説明

大気圧イオン化方法及び試料保持装置

【課題】非定形試料のための前処理の不要な大気圧イオン化方法および試料保持装置を提供する。
【解決手段】励起ガスが透過する薄膜、または試料を含浸させ得る繊維体や多孔質体に試料を包むか染み込ませるかして試料に励起ガスを当て、試料を励起ガスと反応させてイオン化させるようにした。また、上下左右方向に移動可能かつ前面側と後面側を連通する連通部を備えた保持具を用い、試料を励起ガスが透過する薄膜、または試料を含浸させ得る繊維体や多孔質体に包むか染み込ませるかして該連通部に保持し、試料の前方から試料に励起ガスを当て、これにより試料をイオン化して試料の後方に置かれた質量分析計のイオン導入口に導入させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気圧イオン源に使用されるイオン化方法と、そのための試料保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大気圧イオン化方法にはさまざまな方法が知られているが、近年、DART(Direct Analysis in Real Time)(米国登録商標)と呼ばれる大気圧イオン化方法が注目されている。これは、コロナ放電またはグロー放電によって生成した励起分子を試料と反応させ、試料をイオン化して、質量分析計のイオン導入口(以下、オリフィスと呼ぶ)に導入させるものである。
【0003】
DARTの原理図を図1に示す。DARTは3つの部屋で構成されている。まず、第1の部屋1は、コロナ放電またはグロー放電によって励起分子を生成させる役割を持っている。第1の部屋1にはヘリウム、ネオン、窒素などのガスを導入するためのガス導入管4が接続され、第1の部屋1をガスで満たすことができるようになっている。
【0004】
第1の部屋1と第2の部屋2との間の仕切り6(対向電極)は接地電位に設定されており、第1の部屋1に取り付けられたニードル電極5と仕切り6との間でコロナ放電またはグロー放電を起こさせることができるようになっている。このコロナ放電またはグロー放電により、第1の部屋1に導入された例えば基底一重項分子ヘリウムガス(1S)は、ヘリウムイオンHe、電子e、および、19.8eVに励起された励起三重項分子He(2S)の混合物に変化する。
【0005】
第2の部屋2と第3の部屋3との間の仕切り7(穴あき円盤電極)は約100Vに設定されていて、接地電位の仕切り6との間で電位勾配が設けられている。第2の部屋2では第1の部屋1で生成したヘリウムイオンHeと電子eをブロックし、中性の励起三重項分子He(2S)のみを通過させる。ヘリウムイオンHeは仕切り7で反射され、電子eは仕切り7で吸収される。
【0006】
第2の部屋2を通過した励起三重項分子He(2S)は、第3の部屋3において、図示しないヒータによって加熱される。この加熱は、後段に置かれた試料9の気化、熱脱離を助ける目的でなされるものである。試料9は、固体でも液体でも良い。
【0007】
第3の部屋3の出口部8はグリッド電極になっており、約250Vの電圧が印加されている。一方、オリフィス10には、約30Vの電圧が印加されているので、第3の部屋3の出口部8からオリフィス10に向けては、負の電位勾配が発生する。
【0008】
第3の部屋3で加熱された中性の励起三重項分子He(2S)は、大気中の水分子と反応して、水分子をペニングイオン化する。この水分子正イオンが大気中の水と水クラスター正イオンを形成し、さらに試料9と反応してプロトンHが試料分子Mに付加した試料イオンMHが生成する。そのメカニズムを表わしたものが図2である。
【0009】
図2のメカニズムにより生成した正イオンMHは、第3の部屋3の出口部8からオリフィス10に向けて発生した負の電位勾配に従って、オリフィス10に吸い込まれ、図示しない質量分析計により質量分析がなされる。
【0010】
尚、この例は正イオンが生成する場合の例であるが、負イオンが生成する場合には、出口部8とオリフィス10の間に印加される電位勾配の向きを逆にする必要がある。
【0011】
【特許文献1】米国特許第6949741号公報。
【0012】
【特許文献2】WO2004/098743号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来のDARTの問題点の一つは、図3に示すように、試料が粉体11の場合、試料を気化・熱脱離する際に、励起ガス12の風圧により試料が飛散してしまうことであった。この問題を回避するため、従来は、乳鉢13を用いて試料11とポリエチレングリコール(PEG)などのバインダ14とを混合し、混合物15を加圧成形機16を用いて混合成形固体17にしたものを、ピンセット18などで保持した状態で励起ガス12に触れさせて、試料をイオン化させていた。
【0014】
そのため、粉体試料の場合、バインダと練り合わせて固まり状にする前処理が必要であった。しかも、バインダの種類によっては、励起ガスの高温に耐えられず、固まり状態を維持できなくなって、分析ができない場合があった。その場合は、バックグラウンド信号の出にくい粘着テープに付着させたり、溶媒に溶かしてガラス棒などの先端に塗布したりして測定する必要があった。
【0015】
本発明の目的は、上述した点に鑑み、非定形試料のための前処理の不要な大気圧イオン化方法および試料保持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的を達成するため、本発明にかかる大気圧イオン化方法は、
励起ガスが透過する薄膜に試料を包むか染み込ませるかして試料に励起ガスを当て、試料を励起ガスと反応させてイオン化させるようにしたことを特徴としている。
【0017】
また、前記励起ガスは、コロナ放電またはグロー放電によって生成された励起分子を含むガスであることを特徴としている。
【0018】
また、前記薄膜は繊維素を含む薄膜であることを特徴としている。
【0019】
また、前記繊維素を含む薄膜は紙またはセラミックペーパーであることを特徴としている。
【0020】
また、試料を繊維体または多孔質体に染み込ませて試料に励起ガスを当て、試料を励起ガスと反応させてイオン化させるようにしたことを特徴としている。
【0021】
また、前記励起ガスは、コロナ放電またはグロー放電によって生成された励起分子を含むガスであることを特徴としている。
【0022】
また、前記繊維体または多孔質体は綿、布、糸、ガーゼ、タオル、スポンジのいずれか1つであることを特徴としている。
【0023】
また、上下左右方向に移動可能な保持具に試料を保持し、試料の前方から試料に励起ガスを当て、これにより試料をイオン化して試料の後方に置かれた質量分析計のイオン導入口に導入させるようにしたことを特徴している。
【0024】
また、前記保持具は前面側と後面側を連通する連通部を備え、前記試料は励起ガスが透過する薄膜中、または試料を含浸させ得る繊維体中または多孔質体中に保持されて、前記連通部に保持されていることを特徴としている。
【0025】
また、前記励起ガスは、コロナ放電またはグロー放電によって生成された励起分子を含むガスであることを特徴としている。
【0026】
また、前記薄膜は繊維素を含む薄膜であることを特徴としている。
【0027】
また、前記繊維素を含む薄膜は紙またはセラミックペーパーであることを特徴としている。
【0028】
また、前記繊維体または多孔質体は綿、布、糸、ガーゼ、タオル、スポンジのいずれか1つであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0029】
本発明にかかる大気圧イオン化方法によれば、
励起ガスが透過する薄膜、または試料を含浸させ得る繊維体や多孔質体に試料を包むか染み込ませるかして試料に励起ガスを当て、試料を励起ガスと反応させてイオン化させるようにしたので、
非定形試料のための前処理の不要な大気圧イオン化方法を提供することができる。
【0030】
また、本発明にかかる試料保持装置によれば、
上下左右方向に移動可能かつ前面側と後面側を連通する連通部を備えた保持具を用い、励起ガスが透過する薄膜、または試料を含浸させ得る繊維体や多孔質体に試料を包むか染み込ませるかして該連通部に保持し、試料の前方から試料に励起ガスを当て、これにより試料をイオン化して試料の後方に置かれたオリフィスに導入させるようにしたので、
非定形試料のための前処理の不要な試料保持装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。図4は、本発明にかかる大気圧イオン化方法の一実施例である。
【0032】
まず、粉体試料21を前処理することなく、2つ折りにした紙22の折り目のところに少量置き、封をする。折り目のところに集めた粉体試料21に励起ガス23を吹き掛けると、励起ガスの分子24が紙22の繊維の隙間を通過し、粉体試料21に直接作用して粉体試料21をイオン化する。生成したイオンは、さらに反対側の紙22の繊維の隙間を通過してイオン流26となる。このとき、試料保持部に紙を使用するので、励起ガスの温度は200℃以下に設定し、紙が燃えないようにさせる。
【0033】
図5は、本発明にかかる大気圧イオン化方法の別の実施例である。粉体試料21が200℃以上の高温でないとイオン化されない場合、先の実施例で使用した紙では燃えてしまうため、紙よりも耐熱性のあるセラミック(シリカやアルミナが主成分)の繊維を粉体試料21が通らない程度の緻密さで織り込んだ薄いセラミックペーパー25を用い、先の実施例と同様の方法で、セラミックペーパー25に粉体試料21を包んで励起ガス23を吹き掛ける。そして励起ガス23の分子24をセラミックペーパー25の繊維の隙間を通過させることにより粉体試料21に直接作用させて粉体試料21をイオン化させ、さらに反対側のセラミックペーパー25の繊維の隙間を通過させてイオン流26を発生させる。
【0034】
図6は、本発明にかかる大気圧イオン化方法の別の実施例である。ゲル状試料27を用いる場合、先の実施例と同様の方法で、紙22やセラミックペーパー25にゲル状試料27を包んで励起ガス23を吹き掛ける。そして励起ガス23の分子24を紙22またはセラミックペーパー25の繊維の隙間を通過させることによりゲル状試料27に直接作用させてゲル状試料27をイオン化させ、さらに反対側の紙22またはセラミックペーパー25の繊維の隙間を通過させてイオン流26を発生させる。
【0035】
図7は、本発明にかかる大気圧イオン化方法の別の実施例である。液体試料28を用いる場合、先の実施例で使用した紙22やセラミックペーパー25に液体試料28を直接染み込ませて、先の方法と同様の方法により液体試料28をイオン化させ、紙22またはセラミックペーパー25の反対側に向けてイオン流26を発生させる。この例では、紙やセラミックペーパーの代わりに、脱脂綿などの綿類のほか、布類、糸類、ガーゼ類、タオル類、スポンジ類など、さまざまな繊維体や多孔質体に液体試料を含浸させて、イオン化させることができる。
【0036】
図8は、本発明にかかる試料保持装置の一実施例である。紙またはセラミックペーパーなどから成る2つ折りの試料保持シート31に挟んだ試料32(または1重の試料保持シート31に染み込ませた試料32)をL型プレート33にクリップ34で押さえ、固定する。このとき、L型プレート33は前面側と後面側を連通する連通部(切り欠き部)を備えており、試料32は当該連通部に当接保持されている。
【0037】
L型プレート33には、ステージ35に設けたホルダ36に差し込むプラグ37が固定されている。プラグ37にはピン38が取り付けられており、ホルダ36にプラグ37が差し込まれると、ホルダ36に設けたピン用の穴39にピン38がはまり、回り止めがされる。
【0038】
プラグ37がホルダ36に差し込まれた状態では、DARTのノズル40からから噴出された励起ガス41が通気性の試料保持シート31を通過して試料32に直接当たり、これにより試料32がイオン化されて、試料32の後方に置かれたオリフィス42に導入される。
【0039】
イオン化に適した試料位置は、ステージ35を左右に移動させたり、ホルダ36を上下に移動させたりしながら、生成されるイオンの量的変化を質量分析計でモニターすることにより選ぶ。試料32はL型プレート33の連通部に当接保持されているため、試料32はイオン化後、L型プレート33に邪魔されることなくオリフィス42に導入される。
【0040】
なお、この例では、紙やセラミックペーパーなどの薄膜体を念頭に置いて試料保持方法を説明したが、紙やセラミックペーパーなどから成る試料保持シート31の代わりに、脱脂綿などの綿類や、布類、糸類、ガーゼ類、タオル類、スポンジ類など、さまざまな繊維体や多孔質体を試料保持体として利用できることは言うまでもない。ただ、これらの内、熱に弱い素材については、高温での使用には耐えないので、低温でのイオン化の際にのみ限定使用される。
【0041】
図9は、本発明にかかる試料保持装置の別の実施例である。本実施例では、先の実施例のステージ35とホルダ36との間に回転機構43を設け、L型プレート33に取り付けられた試料保持シート31の試料32の部分を傾ける機能を追加した。これにより、イオン化に適した試料位置を選ぶ際に、励起ガス41の当たる角度を調節することができる。
【0042】
図10は、本発明にかかる試料保持装置の別の実施例である。本実施例では、先の実施例とは異なり、2つ折りの試料保持シートに挟んだ試料(または1重の試料保持シートに染み込ませた試料)をL型プレートにクリップで押さえ、固定する方式を取らず、先端に試料52を塗布したガラス棒51を使用する。
【0043】
アーム54は、ステージ58に設けたホルダ57に差し込むプラグ53と一体化されている。アーム54の上端部にはクリップ55がネジ56で固定されており、このクリップ55とアーム54との間にガラス棒51を挟み、固定する。プラグ53にはピンが取り付けられており、ホルダ57にプラグ53が差し込まれると、ホルダ57に設けたピン用の穴にピンがはまり、回り止めがされる。
【0044】
プラグ53がホルダ57に差し込まれた状態では、図示しないDARTのノズルからから噴出された励起ガスは試料52に直接当たり、これにより試料52がイオン化されて、試料52の後方に置かれた図示しないオリフィスに導入される。
【0045】
イオン化に適した試料位置は、ステージ58を左右に移動させたり、ホルダ57を上下に移動させたりしながら、生成されるイオンの量的変化を質量分析計でモニターすることにより選ぶ。試料52はガラス棒51の先端に保持されているため、試料52はイオン化後、ガラス棒51に邪魔されることなく図示しないオリフィスに導入される。
【0046】
図11は、本発明にかかる試料保持装置の別の実施例である。本実施例では、先の実施例とは異なり、2つ折りの試料保持シートに挟んだ試料(または1重の試料保持シートに染み込ませた試料)をL型プレートにクリップで押さえ、固定する方式や、先端に試料を塗布したガラス棒を使用する方式を取らず、固体試料66を逆作用ピンセット63で挟む方式を採用する。
【0047】
アーム62は、ステージ68に設けたホルダ67に差し込むプラグ61と一体化されている。アーム62の上端部には逆作用ピンセット63を固定するためのクランプ64がネジ65で固定されており、このクランプ64の隙間に逆作用ピンセット63の後部を差し込み、ネジ65で固定する。プラグ61にはピンが取り付けられており、ホルダ67にプラグ61が差し込まれると、ホルダ67に設けたピン用の穴にピンがはまり、回り止めがされる。
【0048】
プラグ61がホルダ67に差し込まれた状態では、図示しないDARTのノズルからから噴出された励起ガスは、逆作用ピンセット63で挟まれた固体試料66に直接当たり、これにより固体試料66がイオン化されて、固体試料66の後方に置かれた図示しないオリフィスに導入される。
【0049】
イオン化に適した試料位置は、ステージ68を左右に移動させたり、ホルダ67を上下に移動させたりしながら、生成されるイオンの量的変化を質量分析計でモニターすることにより選ぶ。固体試料66は逆作用ピンセット63の先端に保持されているため、固体試料66はイオン化後、逆作用ピンセット63に邪魔されることなく図示しないオリフィスに導入される。
【産業上の利用可能性】
【0050】
DARTによる質量分析に広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】DARTの原理図である。
【図2】DARTによるイオン化のメカニズムを説明する図である。
【図3】DARTの問題点を示す図である。
【図4】本発明にかかるイオン化方法の一実施例である。
【図5】本発明にかかるイオン化方法の別の実施例である。
【図6】本発明にかかるイオン化方法の別の実施例である。
【図7】本発明にかかるイオン化方法の別の実施例である。
【図8】本発明にかかる試料保持装置の一実施例である。
【図9】本発明にかかる試料保持装置の別の実施例である。
【図10】本発明にかかる試料保持装置の別の実施例である。
【図11】本発明にかかる試料保持装置の別の実施例である。
【符号の説明】
【0052】
1:第1の部屋、2:第2の部屋、3:第3の部屋、4:ガス導入管、5:ニードル電極、6:仕切り、7:仕切り、8:出口部、9:試料、10:オリフィス、11:粉体試料、12:励起ガス、13:乳鉢、14:バインダ、15:混合物、16:加圧成形機、17:混合成形固体、18:ピンセット、21:粉体試料、22:紙、23:励起ガス、24:励起分子、25:セラミックペーパー、26:イオン流、27:ゲル状試料、28:液体試料、31:試料保持シート、32:試料、33:L型プレート、34:クリップ、35:ステージ、36:ホルダ、37:プラグ、38:ピン、39:穴、40:ノズル、41:励起ガス、42:オリフィス、43:回転機構、51:ガラス棒、52:試料、53:プラグ、54:アーム、55:クリップ、56:ネジ、57:ホルダ、58:ステージ、61:プラグ、62:アーム、63:逆作用ピンセット、64:クランプ、65:ネジ、66:固体試料、67:ホルダ、68:ステージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起ガスが透過する薄膜に試料を包むか染み込ませるかして試料に励起ガスを当て、試料を励起ガスと反応させてイオン化させるようにしたことを特徴とする大気圧イオン化方法。
【請求項2】
前記励起ガスは、コロナ放電またはグロー放電によって生成された励起分子を含むガスであることを特徴とする請求項1記載の大気圧イオン化方法。
【請求項3】
前記薄膜は繊維素を含む薄膜であることを特徴とする請求項1または2記載の大気圧イオン化方法。
【請求項4】
前記繊維素を含む薄膜は紙またはセラミックペーパーであることを特徴とする請求項3記載の大気圧イオン化方法。
【請求項5】
試料を繊維体または多孔質体に染み込ませて試料に励起ガスを当て、試料を励起ガスと反応させてイオン化させるようにしたことを特徴とする大気圧イオン化方法。
【請求項6】
前記励起ガスは、コロナ放電またはグロー放電によって生成された励起分子を含むガスであることを特徴とする請求項5記載の大気圧イオン化方法。
【請求項7】
前記繊維体または多孔質体は綿、布、糸、ガーゼ、タオル、スポンジのいずれか1つであることを特徴とする請求項5または6記載の大気圧イオン化方法。
【請求項8】
上下左右方向に移動可能な保持具に試料を保持し、試料の前方から試料に励起ガスを当て、これにより試料をイオン化して試料の後方に置かれた質量分析計のイオン導入口に導入させるようにしたことを特徴とする試料保持装置。
【請求項9】
前記保持具は前面側と後面側を連通する連通部を備え、前記試料は励起ガスが透過する薄膜中、または試料を含浸させ得る繊維体中または多孔質体中に保持されて、前記連通部に保持されていることを特徴とする請求項8記載の試料保持装置。
【請求項10】
前記励起ガスは、コロナ放電またはグロー放電によって生成された励起分子を含むガスであることを特徴とする請求項8または9記載の試料保持装置。
【請求項11】
前記薄膜は繊維素を含む薄膜であることを特徴とする請求項9または10記載の試料保持装置。
【請求項12】
前記繊維素を含む薄膜は紙またはセラミックペーパーであることを特徴とする請求項11記載の試料保持装置。
【請求項13】
前記繊維体または多孔質体は綿、布、糸、ガーゼ、タオル、スポンジのいずれか1つであることを特徴とする請求項9または10記載の試料保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−256246(P2007−256246A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−87517(P2006−87517)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】