説明

大型組立式植栽用プランター

【課題】 植栽容器の汎用性を高め、防虫性、遮光性等を高め、施工が簡単であること。
【解決手段】 複数枚の底板ピース20、複数枚の側板ピース30、複数個のコーナーピース4からなり、底板ピース20が底部接合フランジ22を有し、側板ピース30が左右接合フランジ32を有し、これらを用いて各ピースを組み立て、上方が開口した箱体とすることを特徴とする。大きさは適宜設定可能であるが、例えば、1ピース40cm〜80cm角(例示であり限定されない)のピース板を継ぎ合わせることで使用面積に応じた大きさにすることが可能である。底部接合フランジ22、左右接合フランジ32には各ピースの接続のための係合穴5を備え、緊締具6をもって各ピースを組み立てる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型組立式植栽用プランターに関する。
【背景技術】
【0002】
現代社会では、個人住宅空地、ベランダ、ビル屋上、公団住宅空地およびベランダ、学校、幼稚園、マンション他、様々な場所において省スペースで手軽に緑化するための植栽用プランター等への需要がある。そのような植栽用プランターは、手軽に設置・利用するために移動可能であることが望ましく、また、学校、幼稚園での実体験教育、団塊世代の趣味と実益、菜園での実体験と家族の交流等、多種多様な場面での使用における要求を満たすことが求められている。
【0003】
特許文献1に記載の考案は、建物の屋上等で野菜や草花を栽培しているが、その栽培容器は発泡スチロールの箱・ミカン箱等の廃物容器又は合成樹脂製のプランター等を使用していることが多いので、容器が腐朽して見苦しい状況が多いという課題を解決するために、日曜大工で1人でも任意の大きさ・形の組立が可能な耐久性のある植物栽培容器を考案するため、栽培容器を耐久性・可搬型の基本ピースA・B・Cの3種類に分解して製造し、任意の大きさ・形の植物栽培容器を組み立てていき、材料はコンクリート又はFRPを使用するものである。
【0004】
特許文献2に記載の発明は、空洞コンクリートブロックを使用した堅牢で組立・解体が容易な組立式ピース植栽プランターを提供するため、組立式ブロック植栽プランター20は、矩形の基底板2と、高さ2〜10cmの柱状突起片3が2個(3a、3b)上面に固着されるとともに前記基底板2の上面縁部に沿って連設された複数枚の長方形金属板4(6枚使用)と、前記長方形金属板4の各柱状突起片3に嵌合することで垂設される複数本のパイプ支柱7(12本使用)と、前記パイプ支柱7に空洞穴部分8を挿通しつつ積層してプランターの壁面W1、W2、W3、W4を形成する規格化された空洞コンクリートブロック1(12個使用)と、からなり、組立、解体が容易で、一方の壁面のみを取り外して開口し、土壌を横に排出することで内部土壌や植木の根の状態を調べたり、植え替え等の作業が容易に行える構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平5−67242号公報
【特許文献2】特開2000−125669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、コンクリート製のブロックでは重量のため一つのブロックの大きさが限定されて、実際には組立が煩雑で容易に組み立てられるとは言い難いものであった。また、FRPを使用するにしても、各ブロックの接合強度を得るのが難しく実施が困難であった。さらに、組立のための凸部が植物栽培容器の内部にあるため、土のかき出しや攪拌が難しかったり、凹部の排水ができなかったりという問題があった。特許文献2に記載のものは、組立て後の全体の大きさが一枚の基底板の大きさに依拠してしまうため、汎用性に乏しく、広い範囲にわたる利用可能性に限界があった。また、防虫性、遮光性を確保するためには、網とビニールをかぶせなければならず、追加の施工等が面倒であった。
【0007】
そこで本発明は、植栽容器の汎用性を高め、防虫性、遮光性等を高め、施工が簡単であることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に鑑み、本発明は、略長方形の板体である主板と、該主板の四辺から垂直に立設する板片である底部接合フランジと、を有する底板ピースと、
前記主板と、該主板の左右側辺から垂直に立設する板片である左右接合フランジと、を有する側板ピースと、
前記左右接合フランジの立設高さに対応した辺を有するアングル状のコーナーピースと、を備え、
前記底板ピースの各々の前記底部接合フランジ同士を接合して、または前記底板ピースをそのまま用いて、一枚の底板とし、
前記側板ピースの各々の前記左右接合フランジ同士を接合して、または前記側板ピースをそのまま用いて、複数枚の側板とし、
前記側板の下辺を前記底板の端辺に位置する前記底部接合フランジに接合し、
前記側板の各々が直交して隣接する側面コーナーにおいては前記コーナーピースを介して前記左右接合フランジ同士を接続することにより、前記底部接合フランジおよび前記左右接合フランジが外側に突出し、上方が開口した箱体とすることを特徴とする大型組立式植栽用プランターである。
【0009】
本発明は、各部材の組み合わせ数を増減することにより、所定の部材から、所望の大きさ・形状のものを自在に得ることができる大型組立式植栽用プランターである。例えば、前記底板ピース一枚をもって前記底板とし、前記側板ピース一枚をもって前記側板とし、前記底板一枚と前記側板四枚と前記コーナーピース四個とにより組み立てると、本発明における最小限の構成である大型組立式植栽用プランターを得ることとなる。なお、本発明は、以下の記載を含め、これらの部材の形状や組み合わせ方に関するものであって、組立て手順を構成要素とするものではない。
【0010】
上記本発明において、前記側板ピースが、上側辺に前記左右接合フランジと同一方向に立ち上がる上接合フランジを有する第一側板ピースと、下側辺に前記左右接合フランジと同一方向に立ち上がる下接合フランジを有する第二側板ピースと、を有することを特徴として好ましい。これにより、前記側板を上下に2枚分の前記側板ピースの高さにすることができる。さらに、前記第二側板ピースの上側辺にも前記上下接合フランジを設けることとしても好ましい。これにより、前記第二側板ピースを連続して上下に積み重ねることができ、前記側板の上下の高さを前記側板ピースの複数枚分の高さとして自在にとり得ることとなる。
【0011】
上記課題に鑑み、本発明は、略長方形の板体である主板と、該主板の四辺から垂直に立設する板片である底部接合フランジと、を有する底板ピースと、
前記主板と、該主板の左右側辺から垂直に立設する板片である左右接合フランジと、前記主板の下側辺に前記左右接合フランジと同一方向に立ち上がる上下接合フランジと、を有する側板ピースと、
前記底部接合フランジまたは前記左右接合フランジの立設高さに対応した辺を有するアングル状のコーナーピースと、を備え、
前記底板ピースの各々の前記底部接合フランジ同士を接合して、または前記底板ピースをそのまま用いて、一枚の底板とし、
前記側板ピースの各々の前記左右接合フランジ同士を接合して、または前記側板ピースをそのまま用いて、複数枚の側板とし、
前記底板と前記側板とが直交して隣接する底面コーナーにおいては前記コーナーピースを介して前記底部接合フランジと前記上下接合フランジとを接続し、
前記側板の各々が直交して隣接する側面コーナーにおいては前記コーナーピースを介して前記左右接合フランジ同士を接続することにより、前記底部接合フランジおよび前記左右接合フランジが外側に突出し、上方が開口した箱体とすることを特徴とする大型組立式植栽用プランターである。
【0012】
上記本発明において、前記側板ピースが、上側辺に前記上下接合フランジを有することを特徴として好ましい。これにより、前記側板ピースを連続して上下に積み重ねることができ、前記側板の上下の高さを前記側板ピースの複数枚分の高さとして自在にとり得ることとなる。
【0013】
また、本発明は、前記底板ピースの前記主板において、前記底部接合フランジと同一方向に立ち上がり、該底部接合フランジと同一の立ち上がり高さを有する補強リブを有することを特徴として好ましい。
【0014】
また、本発明は、前記側板ピースの前記主板において、前記左右接合フランジと同一方向に立ち上がる補強リブを有することを特徴として好ましい。
【0015】
また、本発明は、左右に対向する前記側板の各々の上方に立設され、天井で左右方向に横架する複数の逆U字形状の骨部材と、
複数の該骨部材の上面から前後左右の側面まで覆設される防水シートおよび/または網シートと、を備え、
前記防水シートおよび/または前記網シートの側面が、その下端から上方まで開閉自在な縦スリットを複数個有することにより、複数のカーテン部に分割され、該カーテン部ごとに上下方向に開閉自在であることを特徴として好ましい。
【0016】
前記縦スリットの開閉にはファスナーが好適であるが、これに限らず、スナップボタン等の係止手段を用いることができる。
【0017】
また、本発明は、対向する前記側板が同一高さで一対の組側板とされ、かつ、前記組側板の各々の高さが調整されることにより、側面に段差を有することを特徴として好ましい。
【0018】
このとき、隣接する前記組側板の各々において上下高さに差がある境界には土止めとなる仕切板を設置して好適である。
【0019】
また、本発明は、上記本発明による大型組立式植栽用プランターを構成する各部材を含んだ組立てセットである。
【0020】
また、本発明は、前記側板の上側辺に防水シートおよび/または網シートを張設するスライダを取り付けるためのレールを備えたことを特徴として好ましい。
【0021】
前記底部接合フランジ、前記左右接合フランジまたは前記上下接合フランジの各々の接合はボルト締結やU字型クリップを用いて行う。
【0022】
底板ピースおよび側板ピースは、プラスチック製であることが好ましい。ここでいうプラスチックとは各種の合成樹脂等を含む。また、その他各種鋼板も用いることができる。
【0023】
コーナーピースは、底板ピースおよび側板ピースと同じプラスチック製を用いて好適であるが、ステンレス等の鋼材を用いても好適である。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、以上説明したように構成されているので、移動が可能で、多様な場所に設置することができ、温室として使用するなど用途も多様で、多種多様な社会の要求を満たすことができる。防虫性、遮光性を確保できるし、施工等が簡単である。
【0025】
本発明による大型組立式植栽用プランターは、使用する底板ピースおよび側板ピースの組み合わせ枚数の増減により、大型組立式植栽用プランター全体のサイズや形状を任意に選択することができる。例えば、底板ピースを一枚、側板ピースを前後左右一枚ずつ組み合わせると最小限の構成となる大型組立式植栽用プランターを得ることができる。また、組み合わせ枚数を増やせば大型組立式植栽用プランターを大きくすることができる。さらに上下接合フランジを設ければ、側板を上下に増やすことも可能であり、より汎用性が広がる。
【0026】
本発明による大型組立式植栽用プランターは底板ピース、側板ピース、およびコーナーピースのみから組み立てることが可能であり、組立て容易であるばかりでなく、製造コストを低く抑えることができる。
【0027】
底面コーナーにおいてもコーナーピースを用いることとすれば、より強度を保つことができ、底板ピースおよび側板ピースの軽量化を図ることができる。このとき特にコーナーピースとして鋼材を用いれば、大型組立式植栽用プランター全体の剛性を高めてねじれ変形等を抑止することができる。
【0028】
本発明によって、骨部材と、開閉自在なカーテン部を有する防水シートおよび/または網シートとを備えることにより、大型組立式植栽用プランター上を温室化し、この中の環境を適宜調整することが容易となる。
【0029】
本発明によって、底板ピースおよび側板ピースの高さを適宜調整することにより、大型組立式植栽用プランターを階段状の花壇にするなどでき、優れた美観を提供することが可能となる。
【0030】
防水シートおよび/または網シートを張設するスライダを取り付けるためのレールを備えた場合は、前後にスライド移動自在な屋根を設けることができ、採光や遮光等のために大型組立式植栽用プランター上方を開閉することが容易となり便利である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施形態1による大型組立式植栽用プランター1のプランター容器の斜視図である。補強フランジの図示は省略している。
【図2】同実施形態による大型組立式植栽用プランター1のプランター容器の平面図である。
【図3】同実施形態による大型組立式植栽用プランター1のプランター容器の底面図である。補強フランジの図示は省略している。
【図4】同実施形態による大型組立式植栽用プランター1のプランター容器の正面図である。補強フランジの図示は省略している。
【図5】同実施形態による大型組立式植栽用プランター1のプランター容器の左側面図である。補強フランジの図示は省略している。
【図6】(a)は同実施形態による大型組立式植栽用プランター1の底板ピース20の平面図である。(b)は同底板ピース20の側面図である。
【図7】(a)は同実施形態による大型組立式植栽用プランター1の側板ピース30の正面図である。(b)は同側板ピース30の側面図である。(c)は同側板ピース30の底面図である。
【図8】(a)は同実施形態による大型組立式植栽用プランター1のコーナーピース4の平面図である。(b)は同コーナーピース4の側面図である。
【図9】実施形態2による大型組立式植栽用プランター201の斜視図である。補強フランジの図示は省略している。
【図10】(a)は同実施形態による大型組立式植栽用プランター201の側板ピース230の正面図である。(b)は同側板ピース230の側面図である。(c)は同側板ピース230の底面図である。
【図11】実施形態3による大型組立式植栽用プランター301の斜視図である。
【図12】同実施形態による大型組立式植栽用プランター301´の斜視図である。
【図13】実施形態4による大型組立式植栽用プランター401の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、本発明の実施形態1である大型組立式植栽用プランター1について図1〜図8を参照して説明する。
【0033】
この大型組立式植栽用プランター1は、底板2、側板3、およびコーナーピース4を組み立てて、上方が開口した直方体形状の箱体としたものである。底板2は一つないし複数個の底板ピース2からなり、側板3は一つないし複数個の側板ピース3からなる。コーナーピース4はコーナー部の連接・補強に用いるものである。以下、各部材について説明する。
【0034】
底板2は、図2、図3に示す通り、六個の底板ピース20を連接したものである。底板ピース20は、図6に示す通り、主板21と底部接合フランジ22と補強リブ23とからなる。主板21は、厚み6mmで500mm×500mmの正方形の板材である。底部接合フランジ22は、主板21の四つの端辺から同じ方向に垂直に立設する、厚み4mmで500mm×40mmの四枚の板片である。底部接合フランジ22には係合穴5が適宜設けられている。補強リブ23は、主板21から底部接合フランジ22と同一方向に立設する強度補強用のプレートである。底板ピース20には、補強リブ23として、縦補強リブ24および横補強リブ25が主板21の前面を3×2の格子状に覆い、筋交いリブ26が主板21の対角線に配置されている。
【0035】
底板ピース20の上記寸法は一例であり、強度および重量を考慮して適宜選択するものとする。大きすぎると持ち運び・組立て等における扱いが難しくなり、また、耐荷重性を確保することが困難となるためである。主板21の厚みは、2〜10mmが好ましく、4〜8mmがより好ましい。主板21の大きさは、一辺が300〜1200mmが好ましく、400〜700mmがより好ましい。主板21は正方形であっても長方形であってもよい。底部接合フランジ22の厚みは2〜10mmが好ましく、4〜8mmがより好ましい。底部接合フランジ22の立ち上がり高さは、30〜80mmが好ましく、40〜60mmがより好ましい。補強リブ23の厚みは2〜10mmが好ましく、2〜4mmがより好ましい。補強リブ23の立ち上がり高さは、底部接合フランジ22と同程度の範囲をとるのが好ましく、同一立ち上がり高さであることがより好ましい。
【0036】
側板3は、図1、図4、図5に示す通り、二個または三個の側板ピース30を連接したものである。側板ピース30は、図7に示す通り、主板31と左右接合フランジ32と補強リブ34と把持板37とからなる。主板31は、厚み4mmで600mm×500mmの長方形の板材である。左右接合フランジ32は、主板31の左右側辺から同じ方向に垂直に立設する、厚み4mmで600mm×50mmの二枚の板片である。主板31の下辺および底部接合フランジ22には係合穴5が適宜設けられている。主板31には底板ピース20と同じく補強リブ34として、縦補強リブ35および横補強リブ36が格子状に設けられている。また、主板31の上辺には左右接合フランジ32と同様なプレートである把持板37が立設されている。
【0037】
側板ピース30の上記寸法は一例であり、強度および重量を考慮して適宜選択するものとする。主板31の厚みは、2〜10mmが好ましく、4〜6mmがより好ましい。主板31の大きさは、一辺が300〜1200mmが好ましく、450〜800mmがより好ましい。主板31は正方形であっても長方形であってもよい。左右接合フランジ32および把持板37の厚みは2〜10mmが好ましく、4〜6mmがより好ましい。左右接合フランジ32の立ち上がり高さは、30〜80mmが好ましく、40〜60mmがより好ましい。補強リブ34の厚みは2〜10mmが好ましく、2〜4mmがより好ましい。
【0038】
コーナーピース4は、図8に示す通り、いわゆるアングル状の部材であるアングル部41と、アングル部41の両端および中間に適宜設けられる補強リブ42とからなる部材であって、直交して隣接する側板3の各々の左右接合フランジ32を連結するためのものである。アングル部41の断面の一辺の幅は左右接合フランジ32の立設高さに対応したものであり、コーナーピース4の部材長さは主板31の側辺の長さに対応したものである。アングル部41には係合穴5が適宜設けられている。補強リブ42はアングル部41に直交する扇状の板材である。コーナーピース4のアングル部41の厚みは2〜10mmが好ましく、4〜6mmがより好ましい。補強リブ42の厚みは2〜10mmが好ましく、2〜4mmがより好ましい。
【0039】
底板ピース20、側板ピース30、およびコーナーピース4の各ピースはポリエチレン製であるが、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタラート、アクリル樹脂、その他、ガラス繊維やプラスチック繊維等を加えた強化プラスチックを含む合成樹脂製として好適である。また、ステンレスやアルミ等の鋼板を用いることもできる。合成樹脂を用いる場合は軽量化に優れ、鋼板を用いる場合は耐荷重性に優れるため、適宜使い分けるとよい。特にコーナーピース4をステンレス等の鋼板により作成して剛性の向上を図っても好適である。
【0040】
大型組立式植栽用プランター1の組立て方法について説明する。まず、底板ピース20同士を接合して一枚の底板2を、側板ピース30同士を接合して四枚の側板3を、それぞれ組み立てる。各ピースの接合は、隣接する各々の左右接合フランジ32または底部接合フランジ22の係合穴5をボルト・ナットなどの緊締具6で固定することにより行う。つぎに、側板ピース30の下辺の係合穴5と底部接合フランジ22の係合穴5を合わせて緊締具6で固定することにより、底板2の四端辺に側板3を固定する。このとき、側板3の左右接合フランジ32が外側に突出する方向にして側板3を組み付ける。側板3同士が隣り合う四つの側面コーナーにおいては、左右接合フランジ32とコーナーピース4の係合穴5を合わせて緊締具6で固定することにより、隣り合う二つの側板3をコーナーピース4を介して固定する。
【0041】
大型組立式植栽用プランター1はピース組立式となっているが、底部接合フランジ22、左右接合フランジ32、およびコーナーピース4の継ぎ目は、図5の部分拡大図に示す通り、止水パッキン7を入れてあるので、水密構造を確保できる。また、適宜、大型組立式植栽用プランター1に排水穴を形成することもできる。なお、上記は組立て例であり、使用する部材の個数や組み付ける順番はこれに限られない。また、各ピースの接合にはU字型クリップを用いてもよく、この場合には係合穴5がなくてもよい。
【0042】
本発明の実施形態2について図9、図10を用いて以下に説明する。実施形態2は、実施形態1の大型組立式植栽用プランター1において側板ピース30を上下にも接続して側板3の高さを大きくした大型組立式植栽用プランター201である。大型組立式植栽用プランター201の各部については、特に示さない限り実施形態1の説明を援用し、図9においても詳細な図示を省略する。
【0043】
側板203は、図9に示す通り、四個または六個の側板ピース230を連接したものである。側板ピース230は、図10に示す通り、主板231と左右接合フランジ232と上下接合フランジ233と補強リブ234とからなる。上下接合フランジ233は、左右接合フランジ232と同様のもので、主板231の上下側辺から立設する二枚の板片である。
【0044】
コーナーピース241は、側板ピース230の高さと底板ピース220の底部接合フランジ222の高さを足した長さを有する。コーナーピース242は、コーナーピース241の上段に配置されるものであり、側板ピース230の高さに対応した長さを有する。
【0045】
底部コーナーピース243は側部コーナーピース241,242と同様の部材である。長さは底板ピース220の一辺に対応したものである。
【0046】
大型組立式植栽用プランター201の組立ては、実施形態1と同様にして、直交して隣り合う側板203同士の接合は側部コーナーピース242を介して行うが、底板202と側板203との接合には、図9に示す通り、底板202の底部接合フランジ222と側板203の下辺にある上下接合フランジ233とを底部コーナーピース243を介して行うこととなる。
【0047】
本発明の実施形態3について図11を用いて以下に説明する。実施形態3は、実施形態1の大型組立式植栽用プランター1の上方に防水シート350および網シート360を追加したものである。大型組立式植栽用プランター301の各部については、特に示さない限り実施形態1の説明を援用し、図11においても詳細な図示を省略する。
【0048】
骨部材370は、防水シート350および網シート360を設置するための逆U字形状の部材である。骨部材370は、逆U字形状の開放側を下方に向けて、二つの端辺が左右に対向する側板ピース330の各々の側面において固定されることにより立設される。骨部材370は前後方向に適宜間隔を空けて複数本設置される。前端および後端にはそれぞれ、二本の逆U字形状の部材を平行して連結したものである前骨部材371および後骨部材372を設置し強度補強を図っている。骨部材370の高さは任意に設定することができる。
【0049】
防水シート350は、立設された複数の骨部材370の上面から前後左右の側面まで覆設される下方が開放された形状のシートである。防水シート350の側面には、その下端から上方までファスナーにより開閉自在な縦スリット351が複数備わる。本実施形態3では縦スリット351を側面の四隅および左右側面の中央に設けているが、これに限らず任意にとり得る。縦スリット351により分割された防水シート350の側面には、ロールアップ可能なカーテン部352が形成されることとなる。防水シート350の材質は任意の物を用いることができる。
【0050】
網シート360は、防水シート350と同様の構造を持つものであり、構造の説明はこれを援用する。網シート360は、防水シート350と複数の骨部材370との間に設置されるので、サイズを適宜調整するとよい。網シート330の材質は任意の物を用いることができる。本実施形態3では、網シート360を防水シート350と同様の構造を持つものとし、上面から前後左右の側面にかけての全てを防水シート350および網シート360の二重構造にしているが、防水シート350のカーテン部352に相当する部分にのみ網シート360を設けてもよい。
【0051】
防水シート350の側面上部には、開け放した防水カーテン352および網シート360を上部で固定するための係止フック353が適宜設けられる。防水シート350および網シート360の側面上部の裏面には、係止フック353を係止するための係止環(図示略)が設けられる。
【0052】
実施形態3において、図12に示す通り、骨部材370の代わりにスライダ380を用いてもよい。以下、実施形態3の変形例である大型組立式植栽用プランター301´について説明する。スライダ380は、下部の箱体である大型組立式植栽用プランター301の上方を開閉自在の幌構造とするためのものであり、骨部材370と同様に逆U字形状の複数の部材である。このとき、大型組立式植栽用プランター301の側板303上部には、スライダ380をスライド可能に保持するレール337を設けるものとする。スライダ380は、フロントアセンブリ381、中間アセンブリ382、リアアセンブリ383からなる。フロントアセンブリ381、リアアセンブリ383は、前後端に用いて幌の開閉を容易にし、幌構造の強度向上を図るためのものである。フロントアセンブリ381、中間アセンブリ382、リアアセンブリ383には、それぞれ、レール337の溝を走行するためのローラ391,392,393がその両端部に設けられている。これにより、フロントアセンブリ280、中間アセンブリ281、リアアセンブリ282がレール337上を前後方向にスライド移動することができ、幌構造として伸縮自在に開閉することとなる。フロントアセンブリ381および/またはリアアセンブリ383はスライド可能ではあるが、中間アセンブリ382とは異なり、レール337に固定することができるようになっている。したがって、いずれか一方または両方同時に固定できる。スライダ208には骨部材370と同様に防水シート350および/または網シート360を取り付ける。なお、スライダ380の詳細構造は特開2005−8276号公報を参照されたい。
【0053】
本発明の実施形態4について図13を用いて以下に説明する。実施形態4は、大型組立式植栽用プランター1における側板ピース30の高さを変更し、前後方向に階段状にした大型組立式植栽用プランター401である。大型組立式植栽用プランター401の各部については、特に示さない限り実施形態1の説明を援用し、図16においても詳細な図示を省略する。
【0054】
本実施形態4では、左右に対向する側板ピース430を三組使用し、前方の組から順に側板ピース430a、側板ピース430b、および側板ピース430cとする。各組における段差高さは任意にとることができる。前方向には側板ピース430aと同じ高さの側板ピース430dが設置され、後方向には側板ピース430cと同じ高さの側板ピース430eが設置される。
【0055】
側板ピース430aと側板ピース430bとの境界の上方には、仕切板450が側板ピース430dおよび側板ピース430eと平行にして設けられる。仕切板450は、一組の側板ピース430aの間に設けられる板材であり、その上辺は側板ピース430bの上面高さと同一で、その下辺は側板ピース430aの上面高さよりも10cm程度低い位置に設定されている。仕切板450は、側板ピース430bに固定されたブラケット451により設置され、ブラケット451の対応箇所である左右両辺には係合穴405が適宜設けられる。
【0056】
ブラケット451は、仕切板450の設置時における一組の側板ピース430bのそれぞれの該当箇所に固定されるものである。ブラケット451は、仕切板450を挟着するように、仕切板450の左右一辺に対して前後二つの部材が用いられ、仕切板450との対応箇所に係合穴405が設けられるものである。仕切板450の設置は、左右各辺においてブラケット451に挟装され、係合穴405において緊締具406でもって締結されることにより行われる。
【0057】
側板ピース430bと側板ピース430cとの境界の上方についても、側板ピース430aと側板ピース430bとの境界の上方と同様にして仕切板450およびブラケット451が設けられる。
【0058】
以下、実施形態の使用、作用効果を説明する。実施形態1による大型組立式植栽用プランター1は、家庭菜園やビルの屋上での菜園および緑化等に用いることができる。設置場所は、個人住宅の空地、ベランダ、ビル屋上、公団住宅空地およびベランダ、学校、幼稚園、マンション他、広範囲である。用途は、学校、幼稚園での実体験教育、団塊世代の趣味と実益、菜園での実体験と家族の交流等、広範囲である。各ピース間に止水パッキンを用いるので、田んぼとしても利用可能であり、稲作もできる。
【0059】
大型組立式植栽用プランター1は組立式となっており、人力で目的地へ運び、面積に合わせた大きさで設置することができる。組立および分解が容易であるため、現場での設置・撤去を短時間で行うことができ、各種イベントにも好適である。また、構造が簡便なため、水やりタイマーをセットできる自動灌水装置を設けるなど種々の機器との組み合わせも容易である。さらに、大型組立式植栽用プランター1を合成樹脂製とすれば、軽量化を図ることができ、運搬が極めて容易となる。大型組立式植栽用プランター1は、コーナーピース4を側面コーナーに用いることにより、前後左右の側面を全て同一の側板ピース30で形成することができるものである。つまり、大型組立式植栽用プランター1は底板ピース20、側板ピース30、およびコーナーピース4のみの組み合わせから作成されるため、部品の汎用性が非常に高く、製造コストを大幅に抑えることができる。
【0060】
実施形態2によると、底部コーナーピース243を用いることにより、大型組立式植栽用プランター201のねじれ剛性を高めることができ、補強リブ234を適宜減らしたり、その厚みを薄くするなどして側板ピース230の軽量化を図ることができる。また、上下接合フランジ233を用いることにより、側板ピース230を上下方向に接続することができるため、大型組立式植栽用プランター201の組立ての自由度が増し、また、各ピースのサイズをより小さく設定することも可能となる。
【0061】
実施形態3によると、防水シート350および網シート360を開閉自在に設けることができる。防水シート350の開閉は、複数に分割されたカーテン部352をロールアップしたり、引き下ろしたりすることにより、部分的に行うことができる。網シート360も防水シート350と同様に開閉できる。防水シート350と網シート360の開閉はそれぞれ独立して行うことができ、防水シート350および網シート360を閉じた状態、防水シート350および網シート360を開いた状態、網シート360を閉じて防水シート350のみ開いた状態を各カーテン部352においてとることができる(図13参照)。上記の通り、カーテン部352を部分的に開閉可能なため、風通しや温度・湿度等の内部環境の調整も行うことができる。防水シート、網シート等をかぶせることで、無農薬野菜等の育成ができる。寒暖保護となるビニールを用いる場合、温室化することができる。また、屋上に置くことで下の階への寒暖に対する保護となる。
【0062】
実施形3の変形例によると、スライダを利用し、防水シートや網シートの設置およびこの開閉が容易となる。
【0063】
実施形態4によると、大型組立式植栽用プランター401を階段状に構成することができ、花壇を構築する場合などに優れた美観を持ったものを提供することができる。仕切板450を設けることによって、隣接する各ピースにおいて上下高さに差がある境界の土止めができ、土を階段状に保持することができる。また、仕切板450は抜き差しによる着脱が容易であるため、多彩な使用が可能となる。
【0064】
なお、本発明の実施形態は、上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、改変等を加えることができるものであり、それらの改変、均等物等も本発明の技術的範囲に含まれ、該技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることは言うまでもない。例えば、底板ピース20の接合により得られる底板2の形状は必ずしも長方形である必要はなく、底板ピース20の組み合わせによって得られる任意の形状をとることができる。
【符号の説明】
【0065】
1、201、301、301´、401・・・大型組立式植栽用プランター
2・・・底板
20・・・底板ピース
21・・・主板
22・・・底部接合フランジ
23・・・補強リブ
24・・・縦補強リブ
25・・・横補強リブ
26・・・筋交いリブ
3・・・側板
30・・・側板ピース
31・・・主板
32・・・左右接合フランジ
34・・・補強リブ
35・・・縦補強リブ
36・・・横補強リブ
37・・・把持板
4・・・コーナーピース
41・・・アングル部
42・・・補強リブ
5・・・係合穴
6・・・緊締具
7・・・止水パッキン
233・・・上下接合フランジ
241,242・・・側部コーナーピース
243・・・底部コーナーピース
350・・・防水シート
351・・・縦スリット
352・・・カーテン部
353・・・係止フック
360・・・網シート
370・・・骨部材
371・・・前骨部材
372・・・後骨部材
380・・・スライダ
381・・・フロントアセンブリ
382・・・中間アセンブリ
383・・・リアアセンブリ
337・・・レール
391,392,393・・・ローラ
450・・・仕切板
451・・・ブラケット
430a,430b、430c,430d、430e・・・側板ピース
420・・・仕切板
421・・・ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略長方形の板体である主板と、該主板の四辺から垂直に立設する板片である底部接合フランジと、を有する底板ピースと、
前記主板と、該主板の左右側辺から垂直に立設する板片である左右接合フランジと、を有する側板ピースと、
前記左右接合フランジの立設高さに対応した辺を有するアングル状のコーナーピースと、を備え、
前記底板ピースの各々の前記底部接合フランジ同士を接合して、または前記底板ピースをそのまま用いて、一枚の底板とし、
前記側板ピースの各々の前記左右接合フランジ同士を接合して、または前記側板ピースをそのまま用いて、複数枚の側板とし、
前記側板の下辺を前記底板の端辺に位置する前記底部接合フランジに接合し、
前記側板の各々が直交して隣接する側面コーナーにおいては前記コーナーピースを介して前記左右接合フランジ同士を接続することにより、前記底部接合フランジおよび前記左右接合フランジが外側に突出し、上方が開口した箱体とすることを特徴とする大型組立式植栽用プランター。
【請求項2】
前記側板ピースが、上側辺に前記左右接合フランジと同一方向に立ち上がる上接合フランジを有する第一側板ピースと、下側辺に前記左右接合フランジと同一方向に立ち上がる下接合フランジを有する第二側板ピースと、を有することを特徴とする請求項1に記載の大型組立式植栽用プランター。
【請求項3】
略長方形の板体である主板と、該主板の四辺から垂直に立設する板片である底部接合フランジと、を有する底板ピースと、
前記主板と、該主板の左右側辺から垂直に立設する板片である左右接合フランジと、前記主板の下側辺に前記左右接合フランジと同一方向に立ち上がる上下接合フランジと、を有する側板ピースと、
前記底部接合フランジまたは前記左右接合フランジの立設高さに対応した辺を有するアングル状のコーナーピースと、を備え、
前記底板ピースの各々の前記底部接合フランジ同士を接合して、または前記底板ピースをそのまま用いて、一枚の底板とし、
前記側板ピースの各々の前記左右接合フランジ同士を接合して、または前記側板ピースをそのまま用いて、複数枚の側板とし、
前記底板と前記側板とが直交して隣接する底面コーナーにおいては前記コーナーピースを介して前記底部接合フランジと前記上下接合フランジとを接続し、
前記側板の各々が直交して隣接する側面コーナーにおいては前記コーナーピースを介して前記左右接合フランジ同士を接続することにより、前記底部接合フランジおよび前記左右接合フランジが外側に突出し、上方が開口した箱体とすることを特徴とする大型組立式植栽用プランター。
【請求項4】
前記側板ピースが、上側辺に前記上下接合フランジを有することを特徴とする請求項3に記載の大型組立式植栽用プランター。
【請求項5】
前記底板ピースの前記主板において、前記底部接合フランジと同一方向に立ち上がり、該底部接合フランジと同一の立ち上がり高さを有する補強リブを有することを特徴とする請求項1ないし請求項4に記載の大型組立式植栽用プランター。
【請求項6】
前記側板ピースの前記主板において、前記左右接合フランジと同一方向に立ち上がる補強リブを有することを特徴とする請求項1ないし請求項5に記載の大型組立式植栽用プランター。
【請求項7】
左右に対向する前記側板の各々の上方に立設され、天井で左右方向に横架する複数の逆U字形状の骨部材と、
複数の該骨部材の上面から前後左右の側面まで覆設される防水シートおよび/または網シートと、を備え、
前記防水シートおよび/または前記網シートの側面が、その下端から上方まで開閉自在な縦スリットを複数個有することにより、複数のカーテン部に分割され、該カーテン部ごとに上下方向に開閉自在であることを特徴とする請求項1ないし請求項6に記載の大型組立式植栽用プランター。
【請求項8】
対向する前記側板が同一高さで一対の組側板とされ、かつ、前記組側板の各々の高さが調整されることにより、側面に段差を有することを特徴とする請求項1ないし請求項6に記載の大型組立式植栽用プランター。
【請求項9】
請求項1または請求項3に記載の大型組立式植栽用プランターを構成する各部材を含んだ組立てセット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−70723(P2012−70723A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267917(P2010−267917)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(310007759)株式会社テクノミズホ (9)
【Fターム(参考)】