説明

太陽電池用のケーブルセットのためのプラグ型コネクタ

本発明は、グリップ(13)と、接触支持部(14)と、挿入方向(x)に向かって延び且つプラグの外側を向いたスナップイン返し(18)を持っている少なくとも1つのスナップイン突起(16)と、を有するプラグ(11)と、グリップ(21)と、接触支持受け入れ部(20)と、グリップ(21)内に形成され且つグリップ(21)の外側の面に配置されたスナップイン溝(23)で終端し、プラグ側のスナップイン突起(16)に対応する少なくとも1つのスナップインホール(22)と、を有するソケット(12)と、を備え、プラグ(11)とソケット(12)とが差し込まれた状態では、スナップイン突起(16)がスナップインホールの中を通って延び且つスナップイン返し(18)がスナップインホール(22)の後ろで係合して接続状態を固定する、プラグ型コネクタ(10)に関する。本発明の目的は、既存のプラグ型コネクタの部品と組み合わすことができるが、将来の安全要求に対応するプラグ型コネクタを創ることである。この課題は、スナップインホール側壁(25)が、スナップイン溝(23)内の領域に延び、このようにしてスナップイン溝(23)の側面に境界が形成されて、前記スナップイン溝(23)が、プラグ型コネクタの外方に向かって開口するスナップインくぼみに変えられることを特徴とするプラグ型コネクタによって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリップと、接触支持部と、挿入方向に向かって延び且つプラグの外側の面の方を向いたスナップイン返しを持っている少なくとも1つのスナップイン突起と、を有するプラグと、グリップと、接触支持受け入れ部と、グリップ内に形成され且つグリップの外側の面の方を向いて外方に開口するスナップイン溝で終端し、プラグのスナップイン突起に概して相補的な少なくとも1つのスナップインホールと、を有するソケットと、を備え、プラグとソケットとが差し込まれた状態では、スナップイン突起がスナップインホールの中を通って延び且つスナップイン返しがスナップインホールの後ろで係合して接続状態を固定する、特に太陽電池用のケーブルセットのためのプラグ型コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般のプラグ型コネクタは、検証可能な形で公開されてはいないものの、本出願人によって明らかなに使用されており、従来技術からすでに良く知られている。
【0003】
ソーラーシステム及びソーラーパワープラントは、通常、発電する多数の太陽電池パネルを有する。太陽電池パネルは、種々の技術的装置を経由して、発電された電力を電力伝送ポイントへ送電する出力ケーブルセットを有する。取り付けを簡単にするために、複数の太陽電池パネルからの電力を受け取るための電力線への接続のための接続セットを、太陽電池パネル個々のプラグ型コネクタを経由して、太陽電池パネルにあらかじめ取り付けることはよくあることである。
【0004】
作業の安全のために、既知のプラグ型コネクタの信頼性には、高い要求が課せられている。高い要求は、特別なプラスチックのタイプが用いられるというような部品の長い耐用年数、及びこれらのプラグ型コネクタが露出しないことの確かさの両方に関係する。この目的を達成するために、プラグ型コネクタのプラグとソケットとは、かみ合わされる。
【0005】
本出願人によって製造されたプラグ型コネクタのような多くの一般のプラグ型コネクタでは、スナップ接続は、簡単な手作業方式で容易に開放されて、個々の太陽電池パネルが保守のためにネットワークから分離され得る。このことは、ユーザが、彼/彼女の指を用いてスナップイン溝をつかみ、スナップ返しを開放することによって成される。
【0006】
太陽電池技術が発展すると、ソーラーシステムの安全の向上に役立つ規格、規則及びガイドラインは、増大しながら可決される。例えば、将来には、手動方式で開放可能にプラグ型コネクタをラッチ(latch)することはもはや許されないと考えられている。太陽電池用のケーブルセットのためのプラグ型コネクタは、特別なツールのみを用いることによって分離されなければならないことが必要となるであろう。
【0007】
このことは、すでに多くの太陽電池システムを備えている本出願人のような太陽電池システムのためのプラグ型コネクタの製造者に対して問題を引き起こす。少なくとも25年を超えた年月を経る太陽電池システムに対しては、交換部品が少なくとも同じ年月の間提供されなければならず、交換部品を少なくとも同じ年月の間提供することは、規格に従うと、交換部品が同じ年月だけ時代遅れになる。このことは、多大な物流努力と、設備投資とを要求する。
【0008】
システムのオペレータに関しては、システムの保守、修理及び補充に悪影響をもたらす様々な異なるプラグ型コネクタが用いられることは、特に既存のシステムを改良する場合に、追加の問題となる。
【発明の概要】
【0009】
従って、本発明の目的は、将来の安全要求を満たすプラグ型コネクタを創り出すことである。しかしながら、このプラグ型コネクタは、スナップインホール側壁が、スナップイン溝に延びて出て、スナップイン溝を側面に沿って閉じ、スナップイン溝を、プラグの外側の面の外方に向かって開口するスナップインくぼみに変えるものであり、すでに本出願人によって使用されているプラグ型コネクタの部品と結合され得る。
【0010】
本発明では、プラグ型コネクタのソケットのみが変更される。スナップインホール側壁がスナップイン溝の中の領域へ延び且つその両側に境界を形成することによって、手の親指と人差し指とがプラグを開放するためにそれまでは容易に掴むことができたスナップイン溝が、スナップインくぼみへと小さくなる。スナップインくぼみは手を入れることができる空間を提供しないので、スナップイン溝の側面を閉じることは、プラグ型コネクタが、少なくとも手動方式では、もはや開放され得ないように、スナップイン溝を小さくする。
【0011】
プラグ側のスナップイン突起上に配置されたスナップイン返しへのアクセスを更に妨げるために、本発明は、ホール側壁の高さがソケットの外側の表面と一致して延びており、スナップインくぼみがスナップイン窓を形成することを提供する。実施形態は、スナップイン返しが、プラグ型コネクタの外側の表面に達しないでスナップインくぼみの中で奥まっているか、又は高くても同一表面であるという点において更に有利に改良されている。
【0012】
ソケットのこの驚くべき単純な変更は、少なくとも回顧的側面において、本出願人によって製造される現在の製品種目との完全な差し込み口の互換性を確保する。なぜならば、既存のプラグ、及び特にそのスナップイン(snap−in)の構造は、いかなる変更も必要としないからである。ソケットにおけるスナップインの構造の形状は、換言すると、スナップイン突起のスナップイン返しがプラグを係合するスナップインホール及びスナップイン溝の形状は、変更されない。しかしながら、有利な差し込み口の互換性を有しつつ、本発明によるプラグ型コネクタの手動方式の開放はできないので、安全性を非常に向上している。
【0013】
本発明のより良い理解は、更なる利点と同様に、実施形態の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】差し込まれた状態における従来技術のプラグ型コネクタを示す。
【図2】プラグが抜かれた状態における図1のプラグ型コネクタを示す。
【図3】差し込まれた状態における本発明のプラグ型コネクタを示す。
【図4】プラグが抜かれた状態における図3のプラグ型コネクタを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面は、通常符号10で示されるプラグ型コネクタを示す。プラグ型コネクタ10は、プラグ11及びソケット12を有しており、両方ともプラスチックから形成される。
【0016】
プラグ11はグリップ13を有し、グリップ13から中央の管状の接触支持部14が挿入方向xに突出している。グリップ13は、直径方向にお互い向かい合う2つのスナップイン突起16を持っている。スナップイン突起16は、接触支持部14から、プラグの外側の面15に向かって間隔をあけている。スナップイン突起16は、挿入方向xに向かって延びており、且つソケット12に対向する外側端部を有する。外側端部からは、プラグの外側の面15又は半径方向外向きの方角を指して、スナップイン返し18が突出している。シール19が、グリップ13から接触支持部14への移行部に備えられており、汚れ及び水分がソケットの接触支持受け入れ部20の中に入ることを防止する。
【0017】
図1及び図2は、本出願人によって流通される従来技術のプラグ型コネクタを、図式的に説明する。プラグ11のように、ソケット12はグリップ21を有する。グリップ21は、プラグ11に向かって軸方向に開口する上述した実質的に円筒形状の中央の接触支持受け入れ部20を形成する。ソケット12は、プラグ11と対向する軸方向の外側端部において、2つのスナップインホール22を有する。2つのスナップインホール22は、プラグ11のスナップイン突起16に向かって開口し且つスナップイン突起16と方向が一致しており、挿入方向xの内側で離隔するスナップイン溝23それぞれにおいて終端している。スナップインホール22は、プラグ型コネクタの長手方向の軸Lと平行に延びているが、スナップイン溝23は、長手方向のコネクタ軸Lと直交する面内に延びている。図2に示されるプラグ型コネクタ10の部品、言い換えるとプラグ11及びソケット12、を組み立てるためには、プラグ11の接触支持部14が、まず、ソケット12の接触支持受け入れ部20の中に差し込まれる。プラグ11がソケット12内に差し込まれると、スナップインホール22に向かって延びるスナップイン突起16は、スナップインホール開口24内に係合する。
【0018】
図1に示される従来技術のプラグ型コネクタの差し込まれた状態では、スナップイン返し18が、それぞれのスナップインホール22の中を軸方向に通り抜ける。これが起きる際には、スナップイン返し18は、接触支持部14に向かって、半径方向に内側に弾性的に歪められる。それぞれのスナップインホール22の中を通り抜けた後、スナップイン返し18を持つスナップイン突起16の外側端部17は、スナップイン溝23に達し、スナップイン返し18は、スナップインホール22それぞれの内側の端部を挿入方向に通り出る。スナップイン突起16の弾性によって、スナップイン返し18はその応力のない状態に戻り、プラグ型コネクタ10の差し込まれた状態が固定されるように、スナップインホール22の内側と係合する。
【0019】
プラグ及びソケットを開放するためには、従来技術によれば、親指及び人差し指をスナップイン溝23に差し込み、スナップイン返し18を解除すれば十分である。このことを容易にするために、スナップイン溝23は、溝の底に向かって内側に傾斜したベベル部28を有する。そして、プラグ11及びソケット12は、容易に引き離される、換言すれば、分離する。
【0020】
図3及び図4は、プラグが抜かれた状態を含む本発明のプラグ型コネクタ10を示す。同じ参照符号が、機能的に類似した部分に用いられている。
【0021】
本発明によれば、プラグ型コネクタ10のプラグ11に変更はなされていない。プラグ型コネクタ10のソケット12も、大部分は変更を受けずに残っている。しかしながら、スナップインホール側壁25が延び上がって、スナップイン溝23の側面を規定する。これは、プラグの外側の面15のみに向かって開口し且つスナップイン窓26として形成される、スナップイン返し18のための受け入れ部をつくり出す。この目的を達成するために、スナップインホール側壁25の半径方向の寸法は、スナップインホール側壁25が、プラグの外側の面15と同じ高さである外側端縁27において終端するようになっている。従って、従来技術のベベル部28は、除かれている。
【0022】
更に、スナップイン窓26を小さくするために、例えば、スナップイン接続の手動方式の開放に対する更なる改良された防止のために、スナップイン窓26を形成し且つプラグの外側の面15に向かって面するスナップイン溝23の開口が、挿入方向xの後方のオフセットされた領域に空洞が形成されるように、追加の材料によって部分的に覆われる。更に、スナップイン返し18がプラグ型コネクタ10の外側の面15を超えて半径方向に外方に突き出でないように、スナップイン返し18がスナップイン窓内に支えられる。
【0023】
図3及び図4に示される本発明のプラグ型コネクタ10をまとめると、実質的には長所のある手動方式の分離は、スナップイン窓26としてのスナップイン溝23の構造によって、もはや不可能である。しかしながら、特別な長所は、安全目標を達成するために、プラグ型コネクタ10のソケット12のみが変更される必要があるということである。このことは、製造者のプラグ11の金型を利用し続けることを可能にする。一方、ソケット12は、スナップインホール22として形成されるそのスナップイン構造の配置に関しては、従来技術によるソケット12(図1及び図2に示される)のものと変わりがない。従って、ソケット12は、本出願人によって今まで製造されたプラグ型コネクタ10との差し込み口の互換性が確保されるように、従来技術のプラグ11と共にも使用される。プラグ11及びソケット12の外側の寸法もまた、本発明のプラグ型コネクタも通常のぴったりとした取り付け状態として用いられ得るように、現在のプラグ型コネクタと同じままである。このことは、易しい保守、及び既存のソーラーシステム又はそれと共に用いられるプラグ型コネクタの修復を保証し、且つ、プラグ型コネクタの製造者及びソーラーシステムのオペレータの両方に関して、交換部品の供給のための手配を容易にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリップ(13)と、接触支持部(14)と、挿入方向(x)に向かって延び且つプラグの外側の面(15)の方を向いたスナップイン返し(18)を持っている少なくとも1つのスナップイン突起(16)と、を有するプラグ(11)と、
グリップ(21)と、接触支持受け入れ部(20)と、前記グリップ(21)内に形成され且つ前記グリップ(21)の外側の面の方を向いて外方に開口するスナップイン溝(23)で終端し、前記プラグの前記スナップイン突起(16)に概して相補的な少なくとも1つのスナップインホール(22)と、を有するソケット(12)と、
を備え、
前記プラグ(11)と前記ソケット(12)とが差し込まれた状態では、前記スナップイン突起(16)が前記スナップインホールの中を通って延び且つ前記スナップイン返し(18)が前記スナップインホール(22)の後ろで係合して接続状態を固定する、特に太陽電池用のケーブルセットのためのプラグ型コネクタ(10)であって、
スナップインホール側壁(25)が、前記スナップイン溝(23)の外側に延び出て、前記スナップイン溝(23)を側面に沿って閉じ、前記スナップイン溝(23)を、前記プラグの外側の面(15)の外方に向かって開口するスナップインくぼみに変えることを特徴とするプラグ型コネクタ(10)。
【請求項2】
前記プラグ側の前記接触支持部(14)は、前記挿入方向(x)に向かって延び且つ内側で差し込み接蝕を保持する管であることを特徴とする請求項1に記載のプラグ型コネクタ。
【請求項3】
前記ソケット側の前記接触支持受け入れ部(20)は、前記プラグ側の前記接触支持部のガイド表面と一致するガイド表面を有し、前記スナップインホール(22)に対向する前記スナップイン突起(16)のみを用いて、前記プラグ(11)の前記ソケット(12)内への挿入を可能にすることを特徴とする請求項2に記載のプラグ型コネクタ。
【請求項4】
前記スナップインホール側壁(25)は、前記スナップインくぼみがスナップイン窓(26)を形成するように、前記ソケット(12)の前記プラグの外側の面(15)と同じ高さに延び出ていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載にプラグ型コネクタ。
【請求項5】
前記スナップイン返し(18)が、前記外側の面(15)を超えて突き出ることなく、前記プラグ型コネクタの反対側の前記スナップインくぼみの中に収まることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載にプラグ型コネクタ。
【請求項6】
前記プラグ型コネクタ(10)は単極性であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載にプラグ型コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−541213(P2010−541213A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526143(P2010−526143)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【国際出願番号】PCT/DE2008/000050
【国際公開番号】WO2009/076917
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(509331674)ルンベルク コネクト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (7)
【Fターム(参考)】