説明

大気中で安定なナノチューブ状の構造を形成するペルオキソ錯体及び該錯体を用いた酸化反応用触媒

【課題】極めて簡易な配位子をもつ有機分子が自己集合により形成し、それ自身がナノチューブ状の比表面積の高い構造をもつ、常温、大気中で安定なペルオキソ錯体とその酸化反応用触媒としての利用方法を提供する。
【解決手段】ペプチド脂質を金属と混合することで形成する金属配位型有機ナノチューブをアセトニトリル−水などの混合溶媒に分散し、過酸化水素などの過酸化物を添加することで、これまでに得られていないナノチューブ状という高い比表面積をもつ、常温、大気中で安定なペルオキソ錯体が得られる。また同時に、得られたペルオキソ錯体を酸化反応用触媒として用いてアルコールをケトン又はカルボン酸に酸化できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、これまでにないナノチューブ状の構造と大気中での安定性をもつペルオキソ錯体、及びこれらの酸化反応用触媒としての利用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
酸素、活性酸素、過酸を結合することが出来る金属ポルフィリン及び銅、鉄などの二核金属錯体は、ヘモグロビン、ヘモシアニン、チロシナーゼなどのタンパク質や酵素反応の中間体として学術的に重要なだけでなく、有機化合物における合成用触媒や太陽電池における酸化還元電極触媒としての利用など工業的にも重要な金属錯体であり、以前から盛んに研究開発が行われている(例えば、非特許文献1参照)。
しかしながら、通常、これらの金属錯体の中でも特に高い反応活性をもつ過酸を結合したペルオキソ錯体は極低温で安定なものがほとんどであり、常温、大気中で安定なペルオキソ錯体はあまり知られていない(特許文献1,2)。
【0003】
また、有機物の酸化は工業的に重要な合成反応の一つであり、これまでに多くの酸化触媒が開発されている。多くの場合、反応活性の高い酸化マンガンや酸化クロムなどが用いられているが、化学量論的に原料化合物と同じ量が触媒として必要となることが多く、コストの面や廃棄物処理の面からも問題が多くある。そのため、少ない金属使用量で同等以上の触媒活性をもち、再利用が可能な新たな酸化触媒が必要とされており、様々な固体触媒の研究開発が行われている。現在、このような酸化触媒として、酸化マンガンなどの金属以外に、二核金属錯体(特許文献3)、金ナノクラスター(特許文献4)などが報告されている。
【0004】
一方、本発明者らは、長鎖脂肪酸のカルボキシル基とオリゴペプチドのN端を結合させたペプチド脂質および長鎖アミンとオリゴペプチドのC端を結合させたペプチド脂質を、水中あるいはアルコールと水の混合液中で遷移金属と共存させることにより、金属錯体からなる有機ナノチューブが形成することを見いだしている(特許文献5,6)。また、ナノチューブ中の金属イオンを各種の反応により金属化した有機/金属ハイブリッドナノチューブが形成することも見いだしている(特許文献7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−256419号公報
【特許文献2】特開2008−214278号公報
【特許文献3】特開2009−136807号公報
【特許文献4】特開2009−213993号公報
【特許文献5】特開2004−250797号公報
【特許文献6】特開2009−233825号公報
【特許文献7】国際特許公開2008/96806
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Chemical Review, Vol.104-4, 347-1200 (2004)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
大気中で安定なペルオキソ錯体を作るためには、複素環式化合物を複数結合したポルフィリンやトリスピリジルに代表される複雑な多座配位子を、更に高度に修飾することが必要とされることから、配位子の合成および錯体の合成が難しいものが多く、報告例は少ない。
また、現在開発されている酸化触媒はそのまま溶液中で均一触媒としても使用可能であるが、酸化反応により形成した製造物と分離するのに手間が掛かることから、通常はゼオライトなどの比表面積の高い無機系多孔材料を基材として用いることが必要となる。
【0008】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであって、極めて簡易な配位子をもち、常温、大気中で安定なペルオキソ錯体とその酸化反応用触媒としての利用方法を提供することを目的とするものである。また、本発明は、ペルオキソ錯体を酸化反応用触媒として用いた場合、酸化反応により形成された製造物との分離が容易なものを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、前述のペプチド脂質を金属と混合することで形成して得られた金属配位型有機ナノチューブに注目し、これに、過酸化物を添加することでペルオキソ錯体が形成しうるという知見を得た。さらに、得られた錯体は、ろ過により単離しても常温、大気中で安定であることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明者らは、ペプチド脂質を金属と混合することで形成した金属配位型有機ナノチューブをアセトニトリルなどの溶媒に分散し、過酸化水素などの過酸化物を添加することで、これまでに得られていないナノチューブ状という高い比表面積をもつ、常温、大気中で安定なペルオキソ錯体が得られることを見いだしたものである。また同時に、得られたペルオキソ錯体を酸化反応用触媒として用いて、アルコール、アルカン、アルキルベンゼンをケトンやカルボン酸に酸化できることを見出した。
【0010】
本発明は、これらの知見に基づいて完成に至ったものであり、以下のとおりのものである。
[1] ペプチド脂質と金属とで形成された金属配位型有機ナノチューブ状構造体の分散液に、過酸化物を添加することで形成された、ナノチューブ状構造を形成するペルオキソ錯体。
[2] 前記ペプチド脂質が、下記一般式(I)
RCO(NH−CHR’−CO)OH (I)
(式中、Rは炭素数6〜24の炭化水素基、R’はアミノ酸側鎖、mは1〜10の整数を表す。)又は
下記一般式(II)
H(NH−CHR’−CO)NHR (II)
(式中、Rは炭素数7〜25の炭化水素基、R’はアミノ酸側鎖、mは1〜10の整数を表す。)
で表わされるペプチド脂質である上記[1]のペルオキソ錯体。
[3] 前記一般式(I)中のRが、炭素数11又は13の炭化水素基を表すか、又は前記一般式(II)中のRが、炭素数14又は16の炭化水素基を表す、上記[2]のペルオキソ錯体。
[4] 前記一般式(I)又は(II)中のmが、2又は3である、上記[2]のペルオキソ錯体。
[5] 前記一般式(I)又は(II)中のR’がHである、上記[2]のペルオキソ錯体。
[6] 前記金属が二核錯体を形成する銅である、上記[1]〜[5]のいずれかのペルオキソ錯体。
[7] 前記過酸化物が過酸化水素である、上記[1]〜[6]のいずれかのペルオキソ錯体。
[8] 前記ナノチューブ状構造の平均外径が10〜500nm、平均長さが0.1〜100μmである、上記[1]〜[7]のいずれかのペルオキソ錯体。
[9] 上記[1]〜[8]のいずれかのペルオキソ錯体を有効成分とする酸化反応用触媒。
[10] 前記酸化反応が、アルコールからケトン又はカルボン酸を生じる反応であることを特徴とする、上記[9]の酸化反応用触媒。
[11] 上記[1]〜[8]のいずれかのペルオキソ錯体を酸化反応用触媒として用いて基質化合物を酸化することを特徴とする、有機化合物の製造方法。
[12] 前記基質化合物がアルコールであり、触媒反応によりケトンあるいはカルボン酸を製造する、上記[11]の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ペプチド脂質と金属が自己集合により形成するナノチューブ状構造に過酸化物を添加することで、大気中で安定なナノチューブ状構造を形成するペルオキソ錯体を容易に提供することが出来る。また、本発明のペルオキソ錯体は、ろ過により単離することができるので、本発明のペルオキソ錯体を酸化触媒として用いた場合には、酸化反応により形成された製造物との分離が容易なものを提供することができる。したがって、本発明の大気中で安定なナノチューブ状構造を形成するペルオキソ錯体は、例えば、ファインケミカル工業分野、医薬、化粧品分野などにおける有機化合物合成のための不均一触媒として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例2で得られた金属配位型有機ナノチューブの走査電子顕微鏡写真。
【図2】実施例3で得られた大気中で安定なペルオキソ錯体の走査電子顕微鏡写真。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のペルオキソ錯体に用いるペプチド脂質は、長鎖炭化水素基を有するペプチド脂質、すなわち一般式(I)RCO(NH−CHR’−CO)OH及び一般式(II)H(NH−CHR’−CO)NHR で表わされるペプチド脂質である。
この一般式(I)中、R’はアミノ酸側鎖であり、このアミノ酸としては、天然及び非天然のアミノ酸が挙げられ、好ましくはグリシンである。より好ましくはグリシンが二つ以上連続した部分が一ヶ所以上あると良い。
上記一般式(I)中、Rは炭素数が6〜24の炭化水素基、好ましくは炭素数2以下の側鎖が付いてもよい直鎖炭化水素である。この炭化水素基は飽和であっても不飽和であってもよく、不飽和の場合には3個以下の二重結合を含むことが好ましい。Rの炭素数は6〜24、好ましくは10〜16、より好ましくは11もしくは13である。また上記一般式(II)中、Rは炭素数が7〜25の炭化水素基、好ましくは炭素数2以下の側鎖が付いてもよい直鎖炭化水素である。この炭化水素基は飽和であっても不飽和であってもよく、不飽和の場合には3個以下の二重結合を含むことが好ましい。Rの炭素数は7〜25、好ましくは11〜17、より好ましくは14もしくは16である。
【0014】
また、本発明のペルオキソ錯体における金属は、アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Cs、Fr)以外の全ての金属化合物を用いることが出来るが、望ましくは、銅、鉄、マンガン、コバルト、ニッケル、バナジウム、モリブデン等の二核錯体を形成する金属である。これらを単品で用いても良いし、複数種を混合して用いても良いが、好ましくは単品であり、更に好ましくは、銅である。
【0015】
次に、このペプチド脂質を用いて金属錯体型有機ナノチューブの製造方法について述べる。
有機溶媒にペプチド脂質を懸濁し、金属塩の溶液と混合することで、金属配位型有機ナノチューブが得られる。この有機溶媒としては、沸点が120℃以下であるアルコール類を用いることができるが、好ましくはメタノールあるいはエタノールである。アルコール類は単独でもよいし、2種以上の混合であってもよい。得られたナノチューブはろ過などにより容易に分離し、通常の自然乾燥や減圧乾燥により乾燥させることが出来る。
【0016】
このようにして得られた金属配位型有機ナノチューブの乾燥粉末を溶媒中に分散し、過酸化物を添加した後、ろ過などの方法により溶媒と分離した後、自然乾燥あるいは減圧乾燥することで、大気中で安定なナノチューブ状構造を形成するペルオキソ錯体を得ることが出来る。本発明で得られるペルオキソ錯体は、平均外径が10−500nm、平均長さが0.1−100μmであるナノチューブ状の構造体である。
【0017】
本発明に用いる過酸化物は、有機パーオキサイド、有機ハイドロパーオキサイド、有機過酸又はこれらの混合物などを用いることが出来るが、好ましくは、過酸化水素である。
【0018】
本発明で得られるペルオキソ錯体は、酸化反応用触媒として用いることができる。
例えば、アルコールから、酸化反応によりケトン又はカルボン酸を製造する際に、得られたペルオキソ錯体を溶媒に分散し、原料であるアルコール類と酸化剤である過酸化物を添加することで、その酸化物であるケトン類やカルボン酸類を得ることが出来る。
ここで用いる過酸化物としては、有機パーオキサイド、有機ハイドロパーオキサイド、有機過酸又はこれらの混合物、或いは、過酸化水素が用いられる。
【0019】
金属配位型有機ナノチューブやナノチューブ構造を形成するペルオキソ錯体の乾燥粉末を分散させる溶媒としては、水、アセトニトリル、THF、アセトンなど、原料となるアルコール類と混合が可能な溶媒が使用可能である。
更に、この溶媒類に、芳香族炭化水素類、パラフィン類、塩化パラフィン類、塩化オレフィン類、塩化芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類、含窒素化合物の1種以上を混合した混合溶媒を用いてもよい。
【実施例】
【0020】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
【0021】
(実施例1)
[N−(グリシルグリシン)トリデカンカルボキサミドの合成]
グリシルグリシンベンジルエステル塩酸塩0.57g(2.2ミリモル)にトリエチルアミン0.31ml(2.2ミリモル)を加えエタノール10mlに溶解した。ここにトリデカンカルボン酸0.46g(2ミリモル)を含むクロロホルム溶液50mlを加えた。この混合溶液を−10℃で冷却しながら1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩0.42g(2.2ミリモル)を含むクロロホルム溶液20mlを加え、徐々に室温に戻しながら一昼夜撹拌した。反応溶液を10重量%クエン酸水溶液50ml、4重量%炭酸水素ナトリウム水溶液50ml、純水50mlで洗浄した後、減圧下で濃縮し白色固体(N−(グリシルグリシンベンジルエステル)トリデカンカルボキサミド)0.57g(収率65%)を得た。得られた化合物0.43g(1ミリモル)
をジメチルホルムアミド100mlに溶解し、触媒として10重量%パラジウム/炭素を0.5g加え、接触水素還元を行った。6時間後、セライトろ過した後、減圧下で濃縮することにより、N−(グリシルグリシン)トリデカンカルボキサミド0.21g(収率60%)を得た。
融点:158℃
元素分析(C18H34N2O4
計算値(%)C63.13、H10.01、N8.18
実測値(%)C62.09、H9.65、N8.25
【0022】
(実施例2)
実施例1で得られたN−(グリシルグリシン)トリデカンカルボキサミドのエタノール懸濁液(8.6g、125ml)と硝酸銅(II)の水溶液(5.5g、125ml)を室温大気中で混合すると、平均外径が100nm程度の銅配位型有機ナノチューブが形成した。図1に、得られた銅配位型有機ナノチューブの走査電子顕微鏡写真を示す。
【0023】
(実施例3)
実施例2で得られた銅配位型有機ナノチューブ(0.41g)をアセトニトリル100mlに懸濁し、30%過酸化水素水1.4mlを加えると、懸濁状態のまま淡青色から淡青緑色に変化した。ろ過および減圧乾燥により淡青緑色の沈殿0.4gが得られた。電子顕微鏡観察により、実施例2で得られる銅配位型有機ナノチューブとほとんど同じサイズのチューブ状構造であることを明らかになった。図2は、その走査電子顕微鏡写真である。
また、紫外可視吸収スペクトルの測定により、ペルオキソ錯体であることを明らかにした。
【0024】
(実施例4)
実施例3で得られた大気中で安定なナノチューブ状構造を形成するペルオキソ錯体(0.008g)をアセトニトリル5mlに分散し、モル比で200倍量のシクロヘキサノール(0.4g)と、酸化剤として過酸化水素水0.014mlを加え、60℃で5時間撹拌すると、14%のシクロヘキサノールがシクロヘキサノンに酸化されたことがガスクロマトグラフィーによる同定によりわかった。
【0025】
(実施例5)
実施例3で得られた大気中で安定なナノチューブ状構造を形成するペルオキソ錯体(0.008g)をアセトニトリル5mlに分散し、モル比で200倍量のシクロヘキサノール(0.4g)と、酸化剤として70%のtert-ブチルヒドロペルオキシド水溶液0.002mlを加え、60℃で5時間撹拌すると、22%のシクロヘキサノールがシクロヘキサノンに酸化されたことがガスクロマトグラフィーによる同定によりわかった。
【0026】
(実施例6)
実施例3で得られた大気中で安定なナノチューブ状構造を形成するペルオキソ錯体(0.008g)をアセトニトリル5mlに分散し、モル比で200倍量のベンジルアルコール(0.43g)と、酸化剤として過酸化水素水0.014mlを加え、60℃で5時間撹拌すると、20%のベンジルアルコールがベンジルメチルケトンに、5%のベンジルアルコールがフェニル酢酸に酸化されたことがガスクロマトグラフィーによる同定によりわかった。
【0027】
(実施例7)
実施例3で得られた大気中で安定なナノチューブ状構造を形成するペルオキソ錯体(0.008g)をアセトニトリル5mlに分散し、モル比で200倍量のシクロヘキサン(0.33g)と、酸化剤として過酸化水素水0.014mlを加え、60℃で5時間撹拌すると、16%のシクロヘキサンがシクロヘキサノンに、14%のシクロヘキサンがシクロヘキサノールに酸化されたことがガスクロマトグラフィーによる同定によりわかった。
【0028】
(実施例8)
実施例3で得られた大気中で安定なナノチューブ状構造を形成するペルオキソ錯体(0.008g)をアセトニトリル5mlに分散し、モル比で200倍量のジフェニルメタン(0.67g)と、酸化剤として70%のtert-ブチルヒドロペルオキシド水溶液0.002mlを加え、60℃で5時間撹拌すると、43%のジフェニルメタンがベンゾフェノンに酸化されたことがガスクロマトグラフィーによる同定によりわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペプチド脂質と金属とで形成された金属配位型有機ナノチューブ状構造体の分散液に、過酸化物を添加することで形成された、ナノチューブ状構造を形成するペルオキソ錯体。
【請求項2】
前記ペプチド脂質が、下記一般式(I)
RCO(NH−CHR’−CO)OH (I)
(式中、Rは炭素数6〜24の炭化水素基、R’はアミノ酸側鎖、mは1〜10の整数を表す。)又は
下記一般式(II)
H(NH−CHR’−CO)NHR (II)
(式中、Rは炭素数7〜25の炭化水素基、R’はアミノ酸側鎖、mは1〜10の整数を表す。)
で表わされるペプチド脂質である請求項1記載のペルオキソ錯体。
【請求項3】
前記一般式(I)中のRが、炭素数11又は13の炭化水素基を表すか、又は前記一般式(II)中のRが、炭素数14又は16の炭化水素基を表す、請求項2に記載のペルオキソ錯体。
【請求項4】
前記一般式(I)又は(II)中のmが、2又は3である、請求項2に記載のペルオキソ錯体。
【請求項5】
前記一般式(I)又は(II)中のR’がHである、請求項2に記載のペルオキソ錯体。
【請求項6】
前記金属が二核錯体を形成する銅である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のペルオキソ錯体。
【請求項7】
前記過酸化物が過酸化水素である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のペルオキソ錯体。
【請求項8】
前記ナノチューブ状構造の平均外径が10〜500nm、平均長さが0.1〜100μmである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のペルオキソ錯体。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のペルオキソ錯体を有効成分とする酸化反応用触媒。
【請求項10】
前記酸化反応が、アルコールからケトン又はカルボン酸を生じる反応であることを特徴とする、請求項9に記載の酸化反応用触媒。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のペルオキソ錯体を酸化反応用触媒として用いて基質化合物を酸化することを特徴とする、有機化合物の製造方法。
【請求項12】
前記基質化合物がアルコールであり、触媒反応によりケトンあるいはカルボン酸を製造する、請求項11に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−167627(P2011−167627A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33440(P2010−33440)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度独立行政法人科学技術振興機構委託研究「超分子ナノチューブアーキテクトニクスとナノバイオ応用」産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】