説明

多重電源式の電気機器

電気機器(20)は、充電池パック(24)、使い捨て電池(40)が収容可能な電源カートリッジ(33)などの内蔵型電源を収容可能となっていて、ユーザは、充電池パック(24)に十分な電力がない場合には、使い捨て電池(40)が充填された電源カートリッジ(33)、または、水素などの燃料が入っている、取り外し式の燃料電池用カートリッジ(48)を備える燃料電池の電源カートリッジ(44)を、電気機器(20)に挿入して、電力を供給することができる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
様々な電気機器において、電源として充電池パックが利用されている。たとえば、電気ドリル、チェーンソー、その他の電力工具では、たいていの場合、電源とて充電池パックが用いられている。ユーザは、2つ以上の充電池パックを所有して、充電済みの充電池パックを取り付ける一方で、使用済みの充電池パックを再充電するようにしている。
【0002】
充電池パックは、その意図する目的のためには十分機能しているものの、十分に充電された交換用電池パックが利用できない場合がある。さらに、ユーザは、キャンプ場などにおいて、充電器用の電源が利用できない場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6586850号公報
【特許文献2】欧州特許出願公開第1347531号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/253500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以下、本発明を基本的に理解できるように、いくつかの実施形態の概要を示す。この概要は本発明の外延を概観するものではない。すなわち、本発明の主要な/必須の構成要素を特定することは意図されていない。その唯一の目的は、後述するいくつかの実施形態のより詳細な説明への導入として、本発明のいくつかの実施形態を簡単な形態で提示することにある。
【0005】
一実施形態によれば、電気機器は、複数の異なる内蔵型電源を受け入れる。一例として、電気機器は、充電池パックまたは使い捨て電池を収容可能に設計されている電源カートリッジを収容できる。ユーザは、充電池パックに残っている電力が十分でない場合に、使い捨て乾電池が装填された電源カートリッジを電気機器内に挿入することで、電力を供給することができる。
【0006】
一実施形態によれば、別の内蔵型電源カートリッジとして、燃料電池を備えるカートリッジが挙げられる。燃料電池の電源カートリッジは、取り外し可能な燃料電池用カートリッジを備え、この燃料電池用カートリッジには、水素などの燃料が入れられる。
【0007】
本発明の他の特徴は、以下の詳細な説明および図面により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、電気機器およびこの電気機器に挿入される電源カートリッジの側面斜視図である。
【図2】図2は、再充電のためにアダプタジャックが取り付けられた状態にある、図1の電源カートリッジの底面斜視図である。
【図3】図3は、図2の電源カートリッジを充電するためのAC/DCアダプタの側面斜視図である。
【図4】図4は、図2の電源カートリッジを充電するための12Vの車両用アダプタの側面斜視図である。
【図5】図5は、一実施形態による使い捨て電池を用いる電源カートリッジの側面斜視図である。
【図6】図6は、蓋が開いており、内部の電池が見える状態にある、図5の電源カートリッジの側面斜視図である。
【図7】図7は、一実施形態による燃料電池の電源カートリッジの側面斜視図である。
【図8】図8は、図7の燃料電池の電源カートリッジの分解側面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の記載において、本発明の種々の実施形態について説明する。この実施形態の十分な理解を図るために、特定の構成およびその細部について説明する。しかし、このような詳細な説明を参照しなくても、本発明を実施できることは当業者には明らかである。さらに、記述されている実施形態が曖昧とならないようにするため、周知の機構については説明が省略または簡略化される場合がある。また、たとえば「上」、「下」、「前」、「後」、「右」などの方向に関する記述がある場合でも、これらの記述はあくまでも理解を図るためのものであって、本発明を限定するものではない。
【0010】
一実施形態によれば、複数の異なる内蔵型電源またはカートリッジが、電気機器に収容可能で、かつ電気機器により使用できるように、構成されている。図示の実施形態において、電気機器はランタン20であるが、その他の電気機器に対しても本発明の機構を適用することができる。これらに限定されないが、電気ドリルやチェーンソーなどの電力工具において、本明細書に記載される複数の内蔵型電源を利用することができる。さらに、懐中電灯、携帯用冷蔵庫、携帯用扇風機、ポンプなどの携帯用電気機器においても、これらの複数の電源を利用することができる。
【0011】
本明細書において、「内蔵型」の電源カートリッジまたは電源とは、外部電源から切り離された状態で、自ら電気を供給できる電源カートリッジまたは電源をいう。すなわち、内蔵型電源は、電源を供給するためにACコンセントに接続しておく必要はない。
【0012】
図示の実施形態において、ランタン20は、充電池カートリッジ24などの電源カートリッジを収容するキャビティ22を備える。キャビティ22は、充電池カートリッジ24がキャビティ22内に差し込まれている場合に、充電池カートリッジ24の接点26と係合する接点(図示されないが、当該分野において公知である)を備える。
【0013】
充電池カートリッジ24を含めて、充電池カートリッジは公知であり、「充電池パック」と呼ばれることが多い。よって、その構成および構造についての詳細な説明は省略する。たとえば、SLA(密閉型鉛蓄電池)、NiMH(ニッケル水素電池)、NiCd(ニッケルカドミウム電池)、またはリチウムイオン電池が、充電池カートリッジ24に利用できる。
【0014】
充電池カートリッジ24の底面側が図2に図示されている。充電池カートリッジ24は、プラグ27およびライト28を備える。ライト28は、たとえば充電池カートリッジ24が十分に充電されている状態を表示するものである。プラグ27は、充電池カートリッジ24を充電するためのアダプタジャック30を受け入れるようになっている。たとえば、アダプタジャック30は、AC/DCアダプタ31(図3)、または12Vの車両用アダプタ32(図4)に取り付けられる。
【0015】
充電池カートリッジ24は、キャビティ22に嵌合するようになっており、スナップその他の手段により、キャビティ22内の所定位置にロックされる。別の実施形態では、充電池カートリッジ24は、電気機器の外側に取り付けられたり、電気機器のキャビティに嵌合する突出部を備えたりして、また、その他の手段により、電気機器に接続される。通常、充電池カートリッジ24は、電気機器の接点と係合する接点(たとえば、接点26)を備え、これらの接点を通じて、電気機器は充電池カートリッジから電力の供給を受ける。
【0016】
一実施形態によれば、図5および図6に示すように、使い捨て電池の電源カートリッジ33が、充電池カートリッジ24に代用できるものとして備えられる。好ましくは、使い捨て電池の電源カートリッジ33も、接点26と同様の接点を備える。また、好ましくは、使い捨て電池の電源カートリッジ33も、充電池カートリッジ24と同様または同一のサイズにして、ランタン20のキャビティ22内に嵌合できるようにする。充電池カートリッジ24にロック機構またはスナップ機構が設けられている場合には、使い捨て電池の電源カートリッジ33にも同様のロック機構またはスナップ機構を設けることが好ましい。
【0017】
図6に示されるように、使い捨て電池の電源カートリッジ33は、ヒンジ付きの蓋34を備える。ヒンジ付きの蓋34は、閉じてから、締め具36(図5)および/またはスナップ機構によって連結される。蓋34は、使い捨て電池の電源カートリッジ33用の区画38を閉じる。区画38は、使い捨て乾電池40(たとえば、4個の単1使い捨て電池)を収容できるように設計される。使い捨て電池の電源カートリッジ33は、1つを含む任意数の電池(1つだけの電池を含む)が収容できるように設計される。
【0018】
蓋34が閉じられると、区画38内の電池40は、従来からある電気回路により、使い捨て電池の電源カートリッジ33の外側にある接点へと接続される。さらに、必要に応じて、使い捨て電池の電源カートリッジ33は、使い捨て電池電源カートリッジ33からその外側にある接点へ供給される電流を調整するためのレオスタット、その他の適切なデバイスを備えることもできる。
【0019】
一実施形態において、使い捨て電池の電源カートリッジ33は、4つの使い捨て乾電池40により6Vの電圧を供給する。一実施形態において、6Vの電圧は、充電池カートリッジ24の通常の作動電圧に相当する。よって、充電池カートリッジ24を、ランタン20から取り出して、使い捨て電池の電源カートリッジ33と交換することにより、ランタン20自体を置き換える必要はなくなる。このように、ユーザは、すぐに利用可能な別の電源カートリッジを有することで、追加の充電池カートリッジ24を所有して、充電しておく必要がなくなる。ユーザは、充電池カートリッジ24を充電している間だけ、使い捨て電池の電源カートリッジ33を使用してもよい。あるいは、ユーザは、使い捨て電池の電源カートリッジ33を使い続け、必要に応じて、乾電池40を交換するようにしてもよい。さらに、ユーザは、電気機器に応じて(たとえばランタン20には)、乾電池40だけを使用することも選択できる。
【0020】
別の実施形態によれば、図7および図8に示すように、燃料電池の電源カートリッジ44も、電気機器(たとえば、ランタン20)に利用できる。燃料電池の電源カートリッジ44は、その内部に取り付けられた燃料電池(図示せず)を有するハウジング46を備える。公知であるが、燃料電池は、電気化学的変換装置であり、(アノード側の)外部から供給される多量の様々な燃料と(カソード側の)酸化剤とにより電力を生成する。これらは、電解質の存在下で反応する。燃料電池は、必要なフローが維持されている限り、実質的に連続的に作動することができる。
【0021】
図示の実施形態において、燃料電池は、詰め替え可能な燃料電池用カートリッジ48により、燃料の供給を受ける。この詰め替え可能な燃料電池用カートリッジ48には、たとえば、燃料電池の電源カートリッジ44に供給される水素燃料が入れられている。詰め替え可能な燃料電池用カートリッジ48は、たとえば、高分子電解質膜(PEM)型燃料電池において典型的な水素、または直接メタノール型燃料電池(DMFC)において典型的なメタノール/水混合物を保存するための金属水素化物カートリッジである。
【0022】
図示の実施形態において、燃料電池の電源カートリッジ44は、ランタン20のキャビティ22内に配置され、ランタン用の電力を供給する。このように、燃料電池の電源カートリッジ44は、電気機器(たとえば、ランタン20)のための代替電源を提供しうる。
【0023】
その他の電源、たとえばAC電源(たとえば、プラグ)に直接接続されたカートリッジなども備えていてもよい。しかしながら、本明細書に記載した内蔵型電源の利点は、AC電源につないでおく必要がなく、この内蔵型電源を用いた電気機器を十分に携帯可能とすることができる点にある。
【0024】
さらに、一実施形態によれば、電気機器(たとえば、ランタン20)は、異なるサイズのカートリッジおよび/または電源を収容できるようにしてもよい。一例として、ランタン20は、キャビティ22とは別に、使い捨て乾電池を直接収容できるサイズの開口部を備えるようにしてもよい。あるいは、キャビティ22を、使い捨て乾電池を直接収容できるようなサイズとしてもよい。
【0025】
その他の変形例についても、本発明の範囲内にある。本発明において、種々の改良や代替的な構成を採ることができるが、特定の実施形態についてのみ図示して、詳細に説明を行った。しかしながら、本発明は開示された特定の形態に限定されることなく、本発明は、特許請求の範囲において定義される本発明の範囲内にある改良、代替構成、および均等物のすべてを包含すると理解されるべきである。
【0026】
本発明を説明する文脈において、特に、特許請求の範囲の解釈において、冠詞その他の指示語が用いられている場合、本明細書において注記されているか、文脈から明らかに違うと理解される場合を除いて、単数または複数の両方を対象とするものとして解釈されるべきである。「〜からなる」、「有する」、「含む」、「備える」などの用語は、その他に明記されていない限り、非制限的な用語(すなわち「〜を含む、ただし、これ(ら)に限定されない)」)として解釈されるべきである。「接続された」、「取り付けられた」、「連結された」などの用語は、部分的または全体的に内蔵されるか、取り付けられるか、または相互に連結されている(何らかの介入物がある場合を含む)ものとして解釈されるべきである。本明細書に記載される値の範囲は、その他に明記されていない限り、当該範囲内の個別の値を個々に記載する代わりの簡単な記載法によるものであり、個別の値は、本明細書において個々に記載されているのと同様に本明細書に組み込まれているものとする。本明細書に記載される方法のすべては、その他に明記されていないか、文脈から明らかに違うと理解される場合を除いて、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書における例示的な用語(たとえば、「など」)は、その他に明記されていない限り、本発明の実施形態をより明らかにすることのみを意図したものであり、本発明の範囲を制限するためのものではない。本明細書におけるいかなる記載も、本発明の実施に不可欠な発明特定事項を示しているものと解釈されるべきでない。
【0027】
本明細書中、本発明者らが知っている本発明の実施に最適な実施形態を含む本発明の好適な実施形態について説明を行っている。当業者であれば、上記記載を読めば、これらの好適な実施形態の改良について想起することができる。本発明者らは、当業者がこのような改良を適切になすことを期待しており、また、本明細書に具体的に記載されたものとは異なる態様で本発明が実施されることも意図している。したがって、本発明は、適用される法律によって許容される範囲において、本明細書に添付された請求項に記載された主題の改良および均等物のすべてを包含するものである。さらに、すべての可能な変形例における上述した要素のあらゆる組み合わせも、その他に明記されていない限り、または文脈から明らかに違うと理解される場合を除いて、本発明に包含されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力接点を備えるキャビティと、
第1の接点を備え、前記キャビティに嵌合可能で、嵌合時に該第1の接点が前記電力接点に接続し、電力を供給する、充電池と、
第2の接点を備え、使い捨て電池が収容可能で、かつ、前記キャビティに嵌合可能で、嵌合時に第2の接点が前記電力接点に接続し、電力を供給する、電源カートリッジと、
を備える、電気機器。
【請求項2】
燃料電池および第3の接点を備え、前記キャビティに嵌合可能で、嵌合時に該第3の接点が前記電力接点に接続し、電力を供給する、燃料電池の電源カートリッジをさらに備える、請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記電源カートリッジは、複数の使い捨て乾電池を収容する区画を備える、請求項1に記載の電気機器。
【請求項4】
前記キャビティは、該キャビティに設けられた第1のロック機構を備え、前記充電池および電源カートリッジはそれぞれ第2のロック機構を備え、該第1のロック機構および第2のロック機構は、協働して、該充電池および電源カートリッジのそれぞれを該キャビティ内に解放可能にロックする、請求項1に記載の電気機器。
【請求項5】
電力接点を備え、充電池パックを収容可能なキャビティを備える電気機器用の電源であって、
該電源は、第2の接点を備え、使い捨て電池が収容可能で、かつ、前記キャビティに嵌合可能で、嵌合時に該第2の接点が前記電力接点に接続し、前記電気機器に電力を供給する、電源カートリッジからなる電源。
【請求項6】
前記電源カートリッジは、複数の使い捨て乾電池を収容する区画を備える、請求項5に記載の電源。
【請求項7】
前記電気機器のキャビティは、該キャビティに設けられた第1のロック機構を備え、該第1のロック機構は、前記充電池パックの第2のロック機構を利用して、該キャビティ内に前記充電池パックを解放可能にロックするようになっており、前記電源カートリッジは、第2のロック機構を備える、請求項5に記載の電気機器。
【請求項8】
電力接点を備え、充電池パックを収容可能なキャビティを備える電気機器用の電源であって、
該電源は、燃料電池および第3の接点を備え、前記キャビティに嵌合可能で、嵌合時に該第3の接点が前記電力接点に接続し、前記電気機器に電力を供給する、燃料電池の電源カートリッジからなる電源。
【請求項9】
前記燃料電池の電源カートリッジは、詰め替え可能な燃料電池用カートリッジを備える、請求項8に記載の電源。
【請求項10】
前記詰め替え可能な燃料電池用カートリッジは、水素を貯蔵する、請求項9に記載の電源。
【請求項11】
前記電気機器のキャビティは、該キャビティに設けられた第1のロック機構を備え、該第1のロック機構は、前記充電池パックの第2のロック機構を利用して、該キャビティ内に前記充電池パックを解放可能にロックするようになっており、前記燃料電池の電源カートリッジは、第2のロック機構を備える、請求項8に記載の電源。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−532153(P2010−532153A)
【公表日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515107(P2010−515107)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/068292
【国際公開番号】WO2009/003083
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(593107454)ザ・コールマン・カンパニー・インコーポレイテッド (44)
【氏名又は名称原語表記】THE COLEMAN COMPANY, INC.
【Fターム(参考)】