説明

大型ペリクル用枠体、大型ペリクル及び大型ペリクル用枠体の製造方法

【課題】枠体の製造容易性を確保しつつ露光有効面積の縮小を抑制する。
【解決手段】略矩形状に形成されて大型ペリクル膜3を展張支持する大型ペリクル用枠体2を構成する長辺2a,2bの一部に、外側に向けて屈曲した屈曲部10a,10bを形成する。このように、長辺2a,2bの一部を屈曲させるという簡易な方法により屈曲部10a,10bを形成できるとともに、展張した大型ペリクル膜3の張力により大型ペリクル用枠体2の辺が内側に撓んだとしても、大型ペリクル用枠体2の内側に入り込む辺の最大変位量を小さくすることができるため、製造容易性を確保しつつ露光有効面積の縮小を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばIC(Integrated Circuit:集積回路)、LSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)、TFT型LCD(ThinFilm Transistor,Liquid Crystal Display:薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ)等の半導体装置を製造する際のリソグラフィー工程で使用されるフォトマクスやレティクルに異物が付着することを防止するために用いる大型ペリクル用枠体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体回路パターン等の製造においては、フォトマスクやレティクルの両面側にペリクルと称する防塵手段を配置して、フォトマスクやレティクルへの異物の付着を防止することが行われている。
【0003】
ペリクルの一般的な構造としては、金属、セラミックス、またはポリマー製の枠体の片側に、ポリマーまたはガラス等の透明な薄膜を貼り付け、その反対側に、マスクに貼り付けるための貼着剤層(粘着材)を設けたものが挙げられる。例えば、ペリクルは、フォトマスクやレティクルの形状に合わせた形状を有する厚さ数ミリ程度の枠体の一方の縁面に、厚さ10μm以下のニトロセルロースまたはセルロース誘導体等の透明な高分子膜から成るペリクル膜を展張して接着し、且つ枠体の他方の縁面に粘着材を介してフォトマスクやレティクルの表面に貼着している。
【0004】
フォトマスクやレティクルの表面に異物が付着した場合、その異物が半導体ウエハ上に形成されたフォトレジスト上に結像して回路パターン欠陥の原因となるが、フォトマスクやレティクルの少なくともパターン面にペリクルを配置した場合、ペリクルの表面に付着した異物はフォーカス位置がずれるため、半導体ウエハ上に形成されたフォトレジスト上に結像することがなく、回路パターンに欠陥を生じさせることがない。
【0005】
また、近年では、各種のマルチメディアの普及により、高画質、高精細表示が可能な大型のカラーTFTLCDのフォトリソグラフィ工程で使用される大型のフォトマスクに適用できる大型ペリクルが要望されている。
【0006】
このような大型のペリクルにあっては、展張されたペリクル膜の張力により枠体が内側に撓みやすくなり、露光有効面積が小さくなるという問題がある。そこで、特許文献1及び2では、大型ペリクル用枠体の長辺を外側に湾曲した太鼓状としておき、展張したペリクル膜の張力により大型ペリクル用枠体の辺が直線状になるようにすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4004188号公報
【特許文献2】特許第4043232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1及び2のように、大型ペリクル用枠体の辺全体を曲線状に湾曲させるのは技術的に難しいため、大型ペリクル用枠体の製造容易性が大きく低下するという問題がある。また、寸法精度よく湾曲させるのは技術的に難しいため、バラツキによっては、大型ペリクル膜を展張後にコーナー付近に若干の湾曲部が残る可能性がある。このため、湾曲部の大きさによってはマウンターの貼り付け時に湾曲部を押さえ込む可能性があり、膜シワや異物発生の恐れがでてくる。
【0009】
そこで、本発明は、製造容易性を確保しつつ露光有効面積の縮小を抑制することができ、コーナー付近に大きな湾曲部が残らない大型ペリクル用枠体及び大型ペリクルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る大型ペリクル用枠体は、略矩形状に形成されて大型ペリクル膜を展張支持する大型ペリクル用枠体であって、当該大型ペリクル用枠体を構成する辺の一部に、外側に向けて屈曲した屈曲部が形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る大型ペリクル用枠体によれば、辺の一部を外側に向けて屈曲させるという簡易な方法により屈曲部を形成することができる。そして、この屈曲部により辺の直線連続性が切られるため、大型ペリクル用枠体に大型ペリクル膜を展張した際に、大型ペリクル膜の張力により大型ペリクル用枠体の辺が内側に撓んだとしても、大型ペリクル用枠体の内側に入り込む辺の最大変位量を小さくすることができる。これにより、製造容易性を確保しつつ露光有効面積の縮小を抑制することができる。そして、大型ペリクル膜を展張する際に、大型ペリクル用枠体の内側への撓み量を公差範囲内(規定内)に収めることが容易となる上、枠体の角部から屈曲部までは直線性を維持しているため、角部から屈曲部の間にマウンターの貼付けジグを取り付ける際に、マウンターに不具合を生じさせないようにすることができる。
【0012】
また、対向する一対の長辺と対向する一対の短辺とを有しており、屈曲部は、少なくとも一方の長辺に形成されていることが好ましい。このように、少なくとも一方の長辺に屈曲部を形成することで、最も撓みやすい部分の撓みを抑制できるために露光有効面積の縮小を効果的に抑制することができる。
【0013】
本発明に係る大型ペリクルは、上記の何れかに記載の大型ペリクル用枠体と、大型ペリクル用枠体に展張支持された大型ペリクル膜と、を有することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る大型ペリクルによれば、上述した大型ペリクル用枠体を有することで、大型ペリクル用枠体の製造容易性を確保しつつ、大型ペリクル用枠体に大型ペリクル膜を展張しても露光有効面積の縮小を抑制することができる。
【0015】
本発明に係る大型ペリクル用枠体の製造方法は、略矩形状に形成されて大型ペリクル膜を展張支持する大型ペリクル用枠体の製造方法であって、大型ペリクル用枠体の辺の一部を外側に向けて屈曲した屈曲部を形成することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る大型ペリクル用枠体の製造方法によれば、辺の一部を外側に向けて屈曲させるという簡易な方法により屈曲部を形成することができる。この製造方法により製造された大型ペリクル用枠体は、屈曲部により辺の直線連続性が切られるため、大型ペリクル用枠体に大型ペリクル膜を展張した際に、大型ペリクル膜の張力により大型ペリクル用枠体の辺が内側に撓んだとしても、大型ペリクル用枠体の内側に入り込む辺の最大変位量を小さくすることができる。これにより、製造容易性を確保しつつ露光有効面積の縮小を抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、製造容易性を確保しつつ露光有効面積の縮小を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】大型ペリクルの実施形態を示す斜視図である。
【図2】大型ペリクル用枠体を上から見た概略平面図である。
【図3】大型ペリクルの製造工程を説明するための図である。
【図4】大型ペリクルの製造工程を説明するための図である。
【図5】露光有効面積を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当部分には同一符号を付すこととする。
【0020】
図1は、大型ペリクルの実施形態を示す斜視図であり、図2は、大型ペリクル用枠体を上から見た概略平面図である。図1及び図2に示すように、大型ペリクル1は、略矩形環状の大型ペリクル用枠体2と、大型ペリクル用枠体2の上縁面2eに接着された大型ペリクル膜3とを備えている。なお、図示しないが、大型ペリクル1は、大型ペリクル用枠体2の下縁面に塗布された貼着剤層と、貼着剤層に粘着され、この貼着剤層を保護する保護フィルムとを更に備えている。
【0021】
大型ペリクル用枠体2は、対向する一対の長辺2a,2bと、この長辺2a,2bよりも短い対向する一対の短辺2c,2dと、が構成されている。そして、一対の長辺2a,2bと一対の短辺2c,2dとにより囲まれる内側に略矩形状の開口部4が形成される。このため、一対の長辺2a,2b及び一対の短辺2c,2dが開口部4の周縁部を構成する。なお、大型ペリクル用枠体2には、短辺2c,2d側の側面6に、溝部7が長手方向(辺方向)に沿って設けられている。
【0022】
開口部4の開口面積は、好ましくは1000cm以上、より好ましくは3000cm以上、より好ましくは5000cm以上であり、上限として好ましくは35000cm以下である。
【0023】
長辺2a,2bの幅A及び短辺2c,2dの幅Bは、露光面積を確保する観点からは細ければ細いほど好ましいが、細すぎると大型ペリクル膜3の展張時に大型ペリクル膜3の張力で大型ペリクル用枠体2が撓んでしまうという問題が生じるおそれがある。各辺の長さに対して剛性を考慮した幅の太さになるため、長辺2a,2bの幅A及び短辺2c,2dの幅Bは、3mm〜25mm程度とすることができる。
【0024】
大型ペリクル用枠体2の厚みCは、関しても薄ければ薄いほど軽くて扱いやすい大型ペリクル1となるが、薄すぎると大型ペリクル膜3の展張時に大型ペリクル膜3の張力で大型ペリクル用枠体2が撓んでしまうという問題が生じるおそれがある。各辺2a〜2dの長さに応じて両者のバランスから、大型ペリクル用枠体2の厚みCは、好ましくは3.5mm〜12mm程度とすることができる。
【0025】
具体的に説明すると、一対の長辺2a,2bは、それぞれ同一寸法で形成されており、例えば、幅Aが9.0mmの柱部材により長さが800mmに形成されている。一対の短辺2c,2dは、それぞれ同一寸法で形成されており、例えば、幅Bが7.0mmの柱部材により長さが480mmに形成されている。つまり、短辺2c,2dの平面視(上面視)における幅Bは、長辺2a,2bの幅Aよりも狭い。大型ペリクル用枠体2の角部5の曲率は、例えば、R=2mmである。
【0026】
そして、一対の長辺2a,2bの中央部には、外側に向けて屈曲した屈曲部10a,10bが形成されている。
【0027】
屈曲部10a,10bは、外側に向けて角状に屈曲していれば如何なる形状であってもよく、製造容易性の観点からは、屈曲部10a,10bの形状を三角状とすることが好ましい。また、屈曲部10a,10bは、各長辺2a,2bを多角形状に屈曲して形成してもよい。なお、屈曲部10a,10bは、例えば、直線状に形成された各長辺2a,2bの中央部に外側に向かって外力を加えることによって形成することができ、例えば、打ち出しによって形成することができる。
【0028】
ここで、外側に向かって外力を加えることによって形成する方法が、屈曲状を切り出すよりも製造簡易性がよくなるため好ましい。屈曲状を切り出す場合は、大型ペリクル枠体の処理工程において、枠体は弾性変形領域であり寸法精度が若干悪くなることがあるため、枠体を作製する最終段階で、寸法精度を出すために何らかの修正工程が入る場合が多い。一方で、外力を加えることによって形成する場合は、塑性変形領域となるため寸法精度が湾曲寸法精度より良くなり、そのような修正工程が不要になる。
【0029】
長辺2a,2bに対する屈曲部10a,10bの突出幅Eは、好ましくは長辺2a,2bの長さAの0.01〜5.00%、より好ましくは長辺2a,2bの長さAの0.01〜3.00%、更に好ましくは長辺2a、2bの長さAの0.03〜1.00%である。である。
【0030】
このような形状に形成される大型ペリクル用枠体2は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金(5000系、6000系、7000系等)、鉄及び鉄系合金、セラミックス(SiC、AlN、Al2O3等)、セラミックスと金属との複合材料(Al−SiC、Al−AlN、Al−Al等)、炭素鋼、工具鋼、ステンレスシリーズ、マグネシウム合金、または、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等の樹脂からなり、平面視、略矩形状を呈している。ペリクルは、貼着剤層を介してマスクに張り付くため、剛性が高くて比較的重量が小さいものが好ましいため、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金、樹脂等がより好ましい素材となる。
【0031】
大型ペリクル用枠体2の表面処理としては、アルマイト処理、塗装、塗料コーティング、めっき処理、低融点ガラスフリット処理、CVD処理、スパッタ法などによるPVD処理などが考えられる。
【0032】
大型ペリクル1を構成する大型ペリクル膜3は、例えばニトロセルロースやセルロース誘導体、フッ素系ポリマー、またはシクロオレフィン系ポリマー等の透明な高分子膜からなり、その厚さは、例えば10μm以下0.1μm以上が好ましい。
【0033】
この大型ペリクル膜3は、大型ペリクル用枠体2の開口部4を覆うように上縁面2eに展張され、大型ペリクル用枠体2に貼着支持されている。
【0034】
大型ペリクル膜3を大型ペリクル用枠体2の上縁面2eに接着する接着剤は、例えば、アクリル樹脂接着剤、エポキシ樹脂接着剤、シリコーン樹脂接着剤、または含フッ素シリコーン接着剤等のフッ素系ポリマーを用いることができる。
【0035】
また、貼着支持する粘着材としては、スチレンエチレンブチレンスチレン、スチレンエチレンプロピレンスチレン、もしくはオレフィン系等のホットメルト粘着材、シリコーン系粘着材、アクリル系粘着材、または発泡体を基材とした粘着テープを用いることができる。粘着材層の厚さは大型ペリクル用枠体2の厚さと粘着材厚さの合計が、規定された大型ペリクル膜3とフォトマスクの距離を越えない範囲で設定するものであり、例えば、10mm以下0.01mm以上が好ましい。
【0036】
また、大型ペリクル膜3をフォトマスクに貼り付けた際に貼着剤層の内側に空間が存在すると、該空間に異物が滞留する可能性がある。そのため、大型ペリクル用枠体2の下縁面に粘着剤を塗布する際には、大型ペリクル1をフォトマスクに貼り付ける際の加圧で粘着剤層が潰れて広がることを考慮した上で、加圧時に開口部4に粘着剤がはみ出さない程度に大型ペリクル用枠体2の開口部4内側寄りに塗布することが好ましい。具体的には、貼着剤層内側の空間が粘着剤層の塗布幅の0.35倍以内となるように塗布することが好ましい。粘着剤層の塗布幅は大型ペリクル用枠体2の各辺2a〜2dの幅に対し0.3〜0.6倍であることが好ましく、大型ペリクル用枠体2各辺2a〜2dに沿って塗布することが好ましい。
【0037】
粘着材を保護する保護フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、またはポリエチレン樹脂からなるフィルムを用いることができる。また、粘着材の粘着力に応じて、離型剤、例えばシリコーン系離型剤、またはフッ素系離型剤を、保護フィルムの表面に塗布しても良い。保護フィルムの厚さは、例えば、1mm以下0.01mm以上が好ましい。
【0038】
次に、大型ペリクル1の製造方法について説明する。
【0039】
図3及び図4は、大型ペリクルの製造工程を説明するための図である。図3及び図4では、図2に示す大型ペリクル用枠体2を用いて大型ペリクル1を製造する方法を示している。
【0040】
まず、図3(a)に示すように、大型ペリクル用枠体2の基材となる母材から枠体21を切り抜く。なお、後述するように枠体21の長辺2a,2bは、屈曲部10a,10bの形成により屈曲されるため、この屈曲により短くなる分を加味して、枠体21の切り出し長さを算出する。
【0041】
次に、図3(b)に示すように、枠体21の長辺の中央部を屈曲させて屈曲部10a,10bを形成する。これにより、大型ペリクル用枠体2が形成される。
【0042】
次に、図4に示すように、大型ペリクル用枠体2に大型ペリクル膜3を展張して接着する。すると、展張した大型ペリクル膜3の張力により大型ペリクル用枠体2の長辺2a,2bが内側に撓み、露光有効面積が縮小する。
【0043】
ここで、図5を参照して、露光有効面積の縮小度合いについて、屈曲部が形成されていない従来の大型ペリクル用枠体に大型ペリクル膜を展張した場合と、本実施形態に係る大型ペリクル用枠体に大型ペリクル膜を展張した場合とを比較する。なお、図5において、一点鎖線は従来の大型ペリクル用枠体2’を示しており、実線は本実施形態に係る大型ペリクル用枠体2を示している。
【0044】
図5に示すように、従来の大型ペリクル用枠体2’は、長辺2a,2bが直線状に形成されているため、展張された大型ペリクル膜3の張力による長辺2a,2bの最大変位点は、長辺2a,2bの中央部となる。このため、従来の大型ペリクル用枠体2’に大型ペリクル膜3が展張されると、その張力により長辺2a,2bの中央部が内側に大きく撓み、露光有効面積が大幅に縮小される。
【0045】
これに対し、本実施形態に係る大型ペリクル用枠体2は、このような最大変位点となる長辺2a,2bの中央部が屈曲部10a,10bにより外側に向けて屈曲しているため、展張された大型ペリクル膜3の張力により大型ペリクル用枠体2の長辺2a,2bが内側に撓んだとしても、露光有効面積の縮小が抑制される。
【0046】
このように、本実施形態によれば、長辺2a,2bの一部を外側に向けて屈曲させるという簡易な方法により屈曲部10a,10bを形成することができる。そして、この屈曲部10a,10bにより長辺2a,2bの直線連続性が切られるため、大型ペリクル用枠体2に大型ペリクル膜3を展張した際に、大型ペリクル膜3の張力により大型ペリクル用枠体2の長辺2a,2bが内側に撓んだとしても、大型ペリクル用枠体2の内側に入り込む長辺2a,2bの最大変位量を小さくすることができる。これにより、製造容易性を確保しつつ露光有効面積の縮小を抑制することができる。
【0047】
ここで、大型ペリクル用枠体2はシート状の母材から切り出すことにより製造される際に発生した残留応力を開放させるため、加熱工程等を行うことが好ましい。
【0048】
そして、最大変位点となる長辺2a,2bの中央部に屈曲部10a、10bを形成することで、作業工数を最小限に抑えた上で、露光有効面積の縮小を効果的に抑制することができる。
【0049】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、一対の長辺の双方に屈曲部を形成するものとして説明したが、一方の長辺にのみ屈曲部を形成してもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、屈曲部を長辺にのみ形成するものとして説明したが、短辺に形成する溝に図示しないハンドリング冶具で保持が可能である限りにおいて、短辺に形成してもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、長辺の中央部に屈曲部が1つ形成されるものとして説明したが、屈曲部の形成位置及び数に制限はなく、例えば、長辺の中央部や両端部に屈曲部を2つ形成してもよい。
【0052】
なお、長辺の中央部に屈曲部が1つ形成される場合は、屈曲部10a,10bの長さD(図2参照)は、好ましくは長辺2a,2bの長さAの20〜100%、より好ましくは長辺2a,2bの長さAの30〜100%である。
【符号の説明】
【0053】
1…大型ペリクル、2…大型ペリクル用枠体、2a,2b…長辺、2c,2d…短辺、2e…上縁面、3…大型ペリクル膜、4…開口部、5…角部、6…側面、7…溝部、10a,10b…屈曲部、21…枠体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略矩形状に形成されて大型ペリクル膜を展張支持する大型ペリクル用枠体であって、
当該大型ペリクル用枠体を構成する辺の一部に、外側に向けて屈曲した屈曲部が形成されていることを特徴とする、大型ペリクル用枠体。
【請求項2】
対向する一対の長辺と対向する一対の短辺とを有しており、
前記屈曲部は、少なくとも一方の前記長辺に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の大型ペリクル用枠体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の大型ペリクル用枠体と、
前記大型ペリクル用枠体に展張支持された大型ペリクル膜と、
を有することを特徴とする大型ペリクル。
【請求項4】
略矩形状に形成されて大型ペリクル膜を展張支持する大型ペリクル用枠体の製造方法であって、
前記大型ペリクル用枠体の辺の一部を外側に向けて屈曲した屈曲部を形成することを特徴とする、大型ペリクル用枠体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−58267(P2012−58267A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198236(P2010−198236)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(309002329)旭化成イーマテリアルズ株式会社 (771)
【Fターム(参考)】