説明

太陽電池モジュールの製造装置及び太陽電池モジュールの製造方法

【課題】はんだ付け時の太陽電池素子の面内の温度分布のばらつきを低減させることができる太陽電池モジュールの製造装置及び太陽電池モジュールの製造方法を得ること。
【解決手段】太陽電池モジュールの製造装置は、支え機構と、押さえ機構と、ホットプレートと、加熱部と、制御部とを備える。制御部は、前記押さえ機構及び前記支え機構が第2のタブ線と処理対象の太陽電池素子と第1のタブ線とを挟み込んで固定した状態を維持しながら、前記ホットプレートが前記処理対象の太陽電池素子及び前記第1のタブ線に接触した状態から非接触の状態になるまで前記ホットプレートを下方向に移動させた後に、前記固定した状態を維持しながら、前記加熱部が前記第2のタブ線と前記処理対象の太陽電池素子と前記第1のタブ線とを加熱するように、制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールの製造装置及び太陽電池モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の太陽電池セルを複数のタブリードで順次に接続することにより、複数の太陽電池セルが直列に接続された太陽電池を製造する装置及び方法が記載されている。
【0003】
具体的には、特許文献1に記載された装置では、コンベアの上で、処理後の太陽電池セルの上面の電極にタブリードの前半部が接続された状態で、そのタブリードの後半部に処理対象の太陽電池セルの下面の電極を位置合わせして載置する。コンベアによってそのタブリードの後半部と処理対象の太陽電池セルとをホットプレートの上に移動させる。
【0004】
次に、処理対象の太陽電池セルの上面の電極の上に新たなタブリードの前半部を位置合わせして載置し、そのタブリードの前半部の上方から押付装置にてそのタブリードの前半部を処理対象の太陽電池セルの上面の電極に押さえつける。この状態でタブリードの前半部の上方に配されたランプヒータから照射された赤外線による本加熱とホットプレートからの補助加熱とによってタブリードにあらかじめ供給されていたはんだを溶融させる。
【0005】
そして、ランプヒータによる赤外線の照射を停止して、溶融したはんだを凝固させた後、押付装置による押さえつけが除去される。
【0006】
以上の工程を繰返して、複数の太陽電池セルが直列に接続されたストリングスを製造する。形成されたストリングスは別のステージに搬出され、所定の数のストリングスを並列させて互いに電気的に接続することで太陽電池が製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−196749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
太陽電池セルの上面(受光面)の集電電極及び下面(裏面)の集電電極とタブリードとをはんだ付けする際には、各電極の表面及びはんだの表面の酸化物等の汚れを除去するためにはんだ付けする領域にフラックスを塗布しておく必要がある。
【0009】
しかし、フラックスは、タブリードのはんだ付け時にホットプレートの表面に付着する可能性がある。太陽電池の生産中にホットプレートにフラックスが繰返し付着して、フラックス中のロジン等の固形成分がホットプレートの表面に凸状に堆積すると、押付装置によってタブリードを太陽電池セルに押さえつけた際に、太陽電池セルと凸状堆積物との接触部近傍に過大な圧力が生じて太陽電池セルが割れてしまうことがある。また、堆積物によって太陽電池セルが浮き、押付装置で押さえつけても、ホットプレート上のタブリードと太陽電池セルの下面の電極との間に隙間ができて、未接合部が形成されてしまうことがある。さらに、フラックスによって太陽電池セルがホットプレートの表面に貼り付くと、タブリードを接合した後に別のステージに搬送する際、貼り付いた太陽電池セルをホットプレートから引き剥がす時に過剰な力が生じて太陽電池セルが割れてしまうことがある。
【0010】
これらの太陽電池セルの割れを防ぐためには、太陽電池の製造装置において、フラックスで汚染された箇所を定期的に清掃しなければならない。このフラックスは、タブリードのはんだ付け時の赤外線照射によってはんだの融点を超える高温に加熱されてしまうため、フラックス中のロジン等の固形成分がホットプレート表面に焼き付いて変質し、除去が極めて困難な状態となる。この場合、ホットプレートの表面を清掃するために要する時間が長くなるので、太陽電池の生産性は著しく低下する。
【0011】
特許文献1に記載された太陽電池(太陽電池モジュール)の製造方法では、赤外線照射中、ホットプレートの表面において、太陽電池セル(太陽電池素子)の熱変形によって太陽電池セルが離れる箇所が不規則に生じる。ホットプレートの表面における太陽電池セルが離れた箇所では、赤外線による熱がホットプレートに伝導しないため、太陽電池セルが接触している箇所に比べて高温となり、太陽電池セルにおける面内の温度分布が不均一となる。その際、温度差の大きい箇所において局所的に熱応力が増して太陽電池セルが割れる可能性がある。特に、近年の太陽電池セルは原材料費を低減するため、200μm以下にまで薄くなっており、この割れ(破損)の発生頻度が増加する傾向にある。
【0012】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、はんだ付け時の太陽電池素子の面内の温度分布のばらつきを低減させることができる太陽電池モジュールの製造装置及び太陽電池モジュールの製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の1つの側面に係る太陽電池モジュールの製造装置は、複数の太陽電池素子が複数のタブ線で直列に接続された太陽電池モジュールを製造するために、前記複数の太陽電池素子を順次に搬送して太陽電池素子にタブ線をはんだで接合する太陽電池モジュールの製造装置であって、第1のタブ線を間にして処理対象の太陽電池素子を下から支える支え機構と、第2のタブ線を間にして前記処理対象の太陽電池素子を上から押付ける押さえ機構と、前記処理対象の太陽電池素子及び前記第1のタブ線に下から接触して加熱するための第1の位置と前記処理対象の太陽電池素子及び前記第1のタブ線に対して非接触になっており前記第1の位置より下方にある第2の位置との間を移動可能であるホットプレートと、前記第2のタブ線の上方から赤外線を照射することにより、前記第2のタブ線と前記処理対象の太陽電池素子と前記第1のタブ線とを加熱する加熱部と、第1の期間において、前記ホットプレートが前記第1の位置で前記処理対象の太陽電池素子及び前記第1のタブ線を加熱し、前記第1の期間に続く第2の期間において、前記押さえ機構及び前記支え機構が前記第2のタブ線と前記処理対象の太陽電池素子と前記第1のタブ線とを挟み込んで固定した状態を維持しながら前記ホットプレートを前記第1の位置から前記第2の位置へ移動し、前記第2の期間に続く第3の期間において、前記ホットプレートが前記第2の位置になっている状態で前記加熱部が前記第2のタブ線と前記処理対象の太陽電池素子と前記第1のタブ線とを加熱するように、制御を行う制御部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、赤外線照射時において、処理対象の太陽電池素子がほぼ中空状態になり、処理対象の太陽電池素子がホットプレートに非接触であるため、はんだ付け時の太陽電池素子の面内の温度分布のばらつきを低減させることができる太陽電池モジュールの製造装置及び太陽電池モジュールの製造方法を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、実施の形態1における太陽電池素子を受光面の側から見た平面図である。
【図2】図2は、実施の形態1における太陽電池素子を裏面の側から見た平面図である。
【図3】図3は、実施の形態1における太陽電池素子にフラックスを塗布する工程を示した側面図である。
【図4】図4は、実施の形態1に係る太陽電池モジュールの製造装置の構成を示す斜視図である。
【図5】図5は、実施の形態1に係る太陽電池モジュールの製造装置によりはんだ付けを行うときの状態を示す斜視図である。
【図6】図6は、実施の形態1に係る太陽電池モジュールの製造装置の構成及び動作を示す図である。
【図7】図7は、実施の形態1に係る太陽電池モジュールの製造装置の構成及び動作を示す図である。
【図8】図8は、実施の形態1の変形例に係る支え機構の形状を示す斜視図である。
【図9】図9は、実施の形態1の他の変形例に係る支え機構の形状を示す斜視図である。
【図10】図10は、実施の形態2に係る太陽電池モジュールの製造装置の構成を示す斜視図である。
【図11】図11は、実施の形態3に係る太陽電池モジュールの製造装置の構成を示す斜視図である。
【図12】図12は、実施の形態3に係る太陽電池モジュールの製造装置によりはんだ付けを行うときの状態を示す斜視図である。
【図13】図13は、実施の形態3の変形例におけるタブ線用ホットプレートの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る太陽電池モジュールの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、添付した図面においては、理解の容易のため、各部材の縮尺が実際とは異なる場合がある。
【0017】
実施の形態1.
まず、実施の形態1に係る太陽電池モジュールの製造装置の構成を説明する。
【0018】
太陽電池モジュールの製造装置100は、複数の太陽電池素子1が複数のタブ線15で直列に電気的に接続された太陽電池モジュールを製造するために、複数の太陽電池素子1を順次に搬送して太陽電池素子1にタブ線15を接合するための装置である。
【0019】
図1は、太陽電池素子1を受光面(表面)の側から見た平面図である。図2は、太陽電池素子1を裏面の側から見た太陽電池素子1の平面図である。図1及び図2に示す工程では、太陽電池モジュールに用いるべき太陽電池素子1を準備する。太陽電池モジュールに用いるべき太陽電池素子1は、半導体基板5の受光面側にリン拡散によって不純物層拡散層(図示せず)が形成されているとともにシリコン窒化膜よりなる反射防止膜4が形成されている。また、半導体基板5の受光面側には、長尺細長の細線電極3と、この細線電極3と導通する集電電極2が設けられており、それぞれ底面部において不純物拡散層と電気的に接続している。また、太陽電池素子1の裏面(受光面と反対側の面)には、ほぼ全体にわたって裏面電極7が設けられるとともに集電電極2と略同一方向に裏面集電電極6が設けられている。裏面集電電極6は、集電電極2と対応する位置に(集電電極2と対を成すように)設けられている。
【0020】
図6、図7は、実施の形態1に係る太陽電池モジュールの製造装置の構成及び動作を示す図である。図6、図7において、右方向(白抜きの矢印で示した方向)がコンベア9の進行方向であり、タブ線15のはんだ付けの終了した太陽電池素子1は本方向に搬送されていく。以下では、はんだ付けすべき処理対象の太陽電池素子を1aの部材番号で示すことにし、処理後の太陽電池素子を1cの部材番号で示すことにする。処理対象の太陽電池素子1aの裏面の裏面集電電極(第1の電極)6に接続されるべきタブ線(第1のタブ線)を15aの部材番号で示すことにする。処理対象の太陽電池素子1aの表面(受光面)の集電電極(第2の電極)2に接続されるべきタブ線(第2のタブ線)を15bの部材番号で示すことにする。なお、タブ線15は、例えば、銅を主成分とする金属で形成されており、あらかじめSn−Ag−Cuからなるはんだを表面にコーティングしたものを使用してもよい。
【0021】
太陽電池モジュールの製造装置100は、支え機構13、押さえ機構14、ホットプレート11、タブ線ガイド12、ホットプレート21、駆動部111,121,211、コンベア90、加熱部16、及び制御部30を備える。無端ベルトから構成されたコンベア90における後述のベルト9の両側のそれぞれには、2個のホットプレート11,21とタブ線ガイド12とが、ベルト9の長手方向に沿って並べられている。
【0022】
支え機構13は、ホットプレート11を貫通しながら、タブ線(第1のタブ線)15aを間にして処理対象の太陽電池素子1aを下から支える。すなわち、支え機構13は、処理対象の太陽電池素子1aの下面(裏面)における裏面集電電極6の下のタブ線15bを下から支える。支え機構13は、複数の棒状の構成物132と駆動部131とを有する。駆動部131は、制御部30による制御に従って、複数の棒状の構成物132が裏面集電電極6の下のタブ線15aを下から支えるように、複数の棒状の構成物132を駆動する。複数の棒状の構成物132は、図5に示すように、タブ線(第1のタブ線)15aの長手方向となるべき方向に沿って並んだ高さが互いに等しい複数の棒状の構成物を含む。これにより、支え機構の熱容量を低減させ、タブ線接合時の接合部の温度低下を防ぐことができる。また、複数の棒状の構成物132のそれぞれは、例えば、金属より熱伝導率の低い非金属で形成されている。これにより、タブ線接合時に接合部から棒状の構成物132への熱伝導が抑制されているので、タブ線接合時の接合部の温度低下を防ぐことができる。なお、複数の棒状の構成物132のそれぞれの断面形状は、図5に例示された円形に限られず、例えば、楕円形、多角形等でもよい。
【0023】
押さえ機構14は、タブ線(第2のタブ線)15bを間にして処理対象の太陽電池素子1aを上から押さえつける。すなわち、押さえ機構14は、処理対象の太陽電池素子1aの上面(表面)における集電電極2の上のタブ線15bを上から押さえ付ける。押さえ機構14は、複数の第2の棒状の構成物142と駆動部141とを有する。駆動部141は、制御部30による制御に従って、複数の第2の棒状の構成物142が集電電極2の上のタブ線15bを上から押さえ付けるように、複数の第2の棒状の構成物142を駆動する。複数の第2の棒状の構成物142は、タブ線(第2のタブ線)15bの長手方向となるべき方向に沿って並んだ高さが互いに等しい複数の第2の棒状の構成物を含む(図5参照)。これにより、押さえ機構の熱容量を低減させ、タブ線接合時の接合部の温度低下を防ぐことができる。また、複数の第2の棒状の構成物142のそれぞれは、例えば、金属より熱伝導率の低い非金属で形成されている。これにより、タブ線接合時に接合部から第2の棒状の構成物142への熱伝導が抑制されているので、タブ線接合時の接合部の温度低下を防ぐことができる。なお、複数の第2の棒状の構成物142のそれぞれの断面形状は、図5に例示された円形に限られず、例えば、楕円形、多角形等でもよい。
【0024】
ホットプレート11は、その表面の上にタブ線(第1のタブ線)15aが載置される。ホットプレート11の表面は、領域R1(図4参照)を有する。領域R1には、コンベア90におけるベルト9の進行方向と略平行な方向に、支え機構13における複数の棒状の構成物132が貫通すべき複数の穴23が1列に配されている。すなわち、ホットプレート11は、支え機構13における複数の棒状の構成物132が貫通すべき複数の穴23を有する。
【0025】
また、ホットプレート11は、第1の位置と第2の位置との間を移動可能である。第1の位置は、処理対象の太陽電池素子1a及び第1のタブ線15aに下から接触して加熱するための位置である(図6参照)。第2の位置は、処理対象の太陽電池素子1a及び第1のタブ線15aに非接触になっており第1の位置より下方にある位置である(図7参照)。
【0026】
タブ線ガイド12は、表面の上にタブ線(第2のタブ線)15aが載置される。タブ線ガイド12は、タブ線15aの長手方向となるべき方向に沿ってホットプレート11と並んでいる。タブ線ガイド12の表面は、タブ線15aが載置されるべき領域R2(図4参照)に、タブ線15aの長手方向となるべき方向に沿って、タブ線15aに対応した幅を有しかつタブ線15aの厚みより浅いタブ線溝(第2の溝)12aを有する。これにより、タブ線溝12aがタブ線15bを固定するので、タブ線15bと処理対象の太陽電池素子1aとの位置ずれを防止できる。
【0027】
ホットプレート(第2のホットプレート)21は、タブ線15aが接続された処理後の太陽電池素子1cが載置される。ホットプレート21は、タブ線15aの長手方向となるべき方向に沿ってホットプレート11と並んでいる。ホットプレート21は、はんだ付けされた後の太陽電池素子1cを加熱する(この加熱を後加熱と呼ぶことにする)。これにより、太陽電池素子1の集電電極2と裏面集電電極6とにタブ線をはんだ付けした後の急冷却による太陽電池素子1の破損を防止することができる。
【0028】
駆動部111、121、211は、それぞれ、制御部30による制御に従って、ホットプレート11、タブ線ガイド12、ホットプレート21を鉛直方向(上下方向)に駆動する。
【0029】
コンベア90は、ベルト9及び駆動部91を有する。ベルト9は、図6,7に示す白抜き矢印の方向に沿って、太陽電池素子1を搬送する。例えば、処理対象の太陽電池素子1aに対するはんだ付けの処理が完了したら、その太陽電池素子1aを後加熱のポジションまで搬送する。駆動部91は、制御部30による制御に従って、ベルト9を駆動する。
【0030】
加熱部16は、制御部30による制御に従って、タブ線15aの上方から赤外線を照射する。これにより、加熱部16は、タブ線15aと処理対象の太陽電池素子1aとタブ線15bとを加熱する。加熱部16は、赤外線を照射するための赤外線ランプヒータ16aを有する。
【0031】
制御部30は、第1の期間において、ホットプレート11が第1の位置で処理対象の太陽電池素子1a及びタブ線15bを加熱し、第1の期間に続く第2の期間において、支え機構13がホットプレート11を貫通し押さえ機構14及び支え機構13がタブ線15bと処理対象の太陽電池素子1aとタブ線15aとを挟み込んで固定した状態を維持しながらホットプレート11を第1の位置から第2の位置へ移動し、第2の期間に続く第3の期間において、ホットプレート11が第2の位置になっている状態で加熱部16がタブ線15bと処理対象の太陽電池素子1aとタブ線15aとを加熱するように、制御を行う。
【0032】
具体的には、制御部30は、第1の期間において、ホットプレート11の表面における領域R1(図4参照)の上にタブ線15aの後半部15a2が載置された状態で処理対象の太陽電池素子1aをホットプレート11の上まで搬送させる。そして、制御部30は、ホットプレート11を第1の位置にした状態でホットプレート11が処理対象の太陽電池素子1a及びタブ線15bを加熱するようにする。これにより、後述の赤外線ランプヒータ16aにより放射加熱する直前に、タブ線(第1のタブ線)15aを補助加熱するため、はんだ接合における接合安定性を増加させることができる。
【0033】
なお、制御部30は、第1の期間において、支え機構13がホットプレート11を貫通し押さえ機構14及び支え機構13がタブ線15bと処理対象の太陽電池素子1aとタブ線15aとを挟み込んで固定した状態としてもよいし、しなくてもよい。また、制御部30は、第1の期間において、支え機構13における複数の棒状の構成物132の上端がホットプレート11の表面と同じ高さになるように制御してもよい。
【0034】
制御部30は、第2の期間において、上記の固定した状態を第1の期間から引き続き維持する。あるいは、第1の期間において上記の固定した状態としない場合、制御部30は、第2の期間において、上記の固定した状態にするように押さえ機構14及び支え機構13を制御する。そして、制御部30は、第2の期間において、上記の固定した状態を維持しながら、ホットプレート11を第1の位置から第2の位置へ移動させる。すなわち、制御部30は、ホットプレート11を、支え機構13により貫通された状態を維持しながら、第1の位置から第2の位置へ移動させる。これにより、タブ線15bと処理対象の太陽電池素子1aとタブ線15aとは中空状態で保持される。
【0035】
制御部30は、第3の期間において、ホットプレート11が第2の位置になっている状態で、加熱部16における赤外線ランプヒータ16aがタブ線15bと処理対象の太陽電池素子1aとタブ線15aとに赤外線を照射する。すなわち、押さえ機構14の上方からタブ線15bと処理対象の太陽電池素子1aとタブ線15aとを放射加熱する。タブ線15bにコーティングしたはんだを溶融させるとともに、タブ線15aにコーティングしたはんだを溶融させる。その後、赤外線の照射を停止させて、溶融したはんだを凝固させる。これにより、タブ線15bと集電電極2とをはんだで接合(はんだ付け)するとともに、タブ線15aと裏面集電電極6とをはんだで接合(はんだ付け)する。
【0036】
はんだ付けが完了すると、制御部30は、押さえ機構14が上昇するとともにホットプレート21、タブ線ガイド12および支え機構13も下方に移動するように、制御を行う。そして、制御部30は、コンベア90におけるベルト9が所定距離移動することではんだ付けの完了した太陽電池素子1aがホットプレート21の上方まで搬送されるように、制御を行う。
【0037】
このように、実施の形態1にかかる製造装置によれば、赤外線照射時において、処理対象の太陽電池素子がほぼ中空状態になり、処理対象の太陽電池素子がホットプレートに非接触であるため、太陽電池素子における温度分布が不均一になりにくい。すなわち、はんだ付け時の太陽電池素子の面内の温度分布のばらつきを低減させることができる。これにより、熱応力による太陽電池素子の割れ(破損)を低減できる。
【0038】
また、実施の形態1にかかる製造装置によれば、はんだ付け時に太陽電池素子1に塗布されたフラックス8とホットプレート11とが接触していないため、赤外線照射時の高温によって生じるフラックス8のホットプレート11への焼け付きが生じにくい。これにより、定期清掃に要する時間を短くできるので、生産性の低下を抑制できる。
【0039】
次に、実施の形態1に係る太陽電池モジュールの製造方法を、図3〜図9を用いて説明する。太陽電池モジュールは、複数のタブ線15で直列に電気的に接続されるべき複数の太陽電池素子1を有する。
【0040】
図3は、太陽電池素子1の裏面集電電極6にフラックス8を塗布する工程を示した図である。図3において、コンベア90におけるベルト9は、太陽電池素子1を図中の矢印の方向に搬送する。図3には、太陽電池素子1の裏面が上になるように太陽電池素子1がベルト9の上に配された状態が示されている。10は、フラックス8を吐出するノズルであり、容器(図示せず)に蓄えたフラックス8に所定の圧力を所定の時間加えることで容器から押し出されたフラックス8が噴出される。裏面集電電極6の長手方向は、ベルト9の搬送方向と略平行になっており、ノズル10は、裏面集電電極6の直上の位置に配置されている。太陽電池素子1がノズル10の直下を通過する時にノズル10よりフラックス8を吐出することで、裏面集電電極6(図2参照)にフラックス8を塗布する。この後、太陽電池素子1を裏返して太陽電池素子1の表面(受光面)が上になるようにして、受光面に形成した集電電極2にも同様の工程でフラックス8を塗布する。
【0041】
図4は、太陽電池素子1の集電電極2と裏面集電電極6とのそれぞれにタブ線15をはんだ付けするための製造装置の構成を示す斜視図であり、構成および動作の理解を容易とするために太陽電池素子1およびタブ線15を載置していない状態を図示している。無端ベルトから構成されたベルト9の両側のそれぞれには、2個のホットプレート11,21とタブ線ガイド12とが、ベルト9の長手方向に沿って併設されている(並べられている)。
【0042】
ベルト9の進行方向(白抜きの矢印で示す方向)の最上手に位置するタブ線ガイド12の表面は、タブ線(第2のタブ線)15bが載置されるべき領域R2に、タブ線15bの長手方向となるべき方向(ベルト9の進行方向と略平行な方向)に沿って、タブ線15bに対応した幅を有しかつタブ線15bの厚みより浅いタブ線溝(第2の溝)12aを有する。
【0043】
ベルト9の進行方向においてタブ線ガイド12と隣り合うホットプレート11の表面は、領域R1に、ベルト9の進行方向と略平行な方向に、支え機構13における複数の棒状の構成物132が貫通すべき複数の穴23が1列に配されている。図4では、支え機構13における複数の棒状の構成物132のそれぞれの上面がホットプレート11の表面と同じ高さになった状態が示されている。
【0044】
タブ線ガイド12と隣り合うホットプレート11は、太陽電池素子1の集電電極2と裏面集電電極6とにタブ線15をはんだ付けするためのはんだ付けポジションに配されている。ベルト9の進行方向の最下手に位置するホットプレート21は、太陽電池素子1の集電電極2と裏面集電電極6とにタブ線15をはんだ付けした後の急冷却による太陽電池素子1の破損を防止するための後加熱のポジションに配されている。ベルト9、ホットプレート11,21、およびタブ線ガイド12、支え機構13のそれぞれの上面位置は略同一高さに配置しており、また各ホットプレート11、タブ線ガイド12および支え機構13はそれぞれ下方向にスライドする機能を有している。
【0045】
図5は、太陽電池素子1の集電電極2と裏面集電電極6とのそれぞれにタブ線15をはんだ付けする時の製造装置の状態を示す斜視図であり、図4と同様に構成と動作の理解を容易とするために太陽電池素子1およびタブ線15を載置していない状態を図示した。タブ線15をはんだ付けする際には、支え機構13と略同一かつ直上の位置に載置した押さえ機構14が下降して支え機構13と押さえ機構14とで太陽電池素子1とその上下のタブ線15とをはさみ込んで固定する。そして、その固定した状態を維持しながら、はんだ付けポジションのホットプレート11が下方向にスライド(移動)することにより、処理対象の太陽電池素子1とホットプレート11とを非接触の状態にする。この非接触の状態でタブ線15のはんだ付を実施した後、押さえ機構14が上昇し、ベルト9の進行方向の最下手に位置するホットプレート21、タブ線ガイド12および支え機構13が下方に移動してベルト9が所定距離移動する。その後、本製造装置は再び図4に示した状態に戻る。
【0046】
図6、図7は、図4及び図5に示した製造装置を用いて、太陽電池素子1の集電電極2および裏面集電電極6のそれぞれにタブ線15をはんだ付けする工程を示す側面図である。図6、図7において、右方向(白抜きの矢印で示した方向)がベルト9の進行方向であり、タブ線15のはんだ付の終了した太陽電池素子1は本方向に搬送されていく。以下では、はんだ付けすべき処理対象の太陽電池素子を1aの部材番号で示すことにし、処理後の太陽電池素子を1cの部材番号で示すことにする。処理対象の太陽電池素子1aの裏面の裏面集電電極6に接続されるべきタブ線(第2のタブ線)を15aの部材番号で示すことにする。処理対象の太陽電池素子1aの表面(受光面)の集電電極2に接続されるべきタブ線(第1のタブ線)を15bの部材番号で示すことにする。
【0047】
図6に示す工程では、タブ線15aの前半部15a1が既に処理後の太陽電池素子1cの表面(受光面)側の集電電極2にはんだ付けされている。はんだ付けポジションのホットプレート11の表面における領域R1(図4参照)の上に、タブ線15aの後半部15a2を載置する。
【0048】
そして、はんだ付けポジションのホットプレート11上において、タブ線15aの後半部15a2と支え機構13および処理対象の太陽電池素子1aの裏面集電電極6(図2参照)とを位置合わせするとともに、処理対象の太陽電池素子1aの集電電極2(図1参照)とはんだ付けされていないタブ線15bの前半部15b1とを位置合わせする。その後(第1の工程)、処理対象の太陽電池素子1aの裏面における裏面集電電極(第1の電極)6の下のタブ線(第1のタブ線)15aの後半部15a2を支え機構13が下から支えるとともに、処理対象の太陽電池素子1aの表面における集電電極(第2の電極)2の上のタブ線(第2のタブ線)15bの前半部15b1を押さえ機構14が上から押さえ付けることにより、タブ線15bと処理対象の太陽電池素子1aとタブ線15aとを挟み込んで固定する。図6は、はんだ付けされていないタブ線15bの前半部15b1を押さえ機構14が押さえ込んだ状態を示す。
【0049】
ここで、ホットプレート11は、タブ線(第1のタブ線)15aの後半部15a2を加熱している。これにより、後述の赤外線ランプヒータ16aにより放射加熱する直前に、タブ線(第1のタブ線)15aを補助加熱するため、はんだ接合における接合安定性を増加させることができる。また、タブ線(第2のタブ線)15bの後半部15b2は、タブ線溝12a内に配される。これにより、タブ線溝12aがタブ線15bを固定するので、タブ線15bと処理対象の太陽電池素子1aとの位置ずれを防止できる。なお、タブ線15は、例えば、銅を主成分とする金属で形成されており、あらかじめSn−Ag−Cuからなるはんだを表面にコーティングしたものを使用してもよい。
【0050】
その後、図7に示すように、タブ線15bと処理対象の太陽電池素子1aとタブ線15aとを挟み込んで固定した状態を維持しながら、はんだ付けポジションのホットプレート11を下方向にスライド(移動)させる。これにより、タブ線15aおよび処理対象の太陽電池素子1aをホットプレート11から非接触にする(第2の工程)。
【0051】
タブ線15aおよび処理対象の太陽電池素子1aがホットプレート11から非接触となった状態で、押さえ機構14の上方に配された赤外線ランプヒータ16aが、タブ線15bと処理対象の太陽電池素子1aとタブ線15aとに赤外線を照射する。すなわち、押さえ機構14の上方からタブ線15bと処理対象の太陽電池素子1aとタブ線15aとを加熱する。タブ線15bにコーティングしたはんだを溶融させるとともに、タブ線15aにコーティングしたはんだを溶融させる。その後、赤外線の照射を停止させて、溶融したはんだを凝固させる。これにより、タブ線15bと集電電極2とをはんだで接合(はんだ付け)するとともに、タブ線15aと裏面集電電極6とをはんだで接合(はんだ付け)する(第3の工程)。
【0052】
次に、押さえ機構14が上昇するとともにベルト9の進行方向の最下手に位置するホットプレート21、タブ線ガイド12および支え機構13も下方に移動し、ベルト9が所定距離移動することではんだ付けの完了した太陽電池素子1aがホットプレート21の上方まで搬送され太陽電池素子1cとなる。
【0053】
以上のように、実施の形態1によれば、はんだ付け時に太陽電池素子1に塗布されたフラックス8とホットプレート11とが接触していないため、赤外線照射時の高温によって生じるフラックス8のホットプレート11への焼け付きが生じにくい。これにより、定期清掃に要する時間を短くできるので、生産性の低下を抑制できる。
【0054】
さらに、実施の形態1によれば、赤外線照射中、太陽電池素子1とホットプレート11とが非接触の状態に維持されているので、太陽電池素子内の温度分布のばらつきを低減することができる。すなわち、はんだ付け時の太陽電池素子の面内の温度分布のばらつきを低減させることができる。これにより、熱応力による太陽電池素子の割れ(破損)も減少する。
【0055】
またこの時、太陽電池素子1を赤外線照射の直前までホットプレート11によって予熱(補助加熱)しておくことによってはんだ付け時におけるタブ線15の急激な温度上昇を緩和できるので、この観点からも、熱衝撃による太陽電池素子の割れ(破損)を防止することができる。
【0056】
なお、支え機構13の先端位置と押さえ機構14の先端位置とがずれると太陽電池素子を挟み込んだ際に破損させてしまう可能性がある。それに対して、支え機構13と押さえ機構14との断面積をそれぞれ全体的に増加させることでこの破損は低減できるが、それぞれの熱容量が増大して赤外線照射時のはんだ付部の温度上昇を妨げるので、はんだの接合状態(接合強度)が不十分になる可能性がある。
【0057】
そこで、支え機構13iは、図8に示すように、タブ線(第1のタブ線)15aとの接触部の面積を選択的に拡大した構成であってもよい。すなわち、支え機構13iにおける複数の棒状の構成物のそれぞれは、タブ線15aに接触する接触部13i1と、接触部13i1に下から接続された棒状部13i2とを有する。図8に示すように、接触部13i1の断面積(第1の断面積)は、棒状部13i2の断面積(第2の断面積)より大きい。このように先端部の断面積を選択的に拡大することで熱容量の増大を抑制しながら位置ずれに対する尤度を増すことが可能となる。
【0058】
同様に、押さえ機構は、図示しないが、タブ線(第2のタブ線)15bとの接触部の面積を選択的に拡大した構成であってもよい。すなわち、押さえ機構における複数の棒状の構成物のそれぞれは、タブ線15bに接触する第2の接触部と、第2の接触部に上から接続された第2の棒状部とを有する。第2の接触部の断面積(第3の断面積)は、第2の棒状部の断面積(第4の断面積)より大きい。このように先端部の断面積を選択的に拡大することで熱容量の増大を抑制しながら位置ずれに対する尤度を増すことが可能となる。
【0059】
また、支え機構13jにおける複数の棒状の構成物のそれぞれは、図9に示すように、接触部13j1の表面に溝部17jが形成されていてもよい。すなわち、接触部13j1の表面は、タブ線(第1のタブ線)15aの長手方向となるべき方向に沿ってタブ線15aの厚みより浅い溝部(第3の溝)17jを有する。これにより、タブ線(第1のタブ線)15aの後半部15a2が溝部17j内に配された際に、溝部17jがタブ線15aを固定するので、処理対象の太陽電池素子1aとタブ線15aとの位置ずれを防止できる。なお、棒状部13j2は、接触部13j1に下から接続されている。
【0060】
同様に、押さえ機構における複数の棒状の構成物のそれぞれは、図示しないが、第2の接触部の表面に第6の溝が形成されていてもよい。すなわち、第2の接触部の表面は、タブ線(第2のタブ線)15bの長手方向となるべき方向に沿ってタブ線15bの厚みより浅い第6の溝を有する。これにより、タブ線(第2のタブ線)15bの前半部15b1が第6の溝内に配された際に、第6の溝がタブ線15bを固定するので、タブ線15bと処理対象の太陽電池素子1aとの位置ずれを防止できる。
【0061】
なお、本実施の形態では、処理対象の太陽電池素子1aの受光面(表面)を上側(赤外線ランプヒータ16aの方向)の面(上面)にし裏面を下側の面(下面)にしてタブ線15のはんだ付けを実施したが、裏面を上側の面(上面)にし受光面(表面)を下側の面(下面)にしてはんだ付けを実施してもよい。
【0062】
実施の形態2.
次に、実施の形態2に係る太陽電池モジュールの製造装置100kを、図10を用いて説明する。以下では、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
【0063】
図10は、本実施の形態における、太陽電池素子1の互いに対を成す集電電極2と裏面集電電極6とにタブ線15をはんだ付けするための製造装置の構成を示す斜視図であり、構成および動作の理解を容易とするために太陽電池素子1およびタブ線15を載置していない状態を図示している。太陽電池モジュールの製造装置100kは、ホットプレート11kを備える。ホットプレート11kの表面は、領域R1kに、タブ線15a(図6参照)の長手方向となるべき方向(ベルト9の進行方向と略平行な方向)に沿って、タブ線15aに対応した幅を有しかつタブ線15aの厚みより浅い溝を有する。
【0064】
本実施の形態では、図6に示す工程において、タブ線溝18kの底面と支え機構13の上面とは、高さが略同一である。はんだ付けポジションのホットプレート11k上において、タブ線15aの後半部15a2(図6参照)と支え機構13および太陽電池素子1の裏面集電電極6とを位置合わせするとともに、太陽電池素子1の集電電極2とはんだ付けされていないタブ線15bの前半部15b1とを位置合わせする。押さえ機構14でタブ線15bの前半部15b1を上から押さえ込んだ際に、タブ線溝18kによってタブ線15aが固定できる。
【0065】
したがって、実施の形態2によれば、タブ線溝18kによってタブ線15aが固定できるため、タブ線15aと裏面集電電極6との接合位置をずれにくくすることができる。
【0066】
実施の形態3.
次に、実施の形態3による太陽電池モジュールの製造装置100nを、図11〜13を用いて説明する。以下では、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
【0067】
図11は、本実施の形態における、太陽電池素子1の互いに対を成す集電電極2と裏面集電電極6とにタブ線15をはんだ付けするための製造装置の構成を示す斜視図であり、構成および動作の理解を容易とするために太陽電池素子1およびタブ線15を載置していない状態を図示している。太陽電池モジュールの製造装置100nでは、図11に示すように、ホットプレート11nを備える。ホットプレート11nは、タブ線用ホットプレート(支え機構、第2のホットプレート)19nとその両側の太陽電池素子用ホットプレート(ホットプレート)20nとに分割される。タブ線用ホットプレート19nは、タブ線15a(図6参照)を下から接触して加熱するように、タブ線15aに対応した幅を有しかつタブ線15aの長手方向となるべき方向に沿って延びている。太陽電池素子用ホットプレート20nは、タブ線用ホットプレート19nの両側をタブ線用ホットプレート19nに沿って延びている。
【0068】
制御部30は、第1の期間に、タブ線用ホットプレート19nの上面と太陽電池素子用ホットプレート20nの表面とによってベルト9と略平行に延びたタブ線溝(第4の溝)が形成されるように制御する。このタブ線溝によってタブ線15aが固定できるため、タブ線15aと裏面集電電極6との接合位置をずれにくくすることができる。
【0069】
ここで、タブ線用ホットプレート19nの幅は、タブ線15a(図6参照)に対応した幅である。それに応じて、タブ線用ホットプレート19nと太陽電池素子用ホットプレート20nとによって形成されるタブ線溝の幅も、タブ線15aに対応した幅である。本タブ線溝の深さは、タブ線15a(図6参照)の厚さより浅い。ベルト9、ホットプレート21、タブ線ガイド12、太陽電池素子用ホットプレート20nのそれぞれの上面位置は略同一高さであり、またホットプレート21、タブ線ガイド12、タブ線用ホットプレート19n、太陽電池素子用ホットプレート20nはそれぞれ下方向にスライドする機能を有している。
【0070】
図12は、太陽電池素子1の集電電極2と裏面集電電極6とのそれぞれにタブ線15をはんだ付けする時の製造装置の状態を示す斜視図であり、図11と同様に構成と動作の理解を容易とするために太陽電池素子1およびタブ線15を載置していない状態を図示している。制御部30(図6参照)は、タブ線15をはんだ付けする際に、図11に示す状態から図12に示す状態になるように、制御を行う。すなわち、制御部30は、次のような制御を行う。タブ線用ホットプレート19nの略同一かつ直上の位置に載置した複数の押さえ機構14が下降してタブ線用ホットプレート19nの上面と押さえ機構14とでタブ線15bと処理対象の太陽電池素子1aとタブ線15aと(図6参照)をはさみ込み固定する。この固定した状態を維持しながら、太陽電池素子用ホットプレート20nが下方向にスライド(移動)することにより、処理対象の太陽電池素子1a及びタブ線15aと太陽電池素子用ホットプレート20nとを非接触の状態にする。すなわち、制御部30は、第2の期間において、押さえ機構14及びタブ線用ホットプレート(支え機構)19nがタブ線15bと処理対象の太陽電池素子1aとタブ線15aとを挟み込んで固定した状態を維持しながら、太陽電池素子用ホットプレート(ホットプレート)20nを第1の位置から第2の位置へ移動させる。これにより、タブ線15bと処理対象の太陽電池素子1aとタブ線15aとは中空状態で保持される点は実施の形態1と同様である。
【0071】
この非接触の状態でタブ線15のはんだ付けを実施した後、押さえ機構14が上昇し、ベルト9の進行方向の最下手に位置するホットプレート21、タブ線ガイド12およびタブ線用ホットプレート19nが下方向に移動してベルト9が所定距離移動する。その後、本製造装置は再び図11に示した状態に戻る。
【0072】
ここで、タブ線用ホットプレート19nは、実施の形態1における支え機構13と同様の機能を有しているとともに、ホットプレートとしての機能も有している。すなわち、図12で示す工程において、処理対象の太陽電池素子1a及びタブ線15a(図7参照)と太陽電池素子用ホットプレート20nとが非接触となった状態で、押さえ機構14の上方より赤外線ランプヒータ16aによって赤外線を照射してタブ線15a,15bにコーティングしたはんだを溶融する際、太陽電池素子1とホットプレート11nとを非接触に近い状態に維持しながら、タブ線用ホットプレート19nによってタブ線15a,15bを補助加熱する。
【0073】
したがって、実施の形態3によれば、太陽電池素子1とホットプレート11nとを非接触に近い状態に維持しながら、タブ線用ホットプレート19nによってタブ線15a,15bを補助加熱するので、太陽電池素子内の温度分布のばらつきを低減しながら、タブ線15a,15bと裏面集電電極6および集電電極2とのはんだ付けを安定して行うことができる。
【0074】
なお、図13は、ホットプレート11pにおけるタブ線用ホットプレート19pの上面を凹形状とした変形例である。すなわち、タブ線用ホットプレート19pの上面は、タブ線15aに対応した幅を有しかつタブ線15aの厚みより浅い第6の溝を有する。この変形例の構成によれば、第6の溝でタブ線15が固定できるため、さらにタブ線15の接合位置がずれにくくなる効果が加わる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上のように、本発明にかかる太陽電池モジュールの製造方法は、太陽電池モジュールの製造に有用であり、特に、複数の太陽電池素子を複数のタブ線で直列に接続する太陽電池モジュールの製造方法に適している。
【符号の説明】
【0076】
1 太陽電池素子
2 集電電極
3 細線電極
4 反射防止膜
5 半導体基板
6 裏面集電電極
7 裏面電極
8 フラックス
9 ベルト
10 ノズル
11,11k,11n,11p ホットプレート
12 タブ線ガイド
12a タブ線溝
13,13i,13j 支え機構
14 押さえ機構
15 タブ線
16 加熱部
17j 溝部
18k タブ線溝
19n,19p タブ線用ホットプレート
20n 太陽電池素子用ホットプレート
21 ホットプレート
30 制御部
90 コンベア
100,100k,100n 製造装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の太陽電池素子が複数のタブ線で直列に接続された太陽電池モジュールを製造するために、前記複数の太陽電池素子を順次に搬送して太陽電池素子にタブ線をはんだで接合する太陽電池モジュールの製造装置であって、
第1のタブ線を間にして処理対象の太陽電池素子を下から支える支え機構と、
第2のタブ線を間にして前記処理対象の太陽電池素子を上から押付ける押さえ機構と、
前記処理対象の太陽電池素子及び前記第1のタブ線に下から接触して加熱するための第1の位置と前記処理対象の太陽電池素子及び前記第1のタブ線に対して非接触になっており前記第1の位置より下方にある第2の位置との間を移動可能であるホットプレートと、
前記第2のタブ線の上方から赤外線を照射することにより、前記第2のタブ線と前記処理対象の太陽電池素子と前記第1のタブ線とを加熱する加熱部と、
第1の期間において、前記ホットプレートが前記第1の位置で前記処理対象の太陽電池素子及び前記第1のタブ線を加熱し、前記第1の期間に続く第2の期間において、前記押さえ機構及び前記支え機構が前記第2のタブ線と前記処理対象の太陽電池素子と前記第1のタブ線とを挟み込んで固定した状態を維持しながら前記ホットプレートを前記第1の位置から前記第2の位置へ移動し、前記第2の期間に続く第3の期間において、前記ホットプレートが前記第2の位置になっている状態で前記加熱部が前記第2のタブ線と前記処理対象の太陽電池素子と前記第1のタブ線とを加熱するように、制御を行う制御部と、
を備えたことを特徴とする太陽電池モジュールの製造装置。
【請求項2】
前記ホットプレートは、前記支え機構が貫通すべき穴を有し、
前記ホットプレートの表面は、前記貫通すべき穴が配された領域に、前記第1のタブ線の長手方向となるべき方向に沿って、前記第1のタブ線に対応した幅を有しかつ前記第1のタブ線の厚みより浅い溝を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュールの製造装置。
【請求項3】
前記第2のタブ線が載置され、前記第2のタブ線の長手方向となるべき方向に沿って前記ホットプレートと並んだタブ線ガイドをさらに備え、
前記タブ線ガイドの表面は、前記第2のタブ線が載置されるべき領域に、前記第2のタブ線の長手方向となるべき方向に沿って、前記第2のタブ線に対応した幅を有しかつ前記第2のタブ線の厚みより浅い第2の溝を有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池モジュールの製造装置。
【請求項4】
前記第1のタブ線が接続された処理後の太陽電池素子が載置され、前記第1のタブ線の長手方向となるべき方向に沿って前記ホットプレートと並んだ第2のホットプレートをさらに備えた
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造装置。
【請求項5】
前記支え機構は、前記第1のタブ線の長手方向となるべき方向に沿って並んだ高さが互いに等しい複数の棒状の構成物を有し、
前記ホットプレートは、前記複数の棒状の構成物が貫通すべき複数の穴を有する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造装置。
【請求項6】
前記複数の棒状の構成物のそれぞれは、
第1の断面積を有し、前記第1のタブ線に接触する接触部と、
第2の断面積を有し、前記接触部に下から接続された棒状部と、
を有し、
前記第1の断面積は、前記第2の断面積より大きい
ことを特徴とする請求項5に記載の太陽電池モジュールの製造装置。
【請求項7】
前記接触部の表面は、前記第1のタブ線の長手方向となるべき方向に沿って、前記第1のタブ線に対応した幅を有しかつ前記第1のタブ線の厚みより浅い第3の溝を有する
ことを特徴とする請求項6に記載の太陽電池モジュールの製造装置。
【請求項8】
前記支え機構は、前記第1のタブ線を下から接触して加熱するように前記第1のタブ線に対応した幅を有しかつ前記第1のタブ線の長手方向となるべき方向に沿って延びた第2のホットプレートであり、
前記ホットプレートは、前記第2のホットプレートの両側を前記第2のホットプレートに沿って延びており、
前記制御部は、前記第1の期間に、前記第2のホットプレートの上面と前記ホットプレートの表面とによって前記第1のタブ線に対応した幅を有しかつ前記第1のタブ線の厚みより浅い第4の溝が形成されるように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュールの製造装置。
【請求項9】
前記第2のホットプレートの上面は、前記第1のタブ線に対応した幅を有しかつ前記第1のタブ線の厚みより浅い第6の溝を有する
ことを特徴とする請求項8に記載の太陽電池モジュールの製造装置。
【請求項10】
前記押さえ機構は、前記第2のタブ線の長手方向となるべき方向に沿って並んだ高さが互いに等しい複数の第2の棒状の構成物を有する
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールの製造装置。
【請求項11】
前記複数の第2の棒状の構成物のそれぞれは、
第3の断面積を有し、前記第2のタブ線に接触する第2の接触部と、
第4の断面積を有し、前記第2の接触部に上から接続された第2の棒状部と、
を有し、
前記第3の断面積は、前記第4の断面積より大きい
ことを特徴とする請求項10に記載の太陽電池モジュールの製造装置。
【請求項12】
前記第2の接触部は、前記第2のタブ線の長手方向となるべき方向に沿って、前記第2のタブ線に対応した幅を有しかつ前記第2のタブ線の厚みより浅い第4の溝を有する
ことを特徴とする請求項11に記載の太陽電池モジュールの製造装置。
【請求項13】
複数の太陽電池素子が複数のタブ線で直列に接続された太陽電池モジュールを製造するために、前記複数の太陽電池素子を順次に搬送して太陽電池素子にタブ線をはんだで接合する太陽電池モジュールの製造方法であって、
ホットプレートが前記処理対象の太陽電池素子及び前記第1のタブ線に下から接触して加熱する第1の工程と、
前記支え機構が第1のタブ線を間にして処理対象の太陽電池素子を下から支えるとともに、押さえ機構が第2のタブ線を間にして前記処理対象の太陽電池素子を上から押さえ付けることにより、前記第2のタブ線と前記処理対象の太陽電池素子と前記第1のタブ線とを挟み込んで固定した状態で、前記ホットプレートを下方向に移動させることにより、前記ホットプレートを前記処理対象の太陽電池素子及び前記第2のタブ線に対して非接触にする第2の工程と、
前記固定した状態かつ前記非接触の状態で、前記第2のタブ線の上方から赤外線を照射して、前記第2のタブ線と前記処理対象の太陽電池素子と前記第1のタブ線とを加熱することにより、前記第2のタブ線を前記処理対象の太陽電池素子へはんだで接合するとともに前記第1のタブ線を前記処理対象の太陽電池素子へはんだで接合する第3の工程と、
を備えたことを特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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