説明

太陽電池モジュールの化粧用カバーの取付け装置

【課題】太陽電池モジュール本体側面に化粧用カバーを容易に固定できると共に、固定できる太陽電池モジュール本体の種類を拡大すること。
【解決手段】太陽電池モジュール本体1に化粧用カバー4を固定するための固定金具5は取付孔が所定間隔を存して2個開設されて枠体3の側辺3E、3Fに夫々開設された2個の取付孔と共にこれらの取付孔に嵌合するビス10により前記枠体3に固定される第1取付片5Aと、該第1取付片5Aの上端部を外方に折曲して形成され化粧用カバー4の上片4Aをビス11により固定するための取付孔が開設された第2取付片5Bと、同じく化粧用カバー4の側片4Bをビス12により固定するための取付孔が開設された第3取付片5Cと、第1取付片5Aと第3取付片5Cとを連結する連結片5Dと、この連結片5Dと共に枠体3の鍔3Cが挿入される凹部5Sを形成すると共に該枠体3の下面を支持するための支持片5Eとから構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールの化粧用カバーの取付け装置に関し、詳述すれば屋根上へ取付けられる太陽電池モジュールの化粧用カバーの取付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この化粧用カバーを太陽電池モジュールの枠体(接合部材)に取付ける場合は、太陽電池モジュール本体の少なくとも一部に化粧用カバー(周辺部材)を着脱自在に取付ける方法が提案されているが(例えば、特許文献1参照)、前記枠体に固定される固定金具にビスを介して取付けるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−262020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記文献に記載されたものと同種のものとして、図8及び図9に示すものがあり、以下説明する。太陽電池モジュール本体20は平板状に縦横に複数配列された太陽電池セル21の周縁部が金属製の枠体22により囲まれて形成されており、太陽電池モジュール本体20の外観上の美感を向上するために、固定金具23を介してこの枠体22に化粧用カバー24を固定している。即ち、固定金具23は前記枠体22の側面22A及び鍔部22Bにビス25により固定される側片23Aと、この側片23Aの上端を外方へ折曲して形成されてビス26により化粧用カバー24が固定される上水平片23Bと、前記側片23Aの下端を外方へ折曲して形成した下水平片23Cと、この上水平片23Cの外端部を下方へ折曲して形成されてビス27により化粧用カバー24が固定される垂直片23Dとから構成される。
【0005】
しかし、前記化粧用カバー24を太陽電池モジュール本体20に固定するための固定金具23は太陽電池モジュール本体20の1種類の形状の枠体22にしか対応できないものであった。
【0006】
そこで本発明は、太陽電池モジュール本体側面に化粧用カバーを容易に固定できると共に、固定できる太陽電池モジュール本体の種類を拡大することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、第1の発明は、平板状に複数配列された太陽電池パネル周縁部が枠体に覆われて、屋根上へ取付けられる太陽電池モジュールの化粧用カバーの取付け装置において、前記枠体の下面を支持する支持片、前記枠体の側面に固定される側片及び前記化粧用カバーを固定するための取付片を備えた固定部材を設けたことを特徴とする。
【0008】
第2の発明は、平板状に複数配列された太陽電池パネル周縁部が枠体に覆われて、屋根上へ取付けられる太陽電池モジュールの化粧用カバーの取付け装置において、前記枠体の一部が挿入される挿入部、前記枠体の側面に固定される側片及び前記化粧用カバーを固定するための取付片を備えた固定部材を設けたことを特徴とする。
【0009】
第3の発明は、平板状に複数配列された太陽電池パネル周縁部が枠体に覆われて、屋根上へ取付けられる太陽電池モジュールの化粧用カバーの取付け装置において、前記枠体の一部が挿入される挿入部、前記枠体の下面を支持する支持片、前記枠体の側面に固定される側片及び前記化粧用カバーを固定するための取付片を備えた固定部材を設けたことを特徴とする。
【0010】
第4の発明は、第1乃至第3の発明において、前記枠体の側面に前記固定部材の側片をビスにより固定する際に、該ビスの斜め挿入を防止するためのリブを前記枠体の取り付け孔周縁部に形成したことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、太陽電池モジュール本体側面に化粧用カバーを容易に固定できると共に、固定できる太陽電池モジュール本体の種類を拡大することができる。また、第4の発明によれば、枠体に固定部材を固定すべく、固定部材及び枠体にビスを挿入させた際に、斜めにビスを挿入しても当該ビスの先端部がリブに当接することにより、作業者はビスの回転速度が落ちたことを認識でき、斜め挿入を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】太陽電池モジュール本体の平面図である。
【図2】太陽電池モジュールの角部及び固定金具の斜視図である。
【図3】長辺側の太陽電池モジュール及び固定金具の縦断面図である。
【図4】長辺側の太陽電池モジュール、固定金具及び化粧用カバーの縦断面図である。
【図5】短辺側の太陽電池モジュール、固定金具及び化粧用カバーの縦断面図である。
【図6】太陽電池モジュール本体に化粧用カバーを取付けた状態の部分斜視図である。
【図7】長辺側の太陽電池モジュールに固定金具を取付ける際の動作を示す縦断面図である。
【図8】従来の太陽電池モジュールの角部及び固定金具の斜視図である。
【図9】従来の長辺側の太陽電池モジュール、固定金具及び化粧用カバーの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図に基づき説明する。先ず、図1に示すように、太陽電池モジュール本体1は、平板状に縦横に複数配列された太陽電池パネル2の周縁部(4辺)が枠体3により囲まれて形成されている。即ち、太陽電池パネル2は平面視矩形状であって、その表面には例えば強化ガラス板などが積層されており、この太陽電池パネル2が複数平板状に配列され、その周縁部は一対の長辺側と一対の短辺側の4つの金属製の枠体3に囲まれている。
【0014】
このように構成された太陽電池モジュール本体1の外観上の美感を向上するために、前記枠体3に外方から複数の空気流通孔4Eを有する化粧用カバー4を固定させる必要があるが、その取付け構造について説明する。図2に示すように、前記太陽電池モジュール本体1の四隅における各角部の近傍位置に各固定金具5を固定する。この固定金具5はアルミニウム製であり、後述するが、前記枠体3の四辺の側面部に数ケ所固定される。
【0015】
ここで、前記太陽電池モジュール本体1の長辺側(横方向)の前記枠体3にはその下端部に外方に延びた水平板部3Aと、この水平板部3Aの外端部を上方へ折曲した垂直板部3Bとから成る鍔3Cが形成されているが、短辺側(縦方向)の前記枠体3にはこの鍔部3Cは形成されていない。従って、長辺側の前記枠体3の断面形状が表れている図3及び図4と、短辺側の前記枠体3の断面形状が表れている図5と示すように、長辺側の前記枠体3と短辺側の前記枠体3とは断面形状が異なる。
【0016】
即ち、短辺側の前記枠体3は概ね中空角筒状を呈しており、外側面上端部から上方に延びてから内方へ折曲した円筒状のフランジ3Dが形成されており、長辺側の前記枠体3も同様にフランジ3Dが形成されており、更にこの長辺側の前記枠体3には前述したように鍔部3Cが形成されているが、短辺側の前記枠体3にはこの鍔部3Cは形成されていない。なお、この鍔部3Cはアルミニウムで作製されこの鍔部3Cと直交する方向に配設された架台フレーム(図示せず)に固定され、この架台フレームなどを介して屋根の瓦に固定されるものであり、結果として太陽電池モジュール本体1は瓦上に固定されるものである。
【0017】
次に、図2乃至図5に基づいて、前記固定金具5について説明する。この固定金具5は取付孔が所定間隔を存して2個開設されて前記枠体3の側辺3E、3Fに夫々ビス10止めにより前記枠体3に固定される第1取付片5Aと、この第1取付片5Aの上端部を外方に折曲して形成され化粧用カバー4の上片4Aをビス11により固定するための第2取付片5Bと、同じく化粧用カバー4の側片4Bをビス12により固定するための第3取付片5Cと、前記第1取付片5Aと第3取付片5Cとを連結する連結片5Dと、この連結片5Dと共に前記枠体3の鍔3Cが挿入される凹部5Sを形成すると共に該枠体3の下面を支持するための断面L字形状の支持片5Eとから構成される。
【0018】
なお、前記第2取付片5B及び第3取付片5Cには取付孔が形成されていないが、アルミニウム製で軟らかな素材で作製されているため、ビス11、12をネジ込むことにより孔が形成され、ビス11、12を止めることができるものである。
【0019】
そして、前記フランジ3D、側片3E及び上片3Hとで形成される凹部内に太陽電池パネル2が挿入され、この太陽電池パネル2は枠体3で周縁部が囲まれることとなる。
【0020】
なお、短辺側の前記枠体3はその下面が前記固定金具5の支持片5Eにより支持されるが、長辺側の前記枠体3も同様にその下面が前記固定金具5の支持片5Eにより支持されると共に連結片5Dと支持片5Eとにより形成された凹部5S内に前記鍔3Cが挿入されて支持されることとなる。
【0021】
従って、短辺側の前記枠体3はその下面が前記固定金具5の支持片5Eにより支持されて上下方向が規制されて該短辺側の枠体3への固定金具5の取付時に位置決めが容易となる。また、長辺側の前記枠体3はその下面が前記固定金具5の支持片5Eにより支持されて上下方向が規制されると共に凹部5S内に前記鍔3Cが挿入されて連結片5D及び支持片5Eにより支持されて左右方向及び上下方向が規制されて該長辺側の枠体3への固定金具5の取付時に位置決めが容易となる。
【0022】
前記化粧用カバー4は上片4Aと側片4Bとから概ね断面がL字形状を呈するが、前記側片4Bの下端部を内方に折曲してわずかの長さを有する折曲片4Cを形成し、また上片4Aの先端部を下方に折曲してわずかの長さを有する折曲片4Dを形成する。
【0023】
従って、化粧用カバー4を固定金具5に固定する場合には、前記第1取付片5Aを断面がクランク状になるように形成して形成された空間内に前記折曲片4Dを挿入した状態にして各ビス11、12により固定することができる。
【0024】
なお、短辺側及び長辺側の前記枠体3は前述したように、概ね中空角筒状を呈しているが、その垂直な側辺3E、3Fに夫々開設された2個の取付孔の開口縁部には夫々内方に延びた円筒状のリブ3Gが形成されている。従って、図7に示すように、枠体3に固定金具5の第1取付片5Aを固定すべく、固定金具5及び枠体3の取付孔にビス10を嵌合させた際に、斜めにビス10を挿入しても当該ビス10の先端部が前記リブ3Gに当接することにより、作業者はビス10の回転速度が落ちたことを認識でき、斜め挿入を防止することができる。
【0025】
以上本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【符号の説明】
【0026】
1 太陽電池モジュール本体
2 太陽電池パネル
3 枠体
4 化粧用カバー
5 固定金具
5A 第1取付片
5B 第2取付片
5C 第3取付片
5D 連結片
5E 支持片
5S 凹部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状に複数配列された太陽電池パネル周縁部が枠体に覆われて、屋根上へ取付けられる太陽電池モジュールの化粧用カバーの取付け装置において、前記枠体の下面を支持する支持片、前記枠体の側面に固定される側片及び前記化粧用カバーを固定するための取付片を備えた固定部材を設けたことを特徴とする太陽電池モジュールの化粧用カバーの取付け装置。
【請求項2】
平板状に複数配列された太陽電池パネル周縁部が枠体に覆われて、屋根上へ取付けられる太陽電池モジュールの化粧用カバーの取付け装置において、前記枠体の一部が挿入される挿入部、前記枠体の側面に固定される側片及び前記化粧用カバーを固定するための取付片を備えた固定部材を設けたことを特徴とする太陽電池モジュールの化粧用カバーの取付け装置。
【請求項3】
平板状に複数配列された太陽電池パネル周縁部が枠体に覆われて、屋根上へ取付けられる太陽電池モジュールの化粧用カバーの取付け装置において、前記枠体の一部が挿入される挿入部、前記枠体の下面を支持する支持片、前記枠体の側面に固定される側片及び前記化粧用カバーを固定するための取付片を備えた固定部材を設けたことを特徴とする太陽電池モジュールの化粧用カバーの取付け装置。
【請求項4】
前記枠体の側面に前記固定部材の側片をビスにより固定する際に、該ビスの斜め挿入を防止するためのリブを前記枠体の取り付け孔周縁部に形成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の太陽電池モジュールの化粧用カバーの取付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−243258(P2009−243258A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137032(P2009−137032)
【出願日】平成21年6月8日(2009.6.8)
【分割の表示】特願2004−20826(P2004−20826)の分割
【原出願日】平成16年1月29日(2004.1.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】