説明

太陽電池照明装置

【課題】照明装置周辺の明るさに応じて照明部の明るさを制御することによって、照明装置周辺の視認性を確保するとともに、消費電力の低減が可能な太陽電池照明装置を提供することである。
【解決手段】太陽電池照明装置10は、太陽電池101と、太陽電池101により発電された電力によって充電される蓄電池103と、蓄電池103から供給される電力で点灯する照明部105とを有し、太陽電池照明装置10周辺の画像を撮影する撮像部108と、撮像部108で撮影した画像から太陽電池照明装置10周辺の相対的な明るさを検出する輝度検出部109と、輝度検出部109の出力が所定の範囲内に入るように照明部105の照度を制御する照明制御部107とを備えた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昼間に太陽電池により発電された電力によって蓄電池を充電し、夜間に蓄電池の電力を使って照明を行う太陽電池照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化の原因となるCO2を出さないクリーンな発電装置として太陽電池が脚光を浴びており、住宅の屋根に設置する太陽光発電システム以外にも、街路灯や常夜灯などの照明装置の電源として導入が進んでいる。
【0003】
照明装置の中には商用交流電源で点灯するものもあるが、太陽電池を搭載した照明装置は、昼間太陽電池によって蓄電池を充電しておき、夜間は照明を点灯するための電源を蓄電池から供給する独立電源システムであることから、外部からの電源配線が不要であり、地中配線が難しい所にも設置できるという利点がある。
【0004】
しかしながら、太陽電池を搭載した照明装置では、蓄電池の残量が減少すると照明部の点灯状態を維持できなくなるため、照明部の消費電力を抑えて蓄電池の放電量を低減する必要がある。
【0005】
このため、照明部の光源として、白熱灯や蛍光灯に代わって、消費電力の少ないLEDが採用されるようになった。さらに、LEDは水銀を含んでおらず、熱線や紫外線もほとんど発生しないため、地球環境に配慮した光源としても注目されている。
【0006】
例えば、特許文献1には、日没直後は照明部を低照度で点灯させ、日没から一定時間経過後に通常照度に切り替え、さらに、一定時間経過後の夜更けに照明部を再び低照度に切り換えることで消費電力を低減する照明装置が提案されている。
【特許文献1】特開2006−244711号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の照明装置では、日没からの経過時間に応じて照明部の照度を調節するようにしているが、季節やその日の天候によって、日没直後でも真っ暗になる場合がある。そして、人通りの多い日没直後に照明部を低照度で点灯させると、足元が暗くて周囲の様子が視認し難くなる。
【0008】
逆に、日没から一定時間が経過した後でも、満月の夜は月の明かりがあるため、照明部を通常照度に切り換えなくても、十分な明るさが得られる場合があり、この場合、余分な電力を消費することになる。
【0009】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、照明装置周辺の明るさに応じて照明部の明るさを制御することによって、照明装置周辺の視認性を確保するとともに、消費電力の低減が可能な太陽電池照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、太陽電池と、該太陽電池により発電された電力によって充電される蓄電池と、該蓄電池から供給される電力で点灯する照明部とを有する太陽電池照明装置において、本太陽電池照明装置周辺の画像を撮影する撮像部と、該撮像部で撮影した画像から本太陽電池照明装置周辺の相対的な明るさを検出する輝度検出部と、該輝度検出部の出力が所定の範囲内に入るように前記照明部の照度を制御する照明制御部とを備えたことを特徴とする。
【0011】
この構成によると、撮像部で撮影した画像から、輝度検出部で太陽電池照明装置周辺の相対的な明るさを検出し、その検出値が予め決められた所定の範囲内に入るように、照明制御部は照明部の照度を制御する。
【0012】
上記の太陽電池照明装置において、異常を報知するための報知部を備え、夜間に、前記照明部を最大照度状態で点灯したときの画像と前記照明部を消灯したときの画像とを前記撮像部で撮影し、両画像から測定した相対的な明るさの差が所定の閾値以下になった場合、本太陽電池照明装置に異常があると判定し、前記報知部で異常を報知するという異常検出報知動作を行うことが望ましい。
【0013】
この構成によると、撮像部で撮影した画像から太陽電池照明装置の異常を判定し、異常を報知する報知部を備えることにより、照明に異常があった場合、速やかに適切な措置、例えば、照明部の清掃による照度の回復等の処置が実施可能となるので、照明装置周辺で必要となる明るさを確保することができる。また、照度の回復によって、照明部での余分な電力消費を防止することができる。
【0014】
また上記の太陽電池照明装置において、本太陽電池照明装置周辺に人がいるかどうかを判別する人検出部を備え、夜間に本太陽電池照明装置周辺に人がいない場合に前記異常検出報知動作を行うことが望ましい。
【0015】
この構成によると、人検出部で太陽電池照明装置周辺に人がいるかどうかを検知し、人がいない場合にのみ、異常検出報知動作を実施することによって、歩行者に不快な思いをさせずに、太陽電池照明装置の異常を検知することができる。
【0016】
また上記の太陽電池照明装置において、夜間に、前記照明部を消灯したときの画像と、前記照明部を最小照度状態で点灯したときの画像と、前記照明部を最大照度状態で点灯したときの画像とを前記撮像部で撮影し、前記輝度検出部で検出される太陽電池照明装置周辺の相対的な明るさから、前記照明制御部で実施する前記照明部の明るさの制御範囲を決定するという照度範囲決定動作を行うことが望ましい。
【0017】
この構成によると、夜間に、照明部を消灯した場合、最小照度状態で点灯した場合および最大照度状態で点灯した場合の輝度検出値から、照明部の照度を制御する際に基準となる上限設定値および下限設定値を補正するので、照明部の経年変化に対応することができる。
【0018】
また上記の太陽電池照明装置において、本太陽電池照明装置周辺に人がいるかどうかを判別する人検出部を備え、夜間に本太陽電池照明装置周辺に人がいない場合に前記照度範囲決定動作を行うことが望ましい。
【0019】
この構成によると、人検出部で太陽電池照明装置周辺に人がいるかどうかを検知し、人がいない場合にのみ、照度範囲決定動作を実施することによって、歩行者に不快な思いをさせずに、照度を制御する際に基準となる設定値を補正することができる。
【0020】
また上記の太陽電池照明装置において、前記撮像部で撮像した画像から輪郭信号を検出して記録する機能と、既に記録されている輪郭信号と新たに検出した輪郭信号を比較して輪郭の増減を検出する機能とを有する輪郭処理部を備え、前記照明制御部は前記輪郭処理部の出力によって前記撮像部の光学系の汚れを判断することが望ましい。
【0021】
この構成によると、輪郭信号の減少を検知することによって、撮像部の光学系の汚れを検出することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、撮像部で撮影した画像から、輝度検出部で太陽電池照明装置周辺の相対的な明るさを検出し、その検出値が予め決められた所定の範囲内に入るように、照明制御部は照明部の照度を制御するようにしているので、太陽電池照明装置周辺の視認性を確保できるとともに、余分な電力の消費を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細を説明する。なお、以下の説明では、同一のまたは相当する部品には同一の符号を付しており、それらの名称および機能は同様であるので、それらの詳細な説明は繰返さない。
【0024】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態における太陽電池照明装置10の概略構成を示すブロック図である。太陽電池照明装置10は、太陽電池101と、太陽電池101に接続された充電制御部102と、充電制御部102に接続された蓄電池103と、充電制御部102に接続された照明電源部104と、照明電源部104に接続された照明部105と、充電制御部102に接続されたDC−DCコンバータ106と、充電制御部102及び照明電源部104に接続された照明制御部107と、照明制御部107に接続された撮像部108と、照明制御部107及び撮像部108に接続された輝度検出部109とを備えている。また、DC−DCコンバータ106は、照明制御部107、撮像部108及び輝度検出部109に接続されている。
【0025】
昼間、太陽電池101で発電される電力は、充電制御部102を経由して、蓄電池103を充電する。また、蓄電池103に蓄積された電力は、夜間、充電制御部102を経由して、照明電源部104に供給される。照明電源部104は、デューティ制御された駆動電流を照明部105に供給する。なお、本実施の形態では、照明部105としてLED照明が使用される場合について説明するが、これに限定されず、蛍光灯など他の照明を用いてもよい。
【0026】
充電制御部102は、照明電源部104以外に、DC−DCコンバータ106にも電力を供給する。DC−DCコンバータ106は、充電制御部102の出力電圧を、太陽電池照明装置10の制御を行う照明制御部107、撮像部108、輝度検出部109で必要な電圧に変換する。
【0027】
日没によって太陽電池101の出力電圧が基準電圧より低くなると、充電制御部102は、その出力電圧の低下検知信号を照明制御部107に送信する。照明制御部107は、充電制御部102に対して、蓄電池103に蓄積された電力を照明電源部104に供給するように指示する制御信号を送信する。また、照明制御部107は、照明電源部104に対して、照明部105のLED照明に供給する駆動電流のデューティ幅を指示する制御信号を送信する。この結果、照明部105の明るさが照明制御部107によって制御される。
【0028】
なお、照明点灯の判断は、太陽電池101の出力電圧の低下だけでなく、例えば照明制御部107に時計機能を内蔵させ、時間が昼間であるか、夜間であるかを判定条件に追加することで行ってもよい。また、照度センサ(図示せず)で検知した明るさ、又は撮像部108で撮影した太陽電池照明装置10周辺の相対的な明るさを判定条件に加えてもよい。
【0029】
撮像部108は太陽電池照明装置10周辺の画像を撮影するものである。撮像部108の撮像素子には低消費電力化や小型化の容易なCMOSセンサが好適に使用される。撮影時のフレームレート、電子シャッター速度、AGC(Automatic Gain Control)アンプのゲイン等の撮影条件は、照明制御部107で制御される。
【0030】
輝度検出部109は、太陽電池照明装置10周辺の相対的な明るさを検出するために、撮像部108で撮影した画像から輝度信号の平均値を算出する。この値は、太陽電池照明装置10周辺の明るさに比例し、明るさが明るいほど大きな値となる。なお、この平均値を求める範囲は、撮像部で撮像される全画面に対して均一な重みで求めてもよいし、太陽電池照明装置10に近い中心付近と遠い周辺部分で重み付けを変える方法を採用してもよい。
【0031】
照明制御部107は、輝度検出部109から出力される輝度信号の平均値が、予め決められた所定の範囲内に入るように、照明電源部104から照明部105に供給される駆動電流のデューティ幅を制御する。例えば、輝度信号の平均値が予め決められた所定範囲より大きい場合は、デューティ幅を狭くして、照明部105の照度を下げることで、余分な電力の消費を抑えることができる。また、輝度信号の平均値が予め決められた所定範囲より小さい場合は、デューティ幅を広くして、照明部105の照度を上げることで、太陽電池照明装置10周辺の視認性を高めることができる。この結果、蓄電池103に蓄積された電力を有効に使用しながら、太陽電池照明装置10周辺の明るさを適切な範囲内に調整することができる。
【0032】
図2は、本実施の形態における照明制御部107の動作を示すフローチャートである。まず、ステップS101(「S101」と略す。以下同様。)にて、照明制御部107は、太陽電池101の出力電圧が基準電圧より低下しているかどうかを検知する信号を充電制御部102から受信する。そして、太陽電池101の出力電圧が基準電圧より低下している場合、照明を点灯するために、S102に移行する。一方、太陽電池101の出力電圧が基準電圧より大きい場合、照明を点灯する必要がないため、S101の動作を繰り返す。
【0033】
本実施の形態において、照明部105の照度設定SはN段階(Nは自然数)に設定できる仕様とし、S102にて、照明部105の照度設定を一番暗い状態(S=1)に設定する。そして、S103にて、照明制御部107は、充電制御部102に対して、蓄電池103に蓄積された電力を照明電源部104に供給するように指示する制御信号を送信する。また、照明制御部107は、照明電源部104に対して、照明部105のLED照明に供給する駆動電流のデューティ幅を一番狭くして、最小の照度で点灯するように指示する制御信号を送信する。この結果、照明部105は最小の照度で点灯する。
【0034】
続いてS104にて、照明制御部107は、撮像部108に対して、撮影時のフレームレート、電子シャッター速度、AGCアンプのゲイン等の撮影条件を送信する。撮像部108は、指定された撮影条件で太陽電池照明装置10周辺の画像を撮影する。さらに、照明制御部107は、輝度検出部109に対して、輝度信号の平均値を算出する条件を送信する。輝度検出部109は、指定された算出条件で、撮像部108で撮影した画像から輝度信号の検出値Lを求め、照明制御部107に送信する。
【0035】
続いてS105にて、照明制御部107は、輝度信号の検出値Lが予め決められた所定の下限設定値よりも小さいかどうかを比較する。輝度信号の検出値Lが下限設定値よりも小さい場合(S105でYES)、太陽電池照明装置10周辺の明るさが予め決められた下限よりも暗いので、照明部105の照度を上げる必要があり、S106に移行する。
【0036】
一方、輝度信号の検出値Lが下限設定値以上の場合(S105でNO)、太陽電池照明装置10周辺の明るさが予め決められた下限よりも明るいので、S109に移行する。
【0037】
輝度信号の検出値Lが下限設定値よりも小さい場合(S105でYES)、S106にて、照明の照度設定Sが一番明るい状態Nより小さいかどうかを比較する。照明の照度設定SがNより小さい場合、照明の照度設定をさらに増加することが可能であるから、照明の照度設定Sを1段階増加して(S107)、S108にて、照明制御部107は、照明電源部104に対して、照明部105のLED照明に供給する駆動電流のデューティ幅を広くし、照度を1段階明るくするように指示する制御信号を送信する。この結果、照明部105の照度は1段階明るくなる。その後、S113に移行する。
【0038】
一方、照明の照度設定Sが一番明るい状態Nの場合(S106でNO)、照明の照度設定Sはこれ以上明るくできないので、S113に移行する。
【0039】
輝度信号の検出値Lが下限設定値より大きい場合(S105でNO)、S109にて、照明制御部107は、輝度信号の検出値Lが予め決められた上限設定値よりも大きいかどうかを比較する。輝度信号の検出値Lが上限設定値よりも大きい場合(S109でYES)、太陽電池照明装置10周辺の明るさが予め決められた上限よりも明るいので、消費電力を低減するために照明部105の照度を下げることができるので、S110に移行する。
【0040】
一方、輝度信号の検出値Lが上限設定値以下の場合(S109でNO)、太陽電池照明装置10周辺の明るさが予め決められた照度の設定範囲内に入っているので、S113に移行する。
【0041】
輝度信号の検出値Lが上限設定値よりも大きい場合(S109でYES)、S110にて、照明の照度設定Sが一番暗い状態1より大きいかどうかを比較する。照明の照度設定Sが1より大きい場合、照明の照度設定をさらに小さくすることが可能であるから、照明の照度設定Sを1段階減少して(S111)、S112にて、照明制御部107は、照明電源部104に対して、照明部105に供給する駆動電流のデューティ幅を狭くし、照度を1段階暗くするように指示する制御信号を送信する。この結果、照明部105の照度は1段階暗くなる。その後、S113に移行する。
【0042】
一方、S110でNOになるのは、照明部105の照度が一番暗い時でも、太陽電池照明装置10周辺の明るさが予め決められた上限よりも明るい場合である。この場合、照明の照度設定Sはこれ以上暗くできないので、消費電力削減のために照明を消灯する方法も考えられるが、太陽電池照明装置周辺の視認性確保の観点から、本実施の形態では、照明の点灯状態を継続したままで、S113に移行する。
【0043】
そしてS113にて、照明制御部107は、太陽電池101の出力電圧が基準電圧より低下しているかどうかを検知する信号を充電制御部102から受信する。そして、夜間で太陽電池101の出力電圧が基準電圧より低下している場合(S113でNO)、照明の点灯を継続するので、S104に戻る。
【0044】
一方、夜が明けて太陽電池101の出力電圧が基準電圧より大きくなった場合(S113でYES)、照明を点灯している必要がないため、S114へ進んで、照明制御部107は、充電制御部102に対して、照明電源部104に電力を供給しないように指示する制御信号を送信する。この結果、照明電源部104に対して、電力が供給されなくなるので、照明部105は消灯する。
【0045】
以上のように、第1の実施の形態における太陽電池照明装置10によると、撮像部108で撮影した画像から、輝度検出部109で太陽電池照明装置10周辺の相対的な明るさを検出し、その検出値が予め決められた所定の範囲内に入るように、照明制御部107は照明部105の照度を制御するようにしているので、太陽電池照明装置10周辺の視認性を確保できるとともに、余分な電力の消費を防止することができる。
【0046】
なお、上記説明では、輝度信号の検出値Lが下限設定値以上、かつ、上限設定値以下の場合(S109のNO)、照明の照度設定Sを変更しないようにした。しかし、さらに消費電力を低減するため、照明の照度設定Sが、下限設定値≦検出値L≦上限設定値を満たす最小の値になるように、照度設定Sの値を変更する処理を追加してもよい。
【0047】
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態における太陽電池照明装置20は、撮像部で撮影した画像から太陽電池照明装置20の異常を判定し、異常を報知する機能を有する点で、前述の第1の実施の形態と異なる。
【0048】
図3は、本発明の第2の実施の形態における太陽電池照明装置20の概略構成を示すブロック図である。太陽電池照明装置20は、図1に示される太陽電池照明装置10の構成に加えて、更に、報知部110を備える。
【0049】
報知部110は、太陽電池照明装置20に故障等の異常が発生したことを外部に通知する手段であり、例えば、太陽電池照明装置20の支柱(図示せず)等の容易に人目につく箇所に設けられ、異常時に点灯するLED警告灯を用いることができる。また、照明装置の保守管理を担当している運営センターと有線あるいは無線で通信するための通信モジュールであってもよい。
【0050】
照明部105に使用されるLEDは長寿命ではあるが、時間の経過とともに輝度が少しずつ低下していく。また、屋外に設置されるため、照明部105に汚れが付着して照度が低下する場合がある。さらに、照明電源部104が故障すると、照明部105に駆動電流が供給されないために、LED自体が点灯しない場合もある。
【0051】
これらを考慮すると、照明の照度設定Sが一番明るい状態Nに設定されているにも係わらず、太陽電池照明装置周辺の明るさは予め決められた下限値よりも暗い場合(図2のS106でNOの場合)、照明電源部104あるいは照明部105に前述のような劣化、汚れ、故障等が発生している可能性がある。そこで、第2の実施の形態では、図2のS106でNOになった場合、S113に移行する前に、太陽電池照明装置に異常が発生していないか判定する処理を追加する。
【0052】
図4は、太陽電池照明装置20の異常を判定するために、本実施の形態において照明制御部107が実施する動作を示すフローチャートである。
【0053】
まずS201にて、照明制御部107は、充電制御部102に対して、照明電源部104に電力を供給しないように指示する制御信号を送信する。この結果、照明電源部104に対して、電力が供給されなくなるので、照明部105は消灯する。
【0054】
次にS202にて、照明制御部107は、撮像部108に対して、撮影時のフレームレート、電子シャッター速度、AGCアンプのゲイン等の撮影条件を送信する。撮像部108は、指定された撮影条件で太陽電池照明装置20周辺の画像を撮影する。さらに、照明制御部107は、輝度検出部109に対して、輝度信号の平均値を算出する条件を送信する。輝度検出部109は、指定された算出条件で、撮像部108で撮影した画像から輝度信号の検出値Xを求め、照明制御部107に送信する。
【0055】
続いてS203にて、照明制御部107は、照明の照度設定を一番明るい状態(S=N)に設定する。そして、S204にて、照明制御部107は、充電制御部102に対して、蓄電池103に蓄積された電力を照明電源部104に供給するように指示する制御信号を送信する。また、照明制御部107は、照明電源部104に対して、照明部105のLED照明に供給する駆動電流のデューティ幅を一番広くし、最大の照度で点灯するように指示する制御信号を送信する。この結果、照明部105は最大の照度で点灯する。
【0056】
次にS205にて、照明制御部107は、撮像部108に対して、S202にて指示した撮像条件と同一の撮影条件を送信する。撮像部108は、指定された撮影条件で太陽電池照明装置20周辺の画像を撮影する。さらに、照明制御部107は、輝度検出部109に対して、輝度信号の平均値を算出するために、S202にて指示した条件と同一の算出条件を送信する。輝度検出部109は、指定された算出条件で、撮像部108で撮影した画像から輝度信号の検出値Yを求め、照明制御部107に送信する。
【0057】
続いてS206にて、照明制御部107は、輝度信号の検出値の差Y−Xが予め決められた判定基準値(所定の閾値)よりも大きいかどうかを比較する。輝度信号の検出値の差Y−Xは、照明部105が最大の照度で点灯している場合と消灯している場合の明るさの差であり、この差が判定基準値以下の場合(S206でNO)、照明部105が最大の照度で点灯しても太陽電池照明装置20周辺で必要とされる明るさを確保できないことになる。
【0058】
このとき、S207にて、照明制御部107は照明機能に異常が発生したと判断し、S208にて、報知部110に対して、太陽電池照明装置20に故障、劣化、汚れ等の異常が発生したことを外部に通知するための制御信号を送信する。
【0059】
一方、輝度信号の検出値の差Y−Xが予め決められた判定基準値よりも大きい場合(S206でYES)、照明制御部107は、太陽電池照明装置20周辺の明るさは予め決められた下限よりも暗いけれども、照明部105の照度は故障、劣化、汚れ等の異常が発生したと判定するには至らないと判断し、判定処理を終了する。
【0060】
以上のように、第2の実施の形態に係る太陽電池照明装置20は、撮像部108で撮影した画像から太陽電池照明装置20の異常を判定し、異常を報知する報知部110を備えることにより、照明に異常があった場合、速やかに適切な措置、例えば、照明部105の清掃による照度の回復等の処置が実施可能となるので、照明装置周辺で必要となる明るさを確保することができる。また、照度の回復によって、照明部105での余分な電力消費を防止することができる。
【0061】
<第3の実施の形態>
以下、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態における太陽電池照明装置30は、照明制御部107で照明部105の照度を制御する際に基準となる上限設定値および下限設定値を、照明部105の経年変化に応じて補正する機能を有する点で、前述の実施の形態と異なる。
【0062】
照明部105においては、初期点灯時に比べて、累積点灯時間が増加するほど照度は低下していく。また、照明部105の汚れも照度の低下に影響する。定期的なメンテナンスを実施しても照明部105の照度は初期状態には戻らず、その回復率は経年的に低下していく傾向がある。このため、照明部105の照度を制御する際に基準となる上限設定値および下限設定値も、照明部105の経年変化に応じて変更していく必要がある。
【0063】
図5は、照明部105の経年変化に応じて上限設定値および下限設定値を補正するために、本実施の形態において照明制御部107が実施する動作を示すフローチャートである。本処理は、夜間に照明部105が点灯している状態で実施される。
【0064】
まずS301にて、照明制御部107は、現在の照明の照度設定SをメモリMに保存する。次にS302にて、照明制御部107は、照明電源部104への電力供給を停止する制御信号を、充電制御部102に送信する。この結果、照明部105は消灯する。
【0065】
続いてS303にて、照明制御部107は、撮像部108に対して撮影条件を、また、輝度検出部109に対して輝度信号の平均値の算出条件を送信する。これに応答して、輝度検出部109は、消灯時の輝度信号の検出値Xを、照明制御部107に送信する。
【0066】
次にS304にて、照明制御部107は、照明の照度設定を一番明るい状態(S=N)に設定する。そして、S305にて、照明制御部107は、蓄電池103に蓄積された電力を照明電源部104に供給する制御信号を、充電制御部102に対して送信する。また、照明制御部107は、照明部105に供給する駆動電流のデューティ幅を一番広くする制御信号を、照明電源部104に対して送信する。この結果、照明部105は最大の照度で点灯する。
【0067】
次にS306にて、照明制御部107は、撮像部108に対して、S303にて指示した撮像条件と同一の撮影条件を、また、輝度検出部109に対して、S303にて指示した条件と同一の算出条件を送信する。この結果、輝度検出部109は、照明部105が最大照度で点灯している時の輝度信号の検出値Yを、照明制御部107に送信する。
【0068】
続いてS307にて、照明制御部107は、照明の照度設定を一番暗い状態(S=1)に設定する。そして、S308にて、照明制御部107は、照明部105に供給する駆動電流のデューティ幅を一番狭くする制御信号を、照明電源部104に対して送信する。この結果、照明部105は最小の照度で点灯する。
【0069】
次にS309にて、照明制御部107は、撮像部108に対して、S303にて指示した撮像条件と同一の撮影条件を、また、輝度検出部109に対して、S303にて指示した条件と同一の算出条件を送信する。この結果、輝度検出部109は、照明部105が最小照度で点灯している時の輝度信号の検出値Zを、照明制御部107に送信する。
【0070】
次にS310にて、照明制御部107は、輝度信号の検出値X、Y、Zの値に応じて、上限設定値と下限設定値の補正を実施する。補正方法に関しては、種々の手法が適用可能であるが、ここでは、一例として簡単な補正方法について説明する。
【0071】
まず、照明部105が消灯している時の検出値Xの値がほとんど零でなければ、補正を実施しないようにする。これは、太陽電池照明装置30周辺の外来光の影響を避けるためである。
【0072】
また、検出値Y、Zの値が、0≪Z<Yの関係になければ、補正を実施しないようにする。これは、太陽電池照明装置30に故障がある場合や測定値に異常がある場合に、誤って補正を実施しないためである。
【0073】
次に、検出値Yの値が、下限設定値≦Y≦上限設定値の場合、上限設定値の設定を1ステップ下げる。さらに、Y<下限設定値の場合、下限設定値の設定も1ステップ下げる。
【0074】
また、検出値Zの値が、下限設定値≦Z≦上限設定値の場合、下限設定値の設定を1ステップ上げる。さらに、上限設定値<Zの場合、上限設定値の設定も1ステップ上げる。
【0075】
ここで、設定値が過補正されるのを防止するために、設定値の変更は予め決められたステップ単位で実施する。これにより、1回の補正動作で補正が完了しなくても、補正動作を複数回繰り返すことで最適値に収束させることができる。
【0076】
S310にて、上限設定値と下限設定値の補正を実施した後、S311にて、照明制御部107は、照明の照度設定SをメモリMに保存しておいた設定値に戻す。そして、S312にて、照明制御部107は、照明電源部104に対して制御信号を送信することによって、照明部105の照度設定はSに戻る。
【0077】
以上のように、第3の実施の形態に係る太陽電池照明装置30は、夜間に、照明部105を消灯した場合、最小照度状態で点灯した場合および最大照度状態で点灯した場合の輝度検出値から、照明部105の照度を制御する際に基準となる上限設定値および下限設定値を補正するので、照明部105の経年変化に対応することができる。
【0078】
<第4の実施の形態>
以下、本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施の形態における太陽電池照明装置40は、太陽電池照明装置40周辺に人がいない場合に、照明部105の異常を診断したり、照明制御部107で照度を制御する際に基準となる上限設定値および下限設定値の補正を実施したりする点で、前述の第2および第3の実施の形態と異なる。
【0079】
図6は、本発明の第4の実施の形態における太陽電池照明装置40の概略構成を示すブロック図である。太陽電池照明装置40は、図1に示される太陽電池照明装置10の構成に加えて、更に、人検出部111を備える。
【0080】
人検出部111は、太陽電池照明装置40周辺に人がいるかどうかを検知する手段であり、例えば、焦電型センサを使用することができる。また、撮像部108で撮影した画像を画像処理して人物を判別する方法を採用してもよい。
【0081】
本発明の第2および第3の実施の形態では、太陽電池照明装置の異常を検知したり、照度を制御する際に基準となる設定値を補正したりするために、夜間に照明部105を一度消灯する必要がある。
【0082】
太陽電池照明装置40周辺に人がいる場合に前述の操作をすると、何の前触れもなく照明が消えるので、その人を驚かせることになってしまう。人通りが少なくなる深夜に前述の操作を実施するようにしても、たまたま人が通り合わせる可能性もある。
【0083】
そこで、本発明の第4の実施の形態では、人検出部111で、太陽電池照明装置40周辺に人がいるかどうかを検知し、人がいない場合にのみ、図4や図5に示した処理を実施することによって、歩行者に不快な思いをさせずに、太陽電池照明装置の異常を検知したり、照度を制御する際に基準となる設定値を補正したりすることができる。
【0084】
<第5の実施の形態>
以下、本発明の第5の実施の形態について説明する。本実施の形態における太陽電池照明装置50は、撮像部108の光学系の汚れを検出する機能を有する点で、前述の実施の形態と異なる。
【0085】
図7は、本発明の第5の実施の形態における太陽電池照明装置50の概略構成を示すブロック図である。太陽電池照明装置50は、図1に示される太陽電池照明装置10の構成に加えて、更に、輪郭処理部112を備える。
【0086】
輪郭処理部112は、撮像部108で撮影した画像から輪郭信号を検出して記録する機能と、既に記録されている輪郭信号と新たに検出した輪郭信号を比較して輪郭の増減を検出する機能を有している。
【0087】
撮像部108は屋外環境下で用いられるために、照明部105と同様に汚れ等の付着を避けることはできない。特に、レンズ等の光学系に汚れが付着すると、輝度検出部109で算出される輝度信号の平均値が低下してしまう。照明制御部107では、輝度検出部109から出力される検出値が小さくなった場合、照明部105の照度が低下したのか、撮像部108の光学系が汚れたためか、判別することができない。
【0088】
しかしながら、撮像部108の光学系に汚れが付着して、輝度検出部109で算出される輝度信号の平均値が低下した場合は、撮像部108で撮影した画像から検出される輪郭信号の量が大幅に減少した画像、すなわち、ピントがぼけた画像になる。このため、輪郭信号の減少を検知することによって、撮像部108の光学系の汚れを検出することができる。
【0089】
そこで、本発明の第5の実施の形態における太陽電池照明装置50では、設置時に太陽電池照明装置50周辺の画像を撮影し、輪郭処理部112で、基準となる輪郭信号を記録しておく。
【0090】
そして、定期的に、撮像部108で太陽電池照明装置50周辺の画像を撮影し、既に記録されている輪郭信号と新たに検出した輪郭信号を比較して、輪郭信号の大幅な減少を検出した場合、撮像光学系に汚れがあると判別することができる。
【0091】
なお、この検出動作は照明部105の点灯状態に依存しないので、日中でも夜間でも実施することができる。特に、日中に実施すれば、蓄電池103の余分な電力消費を避けることが可能となる。
【0092】
なお、上述した実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、昼間に太陽電池により発電された電力によって蓄電池を充電し、夜間に蓄電池の電力を使って照明を行う太陽電池照明装置に適用でき、例えば、街路灯や常夜灯に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】第1の実施の形態における太陽電池照明装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態における照明制御部の動作を示すフローチャートである。
【図3】第2の実施の形態における太陽電池照明装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】太陽電池照明装置の異常を判定するために、第2の実施の形態において照明制御部が実施する動作を示すフローチャートである。
【図5】照明部の経年変化に応じて上限設定値および下限設定値を補正するために、第3の実施の形態において照明制御部が実施する動作を示すフローチャートである。
【図6】第4の実施の形態における太陽電池照明装置の概略構成を示すブロック図である。
【図7】第5の実施の形態における太陽電池照明装置の概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0095】
10、20、30、40、50 太陽電池照明装置
101 太陽電池
102 充電制御部
103 蓄電池
104 照明電源部
105 照明部
106 DC−DCコンバータ
107 照明制御部
108 撮像部
109 輝度検出部
110 報知部
111 人検出部
112 輪郭処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池と、該太陽電池により発電された電力によって充電される蓄電池と、該蓄電池から供給される電力で点灯する照明部とを有する太陽電池照明装置において、
本太陽電池照明装置周辺の画像を撮影する撮像部と、
該撮像部で撮影した画像から本太陽電池照明装置周辺の相対的な明るさを検出する輝度検出部と、
該輝度検出部の出力が所定の範囲内に入るように前記照明部の照度を制御する照明制御部とを備えたことを特徴とする太陽電池照明装置。
【請求項2】
異常を報知するための報知部を備え、
夜間に、前記照明部を最大照度状態で点灯したときの画像と前記照明部を消灯したときの画像とを前記撮像部で撮影し、両画像から測定した相対的な明るさの差が所定の閾値以下になった場合、本太陽電池照明装置に異常があると判定し、前記報知部で異常を報知するという異常検出報知動作を行うことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池照明装置。
【請求項3】
本太陽電池照明装置周辺に人がいるかどうかを判別する人検出部を備え、
夜間に本太陽電池照明装置周辺に人がいない場合に前記異常検出報知動作を行うことを特徴とする請求項2に記載の太陽電池照明装置。
【請求項4】
夜間に、前記照明部を消灯したときの画像と、前記照明部を最小照度状態で点灯したときの画像と、前記照明部を最大照度状態で点灯したときの画像とを前記撮像部で撮影し、前記輝度検出部で検出される太陽電池照明装置周辺の相対的な明るさから、前記照明制御部で実施する前記照明部の明るさの制御範囲を決定するという照度範囲決定動作を行うことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池照明装置。
【請求項5】
本太陽電池照明装置周辺に人がいるかどうかを判別する人検出部を備え、
夜間に本太陽電池照明装置周辺に人がいない場合に前記照度範囲決定動作を行うことを特徴とする請求項4に記載の太陽電池照明装置。
【請求項6】
前記撮像部で撮像した画像から輪郭信号を検出して記録する機能と、既に記録されている輪郭信号と新たに検出した輪郭信号を比較して輪郭の増減を検出する機能とを有する輪郭処理部を備え、
前記照明制御部は前記輪郭処理部の出力によって前記撮像部の光学系の汚れを判断することを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の太陽電池照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−252394(P2009−252394A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−95780(P2008−95780)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】