説明

太陽熱受熱器

【課題】太陽熱集光器から太陽熱受熱器の太陽光入口に至る経路上に、太陽熱受熱器を支持する支柱が配置されるのを回避し、太陽熱受熱器を支持する支持構造の簡素化、および製造コストの低減化を図ること。
【解決手段】地盤に立設されたタワー21の頂部に配置されて、前記地盤の上に配置された太陽熱集光器により集光された太陽光を変換した熱により圧縮性作動流体を加熱して昇温させる太陽熱受熱器13であって、前記タワー21の頂部上面に固定される底板46を備えたケーシング42と、このケーシング42に収容されて、前記熱が与えられる伝熱管52を備えた伝熱管ユニット43とを備えており、かつ、下端が前記底板46の外周端に接続されて前記ケーシング42を形成するとともに、前記外周端から斜め上方に延びる板状部材50の中央部に、正面視円形状または正面視楕円形状を呈する太陽光入口51が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽熱集光器(「ヘリオスタット」ともいう。)により集光された太陽光を変換した熱により圧縮性作動流体を加熱して昇温させる太陽熱受熱器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽熱受熱器としては、タワーの頂部に配置されたものが知られている(例えば、特許文献1の図3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−144725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タワーの頂部に配置される太陽熱受熱器は、例えば、図11に示すように、鉛直方向に沿ってタワー100の頂面(頂部上面)101に立設された四本の支柱102の上に取り付けられている。
また、図12に示すように、太陽熱受熱器103は、外観がおおよそ円筒形状を呈するケーシング104と、鉛直方向に沿ってケーシング104の内周面(受熱面)に(略)等間隔で(隣り合う伝熱管105の長手方向に沿う中心軸線間の距離(ピッチ)が(略)等しくなるようにして)配列された複数本(例えば、500本)の伝熱管(配管)105とを備えている。
【0005】
そして、図12に示すように、ケーシング104の底部には、鉛直下方から見て円形状を呈する太陽光入口106が設けられており、この太陽光入口106を介して太陽熱集光器(図示せず)により集光された太陽光がケーシング104の内部に進入し、ケーシング104の内周面に(略)等間隔で配列された複数本の伝熱管105に到達して、これら伝熱管105の内部を通過する高圧の圧縮性作動流体が加熱昇温させられるようになっている。
なお、図11中の符号Gは、タワー100が立設されている地盤を示している。
【0006】
しかしながら、ケーシング104の底部に、鉛直下方から見て円形状を呈する太陽光入口106が設けられた太陽熱受熱器103では、上述したように図11に示すような支柱102の上に取り付けられることになり、太陽熱集光器により集光された太陽光が、太陽光入口106に到達する前に支柱102にあたる場合がある。そのため、耐熱性を有し、かつ、重量のある太陽熱受熱器103を細くしても支えることのできる強度を有する高価な材料で作られた支柱102が必要となり、製造コストが高騰してしまうといった問題点があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、太陽熱集光器から太陽熱受熱器の太陽光入口に至る経路上に、太陽熱受熱器を支持する支柱が配置されるのを回避することができ、太陽熱受熱器を支持する支持構造の簡素化、および製造コストの低減化を図ることができる太陽熱受熱器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
本発明に係る太陽熱受熱器は、地盤に立設されたタワーの頂部に配置されて、前記地盤の上に配置された太陽熱集光器により集光された太陽光を変換した熱により圧縮性作動流体を加熱して昇温させる太陽熱受熱器であって、前記タワーの頂部上面に固定される底板を備えたケーシングと、このケーシングに収容されて、前記熱が与えられる伝熱管を備えた伝熱管ユニットとを備えており、かつ、下端が前記底板の外周端に接続されて前記ケーシングを形成するとともに、前記外周端から斜め上方に延びる板状部材の中央部に、正面視円形状または正面視楕円形状を呈する太陽光入口が設けられている。
【0009】
本発明に係る太陽熱受熱器によれば、ケーシングを構成する底板が、タワーの頂部上面に直接固定されることになるので、従来、太陽熱受熱器をタワーの頂部に設置するのに必要とされた支柱が不要になる。
これにより、太陽熱集光器から太陽熱受熱器の太陽光入口に至る経路上に、太陽熱受熱器を支持する支柱が配置されるのを回避することができ、太陽熱受熱器を支持する支持構造の簡素化、および製造コストの低減化を図ることができる。
また、太陽光入口が、正面視円形状または正面視楕円形状を呈するようにして形成されているので、太陽光入口を介してケーシング内からケーシング外に漏洩する熱量を最小限にすることができ、ケーシング内を高温に維持することができて、伝熱管内を流通する圧縮性作動流体を効率よく加熱昇温させることができる。
【0010】
上記太陽熱受熱器において、鉛直方向に沿う前記ケーシングの中央部に、前記伝熱管から流出した圧縮性作動流体をタービンに導く配管を収容する空間が形成されているとさらに好適である。
【0011】
このような太陽熱受熱器によれば、鉛直方向に沿うケーシングの中央部に形成された空間内がホットバンキングとして機能し、このホットバンキングを通過するようにして伝熱管から流出した圧縮性作動流体をタービンに導く配管が配置されることになる。
これにより、配管内を通過する圧縮性作動流体を高温のまま維持する、または配管内を通過する圧縮性作動流体をさらに加熱昇温させることができ、エネルギー変換効率を向上させることができる。
【0012】
上記太陽熱受熱器において、前記空間の上方を塞ぐ蓋体が設けられているとさらに好適である。
【0013】
このような太陽熱受熱器によれば、空間の上方に形成された開口が蓋体により塞がれることになる。
これにより、空間内をより高温に維持することができて、空間内に収容された配管内を通過する圧縮性作動流体をより高温のまま維持する、または配管内を通過する圧縮性作動流体をさらに加熱昇温させることができ、エネルギー変換効率をさらに向上させることができる。
【0014】
上記太陽熱受熱器において、前記蓋体に、板厚方向に貫通する通気口が設けられているとともに、前記通気口を開閉する開閉板が設けられているとさらに好適である。
【0015】
このような太陽熱受熱器によれば、通気口が開けられると通気口を介して空間内の熱が放出され、空間内の温度が低減させられることになる。また、通気口が閉じられると空間の上方に形成された開口が完全に塞がれ、空間内の温度が上昇させられることになる。
これにより、空間内の温度を所定の温度範囲内に維持させることができる。
【0016】
本発明に係る太陽熱ガスタービンは、上記いずれかの太陽熱受熱器と、地盤の上に配置された太陽熱集光器と、を具備している。
【0017】
本発明に係る太陽熱ガスタービンによれば、太陽熱集光器から太陽熱受熱器の太陽光入口に至る経路上に、太陽熱受熱器を支持する支柱が配置されるのを回避することができ、太陽熱受熱器を支持する支持構造の簡素化、および製造コストの低減化を図ることができる太陽熱受熱器を具備しているので、タワーの頂部における支持構造の簡素化、および設置コストの低減化を図ることができる。
また、太陽光入口が、正面視円形状または正面視楕円形状を呈するようにして形成されているので、太陽光入口を介してケーシング内からケーシング外に漏洩する熱量を最小限にすることができ、ケーシング内を高温に維持することができて、伝熱管内を流通する圧縮性作動流体を効率よく加熱昇温させることができる太陽熱受熱器を具備しているので、エネルギー変換効率を向上させることができ、全体の熱効率を向上させることができる。
【0018】
本発明に係る太陽熱ガスタービン発電装置は、上記太陽熱ガスタービンを具備している。
【0019】
本発明に係る太陽熱ガスタービン発電装置によれば、太陽熱集光器から太陽熱受熱器の太陽光入口に至る経路上に、太陽熱受熱器を支持する支柱が配置されるのを回避することができ、太陽熱受熱器を支持する支持構造の簡素化、および製造コストの低減化を図ることができる太陽熱受熱器を具備しているので、タワーの頂部における支持構造の簡素化、および設置コストの低減化を図ることができる。
また、太陽光入口が、正面視円形状または正面視楕円形状を呈するようにして形成されているので、太陽光入口を介してケーシング内からケーシング外に漏洩する熱量を最小限にすることができ、ケーシング内を高温に維持することができて、伝熱管内を流通する圧縮性作動流体を効率よく加熱昇温させることができる太陽熱受熱器を具備しているので、エネルギー変換効率を向上させることができ、発電効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る太陽熱受熱器によれば、太陽熱集光器から太陽熱受熱器の太陽光入口に至る経路上に、太陽熱受熱器を支持する支柱が配置されるのを回避することができ、太陽熱受熱器を支持する支持構造の簡素化、および製造コストの低減化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る太陽熱受熱器を具備した太陽熱ガスタービンおよび太陽熱ガスタービン発電装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る太陽熱受熱器を搭載したタワーおよび太陽熱受熱器を側方から見て、一部を断面で示した図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る太陽熱受熱器を搭載したタワーおよび太陽熱受熱器を上方から見て、一部を断面で示した図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る太陽熱受熱器を搭載したタワーおよび太陽熱受熱器を図2および図3の左側から見て、一部を断面で示した図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る太陽熱受熱器を搭載したタワーおよび太陽熱受熱器を斜め上方から見て、太陽熱受熱器の内部が一部見えるようにして示した図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る太陽熱受熱器を上方から見て、一部を断面で示した図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る太陽熱受熱器を上方から見て、一部を断面で示した図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る太陽熱受熱器を斜め上方から見た斜視図である。
【図9】本発明の別の実施形態に係る太陽熱受熱器の蓋体を斜め上方から見た斜視図である。
【図10】本発明のさらに別の実施形態に係る太陽熱受熱器の蓋体を斜め上方から見た斜視図である。
【図11】従来の太陽熱受熱器を搭載したタワーおよび太陽熱受熱器を側方から見た図である。
【図12】図11に示す太陽熱受熱器を斜め上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態に係る太陽熱受熱器について、図1から図5を参照しながら説明する。
図1は本実施形態に係る太陽熱受熱器を具備した太陽熱ガスタービンおよび太陽熱ガスタービン発電装置の概略構成図、図2は本実施形態に係る太陽熱受熱器を搭載したタワーおよび太陽熱受熱器を側方から見て、一部を断面で示した図、図3は本実施形態に係る太陽熱受熱器を搭載したタワーおよび太陽熱受熱器を上方から見て、一部を断面で示した図、図4は本実施形態に係る太陽熱受熱器を搭載したタワーおよび太陽熱受熱器を図2および図3の左側から見て、一部を断面で示した図、図5は本実施形態に係る太陽熱受熱器を搭載したタワーおよび太陽熱受熱器を斜め上方から見て、太陽熱受熱器の内部が一部見えるようにして示した図である。
【0023】
図1に示すように、太陽熱ガスタービン11は、圧縮性作動流体(例えば、空気)を圧縮して昇圧させる圧縮機12と、太陽光を変換した熱により圧縮性作動流体を加熱して昇温させる太陽熱受熱器13と、高温高圧の圧縮性作動流体が保有する熱エネルギーを機械エネルギーに変換するタービン14とを主な構成要素とする装置である。すなわち、太陽熱ガスタービン11は、天然ガス等の燃料を燃焼させて高温高圧の燃焼ガスを生成する燃焼器に代えて、太陽光の熱エネルギーを利用して圧縮性作動流体を加熱して昇温する太陽熱受熱器13を備えたものである。
【0024】
また、発電機15を太陽熱ガスタービン11と同軸に連結し、太陽熱ガスタービン11で発電機15を駆動するように構成すれば、太陽光を利用して発電する太陽熱ガスタービン発電装置10となる。
なお、図中の符号16は、タービン14で仕事をした後に煙突(図示せず)から大気へ排出される圧縮性作動流体の排熱を用い、圧縮機12で昇圧された高圧の圧縮性作動流体を予熱するための再熱器である。
【0025】
太陽熱受熱器13は、太陽光を熱エネルギーに変換するための装置であり、図2および図4に示すように、地盤Gに立設されたタワー21の頂部(例えば、高さ100mのタワー21の先端部)に配置されている。
タワー21の外部には、再熱器16を通過した圧縮性作動流体を太陽熱受熱器13に導く第1の配管22が鉛直方向に沿って延びており、タワー21の内部には、太陽熱受熱器13で加熱昇温された圧縮性作動流体を地盤G上に設置されたタービン14に導く第2の配管23が鉛直方向に沿って延びている(収容されている)。
【0026】
第1の配管22の一端は、再熱器16の出口に接続され、第1の配管22の他端(上端)は、タワー21の外周面に沿って環状に配置された一本の枝管31の下面に接続されている。各入口ヘッダ32の底面中央部と、その鉛直下方に位置する枝管31の上面とは、枝管31の上面に立設されて鉛直上方に延びる一本の枝管33を介して接続されている。
第2の配管23の一端は、タービン14の入口に接続され、第2の配管23の他端(上端)には、一端(外端)が各出口ヘッダ34の背面中央部に接続され、水平方向に沿って内方に延びる枝管35の他端(内端)が接続されている。
【0027】
図3または図5に示すように、太陽熱受熱器13は、上方から見て、四等分された円の背面が互いに背中合わせになるような形状、すなわち、同一の形状を呈する四つのモジュール41が、互いに背中合わせになるようにして構成されている。
各モジュール41は、ケーシング42と、このケーシング42に収容される伝熱管ユニット43とを備えている。
【0028】
ケーシング42は、その内周面44aが受熱面となる背板44と、背板44の上端に接続された天板45と、背板44の下端に接続された底板46と、背板44の左端に接続された左側板47と、背板44の右端に接続された右側板48とを備えている。
背板44は、平面視矩形状を呈する板状部材であり、その左端と右端とが互いに近づくようにし、かつ、その上端および下端が、その左端から右端にわたって同一の曲率を有するようにして(本実施形態では、同一の半径で描かれた円弧上に位置するようにして)湾曲させられたものである。
【0029】
天板45は、その左端から右端にわたって同一の曲率を有するようにして(本実施形態では、同一の半径Rで描かれた円弧上に位置するようにして)湾曲させられた外周端(内端)が、背板44の上端に接続された、平面視略半円形状(平面視略三日月形状)を呈する板状の部材である。
左側板47は、その外周端(内端)が背板44の左端に接続され、その上端が天板45の左端に接続されて、その下端が底板46の左端に接続された、平面視略ホームベース形状を呈する板状の部材である。
右側板48は、その外周端(内端)が背板44の右端に接続され、その上端が天板45の右端に接続されて、その下端が底板46の右端に接続された、平面視略ホームベース形状を呈する板状の部材である。
なお、図5に示すように、左側板47と右側板48とは、左右対称の形状、すなわち、左側板47を一側から見た形状と、右側板48を他側から見た形状とが、同じ形状を呈するように形成されている。
【0030】
底板46は、その左端から右端にわたって同一の曲率を有するようにして(本実施形態では、同一の半径Rで描かれた円弧上に位置するようにして)湾曲させられた外周端(内端)が、背板44の下端に接続され、その左端が左側板47の下端に接続され、その右端が右側板48の下端に接続された、平面視略半円形状を呈する板状の部材である。
天板45の外端、左側板47の上側に位置する外端、および右側板48の上側に位置する外端により形成される開口は、背板44、天板45、底板46、左側板47、右側板48とともにケーシング42を構成(形成)する、平面視(略)正三角形状を呈する上板(上蓋板)49により密閉され(塞がれ)ている。
【0031】
底板46の外端、左側板47の下側に位置する外端、および右側板48の下側に位置する外端により形成される開口は、背板44、天板45、底板46、左側板47、右側板48とともにケーシング42を構成(形成)する、平面視(略)正三角形状を呈する下板(下蓋板:板状部材)50により密閉され(塞がれ)ている。
また、下板50の中央部には、正面視円形状(または正面視楕円形状)を呈する太陽光入口51が設けられている(形成されている)。
さらに、四つの背板44により形成されて、第2の配管23の他端部(上端部)が収容される空間S(図5参照)内には、断熱材(図示せず)が充填(収容)されている。
【0032】
伝熱管ユニット43は、背板44の内周面44aおよび水平面に沿うようにして、ケーシング42内の下方に配置された入口ヘッダ32と、背板44の内周面44aおよび水平面に沿うようにして、ケーシング42内の上方に配置された出口ヘッダ34と、一端(下端)が入口ヘッダ32の上面に接続され、他端(上端)が出口ヘッダ34の下面に接続されて、(略)等間隔で(隣り合う伝熱管52の長手方向に沿う中心軸線間の距離が(略)等しくなるように)鉛直方向に沿って配列された複数本(例えば、500本)の伝熱管(配管)52とを備えている。
なお、図面の簡略化を図るため、図5には九本の伝熱管52だけ描いている。
また、本実施形態に係る伝熱管52は、隣り合う伝熱管52同士の隙間が伝熱管52の外径と(略)等しくなるようにして配列されている。これにより、隣り合う伝熱管52同士の隙間を太陽熱が通過し、隙間を通過した太陽熱により、伝熱管52の裏面側に配置された裏面断熱材(図示せず)が加熱され、伝熱管52の裏面側が裏面断熱材(図示せず)の輻射熱を受けて加熱されて、伝熱管52の表面と裏面との温度差が少なくなるようになっている。
【0033】
そして、地盤Gには、図3に示すように、例えば、平面視円形状を呈するミラー配置面53が設定されており、このミラー配置面53には、太陽熱受熱器13の内部に設定された内周面44a(図5参照)に、太陽光を効率よく反射させる図示しない太陽熱集光器(図示せず)が複数基(例えば、400基)配置されている。これら太陽熱集光器で集められた(反射された)太陽光(図示せず)は、図2に示すように、太陽熱受熱器13を構成する下板50(図5参照)の中央部に設けられた太陽光入口51を介して太陽熱受熱器13の内部に進入し、内周面44aに(略)等間隔で配列された複数本の伝熱管52(図5参照)に到達し、伝熱管52の内部を通過する高圧の圧縮性作動流体を加熱して昇温させる。
【0034】
また、図4に示すように、太陽熱受熱器13は、その上面が底板46の下面全体と接するようにして形成され、かつ、水平方向に沿って外方に延びるベース(フランジ)55を介して、タワー21の頂面(頂部上面)に固定されている。
【0035】
本実施形態に係る太陽熱受熱器13によれば、ケーシング42を構成する底板46が、タワー21の頂部上面に直接固定されることになるので、従来、太陽熱受熱器103をタワー100の頂部に設置するのに必要とされた支柱102が不要になる。
これにより、太陽熱集光器から太陽熱受熱器13の太陽光入口51に至る経路上に、太陽熱受熱器13を支持する支柱が配置されるのを回避することができ、太陽熱受熱器13を支持する支持構造の簡素化、および製造コストの低減化を図ることができる。
また、太陽光入口51が、正面視円形状(または正面視楕円形状)を呈するようにして形成されているので、太陽光入口51を介してケーシング42内からケーシング42外に漏洩する熱量を最小限にすることができ、ケーシング42内を高温に維持することができて、伝熱管52内を流通する圧縮性作動流体を効率よく加熱昇温させることができる。
【0036】
また、本実施形態に係る太陽熱受熱器13によれば、鉛直方向に沿うケーシング42の中央部に形成された空間S内がホットバンキングとして機能し、このホットバンキングを通過するようにして伝熱管52から流出した圧縮性作動流体をタービン14に導く第2の配管23が配置されることになる。
これにより、第2の配管23内を通過する圧縮性作動流体を高温のまま維持する、または第2の配管23内を通過する圧縮性作動流体をさらに加熱昇温させることができ、エネルギー変換効率を向上させることができる。
【0037】
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態に係る太陽熱受熱器について説明する。
本実施形態に係る太陽熱受熱器では、第1実施形態のところで説明した空間S内に、第1実施形態のところで説明した断熱材よりも薄い断熱材が充填(収容)されているという点で上述した第1実施形態のものと異なる。その他の構成要素については上述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
【0038】
本実施形態では、四つの背板44により形成された空間S(図5参照)内に、第1実施形態のところで説明した断熱材よりも薄い断熱材、例えば、第1実施形態のところで説明した断熱材が300mmの厚みを有していたとした場合、本実施形態では厚み220mmの、第1実施形態のところで説明した断熱材よりも薄い断熱材が充填されている。
【0039】
本実施形態に係る太陽熱受熱器によれば、第1実施形態のところで説明した断熱材よりも薄い断熱材が空間S内に充填されることになるので、当該太陽熱受熱器の重量を軽量化することができる。
また、断熱材を薄くした分、空間Sの寸法を水平方向に小さくすれば、当該太陽熱受熱器の小型化を図ることができ、かつ、さらなる軽量化を図ることができる。
さらに、断熱材を薄くした分、空間S内の温度が上昇することになるので、第2の配管23内を通過する圧縮性作動流体をより高温のまま維持する、または第2の配管23内を通過する圧縮性作動流体をさらに加熱昇温させることができ、エネルギー変換効率をさらに向上させることができる。
その他の作用効果は、上述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではその説明を省略する。
【0040】
〔第3実施形態〕
本発明の第3実施形態に係る太陽熱受熱器について、図6を参照しながら説明する。図6は本実施形態に係る太陽熱受熱器を上方から見て、一部を断面で示した図である。
図6に示すように、本実施形態に係る太陽熱受熱器61は、四つの背板44および断熱材(図示せず)を無くし、四枚の天板45の代わりに一枚の天板(図示せず)を設け、四枚の底板46の代わりに一枚の底板(図示せず)を設けて、入口ヘッダ32および出口ヘッダ34を上方から見て十字状を呈するようにして配置したという点で上述した実施形態のものと異なる。すなわち、本実施形態に係る太陽熱受熱器61は、一つのケーシング62と、このケーシング62に収容される四つの伝熱管ユニット43とを備えた一つのモジュール63として構成されている。
なお、その他の構成要素については上述した実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
【0041】
また、出口ヘッダ34を上方から見て十字状を呈するようにして配置したことに伴い、出口ヘッダ34の一端(内端)を第2の配管23の外周面に直接接続して、四本の枝管35も無くすようにしている。
さらに、本実施形態では、その内周面44aが受熱面となる背板44を無くしたことに伴い、隣り合う伝熱管(配管)52同士の隙間がないように(極わずかになるように)して配列されている。
【0042】
本実施形態に係る太陽熱受熱器61によれば、四つの背板44、これら四つの背面44により形成された空間S、および断熱材(図示せず)を無くした分、当該太陽熱受熱器61の水平方向への小型化を図ることができ、かつ、さらなる軽量化を図ることができる。
【0043】
また、本実施形態に係る太陽熱受熱器61によれば、ケーシング42を構成する底板46が、タワー21の頂部上面に直接固定されることになるので、従来、太陽熱受熱器103をタワー100の頂部に設置するのに必要とされた支柱102が不要になる。
これにより、太陽熱集光器から太陽熱受熱器61の太陽光入口51に至る経路上に、太陽熱受熱器61を支持する支柱が配置されるのを回避することができ、太陽熱受熱器61を支持する支持構造の簡素化、および製造コストの低減化を図ることができる。
また、太陽光入口51が、正面視円形状(または正面視楕円形状)を呈するようにして形成されているので、太陽光入口51を介してケーシング62内からケーシング62外に漏洩する熱量を最小限にすることができ、ケーシング62内を高温に維持することができて、伝熱管52内を流通する圧縮性作動流体を効率よく加熱昇温させることができる。
【0044】
〔第4実施形態〕
本発明の第4実施形態に係る太陽熱受熱器について、図7を参照しながら説明する。図7は本実施形態に係る太陽熱受熱器を上方から見て、一部を断面で示した図である。
図7に示すように、本実施形態に係る太陽熱受熱器65は、背板44の上端および下端が、双曲線で描かれた円弧上に位置するようにして湾曲させられているという点で上述した実施形態のものと異なる。その他の構成要素については上述した実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
【0045】
また、本実施形態では、背板44の形状変更に伴い、背板44、天板45、底板46、左側板47、右側板48、上板49、下板50にも適宜必要に応じた形状変更がなされている。
さらに、入口ヘッダ32および出口ヘッダ34は、背板44の内周面44aに沿うように湾曲させられている。
【0046】
本実施形態に係る太陽熱受熱器65によれば、背板44の上端および下端が、双曲線で描かれた円弧上に位置するようにして湾曲させられ、かつ、入口ヘッダ32および出口ヘッダ34が、背板44の内周面44aに沿うように湾曲させられているので、当該太陽熱受熱器65の水平方向への小型化を図ることができる。
その他の作用効果は、上述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではその説明を省略する。
【0047】
また、本発明に係る太陽熱ガスタービン11によれば、太陽熱集光器(図示せず)から太陽熱受熱器の太陽光入口51に至る経路上に、太陽熱受熱器を支持する支柱が配置されるのを回避することができ、太陽熱受熱器を支持する支持構造の簡素化、および製造コストの低減化を図ることができる太陽熱受熱器を具備しているので、タワー21の頂部における支持構造の簡素化、および設置コストの低減化を図ることができる。
また、太陽光入口51が、正面視円形状または正面視楕円形状を呈するようにして形成されているので、太陽光入口51を介してケーシング内からケーシング外に漏洩する熱量を最小限にすることができ、ケーシング内を高温に維持することができて、伝熱管52内を流通する圧縮性作動流体を効率よく加熱昇温させることができる太陽熱受熱器を具備しているので、エネルギー変換効率を向上させることができ、全体の熱効率を向上させることができる。
【0048】
さらに、本発明に係る太陽熱ガスタービン発電装置10によれば、太陽熱集光器から太陽熱受熱器の太陽光入口51に至る経路上に、太陽熱受熱器を支持する支柱が配置されるのを回避することができ、太陽熱受熱器を支持する支持構造の簡素化、および製造コストの低減化を図ることができる太陽熱受熱器を具備しているので、タワー21の頂部における支持構造の簡素化、および設置コストの低減化を図ることができる。
また、太陽光入口51が、正面視円形状または正面視楕円形状を呈するようにして形成されているので、太陽光入口51を介してケーシング内からケーシング外に漏洩する熱量を最小限にすることができ、ケーシング内を高温に維持することができて、伝熱管52内を流通する圧縮性作動流体を効率よく加熱昇温させることができる太陽熱受熱器を具備しているので、エネルギー変換効率を向上させることができ、発電効率を向上させることができる。
【0049】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜必要に応じて変形・変更実施可能である。
例えば、図8に示すように、上述した実施形態における空間S(図5参照)の上方に形成される開口に蓋体71を設け、空間Sの上方に形成される開口を密閉する(塞ぐ)ようにしてもよい。
これにより、空間S内をより高温に維持することができて、空間S内に収容された第2の配管23内を通過する圧縮性作動流体をより高温のまま維持する、または第2の配管23内を通過する圧縮性作動流体をさらに加熱昇温させることができ、エネルギー変換効率をさらに向上させることができる。
【0050】
また、図9に示すように、蓋体71の代わりに蓋体81を設けるようにしてもよい。
この蓋体81の中央部には、平面視矩形状を呈するとともに板厚方向に貫通する複数個(本実施形態では三個)の通気口82が一直線上に並んで設けられており、これら通気口82の下方には、蓋体81の下面に沿って通気口82の配列方向(図9において左右方向)に移動して通気口82を開閉する開閉板83が設けられている。
なお、開閉板83には、平面視矩形状を呈するとともに板厚方向に貫通して、全開状態で通気口82と合致して通気口82を全開にし、半開状態で通気口82を半開にして(半分塞いで)、全閉状態で通気口82を全閉にする(全部塞ぐ)貫通穴84が設けられている(形成されている)。すなわち、通気口82が開けられると通気口82を介して空間S内の熱が放出され、空間S内の温度が低減させられることになる。また、通気口82が閉じられると空間Sの上方に形成された開口が完全に塞がれ、空間S内の温度が上昇させられることになる。
これにより、空間S内の温度を所定の温度範囲内に維持させることができる。
【0051】
さらに、図10に示すように、蓋体71の代わりに蓋体91を設けるようにしてもよい。
この蓋体91の中央部には、平面視矩形状を呈するとともに板厚方向に貫通する複数個(本実施形態では四個)の通気口92が周方向に並んで設けられており、各通気口92には、図示しない回動軸(ヒンジ)まわりに回動して通気口92を開閉する開閉板93が設けられている。すなわち、通気口92が開けられると通気口92を介して空間S内の熱が放出され、空間S内の温度が低減させられることになる。また、通気口92が閉じられると空間Sの上方に形成された開口が完全に塞がれ、空間S内の温度が上昇させられることになる。
これにより、空間S内の温度を所定の温度範囲内に維持させることができる。
【0052】
さらにまた、空間S内の温度を測定する温度センサ(図示せず)から制御器(図示せず)に出力されたデータ(測定値)に基づいて、制御器から開閉板83,93を開閉する駆動源(図示せず)に制御信号を出力して、開閉板83,93の開度を制御するようにしてもよい。
これにより、空間S内の温度を所定の温度範囲内に自動的に維持させることができる。
【0053】
さらにまた、上述した実施形態では、上方から見て、四等分された円の背面が互いに背中合わせになるような形状を呈するものを一具体例として挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、二等分された円、三等分された円、多角形、あるいは五以上に等分された円、多角形の背面が互いに背中合わせになるような形状を呈するものとすることもできる。
【符号の説明】
【0054】
10 太陽熱ガスタービン発電装置
11 太陽熱ガスタービン
13 太陽熱受熱器
14 タービン
21 タワー
23 第2の配管
42 ケーシング
43 伝熱管ユニット
46 底板
50 下板(板状部材)
51 太陽光入口
52 伝熱管
61 太陽熱受熱器
62 ケーシング
65 太陽熱受熱器
71 蓋体
81 蓋体
82 通気口
83 開閉板
91 蓋体
92 通気口
93 開閉板
S 空間
G 地盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に立設されたタワーの頂部に配置されて、前記地盤の上に配置された太陽熱集光器により集光された太陽光を変換した熱により圧縮性作動流体を加熱して昇温させる太陽熱受熱器であって、
前記タワーの頂部上面に固定される底板を備えたケーシングと、このケーシングに収容されて、前記熱が与えられる伝熱管を備えた伝熱管ユニットとを備えており、かつ、下端が前記底板の外周端に接続されて前記ケーシングを形成するとともに、前記外周端から斜め上方に延びる板状部材の中央部に、正面視円形状または正面視楕円形状を呈する太陽光入口が設けられていることを特徴とする太陽熱受熱器。
【請求項2】
鉛直方向に沿う前記ケーシングの中央部に、前記伝熱管から流出した圧縮性作動流体をタービンに導く配管を収容する空間が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽熱受熱器。
【請求項3】
前記空間の上方を塞ぐ蓋体が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の太陽熱受熱器。
【請求項4】
前記蓋体に、板厚方向に貫通する通気口が設けられているとともに、前記通気口を開閉する開閉板が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の太陽熱受熱器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の太陽熱受熱器と、
地盤の上に配置された太陽熱集光器と、を具備していることを特徴とする太陽熱ガスタービン。
【請求項6】
請求項5に記載の太陽熱ガスタービンを具備してなることを特徴とする太陽熱ガスタービン発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−117396(P2012−117396A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265679(P2010−265679)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】