説明

多重結合および活性アッセイ

蛍光偏光(FP)および/または時間分解型共鳴エネルギー転移(TR-RET)を用いた分子間相互作用を調べるための、抗体、ポリペプチド、および有機分子を含む組成物、キット、装置、ならびに方法を提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、蛍光偏光(FP)および/または時間分解型共鳴エネルギー転移(TR-RET)検出法を用いるアッセイに関し、より詳しくは、これを用いて、競合的結合または酵素活性事象のような分子間相互作用をモニターおよび測定する方法に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、その全内容物が参照により本明細書に組み入れられる、35 U.S.C.§119(e)により2003年9月12日に提出された米国特許仮出願第60/502,377号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
背景
新薬の発見は、何千ものメンバーを含む多様な化学ライブラリの系統だったおよび/またはハイスループットスクリーニングを必要としうる。FDAの承認プロセスの経費および期間と併せて、これらのライブラリの大きさおよび複雑さのために、分子間相互作用を調べるための単純で効率的で均一なアッセイが必要であった。
【0004】
蛍光偏光(FP)、共鳴エネルギー転移(RET)、および発光共鳴エネルギー転移(LRET)法を含む、発光に基づく技術は、典型的に、分子間相互作用を調べるための非常に感度が高く、均一な方法である。しかし、バックグラウンドの発光(例えば、アッセイ成分からの蛍光または発光)、アッセイ成分の非特異的相互作用、および光の散乱のために、特に半減期が短い発光体を用いる場合には、発光に基づくアッセイの感度が制限され、それによって薬物スクリーニングにおいて疑陽性または疑陰性の検出が起こりうる。スクリーニングの結果を確認するためには、個々に取り上げた成分の追跡スクリーニングまたは多重スクリーニングを用いることが必要であるかも知れない。蛍光または発光アッセイの情報量を増加させて、薬物スクリーニングにおいて発生する偽性結果の数を減少させることができるスクリーニング方法論を有することが有用であろう。
【発明の開示】
【0005】
概要
本発明は、競合的結合事象および酵素活性を含む、分子間相互作用をモニターするために有用な組成物、方法、装置、およびキットを提供する。したがって、一つの態様において、本発明は、第一の結合パートナーと第二の結合パートナーとの結合に及ぼす被験化合物の効果を測定する方法を提供する。方法には、第一の結合パートナー、第二の結合パートナー、および被験化合物を接触させて、被験試料を形成する段階が含まれる。いくつかの態様において、第一の結合パートナーおよび第二の結合パートナーの一方に発光金属錯体が含まれ、他方には蛍光アクセプター部分が含まれる。他の態様において、第一の結合パートナーおよび被験化合物の一方には発光金属錯体が含まれ、他方には蛍光アクセプター部分が含まれる。第一の結合パートナーおよび第二の結合パートナーは、互いに結合して複合体を形成することができる。
【0006】
方法において、被験試料を偏光に曝露して、被験試料からの蛍光放射の偏光を測定する。被験試料をまた、波長250 nm〜750 nmの光に曝露して、被験試料の蛍光放射を測定することができる。偏光に対する露出および蛍光放射の偏光の測定は、波長250 nm〜750 nmの範囲の光に対する露出および蛍光放射測定値の前、同時、または後に行うことができる。被験化合物は、被験試料の蛍光偏光の測定、蛍光放射測定値、またはその両者が、被験化合物を含まない対応する対照試料の蛍光偏光測定値または蛍光放射測定値と異なる場合、第一の結合パートナーおよび第二の結合パートナーの結合に影響を及ぼすと同定される。
【0007】
第一の結合パートナーおよび第二の結合パートナーは、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、脂質、多糖類、ホルモン、および低分子有機化合物からなる群より独立して選択することができる。いくつかの態様において、ポリペプチドは、抗体または抗体断片となりうる。蛍光アクセプター部分は、フルオレセイン、ローダミン、GFP、GFP誘導体、FITC、5-FAM、6-FAM、7-ヒドロキシクマリン-3-カルボキサミド、6-クロロ-7-ヒドロキシクマリン-3-カルボキサミド、フルオレセイン-5-イソチオシアネート、ジクロロトリアジニルアミノフルオレセイン、テトラメチルローダミン-5-イソチオシアネート、テトラメチルローダミン-6-イソチオシアネート、5-カルボキシフルオレセインのスクシニミジルエステル、6-カルボキシフルオレセインのスクシニミジルエステル、5-カルボキシテトラメチルローダミン、6-カルボキシメチルローダミン、および7-アミノ-4-メチルクマリン-3-酢酸からなる群より選択することができる。
【0008】
発光金属錯体は、ランタニド金属錯体となりうる。ランタニド金属錯体には、有機アンテナ部分、金属リガンド結合(liganding)部分、およびランタニド金属イオンが含まれうる。ランタニド金属イオンは、Sm(III)、Ru(III)、Eu(III)、Gd(III)、Tb(III)、およびDy(III)からなる群より選択されうる。有機アンテナ部分は、ローダミン560、フルオレセイン575、フルオレセイン590、2-キノロン、4-キノロン、4-トリフルオロメチルクマリン(TFC)、7-ジエチル-アミノ-クマリン-3-カルボヒドラジド、7-アミノ-4-メチル-2-クマリン(カルボスチリル124)、7-アミノ-4-メチル-2-クマリン(クマリン120)、7-アミノ-4-トリフルオロメチル-2-クマリン(クマリン124)、およびアミノメチルトリメチルソラレンからなる群より選択することができる。金属リガンド結合部分は、EDTA、DTPA、TTHA、DOTA、NTA、HDTA、DTPP、EDTP、HDTP、NTP、DOTP、DO3A、DOTAGA、およびNOTAからなる群より選択される金属キレート部分となりうる。
【0009】
いくつかの態様において、ランタニド金属錯体は以下の構造を有する:
-Ln-A-Sn-CM
または
-Ln-CM-Sn-A
式中、Aは、有機アンテナ部分を表し;Lはリンカーを表し;Sはスペーサーを表し、nは0または1となりえて;Cは金属キレート部分を表し;かつMはCと配位結合したランタニド金属イオンを表す。
【0010】
もう一つの局面において、本発明は、酵素活性の調節物質を同定する方法を提供する。方法には、酵素を酵素の基質に接触させる段階が含まれ、接触させる段階は、酵素の酵素活性が基質から産物を形成するために有効な条件で行われ、接触する段階が酵素活性のおそらく調節物質の存在下で行われる。酵素、基質、および潜在的調節物質を第一の結合パートナーおよびトレーサーに接触させて、被験試料を形成する。第一の結合パートナーは、酵素活性の産物または基質のいずれかに対して結合特異性を有する。第一の結合パートナーは、トレーサーに結合することができる。
【0011】
トレーサーは非標識となりえて、またはトレーサーには発光金属錯体もしくは蛍光アクセプター部分、例えば「発光トレーサー」が含まれうる。例えば、方法の一つの態様において、第一の結合パートナーおよびトレーサーの一方に、発光金属錯体が含まれ、他方には蛍光アクセプター部分が含まれる。他の態様において、第一の結合パートナーおよび基質の一方には、発光金属錯体が含まれ、他方には蛍光アクセプター部分が含まれる。
【0012】
被験試料を偏光に曝露して、被験試料からの蛍光放射の偏光を測定する。被験試料をまた、波長250 nm〜750 nmの範囲の光に曝露して、被験試料からの蛍光放射を測定する。偏光に対する露出および蛍光放射の偏光の測定は、波長250 nm〜750 nmの範囲の光に対する露出および蛍光放射測定値の前、同時、または後に行うことができる。
【0013】
被験試料の蛍光偏光測定値、蛍光放射測定値、またはその双方が、潜在的調節物質を含まない対応する対照試料の蛍光偏光測定値または蛍光放射測定値とそれぞれ異なれば、潜在的調節物質が酵素活性の調節物質であると同定される。本明細書に記述の任意の方法において、対照試料と比較して被験試料の蛍光偏光測定値の差は、約30 mP〜約450 mPとなりうる。対照試料と比較して被験試料の蛍光偏光測定値の差も同様に、約10%〜約10,000%の増加または減少となりうる。被験試料または対照試料の蛍光放射は、二つまたはそれ以上の波長において測定することができる。二つの波長における被験試料または対照試料の蛍光放射測定値の比も同様に計算することができる。
【0014】
酵素活性は、キナーゼ活性、ホスファターゼ活性、グルクロニダーゼ活性、プレニル化、グリコシル化、メチル化、脱メチル化、アシル化、アセチル化、ユビキチン化、硫酸化、タンパク質分解、ヌクレアーゼ活性、核酸ポリメラーゼ活性、核酸逆転写酵素活性、ヌクレオチジルトランスフェラーゼ活性、およびポリヌクレオチド翻訳活性からなる群より選択することができる。
【0015】
本発明はまた、製品を提供する。キットのような製品には、包装材料、および第一の結合パートナーおよび/または第二の結合パートナーが含まれ、第二の結合パートナーは第一の結合パートナーに結合することができる。結合パートナーは、発光金属錯体または蛍光アクセプター部分を含みうる。
【0016】
もう一つの局面において、本発明は装置を提供する。装置には、試料チャンバ;試料チャンバを照明する(illuminate)ために直線偏光を生成する手段;試料チャンバから放射された偏光を検出する手段;波長250 nm〜750 nmの光によって試料チャンバを照明する手段;および試料チャンバから放射された光を検出する手段が含まれうる。装置において、試料チャンバを照明するために直線偏光を生成する手段および波長250 nm〜750 nmの光によって試料チャンバを照明する手段が、直線偏光と波長250 nm〜750 nmの光によってそれぞれ同時に試料チャンバを照明するように、双方の照明手段を配置することができる。さらに、試料チャンバから放射された偏光を検出する手段および試料チャンバから放射された光を検出する手段が、該試料チャンバから放射された偏光と光を同時に検出するように、双方の検出手段を配置することができる。
【0017】
もう一つの局面において、本発明は組成物を提供する。組成物は、第一の結合パートナー、第二の結合パートナー、またはその混合物となりうる。結合パートナーには、蛍光アクセプター部分または発光金属キレートが含まれうる。
【0018】
特に明記していなければ、本明細書において用いられた全ての科学技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記述した方法および材料と類似または同等の方法および材料を、本発明の実践または試験において用いることができるが、適した方法および材料を以降に記述する。さらに、材料、方法、および実施例は、説明的であって、制限すると意図されない。本明細書において言及した全ての出版物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全内容物が参照により本明細書に組み入れられる。矛盾する場合は、定義を含めて、本明細書が優先するであろう。
【0019】
本発明の一つまたは複数の態様の詳細は、添付の図面および下記の説明に記載される。本発明の他の特徴、目的、および長所は、説明および図面、ならびに請求の範囲から明らかとなるであろう。
【0020】
詳細な説明
本発明は、多重検出モード(多重モード)を用いることによって、競合的結合事象および酵素活性(例えば、翻訳後改変)を含む、多様な分子間相互作用を調べるアッセイの感度、信頼性、および情報量を改善できるという発見に基づいている。本発明の方法によって、蛍光偏光(FP)および時間分解型共鳴エネルギー転移(TR-RET)検出モードの双方を用いることができる。多重法を用いることにより、スクリーニングアッセイにおける疑陽性および疑陰性ヒットの数が最小限となり、それによってスクリーニング結果の完全性において信頼性の増加が得られる。さらに、多重法を用いることによって、バックグラウンドの蛍光の干渉および光の散乱による可能性がある偽性結果の再分析が容易となる。FPに基づくスクリーニングアッセイは、本発明の方法を用いてTR-RETまたは多重FP/TR-RETアッセイに容易に変換することができ、いずれかまたは双方の蛍光モードにおいて分子相互作用を調べることができる。組成物の混合物を含む、本明細書に記述の方法において用いるために適した組成物も同様に記述される。
【0021】
定義
一般的に、本明細書において用いられる命名および本明細書において記述される蛍光、発光、コンピューター、検出、化学、および実験技法の多くは、当技術分野において一般的に用いられる。化学合成、蛍光または発光のモニタリングおよび検出、光学、分子生物学、ならびにコンピューターソフトウェアおよび組込に関しては、一般的に標準的な技術が用いられる。化学反応、細胞アッセイ、および酵素反応は典型的に、適当であれば製造元の明細書に従って行われる。一般的に、その全てが参照により本明細書に組み入れられる、蛍光技術に関して、Lakowicz, J.R., Topics in Fluorescence Spectroscopy, (3 volumes), New York : Plenum Press(1991), およびLakowicz, J.R, Emerging applications of florescence spectroscopy to cellular imaging : lifetime imaging, metal-ligand probes, multi photon excitation and light quenching, Scanning Microsc. Suppl. Vol.10(1996)pages 213〜24;分子生物学法に関して、Sambrookら、Molecular Cloning : A Laboratory Manual, 第二版(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.;細胞生物学法に関して、Cells : A Laboratory Manual, 第一版(1998)Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.;ならびに一般的な分光法に関して、Optics Guide 5, Melles Griot(登録商標)Irvine CAおよび、Optical Waveguide Theory, Snyder & Love(Chapman & Hall出版)を参照されたい。
【0022】
発光材料において多様な蛍光または発光アッセイを行う一般的な方法は当技術分野において公知であり、例えばLakowicz, J.R, Topics in Fluorescence Spectroscopy, Vol 1〜3, New York : Plenum Press(1991);Herman, B., Resonance Energy Transfer Microscopy, in Fluorescence Microscopy of Living Cells in Culture, Part B, Methods in Cell Biology, vol. 30, Taylor, D.L. & Wang, Y.L.編、San Diego : Academic Press(1989), pp.219〜243;Turro, N.J.,Modern Molecular Photochemistry, Menlo Park : Benjamin/Cummings Publishing Col, Inc.(1978), pp.296〜361;およびBernard Valeur, Molecular Fluorescence : Principles and Applications, Willey VCH, 2002において記述されている。特異的共鳴アクセプター部分の選択および使用における指針は、例えば共鳴エネルギー転移対の選択に関するスペクトルオーバーラップ積分表を含むBerlman, L.B., Energy transfer parameters of aromatic compounds, Academic Press, New York and London(1973)において利用できる。さらなる情報源には、Molecular Probes Catalog(2003)およびウェブサイト;ならびにTsienら、1990, Handbook of Biological Confocal Microscopy, pp.169〜178が含まれる。FPおよび/またはRETおよびTR-RET応用を行うために有用な機器は、Tecan Group Ltd(Switzerland)(Ultra、Ultra 384、Ultra Evolution);Perkin-Elmer(Boston, MA)(Fusion、EnVision、Victor V、および ViewLux)、Amersham Bioscience(Piscataway, NJ)(LeadSeeker);およびMolecular Devices Corporation(SunnyVale, CA)(Analyst AD、GT、およびHT)から入手可能である。
【0023】
本開示において明確に定義されていない一般的に用いられる化学略語は、The American Chemical Society Style Guide, 第二版;Amerrican Chemical Society, Washington, DC(1997), 2001 Guidelines for Authors, J. Org. Chem. 66(1), 24A(2001)、およびA Short Guide to Abbreviations and their Use in Peptide Science, J. Peptide. Sci. 5, 465〜471(1999)に認められるであろう。
【0024】
省略語:
t-Boc、tert-ブチルオキシカルボニル;
Bzl、ベンジル;
PTK、タンパク質チロシンキナーゼ;
Fmoc、フルオレニルメチルオキシカルボニル;
ELISA、酵素結合イムノソルベントアッセイ;
FP、蛍光偏光;
FITC、フルオレセインイソチオシアネート;
RET、共鳴エネルギー転移;
FRET、蛍光共鳴エネルギー転移、またはフォースター共鳴エネルギー転移;
TR、時間分解型;
FAM、カルボキシフルオレセイン。
【0025】
本開示を通して用いられるように、以下の用語は、特に明記していなければ、以下の意味を有すると理解されるであろう。
【0026】
「抗体」および「複数の抗体」という用語には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化、またはキメラ抗体、一本鎖Fv抗体断片、Fab断片、およびF(ab)2断片が含まれる。ポリクローナル抗体は、特定の抗原に対して特異的な抗体分子の不均一な集団であるが、モノクローナル抗体は抗原内に含まれる特定のエピトープに対する抗体の均一な集団である。キメラ抗体は、マウスモノクローナル抗体に由来する可変領域とヒト免疫グロブリン定常領域とを有する分子のような、異なる部分が異なる動物種に由来する分子である。「エピトープ」という用語は、抗体が結合する抗原上の抗原決定基を指す。エピトープは通常、アミノ酸、糖の側鎖、または化学部分(例えば、有機化合物から)のような分子の化学活性表面基からなり、典型的に特異的荷電特徴と共に特異的三次元構造特徴を有する。エピトープは、一連の隣接アミノ酸、例えば隣接するアミノ酸5個からなりうる。他の態様において、エピトープは、不連続なエピトープとなりうる、例えばエピトープは、ポリペプチドの二次、三次、および/または四次構造に起因する空間におけるアミノ酸の特定の配列である。さらに他の態様において、エピトープは、改変されたアミノ酸側鎖、例えばリン酸化チロシン、セリン、またはトレオニンからなりうる。モノクローナル抗体は、本発明において特に有用である。
【0027】
「RET」という用語は、共鳴エネルギー転移を意味し、エネルギー量子を、ドナーおよびアクセプター種のあいだの共鳴的相互作用によって、分子または分子系におけるその吸収部位(ドナー)からその利用部位(アクセプター)への、熱エネルギーへの実質的な変換なく、およびドナーおよびアクセプターが運動による衝突を引き起こすことなく、原子間距離よりかなり遠い距離にわたる無放射線伝幡を指す。ドナーは、最初にエネルギーを吸収する部分(例えば、光学エネルギーまたは電子エネルギー)である。本明細書に記述の発光金属錯体は、二つのドナーを含みうる:1)光学エネルギーを(例えば光子から)吸収する有機アンテナ部分;および2)電子エネルギーを吸収するランタニド金属イオン(例えば、有機アンテナ部分から転移された)。RETは時に、蛍光共鳴エネルギー転移またはフォースター共鳴エネルギー転移(いずれもFRETと省略される)と呼ばれる。
【0028】
「アクセプター」という用語は、共鳴エネルギー転移によってエネルギーを受容する化学または生物学的部分を指す。RET応用において、アクセプターは、ドナー蛍光または発光部分から転移されたエネルギーを蛍光として再放射してもよく(例えばRETまたはTR-RET)、「蛍光アクセプター部分」である。本明細書において用いられるように、そのようなドナー蛍光または発光部分およびアクセプター蛍光部分は「RET対」と呼ばれる。アクセプターの例には、クマリンおよび関連蛍光体;フルオレセインおよびフルオレセイン誘導体のようなキサンテン;GFPおよびGFP誘導体のよな蛍光タンパク質;ロドール、ローダミン、およびその誘導体;レゾルフィン;シアニン;ジフルオロボラジアザインダセン;ならびにフタロシアニンが含まれる。蛍光アクセプター部分を含むアクセプターも同様に、FPアッセイにおける蛍光プローブとして有用となりうる。
【0029】
「標識」または「標識された」という用語は、本明細書において記述されるように、第一の結合パートナー、第二の結合パートナー、トレーサー、被験化合物、潜在的調節物質、基質、または産物上の発光金属錯体もしくは蛍光アクセプター部分が含まれることを指す。
【0030】
「調節する」という用語は、活性またはプロセスの部分的または完全な増強または阻害を指す(例えば、速度または効率の減弱によって)。
【0031】
「調節物質」という用語は、生体高分子(例えば、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、ホルモン、多糖類、脂質)、有機分子(例えば、低分子量有機分子)のような化学化合物(天然に存在するまたは天然に存在しない)、または細菌、植物、真菌、もしくは動物(特に、ヒトを含む哺乳類)細胞もしくは組織のような生体材料からの抽出物を指す。調節物質は、本明細書に記述されるスクリーニングアッセイに含めることによって、生物学的プロセスまたは複数のプロセスの阻害剤または増強剤(直接または間接的)(例えば、アゴニスト、部分的アンタゴニスト、部分的アゴニスト、逆アゴニスト、アンタゴニスト、抗新生物剤、細胞障害剤、新生物トランスフォーメーションまたは細胞増殖の阻害、細胞増殖促進剤等)としての潜在的活性に関して評価してもよい。調節物質の活性は、公知、不明、または部分的に公知であってもよい。
【0032】
「天然に存在しない」という用語は、物体、化合物、または化学物質を自然界に認めることができないという事実を指す。例えば、生体(ウイルスを含む)に存在し、天然起源から単離することができ、実験室でヒトによって意図的に改変されていないポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、天然に存在するが、ヒトによって意図的に改変されているそのようなポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、天然に存在しない。
【0033】
「有機分子」という用語は、元素C、N、H、O、SおよびPの一つまたはそれ以上の共有結合配置を含む分子骨格を有する化合物を指し、典型的に分子量10000ダルトン未満を有する。分子量5000ダルトン未満の有機分子は「低分子有機分子」と呼ばれることがある。
【0034】
「ポリペプチド」という用語は、アミド結合を通して互いに連結された二つまたはそれ以上のアミノ酸のポリマーを指す。ポリペプチドは、タンパク質全体(例えば、天然起源または発現系から単離された)、タンパク質の断片、タンパク質またはタンパク質断片の酵素的もしくは化学合成および/または改変型、またはデノボで設計されたアミノ酸配列(例えば、公知のタンパク質配列に基づかない)となりうる。ポリペプチドは、長さがアミノ酸2〜1000個となりうる(例えば、長さがアミノ酸2〜900、2〜800、2〜700、2〜600、2〜500、2〜480、2〜450、2〜300、2〜200、2〜100、2〜50、2〜25、5〜900、5〜800、5〜700、5〜600、5〜500、5〜450、5〜300、5〜200、5〜100、5〜50、5〜25、10〜900、10〜800、10〜700、10〜600、10〜500、10〜450、10〜300、10〜200、10〜100、10〜50、20〜900、20〜800、20〜700、20〜600、20〜500、20〜450、20〜300、20〜200、20〜100、20〜50個)。アミノ酸は、例えばβ-アラニン、フェニルグリシン、およびホモアルギニンを含む、天然または非天然のアミノ酸であってもよい。論評に関しては、Spatola, A.F., 「Chemistry and Biochemisty of Amino Acids, Peptides and Proteins.」、B. Weinstein編、Marcel Dekker, New York, p.267(1983)を参照されたい。本発明において用いられるアミノ酸は全て、D-またはL-異性体のいずれであってもよい。特に有用な化学改変または置換アミノ酸は、リン酸化(例えば、ホスホセリン(側鎖のヒドロキシルでリン酸化)、ホスホチロシン(側鎖のフェニル環のOHでリン酸化)、およびホスホトレオニン(側鎖のヒドロキシル基でリン酸化))、硫酸化、メチル化、またはプレニル化アミノ酸を含む。
【0035】
「翻訳後改変」および「翻訳後型改変」という用語は互換的に用いられ、ポリペプチドにおける一つまたは複数のアミノ酸残基の酵素的または非酵素的改変を指す。典型的な改変には、リン酸化、脱リン酸化、グリコシル化、メチル化、硫酸化、ユビキチン化、アシル化、アセチル化、プレニル化、およびADP-リボシル化が含まれる。好ましい翻訳後型改変には、リン酸化および脱リン酸化が含まれる。翻訳後改変という用語には、ポリペプチド-ポリペプチド相互作用、またはリガンド、アロステリック調節剤、他の調節剤、もしくはカルシウム、cAMP、もしくはイノシトールホスフェートのような二次伝達物質の結合のような、ポリペプチドの活性(例えばタンパク質の活性)、構造、もしくは機能に影響を及ぼす非共有結合改変が含まれる。
【0036】
「被験化合物」という用語は、例えば、キナーゼ活性などの酵素活性の推定の調節物質であるか否かを決定するために、本発明の一つまたは複数のスクリーニング法によって試験される化合物を指す。被験化合物は、無機化学物質、有機分子、ポリペプチド、糖質、ポリヌクレオチド、多糖類、脂質、リン脂質、またはその組み合わせのような任意の化学物質となりうる。典型的に、0.01マイクロモル濃度、1マイクロモル濃度、または10マイクロモル濃度のような、様々な既定濃度(例えば、様々な希釈液)の被験化合物をスクリーニングに用いる。被験化合物に対する実験的対照には、被験化合物の非存在下でのシグナルの測定、または、標的活性を改変することが知られている化合物を用いて得られるシグナルと、被験化合物を用いてシグナルとの比較が含まれうる。
【0037】
結合パートナー
本発明は、二つの結合パートナーのあいだの分子間相互作用(例えば、複合体の形成または破壊)をモニターおよび/または測定することに基づく。「結合パートナー」は、二つの結合パートナーが結合した場合に複合体を形成することができるように、もう一つの化合物(例えば、第二の結合パートナー)(またはその逆も同じ)に対して親和性を有する化合物(例えば、第一の結合パートナー)である。二つの結合パートナーは、特異的結合対のメンバーとなりうる。例えば、第一の結合パートナーはモノクローナル抗体となりえて、第二の結合パートナーはそのモノクローナル抗体によって認識されるエピトープを有する組成物となりうる。
【0038】
したがって、一つの局面において、本発明は、結合パートナーを含む組成物を提供する。結合パートナーは、発光金属錯体によって標識することができる。または、結合パートナーは、蛍光アクセプター部分によって標識することができる。発光金属錯体または蛍光アクセプター部分によって標識される結合パートナーの特定の例を下記の実施例に示す。本発明はまた、結合パートナーの混合物を提供する。例えば、組成物には、第一の結合パートナーと第二の結合パートナーとが含まれうる。第一の結合パートナーは発光金属錯体を含みえて、第二の結合パートナーは蛍光アクセプター部分を含みうる。または、第一の結合パートナーが蛍光アクセプター部分を含みえて、第二の結合パートナーが発光金属錯体を含みうる。
【0039】
典型的に、第二の結合パートナーに対する第一の結合パートナーの親和性(見かけのKd)は、約1 mMまたはそれ未満、例えば約10 μMもしくはそれ未満、約1μMもしくはそれ未満、約0.1μMもしくはそれ未満、10 nMもしくはそれ未満、1 nMもしくはそれ未満、または0.1 nMもしくはそれ未満である。当業者は認識するであろうように、条件および費用効果の所望の組み合わせを得るために、第二の結合パートナーに対する第一の結合パートナーのKdに応じて、実験パラメータ、例えばアッセイ成分の濃度、反応時間、温度、および緩衝液を系統的に調節することができる。第二の結合パートナーは、第一の結合パートナーに関して最適な結合パートナーである必要はない。この用語は、本発明の方法を用いてその結合相互作用を調べることができる全ての結合パートナーを含む。第二の結合パートナーは時に、本明細書において「トレーサー」と呼ばれ、それが発光金属錯体または蛍光アクセプター部分を含む場合には、「発光トレーサー」と呼ばれる。
【0040】
結合パートナーは、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、脂質、リン脂質、多糖類、または有機分子となりうる。特定のポリペプチド結合パートナーの例には、抗体、タンパク質、または酵素的もしくは化学的に合成されたもしくは改変されたポリペプチド配列(例えば、タンパク質に由来する、タンパク質から改変された、またはデノボで設計および合成されたポリペプチド配列)が含まれる。ポリペプチド結合パートナーは直線状または環状であってもよい。有機分子結合パートナーは、低分子有機分子となりうる。
【0041】
複合体を形成する第一および第二の結合パートナーの典型的な例には、抗体と、その抗体によって認識されるエピトープまたはエピトープ模倣体を有する組成物;ポリペプチドとリガンド(例えば、受容体-リガンド相互作用);ポリペプチドともう一つのポリペプチド(例えば、タンパク質-タンパク質相互作用);ポリペプチドとポリヌクレオチド(例えば、タンパク質-DNA、またはタンパク質-RNA相互作用);ポリヌクレオチドともう一つのポリヌクレオチド(例えば、DNA-DNA、DNA-RNA、またはRNA-RNA相互作用);ポリペプチドと有機分子(例えば、タンパク質-薬物相互作用);ポリペプチドと脂質(例えば、タンパク質-リン脂質相互作用);ポリヌクレオチドと有機分子;および有機分子ともう一つの有機分子が含まれる。
【0042】
結合パートナーは、発光金属錯体または蛍光アクセプター部分のいずれかを含みうる。本明細書に記述の方法のいくつかの態様において、一つの結合パートナーは、発光金属錯体を含み、もう一つは蛍光アクセプター部分を含む、例えば第一の結合パートナーは、発光金属錯体を含み、第二の結合パートナーは蛍光アクセプター部分を含む。結合パートナー対上に発光金属錯体および蛍光アクセプター部分を含めることによって、第一と第二の結合パートナーの相互作用を一つまたはそれ以上の蛍光技術(例えば、FP、TR-RET、または多重モード)によってモニターすることができる。例えば、第一の結合パートナーおよび第二の結合パートナーが互いに結合している場合、複合体は典型的に、特徴的なFPまたはTR-RETシグナル(または双方)を示すであろう。第一の結合パートナーと第二の結合パートナーとの分子間相互作用が破壊(例えば、第二の結合パートナーの競合物質を加えることによって)されると、FPまたはTR-RETシグナル(または双方)が変化して、FPまたはTR-RETモードのいずれか(または双方のモード)において分子間相互作用をモニターすることができる。
【0043】
一つの態様において、抗体は、発光金属キレートによって標識することができ、および抗体に対するポリペプチド結合パートナーは蛍光アクセプター部分によって標識することができる。抗体とポリペプチドが互いに結合している場合、試料は典型的に、高いFP測定および発光金属キレートとアクセプター部分とのRETに特徴的な蛍光放射測定値を示す。適した濃度、および抗体に対する適したKdで競合物質を加えると、第二の結合パートナーの置換が起こり、それと同時に試料のFP測定が減少して、抗体上の発光金属キレートとポリペプチド上の蛍光アクセプター部分のあいだのRETが喪失した結果として、蛍光放射測定値に変化が起こる。
【0044】
結合パートナーは、当業者に公知の多くの方法によって調製および精製することができる。例えば、モノクローナル抗体および抗体断片を含む抗体は、当業者に公知の多くの方法によって調製することができ、またはSerotec(Raleigh, NC)、Abcam(Cambridge, MA)、R & D Systems、Cambridge Antibody Technologies、およびCovance Research Products(Denver, CO)を含む、多様な販売元から購入することができる。
【0045】
一般的に、それに対する抗体が望ましい抗原を、例えば組換え、化学合成、または天然のタンパク質の精製によって調製して、これを用いて動物を免疫する。例えば、特定のアミノ酸配列および/または翻訳後改変(例えば、リン酸化)を含むポリペプチドは、配列および/または翻訳後改変に対して特異的な抗体を作製するために、固相化学合成によって調製することができる。例えばウサギ、ニワトリ、マウス、モルモット、ヤギ、およびラットを含む様々な宿主動物を、対象抗原の注射によって免疫することができる。宿主の種に応じて、アジュバントを用いて免疫応答を増加させることができ、これには、フロイントのアジュバント(完全および/または不完全)、水酸化アルミニウムのような無機質ゲル、リゾレシチンのような界面活性物質、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油性乳剤、キーホールリンペットヘモシアニン、およびジニトロフェノールが含まれる。ポリクローナル抗体は、免疫された動物の血清に含まれる。モノクローナル抗体は、標準的なハイブリドーマ技術を用いて調製することができる。特に、モノクローナル抗体は、例えばKohlerら(1975), Nature 256:495〜497によって記述されるように連続細胞培養、Kosborら(1983)Immunology Today 4:72およびCoteら(1983)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:2026〜2030のヒトB-細胞ハイブリドーマ技術、ならびにColeら、「Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy」、Alan R. Liss, Inc. pp.77〜96(1983)のEBV-ハイブリドーマ技術によって、抗体分子の産生を提供する任意の技術によって得ることができる。そのような抗体は、IgM、IgG、IgE、IgA、IgD、およびその任意のサブクラスを含む任意の免疫グロブリンクラスの抗体となりうる。本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマはインビトロまたはインビボで培養することができる。キメラ抗体は、標準的な技術によって産生することができる。
【0046】
抗原に対して特異的結合親和性を有する抗体断片は、公知の技術によって作製することができる。そのような抗体断片には、抗体分子のペプシン消化によって産生されうるF(ab')2断片、およびF(ab')2断片のジスルフィド架橋を還元することによって産生されうるFab断片が含まれるがこれらに限定されない。または、Fab発現ライブラリを構築することができる。例えば、Huseら(1989)Science 246:1275〜1281を参照されたい。一本鎖Fv抗体断片は、アミノ酸架橋(例えば、アミノ酸15〜18個)によってFv領域の重鎖および軽鎖断片を連結することによって形成され、それによって一本鎖ポリペプチドが得られる。一本鎖Fv抗体断片は、米国特許第4,946,778号に開示される技術のような、標準的な技術によって産生することができる。
【0047】
産生された後、抗体または抗体断片を、例えば酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)、またはラジオイムノアッセイ(RIA)を含む標準的なイムノアッセイ法によって、第二の結合パートナーの認識(およびその親和性)に関して試験することができる。「Short Protocols in Molecular Biology」、Ausubelら編、Green Publishing Associates and John Wiley & Sons(1992)を参照されたい。適した抗体は典型的に、第二の結合パートナーに関して約1 mMまたはそれ未満、例えば約10 μMもしくはそれ未満、約1μMもしくはそれ未満、約0.1μMもしくはそれ未満、約10 nMもしくはそれ未満、約1 nMもしくはそれ未満、または約0.1 nMもしくはそれ未満のKdを有するであろう。例えば、翻訳後改変タンパク質を用いて、特定の翻訳後改変に対して特異的な抗体を産生するために動物を免疫する場合、第二の結合パートナーは、同じ翻訳後改変を含むポリペプチドとなりうる。他の態様において、第二の結合パートナーは、免疫するために用いられる抗原と同じ化学構造を有するであろう。
【0048】
抗体に加えて他のポリペプチドが、第一または第二の結合パートナーとして有用であり、同様に標準的な方法を用いて調製および分析することができる。制限的でない例として、ポリペプチドは、天然起源(例えば、単離された細胞、組織、または体液から)からの抽出によって、ポリペプチドをコードする組換え型核酸の発現によって、または化学合成によって得ることができる。ポリペプチドは、例えば、ポリペプチドをコードする発現ベクターを用いて、標準的な組換え技術によって産生することができる。次に、得られたポリペプチドを精製することができる。ポリペプチドの小規模または大規模産生のために用いることができる発現系には、組換え型バクテリオファージDNA、プラスミドDNA、もしくはコスミドDNA発現ベクターによって形質転換された細菌(例えば、大腸菌および枯草菌(B. subtilis))のような微生物;組換え型酵母発現ベクターによって形質転換された酵母(例えば、出芽酵母(S. cerevisiae));組換え型ウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染させた昆虫細胞系;組換え型ウイルス発現ベクター(例えば、タバコモザイクウイルス)に感染させた、もしくは組換え型プラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)によって形質転換させた植物細胞系;または哺乳類細胞のゲノムに由来するプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)、もしくは哺乳類ウイルスに由来するプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーターおよびサイトメガロウイルスプロモーター)を含む組換え型発現構築物を有する哺乳類細胞系(例えば、初代培養細胞またはCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞、HeLa細胞、ヒト胎児腎293細胞、および3T3 L1細胞のような不死化細胞株)が含まれるがこれらに限定されない。
【0049】
本発明のポリペプチドを精製するための適した方法には、例えば、アフィニティクロマトグラフィー、免疫沈殿、サイズ排除クロマトグラフィー、およびイオン交換クロマトグラフィーが含まれうる。例えば、Floheら(1970)Biochim. Biophys. Acta. 220:469〜476、またはTilgmannら(1990)FEBS 264:95〜99を参照されたい。精製の程度は、カラムクロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、または高速液体クロマトグラフィーが含まれるがこれらに限定されない任意の適当な方法によって測定することができる。
【0050】
第一または第二の結合パートナーとしてのポリペプチドはまた、固相合成法を用いて調製することができ、例えば国際公開公報第03/01115号および第6,410,255号を参照されたい。合成の容易さおよび費用の点から、化学合成されるポリペプチドは、アミノ酸3〜50個(例えば、長さがアミノ酸3〜30、3〜20、3〜15、5〜30、5〜20、5〜15、8〜20、8〜15、10〜10、10〜15、または10〜12個)を有することが好ましい。本発明のポリペプチドにおいて、非常に多様なアミノ酸を用いることができる。適したアミノ酸には、天然、非天然、および改変(例えば、リン酸化)アミノ酸が含まれる。ペプチドの固相合成において直ちに用いるために適当な異なる多くの保護基を有するアミノ酸が市販されている。
【0051】
結合パートナーとして有用なポリヌクレオチドは、一般的な分子クローニングおよび化学核酸合成技術が含まれるがこれらに限定されない標準的な技術によって産生することができる。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を用いることができる。PCRは、標的核酸が酵素的に増幅される技法または技術を指す。対象領域の末端からのまたはそれを超えての配列情報を用いて、増幅される鋳型の反対鎖と配列が同一であるポリヌクレオチドプライマーを設計する。PCRを用いて、総ゲノムDNAまたは総細胞RNAからの配列を含む、DNAと共にRNAからの特異的配列を増幅することができる。プライマーは、典型的に長さが14〜40ヌクレオチドであるが、長さが10ヌクレオチド〜数百ヌクレオチドとなりうる。一般的なPCR技術は、例えば、「PCR Primer : A Laboratory Manual」、Dieffenbach and Dveksler編、Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1995によって記述される。RNAを鋳型源として用いる場合、逆転写酵素を用いて相補的DNA(cDNA)鎖を合成することができる。リガーゼ鎖反応、鎖置換増幅、自立配列複製、または核酸配列に基づく増幅も同様に、単離された核酸を得るために用いることができる。例えば、Lewis Genetic Engineering News, 12(9):1(1992);Guatelliら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:1874〜1878(1990);およびWeiss, Science 254:1292(1991)を参照されたい。
【0052】
本発明のポリヌクレオチドはまた、単一の核酸分子として(例えば、ホスホラミダイト技術を用いる3'から5'方向の自動DNA合成を用いて)、または一連のより小さいポリヌクレオチドとして化学合成することができる。例えば、所望の配列を含む一つまたはそれ以上の対の長いポリヌクレオチド(例えば、ヌクレオチド>100)を合成することができ、それぞれの対はポリヌクレオチド対がアニールされる場合に二本鎖が形成されるように、短い相補性セグメント(例えば、約15ヌクレオチド)を含む。DNAポリメラーゼを用いてポリヌクレオチドを伸長させ、それによって単一の二本鎖ポリヌクレオチドが得られる。
【0053】
本発明のポリヌクレオチドはまた、変異誘発によって得ることができる。例えば、ポリヌクレオチドは、PCRによるポリヌクレオチド特異的変異誘発および部位特異的変異誘発を含む標準的な技術を用いて変異させることができる。「Short Protocols in Molecular Biology」、Chapter 8, Green Publishing Associates and John Wiley & Sons, Ausubelら編、1992を参照されたい。
【0054】
発光金属錯体
結合パートナーは、発光金属錯体を含みうる。発光金属錯体はRETまたはTR-RETアッセイにおけるドナー蛍光体として作用しうる。発光金属錯体は、その励起状態寿命が典型的にナノ秒よりむしろミリ秒または数百マイクロ秒の次数であることから、本発明において有用である。長い励起状態寿命によって、結合パートナー間の分子間相互作用を、バックグラウンド蛍光の崩壊および/または光の散乱による干渉後に検出することができる。
【0055】
発光金属錯体を多様な結合パートナーに共有結合させる方法は当業者に公知であり、例えば、国際公開公報第96/23526号;国際公開公報第01/09188号、国際公開公報第01/08712号、および国際公開公報第03/011115号、ならびに米国特許第5,639,615号、第5,656,433号、第5,622,821号、第5,571,897号、第5,534,622号、第5,220,012号、第5,162,508号、および第4,927,923号を参照されたい。
【0056】
発光金属錯体には、金属リガンド結合部分、一つまたはそれ以上のランタニド金属イオン、および任意でリンカー、スペーサー、および有機アンテナ分子が含まれる。
【0057】
金属リガンド結合部分
金属リガンド結合部分は、一つまたはそれ以上のランタニド金属イオンを配位結合させて金属錯体を形成する。典型的に、金属リガンド結合部分には、一つまたはそれ以上の金属配位部分Xが含まれ、XはO-、OH、NH2、OPO32-、NHR、またはRが脂肪族基であるORのような金属陽イオンを配位結合することができるヘテロ原子電子供与基である。
【0058】
金属リガンド結合部分は、キレート部分またはクリプタンド部分となりうる。ランタニド金属イオンがキレート部分に配位結合される場合、錯体は「金属キレート」と呼ばれる。ランタニド金属がクリプタンド部分に配位結合される場合、錯体は「金属クリプタンド」と呼ばれる。
【0059】
金属キレートは、ランタニドイオンの交換に対して安定でなければならない。金属キレートは好ましくは1010 M-1より大きい形成定数(Kf)を有する。多様な有用なキレート部分が当業者に公知である。キレート部分の典型的な例には、EDTA、DTPA、TTHA、DOTA、NTA、HDTA、DTPP、EDTP、HDTP、NTP、DOTP、DO3A、DOTAGA、およびNOTAが含まれる。
【0060】
いくつかの態様において、発光金属キレートは以下の構造を有しうる:
-Ln-A-Sn-CM
または
-Ln-CM-Sn-A
式中、Aは、有機アンテナ部分を表し;
Lはリンカーを表し;
Sはスペーサーを表し;
nは0または1であってよく;
Cは金属キレート部分を表し;かつ
MはCと配位結合したランタニド金属イオンを表す。
【0061】
発光金属キレートの説明的な例として、図2および3を参照されたい。図3はまた、結合パートナー上でアミン部分(上部構造)またはチオール部分(下部構造)に結合させるために有用な発光金属キレートを示す。
【0062】
クリプタートは、ランタニド陽イオンを三次元有機腔の中に封入することによって形成され、それによって非常に安定な錯体が得られる。多様な有用なクリプタンド部分が当業者に公知である。本発明の方法において有用なクリプタンド部分の例には、トリスビピリジン(TBP、例えばTBPペンタカルボキシレート)およびピリジンビピリジン(例えば、ピリジンビピリジンテトラカルボキシレート)が含まれる。
【0063】
キレート部分およびクリプタンド部分は、当業者に公知の多様な方法によって合成することができ、市販のものを購入してもよい。米国特許第5,639,615号、第5,656,433号、第5,622,821号、第5,571,897号、第5,534,622号、第5,220,012号、第5,162,508号、および第4,927,923号、ならびに国際公開公報第96/23526号および国際公開公報第03/011115号を参照されたい。
【0064】
ランタニド金属イオン
金属リガンド結合部分は、一つまたはそれ以上のランタニド金属イオンを配位結合して金属錯体を形成する。ランタニド金属イオンは、その特殊な電子配置が光学的に活性な電子を遮蔽して、それによって特徴的な線形放射が得られることから有用である。金属イオンの電子遷移は量子力学的法則によって禁じられていることから、これらのイオンの放射寿命は典型的に長い(マイクロ秒からミリ秒)。
【0065】
有用なランタニド金属イオンには、Sm(III)、Ru(III)、Eu(III)、Gd(III)、Tb(III)およびDy(III)が含まれる。金属イオンをキレートまたはクリプタンド部分に錯体形成させる方法は、当業者に公知であり、例えば国際公開公報第96/23526号および国際公開公報第03/011115号を参照されたい。
【0066】
有機アンテナ部分
発光金属錯体には任意で、有機アンテナ部分が含まれうる。有機アンテナ部分は典型的に、それが光を吸収できるように共役電子構造を有する。吸収された光は、アンテナ部分の一重項から三重項励起状態への分子内非放射プロセスによって転移され、その後三重状態からランタニドイオンの放射レベルへと転移し、特徴的に寿命の長い発光を放射する。図2および4を参照されたい。いくつかの金属リガンド結合部分は、有機アンテナ部分を含めることなく光を吸収できることに注意しなければならない。例えば、トリビピリジンペンタカルボキシレートのような共役有機分子を含む特定のクリプタンド部分は、別個の有機アンテナ部分を含める必要がない。
【0067】
いくつかの態様において、有機アンテナ部分は多核複素環芳香族化合物となりうる。多核複素環芳香族化合物は二つまたはそれ以上の融合環を有しうる。有用な有機アンテナ部分の例には、ローダミン560、フルオレセイン575、フルオレセイン590、2-キノロン、4-キノロン、4-トリフルオロメチルクマリン(TFC)、7-ジエチル-アミノ-クマリン-3-カルボヒドラジド、7-アミノ-4-メチル-2-クマリン(カルボスチリル124、CS124)、7-アミノ-4-メチル-2-クマリン(クマリン120)、7-アミノ-4-トリフルオロメチル-2-クマリン(クマリン124)、およびアミノメチルトリメチルソラレンが含まれる。図2および3を参照されたい。
【0068】
有機アンテナ部分として有用な化合物は、当業者に公知の方法によって合成することができる、または販売元から購入することができる。米国特許第5,639,615号、第5,656,433号、第5,622,821号、第5,571,897号、第5,534,622号、第5,220,012号、第5,162,508号、および第4,927,923号を参照されたい。
【0069】
リンカー、スペーサー
リンカーおよびスペーサーは、任意で発光金属錯体に含めることができる。リンカー(L)は、第一または第二の結合パートナーに発光金属錯体を結合させるように機能する。いくつかの態様において、Lは、金属リガンド結合部分上の酢酸塩、アミン、アミド、カルボキシレート、またはメチレン官能基を第一または第二の結合パートナーに結合させることができる。
【0070】
当業者は、結合パートナー上の、アミン、アセテート、チオール、アルコール、エーテル、エステル、ケトン、およびカルボキシレートが含まれるがこれらに限定されない多数の官能基と反応するようにLsをデザインすることができる。結合パートナーがポリペプチドである態様において、Lは、アミド部分として、N-末端、C-末端、またはN-末端とC-末端の双方をキャップすることができる。他の例としてのキャッピング部分には、スルホンアミド、ウレア、チオウレア、およびカルバメートが含まれる。Lsにはまた、直線状、分枝状、または環状アルカン、アルケン、またはアルキン、およびホスホジエステル部分が含まれうる。Lは、ケトン、エステル、アミド、エーテル、カーボネート、スルホンアミド、またはカルバメート官能基を含む一つまたはそれ以上の官能基によって置換してもよい。企図される特定のLsには、NH-CO-NH-;nが1〜10である-CO-(CH2)n-NH-;-NH-Ph-;nが1〜10である-NH(CH2)n-;-CO-NH-;nが1〜10である-(CH2)n-NH-;nが1〜10である-CO-(CH2)n-NH-;および-CS-NH-が含まれる。Lsおよびそれらを金属錯体、特にポリペプチドに結合した金属錯体に組み入れるための合成方法論のさらなる例は、国際公開公報第01/09188号、国際公開公報第01/08712号、および国際公開公報第03/011115号に記載されている。
【0071】
スペーサー(S)は、有機アンテナ部分を金属リガンド結合部分に結合させることができる。いくつかの態様において、Sは、金属リガンド結合部分上のアセテート、アミン、またはメチレン官能基を有機アンテナ部分に結合させることができる。当業者は、有機アンテナ部分上および金属リガンド結合部分上で、アミン、アセテート、チオール、アルコール、エーテル、エステル、ケトン、およびカルボキシレートが含まれるがこれらに限定されない多数の官能基と反応するように、Ssをデザインすることができる。Ssにはまた、直線状、分枝状、または環状のアルカン、アルケン、またはアルキン、およびホスホジエステル部分が含まれうる。Sは、ケトン、エステル、アミド、エーテル、カーボネート、スルホンアミド、またはカルバメート官能基を含む一つまたはそれ以上の官能基によって置換してもよい。企図される特定のSsには、NH-CO-NH-;nが1〜10である-CO-(CH2)n-NH;-NH-Ph-;nが1〜10である-NH(CH2)n-;-CO-NH-;nが1〜10である-(CH2)n-NH-;nが1〜10である-CO-(CH2)n-NH-;および-CS-NH-が含まれる。
【0072】
蛍光アクセプター部分
結合パートナーには蛍光アクセプター部分が含まれうる。蛍光アクセプター部分は、RETまたはTR-RETに基づくアッセイにおいてアクセプターとして作用することができる、および/またはFP-に基づくアッセイにおいて蛍光放射の偏光が測定される蛍光体となりうる。
【0073】
一般的に、蛍光アクセプター部分は、良好な量子効率および大きい吸光係数を示さなければならない;衝突による消光および脱色に対して耐性でなければならない;ならびに当業者に公知の方法によって多様な第一および第二の結合パートナーに容易に結合されなければならない。適した蛍光体には、フルオレセイン、ローダミン、FITCs(例えば、フルオレセイン-5-イソチオシアネート)、5-FAM、6-FAM、5,6-FAM、7-ヒドロキシクマリン-3-カルボキサミド、6-クロロ-7-ヒドロキシクマリン-3-カルボキサミド、ジクロロトリアジニルアミノフルオレセイン、テトラメチルローダミン-5-イソチオシアネート、テトラメチルローダミン-6-イソチオシアネート、5-カルボキシフルオレセインのスクシニミジルエステル、6-カルボキシフルオレセインのスクシニミジルエステル、5-カルボキシテトラメチルローダミン、6-カルボキシメチルローダミン、および7-アミノ-4-メチルクマリン-3-酢酸が含まれるがこれらに限定されない。他の適した蛍光体には、Cyファミリーの蛍光体(Cy3、Cy3B、Cy3.5、Cy5;Amersham Biosciences、Piscataway, NJから入手可能)、Alexa Fluorファミリー(Molecular Probes, Eugene, ORから入手可能);BODIPYファミリー(Molecular Probes, Eugene, ORから入手可能);カルボピロニン;スクアリン;シアニン/インドシアニン;ベンゾピリリウム複素環;およびアミド架橋ベンゾピリリウムが含まれる。
【0074】
蛍光タンパク質および変異体も同様に蛍光アクセプター部分として用いることができる。例には、ファイアフライ、細菌、またはコメツキムシのルシフェラーゼ、アエコリン、および他の発光タンパク質(例えば、1989年6月22日にThompsonらに交付された米国特許第5,221,623号、1997年11月4日にCampbellに交付された米国特許第5,683,888号;1997年9月7日にDeLucaらに交付された第5,674,713号;1997年7月22日にWoodに交付された第5,650,289号;および1998年12月1日にTatsumiらに交付された第5,843,746号に記述されるように)が含まれる。GFPおよびGFP変異体は、Tb(III)-含有金属錯体を用いた応用において特に有用である。天然のGFPと比較して異なるスペクトル特性、改善された輝度、および哺乳類細胞における発現および襞形成の増強を有するアエコリア・ビクトリア(Aequorea victoria)からのGFPの多様な変異体が作製されている(例えば、米国特許第6,410,255号の表7および同様に「Green Fluorescent Proteins」、第2章、19〜47頁、Sullivan and Kay編、Academic Press;1997年4月29日にTsienらに交付された米国特許第5,625,048号;1998年7月7日にTsienらに交付された第5,777,079号;および1998年9月8日にCormackらに交付された米国特許第5,804,387号を参照されたい)。
【0075】
多重アッセイにおいて用いられる蛍光アクセプター部分は、RET/TR-RET応用およびFP応用の双方にとって有用である特徴を示さなければならない。例えば、FPアッセイに関して、蛍光体は好ましくは少なくとも1ナノ秒、または少なくとも2ナノ秒の蛍光励起状態寿命を示す。TR-RET応用の場合、蛍光体の吸収スペクトルの領域は、発光金属キレートの放射スペクトル領域とオーバーラップしなければならないが、蛍光体の放射スペクトル領域は、発光金属キレートの放射スペクトル領域と実質的にオーバーラップしてはならない。例えば、図5は、有機アンテナ-Tb(III)キレート含有金属錯体の放射スペクトルの、フルオレセインおよびローダミンの吸収スペクトルとのオーバーラップを示す。図5はまた、有機アンテナ-Tb(III)キレート含有金属錯体の放射スペクトルの領域がフルオレセインおよびローダミンの放射スペクトルとオーバーラップしないことを示している。同様に図6〜7を参照されたい。
【0076】
Tb(III)-含有発光金属錯体を用いるTR-RETアッセイにおける適したアクセプター蛍光体の例には、フルオレセイン(およびその誘導体);ローダミン(およびその誘導体);Alexa Fluors 488、500、514、532、546、555、568(Molecular Probesから入手可能);BODIPYs FL、R6G、およびTMR(Molecular Probesから入手可能);Cy3およびCy3B(Amersham Biosciencesから入手可能);およびIC3(Dojindo Molecular Technologies, Gaithersburg, MDから入手可能)が含まれる。Eu(III)含有発光金属錯体を用いたTR-RETアッセイにおける適したアクセプター蛍光体の例には、Alexa Fluors 594、610、633、647、および660(Molecular Probesから入手可能);BODIPYs TR、630/650、および650/665(Molecular Probesから入手可能);Cy5(Amersham Biosciencesから入手可能);およびIC5(Dojindo Molecular Technologiesから入手可能)が含まれる。
【0077】
本発明において用いるために適した蛍光体は、例えばMolecular Probes(Eugene, OR)、Attotec(Germany)、Amersham、およびBiosearch Technologies(Novato, CA)から入手可能である。蛍光体を多様な結合パートナーに組み入れる方法は当業者に公知である。例えば米国特許第6,410,255号を参照されたい。
【0078】
方法およびアッセイ
本発明の方法は、FPまたはRET(TR-RETを含む)に基づく発光または蛍光アッセイが、多重アッセイに容易に変換され、それによって多重発光モードで検出することができるという知見に基づいている。例えば、一つの結合パートナーのFPにおける変化の測定に基づくアッセイは、一つの結合パートナー上で適当な発光金属錯体および他の結合パートナー上で蛍光アクセプター部分を組み入れることによってTR-RETアッセイに容易に変換することができる。いくつかの態様において、FP測定にとって有用な蛍光アクセプター部分を含む結合パートナーは、上記のように他の結合パートナー上に含めるために適した発光金属錯体が選択される限り、改変する必要はない。本明細書に記述の如何なる方法も均一または不均一となりうる。
【0079】
蛍光偏光
本発明の方法は、第一および第二の結合パートナー複合体の形成または崩壊の際の蛍光偏光の変化を利用するものである。偏光の測定は、その蛍光体の励起状態寿命と比較した蛍光体の相対的回転運動に基づく。希釈溶液における球体の分子の場合、偏光(p)と回転運動の程度の関係は容易に導出することができる(Weber, 「Polarization of the fluorescence of solutions, in Fluorescence and Phosphorescence Analysis.」、Don Hercules(編)、Interscience Publishers, New York, Chapter 8, page 217〜240(1966)を参照されたい)。回転運動は、分子の回転拡散定数に関連し、したがって分子容積に関係しうる。たとえ結合している場合でも、分子の構造的自由度による影響を予想することは困難であるが、実際に、分子の大きさと蛍光体からの放射光の相対的偏光とのあいだに密接な相関を認めることが多い。図8の、異なるフルオロフォアの寿命ならびに第一および第二の結合パートナーの複合体の分子量に対する、予想偏光値のグラフを参照されたい。
【0080】
試料の蛍光偏光の変化は、第一および第二の結合パートナー(その一つが蛍光アクセプター部分を含む)の複合体が形成または破壊されるいずれかの場合に起こりうる。複合体の形成または破壊によって、試料の蛍光偏光測定値の約10%〜約10,000%の増加または減少が起こりうる。好ましくは、蛍光偏光測定値の変化は約30 mP〜約450 mPである。
【0081】
偏光に基づくアッセイは比較的セットアップが容易であり、広い濃度、温度、およびイオン強度範囲にわたって得ることができる。例えば米国特許第6,511,815号および第5,445,935号を参照されたい。
【0082】
RETおよびTR-RET
本発明の方法はまた、発光金属キレートと蛍光アクセプター部分との共鳴エネルギー転移(RET)を利用する。ドナー発光金属キレートは適当な波長および強度の光(例えば、ドナーアンテナ部分の励起スペクトル内)によって、およびアクセプター蛍光体の直接励起が最小限である条件で励起される。次に、ドナー発光キレートは、吸収されたエネルギーを非放射線手段によってアクセプター蛍光部分に転移させ、その後吸収されたエネルギーの一部を一つまたはそれ以上の特徴的な波長での蛍光放射として再放射する。TR-RET応用において、再放射された放射線は、マイクロタイタープレートにおいて用いられるプラスチックによって引き起こされる場合のように、バックグラウンドの蛍光、光の散乱、または他の発光を崩壊させるために、適した時間の遅れ、例えば25、50、75、100、150、200、または300マイクロ秒後になって初めて測定される。
【0083】
いくつかのRET応用において、第一の結合パートナーは、発光金属錯体または蛍光アクセプター部分を含みえて、第二の結合パートナーは他方を含む。例えば、抗体の第一の結合パートナーは、Tb(III)-キレート-有機アンテナ部分(発光金属キレート)によって標識することができ、それに対して抗体が特異的であるポリペプチドを、フルオレセイン(蛍光アクセプター部分)によって標識することができる。この場合、抗体およびポリペプチドによって形成された複合体の破壊(例えば、二つのあいだの結合に影響を及ぼす化合物によって)によって、抗体上の発光金属キレートとポリペプチド上の蛍光アクセプター部分とのあいだのエネルギー転移に変化が起こり、これを用いて第一と第二の結合パートナーとの結合をモニターおよび測定してもよい。第一の結合パートナーに対する第二の結合パートナー(またはトレーサー)の結合に影響を及ぼす化合物は、例えば、被験化合物、酵素産物(例えば、それに対して第一の結合パートナーが特異性を有する)、または酵素基質(例えば、それに対して第一の結合パートナーが特異性を有する)となりうる。
【0084】
他のRET態様において、第一の結合パートナーに対する第二の結合パートナー(またはトレーサー)の結合に影響を及ぼす化合物は、発光金属キレートまたは蛍光アクセプター部分を含みえて、第一の結合パートナーは他方を含む。これらの態様において、第一の結合パートナーと第二の結合パートナーとのあいだに形成された複合体が、結合に影響を及ぼす標識化合物によって破壊されると、RETの増加が起こりうる。
【0085】
RETは、ドナー発光金属錯体からの発光シグナルの強度の減少および/またはアクセプター蛍光部分からの蛍光放射の増加として表れうる。例えば、ドナー発光金属錯体を有する抗体と、アクセプター蛍光部分を有するポリペプチドとの複合体が、例えば非標識ポリペプチドのようなポリペプチドの競合物質によって破壊されると、ドナー発光金属錯体およびアクセプター蛍光部分は物理的に解離して、RETは減少または消失する。これらの状況において、ドナー発光金属錯体からの発光の放射は増加して、アクセプター蛍光部分からの蛍光の放射は減少する。したがって、アクセプター蛍光部分と比較してドナー発光金属錯体に特徴的な波長(例えば、最大放射)で放射の程度の比は、RET条件(例えば、ドナー発光金属錯体の放射がアクセプターによって消失する場合)での同じ比と比較して増加するはずである。
【0086】
RETの効率は、ドナー発光金属錯体とアクセプター蛍光部分の分離距離および方向、ドナー金属イオンの発光量子収率、アクセプター蛍光部分のスペクトルオーバーラップ、ならびにドナーの放射スペクトルとオーバーラップする波長におけるアクセプターフルオロフォアの吸光係数に依存する。Forsterは以下の関係を導出した:
E=(F0-F)/F0=Ro6/(R6+Ro6)
式中、EはRETの効率であり、FおよびF0はそれぞれ、アクセプターの存在下および非存在下でのドナーの蛍光強度であり、Rはドナーとアクセプターの距離である。Roは、エネルギー転移効率が最大の50%である距離であり、以下によって表される(Åで):
Ro=9.79x103(K2QJn-4)1/6
式中、K2は、自由に移動するドナーおよびアクセプターに関して0.67に近い平均値を有する方向因子であり、Qは、消光していない蛍光ドナーの量子収率、nは介在媒体の屈折率、およびJはオーバーラップの積分であり、これはスペクトルオーバーラップの程度を定量項で表す。RETが50%有効である特徴的な距離Roは、ドナーの量子効率、アクセプターの吸光係数、ドナーの放射スペクトルとアクセプターの励起スペクトルとのオーバーラップ、および二つの蛍光体の方向因子に依存する。
【0087】
RETの程度の変化は、「比決定」と呼ばれるプロセスである、ドナーおよびアクセプター部分からの発光量の比の変化の関数として決定することができる。比を計算することによって、アッセイは例えば、基質濃度のウェル間の変動、光褪色、および励起強度に対する感受性が低くなり、このようにアッセイをより強固にすることができる。これは、得られたデータの質がその後の分析および解釈にとって重要である自動スクリーニング応用において特に重要である。例えばUS6,410,255;4,822,733;5,527,684;および6,352,672を参照されたい。
【0088】
例えば、方法のいくつかの態様において、異なる二つの波長での発光放射の比が被験試料および対照試料で比較される、比測定分析を行う。典型的なTR-RETに基づくアッセイにおいて、二つの波長は発光金属錯体と蛍光アクセプター部分の最大放射に対応しうる。いくつかの態様において、対照試料の放射比は、被験試料の放射比より約1.5、2、3、4、5、7、10、15、20、25、30、40、50、または100倍大きいまたは小さいであろう。
【0089】
結合パートナー間の結合に及ぼす被験化合物の効果を測定する方法
本発明の方法を用いて、第一の結合パートナーと第二の結合パートナーとの結合に及ぼす被験化合物の効果を測定することができる。例えば、本発明の方法を用いて、第一もしくは第二の結合パートナーに対する競合的結合物質を同定してもよく、またはその結果そのパートナーの結合に影響を及ぼすために第一もしくは第二の結合パートナーに物理的(またはアロステリックに)もしくは化学的に影響を及ぼす化合物を同定してもよい。したがって、タンパク質-タンパク質相互作用、タンパク質-リガンド相互作用、タンパク質-DNA相互作用、およびポリヌクレオチドハイブリダイゼーションのような結合パートナー相互作用に対する被験化合物の効果を同定するアッセイは、本発明の方法を用いて設計してもよい。
【0090】
一つの方法において、第一の結合パートナー、第二の結合パートナー、および被験化合物を接触させて、被験試料を形成する。いくつかの態様において、結合パートナーの一つは発光金属錯体を含み、他のパートナーは蛍光アクセプター部分を含む。図1を参照されたい。既に記述したように、第一および第二の結合パートナーは、互いに結合して複合体を形成することができる。被験試料を適当な波長(例えば、蛍光アクセプター部分の吸収バンドにおける波長)で偏光に曝露して、被験試料からの蛍光放射の偏光を測定する。いくつかの態様において、被験試料をまた、典型的に波長250 nm〜750 nmの光(例えば、発光金属錯体の吸収バンドにおける波長)に露出して、被験試料からの蛍光放射を測定する。蛍光放射は、先に示した適した時間の遅れの後測定してもよく、それによって時間分解型の蛍光放射測定値が得られる。
【0091】
被験試料を偏光および光(例えば、波長250 nm〜750 nmの範囲を有する)に露出する態様において、偏光に対する露出および偏光の測定は、光に対する露出および被験試料からの蛍光放射の測定の前、後、または同時に行ってもよい。例えば、偏光に対する露出および偏光の測定は、光に対する露出および被験試料からの蛍光放射の測定の5秒、10秒、20秒、30秒、1分、2分、5分、10分、1時間、5時間、または24時間前または後に行ってもよい。
【0092】
他の態様において、先に説明したように、被験化合物は発光金属錯体または蛍光アクセプター部分の一方を含みえて、第一の結合パートナーは他方を含みうる。例えば、第一の結合パートナー受容体を発光金属キレートによって標識し、第一の結合パートナー受容体の試験リガンドを蛍光アクセプター部分によって標識することができる。第一の結合パートナー受容体と非標識第二の結合パートナー(例えば、受容体のリガンド)とのあいだに形成された複合体が標識試験リガンドによって破壊されると、RETおよび/またはFPの増加が起こりうる。
【0093】
被験化合物は、被験試料の蛍光偏光測定値または蛍光放射測定値、またはその双方が被験化合物を含まない対照試料の蛍光偏光測定値または蛍光放射測定値とは異なる場合に、第一と第二の結合パートナーとの結合に影響を及ぼすと同定される。一般的に、対照試料と比較して一つまたは双方の測定に統計学的に有意な差が存在しなければならない。当業者は、差が統計学的に有意であるか否かが測定のタイプおよび実験条件に依存することを認識するであろう。測定を比較する場合、統計学的に有意な差は、被験化合物がさらなる試験を必要とする可能性があることを示すと理解される。典型的に、差は、適当なパラメトリックまたはノンパラメトリック統計によって、例えばカイ二乗試験、スチューデントt検定、マン-ホイトニー検定、またはF-検定によってp<0.05で統計学的に有意であると見なされる。いくつかの態様において、差はp<0.01、p<0.005、またはp<0.001で統計学的に有意である。
【0094】
酵素活性の調節物質を同定する方法
本発明の方法はまた、酵素活性の調節物質を同定するために用いることができる。これらの態様において、第一の結合パートナーは酵素活性の基質または産物のいずれかに対する特異性に基づいて選択される。例えば、非改変チロシンと比較してリン酸化チロシンに対して特異性を有する抗体は、チロシンキナーゼ活性の産物に対して特異性を有する第一の結合パートナーとなりうる。次に、トレーサーは、酵素活性の基質または産物に対する第一の結合パートナーの特異性に部分的に基づいて選択される。例えば、トレーサーには、抗体の第一の結合パートナーによって認識されると思われるエピトープ、またはポリペプチドの第一の結合パートナーによって認識される認識部位もしくは化学構造が含まれうる。他の態様において、トレーサーは、第一の結合パートナーの抗体を産生するために動物を免疫するために用いられる抗原と同じ化学構造を有しうる。典型的に、第一の結合パートナーは、例えば、それに対して産物または基質に対する第一の結合パートナーのKdの約0.001〜1000倍、0.01〜100倍、または0.1〜10倍の特異性を有する酵素産物または基質に対して、類似のKdでトレーサーに結合するであろう。
【0095】
トレーサーは、標識してもよく(例えば、発光金属錯体または蛍光アクセプター部分を含んでもよく;本明細書において「発光トレーサー」と呼ばれる)、またはトレーサーは非標識であってもよい。例えば、第一の結合パートナーが、チロシンキナーゼ活性の産物であるリン酸化チロシンに対して特異性を有する抗体である場合、抗体が発光トレーサーに結合するように、抗体(この場合、リン酸化チロシン)によって認識されるエピトープ(またはエピトープ模倣体)を含む発光トレーサーを選択することができる。蛍光アクセプター部分または発光金属錯体をトレーサー上に含めても、トレーサーに関する第一の結合パートナーのKdに実質的に影響を及ぼしてはならない。
【0096】
アッセイは、酵素活性の産物または基質に対して特異性を有する第一の結合パートナーの選択に基づいていることから、キナーゼ活性、ホスファターゼ活性、グルクロニダーゼ活性、プレニル化、グリコシル化、メチル化、脱メチル化、アシル化、アセチル化、ユビキチン化、硫酸化、タンパク質分解、ヌクレアーゼ活性、核酸ポリメラーゼ活性、核酸逆転写酵素活性、ヌクレオチジルトランスフェラーゼ活性、ポリヌクレオチド転写活性、およびポリヌクレオチド翻訳活性が含まれるがこれらに限定されない広く多様な酵素活性がプロービングされる可能性がある。
【0097】
方法において、酵素の酵素活性が基質から産物を形成するために有効な条件で、酵素を酵素の基質に接触させる。当業者は、酵素活性にとって有効な条件が、酵素、酵素活性、および選択される基質によって変化することを認識するであろう。キナーゼ反応に関して、ATPが一般的に含まれる。接触段階のインキュベーション条件は例えば、酵素濃度、基質濃度、温度、および期間によって変化しうる。インキュベーション温度条件は典型的に約15〜約40℃であってよく;いくつかの態様において、温度はほぼ室温、例えば約20〜25℃であってもよい。
【0098】
接触段階は、酵素活性の潜在的調節物質の存在下で行われる。いくつかの態様において、酵素、基質、および潜在的調節物質混合物を、上記のように第一の結合パートナーおよび発光トレーサーに接触させて、被験試料を形成する。既に示したように、これらの態様において、第一の結合パートナーまたは発光トレーサーの一方に発光金属錯体が含まれ、他方には蛍光アクセプター部分が含まれる。
【0099】
他の態様において、酵素、基質、および潜在的調節物質混合物を第一の結合パートナーおよびトレーサーに接触させて、被験試料を形成する。これらの態様において、第一の結合パートナーまたは基質の一方に発光金属錯体が含まれ、他方には蛍光アクセプター部分が含まれる。そのような場合、酵素活性によって、標識基質の標識産物への変換が起こりうる。蛍光アクセプター部分または発光金属錯体を基質上に含めても、酵素の標識基質からの産物の形成能に実質的な影響を及ぼしてはならない。さらに、蛍光アクセプター部分または発光金属錯体を基質(または産物)上に含めても、それに対して特異性を有する基質(または産物)に関する第一の結合パートナーのKdに実質的に影響を及ぼしてはならない。
【0100】
被験試料を適当な波長(例えば、蛍光アクセプター部分の吸収バンドにおける波長で)の偏光に曝露して、被験試料からの蛍光放射の偏光を測定する。いくつかの態様において、被験試料をまた、典型的に波長250 nm〜750 nmの範囲の光(例えば、発光金属錯体の吸収バンドにおける波長)に露出して、被験試料からの蛍光放射を測定する。蛍光の放射は、先に示したように適した時間の遅れの後に測定してもよく、それによって時間分解型蛍光放射測定値が得られる。既に示したように、偏光への露出および偏光の測定は、光への露出および被験試料からの蛍光放射の測定の前、後、または同時に行ってもよい。
【0101】
先に記述したように、いくつかの実験において、トレーサーは、例えば第一の結合パートナーが発光金属錯体によって標識され、基質が蛍光アクセプター部分によって標識されている態様において、非標識であってもよい。非標識トレーサーと標識された第一の結合パートナーとのあいだに形成された複合体が、非標識トレーサーと第一の結合パートナーとの結合に影響を及ぼす適当な標識化合物(例えば、標識された基質、標識産物、標識被験化合物)によって破壊されると、RET、FP、または双方の増加または減少が起こりうる。
【0102】
潜在的調節物質は、被験試料の蛍光偏光測定値、蛍光放射測定値、またはその双方が、潜在的調節物質を含まない対照試料の蛍光偏光測定値または蛍光放射測定値とは異なる場合に、酵素活性の調節物質であると同定される。先に示したように、対照試料と比較して統計学的有意差が存在しなければならない。当業者は、差が統計学的に有意であるか否かは、測定のタイプおよび実験条件に依存することを認識するであろう。測定を比較する場合、統計学的に有意な差は、被験化合物がさらなる試験を必要とする可能性があることを示すと理解される。典型的に、差は、適当なパラメトリックまたはノンパラメトリック統計によって、例えばカイ二乗試験、スチューデントt検定、マン-ホイトニー検定、またはF-検定によってp<0.05で統計学的に有意であると見なされる。いくつかの態様において、差はp<0.01、p<0.005、またはp<0.001で統計学的に有意である。
【0103】
本発明の如何なる方法も、ハイスループットまたはウルトラハイスループットで行われるように改変することができる。例えば、酵素活性の調節物質を同定する方法は、複数の基質を独立して特定の酵素および潜在的調節物質に接触させて、複数の酵素混合物を形成するように改変してもよい。次に、それぞれの酵素混合物を適当な第一の結合パートナーおよび発光トレーサーに接触させて、被験試料を形成し、励起(例えば直線偏光に対する露出および光に対する露出)および測定(偏光および蛍光の放射の測定)段階は既に記述されたとおりである。当業者は、そのようなハイスループット法がマルチウェルプレートまたは2-Dアレイパネルフォーマットに対して特に受け入れられることを認識するであろう。マルチウェルプレートをインキュベートおよびモニターする装置は、当技術分野で公知である。
【0104】
本発明の発明のダイナミックレンジ、質、および強固さは、統計学的に評価することができる。例えば、Z'因子はアッセイシグナルダイナミックレンジと、シグナル測定に関連した変動の双方を反映するように設計された統計値である。シグナル対ノイズ(S/N)またはシグナル対バックグラウンド(S/B)比は、試料における変動、バックグラウンド測定、およびシグナルのダイナミックレンジを考慮に入れておらず、これらのみではこの点において不十分である。Z'因子は、これらの要因を考慮に入れて、しかも無次元であるために、類似のアッセイを比較するために用いることができる。典型的に、本発明のアッセイは、0.5より大きい、または0.5に等しいZ'因子を生じる。Z'因子を決定するための方法は、当業者に公知である。Z'因子は、方法のダイナミックレンジを評価することにより決定されうる。
【0105】
製品および装置
本発明はまた、記述の本発明を実施するために有用なキットのような製品および装置を提供する。典型的に、キットには、容器のような包装材料、ならびに第一および/または第二の結合パートナーとして有用な一つまたはそれ以上の組成物が含まれる。いくつかの態様において、キットには、以下の一つまたはそれ以上が含まれうる:マルチウェルプレート、一つまたはそれ以上の酵素、緩衝液、およびキットの使用説明書。
【0106】
装置には一般的に、試料チャンバ、試料チャンバを照明するために直線偏光を産生する手段、および試料チャンバに波長250 nm〜750 nmの光を照明する手段が含まれるであろう。さらに、装置には、試料チャンバから放射された偏光を検出する手段、および試料チャンバから放射された光(例えば、蛍光)を検出する手段が含まれるであろう。いくつかの態様において、検出手段はいずれも、偏光および放射された光(例えば、蛍光)を同時に検出する。
【0107】
実施例
実施例1-発光金属キレートによる抗体の標識
リン酸化チロシンを含むアミノ酸配列(例えば、タンパク質チロシンキナーゼ(PTKs)によってリン酸化された配列)に選択的に結合する抗体である精製PY72(抗ホスホチロシン)IgG抗体1 mgを、12〜14,000 MWCO透析メンブレンを用いて、100 mM重炭酸ナトリウム緩衝液、pH 9.5において1.5時間透析した。[PY72ハイブリドーマ細胞は、Salk Instituteから得た;免疫原はKLHに結合させたホスホチロシンであった。Harlan Bioproducts for Science, Indianapolis, INによって腹水を産生した。腹水はプロテインGカラム(Pierce)によって精製した。精製抗体も同様に、Covance, Berkeley, CA(パーツ番号MMS414P)から入手する。次に、抗体を透析メンブレンから除去して、Centricon YM50(Millipore)濃縮器を用いて48.8 μM(7.3 mg/ml)に濃縮した。この抗体溶液100 μlを、100 mM重炭酸ナトリウム緩衝液、pH 9.5において、10 mMリン酸フェニルおよび660 μMカルボスチリル124-ジエチレントリアミン五酢酸-フェニルアラニンイソチオシアネート*Tb(III)(CS124-DTPA-Phe-NCS*Tb、図3を参照されたい)(最終濃度)からなる標識反応物において5 mg/ml(33.4μM)に希釈した。反応物を、30分毎に軽く攪拌しながら室温で4時間インキュベートした後、トリス緩衝生理食塩液(TBS)に対して毎回1.5時間2回透析して、未反応および/または加水分解したキレートを除去した。抗体に結合したキレートの量は、343 nm(E340=11,440 M-1cm-1)でのCS124部分の吸光度によって定量し、抗体の量を280 mnでの吸光度(E280=210,000 M-1cm-1)によって定量して、280 nmでのCS124の吸光度(343 nmでの吸光度の1.1倍)に関して補正した。これらの測定から、反応は、抗体あたり平均でキレート5.8個によって標識された抗体を産生することが決定された。
【0108】
リン酸化セリンに対して特異性を有するモノクローナル抗体(抗pSer、リン酸化セリンはセリン/トレオニンキナーゼ活性の産物である)も同様に、上記のように調製して、発光金属キレートによって標識した。
【0109】
実施例2-タンパク質チロシンキナーゼ産物トレーサー(PTKトレーサー)と抗PTK産物(PY72)抗体との結合曲線実験
標識抗体の連続希釈液(2倍希釈で10 nM〜9.8 pM)を、1 nM蛍光アクセプター標識トレーサー(PTK標識トレーサー;配列F-ADE(pY)LIPQQS、Fはフルオレセインであって、pYはリン酸化チロシン、配列番号:1である;トレーサーはタンパク質チロシンキナーゼ(PTK)基質のリン酸化チロシン誘導体であることに注意)と共にFP希釈緩衝液(Pan Vera, Madison WI、パーツ番号P2839)においてインキュベートすることによって、直接結合曲線(蛍光アクセプター標識トレーサーに対する発光金属キレート標識PY72抗体の結合を示す)を作製した。30分間インキュベートした後、プレートにおける各組成物の蛍光偏光を、485 nm励起フィルター(帯域20 nm)および535 nm放射フィルター(帯域25 nm)を用いてTecan Ultraプレートリーダーにおいて読み取った。ウェルあたり10回の閃光および積分時間40 μsを用いてデータを収集した。抗体は、1 nMよりわずかに大きいEC50によってトレーサーに結合することが認められた。図9を参照されたい。
【0110】
発光金属キレート標識抗pSer抗体および蛍光アクセプター標識トレーサー(STK標識トレーサー、配列F-GRPRTS(pS)FAEG、式中Fはフルオレセインであって、pSはリン酸化セリン、配列番号:2である;トレーサーはS/Tキナーゼ(STK)基質のリン酸化セリン誘導体であることに注意されたい)に関して類似の結合曲線を行った。
【0111】
実施例3-標識キナーゼ産物トレーサーと非標識キナーゼ産物との競合曲線
抗体-トレーサー相互作用の破壊を、同じ試料からの蛍光偏光および時間分解型RETの双方によってモニターできることを示す競合曲線は、上記のように、10 nM Tb-キレート標識PY72抗体および1 nM標識PTK標識トレーサーの存在下で非標識ホスホチロシン含有ペプチド競合物質(ADE(pY)LIPQQS、式中pYはリン酸化チロシン、配列番号:3である)の連続希釈液をインキュベートすることによって行った。30分間インキュベートした後、プレートをTecan Ultraプレートリーダーにおいて読み取った。蛍光偏光は、485 nm励起フィルター(帯域20 nm)および535 nm放射フィルター(帯域25 nm)を用いて測定した。時間分解型RETは、340 nm励起フィルター(帯域35 nm)ならびに495 nm(帯域10 nm)および520 nm(帯域25 nm)フィルターを用いて、ウェルあたり閃光10回で100 μsの閃光後の遅れで積分ウィンドウ200 μsを用いて測定した。時間分解型RET値(比)は520 nmのシグナルを495 nmのシグナルによって除することによって計算した。TR-RETまたはFPによって生成された曲線の形状はほぼオーバーラップ合うように思われ、ホスホペプチド(キナーゼ反応によって産生されたような)の存在が、FPまたはTR-RETまたはその双方を用いて検出および定量されうることを示している。図10を参照されたい。
【0112】
実施例4-多重モードFPおよびTR-RET測定を用いたキナーゼ活性の調節物質としての被験化合物のスクリーニング
SRCタンパク質チロシンキナーゼ(PTK)酵素ファミリーに属するLyn Bキナーゼの阻害剤を同定するために、化学ライブラリスクリーニングを行った。キナーゼ反応は、10 μM Prestwickライブラリ化合物(被験化合物、Prestwick Chemical, Inc., Washington, DCから入手可能なPrestwickライブラリ)の存在下で20 mM HEPES、pH 7.5、5 mM MgCl2、150 nMポリ(Gly:Tyr、4:1)タンパク質チロシンキナーゼ基質、および10 μM ATPにおいて、Lyn Bキナーゼ1 ng/反応を用いて行った。キナーゼ反応を室温で1時間進行させた後、100 mM EDTAを全量40 μlにおいて最終濃度5 mMとなるように加えて反応を停止させた。ホスホペプチド産物の有無を検出するために、20 nM Tb-キレート標識PY72抗体および10 nM PTK標識トレーサーを含む溶液10 μlを各ウェルに加えて、さらに30分間インキュベートした。次に、プレートをTecan Ultraプレートリーダーにおいて、蛍光偏光および時間分解型RET測定モードの双方で読み取った。蛍光偏光は、485 nm励起フィルター(帯域20 nm)および535 nm放射フィルター(帯域25 nm)を用いて測定した。時間分解型RETは、340 nm励起フィルター(帯域35 nm)ならびに495 nm(帯域10 nm)および520 nm(帯域25 nm)フィルターを用いて、ウェルあたり閃光10回で閃光後の遅れ100 μsで積分ウィンドウ200 μsを用いて測定した。時間分解型RET値(比)は、520 nmのシグナルを495 nmのシグナルによって除することによって計算した。キナーゼ阻害剤は高い偏光または520:495 TR-RET比を示すウェルによって同定された。化合物約750個のスクリーニングの結果を図11に示す。
【0113】
実施例5-FPアッセイの多重FP/TR-RETアッセイへの変換
テルビウムキレートは、TR-RETアッセイにおいて、フルオレセインまたはローダミン(およびその誘導体)のような蛍光体に対するドナーとして作用できることから、そしてフルオレセインおよびローダミンはFPアッセイにおいて用いるために優れた特性を有することから、例えば受容体タンパク質または抗体のような結合パートナーを蛍光テルビウムキレートによって標識することによって、二重モードのFP/TR-RET法において読み取ることができるように、FPアッセイを改変することは単純な問題である。多重モード(例えば、FPおよびTR-RETの双方)を用いることによって、データを確認し、疑陽性または疑陰性結果をなくすことができる。さらに、FPモードまたはTR-RETモードのいずれかにおいて問題であるアッセイを、他のモードを用いて強いアッセイに変換してもよい。
【0114】
CREBキナーゼ(セリンキナーゼ)による環状AMP反応エレメント結合タンパク質(CREB)上のSer133のリン酸化を検出するFPアッセイを設計した。アッセイは、リン酸化セリンを含むフルオレセイン標識キナーゼ産物トレーサーの同定を必要とした。さらに、アッセイはトレーサーに結合することができる抗CREB pSer133抗体(Cell Signaling Technologies, Beverly, MA)を必要とした。候補トレーサーペプチド4個を下記のように調製して、抗pSer133抗体に対する結合に関して試験した。トレーサーは、その長さおよびペプチド上の蛍光体の位置が異なる。

【0115】
FPモードで抗体に対する直接結合において調べた場合、トレーサー2個がnM下のKd親和性によって結合することが認められたが、いずれも遊離および結合状態において100 mPより大きい偏光の変化を示さなかった。図12Aを参照されたい。FPアッセイの強さは、部分的に偏光におけるこの差の程度の関数である。30 mPより大きい、50 mPより大きい、または100 mPより大きい偏光の変化が一般的に好ましく、アッセイをTR-RETアッセイに変換する試みを行った。
【0116】
抗pSer133抗体を、CS124-DTPA-Phe-NCS*Tb(上記の実施例1を参照されたい)によって標識して、抗体あたり平均でキレート分子6.2個を有する抗体が得られた。候補トレーサーペプチド4個をこの標識抗体に対して個々に滴定したところ、配列番号:7はnM下の親和性で結合することが認められ、遊離型と結合型のあいだでTR-RET値は32倍変化した。図12Bを参照されたい。
【0117】
実施例6-TR-RETアッセイのZ'因子を示すPKA酵素滴定
PKA(セリンキナーゼ)を384ウェルプレートの24ウェルにおいて連続希釈して、10 mM MgCl2、50 μM NaVO4、および5μM ATPを含む50 mMトリス(pH 7.5)において、1 μMペプチドPKA基質(LRREILSRRPSYRK、配列番号:8)に反応させた。最終反応容量は10 μl/ウェルであった。反応を室温で90分間進行させた後、消光/検出溶液(先の実施例5において同定された標識トレーサーを含む)10 μl、Tb-キレート標識抗pSer133抗体、およびEDTAを加えた。プレートに蓋をして、室温で2時間インキュベートした。プレートを、340/35 nm励起フィルターならびに520/25および495/10 nm放射フィルター(Chroma Technology Corp.)を用いて、TECAN Ultra 384蛍光プレートリーダーにおいて読み取った。100 μsの遅れでウェルあたり10回の閃光および積分ウィンドウ200 μsを用いてデータを収集した。図13Aを参照されたい。
【0118】
アッセイの強さを評価するために、Tb-キレート標識抗pSer133抗体および標識トレーサー(上記を参照)を、2.5 μM非標識トレーサーの存在下(24ウェル:「低シグナル」対照)または非存在下(24ウェル、「高シグナル」対照)で20 μlウェル48個からZ'値を決定した。プレートに蓋をして、室温で2時間インキュベートした。プレートを、上記のパラメータを用いて、TECAN Ultra 384蛍光プレートリーダーにおいて読み取った。Z'値は0.92であった。図13Bを参照されたい。
【0119】
実施例7-核受容体FPアッセイの多重FP/TR-RETアッセイへの変換
テルビウムキレートを用いてFPアッセイをFP/TR-RETアッセイに変換できる一般性を示すために、エストロゲン受容体β(ER-β)FP競合アッセイを、ER受容体をアミン反応性テルビウムキレートによって直接標識することによって変換した。先の実施例1を参照されたい。FPアッセイにおいて、フルオレセイン標識トレーサーを競合物質に置換すると、認められた偏光の高から低への変化が起こる。TR-RETアッセイにおいて、受容体に結合した標識されたトレーサーの量は、受容体上のテルビウムキレートとトレーサー上のフルオレセインとのRETによって測定する。競合物質の非存在下では、RETシグナルは高いが、競合物質がトレーサーを置換すると、このシグナルは減少する。12.5 nM非標識(図14Aを参照されたい)またはTb-キレート標識ER-βタンパク質(図14Bを参照されたい)を、1 nM標識トレーサー(Fluormone ES2(Pan Vera, Madison WI、パーツ番号P2613))と共にインキュベートして、公知のER-βリガンドである非標識エストラジオールの連続希釈液によって滴定した。FPおよびTR-RETアッセイはいずれも、競合曲線に関して類似のEC50値を示した。さらに、TR-RETアッセイはそれが再フォーマットでき、限界濃度の受容体および過剰濃度のトレーサーを用いて類似の結果が期待されるという長所を提供する。
【0120】
実施例8-EGFRキナーゼFPアッセイの多重FP/TR-RETアッセイへの変換
実施例7において同定された一般法を用いて、LOPAC(Sigma #LO1280)化合物ライブラリを用いて、上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)キナーゼ(タンパク質チロシンキナーゼ)の阻害剤をスクリーニングした。双方の読みとりモードで同定されたヒットは全て真のヒットであることが認められたが、読み取りモードで相違を示したヒットは疑であるように思われた。これらの結果は、アッセイ内での読み取りモードを多重にすることによって、決定された結果の完全性を有意に改善できることを示している。
【0121】
抗p-Tyr抗体(Zymedから入手可能な抗PY20)を100 mM炭酸ナトリウム緩衝液、pH 9.5において5 mg/mlに濃縮した。CS124-DTPA-Phe-NCS*Tb(Tbキレート)を抗体に対して5〜40倍モル過剰量で加えて、反応物を30分毎に軽く攪拌しながら室温で4時間インキュベートした。4時間後、抗体をPBSに対して2回透析して、未反応および/または加水分解キレートを除去した。抗体に結合したキレートの量は、343 nmでのCS124部分の吸光度(E340=11,440 M-1cm-1)によって定量し、抗体量は280 nmでの吸光度(E280=210,000 M-1cm-1)によって定量して、280 nmでのCS124の吸光度に関して補正した(343 nmでの吸光度の1.1倍)。図15を参照されたい。
【0122】
抗体の標識がフルオレセイン標識ホスホペプチドトレーサーに対するその親和性に影響を及ぼすか否かを決定するために(実施例2を参照されたい)、先に記述したように結合曲線を行った。抗体あたりキレート9個未満の標識比では、トレーサーの親和性は2倍未満変化することが認められた。図16を参照されたい。
【0123】
上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ(Pan Vera, Madison WI、#P2628)を、Corning低容量384ウェルプレート(パーツ番号3676)において反応容積10 μl(検出容積20 μl)においてLOPAC1280(商標)(Sigma #LO1280)ライブラリ(化合物1280個を含む)に対する活性に関してスクリーニングした。キナーゼ反応は、以下の反応条件で反応あたりキナーゼ0.1単位を用いて、10 μMライブラリ化合物の存在下で行った:20 mM HEPES、pH 7.5、5 mM MgCl2、2 mM MnCl2、0.05 mM Na3VO4、1 mM DTT、150 nMポリ(GlyTyr)4:1ポリ-GTチロシンキナーゼ基質、および10 μM ATP。反応を30℃で90分間進行させた後、TR-RET希釈緩衝液(Pan Vera, Madison WI、パーツ番号PV3152)において20 mM EDTA、8 nM Tb標識抗p-Tyr(抗pY72抗体、実施例1および2を参照されたい)、および4 nM PTK標識トレーサー(先の実施例2を参照されたい)の溶液10 μlを加えた。消光した反応を室温で1時間インキュベートさせた後、それらをTecan Ultraプレートリーダーにおいて読み取った。蛍光の偏光を485 nm励起フィルター(帯域20 nm)および535 nm放射フィルター(帯域25 nm)を用いて測定した。340 nm励起フィルター(帯域35 nm)および二つの放射フィルターを用いて、時間分解型RETを測定した;閃光後100μsの遅れの後積分ウィンドウ200 μsを用いて、参照ピークに関して帯域10 nmで495 nmおよびシグナル変化の測定に関して帯域25 nmで520 nmで測定した。TR-RETフィルターは、Chroma Technology Corp.から得た。TR-RET値(比)は、520 nmでの試料の強度を495 nmでの試料の強度によって除することによって決定した。図17を参照されたい。
【0124】
FPおよびTR-RET読み取りからのデータを標準化して、直交座標にプロットした。図18を参照されたい。FPおよびTR-RETによって決定したパーセント阻害の差を決定した。この平均値から3標準偏差外に入る化合物4個(CB1954、GW5074、エルゴクリスチン、ピロカテコール)をさらなる分析のために同定した。さらに、検出モードと強い阻害のあいだで強い相関を示す二つの化合物(チロフォスチンAG1478、GW2974)も同様に、追跡プロフィーリングのために選択した。
【0125】
同定された二つの阻害剤(チロフォスチンAG1478およびGW2974、これはEGFRキナーゼの公知の阻害剤である)を、ライブラリスクリーニングにおいて記述された条件でEGFRキナーゼに対して、連続3倍希釈でアッセイして、相関の不良な化合物4個を連続2倍希釈でアッセイした。追跡スクリーニングにより、より強力な阻害剤としてGW2974が同定され、EC50はAG1478について認められた値の約10倍未満である。図19を参照されたい。
【0126】
干渉するバックグラウンド蛍光の存在下であっても(本質的に蛍光であるいずれかのヒットを同定する場合、または蛍光化合物が存在するためにヒットの存在が隠されうるプールされた化合物のライブラリをスクリーニングする場合に有用な基準)、TR-RET検出モードが真のヒットを同定することができることを示すために、10 nMフルオレセインの存在下で、阻害剤チロフォスチンAG1478の連続希釈液に対してアッセイを行った。TR-RETデータは、バックグラウンド蛍光シグナルの存在に対して感受性が低いことが認められたが、FPデータは重度に障害された。図20を参照されたい。
【0127】
FPとTR-RET検出モードのあいだで不良な相関を示した化合物2個、GW5074およびエルゴクリスチンは、沈殿することが認められ、FP検出モードにおける偽性シグナルが光の散乱のアーチファクトである可能性があることを示唆している。散乱によるシグナルは寿命が短いことから、これはTR-RET読み取りモードに影響を及ぼさない。図21を参照されたい。
【0128】
不良な相関を示した他の二つの化合物、CB-1954とピロカテコールを再度アッセイしたところ、いずれも阻害剤ではないことが認められた。スクリーニングを調べたところ、これらの化合物がアッセイプレートの隣接するウェルに存在し、偽性結果が起こるシステム上のエラーを示唆している。図22を参照されたい。
【0129】
シグナルの検出可能な変化を生じるために必要なリン酸化キナーゼ産物の濃度を評価するために、非標識リン酸化PTKトレーサー(トレーサーに対する競合的産物)の連続希釈液を、TR-RET希釈緩衝液において4 nM Tb-キレート標識抗pTyr抗体および2 nMフルオレセイン標識PTKトレーサーと共にインキュベートした(上記を参照されたい)。次に、プレートを既に記述したようにFPおよびTR-RETモードの双方で読み取った。半最大シグナル変化に必要な競合物質の量は、アッセイモードのあいだでほぼ同一であるように思われ、双方のアッセイが類似の感度を有することを示した。図23を参照されたい。
【0130】
アッセイの強さを評価するために、4 nM Tb-キレート標識抗pTyr抗体および2 nMフルオレセイン標識トレーサー(「高値」対照)を含むウェル60個および1μM競合物質ペプチド(「低値」対照)を含むウェル60個を、既に記述されているようにFPおよびTR-RET検出モードの双方において読み取った。Z'値はZhangら、「A Simple Statistical Parameter for Use in Evaluation and Validation of High Throughput Screening Assays」、Journal of Biomolecular Screening 4(2):67〜73(1999)に従って計算した。Z'因子は各アッセイモードに関して>0.8であることが認められた。図24を参照されたい。
【0131】
実施例9-Eu(III)-キレート標識結合パートナーを用いた多重FP/TR-RETアッセイ
Eu-キレートによって標識した結合パートナーも同様に本発明の方法において用いることができる。
【0132】
ユーロピウム(III)-キレート標識PY72(抗ホスホチロシン)抗体(実施例1を参照されたい)を、以下のように調製した。リン酸緩衝生理食塩液(PBS)においてPY72抗体の28.4 μM溶液50 μlに、21.25 mM SPDP(N-スクシニミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート、Pierce Chemical Company)のDMSO溶液1μlを加えた。室温で1時間反応させた後、100 mM酢酸ナトリウム緩衝液、pH 4.5において50 mMジチオスレイトール(DTT)50 μlを加えて、反応物を室温でさらに30分インキュベートした。反応物を脱気PBS緩衝液1 Lに対して毎回2時間2回透析した。透析後、4.2 mM TTHA-AMCA-(2-アミノエチル)マレイミドおよび10 mM EuCl3を含む溶液8 μlを1 Mトリス、pH 8.0において抗体溶液に加えて、室温で2時間インキュベートした。標識抗体を2回透析して(最初は2時間、その後一晩)過剰量および非反応キレートを除去した。

【0133】
非標識ホスホペプチド(例えば、タンパク質キナーゼ酵素反応産物)によるEu-キレート標識抗体標識トレーサー相互作用の破壊は、蛍光偏光によって測定することができ、および/または同じ試料からの時間分解型RETは、非標識ホスホチロシン含有ペプチド競合物質(2μM〜1 nMまでの2倍希釈液)を、FP希釈緩衝液(Pan Vera, Madison WI、パーツ番号P2839)において5 nM Eu-キレート標識PY72抗体および1 nM発光トレーサーの存在下でインキュベートすることによって行った。発光標識トレーサーは、Alexa Fluor 633-CADE(pY)LIPQQS(配列番号:10)であり、これはAlexa Fluor 633(Molecular Probes, Eugene OR、パーツ番号A20342)のC5マレイミド誘導体を、標準的な技法(Alexa Fluor dyeに含まれるプロトコールに従う)を用いてペプチドの末端のシステインに結合させ、標準的な技法を用いてHPLCによって精製した。ペプチド(CADE(pY)LIPQQS;配列番号:9)は、AnaSpec, San Jose CAによって注文された。Alexa Fluor 633は、水溶液において、最大励起波長約622 nmおよび最大放射波長約640 nmを有する。30分間インキュベートした後、プレートをFPおよびTR-RETフォーマットの双方においてTecan Ultraプレートリーダーにおいて読み取った。蛍光偏光は、590 nm励起フィルター(帯域20 nm)および650 nm放射フィルター(帯域40 nm)を用いて測定した。時間分解型RETを、ウェルあたり閃光10回によって閃光後100 μsの遅れで積分ウィンドウ200μsを用いて、340 nm励起フィルター(帯域35 nm)ならびに615 nm(帯域10 nm)および665 nm(帯域10 nm)放射フィルターを用いて測定した。665 nmのシグナルを615 nmのシグナルによって除することによって時間分解型RET値(比)を計算した。TR-RETまたはFPによって作製された曲線の形状はほぼオーバーラップしているように見え、競合物質ホスホペプチドの存在(キナーゼ反応によって産生されたもののように)は、FPまたはTR-RETモードのいずれかを用いて検出および定量できることを示している。図25を参照されたい。
【0134】
実施例10-多重モードを用いたヒスチジンタグタンパク質の検出
ヒスチジンタグタンパク質またはペプチドの多重検出システムを開発した。アッセイの基礎は、テルビウムキレート標識抗Hisタグ抗体に対する、ヒスチジンタグ検体タンパク質とヘキサヒスチジンペプチドに結合させたフルオレセインからなるトレーサーとの競合であった。検体タンパク質またはペプチドの非存在下で、フルオレセイン標識ヘキサヒスチジンペプチドは抗Hisタグ抗体と会合して、この相互作用をTR-RETまたはFPによって検出することができる。増加量の検体タンパク質の存在下では、このトレーサー-抗体相互作用は破壊され、トレーサーのTR-RETシグナルまたは蛍光偏光は減少する。フルオレセイン-His6ペプチド(フルオレセイン-HHHHHH、「発光トレーサー」、配列番号:11)は、製造元(ResGen, Huntsville AL)によって合成され、供給された通りに用いた。ヘキサヒスチジンタグに対して特異的な市販のモノクローナル抗体(パーツMCA 1396、Serotec, Raleigh, NC)を購入して、さらに精製せずに提供されたまま使用した。抗体0.25 mgを100 mM炭酸ナトリウム緩衝液、pH 9.5において最終容積50 μlに濃縮した(5 mg./ml抗体最終濃度)。抗体を標識するために、CS124-DTPA-Phe-NCS-Tb 30 μg(抗体と比較して20倍モル過剰)を加えて、30分毎に軽く攪拌しながら反応を室温で4時間進行させた。4時間後、抗体をPBSに対して2回透析して、未反応および/または加水分解キレートを除去した。抗体に結合したキレートの量を343 nmでのCS124部分の吸光度(E340=11,440 M-1cm-1)によって定量し、抗体の量をその280 nmでの吸光度(E280=210,000 M-1cm-1)によって定量し、280 nmでのCA124の吸光度(343 nmでのその吸光度の1.1倍)に関して補正した。これらの測定から、抗体あたり平均でキレート7.7個であると決定された。標識抗体は、少なくとも6ヶ月間安定であるように思われ、顕著な性能の喪失を認めなかった。
【0135】
20 nM抗体および2 nMトレーサーによって、Hisタグペプチド(配列:ビオチン-KGGHHHHHH、起源;ResGen;配列番号:12)の量を3μM〜1.5 nMまで2倍希釈で増加させて滴定して、競合的結合アッセイを行った。アッセイ成分をFP希釈緩衝液(上記を参照されたい)において混合して、340 nm励起フィルター(帯域35 nm)および520 nm放射フィルター(帯域25 nm)を用いてTecan Ultraプレートリーダーにおいて30分間インキュベートした後読み取った。ウェルあたり閃光10回で100 μsの閃光後の遅れの後、積分ウィンドウ200 μsを用いてデータを収集した。データを図26AおよびBに示す。
【0136】
本発明の多くの態様を記述してきた。それにもかかわらず、様々な改変が行われてもよく、それらも本発明の趣旨および範囲に含まれると理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】多重FP/TR-RETアッセイの一つの態様を示す略図である。
【図2】有機アンテナ部分を含むランタニド金属キレートの構造、および有機アンテナ部分からランタニド金属イオンへのエネルギー転移を示す。
【図3】有機アンテナ部分を含む二つの発光金属キレートの化学構造を示す。
【図4】有機アンテナ部分を含むテルビウムキレートの標準化した励起/放射スペクトルを示す(CS124)。
【図5】テルビウムの放射バンドと、フルオレセインおよびローダミンの励起バンドとのオーバーラップ、ならびに最小のテルビウム放射を有する領域におけるフルオレセインおよびローダミン放射バンドの位置を示す、テルビウムキレート放射スペクトルである。
【図6】テルビウムキレートおよびフルオレセインスペクトルのオーバーラップを示す。
【図7】テルビウムキレートおよびローダミンスペクトルのオーバーラップを示す。
【図8】様々な蛍光体の寿命での、予想された偏光値(mP)と、第一と第二の結合パートナーの複合体の分子量とのあいだの関係を示す。
【図9】Tb-キレート標識抗体およびフルオレセイン標識ホスホペプチドトレーサーを用いた直接結合アッセイを示す。
【図10】非標識ホスホペプチド競合剤によって滴定した、Tb-キレート標識抗体とフルオレセイン標識ホスホペプチドトレーサーとの複合体におけるFPおよびTR-RETによって測定した競合的アッセイを示す。
【図11】図11Aおよび図11Bは、FPおよびTR-RETモードの双方を用いた化学ライブラリのスクリーニングの結果を示す。
【図12】図12Aおよび図12Bは、FPおよびTR-RET測定をそれぞれ用いて、抗リン酸化CREB抗体と、異なる四つのリン酸化ペプチドトレーサーとの相互作用を測定した結果を示す。
【図13】図13Aおよび図13Bは、TR-RETによって測定したPKA酵素の滴定およびアッセイのZ'因子をそれぞれ示す。
【図14】図14Aおよび図14Bは、エストロゲン受容体βとエストラジオールとの相互作用を測定するためにFPおよびTR-RETを用いて得られた同等のEC50値を示す。
【図15】キレートおよびキレート-抗体結合体の吸光度プロフィールを示す。
【図16】様々なキレート:Ab比での偏光測定対抗体濃度を示す。
【図17】ライブラリのスクリーニングに関する標準化シグナル(FPまたはTR-RET)を示す。
【図18】ライブラリのスクリーニングに関する標準化FPデータ対標準化TR-RETデータのプロットである。
【図19】ライブラリスクリーニングにおいて、同定された二つの阻害剤化合物に関して得られたFPおよびTR-RET滴定データのプロットである。
【図20】TR-RET検出モードがバックグラウンド蛍光シグナルに対して耐性であることを示す。
【図21】光の散乱に対するTR-RETの耐性を示す、ライブラリスクリーニングにおいて得られた偽性データの再分析を表す。
【図22】ライブラリのスクリーニングにおいて得られた偽性データの再分析を表す。
【図23】図23Aおよび図23Bは、抗体とホスホペプチドとの相互作用を測定するために、FPおよびTR-RETを用いて得られた同等のEC50値を示す。
【図24】図24Aおよび図24Bは、抗体とホスホペプチドとの相互作用に関してTR-RETモードとFPモードにおいて得られたZ'因子を示す。
【図25】非標識ホスホペプチド競合物質によって滴定した、Eu-キレート標識抗体と標識ホスホペプチドトレーサーとの複合体の競合アッセイに関するFPおよびTR-RETデータを示す。
【図26】図26Aおよび図26Bは、非標識ヒスタグタンパク質競合物質によって滴定した、Tb-キレート標識抗ヒスチジンタグ抗体と標識ヒスチジンタグトレーサーとの複合体の競合アッセイに関して得られたFPおよびTR-RETデータを示す。 様々な図面における類似の参照記号は類似の要素を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)第一の結合パートナー、第二の結合パートナー、および被験化合物を接触させて被験試料を形成する段階であって、該第一の結合パートナーが発光金属錯体を含み、該第一の結合パートナーと該第二の結合パートナーとが互いに結合して複合体を形成することができ、かつ該第二の結合パートナーが蛍光アクセプター部分を含む、段階;
b)該被験試料を偏光に曝露して、該被験試料からの蛍光放射の偏光を測定する段階;ならびに
c)該被験試料を波長250 nm〜750 nmの光に曝露して、該被験試料からの蛍光放射を測定する段階
を含む、第一の結合パートナーと第二の結合パートナーとの結合に及ぼす被験化合物の効果を測定する方法であって、
該被験試料の蛍光偏光測定値または蛍光放射測定値が、該被験化合物非含有の対応する対照試料の蛍光偏光測定値または蛍光放射測定値と異なる場合、被験化合物が、該第一の結合パートナーと該第二の結合パートナーとの結合に影響を及ぼすと同定される、方法。
【請求項2】
a)第一の結合パートナー、第二の結合パートナー、および被験化合物を接触させて被験試料を形成する段階であって、該第一の結合パートナーが蛍光アクセプター部分を含み、該第一の結合パートナーと該第二の結合パートナーとが互いに結合して複合体を形成することができ、かつ該第二の結合パートナーが発光金属錯体を含む、段階;
b)該被験試料を偏光に曝露して、該被験試料からの蛍光放射の偏光を測定する段階;ならびに
c)被験試料を波長250 nm〜750 nmの光に曝露して、該被験試料からの蛍光放射を測定する段階
を含む、第一の結合パートナーと第二の結合パートナーとの結合に及ぼす被験化合物の効果を測定する方法であって、
該被験試料の蛍光偏光測定値または蛍光放射測定値が、該被験化合物非含有の対応する対照試料の蛍光偏光測定値または蛍光放射測定値と異なる場合、被験化合物が、該第一の結合パートナーと該第二の結合パートナーとの結合に影響を及ぼすと同定される、方法。
【請求項3】
第一の結合パートナーと第二の結合パートナーが、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、脂質、多糖類、ホルモン、および低分子有機化合物からなる群より独立して選択される、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
ポリペプチドが抗体または抗体断片である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
段階b)および段階c)が同時に行われる、請求項1または2記載の方法。
【請求項6】
段階b)が段階c)の前に行われる、請求項1または2記載の方法。
【請求項7】
段階b)が段階c)の後に行われる、請求項1または2記載の方法。
【請求項8】
蛍光アクセプター部分が、フルオレセイン、ローダミン、GFP、GFP誘導体、FITC、5-FAM、6-FAM、7-ヒドロキシクマリン-3-カルボキサミド、6-クロロ-7-ヒドロキシクマリン-3-カルボキサミド、フルオレセイン-5-イソチオシアネート、ジクロロトリアジニルアミノフルオレセイン、テトラメチルローダミン-5-イソチオシアネート、テトラメチルローダミン-6-イソチオシアネート、5-カルボキシフルオレセインのスクシニミジルエステル、6-カルボキシフルオレセインのスクシニミジルエステル、5-カルボキシテトラメチルローダミン、6-カルボキシメチルローダミン、および7-アミノ-4-メチルクマリン-3-酢酸からなる群より選択される、請求項1または2記載の方法。
【請求項9】
発光金属錯体がランタニド金属錯体である、請求項1または2記載の方法。
【請求項10】
ランタニド金属錯体が、有機アンテナ部分、金属リガンド結合(liganding)部分、およびランタニド金属イオンを含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
ランタニド金属イオンが、Sm(III)、Ru(III)、Eu(III)、Gd(III)、Tb(III)、およびDy(III)からなる群より選択される、請求項10記載の方法。
【請求項12】
有機アンテナ部分が、ローダミン560、フルオレセイン575、フルオレセイン590、2-キノロン、4-キノロン、4-トリフルオロメチルクマリン(TFC)、7-ジエチル-アミノ-クマリン-3-カルボヒドラジド、7-アミノ-4-メチル-2-クマリン(カルボスチリル124)、7-アミノ-4-メチル-2-クマリン(クマリン120)、7-アミノ-4-トリフルオロメチル-2-クマリン(クマリン124)、およびアミノメチルトリメチルソラレンからなる群より選択される、請求項10記載の方法。
【請求項13】
金属リガンド結合部分が、EDTA、DTPA、TTHA、DOTA、NTA、HDTA、DTPP、EDTP、HDTP、NTP、DOTP、DO3A、DOTAGA、およびNOTAからなる群より選択される金属キレート部分である、請求項10記載の方法。
【請求項14】
ランタニド金属錯体が以下の構造を有する、請求項10記載の方法:
-Ln-A-Sn-CM
または
-Ln-CM-Sn-A
式中、Aは、有機アンテナ部分を表し;
Lはリンカーを表し;
Sはスペーサーを表し;
nは0または1であってよく;
Cは金属キレート部分を表し;かつ
MはCと配位結合したランタニド金属イオンを表す。
【請求項15】
a)酵素の酵素活性が基質から産物を形成するのに有効な条件下で行われ、かつ該酵素活性の潜在的調節物質の存在下で行われる、該酵素を該酵素の基質に接触させる段階;
b)該酵素、該基質、および該潜在的調節物質を第一のパートナーおよび発光トレーサーに接触させて、被験試料を形成する段階であって、該第一の結合パートナーが該基質と比較して該産物に対して結合特異性を有し、該第一の結合パートナーが発光金属錯体を含み、該第一の結合パートナーが発光トレーサーに結合することができ、かつ該発光トレーサーが蛍光アクセプター部分を含む、段階;
c)該被験試料を偏光に曝露して、該被験試料からの蛍光放射の偏光を測定する段階;ならびに
d)該被験試料を波長250 nm〜750 nmの光に曝露して、該被験試料からの蛍光放射を測定する段階
を含む、酵素活性の調節物質を同定する方法であって、
該被験試料の蛍光偏光測定値または蛍光放射測定値がそれぞれ、該潜在的調節物質非含有の対応する対照試料の蛍光偏光測定値または蛍光放射測定値と異なる場合、該潜在的調節物質が、該酵素の該酵素活性の調節物質であると同定される、方法。
【請求項16】
a)酵素の酵素活性が基質から産物を形成するのに有効な条件下で行われ、かつ該酵素活性の潜在的調節物質の存在下で行われる、該酵素を該酵素の基質に接触させる段階;
b)該酵素、該基質、および該潜在的調節物質を該第一のパートナーおよび該発光トレーサーに接触させて、被験試料を形成する段階であって、該第一の結合パートナーが該基質と比較して該産物に対して結合特異性を有し、該第一の結合パートナーが発光トレーサーに結合することができ、該第一の結合パートナーが蛍光アクセプター部分を含み、かつ該発光トレーサーが発光金属錯体を含む、段階;
c)該被験試料を偏光に曝露して、該被験試料からの蛍光放射の偏光を測定する段階;ならびに
d)該被験試料を波長250 nm〜750 nmの光に曝露して、該被験試料からの蛍光放射を測定する段階
を含む、酵素活性の調節物質を同定する方法であって、
該被験試料の蛍光偏光測定値または蛍光放射測定値がそれぞれ、該潜在的調節物質非含有の対応する対照試料の蛍光偏光測定値または蛍光放射測定値と異なる場合、該潜在的調節物質が、該酵素の酵素活性の調節物質であると同定される、方法。
【請求項17】
a)酵素の酵素活性が基質から産物を形成するのに有効な条件下で行われ、かつ酵素活性の潜在的調節物質の存在下で行われる、該酵素を該酵素の基質に接触させる段階;
b)該酵素、該基質、および該潜在的調節物質を該第一のパートナーおよび該発光トレーサーに接触させて、被験試料を形成する段階であって、該第一の結合パートナーが該産物と比較して該基質に対して結合特異性を有し、該第一の結合パートナーが発光トレーサーに結合することができ、該第一の結合パートナーが発光金属錯体を含み、かつ該発光トレーサーが蛍光アクセプター部分を含む、段階;
c)該被験試料を偏光に曝露して、該被験試料からの蛍光放射の偏光を測定する段階;ならびに
d)該被験試料を波長250 nm〜750 nmの光に曝露して、該被験試料からの蛍光放射を測定する段階
を含む、酵素活性の調節物質を同定する方法であって、
該被験試料の蛍光偏光測定値または蛍光放射測定値がそれぞれ、該潜在的調節物質非含有の対応する対照試料の蛍光偏光測定値または蛍光放射測定値と異なる場合、該潜在的調節物質が、該酵素の酵素活性の調節物質であると同定される、方法。
【請求項18】
a)酵素の酵素活性が基質から産物を形成するのに有効な条件下で行われ、かつ該酵素活性の潜在的調節物質の存在下で行われる、該酵素を該酵素の基質に接触させる段階;
b)該酵素、該基質、および該潜在的調節物質を該第一のパートナーおよび該発光トレーサーに接触させて、被験試料を形成する段階であって、該第一の結合パートナーが該産物と比較して該基質に対して結合特異性を有し、該第一の結合パートナーが発光トレーサーに結合することができ、該第一の結合パートナーが蛍光アクセプター部分を含み、かつ該発光トレーサーが発光金属錯体を含む、段階;
c)該被験試料を偏光に曝露して、該被験試料からの蛍光放射の偏光を測定する段階;ならびに
d)該被験試料を波長250 nm〜750 nmの光に曝露して、該被験試料からの蛍光放射を測定する段階
を含む、酵素活性の調節物質を同定する方法であって、
該被験試料の蛍光偏光測定値または蛍光放射測定値がそれぞれ、該潜在的調節物質非含有の対応する対照試料の蛍光偏光測定値または蛍光放射測定値と異なる場合、該潜在的調節物質が、該酵素の酵素活性の調節物質であると同定される、方法。
【請求項19】
酵素活性が、キナーゼ活性、ホスファターゼ活性、グルクロニダーゼ活性、プレニル化、グリコシル化、メチル化、脱メチル化、アシル化、アセチル化、ユビキチン化、硫酸化、タンパク質分解、ヌクレアーゼ活性、核酸ポリメラーゼ活性、核酸逆転写酵素活性、ヌクレオチジルトランスフェラーゼ活性、およびポリヌクレオチド翻訳活性からなる群より選択される、請求項15、16、17または18記載の方法。
【請求項20】
被験試料の蛍光放射の寿命が約500ピコ秒〜約100ナノ秒である、請求項1、2、15、16、17または18記載の方法。
【請求項21】
対照試料と比較した被験試料の蛍光偏光測定値の差が、約30 mP〜約450 mPである、請求項1、2、15、16、17または18記載の方法。
【請求項22】
対照試料と比較した被験試料の蛍光偏光測定値の差が、約10%〜約10,000%の増加または減少である、請求項1、2、15、16、17または18記載の方法。
【請求項23】
被験試料の蛍光放射が二つの波長で測定される、請求項1、2、15、16、17または18記載の方法。
【請求項24】
二つの波長での被験試料の蛍光放射の比が計算される、請求項23記載の方法。
【請求項25】
以下を含む製品:
a)包装材料;
b)発光金属錯体を含む第一の結合パートナー;および
c)該第一の結合パートナーに特異的に結合し、かつ蛍光アクセプター部分を含む、第二の結合パートナー。
【請求項26】
以下を含む装置:
a)試料チャンバ;
b)該試料チャンバを照明する(illuminate)ために直線偏光を作製する手段;
c)該試料チャンバから放射された偏光を検出する手段;
d)波長250 nm〜750 nmの光によって該試料チャンバを照明する手段;および
e)該試料チャンバから放射された光を検出する手段。
【請求項27】
試料チャンバを照明するために直線偏光を作製する手段および波長250 nm〜750 nmの光によって試料チャンバを照明する手段が、それぞれ該直線偏光および該波長250 nm〜750 nmの光によって該試料チャンバを同時に照明するように配置される、請求項26記載の装置。
【請求項28】
試料チャンバから放射された偏光を検出する手段および試料チャンバから放射された光を検出する手段が、該試料チャンバから放射された該偏光および該光を同時に検出するように配置される、請求項26記載の装置。
【請求項29】
a)第一の結合パートナー、第二の結合パートナー、および被験化合物を接触させて被験試料を形成する段階であって、該第一の結合パートナーが発光金属錯体を含み、該第一の結合パートナーおよび該第二の結合パートナーが互いに結合して複合体を形成することができ、かつ該第二の結合パートナーが蛍光アクセプター部分を含む、段階;ならびに
b)該被験試料を偏光に曝露して、該被験試料からの蛍光放射の偏光を測定する段階
を含む、第一の結合パートナーと第二の結合パートナーとの結合に及ぼす被験化合物の効果を測定する方法であって、
該被験試料の蛍光偏光測定値が、該被験化合物非含有の対応する対照試料の蛍光偏光測定値とは異なる場合、該被験化合物が、該第一の結合パートナーと該第二の結合パートナーとの結合に影響を及ぼすと同定される、方法。
【請求項30】
a)第一の結合パートナー、第二の結合パートナー、および被験化合物を接触させて被験試料を形成する段階であって、該第一の結合パートナーが蛍光アクセプター部分を含み、該第一の結合パートナーおよび該第二の結合パートナーが互いに結合して複合体を形成することができ、かつ該第二の結合パートナーが発光金属錯体を含む、段階;ならびに
b)該被験試料を偏光に曝露して、該被験試料からの蛍光放射の偏光を測定する段階
を含む、第一の結合パートナーと第二の結合パートナーとの結合に及ぼす被験化合物の効果を測定する方法であって、
該被験試料の蛍光偏光測定値が、該被験化合物非含有の対応する対照試料の蛍光偏光測定値とは異なる場合、該被験化合物が、該第一の結合パートナーと該第二の結合パートナーとの結合に影響を及ぼすと同定される、方法。
【請求項31】
a)酵素の酵素活性が基質から産物を形成するのに有効な条件下で行われ、かつ酵素活性の潜在的調節物質の存在下で行われる、該酵素を該酵素の基質に接触させる段階;
b)酵素、基質、および潜在的調節物質を第一の結合パートナーおよび発光トレーサーに接触させて、被験試料を形成する段階であって、該第一の結合パートナーが該基質と比較して該産物に対して結合特異性を有し、該第一の結合パートナーが発光金属錯体を含み、該第一の結合パートナーが発光トレーサーに結合することができ、かつ該発光トレーサーが蛍光アクセプター部分を含む、段階;ならびに
c)該被験試料を偏光に曝露して、該被験試料からの蛍光放射の偏光を測定する段階
を含む、酵素活性の調節物質を同定する方法であって、
該被験試料の該蛍光偏光測定値が、該潜在的調節物質非含有の対応する対照試料の蛍光偏光測定値とは異なる場合、該潜在的調節物質が、該酵素の該酵素活性の調節物質であると同定される、方法。
【請求項32】
a)酵素の酵素活性が基質から産物を形成するのに有効な条件下で行われ、かつ酵素活性の潜在的調節物質の存在下で行われる、該酵素を該酵素の基質に接触させる段階;
b)該酵素、該基質、および該潜在的調節物質を第一の結合パートナーおよび発光トレーサーに接触させて、被験試料を形成する段階であって、該第一の結合パートナーが該基質と比較して該産物に対する結合特異性を有し、該第一の結合パートナーが該発光トレーサーに結合することができ、該第一の結合パートナーが蛍光アクセプター部分を含み、かつ該発光トレーサーが発光金属錯体を含む、段階;ならびに
c)該被験試料を偏光に曝露して、該被験試料からの蛍光放射の偏光を測定する段階
を含む、酵素活性の調節物質を同定する方法であって、
該被験試料の該蛍光偏光測定値が、該潜在的調節物質非含有の対応する対照試料の蛍光偏光測定値とは異なる場合、該潜在的調節物質が、該酵素の該酵素活性の調節物質であると同定される、方法。
【請求項33】
a)酵素の酵素活性が基質から産物を形成するのに有効な条件下で行われ、かつ酵素活性の潜在的調節物質の存在下で行われる、該酵素を該酵素の基質に接触させる段階;
b)該酵素、該基質、および該潜在的調節物質を第一の結合パートナーおよび発光トレーサーに接触させて、被験試料を形成する段階であって、該第一の結合パートナーが該産物と比較して該基質に対して結合特異性を有し、該第一の結合パートナーが該発光トレーサーに結合することができ、該第一の結合パートナーが発光金属錯体を含み、かつ該発光トレーサーが蛍光アクセプター部分を含む、段階;ならびに
c)該被験試料を偏光に曝露して、該被験試料からの蛍光放射の偏光を測定する段階
を含む、酵素活性の調節物質を同定する方法であって、
該被験試料の該蛍光偏光測定値が、該潜在的調節物質非含有の対応する対照試料の蛍光偏光測定値とは異なる場合、該潜在的調節物質が、該酵素の該酵素活性の調節物質であると同定される、方法。
【請求項34】
a)酵素の酵素活性が基質から産物を形成するのに有効な条件下で行われ、かつ酵素活性の潜在的調節物質の存在下で行われる、該酵素を該酵素の基質に接触させる段階;
b)該酵素、該基質、および該潜在的調節物質を第一の結合パートナーおよび発光トレーサーに接触させて、被験試料を形成する段階であって、該第一の結合パートナーが該産物と比較して該基質に対して結合特異性を有し、該第一の結合パートナーが発光トレーサーに結合することができ、該第一の結合パートナーが蛍光アクセプター部分を含み、かつ該発光トレーサーが発光金属錯体を含む、段階;ならびに
c)該被験試料を偏光に曝露して、該被験試料からの蛍光放射の偏光を測定する段階
を含む、酵素活性の調節物質を同定する方法であって、
該被験試料の該蛍光偏光測定値が、該潜在的調節物質非含有の対応する対照試料の蛍光偏光測定値とは異なる場合、該潜在的調節物質が、該酵素の該酵素活性の調節物質であると同定される、方法。
【請求項35】
第一の結合パートナーが発光金属錯体を含み、かつ第二の結合パートナーが蛍光アクセプター部分を含む、第一の結合パートナーおよび第二の結合パートナーを含む組成物。
【請求項36】
第一の結合パートナーが蛍光アクセプター部分を含み、かつ第二の結合パートナーが発光金属錯体を含む、第一の結合パートナーおよび第二の結合パートナーを含む組成物。
【請求項37】
a)第一の結合パートナー、第二の結合パートナー、および被験化合物を接触させて、被験試料を形成する段階であって、該第一の結合パートナーが発光金属錯体を含み、該第一の結合パートナーと該第二の結合パートナーとが互いに結合して複合体を形成することができ、かつ該被験化合物が蛍光アクセプター部分を含む、段階;
b)該被験試料を偏光に曝露して、該被験試料からの蛍光放射の偏光を測定する段階;ならびに
c)該被験試料を波長250 nm〜750 nmの光に曝露して、該被験試料からの蛍光放射を測定する段階
を含む、第一の結合パートナーと第二の結合パートナーとの結合に及ぼす被験化合物の効果を測定する方法であって、
該被験試料の蛍光偏光測定値または蛍光放射測定値が、該被験化合物非含有の対応する対照試料の蛍光偏光測定値または蛍光放射測定値とは異なる場合、該被験化合物が、該第一の結合パートナーと該第二の結合パートナーとの結合に影響を及ぼすと同定される、方法。
【請求項38】
a)第一の結合パートナー、第二の結合パートナー、および被験化合物を接触させて、被験試料を形成する段階であって、該第一の結合パートナーが蛍光アクセプター部分を含み、該第一の結合パートナーと該第二の結合パートナーとが互いに結合して複合体を形成することができ、かつ該被験化合物が発光金属錯体を含む、段階;
b)該被験試料を偏光に曝露して、該被験試料からの蛍光放射の偏光を測定する段階;ならびに
c)該被験試料を波長250 nm〜750 nmの光に曝露して、該被験試料からの蛍光放射を測定する段階
を含む、第一の結合パートナーと第二の結合パートナーとの結合に及ぼす被験化合物の効果を測定する方法であって、
該被験試料の蛍光偏光測定値または蛍光放射測定値が、該被験化合物非含有の対応する対照試料の蛍光偏光測定値または蛍光放射測定値とは異なる場合、該被験化合物が、該第一の結合パートナーと該第二の結合パートナーとの結合に影響を及ぼすと同定される、方法。
【請求項39】
a)酵素の酵素活性が基質から産物を形成するのに有効な条件下で行われ、かつ酵素活性の潜在的調節物質の存在下で行われる、該酵素を該酵素の基質に接触させる段階であって、基質が蛍光アクセプター部分を含む段階;
b)該酵素、該基質、および該潜在的調節物質を第一の結合パートナーおよびトレーサーに接触させて、被験試料を形成する段階であって、該第一の結合パートナーが該基質と比較して該産物に対して結合特異性を有し、該第一の結合パートナーが発光金属錯体を含み、かつ該第一の結合パートナーが該トレーサーに結合することができる、段階;
c)該被験試料を偏光に曝露して、該被験試料からの蛍光放射の偏光を測定する段階;ならびに
d)該被験試料を波長250 nm〜750 nmの光に曝露して、該被験試料からの蛍光放射の偏光を測定する段階
を含む、酵素活性の調節物質を同定する方法であって、
該被験試料の該蛍光偏光測定値または該蛍光放射測定値がそれぞれ、該潜在的調節物質非含有の対応する対照試料の蛍光偏光測定値または蛍光放射測定値とは異なる場合、該潜在的調節物質が、該酵素の該酵素活性の調節物質であると同定される、方法。
【請求項40】
a)酵素の酵素活性が基質から産物を形成するのに有効な条件下で行われ、かつ酵素活性の潜在的調節物質の存在下で行われる、該酵素を該酵素の基質に接触させる段階であって、基質が発光金属錯体を含む段階;
b)該酵素、該基質、および該潜在的調節物質を第一の結合パートナーおよびトレーサーに接触させて、被験試料を形成する段階であって、該第一の結合パートナーが該基質と比較して該産物に対して結合特異性を有し、該第一の結合パートナーが該トレーサーに結合することができ、かつ該第一の結合パートナーが蛍光アクセプター部分を含む、段階;
c)該被験試料を偏光に曝露して、該被験試料からの蛍光放射の偏光を測定する段階;ならびに
d)該被験試料を波長250 nm〜750 nmの光に曝露して、該被験試料からの蛍光放射の偏光を測定する段階
を含む、酵素活性の調節物質を同定する方法であって、
該被験試料の該蛍光偏光測定値または該蛍光放射測定値がそれぞれ、該潜在的調節物質非含有の対応する対照試料の蛍光偏光測定値または蛍光放射測定値とは異なる場合、該潜在的調節物質が、該酵素の該酵素活性の調節物質であると同定される、方法。
【請求項41】
a)酵素の酵素活性が基質から産物を形成するのに有効な条件下で行われ、かつ酵素活性の潜在的調節物質の存在下で行われる、該酵素を該酵素の基質に接触させる段階であって、基質が蛍光アクセプター部分を含む段階;
b)該酵素、該基質、および該潜在的調節物質を第一の結合パートナーおよびトレーサーに接触させて、被験試料を形成する段階であって、該第一の結合パートナーが該産物と比較して該基質に対して結合特異性を有し、該第一の結合パートナーが該トレーサーに結合することができ、かつ該第一の結合パートナーが発光金属錯体を含む、段階;
c)該被験試料を偏光に曝露して、該被験試料からの蛍光放射の偏光を測定する段階;ならびに
d)該被験試料を波長250 nm〜750 nmの光に曝露して、該被験試料からの蛍光放射の偏光を測定する段階
を含む、酵素活性の調節物質を同定する方法であって、
該被験試料の該蛍光偏光測定値または該蛍光放射測定値がそれぞれ、該潜在的調節物質非含有の対応する対照試料の蛍光偏光測定値または蛍光放射測定値とは異なる場合、該潜在的調節物質が、該酵素の該酵素活性の調節物質であると同定される、方法。
【請求項42】
a)酵素の酵素活性が基質から産物を形成するのに有効な条件下で行われ、かつ酵素活性の潜在的調節物質の存在下で行われる、該酵素を該酵素の基質に接触させる段階であって、基質が発光金属錯体を含む段階;
b)該酵素、該基質、および該潜在的調節物質を第一の結合パートナーおよびトレーサーに接触させて、被験試料を形成する段階であって、該第一の結合パートナーが該産物と比較して該基質に対して結合特異性を有し、該第一の結合パートナーが該トレーサーに結合することができ、かつ該第一の結合パートナーが蛍光アクセプター部分を含む、段階;
c)該被験試料を偏光に曝露して、該被験試料からの蛍光放射の偏光を測定する段階;ならびに
d)該被験試料を波長250 nm〜750 nmの光に曝露して、該被験試料からの蛍光放射の偏光を測定する段階
を含む、酵素活性の調節物質を同定する方法であって、
該被験試料の該蛍光偏光測定値または該蛍光放射測定値がそれぞれ、該潜在的調節物質非含有の対応する対照試料の蛍光偏光測定値または蛍光放射測定値とは異なる場合、該潜在的調節物質が、該酵素の該酵素活性の調節物質であると同定される、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公表番号】特表2007−505315(P2007−505315A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526231(P2006−526231)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/029099
【国際公開番号】WO2005/026730
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(502221282)インヴィトロジェン コーポレーション (113)
【Fターム(参考)】