説明

妊娠を防ぎ、月経前総合的症状を減少させるための経口避妊薬

【課題】妊娠を防ぎ、かつ月経前不快性疾患(PMDD)を含む月経前症候群(PMS)を治療する方法の提供。
【解決手段】エストロゲンおよびプロゲスチンの複合型剤形を、好ましくは単相的に、連続した21日間〜26日間、投与し、続いて、2日間〜10日間、抗鬱薬塩酸フルオキセチンと組み合わせて、低用量のエストロゲンを投与する。エストロゲンおよびプロゲスチンの一日量は、それぞれ、エチニルエストラジオールの約5μg〜50μg、およびレボノルゲストレルの約0.025mg〜10mg、好ましくは約0.05mg〜1.5mgに等価であり、かつ塩酸フルオキセチンは約5mg〜120mgの量である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、妊娠を防ぎ、かつPMSおよびPMDDを含む月経前総合的症状を減少させるかまたは除去する経口避妊薬、ならびに妊娠を防ぎ、かつPMSおよびPMDDを含む月経前総合的症状を減少させるかまたは除去する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの月経周期は、結果として一時的な子宮の出血を生じる、反復性の一連のホルモン変化を伴う。正常には、各月経周期は、21日〜35日間の平均間隔をもち、慣習的に、月経流出の初日に始まり、次の出血開始の前の日に終わる。月経流出の期間は、通常、2日〜6日間であり、20 ml〜60 mlの失血を伴う。
【0003】
月経周期は、卵胞期および黄体期に分けられ、それぞれ、卵巣に生じる変化に対応している。これらの期はまた、子宮の子宮内膜に観察される変化に対応して、増殖期または分泌期としても記載されうる。黄体期の長さは12日〜16日間での比較的不変のままであるため、周期の長さにおける変動は、通常、卵胞期における変化による。
【0004】
卵胞期の間、数個の原始卵胞がさらなる成長および発達のため採用される。原始卵胞における顆粒膜細胞は、卵胞刺激ホルモン(FSH)およびエストラジオール受容体を有する。FSH刺激に応じて、顆粒膜細胞はアロマターゼを産生する。この酵素は、莢膜細胞による黄体化ホルモン(LH)に応答して生成された男性ホルモンのアンドロステンジオンおよびテストステロンをそれぞれ、エストロンおよびエストラジオールへ変換する。顆粒膜細胞は、有糸分裂を起こして顆粒膜細胞の数およびエストラジオール生成を増加させることにより、エストラジオールに応答する。周期の7日目までに、1個の増大している原始卵胞が未知の過程により選択され、排卵時に卵母細胞を放出する卵胞になる。
【0005】
血漿エストラジオールの月経中期上昇は、大きな月経中期LHサージを刺激する。この月経中期LHサージは、卵母細胞内の減数分裂の再開および排卵前期卵胞内の顆粒膜細胞の黄体形成を引き起こす。排卵直前に、外側の卵胞壁が溶解し始め、LHサージの開始から約24時間〜36時間目に卵母細胞が放出される。
【0006】
排卵後、顆粒膜細胞および周囲の莢膜細胞は、増大し、脂質を蓄積し、黄体細胞へと変換されるようになる。これにより、月経周期の黄体期が始まる。これらの細胞は、エストラジオールおよびプロゲステロンを分泌する、黄体と呼ばれる新しい血管新生した構造を形成する。LHは、黄体期の間、黄体を維持し、アデニルシクラーゼ系経由で作用して、プロゲステロン生成を刺激する。妊娠が生じない場合には、黄体細胞は退化し、ホルモン分泌の減少が月経に先行する。月経は、すぐに、新たな月経周期の開始に続く。
【0007】
子宮内膜の増殖は、差し迫った妊娠のために子宮を準備するための役割を果たすことから、ホルモンおよび子宮環境の操作は、避妊を提供することができる。例えば、エストロゲンは、フィードバック阻害によりFSH分泌を減少させることが知られている。ある特定の環境下において、エストロゲンはまた、もう一度負のフィードバックにより、LH分泌を阻害することができる。正常な環境下において、排卵の直前に見出される循環しているエストロゲンのスパイクは、排卵直前に生じる性腺刺激ホルモンのサージを誘発し、結果として、排卵を生じる。性交直後のエストロゲンの高投与量もまた、おそらく、着床への干渉によって、受胎を防ぐことができる。
【0008】
プロゲスチンもまた、避妊を提供することができる。エストロゲン後の内因性プロゲステロンは、子宮内膜の妊娠前の変化、ならびに子宮頸および膣における細胞および組織の周期的変化の原因である。プロゲスチンの投与は、子宮頸粘液を濃厚、粘着性、かつ細胞状にさせ、それが精子の輸送を妨げるものと考えられている。プロゲスチンの投与はまた、ヒトにおいて、LH分泌を阻害し、排卵を妨げる。
【0009】
経口避妊の最も流行している形状は、エストロゲンおよびプロゲスチンの両方を組み合わせるピル、いわゆる複合経口避妊用調製物である。または、プロゲスチンのみを含む避妊用調製物がある。しかしながら、プロゲスチンのみの調製物は、複合製剤よりも、より様々な範囲の副作用、特に、より破綻的な出血を起こす。結果として、今日の使用において、複合製剤が、好ましい経口避妊薬である(Shethら、Contraception 25:243 (1982)(非特許文献1))。
【0010】
経口避妊薬に関するエストロゲン-プロゲスチン療法を確立するにおいて、2つの主要な問題に直面しなければならない。第一に、効力が維持されなければならず、そして第二に、子宮内膜出血の制御のさらなる低下が回避されなければならない。一般的に、商業的に入手可能な最も低い用量の経口避妊用製品でさえも、効力を示したが、破綻的出血(不時の月経または少量の不正出血(spotting))、または(月経が期待される)「ピルを服用していない」週の間の消退無月経の両方に現れるように、用量が低減されたことで出血制御問題の全般的な事例は増加した。
【0011】
月経周期の黄体期の間、規則正しい月経周期をもつ女性の75 %ほどが、月経前症候群(PMS)のいくつかの症状、行動的、感情的、社会的、および身体的症状を含む繰り返し発生する周期的疾患を経験している(Steinerら、Annu. Rev. Med. 48:447-455 (1997)(非特許文献2))。行動的、感情的、および社会的症状は、興奮性、気分変動、抑鬱、敵意、および社会的引きこもりを含むが、これらに限定されない。身体的症状は、鼓脹、乳房圧痛、筋肉痛、偏頭痛または頭痛、および疲労を含むが、これらに限定されない。真性のPMSは、月経周期の黄体期の間のみ起こり、卵胞期の間に無症状期がある。PMSの原因は、まだわかっていない。
【0012】
PMSをもつ女性のサブグループ、約2 %〜9 %は、主として重篤な気分障害に関連している症状を示す。これらの女性において、精神障害診断統計便覧第4版(DSM-IV)に定義されている月経前不快性疾患(PMDD)の診断が適用されうる。DSM-IVによると、PMDDをもつ女性は、黄体期の間、少なくとも5つの月経前症状をもち、その症状の少なくとも1つは感情的または「心(core)」の症状でなければならない。心の症状は、興奮性、怒り、気分変動、緊張または抑鬱(かつ毎日の活動を妨げる)でなければならず、かつ少なくとも2周期間の見込みによる(prospective)毎日の評定により確認されなければならない。PMSをもつ女性の3パーセント〜5パーセントがPMDDをもつと報告している。
【0013】
重篤なPMSを経験する女性のサブグループもまた存在し、PMS個体群の約20 %を占める。これらの女性は、DSM-IVに定義されるようなPMDDの厳しい基準に該当しないが、医学的注意を必要とする重篤な感情的症状を経験する。
【0014】
PMDDの症状は、初経後のいずれの年齢でも始まりうるが、開始の平均年齢は、約26歳であると思われ、いくつかの調査により、月経前期に関連した、エストロゲン消退症状のような症状は、経時的に、次第にいっそう悪く、かつおそらくより長引くようになることが見出された。悪化は、繰り返し発生する卵巣ホルモンの増加と減少のために起こりうることが示唆されてきた。これは、他の文化からのデータにより支持される:月経がめったにない場合、月経前症候群はまれである。それは、低い経産回数をPMDDの危険性に結びつけるデータによっても支持される。低い経産回数は、より多数のホルモン周期を生じ、従って、女性は、大量のプロゲステロンのより多くの曝露および消退をもつ。さらに、いくつかの研究により、経口避妊薬の使用者の間に月経前症候群のより低い比率が見出され、ここでもまた内因性プロゲステロンのピークおよび谷へのより短い曝露が、PMDDから保護するものであることを示唆している(Yonkers, K.、J. Clin. Psychiatry 58(Suppl. 14):4-13 (1997)(非特許文献3))。
【0015】
排卵の抑制は、PMSのホルモン療法の使用に関する重要な原理であった。排卵を阻害する一つの方法は、経口避妊薬(OC)を使用することによる。複合経口避妊薬は、性腺刺激ホルモン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、および黄体化ホルモン(LH)を抑制することにより排卵を阻害する。現在まで、PMSの経口避妊治療のたった2つの制御研究のみが発表されている。その結果は、複合経口避妊薬が身体的症状(特に、乳房痛および鼓脹)を効果的に減少させるが、精神的症状の軽減についての応答はあまり明らかではなかったことを示している。
【0016】
PMDDについての基準を満たす女性に対する治療的介入は、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、三環系抗鬱薬および不安緩解剤、加えて抗鬱薬アルプラゾラム(XANAX(登録商標))を含む。これらの介入は、最小の副作用で効力を示した。最近のSSRIの研究によってもまた、低用量での成功が実証された。
【0017】
セロトニン受容体で活性のある抗鬱薬は、クロミプラミン(ANAFRANIL(登録商標))、フルオキセチン(PROZAC(登録商標))、パロキセチン(PAXIL(登録商標))、セルトラリン(ZOLOFT(登録商標))、ネファゾドン(SERZONE(登録商標))、フェンフルラミン(PONDIMIN(登録商標))およびベンラファキシン(EFFEXOR(登録商標))を含む。
【0018】
PMDDの治療に今日唯一認可されている製品は、SSRI塩酸フルオキセチンである(SARAFEM(登録商標))。PMDDの治療についてのフルオキセチンの有効性は、4つのランダム化されたプラセボ対照試験において確証された。20 mgまたは60 mgのいずれかの一日量でのフルオキセチンは、症状を減少させることにおいて、プラセボより優れていることが証明された(Steinerら、New Engl. J. Med. 332:1529-1534 (1995)(非特許文献4))。しかしながら、経口避妊薬を服用中の女性はその試験から除外されたため、経口避妊薬およびフルオキセチンの組み合わせは試験されなかった。
【0019】
PMDDを含む月経前症候群(PMS)を同時に減少させるまたは除去するために、抗鬱薬を含むエストロゲン-プロゲスチン複合剤および/または療法を含む、経口避妊薬用途の、エストロゲン-プロゲスチン複合剤および/または療法を提供することが、本発明の目的である。2つの療法、いわゆる28日療法および91日療法が提案されている。28日療法は、PMDDを含む月経前症候群(PMS)を減少させるかまたは緩和すると同時に、通例の年あたり13回の月経周期を維持することの選択を女性に与える。91日療法は、PMDDを含む月経前症候群(PMS)を減少させるかまたは緩和すると同時に、年あたり4回のみの月経周期を維持することの選択を女性に与える。従って、91日療法は、年あたりより少ない停止/開始の移行を伴うことにより服薬遵守(compliance)を高め、また結果として失血をより少なくし、かつ、仮説的には、PMDDを含む月経前症候群を減少させるだろう。より少数の月経間隔を有することはまた、生活様式および便宜を向上させうる。本発明のこの目的および他の目的は、以下の詳細な説明から当業者に明らかになるものと思われる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】Shethら、Contraception 25:243 (1982)
【非特許文献2】Steinerら、Annu. Rev. Med. 48:447-455 (1997)
【非特許文献3】Yonkers, K.、J. Clin. Psychiatry 58(Suppl. 14):4-13 (1997)
【非特許文献4】Steinerら、New Engl. J. Med. 332:1529-1534 (1995)
【発明の概要】
【0021】
本発明は、妊娠を防ぎ、かつPMDDを含むPMSを治療する、女性の経口避妊薬に関する。本発明はさらに、経口避妊薬を投与することにより、治療期間の終わりにまたは治療期間の間に、エストロゲンの完全な消退を避けることによる、妊娠を防ぎかつPMDDを含むPMSを治療する方法に関する。月経がめったにない場合、月経前症候群はまれである。さらに、経口避妊薬の使用者は、月経前症候群の比率がより低く、このことはまた内因性プロゲステロンのピークおよび谷へのより短い曝露が、PMDDから保護するものであることを再び示唆している。より詳しくは、本発明は、2つの複合経口避妊薬療法のうちの1つを施すことを含む、妊娠を防ぐ方法に関する。さらに、本発明は、抗鬱薬を含む2種の複合経口避妊薬療法のうちの1種を施す段階を含む、妊娠を防ぐ方法に関に関する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
発明の詳細な説明
本発明は、妊娠を防ぎ、かつPMDDを含むPMSを減少させるかまたは除去する、経口避妊薬に関する。妊娠を防ぎ、かつPMDDを含むPMSを減少させるかまたは除去するためにこれらの経口避妊薬を使用する方法もまた、提供される。より詳しくは、方法は、いくつかの複合経口避妊薬療法のうちの1つを施す段階を含む。重要なことには、これらの療法は、ピルを服用しない間隔またはプラセボ間隔を含まない。
【0023】
本発明の一つの態様は、年あたり13回の月経周期を維持することの選択を女性に与えるいわゆる28日療法である。本発明に従って、避妊、およびPMDDを含むPMSの治療を必要とする女性は、エストロゲンおよびプロゲスチンの複合型剤形を、好ましくは単相的に、連続した21日間〜26日間、好ましくは22日間〜25日間、投与され、続いて、2日間〜10日間、好ましくは約3日間〜7日間、より好ましくは約2日間〜7日間、低用量のエストロゲンを投与され、エストロゲンおよびプロゲスチンの一日量は、それぞれ、エチニルエストラジオールの約5 μg〜50 μg、およびレボノルゲストレルの約0.025 mg〜10 mg、好ましくは約0.05 mg〜1.5 mgに等価である。
【0024】
好ましい態様において、女性は、月経周期の1日目から21日目までにおいて150 μg レボノルゲストレルおよび30 μg エチニルエストラジオールを含む経口避妊薬を投与され、続いて、周期の22日目〜28日目において30 μg エチニルエストラジオールを含む剤形を投与される。典型的投与計画は、表1に示される。このように、28日療法計画において、年あたり約13回の治療および月経周期がある。
【0025】
(表1)28日療法についての投与計画

【0026】
本発明のもう一つの態様において、避妊、およびPMDDを含むPMSの治療を必要とする女性は、エストロゲンおよびプロゲスチンの複合型剤形を、好ましくは単相的に、連続した21日間〜26日間、好ましくは22日間〜25日間投与され、続いて、2日間〜10日間、好ましくは約3日間〜7日間、より好ましくは約2日間〜7日間、抗鬱薬塩酸フルオキセチンと組み合わせて、低用量のエストロゲンを投与され、エストロゲンおよびプロゲスチンの一日量は、それぞれ、エチニルエストラジオールの約5 μg〜50 μg、およびレボノルゲストレルの約0.025 mg〜10 mg、好ましくは約0.05 mg〜1.5 mgに等価であり、かつ塩酸フルオキセチンは約5 mg〜120 mgの量である。服薬不履行に導きうる副作用を少しでも活性化するのを避けるために、5 mg/日または10 mg/日のいずれかのフルオキセチンの初回量を有する経口避妊薬で開始することができる。その後、用量は必要に応じて増加されうる。フルオキセチンはまた、黄体期後期の間、典型的には、月経前の1週間〜2週間、間欠的に与えられうる。さらに、一回用量または週一回用量の約90 mgのフルオキセチンが投与されうる。
【0027】
好ましい態様において、女性は、月経周期の1日目から21日目までに150 μg レボノルゲストレルおよび30 μg エチニルエストラジオールを含む経口避妊薬、続いて、周期の22日目〜28日目において20 mg 塩酸フルオキセチンおよび30 μg エチニルエストラジオールを含む剤形を投与される。典型的投与計画は、表2に示される。このように、28日療法計画において、年あたり約13回の治療および月経周期がある。
【0028】
(表2)抗鬱薬と併用の28日療法についての投与計画

【0029】
本発明の追加の態様は、月経期間を年あたり約4回に制限することの選択を女性に与える長期間療法である。本発明に従って、避妊、およびPMDDを含むPMSの治療を必要とする女性は、エストロゲンおよびプロゲスチンの複合型剤形を、好ましくは単相的に、連続した60日間〜110日間、好ましくは81日間〜89日間投与され、続いて、2日間〜10日間、好ましくは約5日間〜8日間エストロゲンを投与され、エストロゲンおよびプロゲスチンの一日量は、それぞれ、エチニルエストラジオールの約5 μg〜50 μg、およびレボノルゲストレルの約0.025 mg〜10 mg、好ましくは約0.05 mg〜1.5 mgに等価である。
【0030】
好ましい態様、91日療法において、女性は、月経周期の1日目から84日目までに150 μg レボノルゲストレルおよび30 μg エチニルエストラジオールを含む経口避妊薬を投与され、続いて、サイクルの85日目〜91日目において30 μg エチニルエストラジオールを含む剤形を投与される。典型的投与計画は、表3に示される。このように、91日療法計画において、年あたり約4回のみの治療および月経周期がある。
【0031】
(表3)91日療法についての投与計画

【0032】
本発明の追加の態様において、避妊、およびPMDDを含むPMSの治療を必要とする女性は、エストロゲンおよびプロゲスチンの複合型剤形を、好ましくは単相的に、連続した60日間〜110日間、好ましくは81日間〜89日間投与され、続いて、2日間〜10日間、好ましくは約5日間〜8日間、低用量のエストロゲンおよび塩酸フルオキセチンを投与され、エストロゲンおよびプロゲスチンの一日量は、それぞれ、エチニルエストラジオールの約5 μg〜50 μg、およびレボノルゲストレルの約0.025 mg〜10 mg、好ましくは約0.05 mg〜1.5 mgに等価であり、かつ塩酸フルオキセチンは約5 mg〜120 mgの量である。5 mg/日または10 mg/日のいずれかのフルオキセチンの初回量を有する経口避妊薬を開始し、服薬不履行に導きうる副作用を少しでも活性化することを避けることができる。その後、用量は必要に応じて増加されうる。フルオキセチンもまた、黄体期後期の間、典型的には、月経前の1週間〜2週間、間欠的に与えられうる。さらに、一回用量または週一回用量の約90 mgのフルオキセチンが投与されうる。
【0033】
好ましい態様において、女性は、月経周期の1日目から84日目までに150 μg レボノルゲストレルおよび30 μg エチニルエストラジオールを含む経口避妊薬を投与され、続いて、サイクルの85日目〜91日目において30 μg エチニルエストラジオールおよび20 mg 塩酸フルオキセチンを含む剤形を投与される。典型的投与計画は、表4に示される。このように、91日療法計画において、年あたり4回のみの治療および月経周期がある。
【0034】
(表4)抗鬱薬を用いる91日療法についての投与計画

【0035】
本発明の療法における成分として使用されうるエストロゲンは、通常利用可能なもののいずれかでありうる。典型的には、エストロゲンは、ステロイド性および非ステロイド性エストロゲンを含む、合成および天然のエストロゲンを含む群より選択されうる。合成エストロゲンは、例えば、エチニルエストラジオール、二酢酸エチノジオール、メストラノールおよびキネストラノールから選択されうる。特に、対象となるのは、17α-エチニルエストラジオールならびにそのエステルおよびエーテルである。好ましいエストロゲンは、17α-エチニルエストラジオールである。天然のエストロゲンは、例えば、ウマの抱合エストロゲン、エステル化エストロゲン、17β-エストラジオール、吉草酸エストラジオール、エストロン、ピペラジンエストロンスルフェート、エストリオール、コハク酸エストリオール、およびポリエストロールホスフェートを含みうる。
【0036】
プロゲスチン成分は、任意のプロゲステロン活性のある化合物であってよい。したがって、プロゲスチンは、プロゲステロン、ならびに、例えば17-ヒドロキシプロゲステロンエステル、19-ノル-17-ヒドロキシプロゲステロンエステル、17α-エチニルテストステロンとその誘導体、17α-エチニル-19-ノル-テストステロンとその誘導体、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、二酢酸エチノジオール、ダイドロゲステロン、酢酸メドロキシ-プロゲステロン、ノルエチノドレル、アリルエストレノール、リノエストレノール、酢酸フインゲスタノール(fuingestanol acetate)、メドロゲストン、ノルゲストリエノン、ジメチデローム、エチステロン、酢酸シプロテロン、レボノルゲストレル、dl-ノルゲストレル、d-17α-アセトキシ-13β-エチル-17α-エチニル-ゴン-4-エン-3-オンオキシム、酢酸シプロテロン、ゲストデン、デソゲストレル、およびノルゲスチメートのようなプロゲステロンの誘導体から選択されうる。好ましいプロゲスチンは、レボノルゲストレルである。
【0037】
活性成分、例えば、エチニルエストラジオールおよびレボノルゲストレルの重量比は、少なくとも1:45、および好ましくは少なくとも1:50である。エチニルエストラジオールの好ましい量は、約10 μg〜50 μgであり、レボノルゲストレルの好ましい量は、約0.15 mg〜1.5 mgである。他のエストロゲンは、エチニルエストラジオールとは効力が異なる。例えば、エチニルエストラジオールの30 μgは、メストラノールの60 μg、または17β-エストラジオールの2 gにおよそ等価である。同様に、他のプロゲスチンは、レボノルゲストレルとは効力が異なる。したがって、レボノルゲストレルの1 mgは、酢酸ノルエチンドロンの約3.5 mg、またはデソゲストレルおよび3-ケトデソゲストレルの1 mg、またはゲストデンの約0.7 mgにおよそ等価である。上で与えられた値は、エチニルエストラジオールおよびレボノルゲストレルに対してであり、異なるエストロゲンまたはプロゲスチンが使用される場合には、相対的効力に基づく量の調整がなされるべきである。様々なエストロゲンおよびプロゲスチン間の効力における相関は知られている。例えば、参照として完全に本明細書に組み入れられている、欧州特許出願第0 253 607号を参照されたい。
【0038】
好ましい抗鬱薬は、塩酸フルオキセチンであるが、他の抗鬱薬が使用されうる。例えば、抗鬱薬アルプラゾラム(XANAX(登録商標))、クロミプラミン(ANAFRANIL(登録商標))、パロキセチン(PAXIL(登録商標))、セルトラリン(ZOLOFT(登録商標))、ネファゾドン(SERZONE(登録商標))、フェンフルラミン(PONDIMIN(登録商標))およびベンラファキシン(EFFEXOR(登録商標))もまた使用されうる。これらの抗鬱薬の一日量は、0.75 mgから2 mgまで、10 mgから20 mgまで、または50 mgから100 mgまで、使用される抗鬱薬に依存して変動しうる。
【0039】
記載されている療法のそれぞれは、妊娠を防ぎ、かつそのうえ、衰弱させる月経前総合的症状を減少させるかまたは除去する。
【0040】
他の使用可能なエストロゲンは、酢酸エステル、硫酸エステル、吉草酸エステルまたは安息香酸エステルのようなエストラジオール、エストロンおよびエチニルエストラジオールのエステル、ウマの抱合エストロゲン、認知不能の(agnostic)抗エストロゲン、ならびに選択的エストロゲン受容体修飾因子を含む。本発明の製剤は、経口(好ましくは錠剤で)、非経口、舌下、経皮的、腟内、鼻腔内または口腔内に投与されうる。投与方法は、製剤に使用されるエストロゲンおよびプロゲスチンの型、および単位用量あたりの量に依存する。たいていのエストロゲンは、経口的に活性であり、それゆえその投与経路が好ましい。経皮的投与のための方法は、そのような系を製造するための関連した方法を含め、当技術分野においてよく知られている。この点について、米国特許第4,752,478号、第4,685,911号、第4,438,139号および第4,291,014号に関係する可能性があり、それらの特許は、参照として完全に本明細書に組み入れられている。
【0041】
本発明の製剤および適する担体を含む薬学的製剤または調製物は、本発明において教示されるエストロゲン、プロゲスチンおよび抗鬱薬の有効量を含んでいる、錠剤、糖衣錠、カプセル、カシェ剤、ペレット、ピル、粉末、または顆粒を含む固体剤形;溶液、粉末、流動性乳液、流動性懸濁液、半固体、軟膏、ペースト、クリーム、ゲルまたはゼリー、泡沫および徐放性デポー剤を含む局所用剤形;経皮性剤、膣用リング、バッカル製剤;ならびに溶液、懸濁液、乳液または乾燥粉末を含む非経口用剤形でありうる。
【0042】
薬学的に許容される希釈剤、増量剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、界面活性剤、疎水性賦形剤、水溶性賦形剤、乳化剤、緩衝剤、湿潤剤、加湿剤、可溶化剤、保存剤などに加えて、活性成分がそのような製剤に含まれうることは、当技術分野において公知である。投与のための手段および方法は、当技術分野において公知であり、当業者は、手引きとして様々な薬理学的参照文献を参照することができる。例えば、「Modern Pharmaceutics」、Banker & Rhodes、Marcel Dekker, Inc. (1979);「Goodman & Gilman's The Pharmaceutical Basis of Therapeutics」、第6版、MacMillan Publishing Co.、New York (1980)、またはRemington's Pharmaceutical Sciences、Osol, A.編、Mack Publishing Company、Easton、PA(1980)で調べることができる。
【0043】
概して、製剤は、投与の方法に従って、慣習的に知られている手順により調製される。このように、活性成分は、公知の方法により、投与のための薬学的に許容される形に調製される。これらの成分は、必要とされる量で、添加剤、賦形剤および/または風味改良物質のような適切な薬学的担体と組み合わされる。これらの物質は、希釈剤、結合剤および潤滑剤と呼ばれる場合がある。ガム、デンプンおよび糖はまた、一般用語である。これらの型の物質または賦形剤の典型例は、薬学的等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルカム、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムなどである。活性成分は、製剤全体の約0.01重量%から約99.99重量%までを含んでよく、その残りは、薬学的に許容される担体を含む。活性成分の割合は、送達系または投与方法により変化してもよく、当技術分野において公知の従来方法に従って選択される。
【0044】
経口型製剤において、避妊用調製物は、好ましくは、正しい逐次的投与のために一日量が配置(arrange)されて、キットまたはパッケージの形で製造される。このように、もう一つの局面において、本発明はまた、同期化され固定された順序で多様な用量単位の複合避妊薬を含む、薬学的パッケージを提供する(用量単位の順序または配置は、毎日の投与の段階に対応する)。
【0045】
例えば、薬学的製剤は、28日療法について、連日の摂取を意図された、少なくとも約18錠、好ましくは少なくとも約21錠で、最大26錠を含むキット形態で提供されうる。好ましくは、投与は、エストロゲンおよびプロゲスチンの両方を含む錠剤を用いる少なくとも21日間、およびその後、エストロゲンのみを含む錠剤を用いる少なくとも7日間の毎日である。もう一つの好ましい態様において、投与は、エストロゲンおよびプロゲスチンの両方を含む錠剤を用いる少なくとも21日間、およびその後、エストロゲンおよび抗鬱薬(例えば塩酸フルオキセチン)の両方を含む錠剤を用いる少なくとも7日間の毎日である。長期療法について、薬学的製剤は、連日の摂取を意図された、少なくとも約60錠、好ましくは少なくとも約81錠〜89錠で、最大110錠までを含むキット形態で提供されうる。好ましくは、投与は、エストロゲンおよびプロゲスチンの両方を含む錠剤を用いる少なくとも84日間、およびその後、エストロゲンのみを含む錠剤を用いる少なくとも7日間の毎日である。もう一つの好ましい態様において、投与は、エストロゲンおよびプロゲスチンの両方を含む錠剤を用いる少なくとも84日間、およびその後、エストロゲンおよび抗鬱薬(例えば塩酸フルオキセチン)の両方を含む錠剤を用いる少なくとも7日間の毎日である。
【0046】
月経前総合的症状への28日および91日療法の効力は、自己管理型視覚的アナログ尺度(Visual Analogue Scales)(VAS)を含む精神測定学尺度、ならびに精神的および身体的症状を評価する見込みによる毎日の症状図表(prospective daily symptoms chart)または日記により測定される。精神的および身体的症状の合計点が計算される。VASは、緊張、興奮性、不快気分、睡眠および食事パターン、頭痛、鼓脹、痛みおよび乳房圧痛、ならびに体重増加の症状を測定する。
【0047】
本発明をさらに説明するために、特定の実施例を下記に示している。しかしながら、これらの実施例は例証となるのみであり、本発明の範囲を限定するものではないことが、認識されると考えられる。
【実施例】
【0048】
実施例1:月経前症候群(PMS)および月経前不快性疾患(PMDD)と診断された女性において、2つの連続的経口避妊薬療法を評価するための多施設無作為化フェーズIII臨床試験
臨床的設計および概要
多施設無作為化臨床試験において、性的活性のある女性(年齢18歳から40歳まで)での妊娠の防止における3つの配合経口避妊薬療法の効力および安全性が評価される。患者は、以下の療法の1つに対して1:1:1様式で無作為化される:
【0049】
・複合経口錠剤として84日間毎日1回、レボノルゲストレル150 μg/エチニルエストラジオール(EE)30 μgの投与、続いて、7日間毎日1回、エチニルエストラジオール30 μgの投与(DP3-84/30);
・複合経口錠剤として84日間毎日1回、レボノルゲストレル150 μg/エチニルエストラジオール30 μgの投与、続いて、7日間毎日1回、エチニルエストラジオール10 μgの投与(DP3-84/10);または
・複合経口錠剤として25日間毎日1回、レボノルゲストレル150 μg/エチニルエストラジオール30 μgの投与、続いて、3日間毎日1回、エチニルエストラジオール30 μgの投与(DP3-25/30)。
【0050】
DP3-84/30またはDP3-84/10のいずれかに無作為化された患者は、試験薬の4サイクルを受ける。DP3-25/30に無作為化された患者は、試験薬の13サイクルを受ける。すべての患者は、およそ1年間の治療を受ける。
【0051】
試験コーディネーターまたは任命された職員は、患者を登録する。患者は、治療法の1つに無作為的に割り当てられる。治療群割り当ては、インフォームドコンセントの署名の前に患者に明かされない。
【0052】
無作為化にかかわらず、すべての患者は、彼女らの月経期間の開始後最初の日曜日に試験OC療法を開始し(「日曜日スターター」)、試験の間ずっと、日曜日スターターとしてのままである。それぞれの用量パックは、簡略化患者情報シートおよびより詳細な患者添付文書(PPI)と共に分配される。
【0053】
すべての患者は、電子日記へ入力される情報を入力し、ダウンロードする。査定は、試験薬遵守、追加の避妊法の使用、出血パターン、体重、月経関連症状の発生率および重症度の査定、ならびにこれらの症状を軽減するためにとられた医薬品を含む。情報は、一連のあらかじめプログラムされた質問を通して電子日記に自己記録される。
【0054】
各治療群において200人の患者が試験を完了するように向けられる。妊娠率は、年齢18歳〜35歳の患者からのデータを用いて計算される。年齢36歳〜40歳の患者もまた、登録される。
【0055】
患者適格性
試験対象患者基準
患者は、試験の対象となるために以下の基準を満たさなければならない:
1.妊娠のおそれのある異性愛的関係にあって、妊娠の可能性がある、性的活性のある成人女性(年齢18歳から40歳まで)であって、健康であり、かつ:
・登録以前に、規則的な消退出血(ピルを服用しない間隔の間、または次のサイクルの最初の3日間の間の出血)のある、少なくとも3回の連続するサイクルの間隔のOC使用歴をもつ人(継続使用者)
または
・以前のOC使用歴をもたない人(新しいスタート)
または
・登録前の6ヶ月間においてOC使用歴をもたない人(以前の使用者)
2. 尿妊娠試験が陰性。
3. インフォームドコンセントに署名している。
4. 彼女らの主たる受胎調節方法(BCM)として試験経口避妊薬療法を用いることに同意している。
【0056】
試験除外基準
以下の基準のいずれかが満たされた場合には、患者は試験から除外される:
1. OCのエストロゲンまたはプロゲスチン成分に対する過敏症歴。
2. 調査官の意見において、患者を試験の参加に不適任にさせるアルコールまたは薬物不正使用歴。
3. 年齢 > 34歳の現役の喫煙家。
4. 経口避妊薬の効力に干渉しうる任意の薬物の長期にわたる使用。
5. HIVまたはC型肝炎陽性である病歴。
6. 任意の長期にわたる投薬に関する持続的な不履行の履歴。
7. 登録前10ヶ月間以内に注射可能ホルモン療法(例えば、DepoProvera(登録商標)(PharmaciaおよびUpjohn))を受けたことがあるか、または登録前3ヶ月間以内にしかるべき所にプロゲスチン放出性子宮内避妊器具(IUD)を装着したことがあるか、または登録前1ヶ月間以内に避妊用インプラントを外したことがあるか、または登録前3ヶ月間以内に任意の他の型のホルモン性避妊を受けたことがある履歴。
8. コンドームを除く付加型の避妊法(IUD、ペッサリー、避妊スポンジ)の日常的な付随使用。
9. 最近、外科的もしくは内科的妊娠中絶、流産、または経膣分娩もしくは帝王切開出産をした患者は、登録前に少なくとも2回の正常な月経周期がなければならない。
10. 従来の経口避妊薬を用いている間の異常出血(連続10日以上続く破綻的出血または消退出血、または連続10日以上続く過度の少量の不正出血)の履歴。
11. 血栓塞栓疾患、血管疾患、脳血管または冠動脈疾患の病歴。
12. 制御されていないまたは治療されていない高血圧(2度より多くの、心収縮期BP≧140 mmHgおよび心拡張期BP≧90 mmHg)。
13. 既知のもしくは疑わしい乳房の癌腫、子宮内膜癌腫、または既知のもしくは疑わしいエストロゲン依存性新生組織形成。
14. 未診断の異常な生殖器出血。
15. 肝臓の腺腫または癌腫の病歴。
16. 妊娠の胆汁鬱帯黄疸または以前のOC使用での黄疸の病歴。
17. 既知のもしくは疑わしい妊娠、または現在、母乳養育中。
18. 抗高脂血症剤での積極的治療を必要とする高脂血症。
19. 真性糖尿病、グルコース不耐性または妊娠期間糖尿病の病歴。
20. スクリーニングでの異常な検査値の履歴。
21. 病歴、スクリーニング、理学的検査、骨盤検査に関する、任意の臨床的に有意な異常所見もしくは状態、または経口避妊薬の使用に禁忌を示す任意の検査所見。
22. 登録前30日間以内に任意の臨床調査に参加した。
23. 登録前30日間以内に500 ccを超す献血をした、または出血した。
【0057】
治療法
試験投薬の説明
DP3-84/30
DP3-84/30療法におけるすべての錠剤;それぞれ150 μg レボノルゲストレル/30 μg EEを含む84錠、およびそれぞれ30 μgのEEを含む7錠は、型押しされていない(unembossed)白色錠剤である。およそ1年間連続的に繰り返される91日サイクルにおいて(4サイクル)、1個の複合錠剤を84日間毎日、続いてEE錠剤を7日間、服用する。各DP3-84/30用量キットは、各91日サイクルについて、3部分展開式の白色ブリスターカードパックにパッケージされ、最初の2つのブリスターパックの各々は、28錠の活性錠剤を個々に有し、かつ3番目のブリスターパックは、28錠の活性錠剤および7錠のエチニルエストラジオール錠剤を有する(合計35錠)。
【0058】
各ブリスターカードパックを箔小袋へ密封し、患者特異的ラベルを貼る。各箔小袋は、酸素吸収剤を含む。診療所訪問のたびに、1個の箔小袋、患者情報シート、PPIおよび小児用安全小袋を分配する。
【0059】
DP3-84/10
DP3-84/10療法におけるすべての錠剤;それぞれ150 μg レボノルゲストレル/30 μg EEを含む84錠、およびそれぞれ10 μgのEEを含む7錠は、型押しされていない白色錠剤である。およそ1年間連続的に繰り返される91日サイクルにおいて(4サイクル)、1個の複合錠剤を84日間毎日、続いてEE錠剤を7日間、服用する。各DP3-84/10用量キットは、各91日サイクルについて、3部分展開式の白色ブリスターカードパックにパッケージされ、最初の2つのブリスターパックの各々は、28錠の活性錠剤を個々に有し、かつ3番目のブリスターパックは、28錠の活性錠剤および7錠のエチニルエストラジオール錠剤を有する(合計35錠)。
【0060】
各ブリスターカードパックを箔小袋へ密封し、患者特異的ラベルを貼る。各箔小袋は、酸素吸収剤を含む。診療所訪問のたびに、1個の箔小袋、患者情報シート、PPIおよび小児用安全小袋を分配する。
【0061】
DP3-25/30
DP3-25/30療法におけるすべての錠剤;それぞれ150 μg レボノルゲストレル/30 μg EEを含む25錠、およびそれぞれ30 μgのEEを含む3錠は、型押しされていない白色錠剤である。およそ1年間連続的に繰り返される28日サイクルにおいて(13サイクル)、1個の複合錠剤を25日間毎日、続いてEE錠剤を3日間、服用する。各DP3-25/30ブリスターカードは、各28日サイクルについて、25錠の活性錠剤、続いて3錠のエチニルエストラジオール錠剤を有する(合計28錠)。
【0062】
各ブリスターカードを箔小袋へ密封し、患者特異的ラベルを貼る。各箔小袋は、酸素吸収剤を含む。診療所訪問1〜3において、3個の箔小袋、患者情報シート、PPIおよび小児用安全小袋を分配する。診療所訪問4において、4個の箔小袋、患者情報シート、PPIおよび対小児安全小袋を分配する。
【0063】
無作為化にかかわらず、すべての患者は、彼女らの月経期間の開始後最初の日曜日に試験OC療法を開始するように指示される(「日曜日スターター」)。患者らは、各日の同じ時間に彼女らの試験薬物を服用するように指示される。試験の1日目は、試験投薬の初日として定義される。
【0064】
投与
任命された職員がすべての試験薬物を分配する。すべての試験薬物は、およそ15℃〜25℃(59°F〜77°F)の範囲の温度で安全な領域に保管されなければならない。すべての患者は、各日のおよそ同じ時間に1日あたり1錠を服用するように指示される。すべての患者は、「日曜日スターター」である;すなわち、すべての患者が、彼女らの以前の月経周期の開始後、または以前の経口避妊薬療法の完了後、最初の日曜日に試験薬物療法を始める。試験に登録されたすべての患者は、各連続的サイクルについて日曜日スタートを維持する。
【0065】
試験終了評価は、試験OC療法の最終サイクル後の消退月経の完了1週間後に行われる。患者が試験薬物の最終供給を受け取る診療所訪問において、彼女らは、試験投薬を終了し、最終試験訪問を完了するまでの間の期間中に受胎調節の代替方法を使用するようカウンセリングされる。
【0066】
DP3-84/30またはDP3-84/10に無作為化された患者は、13週目、26週目および39週目の間の各診療所訪問において試験薬物の13週供給分(1サイクル)を受け取る。DP3-25/30に無作為化された患者は、試験の開始時および12週目および24週目の間の診療所訪問において、試験薬物の12週供給分(3サイクル)を受け取る。36週目での診療所訪問の間、DP3-25/30に無作為化された患者は、試験薬物の16週供給分(4サイクル)を受け取る。
【0067】
試験
(表5)試験計画

a DP3-84/30またはDP3-84/10に無作為化された患者は、13週目、26週目および39週目に訪れる。DP3-25/30に無作為化された患者は、12週目、24週目および40週目に訪れる。
b 臨床検査は、CBC、血清化学、脂質プロフィール、検尿を含む。
c スクリーニングが登録から2週間より前に完了した場合には、訪問1で繰り返される。
d DP3-25/30に無作為化された患者について、3サイクル供給分が12週目および24週目に分配され;4サイクル供給分が40週目に分配される。
【0068】
訪問による試験方法
スクリーニングおよび登録
患者はインフォームドコンセントに署名する。登録前、試験療法の開始前4週間以内に、すべての患者は、前の病歴および避妊歴、喫煙歴、骨盤検査およびPap塗沫試験を含む理学的検査、生命徴候および体重、ならびに全血球計算(CBC)、血清化学、脂質プロフィール、検尿および尿妊娠試験を含む臨床検査を含むスクリーニング評価を受ける。
【0069】
すべての臨床検査評価(血液および尿)は、中央の検査室により試験される。すべての調査員は、試料採取および輸送方法の概略を示す検査室マニュアルを支給される。
【0070】
スクリーニング評価が試験療法の開始から2週間より前に完了した場合には、尿妊娠試験が訪問1において繰り返される。Pap塗沫試験について異常の報告がある患者は、その結果が臨床的に有意ではなく、かつ試験の実施に干渉しないであろうと調査員が判断しない限りは、登録には不適格とされる。調査員の判断は、文書化されなければならない。試験への登録前3ヶ月以内にPap塗沫試験が正常であった患者は、その試験を再度受けることを必要とされない。結果のコピーは、患者の診療記録において利用可能でなければならない。不十分な細胞の報告をもつ患者はいずれも、登録の前に、試験を再度受けて、正常として文書化されなければならない。その後、患者は、試験に登録される。
【0071】
訪問1
訪問1は、試験療法を始める(すなわち、経口避妊薬を服用していない患者については月経中、または経口避妊薬を服用している患者については4週目の間)前の月経周期の最後の週の間に行われる。訪問1の間、患者は、以下の治療群の一つに無作為化される:
・DP3-84/30;84日間のレボノルゲストレル150 μg/EE 30 μg+7日間のEE 30 μg
または
・DP3-84/10;84日間のレボノルゲストレル150 μg/EE 30 μg+7日間のEE 10 μg
または
・DP3-25/30;25日間のレボノルゲストレル150 μg/EE 30 μg+3日間のEE 30 μg
【0072】
治療法割り当ては、対話式音声応答システム(IVRS)を通しての無作為化により確かめられる。治療群割り当ては、インフォームドコンセントの署名の前には患者に明らかにされない。
【0073】
尿妊娠試験は、訪問1の2週間より前にスクリーニングされた女性に対して再実施される。試験薬物は、服薬指導して分配される。電子日記は各患者へ与えられる。各患者は、電子日記の使用および注意に関して指導される。患者は、試験薬物の各用量を服用すること、および各日のおよそ同じ時間にすべての日記入力を完了することを指示される。
【0074】
訪問2〜4
すべての訪問は、サイクルについての試験投薬の完了前7日間以内に行われる。サイクルの最終週以前に行われるいずれの訪問も、プロトコール逸脱として記録される。結果として試験薬服用の中断を生じる、サイクルの最終週の後に行われるいずれの訪問も、プロトコール違反として記録され、結果として、患者が試験から取り除かれることになる。サイクルの最終週の後に行われるが結果としては試験薬物における中断を生じない(例えば、患者が試験薬の緊急供給を受けた)いずれの訪問も、プロトコール逸脱として記録される。
【0075】
DP3-84/30またはDP3-84/10のいずれかに無作為化された患者は、13週目、26週目および39週目に訪れる。DP3-25/30に無作為化された患者は、12週目、24週目および36週目に訪れる。これらの訪問の間に、有害事象、併用薬、喫煙歴の変化、および服薬遵守に関して質問される。生命徴候および体重が記録される。尿妊娠試験が行われる。使用された試験薬は、返却され、試験薬剤師または任命された職員により数えられる。
【0076】
療法の完了
試験終末の評価は、試験薬の最終サイクルの完了1週間後に行われる。試験投薬を終了し、最終試験訪問を完了するまでの期間中に受胎調節を用いるようカウンセリングされる。患者は骨盤検査およびPap塗沫試験を含む理学的検査を受ける。生命徴候および体重が記録される。CBC、血清化学、脂質プロフィール、検尿および尿妊娠試験を含む臨床検査のための血液および尿試料が採取される。使用された試験投薬カードは、返却され、試験薬剤師または任命された職員により数えられる。患者は、有害事象、併用薬、喫煙歴の変化、および服薬遵守に関して質問される。電子日記は返却される。
【0077】
試験後訪問
試験完了/離脱後、患者は、妊娠の発生について、かつ月経周期が正常に戻るまで、電話により追跡される。試験登録の前の周期パターンに基づいて、患者が正常な月経周期への復帰を決定する。追跡調査の最小期間は、3ヶ月間である。試験完了/脱離後、月経周期を調節する/変える避妊方法を用いることを決めた患者は、電話により3ヶ月間、追跡される。
【0078】
消散しなかった継続している重篤な有害事象をもつ患者、または試験の進行中に妊娠した患者のみ、試験完了後、診療所訪問により追跡される。継続している重篤な有害事象をもつ患者は、事象が満足に対処されるか、または消散されるまで、追跡される。妊娠している患者は、出産または妊娠の終了後8週間、追跡される。乳児の健康診断は、出産後8週間、続いて行われる。この追跡調査は、家庭医、産科医または小児科医からの報告書の形でありうる。療法の中止後3ヶ月内に生じるすべての重篤な有害事象は報告される。試験完了/中止後いずれの時に生じたSAEも、調査員がそれが薬物関連であると判定した場合には、報告される。
【0079】
早期終了
試験を離脱するかまたは試験から離脱されるいずれの患者も治験薬物および電子日記を返却しなければならず、最終訪問に関するすべての手続きを完了することが必要とされる。すべての患者は、妊娠の発生について、かつ月経周期が正常に戻るまで、電話により追跡される。すべての患者は、重篤な有害事象の発生について3ヶ月間、電話により追跡される。
【0080】
検査および方法
理学的検査、内科および婦人科の病歴
PAP塗沫試験を含む、完全な理学的検査および婦人科検査は、スクリーニング時、および療法の完了時または試験からの早期離脱時に行われる。Pap塗沫試験異常であるいずれの患者も、その結果が臨床的に有意ではなく、かつ試験の実施に干渉しないであろうと調査員が判断しない限りは、登録には不適格とされる。調査員の判断は、文書化されなければならない。試験における登録前3ヶ月以内にPap塗沫試験が正常範囲内として報告されている患者は、その試験を再度受けることを必要とされない。結果のコピーは、患者の診療記録に利用可能でなければならない。不十分な細胞の報告をもつ患者はいずれも、登録前に、試験を再度受けて、正常限度内であるとして調査員により文書化されなければならない。
【0081】
臨床安全性検査
臨床検査は、スクリーニング時および療法の完了時または早期離脱時に行われる。すべての臨床検査は、一つの中央検査室で行われる。臨床検査は、CBC、血清化学、脂質プロフィール、検尿および尿妊娠試験を含む。さらに、尿妊娠試験は、診療所訪問ごと、および療法の完了時または試験からの早期離脱において行われる。すべての尿妊娠試験は、Sure Step(登録商標)妊娠試験キット(Applied Biotech, Inc.)を用いて実施される。
【0082】
妊娠
すべての患者は、試験の完了後3ヶ月間、妊娠の発生について追跡される。この追跡調査は、電話の形でありうる。試験の進行中または試験完了後3ヶ月内に生じるすべての妊娠は、胎児の在胎月齢を確立するために超音波診断を用いて月齢を定められる。方法の失敗により試験の進行中に妊娠した患者は、出産または妊娠の終了後8週間、追跡される。乳児の健康診断は、出産後8週間、続いて行われる。この追跡調査は、関連した小児科医との文書化された電話の会話、または関連する小児科医からの報告書の形でありうる。
【0083】
電子日記
患者は、電子日記を完成するよう求められる。日記は、試験遵守、出血パターン、月経周期間のホルモン変動に一般に関連している症状の発生に関する、特定の質問をするようにプログラムされている。質問は、0〜3の尺度で、または10 cmの視覚的アナログ尺度(VAS)を用いてのいずれかで、服用量、服薬遵守、出血パターンおよびホルモン関連症状を扱う。
【0084】
手持ちサイズのデータ取得装置が患者の応答を収集するために用いられる。電子日記は、手持ちサイズの入力ペン(stylus)を使用して日記情報(および客観データ)を入力する、メニュー選択方式のグラフィカルインターフェイスを患者に提供する。データ入力は電子的であり、患者が報告を終了するのを許可する前に、キーフィールドは正確に完成されていなければならない。各報告は、ダイヤルアップネットワーク接続によりダウンロードされる。
【0085】
電子日記は、彼らの報告をいつ完成するべきかを患者に思い出させるためにアラームを組み込む。アラーム時間は、サイトにより設定され、患者の好みに特定的でありうる。患者は、毎日日記を完成するように指示される。過去を振り返るデータ入力は許されない;報告を、以前の日について完成させることはできない。いったん各質問が完了されたならば、患者は返答を確認し、変更のためにその質問に戻ることは許可されない。
【0086】
収集されるホルモン関連症状についての情報は、Calendar of Premenstrual Experiences(COPE)およびDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders Forth Edition(DSM-IV)に由来する。
【0087】
COPE道具の妥当性および信頼性は、Mortolaら、Obstet. Gynecol. 89:179-183 (1990)により評価され、彼らは、36人の厳正にスクリーニングされたPMSをもつ女性および18人の対照に、それを2回の連続的排卵周期を通じて与えた。PMDDに関連した精神的症状に適用される視覚的アナログ尺度の妥当性は、以前に実証されている。
【0088】
毒性に基づく治療変更
有意な毒性は、試験薬から予想されていない。しかしながら、患者が薬物に起因する何かの症状または何かの異常な検査パラメーターを発生し、受け入れがたい重症度であると患者および/または医師によりみなされる場合には、試験投薬は、中止されるべきである。
【0089】
併用薬物
患者は、月1回の電話および3ヶ月おきの診療所訪問時に、併用薬物使用について質問される。すべての併用薬物使用(生薬および栄養補助剤を含む、処方薬ならびに大衆薬(OTC)の両方)は、試験期間中報告され、かつその患者の症例報告用紙(Case Report Form)(CRF)に記録されなければならない。
【0090】
OCと相互作用することが知られている薬物を用いた長期治療の開始を必要とする患者は、試験から取り除かれる。OCと相互作用することが知られている薬物での間欠治療(例えば、抗生物質治療)を必要とする患者は、試験に残り、サイクル全体の間中、付加的な避妊具の必要性に関してカウンセリングを受ける。患者は、OCと相互作用することが知られている薬物の一覧表を提供され、薬物が適切なカウンセリングを受けるように指示されている場合にはすぐに、試験コーディネーターに通知するように指図される。通知およびカウンセリングは、電話を通して行うことができ、かつ患者のCRFに記述されなければならない。OC療法と相互作用することが知られている薬物が服用されるサイクルは、妊娠率の計算に用いられない。
【0091】
緊急避妊用ピル(「事後用ピル」)の使用は、試験で禁じられている。試験で供給されるもの以外の避妊用ピルを利用するいかなる患者からのデータも、そのサイクルについての妊娠率の計算に含まれない。
【0092】
有害事象報告
有害事象(AE)は、事象が薬物関連であるとみなされようがみなされまいが、ヒトにおける薬物、生物学的産物もしくは診断薬の使用と共に生じる任意の反応、副作用、または他の望ましくない事象である。
【0093】
重篤な有害事象(SAE)は、以下の基準のいずれか一つを満たすものである:
・致死的または生命を危うくする
・入院患者の入院を必要とするかまたは延長させる
・結果として、持続性または有意な能力障害/無能状態を生じる
・先天性異常
【0094】
「重篤な」の定義における「生命を危うくする」という用語は、患者がその事象の時に死の危険にさらされていた事象を指す;それは、もしより重篤になっていたならば、仮定上は死を引き起こしたであろう事象を指さない。重要な医学的事象が重篤であるかどうかを決定するのには、医学的および科学的判断が用いられるべきである。事象が直ちに生命を危うくしたり、致死的であったり、または入院を招いたりはしないかもしれないが、それが、患者を危うくするか、または上で定義されているような重篤な結果を防ぐために介入を必要とする場合、重篤とみなされるべきである。
【0095】
この試験についてのAE報告期間は、登録訪問時に始まり、最後の診療所訪問時に終わる。SAE報告期間は、最後の診療所訪問後3ヶ月間続く。すべてのSAEは、消散まで、または調査員がSAEを慢性もしくは安定的として評価するまで追跡される。
【0096】
先在する状態(すなわち、AE報告期間が開始する前に存在し、かつ治療前の病歴/健康診断用紙に書き留められている疾患)は、その状態が悪化するか、または症状の発現の頻度が、AE報告期間中増加することがない限り、AEとして報告されるべきではない。
【0097】
試験期間中、AEは、月1回の電話および3ヶ月おきの診療所訪問により記録される。電話番号は、予定されている通話および診療所訪問の間に有害事象を報告したい患者に提供される。
【0098】
実施例2:月経前症候群(PMS)および月経前不快性疾患(PMDD)と診断された女性において塩酸フルオキセチンと併用した2つの連続的経口避妊薬療法を評価するための多施設無作為化フェーズIII臨床試験
試験設計の概観
3治療群の、並行の、無作為化された、多施設の、プラセボ対照の、二重盲検試験において、PMSおよび/またはPMDDと診断された女性に連続した約6ヶ月間施される、塩酸フルオキセチンと組み合わせた、91日療法(84日間の活性複合療法、続いて、連続した7日間の低用量のエストロゲン(DP3-91))、または28日療法(21日間の活性複合療法、続いて、連続した7日間の低用量のエストロゲン(DP3-28))としての、連続的経口避妊薬療法の効力および安全性が評価される。
【0099】
試験治療群のそれぞれに登録されている約40人〜100人の同齢集団(cohort)は、試験薬物療法の開始の前および試験の終局または中止時において、子宮内膜生検(肥厚および癌腫の発生を検査する)を受ける。
【0100】
月経前総合的症状への28日療法および91日療法の効力は、自己管理された視覚的アナログ尺度(VAS)を含む精神測定学尺度、ならびに精神的および身体的症状を評価する見込みによる毎日の症状図表により測定される。VASは、緊張、興奮性、不快気分、睡眠および食事パターン、頭痛、鼓脹、痛みおよび乳房圧痛、ならびに体重増加の症状を測定する。精神的および身体的症状の合計点が計算される。患者および盲検観察者(blind observer)もまた各訪問時においてPMTSを完成する。
【0101】
試験母集団
英語が流暢であって、かつインフォームドコンセントを与えることができ、経口避妊薬および選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)の使用に対する禁忌がなく、かつ精神障害診断統計便覧(DSM-IV)に定義されているようなPMDDを含むPMSについての基準を満たす、年齢18歳から49歳までの女性。すべての患者は、避妊の代替型を使用するために試験の開始時および各試験訪問時においてカウンセリングされる。すべての患者は、試験の進行中、妊娠の発生について追跡される。試験の進行中に妊娠した患者は、出産または妊娠の終了後8週間、追跡される。乳児は、出産後8週間追跡される。
【0102】
投与量
患者は、以下のうちの一つに無作為化される:
(1)各サイクルが、150 μg レボノルゲストレルおよび30 μg エチニルエストラジオール(第一サイクルの1日目〜84日目および第二サイクルの92日目〜175日目)、30 μg エチニルエストラジオール(第一サイクルの85日目〜91日目および第二サイクルの176日目〜182日目)、20 mg 塩酸フルオキセチン(1日目〜182日目)、ならびに盲検を保つためのプラセボ(183日目〜196日目)からなる2サイクルの間に投与される、エチニルエストラジオール(DP3-91)および塩酸フルオキセチンでの91日経口避妊薬療法;
(2)各サイクルが、150 μg レボノルゲストレルおよび30 μg エチニルエストラジオール(7サイクルの1日目〜21日目)、30 μg エチニルエストラジオール(7サイクルの22日目〜28日目)、ならびに20 mg 塩酸フルオキセチン(1日目〜196日目)からなる7サイクルの間に投与される、エチニルエストラジオール(DP3-28)での、28日経口避妊薬療法;または
(3)196日間毎日投与される塩酸フルオキセチン:1日あたり20 mg 塩酸フルオキセチン(1日目〜196日目)または盲検を保つためのプラセボ(1日目〜196日目)。
【0103】
試験管理
試験は、電子症例報告書およびリモートシステム管理を利用する。各調査員は、試験専用のプログラムされたラップトップ型コンピュータを供給される。このシステムは、調査員が診療所訪問中に患者の日記データをダウンロードして見ることを可能にし、試験監視員(monitor)による迅速なデータ照会も可能にする。システムはまた、試験現場の集積率、重篤な有害事象、妊娠および試験経過の実時間オンライン追跡を可能にする。
【0104】
結果測定尺度
第一次結果は、視覚的アナログ尺度(VAS)および月経前緊張症候群尺度(PMTS)における平均点により測定される場合の、PMDDを含むPMSの症状の低下として定義される。VASは、緊張、興奮性、不快気分、睡眠および食事パターン、頭痛、鼓脹、痛みおよび乳房圧痛の症状を測定する。患者は、記述子が「無症状」(0 mm)から「重篤なまたは極度な症状」(100 mm)までの範囲である100 mm尺度を用いて、彼女らが各々の日にどのように感じるかを評価するように促される。PMTSは、患者により完成される36項目の尺度および盲検化された(blinded)観察者により完成される10項目の尺度からなる。両方の尺度は、個々の日について月経前症状を評価する;合計点は、0点(症状無し)から36点(すべての症状が存在し、かつ重篤)までの範囲でありうる。
【0105】
第二次結果は、VASにおける身体的症状の副得点により測定される場合の、PMDDを含むPMSの症状の低下として定義される。VASは、頭痛、鼓脹、痛みおよび乳房圧痛ならびに体重増加の症状を測定する。患者は、記述子が「無症状」(0 mm)から「重篤な症状」(100 mm)までの範囲である100 mm尺度を用いて、彼女らが各々の日にどのように感じるかを評価するように促される。紙の日記に記録される情報に加えて、標準化された質問事項は、患者が何らかの副作用をもったかどうかを測定するために用いられる。
【0106】
統計分析
第一次分析について、VAS尺度の平均は、精神的および症候的複合結果を評価する単一のVAS得点を得るために引き出される。黄体期における基準線からの平均パーセント低下は、基準線VAS得点の効果について調整した後、治療群、施設(center)、および治療と施設の交互作用(treatment-by-center interaction)の効果を評価する共分散分析(ANCOVA)法を用いて比較される。すべての統計的検定は、0.05の有意水準における両側検定である。対の比較は、プラセボに対する各活性治療についてなされる。第二次分析は、PMTSおよび10項目の盲検化された観測者に基づく測定についての統計学的検定の1組を含む。
【0107】
記載される医学的または薬学的使用のための本発明の化合物、組成物および方法の適用は、現在または将来的に当業者に公知である任意の臨床的、医学的および薬学的方法により達成されうる。それゆえに、上で記載されている様々な態様は、本発明を例示することを意図され、かつ、様々な変更および改変が、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、本発明の方法においてなされうることは、認識されていると考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続した81日間〜89日間エストロゲンおよびプロゲスチンの組み合わせを連続的に投与し、続いて、連続した2日間〜10日間の期間エストロゲンを投与する段階を含む、女性において月経前症状を減少させる方法。
【請求項2】
連続した81日間〜89日間投与されるエストロゲンの一日量が、エチニルエストラジオールの約5 μg〜50 μgに等価である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
連続した81日間〜89日間投与されるプロゲスチンの一日量が、レボノルゲストレルの0.05 mg〜1.5 mgに等価である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
エストロゲンおよびプロゲスチンの組み合わせが、少なくとも連続した84日間投与される、請求項3記載の方法。
【請求項5】
エストロゲンが少なくとも連続した7日間投与される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
エストロゲンがエチニルエストラジオールである、請求項2記載の方法。
【請求項7】
プロゲスチンがレボノルゲストレルである、請求項3記載の方法。
【請求項8】
連続した21日間〜26日間エストロゲンおよびプロゲスチンの組み合わせを連続的に投与し、続いて、連続した2日間〜7日間の期間エストロゲンを投与する段階を含む、女性において月経前症状を減少させる方法。
【請求項9】
連続した21日間〜26日間投与されるエストロゲンの一日量が、エチニルエストラジオールの約5 μg〜50 μgに等価である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
連続した21日間〜26日間投与されるプロゲスチンの一日量が、レボノルゲストレルの0.05 mg〜1.5 mgに等価である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
エストロゲンおよびプロゲスチンの組み合わせが、少なくとも連続した21日間投与される、請求項10記載の方法。
【請求項12】
エストロゲンが少なくとも連続した7日間投与される、請求項8記載の方法。
【請求項13】
エストロゲンがエチニルエストラジオールである、請求項9記載の方法。
【請求項14】
プロゲスチンがレボノルゲストレルである、請求項10記載の方法。
【請求項15】
連続した81日間〜89日間エストロゲンおよびプロゲスチンの組み合わせを連続的に投与し、続いて、2日間〜10日間の期間エストロゲンおよび抗鬱薬の組み合わせを投与する段階を含む、女性において月経前症状を減少させる方法。
【請求項16】
連続した81日間〜89日間投与されるエストロゲンの一日量が、エチニルエストラジオールの約5 μg〜50 μgに等価である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
連続した81日間〜89日間投与されるプロゲスチンの一日量が、レボノルゲストレルの0.05 mg〜1.5 mgに等価である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
連続した2日間〜10日間投与される抗鬱薬の一日量が、塩酸フルオキセチンの約5 mg〜120 mgに等価である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
エストロゲンおよびプロゲスチンの組み合わせが、少なくとも連続した84日間投与される、請求項15記載の方法。
【請求項20】
エストロゲンおよび抗鬱薬の組み合わせが、少なくとも連続した7日間投与される、請求項15記載の方法。
【請求項21】
エストロゲンがエチニルエストラジオールである、請求項16記載の方法。
【請求項22】
プロゲスチンがレボノルゲストレルである、請求項17記載の方法。
【請求項23】
抗鬱薬が塩酸フルオキセチンである、請求項18記載の方法。
【請求項24】
エストロゲンおよび抗鬱薬の組み合わせが、単一の錠剤で投与される、請求項15記載の方法。
【請求項25】
連続した21日間〜26日間エストロゲンおよびプロゲスチンの組み合わせを連続的に投与し、続いて、2日間〜7日間の期間エストロゲンおよび抗鬱薬の組み合わせを投与する段階を含む、女性において月経前症状を減少させる方法。
【請求項26】
連続した21日間〜26日間投与されるエストロゲンの一日量が、エチニルエストラジオールの約5 μg〜50 μgに等価である、請求項25記載の方法。
【請求項27】
連続した21日間〜26日間投与されるプロゲスチンの一日量が、レボノルゲストレルの0.05 mg〜1.5 mgに等価である、請求項26記載の方法。
【請求項28】
連続した2日間〜7日間投与される抗鬱薬の一日量が、塩酸フルオキセチンの約5 mg〜120 mgに等価である、請求項27記載の方法。
【請求項29】
エストロゲンおよびプロゲスチンの組み合わせが、少なくとも連続した21日間投与される、請求項25記載の方法。
【請求項30】
エストロゲンおよび抗鬱薬の組み合わせが、少なくとも連続した7日間投与される、請求項25記載の方法。
【請求項31】
エストロゲンがエチニルエストラジオールである、請求項26記載の方法。
【請求項32】
プロゲスチンがレボノルゲストレルである、請求項27記載の方法。
【請求項33】
抗鬱薬が塩酸フルオキセチンである、請求項28記載の方法。
【請求項34】
エストロゲンおよび抗鬱薬の組み合わせが、単一の錠剤で投与される、請求項25記載の方法。
【請求項35】
以下からなる月経前症状を減少させるためのキット:
(a)エストロゲンおよびプロゲスチンを含む錠剤;ならびに
(b)エストロゲンを含む錠剤。
【請求項36】
エストロゲンおよびプロゲスチンの錠剤が約84錠を含み、かつエストロゲンの錠剤が約7錠を含む、請求項35記載のキット。
【請求項37】
エストロゲンおよびプロゲスチンの錠剤が約21錠を含み、かつエストロゲンの錠剤が約7錠を含む、請求項35記載のキット。
【請求項38】
錠剤におけるエストロゲンの量が、エチニルエストラジオールの約5 μg〜50 μgに等価である、請求項35記載のキット。
【請求項39】
錠剤におけるプロゲスチンの量が、レボノルゲストレルの0.05 mg〜1.5 mgに等価である、請求項38記載のキット。
【請求項40】
エストロゲンがエチニルエストラジオールである、請求項38記載のキット。
【請求項41】
プロゲスチンがレボノルゲストレルである、請求項39記載のキット。
【請求項42】
以下からなる月経前症状を減少させるためのキット:
(a)エストロゲンおよびプロゲスチンを含む錠剤;ならびに
(b)エストロゲンおよび抗鬱薬を含む錠剤。
【請求項43】
エストロゲンおよびプロゲスチンの錠剤が約84錠を含み、かつエストロゲンおよび抗鬱薬の錠剤が約7錠を含む、請求項42記載のキット。
【請求項44】
エストロゲンおよびプロゲスチンの錠剤が約21錠を含み、かつエストロゲンおよび抗鬱薬の錠剤が約7錠を含む、請求項42記載のキット。
【請求項45】
錠剤におけるエストロゲンの量が、エチニルエストラジオールの約5 μg〜50 μgに等価である、請求項42記載のキット。
【請求項46】
錠剤におけるプロゲスチンの量が、レボノルゲストレルの0.05 mg〜1.5 mgに等価である、請求項45記載のキット。
【請求項47】
錠剤における抗鬱薬の量が、塩酸フルオキセチンの約5 mg〜120 mgに等価である、請求項46記載のキット。
【請求項48】
錠剤における抗鬱薬の量が、塩酸フルオキセチンの約90 mgに等価である、請求項46記載のキット。
【請求項49】
エストロゲンがエチニルエストラジオールである、請求項45記載のキット。
【請求項50】
プロゲスチンがレボノルゲストレルである、請求項46記載のキット。
【請求項51】
抗鬱薬が塩酸フルオキセチンである、請求項47記載のキット。
【請求項52】
エストロゲンおよびプロゲスチンの組み合わせからなる約84錠、ならびにエストロゲンからなる約7錠を含む、女性において月経前症状を減少させるための調製物。
【請求項53】
錠剤におけるエストロゲンの量が、エチニルエストラジオールの約5 μg〜50 μgに等価である、請求項52記載の調製物。
【請求項54】
錠剤におけるプロゲスチンの量が、レボノルゲストレルの0.05 mg〜1.5 mgに等価である、請求項53記載の調製物。
【請求項55】
エストロゲンがエチニルエストラジオールである、請求項53記載の調製物。
【請求項56】
プロゲスチンがレボノルゲストレルである、請求項54記載の調製物。
【請求項57】
エストロゲンおよびプロゲスチンの組み合わせからなる約21錠、ならびにエストロゲンからなる約7錠を含む、女性において月経前症状を減少させるための調製物。
【請求項58】
錠剤におけるエストロゲンの量が、エチニルエストラジオールの約5 μg〜50 μgに等価である、請求項57記載の調製物。
【請求項59】
錠剤におけるプロゲスチンの量が、レボノルゲストレルの0.05 mg〜1.5 mgに等価である、請求項58記載の調製物。
【請求項60】
エストロゲンがエチニルエストラジオールである、請求項58記載の調製物。
【請求項61】
プロゲスチンがレボノルゲストレルである、請求項59記載の調製物。
【請求項62】
エストロゲンおよびプロゲスチンの組み合わせからなる約84錠、ならびにエストロゲンおよび抗鬱薬の組み合わせからなる約7錠を含む、女性において月経前症状を減少させるための調製物。
【請求項63】
錠剤におけるエストロゲンの量が、エチニルエストラジオールの約5 μg〜50 μgに等価である、請求項62記載の調製物。
【請求項64】
錠剤におけるプロゲスチンの量が、レボノルゲストレルの0.05 mg〜1.5 mgに等価である、請求項63記載の調製物。
【請求項65】
錠剤における抗鬱薬の量が、塩酸フルオキセチンの約5 mg〜120 mgに等価である、請求項64記載の調製物。
【請求項66】
錠剤における抗鬱薬の量が、塩酸フルオキセチンの約90 mgに等価である、請求項64記載の調製物。
【請求項67】
エストロゲンがエチニルエストラジオールである、請求項63記載の調製物。
【請求項68】
プロゲスチンがレボノルゲストレルである、請求項64記載の調製物。
【請求項69】
抗鬱薬が塩酸フルオキセチンである、請求項65記載の調製物。
【請求項70】
エストロゲンおよびプロゲスチンの組み合わせからなる約21錠、ならびにエストロゲンおよび抗鬱薬の組み合わせからなる約7錠を含む、女性において月経前症状を減少させるための調製物。
【請求項71】
錠剤におけるエストロゲンの量が、エチニルエストラジオールの約5 μg〜50 μgに等価である、請求項70記載の調製物。
【請求項72】
錠剤におけるプロゲスチンの量が、レボノルゲストレルの0.05 mg〜1.5 mgに等価である、請求項71記載の調製物。
【請求項73】
錠剤における抗鬱薬の量が、塩酸フルオキセチンの約5 mg〜120 mgに等価である、請求項72記載の調製物。
【請求項74】
錠剤における抗鬱薬の量が、塩酸フルオキセチンの約90 mgに等価である、請求項72記載の調製物。
【請求項75】
エストロゲンがエチニルエストラジオールである、請求項71記載の調製物。
【請求項76】
プロゲスチンがレボノルゲストレルである、請求項72記載の調製物。
【請求項77】
抗鬱薬が塩酸フルオキセチンである、請求項73記載の調製物。
【請求項78】
一回用量の抗鬱薬が、エストロゲンと組み合わせて投与される、請求項5記載の方法。
【請求項79】
抗鬱薬が塩酸フルオキセチンである、請求項78記載の方法。
【請求項80】
投与される塩酸フルオキセチンの量が約90 mgである、請求項79記載の方法。
【請求項81】
一回用量の抗鬱薬が、エストロゲンと組み合わせて投与される、請求項12記載の方法。
【請求項82】
抗鬱薬が塩酸フルオキセチンである、請求項81記載の方法。
【請求項83】
投与される塩酸フルオキセチンの量が約90 mgである、請求項82記載の方法。

【公開番号】特開2012−107052(P2012−107052A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−38404(P2012−38404)
【出願日】平成24年2月24日(2012.2.24)
【分割の表示】特願2010−89063(P2010−89063)の分割
【原出願日】平成14年12月4日(2002.12.4)
【出願人】(507115698)テバ ウィメンズ ヘルス インコーポレイテッド (11)
【Fターム(参考)】