説明

大型ダンプトラック

【課題】大型ダンプトラックにおける運転者の顔画像を明瞭に撮影できる大型ダンプトラックを提供すること。
【解決手段】ボディと、ボディの前方上部であって、車幅方向の一方側に寄って載置されたキャブとを備えた自走式の大型ダンプトラックであって、キャブ内には、運転者が前方を向いて着座する運転席と、運転席の正面位置で回転操作されるハンドルと、ハンドルより前方で、かつ該ハンドルの回転中心よりも車幅方向の他方側に寄せて配置される赤外線カメラ21とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型ダンプトラックに係り、例えば鉱山等で使用される大型ダンプトラックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラックやバスなどの運転室内において、運転者の顔画像を撮影するためのカメラ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。トラックやバスの運転者は、座席に着座した姿勢のまま正面を向いて運転することから、カメラ装置は、運転席およびハンドルの前方であって、運転者の正面に配置され、カメラ装置で撮影された顔画像から、例えばまばたき具合を判断し、運転者が居眠りしつつあることが検知される。
【0003】
ところで、作業車両としての鉱山作業用の大型ダンプトラックでは、その車幅が特許文献1等で想定している車両の車幅よりも格段に大きく、車高も格段に高い。近年では、このような大型ダンプトラックにおいても、キャブ内で操縦する運転者の居眠りを防止する装置が設けられることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−189230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、大型ダンプトラックの運転者を従来のようなカメラ装置を用いて撮影したのでは、顔画像を正確に撮像できず、居眠り検知の信頼性が低下するという問題がある。これは、従来のトラックやバスは、一般道を走行する車両であり、鉱山等で使用される大型ダンプトラックと比較すると小型車両に過ぎないため、大型ダンプトラックに特有な運転状況が全く考慮されていないことによると考えられる。
【0006】
本発明の目的は、運転者の顔画像を明瞭に撮影できる大型ダンプトラックを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る大型ダンプトラックは、ボディと、前記ボディの前方上部であって、車幅方向の一方側に寄って載置されたキャブと、前記ボディの後方上部に載置されたベッセルとを備えた大型ダンプトラックにおいて、前記キャブ内には、運転者が前方を向いて着座する運転席と、運転席の正面位置で回転操作されるハンドルと、前記ハンドルより前方で、かつ該ハンドルの回転中心よりも車幅方向の他方側に寄せて配置される撮像装置とが設けられていることを特徴とする。
【0008】
第2発明に係る大型ダンプトラックでは、前記ボディには、前記キャブへ昇降するためのラダーが設けられ、前記撮像装置は、前記運転者を仰角にて撮像することを特徴とする。
【0009】
第3発明に係る大型ダンプトラックでは、前記キャブ内には、前記ハンドルより前方で、かつ該ハンドルに対して車幅方向の両側に位置するとともに、少なくとも一部の照射光を前記ハンドルの外側を通過させて前記運転者の顔に照射する少なくとも左右一対の照明装置が設けられていることを特徴とする。
【0010】
第4発明に係る大型ダンプトラックでは、前記キャブ内には、前記ハンドルの前方に配置されたダッシュボードを構成するダッシュカバーが設けられ、前記ダッシュカバーには、車幅方向に沿った所定長さを有する支持部材の両側が固定され、前記支持部材には、前記撮像装置および前記照明装置の両方が支持されていることを特徴とする。
【0011】
第5発明に係る大型ダンプトラックでは、前記撮像装置は、撮像位置を調整自在に設けられた撮像位置調整手段を介して前記支持部材に支持され、前記照明装置は、照射位置を調整自在に設けられた照射位置調整手段を介して前記支持部材に支持されていることを特徴とする。
【0012】
第6発明に係る大型ダンプトラックでは、前記支持部材には、前記撮像位置調整手段が着脱自在に取り付けられる台座、および前記照射位置調整手段が着脱自在に取り付けられる台座がそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
図8に示すように、車幅が格段に大きい大型ダンプトラック1では、運転席が設けられているキャブ3は、車幅方向の車幅中心Cに対して一方側、すなわち対面通行での路肩S側に大きく寄せて配置されている。これは、センターラインが存在しない鉱山道を大型ダンプトラック1で走行する場合、大きな車幅であっても路肩Sとの距離L1を容易に確認できるようにするためであり、路肩との距離L1を確認しながら走行することで、車幅が大きい大型ダンプトラック1同士のすれ違い時の距離L2を確実に確保するとともに、十分に整備されていない路肩Sの岩や盛土に車体が接触するのを防止しているのである。
【0014】
そのような大型ダンプトラック1では、キャブ3が路肩S側に大きく寄せて配置されているため、大型ダンプトラック1における運転者の位置と、一般道路を走行するトラックやバスにおける運転者の位置とは大きく異なる。この結果、大型ダンプトラック1の運転者の視線は、路肩S側から仮想的なセンターラインCL(図8)側に向けられることになり、車幅の大きな大型ダンプトラック1が走行する鉱山道の道幅は、やはり一般道とは比較にならないほど大きいことから、視線を維持するために運転者は、顔の向きそのものを正面に対してセンターラインCL側に向けておくことになる。
【0015】
このように、大型ダンプトラック1での特有な状況を鋭意調査した結果、本発明の発明者等によれば、大型ダンプトラック1を運転中の運転者の顔は、着座位置に対して正面を向いていないことが多く、このため、運転者に対して正面に配置されるような従来のカメラ装置では、運転者の顔画像を明瞭に撮影できず、運転者の居眠り検知の信頼性が低下することを突き止めた。
【0016】
つまり、車幅が格段に大きい大型ダンプトラック1のように、キャブ3が車幅方向の一方側である例えば路肩S側に大きく寄せて配置されている場合、また、そのような大型ダンプトラック1で道幅の大きな道路を走行する場合にあっては、キャブ3内の運転者の姿勢そのものは正面を向いているが、運転者の顔としては正面ではなく、通行する道路のセンターラインCL(実際にセンターラインが存在するか否かは不問)側、すなわち車幅方向の他方側を向く傾向がある。
【0017】
従って、以上の知見に基づけば、第1発明のように、撮像装置を運転者の正面にあるハンドルの回転中心よりも、車幅方向の他方側に寄せて配置することで、運転者の顔については該撮像装置によって正面から撮影されることになり、撮影を明瞭にできて、居眠り検知等の信頼性を向上させることができる。
【0018】
また、大型ダンプトラックのキャブは、ラダーを用いて昇降する程に高所の位置に配置されているので、運転中の運転者は高所から路上を見下ろすかっこうとなる。このため、第2発明のように、撮像装置により運転者を仰角で撮像すれば、運転者の下向き加減な顔をも明瞭に撮像でき、居眠りの判定率をさらに向上させることができる。
【0019】
第3発明によれば、運転者の顔を撮影するに際して、その顔を左右から照射する照明装置を設けるので、撮影を一層明瞭にできる。しかも、照明装置からの照射は、ハンドルの外側を通過して行われるので、ハンドルの影が顔にかかることがなく、より確実な照射および撮影を実現できる。
【0020】
第4発明によれば、車幅方向に沿った所定長さの支持部材の両側をダッシュカバーに堅固に固定することから、支持部材の剛性を十分に確保できて、走行中に支持部材が単独で振動したり揺れたりせず、撮像装置および照明装置を良好に支持でき、運転者の顔に確実に対応させておくことができる。
【0021】
第5発明によれば、撮像装置および照明装置をそれぞれ、撮像位置調整手段および照射位置調整手段を介して支持部材に支持させるため、運転者の身長の違い等により顔の位置が変わっても、各調整手段を用いることで、運転席に着座した運転者の顔の位置に合わせて撮像位置および照射位置を容易に調整でき、使い勝手を良好にできる。
【0022】
第6発明によれば、支持部材に台座を設け、このような台座に各位置調整手段を着脱自在に取り付けるので、撮像装置や照明装置について仕様が異なるものと交換したい場合には、その仕様に応じた位置調整手段ごと交換できる。従って、撮像手段や照明手段を新たな仕様のものと交換したいが、もともとある位置調整手段にうまく取り付けることができない、といった不具合を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る大型ダンプトラックの全体を示す斜視図。
【図2】キャブの内部を示す平面図。
【図3】ダッシュカバー上の支持部材、赤外線カメラ、赤外線ランプの配置を示す全体斜視図。
【図4】図2に示す赤外線カメラを示す拡大図で、(A)は赤外線カメラを台座上に載置した図、(B)は赤外線カメラをスペーサを介して台座上に載置した図。
【図5】図2に示す赤外線ランプを示す拡大図で、(A)は赤外線ランプを台座上に載置した図、(B)は赤外線ランプをスペーサを介して台座上に載置した図。
【図6】赤外線カメラおよび赤外線ランプの運転者に対する撮像領域および照射領域を示す図で、(A)は平面図、(B)は側面図。
【図7】ダッシュカバー上の支持部材、赤外線カメラ、赤外線ランプの配置の変形例を示す斜視図。
【図8】本発明を創出するに至った調査状況を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明において、前後左右方向とは、運転者が図2に示す運転席301に着座した状態における前後左右方向と同一方向をいう。また、左右方向と車幅方向とは同義である。
【0025】
図1に示す大型ダンプトラック1は、フレーム構造を有したボディ2を備え、ボディ2の前方上部にはキャブ3が搭載され、ボディ2の後方上部には、例えば採掘された岩石や土砂等の積載物を積載するベッセル4が設けられている。
ボディ2には、前後左右に4つの走行輪5が取り付けられている。走行輪5は、図示しない駆動源からの駆動力によって駆動される。
ボディ2の前面には、高所に配置されたキャブ3と地上との間で昇降を行うためのラダー7が左右に設けられている。また、ボディ2の上部おいて、キャブ3回りに設けられた歩行可能エリア等には手摺8が取り付けられ、車幅方向(車両の左右方向)の両端に対応した位置の手摺8にはサイドミラー9が取り付けられている。
【0026】
キャブ3は、ボディ2の前方上部であって、車幅方向(車両の左右方向)の左端側に寄せて載置され、その内部には、図2に示すように、運転者が着座する運転席301が左側に配置され、運転席301の右側には補助席303が並んで配置されている。つまり、大型ダンプトラック1では、車幅方向の左寄りに寄せられたキャブ3の内部においても、さらに左寄りに運転席301が配置されている。このようは配置により、対面通行時に左車線を走ることになる本実施形態の大型ダンプトラック1では、運転者は左側の路肩を確実に確認でき、確認しながらの走行を容易にできる。キャブ3内には、運転席301の前方正面にハンドル302が配置され、運転席301と補助席303との間にベッセル4の傾倒操作を行うベッセルレバー304が設けられている。
【0027】
また、本実施形態のキャブ3では、前側の左右一対の支柱フレーム305、および後側の左右一対の支柱フレーム306を有したROPS(Roll Over Protective Structure)フレーム307が採用されている。さらにキャブ3は、下面前側に設けられた左右一対のキャブマウント308、および背面下部側に設けられた左右一対のキャブマウント309を介してボディ2のフレームに搭載されている。
【0028】
ベッセル4は、図示しないホイストシリンダを介してボディ2の後方上部に載置され、ホイストシリンダを伸縮させることにより、下側を回動中心として、ボディ2に対して回動可能に取り付けられている。
【0029】
図3ないし図6に示すように、キャブ3内において、運転席301およびハンドル302の前方にはダッシュボード6が設けられ、そのダッシュボード6の上側は合成樹脂のダッシュカバー61で構成されている。ダッシュカバー61には、撮像装置としての赤外線カメラ21、照明装置としての2つの赤外線ランプ22,23、運転者へ自身の居眠りの状況を知らせる警告パネル24、および車幅方向に沿った所定長さを有してそれらを支持する支持部材10が設置されている。
【0030】
先ず、支持部材10は、金属製のパイプで形成されており、車幅方向に沿って水平方向に延びる水平部11と、水平部11の両端からダッシュカバー61に向けて下方に屈曲した一対の立設部12A,12Bと、水平部11の左右端部近傍であって立設部12A,12Bよりも内側の位置から前方に向けて突出し、かつダッシュカバー61に向けて下方に屈曲した1対の脚部13A,13Bとを備え、ハンドル302の上端302Aよりも低い位置に配置される。
【0031】
水平部11と立設部12A,12Bとを合わせた左右方向の長さは、ハンドル302の径寸法よりも長く、着座した運転者から見た場合、水平部11の端部や立設部12A,12Bは、ハンドル302の左右両側に位置するようになっている。
立設部12A,12Bの底部がダッシュカバー61に取り付けられ、同様に脚部13A,13Bの底部がダッシュカバー61に取り付けられている。従って、水平部11は立設部12A,12Bおよび脚部13A,13Bを介して、ダッシュカバー61の上面62に対して所定距離上方に離れた位置に配置される。各底部の中心にはボルト穴が設けられており、ダッシュカバー61の裏側から挿通されるボルトにより、底部がダッシュカバー61上に固定される。
【0032】
水平部11の長手方向中央よりも右側、つまりハンドル302の回転中心Pよりも右側には、赤外線カメラ21を載置する台座14が設けられている。
台座14は、水平な上面部141と、左側部142と、右側部143と、前面部144とから構成され、後方側が開放されている。左側部142と右側部143とには、それぞれ水平部11の外周面に対応した略半円形状の嵌合部145が形成されている。この嵌合部145が水平部11の外周面に嵌合し、溶接等の固着手段にて固定されることで、台座14が水平部11に取り付けられている。
水平部11の左右の端部にはそれぞれ、赤外線ランプ22を載置する水平板状の左側台座15Aおよび右側台座15Bが、やはり溶接等の固定手段により固定されている。各台座15A,15Bの先端は、立設部12A,12Bに向かって延設されている。
【0033】
図4(A)に示すように、赤外線カメラ21は、第1撮像位置調整手段としてのコの字形状のブラケット31に支持されており、このブラケット31は、ボルト等により台座14に着脱自在に取り付けられている。
具体的にブラケット31は、台座14の上面部141に載置される取付部311と、取付部311の左右両側に立設された立上片312とを有しており、取付部311から上方に浮いた状態で一対の立上片312間に赤外線カメラ21が取り付けられている。この際、立上片312における赤外線カメラ21側面の軸支部分を回動中心として、赤外線カメラ21が矢印A方向(図4(A)中上下方向)に回動可能になっている。この構造により、運転者の顔の位置に合わせて赤外線カメラ21の角度を調整可能となっている。調整後の位置は、例えば軸支部分での摩擦により保持される。
【0034】
また、取付部311は、台座14に対して一対のボルト313にて固定されている。取付部311に設けられたボルト挿通孔314の一方は、円弧状の長孔とされている。この構造により、他方のボルト挿通孔に挿通されたボルト313を回動軸として、ブラケット31が台座14に対して矢印B方向(図4(A)中左右方向)に回動可能とされ、やはり運転手の顔の向きに合わせて赤外線カメラ21の位置調整が可能である。
【0035】
さらに、図4(B)に示すように、台座14とブラケット31との間に第2撮像位置調整手段としての直方体形状のスペーサ32を介在させることにより、赤外線カメラ21の高さ位置(図4中上下方向の位置)を運転者の顔の位置に合わせて調整することも可能である。
【0036】
このようなブラケット31を介して台座14に取り付けられた赤外線カメラ21は、図6に示すように、運転者の正面に位置するハンドル302の前方で、かつハンドル302の回転中心Pよりも右側に寄せて配置されており、運転者の顔を仰ぎながら仰角にて撮影する。ただし、キャブ3が車幅方向の左端側に大きく寄せて配置され、しかもキャブ3内でもさらに運転席301が左側に寄せて配置されていることから、運転者はその顔を右側に向けた状態に維持しながら大型ダンプトラック1を走行させるため、右側に向いた運転者の顔は、右側に配置された赤外線カメラ21によって正面から撮影されることになる。また、キャブ3が高所に位置していることで、運転者は路上を確認するように幾分下方を向いて走行させるので、下側から上側に向けた仰角にて運転者の顔がより明瞭に撮影される。
【0037】
一方の赤外線ランプ22は、ハンドル302の回転中心Pよりも左側に位置し、他方の赤外線ランプ23は、ハンドル302の回転中心Pよりも右側に位置している。
【0038】
図5(A)に示すように、赤外線ランプ22は、第1照射位置調整手段としてのコの字形状のブラケット33に支持されており、このブラケット33は、ボルト等によって左側台座15Aに着脱自在に取り付けられている。
具体的にブラケット33は、左側台座15Aに載置される取付部331と、取付部331の左右両側に立設された立上片332とを有しており、取付部331から上方に浮いた状態で一対の立上片332間に赤外線ランプ22が取り付けられている。この際、立上片332における赤外線ランプ22の軸支部分を回動中心として矢印A方向(図5(A)中上下方向)に回動可能になっている。この構造により、運転者の顔の位置に合わせて、赤外線ランプ22の位置を調整でき、光の照射角度を調整可能となっている。調整後の位置は、撮像位置調整手段と同様に、例えば軸支部分の摩擦によって保持される。
【0039】
また、図5(B)に示すように、左側台座15Aとブラケット33との間に第2照射位置調整手段としての直方体形状のスペーサ35を介在させることにより、赤外線ランプ22の高さ位置(図5中上下方向の位置)を運転者の顔の位置に合わせて調整可能となっている。
なお、赤外線ランプ23も第1照射位置調整手段としてのコの字形状のブラケット34に支持されており、右側台座15B上への取り付けられ方も赤外線ランプ22と同様である。よって、詳細な説明は省略する。
【0040】
このようなブラケット33,34を介して各台座15A,15Bに取り付けられた赤外線ランプ22,23は、図6に示すように、運転者の正面に位置するハンドル302の前方で、かつハンドル302の左右両側において、運転者の顔を仰ぎながら照射するように配置される。赤外線ランプ22,23から照射される光の大部分は、ハンドル302の外側を通過することになり、ハンドル302に遮られることなく、撮像に十分な程度に運転者の顔に向けて照射される。
【0041】
警告パネル24は、グリーン、イエロー、レッド等のLED表示により、運転者に自身の居眠り状況を知らせるパネルである。図示しないコントローラは、撮像された画像の画像データに基づいて運転者のまばたき具合を検出するとともに、居眠り状況を判断し、その判断結果に基づいた表示信号を警告パネル24に出力し、状況に応じたLEDを点灯させる。警告パネル24は、ブザー等の音声出力も可能であり、居眠りしていると判断された場合は、レッドのLEDが点灯し、ブザーによる警告が行われる。そして、警告パネル24では、キャンセルボタンによりブザー等を停止させる構成になっている。
【0042】
以上の本実施形態によれば、赤外線カメラ21と赤外線ランプ22,23とが、支持部材10を介してダッシュカバー61上に上述したような位置に配置されているため、図6に示すように、運転席301に着座した運転者の顔は、ハンドル302の回転中心Pに対して左側の赤外線ランプ22の光線22Aと、右側の赤外線ランプ23の光線23Aとで照らされ、右側の赤外線カメラ21によって図6中21Aで示す範囲および角度で撮影される。従って、前述したように、右側を向きつつ下向き加減になっている運転者の顔を、赤外線カメラ21によってその正面からで、かつ仰角で明瞭に撮影できる。その結果、コントローラでは、撮像された画像に基づいて運転者のまばたき具合が検出され、運転者の居眠りが高い信頼性を有して判定されることになる。
【0043】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、運転者の顔の位置が下方にある場合には、前記実施形態のように、赤外線ランプ22,23を台座15A,15B上に載置してブラケット33,34を利用して赤外線ランプ22,23の角度を調整しただけでは、赤外線ランプ22,23によって運転者の顔を照らせない場合がある。
【0044】
そこで、図7に示すように、赤外線ランプ22,23を、ブラケット33,34を介して台座15A,15Bの下面に取り付ける。この配置によって、下方にある運転者の顔を赤外線ランプ22,23で良好に照らすことができる。また、図3に示した場合と同様に、ブラケット33,34を利用することで、運転者の顔の位置に合わせて赤外線ランプ22,23による光の照射角度を調整してもよい。
【0045】
さらに、台座15A,15Bの下面とブラケット33,34との間に、図4(B)および図5(B)に示すようなスペーサ35を介在させることによって、赤外線ランプ22,23の高さ位置(図7中上下方向の位置)を、運転者の顔の位置に合わせてさらに下方に調整してもよい。
【0046】
前記実施形態では、赤外線ランプは左右に1つずつ設けられていたが、運転者の顔を良好に照射できれば、その数や配置位置は任意であり、前記実施形態に限定されない。
前記実施形態では、支持部材10は、立設部12A,12Bおよび脚部13A,13Bを介して、左右両側がダッシュカバー61に取り付けられているものとして説明したが、赤外線カメラ21、赤外線ランプ22,23を独立して支持する支持部材を個別に用意し、各支持部材にそれぞれを取り付けた状態にして、各支持部材をダッシュカバー61の所定位置に取り付けてもよい。
【0047】
前記実施形態では、スペーサ32は直方体形状として説明したが、例えば上面が傾斜した形状のものであってもよい。このような形状のスペーサを用いても、赤外線カメラ21や赤外線ランプ22,23の角度を調整可能である。
【0048】
前記実施形態では、赤外線カメラ21および赤外線ランプ22,23がブラケット31,33,34および台座14,15A、15Bを介して支持部材10に取り付けられ、支持されていたが、ブラケット31,33,34を直接支持部材10に取り付けて台座14,15A,15Bを省いた場合や、赤外線カメラ21および赤外線ランプ22を直接台座14,15A,15Bに取り付けてブラケット31,33,34を省いた場合でも、本発明に含まれる。
【0049】
前記実施形態では、赤外線ランプ22,23が設けられていたが、そのような照明装置は、必要に応じて設けられればよく、例えば高感度対応の撮像装置を用いることにより照明装置が不要な場合には、省略可能である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、鉱山等で用いられる大型ダンプトラックに利用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1…大型ダンプトラック、2…ボディ、3…キャブ、4…ベッセル、6…ダッシュボード、10…支持部材、11…水平部、12A,12B…立設部、13A,13B…脚部、14…台座、15A…左側台座、15B…右側台座、21…撮像装置である赤外線カメラ、22,23…照明装置である赤外線ランプ、31…撮像位置調整手段であるブラケット、32…撮像位置調整手段であるスペーサ、33,34…照射位置調整手段であるブラケット、35…照射位置調整手段であるスペーサ、61…ダッシュカバー、301…運転席、302…ハンドル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディと、
前記ボディの前方上部であって、車幅方向の一方側に寄って載置されたキャブと、
前記ボディの後方上部に載置されたベッセルとを備えた
大型ダンプトラックにおいて、
前記キャブ内には、
運転者が前方を向いて着座する運転席と、
運転席の正面位置で回転操作されるハンドルと、
前記ハンドルより前方で、かつ該ハンドルの回転中心よりも車幅方向の他方側に寄せて配置される撮像装置とが設けられている
ことを特徴とする大型ダンプトラック。
【請求項2】
請求項1に記載の大型ダンプトラックにおいて、
前記ボディには、前記キャブへ昇降するためのラダーが設けられ、
前記撮像装置は、前記運転者を仰角にて撮像する
ことを特徴とする大型ダンプトラック。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の大型ダンプトラックにおいて、
前記キャブ内には、前記ハンドルより前方で、かつ該ハンドルに対して車幅方向の両側に位置するとともに、少なくとも一部の照射光を前記ハンドルの外側を通過させて前記運転者の顔に照射する少なくとも左右一対の照明装置が設けられている
ことを特徴とする大型ダンプトラック。
【請求項4】
請求項3に記載の大型ダンプトラックにおいて、
前記キャブ内には、前記ハンドルの前方に配置されたダッシュボードを構成するダッシュカバーが設けられ、
前記ダッシュカバーには、車幅方向に沿った所定長さを有する支持部材の両側が固定され、
前記支持部材には、前記撮像装置および前記照明装置の両方が支持されている
ことを特徴とする大型ダンプトラック。
【請求項5】
請求項4に記載の大型ダンプトラックにおいて、
前記撮像装置は、撮像位置を調整自在に設けられた撮像位置調整手段を介して前記支持部材に支持され、
前記照明装置は、照射位置を調整自在に設けられた照射位置調整手段を介して前記支持部材に支持されている
ことを特徴とする大型ダンプトラック。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の大型ダンプトラックにおいて、
前記支持部材には、前記撮像位置調整手段が着脱自在に取り付けられる台座、および前記照射位置調整手段が着脱自在に取り付けられる台座がそれぞれ設けられている
ことを特徴とする大型ダンプトラック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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