説明

太陽電池用反応型ホットメルトシーリング剤組成物

【課題】高温下での剪断強度が良好となり、太陽電池パネルの取付用フレームからシール材がはみ出るのを抑制し、雨水等の浸入も抑制することができる太陽電池用反応型ホットメルトシーリング剤組成物の提供。
【解決手段】ブチルゴムと、シリル化したアモルファスポリ−α−オレフィン重合体とを含有する太陽電池用反応型ホットメルトシーリング剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池用の反応型ホットメルトシーリング剤組成物およびそれを接着に用いた太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境保全の立場から太陽電池利用への関心が非常に高まってきている。
また、太陽電池はモジュールとして屋外に配置されることが多く、このモジュールは、一般的に、透光板の受光面と反対側の面に太陽電池素子を配設してなる太陽電池パネルと、太陽電池パネルの取付用フレームとで構成されている。
【0003】
ここで、太陽電池パネルと取付用フレームとはシール材を用いて固着する手法が知られているが、このシール材としては、低透湿性でかつ安価であることから、ブチルゴム系が用いられている(例えば、特許文献1〜2参照)。
しかしながら、これらのシール材は、直射日光等の高温下での強度低下により、軟化してフレームから露出(はみ出)して外観を損なう問題があり、その結果、雨水等の浸入により電池機能が阻害される問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平3−10560号公報
【特許文献2】実開平4−130457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、上記問題点を解決すべく特開平11−323153号公報に記載の「(a)ホットメルトブチル、ならびに(b)数平均分子量が500〜50,000であり、主鎖の側鎖および/または末端に一般式(I)

(式中、Rは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、Xは水酸基または加水分解性基を示し、nは0、1または2である。)で示される加水分解性シリル基を1分子あたり、少なくとも1個有するオリゴマーを主成分とする硬化性組成物を含有するホットメルト接着剤」を使用し、検討した結果、反応速度が遅く、高温下での剪断強度が劣ることを明らかとした。
【0006】
そこで、本発明は、高温下での剪断強度が良好となり、太陽電池パネルの取付用フレームからシール材がはみ出るのを抑制し、雨水等の浸入も抑制することができる太陽電池用反応型ホットメルトシーリング剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ブチルゴム以外に、シリル化したアモルファスポリ−α−オレフィン重合体を含有するシーリング剤組成物が、高温下での剪断強度が良好となり、太陽電池パネルの取付用フレームからシール材がはみ出るのを抑制し、雨水等の浸入も抑制することができることを見出し、本願発明を完成させた。
これは、ブチルゴムを含有することにより透湿性をある程度低く抑え、更にシリル化したアモルファスポリ−α−オレフィン重合体を含有させ、微量に侵入した水分についてもアルコキシシリル基の加水分解で消費させることにより、透湿性を極めて低く抑えることができるという知見に基づくものである。また、これは、シリル化したアモルファスポリ−α−オレフィン重合体を含有することにより、その骨格構造により耐熱性が向上し、高温下での剪断強度が良好になるという知見に基づくものである。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(5)を提供する。
【0008】
(1)ブチルゴムと、シリル化したアモルファスポリ−α−オレフィン重合体とを含有する太陽電池用反応型ホットメルトシーリング剤組成物。
【0009】
(2)上記アモルファスポリ−α−オレフィン重合体の含有量が、上記ブチルゴム100質量部に対して20〜350質量部である上記(1)に記載の太陽電池用反応型ホットメルトシーリング剤組成物。
【0010】
(3)上記ブチルゴムの含有量が、含有される有機物の全質量の12〜25質量%である上記(1)または(2)に記載の太陽電池用反応型ホットメルトシーリング剤組成物。
【0011】
(4)更に、上記ブチルゴム100質量部に対して触媒を0.07〜7.0質量部含有する上記(1)〜(3)のいずれかに記載の太陽電池用反応型ホットメルトシーリング剤組成物。
【0012】
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の太陽電池用反応型ホットメルトシーリング剤組成物を用いてセルとフレームとを接着させた太陽電池モジュール。
【発明の効果】
【0013】
以下に説明するように、本発明によれば、高温下での剪断強度が良好となり、太陽電池パネルの取付用フレームからシール材がはみ出るのを抑制し、雨水等の浸入も抑制することができる太陽電池用反応型ホットメルトシーリング剤組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の太陽電池モジュールの基本構成の一例を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明の太陽電池用反応型ホットメルトシーリング剤組成物(以下、単に「本発明のシーリング剤組成物」ともいう。)は、ブチルゴムと、シリル化したアモルファスポリ−α−オレフィン重合体(以下、「シリル化APAO」ともいう。)とを含有する組成物である。
次に、本発明のシーリング材組成物で用いるブチルゴムおよびシリル化APAOについて詳述する。
【0016】
<ブチルゴム>
本発明のシーリング材組成物で用いるブチルゴムは特に限定されず、いわゆるブチルゴム(IIR)やハロゲン化ブチルゴム(例えば、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム等)を使用することができる。
【0017】
本発明においては、上記ブチルゴム以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、例えば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、各種ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)等のジエン系ゴム;エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロスルフォン化ポリエチレン等の非ジエン系ゴム;等を配合することができる。
【0018】
<シリル化APAO>
本発明のシーリング材組成物で用いるシリル化APAOは、シリル化したアモルファスポリ−α−オレフィン重合体である。例えば、下記式(1)で表されるものが挙げられる。
-(CH2-CH2)x-(CH(CH3)-CH2)y-(CH(C2H5)-CH2)Z-(C2H4-Si(OR1)3)w (1)
(式中、R1は炭素数1〜3のアルキル基を表す。また、x、yおよびzはそれぞれ独立に0以上の整数を表し、x、yおよびzのいずれかは1以上の整数を表す。また、wは1以上の整数を表す。)
【0019】
ここで、シリル化前のアモルファスポリ−α−オレフィン重合体としては、具体的には、例えば、アタクチックポリプロピレン、アタクチックポリブテン−1などのホモポリマーまたはコポリマー;エチレン、プロピレン、ブチレンなどのコポリマーまたはターポリマー;等が挙げられる。
これらのうち、エチレン、プロピレンおよびブチレンのターポリマー(ランダム共重合体)であるのが、非晶体であるため好ましい。
【0020】
また、アモルファスポリ−α−オレフィン重合体をシリル化する方法は特に限定されず、遊離基開始剤等が挙げられる。
ここで、遊離基開始剤としては、特開2005−68423号公報に記載された種々の化合物が挙げられる。
【0021】
上記シリル化APAOとしては市販品を用いることができ、その具体例としては、実施例で使用したベストプラスト206(数平均分子量:10600、重量平均分子量:38000、190℃粘度:5±1Pa・s、エボニックデグサ社製)等が挙げられる。
【0022】
このようなシリル化APAOを用いることにより、得られる本発明のシーリング剤組成物は、高温下での剪断強度が良好となり、太陽電池パネルの取付用フレームからシール材がはみ出るのを抑制し、雨水等の浸入も抑制することができる。
これは、上述したように、シリル化APAOを含有させ、系内に微量に侵入した水分をアルコキシシリル基の加水分解で消費させることにより、透湿性を極めて低く抑えることができたと考えられ、また、シリル化APAOの骨格構造により耐熱性が向上し、高温下での剪断強度が良好になったと考えられる。
【0023】
本発明においては、上記ブチルゴムの含有量は、本発明のシーリング剤組成物の透湿度が低くなる理由から、組成物に含有する有機物(炭酸カルシウム等の金属塩は除く。)の全質量の12〜25質量%であるのが好ましく、15〜25質量%であるのがより好ましく、18〜25質量%であるのが更に好ましい。
ここで、透湿度とは、一定時間に単位面積の膜状物質を通過する水蒸気の量をいい、透湿度が低いことにより、雨水のみならず水蒸気の侵入も抑制することができ、太陽電池の電池機能が阻害されることをより防ぐことができる。
なお、本発明においては、後述する実施例でも示すように、透湿度はJIS Z0208-1976の「防湿包装材料の透湿度試験方法」で規定するカップ法により測定した。
【0024】
また、本発明においては、上記シリル化APAOの含有量は、上記ブチルゴム100質量部に対して20〜350質量部であるのが好ましい。
特に、本発明のシーリング剤組成物の高温下での剪断強度がより良好となる理由から、上記ブチルゴム100質量部に対して50〜350質量部であるのが好ましく、134〜268質量部であるのがより好ましく、168〜235質量部であるのが更に好ましい。
一方、本発明のシーリング剤組成物の透湿度が低くなる理由から、200質量部以下であるのが好ましく、150質量部以下であるのがより好ましく、100質量部以下であるのが更に好ましい。
【0025】
<熱可塑性エラストマー>
本発明のシーリング材組成物は、吐出作業性を向上させる観点から、更に熱可塑性エラストマーを含有するのが好ましい。
上記熱可塑性エラストマーとしては、例えば、塩化ビニル系、オレフィン系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリスチレン系、シリコーン系、フッ素系、ウレタン系等のエラストマー樹脂が挙げられる。
【0026】
これらのうち、相溶性と軟化温度が適当となる理由から、ポリスチレン系エラストマーが好ましく、具体的には、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンブロック共重合体(SIS)、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体(SBS)、水素添加スチレンブタジエンブロック共重合体[ポリスチレン−水素添加−1,2−ポリブタジエン・水素添加−1,4−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体(SEBS)]、水素添加スチレンイソプレンブロック共重合体[ポリスチレン−水素添加ポリイソプレン−ポリスチレンブロック共重合体(SEPS)]、ポリスチレン−ビニル−ポリイソプレン−ポリスチレンブロック共重合体(SHIVS)、ポリスチレン−水素添加ポリブタジエン−水素添加ポリイソプレンブロック共重合体、ポリスチレン−ポリイソブチレンブロック共重合体、ポリスチレン−ポリイソブチレン−ポリスチレンブロック共重合体(SIBS)、ポリスチレン−水素添加ポリブタジエン−ポリイソプレン−ポリスチレン共重合体等が好適に例示される。
【0027】
本発明においては、上記熱可塑性エラストマーの含有量は、上記ブチルゴム100質量部に対して5〜100質量部であるのが好ましく、10〜50質量部であるのがより好ましい。
上記熱可塑性エラストマーの含有量のこの範囲であると、本発明のシーリング剤組成物の高温下での吐出作業性がより良好となる。
【0028】
上記熱可塑性エラストマーとしては市販品を用いることができ、その具体例としては、実施例で使用したSEPS(商品名:セプトン2063、クラレ社製)等が挙げられる。
【0029】
<触媒>
本発明のシーリング材組成物は、硬化性を良好に確保できる理由から、更に触媒を含有するのが好ましい。
上記触媒としては、錫触媒であるのが好ましく、その具体例としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫フタレート、ジブチル錫ジオクタノエート、ジブチル錫ビス(2−エチルヘキサノエート)、ジブチル錫ビス(メチルマレエート)、ジブチル錫ビス(エチルマレエート)、ジブチル錫ビス(ブチルマレエート)、ジブチル錫ビス(オクチルマレエート)、ジブチル錫ビス(トリデシルマレエート)、ジブチル錫ビス(ベンジルマレエート)、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ビス(エチルマレエート)、ジオクチル錫ビス(オクチルマレエート)、ジブチル錫ジメトキサイド、ジブチル錫ビス(ノニルフェノキサイド)、ジブテニル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、ジブチル錫ビス(エチルアセトアセトナート)、ジブチル錫オキサイドとシリケート化合物との反応物、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
上記触媒の含有量は、上記ブチルゴム100質量部に対して、0.07〜7.0質量部であるのが好ましく、0.1〜1.5質量部であるのがより好ましい。
【0031】
本発明のシーリング材組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、上記各種成分以外に、必要に応じて、各種の添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、充填剤、可塑剤、軟化剤、接着付与剤、粘着付与剤、加硫促進剤、顔料(染料)、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、安定剤、溶剤等が挙げられる。
【0032】
充填剤としては、各種形状のものを使用することができる。具体的には、例えば、炭酸カルシウム;ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー等の有機または無機充填剤;ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ;黒鉛、金属粉末、タルク、ゼオライト、けいそう土;酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム;炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛;カーボンブラック等の有機または無機充填剤;塩化ビニルペーストレジン;ガラスバルーン、アクリロニトリル樹脂バルーン;これらの脂肪酸、樹脂酸、脂肪酸エステル処理物、脂肪酸エステルウレタン化合物処理物が挙げられる。
上記充填剤の含有量は、上記ブチルゴム100質量部に対して、100〜400質量部であるのが好ましく、150〜300質量部であるのがより好ましい。
【0033】
可塑剤または軟化剤としては、具体的には、例えば、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジベンジル;アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル;ジエチレングリコールジペンゾエート、ペンタエリスリトールエステル;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル;リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル;アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル;パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、アロマ系オイル、液状ポリブテン等の石油系軟化剤が挙げられる。
このような可塑剤または軟化剤の含有量は、上記ブチルゴム100質量部に対して、80質量部以下であるのが好ましい。
【0034】
接着付与剤としては、シランカップリング剤が挙げられる。
シランカップリング剤としては、具体的には、アミノシラン、ビニルシラン、エポキシシラン、メタクリルシラン、イソシアネートシラン、ケチミンシランまたはこれらの混合物もしくは反応物が例示される。
【0035】
ここで、アミノシランは、アミノ基もしくはイミノ基と加水分解性ケイ素含有基とを有する化合物であれば特に限定されず、その具体例としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、ビストリメトキシシリルプロピルアミン、ビストリエトキシシリルプロピルアミン、ビスメトキシジメトキシシリルプロピルアミン、ビスエトキシジエトキシシリルプロピルアミン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルエチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0036】
ビニルシランとしては、具体的には、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリス−(2−メトキシエトキシ)ビニルシラン等が挙げられる。
エポキシシランとしては、具体的には、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
メタクリルシランとしては、具体的には、例えば、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
イソシアネートシランとしては、具体的には、例えば、イソシアネートプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
ケチミンシランとしては、具体的には、例えば、ケチミン化プロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0037】
このような接着付与剤の含有量は、上記ブチルゴム100質量部に対して、0.1〜10質量部であるのが好ましい。
【0038】
粘着付与剤としては、具体的には、例えば、ロジンエステル、重合ロジンエステル、変性ロジン等のロジン系樹脂;テルペンフェノール、芳香族テルペン等のテルペン系樹脂;テルペン系樹脂を水素添加した水添テルペン系樹脂;石油樹脂;フェノール樹脂;キシレン樹脂等が挙げられる。
このような粘着付与剤の含有量は、上記ブチルゴム100質量部に対して、50〜200質量部であるのが好ましい。
【0039】
加硫促進剤としては、具体的には、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)等のチウラム系;ヘキサメチレンテトラミンなどのアルデヒド・アンモニア系;ジフェニルグアニジン等のグアニジン系;2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジサルファイド(DM)などのチアゾール系;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミドなどのスルフェンアミド系;等が挙げられる。
【0040】
顔料(染料)としては、具体的には、例えば、二酸化チタン、チタンホワイト、酸化亜鉛、カーボンブラック、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩等の無機顔料;アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料等の有機顔料が挙げられる。
【0041】
老化防止剤としては、具体的には、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物が挙げられる。
酸化防止剤としては、具体的には、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)が挙げられる。
帯電防止剤としては、具体的には、例えば、第四級アンモニウム塩;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物が挙げられる。
【0042】
難燃剤としては、具体的には、例えば、クロロアルキルホスフェート、ジメチル・メチルホスホネート、臭素・リン化合物、アンモニウムポリホスフェート、ネオペンチルブロマイド−ポリエーテル、臭素化ポリエーテルが挙げられる。
安定剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、トリアゾール系化合物等が挙げられる。
【0043】
本発明のシーリング材組成物においては、これらの各種添加剤は適宜、組み合わせて用いることができる。
【0044】
本発明のシーリング材組成物を製造する方法は、特に限定されないが、上記ブチルゴムおよび上記シリル化APAOならびに上記各種添加剤(熱可塑性エラストマー、錫触媒を含む。)をロール、ニーダー、押出し機、万能かくはん機等により混合する方法等が挙げられる。
【0045】
次に、本発明の太陽電池モジュールについて、図1を用いて詳述する。
図1は、本発明の太陽電池モジュールの基本構成の一例を示す模式断面図である。
図1の一例に示されるように、本発明の太陽電池モジュール1は、透明基板2、太陽電池素子3および支持部材4がこの順に積層されて一体化されたセル5と、フレーム6とを有するものであって、このセル5およびフレーム6を上述した本発明のシーリング剤組成物7で接着するものである。
【0046】
ここで、太陽電池モジュールのセルの表面を構成する透明基板や支持部材は一般的にガラス部材で形成されていることが多く、また、フレームは一般的に金属部材で形成されていることが多いが、本発明の太陽電池モジュールは、本発明のシーリング剤組成物を用いているため、セルとフレームの接着性を確保しつつ、フレームからシール材がはみ出るのを抑制し、雨水等の浸入も抑制することができる。
【実施例】
【0047】
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限られるものではない。
【0048】
(実施例1〜8および比較例1〜2)
ブチルゴム100質量部に対して、下記第1表に示す各成分を、第1表に示す組成(質量部)で配合し、万能かくはん機で均一に分散してシーリング材組成物を得た。
得られた各シーリング材組成物について、以下のようにして剪断強度および透湿度を測定した。その結果を下記第1表に示す。
【0049】
<剪断強度>
アルミニウム板に得られた各シーリング材組成物を打設し、40℃、95%RH(相対湿度)で4日間養生した後の硬化物の最大引張応力(Tmax)[N/cm2]を剪断強度として、JIS A1439:2004に記載された方法に準じて20℃と80℃にて測定した。
80℃での剪断強度が6(N/cm2)以上であれば、高温での破断強度に優れ、太陽電池パネルの取付用フレームからシール材がはみ出るのを抑制することができる。
【0050】
<透湿度>
得られた各シーリング剤組成物について、JIS Z0208-1976の「防湿包装材料の透湿度試験方法」で規定するカップ法により透湿度を測定した。
【0051】
【表1】

【0052】
上記第1表に示される各成分は、以下のとおりである。
・シリル化APAO:ベストプラスト206(数平均分子量:10600、重量平均分子量:38000、190℃粘度:5±1Pa・s、エボニックデグサ社製)
・錫触媒:ジ−n−ブチルスズジラウリン酸塩(Stann−BL、三共有機合成社製)
・APAO:ベストプラスト708(数平均分子量:11500、重量平均分子量:75000、190℃粘度:8±2Pa・s、エボニックデグサ社製)
・ブチルゴム:JSRブチル065、JSR社製
・熱可塑性エラストマー:セプトン2063、クラレ社製
・粘着付与剤:水素添石油樹脂(エスコレッツ235E、日本石油社製)
・充填剤:重質炭酸カルシウム、丸尾カルシウム社製
・可塑剤:DINP、ジェイ・プラス社製
【0053】
第1表から明らかなように、シリル化したアモルファスポリ−α−オレフィン重合体(シリル化APAO)を含有しないシーリング剤組成物(比較例1)は、高温下での剪断強度が劣り、太陽電池パネルの取付用フレームからシール材がはみ出るのを抑制できないことが分かった。
また、シリル化APAOではなく、シリル化ポリイソブチレン(シリル化PIB)を含有するシーリング剤組成物(比較例2)は、反応性が遅く、やはり高温下での剪断強度が劣り、太陽電池パネルの取付用フレームからシール材がはみ出るのを抑制できないことが分かった。
一方、ブチルゴムに対して、シリル化APAOを含有するシーリング材組成物(実施例1〜8)は、高温下での剪断強度が良好となり、太陽電池パネルの取付用フレームからシール材がはみ出るのを抑制できることが分かり、この結果から、低透湿性であることが分かった。特に、ブチルゴムの含有量が、有機物の総質量に対して19〜21質量%となるように調製したシーリング剤組成物(実施例1、6および7)は、透湿度が1g/m2・24h程度以下となり、低透湿性に優れていることが分かった。
【符号の説明】
【0054】
1:太陽電池モジュール
2:透明基板
3:太陽電池素子
4:支持部材
5:セル
6:フレーム
7:本発明のシーリング剤組成物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブチルゴムと、シリル化したアモルファスポリ−α−オレフィン重合体とを含有する太陽電池用反応型ホットメルトシーリング剤組成物。
【請求項2】
前記アモルファスポリ−α−オレフィン重合体の含有量が、前記ブチルゴム100質量部に対して20〜350質量部である請求項1に記載の太陽電池用反応型ホットメルトシーリング剤組成物。
【請求項3】
前記ブチルゴムの含有量が、含有される有機物の全質量の12〜25質量%である請求項1または2に記載の太陽電池用反応型ホットメルトシーリング剤組成物。
【請求項4】
更に、前記ブチルゴム100質量部に対して触媒を0.07〜7.0質量部含有する請求項1〜3のいずれかに記載の太陽電池用反応型ホットメルトシーリング剤組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池用反応型ホットメルトシーリング剤組成物を用いてセルとフレームとを接着させた太陽電池モジュール。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2010−166032(P2010−166032A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277164(P2009−277164)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】