太陽電池用シリコンの製造に適するろ過装置及びろ過方法
【課題】シリコンスラッジを有効に再使用し安価に太陽電池用シリコンの原材料として用いることのできるろ過装置およびろ過方法を提供すること。
【解決手段】 ろ過装置1は、フッ素系樹脂であるPFA製のろ過容器2、目開きが約10μmのナイロンメッシュのフィルター3、ステンレス網4、脱水孔13を有するステンレス製フィルター容器5、真空ポンプ11から構成されている。ろ過容器2とフィルター容器5とは、Oリング6を挟んでいる。フィルター容器5にはフッ素樹脂製のOリング6が取付けられる。フィルター容器5の上面に100メッシュのステンレス網4が置かれている。そしてその上にフィルター3が置かれている。また、フィルター容器5には、真空ポンプ11などを接続するための排気パイプ8が取付けられている。そして排気パイプ8はゴムホース9aを介して吸水装置23に接続されている。吸水装置14は、ゴムホース9b、吸引濾過瓶10、真空ポンプ11で構成されている。
【解決手段】 ろ過装置1は、フッ素系樹脂であるPFA製のろ過容器2、目開きが約10μmのナイロンメッシュのフィルター3、ステンレス網4、脱水孔13を有するステンレス製フィルター容器5、真空ポンプ11から構成されている。ろ過容器2とフィルター容器5とは、Oリング6を挟んでいる。フィルター容器5にはフッ素樹脂製のOリング6が取付けられる。フィルター容器5の上面に100メッシュのステンレス網4が置かれている。そしてその上にフィルター3が置かれている。また、フィルター容器5には、真空ポンプ11などを接続するための排気パイプ8が取付けられている。そして排気パイプ8はゴムホース9aを介して吸水装置23に接続されている。吸水装置14は、ゴムホース9b、吸引濾過瓶10、真空ポンプ11で構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンの製造方法に関し、特にシリコンウエハや半導体の製造工程において、シリコンウエハを研削・研磨する際に生じるシリコンスラッジを有効に再使用し安価に太陽電池用シリコンの原材料として用いることのできる高純度シリコン塊体を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、低炭素エネルギーの要求から太陽光発電が脚光を浴び、低価格発電装置の実用化に向け研究開発が盛んに行われている。このような状況の中で、太陽電池用材料としてシリコンは、最も重要な材料である。
【0003】
太陽電池用材料となりうるシリコンは、純度99.9999%以上で、比抵抗0.5〜10Ωcmという高純度が要求されており、従来の半導体産業で用いられる高純度シリコン、またはIC用の基板を製造したときに発生する規格外品が利用されている。しかし、半導体用高純度シリコンは、高価であり、また規格外品の発生量は少なく、供給が不安定である。
【0004】
今後、太陽電池の需要が急速に拡大することが予測され、太陽電池用シリコン原料の確保が重要な課題となっている。このようなことから太陽電池用シリコンを安価に、かつ、安定して供給する方法が検討され、太陽電池を製造する際に廃棄されているシリコンを再利用する各種方法が提案されている。
【0005】
そこで特許文献1において、従来、埋め立て処理されていたシリコンの廃スラッジを主原料にして、安価な太陽電池の素材を製造することの可能な太陽電池用多結晶シリコンの製造方法を提案している。
【0006】
以下特許文献1の内容を示す。溶融状態にある一方向凝固で精製して、太陽電池仕様を満たすシリコンインゴットとするに際し、前記溶融シリコンを、シリコンウエハ及び半導体の製造においてシリコンインゴットあるいはシリコンウエハを研削、研磨する工程の排水より濾過分離して得たシリコンスラッジだけで形成する太陽電池用多結晶シリコンの製造方法である。
【0007】
この場合、前記排水よりの濾過分離を、該排水に含まれる前記シリコンスラッジを第1のフィルター表面に該シリコンスラッジからなる第2のフィルターを形成させて行うのが好ましい。また、前記溶融状態にあるシリコンに、珪石を電気炉内で炭素還元剤により還元して得られた金属シリコンを添加しても良く、その際、前記金属シリコンの添加量が溶融状態にあるシリコンに対して0.1〜20質量%であることが好ましい。さらに、前記溶融状態にあるシリコンが、前記シリコンスラッジを乾燥し、不活性雰囲気または真空中で溶解したものであることが好ましい。
【0008】
以上のように特許文献1によれば、従来は埋め立て処理されていたシリコンの廃スラッジを主原料にして、安価な太陽電池の素材を製造することが可能となるとされている。
【0009】
しかしながら、特許文献1においては、シリコンインゴットあるいはシリコンウエハを研削、研磨する工程の排水より濾過分離する方法としてフィルターを用いて行っているがこのフィルターによる濾過では、まだ含水率が約80%であり、濾過した後、このシリコンスラッジを乾燥するために窒素中において90℃で24時間の処理が必要であった。
【0010】
したがって、フィルターを用いる濾過では、乾燥するための大きなエネルギーと、そして酸化を防止するための大量の窒素が必要となり製造コストが大きくなるという問題点がある。また、酸化を防止するために窒素を用いても、乾燥前のシリコンスラッジの水分が大きいとどうしても酸化してしまうという問題点もある。
【0011】
また、0.1μmまでの微粉末を含むスラリーをろ過する装置は、構成が複雑であり、メンテナンスにも時間と費用を要する。そして装置も高価である。したがって、シリコンスラッジを再使用できるコストに収めることは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2003−238137号 公報
【特許文献2】特開2002−293528号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本明は、上記課題を解決するものであり、シリコンスラリーから高い生産性で太陽電池用シリコン原料を製造するためのろ過装置およびろ過方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、粉末と水とのスラリーを、真空ポンプによる負圧により、第1のフィルター上に前記粉末を第2のフィルターとするろ過装置とするものである。
【0015】
本発明はまた、フィルター容器の下側にろ過ケーキを保持するものである。
【0016】
本発明はまた、フィルター容器の側面にろ過ケーキを保持するものである。
【0017】
本発明はまた、前記スラリーが水とシリコン粉末とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明のろ過装置およびろ過方法により、シリコンスラリーから水を分離した後、安価に太陽電池用シリコン原料を作成できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の構成のろ過装置を示す平面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】ろ過装置と吸引装置の概略を示す図である。
【図4】図1の詳細を示す平面図である。
【図5】図4の側面図である。
【図6】第2のフィルターを説明する概略図である。
【図7】本発明の別の構成ろ過装置を示す平面図である。
【図8】図7のA−A線での断面図である。
【図9】フィルター面を示す平面図である。
【図10】別のフィルター面を示す平面図である。
【図11】さらに別のフィルター面を示す平面図である。
【図12】本発明のさらに別の構成のろ過装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
シリコンウエハ製造で用いられるシリコンインゴットの純度は、99.9999質量%以上と非常に純度が高いので、このシリコンインゴットから生じる研削・研磨屑のシリコン純度も非常に高く、ほとんど不純物が無いシリコンスラッジが得られる。
【0021】
特許文献2においては、固定砥粒のワイヤソーを用いて、99.9999質量%以上と非常に純度の高いシリコンスラッジを用いてシリコンインゴットを製造する方法が記載されている。しかし、高純度のシリコン粉末を、直接溶融炉に投入するため、粉体として舞い上がり又は溶融したシリコンの上に浮いてしまい、シリコンに投入できないという問題点がある。
【0022】
また、半導体製造におけるICの製造工程は、使用する技術や装置設備、製造環境によりウエハ製造装置、組立(アセンブル)工程、検査(テスト)工程の3つに大きく分けられる。そのウエハ製造装置では、単結晶シリコンインゴットから切り出され、表面研磨された5〜8インチ径のシリコンウエハ(シリコン基板)上に、不純物注入、薄膜形成、フォトエッチングを繰り返すことでトランジスタや配線等を形成し、チップを完成させている。そしてウエハ製造装置を完了したシリコンウエハ(ICチップ群)は、組立工程で個々のICチップ単位に切断、分離される。従って、半導体の製造においてシリコンウエハを研削・研磨する際に排出されるシリコンスラッジとは、かかるウエハ製造工程及び組立工程で排出されるシリコンスラッジのことである。また、シリコン基板は最初、数百μmの厚みを有しているが、これは強度を確保するための厚みであり、実際に使用されるシリコンウエハは、組立工程で使用される際に有利なように、その半分の厚さまで研磨により薄くされるので、この研磨だけでも約半分のシリコンが研磨屑として廃棄されている。また、ICチップ単位に切断、分離する際にもシリコン研削、研磨屑が発生している。
【0023】
以上述べたように、現在入手可能なシリコンスラッジは、シリコンウエハ製造で得られるものと、半導体製造で得られるものの2種類あるが、シリコンウエハ製造で得られるシリコンスラッジは、シリコン純度が高く、不純物をほとんど含まないのに対し、半導体製造で得られるシリコンスラッジは、シリコン以外にボロン、リン、タングステン、クロム、チタン、砒素、ガリウム、鉄の不純物元素や、凝集剤、油等の無機、有機物が多く含まれている。
【0024】
特許文献1によれば、シリコンインゴットからのシリコンスラッジからは、太陽電池用シリコンの原料にできるシリコン粉末を製造することが可能であることはもちろんであるが、半導体製造工程で得られる不純物を含むシリコンスラッジからも様々な処理をすることで太陽電池用シリコンの原料にできるシリコン粉末を製造することが可能であると記載されている。
【0025】
そこで、本発明者は上記の問題を解決するために第1のフィルターと第2のフィルターと真空ポンプを用いてシリコンスラリーをろ過するろ過装置とろ過方法を発案した。
【0026】
以下、本発明に関わる一連のシリコンスラリーを原料とする太陽電池用シリコン原料のろ過装置およびろ過方法について説明する。まずろ過装置1およびろ過方法について図1、図2、図3を用いて説明する。さらに図4、図5は、ろ過容器2、フィルター3そしてフィルター容器5の詳細を示す。ろ過装置1は、ろ過容器2、フィルター3、ステンレス網4、脱水孔13を有するフィルター容器5、真空ポンプ11から構成されている。ろ過容器2とフィルター容器5とは、Oリング6を挟んでいる。
【0027】
フッ素系樹脂であるPFA製のろ過容器2は内面の長さが60mm、幅20mm、そして高さが200mmである。フィルター容器5はステンレス製である。フィルター容器5にはフッ素樹脂製のOリング6が取付けられる。フィルター容器5の上面に100メッシュのステンレス網4が置かれている。そしてその上に目開きが約10μmのナイロンメッシュのフィルター3が置かれている。なお、100メッシュのステンレス網4は、ナイロンメッシュが脱水孔13に吸われて、ナイロンメッシュに穴が生じるのを防ぐためのものである。
【0028】
フィルター容器5には、多数の脱水孔13が形成されている。また、フィルター容器5には、真空ポンプ11などを接続するための排気パイプ8が取付けられている。
【0029】
そして排気パイプ8はゴムホース9aを介して吸水装置23に接続されている。吸水装置14は、ゴムホース9b、吸引濾過瓶10、真空ポンプ11で構成されている。
【0030】
次に本発明のろ過装置1を用いたシリコンスラリー12からの水の分離方法について説明する。先ず真空ポンプ11を稼動して、次にシリコンスラリー12をろ過容器2に注入して、シリコンスラリー12から水を吸引濾過する。シリコンスラリー12は、シリコンが約1質量%に対して水が約99質量%である。
【0031】
濾過経路は、フィルター3、ステンレス網4、フィルター容器5の脱水孔13、排気パイプ8、ゴムホース9そして吸引濾過瓶10である。シリコンスラリー12に真空力を作用させて、水を分離すると、水を分離する速度は、向上する。さらにシリコンスラリーの含水率を低下させることができる。ここでの分離した水は、純水ではなく、フィルターを通り抜けたシリコン微粉末そして微量の金属、無機物、有機物の少なくとも1つ以上を含む。
【0032】
ここで本発明者は、真空ポンプ11を入れ、その後シリコンスラリー12を注入すると急速に目開きが約10μmのナイロンメッシュのフィルター3面にシリコン粉末によるフィルター層が形成されることを発見した。このシリコン粉末によるフィルター層が形成されると、ほぼ完全にシリコン粉末と水を分離できる。なお、シリコン粉末は0.1μm〜30μmまでの粒度分布を持っているので、シリコン粉末によるフィルター層が形成されないとシリコン粉末と水を分離できない。
【0033】
次にろ過容器2にシリコンスラリー12を注入し、その後真空ポンプ11を入れると、最初の数秒間目開き約10μmのナイロンメッシュのフィルター3面からシリコン粉末が通過してしまうが、その後、シリコン粉末によるフィルター層が形成されると、ほぼ完全にシリコン粉末と水を分離できるようになる。
【0034】
さらにろ過容器2にシリコンスラリー12を注入し、真空ポンプ11を稼動させないと、目開き約10μmのナイロンメッシュのフィルター3面からシリコン粉末が通過してしまう。かつ、ろ過スピードが格段に遅くなる。
【0035】
以上の現象は、真空ポンプ11による負圧により目開き約10μmのナイロンメッシュにシリコンスラリー12に含まれる粒度分布が0.1μm〜30μmそして、平均粒子径が約3μmのシリコン粉末が、急激にナイロンメッシュの孔に集中し、シリコン粉末のブリッジができてしまい、ナイロンメッシュを通過できなくなると考えられる。また、ブリッジの上方から例えば約1トン/cm2の圧力を加えるとブリッジが破壊され、シリコン粉末がナイロンメッシュを通過してしまう。
【0036】
以上の結果より、真空ポンプ11によりフィルター3面に負圧を加えると、フィルター3面に急速にシリコン粉末によるフィルター層が形成され、最も微粉末である0.1μmのシリコン粉末まで水と分離できる。また、別の実験で目開き約20μmのナイロンメッシュ製のフィルター3を用いたところ、シリコン粉末によるフィルター層が形成され、ほぼ完全にシリコン粉末と水を分離できることを確認した。
【0037】
また、フィルター3面に形成されるシリコンケーキ層の厚さが大きくなると当然ろ過抵抗が増し、ろ過速度が遅くなる。実際に実用できるシリコンケーキ層の厚さは30mm以下であると考えられる。
【0038】
ろ過装置1によりろ過した後のシリコンスラリー12からの水を分離したシリコンケーキの含水率は、約44.2%であった。本発明の真空ポンプ11によりフィルター3面に負圧を加え、フィルター2面にシリコン粉末によるフィルター層を作成方法により、含水率を簡単に50%以下のシリコン成形体を得ることができる。このことにより乾燥中のシリコンの酸化を低減でき、かつ乾燥エネルギーも小さくできる。
【0039】
次の工程として容器より長さ60mm、幅20mmそして厚さ15mmのシリコンケーキを取り出し、窒素雰囲気中で電気炉に投入し、110℃の温度で乾燥する。なお乾燥方法は真空乾燥など他の方法もある。
【0040】
第3の工程として熱処理工程がある。この熱処理は、シリコン塊体から粉末が飛散しないこと、そして取り扱いを容易にするために強度を向上させるためのものである。熱処理温度はアルゴン雰囲気中で、1300℃でかつキープ時間を30分とした。熱処理後は、シリコン塊体からの粉末の飛散はなく、かつ手で触れても粉末は手に付着しなかった。また、熱処理温度を1100℃以下にすると、シリコン塊体に触れると粉末は手に付着した。このことから取り扱い中にシリコン塊体から粉末が飛散する虞がある。
【0041】
第3の工程の熱処理工程は、他に高周波炉による方法など様々な熱処理方法があるが、熱処理後のシリコン塊体から粉末が飛散しないことが求められる。
【0042】
熱処理したシリコン塊体をアルゴン雰囲気下で1600℃で溶解した後に、所謂「一方向凝固法」で凝固させてシリコンインゴットを得た。そして、そのインゴットの上部にある不純物濃縮部を分離除去したところ、得られたシリコンは、鉄0.1ppm以下、酸素0.1ppm以下、ボロンが0.1ppm以下、リン0.1ppm以下で太陽電池の仕様を満たしていた。
【0043】
以上述べたように、本発明は、従来の問題を解決して、シリコンスラッジから太陽電池用シリコンの原材料を製造することができる。
【0044】
ここで、ろ過作業効率を高めるための図7の平面図、図7のA−A線での断面図である図8に示すろ過装置1を構成した。本ろ過装置1によるとろ過ケーキ17をろ過容器2から簡単に取り出せるためにろ過作業の効率が大幅に高まる。
【0045】
ろ過装置1は、ろ過容器2に、ろ過面を下向きにし、ろ過液を上方に取り出す構成になっている。フィルター容器5に、100メッシュのステンレス網を数枚重ね、その下にさらに目開きが約10μmのナイロンメッシュのフィルター3を置く。そして、ろ過ケーキ17を保持するためのろ過ケーキシリンダー16を持つ。また、ステンレス網4とステンレス製のフィルター容器5は溶接により一体化することもある。ここでは、ステンレス網4とステンレス製のフィルター容器5を用いたが、もちろんフッ素樹脂製の網及びフィルター容器5を用いても良い。
【0046】
このろ過装置1の動作について説明する。先ずろ過容器2にスラリー19をスラリー注入パイプ18より供給する。次いで図示しない真空ポンプを稼動し、その後フィルター3などを持つフィルター容器5をろ過容器2のスラリー19中に移動する。
【0047】
真空ポンプ11の吸引力により、スラリー19中の粉末により第1の目開きが約10μmのナイロンメッシュのフィルター3上に第2の粉末によるフィルターができる。そして、第2のフィルター上にろ過ケーキ17が堆積する。
【0048】
ろ過ケーキ17が目標の厚さになったら、フィルター容器5を上方に移動して、さらに横方向に移動して、真空ポンプ11を停止する。その後、空気を導入して、ろ過ケーキ17を下に取り出す。その後、ろ過容器2の真上にフィルター容器5を移動して、真空ポンプを稼動して、スラリー19に向かって移動する。このサイクルを繰り返す。
【0049】
上記のように、フィルター容器5を移動できること、そしてフィルター3面の下にろ過ケーキ17を保持することにより、簡単にろ過ケーキ17を下方向に取り出すことができる。このような構成することにより、ろ過作業効率は大幅に高くなる。
【0050】
図9、図10、図11はろ過面の平面図であり、取り出すろ過ケーキが大きすぎる場合は、図10、図11のように仕切り板20を入れてろ過ケーキ17を細分化する。さらにろ過面は図11のように矩形状にしてもよい。
【0051】
ろ過効率を向上させるためには、ろ過面積を大きくすればよい。図7、図8に示したろ過装置1では、フィルター容器5の下面にフィルター3があった。ここで、フィルター容器5の側面にもフィルター3を設ければ、ろ過面積が増加してろ過能力が高くなる。
【0052】
図12にフィルター容器5の下面および側面にフィルター3を設けたろ過装置1の断面図を示す。フィルター容器5は、側面及び下面に直径約2mmの脱水孔13を多数持つ。そしてそのフィルター容器5の上に100メッシュのステンレス網を2枚重ねる。さらに、その上に目開きが約20μmのナイロンメッシュのフィルター3を置く。また、フィルター容器5は、ステンレス網4から直接スラリー19が入らないようにするゴム板を置く。
【0053】
次に、ろ過装置1の動作について説明する。先ずろ過容器2にスラリー19をスラリー注入パイプ18より供給する。次いで図示しない真空ポンプを稼動し、その後フィルター3などを持つフィルター容器5をろ過容器2のスラリー19中に移動する。
【0054】
真空ポンプの吸引力により、スラリー中の粉末により第1の目開きが約20μmのナイロンメッシュのフィルター上に第2の粉末によるフィルターができる。そして、第2のフィルター上にろ過ケーキが堆積する。
【0055】
ろ過ケーキ17が目標の厚さになったら、フィルター容器5を上方に移動して、さらに横方向に移動して、真空ポンプを停止する。その後、空気を導入して、ろ過ケーキ17を下に取り出す。その後、ろ過容器2の真上にフィルター容器5を移動して、真空ポンプを稼動して、スラリーに向かって移動する。このサイクルを繰り返す。なお、ろ過ケーキを下に取り出す際には、振動、スクレイパーなどによることもある。
【0056】
上記のように、フィルター容器を移動できること、そしてフィルター容器の下面及び側面にろ過ケーキを保持することにより、簡単にろ過ケーキを下方向に取り出すことができる。このような構成することにより、ろ過作業効率は大幅に高くなる。
【0057】
上記のようにシリコンウエハを研削・研磨する際に生じるシリコンスラッジを本発明を用いてろ過することにより安価に太陽電池用シリコンの原材料として用いることのできる高純度シリコン塊体を製造することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 ろ過装置
2 ろ過容器
3 フィルター
4 ステンレス網
5 フィルター容器
6 Oリング
7 ゴム板
8 排気パイプ
9 ゴムホース
10 吸引濾過瓶
11 真空ポンプ
12 シリコンスラリー
13 脱水孔
14 吸水装置
15 シリコン粉末
16 ろ過ケーキシリンダー
17 ろ過ケーキ
18 スラリー注入パイプ
19 スラリー
20 仕切り板
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンの製造方法に関し、特にシリコンウエハや半導体の製造工程において、シリコンウエハを研削・研磨する際に生じるシリコンスラッジを有効に再使用し安価に太陽電池用シリコンの原材料として用いることのできる高純度シリコン塊体を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、低炭素エネルギーの要求から太陽光発電が脚光を浴び、低価格発電装置の実用化に向け研究開発が盛んに行われている。このような状況の中で、太陽電池用材料としてシリコンは、最も重要な材料である。
【0003】
太陽電池用材料となりうるシリコンは、純度99.9999%以上で、比抵抗0.5〜10Ωcmという高純度が要求されており、従来の半導体産業で用いられる高純度シリコン、またはIC用の基板を製造したときに発生する規格外品が利用されている。しかし、半導体用高純度シリコンは、高価であり、また規格外品の発生量は少なく、供給が不安定である。
【0004】
今後、太陽電池の需要が急速に拡大することが予測され、太陽電池用シリコン原料の確保が重要な課題となっている。このようなことから太陽電池用シリコンを安価に、かつ、安定して供給する方法が検討され、太陽電池を製造する際に廃棄されているシリコンを再利用する各種方法が提案されている。
【0005】
そこで特許文献1において、従来、埋め立て処理されていたシリコンの廃スラッジを主原料にして、安価な太陽電池の素材を製造することの可能な太陽電池用多結晶シリコンの製造方法を提案している。
【0006】
以下特許文献1の内容を示す。溶融状態にある一方向凝固で精製して、太陽電池仕様を満たすシリコンインゴットとするに際し、前記溶融シリコンを、シリコンウエハ及び半導体の製造においてシリコンインゴットあるいはシリコンウエハを研削、研磨する工程の排水より濾過分離して得たシリコンスラッジだけで形成する太陽電池用多結晶シリコンの製造方法である。
【0007】
この場合、前記排水よりの濾過分離を、該排水に含まれる前記シリコンスラッジを第1のフィルター表面に該シリコンスラッジからなる第2のフィルターを形成させて行うのが好ましい。また、前記溶融状態にあるシリコンに、珪石を電気炉内で炭素還元剤により還元して得られた金属シリコンを添加しても良く、その際、前記金属シリコンの添加量が溶融状態にあるシリコンに対して0.1〜20質量%であることが好ましい。さらに、前記溶融状態にあるシリコンが、前記シリコンスラッジを乾燥し、不活性雰囲気または真空中で溶解したものであることが好ましい。
【0008】
以上のように特許文献1によれば、従来は埋め立て処理されていたシリコンの廃スラッジを主原料にして、安価な太陽電池の素材を製造することが可能となるとされている。
【0009】
しかしながら、特許文献1においては、シリコンインゴットあるいはシリコンウエハを研削、研磨する工程の排水より濾過分離する方法としてフィルターを用いて行っているがこのフィルターによる濾過では、まだ含水率が約80%であり、濾過した後、このシリコンスラッジを乾燥するために窒素中において90℃で24時間の処理が必要であった。
【0010】
したがって、フィルターを用いる濾過では、乾燥するための大きなエネルギーと、そして酸化を防止するための大量の窒素が必要となり製造コストが大きくなるという問題点がある。また、酸化を防止するために窒素を用いても、乾燥前のシリコンスラッジの水分が大きいとどうしても酸化してしまうという問題点もある。
【0011】
また、0.1μmまでの微粉末を含むスラリーをろ過する装置は、構成が複雑であり、メンテナンスにも時間と費用を要する。そして装置も高価である。したがって、シリコンスラッジを再使用できるコストに収めることは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2003−238137号 公報
【特許文献2】特開2002−293528号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本明は、上記課題を解決するものであり、シリコンスラリーから高い生産性で太陽電池用シリコン原料を製造するためのろ過装置およびろ過方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、粉末と水とのスラリーを、真空ポンプによる負圧により、第1のフィルター上に前記粉末を第2のフィルターとするろ過装置とするものである。
【0015】
本発明はまた、フィルター容器の下側にろ過ケーキを保持するものである。
【0016】
本発明はまた、フィルター容器の側面にろ過ケーキを保持するものである。
【0017】
本発明はまた、前記スラリーが水とシリコン粉末とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明のろ過装置およびろ過方法により、シリコンスラリーから水を分離した後、安価に太陽電池用シリコン原料を作成できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の構成のろ過装置を示す平面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】ろ過装置と吸引装置の概略を示す図である。
【図4】図1の詳細を示す平面図である。
【図5】図4の側面図である。
【図6】第2のフィルターを説明する概略図である。
【図7】本発明の別の構成ろ過装置を示す平面図である。
【図8】図7のA−A線での断面図である。
【図9】フィルター面を示す平面図である。
【図10】別のフィルター面を示す平面図である。
【図11】さらに別のフィルター面を示す平面図である。
【図12】本発明のさらに別の構成のろ過装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
シリコンウエハ製造で用いられるシリコンインゴットの純度は、99.9999質量%以上と非常に純度が高いので、このシリコンインゴットから生じる研削・研磨屑のシリコン純度も非常に高く、ほとんど不純物が無いシリコンスラッジが得られる。
【0021】
特許文献2においては、固定砥粒のワイヤソーを用いて、99.9999質量%以上と非常に純度の高いシリコンスラッジを用いてシリコンインゴットを製造する方法が記載されている。しかし、高純度のシリコン粉末を、直接溶融炉に投入するため、粉体として舞い上がり又は溶融したシリコンの上に浮いてしまい、シリコンに投入できないという問題点がある。
【0022】
また、半導体製造におけるICの製造工程は、使用する技術や装置設備、製造環境によりウエハ製造装置、組立(アセンブル)工程、検査(テスト)工程の3つに大きく分けられる。そのウエハ製造装置では、単結晶シリコンインゴットから切り出され、表面研磨された5〜8インチ径のシリコンウエハ(シリコン基板)上に、不純物注入、薄膜形成、フォトエッチングを繰り返すことでトランジスタや配線等を形成し、チップを完成させている。そしてウエハ製造装置を完了したシリコンウエハ(ICチップ群)は、組立工程で個々のICチップ単位に切断、分離される。従って、半導体の製造においてシリコンウエハを研削・研磨する際に排出されるシリコンスラッジとは、かかるウエハ製造工程及び組立工程で排出されるシリコンスラッジのことである。また、シリコン基板は最初、数百μmの厚みを有しているが、これは強度を確保するための厚みであり、実際に使用されるシリコンウエハは、組立工程で使用される際に有利なように、その半分の厚さまで研磨により薄くされるので、この研磨だけでも約半分のシリコンが研磨屑として廃棄されている。また、ICチップ単位に切断、分離する際にもシリコン研削、研磨屑が発生している。
【0023】
以上述べたように、現在入手可能なシリコンスラッジは、シリコンウエハ製造で得られるものと、半導体製造で得られるものの2種類あるが、シリコンウエハ製造で得られるシリコンスラッジは、シリコン純度が高く、不純物をほとんど含まないのに対し、半導体製造で得られるシリコンスラッジは、シリコン以外にボロン、リン、タングステン、クロム、チタン、砒素、ガリウム、鉄の不純物元素や、凝集剤、油等の無機、有機物が多く含まれている。
【0024】
特許文献1によれば、シリコンインゴットからのシリコンスラッジからは、太陽電池用シリコンの原料にできるシリコン粉末を製造することが可能であることはもちろんであるが、半導体製造工程で得られる不純物を含むシリコンスラッジからも様々な処理をすることで太陽電池用シリコンの原料にできるシリコン粉末を製造することが可能であると記載されている。
【0025】
そこで、本発明者は上記の問題を解決するために第1のフィルターと第2のフィルターと真空ポンプを用いてシリコンスラリーをろ過するろ過装置とろ過方法を発案した。
【0026】
以下、本発明に関わる一連のシリコンスラリーを原料とする太陽電池用シリコン原料のろ過装置およびろ過方法について説明する。まずろ過装置1およびろ過方法について図1、図2、図3を用いて説明する。さらに図4、図5は、ろ過容器2、フィルター3そしてフィルター容器5の詳細を示す。ろ過装置1は、ろ過容器2、フィルター3、ステンレス網4、脱水孔13を有するフィルター容器5、真空ポンプ11から構成されている。ろ過容器2とフィルター容器5とは、Oリング6を挟んでいる。
【0027】
フッ素系樹脂であるPFA製のろ過容器2は内面の長さが60mm、幅20mm、そして高さが200mmである。フィルター容器5はステンレス製である。フィルター容器5にはフッ素樹脂製のOリング6が取付けられる。フィルター容器5の上面に100メッシュのステンレス網4が置かれている。そしてその上に目開きが約10μmのナイロンメッシュのフィルター3が置かれている。なお、100メッシュのステンレス網4は、ナイロンメッシュが脱水孔13に吸われて、ナイロンメッシュに穴が生じるのを防ぐためのものである。
【0028】
フィルター容器5には、多数の脱水孔13が形成されている。また、フィルター容器5には、真空ポンプ11などを接続するための排気パイプ8が取付けられている。
【0029】
そして排気パイプ8はゴムホース9aを介して吸水装置23に接続されている。吸水装置14は、ゴムホース9b、吸引濾過瓶10、真空ポンプ11で構成されている。
【0030】
次に本発明のろ過装置1を用いたシリコンスラリー12からの水の分離方法について説明する。先ず真空ポンプ11を稼動して、次にシリコンスラリー12をろ過容器2に注入して、シリコンスラリー12から水を吸引濾過する。シリコンスラリー12は、シリコンが約1質量%に対して水が約99質量%である。
【0031】
濾過経路は、フィルター3、ステンレス網4、フィルター容器5の脱水孔13、排気パイプ8、ゴムホース9そして吸引濾過瓶10である。シリコンスラリー12に真空力を作用させて、水を分離すると、水を分離する速度は、向上する。さらにシリコンスラリーの含水率を低下させることができる。ここでの分離した水は、純水ではなく、フィルターを通り抜けたシリコン微粉末そして微量の金属、無機物、有機物の少なくとも1つ以上を含む。
【0032】
ここで本発明者は、真空ポンプ11を入れ、その後シリコンスラリー12を注入すると急速に目開きが約10μmのナイロンメッシュのフィルター3面にシリコン粉末によるフィルター層が形成されることを発見した。このシリコン粉末によるフィルター層が形成されると、ほぼ完全にシリコン粉末と水を分離できる。なお、シリコン粉末は0.1μm〜30μmまでの粒度分布を持っているので、シリコン粉末によるフィルター層が形成されないとシリコン粉末と水を分離できない。
【0033】
次にろ過容器2にシリコンスラリー12を注入し、その後真空ポンプ11を入れると、最初の数秒間目開き約10μmのナイロンメッシュのフィルター3面からシリコン粉末が通過してしまうが、その後、シリコン粉末によるフィルター層が形成されると、ほぼ完全にシリコン粉末と水を分離できるようになる。
【0034】
さらにろ過容器2にシリコンスラリー12を注入し、真空ポンプ11を稼動させないと、目開き約10μmのナイロンメッシュのフィルター3面からシリコン粉末が通過してしまう。かつ、ろ過スピードが格段に遅くなる。
【0035】
以上の現象は、真空ポンプ11による負圧により目開き約10μmのナイロンメッシュにシリコンスラリー12に含まれる粒度分布が0.1μm〜30μmそして、平均粒子径が約3μmのシリコン粉末が、急激にナイロンメッシュの孔に集中し、シリコン粉末のブリッジができてしまい、ナイロンメッシュを通過できなくなると考えられる。また、ブリッジの上方から例えば約1トン/cm2の圧力を加えるとブリッジが破壊され、シリコン粉末がナイロンメッシュを通過してしまう。
【0036】
以上の結果より、真空ポンプ11によりフィルター3面に負圧を加えると、フィルター3面に急速にシリコン粉末によるフィルター層が形成され、最も微粉末である0.1μmのシリコン粉末まで水と分離できる。また、別の実験で目開き約20μmのナイロンメッシュ製のフィルター3を用いたところ、シリコン粉末によるフィルター層が形成され、ほぼ完全にシリコン粉末と水を分離できることを確認した。
【0037】
また、フィルター3面に形成されるシリコンケーキ層の厚さが大きくなると当然ろ過抵抗が増し、ろ過速度が遅くなる。実際に実用できるシリコンケーキ層の厚さは30mm以下であると考えられる。
【0038】
ろ過装置1によりろ過した後のシリコンスラリー12からの水を分離したシリコンケーキの含水率は、約44.2%であった。本発明の真空ポンプ11によりフィルター3面に負圧を加え、フィルター2面にシリコン粉末によるフィルター層を作成方法により、含水率を簡単に50%以下のシリコン成形体を得ることができる。このことにより乾燥中のシリコンの酸化を低減でき、かつ乾燥エネルギーも小さくできる。
【0039】
次の工程として容器より長さ60mm、幅20mmそして厚さ15mmのシリコンケーキを取り出し、窒素雰囲気中で電気炉に投入し、110℃の温度で乾燥する。なお乾燥方法は真空乾燥など他の方法もある。
【0040】
第3の工程として熱処理工程がある。この熱処理は、シリコン塊体から粉末が飛散しないこと、そして取り扱いを容易にするために強度を向上させるためのものである。熱処理温度はアルゴン雰囲気中で、1300℃でかつキープ時間を30分とした。熱処理後は、シリコン塊体からの粉末の飛散はなく、かつ手で触れても粉末は手に付着しなかった。また、熱処理温度を1100℃以下にすると、シリコン塊体に触れると粉末は手に付着した。このことから取り扱い中にシリコン塊体から粉末が飛散する虞がある。
【0041】
第3の工程の熱処理工程は、他に高周波炉による方法など様々な熱処理方法があるが、熱処理後のシリコン塊体から粉末が飛散しないことが求められる。
【0042】
熱処理したシリコン塊体をアルゴン雰囲気下で1600℃で溶解した後に、所謂「一方向凝固法」で凝固させてシリコンインゴットを得た。そして、そのインゴットの上部にある不純物濃縮部を分離除去したところ、得られたシリコンは、鉄0.1ppm以下、酸素0.1ppm以下、ボロンが0.1ppm以下、リン0.1ppm以下で太陽電池の仕様を満たしていた。
【0043】
以上述べたように、本発明は、従来の問題を解決して、シリコンスラッジから太陽電池用シリコンの原材料を製造することができる。
【0044】
ここで、ろ過作業効率を高めるための図7の平面図、図7のA−A線での断面図である図8に示すろ過装置1を構成した。本ろ過装置1によるとろ過ケーキ17をろ過容器2から簡単に取り出せるためにろ過作業の効率が大幅に高まる。
【0045】
ろ過装置1は、ろ過容器2に、ろ過面を下向きにし、ろ過液を上方に取り出す構成になっている。フィルター容器5に、100メッシュのステンレス網を数枚重ね、その下にさらに目開きが約10μmのナイロンメッシュのフィルター3を置く。そして、ろ過ケーキ17を保持するためのろ過ケーキシリンダー16を持つ。また、ステンレス網4とステンレス製のフィルター容器5は溶接により一体化することもある。ここでは、ステンレス網4とステンレス製のフィルター容器5を用いたが、もちろんフッ素樹脂製の網及びフィルター容器5を用いても良い。
【0046】
このろ過装置1の動作について説明する。先ずろ過容器2にスラリー19をスラリー注入パイプ18より供給する。次いで図示しない真空ポンプを稼動し、その後フィルター3などを持つフィルター容器5をろ過容器2のスラリー19中に移動する。
【0047】
真空ポンプ11の吸引力により、スラリー19中の粉末により第1の目開きが約10μmのナイロンメッシュのフィルター3上に第2の粉末によるフィルターができる。そして、第2のフィルター上にろ過ケーキ17が堆積する。
【0048】
ろ過ケーキ17が目標の厚さになったら、フィルター容器5を上方に移動して、さらに横方向に移動して、真空ポンプ11を停止する。その後、空気を導入して、ろ過ケーキ17を下に取り出す。その後、ろ過容器2の真上にフィルター容器5を移動して、真空ポンプを稼動して、スラリー19に向かって移動する。このサイクルを繰り返す。
【0049】
上記のように、フィルター容器5を移動できること、そしてフィルター3面の下にろ過ケーキ17を保持することにより、簡単にろ過ケーキ17を下方向に取り出すことができる。このような構成することにより、ろ過作業効率は大幅に高くなる。
【0050】
図9、図10、図11はろ過面の平面図であり、取り出すろ過ケーキが大きすぎる場合は、図10、図11のように仕切り板20を入れてろ過ケーキ17を細分化する。さらにろ過面は図11のように矩形状にしてもよい。
【0051】
ろ過効率を向上させるためには、ろ過面積を大きくすればよい。図7、図8に示したろ過装置1では、フィルター容器5の下面にフィルター3があった。ここで、フィルター容器5の側面にもフィルター3を設ければ、ろ過面積が増加してろ過能力が高くなる。
【0052】
図12にフィルター容器5の下面および側面にフィルター3を設けたろ過装置1の断面図を示す。フィルター容器5は、側面及び下面に直径約2mmの脱水孔13を多数持つ。そしてそのフィルター容器5の上に100メッシュのステンレス網を2枚重ねる。さらに、その上に目開きが約20μmのナイロンメッシュのフィルター3を置く。また、フィルター容器5は、ステンレス網4から直接スラリー19が入らないようにするゴム板を置く。
【0053】
次に、ろ過装置1の動作について説明する。先ずろ過容器2にスラリー19をスラリー注入パイプ18より供給する。次いで図示しない真空ポンプを稼動し、その後フィルター3などを持つフィルター容器5をろ過容器2のスラリー19中に移動する。
【0054】
真空ポンプの吸引力により、スラリー中の粉末により第1の目開きが約20μmのナイロンメッシュのフィルター上に第2の粉末によるフィルターができる。そして、第2のフィルター上にろ過ケーキが堆積する。
【0055】
ろ過ケーキ17が目標の厚さになったら、フィルター容器5を上方に移動して、さらに横方向に移動して、真空ポンプを停止する。その後、空気を導入して、ろ過ケーキ17を下に取り出す。その後、ろ過容器2の真上にフィルター容器5を移動して、真空ポンプを稼動して、スラリーに向かって移動する。このサイクルを繰り返す。なお、ろ過ケーキを下に取り出す際には、振動、スクレイパーなどによることもある。
【0056】
上記のように、フィルター容器を移動できること、そしてフィルター容器の下面及び側面にろ過ケーキを保持することにより、簡単にろ過ケーキを下方向に取り出すことができる。このような構成することにより、ろ過作業効率は大幅に高くなる。
【0057】
上記のようにシリコンウエハを研削・研磨する際に生じるシリコンスラッジを本発明を用いてろ過することにより安価に太陽電池用シリコンの原材料として用いることのできる高純度シリコン塊体を製造することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 ろ過装置
2 ろ過容器
3 フィルター
4 ステンレス網
5 フィルター容器
6 Oリング
7 ゴム板
8 排気パイプ
9 ゴムホース
10 吸引濾過瓶
11 真空ポンプ
12 シリコンスラリー
13 脱水孔
14 吸水装置
15 シリコン粉末
16 ろ過ケーキシリンダー
17 ろ過ケーキ
18 スラリー注入パイプ
19 スラリー
20 仕切り板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末と水とのスラリーを、真空ポンプによる負圧により、第1のフィルター上に前記粉末を第2のフィルターとすることを特徴とするろ過装置。
【請求項2】
フィルター容器の下側にろ過ケーキを保持することを特徴とする請求項1に記載のろ過装置。
【請求項3】
フィルター容器の側面にろ過ケーキを保持することを特徴とする請求項1に記載のろ過装置。
【請求項4】
スラリーが水とシリコン粉末であることを特徴とする請求項1、2、3に記載のろ過装置。
【請求項1】
粉末と水とのスラリーを、真空ポンプによる負圧により、第1のフィルター上に前記粉末を第2のフィルターとすることを特徴とするろ過装置。
【請求項2】
フィルター容器の下側にろ過ケーキを保持することを特徴とする請求項1に記載のろ過装置。
【請求項3】
フィルター容器の側面にろ過ケーキを保持することを特徴とする請求項1に記載のろ過装置。
【請求項4】
スラリーが水とシリコン粉末であることを特徴とする請求項1、2、3に記載のろ過装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−83759(P2011−83759A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253462(P2009−253462)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【出願人】(500222021)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【出願人】(500222021)
【Fターム(参考)】
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