説明

失効器

【課題】 検知タグの失効を確認して表示する機能を有する失効器を提供する。
【解決手段】 複数の磁石のS極4とN極6とを交互に配列して形成した失効面8を有する失効磁石2と、前記失効面8とコイル面とを平行に配設した一対の平面コイル10、12と、前記一対の平面コイル10、12を含みその差出力を取出す出力回路14と、出力回路14の取出した差出力から高調波を検出して表示するデータ処理・表示部16とを有するEMタグ用失効器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EMタグ(以降、検知タグという。)の失効器に関し、更に詳述すれば本発明は少なくとも硬磁性体層と軟磁性体層とを積層してなる検知タグの硬磁性体層を確実に着磁させることにより検知タグを磁気により失効させると共に、失効状態を確認することのできる検知タグの失効器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品等に添付され、商品と共に移動し、所定のゲートを通過する際に検出されることにより商品の管理を行ったり、商品の盗難を防止したりする、磁気利用の検知タグが知られている(例えば特許文献1)。このような磁気利用の検知タグをEM(Electric Magnetic)タグと呼んでいる。
【0003】
図7に従来の検知タグの一例を示す。図7中、60はコバルト元素等を含有する軟磁性体層である。前記軟磁性体層60の一面にはポリエステル系の接着剤層62を介して多数の貫通孔63を形成した硬磁性体層65が積層されている。硬磁性体層65は、例えばニッケル等の硬磁性体元素が含有されてなる。硬磁性体層65の上面には上質紙や、樹脂フィルムからなる保護層67が貼着されている。
【0004】
また、前記軟磁性体層60の他面には粘着剤層68を介して剥離材69が貼着されている。この検知タグの使用に際しては、上記剥離材69が剥され、管理されるべき商品等に貼着される。
【0005】
図8は、検知タグを検出するゲート70、72を示すもので、両ゲート70、72間に交流磁界Sが形成されている。また、両ゲート70、72には磁界強度を検出する検出器(不図示)が取りつけられており、この検出器により前記両ゲート70、72間の磁界強度が検出されている。なお、74は検知タグである。検知タグ74が商品等(不図示)に取りつけられて矢印Rで示されるように両ゲート70、72間を通過すると、ゲート70、72間に形成されている磁界Sが歪められる。この磁界Sの歪みを検出することにより、検知タグ74がゲート70、72間を通過したことが認識される。
【0006】
図9は、磁界の歪みを検出する具体的方法の一例を示すものである。図9中、(a1)は、図8中のゲート70、72間に形成する一定周波数の交流磁界の波形を示す。簡単な数学的手法を用いて、時間軸を周波数軸に変換すると(a2)に示す波形に変換される。
【0007】
図9中、(b1)は、検知タグ74がゲート70、72間を通過することにより歪んだ交流磁界の波形を示す。この歪んだ波形を上記と同様にして座標軸変換を行うと、(b2)に示す波形が得られる。(b2)の波形には、交流磁界の歪みに起因する高調波80、82が認められる。この高調波の有無を検出することにより、ゲート70、72間を検知タグ74が通過したことの有無が検出される。
【0008】
例えば、商品等が正規に購入され、外部に搬出されても良い状態になった場合は、この商品等に貼着された検知タグ74に失効操作を施す。この失効操作を施すことにより、商品に付着された検知タグ74がゲート70、72内を通過しても磁界が歪められることが無くなる。この結果、商品等は安全に外部に持出される。
【0009】
一方、不正に外部に持出されようとする場合は、検知タグ74は失効されていない状態にあるので、商品等がゲート70、72内を通過すると歪んだ磁界が発生され、この歪んだ磁界を検出することにより不正持出しが検出される。
【0010】
失効は、図7に示す検知タグの硬磁性体層65を失効器を用いて着磁することにより達成される。
【0011】
図6は、従来用いられている失効器の一例を示す。この失効器50は、基台52に、直径12mmの円盤状永久磁石が互いに10mm程度の間隔を保って並べられたもので、各磁石はN極54と、S極56とが交互に配列されている。
【0012】
この失効器50の上面に図7に示される検知タグが触れると、硬磁性体層65が着磁され、これにより検知タグが失効される。
【0013】
しかし、従来の失効器を用いる検知タグの失効方法においては、確実に全ての検知タグが失効するとは限らず、失効されない場合が発生している。この場合は、正当な手続で入手した商品であるにもかかわらず、ゲートで検知されて、不正に入手したものとみなされることになり、これは大きな問題である。
【特許文献1】特開平6−342065(請求項1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明者は、上記問題を解決するために種々検討するうちに、失効器に一対の平面コイルを備えた検知回路を設けることにより、失効処理を施した検知タグの失効状態を確認でき、上記問題を解決できることに想到した。本発明は上記知見に基づき完成するに至ったものである。従って、本発明の目的とするところは上記問題を解決する検知タグの失効器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成する本発明は、以下に記載するものである。
【0016】
〔1〕 複数の磁石のS極とN極とを交互に配列して形成した失効面を有する失効磁石と、前記失効面とコイル面とを平行に配設した一対の平面コイルと、前記一対の平面コイルを含みその差出力を取出す出力回路と、出力回路の取出した差出力から高調波を検出して表示するデータ処理・表示部とを有するEMタグ用失効器。
【0017】
〔2〕 一対の平面コイルを失効磁石の失効面と反対面に配設してなる〔1〕に記載の失効器。
【0018】
〔3〕 一対の平面コイルのコイル間に失効磁石を介装してなる〔1〕に記載の失効器。
【0019】
〔4〕 一対の平面コイルを失効面上に配設してなる〔1〕に記載の失効器。
【0020】
〔5〕 失効面が帯状のS極とN極とを交互に配列した磁石で形成してなる〔1〕に記載の失効器
〔6〕 失効面のS極とN極との磁石幅が12mm以下である〔1〕に記載の失効器。
【0021】
〔7〕 失効面の寸法が平面コイルの寸法よりも大きい〔1〕に記載の失効器。
【0022】
〔8〕 失効面から2mm離間して測定される磁束密度が0.01テスラ以上である〔1〕に記載の失効器。
【発明の効果】
【0023】
本発明の失効器は、一対の平面コイルを備えた検知タグの検出回路を有するので、この失効器を用いて検知タグを失効させる場合に、検知タグが失効されたことが直ちに確認できる。このため、未失効の検知タグが誤ってゲートで検出される事故を確実に防止できる。
【0024】
更に、失効磁石として、失効面が帯状のS極とN極とを交互に配列した失効磁石を使用する場合は、従来の失効器と比較してより確実に検知タグを失効させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施形態につき、詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の失効器の一例を示すものである。図1(A)は、失効器の側面図で、2は失効磁石である。この失効磁石2は、複数(図1(A)においては3個)の帯状(長方形)のS極4と、複数(図1(A)においては3個)の帯状(長方形)のN極6とが、交互に密着して配列された失効面8を有する。なお、図1(B)は失効器の平面図を示す。
【0027】
帯状のS極4の幅Pと帯状のN極6の幅Qとは、失効させる検知タグの短辺よりも小さい必要がある。幅Pと、幅Qとは必ずしも同一幅である必要はなく、また磁石幅が違っていても良い。
【0028】
具体的には、標準的な寸法である16mmx26mm程度の検知タグを失効させる場合、幅P、Qはそれぞれ12mm以下が好ましく、1〜10mmがより好ましく、2〜8mmが特に好ましい。
【0029】
幅P、Qが失効させる検知タグの短辺よりも大きい場合は、確実に失効されない場合が起る。また、幅P、Qは1mm以下であっても良いが、1mm以下にしても、特に1mm以下にすることによる失効作用の増加は認められない。
【0030】
失効磁石2の磁束密度は失効作用を確実にする観点からは大きい方が好ましい。具体的には、失効面8から2mm離間した磁束密度が0.01テスラ以上であり、0.02〜0.1テスラがより好ましい。
【0031】
このような失効磁石は、可撓性の磁気異方性シートとして市販されているものが使用できる。この磁気異方性シートは、フェライト系、ネオジウムを含む希土類系等の硬磁性粉末とゴムやプラスチックとを混練し、押出し成形後、磁化する等の方法で製造される(特開2001−297911、特開平11−273938等)。
【0032】
また、S極、N極を帯状に形成した永久磁石を交互に密着して配列したものであっても良い。
【0033】
なお、上記説明においては、帯状のS極4とN極6とを互いに密着させて配列したが、これに限られず、図5のようにS極94とN極96とを互いに間隔を設けて配列しても良い。S極94とN極96との磁石間距離Vは10mm以下が好ましく、1〜5mmがより好ましい。
【0034】
更に、図6に示す様な、従来存在する円盤状磁石を配列した失効磁石であっても良い。
【0035】
前記失効磁石2の下面には、図1(A)に示すように、1対の第1平面コイル10と、第2平面コイル12とが配設してある。第1平面コイル10は、前記失効磁石2の下面に密着して配設され、第2平面コイル12は、前記第1平面コイル10と所定間隔Tだけ離れて第1平面コイル10と平行に配設してある。11はスペーサーである。所定間隔Tとしては、特に制限がないが、ノイズ防止の観点からは30mm以下が好ましく、5〜20mmがより好ましい。
【0036】
第1平面コイル10、及び第2平面コイル12は、図1(C)に示すように、電線を平面内に渦巻き状に巻回したループコイルで、図1(C)に示すような、長方形状に巻回したものや、円状に巻回したもの、菱形に巻回したもの等の任意の形状に巻回したものを使用できる。
【0037】
前記第1平面コイル10と第2平面コイル12との巻回方向は特に制限がないが、後述する図2に示す検知タグの検出回路を構成するに当り、第1平面コイル10の発生する磁場方向と、第2平面コイル12が発生する磁場方向とが、互いにうち消し合って、両コイルの出力の差分を出力するように接続する必要がある。
このように接続することにより、外部ノイズの検出を有効に防止できる。
【0038】
出力回路14は、前記第1平面コイル10と、第2平面コイル12と、後述する抵抗R1、R2とで構成したブリッジ回路の差出力を増幅して、データ処理・表示部16に供給する回路である。
【0039】
図2は、図1に示す失効器の出力回路14を示すものである。第1平面コイル10と、第2平面コイル12と、抵抗R1と、抵抗R2とで構成されるブリッジ回路に所定周波数の交流電力を電力源Eから供給し、検知タグを検出したときに生じるブリッジ回路の差出力を作動増幅回路DAで増幅して、データ処理・表示部16に供給する。
【0040】
データ処理・表示部16は、前記出力回路14の出力から電力源Eの供給する交流電力の高調波成分を取出すデータ処理を行い、高調波成分の検知の有無を確認する。このデータ処理自体は公知のものである。表示部は、高調波成分が検出されない場合は、失効されている旨の表示をし、高調波成分が検出された場合は、検知タグが失効されていない旨の表示をする。
【0041】
次に、図1に示す失効器を用いて、検知タグを失効させる場合につき説明する。例えば、店頭において商品等に貼着されている検知タグの最初の状態において、その硬磁性体層は着磁されていない。この状態で、商品が不法に外部に持出されると、ゲートで検出される。
【0042】
一方、この商品の代金が正規に支払われた場合は、この状態で、商品に貼着された検知タグを失効器の失効面8に近づけ、好ましくは失効面8に検知タグの硬磁性体層を対向させて失効面8に検知タグを接触させる。これにより、検知タグの硬磁性体層は着磁し、その結果検知タグは失効する。
【0043】
失効させるために失効面に検知タグを近づけている時間、又は接触時間は短時間で良い。具体的には0.1秒以上であれば何れの時間でも良い。
【0044】
上記操作により、検知タグが失効した場合は、ブリッジ回路の差出力中には高調波成分は検出されないので、データ処理・表示部は失効されたと判断しその旨を表示部に表示する。
【0045】
一方、何らかの理由で、失効に失敗した場合は、ブリッジ回路に供給している交流電力の高調波成分が出力回路からデータ処理・表示部に送られる。これをデータ処理・表示部が認識し、表示部に失効されていない旨を表示する。
【0046】
上記失効器の失効磁石は帯状のS極とN極とを交互に配列した失効面を有する。この構造の失効磁石を用いる失効器は、従来の失効器と比較し高い検知タグの失効能力を有する。この失効磁石が検知タグを確実に失効させる理由は十分解明されていないが、本発明者らは上記帯状の磁極の配列からなる失効器の場合は磁束の方向が揃いやすい為と考えている。これに対し、従来の円盤状磁石を配列した失効器の場合は、磁束が全周方向に発散する様に形成されることにより、磁束密度が低減して失効作用が不確実になると考えている。
【0047】
図3は、本発明失効器の他の構成例を示すものである。
【0048】
この例にあっては、一対の第1平面コイル34と、第2平面コイル36との間に失効磁石32を介装している。図3に示すように、第1平面コイル34と第2平面コイル36とは失効磁石32に密着させても良いし、第1平面コイル34と第2平面コイル36とを所定間隔離間させ、その略中央に前記両コイル34、36と離間して失効磁石32を配設しても良い。
【0049】
第1平面コイル34と第2平面コイル36との間隔は、30mm以下が好ましく、5〜20mmがより好ましい。
【0050】
第1平面コイル34と、第2平面コイル36とは、磁力線の方向が反対方向になるようにブリッジ回路を構成しており、その他の構成は前記と同様の構成である。
【0051】
図4は、本発明失効器の更に他の構成例を示すものである。
【0052】
この例にあっては、失効磁石42の上面に一対の第1平面コイル44と第2平面コイル46とをスペーサー45で所定間隔U離間させて積層している。所定間隔Uは、30mm以下が好ましく、5〜20mmがより好ましい。第1平面コイル44と、第2平面コイル46とは、磁力線の方向が反対方向になるようにブリッジ回路を構成しており、その他の構成は上記と同様である。
【0053】
以下、実施例、比較例により本発明を更に具体的に説明する。
【実施例】
【0054】
実施例1
市販のフェライト系ゴム磁石(マグテック(株)社製商品名異方性ゴム磁石)を裁断して縦150mm、横150mmの図1(B)に示す帯状のN極、S極が交互に配列された構造の失効磁石を製造した。S極4の幅P、N極6の幅Qは2mm、長さLは150mmであった。このフェライト系ゴム磁石の失効面から2mm離間した磁束密度は約0.03テスラであった。なお、磁束密度はガウスメータ5080(F.W.BELL社製)で測定した。
【0055】
電線を1200回渦巻き状に巻回して直径120mmの平面コイルを2つ作製し、これらを第1平面コイル、第2平面コイルとした。図1に示すように、失効磁石の下面に第1平面コイル、第2平面コイルを配置した。コイル間距離は8mmであった。2個の470Ωの抵抗と前記2つの平面コイルとでブリッジ回路を構成し、20vの交流電圧(306Hz)をブリッジ回路に供給した。このとき、コイル近傍の磁界強度は800A/mであった。なお、磁界強度はガウスメータGM−003(電子磁気工業製)で測定した。
【0056】
幅16mm、長さ26mmの、図7に示す構造の検知タグ(リンテック(株)社製商品名EH−026)を上記失効器の失効面に1秒間接触させた。結果は、10個の検知タグの全てを確実に失効でき、表示部の表示は10個の検知タグが失効されていることを表示していた。
【0057】
次に、この失効させた10個の検知タグを順次ゲート内を通過させた。ゲートは検知タグの10個の何れも検知しなかった。
【0058】
実施例2
S極、N極の幅P、Qが3mmのネオジウム系ゴム磁石((株)マグナ社製商品名ラバーマグネット)を用いる以外は実施例1と同様にして失効磁石を製造し、同様の試験を行った。失効面から2mm離間した磁束密度は約0.045テスラであった。結果は、10個の検知タグの全てを確実に失効できた。表示部の表示は10個の検知タグが失効されていることを表示していた。
【0059】
次に、この失効させた10個の検知タグを順次ゲート内を通過させた。ゲートは検知タグの10個の何れも検知しなかった。
【0060】
実施例3
S極、N極の幅P、Qが5mmのネオジウム磁石((株)マグナ社製商品名ネオジウム磁石)を用いる以外は実施例1と同様にして失効磁石を製造し、同様の試験を行った。失効面から2mm離間した磁束密度は約0.08テスラであった。結果は、10個の検知タグの全てを確実に失効できた。表示部の表示は10個の検知タグが失効されていることを表示していた。
【0061】
次に、この失効させた10個の検知タグを順次ゲート内を通過させた。ゲートは検知タグの10個の何れも検知しなかった。
【0062】
実施例4
S極、N極の幅P、Qが10mmのネオジウム磁石((株)マグナ社製商品名ネオジウム磁石)を用いる以外は実施例1と同様にして失効磁石を製造し、同様の試験を行った。失効面から2mm離間した磁束密度は約0.095テスラであった。結果は、10個の検知タグの全てを確実に失効できた。表示部の表示は10個の検知タグが失効されていることを表示していた。
【0063】
次に、この失効させた10個の検知タグを順次ゲート内を通過させた。ゲートは検知タグの10個の何れも検知しなかった。
【0064】
実施例5
S極、N極の幅P、Qが15mmの異方性フェライト磁石((株)マグナ社製商品名フェライト磁石)を用いる以外は実施例1と同様にして失効磁石を製造し、同様の試験を行った。失効面から2mm離間した磁束密度は約0.055テスラであった。10個の検知タグのうち8個を失効できた。表示部の表示は8個の検知タグが失効されていること、及び2個の検知タグが失効されていないことを表示していた。
【0065】
次に、この失効させた10個の検知タグを順次ゲート内を通過させた。ゲートは失効されている8個の検知タグの何れも検知しなかった。しかし、ゲートは残りの失効されていない2個の検知タグを検出した。更に、失効されていない2個の検知タグを再度失効の操作を行ったところ、表示部の表示は2個共に失効されていることを表示した。
【0066】
実施例6
図6に示す構造の市販の失効器を失効磁石として用いた。直径12mmの円盤状フェライト系永久磁石を図6に示すように配列したもので、各円盤状磁石同士の最短間隔は9mmであった。失効面から2mm離間した磁束密度は約0.09テスラであった。この失効磁石を用いて実施例1の構成の電子回路を有する失効器を製造し、実施例1と同様にして失効試験を行った。結果は、10個の検知タグのうち3個が失効した。表示部の表示は3個の検知タグが失効されていること、及び7個の検知タグが失効されていないことを表示していた。
【0067】
次に、この失効処理を施した10個の検知タグを順次ゲート内を通過させた。ゲートは失効されている3個の検知タグの何れも検知しなかった。しかし、ゲートは残りの失効されていない7個の検知タグを検出した。
【0068】
実施例7
図3に示す失効磁石の両面に平面コイルを取付けた構成の失効器を製造した。使用した失効磁石、電子回路等は実施例1で使用したものと同じものを使用し、厚さが5mmの失効磁石に第1平面コイル及び第2平面コイルを密着させた。
【0069】
幅16mm、長さ26mmの、図7に示す構造の検知タグ(リンテック(株)社製商品名EH−026)を上記失効器の失効面に1秒間接触させた。結果は、10個の検知タグの全てを確実に失効でき、表示部の表示は10個の検知タグが失効されていることを表示していた。
【0070】
次に、この失効させた10個の検知タグを順次ゲート内を通過させた。ゲートは検知タグの10個の何れも検知しなかった。
【0071】
実施例8
図4に示す失効磁石の上面に2枚の平面コイルを互いに8mm離間させて積層した構成の失効器を製造した。使用した失効磁石、電子回路等は実施例1で使用したものと同じものを使用した。
【0072】
幅16mm、長さ26mmの、図7に示す構造の検知タグ(リンテック(株)社製商品名EH−026)を上記失効器の失効面に1秒間接触させた。結果は、10個の検知タグの全てを確実に失効でき、表示部の表示は10個の検知タグが失効されていることを表示していた。
【0073】
次に、この失効させた10個の検知タグを順次ゲート内を通過させた。ゲートは検知タグの10個の何れも検知しなかった。
【0074】
実施例9
図5に示すように、S極94と、N極96とを密着させずに、1mmの磁石間距離Vを設けて交互に配列する以外は、実施例1と同様の失効磁石を製造し、実施例1と同様の試験を行った。結果は、10個の検知タグのすべてを確実に失効できた。表示部の表示は、10個の検知タグが失効されていることを表示していた。
【0075】
次に、この失効させた10個の検知タグを順次ゲート内を通過させた。ゲートは検知タグの10個の何れも検知しなかった。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の失効器の一例を示す説明図で、(A)は側面説明図、(B)は平面説明図、(C)は平面コイルを示す説明図である。
【図2】本発明の失効器の電子回路の構成の一例を示す回路図である。
【図3】本発明の失効器の他の例を示す説明図である。
【図4】本発明の失効器の更に他の例を示す説明図である。
【図5】本発明の失効器のまた更に他の例を示す説明図である。
【図6】従来の失効器の一例を示す平面説明図である。
【図7】従来の検知タグの構成の一例を示す側面図である。
【図8】検知タグの検出方法を示す説明図である。
【図9】検知タグの検出原理を示す説明図で、(a)はゲート間に形成する交流磁界の波形を示し、(b)は検知タグを検出したときの交流磁界の波形を示す。
【符号の説明】
【0077】
2、32、42 失効磁石
4、56、94 S極
6、54、96 N極
8 失効面
10、34、44 第1平面コイル
11、45 スペーサー
12、36、46 第2平面コイル
14 出力回路
16 データ処理・表示部
50 失効器
52 基台
60 軟磁性体層
62 接着剤層
63 貫通孔
65 硬磁性体層
67 保護層
68 粘着剤層
69 剥離材
70、72 ゲート
74 検知タグ
80、82 高調波
E 電力源
DA 作動増幅回路
L 長さ
P、Q 幅
R 矢印
R1、R2 抵抗
S 磁界
T、U 所定間隔
V 磁石間距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の磁石のS極とN極とを交互に配列して形成した失効面を有する失効磁石と、前記失効面とコイル面とを平行に配設した一対の平面コイルと、前記一対の平面コイルを含みその差出力を取出す出力回路と、出力回路の取出した差出力から高調波を検出して表示するデータ処理・表示部とを有するEMタグ用失効器。
【請求項2】
一対の平面コイルを失効磁石の失効面と反対面に配設してなる請求項1に記載の失効器。
【請求項3】
一対の平面コイルのコイル間に失効磁石を介装してなる請求項1に記載の失効器。
【請求項4】
一対の平面コイルを失効面上に配設してなる請求項1に記載の失効器。
【請求項5】
失効面が帯状のS極とN極とを交互に配列した磁石で形成してなる請求項1に記載の失効器。
【請求項6】
失効面のS極とN極との磁石幅が12mm以下である請求項1に記載の失効器。
【請求項7】
失効面の寸法が平面コイルの寸法よりも大きい請求項1に記載の失効器。
【請求項8】
失効面から2mm離間して測定される磁束密度が0.01テスラ以上である請求項1に記載の失効器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−133085(P2006−133085A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−322700(P2004−322700)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【出願人】(597019609)株式会社 シーディエヌ (22)
【Fターム(参考)】