説明

太陽熱利用廃棄物発電装置

【課題】廃棄物処理炉施設から発生する蒸気タービンの廃蒸気の利用効率を改善する太陽熱利用廃棄物発電装置を提供することを課題とする。
【解決手段】廃棄物処理炉50の排ガスから熱回収して蒸気を生成するボイラ51と、ボイラ51からの蒸気で発電する蒸気タービン発電装置52と、ボイラからの蒸気の一部を利用する蒸気利用熱交換器10と、蒸気タービン発電装置52からの廃蒸気、蒸気利用熱交換器10からの廃蒸気及び蒸気ドレーンのうち少なくとも一つとの熱交換により、低沸点媒体蒸気を生成する低沸点媒体蒸発器20と、太陽熱を集熱する太陽熱集熱装置30と、集熱された太陽熱を受熱し、太陽熱との熱交換により、低沸点媒体蒸発器からの低沸点媒体蒸気を飽和蒸気温度より高い温度に加熱して低沸点媒体過熱蒸気を生成する太陽熱受熱蒸気過熱装置40と、低沸点媒体過熱蒸気により発電する低沸点媒体蒸気タービン発電装置56と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物を焼却またはガス化溶融する廃棄物処理炉施設に設けられる太陽熱利用廃棄物発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物を焼却またはガス化溶融する廃棄物処理炉施設では、エネルギーの有効利用の観点から、焼却炉やガス化溶融炉の燃焼排ガスから廃熱ボイラにて廃熱を回収して生成される蒸気を発電用蒸気タービンに供給して発電に利用することが行われている。さらに、廃熱ボイラで生成された蒸気の一部を焼却炉やガス化溶融炉へ供給する支燃ガスの予熱や、炉から排出され冷却された排ガスの再加熱に用いたり、廃棄物処理炉施設内の暖房や給湯に利用したりしているものの、廃棄物焼却炉施設から発生する廃熱の一層の利用率向上が望まれている。
【0003】
特許文献1には、廃棄物焼却炉の廃熱ボイラにて廃熱を回収して生成される蒸気を用いて蒸気タービン発電機にて発電を行い、蒸気タービン発電機の廃蒸気を熱源として低沸点媒体の蒸気を発生させ発生した低沸点媒体蒸気を用いて低沸点媒体蒸気タービン発電機にて発電を行う2段階廃棄物発電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−145408
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の発電装置では、蒸気タービン発電機の廃蒸気を熱源として発生させる低沸点媒体の蒸気を用いて低沸点媒体蒸気タービン発電機にて発電するので、比較的低温の廃蒸気を熱源とするため、低沸点媒体蒸気温度を高くすることに限界があり、低沸点媒体蒸気タービン発電機の発電効率が低いという問題がある。
【0006】
また、廃熱ボイラで生成された蒸気の一部についての熱を利用して支燃ガスの予熱や、排ガスの再加熱を行う際に生じる廃蒸気や蒸気ドレーンが保有する比較的低温の廃熱をさらに利用することのできる有効な技術がいまだ開発されていない。
【0007】
本発明は上記の問題に鑑み、廃棄物処理炉施設から発生する蒸気タービンの廃蒸気や比較的低温の廃熱の利用効率を改善することができる太陽熱利用廃棄物発電装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、廃棄物を焼却またはガス化溶融する廃棄物処理炉施設に設ける廃棄物発電装置において、上記課題は次のごとく構成される第一発明又は第二発明により解決される。
【0009】
<第一発明>
廃棄物処理炉から排出される排ガスから熱回収して蒸気を生成するボイラと、ボイラで生成された蒸気により発電する蒸気タービン発電装置と、ボイラで生成された蒸気の一部についての熱を利用する蒸気利用熱交換器と、蒸気タービン発電装置から排出される廃蒸気、蒸気利用熱交換器から排出される廃蒸気及び蒸気ドレーンのうち少なくとも一つとの熱交換により、低沸点媒体蒸気を生成する低沸点媒体蒸発器と、太陽熱を集熱する太陽熱集熱装置と、集熱された太陽熱を受熱し、受熱した太陽熱との熱交換により、低沸点媒体蒸発器で生成した低沸点媒体蒸気を飽和蒸気温度より高い温度に加熱して低沸点媒体過熱蒸気を生成する太陽熱受熱蒸気過熱装置と、生成された低沸点媒体過熱蒸気により発電する低沸点媒体蒸気タービン発電装置と、を備えることを特徴とする太陽熱利用廃棄物発電装置。
【0010】
かかる構成の第一発明によると、燃焼炉又はガス化溶融炉(以下、「廃棄物処理炉」ということもある。)からの排ガスの廃熱によって生成した蒸気により駆動する蒸気タービンから排出される廃蒸気との熱交換により低沸点媒体蒸気を発生させ、この低沸点媒体飽和蒸気から過熱蒸気を得る過程に太陽熱を活用し、高温過熱蒸気を用いて低沸点媒体蒸気タービン発電を行うことにより、比較的低温の廃蒸気を低沸点媒体蒸発熱源としても、高温過熱蒸気を用いて発電できるので、発電効率を高くすることができ、また高い効率で太陽熱の受熱熱量を電力へ変換できる。
【0011】
このような第一発明において、蒸気利用熱交換器は、廃棄物処理炉に供給する支燃ガスの予熱器、廃棄物処理炉から排出され冷却された排ガスの再加熱器、温熱水を生成する加熱器及び暖房空調ための熱交換器のうち少なくとも一つとすることができる。
【0012】
<第二発明>
廃棄物処理炉から排出される排ガスから熱回収して蒸気を生成するボイラと、ボイラで生成された蒸気により発電する蒸気タービン発電装置と、ボイラで生成された蒸気の一部についての熱を利用する蒸気利用熱交換器と、太陽熱を集熱する太陽熱集熱装置と、集熱された太陽熱を受熱し、受熱した太陽熱との熱交換により、低沸点媒体蒸気を生成する太陽熱受熱蒸発装置と、蒸気タービン発電装置から排出される廃蒸気、蒸気利用熱交換器から排出される廃蒸気及び蒸気ドレーンのうち少なくとも一つとの熱交換により、太陽熱受熱蒸発装置で生成した低沸点媒体蒸気を飽和蒸気温度より高い温度に加熱して低沸点媒体過熱蒸気を生成する低沸点媒体過熱器と、生成された低沸点媒体過熱蒸気により発電する低沸点媒体蒸気タービン発電装置と、を備えることを特徴とする太陽熱利用廃棄物発電装置。
【0013】
このような構成の第二発明によると、太陽熱の受熱熱量により低沸点媒体蒸気を発生させ、この低沸点媒体飽和蒸気から過熱蒸気を得る過程に、燃焼炉又はガス化溶融炉からの排ガスの廃熱によって生成した蒸気により駆動する蒸気タービンから排出される廃蒸気の廃熱を活用し、高温過熱蒸気を用いて低沸点媒体蒸気タービン発電を行うことにより、比較的低温の廃蒸気の廃熱を利用しても、高温過熱蒸気を用いて発電できるので、発電効率を高くすることができる。
【0014】
このような第二発明においても、第一発明の場合と同様に、蒸気利用熱交換器は、廃棄物処理炉に供給する支燃ガスの予熱器、廃棄物処理炉から排出され冷却された排ガスの再加熱器、温熱水を生成する加熱器及び暖房空調ための熱交換器のうち少なくとも一つとすることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上、本発明によると、低沸点媒体蒸気タービンを低沸点媒体過熱蒸気で駆動することとし、この低沸点媒体過熱蒸気を生成するに際して、低沸点媒体液を廃棄物処理炉施設からの廃蒸気と熱交換により加熱して低沸点媒体蒸気を発生させ、これを太陽熱で低沸点媒体過熱蒸気としたり、あるいは、低沸点媒体液を太陽熱により加熱して低沸点媒体飽和蒸気を得た後に、これを廃棄物処理炉施設から蒸気との熱交換により加熱して低沸点媒体過熱蒸気とするので、発電量を増大させることができ、かつ、廃棄物処理炉施設から発生する比較的低温の廃熱の利用効率を改善することができると共に、高い効率で太陽熱の受熱熱量を電力へ変換できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第一実施形態装置の概要構成図である。
【図2】本発明の第二実施形態装置の概要構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面にもとづき、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
<第一実施形態>
図1に示される本実施形態では、廃棄物処理炉からの蒸気で発電機付き蒸気タービンを駆動した後の廃蒸気と熱交換器での熱交換後の廃蒸気で、低沸点媒体液を加熱して低沸点媒体飽和蒸気を発生させ、これを太陽熱集熱装置そして太陽熱受熱蒸気過熱装置で加熱して低沸点媒体過熱蒸気を得て、これで低沸点媒体蒸気タービンを駆動し、ここでも発電を行うようになっている。
【0019】
本実施形態の構成全体を説明するのに先立ち、蒸気利用熱交換器、低沸点媒体蒸発器、太陽熱集熱装置、太陽熱受熱蒸気過熱装置について、予め説明しておく。
【0020】
<蒸気利用熱交換器>
図1にて、蒸気利用熱交換器10は、廃熱ボイラで生成した蒸気の一部を利用する熱交換器であり、次のような、廃棄物処理炉のための支燃ガスの予熱器、廃棄物処理炉からの排ガスの再加熱器、廃棄物処理炉施設で用いる水や熱媒体のための加熱器として用いられる。
・廃棄物処理炉に供給する支燃ガスの予熱器
廃棄物焼却炉の燃焼室、二次燃焼室、そして廃棄物ガス化溶融炉に供給する空気、酸素、酸素富化空気、循環排ガス、循環排ガスと空気の混合ガスなどの支燃ガスを蒸気との熱交換により予熱する予熱器である。
・廃棄物処理炉から排出され冷却された排ガスの再加熱器
廃棄物処理炉から排出される排ガスは排ガスに含まれる煤塵、HCl、SOxなどを除去する処理に適した温度に冷却される。その冷却された排ガスに含まれるNOxを脱硝する反応に適した温度に蒸気との熱交換により昇温する再加熱器であり、あるいは、煙突から排ガスを排出する際に白煙が生じることを防止するために排ガスを蒸気との熱交換により再加熱する再加熱器である。
・廃棄物処理炉施設で利用する温熱水を生成するために蒸気との熱交換により水を加熱する加熱器である。
・廃棄物処理炉施設の暖房空調のため蒸気との熱交換により熱媒を加熱する熱交換器である。
【0021】
<低沸点媒体蒸発器>
低沸点媒体蒸発器20は、低沸点媒体液の熱交換を行うための熱交換管を備えており、該熱交換管内を低沸点媒体液が流れている。低沸点媒体蒸発器20において、熱交換管内の低沸点媒体液は、蒸気タービンから排出された廃蒸気、上記蒸気利用熱交換器10から排出された廃蒸気そして蒸気ドレーンのうち少なくとも一つと熱交換されて加熱され低沸点媒体の飽和蒸気が生成される。ここで、使用される低沸点媒体としては、例えば、アンモニア、ペンタン、エタン、プロパン、ジメチルエーテル、ブタン、フロン等を挙げることができ、水より低沸点の媒体であればよく、液状物には限られない。
【0022】
<太陽熱集熱装置>
太陽熱集熱装置30は、太陽熱を集熱すべく構成されていて、例えば、複数の反射鏡と反射鏡の方向を太陽の動きに合わせて制御する方向制御装置と、反射されて収束された太陽光をさらに収束させるための収束反射鏡又はレンズとを有しており、反射鏡で太陽光が反射されて収束され、さらに収束反射鏡又はレンズに集光されることにより、太陽熱が集熱され、その熱が次の太陽熱受熱装置へもたらされる。
【0023】
<太陽熱受熱蒸気過熱装置>
太陽熱受熱蒸気過熱装置40は、上記太陽熱集熱装置30によって集熱された太陽熱を受熱するととともに、受熱した太陽熱と上記低沸点媒体蒸発器20で生成された低沸点媒体飽和蒸気との熱交換により、該低沸点媒体飽和蒸気を飽和蒸気温度より高い温度に加熱して低沸点媒体過熱蒸気を生成する。
【0024】
図1に示される本実施形態装置において、廃棄物処理炉50は、投入された廃棄物を焼却する焼却炉そして廃棄物をガス化・溶融する溶融炉のいずれか、あるいは両炉を備えた処理炉である。該廃棄物処理炉50は、支燃ガスを受けて廃棄物を処理し、付随設備としてボイラ51、蒸気タービン52そして発電機53を有している。廃棄物処理炉50から排出される高温排ガスの熱がボイラ51で熱回収され、該ボイラ51で得る過熱蒸気により蒸気タービン52を駆動し、該蒸気タービン52に連結された発電機53を回転せしめ発電する。廃棄物処理炉50へ供給される支燃ガスとしては、空気、酸素、酸素富化空気、廃棄物処理炉50から排出された排ガスを循環させる循環排ガス、該循環排ガスと空気との混合ガスのうちの少なくともいずれか一つを含むガスを用いることができる。
【0025】
上記ボイラ51には、該ボイラ51で生成された過熱蒸気を受ける上記発電機53付きの蒸気タービン52が接続されていると共に、過熱蒸気の供出とは別に該ボイラ51から排出される蒸気を受ける既述の蒸気利用熱交換器10が接続されている。そして、該蒸気利用熱交換器10そして上記蒸気タービン52には、既述の低沸点媒体蒸発器20が接続されている。該低沸点媒体蒸発器20は、蒸気タービン52からの廃蒸気そして蒸気利用熱交換器10からの廃蒸気そして蒸気ドレーンを受け、低沸点媒体液を加熱して低沸点媒体飽和蒸気を生成し、この低沸点媒体飽和蒸気の生成に供した後の蒸気を復水器54により復水して、ポンプ55により補給水と共に上記ボイラ51へ帰還せしめるように、該ボイラ51に接続されている。
【0026】
上記低沸点媒体蒸発器20には、低沸点媒体飽和蒸気を既述の太陽熱受熱蒸気過熱装置40が接続されている。この太陽熱受熱蒸気過熱装置40は、既述の太陽熱集熱装置30に接続されていて、該太陽熱集熱装置30で集熱された太陽熱を受けるようになっている。該太陽熱受熱蒸気過熱装置40では、低沸点媒体蒸発器20からの低沸点媒体飽和蒸気を太陽熱で加熱して低沸点媒体過熱蒸気とする。
【0027】
本実施形態では、蒸気タービン52から排出された廃蒸気、蒸気利用熱交換器10から排出された廃蒸気及び蒸気ドレーンのうち少なくとも一つのごとき比較的低温の廃熱を利用して、上記低沸点媒体蒸発器20にて、低沸点媒体の飽和蒸気を生成し、しかる後、太陽熱受熱蒸気過熱装置40にて、太陽熱を利用して過熱蒸気を生成するので、集熱した太陽熱によって、より過熱度の高い過熱蒸気もしくはエンタルピーの高い過熱蒸気を生成できる。したがって、廃棄物処理炉施設で発生する比較的低温の廃熱と太陽熱との熱エネルギーに対する発電効率を大幅に向上させることができる。
【0028】
太陽熱受熱蒸気過熱装置40の内部に蓄熱材を備えていることが好ましい。このように、太陽熱受熱蒸気過熱装置40の内部に蓄熱材を備えることにより、昼夜間や天候(晴天・曇天・雨天・他)による日射量の変動を平滑化することができ、高効率発電を維持することができる。また、蓄熱材の蓄熱量を大きくすることにより、数日ないし数週間規模の期間の熱供給を平滑化できる。
【0029】
蓄熱材は、例えば、固体金属酸化物や熱媒油類や、好ましくは熱容量の大きい相変態物質としての溶融塩類(NaNO、KNO、NaCl、NaCO等)や、さらに好ましくは、金属水酸化物(水酸化鉄(蓄熱温度300〜400℃))、アルカリ土類炭酸塩(MgCO(蓄熱温度450℃))、アルカリ土類水酸化物(Ca(OH)(蓄熱温度540℃))等、化学反応による吸熱反応が得られる蓄熱物質で形成され、太陽熱受熱装置40の内部に貯留されている。
【0030】
上記太陽熱受熱蒸気過熱装置40には、発電機57が連結された低沸点媒体蒸気タービン56が接続されており、太陽熱受熱蒸気過熱装置40からの低沸点媒体過熱蒸気を受けて駆動されるようになっていて、その駆動により発電機57で発電を行う。
【0031】
上記低沸点媒体蒸気タービン56は、その排気側で、凝縮器58そしてポンプ59を介して上記低沸点媒体蒸発器20に接続されていて、低沸点媒体蒸気タービン56の駆動に供した後の低沸点媒体蒸気を上記凝縮器58で凝縮し低沸点媒体液とした後に、ポンプ59により低沸点媒体蒸発器20へ帰還せしめるようになっている。
【0032】
このような構成の本実施形態装置では、次のようにして、発電が行われる。
【0033】
廃棄物処理炉50にて発生した高温の排ガスがボイラ51に送られ、過熱蒸気を発生させると共に高温の蒸気を生ずる。過熱蒸気は蒸気タービン52へ送られて該蒸気タービン52を駆動して発電機53での発電に供する。一方、蒸気は蒸気利用熱交換器10へ送られ、ここでの熱交換に供する。上記蒸気タービン52を駆動した後の廃蒸気、そして蒸気利用熱交換器10での熱交換を行った後の廃蒸気と蒸気ドレーンは、低沸点媒体蒸発器20へ送られ、ここで低沸点媒体液を加熱する。
【0034】
低沸点媒体蒸発器20にて廃蒸気等により加熱を受けた低沸点媒体液は低沸点媒体飽和蒸気となり、該低沸点媒体飽和蒸気は太陽熱受熱蒸気過熱装置40へ送られる。一方、低沸点媒体蒸発器20にて低沸点媒体液の加熱に供した後の蒸気は、復水器54により復水して、ポンプ55によりボイラ51へ戻される。
【0035】
太陽熱受熱蒸気過熱装置40へ送られた低沸点媒体飽和蒸気は、この太陽熱受熱蒸気過熱装置40で太陽熱によって加熱されて、低沸点媒体過熱蒸気となって低沸点媒体蒸気タービン56へ送られ、該低沸点媒体蒸気タービン56を駆動し、発電機57での発電に供する。低沸点媒体蒸気タービン56を駆動した後の低沸点媒体蒸気は凝縮器58で冷却され低沸点媒体液となり低沸点媒体蒸発器20に戻される。また、凝縮器58において低沸点媒体蒸気を凝縮させる冷熱源として、廃棄物処理炉施設から発生する廃熱を利用した吸着式冷凍機を用いることにより、低沸点媒体の凝縮のためのエネルギを廃棄物処理炉施設から発生するエネルギで賄うことができる。
【0036】
<第二実施例>
図2に示される本実施形態では、低沸点媒体蒸気タービン56から排出される蒸気が凝縮器58で凝縮されて低沸点媒体液となり、これが太陽熱により低沸点媒体飽和蒸気とされた後に、蒸気タービン発電装置から排出される廃蒸気、蒸気利用熱交換器から排出される廃蒸気及び蒸気ドレーンのうち少なくとも一つとの熱交換により加熱されて、低沸点媒体過熱蒸気となって低沸点媒体蒸気タービン56を駆動する点に特徴がある。
【0037】
図2において、かかる特徴は、低沸点媒体過熱器20’と低沸点媒体蒸気タービン56との間の構成であり、他は図1の第一実施形態装置と同じであるので、共通部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0038】
図2装置において、低沸点媒体蒸気タービンはその排気側が凝縮器58、ポンプ59を経て太陽熱受熱蒸発装置41に接続されている。該太陽熱受熱蒸発装置41は、太陽熱集熱装置30からの太陽熱を受けるようになっている。上記太陽熱受熱蒸発装置41は、凝縮器58から受けた低沸点媒体液を太陽熱で加熱することにより低沸点媒体飽和蒸気とし、これを低沸点媒体過熱器20’へ送る。この低沸点媒体飽和蒸気は、低沸点媒体過熱器20’で、蒸気タービン52からの蒸気そして蒸気利用熱交換器10からの蒸気及び蒸気ドレーンのうち少なくとも一つとの熱交換により加熱されて低沸点媒体過熱蒸気となって、低沸点媒体蒸気タービン56へ送られ、これを駆動する。
【0039】
上記低沸点媒体過熱器20’は、低沸点媒体飽和蒸気を受けてこれを低沸点媒体過熱蒸気とするので、このような名称となっているが、低沸点媒体をボイラ51側からの蒸気等との熱交換により加熱するという点では、図1の第一実施形態の低沸点媒体蒸発器20と同じである。また、本実施形態装置において、太陽熱集熱装置30そして太陽熱受熱蒸発装置41も、第一実施形態における太陽熱集熱装置30そして太陽熱受熱蒸気過熱装置40と比し、配設位置が異なるが、装置の基本は同じである。
【0040】
以上のように、本発明のいずれの実施形態においても、廃棄物処理炉からの高温排ガスでボイラにて蒸気を生成させ、これを利用して蒸気タービンを駆動して発電を行った後に、その廃蒸気が有しているエネルギーと太陽熱のエネルギーを利用して低沸点媒体過熱蒸気を生成して、これにより、低沸点媒体蒸気タービンを駆動してここでも発電を行うので、エネルギー利用の有効化が図れる。
【0041】
本発明では、廃棄物処理炉の排ガスから得られるエネルギーはボイラからの蒸気のみならず、廃棄物処理炉施設の他部位で発生する比較的低温(200℃以下)の廃熱、例えば、廃棄物処理炉の炉壁からの回収廃熱、煙突から排出する手前で排ガスからの回収廃熱の熱から得てもよい。
【0042】
本発明において、蒸気タービンが復水タービンである場合には、低沸点媒体の加熱に用いる熱源として、復水タービンから排出される凝縮水を用いてもよい。また、蒸気タービンから排出される廃蒸気を復水するための冷却用冷熱として、低沸点媒体液を蒸発させる蒸発潜熱を活用するように低沸点媒体蒸発器内の熱交換器を構成するようにすると、より好ましい。
【0043】
本発明は、廃棄物発電装置に関しているが、廃棄物と同様の低カロリー燃料といえる汚泥やバイオマス、泥炭等を焼却又はガス化溶融する処理炉からの廃熱を利用する発電装置にも適用することができ、その場合でも、廃棄物発電装置と同様に、発電効率向上効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0044】
10 蒸気利用熱交換器
20 低沸点媒体蒸発器
20’ 低沸点媒体過熱器
30 太陽熱集熱装置
40 太陽熱受熱蒸気過熱装置
41 太陽熱受熱蒸発装置
50 廃棄物処理炉
51 ボイラ
52,53 蒸気タービン発電装置
52 蒸気タービン
53 発電機
56,57 低沸点媒体蒸気タービン発電装置
56 低沸点媒体蒸気タービン
57 発電機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を焼却またはガス化溶融する廃棄物処理炉施設に設ける廃棄物発電装置において、
廃棄物処理炉から排出される排ガスから熱回収して蒸気を生成するボイラと、
ボイラで生成された蒸気により発電する蒸気タービン発電装置と、
ボイラで生成された蒸気の一部についての熱を利用する蒸気利用熱交換器と、
蒸気タービン発電装置から排出される廃蒸気、蒸気利用熱交換器から排出される廃蒸気及び蒸気ドレーンのうち少なくとも一つとの熱交換により、低沸点媒体蒸気を生成する低沸点媒体蒸発器と、
太陽熱を集熱する太陽熱集熱装置と、
集熱された太陽熱を受熱し、受熱した太陽熱との熱交換により、低沸点媒体蒸発器で生成した低沸点媒体蒸気を飽和蒸気温度より高い温度に加熱して低沸点媒体過熱蒸気を生成する太陽熱受熱蒸気過熱装置と、
生成された低沸点媒体過熱蒸気により発電する低沸点媒体蒸気タービン発電装置と、
を備えることを特徴とする太陽熱利用廃棄物発電装置。
【請求項2】
廃棄物を焼却またはガス化溶融する廃棄物処理炉施設に設ける廃棄物発電装置において、
廃棄物処理炉から排出される排ガスから熱回収して蒸気を生成するボイラと、
ボイラで生成された蒸気により発電する蒸気タービン発電装置と、
ボイラで生成された蒸気の一部についての熱を利用する蒸気利用熱交換器と、
太陽熱を集熱する太陽熱集熱装置と、
集熱された太陽熱を受熱し、受熱した太陽熱との熱交換により、低沸点媒体蒸気を生成する太陽熱受熱蒸発装置と、
蒸気タービン発電装置から排出される廃蒸気、蒸気利用熱交換器から排出される廃蒸気及び蒸気ドレーンのうち少なくとも一つとの熱交換により、太陽熱受熱蒸発装置で生成した低沸点媒体蒸気を飽和蒸気温度より高い温度に加熱して低沸点媒体過熱蒸気を生成する低沸点媒体過熱器と、
生成された低沸点媒体過熱蒸気により発電する低沸点媒体蒸気タービン発電装置と、
を備えることを特徴とする太陽熱利用廃棄物発電装置。
【請求項3】
蒸気利用熱交換器は、廃棄物処理炉に供給する支燃ガスの予熱器、廃棄物処理炉から排出され冷却された排ガスの再加熱器、温熱水を生成する加熱器及び暖房空調ための熱交換器のうち少なくとも一つであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の太陽熱利用廃棄物発電装置。

【図1】
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【図2】
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