説明

太陽電池封止材用シート

【課題】
本発明は、無色透明性、耐候性、柔軟性に優れ、とりわけ優れた熱分解性を有することで、熱分解により太陽電池用封止材シートを容易に除去可能であり、使用後の太陽電池モジュールから太陽電池素子と表面透明基板を低コストでかつ不純物の少ない状態で取り出すことができる、リサイクル性に極めて優れた太陽電池封止材用シートを提供することを課題とする。
【解決手段】
メタクリル酸エステル単量体単位を有する重合体ブロック(a)とアクリル酸エステル単量体単位を有する重合体ブロック(b)から構成されるアクリル系ブロック共重合体(A)からなる太陽電池用封止材シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池封止材用シートに関し、無色透明性、耐候性、柔軟性に優れ、とりわけ優れた熱分解性を有することで、熱分解により太陽電池用封止材シートを容易に除去可能であり、使用後の太陽電池モジュールから太陽電池素子と表面透明基板を低コストでかつ不純物の少ない状態で取り出すことができる、リサイクル性に極めて優れた太陽電池封止材用シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化防止・環境付加低減の観点から、自然界に存在し繰り返される現象であるエネルギー流を利用した再生可能エネルギーが注目されている。再生可能エネルギーは各国で国家レベルでの普及政策が進められており、その中でも太陽光発電は、今後も成長が期待される環境エネルギー分野の一つである。
【0003】
しかし、太陽電池モジュール自体の価格および設置コストが高いため、太陽光発電がさらなる成長を遂げるには、構成部材のコスト低減や量産効果によるコスト低減が重要である。また、火力・水力・原子力に匹敵する発電効率の向上により、一定規模の大型需要を創出することが必要である。
【0004】
また、太陽光発電が今後大きく成長した場合、成長した分だけ太陽電池モジュールが産業廃棄物として発生することが懸念される。資源循環型経済システムへの転換が社会的に重要な課題となっている状況下において、環境エネルギーの一端を担う太陽光発電が、限りある資源を産業廃棄物として処分することはあってはならない。
【0005】
たとえば、家電製品においては、2001年4月には家電リサイクル法が施行された。家電リサイクル法においては、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機の家電4品目のリサイクルが義務付けられ、また、それぞれの製品の再商品化率については、エアコン60%以上、テレビ55%以上、冷蔵庫50%以上、洗濯機50%以上の法定基準値が定められている。
【0006】
このように、再利用可能な物質のリサイクルやリユースにより消費資源を抑制し、環境負荷の低減が可能なリサイクルシステムの構築が急務であり、リサイクルシステムが可能となる太陽電池モジュールの開発が必要である。
【0007】
太陽電池モジュールには結晶シリコン系、アモルファスシリコン系、CdTe系、CIGS系などが存在するが、その中でも発電効率および製造コストの観点から、多結晶シリコン系やアモルファスシリコン系のようなシリコン系が主流となっている。シリコン系太陽電池モジュールは、受光部表面は強化ガラスのような透明受光基板、背面はバックシート、そして封止材にて発電部であるシリコン素子を封止材にて包み込む形状となっている。
【0008】
これら構成部材の中でも、ガラスなどの透明受光基板およびシリコン素子は、その他部材に比べ耐候性に優れ、長期間の屋外使用においても劣化しないことから、再利用可能な部材である。これら透明受光基板およびシリコン素子の回収には、隣接接着している封止材の除去が不可欠である。
【0009】
封止材を除去し透明受光基板およびシリコン素子を回収する方法としては、大気雰囲気中で焼成して除去する燃焼法、窒素雰囲気等の不活性雰囲気中で温度をあげて分解除去する熱分解法、有機溶剤または硝酸で溶解、膨潤あるいは剥離させる溶媒浸漬法などの処理方法が既に知られている。しかしながら、燃焼法は短時間で回収可能なもののシリコン素子に損傷を与える可能性が高く、また溶媒浸漬法は長時間の浸漬が必要でかつ多量の溶媒を必要とするため環境負荷低減の観点から問題があるため、短時間でかつ回収後のシリコン素子に損傷が少ない、熱分解法による透明受光基板およびシリコン素子の回収が望まれている。
【0010】
多くの太陽電池モジュールには封止材として熱硬化性のEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)シートが用いられている(特許文献1、2)が、EVAシートは架橋構造を有しかつ他部材と強固に結合しているため、その他の太陽電池モジュール部材からの除去が難しく、透明受光基板およびシリコン素子の回収・再利用は極めて困難である。また、モジュール製造時にEVAシートに架橋構造を付与するため、長時間にわたり熱架橋工程が必要となり、太陽電池モジュールの製造コスト削減のため製造サイクルの短縮化が望まれている。
【0011】
EVAシートのような架橋構造を有さない封止材として、カルボン酸、カルボン酸塩及びカルボン酸無水物から選ばれる極性基を有する極性モノマーを含有するエチレン・極性モノマー共重合体であるアイオノマーが特許文献3に開示されているが、熱分解性は十分ではなく、また耐候性に劣るため、紫外線吸収剤などの耐候剤を添加しても、長期間の太陽光下での使用で変色するという問題がある。
【0012】
また、封止材として部分水添した芳香族単量体、ブタジエン、エチレン、ブチレンからなるブロック共重合体が特許文献4に開示されているが、不飽和二重結合がポリマー中に残存しているため耐候性に極めて劣り、紫外線吸収剤などの耐候剤を添加しても、長期間の太陽光下での使用で大きく変色し、また無色透明性および熱分解性も不十分であった。
【0013】
特許文献5には水添率を95%以上として不飽和二重結合を低減した芳香族単量体、エチレン、ブチレンからなるブロック共重合体からなる封止材が開示されているが、完全に不飽和二重結合を除去することは困難なことから、耐候性は不十分であり、耐候剤を添加しても長期間の太陽光下での使用による変色を抑制することはできず、無色透明性および熱分解性も不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開昭58−23870号公報
【特許文献2】特開昭60−226589号公報
【特許文献3】特開2000−186114号公報
【特許文献4】特開平2−504496号公報
【特許文献5】特開2003−502471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、太陽電池封止材用シートに関し、無色透明性、耐候性、柔軟性に優れ、とりわけ優れた熱分解性を有することで、熱分解により太陽電池用封止材シートを容易に除去可能であり、使用後の太陽電池モジュールから太陽電池素子と表面透明基板を低コストでかつ不純物の少ない状態で取り出すことができる、リサイクル性に極めて優れた太陽電池封止材用シートを供給することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、(i)メタクリル酸エステル単量体単位、およびその他共重合可能なビニル単量体単位からなる重合体ブロック(a)と(ii)アクリル酸エステル単量体単位を有する重合体ブロック(b)からなるアクリル系ブロック共重合体(A)を単体、またはアクリル系ブロック共重合体(A)および重合体ブロック(b)と同じ共重合組成を有するアクリル系共重合体(B)を配合することにより、従来の知見では成し得ることができなかった、無色透明性、耐候性、柔軟性に優れ、とりわけ優れた熱分解性を有することで、熱分解により太陽電池用封止材シートを容易に除去可能であり、使用後の太陽電池モジュールから太陽電池素子と表面透明基板を低コストでかつ不純物の少ない状態で取り出すことができる、リサイクル性に極めて優れた太陽電池封止材用シートが得られることを見いだし、本発明に到達した。
【0017】
すなわち、本発明は、
〔1〕(i)メタクリル酸エステル単量体単位を有する重合体ブロック(a)と(ii)アクリル酸エステル単量体単位を有する重合体ブロック(b)から構成されるアクリル系ブロック共重合体(A)を含む太陽電池用封止材シート。
〔2〕前記アクリル系ブロック共重合体(A)が、をアクリル系ブロック共重合体(A)100重量%として、重合体ブロック(a)を20〜50重量、重合体ブロック(b)を50〜80重量%含有することを特徴とする前記〔1〕に記載の太陽電池用封止材シート。
〔3〕加熱した際の重量減少が下記式を満たすことを特徴とする前記〔1〕または〔2〕に記載の太陽電池用封止材シート。
△Wr=(W1−W2)/W1×100>80%
(ここで△Wrは重量減少率(%)であり、常圧の非酸化性雰囲気下で50℃から450℃以上の任意の温度まで昇温速度20℃/分で熱重量分析を行った際に、200℃到達時点の試料重量(W1)を基準とした450℃到達時の試料重量(W2)から求められる値である)。
〔4〕厚み0.5mmのシートにおける引張破断伸度が200%以上であることを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕に記載の太陽電池用封止材シート。
〔5〕厚み0.5mmのシートにおける全光線透過率が90%以上であり、かつヘイズが2.0以下であることを特徴とする前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の太陽電池用封止材シート。
〔6〕前記アクリル系ブロック共重合体(A)の重量平均分子量が、3万〜30万であることを特徴とする前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の太陽電池用封止材シート。
〔7〕前記アクリル系ブロック共重合体(A)が、一般式a−b、または一般式(a−b)−a(nは1以上の整数であり、aは不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体単位を有する重合体ブロック(a)を、bはアクリル酸エステル単位を有する重合体ブロック(b)を示す)で表されることを特徴とする前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の太陽電池用封止材シート。
〔8〕前記〔1〕〜〔7〕のいずれか記載のアクリル系ブロック共重合体(A)およびメタクリル酸エステル単量体単位を有するアクリル系共重合体(B)を配合してなる太陽電池用封止材シート。
〔9〕アクリル系ブロック共重合体(A)およびアクリル系共重合体(B)の合計を100重量%として、アクリル系ブロック共重合体(A)を50〜99重量%、アクリル系共重合体(B)を1〜50重量%配合してなることを特徴とする前記〔8〕に記載の太陽電池用封止材シート。
〔10〕前記重合体ブロック(b)のアクリル酸エステル単量体単位が、アクリル酸n−ブチルおよび/またはアクリル酸エチルであることを特徴とする前記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の太陽電池用封止材シート。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、無色透明性、耐候性、柔軟性に優れ、とりわけ優れた熱分解性を有することで、熱分解により太陽電池用封止材シートを容易に除去可能であり、使用後の太陽電池モジュールから太陽電池素子と表面透明基板を低コストでかつ不純物の少ない状態で取り出すことができる、リサイクル性に極めて優れた太陽電池封止材用シートを提供することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の熱可塑性共重合体組成物について具体的に説明する。
【0020】
<アクリル系ブロック共重合体(A)>
本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)とは、(i)メタクリル酸エステル単量体単位を有する重合体ブロック(a)と(ii)アクリル酸エステル単量体単位を有する重合体ブロック(b)からなるアクリル系ブロック共重合体である。
本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)中の(i)メタクリル酸エステル単量体単位の好ましい具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−へキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸クロロメチル、メタクリル酸2−クロロエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシルメタクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル、およびメタクリル酸ベンジルなどが挙げられ、なかでもメタクリル酸メチルが最も好ましく用いられる。これらはその1種または2種以上を用いることができる。
【0021】
(ii)アクリル酸エステル単位の原料となる単量体の好ましい具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−へキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸クロロメチル、アクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル、アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルおよびアクリル酸ベンジルなどが挙げられ、なかでも柔軟性の観点からアクリル酸n−ブチルが最も好ましく用いられる。これらはその1種または2種以上を用いることができる。
【0022】
本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)を構成する(i)メタクリル酸エステル単量体単位を有する重合体ブロック(a)は、物性を損なわない範囲で(ii)アクリル酸エステル単量体単位を有してもよく、重合体ブロック(a)を100重量%として、(ii)アクリル酸エステル単量体単位を0〜10重量%であることが好ましい。(ii)アクリル酸エステル単量体単位が10重量%よりも高くなると無色透明性が低下する傾向となるため、重合体ブロック(a)を100重量%として、(ii)アクリル酸エステル単量体単位を0〜5重量%であることがより好ましい。
【0023】
本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)を構成する(ii)メタクリル酸エステル単量体単位を有する重合体ブロック(b)は、物性を損なわない範囲で(i)メタクリル酸エステル単量体単位を有してもよく、重合体ブロック(b)を100重量%として、(i)メタクリル酸エステル単量体単位を0〜10重量%であることが好ましい。(i)メタクリル酸エステル単量体単位が10重量%よりも高くなると柔軟性が低下する傾向となるため、重合体ブロック(a)を100重量%として、(i)メタクリル酸エステル単量体単位を0〜5重量%であることがより好ましい。
【0024】
本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)を構成する(i)メタクリル酸エステル単量体単位を有する重合体ブロック(a)および/または(ii)アクリル酸エステル単量体単位を有する重合体ブロック(b)は、各重合体ブロックの特性を損なわない範囲で、(iii)その他共重合可能なビニル単量体単位を有してもよい。
【0025】
本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)を構成する(i)メタクリル酸エステル単量体単位を100重量%として、(iii)その他共重合可能なビニル単量体単位が0〜20重量%であることが好ましい。(iii)その他共重合可能なビニル単量体単位が20重量%よりも高くなると柔軟性および耐候性が低下する傾向となるため、環構造単位を100重量%として、(iii)その他共重合可能なビニル単量体単位が0〜15重量%であり、とりわけ(iii)その他共重合可能なビニル単量体単位が0〜10重量%であることがより好ましい。
【0026】
本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)を構成する重合体ブロック(b)を100重量%として、(ii)アクリル酸エステル単量体単位80〜100重量%、(iii)その他共重合可能なビニル単量体単位0〜20重量%含有することが好ましい。柔軟性の観点から、(ii)アクリル酸エステル単量体単位90重量%以上がより好ましい。
【0027】
(iii)その他共重合可能なビニル系単量体単位の原料となる単量体の好ましい具体例としては特に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−オクテン等のオレフィン系;メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸;酢酸ビニル、ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル;ビニルケトン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン含有単量体;アクリルアミド、メタクリルアミドなどの不飽和アミド;3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのシラン含有単量体などが挙げられ、これらはその1種または2種以上を用いることができる。
【0028】
本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)を構成する(i)メタクリル酸エステル単量体単位を有する重合体ブロック(a)とアクリル酸エステル単量体単位を有する重合体ブロック(b)の比率は、アクリル系ブロック共重合体(A)を100重量%として、重合体ブロック(a)を20〜50重量%、重合体ブロック(b)を20〜40重量%であることが好ましい。重合体ブロック(a)が50重量%より高くなると柔軟性に乏しく、また20重量%よりも低くなると無色透明性が低下する傾向となる。アクリル系ブロック共重合体(A)を単独で用いる場合、好ましくは重合体ブロック(a)を20〜50重量%、重合体ブロック(b)を50〜80重量%であり、とりわけ重合体ブロック(a)を20〜40重量%、重合体ブロック(b)を60〜80重量%であることがより好ましい。また、アクリル系ブロック共重合体(A)を重合体ブロック(a)と同じ共重合組成を有するアクリル系共重合体(B)に配合して用いる場合、好ましくは重合体ブロック(a)を50〜99重量%、重合体ブロック(b)を1〜50重量%であり、とりわけ重合体ブロック(a)を80〜99重量%、重合体ブロック(b)を1〜20重量%であることがより好ましい。
【0029】
本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)の構造が、一般式a−b、または一般式(a−b)−a(nは1以上の整数)であることが好ましい。これらの中でも、無色透明性、柔軟性の観点から、一般式a−b−aで表されるブロック共重合体を含むことが好ましい(一般式中のaは重合体ブロックを(a)、bはアクリル酸エステル単位を有する重合体ブロック(b)を示す)。
【0030】
本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)の製造方法は、特に限定されないが、リビングラジカル重合やリビングアニオン重合などのリビング重合であることが好ましい。
【0031】
リビングラジカル重合は近年盛んに研究がなされており、様々な方法が提唱されている。いずれにおいても、炭素ラジカルの可逆的な生成を制御するものであり、炭素ラジカル発生時にラジカル重合が進行し、炭素ラジカルが捕捉剤にて捕捉されると重合が休止する。この不可逆なラジカルの生成を制御することで、ラジカル同士の停止反応、すなわちラジカル同士の停止反応や、開始剤、溶媒、モノマーなどへの連鎖移動反応を抑制可能となり、ブロック共重合体などの製造が可能となる。
【0032】
リビングラジカル重合の方法例としては、コバルトをラジカル捕捉剤とし、コバルト・ポルフィリン錯体にてラジカルの可逆的な生成を制御する方法、ニトロキシド化合物などの安定ラジカルを捕捉剤とし、熱によりラジカルの可逆的な生成を制御する方法(NMP:Nitroxide Mediated Liiiing Radical Polymerization)、原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)のようなハロゲンを捕捉剤とし、金属錯体の酸化還元反応にてラジカルの可逆的な生成を制御する方法、ジチオエステルのような連鎖移動剤を捕捉剤として、ラジカルの可逆的な生成を制御する方法(可逆的付加開裂連鎖移動:Reiversible Addition Fragmentation Chain Transfer Radical Polymerization)、などを挙げることができる。
【0033】
リビングアニオン重合の方法例としては、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の無機塩の存在下でリビングアニオン重合する方法、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし有機アルミニウム化合物の存在下でリビングアニオン重合する方法、有機希土類金属錯体を重合開始剤として重合する方法などを挙げることができる。
【0034】
上記したリビング重合のなかでも、分子量および組成の制御が容易でかつ高純度なアクリル系ブロック共重合体が得られる、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし有機アルミニウム化合物の存在下でリビングアニオン重合が好ましく用いられる。
【0035】
アクリル系ブロック共重合体(A)における各成分単位の定量には、一般にプロトン核磁気共鳴(H−NMR)測定機やカーボン核磁気共鳴(13C−NMR)測定機が用いられる。H−NMR法では、スペクトルの積分比から共重合体組成を決定することができる。例えば、メタクリル酸メチル単位およびアクリル酸n−ブチル単位からなるアクリル系重合体ブロックの場合、クロロホルム重溶媒中で測定されたスペクトルの帰属は、0.5〜1.5ppmのピークはメタクリル酸メチルおよびアクリル酸n−ブチルのα−メチル基の水素、1.6〜2.1ppmのピークはポリマー主鎖のメチレン基の水素、3.5ppmのピークはメタクリル酸メチルのカルボン酸エステル(−COOCH)の水素、4.2ppmのピークはアクリル酸n−ブチルのカルボン酸エステル(−COOCH2−)の水素であり、これらの積分値から各々の組成を決定できる。
【0036】
アクリル系ブロック共重合体(A)の13C−NMRスペクトルにおいて、例えば、メタクリル酸メチル単位およびアクリル酸n−ブチル単位からなる共重合体の場合、メタクリル酸メチル単位およびアクリル酸n−ブチル単位のカルボニル基のピークは、そのシーケンスとタクティシティーによって、化学シフト174.60〜179.43ppmの範囲に分裂して観測され、これらの積分値から各々の組成を決定できる。
【0037】
本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)は、重量平均分子量が3万〜30万であることが好ましい。重量平均分子量が4万〜30万であることが好ましく、より好ましくは5万〜25万、特に5万〜20万が好ましい。重量平均分子量が、この範囲にあることにより、シートの無色透明性と柔軟性を両立することができる。なお、本発明でいう重量平均分子量とは、多角度光散乱ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC−MALLS)で測定した絶対分子量での重量平均分子量を示す。
【0038】
本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)は、200℃以上での熱分解性が極めて高く、450℃加熱後の重量減少率が、好ましくは80重量%以上であり、とりわけ90重量%以上がより好ましい。なお、ここでいう重量減少率とは、本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)を、常圧の非酸化性雰囲気下で50℃から450℃以上の任意の温度まで昇温速度20℃/分で熱重量分析を行った際の値を下式より算出した値である。
△Wr=(W1−W2)/W1×100
なお、各記号は下記の数値を示す。
△Wr=重量減少率(%)
W1=150℃到達時点の試料重量
W2=400℃到達時の試料重量。
【0039】
本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)は、その全光線透過率が90%以上であり、好ましくは92%以上である。これにより極めて優れた無色透明性を有する。また、全光線透過率の上限としては通常、94%程度である。
【0040】
また、本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)は、無色透明性を表す指標の1つであるヘイズ値(濁度)が、2%以下が好ましく、より好ましくは1%以下である。これにより高度な無色透明性を有する。また、ヘイズ値の下限としては通常、0.5%程度である。
【0041】
なお、上記アクリル系ブロック共重合体(A)の全光線透過率およびヘイズは、いずれもホットプレス法により得た厚さ0.5mmシートを、JIS−K7361およびJIS−K7136に従い測定した値である。
【0042】
本発明で用いるアクリル系ブロック共重合体(A)のYI値(Yellowness Index)の値が5以下であることが好ましく、さらに好ましい態様においては4以下、最も好ましい態様においては、3以下である。これにより、極めて優れた無色性を有するシートを得ることができるため好ましい。なお、ここでいうYI値(Yellowness Index)とは、アクリル系ブロック共重合体(A)をホットプレス法により得た厚さ0.5mmシートをJIS−K7103に従い、SMカラーコンピューター(スガ試験機社製)を用いて測定した値である。
【0043】
本発明で用いるアクリル系ブロック共重合体(A)の耐候性は、ホットプレス法により得た厚さ0.5mmシートを、63℃、50%RHの環境下で紫外線照射(条件100mW/cm)を1000時間行った後の黄変の程度を意味しており、照射前後のYI値の差(△YI値)を測定した。△YIの値が4以下であることが好ましく、さらに好ましい態様においては3以下、最も好ましい態様においては、2以下である。これにより、極めて優れた耐候性を有するシートを得ることができるため好ましい。
【0044】
本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)からなるシートの製造方法には、公知の方法を使用することができる。すなわち、インフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、切削法、流延法、エマルション法、ホットプレス法等の製造方法が使用できる。好ましくは、インフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、キャスト法またはホットプレス法が使用できる。インフレーション法やT−ダイ法による製造法の場合、単軸あるいは二軸押出スクリューのついたエクストルーダ型溶融押出装置等が使用できる。本発明のシートを製造するための溶融押出温度は、好ましくは100〜350℃、より好ましくは100〜250℃である。また、溶融押出装置を使用し溶融混練する場合、着色抑制の観点から、ベントを使用し減圧下での溶融混練あるいは窒素気流下での溶融混練を行うことが好ましい。また、流延法により本発明のシートを製造する場合、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の溶剤が使用可能である。好ましい溶媒は、アセトン、メチルエチルケトン、N−メチルピロリドン等である。該シートは、本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)を前記の1種以上の溶剤に溶かし、その溶液をバーコーター、Tダイ、バー付きTダイ、ダイ・コートなどを用いて、ポリエチレンテレフタレートなどの耐熱シート、スチールベルト、金属箔などの平板または曲板(ロール)上に流延し、溶剤を蒸発除去する乾式法あるいは溶液を凝固液で固化する湿式法等を用いることにより製造できる。
【0045】
かくして得られるシートは、その優れた無色透明性、柔軟性、および耐候性を活かして、太陽電池用封止材シートとして極めて有用である。なお、該アクリル系ブロック共重合体に、さらなる耐候性向上を目的に、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤などの耐候剤を1種又はそれ以上使用してもよい。耐候剤の例として、ヒンダードフェノール系やホスファイト系の酸化防止剤、ヒンダードアミン系の光安定剤、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ−4,4−ジメトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第3ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−第3オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系、フェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレートなどのサリチル酸エステル系のような紫外線吸収剤を例示することができる。
【0046】
<アクリル系共重合体B>
本発明のアクリル系共重合体(B)中を100重量%として、(i)/(iii)=80〜100/0〜20重量%が好ましく、(i)が80重量%を下回る場合、熱分解性および無色透明性に劣るという課題がある。より好ましくは(i)/(iii)=90〜100/0〜10重量%であり、とりわけ(i)/(iii)=95〜100/0〜5重量%が好ましい。
【0047】
なお、(i)はメタクリル酸エステル単量体単位、(iii)はその他共重合可能なビニル単量体単位である。
【0048】
(i)メタクリル酸エステル単量体単位の好ましい具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−へキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸クロロメチル、メタクリル酸2−クロロエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシルメタクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル、およびメタクリル酸ベンジルなどが挙げられ、なかでもメタクリル酸メチルが最も好ましく用いられる。これらはその1種または2種以上を含むことができる。
【0049】
(iii)その他共重合可能なビニル系単量体単位の原料となる単量体の好ましい具体例としては特に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−オクテン等のオレフィン系;メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸;酢酸ビニル、ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル;ビニルケトン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどのハロゲン含有単量体;アクリルアミド、メタクリルアミドなどの不飽和アミドなどが挙げられ、これらはその1種または2種以上を用いることができる。
【0050】
本発明のアクリル系共重合体(B)の重合方法については、ラジカル重合による、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、溶液重合、沈殿重合等の重合法、および塊状懸濁重合のように公知の重合法の組み合わせが好ましく用いられる。
【0051】
本発明のアクリル系共重合体(B)の重合温度については、任意に設定することが可能であるが、中でも、60℃〜160℃の範囲であることが好ましい。
【0052】
本発明のアクリル系共重合体(B)の重合時間は、目標とする重合率、重合温度、開始剤の種類・使用量によって決定されるが、60〜420時間の範囲が好ましく、より好ましくは60〜360時間である。この範囲にすることにより、重合制御が安定するとともに、品質の高いアクリル系共重合体(B)を製造することができる。
【0053】
本発明のアクリル系共重合体(B)は、重量平均分子量が3万〜30万であることが好ましく、より好ましくは5万〜25万、特に5万〜20万が好ましい。重量平均分子量が、YI値の小さい重合体を得ることができるとともに、シートの機械的強度も高くすることができる。なお、本発明でいう重量平均分子量とは、多角度光散乱ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC−MALLS)で測定した絶対分子量での重量平均分子量を示す。
【0054】
本発明のアクリル系共重合体(B)の分子量制御方法については、例えば、アゾ化合物、過酸化物等のラジカル重合開始剤の添加量、あるいはアルキルメルカプタン、四塩化炭素、四臭化炭素、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、トリエチルアミン等の連鎖移動剤の添加量等により、制御することができる。特に、重合の安定性、取り扱いの容易さ等から、連鎖移動剤であるアルキルメルカプタンの添加量を制御する方法が好ましく使用することができる。
【0055】
前記アルキルメルカプタンとしては、例えば、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン、3−メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシル等が挙げられ、なかでもt−ドデシルメルカプタンまたはn−ドデシルメルカプタン、3−メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシルが好ましく用いられる。
【0056】
前記アルキルメルカプタンの添加量としては、好ましい分子量に制御するために、単量体混合物の全量100重量部に対して、0.2〜5.0重量部が好ましく、より好ましくは0.3〜4.0重量部、さらに好ましくは0.4〜3.0重量部である。
【0057】
<共重合体組成物>
本発明の共重合体組成物とは、(i)メタクリル酸エステル単量体単位を有する重合体ブロック(a)とアクリル酸エステル単量体単位を有する重合体ブロック(b)からなるアクリル系ブロック共重合体(A)、および(i)メタクリル酸エステル単量体単位を有するアクリル系共重合体(B)からなる共重合体組成物である。
【0058】
本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)の重合体ブロック(b)およびアクリル系共重合体(B)の(i)メタクリル酸エステル単量体単位の合計を100重量%として、アクリル系ブロック共重合体(A)のブロック重合体(b)およびアクリル系共重合体(B)の(iii)その他共重合可能なビニル単量体単位の合計が0〜20重量%であることが好ましい。(iii)その他共重合可能なビニル単量体単位が20重量%よりも高くなると耐候性および熱分解性が低下する傾向となる。より好ましくは、(i)メタクリル酸エステル単量体単位を100重量%として、(iii)その他共重合可能なビニル単量体単位が0〜15重量%であり、とりわけ(iii)その他共重合可能なビニル単量体単位が0〜10重量%であることがより好ましい。
【0059】
本発明の熱可塑性共重合体組成物の構成比率が、共重合体組成物を100重量%として、アクリル系ブロック共重合体(A)を50〜99重量%、アクリル系共重合体(B)を1〜50重量%含有することが好ましく、より好ましくはアクリル系ブロック共重合体(A)が70〜99重量%、アクリル系共重合体(B)を1〜30重量%である。アクリル系ブロック共重合体(A)が50重量%よりも低いと柔軟性が低下する傾向となる。
【0060】
本発明の共重合体組成物は、200℃以上での熱分解性が極めて高く、450℃加熱後の重量減少率が、好ましくは80重量%以上であり、とりわけ90重量%以上がより好ましい。なお、ここでいう重量減少率とは、本発明の共重合体組成物を、常圧の非酸化性雰囲気下で50℃から450℃以上の任意の温度まで昇温速度20℃/分で熱重量分析を行った際の値を下式より算出した値である。
△Wr=(W1−W2)/W1×100
なお、各記号は下記の数値を示す。
△Wr=重量減少率(%)
W1=150℃到達時点の試料重量
W2=400℃到達時の試料重量。
【0061】
本発明の共重合体組成物は、その全光線透過率が90%以上であり、好ましくは92%以上である。これにより極めて優れた無色透明性を有する。また、全光線透過率の上限としては通常、94%程度である。
【0062】
また、本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)は、無色透明性を表す指標の1つであるヘイズ値(濁度)が、2%以下が好ましく、より好ましくは1%以下である。これにより高度な無色透明性を有する。また、ヘイズ値の下限としては通常、0.5%程度である。
【0063】
なお、上記アクリル系ブロック共重合体(A)の全光線透過率およびヘイズは、いずれもホットプレス法により得た厚さ0.5mmシートを、JIS−K7361およびJIS−K7136に従い測定した値である。
【0064】
本発明で用いる共重合体組成物のYI値(Yellowness Index)の値が5以下であることが好ましく、さらに好ましい態様においては4以下、最も好ましい態様においては、3以下である。これにより、極めて優れた無色性を有するシートを得ることができるため好ましい。なお、ここでいうYI値(Yellowness Index)とは、共重合体組成物をホットプレス法により得た厚さ0.5mmシートをJIS−K7103に従い、SMカラーコンピューター(スガ試験機社製)を用いて測定した値である。
【0065】
本発明で用いる共重合体組成物の耐候性は、ホットプレス法により得た厚さ0.5mmシートを、63℃、50%RHの環境下で紫外線照射(条件100mW/cm)を1000時間行った後の黄変の程度を意味しており、照射前後のYI値の差(△YI値)を測定した。△YIの値が4以下であることが好ましく、さらに好ましい態様においては3以下、最も好ましい態様においては、2以下である。これにより、極めて優れた耐候性を有するシートを得ることができるため好ましい。
【0066】
アクリル系ブロック共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)を配合する方法としては、予めブレンドした後、通常100〜250℃において、一軸または二軸押出機により均一に溶融混練する方法が好ましく用いられる。また、(A)、(B)成分の両者を溶解する溶媒の溶液中で混合した後に溶媒を除く方法も用いることができる。
【0067】
本発明の共重合体組成物からなるシートの製造方法には、公知の方法を使用することができる。すなわち、インフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、切削法、流延法、エマルション法、ホットプレス法等の製造方法が使用できる。好ましくは、インフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、キャスト法またはホットプレス法が使用できる。
【0068】
インフレーション法やT−ダイ法による製造法の場合、単軸あるいは二軸押出スクリューのついたエクストルーダ型溶融押出装置等が使用できる。本発明のシートを製造するための溶融押出温度は、好ましくは100〜350℃、より好ましくは100〜250℃である。また、溶融押出装置を使用し溶融混練する場合、着色抑制の観点から、ベントを使用し減圧下での溶融混練あるいは窒素気流下での溶融混練を行うことが好ましい。また、流延法により本発明のシートを製造する場合、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の溶剤が使用可能である。好ましい溶媒は、アセトン、メチルエチルケトン、N−メチルピロリドン等である。該シートは、本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)を前記の1種以上の溶剤に溶かし、その溶液をバーコーター、Tダイ、バー付きTダイ、ダイ・コートなどを用いて、ポリエチレンテレフタレートなどの耐熱シート、スチールベルト、金属箔などの平板または曲板(ロール)上に流延し、溶剤を蒸発除去する乾式法あるいは溶液を凝固液で固化する湿式法等を用いることにより製造できる。
【0069】
かくして得られるシートは、その優れた無色透明性、柔軟性、および耐候性を活かして、太陽電池用封止材シートとして極めて有用である。なお、該共重合体組成物に、さらなる耐候性向上を目的に、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤などの耐候剤を1種又はそれ以上使用してもよい。耐候剤の例として、ヒンダードフェノール系やホスファイト系の酸化防止剤、ヒンダードアミン系の光安定剤、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ−4,4−ジメトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第3ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−第3オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系、フェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレートなどのサリチル酸エステル系のような紫外線吸収剤を例示することができる。
【実施例】
【0070】
以下、実施例により本発明の構成、効果をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は下記実施例に限定されるものではない。各実施例の記述に先立ち、実施例で使用した各種物性の測定方法を記載する。
【0071】
(1)重量平均分子量
アクリル系ブロック共重合体(A)およびアクリル系共重合体(B)10mgをテトラヒドロフラン2gに溶解して、測定サンプルとした。テトラヒドロフランを溶媒として、DAWN−DSP型多角度光散乱光度計(Wyatt Technology社製)を備えたゲルパーミエーションクロマトグラフ(ポンプ:515型,Waters社製、カラム:TSK−gel−GMHXL,東ソー社製)を用いて、重量平均分子量および分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)を測定した。
【0072】
(2)組成の分析方法
得られたアクリル系ブロック共重合体(A)およびアクリル系共重合体(B)を20mg/0.75gの濃度でそれぞれ重クロロホルムに溶解させ、Varian社製、UNITY INOVA500型NMR測定機を用いて、測定核1H、基準としてTMSを用い、積算回数16回として、温度15℃にて各々測定を行った。1H−NMRスペクトルにおいて、メタクリル酸メチルのカルボン酸エステル(−COOCH)の水素のピークは化学シフト3.5ppmに観察され、アクリル酸n−ブチルのカルボン酸エステル(−COOCH2−)の水素のピークは4.2ppmに観察され、これら積分値よりメタクリル酸メチルとアクリル酸n−ブチルの比率を計算し組成を決定した。
【0073】
(3)無色透明性(全光線透過率、ヘイズ)
本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)および共重合体組成物を、140℃設定ホットプレス機にて、厚み0.5mmのシートを得た。東洋精機(株)製直読ヘイズメーターを用いて、得られた成形品の23℃での全光線透過率(%)、ヘイズ(曇度)(%)を測定し、無色透明性を評価した。
【0074】
(4)柔軟性(引張破断伸度)
本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)および共重合体組成物を、140℃設定ホットプレス機にて、厚み0.5mmのシートを得た。得られたシートからASTM−1号ダンベルを打ち抜いて試験片を作成し、JIS K−7113に従い、引張破断伸度を測定した。
【0075】
(5)着色度(YI値(Yellowness Index))
本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)および共重合体組成物を、140℃設定ホットプレス機にて、厚み0.5mmのシートを得た。得られたシートをJIS−K7103に従い、SMカラーコンピューター(スガ試験機社製)を用いて測定した値である。
【0076】
(6)耐候性(△YI値)
本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)および共重合体組成物を、140℃設定ホットプレス機にて、厚み0.5mmのシートを得た。得られたシートを63℃、50%RHの環境下で紫外線照射(条件100mW/cm)を1000時間行い、JIS−K7103に従い、SMカラーコンピューター(スガ試験機社製)を用いて照射前後のYI値の差(△YI値)を測定した。
【0077】
(7)熱分解性(重量減少率)
本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)および共重合体組成物を、熱重量分析機(パーキンエルマー社製TGA7)を用いて、常圧の窒素雰囲気下で50℃から450℃以上の任意の温度まで昇温速度20℃/分で熱重量分析を行い、重量減少率を下式より算出した値である。
△Wr=(W1−W2)/W1×100
なお、各記号は下記の数値を示す。
△Wr=重量減少率(%)
W1=150℃到達時点の試料重量
W2=400℃到達時の試料重量。
【0078】
<実施例1 アクリル系ブロック共重合体(A−1)>
三方コックを取り付けた2Lの三口フラスコに磁石を封入しテフロン(登録商標)等でコーティングした攪拌子を投入し、ドライヤーで炙りながら真空ポンプにて脱気したのち、アルゴンガスにて置換する作業を3回繰り返し、フラスコ内の水分の除去を行った。該三口フラスコにトルエン600g、1,2−ジメトキシエタン56g、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム16.8mmol、およびsec−ブチルリチウム3.2mmolを加え、窒素雰囲気下で10分間マグネチックスターラーにて撹拌を行った。その後、メタクリル酸メチル32gを加え、室温下にて90分重合反応を行った(第一ブロック)。引き続き、重合液の内部温度を−40℃に設定し、あらかじめ−40℃に冷却したアクリル酸n−ブチル260gを360分かけて連続滴下した(第二ブロック)。さらに引き続き、メタクリル酸メチル32gを加えて重合液の内部温度を常温に戻し、600分撹拌を継続し重合反応を行った(第三ブロック)。この重合液を15Lのメタノール中に投入し、重合停止とともにポリマーの再沈殿を行った。再沈殿後のポリマーを回収し、60℃設定真空乾燥機にて一昼夜乾燥を行うことで、アクリル系ブロック共重合体(A−1)を得た。
【0079】
得られたアクリル系ブロック共重合体(A−1)のGPCを測定した結果、重量平均分子量=91,000、分子量分布=1.26であった。さらに、1H−NMRにて組成分析を行った結果、メタクリル酸メチル重合体(PMMA)=22重量%であり、アクリル酸n−ブチル重合体(PnBA)=78重量%であった。これらのことから、アクリル系ブロック共重合体(A−1)は、PMMA(11重量%)−PnBA(78重量%)−PMMA(11重量%)のトリブロック共重合体であることが判明した。
【0080】
得られたアクリル系ブロック共重合体(A−1)を140℃設定ホットプレス機にて厚さ0.5mmのシートに成形した。上記で得たシートについて、評価結果を表1に示す。
【0081】
<実施例2 アクリル系ブロック共重合体(A−2)>
アクリル酸n−ブチルの仕込み量を136gに変更する以外は、実施例1と同様にして、アクリル系ブロック共重合体(A−2)を得た。得られたアクリル系ブロック共重合体(A−1)のGPCを測定した結果、重量平均分子量=81,000、分子量分布=1.21であった。さらに、1H−NMRにて組成分析を行った結果、メタクリル酸メチル重合体(PMMA)=30重量%であり、アクリル酸n−ブチル重合体(PnBA)=70重量%であった。これらのことから、アクリル系ブロック共重合体(A−2)は、PMMA(15重量%)−PnBA(70重量%)−PMMA(15重量%)のトリブロック共重合体であることが判明した。
【0082】
得られたアクリル系ブロック共重合体(A−2)を140℃設定ホットプレス機にて厚さ0.5mmのシートに成形した。上記で得たシートについて、評価結果を表1に示す。
【0083】
<実施例3 アクリル系ブロック共重合体(A−3)>
第一ブロックのメタクリル酸メチルの仕込み量を64g、第二ブロックのアクリル酸n−ブチルの仕込み量を110g、第三ブロックのメタクリル酸メチルの仕込み量を64gに変更する以外は、実施例1と同様にして、アクリル系ブロック共重合体(A−3)を得た。得られたアクリル系ブロック共重合体(A−3)のGPCを測定した結果、重量平均分子量=82,000、分子量分布=1.28であった。さらに、1H−NMRにて組成分析を行った結果、メタクリル酸メチル重合体(PMMA)=55重量%であり、アクリル酸n−ブチル重合体(PnBA)=45重量%であった。これらのことから、アクリル系ブロック共重合体(A−3)は、PMMA(27.5重量%)−PnBA(45重量%)−PMMA(27.5重量%)のトリブロック共重合体であることが判明した。
【0084】
得られたアクリル系ブロック共重合体(A−3)を140℃設定ホットプレス機にて厚さ0.5mmのシートに成形した。上記で得たシートについて、評価結果を表1に示す。
【0085】
<実施例4 共重合体組成物(C―1)>
容量が20リットルで、ダブルヘリカル型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、下記処方の単量体混合物を供給し、50rpmで撹拌しながら、20L/分の窒素ガスで15分間バブリングした後、内温を80℃に制御し、5時間にわたり溶液重合を行った。その後、得られた共重合体溶液を、n−ヘキサンにより再沈殿させ、沈殿した共重合体を80℃で12時間真空乾燥することにより、アクリル系共重合体(B−1)を得た。
メタクリル酸メチル 100重量部
トルエン 100重量部
ラウリルパーオキサイド 0.64重量部
n−ドデシルメルカプタン 0.3重量部。
【0086】
得られたアクリル系共重合体(B−1)の重量平均分子量は8.7万であった。次に、トルエン450gにアクリル系共重合体(B−1)5gとアクリル系ブロック共重合体(A−1)45gを投入し、混合溶液を作製した。混合溶液を2Lのヘキサン中に投入することで再沈殿を行い、再沈殿後のポリマーを60℃設定真空乾燥機にて一昼夜乾燥することで、共重合体組成物(C−1)を得た。
【0087】
得られた共重合体組成物(C−1)を140℃設定ホットプレス機にて厚さ0.5mmのシートに成形した。上記で得たシートについて、評価結果を表1に示す。
【0088】
<実施例5 共重合体組成物(C−2)>
トルエン450gにアクリル系共重合体(B−1)を30gとアクリル系ブロック共重合体(A−1)20gを投入する以外は、実施例4と同様にして、共重合体組成物(C−2)を得た。
【0089】
得られた共重合体組成物(C−2)を140℃設定ホットプレス機にて厚さ0.5mmのシートに成形した。上記で得たシートについて、評価結果を表1に示す。
【0090】
<比較例1>
酢酸ビニル共重合量が28重量%のEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体:「ウルトラセン(登録商標)710」(東ソー社製))100重量部に対して、架橋剤として2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン1.4重量部、シランカップリング剤としてγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.0重量部、紫外線吸収剤として2−ヒドロキシ−4−n−オクチルベンゾフェノン0.3重量部、光安定剤としてビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート0.1重量部、酸化防止剤としてトリス(ノニルフェニル)ホスファイト0.2重量部をドライブレンドした後、ラボプラストミル(東洋精機製作所製、50C150型)にて100℃にて10分間溶融混練を行うことで、熱硬化性EVAを得た。得られた熱硬化性EVAを100℃設定ホットプレス機にて厚さ0.5mmのシートに成形した後、155℃設定ホットプレスにて30分間架橋反応を行い、架橋構造を有するEVAシートを作製した。上記で得たシートについて、評価結果を表1に示す。
【0091】
<比較例2>
アクリル系ブロック共重合体の替わりに芳香族系ブロック共重合体(「クレイトン(登録商標)G1726」(クレイトンポリマー社製))を用い、140℃設定ホットプレス機にて厚さ0.5mmのシートを成形した。上記で得たシートについて、評価結果を表1に示す。
【0092】
<比較例3>
アクリル系ブロック共重合体の替わりにアイオノマー(「ハイミラン(登録商標)1706」(三井・デュポンポリケミカル社製))を用い、140℃設定ホットプレス機にて厚さ0.5mmのシートを成形した。上記で得たシートについて、評価結果を表1に示す。
【0093】
【表1】

【0094】
実施例1〜5および比較例1〜3の結果より、本発明のアクリル系ブロック共重合体(A)およびアクリル系ブロック共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)を配合した共重合体組成物から得られるシートは高度な透明性、耐候性などの特性を有すると同時に、高い熱分解性を有することからリサイクル性に優れており、太陽電池封止材用シートとして用いることができることがわかる。
【0095】
アクリル系ブロック共重合体(A)を単体で使用した場合、中の重合体ブロック(b)の含有量が50重量%より小さくなると、透明性、耐候性、熱分解性には優れるものの、柔軟性に劣ることがわかる(実施例3)。
【0096】
アクリル系ブロック共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)を配合した共重合体組成物を使用した場合、アクリル系ブロック共重合体(A)の含有量が50重量%より小さくなると、透明性、耐候性、熱分解性には優れるものの、柔軟性に劣ることがわかる(実施例5)。
【0097】
アクリル系ブロック共重合体(A)またはアクリル系ブロック共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)を配合した共重合体組成物の替わりに架橋構造を有するEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)を用いた場合、透明性、柔軟性は優れるものの、架橋構造を有しているため熱分解性が低く、リサイクル性に劣ることがわかる(比較例1)。
【0098】
アクリル系ブロック共重合体(A)またはアクリル系ブロック共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)を配合した共重合体組成物の替わりに芳香族系ブロック共重合体を用いた場合、柔軟性は優れるものの、耐候性は極めて悪く、透明性および熱分解性に関しても劣ることがわかる(比較例2)。
【0099】
アクリル系ブロック共重合体(A)またはアクリル系ブロック共重合体(A)とアクリル系共重合体(B)を配合した共重合体組成物の替わりにアイオノマーを用いた場合、透明性、柔軟性には優れるものの、耐候性および熱分解性が不十分であることがわかる(比較例3)。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明により、透明性、耐候性、柔軟性に優れ、とりわけ優れた熱分解性を有することで、熱分解により太陽電池封止材用シートを容易に除去可能であり、使用後の太陽電池モジュールから太陽電池素子と表面透明基板を低コストでかつ不純物の少ない状態で取り出すことができる、リサイクル性に極めて優れた太陽電池用封止材シートを得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)メタクリル酸エステル単量体単位を有する重合体ブロック(a)と(ii)アクリル酸エステル単量体単位を有する重合体ブロック(b)から構成されるアクリル系ブロック共重合体(A)を含む太陽電池用封止材シート。
【請求項2】
前記アクリル系ブロック共重合体(A)が、アクリル系ブロック共重合体(A)を100重量%として、重合体ブロック(a)を20〜50重量、重合体ブロック(b)を50〜80重量%含有することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池用封止材シート。
【請求項3】
加熱した際の重量減少が下記式を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池用封止材シート。
△Wr=(W1−W2)/W1×100>80%
(ここで△Wrは重量減少率(%)であり、常圧の非酸化性雰囲気下で50℃から450℃以上の任意の温度まで昇温速度20℃/分で熱重量分析を行った際に、200℃到達時点の試料重量(W1)を基準とした450℃到達時の試料重量(W2)から求められる値である)。
【請求項4】
厚み0.5mmのシートにおける引張破断伸度が200%以上であることを特徴とする請求項1〜3に記載の太陽電池用封止材シート。
【請求項5】
厚み0.5mmのシートにおける全光線透過率が90%以上であり、かつヘイズが2.0以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池用封止材シート。
【請求項6】
前記アクリル系ブロック共重合体(A)の重量平均分子量が、3万〜30万であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の太陽電池用封止材シート。
【請求項7】
前記アクリル系ブロック共重合体(A)が、一般式a−b、または一般式(a−b)−a(nは1以上の整数であり、aは不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体単位を有する重合体ブロック(a)を、bはアクリル酸エステル単位を有する重合体ブロック(b)を示す)で表されることを特徴とする実施例1〜6のいずれかに記載の太陽電池用封止材シート。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか記載のアクリル系ブロック共重合体(A)およびメタクリル酸エステル単量体単位を有するアクリル系共重合体(B)を配合してなる太陽電池用封止材シート。
【請求項9】
アクリル系ブロック共重合体(A)およびアクリル系共重合体(B)の合計を100重量%として、アクリル系ブロック共重合体(A)を50〜99重量%、アクリル系共重合体(B)を1〜50重量%配合してなることを特徴とする請求項8に記載の太陽電池用封止材シート。
【請求項10】
前記重合体ブロック(b)のアクリル酸エステル単量体単位が、アクリル酸n−ブチルおよび/またはアクリル酸エチルであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の太陽電池用封止材シート。

【公開番号】特開2011−153243(P2011−153243A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16365(P2010−16365)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】