説明

太陽光発電パネル装置

【課題】太陽光発電パネルの表面に雨水が当たりにくい太陽光発電パネル装置を提供する。
【解決手段】各太陽光発電パネル1に庇状の上部ミラー2を設けたため、雨水Wは上部ミラー2の背面を伝わって排出され、太陽光発電パネル1の表面に付着しない。そのため、太陽光発電パネル1の表面が汚れにくく、発電効率の低下を防止することができる。太陽光発電パネル1と上部ミラー2が隙間なく隣接しているため、全ての太陽光Lを太陽光発電パネル1に当てることができ、上部ミラー2を形成したことによる発電効率の低下を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽光発電パネル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光を受光して電気に変換する太陽光発電パネルの受光面を、常に太陽に真っ直ぐに向けた状態に制御して発電効率を高めるようにした太陽光発電パネル装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−202831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の技術にあっては、太陽光発電パネルの表面に雨水が直接当たるため、汚れやすく、太陽光発電パネルの発電効率を低下させていた。
【0005】
本発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、太陽光発電パネルの表面に雨水が当たりにくい太陽光発電パネル装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、太陽光発電パネルを上下方向で所定間隔ごとに複数枚設置した太陽光発電パネル装置であって、各太陽光発電パネルの上部に設けられ太陽光を前記太陽光発電パネルに導入する庇状の上部ミラーを具備し、前記上部ミラーの断面形状がオフセット放物線で規定されることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、上下方向で隣接する太陽光発電パネルと上部ミラーが隙間なく隣接していることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、太陽光の光路における前記上部ミラーとその焦点の間に前記各太陽光発電パネルが位置づけられることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、前記上部ミラーに入射した太陽光は全て前記各太陽光発電パネルに導入されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、各太陽光発電パネルに庇状の上部ミラーを設けたため、雨水は上部ミラーの背面を伝わって排出され、太陽光発電パネルの表面に付着しない。そのため、太陽光発電パネルの表面が汚れにくく、発電効率の低下を防止することができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、上下方向で隣接する太陽光発電パネルと上部ミラーが隙間なく隣接しているため、全ての太陽光を太陽光発電パネルに当てることができ、上部ミラーを形成したことによる発電効率の低下を防止することができる。
【0012】
請求項3および4記載の発明によれば、上部ミラーに入射した太陽光が効率よく太陽光発電パネルに導入される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】太陽光発電パネル装置を示す斜視図。
【図2】上部ミラーの光学的性能を示す図。
【図3】上部ミラー及び太陽光発電パネルを示す断面図。
【図4】上部ミラーの比較例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1〜図3は、本発明の好適な実施形態を示す図である。横長で所定の幅Aを有する太陽光発電パネル1が所定の隙間Bを隔てた状態で、上下方向で複数組み付けられている。隙間Bは太陽光発電パネル1の幅Aと同じサイズに設定されている。各太陽光発電パネル1の上部には、前記隙間Bに相当する開口サイズを有する上部ミラー2が取付けられている。上下で隣接する太陽光発電パネル1と上部ミラー2とは隙間なく隣接している。
【0015】
上部ミラー2は内面が鏡面になっており、その断面が放物線の一部を規定する放物型曲面であり焦点Fを有する。さらに鏡面は焦点Fに対して上部ミラー2の開口部Bがオフセットした放物型曲面である。本実施例では焦点Fは上部ミラー2の下方の外れた位置にある。なおオフセット放物型曲面は上部ミラー2の長手方向に延在しており、焦点Fは長手方向に平行な直線上に存在する。
【0016】
太陽光発電パネルは太陽光Lの光路上における各上部ミラー2とその焦点Fの間に位置づけられる。すなわち、上部ミラー2の鏡面で反射された太陽光は焦点Fに向かうがすべて太陽光発電パネル1で遮蔽されるように構成されるため、太陽光発電パネル1には開口部Aに直接入射する太陽光と開口部Bから入射して上部ミラー2で反射された太陽光Lとが導入される。
【0017】
上部ミラー2を有する複数の太陽光発電パネル1にて形成された構造体は、ベース3の上部で水平方向に回転自在であると共に、アーム4に沿って角度を変更することができる。従って、太陽光発電パネル1の表面(受光面)は常に太陽に向けられた状態となり、太陽光Lは太陽光発電パネル1の表面に対して垂直に入射する。
【0018】
このような構造にあって、各太陽光発電パネル1の上部には庇状の上部ミラー2が存在するため、雨水Wが降ってきても、上部ミラー2の背面に沿って排出され、太陽光発電パネル1の表面に接しにくい。従って、太陽光発電パネル1の表面の汚れを防止することができる。
【0019】
また、太陽光発電パネル1間の隙間Bの太陽光Lは上部ミラー2により太陽光発電パネル1に導入される。上部ミラー2がオフセット放物型の凹面形状のため、図2に示すように、上部ミラー2に入光した太陽光Lの全てを太陽光発電パネル1に当てることができる。従って、隙間Bを設けた構造でありながら、太陽光発電パネル1に入射する太陽光Lの量は低下することがなく、発電効率の維持を図ることができる。
【0020】
例えば、オフセット放物面形状の代わりに平板状の上部ミラー5を用いると、特に上部ミラー5の上部で反射した太陽光Lが集光せず太陽光発電パネル1から外れてしまい発電効率の低下を招くことになる。また、平板状の上部ミラー5で開口部Bに入射した太陽光を全て太陽光発電パネルに導入しようとすると上部ミラー5の高さが長大となって大型となり強度、重量などの点で問題がある。
【0021】
以上説明したように、この発明によれば、雨水Wによる汚れ防止と、発電効率の維持を図ることができる。また上部ミラーをオフセット放物面形状とすることによりコンパクトに構成することができるので軽量かつ強固な庇とすることができる。尚、少ない面積の太陽光発電パネル1で、高い発電効率を維持できるため、コストの面においても有利である。
【符号の説明】
【0022】
1 太陽光発電パネル
2 上部ミラー
3 ベース
4 アーム
A 太陽光発電パネルの幅
B 隙間
F 焦点
L 太陽光
W 雨水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電パネルを上下方向で所定間隔ごとに複数枚設置した太陽光発電パネル装置であって、
各太陽光発電パネルの上部に設けられ太陽光を前記太陽光発電パネルに導入する庇状の上部ミラーを具備し、前記上部ミラーの断面形状がオフセット放物線で規定されることを特徴とする太陽光発電パネル装置。
【請求項2】
上下方向で隣接する太陽光発電パネルと上部ミラーが隙間なく隣接していることを特徴とする請求項1記載の太陽光発電パネル装置。
【請求項3】
太陽光の光路における前記上部ミラーとその焦点の間に前記各太陽光発電パネルが位置づけられることを特徴とする請求項1記載の太陽光発電パネル装置。
【請求項4】
前記上部ミラーに入射した太陽光は全て前記各太陽光発電パネルに導入されることを特徴とする請求項3記載の太陽光発電パネル装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate