説明

多重袋の製造装置並びに多重袋

【課題】チューブ状の袋を重ね型を用いて多重袋にして、自動的に重ね型から取り外して折り工程へつなげることのできる多重袋の製造装置並びに多重袋を提供する。
【解決手段】製袋された袋を製袋装置部或は収容ケースより受け取り、この袋の先端を上下方向に吸着して開口させる開口手段Bと、開口手段と対向する位置に先端を臨ませて上下方向へ揺動可能に設けた重ね型19と、開口された前記袋を吸着及び又は軟接着させて移送させ前記重ね型に装着させる移送手段Cと、前記袋を前記重ね型に入り子状に所定枚数装着させて形成された多重袋を各袋の開口部側において重なり合った状態で仮止めする仮止め手段Eと、前記重ね型で入り子状に重ねられた多重袋を当該重ね型より自動的に取り外す取外し手段Fとを含む構成とする。また、多重袋を複数枚の袋を入り子状に重ね、各袋の開口部側を互いに熱圧着して仮止めする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とくにポリ袋と呼ばれる袋を開口部を共通にして入り子状に多数枚重ねて成る多重袋の製造装置並びに多重袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリエチレンフィルム製、ポリエステルフィルム製、ポリプロピレンフィルム製等のポリ袋は様々な物品の収納用袋、ごみ入れ、濡れ傘の入れ物、等として用いられている。例えば、ゴミ袋として、ゴミ容器の中側に装着して用いるものは、多重袋になっていると、いっぱいになった時にゴミ容器に装着したゴミ袋の内側のものから取り外して行くことができ、いちいちゴミ袋をゴミ容器へ装着する手間が省けて便利である。また、ポリ袋へ収容させるものが硬いものであったり、角張っていたりする場合には、ポリ袋を2重、或は3重にして用いることが袋の破れを防止するために好ましいが、かかる場合に1枚のポリ袋にさらにもう1枚や2枚のポリ袋を現場で入り子状に重ねることは、手間の掛かることから、この場合にも最初から多重袋になっていると、袋を重ねる手間が省けて便利である。
【0003】
そこで、従来からとくにポリ袋の多重袋を製造する方法並びに製造装置が下記する特許文献1により公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−173553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この特許文献1に記載された多重袋の製造装置は、インデックス台に複数の重ね型を設置し、これらの重ね型のひとつにバキュームハンドを用いて一枚ずつポリ袋を被せて行き、多重袋が出来上がると、インデックス台を回転させて次の重ね型をバキュームハンドの位置へ移動させる。このように複数の重ね型を次々とバキュームハンドの位置へ移動させて重ね型に一枚ずつポリ袋を被せて行き、複数の枚数の多重袋を次々と製造するもので、装置が大型になるため製造コストが高くつく上に、多重袋になった状態のものを、自動的に重ね型から抜き取る手段を欠いているという問題点があり、製袋から多重袋の製造工程を経て折り機へ自動的に送るという多重袋の一貫システムの装置としては不十分で、手作業の部分が残ることから、現在普及を見ていない。
【0006】
本発明の目的は、簡単な構成で自動的にチューブ状フィルムシート或は単体としての袋から多重袋を製造することができ、しかも、多重袋を次の折り機へ自動的に移送することができる、構造簡単な多重袋の製造装置並びに多重袋を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために本発明は、製袋された袋を製袋装置部或は収容ケースより受け取り、この袋の先端を上下方向に吸着して開口させる開口手段と、この開口手段と対向する位置に先端を臨ませて上下方向へ揺動可能に設けた重ね型と、前記開口手段で開口された前記袋を吸着及び又は軟接着させて移送させ前記重ね型に装着させる移送手段と、前記袋を前記重ね型に入り子状に所定枚数装着させることによって形成された多重袋を各袋の開口部側において重なり合った状態で仮止めする仮止め手段と、前記重ね型によって入り子状に重ねられた多重袋を当該重ね型より自動的に取り外す取外し手段と、を含んで構成したことを特徴とする。
【0008】
本発明はまた、製袋途中のチューブ状フィルムシートを製袋装置部から受け取り、このチューブ状フィルムシートの先端を上下方向に吸着して開口させる開口手段と、この開口手段と対向する位置に先端を臨ませて上下方向へ揺動可能に設けた重ね型と、前記開口手段で開口された前記チューブ状フィルムシートを吸着及び又は軟接着させて移送させ前記重ね型に装着させる移送手段と、前記開口手段乃至移送手段に前記チューブ状フィルムシートがあるときにその後端部を溶着しカットすることにより袋を作る溶着カット手段と、前記袋を前記重ね型に入り子状に所定枚数装着させることによって形成された多重袋を各袋の開口部側において重なり合った状態で仮止めする仮止め手段と、前記重ね型によって入り子状に重ねられた多重袋を当該重ね型より自動的に取り外す取外し手段と、を含んで構成したことを特徴とする。
【0009】
以上いずれの場合にも、本発明に係る開口手段を、開口ローターと、エンドレスベルトに取り付けられ前記開口ローターの上を移動中のチューブ状フィルムシート或は袋の先端側を吸着及び又は軟接着させて開口させる移送パッドとで構成し、この移送パッドは同時に前記移送手段を構成することを特徴とする。
【0010】
さらに本部発明によれば、上記発明の場合に、前記移送パッドを、前記エンドレスベルトに対して移動方向左右へ首振り可能に取り付け、前記開口ローターに接するときは内側へ首を振った状態で接し、離れるときに外側へ首を振るように構成することを特徴とする。
【0011】
さらに本発明によれば、以上いずれの場合にも、取外し手段を、重ね型の先端よりエアーを噴射させるエアー噴射手段と、このエアー噴射手段により重ね型から押し出された多重袋を挟んで当該重ね型から取り外す取外しローラーとで構成したことを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明によれば、以上いずれの場合にも、仮止め手段を、重ね型に設けられている熱圧着腕部材で構成したことを特徴とする。
【0013】
そして、本発明は多重袋を、複数枚の袋を入り子状に重ね、各袋の開口部側を互いに熱圧着して仮止めすることによって構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は以上のように構成したので、簡単な構成で、自動的に多重袋を製造でき、しかも、この多重袋を重ね型から自動的に取り外すことができるものであることから、製袋装置と折り機の間に設置して安価に多重袋を自動的に製造できることを可能とする効果を奏し得る。
【0015】
また、本発明のように構成した多重袋は、溶着により簡単に仮止めができ、仮止め後の各袋の分離も容易であるという効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る多重袋の製造装置を概略的に示す説明図である。
【図2】本発明に係る多重袋の製造装置を概略的に示す平面図である。
【図3】本発明に係る多重袋の製造装置に用いる開口ローターの正面図である。
【図4】図3におけるA−A線断面図である。
【図5】図3におけるB−B線断面図である。
【図6】本発明に係る移送パッドの部分の要部とその動作を説明するもので、(a)図は固定支軸に設けたカム部材と移送パッドのガイド部材とが当接する前の状態を示し、(b)図は固定支軸に設けたカム部材と移送パッドのガイド部材とが当接した状態を示し、(c)図はガイド部材がカム部材から離れた状態を示している。
【図7】本発明に係る多重袋の斜視図である。
【図8】多重袋の開口部側の仮止め状態を説明する一部断面拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明するが、本発明に係る多重袋の製造装置1は、図1〜図6に示したように、製袋装置部Aで製袋された単体としての袋6、或は袋6の図示してない単体を多数枚収容させた収容ケースから一枚ずつ受け取り、この袋6の先端を上下方向に吸着して開口させる開口手段Bと、この開口手段Bと対向する位置に先端を臨ませて上下方向へ揺動可能に設けた重ね型19と、前記開口手段Bで開口された前記袋6を吸着及び又は軟接着させて移送させ前記重ね型19に装着させる移送手段Cと、前記重ね型19に入り子状に所定枚数装着させることによって形成された多重袋24を、その各袋6の開口部6a側において重ね合わされた状態で仮止めする仮止め手段Eと、前記重ね型19によって入り子状に重ねられた多重袋24を当該重ね型19より自動的に取り外す取外し手段Fと、を含んで構成することにより、製袋された袋6単体のものを多重袋24とするものである。
【0018】
本発明はまた、製袋装置部Aにおいて製袋途中のチューブ状フィルムシート2aを受け取り、このチューブ状フィルムシート2aの先端を上下方向に吸着して開口させる開口手段Bと、この開口手段Bと対向する位置に先端を臨ませて上下方向へ揺動可能に設けた重ね型19と、前記開口手段Bで開口された前記チューブ状フィルムシート2aを吸着及び又は軟接着させて移送させ前記重ね型19に装着させる移送手段Cと、前記開口手段B乃至移送手段Cに前記チューブ状フィルムシート2aがあるときにその後端部を溶着しカットすることにより袋を作る溶着カット手段Dと、前記重ね型19に入り子状に所定枚数装着させることによって形成された多重袋24をその各袋6の開口部6a側において重なり合った状態で仮止めする仮止め手段Eと、前記重ね型19によって入り子状に重ねられた多重袋24を当該重ね型19より自動的に取り外す取外し手段Fと、を含んで構成することにより、製袋しながら多重袋24とすることもできるものである。
【0019】
尚、本願において、吸着及び又は軟接着という用語を用いているが、これは吸着及び軟接着、或は吸着又は軟接着という意味であり、軟接着とは、好適に用いられる接着剤が水添グリセリンであることから、剥がし可能にくっついているという程度の意味である。
【実施例1】
【0020】
図1は本発明に係る多重袋の製造装置1を概略的に示したもので、製袋装置部Aは、チューブ状を呈した、例えばポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリマー製のチューブ状フィルムシート2aをロール状に巻き取ったロール2と、このロール2よりチューブ状フィルムシート2aを取り出す取り出しローラー3、3と、この取り出しローラー3、3で取り出されたチューブ状フィルムシート2aを適宜長さの所で溶着する溶着ローラー4、4とこの溶着ローラー4、4で溶着した箇所から所定間隔経た所をカットするカッター5とで構成した溶着カット手段Dから成る。尚、このポリマー製のチューブ状フィルムシート2aは、厚さが10〜20ミクロンと非常に薄いために、静電気の帯電が起き、後の多重袋の製造時に開口手段Bによる開口や重ね型19に対する着脱が困難となるため、予め帯電防止加工の処理を施したり、取り出しローラー3、3に導電性のものを用いてアースさせておくことが好ましい。尚、ロール2と取り出しローラー3、3との間には、図示してないが、ロール2から引き出されたチューブ状フィルムシート2aのたるみ防止装置を設けることがスムーズなチューブ状フィルムシート2aの取り出しを行う上で好ましい。
【0021】
即ち、取り出しローラー3、3は、ロール2より取り出されたチューブ状フィルムシート2aが、所定の長さに取り出されたときに、図示してないセンサーが検知して、溶着カット手段Dの溶着ローラー4、4を動作させてチューブ状フィルムシート2aをその取り出し方向と直交する方向に溶着させるものである。
【0022】
次いで、同じく溶着カット手段Dのカッター5はこの溶着個所より所定間隔(好適には10mm程度であるが、この10mmに限定されない。)離れた位置でカットする。このようにして袋6が出来上がる。
【0023】
開口手段Bの開口ローター9は、図2に示したように同軸に3個設けられているが、その内部構造は同じであるので、その一つのみについて説明する。この開口ローター9、9、9の内部構造は図3から図5に示してある。図面によれば、開口ローター9は、図示したように、固定支軸91に回転可能に取り付けられた駆動プーリー、或はスプロケットから成る駆動プーリー部92を有する吸着プーリー部93と、固定支軸91に固定されて吸着プーリー部93とその片面を接触させている円柱状の固定部94とから成り、吸着プーリー部93と同じ形状と外径を持っている。吸着プーリー部93は、とくに図3と図4に示したように、固定部94側へ開口して複数の袋状の連通穴95が軸方向、かつ軸心部から放射方向へ設けられており、これらの連通穴95から当該連通穴95と直交する方向に外周部に向けてそれぞれ複数の吸着孔96、96が設けられている。尚、この吸着孔96、96の数に限定はないが、できるだけ間隔を狭くすることが吸着位置のばらつきをなくすために望ましい。固定部94には、吸引連通孔97が設けられ、この吸引連通孔97に気体の吸引チューブ98が取り付けられて、図示してない吸引ポンプの側へ接続されている。吸引連通孔97の吸着プーリー部93側には、図5に示したように、いくつかの連通穴95と接する位置に、円弧状に連通部99が設けられている。また、駆動プーリー部92は、吸着プーリー部93よりも小径に構成してあるが、同径であってもよい。さらに、開口ローター9は、図面では3個であるが、袋の口径の小さなものは2個で良い場合がある。
【0024】
上述した移送手段Cは、袋6の移送方向にやや傾斜させて設けた左右一対の駆動プーリー11、11及び従動プーリー12、12と、この駆動プーリー11、11と従動プーリー12、12に懸架させた例えばタイミングベルトからなるエンドレスベルト13、13と、このエンドレスベルト13、13に等間隔に取り付けた3個の上述した移送パッド10とから成り、駆動プーリー11、11と従動プーリー12、12は、それぞれ駆動支軸11a、固定支軸12aの両端部へ回転可能に取り付けられる構成である。移送パッド10の数は実施例では片側3個であるが、この数に限定はない。袋6の長さによって、適宜増減される。各移送パッド10には、可撓性を有する吸引パイプ14が取り付けられており、これらの吸引パイプ14はそれぞれその先端において各移送パッド10へ回転可能に取り付けられ、図示してないが、その基部においてディスクを介して取付基体に取り付けられている。
【0025】
尚、各移送パッド10は、とくに図6の(a)図〜(c)図に示したように、全体としてラッパ形状であるが、吸引接着部10aとガイド部10bとで構成されている。吸引接着部10aは略矩形状を呈し、その縁部10cに例えば水添グリセリンのような軟接着剤を塗布させ、又は塗布したシート状パッドを用いる。尚、ガイド部10bは、エンドレスベルト13へ取り付けた取付部材15に対してその進行方向と直交する方向へ揺動可能に取り付けられ、捩じりコイルスプリング16によって、一方向へ揺動付勢されている。尚、指示記号15aのものは、バランサーである。
【0026】
また、上記の水添グリセリン等を塗布し、吸着軟接着とする事情を説明するのであるが、剥離性の有るフィルムシートでは吸着力は弱く、横への引く力が不足する為、水添グリセリン等を塗布し、相乗効果による強い接着、吸着力を得ようとする物である。尚スピードとの兼合いではあるが、どちらか一方による使用は可能である。
【0027】
移送手段Cの従動プーリー12、12の固定支軸12aには、半円形状のカム部材18、18が当該従動プーリー12、12の各一側部に接して取り付けられており、各移送パッド10が循環移動して来たときに、当該各移送パッド10の各ガイド部10bに接して当該各移送パッド10を内側へ揺動させるようになっている。
【0028】
次に、移送手段Cのエンドレスベルト13、13に沿って、当該エンドレスベルト13、13の移動方向に対して所定間隔を設けて平面略矩形状を呈した重ね型19がその基部側に設けた支軸25を支点に上下方向へ揺動可能に設けられ、その先端部を開口ローター9の前方に臨ませており、その基部側の上面の両側部に重ね型19に嵌め込まれた袋6を確実に取り外すための円弧形状を呈した爪部材20、20(一方のみ表示)が取り付けられ、その中央部に仮止め手段Eが取り付けられている。
【0029】
この仮止め手段Eは、側面フック状を呈した上下一対の熱圧着腕部材21a、21aが重ね型19の基部側を上下方向から挟む構成となっており、重ね型19に所定枚数の袋6が入り子状に重ねられたときに各袋6の入り口部分に約1mm程度の誤差が生じるのを利用して当該重ね型19の下降時(或は下降前や下降動作終了時)に動作して、多重袋24の入り口側へ少し斜めに当たり互いの袋6の入り口部分の略中央部の部分を溶着するものである。尚、この仮止め手段Eは、実施例以外に多重袋の入り口の上面側と下面側を幅方向に渡ってミシン目状に溶着するように構成しても良い。加熱手段としては、高周波過熱、抵抗過熱、その他の公知の手段を任意に選択できる。
【0030】
重ね型19にはまた、図2に示したように、その内部に長手方向に渡って取外し手段Fを構成する複数の気体流通路19aが設けられ、その気体噴射孔19bを先端に開口させている。重ね型19にはまた、これを導電性の部材で構成しアースのような静電除去手段を設けたり、弱風送風手段を設けたり、更には振動手段を設けるなどして、袋6内に重ね型19が入り易いように構成することができる。また、重ね型19に装着される袋6に弱風を当てるのも重ね型19に袋6を装着させ易くするために有効な手段である。
【0031】
図1に想像線で示したように、この重ね型19が降下した位置の先端側に同じく取外し手段Fを構成する一対の空気抜き兼用の取外しローラー23、23が設けられ、エアー噴射手段の各気体噴射孔19bと協働して想像線で示した多重袋24をその上下方向から挟みつつ送ることにより、次の図示してない折り機へ空気抜きをしながら送ることができるようになっている。
【0032】
次に、本発明にかかる多重袋の製造装置1の作用について説明する。ロール2から、取り出しローラー3、3を介して取り出されたチューブ状フィルムシート2aは、適宜長さ取り出されたところで溶着カット手段Dの溶着ローラー4、4によって溶着シールされ、次いで、カッター5を介して溶着シール個所より適宜間隔、例えば10mm程度離れたところでカットされることにより、一端部開口の袋6が出来上がる。この袋6の開口部6aは、移送ローラー7、8等を介して開口手段Bの開口ローター9、9、9に達し、その開口部6aの下側に吸着プーリー部93、93、93の各吸着孔96、96が当接することによって、吸着しつつ、移送パッド10、10の各吸引接着部10a、10aが袋6の上側に接して、各開口ローター9と各移送パッド10により袋6を重ね型19の側へ送り出す。この時、図6の(b)図に示したように、移送パッド10はカム部材18へガイド部10bが当接して吸引接着部10aを内側へ揺動させている。尚、実施例では中央部の吸着プーリー部93には移送パッド10は軽く触れるように当接するのであるが、空通しの時、空気抜きスリット100により、吸着はないのであるが、軽く当接する時、接触音は否めない。
【0033】
各移送パッド10、10が両端部の吸着プーリー部93、93から離れるときには、とくに図6の(c)図に示したように、カム部材18に対する接触を解かれたガイド部10bが捩じりコイルスプリング16の弾力により移送パッド10、10が外方向へ揺動して元位置に戻る時に、各吸引接着部10aが同時に外方向へ揺動して袋6の開口部6aの上側を左右方向へ張って伸ばす。この動作と開口ローター9の中央部の吸着プーリー部93を含めた両端部の吸着プーリー部93、93による袋6の下側への落とし動作によって、袋6の開口部6aの上側と下側に張りの違いを出して、図1に示したように、当該開口部6aを確実に開口させて、重ね型19の先端に向けて送り出す。重ね型19の先端が袋6の開口部6aが受け入れると、後は移送パッド10、10によって袋6は重ね型19に沿って移送され、内部に重ね型19を嵌入させて受け入れることになる。
【0034】
重ね型19に装着された袋6は、その底部が当該重ね型19に装着し終わると同時に、爪部材20、20によって移送パッド10、10が強制的に袋6より解離されることにより、袋6は重ね型19へ装着されることになる。この際に、吸引接着部10a、10aに対する吸引は解除されていることが好ましい。次いで、次の袋6が重ね型19に装着された袋6ごと重ね型19を内部へ受け入れ、この動作を繰り返す。
【0035】
尚、中央部の開口ローター9は、とくに袋6の幅(口径)が大きい場合に必要であり、この中央部の開口ローター9により、口径の大きな袋6は確実に開口部6aの下側を下方へ落として開口部6aの開口を確実にするものである。
【0036】
このようにして、図7に示したように、複数枚(好ましくは5〜10枚)の袋6が重ね型19に装着されて多重袋24となる。図8に示したように、この多重袋24の開口部24a側は、各袋6の溶着シール部分の長さ分ずれた形となり不揃いとなるが、この不揃いを利用して開口部24a側に仮止め手段Eの熱圧着腕部材21a、21aを好適には少し斜めに当てて重ね型19に装着させた状態で溶着して仮止め部24bを形成させる。そして、多重袋24を各袋6の開口部6aの部分で互いに溶着させつつ重ね型19が図1に想像線で示したように下側へ首を振って降下するように構成する。この降下動作が終了すると同時に気体が取外し手段Fの各気体噴射孔19bを介して重ね型19の先端より噴射されることで、多重袋24が前方へ送り出され、同じく取外し手段Fの取外しローラー23、23に挟み込まれることによって、空気抜きをされつつ重ね型19より外される。この重ね型19より外された多重袋24は、図示してない移送手段により次の折り機の側へ送られても良いし、これも図示を省略した収容ケースに重ねて収容させることもできる。
【0037】
このようにして、チューブ状フィルムシート2aより袋6を連続的に製造しつつ、多重袋24を形成させ、この多重袋24を自動的に折り機へ送って折り畳むことにより、商品として流通経路へ乗せることのできる多重袋を自動的に製造させることが可能になる。
【0038】
尚、図7に示した多重袋24の仮止め部24bは、該多重袋24を例えばゴミ容器へ装着させて、内側の袋がいっぱいになると、このいっぱいになった袋だけを容易に分離させて取外し、次の空の袋がゴミ容器の中に残ることになるものである。このようにして、一度多重袋24をゴミ容器へ装着させると、その後数回は袋をゴミ容器へ装着させる手間が省けることから便利である。
【0039】
尚、以上の実施例は、図面からして袋6が単体として出来上ったものを重ね型19への装着させるものとして説明しているが、ここのところは、袋6が出来上がる前のまだチューブ状フィルムシート2aの状態のときに、多重袋とする工程が始まるように構成することもできる。即ち、取り出しローラー3、3でロール2より取り出されたチューブ状フィルムシート2aは、図示してない移送台上を移送ローラー7や8によって移送されて各開口ローター9に達し、その先端両側部がその進行方向に設けた開口手段Bを構成する各開口ローター9によって、その下側を吸着されつつ移送されるが、この際に同時にこれらの開口ローター9と間欠的に接触する開口手段Bを兼ねる移送手段Cの移送パッド10、10で、その上面側先端の両側部を吸着されつつ移送され、この移送途中で溶着カット手段Dでチューブ状フィルムシート2aを溶着し、カットするように構成することも可能である。
【0040】
さらに、製袋装置部で出来上がった袋を一旦図示してないテーブル上或は図示してない収容ケース内に積み重ね、この積み重ねた袋を1枚ごと各開口ローターと各移送パッドの間へ送り込み、上述したように多重袋を製造することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は以上のように構成したので、簡単な構成でとくにポリ袋の多重袋を自動的に製造できる製造装置として、好適に利用できるものである。
【符号の説明】
【0042】
A 製袋装置部
B 開口手段
C 移送手段
D 溶着カット手段
E 仮止め手段
F 取外し手段
1 多重袋の製造装置
2 ロール
2a チューブ状フィルムシート
3 取り出しローラー
4 溶着ローラー
5 カッター
6 袋
6a 開口部
7 移送ローラー
8 移送ローラー
9 開口ローター
91 固定支軸
92 駆動プーリー部
93 吸着プーリー部
94 固定部
95 連通穴
96 吸着孔
97 吸引連通孔
98 吸引チューブ
99 連通部
100 スリット
10 移送パッド
10a 吸引接着部
10b ガイド部
10c 縁部
11 駆動プーリー
11a 駆動支軸
12 従動プーリー
12a 固定支軸
13 エンドレスベルト
14 吸引パイプ
15 取付部材
15a バランサー
16 捩じりコイルスプリング
18 カム部材
19 重ね型
19a 気体流通路
19b 気体噴射孔
20 爪部材
21a 熱圧着腕部材
23 取外しローラー
24 多重袋
24b 仮止め部
25 支軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
製袋された袋を製袋装置部或は収容ケースより受け取り、この袋の先端を上下方向に吸着して開口させる開口手段と、この開口手段と対向する位置に先端を臨ませて上下方向へ揺動可能に設けた重ね型と、前記開口手段で開口された前記袋を吸着及び又は軟接着させて移送させ前記重ね型に装着させる移送手段と、前記袋を前記重ね型に入り子状に所定枚数装着させることによって形成された多重袋を各袋の開口部側において重なり合った状態で仮止めする仮止め手段と、前記重ね型によって入り子状に重ねられた多重袋を当該重ね型より自動的に取り外す取外し手段と、を含んで構成したことを特徴とする、多重袋の製造装置。
【請求項2】
製袋途中のチューブ状フィルムシートを製袋装置部から受け取り、このチューブ状フィルムシートの先端を上下方向に吸着して開口させる開口手段と、この開口手段と対向する位置に先端を臨ませて上下方向へ揺動可能に設けた重ね型と、前記開口手段で開口された前記チューブ状フィルムシートを吸着及び又は軟接着させて移送させ前記重ね型に装着させる移送手段と、前記開口手段乃至移送手段に前記チューブ状フィルムシートがあるときにその後端部を溶着しカットすることにより袋を作る溶着カット手段と、前記袋を前記重ね型に入り子状に所定枚数装着させることによって形成された多重袋を各袋の開口部側において重なり合った状態で仮止めする仮止め手段と、前記重ね型によって入り子状に重ねられた多重袋を当該重ね型より自動的に取り外す取外し手段と、を含んで構成したことを特徴とする、多重袋の製造装置。
【請求項3】
前記開口手段は、開口ローターと、エンドレスベルトに取り付けられ前記開口ローターの上を移動中のチューブ状フィルムシート或は袋の先端側を吸着及び又は軟接着させて開口させる移送パッドとで構成し、この移送パッドは同時に前記移送手段を構成することを特徴とする、請求項1乃至2のいずれか1項に記載の多重袋の製造装置。
【請求項4】
前記移送パッドは、前記エンドレスベルトに対して移動方向左右へ首振り可能に取り付けられており、前記開口ローターに接するときは内側へ首を振った状態で接し、離れるときに外側へ首を振るように構成したことを特徴とする、請求項3に記載の多重袋の製造装置。
【請求項5】
前記取外し手段は、前記重ね型の先端よりエアーを噴射させるエアー噴射手段と、このエアー噴射手段により重ね型より押し出された多重袋を挟んで当該重ね型から取り外す取外しローラーとで構成したことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の多重袋の製造装置。
【請求項6】
前記仮止め手段は、前記重ね型に設けられている熱圧着腕部材であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の多重袋の製造装置。
【請求項7】
複数枚の袋を入り子状に重ね、各袋の開口部側を互いに熱圧着することによって仮止めして成ることを特徴とする、多重袋。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−79188(P2011−79188A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−232433(P2009−232433)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【出願人】(506073041)
【Fターム(参考)】