太陽電池用ポリチオフェン系活性層
本発明は、新規モノマーおよびポリマーならびにそのようなポリマーと電子受容体を含むブレンドに関する。本発明は、(a)下記式:
〔式中、L’は、L−C(O)O−J、L−C(O)NR’−J、L−OCO−J’、L−NR’CO−J’、L−SCO−J’、L−O−J、L−S−J、L−Se−J、L−NR’−JおよびL−CN(式中、Lは、1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキレン基であり、Jは、水素原子または1〜4個の炭素原子を有する直鎖若しくは分枝アルキル基であり、J’は、フェニル構造を含む若しくはフェニル構造を含まない炭素数1〜10の飽和若しくは不飽和の、直鎖若しくは分枝の基であり、R’は、水素原子または1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキル基である〕
で示されるモノマー単位を含むポリマー、および、(b)フラーレン誘導体のような電子受容体を含む光起電装置において使用するためのブレンドに関する。
〔式中、L’は、L−C(O)O−J、L−C(O)NR’−J、L−OCO−J’、L−NR’CO−J’、L−SCO−J’、L−O−J、L−S−J、L−Se−J、L−NR’−JおよびL−CN(式中、Lは、1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキレン基であり、Jは、水素原子または1〜4個の炭素原子を有する直鎖若しくは分枝アルキル基であり、J’は、フェニル構造を含む若しくはフェニル構造を含まない炭素数1〜10の飽和若しくは不飽和の、直鎖若しくは分枝の基であり、R’は、水素原子または1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキル基である〕
で示されるモノマー単位を含むポリマー、および、(b)フラーレン誘導体のような電子受容体を含む光起電装置において使用するためのブレンドに関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規チオフェンモノマーおよびそれを含む共役ポリマーに関する。また、本発明は、新規チオフェン単位を含んでなる共役ポリマーと電子受容体化合物のブレンド、およびそのようなブレンドから製造される太陽電池などの光電子デバイスにも関する。また、本発明は、このような新規チオフェンモノマーの製造方法および重合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
共役ポリマー、特にポリチオフェンポリマーは、電界効果トランジスタや太陽電池などの光電子デバイスにおいて広く使用されている。太陽電池に関して、通常、ポリチオフェンポリマーは電子供与体として用いられ、電子受容体とデバイス内で接触する。この目的のために使用されている電子受容体は、電子求引基を有する別の共役ポリマー、またはフラーレン誘導体若しくはペリレンイミド誘導体などの非重合体分子のいずれかである。有望な太陽光発電構造は、電子供与体と電子受容体のバルクヘテロ接合(BHJ)を含む。バルクヘテロ接合において、供与体−受容体界面は、光生成した励起子がその生成部位の距離LD内で供与体−受容体界面にたどり着く可能性が高くなるよう、多重に折り重なっている。バルクヘテロ接合は、典型的には、電子供与体と電子受容体物質の可溶性型混合物のスピンコーティングにより製造される。スピンコーティングおよび溶媒蒸発の間に、供与体および受容体物質は相分離し、複雑な相互浸透ネットワークを生成する。
【0003】
しかしながら、このネットワークは安定性に欠け、徐々にさらなる相分離をもたらす偏析の傾向があり、それにより不安定性とデバイス性能特性の連続的な低下を引き起こす。例えば、相分離は、供与体/受容体界面の表面の低下、励起子解離の低下、電極に集まる電荷数の低下、短絡電流密度(JSC)および電力変換効率の低下をもたらす。
【0004】
バルクヘテロ接合の安定性を高める1つの方法は、ネットワークを架橋することである。
【0005】
有機半導体物質の分野において、とりわけ、エレクトロルミネセンス素子および直接的構造化手法における活性層の適用のための架橋性物質に対する関心は増しており、それによりシャドーマスクの使用を回避する。
【0006】
Zhu等は、ポリチオフェン−フラーレン混合物に関するバルクヘテロ接合における膜形態を安定化するためのエポキシ官能化フラーレンC60誘導体ならびに架橋性ポリチオフェン誘導体を記載している(Journal of macromolecular science、パートA、pure and applied chemistry、第41巻、N°12、第1467〜1487、2004)。この安定効果は、バルクヘテロ接合が形成される際のこれらの構成要素の重合化または架橋を介して模索された。一旦重合化したエポキシ官能化フラーレンC60誘導体は相分離形態を安定化させることがわかった。架橋性ポリチオフェン誘導体も製造されているが、膜形態の安定化においてほとんど効果はなかった。これらの技術は、光開始剤を利用し、重合/架橋工程のためのUV光を必要とする。これらのUV誘導反応は、ポリマー構造にとって弊害をもたらすラジカルの形成を伴う。
【0007】
光開始剤などの混合された電子的活性化合物の欠点は、その含有が、膜組成、膜形態に悪影響を及ぼし、その後有機デバイスの機能に影響を及ぼし得る反応性不純物をもたらすことである。この欠点は、活性層のナノ形態が(製造工程中だけでなく、製造後の長い期間においても)パラメータ変化に対して非常に敏感である有機バルクヘテロ接合太陽電池などの有機デバイスにとってよりあてはまる。また、バルクヘテロ接合を安定化するために架橋工程は必要であると今まで考えられていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Zhu等、Journal of macromolecular science、パートA、pure and applied chemistry、第41巻、N°12、第1467〜1487、2004
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、架橋工程を利用することなく、かつ、そのような架橋工程を実現する光開始剤を使用することなく、形態学的に安定なバルクヘテロ接合太陽電池の製造を可能にする新規のチオフェン系ポリマーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことに、チオフェン含有ポリマー類が、フラーレン誘導体などの電子受容体と混合した場合に安定なバルクヘテロ接合を形成する予期せぬ能力を有していることがわかった。
【発明を実施するための形態】
【0011】
前記チオフェン系ポリマーを含有する活性層のナノ形態時の安定化を可能にするチオフェン系ポリマーを製造することができることは、本発明のいくつかの実施態様の優れた点である。例えば、本発明の実施態様に従うチオフェン系ポリマーを含んでなる有機バルクヘテロ接合太陽電池における活性層は、前記物質を架橋することなく安定なナノ形態を有する。
【0012】
形態の光安定化が、例えば、バルクヘテロ接合太陽電池の出力効率および/または短絡回路電流などのデバイスの性能特性の安定化を伴うことも、本発明のいくつかの実施態様の別の優れた点である。
【0013】
形態の安定化が、デバイス、特に太陽電池の所定の性能レベルに対する耐用年数の増加をもたらすことは、本発明のいくつかの実施態様の別の優れた点である。
【0014】
太陽電池の出力効率の安定性が活性層の安定性に関連しているであろうことは、本発明のいくつかの実施態様の別の優れた点である。この活性層は、本発明の実施態様に従うポリマー(p型、電子供与体)およびn型(電子受容体)成分のいずれもが可溶である有機溶剤から薄膜として加工することができ、また、本発明の実施態様に従うp型ポリマーと、p型ポリマーが本発明の実施態様に従うポリマーではなかった場合に経時的に分離する傾向にあるn型物質(例えば、C60フラーレン誘導体またはn型半導体ポリマー)のブレンドから製造し得る。
【0015】
本発明の目的は、バルクヘテロ接合太陽電池用途のための、p型物質とn型物質に基づく安定な活性層を提供することである。このブレンドは、特定の側鎖を有するチオフェン単位を含んでなるp型ポリマーと、様々な比率で混合されたn型物質から製造することができ、かつ、例えば溶液から薄膜として加工することができる。このようなブレンドに含まれるn型物質は、本発明の実施態様に従うポリマーから電子を受容できる任意の分子、オリゴマーまたはポリマーであってよい。指針として、通常、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)と接触した際に電子伝達を操作することで知られるn型物質を使用することができる。 これは、本発明の実施態様に従うポリマーがP3HTに電子的に類似するためにいえることである。
【0016】
第1の態様において、本発明は、構造式(I):
【化1】
〔式中、
Lは、1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキレン基であり、
Jは、水素原子または1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキル基であり、かつ、
XおよびYは、互いに独立して、水素、クロロ、ブロモ、ヨード、ボロン酸、ボロン酸エステルおよび有機スズからなる群から選択される〕
で表される化合物に関する。
【0017】
この化合物は、繰り返し単位としてまたはポリマー若しくはコポリマーにおける末端基として組み込むのに適したモノマーである。官能基XおよびYの少なくとも1つは、そのような組み込み可能な官能基である。
【0018】
XおよびYのいずれもが水素原子の場合、この化合物の重合または共重合は、酸化カップリングにより行われる。
【0019】
XおよびYのいずれか1つのみが水素原子である場合、ポリマー鎖若しくはコポリマー鎖の末端の末端基としてこの化合物の組み込みを生じることだけができる。これは、重合が酸化的であるか還元的であるかにかかわらず言えることである。
【0020】
XおよびYのいずれも水素でない場合、この化合物の重合若しくは共重合は、還元カップリングにより行われる。
【0021】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の第1態様の化合物は、限定されるものではないが、例えば、Riekeカップリング(例えば、T.−A.Chen、R.D.Riekeによる、J.Am.Chem.Soc.(1992)114、10087に開示された方法に類似する方法に従う)、McCulloughカップリング(例えば、R.D.McCullough等による、J.Chem.Soc.、Chem.Commun.、1992.70または米国特許第6,166,172号に開示された方法に類似する方法に従う)、Stilleカップリング(例えば、Milstein、D.;Stille,J.K.による、J.Am.Chem.Soc.1978,100,3636またはD.Milstein、J.K.Stilleによる、J.Am.Chem.Soc.、1979,101,4992に開示された方法に類似する方法に従う)、Suzukiカップリング(例えば、N.Miyaura、T.Yanagi、A.Suzukiによる、Synth.Commun.、1981、11、513に開示された方法に類似する方法に従う)またはYamamotoカップリング(例えば、T. Yamamoto、A.Morita、Y.Miyazaki、T.Maruyama、H.Wakayama、Z.H.Zhou、Y.Nakamura、T.Kanbara、S.SasakiおよびK.Kubotaのよる、Macromolecules、1992、25、1214に開示された方法に類似する方法に従う)などの還元カップリングにより重合若しくは共重合され得る。
【0022】
反応性カップリングは、立体規則性ポリマー、すなわち、80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは89%以上の立体規則性を有するポリマーの合成を可能にするため有利である。
【0023】
1つの実施態様において、モノマーは、2つの同一の(すなわち、X=Y)または異なる反応性ハロゲン(例えば、I、Br若しくはCl)または疑似ハロゲンを含んでいてよい。これにより、RiekeまたはYamamotoカップリング重合におけるその重合若しくは共重合、またはボロン酸およびボロン酸エステルからなる群から選択される2つの同一または異なる反応性基を含んでなるコモノマーによるSuzukiカップリングにおけるその共重合、あるいは2つの同一または異なる有機スズ反応性基を含んでなるコモノマーによるStilleカップリングにおけるその共重合が可能となる。好ましくはX=Yであり、最も好ましくはX=Y=ハロゲンである。
【0024】
別の実施態様において、モノマーは、ボロン酸およびボロン酸エステルからなる群から選択される2つの同一または異なる反応性基を含んでいてよい(好ましくはX=Y)。これにより、2つの同一(すなわち、X=Y)または異なる反応性ハロゲン(例えばI、Br若しくはCl)または疑似ハロゲンを含んでなるコモノマーによるSuzukiカップリングにおけるその共重合が可能となる。
【0025】
さらに別の実施態様において、モノマーは、1つの反応性ハロゲン(例えば、I、Br若しくはCl)または疑似ハロゲンおよび、ボロン酸若しくはボロン酸エステルからなる群から選択される別の反応性基を含んでいてよい(すなわち、XとYは異なる)。これにより、Suzukiカップリングによるその重合または共重合が可能となる。
【0026】
2つの同一または異なるハロゲン若しくは疑似ハロゲンを含んでなる1つのコモノマーと、ボロン酸若しくはボロン酸エステルからなる群から選択される2つの同一または異なる反応性基を含んでなる第2のコモノマーとの間でSuzukiカップリングが行われる場合、この2つのコモノマーは等モル比で存在することが好ましい。
【0027】
別の実施態様において、モノマーは、1つの反応性ハロゲン(例えば、I、Br若しくはCl)または疑似ハロゲンと、1つの反応性有機スズ基を含んでいてよい(すなわち、XとYは異なる)。これにより、Stilleカップリングによるその重合または共重合が可能となる。
【0028】
2つの同一または異なるハロゲン若しくは疑似ハロゲンを含んでなる1つのコモノマーと、2つの同一または異なる反応性有機スズ基を含んでなる第2のコモノマーとの間でStilleカップリングが行われる場合、この2つのコモノマーは等モル比で存在することが好ましい。
【0029】
通常、製造されるポリマーの高い分子量を考慮して、上述した重合工程のいずれかにより生じる末端基の性質を決定することは困難であるが、一般的に、出発モノマーに存在する脱離基(例えば、ハロゲン、疑似ハロゲン、ボロン酸、ボロン酸エステル若しくは有機スズ)と同じ性質であるか、または水素であると認められる。
【0030】
選択すべき末端基を(コ)ポリマーに導入するための方法は、当業者によく知られている。第1の方法(いわゆる「ワンポット」法)は、重合の開始時から、末端分子をモノマー若しくはコモノマーとともに反応混合物中に投入することを含む。第2の方法は、前記段落において説明した(コ)ポリマーを製造する第1段階と、この(コ)モノマーを末端分子と反応させる第2段階を含む。いずれの方法においても、末端分子は芳香族分子であり、好ましくは、ただ1つの反応性ハロゲン(例えば、I、Br若しくはCl)、ボロン酸、ボロン酸エステル、有機スズまたは反応性カップリングに有用な当業者に既知の他の基を含むか、そうでなければ前記コモノマーに類似する。
【0031】
第1の方法に従う末端基導入の例は、C.Ego等による、J.of the Am.Chem.Soc.125(2)(2003)、437−443に開示されている。
【0032】
式(I)において、好ましくは、Lは直鎖のアルキレン基である。Lは、好ましくは2〜8個の炭素原子を有し、より好ましくは4〜6個の炭素原子を有し、最も好ましくは5個の炭素原子を有する。好ましい実施態様において、Lは、炭素数5個の直鎖アルキレン基、すなわちペンタメチレン基である。
【0033】
式(I)において、Jは、好ましくは1〜3個の炭素原子を有する、最も好ましくは2個の炭素原子を有する直鎖アルキル基である。
【0034】
いくつかの実施態様において、本発明の第1態様のモノマーは下記構造を有する。
【化2】
【0035】
いくつかの実施態様において、本発明の第1態様のモノマーは下記構造を有する。
【化3】
【0036】
第2の態様において、本発明は、式(IV):
【化4】
〔式中、LおよびJは、本発明の第1態様の実施態様における定義と同じである〕
で示される少なくとも1つのモノマー単位を含むポリマーに関する。
このポリマーは、ホモポリマーであっても、コポリマーであってもよい。
【0037】
本発明のポリマー(ホモポリマーまたはコポリマー)の(標準ポリスチレンに基づき測定した)重量平均分子量Mwは、例えば、約10,000〜約300,000ダルトンの範囲であってよく、例えば、約12,500〜200,000ダルトンまたは15,000〜100,000ダルトンの範囲であり得る。本発明のポリマー若しくはコポリマーの多分散性指数(PD=Mw/Mn)は、例えば、1.05〜約10.0であってよく、例えば、1.5〜5.0または1.7〜3.0であり、好ましくは1.8〜2.5であり得る。
【0038】
本発明の特定の実施態様において、本発明の第2態様のポリマーとしては、構造式(IV)で示されるモノマー単位を含んでなるホモポリマー、および、モノマー単位(IV)に加えて少なくとも1つのコモノマーArをランダム配列、交互配列、またはブロック配列で含んでなる、2個以上の異なるモノマー単位を含むコポリマーが挙げられる。ランダム配列は、例えば、第1および第2コモノマーを、互いに反応させることも、それ自体で反応させることもできる場合に得ることができる(例えばYamamoto反応)。交互配列は、例えば、第1および第2コモノマーを互いに反応させることだけができ、それ自体で反応させることができない場合に得ることができる(例えば、第1モノマーが2個の臭素基を含み、第2モノマーが2個のボロン酸エステル官能基を含む場合のSuzuki反応)。ブロック配列は、それ自体および第1モノマーと反応することができる第2モノマーが反応媒体に導入される前に、それ自体で反応することができる第1コモノマーを重合することができる場合に得ることができる。ブロック配置を得るための他の方法は、第1タイプのモノマーのみを含むポリマーをはじめに合成し、その後このポリマーを、第2タイプのモノマーのみを含む別のポリマーと反応させることであり得る。
【0039】
本発明の第1態様の任意の実施態様に従うモノマー、特に構造式(I)により示されるモノマー、と共重合することができる適当なモノマーとしては、下記一般式:
X’−Ar−Y’ (V)
〔式中、X’およびY’は、互いに独立して、水素、クロロ、ブロモ、ヨード、ボロン酸、ボロン酸エステルおよび有機スズからなる群から選択される〕で示されるモノマーが挙げられる。
【0040】
この化合物(V)は、コポリマーに組み込むのに適したコモノマーである。官能基X’およびY’の少なくとも1つは、共重合により、または末端基としてそのような組み込みを可能にする官能基である。
【0041】
X’およびY’のいずれもが水素原子の場合、この化合物の共重合は酸化カップリングにより行われる。
【0042】
X’およびY’のいずれか1つのみが水素原子である場合、ポリマー鎖若しくはコポリマー鎖の末端の末端基としてこの化合物の組み込みを生じることだけができる。これは、重合が酸化的であるか還元的であるかに係わらず言えることである。
【0043】
X’およびY’のいずれも水素でない場合、この化合物の共重合は還元カップリングにより行われる。
【0044】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の第1態様の化合物は、式(V)のコモノマーで述べたような反応性カップリング反応により共重合され得る。
【0045】
好ましい実施態様において、モノマーは、反応性ハロゲン(例えば、I、Br若しくはCl)、疑似ハロゲン、ボロン酸、ボロン酸エステル、有機スズおよび反応性カップリングに有用な当業者に既知の他の基からなる群から選択される2つの反応性基を含んでいてよい。本発明の第2態様に従うコポリマーの形成に適するコモノマーとしては、とりわけ、フルオレン誘導体[限定するものではないが、2,7−ジブロモ−9,9−ジアルキルフルオレンまたは2,7−ジブロモ−9,9−ジアリールフルオレン(例えば、C.Ego等、Adv.Mater.14(2002)809−811参照)]、インデノフルオレン誘導体(例えば、S.Setayesh、Macromolecules(2000)33:2016参照)、フェニレンまたはラダー型フェニレン誘導体(例えば、J.Grimme等、Adv.Mat.(1995)7、292参照)、アニリン誘導体、チオフェン誘導体(例えば、2,5−ジブロモチオフェンおよび2,5−ジブロモ−3−C1〜20アルキルチオフェン)、フルオレノン誘導体(限定するものではないが、例えば、2,7−ジブロモフルオレノン)、ナフタレン誘導体(限定するものではないが、例えば、2,6−ジブロモナフタレンおよび1,4−ジブロモナフタレン);アントラセン誘導体(限定するものではないが、例えば、1,4−ジブロモアントラセン、2,6−ジブロモアントラセンおよび9,10−ジブロモアントラセン);フラン誘導体(限定するものではないが、例えば、2,5−ジブロモフラン);ピロール誘導体(限定するものではないが、例えば、2,5−ジブロモピロール);1,3,4−オキサジアゾール−2,5−ジイル 誘導体;1,3,4−チアジアゾール−2,5−ジイル誘導体;2,3−ベンゾ[C]チエニレン誘導体;チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル誘導体;ピロール[3,2−b]ピロール−2,5−ジイル誘導体;ピレン誘導体(限定するものではないが、例えば、2,7−ジブロモピレンおよび2,7−ジブロモ−4,5,9,10−テトラヒドロピレン);4,4’−ビフェニレン誘導体;フェナントレン誘導体(限定するものではないが、例えば、2,7−ジブロモフェナントレン;3,6−ジブロモフェナントレンおよび2,7−ジブロモ−9,10−ジヒドロフェナントレン);ジベンゾ−フラン−2,7−ジイル誘導体;ジベンゾ−チオフェン−2,7−ジイル誘導体、3,6−ジブロモカルバゾール誘導体およびペリレン誘導体(C.Ego等、J.Am.Chem.Soc.125(2)(2003)437−443参照)が挙げられる。
【0046】
1つの実施態様において、コモノマーX’−Ar−Y’は、2つの同一の(すなわち、X’=Y’)または異なる反応性ハロゲン(例えば、I、BrまたはCl)若しくは疑似ハロゲンを含有していてよい。これにより、式(I)〔式中、XおよびYもハロゲンまたは疑似ハロゲンである〕のモノマーとの、RiekeまたはYamamotoカップリング重合におけるその共重合が可能となる。また、ボロン酸およびボロン酸エステルからなる群から選択される2つの同一または異なる反応性基を含んでなる式(I)のモノマーとのSuzukiカップリングにおけるその共重合、あるいは2つの同一または異なる有機スズ反応性基を含んでなる式(I)のモノマーとのStilleカップリングにおけるその共重合も可能となる。好ましくはX’=Y’である。
【0047】
別の実施態様において、コモノマーは、ボロン酸およびボロン酸エステルからなる群から選択される2つの同一または異なる反応性基を含んでいてよい(好ましくはX’=Y’)。これにより、2つの同一(すなわち、X=Y)または異なる反応性ハロゲン(例えばI、Br若しくはCl)または疑似ハロゲンを含んでなる式(I)のモノマーとのSuzukiカップリングにおけるその共重合が可能となる。
【0048】
さらに別の実施態様において、コモノマーは、1つの反応性ハロゲン(例えば、I、Br若しくはCl)または疑似ハロゲンおよび、ボロン酸若しくはボロン酸エステルからなる群から選択される別の反応性基を含んでいてよい(すなわち、X’とY’は異なる)。これにより、1つの反応性ハロゲン(例えば、I、Br若しくはCl)または疑似ハロゲンおよび、ボロン酸若しくはボロン酸エステルからなる群から選択される別の反応性基を含む式(I)のモノマーとの、Suzukiカップリングによるその共重合が可能となる。
【0049】
別の実施態様において、コモノマーは、1つの反応性ハロゲン(例えば、I、Br若しくはCl)または疑似ハロゲンと、1つの反応性有機スズ基を含んでいてよい(すなわち、X’とY’は異なる)。これにより、1つの反応性ハロゲン(例えば、I、Br若しくはCl)または疑似ハロゲンと、1つの反応性有機スズ基を含む(すなわち、XとYは異なる)式(I)のモノマーとの、Stilleカップリングによるその共重合が可能となる。
【0050】
第2態様の実施態様において、このポリマーは式(IV)で示されるモノマーと少なくとも1つのコモノマーを含んでなるランダム、交互またはブロックコポリマーであってよい。
【0051】
第2態様の実施態様において、前記の少なくとも1つのコモノマーは、単素環芳香族基または複素環芳香族基である。この芳香族基は置換されていてもよい。例えば、C1〜20−アルキル、C1〜20アルコキシ、C1〜20−アルキルスルフェート、フェニルおよびベンジルからなる群から独立して選択される1つ以上の置換基により置換され得る。
【0052】
言い換えると、本発明の第2態様の実施態様において、ポリマーは、
【化5】
〔式中、Arは、単素環芳香族基または複素環芳香族基である。この基は、置換されていてもよい。例えば、C1〜20−アルキル、C1〜20アルコキシ、C1〜20−アルキルスルフェート、フェニルおよびベンジルからなる群から独立して選択される1つ以上の置換基により置換されていてよく、mおよびnは繰り返し単位の数であり、LおよびJは、本発明の第1態様における定義と同じである。〕
を含む構成単位を有するコポリマー(例えば、ランダムコポリマー)であってよい。
【0053】
好ましくは、Arは、1つ以上の、炭素数6〜10の直鎖または分枝アルキル基により置換される。
【0054】
本発明の第2態様の実施態様において、コモノマーは下記式:
【化6】
〔式中、Rは、炭素数6〜10の直鎖または分枝アルキル基である〕
で示され得る。
【0055】
言い換えると、本発明の第2態様の別の実施態様は、下記式:
【化7】
〔式中、Rは、炭素数6〜10の直鎖または分枝アルキル基である〕
で示されるコポリマーに関する。
【0056】
本発明の第2態様の任意の実施態様において、このコポリマーは、3:2〜1:49、好ましくは3:2〜1:19、より好ましくは1:4〜1:19の比率で、式(IV)で示されるモノマー単位とコモノマーを含んでいてよい。
【0057】
言い換えると、本発明の第2態様の任意の実施態様において、m/(m+n)は0.40以上、0.60以上または0.80以上であってよい。また、本発明の第2態様の任意の実施態様において、m/(m+n)比は、0.98以下または0.95以下であってよい。m/(m+n)比に対するこれらの上限は全て、上述した全ての下限値と組み合わせることができる。例えば、m/(m+n)比は、0.40〜0.98(これは、0.67〜49のm/n比に相当)であることができ、好ましいm/(m+n)は0.40〜0.95であり、より好ましくは0.80〜0.98または0.80〜0.95である。これら少なくとも2つのより高い(m/m+n)値の範囲は、電気的特性を著しく低下させることなく、それによりデバイス性能特性を低下させることなく、所望する安定性の増加を可能とするため有利である。
【0058】
第3の態様において、本発明は、本発明の第2態様に従うポリマーの製造方法であって、第2態様に従う化合物、および場合により式(V)のコモノマーを還元カップリングにより重合させることを含む方法に関する。
【0059】
第4の態様において、
(a)
【化8】
〔式中、L’は、L−C(O)O−J、L−C(O)NR’−J、L−OCO−J’、L−NR’CO−J’、L−SCO−J’、L−O−J、L−S−J、L−Se−J、L−NR’−JおよびL−CN(式中、Lは、1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキレン基であり、Jは、水素原子または1〜4個の炭素原子を有する直鎖若しくは分枝アルキル基であり、J’は、フェニル構造を含む若しくはフェニル構造を含まない炭素数1〜10の飽和若しくは不飽和の、直鎖若しくは分枝の基であり、R’は、水素原子または1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキル基である)からなる群から選択される〕
を含んでなるモノマー単位を有するポリマー、および、
(b)フラーレン誘導体のような電子受容体
を含む、光起電デバイスにおいて使用するためのブレンドに関する。
【0060】
フラーレン誘導体としては、例えば、C28、C36、C50、C60、C70、C72、C76およびC84誘導体が挙げられる。最も一般的に使用されるフラーレン誘導体は、C60およびC70誘導体である。例えば、C60誘導体である[6,6]−フェニル−C61−絡酸メチルエステル(PCBM)がある。(例えば、ペンダント基として)フラーレン単位を組み込んだポリマーもフラーレン誘導体として理解されるべきである。
【0061】
ブレンドは、好ましくはバルクヘテロ接合である。
Lは、好ましくは直鎖アルキレン基である。Lは、好ましくは2〜8個の炭素原子を有する。
【0062】
一実施態様において、L’は式L−C(O)O−JまたはL−C(O)NR’−Jを有し、Lは、より好ましくは4〜6個の炭素原子を有し、最も好ましくは5個の炭素原子を有する。
【0063】
好ましい実施態様において、L’は式L−C(O)O−JまたはL−C(O)NR’−Jを有し、Lは炭素数5の直鎖アルキレン基(すなわち、ペンタメチレン基)である。
【0064】
一実施態様において、L’は式L−C(O)O−JまたはL−C(O)NR’−Jを有し、Jは、好ましくは1〜3個の炭素原子、最も好ましくは2個の炭素原子を有する直鎖アルキル基である。
【0065】
いくつかの実施態様において、L’は、下記構造:
【化9】
〔式中、★はチオフェニレンとの接合部位を示す〕
を有する。
【0066】
一実施態様において、L’は式L−OCO−J’またはL−NR’CO−J’を有し、Lは、好ましくは1〜4個の炭素原子を有し、より好ましくは1〜3個の炭素原子を有し、最も好ましくは2個の炭素原子を有する(すなわち、エチレン基である)。
【0067】
一実施態様において、L’は式L−OCO−J’またはL−NR’CO−J’を有し、J’は、好ましくは1〜8個の炭素原子を有する。例えば、J’は、メチル基またはシンナモイル基であり得る。
【0068】
一実施態様において、L’は式L−O−J、L−S−JまたはL−Se−Jであり、Lは、好ましくは1〜4個の炭素原子を有し、より好ましくは1〜3個の炭素原子を有し、最も好ましくは2個の炭素原子を有する(すなわち、エチレン基である)。
【0069】
一実施態様において、L’は式L−O−J、L−S−JまたはL−Se−Jであり、Jは、好ましくは水素またはメチルであり、最も好ましくは水素である。
【0070】
第4態様の実施態様において、本発明は、ポリマーが、式(IV)のモノマー単位および少なくとも1つのコモノマーを含んでなるランダムコポリマー、交互コポリマーまたはブロックコポリマーであるブレンドに関する。
【0071】
第4態様の実施態様において、少なくとも1つのコモノマーが、単素環芳香族基または複素環芳香族基であってよい。この芳香族基は置換されていてもよい。例えば、C1〜20−アルキル、C1〜20アルコキシ、C1〜20−アルキルスルフェート、フェニルおよびベンジルからなる群から独立して選択される1つ以上の置換基により置換され得る。
【0072】
言い換えると、一実施態様において、ポリマーは、
【化10】
〔式中、Arは、単素環芳香族基または複素環芳香族基である。この基は、置換されていてもよい。例えば、C1〜20−アルキル、C1〜20アルコキシ、C1〜20−アルキルスルフェート、フェニルおよびベンジルからなる群から独立して選択される1つ以上の置換基により置換されていてよく、mおよびnは繰り返し単位の数である。〕
で示されるコポリマーであってよい。
【0073】
本発明の第4態様の実施態様において、本発明は、前記コモノマーが下記式:
【化11】
〔式中、Rは、炭素数6〜10の直鎖または分枝アルキル基である〕
で示されるブレンドに関する。
【0074】
言い換えると、別の実施態様において、ポリマーは、下記式:
【化12】
〔式中、Rは、炭素数6〜10の直鎖または分枝アルキル基である〕
で示されるコポリマーであってよい。
【0075】
一実施態様において、このコポリマーは、3:2〜1:19、好ましくは1:4〜1:19の比率で、式(IV)で示されるモノマー単位とコモノマーを含んでいてよい。
【0076】
言い換えると、一実施態様において、m/(m+n)は、0.40〜0.98、好ましくは0.80〜0.98、より好ましくは0.80〜0.95であってよい。
【0077】
上述した任意の実施態様において、ポリマーは、ランダムコポリマー、交互コポリマーまたはブロックコポリマーであり得る。
【0078】
本発明の第4態様の実施態様において、前記ブレンドに含まれるポリマーは本発明の第2態様の任意の実施態様のポリマーである。
【0079】
第5の態様において、本発明は、本発明の第4態様の任意の実施態様に従うブレンドを含んでなる光電子デバイスに関する。
【0080】
活性層として使用するために、本発明のポリマーおよびブレンドは、一般的に、当業者に周知の方法(例えば、浸漬法、スピンコーティング、インクジェット印刷、スクリーン印刷など)により、薄膜の形態で基材に対して塗布される。好ましくはスピンコーティングを用いる。
【0081】
同様に、本発明は、1つ以上の活性層を有し、これらの活性層の少なくとも1つが1つ以上の本発明のポリマーまたはブレンドを含んでなる有機太陽電池に関する。
【0082】
一実施態様において、第5態様による光電子デバイスは、陽極、陰極および本発明の第4態様に従うブレンドを含んでなり、前記陽極または陰極の少なくとも1つは、少なくとも一部の太陽スペクトルに対して透過的である光起電デバイスである。好ましくは、ブレンドが前記陽極と前記陰極の間に挟みこまれている。
【0083】
本発明のポリマーまたはブレンドを含む活性層を有する有機太陽電池は、(特に、基板、電極、p型/n型比、溶剤、濃度などのパラメータに関する)文献に記載されているような最新技術を用いて製造される。
【0084】
典型的な有機光起電デバイスは、一般的に下記を含む:
・基板(好ましくは、ガラスなどの透明基板)
・第1導伝層(好ましくは、ITOなどの透明導伝層)
・場合により、1つ以上の正孔輸送層
・本発明の実施態様に従うブレンドなどの活性層
・場合により、1つ以上の電子輸送層
・場合により、金属電極のような第2導伝層。
【0085】
本発明の実施態様において、基板は1つの物質からまたは1つ以上の物質から形成することができる。基板は、有機または無機であってよく、平面または非平面であってよい。適当な無機基板の例は、ガラスおよび石英である。適当な有機基板の例は、限定されるものではないが、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)およびポリカーボネート等の透明ポリマーである。基板は、硬質であっても軟質であってもよい。
【0086】
第1導伝層は、陽極の役割を果たす。典型例は、酸化インジウムスズ(ITO)である。他の例は、例えばSnまたはFによりドープした酸化スズである。
【0087】
正孔輸送層に利用可能な物質は当業者に周知であり、例えば、ポリアニリン(「PANI」)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(「PEDOT」)、PEDOT:PSS、ポリピロール、有機電荷移動化合物(例えば、テトラチアフルバレンテトラシアノキノジメタン(「TTF−TCNQ」)など)、ならびに高仕事関数金属酸化物、例えば酸化モリブデン、酸化バナジウム、および酸化タングステンなどが挙げられる。正孔輸送材料の他の例は、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)である。
【0088】
電子輸送層に利用可能な物質は当業者に周知であり、例えば、金属キレートオキシノイド化合物(例えば、Alq3またはアルミニウム(III)ビス(2−メチル−8−キノリナト)4−フェニルフェノレート(「BAlq」));フェナントロリン系化合物(例えば、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(「DDPA」)または9,10−ジフェニルアントラセンス(「DPA」));アゾール化合物(例えば、2−tert−ブチルフェニル−5−ビフェニル−1,3,4−オキサジアゾール(「PBD」)または3−(4−ビフェニル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(「TAZ」);ジフェニルアントラセン誘導体;ジナフチルアントラセン誘導体;4,4−ビス(2,2−ジフェニル−エテン−1−イル)−ビフェニル(「DPVBI」);9,10−ジ−β−ナフチルアントラセン;9,10−ジ−(ナフェンチル(naphenthyl))アントラセン;9,10−ジ−(2−ナフチル)アントラセン(「ADN」);4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(「CBP」);9,10−ビス−[4−(2,2−ジフェニルビニル)−フェニル]−アントラセン(「BDPVPA」);アントラセン、N−アリールベンゾイミダゾール(「TPBI」など);1,4−ビス[2−(9−エチル−3−カルバゾイル)ビニレニル]ベンゼン;4,4’−ビス[2−(9−エチル−3−カルバゾイル)ビニレニル]−1,1’−ビフェニル;9,10−ビス[2,2−(9,9−フルオレニレン)ビニレニル]アントラセン;1,4−ビス[2,2−(9,9−フルオレニレン)ビニレニル]ベンゼン;4,4’−ビス[2,2−(9,9−フルオレニレン)ビニレニル]−1,1’−ビフェニル;ペリレン、置換ペリレン;テトラ−tert−ブチルペリレン(「TBPe」);ビス(3,5−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)フェニル−(2−カルボキシピリジル)イリジウムIII(「F(Ir)Pic」);ピレン、置換ピレン;スチリルアミン;フッ素化フェニレン;オキシダゾール;1,8−ナフタルイミド;ポリキノリン;PPV中の1つ以上のカーボンナノチューブ、ならびに酸化チタンおよび酸化亜鉛などの低仕事関数金属酸化物などが挙げられる。
【0089】
電極先端部に適用する前に、好ましくは活性層に、コポリマー中のコポリマー比に応じて決まる温度でアニーリング工程を施す。電極(陰極)(例えば、20nmCaおよび80nmAlまたは100nmイッテルビウム)の選択は、太陽電池の老化特性にはほとんど影響しないが、初期電力効率の絶対値に影響を及ぼす。
【0090】
本発明は、1つ以上の活性層を有する有機太陽電池にも関する。少なくとも1つのこれらの活性層は、1タイプの電子伝導性を有する本発明の第5態様に従うブレンドと第2の半導体物質(例えば、C60誘導体のような小分子またはn型(電子受容性)半導体などのポリマー)から製造される。
【0091】
さらに、本発明のポリマーおよびブレンドは、有機系デバイス、限定されるものではないが、例えば太陽電池(2層、バルクヘテロ接合、多層セル、色素増感、有機/有機、有機/ポリマー、有機/無機、反転デバイス構造など)に適している。
【0092】
本発明の第5態様の実施態様によれば、1つ以上の「安定な」活性層を含んでなる時間安定性有機太陽電池が提供される。前記安定性を確保するために、活性層の硬化、特にUV硬化は必要とされない。
【0093】
第6の態様において、本発明は、バルク接合太陽電池の形態を安定化させるための、式(IX)〔式中、L’は本発明の第4態様の実施例におけるものと同じ定義である〕のモノマー単位を有するポリマーの使用に関する。
【0094】
〔定義〕
本明細書において使用する用語「電子供与体」は、別段の定めがある場合を除いて、1個以上の電子を電子受容体に対して供与できる化合物を意味する。同様に、用語「電子受容体」は、電子供与体から1個以上の電子を受容できる化合物を意味する。周知の電子受容体物質は、フラーレンおよび/またはフラーレン誘導体である。しかしながら、他の物質、例えばシアノ置換共役ポリマー〔例えば、CN−MEH−PPV(ポリ−[2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキシルオキシ)−1,4−(1−シアノビニレン)−フェニレン])〕、ベンゾチアジアゾール含有共役ポリマー〔例えば、F8TB(ポリ(9,9’−ジオクチルフルオレンコ−ベンゾチアジアゾール)〕またはペリレン系小分子(例えば、ペリレンジカルボキシイミド誘導体)も電子受容体として考える。一実施態様において、電子受容体は、例えば[6,6]−フェニル−C61−絡酸メチルエステルなどのフラーレン誘導体であってよい。
【0095】
本明細書において使用する用語「ボロン酸エステル」は、別段の定めがある場合を除いて、水素が任意の有機基、好ましくはヒドロカルビル基により置換され、アルコールまたはジオールとの縮合により得ることのできるボロン酸誘導体を意味し、限定するものではないがジオキサボロランおよびジオキサボリナンが挙げられる。
【0096】
本明細書において使用する用語「有機スズ」は、別段の定めがある場合を除いて、構造式SnR9R10R11〔式中、R9、R10およびR11は、独立して、ハロゲン、C1〜20アルキル、C3〜10シクロアルキル、アリール、ベンジルおよびC2〜7アルケニルからなる群から選択される(ただし、R9、R10およびR11は、同時にハロゲンであることはない)〕で示される基を意味する。そのような有機スズ基は、限定されるものではないが、下記に挙げるスズ化合物から誘導され得る:ジ−n−ブチルスズジブロミド、ジ−n−ブチルスズジクロリド、ジ−tert−ブチルスズジクロリド、ジメチルスズジブロミド、ジメチルスズジクロリド、ジメチルスズジフルオリド、ジメチルスズジヨード、ジフェニルスズジクロリド、ジフェニルスズジブロミド、ジフェニルスズジフルオリド、ジフェニルスズジヨード、トリブチルスズフルオリド、トリブチルスズクロリド、トリブチルスズブロミド、トリブチルスズヨード、フェニルスズトリブロミド、フェニルスズトリクロリド、トリシクロヘキシリルスズクロリド、トリエチルスズブロミド、トリエチルスズクロリド、トリエチルスズヨード、ビニルトリブチルスズ、テトラブチルスズ、ブチルスズトリクロリド、n−ブチルビニルスズジクロリド、ジアリルジブチルスズ、ジアリルジフェニルスズ、ジブチルビニルスズブロミド、ジブチルビニルスズクロリド、ジクロロジ−m−トリルスタナン、ジエチルジイソアミルスズ、ジエチルジイソブチルスズ、ジエチルジフェニルスズ、ジエチルイソアミルスズブロミド、ジエチルイソアミルスズクロリド、ジエチルイソブチルスズブロミド、ジエチル−n−プロピルスズブロミド、ジエチル−n−プロピルスズクロリド、ジエチル−n−プロピルスズフルオリド、ジエチルスズジブロミド、 ジエチルスズジクロリド、ジエチルスズジフルオリド、ジエチルスズジヨード、ジイソアミルスズジブロミド、ジイソアミルスズジクロリド、ジイソアミルスズジヨード、ジイソブチルスズジクロリド、ジイソブチルスズジヨード、ジイソプロピルスズジクロリド、ジイソプロピルスズジブロミド、ジメチルジエチルスズ、ジメチルジイソブチルスズ、ジメチルジオクチルスズ、ジメチルジビニルスズ、ジメチルエチルプロピルスズ、ジメチルエチルスズヨード、ジメチルジビニルスズ、ジメチルビニルスズブロミド、ジメチルビニルスズヨード、ジフェニルジビニルスズ、ジプロピルスズジフルオリド、ジプロピルスズジヨード、ジプロピルスズジクロリド、ジプロピルスズジブロミド、ジ−o−トリルスズジクロリド、ジ−p−トリルスズジクロリド、ジトリフェニル−スタニルメタン、ジビニルブチルスズクロリド、ジビニルスズジクロリド、エチルジイソアミルスズブロミド、エチルジイソブチルスズブロミド、エチルメチルプロピルスズヨード、エチル−n−プロピルジイソアミルスズ、エチルプロピルスズジクロリド、エチルスズトリブロミド、エチルスズトリヨード、エチルトリ−n−ブチルスズ、エチルトリ−n−プロピルスズ、メチルスズトリブロミド、メチルスズトリクロリド、メチルスズトリヨード、メチルトリ−n−ブチルスズ、メチルトリ−n−プロピルスズ、フェニルベンジルスズジクロリド、フェニルトリベンジルスズ、プロピルスズトリヨード、プロピルトリ−n−アミルスズ、テトラ−n−アミルスズ、テトラ−n−ブチルスズ、テトラベンジルスズ、テトラシクロヘキシリルスズ、テトラエチルスズ、テトラ−n−ヘプチルスズ、テトラ−n−ヘキシリルスズ、テトライソアミルスズ、テトライソブチルスズ、テトララウリルスズ、テトラメチルスズ、テトラ−n−オクチルスズ、テトラフェニルスズ、テトラプロピルスズ、テトラ−o−トリルスズ、テトラ−m−トリルスズ、テトラ−p−トリルスズ、テトラビニルスズ、テトラ−m−キシリルスズ、テトラ−p−キシリルスズ、o−トリルスズトリクロリド、p−トリルスズトリクロリド、m−トリルトリクロロスタナン、トリアリルブチルスズ、トリ−n−アミルスズブロミド、トリベンジルエチルスズ、トリベンジルスズクロリド、トリベンジルスズヨード、トリ−n−ブチルスズブロミド、トリ−n−ブチルビニルスズ、トリエチル−n−アミルスズ、トリエチルイソアミルスズ、トリエチルイソブチルスズ、トリエチルフェニルスズ、トリエチル−n−プロピルスズ、トリイソアミルスズブロミド、トリイソアミルスズクロリド、トリイソアミルスズフルオリド、トリイソアミルスズヨード、トリイソブチルエチルスズ、トリイソブチルイソアミルスズ、トリイソブチルスズブロミド、 トリイソブチルスズクロリド、トリイソブチルスズフルオリド、トリイソブチルスズヨード、トリイソプロピルスズブロミド、トリイソプロピルスズヨード、トリメチルデシルスズ、トリメチルドデシルスズ、トリメチルエチルスズ、トリメチルスズブロミド、トリメチルスズクロリド、トリメチルスズフルオリド、トリメチルスズヨード、トリフェニルアリルスズ、トリフェニルベンジルスズ、トリフェニルブチルスズ、トリフェニルエチルスズ、トリフェニルメチルスズ、トリフェニル−α−ナフチルスズ、トリフェニルスズブロミド、トリフェニルスズクロリド、トリフェニルスズフルオリド、トリフェニルスズヨード、トリフェニル−p−トリルスズ、トリフェニル−p−キシリルスズ、トリ−n−プロピル−n−ブチルスズ、トリ−n−プロピルエチルスズ、トリ−n−プロピルイソブチルスズ、 トリ−n−プロピルスズクロリド、トリ−n−プロピルスズフルオリド、トリ−n−プロピルスズヨード、トリ−o−トリルスズブロミド、トリ−p−トリルスズブロミド、 トリ−o−トリルスズクロリド、トリ−m−トリルスズクロリド、トリ−p−トリルスズ クロリド、トリ−p−トリルスズフルオリド、トリ−o−トリルスズヨード、トリ−p−トリルスズヨード、トリフェニルスタンニルメタン、トリビニルデシルスズ、トリビニルヘキシリルスズ、トリビニルオクチルスズ、トリビニルスズクロリド、ビニルスズトリクロリド、トリ−p−キシリルスズブロミド、トリ−p−キシリルスズクロリド、トリ−p−キシリルスズフルオリド、トリ−p−キシリルスズヨードおよびトリ−m−キシリルスズフルオリド。
【0097】
本明細書において使用する用語「疑似ハロゲン」は、別段の定めがある場合を除いて、還元カップリング反応においてハロゲン様の反応を示す化学基を意味する。例えば、この化学基は、トリフルオロメチルメタンスルホニル、パラ−トルエンスルホニルおよびメタンスルホニルからなる群から選択することができる。
【0098】
ブレンド関して本明細書において使用する用語「安定な」は、別段の定めがある場合を除いて、不活性雰囲気下、125℃で15分間、または125℃で2時間あるいは24時間のアニーリングした際にブレンドのナノ形態が実質的に変化しないことをいう。
【0099】
本明細書において使用する用語「単素環芳香族」は、別段の定めがある場合を除いて、限定するものではないが、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナンスリル、フルオランテニル、クリセニル、カルバゾリル、ピレニル、ビフェニリル、テルフェニル、ピセニル、インデニル、ビフェニル、インダセニル、テトラヒドロピレニル、ベンゾシクロブテニル、ベンゾシクロオクテニルなどの炭素数6〜15の一価の単環または多環芳香族炭化水素を意味し、縮合ベンゾ−C4〜8シクロアルキル基、例えばインダニル、テトラヒドロナフチル、フルオレニルなどが含まれる。前記の全ての基は、場合により1個以上の置換基(好ましくは1〜3個の置換基)により置換されていてよい。いくつかの実施態様において、この置換基は、独立して、C1〜12アルキル、ニトロ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチルおよびC1〜12アルコキシ(これらの全ての置換基は、それらの個々の種およびサブグループを含むものとして定義される)からなる群から選択することができ、限定されるものではないが、4−フルオロフェニル、4−クロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2−フルオロフェニル、3−クロロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、トリフルオロメチルフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、ヨードフェニルおよびブロモフェニルなどが挙げられる。
【0100】
置換基に関して本明細書において使用する用語「C1〜nアルキル」は、別段の定めがある場合を除いて、1〜n個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の一価の飽和非環式炭化水素基を意味し、例えば、nが4の場合は、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、1−メチルエチル(イソプロピル)、2−メチルプロピル(イソブチル)および1,1−ジメチルエチル(tert−ブチル)である。同様に、用語「C1〜20アルキル」は、1〜20個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の基を意味し、例えば、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクチルデシルなどをいう。
【0101】
本明細書において使用する用語「複素環芳香族」は、別段の定めがある場合を除いて、4〜12個の炭素原子を有し、1個以上の複素環に1個以上のヘテロ原子を有する単環または多環の多不飽和芳香族炭化水素基を意味する。前記環はそれぞれ5個または6個の原子を有し(場合により、前記環の1個以上の炭素原子に結合した、例えばカルボニルの形態で、および/または前記環の1個以上のヘテロ原子に結合した、例えばN−オキシドの形態で、1個以上のヘテロ原子をさらに含む)、前記ヘテロ原子は、それぞれ独立して、窒素、酸素またはイオウであり、ヘテロ環が1個以上の単素環芳香族と縮合した基、例えば、ベンゾ縮合、ジベンゾ縮合およびナフト縮合複素環基も含まれる。この定義の範囲において、限定されるものではないが、チエニル(−エン)、ピロリル(−エン)、ピリジル(−エン)、カルバゾリル(−エン)およびベンゾチアゾリル(−エン)などの複素環芳香族基が挙げられる。
【0102】
本明細書において使用する用語「ハロゲン」は、別段の定めがある場合を除いて、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択される任意の原子を意味する。
【0103】
本明細書において使用する用語「C1〜nアルコキシ」は、別段の定めがある場合を除いて、C1〜nアルキル基(本明細書において上記で定義したようにそのサブグループを含む)炭素原子が単結合により酸素原子に結合した置換基を意味し、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、n−ブトキシ、イソプロポキシ、sec−ブトキシおよびtert−ブトキシが挙げられる。
【0104】
本明細書において使用する用語「C1〜nアルキルスルフェート」は、別段の定めがある場合を除いて、C1〜nアルキル基(本明細書において上記で定義したようにそのサブグループを含む)炭素原子が単結合によりスルフェート基(硫酸基)の酸素原子に結合した置換基を意味し、限定されるものではないが、メチルスルフェート(メトキシスルホニルオキシ)、エチルスルフェート(エトキシスルホニルオキシ)、n−ブチルスルフェート(n−ブトキシスルホニルオキシ)、tert−ブチルスルフェート(tert−ブトキシスルホニルオキシ)、ウンデシルスルフェート(ウンデシルオキシスルホニルオキシ)などが挙げられる。
【0105】
有機デバイスに関して本明細書において使用する用語「活性層」は、別段の定めがある場合を除いて、1タイプの電子伝導性を示す有機半導体物質と、これと同じ若しくは反対の伝導性を有する考え得る第2の半導体物質を備える有機層を意味する。
【0106】
〔一般的な実験材料および方法〕
別段の定めがある場合を除いて、全ての化学物質は商業的供給源から得られるものを使用した。ナトリウムワイヤーとベンゾフェノンによる乾燥後、THFおよびジエチルエーテルを青色になるまで蒸留した。3−ブロモチオフェンを短経路蒸留を用いて精製した。NMRスペクトルは、Varian Inova 300分光計で記録した(1Hについては300MHz、13C NMRについては75MHz、5mmプローブを使用)。重水素化CHCl3は、Cambridge Isotope Laboratories社から入手した。1Hおよび13C化学シフトは、δ=7.24ppmで、内部標準として残存CHCl3のピークを用いて、テトラメチルシラン(TMS)から低磁場側に示した。UV−Visスペクトルは、石英基板上のCHCl3溶液のドロップキャスト膜を用いて、Varian CARY 500 UV−Vis−NIR分光計(200〜800nm、600nm/分)で記録した。フーリエ変換正規外分光(FT−IR)は、公称解像度4cm−1のPerkin Elmer Spectrum One FT−IR分光計で行った。FT−IRのためのサンプルは、KBr(臭化カリウム)のペレットまたはCHCl3溶液のドロップキャスト膜であった。ガスクロマトグラフィー/質量分析(GC−MS)は、TSQ−70およびVoyager質量分析計で行った。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、0.45μm孔PTFEシリンジフィルターにより濾過した1重量%のポリマー溶液で行った。2個の混合−Bカラム(10μm、2×30cm、Polymer Labs)および屈折率検出器(Shodex)を備えたSpectraシリーズP100(Spectra Physics)ポンプ(40℃、THF中、流量1.0ml/分)を使用した。分子量分布は、ポリスチレン標準に対して測定した。トルエンを流量マーカーとして使用した。
【0107】
全ての加速寿命測定について、4個の太陽電池を備えた新たな基板を使用した。表示するJSCは、4個の太陽電池の平均JSCである。連続的な分解曲線を得るために、異常値は除外した。デバイスの光起電性能における長期熱処理の影響は、測定する太陽電池特性(JSC、VOC、FF、Eff)が30分毎に測定される設定にて測定した。測定の間、サンプルは暗所に保管した。
【0108】
〔モノマー合成〕
3−ヘキシルチオフェン(1)の合成
【化13】
【0109】
市販製品3−ブロモチオフェン(3−BT)およびヘキシルマグネシウムブロミドから、ニッケル触媒を使用して「1」を製造した。三つ首フラスコ中で、窒素雰囲気下、100ml(1当量、166.0g、1.018モル)のブロモチオフェンを、0.01当量のNi(dppp)Cl2(5.19g、0.0102モル)および300mlの乾燥ジエチルエーテルとともに攪拌した。1.2当量(0.611 lの2.0M溶液/ジエチルエーテル、1.22モル)のヘキシルマグネシウムブロミドを0℃の温度で滴下した。1Mの塩酸溶液の添加により中和する前に、室温で一晩、反応物を攪拌した。ジエチルエーテルで抽出した後、飽和NaHCO3溶液で洗浄して、MgSO4で乾燥させることで茶色の液体を得た。この液体を短経路蒸留により精製し、95.6%(163.73g、0.973モル)の収率で「1」を得た(圧力=7.10−3 mbarおよび温度=81〜84℃)。
【0110】
特性:TLC(ヘキサン):Rf=0.81;1H NMR(300MHz、CDCl3):δ 7.23(s, H)、6.95(d, H)、6.92(d, H)、2.63(t, CH2)、1.63(q, CH2)、1.32(m, 3 CH2)、0.90(t, CH3);13C NMR(75MHz, CDCl3): δ 142.8、130.8、110.2、107.2、31.5、29.4、29.3、28.7、22.5、14.0;GC/MS(m/z):168[M]+、153[M−CH3]+、139[M−CH2CH33]+ 、125[M−(CH2)2CH3]+、111[M−(CH2)3CH3]+、97[M−(CH2)4CH3]+、85[M−(CH2)5CH3]+;FT−IR:3000〜2800cm−1(C−H伸縮アルキル)、1600〜1500cm−1(C=C伸縮芳香族環)。
【0111】
2,5−ジブロモ−3−ヘキシルチオフェン(M1)の合成。M1はP1、P2、P3およびP4の合成における中間体である。
【0112】
NBS(2.2当量、23.26g、0.130モル)/100mlDMF溶液を、「1」(10g、0.059モル)/100mlDMF溶液中に滴下し、0℃の暗所にて攪拌した。添加終了時に、反応物を室温まで温めることが可能である。48時間攪拌した後、3×100mlのジエチルエーテルによる抽出の前に、この溶液を氷冷した2.5MNaOH溶液(100ml)に添加し、攪拌した。有機相を100mlの2.5MNaOH溶液、水と塩化ナトリウム塩で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、黄色の液体を得た。この黄色の液体を短経路蒸留により精製し、81%(15.50g、0.048モル)の無色の液体を得た。
【0113】
特性:1H NMR(300MHz、CDCl3):δ6.76(s, H)、2.49(t, CH2)、1.53(q, CH2)、1.29(m, 3 CH2)、0.89(t, CH3);GC/MS(m/z): 326[M]+、255[M−(CH2)4CH3]+、247[M−Br]+、177[M−Br、(CH2)4CH3]+、111[M−(CH2)3CH3]+、95[M−2Br、(CH2)4CH3]+、FT−IR:3000〜2800cm−1(C−H伸縮アルキル)、1600〜1500cm−1(C=C伸縮芳香族環)。
【0114】
2,5−ジブロモ−3−エタノールチオフェン(2)。(2)は、M2、P1、P2およびP3の合成における中間体。
【化14】
【0115】
「2」は、M1に使用した方法と類似する方法において、NBSを用いた3−エタノールチオフェンの二臭素化により得られた。2.2当量のNBS(32.93g、0.185モル)を100mlのDMFに溶解し、0℃で、3−エタノールチオフェン(1当量、10.75g、0.084モル)/100mlDMFに滴下した。反応物は室温まで温めることができ、48時間攪拌した。3×100mlのジエチルエーテルによる抽出の前に、この溶液を氷冷した2.5MNaOH溶液(100ml)に添加し、攪拌した。有機相を100mlの2.5MNaOH溶液、水と塩化ナトリウム塩で洗浄し、MgSO4で乾燥させた。得られた黄色の液体を短経路蒸留により精製し、無色の液体(18.66g、73.5ミリモル)を得た(圧力=4.10−3mbar、温度107℃)。
【0116】
1H NMR(300MHz、CDCl3): δ 6.82(s, 1H)、3.72(t, 2H)、2.73(t, 2H)、2.52(s, 1H);13C−NMR(75MHz、CDCl3): δ139.0、131.2、110.7、109.3、61.5、32.2;GC/MS(m/z)288、286、284[M]+ 257、255、253[M−CH2OCH]+ 257、255、253[M−CH2OC(O)CH3]+ 189、187[M−Br、OCOCH3]+。
【0117】
2,5−ジブロモ−3−アセチルエタノールチオフェン(M2)。M2は、P1の合成の中間体である。
1.3当量(18.93g、0.185モル)の無水酢酸と140mlのピリジンによる還流下、5時間、「2」(1当量、36.2g、0.143モル)を攪拌した後、「M2」を得た。塩酸を添加することにより混合物を中和し、3×100mlのジエチルエーテルにより抽出し、3×100mlの水で洗浄した。抽出物をMgSO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させた。混合物を短経路蒸留により精製して、36.2g(113ミリモル、78%)の「M2」を得た(圧力=1.10−3mbar、温度95℃)。
【0118】
特性:TLC(ヘキサン:ジエチルエーテル、8:2)、Rf=0.81、1H NMR(300MHz、CDCl3): δ6.79(s、1H)、4.17(t、2H)、2.82(t、2H)、2.02(s、3H); 13C−NMR(75MHz、CDCl3): δ 170.7、138.1、130.8、110.7、109.6、62.8、28.7、20.8; GC/MS(m/z) 330、328、326 [M]+ 270、268、266 [M−OCOCH3]+ 257、255、253 [M−CH2OC(O)CH3]+ 205、207 [M−Br]+ 187、189 [M−Br、OCOCH3]+ 176、174 [M−Br、CH2OC(O)CH3]+ 108 [M−2Br、CH2OC(O)CH3]+、95 M−2Br、CH2CH2OC(O)CH3]+ νmax(膜)/cm−1。
【0119】
6−(2,5−ジブロモ−チオフェン−3−イル)−ヘキサン酸エチルエステル(M3)。M3は、本発明の実施態様であり、P4の合成の中間体である。
M1を得るために使用した方法と類似する方法を使用して、6−ブロモメチルヘキサノエートおよび3−ブロモチオフェンからM3を得た。
6−ブロモヘキサン酸エチルエステル(20g、89ミリモル)を活性亜鉛に加えて、アルゴン雰囲気下、室温で2時間攪拌した。この亜鉛粒子を一晩落ち着かせてもよい。上澄み有機亜鉛化合物を、16.81gの3−ブロモチオフェン(103ミリモル)と0.05当量のNi(dppp)Cl2/THFの溶液に滴下した。室温で48時間、反応物を攪拌し、飽和NH4Cl溶液でクエンチした。エタノール(3×200mL)で抽出した後、有機相をMgSO4で乾燥させて、濾過した。短経路蒸留により、8.6gの6−(2,5−ジブロモ−チオフェン−3−イル)ヘキサン酸エチルエステル(38ミリモル、42%)が得られた(温度=72℃、圧力=1.10−3mbar)。
【0120】
1H NMR(300MHz、CDCl3):δ 7.20(m, 1H, Harom)、6.90(m, 2H, Harom)、4.10(q, 2H, O−CH2, J=7.5Hz)、2.62(t, 2H, α−CH2, J=7.5Hz)、2.28(t, 2H, β−CH2, J=7.5Hz)、1.63(m, 4H, 2 CH2)、1.38(m, 2H, CH2), 1.23(t, 3H, CH3, J=7.1Hz);
13C−NMR(75MHz、CDCl3):δ 173.4、142.4、127.8、124.8、119.6、59.8、33.9、29.8、29.6、28.4、24.4、13.8;
GC/MS 純度95%、m/z 226[M]+、181[M−OCH2CH3]+、153[M−C(O)OCH2CH3]+、139[M−CH2C(O)OCH2CH3]+、125[M−(CH2)2C(O)OCH2CH3]+、111[M−(CH2)3C(O)OCH2CH3]+、97[M−(CH2)4C(O)OCH2CH3]+;
FT−IR(NaCl, cm-1): 3104、2980、2934、2858、1733(vs)、1537、1463、1372、1299、1252、1181、1130、1096、1032、859、833、773
【0121】
〔ポリマー合成〕
ポリ(3−ヘキシル−チオフェン)(P3HT)(比較例)の合成
太陽電池において比較系として使用するためのP3HTは、高立体規則性のポリ(3−アルキルチオフェン)の製造にRieke法を用いて合成した。M1溶液(1当量、10.04g、0.031モル)/80mlTHFを、−78℃で活性亜鉛に加えた。形成された有機亜鉛溶液を、0.002当量(0.035g、6.4 10−5モル)Ni(dppp)Cl2/40mlTHFの溶液に加え、不活性雰囲気下、60℃で18時間攪拌した。粗ポリマーをメタノール/2M塩酸(2/1、v/v)混合物中に沈殿させ、メタノールとヘキサンで固相抽出により精製した。濾過および乾燥前に、精製したポリマーをクロロホルムにより抽出し、メタノール中に沈降させ、3.63g(67%)の共役ポリマーを得た。
【0122】
−GPC(THF):Mn=27,800;Mw=53,500;多分散性指数、D=1.9;
【0123】
3−ヘキシルチオフェン(M1)と3−(2−アセトキシエチル)チオフェン(M2)のランダムコポリマー(P1)、3−ヘキシルチオフェンと3−ヒドロキシエチルチオフェンのランダムコポリマー(P2)、および3−ヘキシルチオフェンと3−シンナモイルオキシエチルチオフェンのモル比9:1によるランダムコポリマー(P3)の合成
【化15】
【0124】
a) ポリ−3−ヘキシルチオフェン−コ−3−(2−アセトキシエチル)チオフェン(P1 9/1)の合成
【0125】
【化16】
【0126】
2,5−ジブロモ−3−(2−アセトキシエチル)チオフェン(M2)(10モル%)(1.05g、0.003モル)と2,5−ジブロモ−3−ヘキシルチオフェン(M1)(90モル%)(9.41g、0.029モル)の混合物のTHF溶液を活性亜鉛に−78℃で添加し、有機亜鉛溶液を形成した後、これをNi(dppp)Cl2触媒の存在下、重合させた。反応後、コポリマーをメタノールと2M塩酸の混合物(2/1)に沈殿させた。粗コポリマーを、メタノールとペンタンによるソックスレー抽出により精製した。精製したポリ−3−ヘキシルチオフェン−コ−(2−アセトキシエチル)チオフェン(P1 9/1)を、濾過および乾燥前に、クロロフィルムで抽出し、メタノールに再度沈降させ、下記特性を有する3.18gの9/1コポリマー(収率61%)を得た。
【0127】
−GPC(THF):Mn=34,400;Mw=65,500;多分散性指数、D=1.9;
−1H NMR(300MHz、CDCl3):δ=7.00(1Harom,AcET, s)、6.96ppm(1Harom,3HT, s)、4.35ppm(2Hb,AcET, t)、3.14ppm(2Ha,AcET, t)、2.79ppm(2Ha,3HT, t),、2.05ppm (3Hc,AcET, s)、1.70ppm(2Hb,3HT, t)、1.45ppm(2Hc,3HT, m)、1.40ppm(2Hd,3HT, m)、1.35ppm(2He,3HT, m)、および0.90ppm(3Hf,3HT, t)
−UV/Vis:λmax 555nm:ショルダー 600nm;
−赤外線スペクトル:下記表1参照
−立体規則性:93%。
【0128】
これと同じ方法を30モル%のM2と50モル%のM2により行い、ポリマーP1 7/3とP1 1/1をそれぞれ製造した。
【0129】
いくつかのモル比(7/3、1/1)で、臭素化モノマーの混合物を製造した。25ミリモルおよび20ミリモル(8.12gおよび6.49g)のM1、並びに、11ミリモルおよび20ミリモル(3.49gおよび6.50g)のM2を、それぞれ、アルゴン雰囲気下、乾燥THFに溶解させた。これらの溶液を活性亜鉛に、−78℃で添加した。得られた有機亜鉛溶液に、0.002当量のNi(dppp)Cl2/THF溶液を加え、不活性雰囲気下、60℃で18時間攪拌した。粗ポリマーをメタノール/2M塩酸混合物(2/1、v/v)に沈殿させ、その後、メタノール、ヘキサンおよびアセトンによるソックスレー抽出により精製した。精製したポリマーを、濾過およびコポリマーP1 7/3およびP1 1/1の単離の前に、クロロフィルムで抽出し、メタノールに沈降させた。
【0130】
Mw=45,000、多分散性指数D=2.1、立体規則性93%のP1 7/3が得られた。
−収率:3.0g、52%
−UV−Vis(膜、λmax、nm)547、595sh;
−FT−IR(KBr, ν, cm−1): 2953、2925および2855(C−H)、1743(C=O)、1509および1456(C=C)、1376(CH3)、1363、1234、1037、821(C−H)
− 1H NMR(300MHz、CDCl3、δ):7.05、7.0および6.96(1H, m, Th)、4.35(2H M2, br s, β−CH2)、3.10(2H M2, br s, α−CH2)、2.78(2H, t, H−T α−CH2)、2.54(2H, br s, H−H α−CH2)、2.06(3H M2, s, CH3)、1.69−1.23(8H, m, β, γ, δおよびε−CH2)、0.89(3H, s, CH3)
【0131】
Mw=26,800、多分散性指数D=1.5、立体規則性93%のP1 1/1が得られた。
−収率:2.98g、51%
−UV−Vis λmax(膜)/nm 547、595sh;
−FT−IR(KBr, ν, cm−1):3431(br, H2O)、2956、2923および2853(C−H)、1733(C=O)、1632、1455(s, C=C)、1376(CH3)、1259、1123、1002、867
− 1H NMR(300MHz、CDCl3、δ):7.11、7.06、7.01および6.96(1H, m, Th)、4.35(2H M2, br s, β−CH2)、3.10(2H M2, br s, α−CH2)、2.79(2H, t, H−T α−CH2)、2.56(2H, br s, H−H α−CH2)、2.06(3H M2, s, CH3)、1.70−1.23(8H, m, β, γ, δおよびε−CH2)、0.89(3H, m, CH3)
【0132】
モノマーのM1/M2比は、ポリマーのm/n比に対応する。
【0133】
b) ポリ−3−ヘキシルチオフェン−コ−3−(2−ヒドロキシエチル)チオフェン(P2)の合成
【0134】
【化17】
【0135】
微細化したコポリマーP1 9/1(1.04g)を、不活性雰囲気下、100mlの0.2MNaOH/メタノール溶液により、24時間還流させた。この混合物を600mlのメタノール/2M塩酸混合物に注ぎ、攪拌した。コポリマーP2 9/1を濾過し、水とメタノールで洗浄し、下記特性を有するP2を収率98%で得た。
【0136】
−GPC(THF):Mn=31,100;Mw=68,100;D=2.2;
−1H NMR(300MHz、CDCl3):δ=7.03(1Harom,ET, s)、6.96ppm(1Harom,3HT, s)、3.94ppm(2Hb,ET, t)、3.09ppm(2Ha,ET, t)、2.79ppm(2 Ha,3HT, t)、1.70ppm(2Hb,3HT, t)、1.45ppm(2Hc,3HT, m)、1.40ppm(2Hd,3HT, m)、1.25ppm(2He,3HT, m)、および0.90ppm(3Hf,3HT, t);
−UV/Vis(膜):λmax 555nm:ショルダー 600nm;
−FT−IR(KBr, cm−1):2953および2853(C−H)、1640、1508および1455(C=C)、1376(CH3)、1292−1046および821cm−1(C−H)、723(CH3)。下記表1参照。
−立体規則性:93%
【0137】
微細化したコポリマーP1 7/3を使用して、これと同じ方法を繰り返し、コポリマーP2 7/3を得た。
【0138】
下記特性を有する0.9gのP2 7/3が95%の収率で得られた。
【0139】
−GPC(THF):Mn=21,500;Mw=42,100;D=2.0;
−FT−IR(KBr, cm−1):2951および2923および2853(C−H)、1639、1509および1455(C=C)、1376(CH3)、1290、1132、1042および821cm−1(C−H)、722(CH3)
−1H NMR(300MHz、CDCl3、δ):7.05、7.02および6.96(1H, m, Th)、3.96(2H, t, CH2−OH)、3.10(2H, t, α−CH2CH2−OH)、2.78(2H, t, H−T α−CH2)、2.56(2H,br s, H−H α−CH2)、1.69−1.23(8H, m, β, γ, δ, ε-CH2)、0.90(3H, t, CH3)
−立体規則性:93%
【0140】
微細化したコポリマーP1 1/1を使用して、これと同じ方法を繰り返し、コポリマーP2 1/1を得た。
【0141】
下記特性を有する1.0gのP2(1/1)が100%の収率で得られた。
【0142】
−GPC(THF):Mn=9,500;Mw=17,700;D=1.9;
−FT−IR(KBr, cm−1):2920および2850(C−H)、1639、1508および1455(C=C)、1376(CH3)、1298、1230、1142、1038および823cm−1(C−H);
−1H NMR(300MHz、CDCl3、δ):7.02および6.96(1H, m, Th)、3.96(2H, t, CH2−OH)、3.09(2H, t, α−CH2CH2−OH)、2.78(2H, t, H−T α−CH2)、1.68−1.23(8H, m, β, γ, δ, ε-CH2)、0.90(3H, t, CH3)
−立体規則性:93%
【0143】
c) ポリ−コ−(3−ヘキシルチオフェン−コ−3−シンナモイルオキシエチルチオフェン)(P3)の合成
【0144】
【化18】
【0145】
0.60gのポリ−3−ヘキシルチオフェン−コ−3−(2−ヒドロキシエチル)チオフェン(P2 9/1)と0.62g(0.004モル)シンナモイルクロリドをTHF中で、0.37g(0.004モル)のトリエチルアミンの存在下、反応させることにより0.61gのP3 9/1を、収率95%で得た。下記特性評価の前にメタノールとアセトンによるソックスレー抽出を用いて精製した。
【0146】
−GPC(THF):Mn=33,100;Mw=74,500;D=2.2;
−1H NMR(300MHz、CDCl3):δ=7.67ppm(1Hd,cin, d)、7.47ppm(2He,cin, m)、7.32ppm(2Hf,cin, m)、7.05ppm(1Hg,cin, m)、6.96ppm(1Harom,3HT and cin, s)、6.42ppm(1Hc,cin, d)、4.49ppm(2Hb,cin, t)、3.23ppm(2Ha,cin, t)、2.79ppm(2Ha,3HT, t)、1.70ppm(2Hb,3HT, m)、1.40ppm(2Hc,3HT, m)、1.35ppm(2Hd,3HT, m)、1.25ppm(2He,3HT, m)、および0.90ppm(3Hf,3HT, t);M2モノマー単位に由来する積分値は、M1モノマー単位に由来する比較積分値の約10%の相当しており、10個のモノマー単位につき1個が官能性側鎖を有していることが示された。δ=2.05ppmでP1側鎖のアセチルエーテルにおけるメチル基の消失が確認され、加水分解が完了した。完全な官能化は、異なるエステルのためP3におけるCH2−プロトンシグナルの化学シフトにおける変化によっても説明される。官能化ポリマーにおける二重結合と芳香族プロトンシグナルの出現が、側鎖におけるシンナモイルエステルの存在を裏付けている。
−UV/Vis:λmax 275nmおよび551nm:ショルダー 600nm。クロロホルム溶液からのドロップキャストポリマーフィルムの275nmにおけるλmaxは、コポリマー側鎖における桂皮酸エステルの存在に起因する。共役ポリマーの吸収領域において、600nmでのショルダーはより高い強度を有したが、鋭さははっきりとしなかった。
−赤外線スペクトル:FT−IR(KBr、cm−1):2956、2923、2853、1711、1635、1505、1449、1375、1306、1259、1158、1075、818;下記表1を参照。
−立体規則性:94%
【0147】
P2 7/3およびP2 1/1で同様の反応を行い、P3 7/3およびP3 1/1をそれぞれ得た。
【0148】
P3 7/3は以下のように特徴付けられた:
−UV/Vis(λmax、膜)549nm:ショルダー 599nm;
−GPC(THF):Mn=25,300;Mw=47,500;D=1.9;
−FT−IR(KBr, cm−1):2956、2924、2853、1712、1635、1510、1449、1377、1307、1262、1201、1161、1090、1021、804;
−1H NMR(300MHz、CDCl3、δ):7.70および7.64(d, 1H, C=CH−pH)、7.46(m, 2H, CHPh)、7.33(m, 2H, CHPh)、7.12−6.96(m, HThおよびHph)、6.44および6.39(d, 1H, COCH=C)、4.48(t, 2H, CH2O)、3.21(t, 2H, α−CH2)、2.77(t, 2H, H−T α−CH2 3−HT)および2.56(α−CH2 3−HT)、1.67−1.31(m, 6H, γ, δ, ε−CH2 3−HT)、0.88(t, 3H, CH3)
−立体規則性:93%
【0149】
P3 1/1は以下のように特徴付けられた:
−UV/Vis(λmax、膜)521nm;
−GPC(THF):Mn=19,800;Mw=40,300;D=2.0;
−FT−IR(KBr, cm−1):3060、2954、2926、2855、1714、1637、1511、1495、1450、1378、1327、1309、1282、1202、1162、1071、978、862、823、766;
−1H NMR(300MHz、CDCl3、δ):7.68および7.63(d, 1H, C=CH−pH)、7.46(m, 2H, CHPh)、7.32(m, 2H, CHPh)、7.12−6.96(m, HThおよびHph)、6.43および6.38(d,1H, COCH=C)、4.47(t, 2H, CH2O)、3.21(t, 2H, α−CH2)、2.76(t, 2H, H−T α−CH2 3−HT)および2.56(α−CH2 3−HT)、1.67−1.23(m, 2H, β−CH2 3−HT)、1.30−1.23(m, 6H, γ, δ, ε−CH2 3−HT)、0.88(t, 3H, CH3)
【0150】
【表1】
【0151】
P1において、約1740cm−1でのC=Oエステル吸収は、P2への加水分解により消失した。P2のP3への官能化の際、約1715cm−1付近に、桂皮酸エステル基のC=O結合に起因するピークが出現した。
【0152】
3−ヘキシルチオフェンおよび3−シンナモイルアミノエチルチオフェンのランダムコポリマー(P14)の合成
合成は、下記式に従って進み、式(IX)〔式中、L’はL−NR’CO−J’であり、Lはエチレンであり、R’はHであり、J’はシンナモイルである〕で示されるモノマー由来の繰り返し単位を有するコポリマーを提供する。
【0153】
【化19】
【0154】
3−ヘキシルチオフェンおよび3−シンナモイルチオエチルチオフェンのランダムコポリマー(P15)の合成
合成は、下記式に従って進み、式(IX)〔式中、L’はL−SCO−J’であり、Lはエチレンであり、J’はシンナモイルである〕で示されるモノマー由来の繰り返し単位を有するコポリマーを提供する。
【0155】
【化20】
【0156】
3−ヘキシルチオフェンおよび3−ヘキサン酸エチルエステルのランダムコポリマーP4の合成
【0157】
【化21】
【0158】
上記式中、★は末端基を示す。コポリマーP4は、活性亜鉛(Zn*)およびニッケル触媒を使用したRieke法により合成した。THF中にM1およびM3モノマーを含むモノマー溶液を、Zn*に−78℃で加え、有機亜鉛化合物を得た。この化合物を、0.002モル%ニッケル触媒/THFの溶液に加え、不活性雰囲気下、60℃で18時間攪拌した。ポリマーをメタノールと2MHClの2/1(v/v)混合物に沈降させ、メタノール、ペンタンおよびアセトンによるソックスレー抽出を用いて精製した。ポリマーをクロロホルムにより単離し、メタノールに沈降させ、濾過し乾燥させた。異なる比率のヘキシル(m)と官能化(n)側鎖を有するコポリマーを得るために種々のモル濃度のモノマー混合物を使用した。Zn*との反応前にモノマーにおける種々のm/n比は与えられ、官能基の異なるm/n比を有するコポリマーを得ることを可能にした。
【0159】
P4 9/1、P4 7/3およびP4 1/1を得るために、m/n比は9/1、7/3および1/1から選択されるべきであった。
【0160】
二臭素化されたモノマーM1およびM3を、いくつかのモル比で混合した。重合工程に利用する前に、26.8ミリモル、28ミリモルおよび20.1ミリモルのM1(8.73、9.13および6.55g)を、3ミリモル、12ミリモル、20.1ミリモルのM3(1.14、4.61および7.74g)とTHF溶液中で混合した。P4コポリマーMWは、官能化された側鎖の増加率を、56.7k、D=1.9から、9/1コポリマーに対して90.5k、D=2.3へ、7/3および1/1に対しては、それぞれ、199.5k、D=2.7へ高めた。バルク共重合の生成物は、1HNMRの測定に基づくランダムコポリマーであった。
【0161】
モノマー溶液におけるM1/M3比は、コポリマーにおけるm/n比に対応していた。クロロベンゼン(CB)、クロロホルム(CHCl3)またはテトラヒドロフラン(THF)などの有機溶媒において、官能化コポリマーP4の溶解性をP3HTの溶解性と比較した。
【0162】
P4 9/1
−収率:3.77g、74%
−UV−Vis λmax(膜)/nm 555nm、602sh;
−FT−IR(膜, ν, cm−1):3053、2953、2928および2854(C−H)、1738(C=O)、1563、1509および1455(C=C)、1376(CH3)、1260(w)、1179および820(C−H)、726(CH3)
−1H NMR(300MHz、CDCl3、δ):6.96(1H, s, Th)、4.10(2H M3, q, OCH2)、2.79(2H, t, H−T α−CH2)、2.56(2H, s, H−H α−CH2)、2.31(2H M3, t, CH2COOEt)、1.69(2H, br s, β−CH2およびM3)、1.48−1.20(10H, m, γ, δ, ε−CH2およびγ, δ CH2 M3)、0.90(6H, t, CH3 M1およびM3)
−GPC(THF):Mw=56,700;D=1.9;
−立体規則性:93%
【0163】
P4 7/3
−収率:4.51g、61.5%
−UV−Vis λmax(膜)/nm 550nm、600sh;
−FT−IR(膜, ν, cm−1):2926および2855(C−H)、1736(C=O)、1508および1458(C=C)、1375(CH3)、1227、1178および824(C−H)、760(CH3);
−1H NMR(300MHz、CDCl3、δ):6.96(1H, s, Th)、4.10(2H M3, q, OCH2)、2.79(2H, br s, H−T α−CH2)、2.56(2H, s, H−H α−CH2)、2.31(2H M3, t, CH2COOEt)、1.69(4H, m, β−CH2 M1およびM3)、1.54−1.20(10H, m, γ, δ, ε−CH2およびγ, δ−CH2 M3)、0.89(6H, t, CH3 M1およびM3)
−GPC(THF):Mw=90,500;D=2.3;
−立体規則性:90%
【0164】
P4 1/1
−収率:4.14g、53%
−UV−Vis λmax(膜)/nm 550nm、604sh;
−FT−IR(膜, ν, cm−1):3432(br, COOH)、2956(C−H)、1733(C=O)、1631および1454(C=C)、1259、1129、1002および867cm−1(C−H)
−1H NMR(300MHz、CDCl3、δ):6.96(1H, s, Ar H)、4.10(2H M3, q, OCH2)、2.79(2H, t, H−T α−CH2)、2.54(2H, H−H α−CH2)、2.31(2H M3, t, CH2COOEt)、1.69(4H, m, β−CH2 M1およびM3)、1.50−1.20(10H, m, γ, δ, ε−CH2 M1およびγ, δ−CH2 M3)、0.87(6H, t, CH3 M1およびM3)
−GPC(THF):Mw=119,500;D=2.7;
−立体規則性:89%
【実施例】
【0165】
側鎖官能化ポリ(3−アルキルチオフェン):フラーレンバルクヘテロ接合太陽電池における増加した形態安定性
全てのポリマー:PCBMのブレンドは、1/1の比率(w/w)で製造した。PCBMは、下記化学式を有する:
【化22】
【0166】
光学顕微鏡写真は、シリコーン基板上にスピンコートしたブレンドから撮った。太陽電池を、ガラスITOパターン化基板上に作製した。全ての基板を、石けん水、ミリ−Q水(Mili-Q water)、アセトン中で超音波処理により洗浄し、イソプロパノール中で加熱後UV/O3処理した。太陽電池を製造するために、ITO電極上へ、水溶液からPEDOT:PSS(Baytron P)層をスピンコートした。ポリマー:PCBM(1:1)ブレンドを10mg/mLのポリマー/クロロベンゼン溶液からスピンコートし、ホットプレートで、100℃、15分間焼きなまし(アニーリング)した。陰極として、主として20nmCaおよび80nmAlを高真空下(p=1.10−6mbar)で沈着させた。I−V測定を窒素雰囲気中、150Wキセノンショートアークランプを備えたOreil模擬実験装置を用いて、AM1.5Gの模擬実験下で実施し、サンプルは連続的アニーリング下に保持した。
【0167】
加速寿命試験は、この試験のために開発された加熱チャンバーにて行った。太陽電池を暗所に保持し、I−V特性評価のためにのみ30分毎に点灯し、実験温度は一定に保った。図11〜19における太陽電池の特性は、実験温度での時間t0におけるそれらの初期値に対して付与される。図20〜27における太陽電池の特性は、それらの初期値に対して付与されるものではない。これらは絶対値である。XRD測定は、Siemens D5000回折計により、θ−2 θモードで行った。
【0168】
使用した入射ビームは、Ge(111)モノクロメーターのCuKα1線(λ=0.154056nm)である。融点(Tm)と融解エンタルピー(Hm)を測定するために、示差走査熱量測定(DSC)は、電気冷凍機(RCS)および窒素50ml/分、アルミニウムTzero(登録商標)坩堝を備えるTA Instruments社のQ2000(Tzero(登録商標))で、スキャン速度10.0K/分にて行った。第1冷却測定および第2昇温測定を議論に用いた。
【0169】
BHJ太陽電池におけるこれらのコポリマーの性能は、コポリマーの官能化された側鎖の割合に依存する。短絡回路電流(JSC)およびPCEは、官能化された側鎖割合が高くなるとともに低下する。
【0170】
ポリマー:PCBM(1:1、w/w)ブレンドの光学顕微鏡写真において(図1)、125℃で15分後、P3HT:PCBMブレンドに対して、多くのμm−スケールの目に見えるPCBM結晶が観察されている。これらの針状結晶は、PCBMがブレンドから拡散し、結晶化する際に形成される。しかしながら、PCBMを含む本発明の実施態様に従うコポリマーのブレンドにおいては、この針状結晶形成は抑制される。P2 9/1については、125℃で15分後に目に見える針状結晶は全くなく、P3 9/1については、針状結晶は時折検出された。PCBM結晶の数は、より長いアニーリング時間により、P3HT:PCBMブレンドにおいては激しく増加したのに対して、本発明の実施態様に従うコポリマー:PCBMブレンドにおいてはほとんど増加せず、これは本発明のコポリマーブレンドの形態が熱的により安定であることを示している。官能度が増加することにより、PCBM結晶はより少なくなった(P1:PCBMブレンドの場合については図2を、PC:PCBMブレンドの場合については図3を参照)。
【0171】
結晶化現象に関する情報をより収集するために、X線回折(XDR)を、コポリマー:PCBMブレンドにおいて行った(図8〜10参照)。クロロベンゼンからスピンコートしたP3HT:PCBMブレンドでは、P3HTにおけるラメラ積層は17.0Å付近の面間隔を有していた(図8および図10左側参照)。アニーリングの際(図9および図10右側)、回折ピークは狭くなり、これはおそらく、ポリマー鎖の指向性配置により生じる。P3 9/1:PCBMブレンドにおいては、PCBMからスピンコートされた膜中に結晶性シグナルは見られない(図8)。125℃で15分、アニーリングする際、結晶性回折シグナルが検出されたが、これはP3HTと比べて広く、形成される結晶性の配向性を決定し難いことを示している(図9)。同様の観測は、P1 1/1およびP4 1/1においてもなされた(図10参照)。P3HT、P1 9/1、P2 9/1およびP3 9/1コポリマーならびにそれらのブレンド(1/1)に対する昇温および冷却DSC曲線を、それぞれ、図4、5、6および7に示す。P3HT:PCBMブレンドについては、第1冷却曲線において目に見える単結晶ピークが存在する。しかしながら、同じスキャン速度(10k/分)で、コポリマー:PCBMブレンドでは結晶化は観察されなかった。光学顕微鏡においてはPCBMの結晶化が見られ、XRDにおいてコポリマーにおける結晶性積層は鮮明であったが、官能化された側鎖の存在は、DSCにより検出され得る溶融または結晶化しない方法で、ブレンド中の2つの物質の結晶性動力学に影響を与えた。
【0172】
ブレンドにおいて増加した熱的形態安定性はBHJ太陽電池の耐熱性に反映されるか否かを検証するために、いくつかのITO/PEDOT:PSS/ポリマー:PCBM(1:1)/Ca/Alデバイスを特定時間高温にさらした。実験温度での第1測定に対する効率を図11〜19に示す。
【0173】
P3HT:PCBM太陽電池の相対的効率を、いくつかの温度に対する時間の関数として図11に示す。80℃において、デバイス効率は少なくとも100時間ほぼ一定である。100℃および125℃においては、P3HT:PCBMデバイスの効率は次第に速く低下する。図14〜19におけるデバイスパラメータを見ると、JSCの低下が効率の低下に関与している。ブレンド形態において相分離が続き、特定の範囲内のより高い温度により相分離が次第に速くなるため、励起子はほとんど解離せず、電流もほとんど発生せず、JSCは形態安定性と相関する最適なパラメータである。FFにおける低下(図16参照)およびVOCにおける低下(図15参照)は、ブレンドにおける再編成効果にも関連しているかもしれないが、これらの温度および時間間隔で他の老化メカニズムを排除することはできない。
【0174】
図12では、P3 9/1コポリマー太陽電池効率の展開をいくつかの温度で示している。ここで、この効率は温度依存性が低く、125℃で150時間でさえ非常に安定である。図17〜19のデバイスパラメータから、一定のJSCはP3 9/1:PCBM太陽電池におけるより熱的に安定な形態を示す:150時間後、光電流の低下は観察されなかった。試験時間中、FFおよびVOCは、初期値に対して約10%の変動を示した。図13では、125℃におけるP3HT太陽電池のデバイス効率を、P2 9/1およびP3 9/1コポリマーブレンドにより作製した太陽電池と比較している。
【0175】
図20〜23は、P3HT、P1 9/1、P2 9/2およびP3 9/1太陽電池に対する、100℃での連続的なアニーリング時間の関数として、絶対的短絡回路電流密度、絶対的最大出力点、絶対的開放電圧および絶対的曲線因子を示す。これらは、また、P3HT:PCBMブレンドにおいて本発明のブレンドである場合に、太陽電池性能がより安定であることを明らかにする。
【0176】
図24〜27は、P3HT、P2 9/1、P3 9/1太陽電池に対する、100℃での連続的なアニーリング時間の関数として、絶対的短絡回路電流密度、絶対的最大出力点、絶対的開放電圧および絶対的曲線因子を示す。これらは、また、P3HT:PCBMブレンドにおいて本発明のブレンドである場合に、太陽電池性能がより安定であることを明らかにする。
【0177】
P3HT太陽電池のJSCおよび効率は、コポリマー太陽電池と比べてはるかに速く低下する。本発明の実施態様に従うコポリマー:PCBMブレンドにおける形態は、P3HTと比べて再編成に対してほとんど影響されず、これによりコポリマー:PCBM太陽電池の耐熱性の増加をもたらす。官能化された側鎖の10%の導入は、同じ工程に従って処理されたP3HT:PCBMデバイスと比較して、電力変換効率(PCE)にほとんど影響を与えないが、形態安定性を増加させる。
【0178】
コポリマー:PCBMブレンドにおいていくらかの結晶化は存在する(光学顕微鏡により見ることのできるPCBM結晶、XRDにおけるP3HT結晶性積層)が、官能化側鎖の存在は結晶化速度をゆっくりにし(10K/分において、DSCでは見えない)、それはブレンド形態を安定化させる。デバイス中の安定なブレンド形態は、125℃で、太陽電池においてより安定な光電流をもたらす。9/1コポリマーに対する増加した熱的形態安定性は、ポリチオフェン:フラーレンバルク接合太陽電池における高い効率と増加した耐熱性との間の折衷を示す。
【図面の簡単な説明】
【0179】
【図1】図1は、125℃で、aに対しては15分、bに対しては2時間、およびcに対しては24時間焼きなまし(アニーリング)した、P3HT: PCBM 1:1ブレンド(上段、比較), P2 9/1:PCBM 1:1ブレンド(中段、実施例)およびP3 9/1:PCBM 1:1ブレンド(下段、実施例)の光学顕微鏡写真を示す。
【図2】図2は、125℃で、aに対しては15分、bに対しては2時間、およびcに対しては24時間焼きなましした、P1 9/1:PCBM 1:1ブレンド(左、実施例)、P1 7/3:PCBM 1:1ブレンド(中、実施例)およびP1 1/1:PCBMブレンド(右、実施例)の光学顕微鏡写真を示す。
【図3】図3は、125℃で、aに対しては15分、bに対しては2時間、およびcに対しては24時間焼きなましした、P3 9/1:PCBM 1:1ブレンド(左、実施例)、P3 7/3:PCBM 1:1ブレンド(中、実施例)、およびP3 1/1:PCBMブレンド(右、実施例)の光学顕微鏡写真を示す。
【図4】図4は、P3HT(比較)、PCBMとのその1:1ブレンド(比較)およびPCBM単独(比較)のDSC曲線を示す(「HF」は熱流量を示し、「T」は温度を示す)。
【図5】図5は、P1 9/1(実施例)、PCBMとのその1:1ブレンド(実施例)およびPCBM単独(比較)のDSC曲線を示す(「HF」は熱流量を示し、「T」は温度を示す)。
【図6】図6は、P2 9/1(実施例)、PCBMとのその1:1ブレンド(実施例)およびPCBM単独(比較)のDSC曲線を示す(「HF」は熱流量を示し、「T」は温度を示す)。
【図7】図7は、P3 9/1(実施例)、PCBMとのその1:1ブレンド(実施例)およびPCBM単独(比較)のDSC曲線を示す(「HF」は熱流量を示し、「T」は温度を示す)。
【図8】図8は、アニーリング前のP3HT:PCBM 1:1(比較)とP3 9/1:PCBM 1:1(実施例)のXRD回折パターンを示す(「N」はカウント数を示し、「d」はd値を示す)。
【図9】図9は、125℃で15分後のP3HT:PCBM 1:1(比較)と125℃で15分後のP3 9/1:PCBM 1:1(実施例)のXRD回折パターンを示す(「N」はカウント数を示し、「d」はd値を示す)。
【図10】図10は、アニーリング前であって125℃で15分後のP3HT:PCBM 1:1(比較)、P1 1/1:PCBM 1:1(実施例)およびP4 1/1:PCBM 1:1(実施例)のXRD回折パターンを示す(「N」はカウント数を示し、「d」はd値を示す)。
【図11】図11は、ITO/PEDOT/P3HT:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池(比較)に対する、80℃(■)、100℃(▲)および125℃(★)における時間の関数としての相対効率を示す。
【図12】図12は、ITO/PEDOT/P3 9/1:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池(実施例)に対する、80℃(■)、100℃(▲)および125℃(★)における時間の関数としての相対効率を示す。
【図13】図13は、ITO/PEDOT/ポリマー:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池〔ポリマーは、P3HT(■、比較)、P2 9/1(▲、実施例)またはP3 9/1(★、実施例)のいずれかである〕に対する、125℃における時間の関数としての相対効率を示す。
【図14】図14は、ITO/PEDOT/P3HT:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池に対する、80℃(■)、100℃(▲)および125℃(★)における時間の関数としての相対電流密度を示す(比較)。
【図15】図15は、ITO/PEDOT/P3HT:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池に対する、80℃(■)、100℃(▲)および125℃(★)における時間の関数としての相対開放電圧を示す(比較)。
【図16】図16は、ITO/PEDOT/P3HT:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池に対する、80℃(■)、100℃(▲)および125℃(★)における時間の関数としての相対曲線因子を示す(比較)。
【図17】図17は、ITO/PEDOT/P3 9/1:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池に対する、80℃(■)、100℃(▲)および125℃(★)における時間の関数としての相対電流密度を示す(実施例)。
【図18】図18は、ITO/PEDOT/P3 9/1:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池に対する、80℃(■)、100℃(▲)および125℃(★)における時間の関数としての相対開放電圧を示す(実施例)。
【図19】図19は、ITO/PEDOT/P3 9/1:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池に対する、80℃(■)、100℃(▲)および125℃(★)における時間の関数としての相対曲線因子を示す(実施例)。
【図20】図20は、ITO/PEDOT/ポリマー:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池〔ポリマーは、P3HT(比較)、P1 9/1(実施例)、P2 9/1(実施例)またはP3 9/1(実施例)のいずれかである〕に対する、100℃における時間の関数としての回路電流密度を示す。
【図21】図21は、ITO/PEDOT/ポリマー:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池〔ポリマーは、P3HT(比較)、P1 9/1(実施例)、P2 9/1(実施例)またはP3 9/1(実施例)のいずれかである〕に対する、100℃における時間の関数としての最大出力点を示す。
【図22】図22は、ITO/PEDOT/ポリマー:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池〔ポリマーは、P1 9/1(実施例)、P2 9/1(実施例)またはP3 9/1(実施例)のいずれかである〕に対する、100℃における時間の関数としての開放電圧を示す。
【図23】図23は、ITO/PEDOT/ポリマー:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池〔ポリマーは、P3HT(比較)、P1 9/1(実施例)、P2 9/1(実施例)またはP3 9/1(実施例)のいずれかである〕に対する、100℃における時間の関数としての曲線因子を示す。
【図24】図24は、ITO/PEDOT/ポリマー:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池〔ポリマーは、P3HT(比較)、P2 9/1(実施例)またはP3 9/1(実施例)のいずれかである〕に対する、125℃における時間の関数としての回路電流密度を示す。
【図25】図25は、ITO/PEDOT/ポリマー:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池〔ポリマーは、P3HT(比較)、P2 9/1(実施例)またはP3 9/1(実施例)のいずれかである〕に対する、125℃における時間の関数としての最大出力点を示す。
【図26】図26は、ITO/PEDOT/ポリマー:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池〔ポリマーは、P3HT(比較)、P2 9/1(実施例)またはP3 9/1(実施例)のいずれかである〕に対する、125℃における時間の関数としての開放電圧を示す。
【図27】図27は、ITO/PEDOT/ポリマー:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池〔ポリマーは、P3HT(比較)、P2 9/1(実施例)またはP3 9/1(実施例)のいずれかである〕に対する、125℃における時間の関数としての曲線因子を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規チオフェンモノマーおよびそれを含む共役ポリマーに関する。また、本発明は、新規チオフェン単位を含んでなる共役ポリマーと電子受容体化合物のブレンド、およびそのようなブレンドから製造される太陽電池などの光電子デバイスにも関する。また、本発明は、このような新規チオフェンモノマーの製造方法および重合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
共役ポリマー、特にポリチオフェンポリマーは、電界効果トランジスタや太陽電池などの光電子デバイスにおいて広く使用されている。太陽電池に関して、通常、ポリチオフェンポリマーは電子供与体として用いられ、電子受容体とデバイス内で接触する。この目的のために使用されている電子受容体は、電子求引基を有する別の共役ポリマー、またはフラーレン誘導体若しくはペリレンイミド誘導体などの非重合体分子のいずれかである。有望な太陽光発電構造は、電子供与体と電子受容体のバルクヘテロ接合(BHJ)を含む。バルクヘテロ接合において、供与体−受容体界面は、光生成した励起子がその生成部位の距離LD内で供与体−受容体界面にたどり着く可能性が高くなるよう、多重に折り重なっている。バルクヘテロ接合は、典型的には、電子供与体と電子受容体物質の可溶性型混合物のスピンコーティングにより製造される。スピンコーティングおよび溶媒蒸発の間に、供与体および受容体物質は相分離し、複雑な相互浸透ネットワークを生成する。
【0003】
しかしながら、このネットワークは安定性に欠け、徐々にさらなる相分離をもたらす偏析の傾向があり、それにより不安定性とデバイス性能特性の連続的な低下を引き起こす。例えば、相分離は、供与体/受容体界面の表面の低下、励起子解離の低下、電極に集まる電荷数の低下、短絡電流密度(JSC)および電力変換効率の低下をもたらす。
【0004】
バルクヘテロ接合の安定性を高める1つの方法は、ネットワークを架橋することである。
【0005】
有機半導体物質の分野において、とりわけ、エレクトロルミネセンス素子および直接的構造化手法における活性層の適用のための架橋性物質に対する関心は増しており、それによりシャドーマスクの使用を回避する。
【0006】
Zhu等は、ポリチオフェン−フラーレン混合物に関するバルクヘテロ接合における膜形態を安定化するためのエポキシ官能化フラーレンC60誘導体ならびに架橋性ポリチオフェン誘導体を記載している(Journal of macromolecular science、パートA、pure and applied chemistry、第41巻、N°12、第1467〜1487、2004)。この安定効果は、バルクヘテロ接合が形成される際のこれらの構成要素の重合化または架橋を介して模索された。一旦重合化したエポキシ官能化フラーレンC60誘導体は相分離形態を安定化させることがわかった。架橋性ポリチオフェン誘導体も製造されているが、膜形態の安定化においてほとんど効果はなかった。これらの技術は、光開始剤を利用し、重合/架橋工程のためのUV光を必要とする。これらのUV誘導反応は、ポリマー構造にとって弊害をもたらすラジカルの形成を伴う。
【0007】
光開始剤などの混合された電子的活性化合物の欠点は、その含有が、膜組成、膜形態に悪影響を及ぼし、その後有機デバイスの機能に影響を及ぼし得る反応性不純物をもたらすことである。この欠点は、活性層のナノ形態が(製造工程中だけでなく、製造後の長い期間においても)パラメータ変化に対して非常に敏感である有機バルクヘテロ接合太陽電池などの有機デバイスにとってよりあてはまる。また、バルクヘテロ接合を安定化するために架橋工程は必要であると今まで考えられていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Zhu等、Journal of macromolecular science、パートA、pure and applied chemistry、第41巻、N°12、第1467〜1487、2004
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、架橋工程を利用することなく、かつ、そのような架橋工程を実現する光開始剤を使用することなく、形態学的に安定なバルクヘテロ接合太陽電池の製造を可能にする新規のチオフェン系ポリマーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことに、チオフェン含有ポリマー類が、フラーレン誘導体などの電子受容体と混合した場合に安定なバルクヘテロ接合を形成する予期せぬ能力を有していることがわかった。
【発明を実施するための形態】
【0011】
前記チオフェン系ポリマーを含有する活性層のナノ形態時の安定化を可能にするチオフェン系ポリマーを製造することができることは、本発明のいくつかの実施態様の優れた点である。例えば、本発明の実施態様に従うチオフェン系ポリマーを含んでなる有機バルクヘテロ接合太陽電池における活性層は、前記物質を架橋することなく安定なナノ形態を有する。
【0012】
形態の光安定化が、例えば、バルクヘテロ接合太陽電池の出力効率および/または短絡回路電流などのデバイスの性能特性の安定化を伴うことも、本発明のいくつかの実施態様の別の優れた点である。
【0013】
形態の安定化が、デバイス、特に太陽電池の所定の性能レベルに対する耐用年数の増加をもたらすことは、本発明のいくつかの実施態様の別の優れた点である。
【0014】
太陽電池の出力効率の安定性が活性層の安定性に関連しているであろうことは、本発明のいくつかの実施態様の別の優れた点である。この活性層は、本発明の実施態様に従うポリマー(p型、電子供与体)およびn型(電子受容体)成分のいずれもが可溶である有機溶剤から薄膜として加工することができ、また、本発明の実施態様に従うp型ポリマーと、p型ポリマーが本発明の実施態様に従うポリマーではなかった場合に経時的に分離する傾向にあるn型物質(例えば、C60フラーレン誘導体またはn型半導体ポリマー)のブレンドから製造し得る。
【0015】
本発明の目的は、バルクヘテロ接合太陽電池用途のための、p型物質とn型物質に基づく安定な活性層を提供することである。このブレンドは、特定の側鎖を有するチオフェン単位を含んでなるp型ポリマーと、様々な比率で混合されたn型物質から製造することができ、かつ、例えば溶液から薄膜として加工することができる。このようなブレンドに含まれるn型物質は、本発明の実施態様に従うポリマーから電子を受容できる任意の分子、オリゴマーまたはポリマーであってよい。指針として、通常、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)と接触した際に電子伝達を操作することで知られるn型物質を使用することができる。 これは、本発明の実施態様に従うポリマーがP3HTに電子的に類似するためにいえることである。
【0016】
第1の態様において、本発明は、構造式(I):
【化1】
〔式中、
Lは、1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキレン基であり、
Jは、水素原子または1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキル基であり、かつ、
XおよびYは、互いに独立して、水素、クロロ、ブロモ、ヨード、ボロン酸、ボロン酸エステルおよび有機スズからなる群から選択される〕
で表される化合物に関する。
【0017】
この化合物は、繰り返し単位としてまたはポリマー若しくはコポリマーにおける末端基として組み込むのに適したモノマーである。官能基XおよびYの少なくとも1つは、そのような組み込み可能な官能基である。
【0018】
XおよびYのいずれもが水素原子の場合、この化合物の重合または共重合は、酸化カップリングにより行われる。
【0019】
XおよびYのいずれか1つのみが水素原子である場合、ポリマー鎖若しくはコポリマー鎖の末端の末端基としてこの化合物の組み込みを生じることだけができる。これは、重合が酸化的であるか還元的であるかにかかわらず言えることである。
【0020】
XおよびYのいずれも水素でない場合、この化合物の重合若しくは共重合は、還元カップリングにより行われる。
【0021】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の第1態様の化合物は、限定されるものではないが、例えば、Riekeカップリング(例えば、T.−A.Chen、R.D.Riekeによる、J.Am.Chem.Soc.(1992)114、10087に開示された方法に類似する方法に従う)、McCulloughカップリング(例えば、R.D.McCullough等による、J.Chem.Soc.、Chem.Commun.、1992.70または米国特許第6,166,172号に開示された方法に類似する方法に従う)、Stilleカップリング(例えば、Milstein、D.;Stille,J.K.による、J.Am.Chem.Soc.1978,100,3636またはD.Milstein、J.K.Stilleによる、J.Am.Chem.Soc.、1979,101,4992に開示された方法に類似する方法に従う)、Suzukiカップリング(例えば、N.Miyaura、T.Yanagi、A.Suzukiによる、Synth.Commun.、1981、11、513に開示された方法に類似する方法に従う)またはYamamotoカップリング(例えば、T. Yamamoto、A.Morita、Y.Miyazaki、T.Maruyama、H.Wakayama、Z.H.Zhou、Y.Nakamura、T.Kanbara、S.SasakiおよびK.Kubotaのよる、Macromolecules、1992、25、1214に開示された方法に類似する方法に従う)などの還元カップリングにより重合若しくは共重合され得る。
【0022】
反応性カップリングは、立体規則性ポリマー、すなわち、80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは89%以上の立体規則性を有するポリマーの合成を可能にするため有利である。
【0023】
1つの実施態様において、モノマーは、2つの同一の(すなわち、X=Y)または異なる反応性ハロゲン(例えば、I、Br若しくはCl)または疑似ハロゲンを含んでいてよい。これにより、RiekeまたはYamamotoカップリング重合におけるその重合若しくは共重合、またはボロン酸およびボロン酸エステルからなる群から選択される2つの同一または異なる反応性基を含んでなるコモノマーによるSuzukiカップリングにおけるその共重合、あるいは2つの同一または異なる有機スズ反応性基を含んでなるコモノマーによるStilleカップリングにおけるその共重合が可能となる。好ましくはX=Yであり、最も好ましくはX=Y=ハロゲンである。
【0024】
別の実施態様において、モノマーは、ボロン酸およびボロン酸エステルからなる群から選択される2つの同一または異なる反応性基を含んでいてよい(好ましくはX=Y)。これにより、2つの同一(すなわち、X=Y)または異なる反応性ハロゲン(例えばI、Br若しくはCl)または疑似ハロゲンを含んでなるコモノマーによるSuzukiカップリングにおけるその共重合が可能となる。
【0025】
さらに別の実施態様において、モノマーは、1つの反応性ハロゲン(例えば、I、Br若しくはCl)または疑似ハロゲンおよび、ボロン酸若しくはボロン酸エステルからなる群から選択される別の反応性基を含んでいてよい(すなわち、XとYは異なる)。これにより、Suzukiカップリングによるその重合または共重合が可能となる。
【0026】
2つの同一または異なるハロゲン若しくは疑似ハロゲンを含んでなる1つのコモノマーと、ボロン酸若しくはボロン酸エステルからなる群から選択される2つの同一または異なる反応性基を含んでなる第2のコモノマーとの間でSuzukiカップリングが行われる場合、この2つのコモノマーは等モル比で存在することが好ましい。
【0027】
別の実施態様において、モノマーは、1つの反応性ハロゲン(例えば、I、Br若しくはCl)または疑似ハロゲンと、1つの反応性有機スズ基を含んでいてよい(すなわち、XとYは異なる)。これにより、Stilleカップリングによるその重合または共重合が可能となる。
【0028】
2つの同一または異なるハロゲン若しくは疑似ハロゲンを含んでなる1つのコモノマーと、2つの同一または異なる反応性有機スズ基を含んでなる第2のコモノマーとの間でStilleカップリングが行われる場合、この2つのコモノマーは等モル比で存在することが好ましい。
【0029】
通常、製造されるポリマーの高い分子量を考慮して、上述した重合工程のいずれかにより生じる末端基の性質を決定することは困難であるが、一般的に、出発モノマーに存在する脱離基(例えば、ハロゲン、疑似ハロゲン、ボロン酸、ボロン酸エステル若しくは有機スズ)と同じ性質であるか、または水素であると認められる。
【0030】
選択すべき末端基を(コ)ポリマーに導入するための方法は、当業者によく知られている。第1の方法(いわゆる「ワンポット」法)は、重合の開始時から、末端分子をモノマー若しくはコモノマーとともに反応混合物中に投入することを含む。第2の方法は、前記段落において説明した(コ)ポリマーを製造する第1段階と、この(コ)モノマーを末端分子と反応させる第2段階を含む。いずれの方法においても、末端分子は芳香族分子であり、好ましくは、ただ1つの反応性ハロゲン(例えば、I、Br若しくはCl)、ボロン酸、ボロン酸エステル、有機スズまたは反応性カップリングに有用な当業者に既知の他の基を含むか、そうでなければ前記コモノマーに類似する。
【0031】
第1の方法に従う末端基導入の例は、C.Ego等による、J.of the Am.Chem.Soc.125(2)(2003)、437−443に開示されている。
【0032】
式(I)において、好ましくは、Lは直鎖のアルキレン基である。Lは、好ましくは2〜8個の炭素原子を有し、より好ましくは4〜6個の炭素原子を有し、最も好ましくは5個の炭素原子を有する。好ましい実施態様において、Lは、炭素数5個の直鎖アルキレン基、すなわちペンタメチレン基である。
【0033】
式(I)において、Jは、好ましくは1〜3個の炭素原子を有する、最も好ましくは2個の炭素原子を有する直鎖アルキル基である。
【0034】
いくつかの実施態様において、本発明の第1態様のモノマーは下記構造を有する。
【化2】
【0035】
いくつかの実施態様において、本発明の第1態様のモノマーは下記構造を有する。
【化3】
【0036】
第2の態様において、本発明は、式(IV):
【化4】
〔式中、LおよびJは、本発明の第1態様の実施態様における定義と同じである〕
で示される少なくとも1つのモノマー単位を含むポリマーに関する。
このポリマーは、ホモポリマーであっても、コポリマーであってもよい。
【0037】
本発明のポリマー(ホモポリマーまたはコポリマー)の(標準ポリスチレンに基づき測定した)重量平均分子量Mwは、例えば、約10,000〜約300,000ダルトンの範囲であってよく、例えば、約12,500〜200,000ダルトンまたは15,000〜100,000ダルトンの範囲であり得る。本発明のポリマー若しくはコポリマーの多分散性指数(PD=Mw/Mn)は、例えば、1.05〜約10.0であってよく、例えば、1.5〜5.0または1.7〜3.0であり、好ましくは1.8〜2.5であり得る。
【0038】
本発明の特定の実施態様において、本発明の第2態様のポリマーとしては、構造式(IV)で示されるモノマー単位を含んでなるホモポリマー、および、モノマー単位(IV)に加えて少なくとも1つのコモノマーArをランダム配列、交互配列、またはブロック配列で含んでなる、2個以上の異なるモノマー単位を含むコポリマーが挙げられる。ランダム配列は、例えば、第1および第2コモノマーを、互いに反応させることも、それ自体で反応させることもできる場合に得ることができる(例えばYamamoto反応)。交互配列は、例えば、第1および第2コモノマーを互いに反応させることだけができ、それ自体で反応させることができない場合に得ることができる(例えば、第1モノマーが2個の臭素基を含み、第2モノマーが2個のボロン酸エステル官能基を含む場合のSuzuki反応)。ブロック配列は、それ自体および第1モノマーと反応することができる第2モノマーが反応媒体に導入される前に、それ自体で反応することができる第1コモノマーを重合することができる場合に得ることができる。ブロック配置を得るための他の方法は、第1タイプのモノマーのみを含むポリマーをはじめに合成し、その後このポリマーを、第2タイプのモノマーのみを含む別のポリマーと反応させることであり得る。
【0039】
本発明の第1態様の任意の実施態様に従うモノマー、特に構造式(I)により示されるモノマー、と共重合することができる適当なモノマーとしては、下記一般式:
X’−Ar−Y’ (V)
〔式中、X’およびY’は、互いに独立して、水素、クロロ、ブロモ、ヨード、ボロン酸、ボロン酸エステルおよび有機スズからなる群から選択される〕で示されるモノマーが挙げられる。
【0040】
この化合物(V)は、コポリマーに組み込むのに適したコモノマーである。官能基X’およびY’の少なくとも1つは、共重合により、または末端基としてそのような組み込みを可能にする官能基である。
【0041】
X’およびY’のいずれもが水素原子の場合、この化合物の共重合は酸化カップリングにより行われる。
【0042】
X’およびY’のいずれか1つのみが水素原子である場合、ポリマー鎖若しくはコポリマー鎖の末端の末端基としてこの化合物の組み込みを生じることだけができる。これは、重合が酸化的であるか還元的であるかに係わらず言えることである。
【0043】
X’およびY’のいずれも水素でない場合、この化合物の共重合は還元カップリングにより行われる。
【0044】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の第1態様の化合物は、式(V)のコモノマーで述べたような反応性カップリング反応により共重合され得る。
【0045】
好ましい実施態様において、モノマーは、反応性ハロゲン(例えば、I、Br若しくはCl)、疑似ハロゲン、ボロン酸、ボロン酸エステル、有機スズおよび反応性カップリングに有用な当業者に既知の他の基からなる群から選択される2つの反応性基を含んでいてよい。本発明の第2態様に従うコポリマーの形成に適するコモノマーとしては、とりわけ、フルオレン誘導体[限定するものではないが、2,7−ジブロモ−9,9−ジアルキルフルオレンまたは2,7−ジブロモ−9,9−ジアリールフルオレン(例えば、C.Ego等、Adv.Mater.14(2002)809−811参照)]、インデノフルオレン誘導体(例えば、S.Setayesh、Macromolecules(2000)33:2016参照)、フェニレンまたはラダー型フェニレン誘導体(例えば、J.Grimme等、Adv.Mat.(1995)7、292参照)、アニリン誘導体、チオフェン誘導体(例えば、2,5−ジブロモチオフェンおよび2,5−ジブロモ−3−C1〜20アルキルチオフェン)、フルオレノン誘導体(限定するものではないが、例えば、2,7−ジブロモフルオレノン)、ナフタレン誘導体(限定するものではないが、例えば、2,6−ジブロモナフタレンおよび1,4−ジブロモナフタレン);アントラセン誘導体(限定するものではないが、例えば、1,4−ジブロモアントラセン、2,6−ジブロモアントラセンおよび9,10−ジブロモアントラセン);フラン誘導体(限定するものではないが、例えば、2,5−ジブロモフラン);ピロール誘導体(限定するものではないが、例えば、2,5−ジブロモピロール);1,3,4−オキサジアゾール−2,5−ジイル 誘導体;1,3,4−チアジアゾール−2,5−ジイル誘導体;2,3−ベンゾ[C]チエニレン誘導体;チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル誘導体;ピロール[3,2−b]ピロール−2,5−ジイル誘導体;ピレン誘導体(限定するものではないが、例えば、2,7−ジブロモピレンおよび2,7−ジブロモ−4,5,9,10−テトラヒドロピレン);4,4’−ビフェニレン誘導体;フェナントレン誘導体(限定するものではないが、例えば、2,7−ジブロモフェナントレン;3,6−ジブロモフェナントレンおよび2,7−ジブロモ−9,10−ジヒドロフェナントレン);ジベンゾ−フラン−2,7−ジイル誘導体;ジベンゾ−チオフェン−2,7−ジイル誘導体、3,6−ジブロモカルバゾール誘導体およびペリレン誘導体(C.Ego等、J.Am.Chem.Soc.125(2)(2003)437−443参照)が挙げられる。
【0046】
1つの実施態様において、コモノマーX’−Ar−Y’は、2つの同一の(すなわち、X’=Y’)または異なる反応性ハロゲン(例えば、I、BrまたはCl)若しくは疑似ハロゲンを含有していてよい。これにより、式(I)〔式中、XおよびYもハロゲンまたは疑似ハロゲンである〕のモノマーとの、RiekeまたはYamamotoカップリング重合におけるその共重合が可能となる。また、ボロン酸およびボロン酸エステルからなる群から選択される2つの同一または異なる反応性基を含んでなる式(I)のモノマーとのSuzukiカップリングにおけるその共重合、あるいは2つの同一または異なる有機スズ反応性基を含んでなる式(I)のモノマーとのStilleカップリングにおけるその共重合も可能となる。好ましくはX’=Y’である。
【0047】
別の実施態様において、コモノマーは、ボロン酸およびボロン酸エステルからなる群から選択される2つの同一または異なる反応性基を含んでいてよい(好ましくはX’=Y’)。これにより、2つの同一(すなわち、X=Y)または異なる反応性ハロゲン(例えばI、Br若しくはCl)または疑似ハロゲンを含んでなる式(I)のモノマーとのSuzukiカップリングにおけるその共重合が可能となる。
【0048】
さらに別の実施態様において、コモノマーは、1つの反応性ハロゲン(例えば、I、Br若しくはCl)または疑似ハロゲンおよび、ボロン酸若しくはボロン酸エステルからなる群から選択される別の反応性基を含んでいてよい(すなわち、X’とY’は異なる)。これにより、1つの反応性ハロゲン(例えば、I、Br若しくはCl)または疑似ハロゲンおよび、ボロン酸若しくはボロン酸エステルからなる群から選択される別の反応性基を含む式(I)のモノマーとの、Suzukiカップリングによるその共重合が可能となる。
【0049】
別の実施態様において、コモノマーは、1つの反応性ハロゲン(例えば、I、Br若しくはCl)または疑似ハロゲンと、1つの反応性有機スズ基を含んでいてよい(すなわち、X’とY’は異なる)。これにより、1つの反応性ハロゲン(例えば、I、Br若しくはCl)または疑似ハロゲンと、1つの反応性有機スズ基を含む(すなわち、XとYは異なる)式(I)のモノマーとの、Stilleカップリングによるその共重合が可能となる。
【0050】
第2態様の実施態様において、このポリマーは式(IV)で示されるモノマーと少なくとも1つのコモノマーを含んでなるランダム、交互またはブロックコポリマーであってよい。
【0051】
第2態様の実施態様において、前記の少なくとも1つのコモノマーは、単素環芳香族基または複素環芳香族基である。この芳香族基は置換されていてもよい。例えば、C1〜20−アルキル、C1〜20アルコキシ、C1〜20−アルキルスルフェート、フェニルおよびベンジルからなる群から独立して選択される1つ以上の置換基により置換され得る。
【0052】
言い換えると、本発明の第2態様の実施態様において、ポリマーは、
【化5】
〔式中、Arは、単素環芳香族基または複素環芳香族基である。この基は、置換されていてもよい。例えば、C1〜20−アルキル、C1〜20アルコキシ、C1〜20−アルキルスルフェート、フェニルおよびベンジルからなる群から独立して選択される1つ以上の置換基により置換されていてよく、mおよびnは繰り返し単位の数であり、LおよびJは、本発明の第1態様における定義と同じである。〕
を含む構成単位を有するコポリマー(例えば、ランダムコポリマー)であってよい。
【0053】
好ましくは、Arは、1つ以上の、炭素数6〜10の直鎖または分枝アルキル基により置換される。
【0054】
本発明の第2態様の実施態様において、コモノマーは下記式:
【化6】
〔式中、Rは、炭素数6〜10の直鎖または分枝アルキル基である〕
で示され得る。
【0055】
言い換えると、本発明の第2態様の別の実施態様は、下記式:
【化7】
〔式中、Rは、炭素数6〜10の直鎖または分枝アルキル基である〕
で示されるコポリマーに関する。
【0056】
本発明の第2態様の任意の実施態様において、このコポリマーは、3:2〜1:49、好ましくは3:2〜1:19、より好ましくは1:4〜1:19の比率で、式(IV)で示されるモノマー単位とコモノマーを含んでいてよい。
【0057】
言い換えると、本発明の第2態様の任意の実施態様において、m/(m+n)は0.40以上、0.60以上または0.80以上であってよい。また、本発明の第2態様の任意の実施態様において、m/(m+n)比は、0.98以下または0.95以下であってよい。m/(m+n)比に対するこれらの上限は全て、上述した全ての下限値と組み合わせることができる。例えば、m/(m+n)比は、0.40〜0.98(これは、0.67〜49のm/n比に相当)であることができ、好ましいm/(m+n)は0.40〜0.95であり、より好ましくは0.80〜0.98または0.80〜0.95である。これら少なくとも2つのより高い(m/m+n)値の範囲は、電気的特性を著しく低下させることなく、それによりデバイス性能特性を低下させることなく、所望する安定性の増加を可能とするため有利である。
【0058】
第3の態様において、本発明は、本発明の第2態様に従うポリマーの製造方法であって、第2態様に従う化合物、および場合により式(V)のコモノマーを還元カップリングにより重合させることを含む方法に関する。
【0059】
第4の態様において、
(a)
【化8】
〔式中、L’は、L−C(O)O−J、L−C(O)NR’−J、L−OCO−J’、L−NR’CO−J’、L−SCO−J’、L−O−J、L−S−J、L−Se−J、L−NR’−JおよびL−CN(式中、Lは、1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキレン基であり、Jは、水素原子または1〜4個の炭素原子を有する直鎖若しくは分枝アルキル基であり、J’は、フェニル構造を含む若しくはフェニル構造を含まない炭素数1〜10の飽和若しくは不飽和の、直鎖若しくは分枝の基であり、R’は、水素原子または1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキル基である)からなる群から選択される〕
を含んでなるモノマー単位を有するポリマー、および、
(b)フラーレン誘導体のような電子受容体
を含む、光起電デバイスにおいて使用するためのブレンドに関する。
【0060】
フラーレン誘導体としては、例えば、C28、C36、C50、C60、C70、C72、C76およびC84誘導体が挙げられる。最も一般的に使用されるフラーレン誘導体は、C60およびC70誘導体である。例えば、C60誘導体である[6,6]−フェニル−C61−絡酸メチルエステル(PCBM)がある。(例えば、ペンダント基として)フラーレン単位を組み込んだポリマーもフラーレン誘導体として理解されるべきである。
【0061】
ブレンドは、好ましくはバルクヘテロ接合である。
Lは、好ましくは直鎖アルキレン基である。Lは、好ましくは2〜8個の炭素原子を有する。
【0062】
一実施態様において、L’は式L−C(O)O−JまたはL−C(O)NR’−Jを有し、Lは、より好ましくは4〜6個の炭素原子を有し、最も好ましくは5個の炭素原子を有する。
【0063】
好ましい実施態様において、L’は式L−C(O)O−JまたはL−C(O)NR’−Jを有し、Lは炭素数5の直鎖アルキレン基(すなわち、ペンタメチレン基)である。
【0064】
一実施態様において、L’は式L−C(O)O−JまたはL−C(O)NR’−Jを有し、Jは、好ましくは1〜3個の炭素原子、最も好ましくは2個の炭素原子を有する直鎖アルキル基である。
【0065】
いくつかの実施態様において、L’は、下記構造:
【化9】
〔式中、★はチオフェニレンとの接合部位を示す〕
を有する。
【0066】
一実施態様において、L’は式L−OCO−J’またはL−NR’CO−J’を有し、Lは、好ましくは1〜4個の炭素原子を有し、より好ましくは1〜3個の炭素原子を有し、最も好ましくは2個の炭素原子を有する(すなわち、エチレン基である)。
【0067】
一実施態様において、L’は式L−OCO−J’またはL−NR’CO−J’を有し、J’は、好ましくは1〜8個の炭素原子を有する。例えば、J’は、メチル基またはシンナモイル基であり得る。
【0068】
一実施態様において、L’は式L−O−J、L−S−JまたはL−Se−Jであり、Lは、好ましくは1〜4個の炭素原子を有し、より好ましくは1〜3個の炭素原子を有し、最も好ましくは2個の炭素原子を有する(すなわち、エチレン基である)。
【0069】
一実施態様において、L’は式L−O−J、L−S−JまたはL−Se−Jであり、Jは、好ましくは水素またはメチルであり、最も好ましくは水素である。
【0070】
第4態様の実施態様において、本発明は、ポリマーが、式(IV)のモノマー単位および少なくとも1つのコモノマーを含んでなるランダムコポリマー、交互コポリマーまたはブロックコポリマーであるブレンドに関する。
【0071】
第4態様の実施態様において、少なくとも1つのコモノマーが、単素環芳香族基または複素環芳香族基であってよい。この芳香族基は置換されていてもよい。例えば、C1〜20−アルキル、C1〜20アルコキシ、C1〜20−アルキルスルフェート、フェニルおよびベンジルからなる群から独立して選択される1つ以上の置換基により置換され得る。
【0072】
言い換えると、一実施態様において、ポリマーは、
【化10】
〔式中、Arは、単素環芳香族基または複素環芳香族基である。この基は、置換されていてもよい。例えば、C1〜20−アルキル、C1〜20アルコキシ、C1〜20−アルキルスルフェート、フェニルおよびベンジルからなる群から独立して選択される1つ以上の置換基により置換されていてよく、mおよびnは繰り返し単位の数である。〕
で示されるコポリマーであってよい。
【0073】
本発明の第4態様の実施態様において、本発明は、前記コモノマーが下記式:
【化11】
〔式中、Rは、炭素数6〜10の直鎖または分枝アルキル基である〕
で示されるブレンドに関する。
【0074】
言い換えると、別の実施態様において、ポリマーは、下記式:
【化12】
〔式中、Rは、炭素数6〜10の直鎖または分枝アルキル基である〕
で示されるコポリマーであってよい。
【0075】
一実施態様において、このコポリマーは、3:2〜1:19、好ましくは1:4〜1:19の比率で、式(IV)で示されるモノマー単位とコモノマーを含んでいてよい。
【0076】
言い換えると、一実施態様において、m/(m+n)は、0.40〜0.98、好ましくは0.80〜0.98、より好ましくは0.80〜0.95であってよい。
【0077】
上述した任意の実施態様において、ポリマーは、ランダムコポリマー、交互コポリマーまたはブロックコポリマーであり得る。
【0078】
本発明の第4態様の実施態様において、前記ブレンドに含まれるポリマーは本発明の第2態様の任意の実施態様のポリマーである。
【0079】
第5の態様において、本発明は、本発明の第4態様の任意の実施態様に従うブレンドを含んでなる光電子デバイスに関する。
【0080】
活性層として使用するために、本発明のポリマーおよびブレンドは、一般的に、当業者に周知の方法(例えば、浸漬法、スピンコーティング、インクジェット印刷、スクリーン印刷など)により、薄膜の形態で基材に対して塗布される。好ましくはスピンコーティングを用いる。
【0081】
同様に、本発明は、1つ以上の活性層を有し、これらの活性層の少なくとも1つが1つ以上の本発明のポリマーまたはブレンドを含んでなる有機太陽電池に関する。
【0082】
一実施態様において、第5態様による光電子デバイスは、陽極、陰極および本発明の第4態様に従うブレンドを含んでなり、前記陽極または陰極の少なくとも1つは、少なくとも一部の太陽スペクトルに対して透過的である光起電デバイスである。好ましくは、ブレンドが前記陽極と前記陰極の間に挟みこまれている。
【0083】
本発明のポリマーまたはブレンドを含む活性層を有する有機太陽電池は、(特に、基板、電極、p型/n型比、溶剤、濃度などのパラメータに関する)文献に記載されているような最新技術を用いて製造される。
【0084】
典型的な有機光起電デバイスは、一般的に下記を含む:
・基板(好ましくは、ガラスなどの透明基板)
・第1導伝層(好ましくは、ITOなどの透明導伝層)
・場合により、1つ以上の正孔輸送層
・本発明の実施態様に従うブレンドなどの活性層
・場合により、1つ以上の電子輸送層
・場合により、金属電極のような第2導伝層。
【0085】
本発明の実施態様において、基板は1つの物質からまたは1つ以上の物質から形成することができる。基板は、有機または無機であってよく、平面または非平面であってよい。適当な無機基板の例は、ガラスおよび石英である。適当な有機基板の例は、限定されるものではないが、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)およびポリカーボネート等の透明ポリマーである。基板は、硬質であっても軟質であってもよい。
【0086】
第1導伝層は、陽極の役割を果たす。典型例は、酸化インジウムスズ(ITO)である。他の例は、例えばSnまたはFによりドープした酸化スズである。
【0087】
正孔輸送層に利用可能な物質は当業者に周知であり、例えば、ポリアニリン(「PANI」)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(「PEDOT」)、PEDOT:PSS、ポリピロール、有機電荷移動化合物(例えば、テトラチアフルバレンテトラシアノキノジメタン(「TTF−TCNQ」)など)、ならびに高仕事関数金属酸化物、例えば酸化モリブデン、酸化バナジウム、および酸化タングステンなどが挙げられる。正孔輸送材料の他の例は、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)である。
【0088】
電子輸送層に利用可能な物質は当業者に周知であり、例えば、金属キレートオキシノイド化合物(例えば、Alq3またはアルミニウム(III)ビス(2−メチル−8−キノリナト)4−フェニルフェノレート(「BAlq」));フェナントロリン系化合物(例えば、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(「DDPA」)または9,10−ジフェニルアントラセンス(「DPA」));アゾール化合物(例えば、2−tert−ブチルフェニル−5−ビフェニル−1,3,4−オキサジアゾール(「PBD」)または3−(4−ビフェニル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(「TAZ」);ジフェニルアントラセン誘導体;ジナフチルアントラセン誘導体;4,4−ビス(2,2−ジフェニル−エテン−1−イル)−ビフェニル(「DPVBI」);9,10−ジ−β−ナフチルアントラセン;9,10−ジ−(ナフェンチル(naphenthyl))アントラセン;9,10−ジ−(2−ナフチル)アントラセン(「ADN」);4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(「CBP」);9,10−ビス−[4−(2,2−ジフェニルビニル)−フェニル]−アントラセン(「BDPVPA」);アントラセン、N−アリールベンゾイミダゾール(「TPBI」など);1,4−ビス[2−(9−エチル−3−カルバゾイル)ビニレニル]ベンゼン;4,4’−ビス[2−(9−エチル−3−カルバゾイル)ビニレニル]−1,1’−ビフェニル;9,10−ビス[2,2−(9,9−フルオレニレン)ビニレニル]アントラセン;1,4−ビス[2,2−(9,9−フルオレニレン)ビニレニル]ベンゼン;4,4’−ビス[2,2−(9,9−フルオレニレン)ビニレニル]−1,1’−ビフェニル;ペリレン、置換ペリレン;テトラ−tert−ブチルペリレン(「TBPe」);ビス(3,5−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)フェニル−(2−カルボキシピリジル)イリジウムIII(「F(Ir)Pic」);ピレン、置換ピレン;スチリルアミン;フッ素化フェニレン;オキシダゾール;1,8−ナフタルイミド;ポリキノリン;PPV中の1つ以上のカーボンナノチューブ、ならびに酸化チタンおよび酸化亜鉛などの低仕事関数金属酸化物などが挙げられる。
【0089】
電極先端部に適用する前に、好ましくは活性層に、コポリマー中のコポリマー比に応じて決まる温度でアニーリング工程を施す。電極(陰極)(例えば、20nmCaおよび80nmAlまたは100nmイッテルビウム)の選択は、太陽電池の老化特性にはほとんど影響しないが、初期電力効率の絶対値に影響を及ぼす。
【0090】
本発明は、1つ以上の活性層を有する有機太陽電池にも関する。少なくとも1つのこれらの活性層は、1タイプの電子伝導性を有する本発明の第5態様に従うブレンドと第2の半導体物質(例えば、C60誘導体のような小分子またはn型(電子受容性)半導体などのポリマー)から製造される。
【0091】
さらに、本発明のポリマーおよびブレンドは、有機系デバイス、限定されるものではないが、例えば太陽電池(2層、バルクヘテロ接合、多層セル、色素増感、有機/有機、有機/ポリマー、有機/無機、反転デバイス構造など)に適している。
【0092】
本発明の第5態様の実施態様によれば、1つ以上の「安定な」活性層を含んでなる時間安定性有機太陽電池が提供される。前記安定性を確保するために、活性層の硬化、特にUV硬化は必要とされない。
【0093】
第6の態様において、本発明は、バルク接合太陽電池の形態を安定化させるための、式(IX)〔式中、L’は本発明の第4態様の実施例におけるものと同じ定義である〕のモノマー単位を有するポリマーの使用に関する。
【0094】
〔定義〕
本明細書において使用する用語「電子供与体」は、別段の定めがある場合を除いて、1個以上の電子を電子受容体に対して供与できる化合物を意味する。同様に、用語「電子受容体」は、電子供与体から1個以上の電子を受容できる化合物を意味する。周知の電子受容体物質は、フラーレンおよび/またはフラーレン誘導体である。しかしながら、他の物質、例えばシアノ置換共役ポリマー〔例えば、CN−MEH−PPV(ポリ−[2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキシルオキシ)−1,4−(1−シアノビニレン)−フェニレン])〕、ベンゾチアジアゾール含有共役ポリマー〔例えば、F8TB(ポリ(9,9’−ジオクチルフルオレンコ−ベンゾチアジアゾール)〕またはペリレン系小分子(例えば、ペリレンジカルボキシイミド誘導体)も電子受容体として考える。一実施態様において、電子受容体は、例えば[6,6]−フェニル−C61−絡酸メチルエステルなどのフラーレン誘導体であってよい。
【0095】
本明細書において使用する用語「ボロン酸エステル」は、別段の定めがある場合を除いて、水素が任意の有機基、好ましくはヒドロカルビル基により置換され、アルコールまたはジオールとの縮合により得ることのできるボロン酸誘導体を意味し、限定するものではないがジオキサボロランおよびジオキサボリナンが挙げられる。
【0096】
本明細書において使用する用語「有機スズ」は、別段の定めがある場合を除いて、構造式SnR9R10R11〔式中、R9、R10およびR11は、独立して、ハロゲン、C1〜20アルキル、C3〜10シクロアルキル、アリール、ベンジルおよびC2〜7アルケニルからなる群から選択される(ただし、R9、R10およびR11は、同時にハロゲンであることはない)〕で示される基を意味する。そのような有機スズ基は、限定されるものではないが、下記に挙げるスズ化合物から誘導され得る:ジ−n−ブチルスズジブロミド、ジ−n−ブチルスズジクロリド、ジ−tert−ブチルスズジクロリド、ジメチルスズジブロミド、ジメチルスズジクロリド、ジメチルスズジフルオリド、ジメチルスズジヨード、ジフェニルスズジクロリド、ジフェニルスズジブロミド、ジフェニルスズジフルオリド、ジフェニルスズジヨード、トリブチルスズフルオリド、トリブチルスズクロリド、トリブチルスズブロミド、トリブチルスズヨード、フェニルスズトリブロミド、フェニルスズトリクロリド、トリシクロヘキシリルスズクロリド、トリエチルスズブロミド、トリエチルスズクロリド、トリエチルスズヨード、ビニルトリブチルスズ、テトラブチルスズ、ブチルスズトリクロリド、n−ブチルビニルスズジクロリド、ジアリルジブチルスズ、ジアリルジフェニルスズ、ジブチルビニルスズブロミド、ジブチルビニルスズクロリド、ジクロロジ−m−トリルスタナン、ジエチルジイソアミルスズ、ジエチルジイソブチルスズ、ジエチルジフェニルスズ、ジエチルイソアミルスズブロミド、ジエチルイソアミルスズクロリド、ジエチルイソブチルスズブロミド、ジエチル−n−プロピルスズブロミド、ジエチル−n−プロピルスズクロリド、ジエチル−n−プロピルスズフルオリド、ジエチルスズジブロミド、 ジエチルスズジクロリド、ジエチルスズジフルオリド、ジエチルスズジヨード、ジイソアミルスズジブロミド、ジイソアミルスズジクロリド、ジイソアミルスズジヨード、ジイソブチルスズジクロリド、ジイソブチルスズジヨード、ジイソプロピルスズジクロリド、ジイソプロピルスズジブロミド、ジメチルジエチルスズ、ジメチルジイソブチルスズ、ジメチルジオクチルスズ、ジメチルジビニルスズ、ジメチルエチルプロピルスズ、ジメチルエチルスズヨード、ジメチルジビニルスズ、ジメチルビニルスズブロミド、ジメチルビニルスズヨード、ジフェニルジビニルスズ、ジプロピルスズジフルオリド、ジプロピルスズジヨード、ジプロピルスズジクロリド、ジプロピルスズジブロミド、ジ−o−トリルスズジクロリド、ジ−p−トリルスズジクロリド、ジトリフェニル−スタニルメタン、ジビニルブチルスズクロリド、ジビニルスズジクロリド、エチルジイソアミルスズブロミド、エチルジイソブチルスズブロミド、エチルメチルプロピルスズヨード、エチル−n−プロピルジイソアミルスズ、エチルプロピルスズジクロリド、エチルスズトリブロミド、エチルスズトリヨード、エチルトリ−n−ブチルスズ、エチルトリ−n−プロピルスズ、メチルスズトリブロミド、メチルスズトリクロリド、メチルスズトリヨード、メチルトリ−n−ブチルスズ、メチルトリ−n−プロピルスズ、フェニルベンジルスズジクロリド、フェニルトリベンジルスズ、プロピルスズトリヨード、プロピルトリ−n−アミルスズ、テトラ−n−アミルスズ、テトラ−n−ブチルスズ、テトラベンジルスズ、テトラシクロヘキシリルスズ、テトラエチルスズ、テトラ−n−ヘプチルスズ、テトラ−n−ヘキシリルスズ、テトライソアミルスズ、テトライソブチルスズ、テトララウリルスズ、テトラメチルスズ、テトラ−n−オクチルスズ、テトラフェニルスズ、テトラプロピルスズ、テトラ−o−トリルスズ、テトラ−m−トリルスズ、テトラ−p−トリルスズ、テトラビニルスズ、テトラ−m−キシリルスズ、テトラ−p−キシリルスズ、o−トリルスズトリクロリド、p−トリルスズトリクロリド、m−トリルトリクロロスタナン、トリアリルブチルスズ、トリ−n−アミルスズブロミド、トリベンジルエチルスズ、トリベンジルスズクロリド、トリベンジルスズヨード、トリ−n−ブチルスズブロミド、トリ−n−ブチルビニルスズ、トリエチル−n−アミルスズ、トリエチルイソアミルスズ、トリエチルイソブチルスズ、トリエチルフェニルスズ、トリエチル−n−プロピルスズ、トリイソアミルスズブロミド、トリイソアミルスズクロリド、トリイソアミルスズフルオリド、トリイソアミルスズヨード、トリイソブチルエチルスズ、トリイソブチルイソアミルスズ、トリイソブチルスズブロミド、 トリイソブチルスズクロリド、トリイソブチルスズフルオリド、トリイソブチルスズヨード、トリイソプロピルスズブロミド、トリイソプロピルスズヨード、トリメチルデシルスズ、トリメチルドデシルスズ、トリメチルエチルスズ、トリメチルスズブロミド、トリメチルスズクロリド、トリメチルスズフルオリド、トリメチルスズヨード、トリフェニルアリルスズ、トリフェニルベンジルスズ、トリフェニルブチルスズ、トリフェニルエチルスズ、トリフェニルメチルスズ、トリフェニル−α−ナフチルスズ、トリフェニルスズブロミド、トリフェニルスズクロリド、トリフェニルスズフルオリド、トリフェニルスズヨード、トリフェニル−p−トリルスズ、トリフェニル−p−キシリルスズ、トリ−n−プロピル−n−ブチルスズ、トリ−n−プロピルエチルスズ、トリ−n−プロピルイソブチルスズ、 トリ−n−プロピルスズクロリド、トリ−n−プロピルスズフルオリド、トリ−n−プロピルスズヨード、トリ−o−トリルスズブロミド、トリ−p−トリルスズブロミド、 トリ−o−トリルスズクロリド、トリ−m−トリルスズクロリド、トリ−p−トリルスズ クロリド、トリ−p−トリルスズフルオリド、トリ−o−トリルスズヨード、トリ−p−トリルスズヨード、トリフェニルスタンニルメタン、トリビニルデシルスズ、トリビニルヘキシリルスズ、トリビニルオクチルスズ、トリビニルスズクロリド、ビニルスズトリクロリド、トリ−p−キシリルスズブロミド、トリ−p−キシリルスズクロリド、トリ−p−キシリルスズフルオリド、トリ−p−キシリルスズヨードおよびトリ−m−キシリルスズフルオリド。
【0097】
本明細書において使用する用語「疑似ハロゲン」は、別段の定めがある場合を除いて、還元カップリング反応においてハロゲン様の反応を示す化学基を意味する。例えば、この化学基は、トリフルオロメチルメタンスルホニル、パラ−トルエンスルホニルおよびメタンスルホニルからなる群から選択することができる。
【0098】
ブレンド関して本明細書において使用する用語「安定な」は、別段の定めがある場合を除いて、不活性雰囲気下、125℃で15分間、または125℃で2時間あるいは24時間のアニーリングした際にブレンドのナノ形態が実質的に変化しないことをいう。
【0099】
本明細書において使用する用語「単素環芳香族」は、別段の定めがある場合を除いて、限定するものではないが、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナンスリル、フルオランテニル、クリセニル、カルバゾリル、ピレニル、ビフェニリル、テルフェニル、ピセニル、インデニル、ビフェニル、インダセニル、テトラヒドロピレニル、ベンゾシクロブテニル、ベンゾシクロオクテニルなどの炭素数6〜15の一価の単環または多環芳香族炭化水素を意味し、縮合ベンゾ−C4〜8シクロアルキル基、例えばインダニル、テトラヒドロナフチル、フルオレニルなどが含まれる。前記の全ての基は、場合により1個以上の置換基(好ましくは1〜3個の置換基)により置換されていてよい。いくつかの実施態様において、この置換基は、独立して、C1〜12アルキル、ニトロ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチルおよびC1〜12アルコキシ(これらの全ての置換基は、それらの個々の種およびサブグループを含むものとして定義される)からなる群から選択することができ、限定されるものではないが、4−フルオロフェニル、4−クロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2−フルオロフェニル、3−クロロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、トリフルオロメチルフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、ヨードフェニルおよびブロモフェニルなどが挙げられる。
【0100】
置換基に関して本明細書において使用する用語「C1〜nアルキル」は、別段の定めがある場合を除いて、1〜n個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の一価の飽和非環式炭化水素基を意味し、例えば、nが4の場合は、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、1−メチルエチル(イソプロピル)、2−メチルプロピル(イソブチル)および1,1−ジメチルエチル(tert−ブチル)である。同様に、用語「C1〜20アルキル」は、1〜20個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の基を意味し、例えば、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクチルデシルなどをいう。
【0101】
本明細書において使用する用語「複素環芳香族」は、別段の定めがある場合を除いて、4〜12個の炭素原子を有し、1個以上の複素環に1個以上のヘテロ原子を有する単環または多環の多不飽和芳香族炭化水素基を意味する。前記環はそれぞれ5個または6個の原子を有し(場合により、前記環の1個以上の炭素原子に結合した、例えばカルボニルの形態で、および/または前記環の1個以上のヘテロ原子に結合した、例えばN−オキシドの形態で、1個以上のヘテロ原子をさらに含む)、前記ヘテロ原子は、それぞれ独立して、窒素、酸素またはイオウであり、ヘテロ環が1個以上の単素環芳香族と縮合した基、例えば、ベンゾ縮合、ジベンゾ縮合およびナフト縮合複素環基も含まれる。この定義の範囲において、限定されるものではないが、チエニル(−エン)、ピロリル(−エン)、ピリジル(−エン)、カルバゾリル(−エン)およびベンゾチアゾリル(−エン)などの複素環芳香族基が挙げられる。
【0102】
本明細書において使用する用語「ハロゲン」は、別段の定めがある場合を除いて、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選択される任意の原子を意味する。
【0103】
本明細書において使用する用語「C1〜nアルコキシ」は、別段の定めがある場合を除いて、C1〜nアルキル基(本明細書において上記で定義したようにそのサブグループを含む)炭素原子が単結合により酸素原子に結合した置換基を意味し、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、n−ブトキシ、イソプロポキシ、sec−ブトキシおよびtert−ブトキシが挙げられる。
【0104】
本明細書において使用する用語「C1〜nアルキルスルフェート」は、別段の定めがある場合を除いて、C1〜nアルキル基(本明細書において上記で定義したようにそのサブグループを含む)炭素原子が単結合によりスルフェート基(硫酸基)の酸素原子に結合した置換基を意味し、限定されるものではないが、メチルスルフェート(メトキシスルホニルオキシ)、エチルスルフェート(エトキシスルホニルオキシ)、n−ブチルスルフェート(n−ブトキシスルホニルオキシ)、tert−ブチルスルフェート(tert−ブトキシスルホニルオキシ)、ウンデシルスルフェート(ウンデシルオキシスルホニルオキシ)などが挙げられる。
【0105】
有機デバイスに関して本明細書において使用する用語「活性層」は、別段の定めがある場合を除いて、1タイプの電子伝導性を示す有機半導体物質と、これと同じ若しくは反対の伝導性を有する考え得る第2の半導体物質を備える有機層を意味する。
【0106】
〔一般的な実験材料および方法〕
別段の定めがある場合を除いて、全ての化学物質は商業的供給源から得られるものを使用した。ナトリウムワイヤーとベンゾフェノンによる乾燥後、THFおよびジエチルエーテルを青色になるまで蒸留した。3−ブロモチオフェンを短経路蒸留を用いて精製した。NMRスペクトルは、Varian Inova 300分光計で記録した(1Hについては300MHz、13C NMRについては75MHz、5mmプローブを使用)。重水素化CHCl3は、Cambridge Isotope Laboratories社から入手した。1Hおよび13C化学シフトは、δ=7.24ppmで、内部標準として残存CHCl3のピークを用いて、テトラメチルシラン(TMS)から低磁場側に示した。UV−Visスペクトルは、石英基板上のCHCl3溶液のドロップキャスト膜を用いて、Varian CARY 500 UV−Vis−NIR分光計(200〜800nm、600nm/分)で記録した。フーリエ変換正規外分光(FT−IR)は、公称解像度4cm−1のPerkin Elmer Spectrum One FT−IR分光計で行った。FT−IRのためのサンプルは、KBr(臭化カリウム)のペレットまたはCHCl3溶液のドロップキャスト膜であった。ガスクロマトグラフィー/質量分析(GC−MS)は、TSQ−70およびVoyager質量分析計で行った。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、0.45μm孔PTFEシリンジフィルターにより濾過した1重量%のポリマー溶液で行った。2個の混合−Bカラム(10μm、2×30cm、Polymer Labs)および屈折率検出器(Shodex)を備えたSpectraシリーズP100(Spectra Physics)ポンプ(40℃、THF中、流量1.0ml/分)を使用した。分子量分布は、ポリスチレン標準に対して測定した。トルエンを流量マーカーとして使用した。
【0107】
全ての加速寿命測定について、4個の太陽電池を備えた新たな基板を使用した。表示するJSCは、4個の太陽電池の平均JSCである。連続的な分解曲線を得るために、異常値は除外した。デバイスの光起電性能における長期熱処理の影響は、測定する太陽電池特性(JSC、VOC、FF、Eff)が30分毎に測定される設定にて測定した。測定の間、サンプルは暗所に保管した。
【0108】
〔モノマー合成〕
3−ヘキシルチオフェン(1)の合成
【化13】
【0109】
市販製品3−ブロモチオフェン(3−BT)およびヘキシルマグネシウムブロミドから、ニッケル触媒を使用して「1」を製造した。三つ首フラスコ中で、窒素雰囲気下、100ml(1当量、166.0g、1.018モル)のブロモチオフェンを、0.01当量のNi(dppp)Cl2(5.19g、0.0102モル)および300mlの乾燥ジエチルエーテルとともに攪拌した。1.2当量(0.611 lの2.0M溶液/ジエチルエーテル、1.22モル)のヘキシルマグネシウムブロミドを0℃の温度で滴下した。1Mの塩酸溶液の添加により中和する前に、室温で一晩、反応物を攪拌した。ジエチルエーテルで抽出した後、飽和NaHCO3溶液で洗浄して、MgSO4で乾燥させることで茶色の液体を得た。この液体を短経路蒸留により精製し、95.6%(163.73g、0.973モル)の収率で「1」を得た(圧力=7.10−3 mbarおよび温度=81〜84℃)。
【0110】
特性:TLC(ヘキサン):Rf=0.81;1H NMR(300MHz、CDCl3):δ 7.23(s, H)、6.95(d, H)、6.92(d, H)、2.63(t, CH2)、1.63(q, CH2)、1.32(m, 3 CH2)、0.90(t, CH3);13C NMR(75MHz, CDCl3): δ 142.8、130.8、110.2、107.2、31.5、29.4、29.3、28.7、22.5、14.0;GC/MS(m/z):168[M]+、153[M−CH3]+、139[M−CH2CH33]+ 、125[M−(CH2)2CH3]+、111[M−(CH2)3CH3]+、97[M−(CH2)4CH3]+、85[M−(CH2)5CH3]+;FT−IR:3000〜2800cm−1(C−H伸縮アルキル)、1600〜1500cm−1(C=C伸縮芳香族環)。
【0111】
2,5−ジブロモ−3−ヘキシルチオフェン(M1)の合成。M1はP1、P2、P3およびP4の合成における中間体である。
【0112】
NBS(2.2当量、23.26g、0.130モル)/100mlDMF溶液を、「1」(10g、0.059モル)/100mlDMF溶液中に滴下し、0℃の暗所にて攪拌した。添加終了時に、反応物を室温まで温めることが可能である。48時間攪拌した後、3×100mlのジエチルエーテルによる抽出の前に、この溶液を氷冷した2.5MNaOH溶液(100ml)に添加し、攪拌した。有機相を100mlの2.5MNaOH溶液、水と塩化ナトリウム塩で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、黄色の液体を得た。この黄色の液体を短経路蒸留により精製し、81%(15.50g、0.048モル)の無色の液体を得た。
【0113】
特性:1H NMR(300MHz、CDCl3):δ6.76(s, H)、2.49(t, CH2)、1.53(q, CH2)、1.29(m, 3 CH2)、0.89(t, CH3);GC/MS(m/z): 326[M]+、255[M−(CH2)4CH3]+、247[M−Br]+、177[M−Br、(CH2)4CH3]+、111[M−(CH2)3CH3]+、95[M−2Br、(CH2)4CH3]+、FT−IR:3000〜2800cm−1(C−H伸縮アルキル)、1600〜1500cm−1(C=C伸縮芳香族環)。
【0114】
2,5−ジブロモ−3−エタノールチオフェン(2)。(2)は、M2、P1、P2およびP3の合成における中間体。
【化14】
【0115】
「2」は、M1に使用した方法と類似する方法において、NBSを用いた3−エタノールチオフェンの二臭素化により得られた。2.2当量のNBS(32.93g、0.185モル)を100mlのDMFに溶解し、0℃で、3−エタノールチオフェン(1当量、10.75g、0.084モル)/100mlDMFに滴下した。反応物は室温まで温めることができ、48時間攪拌した。3×100mlのジエチルエーテルによる抽出の前に、この溶液を氷冷した2.5MNaOH溶液(100ml)に添加し、攪拌した。有機相を100mlの2.5MNaOH溶液、水と塩化ナトリウム塩で洗浄し、MgSO4で乾燥させた。得られた黄色の液体を短経路蒸留により精製し、無色の液体(18.66g、73.5ミリモル)を得た(圧力=4.10−3mbar、温度107℃)。
【0116】
1H NMR(300MHz、CDCl3): δ 6.82(s, 1H)、3.72(t, 2H)、2.73(t, 2H)、2.52(s, 1H);13C−NMR(75MHz、CDCl3): δ139.0、131.2、110.7、109.3、61.5、32.2;GC/MS(m/z)288、286、284[M]+ 257、255、253[M−CH2OCH]+ 257、255、253[M−CH2OC(O)CH3]+ 189、187[M−Br、OCOCH3]+。
【0117】
2,5−ジブロモ−3−アセチルエタノールチオフェン(M2)。M2は、P1の合成の中間体である。
1.3当量(18.93g、0.185モル)の無水酢酸と140mlのピリジンによる還流下、5時間、「2」(1当量、36.2g、0.143モル)を攪拌した後、「M2」を得た。塩酸を添加することにより混合物を中和し、3×100mlのジエチルエーテルにより抽出し、3×100mlの水で洗浄した。抽出物をMgSO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させた。混合物を短経路蒸留により精製して、36.2g(113ミリモル、78%)の「M2」を得た(圧力=1.10−3mbar、温度95℃)。
【0118】
特性:TLC(ヘキサン:ジエチルエーテル、8:2)、Rf=0.81、1H NMR(300MHz、CDCl3): δ6.79(s、1H)、4.17(t、2H)、2.82(t、2H)、2.02(s、3H); 13C−NMR(75MHz、CDCl3): δ 170.7、138.1、130.8、110.7、109.6、62.8、28.7、20.8; GC/MS(m/z) 330、328、326 [M]+ 270、268、266 [M−OCOCH3]+ 257、255、253 [M−CH2OC(O)CH3]+ 205、207 [M−Br]+ 187、189 [M−Br、OCOCH3]+ 176、174 [M−Br、CH2OC(O)CH3]+ 108 [M−2Br、CH2OC(O)CH3]+、95 M−2Br、CH2CH2OC(O)CH3]+ νmax(膜)/cm−1。
【0119】
6−(2,5−ジブロモ−チオフェン−3−イル)−ヘキサン酸エチルエステル(M3)。M3は、本発明の実施態様であり、P4の合成の中間体である。
M1を得るために使用した方法と類似する方法を使用して、6−ブロモメチルヘキサノエートおよび3−ブロモチオフェンからM3を得た。
6−ブロモヘキサン酸エチルエステル(20g、89ミリモル)を活性亜鉛に加えて、アルゴン雰囲気下、室温で2時間攪拌した。この亜鉛粒子を一晩落ち着かせてもよい。上澄み有機亜鉛化合物を、16.81gの3−ブロモチオフェン(103ミリモル)と0.05当量のNi(dppp)Cl2/THFの溶液に滴下した。室温で48時間、反応物を攪拌し、飽和NH4Cl溶液でクエンチした。エタノール(3×200mL)で抽出した後、有機相をMgSO4で乾燥させて、濾過した。短経路蒸留により、8.6gの6−(2,5−ジブロモ−チオフェン−3−イル)ヘキサン酸エチルエステル(38ミリモル、42%)が得られた(温度=72℃、圧力=1.10−3mbar)。
【0120】
1H NMR(300MHz、CDCl3):δ 7.20(m, 1H, Harom)、6.90(m, 2H, Harom)、4.10(q, 2H, O−CH2, J=7.5Hz)、2.62(t, 2H, α−CH2, J=7.5Hz)、2.28(t, 2H, β−CH2, J=7.5Hz)、1.63(m, 4H, 2 CH2)、1.38(m, 2H, CH2), 1.23(t, 3H, CH3, J=7.1Hz);
13C−NMR(75MHz、CDCl3):δ 173.4、142.4、127.8、124.8、119.6、59.8、33.9、29.8、29.6、28.4、24.4、13.8;
GC/MS 純度95%、m/z 226[M]+、181[M−OCH2CH3]+、153[M−C(O)OCH2CH3]+、139[M−CH2C(O)OCH2CH3]+、125[M−(CH2)2C(O)OCH2CH3]+、111[M−(CH2)3C(O)OCH2CH3]+、97[M−(CH2)4C(O)OCH2CH3]+;
FT−IR(NaCl, cm-1): 3104、2980、2934、2858、1733(vs)、1537、1463、1372、1299、1252、1181、1130、1096、1032、859、833、773
【0121】
〔ポリマー合成〕
ポリ(3−ヘキシル−チオフェン)(P3HT)(比較例)の合成
太陽電池において比較系として使用するためのP3HTは、高立体規則性のポリ(3−アルキルチオフェン)の製造にRieke法を用いて合成した。M1溶液(1当量、10.04g、0.031モル)/80mlTHFを、−78℃で活性亜鉛に加えた。形成された有機亜鉛溶液を、0.002当量(0.035g、6.4 10−5モル)Ni(dppp)Cl2/40mlTHFの溶液に加え、不活性雰囲気下、60℃で18時間攪拌した。粗ポリマーをメタノール/2M塩酸(2/1、v/v)混合物中に沈殿させ、メタノールとヘキサンで固相抽出により精製した。濾過および乾燥前に、精製したポリマーをクロロホルムにより抽出し、メタノール中に沈降させ、3.63g(67%)の共役ポリマーを得た。
【0122】
−GPC(THF):Mn=27,800;Mw=53,500;多分散性指数、D=1.9;
【0123】
3−ヘキシルチオフェン(M1)と3−(2−アセトキシエチル)チオフェン(M2)のランダムコポリマー(P1)、3−ヘキシルチオフェンと3−ヒドロキシエチルチオフェンのランダムコポリマー(P2)、および3−ヘキシルチオフェンと3−シンナモイルオキシエチルチオフェンのモル比9:1によるランダムコポリマー(P3)の合成
【化15】
【0124】
a) ポリ−3−ヘキシルチオフェン−コ−3−(2−アセトキシエチル)チオフェン(P1 9/1)の合成
【0125】
【化16】
【0126】
2,5−ジブロモ−3−(2−アセトキシエチル)チオフェン(M2)(10モル%)(1.05g、0.003モル)と2,5−ジブロモ−3−ヘキシルチオフェン(M1)(90モル%)(9.41g、0.029モル)の混合物のTHF溶液を活性亜鉛に−78℃で添加し、有機亜鉛溶液を形成した後、これをNi(dppp)Cl2触媒の存在下、重合させた。反応後、コポリマーをメタノールと2M塩酸の混合物(2/1)に沈殿させた。粗コポリマーを、メタノールとペンタンによるソックスレー抽出により精製した。精製したポリ−3−ヘキシルチオフェン−コ−(2−アセトキシエチル)チオフェン(P1 9/1)を、濾過および乾燥前に、クロロフィルムで抽出し、メタノールに再度沈降させ、下記特性を有する3.18gの9/1コポリマー(収率61%)を得た。
【0127】
−GPC(THF):Mn=34,400;Mw=65,500;多分散性指数、D=1.9;
−1H NMR(300MHz、CDCl3):δ=7.00(1Harom,AcET, s)、6.96ppm(1Harom,3HT, s)、4.35ppm(2Hb,AcET, t)、3.14ppm(2Ha,AcET, t)、2.79ppm(2Ha,3HT, t),、2.05ppm (3Hc,AcET, s)、1.70ppm(2Hb,3HT, t)、1.45ppm(2Hc,3HT, m)、1.40ppm(2Hd,3HT, m)、1.35ppm(2He,3HT, m)、および0.90ppm(3Hf,3HT, t)
−UV/Vis:λmax 555nm:ショルダー 600nm;
−赤外線スペクトル:下記表1参照
−立体規則性:93%。
【0128】
これと同じ方法を30モル%のM2と50モル%のM2により行い、ポリマーP1 7/3とP1 1/1をそれぞれ製造した。
【0129】
いくつかのモル比(7/3、1/1)で、臭素化モノマーの混合物を製造した。25ミリモルおよび20ミリモル(8.12gおよび6.49g)のM1、並びに、11ミリモルおよび20ミリモル(3.49gおよび6.50g)のM2を、それぞれ、アルゴン雰囲気下、乾燥THFに溶解させた。これらの溶液を活性亜鉛に、−78℃で添加した。得られた有機亜鉛溶液に、0.002当量のNi(dppp)Cl2/THF溶液を加え、不活性雰囲気下、60℃で18時間攪拌した。粗ポリマーをメタノール/2M塩酸混合物(2/1、v/v)に沈殿させ、その後、メタノール、ヘキサンおよびアセトンによるソックスレー抽出により精製した。精製したポリマーを、濾過およびコポリマーP1 7/3およびP1 1/1の単離の前に、クロロフィルムで抽出し、メタノールに沈降させた。
【0130】
Mw=45,000、多分散性指数D=2.1、立体規則性93%のP1 7/3が得られた。
−収率:3.0g、52%
−UV−Vis(膜、λmax、nm)547、595sh;
−FT−IR(KBr, ν, cm−1): 2953、2925および2855(C−H)、1743(C=O)、1509および1456(C=C)、1376(CH3)、1363、1234、1037、821(C−H)
− 1H NMR(300MHz、CDCl3、δ):7.05、7.0および6.96(1H, m, Th)、4.35(2H M2, br s, β−CH2)、3.10(2H M2, br s, α−CH2)、2.78(2H, t, H−T α−CH2)、2.54(2H, br s, H−H α−CH2)、2.06(3H M2, s, CH3)、1.69−1.23(8H, m, β, γ, δおよびε−CH2)、0.89(3H, s, CH3)
【0131】
Mw=26,800、多分散性指数D=1.5、立体規則性93%のP1 1/1が得られた。
−収率:2.98g、51%
−UV−Vis λmax(膜)/nm 547、595sh;
−FT−IR(KBr, ν, cm−1):3431(br, H2O)、2956、2923および2853(C−H)、1733(C=O)、1632、1455(s, C=C)、1376(CH3)、1259、1123、1002、867
− 1H NMR(300MHz、CDCl3、δ):7.11、7.06、7.01および6.96(1H, m, Th)、4.35(2H M2, br s, β−CH2)、3.10(2H M2, br s, α−CH2)、2.79(2H, t, H−T α−CH2)、2.56(2H, br s, H−H α−CH2)、2.06(3H M2, s, CH3)、1.70−1.23(8H, m, β, γ, δおよびε−CH2)、0.89(3H, m, CH3)
【0132】
モノマーのM1/M2比は、ポリマーのm/n比に対応する。
【0133】
b) ポリ−3−ヘキシルチオフェン−コ−3−(2−ヒドロキシエチル)チオフェン(P2)の合成
【0134】
【化17】
【0135】
微細化したコポリマーP1 9/1(1.04g)を、不活性雰囲気下、100mlの0.2MNaOH/メタノール溶液により、24時間還流させた。この混合物を600mlのメタノール/2M塩酸混合物に注ぎ、攪拌した。コポリマーP2 9/1を濾過し、水とメタノールで洗浄し、下記特性を有するP2を収率98%で得た。
【0136】
−GPC(THF):Mn=31,100;Mw=68,100;D=2.2;
−1H NMR(300MHz、CDCl3):δ=7.03(1Harom,ET, s)、6.96ppm(1Harom,3HT, s)、3.94ppm(2Hb,ET, t)、3.09ppm(2Ha,ET, t)、2.79ppm(2 Ha,3HT, t)、1.70ppm(2Hb,3HT, t)、1.45ppm(2Hc,3HT, m)、1.40ppm(2Hd,3HT, m)、1.25ppm(2He,3HT, m)、および0.90ppm(3Hf,3HT, t);
−UV/Vis(膜):λmax 555nm:ショルダー 600nm;
−FT−IR(KBr, cm−1):2953および2853(C−H)、1640、1508および1455(C=C)、1376(CH3)、1292−1046および821cm−1(C−H)、723(CH3)。下記表1参照。
−立体規則性:93%
【0137】
微細化したコポリマーP1 7/3を使用して、これと同じ方法を繰り返し、コポリマーP2 7/3を得た。
【0138】
下記特性を有する0.9gのP2 7/3が95%の収率で得られた。
【0139】
−GPC(THF):Mn=21,500;Mw=42,100;D=2.0;
−FT−IR(KBr, cm−1):2951および2923および2853(C−H)、1639、1509および1455(C=C)、1376(CH3)、1290、1132、1042および821cm−1(C−H)、722(CH3)
−1H NMR(300MHz、CDCl3、δ):7.05、7.02および6.96(1H, m, Th)、3.96(2H, t, CH2−OH)、3.10(2H, t, α−CH2CH2−OH)、2.78(2H, t, H−T α−CH2)、2.56(2H,br s, H−H α−CH2)、1.69−1.23(8H, m, β, γ, δ, ε-CH2)、0.90(3H, t, CH3)
−立体規則性:93%
【0140】
微細化したコポリマーP1 1/1を使用して、これと同じ方法を繰り返し、コポリマーP2 1/1を得た。
【0141】
下記特性を有する1.0gのP2(1/1)が100%の収率で得られた。
【0142】
−GPC(THF):Mn=9,500;Mw=17,700;D=1.9;
−FT−IR(KBr, cm−1):2920および2850(C−H)、1639、1508および1455(C=C)、1376(CH3)、1298、1230、1142、1038および823cm−1(C−H);
−1H NMR(300MHz、CDCl3、δ):7.02および6.96(1H, m, Th)、3.96(2H, t, CH2−OH)、3.09(2H, t, α−CH2CH2−OH)、2.78(2H, t, H−T α−CH2)、1.68−1.23(8H, m, β, γ, δ, ε-CH2)、0.90(3H, t, CH3)
−立体規則性:93%
【0143】
c) ポリ−コ−(3−ヘキシルチオフェン−コ−3−シンナモイルオキシエチルチオフェン)(P3)の合成
【0144】
【化18】
【0145】
0.60gのポリ−3−ヘキシルチオフェン−コ−3−(2−ヒドロキシエチル)チオフェン(P2 9/1)と0.62g(0.004モル)シンナモイルクロリドをTHF中で、0.37g(0.004モル)のトリエチルアミンの存在下、反応させることにより0.61gのP3 9/1を、収率95%で得た。下記特性評価の前にメタノールとアセトンによるソックスレー抽出を用いて精製した。
【0146】
−GPC(THF):Mn=33,100;Mw=74,500;D=2.2;
−1H NMR(300MHz、CDCl3):δ=7.67ppm(1Hd,cin, d)、7.47ppm(2He,cin, m)、7.32ppm(2Hf,cin, m)、7.05ppm(1Hg,cin, m)、6.96ppm(1Harom,3HT and cin, s)、6.42ppm(1Hc,cin, d)、4.49ppm(2Hb,cin, t)、3.23ppm(2Ha,cin, t)、2.79ppm(2Ha,3HT, t)、1.70ppm(2Hb,3HT, m)、1.40ppm(2Hc,3HT, m)、1.35ppm(2Hd,3HT, m)、1.25ppm(2He,3HT, m)、および0.90ppm(3Hf,3HT, t);M2モノマー単位に由来する積分値は、M1モノマー単位に由来する比較積分値の約10%の相当しており、10個のモノマー単位につき1個が官能性側鎖を有していることが示された。δ=2.05ppmでP1側鎖のアセチルエーテルにおけるメチル基の消失が確認され、加水分解が完了した。完全な官能化は、異なるエステルのためP3におけるCH2−プロトンシグナルの化学シフトにおける変化によっても説明される。官能化ポリマーにおける二重結合と芳香族プロトンシグナルの出現が、側鎖におけるシンナモイルエステルの存在を裏付けている。
−UV/Vis:λmax 275nmおよび551nm:ショルダー 600nm。クロロホルム溶液からのドロップキャストポリマーフィルムの275nmにおけるλmaxは、コポリマー側鎖における桂皮酸エステルの存在に起因する。共役ポリマーの吸収領域において、600nmでのショルダーはより高い強度を有したが、鋭さははっきりとしなかった。
−赤外線スペクトル:FT−IR(KBr、cm−1):2956、2923、2853、1711、1635、1505、1449、1375、1306、1259、1158、1075、818;下記表1を参照。
−立体規則性:94%
【0147】
P2 7/3およびP2 1/1で同様の反応を行い、P3 7/3およびP3 1/1をそれぞれ得た。
【0148】
P3 7/3は以下のように特徴付けられた:
−UV/Vis(λmax、膜)549nm:ショルダー 599nm;
−GPC(THF):Mn=25,300;Mw=47,500;D=1.9;
−FT−IR(KBr, cm−1):2956、2924、2853、1712、1635、1510、1449、1377、1307、1262、1201、1161、1090、1021、804;
−1H NMR(300MHz、CDCl3、δ):7.70および7.64(d, 1H, C=CH−pH)、7.46(m, 2H, CHPh)、7.33(m, 2H, CHPh)、7.12−6.96(m, HThおよびHph)、6.44および6.39(d, 1H, COCH=C)、4.48(t, 2H, CH2O)、3.21(t, 2H, α−CH2)、2.77(t, 2H, H−T α−CH2 3−HT)および2.56(α−CH2 3−HT)、1.67−1.31(m, 6H, γ, δ, ε−CH2 3−HT)、0.88(t, 3H, CH3)
−立体規則性:93%
【0149】
P3 1/1は以下のように特徴付けられた:
−UV/Vis(λmax、膜)521nm;
−GPC(THF):Mn=19,800;Mw=40,300;D=2.0;
−FT−IR(KBr, cm−1):3060、2954、2926、2855、1714、1637、1511、1495、1450、1378、1327、1309、1282、1202、1162、1071、978、862、823、766;
−1H NMR(300MHz、CDCl3、δ):7.68および7.63(d, 1H, C=CH−pH)、7.46(m, 2H, CHPh)、7.32(m, 2H, CHPh)、7.12−6.96(m, HThおよびHph)、6.43および6.38(d,1H, COCH=C)、4.47(t, 2H, CH2O)、3.21(t, 2H, α−CH2)、2.76(t, 2H, H−T α−CH2 3−HT)および2.56(α−CH2 3−HT)、1.67−1.23(m, 2H, β−CH2 3−HT)、1.30−1.23(m, 6H, γ, δ, ε−CH2 3−HT)、0.88(t, 3H, CH3)
【0150】
【表1】
【0151】
P1において、約1740cm−1でのC=Oエステル吸収は、P2への加水分解により消失した。P2のP3への官能化の際、約1715cm−1付近に、桂皮酸エステル基のC=O結合に起因するピークが出現した。
【0152】
3−ヘキシルチオフェンおよび3−シンナモイルアミノエチルチオフェンのランダムコポリマー(P14)の合成
合成は、下記式に従って進み、式(IX)〔式中、L’はL−NR’CO−J’であり、Lはエチレンであり、R’はHであり、J’はシンナモイルである〕で示されるモノマー由来の繰り返し単位を有するコポリマーを提供する。
【0153】
【化19】
【0154】
3−ヘキシルチオフェンおよび3−シンナモイルチオエチルチオフェンのランダムコポリマー(P15)の合成
合成は、下記式に従って進み、式(IX)〔式中、L’はL−SCO−J’であり、Lはエチレンであり、J’はシンナモイルである〕で示されるモノマー由来の繰り返し単位を有するコポリマーを提供する。
【0155】
【化20】
【0156】
3−ヘキシルチオフェンおよび3−ヘキサン酸エチルエステルのランダムコポリマーP4の合成
【0157】
【化21】
【0158】
上記式中、★は末端基を示す。コポリマーP4は、活性亜鉛(Zn*)およびニッケル触媒を使用したRieke法により合成した。THF中にM1およびM3モノマーを含むモノマー溶液を、Zn*に−78℃で加え、有機亜鉛化合物を得た。この化合物を、0.002モル%ニッケル触媒/THFの溶液に加え、不活性雰囲気下、60℃で18時間攪拌した。ポリマーをメタノールと2MHClの2/1(v/v)混合物に沈降させ、メタノール、ペンタンおよびアセトンによるソックスレー抽出を用いて精製した。ポリマーをクロロホルムにより単離し、メタノールに沈降させ、濾過し乾燥させた。異なる比率のヘキシル(m)と官能化(n)側鎖を有するコポリマーを得るために種々のモル濃度のモノマー混合物を使用した。Zn*との反応前にモノマーにおける種々のm/n比は与えられ、官能基の異なるm/n比を有するコポリマーを得ることを可能にした。
【0159】
P4 9/1、P4 7/3およびP4 1/1を得るために、m/n比は9/1、7/3および1/1から選択されるべきであった。
【0160】
二臭素化されたモノマーM1およびM3を、いくつかのモル比で混合した。重合工程に利用する前に、26.8ミリモル、28ミリモルおよび20.1ミリモルのM1(8.73、9.13および6.55g)を、3ミリモル、12ミリモル、20.1ミリモルのM3(1.14、4.61および7.74g)とTHF溶液中で混合した。P4コポリマーMWは、官能化された側鎖の増加率を、56.7k、D=1.9から、9/1コポリマーに対して90.5k、D=2.3へ、7/3および1/1に対しては、それぞれ、199.5k、D=2.7へ高めた。バルク共重合の生成物は、1HNMRの測定に基づくランダムコポリマーであった。
【0161】
モノマー溶液におけるM1/M3比は、コポリマーにおけるm/n比に対応していた。クロロベンゼン(CB)、クロロホルム(CHCl3)またはテトラヒドロフラン(THF)などの有機溶媒において、官能化コポリマーP4の溶解性をP3HTの溶解性と比較した。
【0162】
P4 9/1
−収率:3.77g、74%
−UV−Vis λmax(膜)/nm 555nm、602sh;
−FT−IR(膜, ν, cm−1):3053、2953、2928および2854(C−H)、1738(C=O)、1563、1509および1455(C=C)、1376(CH3)、1260(w)、1179および820(C−H)、726(CH3)
−1H NMR(300MHz、CDCl3、δ):6.96(1H, s, Th)、4.10(2H M3, q, OCH2)、2.79(2H, t, H−T α−CH2)、2.56(2H, s, H−H α−CH2)、2.31(2H M3, t, CH2COOEt)、1.69(2H, br s, β−CH2およびM3)、1.48−1.20(10H, m, γ, δ, ε−CH2およびγ, δ CH2 M3)、0.90(6H, t, CH3 M1およびM3)
−GPC(THF):Mw=56,700;D=1.9;
−立体規則性:93%
【0163】
P4 7/3
−収率:4.51g、61.5%
−UV−Vis λmax(膜)/nm 550nm、600sh;
−FT−IR(膜, ν, cm−1):2926および2855(C−H)、1736(C=O)、1508および1458(C=C)、1375(CH3)、1227、1178および824(C−H)、760(CH3);
−1H NMR(300MHz、CDCl3、δ):6.96(1H, s, Th)、4.10(2H M3, q, OCH2)、2.79(2H, br s, H−T α−CH2)、2.56(2H, s, H−H α−CH2)、2.31(2H M3, t, CH2COOEt)、1.69(4H, m, β−CH2 M1およびM3)、1.54−1.20(10H, m, γ, δ, ε−CH2およびγ, δ−CH2 M3)、0.89(6H, t, CH3 M1およびM3)
−GPC(THF):Mw=90,500;D=2.3;
−立体規則性:90%
【0164】
P4 1/1
−収率:4.14g、53%
−UV−Vis λmax(膜)/nm 550nm、604sh;
−FT−IR(膜, ν, cm−1):3432(br, COOH)、2956(C−H)、1733(C=O)、1631および1454(C=C)、1259、1129、1002および867cm−1(C−H)
−1H NMR(300MHz、CDCl3、δ):6.96(1H, s, Ar H)、4.10(2H M3, q, OCH2)、2.79(2H, t, H−T α−CH2)、2.54(2H, H−H α−CH2)、2.31(2H M3, t, CH2COOEt)、1.69(4H, m, β−CH2 M1およびM3)、1.50−1.20(10H, m, γ, δ, ε−CH2 M1およびγ, δ−CH2 M3)、0.87(6H, t, CH3 M1およびM3)
−GPC(THF):Mw=119,500;D=2.7;
−立体規則性:89%
【実施例】
【0165】
側鎖官能化ポリ(3−アルキルチオフェン):フラーレンバルクヘテロ接合太陽電池における増加した形態安定性
全てのポリマー:PCBMのブレンドは、1/1の比率(w/w)で製造した。PCBMは、下記化学式を有する:
【化22】
【0166】
光学顕微鏡写真は、シリコーン基板上にスピンコートしたブレンドから撮った。太陽電池を、ガラスITOパターン化基板上に作製した。全ての基板を、石けん水、ミリ−Q水(Mili-Q water)、アセトン中で超音波処理により洗浄し、イソプロパノール中で加熱後UV/O3処理した。太陽電池を製造するために、ITO電極上へ、水溶液からPEDOT:PSS(Baytron P)層をスピンコートした。ポリマー:PCBM(1:1)ブレンドを10mg/mLのポリマー/クロロベンゼン溶液からスピンコートし、ホットプレートで、100℃、15分間焼きなまし(アニーリング)した。陰極として、主として20nmCaおよび80nmAlを高真空下(p=1.10−6mbar)で沈着させた。I−V測定を窒素雰囲気中、150Wキセノンショートアークランプを備えたOreil模擬実験装置を用いて、AM1.5Gの模擬実験下で実施し、サンプルは連続的アニーリング下に保持した。
【0167】
加速寿命試験は、この試験のために開発された加熱チャンバーにて行った。太陽電池を暗所に保持し、I−V特性評価のためにのみ30分毎に点灯し、実験温度は一定に保った。図11〜19における太陽電池の特性は、実験温度での時間t0におけるそれらの初期値に対して付与される。図20〜27における太陽電池の特性は、それらの初期値に対して付与されるものではない。これらは絶対値である。XRD測定は、Siemens D5000回折計により、θ−2 θモードで行った。
【0168】
使用した入射ビームは、Ge(111)モノクロメーターのCuKα1線(λ=0.154056nm)である。融点(Tm)と融解エンタルピー(Hm)を測定するために、示差走査熱量測定(DSC)は、電気冷凍機(RCS)および窒素50ml/分、アルミニウムTzero(登録商標)坩堝を備えるTA Instruments社のQ2000(Tzero(登録商標))で、スキャン速度10.0K/分にて行った。第1冷却測定および第2昇温測定を議論に用いた。
【0169】
BHJ太陽電池におけるこれらのコポリマーの性能は、コポリマーの官能化された側鎖の割合に依存する。短絡回路電流(JSC)およびPCEは、官能化された側鎖割合が高くなるとともに低下する。
【0170】
ポリマー:PCBM(1:1、w/w)ブレンドの光学顕微鏡写真において(図1)、125℃で15分後、P3HT:PCBMブレンドに対して、多くのμm−スケールの目に見えるPCBM結晶が観察されている。これらの針状結晶は、PCBMがブレンドから拡散し、結晶化する際に形成される。しかしながら、PCBMを含む本発明の実施態様に従うコポリマーのブレンドにおいては、この針状結晶形成は抑制される。P2 9/1については、125℃で15分後に目に見える針状結晶は全くなく、P3 9/1については、針状結晶は時折検出された。PCBM結晶の数は、より長いアニーリング時間により、P3HT:PCBMブレンドにおいては激しく増加したのに対して、本発明の実施態様に従うコポリマー:PCBMブレンドにおいてはほとんど増加せず、これは本発明のコポリマーブレンドの形態が熱的により安定であることを示している。官能度が増加することにより、PCBM結晶はより少なくなった(P1:PCBMブレンドの場合については図2を、PC:PCBMブレンドの場合については図3を参照)。
【0171】
結晶化現象に関する情報をより収集するために、X線回折(XDR)を、コポリマー:PCBMブレンドにおいて行った(図8〜10参照)。クロロベンゼンからスピンコートしたP3HT:PCBMブレンドでは、P3HTにおけるラメラ積層は17.0Å付近の面間隔を有していた(図8および図10左側参照)。アニーリングの際(図9および図10右側)、回折ピークは狭くなり、これはおそらく、ポリマー鎖の指向性配置により生じる。P3 9/1:PCBMブレンドにおいては、PCBMからスピンコートされた膜中に結晶性シグナルは見られない(図8)。125℃で15分、アニーリングする際、結晶性回折シグナルが検出されたが、これはP3HTと比べて広く、形成される結晶性の配向性を決定し難いことを示している(図9)。同様の観測は、P1 1/1およびP4 1/1においてもなされた(図10参照)。P3HT、P1 9/1、P2 9/1およびP3 9/1コポリマーならびにそれらのブレンド(1/1)に対する昇温および冷却DSC曲線を、それぞれ、図4、5、6および7に示す。P3HT:PCBMブレンドについては、第1冷却曲線において目に見える単結晶ピークが存在する。しかしながら、同じスキャン速度(10k/分)で、コポリマー:PCBMブレンドでは結晶化は観察されなかった。光学顕微鏡においてはPCBMの結晶化が見られ、XRDにおいてコポリマーにおける結晶性積層は鮮明であったが、官能化された側鎖の存在は、DSCにより検出され得る溶融または結晶化しない方法で、ブレンド中の2つの物質の結晶性動力学に影響を与えた。
【0172】
ブレンドにおいて増加した熱的形態安定性はBHJ太陽電池の耐熱性に反映されるか否かを検証するために、いくつかのITO/PEDOT:PSS/ポリマー:PCBM(1:1)/Ca/Alデバイスを特定時間高温にさらした。実験温度での第1測定に対する効率を図11〜19に示す。
【0173】
P3HT:PCBM太陽電池の相対的効率を、いくつかの温度に対する時間の関数として図11に示す。80℃において、デバイス効率は少なくとも100時間ほぼ一定である。100℃および125℃においては、P3HT:PCBMデバイスの効率は次第に速く低下する。図14〜19におけるデバイスパラメータを見ると、JSCの低下が効率の低下に関与している。ブレンド形態において相分離が続き、特定の範囲内のより高い温度により相分離が次第に速くなるため、励起子はほとんど解離せず、電流もほとんど発生せず、JSCは形態安定性と相関する最適なパラメータである。FFにおける低下(図16参照)およびVOCにおける低下(図15参照)は、ブレンドにおける再編成効果にも関連しているかもしれないが、これらの温度および時間間隔で他の老化メカニズムを排除することはできない。
【0174】
図12では、P3 9/1コポリマー太陽電池効率の展開をいくつかの温度で示している。ここで、この効率は温度依存性が低く、125℃で150時間でさえ非常に安定である。図17〜19のデバイスパラメータから、一定のJSCはP3 9/1:PCBM太陽電池におけるより熱的に安定な形態を示す:150時間後、光電流の低下は観察されなかった。試験時間中、FFおよびVOCは、初期値に対して約10%の変動を示した。図13では、125℃におけるP3HT太陽電池のデバイス効率を、P2 9/1およびP3 9/1コポリマーブレンドにより作製した太陽電池と比較している。
【0175】
図20〜23は、P3HT、P1 9/1、P2 9/2およびP3 9/1太陽電池に対する、100℃での連続的なアニーリング時間の関数として、絶対的短絡回路電流密度、絶対的最大出力点、絶対的開放電圧および絶対的曲線因子を示す。これらは、また、P3HT:PCBMブレンドにおいて本発明のブレンドである場合に、太陽電池性能がより安定であることを明らかにする。
【0176】
図24〜27は、P3HT、P2 9/1、P3 9/1太陽電池に対する、100℃での連続的なアニーリング時間の関数として、絶対的短絡回路電流密度、絶対的最大出力点、絶対的開放電圧および絶対的曲線因子を示す。これらは、また、P3HT:PCBMブレンドにおいて本発明のブレンドである場合に、太陽電池性能がより安定であることを明らかにする。
【0177】
P3HT太陽電池のJSCおよび効率は、コポリマー太陽電池と比べてはるかに速く低下する。本発明の実施態様に従うコポリマー:PCBMブレンドにおける形態は、P3HTと比べて再編成に対してほとんど影響されず、これによりコポリマー:PCBM太陽電池の耐熱性の増加をもたらす。官能化された側鎖の10%の導入は、同じ工程に従って処理されたP3HT:PCBMデバイスと比較して、電力変換効率(PCE)にほとんど影響を与えないが、形態安定性を増加させる。
【0178】
コポリマー:PCBMブレンドにおいていくらかの結晶化は存在する(光学顕微鏡により見ることのできるPCBM結晶、XRDにおけるP3HT結晶性積層)が、官能化側鎖の存在は結晶化速度をゆっくりにし(10K/分において、DSCでは見えない)、それはブレンド形態を安定化させる。デバイス中の安定なブレンド形態は、125℃で、太陽電池においてより安定な光電流をもたらす。9/1コポリマーに対する増加した熱的形態安定性は、ポリチオフェン:フラーレンバルク接合太陽電池における高い効率と増加した耐熱性との間の折衷を示す。
【図面の簡単な説明】
【0179】
【図1】図1は、125℃で、aに対しては15分、bに対しては2時間、およびcに対しては24時間焼きなまし(アニーリング)した、P3HT: PCBM 1:1ブレンド(上段、比較), P2 9/1:PCBM 1:1ブレンド(中段、実施例)およびP3 9/1:PCBM 1:1ブレンド(下段、実施例)の光学顕微鏡写真を示す。
【図2】図2は、125℃で、aに対しては15分、bに対しては2時間、およびcに対しては24時間焼きなましした、P1 9/1:PCBM 1:1ブレンド(左、実施例)、P1 7/3:PCBM 1:1ブレンド(中、実施例)およびP1 1/1:PCBMブレンド(右、実施例)の光学顕微鏡写真を示す。
【図3】図3は、125℃で、aに対しては15分、bに対しては2時間、およびcに対しては24時間焼きなましした、P3 9/1:PCBM 1:1ブレンド(左、実施例)、P3 7/3:PCBM 1:1ブレンド(中、実施例)、およびP3 1/1:PCBMブレンド(右、実施例)の光学顕微鏡写真を示す。
【図4】図4は、P3HT(比較)、PCBMとのその1:1ブレンド(比較)およびPCBM単独(比較)のDSC曲線を示す(「HF」は熱流量を示し、「T」は温度を示す)。
【図5】図5は、P1 9/1(実施例)、PCBMとのその1:1ブレンド(実施例)およびPCBM単独(比較)のDSC曲線を示す(「HF」は熱流量を示し、「T」は温度を示す)。
【図6】図6は、P2 9/1(実施例)、PCBMとのその1:1ブレンド(実施例)およびPCBM単独(比較)のDSC曲線を示す(「HF」は熱流量を示し、「T」は温度を示す)。
【図7】図7は、P3 9/1(実施例)、PCBMとのその1:1ブレンド(実施例)およびPCBM単独(比較)のDSC曲線を示す(「HF」は熱流量を示し、「T」は温度を示す)。
【図8】図8は、アニーリング前のP3HT:PCBM 1:1(比較)とP3 9/1:PCBM 1:1(実施例)のXRD回折パターンを示す(「N」はカウント数を示し、「d」はd値を示す)。
【図9】図9は、125℃で15分後のP3HT:PCBM 1:1(比較)と125℃で15分後のP3 9/1:PCBM 1:1(実施例)のXRD回折パターンを示す(「N」はカウント数を示し、「d」はd値を示す)。
【図10】図10は、アニーリング前であって125℃で15分後のP3HT:PCBM 1:1(比較)、P1 1/1:PCBM 1:1(実施例)およびP4 1/1:PCBM 1:1(実施例)のXRD回折パターンを示す(「N」はカウント数を示し、「d」はd値を示す)。
【図11】図11は、ITO/PEDOT/P3HT:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池(比較)に対する、80℃(■)、100℃(▲)および125℃(★)における時間の関数としての相対効率を示す。
【図12】図12は、ITO/PEDOT/P3 9/1:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池(実施例)に対する、80℃(■)、100℃(▲)および125℃(★)における時間の関数としての相対効率を示す。
【図13】図13は、ITO/PEDOT/ポリマー:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池〔ポリマーは、P3HT(■、比較)、P2 9/1(▲、実施例)またはP3 9/1(★、実施例)のいずれかである〕に対する、125℃における時間の関数としての相対効率を示す。
【図14】図14は、ITO/PEDOT/P3HT:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池に対する、80℃(■)、100℃(▲)および125℃(★)における時間の関数としての相対電流密度を示す(比較)。
【図15】図15は、ITO/PEDOT/P3HT:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池に対する、80℃(■)、100℃(▲)および125℃(★)における時間の関数としての相対開放電圧を示す(比較)。
【図16】図16は、ITO/PEDOT/P3HT:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池に対する、80℃(■)、100℃(▲)および125℃(★)における時間の関数としての相対曲線因子を示す(比較)。
【図17】図17は、ITO/PEDOT/P3 9/1:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池に対する、80℃(■)、100℃(▲)および125℃(★)における時間の関数としての相対電流密度を示す(実施例)。
【図18】図18は、ITO/PEDOT/P3 9/1:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池に対する、80℃(■)、100℃(▲)および125℃(★)における時間の関数としての相対開放電圧を示す(実施例)。
【図19】図19は、ITO/PEDOT/P3 9/1:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池に対する、80℃(■)、100℃(▲)および125℃(★)における時間の関数としての相対曲線因子を示す(実施例)。
【図20】図20は、ITO/PEDOT/ポリマー:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池〔ポリマーは、P3HT(比較)、P1 9/1(実施例)、P2 9/1(実施例)またはP3 9/1(実施例)のいずれかである〕に対する、100℃における時間の関数としての回路電流密度を示す。
【図21】図21は、ITO/PEDOT/ポリマー:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池〔ポリマーは、P3HT(比較)、P1 9/1(実施例)、P2 9/1(実施例)またはP3 9/1(実施例)のいずれかである〕に対する、100℃における時間の関数としての最大出力点を示す。
【図22】図22は、ITO/PEDOT/ポリマー:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池〔ポリマーは、P1 9/1(実施例)、P2 9/1(実施例)またはP3 9/1(実施例)のいずれかである〕に対する、100℃における時間の関数としての開放電圧を示す。
【図23】図23は、ITO/PEDOT/ポリマー:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池〔ポリマーは、P3HT(比較)、P1 9/1(実施例)、P2 9/1(実施例)またはP3 9/1(実施例)のいずれかである〕に対する、100℃における時間の関数としての曲線因子を示す。
【図24】図24は、ITO/PEDOT/ポリマー:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池〔ポリマーは、P3HT(比較)、P2 9/1(実施例)またはP3 9/1(実施例)のいずれかである〕に対する、125℃における時間の関数としての回路電流密度を示す。
【図25】図25は、ITO/PEDOT/ポリマー:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池〔ポリマーは、P3HT(比較)、P2 9/1(実施例)またはP3 9/1(実施例)のいずれかである〕に対する、125℃における時間の関数としての最大出力点を示す。
【図26】図26は、ITO/PEDOT/ポリマー:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池〔ポリマーは、P3HT(比較)、P2 9/1(実施例)またはP3 9/1(実施例)のいずれかである〕に対する、125℃における時間の関数としての開放電圧を示す。
【図27】図27は、ITO/PEDOT/ポリマー:PCBM 1:1/Ca/Al太陽電池〔ポリマーは、P3HT(比較)、P2 9/1(実施例)またはP3 9/1(実施例)のいずれかである〕に対する、125℃における時間の関数としての曲線因子を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式(I):
【化1】
〔式中、
Lは、1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキレン基であり、
Jは、水素原子または1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキル基であり、かつ、
XおよびYは、互いに独立して、水素、クロロ、ブロモ、ヨード、ボロン酸、ボロン酸エステルおよび有機スズからなる群から選択される〕
で表される化合物。
【請求項2】
式(IV):
【化2】
〔式中、
Lは、1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキレン基であり、
Jは、水素原子または1〜4個の炭素原子を有する直鎖若しくは分枝アルキル基である〕
で示されるモノマー単位を含むポリマー。
【請求項3】
式(IV)のモノマー単位と少なくとも1つのコモノマーを含んでなるランダムコポリマー、交互コポリマーまたはブロックコポリマーである請求項2に記載のポリマー。
【請求項4】
前記少なくとも1つのコモノマーが単素環芳香族基または複素環芳香族基である請求項3に記載のコポリマー。
【請求項5】
前記コモノマーが、下記式:
【化3】
〔式中、Rは6〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキル基である〕
で示される請求項4に記載のコポリマー。
【請求項6】
前記コポリマーが、3:2〜1:49、好ましくは3:2〜1:19、より好ましくは1:4〜1:19の比率で、式(IV)で表されるモノマー単位とコモノマーを含む請求項3〜5のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項7】
請求項3に記載のポリマーの製造方法であって、
請求項1に記載の化合物、および場合により式:
【化4】
〔式中、Arは単素環芳香族基または複素環芳香族基であり、コモノマーX’およびY’は、互いに独立して、水素、クロロ、ブロモ、ヨード、ボロン酸、ボロン酸エステルおよび有機スズからなる群から選択される(ただし、X’およびY’は同時に水素であることはない)〕
で示されるコモノマーを還元カップリングにより重合することを含む方法。
【請求項8】
(a)
【化5】
〔式中、L’は、L−C(O)O−J、L−C(O)NR’−J、L−OCO−J’、L−NR’CO−J’、L−SCO−J’、L−O−J、L−S−J、L−Se−J、L−NR’−JおよびL−CN(式中、Lは、1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキレン基であり、Jは、水素原子または1〜4個の炭素原子を有する直鎖若しくは分枝アルキル基であり、J’は、フェニル構造を含む若しくはフェニル構造を含まない炭素数1〜10の飽和若しくは不飽和の、直鎖若しくは分枝の基であり、R’は、水素原子または1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキル基である)からなる群から選択される〕
を含んでなるモノマー単位を有するポリマー、および、
(b)フラーレン誘導体のような電子受容体
を含む、光起電デバイスにおいて使用するためのブレンド。
【請求項9】
前記ポリマーが、式(IV)のモノマー単位と少なくとも1つのコモノマーを含んでなるランダムコポリマー、交互コポリマーまたはブロックコポリマーである、請求項8に記載のブレンド。
【請求項10】
前記少なくとも1つのコモノマーが単素環芳香族基または複素環芳香族基である請求項9に記載のブレンド。
【請求項11】
前記コモノマーが、下記式:
【化6】
〔式中、Rは、6〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキル基である〕
で示される、請求項10に記載のブレンド。
【請求項12】
前記コポリマーが、3:2〜1:49、好ましくは3:2〜1:19、より好ましくは1:4〜1:19の比率で、式(IV)で表されるモノマー単位とコモノマーを含む請求項9〜11のいずれかに記載のブレンド。
【請求項13】
前記ポリマーが請求項2〜6のいずれかに記載のポリマーである、請求項8に記載のブレンド。
【請求項14】
請求項8〜13のいずれかに記載のブレンドを含んでなる光電子デバイス。
【請求項15】
陽極、陰極および請求項7〜11のいずれかに記載のブレンドを含んでなり、陽極または陰極の少なくとも一方が、少なくとも一部の太陽スペクトルに対して透過的な光起電デバイスである、請求項14に記載の光電子デバイス。
【請求項16】
【化7】
〔式中、L’は、L−C(O)O−J、L−C(O)NR’−J、L−OCO−J’、L−NR’CO−J’、L−O−J、L−S−J、L−Se−JおよびL−CN(式中、Lは、1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキレン基であり、Jは、水素原子または1〜4個の炭素原子を有する直鎖若しくは分枝アルキル基であり、J’は、フェニル構造を含む若しくはフェニル構造を含まない炭素数1〜10の飽和若しくは不飽和の、直鎖若しくは分枝の基であり、R’は、水素原子または1〜4個の炭素原子を有する直鎖若しくは分枝アルキル基である〕
を含んでなるモノマー単位を有するポリマーの、バルクヘテロ接合太陽電池の形態安定化のための使用。
【請求項1】
構造式(I):
【化1】
〔式中、
Lは、1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキレン基であり、
Jは、水素原子または1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキル基であり、かつ、
XおよびYは、互いに独立して、水素、クロロ、ブロモ、ヨード、ボロン酸、ボロン酸エステルおよび有機スズからなる群から選択される〕
で表される化合物。
【請求項2】
式(IV):
【化2】
〔式中、
Lは、1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキレン基であり、
Jは、水素原子または1〜4個の炭素原子を有する直鎖若しくは分枝アルキル基である〕
で示されるモノマー単位を含むポリマー。
【請求項3】
式(IV)のモノマー単位と少なくとも1つのコモノマーを含んでなるランダムコポリマー、交互コポリマーまたはブロックコポリマーである請求項2に記載のポリマー。
【請求項4】
前記少なくとも1つのコモノマーが単素環芳香族基または複素環芳香族基である請求項3に記載のコポリマー。
【請求項5】
前記コモノマーが、下記式:
【化3】
〔式中、Rは6〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキル基である〕
で示される請求項4に記載のコポリマー。
【請求項6】
前記コポリマーが、3:2〜1:49、好ましくは3:2〜1:19、より好ましくは1:4〜1:19の比率で、式(IV)で表されるモノマー単位とコモノマーを含む請求項3〜5のいずれかに記載のコポリマー。
【請求項7】
請求項3に記載のポリマーの製造方法であって、
請求項1に記載の化合物、および場合により式:
【化4】
〔式中、Arは単素環芳香族基または複素環芳香族基であり、コモノマーX’およびY’は、互いに独立して、水素、クロロ、ブロモ、ヨード、ボロン酸、ボロン酸エステルおよび有機スズからなる群から選択される(ただし、X’およびY’は同時に水素であることはない)〕
で示されるコモノマーを還元カップリングにより重合することを含む方法。
【請求項8】
(a)
【化5】
〔式中、L’は、L−C(O)O−J、L−C(O)NR’−J、L−OCO−J’、L−NR’CO−J’、L−SCO−J’、L−O−J、L−S−J、L−Se−J、L−NR’−JおよびL−CN(式中、Lは、1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキレン基であり、Jは、水素原子または1〜4個の炭素原子を有する直鎖若しくは分枝アルキル基であり、J’は、フェニル構造を含む若しくはフェニル構造を含まない炭素数1〜10の飽和若しくは不飽和の、直鎖若しくは分枝の基であり、R’は、水素原子または1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキル基である)からなる群から選択される〕
を含んでなるモノマー単位を有するポリマー、および、
(b)フラーレン誘導体のような電子受容体
を含む、光起電デバイスにおいて使用するためのブレンド。
【請求項9】
前記ポリマーが、式(IV)のモノマー単位と少なくとも1つのコモノマーを含んでなるランダムコポリマー、交互コポリマーまたはブロックコポリマーである、請求項8に記載のブレンド。
【請求項10】
前記少なくとも1つのコモノマーが単素環芳香族基または複素環芳香族基である請求項9に記載のブレンド。
【請求項11】
前記コモノマーが、下記式:
【化6】
〔式中、Rは、6〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキル基である〕
で示される、請求項10に記載のブレンド。
【請求項12】
前記コポリマーが、3:2〜1:49、好ましくは3:2〜1:19、より好ましくは1:4〜1:19の比率で、式(IV)で表されるモノマー単位とコモノマーを含む請求項9〜11のいずれかに記載のブレンド。
【請求項13】
前記ポリマーが請求項2〜6のいずれかに記載のポリマーである、請求項8に記載のブレンド。
【請求項14】
請求項8〜13のいずれかに記載のブレンドを含んでなる光電子デバイス。
【請求項15】
陽極、陰極および請求項7〜11のいずれかに記載のブレンドを含んでなり、陽極または陰極の少なくとも一方が、少なくとも一部の太陽スペクトルに対して透過的な光起電デバイスである、請求項14に記載の光電子デバイス。
【請求項16】
【化7】
〔式中、L’は、L−C(O)O−J、L−C(O)NR’−J、L−OCO−J’、L−NR’CO−J’、L−O−J、L−S−J、L−Se−JおよびL−CN(式中、Lは、1〜10個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキレン基であり、Jは、水素原子または1〜4個の炭素原子を有する直鎖若しくは分枝アルキル基であり、J’は、フェニル構造を含む若しくはフェニル構造を含まない炭素数1〜10の飽和若しくは不飽和の、直鎖若しくは分枝の基であり、R’は、水素原子または1〜4個の炭素原子を有する直鎖若しくは分枝アルキル基である〕
を含んでなるモノマー単位を有するポリマーの、バルクヘテロ接合太陽電池の形態安定化のための使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図10】
【図11】
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【図14】
【図15】
【図16】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公表番号】特表2013−513554(P2013−513554A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542368(P2012−542368)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066896
【国際公開番号】WO2011/069554
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(591060898)アイメック (302)
【氏名又は名称原語表記】IMEC
【出願人】(508342471)ユニフェルジテイト・ハッセルト (5)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITEIT HASSELT
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【国際出願番号】PCT/EP2009/066896
【国際公開番号】WO2011/069554
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(591060898)アイメック (302)
【氏名又は名称原語表記】IMEC
【出願人】(508342471)ユニフェルジテイト・ハッセルト (5)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITEIT HASSELT
【Fターム(参考)】
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