波数領域の試験信号を減衰させることになるので(図4dを参照)、アンチエイリアシングフィルタ試験を分かりにくくする。したがって、AC調整器処理は、試験周波数がほとんどまたは全く減衰しないで通過できるように変更された。これは、図4eに示されるようにsinおよびcosの乗数テーブルを変更することによって行われた。この変更により、デジタルフィルタ通過帯域は12kHzに中心を置かれる。この周波数シフトされたフィルタの周波数応答が図4fに示される。図4fに示されるような新しく生成された通過帯域フィルタは、それが奇数高調波を減衰させるので矩形波を試験信号に使用できるようにもする。正弦と矩形波入力との比較も図4fに示される。望ましくない高調波の除去は注目する周波数の12kHzのまわりで完全ではないが、正弦と矩形波との間の差は小さい。矩形波は正弦波よりも生成するのがはるかに簡単であるので、提案されている実施態様のこの特徴はBIT回路において非常に望ましい単純化を表す。試験信号がマルチプレクサ入力で挿入され、アンチエイリアシングフィルタが適切に働く場合、その出力値は入力の大きさの約20%になるであろう。
【0039】
出力に対するスリュー(slew)レートフィルタなどの他のフィルタ技法は、ワイルドポイントのエクスカーションを制限するのに効果的なことがある。基本的に、出力は、デバイスの最大スリューレートにより出力が移動できる量だけしか移動しないように抑制される。サンプリング速度が最大スリューレートと比較して高い場合、このタイプのフィルタは最も有効であり、その結果、最大移動はdt毎に小さな値に抑制される。
【0040】
図1の16で示されたようなDC(ベースバンド)信号の信号処理は図4に示されたようなロジックを必要としない。しかし、これらの信号へのデジタルフィルタリング技法は非常に望ましく、EMIおよび雷の影響のために、アビオニクス環境において概して絶対的に必要である。フィルタリングの最も簡単な形態は完全に平均することである。図4gは、8または16で平均することによって生成された周波数応答を示す。高周波信号の18から20dBの減衰が示される。出力を生成する前に8または16のデータサンプルを取り込まなければならないのでスループットは当然影響を受ける。FIRまたはIIRなどの他のより精巧なフィルタ技法を同様に適切に適用することができるが、スループットと望ましくない信号の減衰との間でトレードオフがある。
【0041】
特許法令および法律学の規定によれば、前述の例示的な構成は本発明の好ましい実施形態を表すと考えられる。しかし、本発明はその趣旨または範囲から逸脱することなく、具体的に例示および説明されたもの以外でも実施することができることに留意されたい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にACセンサ信号を含む多数のタイプの入力を等価な工学単位に変換する方法と整合する信号調整トポロジーに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明はLVDTまたはレゾルバに限定されないが、これらのセンサを例として使用して本発明の動作およびいくつかの利点が説明される。LVDTおよびレゾルバは各々位置および/または角度を一緒に示す1対のACセンサ信号を生成する。これらのACセンサ信号は等価な工学単位に変換されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
既知の信号調整方法はACセンサ信号の各々に対して個別のアンチエイリアシングフィルタおよび復調器を含む。これにより、回路のコスト、大きさ、および電力消費が増加する。さらに、所与のセンサの1対のACセンサ信号向け回路間のどんな固有の変化または変動も角度計算に誤差を導入する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、アンチエイリアシングフィルタおよびA/D変換器が時分割多重される信号調整回路を提供する。これにより、回路の大きさ、コスト、および電力消費が低減される。
【0005】
複数の第1層のマルチプレクサが、各々アンチエイリアシングフィルタを複数のセンサからの複数の入力信号間で時分割多重する。第2層のマルチプレクサは、その入力を第1層のマルチプレクサの出力から選択する。第2層のマルチプレクサの出力はサンプル/ホールド回路に供給され、高速A/D変換器によってデジタル化される。したがって、A/D変換器およびサンプル/ホールド回路は第2層のマルチプレクサによって時分割多重されている。このようにして、複数のセンサは単一のA/D変換器を共有することができる。単一のA/D変換器が扱えるセンサの数は、A/D変換器の速度、所要の更新速度、フィルタ整定時間、およびマルチプレクサ整定時間に依存する。
【0006】
マルチプレクサおよびアンチエイリアシングフィルタに整定時間を与えた後、入力信号の複数のサンプルが取り込まれる(例えば、1周期の間に)。AC信号では、正弦ベクトルおよび余弦ベクトルが各入力信号のサンプルに乗ぜられる。次に、積のベクトルは各々平均され、2つの平均の2乗平均平方根が入力信号のベクトルの大きさを与える。入力信号の機械的角度が多象限レゾルバには必要である。それは、sinβおよびcosβ(βはレゾルバ角度を表す)のベクトル平均の正弦成分の符号に基づいて決定することができる。
【0007】
本発明が添付図面と共に以降の詳細な説明を参照することによって一層良く理解されたとき、本発明の他の利点は容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の信号調整回路の概略図である。
【図2】サンプルAC入力信号の1周期に対する第2層のマルチプレクサのタイミングを示すグラフである。
【図3】サンプル変換のグラフである。
【図4】AC信号調整器の動作の流れ図である。
【図4a】デジタルフィルタが付加されている場合の図4のそれと同様の流れ図である。
【図4b】一実施例の2極デジタルフィルタを示す図である。
【図4c】フィルタリングがある場合の時間領域応答をグラフで示す図である。
【図4d】デジタルフィルタをもつ場合およびそれをもたない場合の両方のAC調整器に対する周波数応答比較を示す図である。
【図4e】sin乗数テーブルおよびcos乗数テーブルを示す図である。
【図4f】周波数シフトフィルタの周波数応答を示す図である。
【図4g】8つまたは16のデータサンプルで平均することによって生成された周波数応答を示す図である。
【図5】レゾルバ用のEUC変換のロジック回路の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
複数のセンサ12、14、16からの複数の入力信号のための信号調整器10が図1に示される。センサは、LVDT12、レゾルバ14、および近接センサなど図示の他のセンサ16などのAC入力信号を生成するセンサを含むことができる。熱電対(TC)や抵抗温度デバイス(RTD)などのベースバンド(DC)信号生成センサも多重化システムで使用することができる。
【0010】
複数の第1層のマルチプレクサ20a〜20eは各々複数の入力信号をグループ化し、共有アンチエイリアシングフィルタ22a〜22eに入力する。所与の第1層のマルチプレクサ20a〜20eに対する複数の入力信号は、単一のアンチエイリアシングフィルタ22a〜22eが使用できるように十分に類似していることが好ましい。単一センサ、例えば5線LVDT12(E1およびE2)やレゾルバ14(Asinβ巻線およびAcosβ巻線)からの多数のAC入力信号の場合、同じセンサからの信号は共通の第1層のマルチプレクサ20およびアンチエイリアシングフィルタ22を通って供給される。これが行われると、第1層のマルチプレクサ20およびアンチエイリアシングフィルタ22によって引き起こされる利得変動または周波数応答変動は信号上に全く同様に生じ、したがって影響がキャンセルされることになる。これにより、測定(すなわちE1およびE2)の非同期に起因するタイミングスキュー(Timing skew)がもたらされることになる。しかし、提案されているシステムおよび大部分の他のシステムでは、時間間隔が十分に短く、その結果、導入される誤差は小さく、無視することができる。
【0011】
単一の第1層のマルチプレクサ20a〜20eを共有することができるセンサの数は、センサへのスループット要件およびそれぞれの変換時間に依存する。例えば、LVDT12では、所望の更新速度が10ミリ秒であり、E1またはE2に対して変換が1ミリ秒を要する場合、5つのLVDT12をグループ化して共通のアンチエイリアシングフィルタ22a〜22eに入力することができる。しかし、利得入力および試験入力が図示のように使用される場合、4つのLVDT12をグループ化することができる。
【0012】
第2層のマルチプレクサ26は、その入力を第1層のマルチプレクサ20の出力から選択する。第2層のマルチプレクサ26の出力はサンプル/ホールド回路28に供給される。サンプル/ホールド回路28の出力は高速A/D変換器30によってデジタル化される。例えば、A/D変換器30は、2μ秒(500kHz)で14ビットデジタル化出力を供給することができる。第1層のマルチプレクサ20a〜20eのドエル時間中に第2層のマルチプレクサ26が扱うことができる、第1層のマルチプレクサ20a〜20e(および/または任意選択で単一のセンサおよびアンチエイリアシングフィルタからの直接入力)の数は、第2層のマルチプレクサ26の整定時間およびA/D変換器30の更新速度に依存する。例えば、第1層のマルチプレクサ20ドエル時間が1ミリ秒であり、第2層のマルチプレクサ26の整定時間が2μ秒であり、変換速度が500kHzである場合、250の変換を行うことができる。しかし、これは、A/D変換器30出力の後のデジタルフィルタリングが一般に入力データの8〜36サンプルを必要とするので必ずしも1ミリ秒毎に250の信号を変換することができることを意味しない。これにより、1ミリ秒当たり変換される信号は減少して、6〜32信号になる。
【0013】
A/D変換器30の出力は、図示の実施例ではDSP32であるコントローラに供給される。コントローラは、ゲートアレイ、汎用プロセッサなどとすることができる。DSP32のソフトウェアはデジタルフィルタリングならびにEUC変換を行う。このデジタル処理の詳細のいくつかがより詳細に以下で説明される。
【0014】
ACセンサ(LVDT12、レゾルバ14、および他のセンサ16)およびサンプル/ホールド回路28はすべて同じ正弦波発生器40(または他のクロック)によって同期して作動されることが好ましい。より具体的には、サンプリング周波数はACセンサの周波数の整数倍であることが好ましい。後で説明されるように、必須ではないが、AC入力信号の周波数の12倍である周波数でAC入力信号の各々をサンプリングするように選択するといくつかの計算が単純化され、その結果有利になる。
【0015】
図2は、3つの異なる第1層のマルチプレクサ20による3つのセンサのサンプリングのタイミングを示す1周期のサンプルAC入力信号のグラフを示す。各第1層のマルチプレクサ20は、サンプリングされる入力信号の1つ、例えばLVDT A、LVDT D、および熱電対A(TC A)を選択する。図示の場合には、サンプリングされている最初の2つの信号は、通常、LVDT12またはレゾルバ14によって与えられるような3kHzの正弦波である。サンプル/ホールド回路28および第2層のマルチプレクサ26は、36kHzの速度で各AC入力信号(すなわち、各第1層のマルチプレクサ20)をサンプリングし、それによってセンサ当たりの周期当たり12のサンプルを生成する。第2層のマルチプレクサ26は、36kHzのサンプリングの間の時間間隔(27.778μ秒)で、多数の正弦波源の間で(この場合、多数の第1層のマルチプレクサ20a〜20eとそれに関連するアンチエイリアシングフィルタ22a〜22eとの間で)サンプル/ホールド回路28およびA/D変換器30を時分割する。
【0016】
A/D変換器30が500kHzの速度で変換することができ、かつ第2層のマルチプレクサの整定時間が2μ秒であると仮定すると、6つの入力信号を27.7μ秒で並行してサンプリングすることができる。第1層のマルチプレクサのドエル時間は、信号タイプアンチエイリアシングフィルタ整定時間および必要とされるデジタルフィルタリングに依存する。例えば、AC信号では、フィルタ整定時間は約0.165ミリ秒であり、信号の少なくとも12のサンプルが入力波の完全な1周期間に必要とされる。これにより、最小ドエル時間が0.5ミリ秒になる。推奨されるデジタルローパスフィルタを付加すると、このサンプルの数が一般に30まで増加し、ドエル時間が1ミリ秒になる。前述の数を使用して、6つの同時に存在する波を、デジタルフィルタリングなしまたはありでそれぞれ0.5ミリ秒毎または1.0ミリ秒毎に変換することができる。AC信号に必要な平均更新速度が10ミリ秒であると仮定すると、120または60(それぞれデジタルフィルタリングのなしまたはありで)のAC信号を1つのA/D変換器30によってこの平均速度で変換することができる。図2に示された本実施例では、第2層のマルチプレクサ26が順次切り替わり、各第1層のマルチプレクサ20a、b、dがデジタルフィルタリング要件に応じて0.5または1ミリ秒でサンプリングされるように各サンプル期間(27.778μ秒)内に第1層のマルチプレクサ20a、第1層のマルチプレクサ20b、および第1層のマルチプレクサ20dの出力が通される。
【0017】
前述のように、各第1層のマルチプレクサ20およびその関連するアンチエイリアシングフィルタ22の整定時間は、使用可能なサンプルが得られる前に対処されなければならない。この遅延により、使用されるサンプルが取り込まれる前に定常状態条件が達成されるようにできる。遅延はマルチプレクサ遅延およびアンチエイリアシングフィルタ22整定時間定数によって決定される。必要とされるフィルタリングの量は、信号調整器通過帯域内の信号周波数をエイリアスすることができる任意の潜在的な入力周波数の予測される大きさに依存する。次に、AC入力信号の使用可能なサンプル(本実施例では、12から30)が処理されて、AC入力信号の大きさ(および4象限レゾルバ14では位相)が決定される。
【0018】
DSP32によって実行されるAC信号の信号処理アルゴリズムはAC入力信号の周波数を中心とした帯域通過フィルタを生成することが今後の説明で明らかになる。入力信号の周波数およびサンプリング速度に応じて、エイリアス信号が生成され、帯域通過フィルタの通過帯域内に存在することがある。アンチエイリアシングフィルタ22a〜22eは、このエイリアス化信号を生成することがある入力信号の大きさを除去する(または実質的に低減する)ように選択される。11×励起周波数の信号は、正確に3kHzでエイリアス化された信号を生成することになるので一般に最悪の場合である。より高い周波数信号も(例えば13×)うなり音を生成することがある。しかし、アンチエイリアシングフィルタは多極ローパスフィルタの使用によって特徴的に実行されるので、エイリアス化信号を生成することがある最低周波数を適切に減衰させるように設計される場合、フィルタは望ましくないエイリアス化信号を生成することがある他のより高い周波数信号も処理することになる。特定のアンチエイリアシングフィルタの要件は、特定の用途における潜在的なエイリアス化信号の大きさおよび信号調整器に許容された誤差に基づくことになる。
【0019】
前述のようにアンチエイリアシングフィルタ22a〜22eは信号調整器10のスループットを低減する整定時間を与えるが、それは定常状態が達成されるまでA/D変換器30が有効データを生成しないからである。この影響は、スループット損失がかなり大きくなる場合に、当該のアンチエイリアシングフィルタ22a〜22eが整定している間に既に整定している別のアンチエイリアシングフィルタ22a〜22eを第2層のマルチプレクサ26がサンプリングするように第1層のマルチプレクサ20のタイミングを調節することによって軽減することができる。
【0020】
安定化されたサンプルが収集された後、デジタル処理が実行される。2つの場合が考えられる。第1の場合はデジタルローパスフィルタリングが必要ない場合である。この場合、デジタル化AC入力信号(例えば、12の整定後サンプル)はDSP32によって正弦波同期して復調される。これは、完全な1周期の間に、サンプリングされた入力ベクトルに正弦ベクトルおよび余弦ベクトルの値を(30度刻みで)乗ずることによって行われる。正弦/余弦同期復調により、さらに奇数高調波でさえも処理されたデジタル信号において除去されるようになる。正弦(および余弦)同期復調器の出力が加算されてピーク正弦波入力の6倍である出力が生成される。(これは、同期復調処理が入力ピークの大きさの1/2である出力を生成し、12のサンプルが取り込まれるからである。)正弦および余弦同期復調処理の両方が行われ、サンプラーおよびサンプル化信号のタイミングスキューによる位相シフト誤差が変換誤差を引き起こさないことに留意されたい。結果として得られる正弦成分および余弦成分がDSP32によってベクトル加算され、入力波の大きさを生成する。しかし、この計算の更新速度は入力A/D速度のわずか1/12であり、それによってDSP32の負担が軽減される。
【0021】
例示的な計算が1の大きさをもつ入力46について図3に示される。入力46のサンプル(整定時間の後)はsinテーブル値を乗じてinput×sin積48がもたらされ、cosテーブル値を乗じてinput×cos積50がもたらされる。6で除算された平均sin52および平均cos54がベクトル加算され、入力46の大きさ56(1)をもたらす。
【0022】
周期当たり12のサンプルを選択すると正弦乗算および余弦乗算が簡単化される。すべての乗算は、SQRT3/2に等しいsin60(120、240、300)またはcos30(150、210、330)を除いて、2進シフトによって行われるかまたは零とすることができる。これは、シフト演算および加算演算で正確に近似することができ、それによってALUが所望の数学的演算を行う必要がなくなる。あるいは、数学的演算はALU内で、そうでなければコントローラで行うことができる。
【0023】
図4は、LVDT12からの一般的なAC入力信号、例えばE1の信号処理を示す。第1のサンプルがステップ60で入力される。ステップ62から70で作動される整定時間カウンタは、第1層のマルチプレクサ20ならびにアンチエイリアシングフィルタ22が定常状態に達するのに十分な時間を与える。次に、ステップ72およびステップ74で、30度刻み毎の値を含む記憶された正弦テーブルおよび余弦テーブルがそれぞれサンプルに乗ぜられる。LVDT12については入力励起の零交差をもつこのテーブルのスキューは重要ではなく、レゾルバ14についてはこの正弦余弦シーケンスの開始が励起零交差と粗く位置合わせされるべきである。12の積が蓄積されたとき(ステップ76)それらは加算され、6で除算され、ステップ78において入力ベクトルE1の分解された正弦成分および余弦成分が得られる。次に、E1の大きさは計算された分解ベクトル成分から図示のように計算することができる。追加データがステップ80で入力される。
【0024】
このアルゴリズムの背後にある数学をより良く理解するために、以下の一般的な式が与えられる。
【0025】
Asin(f(t))sin(ωt)=A(1/2cos(f(t)−ωt)−1/2cos(f(t)+ωt)) (1)
Asin(f(t))cos(ωt)=A(1/2sin(f(t)−ωt)+1/2sin(f(t)+ωt)) (2)
ここで、f(t)=LVDTまたはレゾルバの入力電圧である。
【0026】
このように、乗算は和周波数出力および差周波数出力をもたらす。
【0027】
2π*f(t)およびωtが、2つの間の位相シフト(α)を除いて等しい単純な場合を評価すると、前述の式は入力の大きさAに加えて和周波数成分の時間不変分解出力をもたらす。
【0028】
Asin(f(t)+α)sin(ωt)=A(1/2cos(α)−1/2cos(f(t)+ωt)+α) (1)
Asin(f(t)+α)cos(ωt)=A(1/2sin(α)+1/2sin(f(t)+ωt)+α) (2)
正弦積および余弦積は、LVDT12励起とE1出力またはE2出力との電気的位相関係αの関数である。和周波数は、図3に示されるように非デジタルフィルタ化の場合では入力信号の正確な1周期にわたってサンプル化出力を平均することによって除去される。この式に1/2の倍率があることに留意されたい。したがって、平均は12の代わりに6で除算することによって計算される。最終的に、E1のベクトルの大きさは、正弦ベクトル成分および余弦ベクトル成分の二乗の和の平方根によって決定することができる。E2変換も同様に行われる。
【0029】
5線LVDTのEUC変換の特性方程式は以下のとおりである。
【0030】
位置=(LVDT利得)*{(E1−E2)/(E1+E2)}+LVDTバイアス
ここで、LVDT利得およびLVDTバイアスの項は製造業者によって与えられるLVDT特性であり、E1およびE2は図4によって決定される。
【0031】
前述の式で分かるように、インターフェイス利得誤差およびLVDT励起の大きさ変動はキャンセルされることになる。(この事実により、前述のように不完全な整定に起因するアンチエイリアシングフィルタ利得のわずかな誤差もキャンセルすることができる。)
4象限レゾルバ14も変換することができる。単一の象限変換はこのロジックの一部であり、詳細には論じられない。AsinβまたはAcosβ(ここでβはレゾルバ角度である)の大きさを決定するアルゴリズムは、1つの例外を除いて、LVDT12のE1およびE2を計算するために使用されたロジックと事実上同一である。比Asinβ/Acosβを角度βに変換するために使用されるarctan関数はそれ自体移動の360度にわたって繰り返すので、Asinβ出力またはAcosβ出力は適切に符号が付けられなければならない。この符号決定ロジックは以下のとおりである。
【0032】
Sin成分*Asinβ=Sum(sin積の1から12)/6
Cos成分*Asinβ=Sum(cos積の1から12)/6
Sin成分*sinβ>0の場合、Asinβの符号=+、さもなければAsinβの符号=−、
大きさSinβ=SQRT((Sin成分Asinβ)2+(Cos成分Asinβ)2)
Cosω変換も同様に行われる。
【0033】
このロジックは、何らかのラフな時間同期が正弦余弦テーブルの始点で行われることおよび励起零交差を必要とする。位相シフトは不完全な時間同期で行われるので、正弦成分の感度は漸減し始めるが、零交差点は依然として保持される。
【0034】
EUC計算ならびにオクタントロジックが図5で詳述される。それは所望の0から360度のEUCを生成する。変換はsinβとcosβの大きさに応じてarctanおよびarccot関数の間で交互になることに留意されたい。これは、方程式出力に角度誤差を導入することがあるarctan/arccot曲線の高い傾斜領域を避けるために行われる。回転が完了すると考えられるある角度で、不連続が存在するはずである。その不連続は図示のロジックでは0/360度に設定される。EUC方程式は再び変換における利得誤差のキャンセルを示す。
【0035】
次に、デジタルフィルタリングを使用するE1またはE2のAC変換(またはレゾルバではAsinβおよびAcosβ)の場合を考える。流れ図および時間領域応答がデジタルフィルタリングのないAC変換と比較するために最初に提示される。次に、2つの場合の比較が周波数領域でなされ、デジタルフィルタの付加によって与えられる雑音排除性の改善が示される。図4aはデジタルフィルタを挿入するのに必要な追加のロジックを示す。ロジックを図4と比較すると、ローパスフィルタ82と名付けられた2つの新しいブロックが示されている。フィルタ整定時間カウンタがTsettleフィルタ値と等しい場合、ステップ88でアベレイジャ時間カウンタがリセットされ、sinおよびcosのLPF出力の現在値がそれらのアキュムレータに加えられる。フィルタ整定時間カウンタがTsettleフィルタ値よりも少ない場合、ステップ90でアベレイジャ時間カウンタは増加させられ、sinおよびcosのLPF出力の現在値がそれらのアキュムレータに加えられる。これによりローパスフィルタ22(図1)の整定時間が補償される。
【0036】
例示のために効果を示すのに使用されたローパスフィルタ22(図1)は、図4bに示されるように2つの単純な遅延をカスケード接続することによって生成された単純な2極LPフィルタである。結果として生じた時間領域応答が図4cに示される。しかし、図4cを図3(デジタルフィルタリングのない時間領域応答)と比較すると、整定時間を長くする犠牲により和周波数成分の大きさを著しく低減させたことが示される。図示されたフィルタは2極1500Hzローパス(LP)フィルタであり、約0.5ミリ秒の整定時間を必要とする。これにより全変換時間が約1ミリ秒になるが、それに対してデジタルフィルタのないAC調整器では0.5ミリ秒である。
【0037】
図4dに、デジタルフィルタをもつ場合およびデジタルフィルタリングをもたない場合のAC調整器の周波数応答比較を示す。フィルタをもつ信号調整器の通過帯域特性はフィルタなしの場合よりも著しく狭い。これにより、電磁干渉(EMI)または雷のためにアビオニクス環境において存在することがあるような、注目する周波数領域の外側の雑音の除去が改善されることになる。さらに、デジタルフィルタをもつ場合またはもたない場合のAC調整器の通過帯域特性がDCで0利得になることを図4dから理解されたい。この事実によりAC信号調整器のDCオフセット誤差が除去される。これは0較正試験信号の必要をなくす利点を有する。
【0038】
しかし、試験信号はAC調整器のアンチエイリアシングフィルタの適切な性能を確認するために必要である。アンチエイリアシングフィルタが7kHzで3極LPフィルタであると仮定する。このフィルタの減衰特性を適切に試験するために、フィルタの試験信号がLVDT励起周波数の4倍、すなわち12kHzに設定されると仮定する。規定されたアンチエイリアシングフィルタはこの試験信号を約5分の1に減衰すべきである。しかし、AC調整器のデジタル処理が変化しないようにすべき場合、インターフェイスがこの周波数領域の試験信号を減衰させることになるので(図4dを参照)、アンチエイリアシングフィルタ試験を分かりにくくする。したがって、AC調整器処理は、試験周波数がほとんどまたは全く減衰しないで通過できるように変更された。これは、図4eに示されるようにsinおよびcosの乗数テーブルを変更することによって行われた。この変更により、デジタルフィルタ通過帯域は12kHzに中心を置かれる。この周波数シフトされたフィルタの周波数応答が図4fに示される。図4fに示されるような新しく生成された通過帯域フィルタは、それが奇数高調波を減衰させるので矩形波を試験信号に使用できるようにもする。正弦と矩形波入力との比較も図4fに示される。望ましくない高調波の除去は注目する周波数の12kHzのまわりで完全ではないが、正弦と矩形波との間の差は小さい。矩形波は正弦波よりも生成するのがはるかに簡単であるので、提案されている実施態様のこの特徴はBIT回路において非常に望ましい単純化を表す。試験信号がマルチプレクサ入力で挿入され、アンチエイリアシングフィルタが適切に働く場合、その出力値は入力の大きさの約20%になるであろう。
【0039】
出力に対するスリュー(slew)レートフィルタなどの他のフィルタ技法は、ワイルドポイントのエクスカーションを制限するのに効果的なことがある。基本的に、出力は、デバイスの最大スリューレートにより出力が移動できる量だけしか移動しないように抑制される。サンプリング速度が最大スリューレートと比較して高い場合、このタイプのフィルタは最も有効であり、その結果、最大移動はdt毎に小さな値に抑制される。
【0040】
図1の16で示されたようなDC(ベースバンド)信号の信号処理は図4に示されたようなロジックを必要としない。しかし、これらの信号へのデジタルフィルタリング技法は非常に望ましく、EMIおよび雷の影響のために、アビオニクス環境において概して絶対的に必要である。フィルタリングの最も簡単な形態は完全に平均することである。図4gは、8または16で平均することによって生成された周波数応答を示す。高周波信号の18から20dBの減衰が示される。出力を生成する前に8または16のデータサンプルを取り込まなければならないのでスループットは当然影響を受ける。FIRまたはIIRなどの他のより精巧なフィルタ技法を同様に適切に適用することができるが、スループットと望ましくない信号の減衰との間でトレードオフがある。
【0041】
特許法令および法律学の規定によれば、前述の例示的な構成は本発明の好ましい実施形態を表すと考えられる。しかし、本発明はその趣旨または範囲から逸脱することなく、具体的に例示および説明されたもの以外でも実施することができることに留意されたい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
A/D変換器と、
複数の入力間で前記A/D変換器を時分割多重するマルチプレクサと、
を備える信号調整器。
【請求項2】
前記入力がAC入力であり、前記A/D変換器がサンプル周波数で前記複数のAC入力をサンプリングし、前記サンプル周波数が前記AC入力の周波数の整数倍である請求項1に記載の信号調整器。
【請求項3】
前記複数のAC入力を供給し、前記A/D変換器の前記サンプル周波数を生成する励起源をさらに含む請求項2に記載の信号調整器。
【請求項4】
前記マルチプレクサの出力をサンプル速度でサンプリングし、前記A/D変換器用に前記マルチプレクサの前記出力を保持するサンプラーをさらに含む請求項3に記載の信号調整器。
【請求項5】
前記サンプル速度が前記AC入力の前記周波数の12倍である請求項2に記載の信号調整器。
【請求項6】
前記マルチプレクサがA/Dマルチプレクサであり、前記信号調整器がフィルタマルチプレクサおよびフィルタをさらに含み、前記フィルタマルチプレクサが前記複数の入力間で前記フィルタを時分割する請求項1に記載の信号調整器。
【請求項7】
前記入力がAC入力である請求項6に記載の信号調整器。
【請求項8】
前記複数の入力のうちの2つが第1のセンサの出力である請求項1に記載の信号調整器。
【請求項9】
前記第1のセンサがLVDTである請求項8に記載の信号調整器。
【請求項10】
前記第1のセンサがレゾルバである請求項8に記載の信号調整器。
【請求項11】
前記入力がベースバンド信号入力である請求項1に記載の信号調整器。
【請求項12】
前記入力のうちの1つに接続される、ベースバンド信号を生成する第1のセンサをさらに含む請求項11に記載の信号調整器。
【請求項13】
前記A/D変換器の出力をフィルタリングするフィルタをさらに含む請求項12に記載の信号調整器。
【請求項14】
(a)複数の入力信号を前記入力信号の周期内に繰り返して交互にサンプリングするステップと、
(b)複数の入力サンプルの各々からのサンプルを分析するステップと、
を含む複数の入力信号をモニターする方法。
【請求項15】
前記入力信号がAC入力信号であり、前記ステップa)の前記サンプリングするステップが前記AC入力信号の速度の整数倍であるサンプリング速度で実行される請求項14に記載の方法。
【請求項16】
(c)励起源を設けるステップと、
(d)前記励起源に基づいて前記AC入力信号を生成するステップと、
(e)前記ステップ(a)において前記励起源に基づいてサンプリングするステップと、
をさらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
(c)前記入力信号の各々からの複数のサンプルを記憶するステップと、
(d)前記入力信号の大きさを決定するために前記記憶された複数のサンプルを処理するステップと、
をさらに含む請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記入力信号の各々に対してバッファされたサンプルを復調するステップをさらに含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記入力信号のうちの2つがセンサの出力であり、前記入力信号のうちの前記2つの記憶されたサンプルに基づいて前記センサの前記出力の機械的角度を決定するステップをさらに含む請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記入力信号のうちの2つの間でアンチエイリアシングフィルタを時分割するステップをさらに含む請求項19に記載の方法。
【請求項21】
(a)複数のサンプルを生成するために信号をサンプリングするステップと、
(b)前記複数サンプルに正弦ベクトルを乗ずるステップと、
(c)前記複数サンプルに余弦ベクトルを乗ずるステップと、
(d)前記ステップ(b)および前記ステップ(c)に基づいて前記信号の大きさを決定するステップと、
を含む信号を変換する方法。
【請求項22】
前記ステップ(d)が前記ステップ(b)からの積の平均および前記ステップ(c)の積の平均の2乗平均平方根を計算するステップをさらに含む請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ステップ(b)の前記積の和に基づいて前記信号のsin成分を計算するステップをさらに含む請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記ステップ(b)の前記積の和に基づいて前記信号の機械的角度を決定するステップをさらに含む請求項21に記載の方法。
【請求項25】
e)前記ステップ(b)からの前記積を平均するステップと、
f)前記ステップ(c)からの前記積を平均するステップと、
をさらに含む請求項21に記載の方法。
【請求項26】
(g)前記ステップ(b)からの前記積をフィルタリングし、前記フィルタリングされた積を前記ステップ(e)で平均するステップと、
(h)前記ステップ(c)からの前記積をフィルタリングし、前記フィルタリングされた積を前記ステップ(f)で平均するステップと、
をさらに含む請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ステップ(g)および前記ステップ(h)がデジタルローパスフィルタで実行される請求項26に記載の方法。
【請求項28】
(e)前記信号にアンチエイリアシングフィルタを適用するステップと、
(f)試験信号にアンチエイリアシングフィルタを適用するステップと、
をさらに含む請求項21に記載の方法。
【請求項29】
(g)複数の試験サンプルを生成するために前記試験信号をサンプリングするステップと、
(h)前記複数の試験サンプルに試験正弦ベクトルを乗ずるステップと、
(i)前記複数の試験サンプルに試験余弦ベクトルを乗ずるステップと、
(j)前記ステップ(h)および前記ステップ(i)に基づいて前記試験信号の大きさを決定するステップと、
(k)前記アンチエイリアシングフィルタの適切な動作を決定するために前記試験信号の前記大きさを評価するステップと、
をさらに含む請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記試験信号が前記信号の周波数の4倍の周波数を有する請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記試験信号が矩形波である請求項30に記載の方法。
【請求項1】
A/D変換器と、
複数の入力間で前記A/D変換器を時分割多重するマルチプレクサと、
を備える信号調整器。
【請求項2】
前記入力がAC入力であり、前記A/D変換器がサンプル周波数で前記複数のAC入力をサンプリングし、前記サンプル周波数が前記AC入力の周波数の整数倍である請求項1に記載の信号調整器。
【請求項3】
前記複数のAC入力を供給し、前記A/D変換器の前記サンプル周波数を生成する励起源をさらに含む請求項2に記載の信号調整器。
【請求項4】
前記マルチプレクサの出力をサンプル速度でサンプリングし、前記A/D変換器用に前記マルチプレクサの前記出力を保持するサンプラーをさらに含む請求項3に記載の信号調整器。
【請求項5】
前記サンプル速度が前記AC入力の前記周波数の12倍である請求項2に記載の信号調整器。
【請求項6】
前記マルチプレクサがA/Dマルチプレクサであり、前記信号調整器がフィルタマルチプレクサおよびフィルタをさらに含み、前記フィルタマルチプレクサが前記複数の入力間で前記フィルタを時分割する請求項1に記載の信号調整器。
【請求項7】
前記入力がAC入力である請求項6に記載の信号調整器。
【請求項8】
前記複数の入力のうちの2つが第1のセンサの出力である請求項1に記載の信号調整器。
【請求項9】
前記第1のセンサがLVDTである請求項8に記載の信号調整器。
【請求項10】
前記第1のセンサがレゾルバである請求項8に記載の信号調整器。
【請求項11】
前記入力がベースバンド信号入力である請求項1に記載の信号調整器。
【請求項12】
前記入力のうちの1つに接続される、ベースバンド信号を生成する第1のセンサをさらに含む請求項11に記載の信号調整器。
【請求項13】
前記A/D変換器の出力をフィルタリングするフィルタをさらに含む請求項12に記載の信号調整器。
【請求項14】
(a)複数の入力信号を前記入力信号の周期内に繰り返して交互にサンプリングするステップと、
(b)複数の入力サンプルの各々からのサンプルを分析するステップと、
を含む複数の入力信号をモニターする方法。
【請求項15】
前記入力信号がAC入力信号であり、前記ステップa)の前記サンプリングするステップが前記AC入力信号の速度の整数倍であるサンプリング速度で実行される請求項14に記載の方法。
【請求項16】
(c)励起源を設けるステップと、
(d)前記励起源に基づいて前記AC入力信号を生成するステップと、
(e)前記ステップ(a)において前記励起源に基づいてサンプリングするステップと、
をさらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
(c)前記入力信号の各々からの複数のサンプルを記憶するステップと、
(d)前記入力信号の大きさを決定するために前記記憶された複数のサンプルを処理するステップと、
をさらに含む請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記入力信号の各々に対してバッファされたサンプルを復調するステップをさらに含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記入力信号のうちの2つがセンサの出力であり、前記入力信号のうちの前記2つの記憶されたサンプルに基づいて前記センサの前記出力の機械的角度を決定するステップをさらに含む請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記入力信号のうちの2つの間でアンチエイリアシングフィルタを時分割するステップをさらに含む請求項19に記載の方法。
【請求項21】
(a)複数のサンプルを生成するために信号をサンプリングするステップと、
(b)前記複数サンプルに正弦ベクトルを乗ずるステップと、
(c)前記複数サンプルに余弦ベクトルを乗ずるステップと、
(d)前記ステップ(b)および前記ステップ(c)に基づいて前記信号の大きさを決定するステップと、
を含む信号を変換する方法。
【請求項22】
前記ステップ(d)が前記ステップ(b)からの積の平均および前記ステップ(c)の積の平均の2乗平均平方根を計算するステップをさらに含む請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ステップ(b)の前記積の和に基づいて前記信号のsin成分を計算するステップをさらに含む請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記ステップ(b)の前記積の和に基づいて前記信号の機械的角度を決定するステップをさらに含む請求項21に記載の方法。
【請求項25】
e)前記ステップ(b)からの前記積を平均するステップと、
f)前記ステップ(c)からの前記積を平均するステップと、
をさらに含む請求項21に記載の方法。
【請求項26】
(g)前記ステップ(b)からの前記積をフィルタリングし、前記フィルタリングされた積を前記ステップ(e)で平均するステップと、
(h)前記ステップ(c)からの前記積をフィルタリングし、前記フィルタリングされた積を前記ステップ(f)で平均するステップと、
をさらに含む請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ステップ(g)および前記ステップ(h)がデジタルローパスフィルタで実行される請求項26に記載の方法。
【請求項28】
(e)前記信号にアンチエイリアシングフィルタを適用するステップと、
(f)試験信号にアンチエイリアシングフィルタを適用するステップと、
をさらに含む請求項21に記載の方法。
【請求項29】
(g)複数の試験サンプルを生成するために前記試験信号をサンプリングするステップと、
(h)前記複数の試験サンプルに試験正弦ベクトルを乗ずるステップと、
(i)前記複数の試験サンプルに試験余弦ベクトルを乗ずるステップと、
(j)前記ステップ(h)および前記ステップ(i)に基づいて前記試験信号の大きさを決定するステップと、
(k)前記アンチエイリアシングフィルタの適切な動作を決定するために前記試験信号の前記大きさを評価するステップと、
をさらに含む請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記試験信号が前記信号の周波数の4倍の周波数を有する請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記試験信号が矩形波である請求項30に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図4e】
【図4f】
【図4g】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図4e】
【図4f】
【図4g】
【図5】
【公開番号】特開2011−28773(P2011−28773A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−214711(P2010−214711)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【分割の表示】特願2007−200306(P2007−200306)の分割
【原出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(500107762)ハミルトン・サンドストランド・コーポレイション (165)
【氏名又は名称原語表記】HAMILTON SUNDSTRAND CORPORATION
【住所又は居所原語表記】One Hamilton Road, Windsor Locks, CT 06096−1010, U.S.A.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214711(P2010−214711)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【分割の表示】特願2007−200306(P2007−200306)の分割
【原出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(500107762)ハミルトン・サンドストランド・コーポレイション (165)
【氏名又は名称原語表記】HAMILTON SUNDSTRAND CORPORATION
【住所又は居所原語表記】One Hamilton Road, Windsor Locks, CT 06096−1010, U.S.A.
【Fターム(参考)】
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